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特開2023-174527応力緩和冷却回路を備えるタービンHGP部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174527
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】応力緩和冷却回路を備えるタービンHGP部品
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20231130BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20231130BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
F01D9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023064765
(22)【出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】17/804,350
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】コックス、ブランドン リー
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202CA09
3G202CB02
3G202GA08
3G202GA13
3G202GB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷却回路を備えるタービン高温ガス経路HGP部品の応力を緩和する。
【解決手段】タービン高温ガス経路HGP部品202は、本体210と冷却剤源と流体結合する冷却回路200とを含む。冷却回路200は、互いに離間しているが流体接続している複数のセクション220を含む。各セクション220は、1以上の冷却通路230を画成する壁222と、複数のセクション220の第1のセクション260の壁222と複数のセクション220の隣接する第2のセクション262の壁222とを結合するコネクタ壁258とを含む。第1のセクション260の壁222と隣接する第2のセクション262の壁222とは離間しており、セクション220間で応力を分離する。コネクタ壁258は、第1のセクション260の壁222、隣接する第2のセクション262の壁222及び本体210よりも可撓性が高く、セクション220間の応力を緩和できる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温ガス経路に露出される外表面(212)を有する本体(210)と、
前記本体(210)の内表面(216)に沿って画成され、かつ冷却剤源(214)と流体結合する冷却回路(200)であって、互いに離間しているが流体接続している複数のセクション(220)を含む冷却回路(200)と
を備えるタービン高温ガス経路(HGP)部品(202)であって、各セクション(220)が、
第1の転向部(238)で結合する第1の側壁(234)及び第2の側壁(236)内に第1の冷却通路(230)を画成する第1の壁部(222)であって、第1の転向部(238)が、第1及び第2の側壁(234,236)の各々の第1の端部(240)に結合し、第1の壁部(222)の第1の側壁(234)の第2の端部(244)が前記本体(210)の内表面(216)に結合して、第1の側壁(234)と前記本体(210)の内表面(216)との間に第2の冷却通路(246)を画成する、第1の壁部(222)と、
前記複数のセクション(220)の第1のセクション(260)の第1の壁部(222)の第2の側壁(236)の第2の端部(264)を、前記複数のセクションの隣接する第2のセクション(262)の第1の壁部(222)に離間して結合する第1のコネクタ壁(258)と、
第1の側壁(234)に画成され、かつ第1の冷却通路(230)を第2の冷却通路(246)と流体結合する1以上の開口部(250)と
を含む、タービンHGP部品(202)。
【請求項2】
第1のコネクタ壁(258)が、第1の壁部(222)及び前記本体(210)よりも可撓性が高い、請求項1に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項3】
第2の側壁(236)及び第1の側壁(234)を貫通し、かつ前記本体(210)の内表面(216)で終端する複数の管(280)をさらに備える、請求項1に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項4】
第1の側壁(234)を第2の側壁(236)から離間させる第1の複数の柱(270)と、第1の側壁(234)を前記本体(210)の内表面(216)から離間させる第2の複数の柱(272)とをさらに備える、請求項1に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項5】
第1のコネクタ壁(258)が、前記複数のセクション(220)の第1のセクション(260)の第1の冷却通路(230)を前記複数のセクション(220)の隣接する第2の冷却通路(246)に流体結合する第3の冷却通路(266)を画成する、請求項1に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項6】
第3の冷却通路(266)が、第1のセクション(260)と隣接する第2のセクション(262)との間で応力を隔離する、請求項5に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項7】
第1のコネクタ壁(258)が、前記本体(210)の内表面(216)から遠ざかるように湾曲している、請求項1に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項8】
前記本体(210)が、タービンブレード(124)及びタービンノズル(126)の一方の翼形部(152)である、請求項1に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項9】
前記本体(210)が、タービンブレード段(124)とタービンノズル段(126)との間のシュラウド(138)である、請求項1に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項10】
前記複数のセクション(220)の第1の最端セクション(320)をさらに備えており、第1の最端セクション(320)が、
第2の転向部(338)で結合する第3の側壁(334)及び第4の側壁(336)内に第3の冷却通路(266)を画成する第2の壁部(322)であって、第2の転向部(338)が第3及び第4の側壁(334,336)の各々の第1の端部(340)に結合し、第2の壁部(322)の第3の側壁(334)の第2の端部(344)が、前記本体(210)の内表面(216)に結合して、第3の側壁(334)と前記本体(210)の内表面(216)との間に第4の冷却通路(330)を画成する、第2の壁部(322)と、
前記複数のセクション(220)の第2の壁部(322)の第4の側壁(336)の第2の端部(344)を冷却剤源(214)に結合する第2のコネクタ壁(258)と
を含んでいる、請求項1に記載のタービンHGP部品(202)
【請求項11】
前記複数のセクション(220)の第1の最端セクション(320)とは反対側の前記複数のセクション(220)の第2の最端セクション(420)をさらに備えており、第2の最端セクション(420)が、
第3の転向部(438)で結合する第5の側壁(434)及び第6の側壁(436)内に第5の冷却通路(430)を画成する第3の壁部(422)であって、第3の転向部(438)が第5及び第6の側壁(434,436)の各々の第1の端部(440)に結合し、第3の壁部(422)の第5の側壁(434)の第2の端部(444)が、前記本体(210)の内表面(216)に結合して、第5の側壁(434)と前記本体(210)の内表面(216)との間に第6の冷却通路(446)を画成する、第3の壁部(422)と、
第3の壁部(422)の第6の側壁(436)の第2の端部(464)を、前記複数のセクション(220)の第2の最端セクション(420)に隣接する前記複数のセクション(220)の最後から2番目のセクション(420)に結合する第3のコネクタ壁(458)と、
第3の転向部(438)を前記本体(210)の内表面(216)に結合する終端壁(494)と
を含んでいる、請求項10に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項12】
高温ガス経路に露出される外表面(212)を有する本体(210)と、
前記本体(210)の内表面(216)に沿って画成され、かつ冷却剤源(214)と流体結合する冷却回路(200)であって、互いに離間しているが流体接続している複数のセクション(220)を含む冷却回路(200)と
を備えるタービン高温ガス経路(HGP)部品(202)であって、各セクション(220)が、
1以上の冷却通路(230)を画成する壁(222)と、
前記複数のセクション(220)の第1のセクション(260)の壁(222)と前記複数のセクション(220)の隣接する第2のセクション(262)の壁(222)とを結合する第1のコネクタ壁(258)であって、第1のセクション(260)の壁(222)と隣接する第2のセクション(262)の壁(222)とが離間している、第1のコネクタ壁(258)と
を含んでおり、第1のコネクタ壁(258)が、第1のセクション(260)の壁(222)、隣接する第2のセクション(262)の壁(222)及び前記本体(210)よりも可撓性が高い、タービンHGP部品(202)。
【請求項13】
前記壁(222)が、第1の転向部(238)で結合する第1の側壁(234)及び第2の側壁(236)内に第1の冷却通路(230)を画成する第1の壁部(222)を含んでおり、第1の転向部(238)が、第1及び第2の側壁(234,236)の各々の第1の端部(240)に結合し、第1の壁部(222)の第1の側壁(234)の第2の端部(244)が、前記本体(210)の内表面(216)に結合して、第1の側壁(234)と前記本体(210)の内表面(216)との間に第2の冷却通路(246)を画成しており、
第1のコネクタ壁(258)が、前記複数のセクション(220)の第1のセクション(260)の第1の壁部(222)の第2の側壁(236)の第2の端部(244)を、前記複数のセクション(220)の隣接する第2のセクション(262)の第1の壁部(222)に結合する、請求項12に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項14】
第1の側壁(234)に画成され、かつ第1の冷却通路(230)を第2の冷却通路(246)に流体結合する1以上の開口部(250)をさらに備える、請求項13に記載のタービンHGP部品(202)。
【請求項15】
第2の側壁(236)及び第1の側壁(234)を貫通し、かつ前記本体(210)の内表面(216)で終端する複数の管(280)をさらに備える、請求項13に記載のタービンHGP部品(202)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にタービンに関し、特に、応力を緩和する離間セクションを含む冷却回路を含むタービン高温ガス経路(HGP)部品に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンは、タービンの高温ガス(蒸気又は燃焼ガス流など)に暴露される部品を含む。高温ガス経路(HGP)部品は、例えば、ノズルの翼形部、タービンブレードの翼形部、ノズル段とブレード段の間のシュラウドなど、様々な形態をとり得る。HGP部品は、通例、部品の温度を下げるための冷却剤を供給する様々な冷却回路を含んでいる。HGP部品は、それらが暴露される動力学及び温度差のために高い応力を経験する。HGP部品における冷却回路の存在は、応力緩和をもたらす能力を制限する。
【発明の概要】
【0003】
以下に挙げるすべての態様、具体例及び特徴は、技術的に可能な方法で組合せることができる。
【0004】
本開示の一態様は、高温ガス経路に露出される外表面を有する本体と、本体の内表面に沿って画成され、かつ冷却剤源と流体結合する冷却回路であって、互いに離間しているが流体接続している複数のセクションを含む冷却回路とを備えるタービン高温ガス経路(HGP)部品を提供するが、各セクションは、第1の転向部で結合する第1の側壁及び第2の側壁を含んでいて第1の側壁と第2の側壁との間に第1の冷却通路を画成する第1の壁部であって、第1の転向部が第1及び第2の側壁の各々の第1の端部に結合し、第1の壁部の第1の側壁の第2の端部が、本体の内表面に結合して、第1の側壁と本体の内表面との間に第2の冷却通路を画成する、第1の壁部と、複数のセクションの第1のセクションの第1の壁部の第2の側壁の第2の端部を、複数のセクションの隣接する第2のセクションの第1の壁部に離間して結合する第1のコネクタ壁と、第1の側壁に画成され、かつ第1の冷却通路を第2の冷却通路と流体結合する1以上の開口部とを含む。
【0005】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、第1のコネクタ壁は、第1の壁部及び本体よりも可撓性が高い。
【0006】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第2の側壁及び第1の側壁を貫通し、かつ本体の内表面で終端する複数の管をさらに備える。
【0007】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1の側壁を第2の側壁から離間させる第1の複数の柱と、第1の側壁を本体の内表面から離間させる第2の複数の柱とをさらに備える。
【0008】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1のコネクタ壁は、複数のセクションの第1のセクションの第1の冷却通路を複数のセクションの隣接する第2のセクションの第2の冷却通路に流体結合する第3の冷却通路を部分的に画成する。
【0009】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第3の冷却通路は、複数のセクションの第1のセクションと隣接する第2のセクションとの間で応力を隔離する。
【0010】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1のコネクタ壁は、本体の内表面から遠ざかるように湾曲している。
【0011】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、本体は、タービンブレード及びタービンノズルの一方の翼形部である。
【0012】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、本体は、タービンブレード段とタービンノズル段との間のシュラウドである。
【0013】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、複数のセクションの第1の最端セクションをさらに含んでおり、第1の最端セクションは、第2の転向部で結合する第3の側壁及び第4の側壁を含んでいて第3の側壁と第4の側壁との間に第3の冷却通路を画成する第2の壁部であって、第2の転向部が第3及び第4の側壁の各々の第1の端部に結合し、第2の壁部の第3の側壁の第2の端部が、本体の内表面に結合して、第3の側壁と本体の内表面との間に第4の冷却通路を画成する、第2の壁部と、複数のセクションの第2の壁部の第4の側壁の第2の端部を冷却剤源に結合する第2のコネクタ壁とを含む。
【0014】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、複数のセクションの第1の最端セクションとは反対側の複数のセクションの第2の最端セクションをさらに含んでおり、第2の最端セクションは、第3の転向部で結合する第5の側壁及び第6の側壁を含んでいて第5の側壁と第6の側壁との間に第5の冷却通路を画成する第3の壁部であって、第3の転向部が第5及び第6の側壁の各々の第1の端部に結合し、第3の壁部の第5の側壁の第2の端部が、本体の内表面に結合して、第5の側壁と本体の内表面との間に第6の冷却通路を画成する、第3の側壁と、第3の壁部の第6の側壁の第2の端部を、複数のセクションの第2の最端セクションに隣接する複数のセクションの最後から2番目のセクションに結合する第3のコネクタ壁と、第3の転向部を本体の内表面に結合する終端壁とを含む。
【0015】
本開示の別の態様は、高温ガス経路に露出される外表面を有する本体と、本体の内表面に沿って画成され、かつ冷却剤源と流体結合する冷却回路であって、互いに離間しているが流体接続している複数のセクションを含む冷却回路とを備えるタービン高温ガス経路(HGP)部品を包含するが、各セクションは、1以上の冷却通路を画成する壁と、複数のセクションの第1のセクションの壁と複数のセクションの隣接する第2のセクションの壁とを結合する第1のコネクタ壁を含んでおり、第1のセクションの壁と隣接する第2のセクションの壁とは離間しており、第1のコネクタ壁は、第1のセクションの壁、隣接する第2のセクションの壁及び本体よりも可撓性が高い。
【0016】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、壁は、第1の転向部で結合する第1の側壁及び第2の側壁を含んでいて第1の側壁と第2の側壁との間に第1の冷却通路を画成する第1の壁部を含んでおり、第1の転向部は、第1及び第2の側壁の各々の第1の端部に結合し、第1の壁部の第1の側壁の第2の端部は、本体の内表面に結合して、第1の側壁と本体の内表面との間に第2の冷却通路を画成しており、第1のコネクタ壁は、複数のセクションの第1のセクションの第1の壁部の第2の側壁の第2の端部を、複数のセクションの隣接する第2のセクションンの第1の壁部に結合する。
【0017】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1の側壁に画成され、かつ第1の冷却通路を第2の冷却通路と流体結合する1以上の開口部をさらに備える。
【0018】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第2の側壁及び第1の側壁を貫通し、かつ本体の内表面で終端する複数の管をさらに備える。
【0019】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1の側壁を第2の側壁から離間させる第1の複数の柱と、第1の側壁を本体の内表面から離間させる第2の複数の柱とをさらに備える。
【0020】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1のコネクタ壁は、複数のセクションの第1のセクションを複数のセクションの隣接する第2のセクションから離間させる第3の冷却通路であって、複数のセクションの第1のセクションの第1の冷却通路を複数のセクションの隣接する第2のセクションの第2の冷却通路に流体結合する第3の冷却通路を部分的に画成する。
【0021】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第3の冷却通路は、複数のセクションの第1のセクションと隣接する第2のセクションとの間で応力を隔離する。
【0022】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1のコネクタ壁は、本体の内表面から遠ざかるように湾曲している。
【0023】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、本体は、タービンブレードの翼形部、タービンノズルの翼形部、及びタービンブレード段とタービンノズル段との間のシュラウドのいずれかである。
【0024】
この発明の概要の欄に記載した態様も含めて、本開示に記載した2以上の態様を組合せて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様としてもよい。
【0025】
1以上の実施態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。その他の特徴、目的及び利点は、発明の詳細な説明、図面並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の上記その他の特徴については、本開示の様々な実施形態について記載する添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。
図1】ガスタービンシステムの形態の例示的なターボ機械の概略図。
図2図1のガスタービンシステムで使用し得る例示的なガスタービンアセンブリの断面図。
図3】本開示の実施形態で使用し得るタイプのタービン動翼の斜視図。
図4】本開示の実施形態で使用し得るタイプのタービンノズルの斜視図。
図5】本開示の実施形態で使用し得るタイプのタービンシュラウドの斜視図。
図6】本開示の実施形態に係る複数のセクションを含む冷却回路を含む例示的なHGP部品の断面図。
図7】本開示の実施形態に係る冷却回路の例示的セクションの拡大断面図。
図8】本開示の他の実施形態に係る冷却回路のセクションの斜視図。
図9】本開示のさらに他の実施形態に係る冷却回路のセクションの斜視図。
図10】本開示の他の実施形態に係る冷却回路を含む例示的なHGP部品の断面図。
図11】本開示の追加実施形態に係る冷却回路を含む例示的なHGP部品の断面図。
【0027】
なお、図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示するものにすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。図面において、同様の符号は複数の図面間で同様の構成要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、本開示の技術的内容を明確に説明するため、ターボ機械内の関連する機械部品について言及及び説明する際に、用語を選択する必要がある。できるだけ、当技術分野で一般的な用語を、その通常の意味と一致するように用いる。別途記載されていない限り、かかる用語は、本願の文脈及び添付の特許請求の範囲に則して広義に解釈すべきである。ある部品について幾つかの異なる又は重複する用語を用いて言及されることが多々あることは当業者には明らかであろう。本明細書において、単一の部材として記載したものであっても、別の文脈では複数の部品からなるものとして記載することもある。或いは、本明細書のある箇所で複数の部品を含むものとして記載したものであっても、別の箇所では単一の部材として記載することもある。
【0029】
さらに、本明細書では幾つかの記述的用語を繰返し用いるが、本欄の冒頭でこれらの用語を定義しておくと有用であろう。これらの用語及びその定義は、別途明記しない限り、以下の通りである。本明細書で用いる「下流」及び「上流」という用語は、流体の流れ(例えばタービンエンジンを通る作動流体の流れ、或いは燃焼器を通る空気又はタービンの部品系の1つを通る冷却剤の流れなど)に関する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体が流れていく方向に対応し、「上流」という用語は流れと反対の方向(すなわち、流れて来る方向)をいう。「前方」及び「後方」という用語は、それ以上は特定されない方向をいい、「前方」はエンジンの前方又は圧縮機端を示し、「後方」はエンジンの後方セクションを示す。
【0030】
中心軸に対して異なる半径方向位置に配置された部品について説明する必要が多々ある。「半径方向」という用語は、軸に垂直な運動又は位置をいう。例えば、第1の部品が第2の部品よりも軸に近い場合、本明細書では第1の部品は第2の部品の「半径方向内側」又は「中心軸近位側」と記載される。一方、第1の部品が第2の部品よりも軸から遠く位置する場合、本明細書では第1の部品は第2の部品の「半径方向外側」又は「中心軸遠位側」と記載される。「軸方向」という用語は、軸に平行な運動又は位置をいう。最後に、「周方向」という用語は、軸を中心とした運動又は位置をいう。自明であろうが、かかる用語は、タービンの中心軸に対して適用される。
【0031】
さらに、本明細書では、以下に記載する通り、幾つかの記述的用語を繰返し用いる。「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を示すものではない。
【0032】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書において、「備える」及び/又は「含む」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び/又は部品が存在することを示し、他の1以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいこと或いはその用語に続いて記載された部品又は構成要素が存在しても存在しなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起こる場合と起こらない場合並びにその部品又は構成要素が存在する場合と存在しない場合とを包含する。
【0033】
ある構成要素又は層が別の構成要素又は層「の上」、「に係合」、「に接続」又は「に結合」しているという場合、その別の構成要素又は層の上に直接位置していても、その別の構成要素又は層に直接係合、接続又は結合していてもよいし、或いは介在する構成要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素又は層「の直接上」、「に直接係合」、「に直接接続」又は「に直接結合」しているという場合、介在する構成要素又は層は存在しない。構成要素間の関係について説明するために用いられる他の用語(例えば、「~の間」と「直接~の間」、「隣接」と「直接隣接」など)も同様に解釈される。本明細書で用いる「及び/又は」という用語は、記載されたものの1以上のあらゆるすべての組合せを包含する。
【0034】
上述の通り、本開示は、タービン高温ガス経路(HGP)部品を提供する。HGP部品は、高温ガス経路に露出した外表面を有する本体と、本体の内表面に沿って画成され、かつ冷却剤源と流体結合する冷却回路とを含む。冷却回路は、互いに離間しているが流体接続している複数のセクションを含む。各セクションは、1以上の冷却通路を画成する壁と、複数のセクションの第1のセクションの壁と複数のセクションの隣接する第2のセクションの壁とを結合するコネクタ壁とを備える。第1のセクションの壁と隣接する第2のセクションの壁とは離間して配置され、セクション間の応力伝達を防ぐ。コネクタ壁は、第1及び第2のセクションの壁並びに本体よりも可撓性があり、セクション間の応力を緩和できる。
【0035】
図1は、例示的な産業機械の概略説明図を示しており、そのHGP部品は、本開示の教示内容に則した冷却回路を含むことができる。本例では、機械は、燃焼又はガスタービンシステムの形態のターボ機械100を含む。ターボ機械100は、圧縮機102と燃焼器104とを備える。燃焼器104は、燃焼領域106と燃料ノズルアセンブリ108とを含む。ターボ機械100は、タービン110及び共通の圧縮機/タービンシャフト112(ロータ112とも呼ばれる)も含む。
【0036】
一実施形態では、GTシステム100は、General Electric社(米国サウスカロライナ州グリーンビル)から市販の7HA.03エンジンである。本開示は、いかなるGTシステムに限定されるものではなく、例えば、General Electric社の他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスエンジンモデル、並びに他社のエンジンモデルを始めとする、他のエンジンに関しても実施し得る。本開示は、いかなるタービン又はターボ機械に限定されるものではなく、例えば、蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機、ターボファンなどにも適用し得る。さらに、本開示は、いかなるターボ機械に限定されるものではなく、高温ガス経路に暴露され、冷却及び応力緩和を必要とするあらゆる形態の部品に適用し得る。
【0037】
運転中、空気が圧縮機102を流れ、圧縮空気が燃焼器104に供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104に内蔵される燃料ノズルアセンブリ108に供給される。アセンブリ108は、燃焼領域106と流体連通している。燃料ノズルアセンブリ108は、燃料源(図示せず)とも流体連通しており、燃料及び空気を燃焼領域106に導く。燃焼器104は、燃料を点火して燃焼させる。燃焼器104はタービンアセンブリ110と流体連通しており、タービンアセンブリ110内でガス流の熱エネルギーが機械の回転エネルギーへと変換される。タービンアセンブリ110は、ロータ112に回転可能に結合してロータ112を駆動するタービン111を含む。圧縮機102も、ロータ112に回転可能に結合されている。図に示す実施形態では、複数の燃焼器106及び燃料ノズルアセンブリ108が存在する。
【0038】
図2は、図1のガスタービンシステムで使用し得るターボ機械100(図1)の例示的なタービンアセンブリ110の断面図である。タービンアセンブリ110のタービン111は、ターボ機械100の静止ケーシング122に結合したノズル120の列又は段を含んでおり、軸方向に動翼124の列又は段に隣接している。ノズル126(ベーンとしても知られる)は、半径方向外側プラットフォーム128及び半径方向内側プラットフォーム130によってタービンアセンブリ110内に保持し得る。タービンアセンブリ110内のブレード124の各段は、ロータ112に結合してロータと共に回転する動翼132を含む。動翼132は、ロータ112に結合した半径方向内側プラットフォーム134(ブレードの根元)と、半径方向外側先端136(ブレードの先端)とを含むことができる。シュラウド138は、ノズル126及び動翼132の隣接する段を分離し得る。
【0039】
例えばガスタービンにおける燃焼ガスを始めとする作動流体140は、高温ガス経路(以下、「HGP」と略す)と呼ばれるものに沿ってタービン111を通過する。HGPは、高温に暴露されるタービン111の任意の領域とすることができる。HGPに露出されるタービン111その他の機械の部品は、「HGP部品」と呼ばれる。例えばタービン111、ノズル126、ブレード132及びシュラウド138はすべて、本開示の教示内容による恩恵を受け得るHGP部品の具体例である。HGPに露出されるタービン111の他の部分もHGP部品とみなすことができる。
【0040】
図3図5は、本開示の教示内容を利用し得るタービン111の例示的HGP部品の斜視図である。図3は、本開示の実施形態で使用し得るタイプのタービン動翼132の斜視図である。タービン動翼132は根元142(図2)を備えており、根元142によって動翼132はロータ112に取り付けられる。根元142は、ロータ112(図2)のロータホイール146(図2)の外周の対応ダブテールスロットに取り付けられるように構成されたダブテール144を含んでいてもよい。根元142は、ダブテール142とプラットフォーム134との間に延在するシャンク148をさらに含んでもよく、プラットフォーム134は、翼形部152と根元142の連結部に配置され、タービンアセンブリ110を通るHGPの半径方向近位側境界の一部を画成する。翼形部152は、作動流体140(図2)の流れを受け止めて、ロータホイール146の回転を惹起させる動翼132の能動部品である。動翼132の翼形部152は、凹面状正圧側(PS)外壁154と、周方向又は横方向に反対側の凸面状負圧側(SS)外壁156とを含んでおり、軸方向に前縁158と後縁160の間に延在する。側壁154及び156は、半径方向にプラットフォーム134から半径方向外側先端136まで延在する。先端136は、現在公知の又は将来開発される任意の先端シュラウド(図示せず)を含んでいてもよい。本開示の実施形態に係る冷却回路200(図6図11)は、例えば、翼形部152、プラットフォーム134又は動翼132の他の部分で使用できる。
【0041】
図4は、本開示の実施形態で使用し得るタイプの静止ノズル126の斜視図である。静止ノズル126は半径方向外側プラットフォーム128を含んでおり、半径方向外側プラットフォーム128によって静止ノズル126はターボ機械の静止ケーシング122(図2)に取り付けられる。外側プラットフォーム128は、ケーシングの対応マウントに取り付けるための現在公知の又は将来開発される任意の取付け構成を含んでいてもよい。静止ノズル126は、隣接タービン動翼132(図3)のプラットフォーム134間に配置される半径方向内側プラットフォーム130をさらに含んでいてもよい。外側及び内側ノズルプラットフォーム128,130は、タービンアセンブリ110を通るHGPの外側及び内側境界のそれぞれの部分を画成する。
【0042】
翼形部176は、作動流体140(図2)の流れを受け止めて、その流れをタービン動翼132(図3)に向ける静止ノズル126の能動部品である。静止ノズル126の翼形部176は、凹面状正圧側(PS)外壁178と、周方向又は横方向に反対側の凸面状負圧側(SS)外壁180とを含んでおり、軸方向に前縁182と後縁184との間に延在する。側壁178及び180は、半径方向にプラットフォーム128からプラットフォーム130まで延在する。本開示の実施形態に係る冷却回路200(図6図11)は、例えば、翼形部176、プラットフォーム128,130又は静止ノズル126の他の部分で使用できる。
【0043】
図5は、本開示の実施形態で使用し得るタイプのシュラウド138の斜視図である。シュラウド138は、タービン動翼132(図2図3)の先端136(図2図3)とノズル126(図2及び図4)の半径方向外側プラットフォーム128(図2及び図4)との間に配置されるプラットフォーム190を含んでいてもよい。シュラウド138は、ケーシング122(図2)に任意の態様で固定し得る。本開示の実施形態に係る冷却回路200(図6図11)は、例えば、内表面192又はシュラウド138の他の部分で使用できる。
【0044】
図3図5を参照すると、上述の通り、本明細書に記載される実施形態は、タービン111(図2)の任意のHGP部品、例えばタービン動翼132(図3)、静止ノズル126(図4)及び/又はシュラウド138(図5)に適用し得る。HGP部品は、タービン111のHGPに露出される部品に冷却剤を送ってそれらの部品を冷却するための冷却回路(図3図5には図示せず)を含むことが多々ある。図6図11を参照すると、説明の便宜上、本開示の実施形態に係る冷却回路200を、動翼132又はノズル126の翼形部152,176に関連して図示し、説明する。ただし、本開示の教示内容は、任意のHGP部品に適用し得る。
【0045】
図6は、本開示の実施形態に係る例示的なタービンHGP部品202の断面図である。図6に示すように、HGP部品202は、HGPに露出される外表面212を有する本体210を含んでいてもよい。本体210は、HGP部品の種類に応じて任意の形態を取り得る。翼形部152,176に関して、本体210は翼形断面を有する。図に示す例では、本体210は、内部に1以上の冷却剤源214を含む。冷却剤源214は、冷却回路200のため本体210を通る専用の通路であってもよいし、或いは開示の実施形態に係る冷却回路200の上流の他の冷却回路であってもよい。任意の数の冷却剤源214を使用し得る。
【0046】
冷却回路200は、本体210の内表面216に沿って画成され、かつ1以上の冷却剤源214に流体結合される。本体210の内表面216は、例えば、HGPに直接露出されていない表面とすることができる。冷却回路200は、互いに離間しているが流体接続している複数のセクション220を含む。任意の数のセクション220を使用できる。説明の便宜上、セクション220は、単に符号「220」で示す「通常セクション」と、通常セクション220に類似しているが、冷却回路200をHGP部品202の他の部分に結合できるようにする別の構造を含む「最端セクション」320,420とを含んでいてもよい。図6では、4つのセクション220が用いられているが、後述の通り、2超の「通常」セクション220も可能である。
【0047】
図7は、本開示の実施形態に係る2つのセクション220の拡大断面図である。図6及び図7を参照すると、各セクション220は、1以上の冷却通路を画成する壁222を含んでいてもよい。壁222は、様々な形態を取り得る。一例では、壁222は、略U字型であり得る(その側面に敷設して示される)。本例では、壁222は、転向部238で結合する第1の側壁234及び第2の側壁236に第1の冷却通路230を画成する。転向部238は、第1及び第2の側壁234,236の各々の第1の端部240に結合する。側壁234,236は、概ね平面で平行なものとして示してあるが、非平面であってもよく、非平行であってもよい。側壁234,236は、適宜、例えば流れ方向、流量、流速又は背圧に関して所望の流れを生じるのに必要な構造を含んでいてもよい。
【0048】
壁222の第1の側壁234の第2の端部244は、本体210の内表面216に結合して、第1の側壁234と本体210の内表面216との間に第2の冷却通路246を画成する。第2の冷却通路246は、内表面216に接しており、HGPに近い。第1の冷却通路230は、第2の冷却通路246に比べると、本体210の相対的内側にある。本例では、第1の(内側)冷却通路230を第2の(外側)冷却通路246に流体結合するための1以上の開口部250が第1の側壁234に画成されている。こうして、冷却通路230,246の一方を流れる冷却剤を、他方の冷却通路に通すことができる。図6及び図7では1つの開口部250が示してあるが、任意の数の開口部250を(例えばこれら2つの図の紙面の内側又は外側に)使用することができる。第1の側壁234の長さに沿って複数の開口部250が用いられている図8図9も参照されたい。
【0049】
図6図7に示すように、各セクション220の各々の壁222は、隣接するセクション220の壁222から離間している。この間隔は、セクション220間での並びに冷却回路200に沿った及び本体210に沿った応力伝達を防止する。
【0050】
冷却回路200のセクション220は、複数のセクション220の下流(第1の)セクション260の壁222と複数のセクション220の隣接する上流(第2の)セクション262の壁222とを結合するコネクタ壁258も含んでいる。図に示す例では、コネクタ壁258は、複数のセクション220の下流セクション260の壁222の第2の側壁236の第2の端部264を、複数のセクション220の隣接する上流セクション262の壁222に離間した状態で結合する。図に示すように、下流セクション260の壁222と隣接する上流セクション262の壁222とは離間したままである。換言すると、下流セクション260のU字型壁222(HGP部品202の内表面216に接続する第2の端部244を有する第1の側壁234、転向部238、及び第2の側壁236を含む)は、上流セクション262のU字型壁222の各構造物とは接触しない。
【0051】
さらに具体的には、一方の壁222の第1の側壁234の第2の端部244と、その一方の壁222の上流側の隣接する別の壁222の転向部238との間に第3の冷却通路266が画成される。第3の冷却通路266は、半径方向に、コネクタ壁258と第1の側壁234の第2の端部244との間に画成される。かかる構成で、第3の冷却通路266は、複数のセクション220の上流セクション262の第2(外側)の冷却通路246を、複数のセクション220の下流セクション260の第1(内側)の冷却通路230に流体結合する。こうして、上流セクション262の第2の外側冷却通路246内の冷却剤を、下流セクション260の第1の内側冷却通路230に流すことができる。第3の冷却通路266は、複数のセクション220の下流セクション260と隣接する上流セクション262との間で応力を隔離する。この配置は、所望に応じて、冷却回路200のセクション220の数及び長さだけ繰り返すことができる。
【0052】
コネクタ壁258は、セクション220内の他の壁と同じ可撓性を有し得る。この場合、第3の冷却通路266でもたらされる間隔は、HGP部品202のセクション220(例えば隣接セクション260,262)間及び本体210に沿った応力伝達を防止する。他の実施形態では、コネクタ壁258は、HGP部品202の応力緩和をさらに高めるため、冷却回路200内の他の構造よりも可撓性が高い。例えば、コネクタ壁258は、隣接セクション260,262の壁222よりも可撓性が高くてもよいし、本体210よりも可撓性が高くてもよい。換言すると、コネクタ壁258は、下流セクション260の株222、隣接する上流セクション262の壁222及び本体210よりも可撓性が高くてもよい。コネクタ壁258の可撓性は、様々なやり方でもたらすことができ、例えば、限定されるものではないが、壁258内の空隙、壁258を他の壁よりも薄くすること、及び/又は湾曲もしくは円弧形部分のような撓ませることのできる構造を設けることなどによってもたらすことができる。
【0053】
図に示す例では、コネクタ壁258は、本体210の内表面216から遠ざかるように湾曲している。例示した翼形部では、翼形部の中心に向かって内側に湾曲する。コネクタ壁258の可撓性は応力をさらに隔離して、応力伝達を防止する。コネクタ壁258は、単純な曲線以外の形状を有していてもよい。
【0054】
セクション220の壁222は、図7に示すように自立性であってもよい。図8及び図9は、他の実施形態に係る冷却回路200のセクション220の斜視図である。図6及び図8に示すように、第1の複数の柱272で、第1の側壁234を第2の側壁236から離間させてもよく、第2の複数の柱270で、第1の側壁234を本体210の内表面216から離間させてもよい。柱270,272は中実材料であってもよい。柱270,272は、整列した1対1の配置で例示したが、どのような数、配置及び間隔であってもよい。柱270,272は、壁222(例えば第1及び第2の側壁234,236)を、あらゆる態様で、所望の剛性/可撓性をもって配置できる。
【0055】
図9は、柱270,272を用いるのではなく、複数の管280が第1及び第2の側壁234,236を貫通して本体210の内表面216で終端する別の実施形態に係るセクション220の斜視図である。管280は、柱270,272と同様に第1及び第2の側壁234,236(及びコネクタ壁258)を支持及び/又は配置することができる。ただし、管280は、追加の冷却をもたらすため、HGP部品202の中心又はその他の位置から冷却剤を本体210の内表面216まで届けることができる。柱270,272及び管280は、任意の外断面を有することができ、管280は、任意の内断面を有することができる。他の実施形態では、柱と管を混合できる。柱270,272及び/又は管280は図6にも示してある。
【0056】
図6に戻ると、冷却回路200は、冷却回路200のセクション220を他の冷却構造に結合する最端セクション320,420を含んでいてもよい。冷却回路200は、複数のセクション220の一部として第1の最端セクション320を含んでいてもよい。第1の最端セクション320は、複数のセクション220の同じ列の第1の通常セクション220(冷却剤の流れに関して)又は2つのセクション220しか設けられていない場合の第2の最端セクション420に流体結合することができる(図11参照)。第1の最端セクション320は、他の通常セクション220と同様に構成し得る。セクション320は、転向部338で結合する第3の側壁334及び第4の側壁336内に冷却通路330を画成する壁322を含んでいてもよい。転向部338は、第3及び第4の側壁334,336の各々の第1の端部340に結合する。壁322の第3の側壁334の第2の端部344は、本体210の内表面216に結合して、第3の側壁334と本体210の内表面216との間に別の冷却通路346を画成する。コネクタ壁358は、壁322の第4の側壁336の第2の端部364を冷却剤源214に結合する。コネクタ壁358は、本明細書でコネクタ壁258について説明したものと同じ可撓性及び構成を含むことができる。このようにして、冷却剤源214からの冷却剤を冷却回路200の複数のセクション220に送ることができる。
【0057】
同様に、冷却回路200は、セクション220の第1の最端セクション320とは反対側に第2の最端セクション420を含んでいてもよい。第2の最端セクション420は、最後から2番目の通常セクション220(すなわち、同じ列の最端セクション420ではない最後の通常セクション220)又は2つのセクションしか設けられていない場合の第1の最端セクション320に流体結合することができる(図11参照)。第2の最端セクション420は、転向部438で結合する第5の側壁434及び第6の側壁436内に冷却通路430を画成する壁422を含んでいてもよい。転向部438は、第5及び第6の側壁434,436の各々の第1の端部440に結合する。壁422の第5の側壁434の第2の端部444は、本体210の内表面216に結合して、第5の側壁434と本体210の内表面216との間に別の冷却通路446を画成する。壁422は、隣接するセクション220の壁222から離間して、冷却通路466を形成する。コネクタ壁450は、壁422の第6の側壁436の第2の端部464を、第2の最端セクション420に隣接する複数のセクション220の最後から2番目のセクション220に結合する。第2の最端セクション420は、転向部438を本体210の内表面216に結合する終端壁494を含んでいてもよい。
【0058】
冷却回路200内の冷却剤は、冷却回路の最後の最後端セクション420に達するまで、他の目的のため冷却剤の吸い上げることなく、冷却剤源214から冷却回路200を通して閉回路で導くことができる。この場合、第2の最端セクション420の冷却通路430,446内の冷却剤は、これらの冷却通路から任意の用途、例えば、限定されるものではないが、本体210の内表面216に沿った他の冷却回路、後縁冷却通路、或いは例えばフィルム冷却孔298を介しての本体210の外表面212のフィルム冷却などに、送ってもよい。他の実施形態では、冷却剤は、冷却回路200に沿った様々な位置、例えば複数のセクション220の任意のセクション220での本体210内のフィルム冷却孔(図示せず)などで、吸い上げることができる。冷却回路200は、冷却剤の少なくとも一部をHGP部品202の別の領域に送るため或いは本体210の外表面212のフィルム冷却のため、冷却通路(例えば、230,246,266,330,346,366,430,436,466)と流体連通する他の様々な開口部及び/又は通路(図示せず)を含んでいてもよい。
【0059】
図10及び図11は、セクション220の数が異なり、図6図9とは若干異なる形状の壁を生じる、冷却回路200及びHGP部品202の実施形態の断面図を示す。図10は、5つのセクション220、すなわち、第1の最端セクション320,3つの通常セクション220及び第2の最端セクション420を含む実施形態を示す。図11は、2つのセクション220、すなわち、第1の最端セクション320及び第2の最端セクション420しか含まない実施形態を示す。図6図10及び図11を対比観察すると、壁222,322,422は、所望の数のセクション220を収容するための望ましい長さを有することができる。図10及び図11は、自立式のセクション220を示している。図10及び図11の実施形態で、柱270,272(図6及び図8)及び/又は管280(図9)を使用できることは明らかであろう。
【0060】
本開示の実施形態は、HGP部品の他の冷却回路内に統合された冷却回路200の可撓性セクション220によって、HGP部品202内の応力を低減する。これらの可撓性セクション220は冷却剤を再利用スキームで導いて、HGP部品202の予想寿命を縮めることなく、高性能多壁冷却回路アプローチを可能にする。冷却回路200は、こうしてタービン全体の性能及び耐久性を高める。これらのセクションは、冷却剤を案内しつつ、剛性の本体210に沿って可撓性及び応力分散を高めることができ、依存するハードウェアのライフサイクル及びメンテナンスサイクルを延ばし、HGP部品202における全体的な応力集中を低減する。冷却回路200の位置は、必要に応じて応力を緩和すべく選択できる。例示した例では、応力緩和は翼形部152,176の負圧側の低温域にあるが、他の位置にすることもできる。
【0061】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために適用される。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能であり、かかる範囲は、前後関係等から別途明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を特定しかつ包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に適用され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±10%を示すことがある。
【0062】
以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮するあらゆる構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示された形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。
【符号の説明】
【0063】
200 冷却回路
202 高温ガス経路(HGP)部品
210 本体
212 外表面
214 冷却剤源
216 内表面
220 冷却回路の複数のセクション
222 第1の壁部
230 第1の冷却通路
234 第1の側壁
236 第2の側壁
238 第1の転向部
240 第1の側壁及び第2の側壁の第1の端部
244 第1の側壁の第2の端部
246 第2の冷却通路
250 開口部
258 第1のコネクタ壁
260 第1のセクション
262 第2のセクション
264 第2の側壁の第2の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】