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2023-174526蒸気タービンの主バルブおよびバイパスバルブを液圧で作動させるシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174526
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】蒸気タービンの主バルブおよびバイパスバルブを液圧で作動させるシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/10 20060101AFI20231130BHJP
   C09K 21/12 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
F01D17/10 G
F01D17/10 B
F01D17/10 C
F01D17/10 E
F01D17/10 F
C09K21/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023063478
(22)【出願日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】202211030308
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】カムカル、アミット ラクスマンラオ
(72)【発明者】
【氏名】アンサリ、アルシャド アミン
(72)【発明者】
【氏名】バナジー、シャウラブ
【テーマコード(参考)】
3G071
4H028
【Fターム(参考)】
3G071BA34
3G071DA02
3G071DA03
3G071DA04
3G071DA05
3G071DA06
3G071DA07
3G071DA12
3G071DA13
3G071EA04
4H028AA35
4H028BA06
(57)【要約】
【課題】蒸気タービンの主バルブおよびバイパスバルブを液圧で作動させる。
【解決手段】システム(10)は、タンク(222)、ポンプアセンブリ(300)、アキュムレータアセンブリ(306)、およびヘッダ(304)を有する液圧パワーユニット(18)を含む。タンク(222)は、共通の作動液体を貯蔵する。ポンプアセンブリ(300)は、加圧された作動液体を提供するために、タンク(222)から共通の作動液体をポンピングする。アキュムレータアセンブリ(306)は、加圧された作動液体を貯蔵する。ポンプアセンブリ(300)及びアキュムレータアセンブリ(306)に結合されたヘッダ(304)は、蒸気タービンシステム(16)の1以上の主バルブ(142、166、196)及び1以上のバイパスバルブ(150、174、204)へ加圧された作動液体を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンシステム(16)と、
前記蒸気タービンシステム(16)に結合された1つまたは複数の主バルブ(142、166、196)を有する主制御システム(132)と、
前記蒸気タービンシステム(16)に結合された1つまたは複数のバイパスバルブ(150、174、204)を有するバイパス制御システム(134)と、
前記主制御システム(132)および前記バイパス制御システム(134)に結合された液圧パワーユニット(18)と、
を備え、
前記液圧パワーユニット(18)は、前記1つまたは複数の主バルブ(142、166、196)および前記1つまたは複数のバイパスバルブ(150、174、204)を操作するに足る圧力で作動液体を供給するように構成され、
前記作動液体は前記1つまたは複数の主バルブ(142、166、196)および前記1つまたは複数のバイパスバルブ(150、174、204)で共通である、システム(10)。
【請求項2】
前記液圧パワーユニット(18)は、
前記作動液体を貯蔵するように構成されたタンク(222)と、
加圧された作動液体を提供するために、前記タンク(222)から前記作動液体をポンピングするように構成されたポンプアセンブリ(300)と、
前記加圧された作動液体を貯蔵するように構成されたアキュムレータアセンブリ(306)と、
前記ポンプアセンブリ(300)及び前記アキュムレータアセンブリ(306)に結合されたヘッダ(304)と、
を備え、
前記ヘッダ(304)は、前記蒸気タービンシステム(16)の前記1または複数の主バルブ(142、166、196)及び前記1つまたは複数のバイパスバルブ(150、174、204)に前記加圧された作動液体を供給するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アキュムレータアセンブリ(306)が、前記ヘッダ(304)に結合された複数のアキュムレータ(226)を備え、前記アキュムレータアセンブリ(306)が、前記蒸気タービンシステム(16)の前記1つまたは複数の主バルブ(142、166、196)及び前記1つまたは複数のバイパスバルブ(150、174、204)を動作させるのに十分な量の前記加圧された作動液体を貯蔵するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記作動液体が自己消火性の耐火性作動液体からなる請求項1、2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記自己消火性の耐火性作動液体が、リン酸エステル液、合成非水性トリアリルリン酸エステル液、リン酸トリキシレニル、リン酸トリキシレニル及びt-ブチルフェニル、リン酸トリフェニル15~25%を有するt-ブチルフェニル、リン酸トリフェニル5%未満のt-ブチルフェニル又はそれらの任意の組み合わせからなっている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記自己消火性の耐火性作動液体が、少なくとも520℃の自己発火温度を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記液圧パワーユニット(18)が、前記1つまたは複数の主バルブ(142、166、196)および前記1つまたは複数のバイパスバルブ(150、174、204)の動作に十分な圧力に前記作動液体を加圧するように構成されており、圧力が少なくとも1500psigである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記自己消火性の耐火性作動液体が、少なくとも520℃の自己発火温度を有するリン酸エステル流体を含み、圧力が少なくとも1500psigである、請求項5乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記液圧パワーユニット(18)が、前記作動液体の温度を制御するように構成された熱システム(230)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記液圧パワーユニット(18)が、前記作動液体を調整するように構成された1つまたは複数のフィルタおよび/またはコンディショニング媒体を有する調整システム(232)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記液圧パワーユニット(18)が、前記主制御システム(132)に結合されたトリップシステム(308)を備え、前記トリップシステム(308)が、1つまたは複数のトリップバルブ(404)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記液圧パワーユニット(18)が、監視システム(234)と液圧パワーユニット制御システム(236)とを備え、前記監視システム(234)が、前記液圧パワーユニット(18)内の1つまたは複数のセンサ(238)からフィードバックを得るように構成され、前記液圧パワーユニット制御システム(236)が、前記フィードバックの少なくとも一部に基づき前記液圧パワーユニット(18)を制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
ガスタービンシステム(12)と、前記ガスタービンシステム(12)からの排気ガスから前記蒸気タービンシステム(16)のための蒸気を生成するように構成された熱回収蒸気発生器(HRSG)(14)とを備え、
前記蒸気タービンシステム(16)が、高圧蒸気タービン(106)、中間圧力蒸気タービン(108)および低圧蒸気タービン(110)を備え、
前記1つまたは複数の主バルブ(142、166、196)が、前記高圧蒸気タービン(106)と流体連通する複数の高圧主バルブ(146、148)と、前記中間圧力蒸気タービン(108)と流体連通する複数の中間圧力主バルブ(170、172)と、前記低圧蒸気タービン(110)と流体連通する複数の低圧主バルブ(200、202)とを含み、
前記1つまたは複数のバイパスバルブ(150、174、204)が、前記高圧タービン(106)と流体連通する複数の高圧バイパスバルブ(154、156、158)と、前記中間圧タービン(108)と流体連通する複数の中間圧力バイパスバルブ(178、180、182)と、前記低圧タービン(110)と流体連通する複数の低圧バイパスバルブ(208、210、212)とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のシステムを動作させる方法であって、
液圧パワーユニット(18)のタンク(222)に共通の作動液体を貯蔵するステップと、
前記液圧パワーユニット(18)のポンプアセンブリ(300)を介して前記タンク(222)から前記共通の作動液体をポンピングして、加圧された作動液体を提供するステップと、
前記液圧パワーユニット(18)のアキュムレータアセンブリ(306)を介して前記加圧された作動液体を貯蔵するステップと、
前記加圧された作動液体を、前記液圧パワーユニット(18)のヘッダ(304)を介して蒸気タービンシステム(16)の1つまたは複数の主バルブ(142、166、196)および1つまたは複数のバイパスバルブ(150、174、204)に供給するステップと、
を含み、
前記ヘッダ(304)は、前記ポンプアセンブリ(300)と前記アキュムレータアセンブリ(306)に結合される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、蒸気タービンシステムに関し、より詳細には、蒸気タービンシステムの主バルブおよびバイパスバルブを液圧で作動させる(hydraulically actuating)ためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンシステムは,蒸気を用いて1つまたは複数の蒸気タービンを駆動する。主バルブを有する主供給ラインは、各蒸気タービンへの蒸気供給を制御するように構成され、一方、バイパスバルブを有するバイパスラインは、蒸気供給を低温再熱器および/または復水器(a cold reheat and/or a condenser)にバイパスするように構成されている。運転中、主作動システムは主バルブを制御し、個別のバイパス作動システム(separate bypass actuation system:独立したバイパスアクチュエーションシステム)はバイパスバルブを制御する。主作動装置とバイパス作動装置は、異なる部品、異なる作動流体、異なる容量、異なる仕様、またはそれらの組み合わせなど、様々な方法で互いに異なる場合がある。残念ながら、2つの作動システム(例えば、主作動システムおよびバイパス作動システム)は、最初の購入および設置、メンテナンス、ならびにその後の修理または交換のためにかなりの費用を追加する。さらに、2つの作動システムは、サイトにおいて大きなスペースを消費し、異なる制御システムまたは制御ソフトウェアを含む、異なるベンダーからの機器を必要とする場合がある。 このようなデメリットを解消するために、主バルブとバイパスバルブの両方を操作できる作動システム(actuation system)が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
当初請求された主題の範囲に相応する特定の実施形態が、以下に要約される。これらの実施形態は、請求された特許請求の範囲を限定することを意図しておらず、むしろこれらの実施形態は、主題の可能な形態の簡潔な要約を提供することのみを意図している。実際、主題は、以下に示す実施形態と類似しているか、または異なる可能性のある様々な形態を包含することができる。
【0004】
特定の実施形態では、システムは、タンク、ポンプアセンブリ、およびヘッダを有する液圧パワーユニットを含む。タンクは、共通の作動液体(hydraulic fluid)を貯蔵するように構成されている。ポンプアセンブリは、タンクから共通の作動液体をポンピングして加圧された作動液体を提供するように構成されている。アキュムレータアセンブリは、加圧された作動液体を貯蔵するように構成されている。ヘッダは、ポンプアセンブリ及びアキュムレータアセンブリに結合されており、ヘッダは、加圧された作動液体を蒸気タービンシステムの1つまたは複数の主バルブ及び1つまたは複数のバイパスバルブに供給するように構成されている。
【0005】
特定の実施形態では、システムは、蒸気タービンと、主制御システムと、バイパス制御システムと、主制御システム及びバイパス制御システムに結合された液圧パワーユニット(hydraulic power unit)と、を含む。主制御システムは、蒸気タービンに結合された1つまたは複数の主バルブを有する。バイパス制御システムは、蒸気タービンに結合された1つまたは複数のバイパスバルブを有する。液圧パワーユニットは、1つまたは複数の主バルブ及び1つまたは複数のバイパスバルブを動作させるのに十分な圧力で共通の作動液体を供給するように構成される。
【0006】
特定の実施形態では、方法は、液圧パワーユニットのタンクに共通の作動液体を貯蔵することと、液圧パワーユニットのポンプアセンブリを介してタンクから共通の作動液体をポンピングして加圧された作動液体を提供することと、液圧パワーユニットのアキュムレータアセンブリを介して加圧された作動液体を貯蔵することを含む。本方法はまた、加圧された作動液体を、液圧パワーユニットのヘッダを介して蒸気タービンシステムの1つまたは複数の主バルブおよび1つまたは複数のバイパスバルブに供給することを含み、ヘッダはポンプアセンブリおよびアキュムレータアセンブリに結合される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のこれらおよび他の特徴、側面、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むとよりよく理解され、図面全体にわたって同種の文字は同種の部品を表し、ここで、同種の文字は同種の部品を表す。
【0008】
図1】ガスタービンシステム、熱回収蒸気発生器(HRSG)、蒸気タービンシステム、及び蒸気タービンシステムの主バルブとバイパスバルブの両方を操作する流体制御システムに結合された共通の液圧パワーユニット(HPU)を有する複合サイクル発電所の一実施形態の概略図である。
図2図1のHRSG及び共通のHPUに結合された蒸気タービンシステム及び流体制御システムの実施形態の概略図であり、流体制御システムの主制御系及びバイパス制御系の詳細をさらに示す図である。
図3図1及び図2の共通のHPUの一実施形態の概略図であり、主制御系とバイパス制御系の両方に用いられる共有部品の詳細をさらに示す図である。
図4図1~3の共通のHPUの液圧調整、加熱、冷却システムの一実施形態の概略図である。
図5図1図4の共通のHPUを用いた蒸気タービンシステムの起動処理の一実施形態を示すフローチャートである。
図6図1~4の共通のHPUを用いた蒸気タービンシステムの停止処理の一実施形態を示すフローチャートである。
図7図1~4の共通のHPUを用いた蒸気タービンシステムの蒸気タービントリップ処理の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の1つまたは複数の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供する努力において、実際の実装のすべての特徴は、本明細書において説明されない場合がある。そのような実際の実装の開発では、任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトと同様に、システム関連およびビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために多数の実装固有の決定を行わなければならず、これらは実装ごとに異なる場合があることを理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する通常の技術者にとって、設計、製造、および製造の日常的な事業であることが理解されるべきである。
【0010】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、要素の1つまたは複数が存在することを意味することが意図される。用語「comprising:含む」、「including:備える」、および「having:有する」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。
【0011】
後述する特定の実施形態では、共通の液圧パワーユニット(HPU:hydraulic power unit)は、蒸気タービンシステムの主バルブとバイパスバルブの両方を操作するように構成される。共通のHPUは、主バルブとバイパスバルブの両方に適した仕様の機器を有する。例えば、共通のHPUの構成部品は、一般に、主バルブまたはバイパスバルブのいずれかのより大きな要件を満たす仕様を有し、そのような仕様は、主バルブまたはバイパスバルブの一方の要件を大幅に超える場合がある。共通 HPU は、主バルブとバイパスバルブを作動させるためのコンポーネント(例えば、液圧タンク、液圧ポンプ、液圧アキュムレータ、液圧フィルタと調整装置、液圧加熱冷却装置、監視装置(例えば、センサ)、制御システム:hydraulic tanks, hydraulic pumps, hydraulic accumulators, hydraulic filters and conditioning equipment, hydraulic heating and cooling equipment, monitoring equipment (e.g., sensors), and the control system)を共有することにより、コストとスペース消費を削減するのに役立つ。共通のHPUは、メンテナンスの簡素化にも貢献しする。なぜなら、共通のHPU1台のみが、様々なコンポーネントの検査、修理、交換を受けるからである。共通のHPUはまた、コンポーネントを共有することで実質的な改善をもたらす。これは、これまで別々の作動システムで主バルブまたはバイパスバルブのいずれかに使用されていたコンポーネントよりも実質的にアップグレードすることがでる。以下の説明では、複合サイクル発電所について説明するが、主バルブとバイパスバルブの両方を持つ液圧制御システムであれば、共通のHPUを使用することができる。図面に記載された各コンポーネントや機能は、互いに様々な組み合わせで使用することを意図している。
【0012】
図1は、ガスタービンシステム12、熱回収蒸気発生器(HRSG:heat recovery steam generator)14、蒸気タービンシステム16、および共通の液圧パワーユニット置(HPU:hydraulic power unit)18を有する複合サイクル発電所(combined cycle power plant)10の一実施形態の概略図である。ガスタービンシステム12のサイクルは、しばしば「トッピングサイクル:topping cycle」と呼ばれ、一方、蒸気タービンシステム16のサイクルは、しばしば「ボトミングサイクル:bottoming cycle」と呼ばれる。図1に示されるように、これら2つのサイクルを組み合わせることによって、複合サイクル発電所10は、両方のサイクルにおいてより高い効率を導くことができる。特に、トッピングサイクルからの排気熱は、ボトムアップサイクルで使用するためにHRSG14で蒸気を生成するために捕捉および使用されてもよい。しかしながら、HRSG14は、複合サイクル発電所10における他の用途のために蒸気を生成して供給するように構成されてもよい。共通のHPU18は、蒸気タービンシステム16の主流体制御システム及びバイパス流体制御システムの間で共有される複数の構成要素、監視機能、及び制御機能を有する。特に、共通のHPU18は、一般に、主流体制御システム及びバイパス流体制御システムのための完全に別々の作動システム(例えば、液圧パワーユニット)の使用を排除している。共通のHPU18の具体的な特徴及び動作特性は、以下で更に詳細に説明される。
【0013】
図示されるように、ガスタービンシステム12は、吸気部20、圧縮機部22、燃焼器部24、タービン部26、及び発電機などの負荷28を含む。吸気部20は、1つ以上のエアフィルタ、アンチアイシングシステム、流体注入システム(例えば、温度制御流体)、サイレンサバッフル(air filters, anti-icing systems, fluid injection systems (e.g., temperature control fluids), silencer baffles)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。圧縮機部22は、それぞれが圧縮機シャフト38に結合された複数の回転圧縮機ブレード32と圧縮機ケーシング36に結合された複数の静止圧縮機ベーン34とを有する複数の圧縮機ステージ30を含む。燃焼器部24は、1つまたは複数の燃焼器40を含む。シャフト42は、圧縮機部22とタービン部26との間に延びる。各燃焼器40は、1次及び2次燃料回路を介して燃料を供給することができる1つ以上の燃料供給源46に結合された1つ以上の燃料ノズル44を含む。燃料供給部46は、天然ガス、合成ガス、バイオ燃料、燃料油、または液体燃料とガス燃料の任意の組合せを供給することができる。タービン部26は、それぞれがタービンシャフト54に結合された複数の回転タービンブレード48と、タービンケーシング52に結合された複数の静止タービンベーン50とを有する複数のタービンステージ56を含む。タービンシャフト54はまた、シャフト58を介して負荷28に接続する。
【0014】
運転中、ガスタービンシステム12は、吸気部20から圧縮機部22に吸気流(air intake flow)60を導く。圧縮機部22は、ステージ30で吸気流60を徐々に圧縮し、圧縮空気流62を1つ以上の燃焼器40に送出する。1つ以上の燃焼器40は、燃料供給部46から燃料を受け取り、燃料を燃料ノズル44に通し、燃料を圧縮空気流62で燃焼させ、燃焼器40内の燃焼室64で高温燃焼ガスを発生させる。次いで、1つ以上の燃焼器40は、高温の燃焼ガス流66をタービン部26に導く。タービン部26は、高温燃焼ガス流66を徐々に膨張させ、ステージ56内のタービンブレード48の回転を駆動してから排気ガス流68を吐出する。高温燃焼ガス流66がタービンブレード48の回転を駆動すると、タービンブレード48は、タービン軸54、シャフト42及び58、並びにコンプレッサ軸38の回転を駆動する。従って、タービン部26は、圧縮機部22及び負荷28の回転を駆動する。排ガス流68の一部または全部をHRSG14を流れるようにすることで、熱回収および蒸気発生を可能にすることができる。
【0015】
HRSG14は、高圧(HP)セクション72、中間圧力(IP)セクション74、及び低圧(LP)セクション76などの異なるセクションに配置された複数の熱交換器及び/又は熱交換構成要素70を含んでもよい。構成要素70は、HP、IP、およびLPセクション72、74、および76の各々において、エコノマイザ、蒸発器、過熱器(economizers, evaporators, superheaters)、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。構成要素70は、様々な導管及びヘッダ(conduits and headers)を介して一緒に結合されてもよく、HRSG14は、蒸気(例えば、低圧蒸気、中間圧力蒸気、及び高圧蒸気)の1つまたは複数の流れを蒸気タービンシステム16にルーティング(route)することができる。図示された実施形態では、HRSG14の構成要素70は、フィニッシュ高圧過熱器(finishing high pressure superheater)78、二次再熱器80、一次再熱器82、一次高圧過熱器84、ステージ間アテンパ器86、ステージ間アテンパ器88を含む、高圧蒸発器90(HP EVAP)、高圧エコノマイザ92(HP ECON)、中間圧力蒸発器94(IP EVAP)、中間圧力蒸気マイザ96(IP ECON)、低圧蒸発器98(LP EVAP)、及び低圧エコノマイザ100(LP ECON)(a finishing high pressure superheater 78, a secondary re-heater 80, a primary re-heater 82, a primary high pressure superheater 84, an inter-stage attemperator 86, an inter-stage attemperator 88, a high pressure evaporator 90 (HP EVAP), a high pressure economizer 92 (HP ECON), an intermediate pressure evaporator 94 (IP EVAP), an intermediate pressure economizer 96 (IP ECON), a low pressure evaporator 98 (LP EVAP), and a low pressure economizer 100 (LP ECON))を備える。HRSG14はまた、様々な構成要素70を収容する筐体(enclosure)またはダクト102を含む。構成要素70の機能性については、以下でさらに詳細に説明する。
【0016】
蒸気タービンシステム16は、シャフト112及び114を介して結合される高圧蒸気タービン(HP ST)106、中間圧力蒸気タービン(IP ST)108、及び低圧蒸気タービン(LP ST)110を有する蒸気タービン104を含む。さらに、蒸気タービン104は、シャフト118を介して負荷116に結合される場合がある。負荷28と同様に、負荷116は、電気発電機を含んでもよい。HRSG14は、高圧蒸気タービン106用の高圧蒸気、中間圧力蒸気タービン108用の中間圧力蒸気、及び低圧蒸気タービン110用の低圧蒸気を生成するように構成されることがある。特定の実施形態では、高圧蒸気タービン106からの排気は、HRSG14内の一次再熱器82、ステージ間高温器88、及び二次再熱器80を介して中間圧力蒸気タービン108に導かれ、中間圧力蒸気タービン108からの排気は、低圧蒸気タービン110に導かれ得る。蒸気タービン104は、凝縮水(condensate)120を排出することができ(又は、蒸気タービン104から下流の凝縮器(condenser)122で蒸気が凝縮されることができ)、凝縮水120が1つまたは複数のポンプ124を介してHRSG14内に送り返され得るようにする。
【0017】
運転中、排気ガス流68は、HRSG14を通過し、構成要素70に熱を伝え、蒸気タービン104を駆動するための蒸気を生成する。低圧蒸気タービン110からの排気蒸気は、凝縮器122に導かれ、凝縮水120を形成することができる。凝縮器122からの凝縮水120は、今度は、ポンプ124の助けを借りて、HRSG14の低圧セクション76に誘導されてもよい。凝縮水120は、次いで、排気ガス流68で給水(feedwater)126(凝縮水120を含む)を加熱するように構成された低圧エコノマイザ100を流れてもよい。低圧エコノマイザ100から、給水126は、低圧蒸発器98に流入することができる。低圧エコノマイザ100からの給水126は、ポンプ125の助けを借りて、中間圧力蒸気マイザ96および高圧エコノマイザ92に向かうことができる。低圧蒸発器98からの蒸気は、低圧蒸気タービン110に向けられることがある。同様に、中間圧力エコノマイザ96から、給水126は、中間圧力蒸発器94に、及び/又は高圧エコノマイザ92に向かってルーティングされることがある。さらに、中間圧力エコノマイザ96からの蒸気は、燃料ガス加熱器95にルーティングすることができ、ここで、蒸気は、ガスタービンシステム12の燃焼室64で使用するための燃料ガス(fuel gas)を加熱するために使用することができる。中間圧力蒸発器94からの蒸気は、中間蒸気タービン108にルーティングされることがある。
【0018】
高圧エコノマイザ92からの給水126は、高圧蒸発器90にルーティングされる場合がある。高圧蒸発器90からの蒸気は、一次高圧過熱器84及びフィニッシュ高圧過熱器78にルーティングされてもよく、そこで蒸気は過熱され、最終的に高圧蒸気タービン106にルーティングされる。ステージ間アテンパ器86は、一次高圧過熱器84とフィニッシュ高圧過熱器78との間に配置されてもよい。ステージ間アテンパ器86は、フィニッシュ高圧過熱器78からの蒸気の排気温度をより強固に制御することを可能にし得る。具体的には、ステージ間アテンパ器86は、フィニッシュ高圧過熱器78を出る蒸気の排気温度が所定値を超えるたびに、フィニッシュ高圧過熱器78の上流の過熱蒸気に冷却水スプレーを噴射して、フィニッシュ高圧過熱器78を出る蒸気の温度を制御するように構成されていてもよい。
【0019】
さらに、高圧蒸気タービン106からの排気は、一次再熱器82及び二次再熱器80に導かれ、そこで中間圧力蒸気タービン108に導かれる前に再加熱されることがある。一次再熱器82及び二次再熱器80は、再熱器からの排気蒸気温度を制御するように構成されたステージ間アテンパ器88と関連付けられることもある。具体的には、ステージ間アテンパ器88は、二次再熱器80を出る蒸気の排気温度が所定値を超えるたびに、二次再熱器80の上流の過熱蒸気に冷却水スプレーを噴射して、二次再熱器80を出る蒸気の温度を制御するように構成され得る。HRSG14の構成要素70の配置は、共通のHPU18と共に使用するための単なる1つの可能な例であり、構成要素70は、本開示の範囲内で異なるように配置され得る。
【0020】
蒸気タービンシステム16は、共通のHPU18に結合された主制御システム132及びバイパス制御システム134を有する流体制御システム130を更に含む。図示されるように、流体制御システム130は、フィニッシュ高圧過熱器78及び高圧蒸気タービン106への入口に結合された高圧蒸気供給ライン又は導管136と、高圧蒸気供給ライン136に結合された高圧バイパスライン又は導管138と、高圧蒸気タービン106及び一次再熱器82の出口に結合された排出又は帰還ライン(discharge or return line)140を含む。高圧蒸気供給ライン136は、それぞれが独立した液圧アクチュエータ(independent hydraulic actuator)144によって駆動又は作動されて開位置と閉位置との間を移動する1つまたは複数の高圧主バルブ142を含む。
【0021】
例えば、図2に示すように、高圧主バルブ142は、高圧主蒸気制御バルブ(high pressure main steam control valve)146(例えば、HP主制御バルブ:HP main control valve)および高圧主蒸気ストップバルブ(high pressure main steam stop valve)148(例えば、HP主ストップバルブ:HP main stop valve)を含み得る。HP主制御バルブ146は、液圧アクチュエータ144の1つ(例えば、アクチュエータ144A)によって作動して、高圧蒸気タービン106への高圧蒸気の流入を調整(例えば、増加または減少)し、HP主ストップバルブ148は、液圧アクチュエータ144の1つ(例えば、アクチュエータ144B)によって作動して、高圧蒸気タービン106への高圧蒸気の流入を可能(enable)または不可能に(disable、例えば、停止)する。
【0022】
高圧バイパスライン138は、それぞれが独立した液圧アクチュエータ(independent hydraulic actuator)152によって駆動または作動され、開位置と閉位置との間を移動する1つまたは複数の高圧バイパスバルブ150を含む。例えば、高圧バイパスバルブ150は、高圧バイパス圧力制御バルブ154(例えば、HPバイパス制御バルブ)、高圧バイパススプレー水隔離バルブ(high pressure bypass spray water isolation valve)156(例えば、HPバイパススプレー隔離バルブ)、及び高圧バイパススプレー水制御バルブ158(例えば、HPバイパススプレー制御バルブ)を含み得る。HPバイパス制御バルブ154は、液圧アクチュエータ152のうちの1つ(例えば、アクチュエータ152A)によって作動され、HP蒸気供給ライン136から遠ざけられる高圧バイパス流の圧力を調整(例えば、増加または減少)する。HPバイパススプレー水隔離バルブ156は、液圧アクチュエータ152のうちの1つ(例えば、アクチュエータ152B)によって作動され、HRSG14に戻る前に高圧バイパス流を温存するように構成された水スプレーの流れを有効(enable)または無効(disable)にする(例えば、停止する)。HPバイパススプレー制御バルブ158は、液圧アクチュエータ152のうちの1つ(例えば、アクチュエータ152C)によって作動され、HRSG14に戻る前に高圧バイパス流を気化させるように構成された水スプレーの流れを調整(例えば、増加または減少)する。特定の実施形態では、水スプレーに使用される水は、HRSG14の給水126または別の水供給源から供給される。
【0023】
図1にさらに示されるように、流体制御システム130は、中間圧力蒸気供給ラインまたは導管160、中間圧力バイパスラインまたは導管162、および排出または帰還ライン(discharge or return line)164を含む。中間圧力蒸気供給ライン又は導管160は、中間圧力蒸発器94及び二次再熱器80の出口と、中間圧力蒸気タービン108への入口とに流体的に結合される。中間圧力バイパスライン又は導管162は、中間圧力蒸気供給ライン160に流体的に結合されている。排出又は帰還ライン164は、中間圧力蒸気タービン108の出口と、低圧蒸気タービン110への入口とに流体的に結合されている。中間圧力蒸気供給ライン160は、それぞれが独立した液圧アクチュエータ(independent hydraulic actuator)168によって駆動又は作動され、開位置と閉位置との間を移動する1つまたは複数の中間圧力主バルブ166を含む。
【0024】
例えば、図2に示すように、中間圧力主バルブ166は、中間圧力主蒸気制御バルブ170(例えば、IP主制御バルブ)および中間圧力主蒸気ストップバルブ172(例えば、IP主ストップバルブ)を含み得る。IP主制御バルブ170は、液圧アクチュエータ168の1つ(例えば、アクチュエータ168A)によって作動して、中間圧力蒸気タービン108への中間圧力蒸気の流れを調整(例えば、増加または減少)し、IP主ストップバルブ172は、液圧アクチュエータ168の1つ(例えば、アクチュエータ168B)によって作動して、中間圧力蒸気タービン108への中間圧力蒸気に流れを有効または無効(例えば、停止)する。
【0025】
中間圧力バイパスライン162は、それぞれが独立した液圧アクチュエータ176によって駆動または作動され、開位置と閉位置との間を移動する1つまたは複数の中間圧力バイパスバルブ174を含む。例えば、中間圧力バイパスバルブ174は、中間圧力バイパス圧力制御バルブ178(例えば、IPバイパス制御バルブ)、中間圧力バイパス蒸気ストップバルブ180(例えば、IPバイパスストップバルブ)、中間圧力バイパススプレー水制御バルブ182(例えば、IPバイパススプレー制御バルブ)、および中間圧力バイパススプレー水隔離バルブ184(例えば、IPバイパススプレー隔離バルブ)を含み得る。IPバイパス制御バルブ178は、液圧アクチュエータ176のうちの1つ(例えば、アクチュエータ176A)によって作動され、IP蒸気供給ライン160から凝縮器122に分流される中間圧力バイパス流の圧力を調整(例えば、増加または減少)する。IPバイパスストップバルブ180は、液圧アクチュエータ176のうちの1つ(例えば、アクチュエータ176B)によって作動され、IP蒸気供給ライン160から遠ざけられるバイパス流を有効にするか無効にする(例えば、停止する)。IPバイパススプレー制御バルブ182は、液圧アクチュエータ176のうちの1つ(例えば、アクチュエータ176C)によって作動され、凝縮器122に戻る前に中間圧力バイパス流を温存するように構成された水スプレーの流れを調整(例えば、増加または減少)する。IPバイパススプレー隔離バルブ184は、凝縮器122に戻る前に中間圧力バイパス流をアテンションするように構成された水スプレーの流れを有効または無効にする(例えば、停止する)ために、液圧アクチュエータ176の1つ(例えば、アクチュエータ176D)によって作動される。特定の実施形態では、水スプレーに使用される水は、凝縮器122、水タンク、またはHRSG14内の水の別の供給源から供給される。
【0026】
図1にさらに示されるように、流体制御システム130は、低圧蒸気供給ラインまたは導管190、低圧バイパスラインまたは導管192、および排出または帰還ライン194を含む。低圧蒸気供給ライン又は導管190は、低圧蒸発器98の出口及び中間圧力蒸気タービン108からの排出又は帰還ライン164と、低圧蒸気タービン110への入口とに流体的に結合される。低圧バイパスライン又は導管192は、低圧蒸気供給ライン190に流体的に結合されている。排出又は帰還ライン194は、低圧蒸気タービン110の出口と、低圧エコノマイザ100への入口とに流体的に結合されている。上述したように、帰還ライン194は、凝縮器122及びポンプ124を含む。低圧蒸気供給ライン190は、それぞれが独立した液圧アクチュエータ198によって駆動または作動されて開位置と閉位置との間を移動する1つまたは複数の低圧主バルブ196を含む。
【0027】
例えば、図2に示すように、低圧主バルブ196は、低圧主蒸気制御バルブ200(例えば、LP主制御バルブまたはアドミッションバルブ(LP main control valve or admission valve)および低圧主蒸気ストップバルブ202(例えば、LP主ストップバルブ)を含み得る。LP主制御バルブ200は、液圧アクチュエータ198のうちの1つ(例えば、アクチュエータ198A)によって作動して、低圧蒸気タービン110への低圧蒸気の流れを調整(例えば、増加または減少)し、LP主ストップバルブ202は、液圧アクチュエータ198のうちの1つの(例えば、アクチュエータ198B)により作動して、低圧蒸気タービン110への低圧蒸気の流れを有効または無効に(例えば、停止)する。
【0028】
低圧バイパスライン192は、それぞれが独立した液圧アクチュエータ206によって駆動または作動され、開位置と閉位置との間を移動する1つまたは複数の低圧バイパスバルブ204を含む。例えば、低圧バイパスバルブ204は、低圧バイパス圧力制御バルブ208(例えば、LPバイパス制御バルブ)、低圧バイパス蒸気ストップバルブ210(例えば、LPバイパスストップバルブ)、低圧バイパススプレー水制御バルブ212(例えば、LPバイパススプレー制御バルブ)、及び低圧バイパススプレー水隔離バルブ214(例えば、LPバイパススプレー隔離バルブ)を含み得る。LPバイパス制御バルブ208は、液圧アクチュエータ206の1つ(例えば、アクチュエータ206A)によって作動され、LP蒸気供給ライン190から迂回される低圧バイパス流の圧力を調整(例えば、増加または減少)する。LPバイパスストップバルブ210は、液圧アクチュエータ206のうちの1つ(例えば、アクチュエータ206B)によって作動され、LP蒸気供給ライン190から遠ざけられるバイパス流を有効にするか無効にする(例えば、停止する)。LPバイパススプレー制御バルブ212は、液圧アクチュエータ206のうちの1つ(例えば、アクチュエータ206C)によって作動され、凝縮器122に戻る前に低圧バイパス流を温存するように構成された水スプレーの流れを調整(例えば、増加または減少)する。LPバイパススプレー隔離バルブ214は、凝縮器122に戻る前に低圧バイパス流をアテンパレートするように構成された水スプレーの流れを有効または無効にする(例えば、停止する)ために、液圧アクチュエータ206の1つ(例えば、アクチュエータ206D)により作動される。特定の実施形態では、水スプレーに使用される水は、凝縮器122、水タンク、またはHRSG14内の水の別の供給源から供給される。
【0029】
共通のHPU18は、主制御システム132およびバイパス制御システム134の動作を作動または制御するために液圧パワー(hydraulic power)を提供するように構成される。例えば、共通のHPU18は、液圧アクチュエータ144、168、198をそれぞれ介して、主制御システム132の主バルブ142、166、196を作動または制御するために液圧パワーを提供するように構成される。さらなる例によって、共通のHPU18は、液圧アクチュエータ152、176、および206をそれぞれ介してバイパス制御システム134のバイパスバルブ150、174、および204を作動または制御するように液圧パワーを提供するように構成される。有利なことに、共通のHPU18の構成要素および機能は、主制御システム132およびバイパス制御システム134の両方の間で共有され、それにより、主バルブおよびバイパスバルブ用の個別の液圧パワーユニットの必要性を排除する。共通のHPU18は、以下にさらに詳細に説明するように、複数の共有コンポーネント220を有する。
【0030】
図1に示すように、共有構成要素(shared components:シェアされたコンポーネント)220は、1つ以上の液圧リザーバまたはタンク222、1つ以上の液圧ポンプ224、1つ以上の液圧アキュムレータ226、液圧調整、加熱、および冷却システム(hydraulic conditioning, heating, and cooling system)228、ならびに監視および制御システム229を含み得る。システム228は、液圧流体(hydraulic fluid、例えば、主バルブ及びバイパスバルブに使用される共通の液圧流体)の温度及び品質を制御するように構成された熱システム230及び調整システム(conditioning system:コンディショニングシステム)232を含んでいる。システム229は、共通のHPU18の動作を監視および制御するように構成された監視システム234および制御システム236を含む。タンク222は、新鮮/新しい作動液体、戻された作動液体、及び処理された作動液体を含む作動液体(fresh/new hydraulic fluid, returned hydraulic fluid, and treated hydraulic fluid)を貯蔵するように構成されている。ポンプ224は、主制御システム132及びバイパス制御システム134の両方にとって十分な圧力に作動液体を加圧するように構成されている。液圧アキュムレータ226は、主バルブ142、166、及び196とバイパスバルブ150、174、及び204の作動のために十分な液圧が容易に利用できるように、加圧された作動液体(pressurized hydraulic fluid)を貯蔵するように構成されている。液圧アキュムレータ226は、ブラダ型アキュムレータ、ピストンシリンダ型アキュムレータ、スプリングバイアス型アキュムレータ、金属ベローズ型アキュムレータ(bladder type accumulators, piston-cylinder accumulators, spring-biased accumulators, metal bellows type accumulators)、または加圧された作動液体を貯蔵するために機械エネルギーを適用する別のタイプのアキュムレータを含み得る。液圧調整、加熱、および冷却システム228は、作動液体の適切な状態または品質を維持し、作動液体の適切な温度を維持するように構成される。例えば、熱システム230は、作動液体にまたは作動液体から熱を伝達するように構成された1つまたは複数の熱交換器、ヒータ、または冷却器を含むことができる。調整システム232は、1つ以上の微粒子フィルタ、水除去ユニット、分離器(particulate filters, water removal units, separators)、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。調整システム232は、作動液体から粒子状物質、水、または他の望ましくない物質(particulate matter, water, or other undesirable materials)を除去するように構成される。
【0031】
監視システム234及び制御システム236を含むシステム229は、共通のHPU18、流体制御システム130、及び蒸気タービンシステム16の様々な態様の動作を監視及び制御するように構成される。監視システム234は、複合サイクル発電所10全体に分散された「S」として指定される複数のセンサ238を監視するように構成されている。制御システム236は、それぞれが1つ以上のプロセッサ240と、メモリ242と、メモリ242上に格納され、1つ以上のプロセッサ240によって実行可能な命令244とを有する、1つ以上のコントローラを含み、主制御システム132およびバイパス制御システム134に液圧パワーを供給するための様々な制御機能を実行し得る。共通のHPU18の制御システム236はまた、複合サイクル発電所10のコントローラ246と相互作用してもよく、コントローラ246は、ガスタービンシステム12、HRSG14、蒸気タービンシステム16、および流体制御システム130を動作させるための種々の制御機能を実行するために、1以上のプロセッサ248、メモリ250、およびメモリ250に記憶されており1つ以上のプロセッサ248によって実行可能な命令252を含む。特定の実施形態では、制御システム236は、情報(例えば、センサフィードバック、警告、アラームなど)を通信し、及び/又は制御信号をコントローラ246に提供し、又はその逆を行うことができる。
【0032】
センサ238は、通信線又は無線通信回路を介して、コントローラ246及び/又は制御システム236に通信可能に結合されてもよい。センサ238は、吸気部20、圧縮機部22、燃焼器部24、タービン部26、HRSG14、及び蒸気タービンシステム16の1つまたは複数の位置に配置されてもよい。例えば、センサ238は、高圧蒸気タービン106、中間圧力蒸気タービン108、及び低圧蒸気タービン110のそれぞれにおける1以上の位置に配置されてもよい。センサ238はまた、ライン136、138、140、160、162、164、190、192、及び194のそれぞれに沿って配置されてもよく、それによって、HRSG14、蒸気タービン106、108、及び110、主バルブ142、166、及び196、並びにバイパスバルブ150、174、及び204間の種々の流体パラメータの監視に役立つ。
【0033】
さらに、センサ238は、共有コンポーネント220(例えば、タンク222、ポンプ224、アキュムレータ226など)のそれぞれにおいてなど、コントローラ246を介して通信する共通のHPU18全体に結合され、及び/又は分散されることがある。例えば、センサ238は、流量センサ、圧力センサ、温度センサ、流体レベルセンサ、流体組成センサ、火炎センサ、振動センサ、クリアランスセンサ、トリップセンサ(flow sensors, pressure sensors, temperature sensors, fluid level sensors, fluid composition sensors, flame sensors, vibration sensors, clearance sensors, trip sensors)、またはそれらの任意の組合せを含み得る。センサ238からのフィードバックは、コントローラ246および/または制御システム236によって、様々な方法で使用され得る。
【0034】
特定の実施形態では、コントローラ246及び/又は制御システム236が、HRSG14、蒸気タービンシステム16、流体制御システム130、又は共通のHPU18内の望ましくないセンサフィードバックを観測した場合、コントローラ246及び/又は制御システム236は、電子ディスプレイを介してユーザーに警報又は警告(alarm or an alert)を提供してもよく、共通のHPU18又は流体制御システム130の動作を変更してもよい。例えば、センサ238からのセンサフィードバックに応じて、コントローラ246及び/又は制御システム236は、流体制御システム130の遮断を発動(trigger a trip:トリップをトリガ)し、バイパスバルブ150、174、及び204を作動させて共通のHPU18を使用して開閉し、及び/又は主バルブ142、166、及び196を作動させて共通のHPU18を使用して開閉し得る。特定の実施形態では、HPU18は、バイパスバルブ150、174、及び204を部分的に又は完全に開く、及び/又は主バルブ142、166、及び196を部分的に又は完全に閉じるための液圧パワーを提供することができる。さらに、HPU18は、バイパスバルブ150、174、および204を部分的にまたは完全に閉じ、および/または主バルブ142、166、および196を部分的にまたは完全に開くための液圧パワー(hydraulic power)を提供してもよい。
【0035】
共通のHPU18は、主バルブ142、166、及び196とバイパスバルブ150、174、及び204の両方に適した高い自動発火温度を有する自己消火性の耐火性流体(a self-extinguishing, fire-resistant fluid with a high auto-ignition temperature)などの作動液体を用いて液圧力(液圧パワー)を提供するように構成される。例えば、自動発火温度は、約520℃、540℃、560℃、580℃、または600℃以上とすることができる。タンク222に貯蔵される作動液体は、例えば、自己消火性(耐火性)のリン酸エステル流体を含むことができる。このような作動液体の1つとして、自己消火性(耐火性)の合成非水系トリアリルリン酸エステル作動液体が挙げられる。例えば、液圧流体は、トリキシレニルホスフェート、トリキシレニル及びt-ブチルフェニルホスフェート、15~25%のトリフェニルホスフェートを有するt-ブチルフェニルホスフェート、低レベル(例えば、1、2、3、4、5%未満)のトリフェニルホスフェート(trixylenyl phosphate, trixylenyl and t-butylphenyl phosphate, t-butylphenyl phosphate having 15-25% triphenyl phosphate, t-butylphenyl phosphate having low levels (e.g., less than 1, 2, 3, 4, 5 %) of triphenyl phosphate)、又はそれらの任意の組合せを含み得る。特定の実施形態では、作動液体は、WV州(ウェストバージニア州)Gallipolis FerryのICL Industrial Products社からFYRQUEL(商標)という商品名で販売されており、世界的に流通している上述の自己消火性流体の1以上を含み得る。
【0036】
共通のHPU18は、主バルブ142、166、196とバイパスバルブ150、174、及び204の両方に適した圧力まで作動流体を加圧するように構成されてもよい。例えば、HPU18は、特定の実施形態において、少なくとも2400、2500、または2600psigの圧力まで作動流体を加圧するように構成され得る。ここでも、主バルブ142、166、及び196とバイパスバルブ150、174、及び204の両方に、同じ作動液体及びその関連特性(associated properties)を使用することができる。
【0037】
図1に示されるように、共通のHPU18は、1つ以上の液圧供給ラインまたは導管254を介して、それぞれのバルブ142、150、166、174、196、および204の液圧アクチュエータ144、152、168、176、198、および206のそれぞれに加圧された作動液体を供給し、共通のHPU18は、それぞれのバルブ142、150、166、174、196、および204の液圧アクチュエータのそれぞれからの戻り液圧流体を1つ以上の液圧帰還ラインまたは導管256を介して受け取る。特定の実施形態では、液圧アクチュエータ144、152、168、176、198、および206の各々は、専用または独立した液圧供給ライン254および専用または独立した液圧帰還ライン256を有してよい。さらに、特定の実施形態では、共通のHPU18は、高圧蒸気タービン106、中間圧力蒸気タービン108、及び/又は低圧蒸気タービン110に関連するバイパスバルブのグループ、主バルブのグループ、及び/又はバルブのグループなどの1以上のグループで加圧された作動液体を液圧アクチュエータ144、152、168、176、198、206に供給してもよい。
【0038】
図2は、図1のHRSG14及び共通のHPU18に結合された蒸気タービンシステム16及び流体制御システム130の実施形態の概略図であり、主制御システム132及びバイパス制御システム134の詳細を更に示している。別段の記載がない限り、図2に図示された各構成要素は、図1を参照して上記で詳細に説明したものと同じである。図2は、図1に示された特定の詳細および構成要素を図示していないが、これらの構成要素は、図2の図示されたシステムの一部である。例えば、HRSG14および共通のHPU18は、図1を参照して上述したコンポーネントおよび機能を含む。簡略化のために図1には示されていない追加の詳細が、図2にさらに図示されている。
【0039】
図2に示すように、高圧蒸気供給ライン136は、HRSG14から高圧蒸気タービン106の入口まで蒸気流れ方向に延び、高圧バイパスライン138は、高圧蒸気供給ライン136からHRSG14へ戻るバイパス流れ方向に延びる。上述したように、HP主制御バルブ146およびHP主停止バルブ148は、高圧蒸気供給ライン136に沿って高圧蒸気タービン106への高圧蒸気流を制御するように構成され、HPバイパス制御バルブ154は、高圧蒸気供給ライン136からHRSG14へ戻る高圧バイパスライン138に沿って高圧蒸気バイパス流を制御するように構成される。図2にさらに示されるように、HPバイパススプレー隔離バルブ156およびHPバイパススプレー制御バルブ158は、1つまたは複数のスプレーノズル262に通じる水供給ラインまたは導管260に沿って配置され、これらは、HRSG14に戻る前に高圧蒸気バイパス流を温調するために高圧バイパスライン138に水スプレーを噴射するように構成される。水供給ラインまたは導管260は、給水ライン126、水供給タンク、または他の水源に結合されることができる。
【0040】
中間圧力蒸気タービン108用のバルブは、高圧蒸気タービン106用のバルブと類似した配置を有する。例えば、中間圧力蒸気供給ライン160は、HRSG14から中間圧力蒸気タービン108の入口まで蒸気流れ方向に延び、中間圧力バイパスライン162は、中間圧力蒸気供給ライン160から復水器122に戻るバイパス流れ方向に延びる。IP主制御バルブ170およびIP主停止バルブ172は、中間圧力蒸気供給ライン160に沿って中間圧力蒸気タービン108に向かう中間圧力蒸気流を制御するように構成される。IPバイパス制御バルブ178及びIPバイパスストップバルブ180は、中間圧力蒸気供給ライン160から凝縮器122に戻る中間圧力バイパスライン162に沿った中間圧力蒸気バイパス流を制御するように構成される。図2にさらに示されるように、IPバイパススプレー隔離バルブ184およびIPバイパススプレー制御バルブ182は、1つまたは複数のスプレーノズル266に通じる水供給ラインまたは導管264に沿って配置され、これらは、凝縮器122に戻る前に中間圧力蒸気バイパス流を温調(attemperate)するために中間圧力バイパスライン162に水スプレーを噴射するように構成されている。水供給ラインまたは導管264は、凝縮器122、水供給タンク、または他の水源に結合されることができる。
【0041】
低圧蒸気タービン110のバルブは、高圧蒸気タービン106及び中間圧力蒸気タービン108のバルブと同様の配置を有する。例えば、低圧蒸気供給ライン190は、HRSG14から低圧蒸気タービン110の入口まで蒸気流れ方向に延び、低圧バイパスライン192は、低圧蒸気供給ライン190から凝縮器(condenser:復水器)122に戻るバイパス流れ方向に延びる。LP主制御バルブ200及びLP主ストップバルブ202は、低圧蒸気タービン110への低圧蒸気供給ライン190に沿った低圧蒸気流を制御するように構成される。LPバイパス制御バルブ208及びLPバイパスストップバルブ210は、低圧蒸気供給ライン190から復水器122に戻る低圧バイパスライン192に沿った低圧蒸気バイパス流を制御するように構成される。図2にさらに示されるように、LPバイパススプレー隔離バルブ214およびLPバイパススプレー制御バルブ212は、1つまたは複数のスプレーノズル270に通じる水供給ラインまたは導管268に沿って配置され、これらは、凝縮器122に戻る前に低圧蒸気バイパス流を温調するために低圧バイパスライン192に水スプレーを噴射するように構成される。水供給ラインまたは導管268は、凝縮器122、水供給タンク、または他の水源に結合されることができる。
【0042】
動作時、共通のHPU18は、1つまたは複数の液圧供給ライン254を介して、それぞれのバルブ142、150、166、174、196、204の液圧アクチュエータ144、152、168、176、198、206のそれぞれに加圧された作動液体を供給し、それにより、主制御システム132(例えば、主バルブ142、166、196)およびバイパス制御システム134(例えば、バイパスバルブ150、174、204)双方に対して共有された液圧パワー(shared hydraulic power)を提供する構成である。共通のHPU18はまた、それぞれのバルブ142、150、166、174、196、および204の液圧アクチュエータ144、152、168、176、198、および206に結合され、それによって共通のHPU18に作動液体を戻す1以上の液圧帰還ライン256も含む。HPU18、流体制御システム130、HRSG14、及び蒸気タービンシステム16の他の全ての態様は、上記で詳細に説明したのと同様である。
【0043】
図3は、図1および図2の共通のHPU18の実施形態の概略図であり、主制御システム132およびバイパス制御システム134の両方に使用される共有コンポーネント(shared components:シェアされた構成要素)220の詳細をさらに示している。別段の記載がない限り、図3に図示された各構成要素は、図1および図2を参照して上で詳細に説明したものと同じである。図3は、図1および図2に示された特定の詳細および構成要素を図示していないが、これらの構成要素は、図3の図示されたシステムの一部である。簡略化のために図1および図2に示されていない追加の詳細が、図3にさらに図示されている。
【0044】
図3に示されるように、共通のHPU18は、タンク222と、タンク222に結合された複数のポンプ224を有するポンプアセンブリ300と、ポンプアセンブリ300に結合されたマニホールド302(例えば、共通または一体マニホールド:common or one-piece manifold)と、ヘッダ304(例えば、マニホールド302に結合された共通または一体ヘッダ:common or one-piece header)と、ヘッダ304に結合された複数のアキュムレータ226を有するアキュムレータアセンブリ306と、タンク222および主制御システム132に結合されたトリップシステム308と、タンク222に結合された液圧調整、加熱および冷却システム228と、共通のHPU18の種々のコンポーネントに結合された監視および制御システム229とを備える。
【0045】
特定の実施形態では、タンク222は、複数のセクションに分割された単一のタンク、複数の別個のタンク、またはそれらの組合せを含むことができる。タンク222の設計、容量、および表面積は、空気の拘束(air detrainment)を増加させ、タンク内の流れ分布(flow distribution)を増加させ、タンク222のフットプリントサイズ(footprint size)を減少させるように構成されてもよい。タンク222は、作動液体、例えば、高い流体温度で空気の巻き込みやワニス(air entrainment and varnishing)を生じやすいトリアリルリン酸エステル作動液体(triaryl phosphate ester hydraulic fluid)の空気拘束(air detrainment)を改善するように配置された吸引ライン、排出ライン、およびタンク222内部の内部バッフル310を含むことができる。特定の実施形態では、タンク222は、流体戻しセクション312、デトレーニングセクション(detraining section)314、および主ポンプセクション316の3つのセクションに分割され得る。流体戻しセクション(fluid return section)312は、システム228による冷却および調整のために作動液体を引き込むように構成された1つまたは複数のストレーナ320に結合された1つまたは複数のディップチューブ(dip tubes:浸漬管)318を含む。デトレーニングセクション314は、システム228からの冷却された作動液体の戻り流(return flow)を受け取るように構成される。主ポンプセクション316は、ポンプアセンブリ300のポンプ224に作動液体を供給するように構成された1つ以上のストレーナ324に結合された1つ以上のディップチューブ322を有する。HPU18は、作動流体を作動流体レベル328以下のタンク222に排出し、曝気を低減するように構成された1つ以上のドレイン帰還ライン(drain return lines:ドレイン戻りライン)326を含み得る。特定の実施形態では、タンク222は、蒸気バルブ(例えば、主バルブ142、166、及び196と、バイパスバルブ150、174、及び204)から戻る作動液体ドレイン戻り流のためのカスタマー接続(customer connections)を含んでもよく、タンク222に戻るドレイン戻り流は、作動液体レベル328の下(below the operating fluid level 328)で終端(terminates)する。
【0046】
タンク222はまた、タンク222内の作動液体の液面、液温、および液圧を監視するように構成された、流体レベル送信機(fluid level transmitter)またはセンサ330、液温送信機またはセンサ332、および液圧送信機またはセンサ334などの種々のセンサ238を含み得る。流体レベルセンサ330は、タンク222内の作動液体のレベルを監視するように構成されており、それによって、監視および制御システム229が、タンク222内の作動液体のレベルが過度に高いまたは低い場合にアラームをトリガすることができる。流体温度センサ332は、タンク222内の作動流体の温度を監視するように構成され、それによって、監視および制御システム229が、50℃、60℃、または70℃を超えるような高い作動流体温度に応答してアラームをトリガすることを可能にする。流体圧力センサ334は、タンク222内の作動流体の圧力を監視するように構成され、それによって、監視および制御システム229が、タンク222内の高い圧力または低い圧力(例えば、上部および下部圧力閾値に基づく)に応答してアラームをトリガするとともに、ポンプ224を起動および停止させることを可能にする。
【0047】
タンク222はまた、流体レベルインジケータ338、液温インジケータ340、および液圧インジケータ342などの様々な視覚ゲージまたはインジケータ336を含むことができ、これらは、タンク222内の作動液体の液面、液温、および液圧(a fluid level, a fluid temperature, and a fluid pressure)を局所的に視覚表示するよう構成される。視覚的ゲージまたはインジケータ336は、機械的ゲージ、電子的ゲージまたはディスプレイ、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の実施形態では、インジケータ336は互いに独立していてもよく、あるいはインジケータ336は単一の共通インジケータ(例えば、プロセッサベースユニット、コンピュータ、またはコントローラに結合された電子ディスプレイ)に統合されていてもよい。タンク222はまた、タンク222内の作動液体中のあらゆる鉄関連粒子(ferrous particles)を収集するように構成された1つまたは複数のタンク磁石(tank magnets)344を含むことができる。
【0048】
タンク222は、内部バッフル310を有するステンレスタンクであってもよい。内部バッフル310は、作動流体戻りセクション312から主ポンプセクション316への流体流路を形成し、作動液体の十分な脱泡時間を確保することができる。タンク222の容積は、供給ライン及びドレインラインの作動液体の量を含むシステム内の作動液体の全てを保持する大きさであり、停止状態において作動液体の実質的に全てがタンク222に還流することになる。ポンプ224、アキュムレータ226、熱交換器(例えば、熱システム230)、フィルタ(例えば、調整システム232)、マニホールド(例えば、302)、およびバルブは、タンク222の上部および/または側壁に取り付けられることがある。タンク222はまた、タンク222の内部にユーザーがアクセスできるようにするためのアクセスハッチ346および348(例えば、取り外し可能なアクセスパネル)を含むことができる。
【0049】
共通のHPU18は、複数のポンプ224を有するポンプアセンブリ300を含み、これらのポンプは、互いに同じであっても異なっていてもよい。例えば、ポンプ224は、回転ポンプ、軸方向往復ポンプ(rotary pumps, axial reciprocating pumps)、またはそれらの組み合わせなどの、2つ以上の冗長ポンプを含むことができる。例えば、ポンプ224は、2つ以上の冗長な圧力補償型可変変位型アキシャルピストンポンプ(redundant pressure-compensated, variable-displacement, axial-piston pumps)を含んでもよい。特定の実施形態では、1つ以上のポンプ224(例えば、一次ポンプ)は、通常動作用に構成され、1つ以上のポンプ224(例えば、二次ポンプ)は、バックアップポンプとして構成される。ポンプ224は、ACモータ、DCモータ、またはそれらの組み合わせによって駆動され得る。
【0050】
ポンプ224は、主バルブ142、166、及び196とバイパスバルブ150、174、及び204の両方に対して、作動液体を適切な圧力(例えば、少なくとも2400、2500、又は2600psig)に加圧するように構成されてもよい。ポンプ224の最大流量は、動作圧力および定格モータ負荷電流における最大容積停止によって設定され得る。ポンプ224の吐出圧力は、下流システムが十分な背圧を作り出すことを条件に、各ポンプ224の出口で所定の圧力を維持するために吐出流量を調節する圧力補償器によって一定に維持することができる。各ポンプ224の吸引側は、ポンプ吸引隔離バルブ350および位置スイッチ352(ポンプアセンブリ300に結合されたセンサ238の一部として含まれる)を含み得る。ポンプ吸引隔離バルブ350は、タンク222内のディップチューブ322の少なくとも1つと流体連通している。ディップチューブ322に結合されるストレーナ324は、より大きな微粒子/異物がポンプ224に吸い込まれることに対してポンプ224を保護するように構成される。ポンプ吸引隔離バルブ350は、ポンプ224のメンテナンス中にポンプ224の吸引側をタンク222から分離するように構成されている。位置スイッチ352は、ポンプ吸引隔離バルブ350の位置(例えば、開バルブ位置または閉バルブ位置)を検出し、ポンプ224のモータ354を起動するための許容(permissive、例えば、バルブ全開)を与えるように構成される。各ポンプ224の吐出側はまた、マニホールド302の上流で汚染物質を除去するように構成された1つまたは複数のフィルタ356を含み得る。
【0051】
マニホールド302は、ポンプアセンブリ300の複数のポンプ224と結合される複数の流体流路、回路、またはライン358の各々に沿って、複数のバルブおよびフィルタを含み、かつ/またはそれらと結合することができる。言い換えれば、各ポンプ224は、マニホールド302を通ってヘッダ304に至るそれ自身の冗長ライン(its own redundant line)358を有する。それぞれのポンプ224に結合された各ライン358について、マニホールド302は、安全バルブ360(例えば、安全圧力リリーフバルブ:safety pressure relief valve)、ブリードバルブ362(例えば、空気ブリードバルブ:air bleed valve)、フィルタ364(例えば、高圧粒子フィルタ:high pressure particulate filter)、隔離バルブ(isolation valve)366、および逆止バルブ(check valve)368の1または複数を含むことができる。安全バルブ360は、ポンプ補償器の故障、部品の誤調整、または別の問題が発生した場合に、ライン358を過圧から保護するように構成されることがある。ブリードバルブ362は、起動時にドレイン帰還ライン326に空気を自動的にブリードし、その後、通常の動作のために閉じるように構成される場合がある。フィルタ364は、作動液体中の粒子状物質または他の汚染物質を濾過するように構成されてもよい。隔離バルブ366及び逆止バルブ(check valves)368は、運転中にフィルタ364の交換を可能にするように構成される。
【0052】
マニホールド302はまた、1つまたは複数のセンサ238(例えば、センサ370)および視覚ゲージまたはインジケータ372を含み、および/またはそれらと結合する。例えば、センサ370およびインジケータ372は、安全バルブ360、ブリードバルブ(bleed valves)362、フィルタ364、隔離バルブ366、および/または逆止バルブ368に結合されることがある。センサ370は、例えば、温度センサ、流量センサ、流体組成センサ、および/または圧力センサ(例えば、差圧センサ)(temperature sensors, flow rate sensors, fluid composition sensors, and/or pressure sensors (e.g., differential pressure sensors))を含むことができる。特定の実施形態では、センサ370(例えば、差圧センサ)は、フィルタ364を横切る差圧を監視し、高い差圧に応答して(例えば、1つまたは複数の圧力閾値に基づいて)アラームをトリガするように構成される。したがって、センサ370は、フィルタ364の上流および下流に配置された圧力センサ、例えば、ポンプ224の吐出口における吐出圧力センサおよびヘッダ304におけるヘッダ圧力センサを含むことができる。同様に、インジケータ372は、例えば、温度インジケータ、流量インジケータ、流体組成インジケータ、および/または圧力インジケータ(例えば、差圧インジケータ)を含み得る。特定の実施形態において、インジケータ372(例えば、差圧インジケータ)は、フィルタ364を横切る差圧(例えば、圧力損失)を示すように構成される。
【0053】
マニホールド302は、次に、作動液体をヘッダ304に導き、ヘッダ304は、順に、アキュムレータマニホールド(accumulator manifold)374を介してアキュムレータアセンブリ306と、トリップマニホールド(trip manifold)376を介してトリップシステム308と、タンク222に伸びるバイパスバルブ378と結合している。バイパスバルブ378は、ポンプ224の保守および/または試運転のために、ヘッダ304をタンク222に排出することを可能にするように構成される。
【0054】
アキュムレータアセンブリ306は、共通ヘッダ304から作動液体を受け取り、バルブアクチュエータの過渡現象(例えば、トリップイベント後のバルブのリセット)などの過渡状態(transient conditions)の間に瞬時の流れを提供するように構成される。アキュムレータアセンブリ306は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の液圧アキュムレータ226を含み得る。液圧アキュムレータ226のサイズおよび量は、過渡状態(タービンリセットなど)中のシステム需要に依存し得る。液圧アキュムレータ226は、例えば、ブラダ(bladder:袋)の一方の側がガス(例えば、窒素ガスなどの不活性ガス)で予めチャージされ、ブラダの他方の側が加圧された作動液体を貯蔵するアキュムレータなどのブラダ型液圧アキュムレータを含むことができる。液圧アキュムレータ226はまた、ピストンシリンダ式アキュムレータ、ベローズ式アキュムレータ、または任意の他の圧力貯蔵リザーバ(a piston-cylinder accumulator, a bellows accumulator, or any other pressure storage reservoir)を含み得る。高流量の過渡的な要求の間、液圧アキュムレータ226(例えば、ブラダ型液圧アキュムレータ:bladder type hydraulic accumulators))に貯蔵された加圧された作動液体は、ヘッダ304内のヘッダ圧力を維持するために追加の容量を提供するように構成される。例えば、液圧アキュムレータ226は、主制御システム132、バイパス制御システム134、及びトリップシステム308の要求を処理するのに十分な容量を提供するように設計されている。
【0055】
各液圧アキュムレータ226は、隔離バルブ382、ドレインバルブ384、および安全バルブ386(例えば、安全圧力リリーフバルブ:safety pressure relief valve)を有する流体経路、回路、またはライン380に沿って配置される。隔離バルブ382は、液圧アキュムレータ226からヘッダ304への圧力伝達を可能にしたり無効にしたりするために、開いたり閉じたりするように構成されている。ドレインバルブ384は、ドレイン帰還ライン388,326を介してタンク222に戻るように作動液体を排出するように構成されている。安全バルブ386は、アキュムレータアセンブリ306を過圧状態から保護するために圧力を緩和するように構成されている。安全バルブ386は、ドレイン戻しライン388、326を介してタンク222に作動液体を戻すように構成されていてもよい。隔離バルブ382およびドレインバルブ384は、アキュムレータアセンブリ306をヘッダ304から隔離し、タンク222に作動液体を排出することによって、アキュムレータアセンブリ306の保守を可能にするように構成されてもよい。
【0056】
共通のHPU18は、タンク222、ポンプアセンブリ300、マニホールド302、ヘッダ304、アキュムレータアセンブリ306、及びトリップシステム308を含む共通のHPU18の構成要素を監視及び制御するように構成された種々のセンサ238及び制御装置390を含み得る。特定の実施形態では、センサ238は、図示された構成要素のそれぞれにおいて、圧力センサ、温度センサ、流体レベルセンサ、流体組成センサ、流量センサ(pressure sensors, temperature sensors, fluid level sensors, fluid composition sensors, flow rate sensors)、またはそれらの任意の組合せを含む。例えば、センサ238は、上述のようにタンク222に結合されたセンサ238(例えば、330、332、334)、ポンプアセンブリ300に結合されたセンサ238(例えば、392)、上述のようにマニホールド302に結合されたセンサ238(例えば、370)、ヘッダ304に結合されたセンサ238(例えば、394)、およびアキュムレータアセンブリ306に結合されたセンサ238(例えば、396)などを含むことがある。同様に、制御装置390は、ポンプアセンブリ300、マニホールド302、およびアキュムレータアセンブリ306にそれぞれ結合された制御装置398、400、および402を含み得る。これらのセンサ238及び制御装置390は、監視及び制御システム229が、共通のHPU18の動作パラメータを監視し、蒸気タービンシステム16(例えば、主制御システム132及びバイパス制御システム134)に対する作動液体の適切な供給を保証するために様々な構成要素を制御できるように構成される。
【0057】
タンク222に結合されたセンサ330、332、および334、ならびにマニホールド302に結合されたセンサ370などのセンサ238は、既に上で詳細に説明されている。ポンプアセンブリ300に結合されたセンサ238(例えば、1つまたは複数のセンサ392)は、ポンプ224からの吐出圧を監視するように構成されたポンプ吐出圧センサ(pump discharge pressure sensors)を含み得る。ヘッダ304に結合されたセンサ238(例えば、1つまたは複数のセンサ394)は、ヘッダ304のヘッダ圧力を監視するように構成された1つまたは複数のヘッダ圧力センサ(例えば、3つのヘッダ圧力センサ)を含んでもよい。監視および制御システム229は、ヘッダ圧力が、1800、1850、1900、1950、または2000PSIG以下などの第1の閾値ヘッダ圧力(first threshold header pressure)を下回った場合に、ポンプ224の速度を開始および/または増加するように構成され得る。特定の実施形態では、監視および制御システム229は、3つのヘッダ圧力センサのうちの2つがヘッダ304の低圧(例えば、第2の閾値ヘッダ圧力未満)を示す場合、アラームをトリガして共通のHPU18をトリップするように構成され得る。第2の閾値ヘッダ圧力は、1500、1550、1600、1650、または1700PSIG以下など、第1の閾値ヘッダ圧力より低くてもよい。同様に、アキュムレータアセンブリ306に結合されたセンサ238(例えば、1つまたは複数のセンサ396)は、流体圧力が1つまたは複数の圧力閾値を下回る場合に監視および制御システム229がアラームおよび/またはトリップをトリガするように構成され得るように、流体圧力を測定するように構成されてよい。
【0058】
制御装置398、400、および402などの制御装置390は、バルブを作動させ、ポンプ224を駆動するモータ354の動作および速度を制御し、一般に共通のHPU18を通る流体流を制御するように構成され得る。例えば、制御装置398は、隔離バルブ350の開閉を制御し、ポンプアセンブリ300内のポンプ224のモータ354を起動および/または速度を制御するように構成され得る。同様に、制御装置400は、ブリードバルブ362、およびマニホールド302の隔離バルブ366の開閉を制御するように構成されてもよい。さらなる例によって、制御装置402は、アキュムレータアセンブリ306の隔離バルブ382、ドレインバルブ384、および安全バルブ386の開閉を制御するように構成されることがある。さらに、特定の実施形態では、制御装置402は、貯蔵された作動液体の圧力を維持するために使用されるガス圧(例えば、窒素ガスなどの不活性ガス)を制御することなどにより、アキュムレータ226のそれぞれにおける加圧力を制御するように構成されてもよい。
【0059】
上述したように、共通のHPU18は、タービン保護トリップイベント(turbine protection trip event)が発生した場合に蒸気タービンシステム16を保護するように構成されたトリップシステム308を含む。トリップシステム308は、加圧された作動液体を蒸気タービンバルブ(例えば、主バルブ142、166、196)に供給するように構成され、これは、バルブ(例えば、主バルブ142、166、196)が通常動作制御モードで動作するための許容として機能する。トリップ時に、トリップシステム308は、蒸気バルブ(例えば、主バルブ142、166、196)への作動液体トリップ供給(FSS:fluid trip supply)を減圧し、それらを急速に安全(例えば、トリップモード)位置へ移動させるようにする。トリップシステム308は、3つの内の2つ投票ロジック(two-out-of-three voting logic:3分の2投票ロジック)で動作する2-out-of-threeシステムで構成され得る。
【0060】
トリップシステム308は、トリップバルブ404、近接スイッチ406、およびブロックバルブ408を有する電子トリップ装置(ETD:electronic trip devices)という構成要素を含む。トリップバルブ404は、主方向制御バルブを駆動するためにパイロットとして動作(operate as pilots)するように構成された、電磁バルブ(solenoid valves)などのトリップバルブ410、412、および414を含むことができる。近接スイッチ(proximity switches)406は、ETD(例えば、トリップバルブ410、412、および414)の位置を監視し、コントローラ246および/または制御システム236にフィードバックを提供するように構成された近接スイッチ416、418、および420を含んでもよい。ブロックバルブ408は、トリップモード中に液圧流体トリップ供給(FSS:fluid trip supply)が主トリップオイルヘッダおよびETD(例えば、トリップバルブ404)に入るのを阻止し、リセットモード中にETD(例えば、トリップバルブ404)を通る流れを可能にするように構成されたブロックバルブ422、424、および426を含み得る。トリップシステム308は、ブロックバルブ408を使用してトリップマニホールドへの流れを遮断することにより、トリップモード中に主ヘッダ圧力(例えば、共通ヘッダ304)を維持するように設計されている。トリップシステム308の構成(3分の2投票ロジックを有する)は、トリップイベント中に適切な機能を保証するために、ETD(例えば、トリップバルブ404)を(システムをトリップさせずに)オンラインで個別にテストすることができる。トリップが開始されると、3つのETD(例えば、トリップバルブ404)は、作動液体トリップ供給部(FSS)を急速に減圧し、トリップ作動液体をタンク222に戻すために非通電にする。トリップ作動液体の経路は、方向制御バルブ(directional control valves)によって制御される。
【0061】
図示されるように、液圧調整、加熱、および冷却システム228は、作動液体の温度および品質を制御するように構成された熱システム230および調整システム232を含む。例えば、熱システム230は、作動液体の温度を上限及び下限温度閾値内に維持するために、作動液体を加熱及び/又は冷却するように構成されている。調整システム232は、例えば、作動液体から水、微粒子、または他の望ましくない材料を除去することによって、作動液体をコンディショニングするように構成される。液圧調整、加熱、および冷却システム228の追加の詳細は、図4を参照して以下で詳細に説明される。
【0062】
図4は、図1~3の共通のHPU18の液圧調整、加熱、および冷却システム228の一実施形態の概略図である。図示された実施形態では、共通のHPU18の監視及び制御システム229は、監視システム234がセンサ430からのセンサフィードバックを監視し、制御システム236がバルブ432及び構成要素(コンポーネント)434の動作を制御して作動液体の温度及び品質を制御できるように、破線(dashed lines)436で示されるように、液圧調整、加熱、および冷却システム228の種々のセンサ430、バルブ432、及び構成要素434と通信可能に結合される。熱システム230は、タンク222に結合された熱制御流路またはループ440を含み、ループ440は、タンク222内に配置されたサクションストレーナ(suction strainer)442と、モータ448によって駆動されるポンプ446を有するポンプモータアセンブリ444と、1以上の加熱器(ヒータ)450と、1以上のフィルタ452と、1以上の冷却器454とを含む。特定の実施形態では、加熱器450、フィルタ452、および冷却器454は、異なる順序で、または互いに並列に配置され得る。
【0063】
同様に、調整システム232は、コンディショニング流路またはループ(conditioning flow path or loop)460を含み、ループ460は、タンク222内に配置されたサクションストレーナ462と、モータ468によって駆動されるポンプ466を有するポンプモータアセンブリ464と、1または複数のコンディショニング媒体470と、1または複数のフィルタ472を含む。特定の実施形態では、コンディショニング媒体470およびフィルタ472は、異なる順序で、または互いに並列に配置され得る。ループ440及び460の各々は、監視及び制御システム229による監視及び制御を容易にするために、種々のセンサ430及びバルブ432を含む。共通のHPU18の動作中、ポンプモータアセンブリ444及び464は、熱システム230及び調整システム232を通して作動液体を循環させるために連続的に運転されてもよい。
【0064】
熱システム230のループ440は、構成要素を相互接続する複数の流体管路を含む。例えば、ループ440は、サクションストレーナ442とポンプ446との間の流体導管474(例えば、供給導管)、ポンプ446と加熱器450との間の流体導管476、加熱器450とフィルタ452との間の流体導管478、フィルタ452と冷却器454との間の流体導管480、及び冷却器454とタンク222との間の流体導管482(例えば、戻り導管)を含む。図示された実施形態では、ループ440内のバルブ432は、加熱器450、フィルタ452、および冷却器454を通る流体の流れの制御を容易にするために、それぞれの流体導管476、478、および480に沿ってバルブ484、486、および488を含み得る。例えば、バルブ484、486、および488は、一方向バルブ(one-way valves、例えば、逆止バルブ)、安全バルブ、圧力制御バルブ、恒温制御バルブ(thermostatic control valves)、分配バルブまたは移送バルブ(distribution or transfer valves)、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。例えば、バルブ484は、等しい又は異なる流量及び圧力で加熱器450の各々に作動液体の流れを分配してもよく、バルブ486は、等しい又は異なる流量及び圧力でフィルタ452の各々に作動液体の流れを分配してもよく、バルブ488は、等しい又は異なる流量及び圧力で冷却器454の各々に作動液体の流れを分配してもよい。
【0065】
さらに、流体導管476、478、および480は、それぞれのバルブ496、498、および500を有する導管490、492、および494を介して流体導管482に結合され得る。バルブ496、498、および500は、導管490、492、および494を通って流体導管482(例えば、戻り導管)への流体流れを開閉するように構成され、それによって、ポンプ446、加熱器450、フィルタ452、および冷却器454間の作動液体のバイパス流を可能にする。特定の実施形態では、バルブ496、498、および500は、圧力リリーフバルブまたはサーモスタット制御バルブ(pressure relief valves or thermostatic control valves)を含むことができる。圧力リリーフバルブは、作動液体の流体流れにおいて1つ以上の圧力閾値に達したときに開くことがある。サーモスタット制御バルブは、作動液体の温度に基づいて作動液体の流体を調節することができ、したがって、作動液体の流体の流れの中で1つまたは複数の温度閾値に達したときに開くことができる。
【0066】
さらに図示されるように、ループ440内のセンサ430は、加熱器450、フィルタ452、および冷却器454に結合されたセンサ502、504、および506を含むことができる。センサ430は、温度、圧力、流量、汚染物質(例えば、水)の含有量、またはそれらの任意の組合せを監視するように構成されてもよい。例えば、センサ502は、加熱器450の各々に対して上流、内部、および/または下流の位置で前述のパラメータ(例えば、温度)を監視することができる。同様に、センサ506は、冷却器454の各々に対する上流、内部、および/または下流の位置で前述のパラメータ(例えば、温度)を監視することができる。センサ504は、フィルタ452の各々に対する上流、内部、および/または下流の位置で前述のパラメータ(例えば、圧力)を監視することができる。例えば、センサ504(例えば、圧力センサ)は、圧力降下が1つまたは複数の圧力閾値を超えた場合に監視システム234がアラームをトリガし得るように、フィルタ452の各々を横切る圧力降下を監視してもよい。前述のセンサ測定値は、監視および制御システム229によって使用され、熱システム230を通る作動液体の流れを増加または減少させて、上部および下部温度閾値間の温度を維持する。
【0067】
熱システム230の加熱器450、フィルタ452、および冷却器454は、様々な構成および装置を含むことができる。例えば、加熱器450は、電気ヒータ、タンク222からの作動液体と熱流体(例えば、加熱水)との間で熱を伝達するように構成された熱交換器、冷却器454への熱流体の流れを遮断するように構成された加熱ソレノイド(heating solenoids)、またはそれらの組合せを含むことができる。フィルタ452は、閾値サイズを超える任意の微粒子を捕捉するように構成された、カートリッジフィルタ(cartridge filters)などの微粒子フィルタを含み得る。特定の実施形態では、フィルタ452は、Beta3>200(Beta3>200)の評価を有することができる。冷却器454は、タンク222からの作動液体と、流体導管510および512を介して冷却器454に結合される1つまたは複数の冷却剤供給部(coolant supplies)508を介した熱流体(例えば、水)との間で熱交換するように構成された熱交換器を含むことができる。冷却器454の熱交換器は、例えば、100%容量の熱交換器を含むことができる。センサ430は、監視システム234が冷却剤供給部508のパラメータ(例えば、熱流体の温度:temperature of the thermal fluid)を監視できるように、冷却剤供給部508に結合された1つまたは複数のセンサ514をさらに含むことがある。
【0068】
調整システム232のループ460は、構成要素を相互接続する複数の流体導管を含む。例えば、ループ460は、サクションストレーナ462とポンプ466との間の流体導管516(例えば、供給導管:supply conduit)、ポンプ466とコンディショニング媒体470との間の流体導管518、コンディショニング媒体470とフィルタ472との間の流体導管520、およびフィルタ472とタンク222との間の流体導管522(例えば、戻り導管)である。図示された実施形態では、ループ460内のバルブ432は、それぞれの流体導管518および520に沿ってバルブ524および526を含み、コンディショニング媒体470およびフィルタ472を通る流体流の制御を容易にし得る。例えば、バルブ524および526は、一方向バルブ(例えば、逆止バルブ)、安全バルブ、圧力制御バルブ、分配バルブもしくは移送バルブ、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。例えば、524は、等しい又は異なる流量及び圧力で、コンディショニング媒体470の各々に作動液体の流れを分配してもよく、バルブ526は、等しい又は異なる流量及び圧力で、フィルタ472の各々に作動液体の流れを分配してもよい。
【0069】
さらに、流体導管518および520は、それぞれのバルブ532および534を有する導管528および530を介して流体導管522に結合され得る。バルブ532および534は、導管518および520を通って流体導管522(例えば、戻り導管)に至る流体の流れを開閉するように構成されており、それによって、ポンプ466、コンディショニング媒体470、およびフィルタ472の間の作動液体のバイパス流を可能にする。特定の実施形態では、バルブ532および534は、圧力リリーフバルブを含むことができる。圧力リリーフバルブは、作動液体の流れにおいて1つ以上の圧力閾値に達したときに開くことができる。
【0070】
さらに図示されるように、ループ460内のセンサ430は、コンディショニング媒体470およびフィルタ472に結合されたセンサ536および538を含むことができる。センサ536および538は、温度、圧力、流量、汚染物質(例えば、水)の含有量、またはそれらの任意の組合せを監視するように構成されてもよい。例えば、センサ536および538は、コンディショニング媒体470およびフィルタ472のそれぞれに対する上流、内部、および/または下流の位置で前述のパラメータを監視し得る。特定の実施形態では、センサ536および538(例えば、圧力センサ)は、圧力降下が1つまたは複数の圧力閾値を超えた場合に監視システム234がアラームをトリガし得るように、コンディショニング媒体470およびフィルタ472の各々に渡る圧力降下を監視してもよい。前述のセンサ測定値は、監視および制御システム229によって使用され、作動液体の適切な品質(例えば、粒子および/または水の含有量が閾値未満)を維持するために、調整システム232を通る作動液体の流れを増加または減少する。
【0071】
調整システム232のコンディショニング媒体470およびフィルタ472は、様々な構成および装置を含むことができる。特定の実施形態では、コンディショニング媒体470は、作動液体の全酸価(TAN:total acid number)を閾値以下に保ち、作動液体のワニシングの可能性を低減するのに役立つイオン交換タイプの酸制御媒体を含んでもよい。フィルタ472は、微粒子フィルタ、水除去要素、またはそれらの組合せを含むことができる。例えば、フィルタ472は、カートリッジフィルタ、遠心分離器、重力分離器(cartridge filters, centrifugal separators, gravity separators)、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。フィルタ472(例えば、パティキュレートフィルタ:particulate filters)は、Beta3>200の評価を有することができる。
【0072】
タンク222は、空気吸入システム542および空気排出システム544を有する空気乾燥システム540にさらに結合することができる。空気取り入れシステム542は、タンク222に空気流を供給し乾燥させるように構成された空気供給装置546および空気乾燥機548を含むことができる。空気供給装置546は、1つまたは複数のファン、エアフィルタ、導管、またはそれらの組み合わせを含むことができる。空気乾燥機548は、除湿器、乾燥剤材料(a dehumidifier, a desiccant material)、またはそれらの組合せを含むことができる。空気排出システム544は、空気吸入システム542によって提供される空気流の放出を可能にするタンクブリーザ(tank breather)550を含んでもよい。したがって、空気吸入システム542からの乾燥した空気流は、タンク222内の水分を吸収して湿った空気流を生成し、タンクブリーザ550を介して排出される場合がある。
【0073】
図1~4を参照して上記で詳細に説明した共通のHPU18は、蒸気タービンシステム16の動作を改善するために使用されてもよい。例えば、共通のHPU18は、主制御システム132及びバイパス制御システム134の両方に共通の作動液体(例えば、自己消火性、耐火性流体)を使用してもよく、ここで、特性は、システム132及び134の各々のより大きな要求を満たすように選択される。共通のHPU18はまた、蒸気タービンシステム16の起動、停止、及びタービントリッププロセス(startup, shutdown, and turbine trip processes)の1つまたは複数の側面を改善し得る。
【0074】
図5は、システム10の蒸気タービンシステム16のための起動プロセス600の一実施形態のフローチャートである。図5に示されるように、起動プロセス600は、ガスタービンシステム12を起動すること(ブロック602)に続いて、共通のHPU18を使用する種々のステップを含むことができる。例えば、起動プロセス600のブロック604は、上流圧力を制御するために高圧バイパス圧力制御バルブ154を少なくとも部分的に開き(例えば、最小開度:minimum opening)、下流温度設定点に基づいて、下流温度を制御するために水のスプレーを開始するために高圧バイパススプレー水隔離バルブ156および高圧バイパススプレー水制御バルブ158を開くことを含み得、ここで、高圧バルブ154、156、158の開放を促進するために、共通のHPU18からの作動液体が使用される。ブロック606において、起動プロセス600は、中間圧力バイパス蒸気ストップバルブ180を開き(例えば、100%開く)、中間圧力バイパス圧力制御バルブ178を少なくとも部分的に開き、上流圧力を制御する(例えば、最小開度:minimum opening)、および下流温度設定値に基づいて、中間圧力バイパススプレー水隔離バルブ184および中間圧力バイパススプレー水制御バルブ182を開いて、下流温度を制御するために水の噴霧(スプレー)を開始することを含み、共通のHPU18からの作動液体は、中間圧力バルブ178、180、182、184の開放を促進するために使用される。
【0075】
ブロック608において、起動プロセス600は、高圧バイパス圧力制御バルブ154および中間圧力バイパス圧力制御バルブ178を調節(modulate:変調)して上流圧力設定点を制御することと、高圧バイパススプレー水制御バルブ158および中間圧力バイパススプレー水制御バルブ182を調節して下流温度を制御することとを含み得、共通のHPU18からの作動液体はバルブの開放を促進するために使用されている。ブロック610において、起動プロセス600は、低圧バイパス蒸気ストップバルブ210を開き(例えば、100%開く)、低圧バイパス圧力制御バルブ208を少なくとも部分的に開き、下流温度設定点に基づいて、低圧バイパススプレー水隔離バルブ214と低圧バイパススプレー水制御バルブ212を開き、下流温度を制御するために水のスプレーを開始し、共通のHPU18からの作動流体が低圧バルブ208、210、212、214の開口を容易にするために使用されることを更に含み得る。
【0076】
ブロック612において、起動プロセス600は、蒸気タービン床圧力(steam turbine floor pressure)が中間圧力に達したときに中間圧力主蒸気制御バルブ170および中間圧力主蒸気停止バルブ172を開き、調節することを含み得、ここで、共通のHPU18からの液圧流体は、中間圧力バルブ170、172の開放を促進するために使用される。ブロック614において、起動プロセス600は、高圧主蒸気制御バルブ146および高圧主蒸気停止バルブ148の開放および調節を含み得、共通のHPU18からの作動流体は、高圧バルブ146、148の動きを促進するために使用される。ブロック616において、起動プロセス600は、低圧主制御バルブおよび停止バルブ200、202の開放および調節を含み得、ここで、共通のHPU18からの作動流体は、低圧バルブ200、202の開放を促進するために使用される。
【0077】
ブロック618において、起動プロセス600は、最大開度設定点(maximum open set point)に達したときに中間圧力主蒸気制御バルブ170を完全に開き、中間圧力バイパス圧力制御バルブ178、中間圧力バイパススプレー水隔離バルブ184、および中間圧力バイパススプレー水制御バルブ182を閉じることを含み得、バルブ閉鎖は、バルブのバルブアクチュエータの減圧を構成したアクチュエータスプリングで達成され得る。ブロック620において、起動プロセス600は、高圧バイパス圧力制御バルブ154が最小開度設定点に達したときに高圧タービン制御を入口圧力制御(IPC)モードに変更することと、高圧バイパス圧力制御バルブ154、高圧バイパススプレー水隔離バルブ156、および高圧バイパススプレー水制御バルブ158を閉じることとを含み得、バルブの閉鎖は、バルブのバルブアクチュエータを減圧するように構成されているアクチュエータばね(actuator springs)により実現され得る。
【0078】
ブロック622において、起動プロセス600は、最小位置(minimum position)に達したときに低圧バイパス圧力制御バルブ208を閉じることと、低圧バイパススプレー水隔離バルブ214および低圧バイパススプレー水制御バルブ212を閉じることとを含み得、バルブ閉鎖は、バルブのバルブアクチュエータを減圧するように構成されたアクチュエータばねで達成され得る。特定の実施形態では、前述の起動プロセス600において、バルブの開放は、共通のHPU18を使用してバルブのバルブアクチュエータ(例えば、アクチュエータシリンダ)を加圧することによって達成されてもよく、一方、バルブの閉鎖は、バルブのバルブアクチュエータ(例えば、アクチュエータシリンダ)を減圧するように構成されたアクチュエータスプリングによって達成されてもよく、またその逆も同様である。前述の起動プロセス600は、システム10に対する1つの可能な例である。しかしながら、共通のHPU18は、起動プロセス600を容易にするために様々な方法で使用され得る。
【0079】
図6は、システム10の蒸気タービンシステム16のためのシャットダウンプロセス630の一実施形態のフローチャートである。図6に示されるように、シャットダウンプロセス630は、停止コマンドを開始し、蒸気流量減少に比例して蒸気タービンシステム16のアンロードを開始することを含んでもよい(ブロック632)。ブロック634において、シャットダウンプロセス630は、ガスタービンシステム12が閾値負荷(例えば、40%負荷)に達したときに停止コマンドをトリガし、制御を変更し(例えば、入口圧力制御(IPC)モードの停止)、中間圧力主蒸気制御バルブ170を閉じ、高圧バイパス圧力制御バルブ154を調節し始め、高圧バイパススプレー水隔離バルブ156を開き、高圧バイパススプレー水制御バルブ158を調節し始めることを含むことができる。 ブロック636において、シャットダウンプロセス630は、高圧主蒸気制御バルブ146の開度が最小蒸気タービン負荷に達したとき、中間圧主蒸気制御バルブ170を閉じ始め、高圧バイパス圧力制御バルブ154を調節し始め、中間圧力バイパススプレー水隔離バルブ184を開き、中間圧力バイパススプレー水制御バルブ182の調節を開始することを含む。ブロック638において、シャットダウンプロセス630は、中間圧力主蒸気制御バルブ170および高圧主蒸気制御バルブ146が同じ開位置にあるときに、すべての主バルブ(例えば、146、148、170、172、196)を閉じる(例えば、同時に)ことを含む。ブロック640において、シャットダウンプロセス630は、最小開度設定点に達したときにすべてのバイパスバルブ(例えば、154、156、158、178、180、182、184、208、210、212、および214)を閉じることを含む。特定の実施形態では、前述のシャットダウンプロセス630において、バルブの開放は、共通のHPU18を使用してバルブのバルブアクチュエータ(例えば、アクチュエータシリンダ)を加圧することによって達成されてもよく、一方、バルブの閉鎖は、バルブのバルブアクチュエータ(例えば、アクチュエータシリンダ)を減圧するために構成されたアクチュエータスプリング、またはその逆によって達成され得る。
【0080】
図7は、システム10の蒸気タービンシステム16のための蒸気タービントリッププロセス650の一実施形態のフローチャートである。図7に示されるように、蒸気タービントリッププロセス650は、ストリームタービントリップに応答して全ての主バルブ(例えば、146、148、170、172、及び196)を閉じる(例えば、同時に)ことを含み得る(ブロック652)。ブロック654において、蒸気タービントリッププロセス650は、圧力を解放し、出口温度を制御するために、計算された中間位置で(at intermediate calculated positions)全てのバイパスバルブ(例えば、154、156、158、178、180、182、184、208、210、212、及び214)を開く(例えば、同時に)ことを含む。ブロック656において、蒸気タービントリッププロセス650は、最小開度設定点に達したときに、すべてのバイパスバルブ(例えば、154、156、158、178、180、182、184、208、210、212、および214)を閉鎖することを含む。特定の実施形態では、前述の蒸気タービントリッププロセス650において、バルブの開放は、共通のHPU18を使用してバルブのバルブアクチュエータ(例えば、アクチュエータシリンダ:actuator cylinders)を加圧することによって達成されてもよく、一方、バルブの閉鎖は、バルブのバルブアクチュエータ(例えば、アクチュエータシリンダ)を減圧するために構成されたアクチュエータばね、またはその逆に達成され得る。
【0081】
開示された実施形態の技術的効果には、主制御システム132の主バルブ(例えば、142、166、及び196)とバイパス制御システム134のバイパスバルブ(例えば、150、174、及び204)の両方の動作を制御するために共通のHPU18を使用することを含む。共通のHPU18は、システム132及び134の両方に同じ利点を提供する一方で、不必要な冗長性を減らし、システム10全体のフットプリント(footprint)を減らし、システム10の運用を改善する。例えば、共通のHPU18は、2つのシステム132および134のより大きな要件に基づいて構成され、2つのシステム132および134のより小さな要件が、信頼性および性能を改善するために実質的に超過されるようにしてもよい。特定の実施形態では、共通のHPU18は、自己消火性の耐火性作動液体などの単一の作動液体で動作してもよい。
【0082】
上記で詳細に説明した主題は、以下に示すように、1つ以上の節によって定義することができる。
【0083】
特定の実施形態では、システムは、タンク、ポンプアセンブリ、アキュムレータアセンブリ、およびヘッダを有する液圧パワーユニットを含む。タンクは、共通の作動液体を貯蔵するように構成されている。ポンプアセンブリは、タンクから共通の作動液体をポンピングして加圧された作動液体を提供するように構成されている。アキュムレータアセンブリは、加圧された作動流体を貯蔵するように構成されている。ヘッダは、ポンプアセンブリ及びアキュムレータアセンブリに結合され、ヘッダは、蒸気タービンシステムの1つまたは複数の主バルブ及び1つまたは複数のバイパスバルブに加圧された作動流体を供給するように構成されている。
【0084】
前記共通の作動液体は、自己消火性の耐火性作動液体を含むことを特徴とする前項記載のシステム。
【0085】
自己消火性耐火性作動液体が、リン酸エステル液、合成非水性トリアリルリン酸エステル液、トリキシレニルホスフェート、トリキシレニル及びt-ブチルフェニルホスフェート、15~25%のトリフェニルホスフェートを有するt-ブチルフェニルホスフェート、5%未満のトリフェニルホスフェート又はそれらの任意の組み合わせ、を含む任意の先行項に記載のシステムであって、このシステム。
【0086】
前記自己消火性耐火性作動液体は、520℃を超える自己発火温度を有する、任意の先行項に記載のシステム。
【0087】
前記液圧パワーユニットは、前記1つまたは複数の主バルブ及び前記1つまたは複数のバイパスバルブの動作に十分な圧力まで前記共通の作動液体を加圧するように構成されている、任意の先行項に記載のシステム。
【0088】
圧力が少なくとも1500psigである、任意の先行項に記載のシステム。
【0089】
前記液圧パワーユニットは、前記共通作動液体の温度を制御するように構成された熱システムを含む、任意の先行項に記載のシステム。
【0090】
前記液圧パワーユニットは、前記共通作動液体を調整するように構成された1つ以上のフィルタおよび/またはコンディショニング媒体を有する調整システムを含む、任意の先行する条項のシステム。
【0091】
アキュムレータアセンブリが複数のアキュムレータを含み、アキュムレータアセンブリが、1つまたは複数の主バルブおよび1つまたは複数のバイパスバルブを操作するのに十分な量の加圧された作動液体を貯蔵するように構成されている、任意の先行項に記載のシステム。
【0092】
蒸気タービンシステムの主制御システム及びバイパス制御システムを含み、主制御システムが1つまたは複数の主バルブを含み、バイパス制御システムが1つまたは複数のバイパスバルブを含む、任意の先行する条項のシステム。
【0093】
主制御システムに結合されたトリップシステムを含み、トリップシステムが1つまたは複数のトリップバルブを含む、任意の先行項に記載のシステム。
【0094】
前記1つまたは複数の主バルブは、高圧主バルブ、中間圧力主バルブ、および低圧主バルブを含み、前記1つまたは複数のバイパスバルブは、高圧バイパスバルブ、中間圧力バイパスバルブ、および低圧バイパスバルブを含む、任意の先行条項に記載のシステム。
【0095】
高圧タービン、中間圧タービン、および低圧タービンを有する蒸気タービンシステムを含む、任意の先行項に記載のシステム。
【0096】
蒸気タービンシステムと、ガスタービンシステムと、ガスタービンシステムからの排気ガスから蒸気タービンシステム用の蒸気を生成するように構成された熱回収蒸気発生器(HRSG)とを含む、任意の先行項に記載のシステム。
【0097】
液圧パワーユニットが、監視システムおよび制御システムを含み、監視システムが、液圧パワーユニット内の1つまたは複数のセンサからフィードバックを得るように構成され、制御システムが、フィードバックに少なくとも部分的に基づいて液圧パワーユニットを制御するように構成される、任意の先行条項記載のシステム。
【0098】
特定の実施形態では、システムは、蒸気タービンと、主制御システムと、バイパス制御システムと、主制御システム及びバイパス制御システムに結合された液圧パワーユニットと、を含む。主制御システムは、蒸気タービンに結合された1つまたは複数の主バルブを有する。バイパス制御システムは、蒸気タービンに結合された1つまたは複数のバイパスバルブを有する。液圧パワーユニットは、1つまたは複数の主バルブ及び1つまたは複数のバイパスバルブを操作するのに十分な圧力で共通の作動液体を供給するように構成される。
【0099】
前記共通の作動液体は、自己消火性の耐火性作動液体を含むことを特徴とする前項記載のシステム。
【0100】
自己消火性の耐火性作動液体が、少なくとも520℃の自己発火温度を有するリン酸エステル作動液体を含み、圧力が少なくとも1500psigである、前項記載のシステム。
【0101】
前記液圧パワーユニットは、タンクと、ポンプアセンブリと、アキュムレータアセンブリと、前記ポンプアセンブリおよび前記アキュムレータアセンブリに結合されたヘッダとを含み、タンクは、共通の作動液体を貯蔵するように構成されている。ポンプアセンブリは、タンクから共通の作動液体をポンピングして加圧された作動液体を提供するように構成されている。アキュムレータアセンブリは、加圧された作動液体を貯蔵するように構成されている。ヘッダは、加圧された作動液体を蒸気タービンの1つまたは複数の主バルブ及び1つまたは複数のバイパスバルブに供給するように構成されている、任意の先行項に記載のシステム。
【0102】
特定の実施形態では、方法は、液圧パワーユニットのタンクに共通の作動液体を貯蔵することと、液圧パワーユニットのポンプアセンブリを介してタンクから共通の作動液体をポンピングして加圧された作動液体を提供することと、液圧パワーユニットのアキュムレータアセンブリを介して加圧された作動液体を貯蔵することを含む。本方法はまた、加圧された作動液体を、液圧パワーユニットのヘッダを介して蒸気タービンシステムの1つまたは複数の主バルブおよび1つまたは複数のバイパスバルブに供給することを含み、ヘッダはポンプアセンブリおよびアキュムレータアセンブリに結合される。
【0103】
本書では、実施例を用いて、最良の態様を含む対象技術を開示し、また、任意の装置またはシステムの製造および使用、ならびに組み込まれた任意の方法の実行を含む、当業者が本発明を実施できるように説明する。主題技術の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思い浮かぶ他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的でない差異を有する同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0104】
10:複合サイクル発電所 12:ガスタービンシステム 14:HRSG 16:蒸気タービンシステム 18:液圧パワーユニット 20:吸気部 22:圧縮機部 24:燃焼器部 26:タービン部 28:負荷 30:圧縮機ステージ 32:回転圧縮機ブレード 34:静止圧縮機ベーン 36:圧縮機ケーシング 38:圧縮機シャフト 40:燃焼器 42:シャフト 44:燃料ノズル 46:燃料供給部 48:回転タービンブレード 50:静止タービンベーン 52:タービンケーシング 54:タービンシャフト 56:タービンステージ 58:シャフト 60:吸気流 62:圧縮空気流 64:燃焼室 66:燃焼ガス流 68:排ガス流 70:熱交換構成要素 72:高圧(HP)セクション 74:中間圧(IP)セクション 76:低圧(LP)セクション 78:フィニッシュ高圧過熱器 80:二次再熱器 82:一次再熱器 84:一次高圧過熱器 86、88:ステージ間アテンパ器 90:高圧蒸発器 92:高圧エコノマイザ 94:中間圧蒸発器 95:燃料ガス加熱器 96:中間圧エコノマイザ 98:低圧蒸発器 100:低圧エコノマイザ 102:ダクト 104:蒸気タービン 106:高圧蒸気タービン 108:中間圧力蒸気タービン 110:低圧蒸気タービン 112、114、118:シャフト 116:負荷 120:凝縮水 122:凝縮器 124、125:ポンプ 126:給水 130:流体制御システム 132:主制御システム 134:バイパス制御システム 136:高圧蒸気供給ライン 138:高圧バイパスライン 140;排出ライン 142、166、196:主バルブ 144:独立した液圧アクチュエータ 146、148:高圧主バルブ 148:高圧主蒸気ストップバルブ 150、174、204:バイパスバルブ 152:独立した液圧アクチュエータ 154:高圧バイパスバルブ 156:高圧バイパススプレー水隔離バルブ 158:高圧バイパススプレー水制御バルブ 160:中間圧力蒸気供給ライン 162:中間圧力バイパスライン 164:排出または戻りライン 166、170、172:中間圧力主バルブ 168、176、198、206:独立した液圧アクチュエータ 172:中間圧力主蒸気ストップバルブ 174、182:中間圧力バイパスバルブ 178:中間圧力バイパス圧力制御バルブ 180:中間圧力バイパス蒸気ストップバルブ 182:中間圧力バイパススプレー水制御バルブ 184:中間圧力バイパススプレー水隔離バルブ 190:低圧蒸気供給ライン 192:低圧バイパスライン 194:戻りライン 196:低圧主蒸気制御バルブ 200:低圧主蒸気制御バルブ 202:低圧主蒸気ストップバルブ 204:低圧バイパスバルブ 208:低圧バイパス圧力制御バルブ 210:低圧バイパス蒸気ストップバルブ 212:低圧バイパススプレー水制御バルブ 214:低圧バイパススプレー隔離バルブ 220:共有構成要素 222:タンク 224:ポンプ 226:アキュムレータ 228:液圧調整、加熱、および冷却システム 229:監視および制御システム 230:熱システム 232:調整システム 234:監視システム 236:液圧パワーユニット制御システム 238:センサ 240、248:プロセッサ 242、250:メモリ 244、252:命令 246:コントローラ 254:独立した液圧供給ライン 256:独立した液圧帰還ライン 260、264、268:給水ライン 262、266、270:噴霧ノズル 300:ポンプアセンブリ 302:マニホールド 304:ヘッダ 306:アキュムレータアセンブリ 308:トリップシステム 310:内部バッフル 312:流体戻りセクション 314:デトレーニングセクション 316:主ポンプセクション 318、322:ディップチューブ 320、324:ストレーナ 326、388:ドレイン帰還ライン 328:作動液体レベル 330:流体レベルセンサ 332:流体温度センサ 334:流体圧力センサ 336:インジケータ 338:流体レベルインジケータ 340:液温インジケータ 342:液圧インジケータ 344:タンク磁石 346、348:アクセスハッチ 350:ポンプ吸引隔離バルブ 352:位置スイッチ 354:モータ 356、364:フィルタ 358:冗長ライン 360、386:安全バルブ 362:ブリードバルブ 366、382:隔離バルブ 368:逆止バルブ 370、392、394、396、430:センサ 372:インジケータ 374:アキュムレータマニホールド 376:トリップマニホールド 378:バイパスバルブ 380:ライン 384:ドレインバルブ 390、398、400、402:制御装置 404、410、412、414:トリップバルブ 406、416、418、420:近接スイッチ 408、422、424、426:ブロックバルブ 432:バルブ 434:構成要素 436:破線 440、460:熱制御ループ 442:サクションストレーナ 444、464:ポンプモータアセンブリ 446、466:ポンプ 448、468:モータ 450:加熱器 452、472:フィルタ 454:冷却器 462:吸引ストレーナ 470:コンディショニング媒体 474、476、478、480、482、510、512、516、518、520、522:流体導管 484、486、488、496、498、500、524、526、532、534:バルブ 490、492、494、528、530:導管 502、504、506、514、536、538:センサ 508:冷却材供給部 540:空気乾燥システム 542:空気吸入システム 544:空気排出システム 546:空気供給装置 548:空気乾燥機 550:タンクブリーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】