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特開2023-174537植物性ミルク飲料および植物性ミルク凝固食品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174537
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】植物性ミルク飲料および植物性ミルク凝固食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 11/10 20210101AFI20231130BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20231130BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20231130BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20231130BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20231130BHJP
   A23L 2/54 20060101ALI20231130BHJP
   A23G 9/42 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
A23C11/10
A23L19/00 E
A23L2/00 B
A23L2/52
A23L2/38 C
A23L2/54
A23L2/00 F
A23G9/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070405
(22)【出願日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2022086671
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522172140
【氏名又は名称】アジマティ オルトイ セバスチャン
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【弁理士】
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】アジマティ オルトイ セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B016
4B117
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001BC03
4B001BC08
4B001BC12
4B001EC05
4B001EC08
4B014GB21
4B014GG09
4B014GK03
4B014GL10
4B014GP01
4B014GP13
4B014GP14
4B014GQ06
4B016LC07
4B016LE03
4B016LE05
4B016LG12
4B016LK08
4B016LK11
4B016LK14
4B016LP01
4B016LP03
4B016LP05
4B117LC02
4B117LC04
4B117LG07
4B117LK12
4B117LK20
(57)【要約】
【課題】タケノコを主材料とし、植物性タンパク質が豊富な植物性ミルク飲料の製造方法、植物性ミルクを含有する植物性ミルク凝固食品の製造方法を提供する。
【解決手段】タケノコと水と砂糖を準備し、所定の大きさにカットしたタケノコを沸騰した湯に投入し、生タケノコの場合は中火で45分~120分、水煮タケノコの場合は中火で7分~15分茹で、茹でたタケノコを取り上げて水を切って冷まし、冷ました後の茹でたタケノコに水と砂糖を加えてブレンダーに投入し、これらの材料をブレンドしてタケノコを主成分とするタケノコミルク飲料を得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タケノコと水と砂糖を準備し、所定の大きさにカットしたタケノコを沸騰した湯に投入し、生タケノコの場合は中火で45分~120分、水煮タケノコの場合は中火で7分~15分茹で、茹でたタケノコを取り上げて水を切って冷まし、冷ました後の茹でたタケノコに水と砂糖を加えてブレンダーに投入し、これらの材料をブレンドしてタケノコを主成分とするタケノコミルク飲料を得ることを特徴とする植物性ミルク飲料の製造方法。
【請求項2】
タケノコミルク飲料を得るにあたり、茹でたタケノコと水と砂糖の割合を、茹でたタケノコ100重量%に対し、水10~120重量%、砂糖5~12重量%の割合とすることを特徴とする請求項1記載の植物性ミルク飲料の製造方法。
【請求項3】
タケノコミルク飲料を得るにあたり、水を加熱した湯に砂糖を溶かした状態でブレンダーに投入することを特徴とする請求項1記載の植物性ミルク飲料の製造方法。
【請求項4】
タケノコミルク飲料を得るにあたり、冷ました後の茹でたタケノコと水と砂糖に加えて果実をブレンダーに投入することを特徴とする請求項1記載の植物性ミルク飲料の製造方法。
【請求項5】
タケノコと水と砂糖と炭酸水を準備し、所定の大きさにカットしたタケノコを沸騰した湯に投入し、生タケノコの場合は中火で45分~120分、水煮タケノコの場合は中火で7分~15分茹で、茹でたタケノコを取り上げて水を切って冷まし、冷ました後の茹でたタケノコを薄くカットして乾燥させた後粉状にしてタケノコパウダーを得、得られたタケノコパウダーに水と砂糖を加えて弱火で5~15分加熱し、これらのブレンド材料が黄金色になったら火を止めてフィルタに濾しかつ熱を冷ましてタケノコを主成分とするタケノコミルクシロップを得、得られたタケノコミルクシロップに炭酸水を加えてタケノコミルクソーダ飲料を得ることを特徴とする植物性ミルク飲料の製造方法。
【請求項6】
タケノコと水と砂糖に加えて第4の材料を準備し、所定の大きさにカットしたタケノコを沸騰した湯に投入し、生タケノコの場合は中火で45分~120分、水煮タケノコの場合は中火で7分~15分茹で、茹でたタケノコを取り上げて水を切って冷まし、冷ました後の茹でたタケノコに水と砂糖を加えてブレンダーに投入し、これらの材料をブレンドしてタケノコを主成分とするタケノコミルクを得、得られたタケノコミルクに第4の材料を加えて凝固させ、タケノコミルク凝固食品を得ることを特徴とする植物性ミルク凝固食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性ミルク飲料および植物性ミルク凝固食品の製造方法に関し、特にタケノコを主原料に用いた植物性ミルク飲料と植物性ミルク凝固食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、健康に対する消費者の関心の高まりから、各種の健康食品・健康飲料、食物アレルギーに対応した食品・飲料が人気を呼んでいる。例えば、豆乳は、大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮詰めた汁を濾した液状の飲み物であり、植物性タンパク質を多く含んでいる。このため、豆乳は動物性タンパク質の牛乳に対する植物由来の代替飲料としても広く知られている。
【0003】
豆乳以外にも、植物由来の植物性飲料として、アーモンドミルク、ココナッツミルク、オーツミルク、ライスミルクなどが知られている。アーモンドミルクは、ビタミンEや食物繊維を多く含むアーモンドを原料とする飲料で、ココナッツミルクは熟したココナッツの種子の固形胚乳から得られる乳状の飲料で、食材としても使用される。オーツミルクは、オーツ麦を原料とする飲料で、ライスミルクは、米、特に玄米を原料とする飲料である。これらの植物由来の飲料は、牛乳や豆乳が苦手な消費者向け、またこれらの飲料に含まれる成分にアレルギーをもつ消費者向けの飲料として、近年人気を呼んでいる。
【0004】
上記した植物性飲料については、従来より、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1は必須アミノ酸がバランスよく含まれ、大豆の豆臭を低減させた豆乳飲料について、特許文献2は味が良好で酸味の弱い発酵豆乳飲料の製造方法について、提案されている。特許文献3は青臭さを低減し、後味をよくした植物性ミルクを含有する飲料について、特許文献4は、糠臭が少なく飲み易い発芽玄米を原料とする飲料の製造方法について、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-124507号公報
【特許文献2】特開2015-123049号公報
【特許文献3】特開2021-176284号公報
【特許文献4】特開2006-288297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に挙げた植物性飲料は、牛乳や豆乳が苦手な消費者向け、あるいは牛乳や豆乳に含まれる成分にアレルギーをもつ消費者向けに好適である。しかしながら、上記に挙げた植物性飲料のうち、アーモンドミルクやココナッツミルク、オーツミルクはこれらの原料にアレルギーをもつ消費者には適さない。また、ライスミルクは、三大栄養素の一つであるタンパク質をそれほど含まないため、必要なタンパク質を別に摂取する必要がある。
【0007】
本発明者は、鹿児島県の竹林面積が全国一と広く、竹資源の活用と放置竹林対策が期待されていることから、竹資源の一つであるタケノコの活用に着目し、鋭意研究した結果、タケノコを主材料に用いることで、アーモンド、ココナッツ、オーツに含まれる成分にアレルギーをもつ消費者にも受け入れ可能な植物性飲料が得られること、ライスミルクと異なり、植物性タンパク質を豊富に含む植物性飲料が得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は、タケノコを主材料とし、植物性タンパク質が豊富な植物性ミルク飲料の製造方法を提供すること、また、植物性ミルク凝固食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る植物性ミルク飲料の製造方法は、
タケノコと水と砂糖を準備し、所定の大きさにカットしたタケノコを沸騰した湯に投入し、生タケノコの場合は中火で45分~120分、水煮タケノコの場合は中火で7分~15分茹で、茹でたタケノコを取り上げて水を切って冷まし、冷ました後の茹でたタケノコに水と砂糖を加えてブレンダーに投入し、これらの材料をブレンドしてタケノコを主成分とするタケノコミルク飲料を得ることを第1の特徴とする。
【0010】
本発明に係る植物性ミルク飲料の製造方法は、
タケノコミルク飲料を得るにあたり、茹でたタケノコと水と砂糖の割合を、茹でたタケノコ100重量%に対し、水10~120重量%、砂糖5~12重量%とすることを第2の特徴とする。
【0011】
本発明に係る植物性ミルク飲料の製造方法は、
タケノコミルク飲料を得るにあたり、前記砂糖は湯に溶かした状態でブレンダーに投入することを第3の特徴とする。
【0012】
本発明に係る植物性ミルク飲料の製造方法は、
タケノコミルク飲料を得るにあたり、冷ました後の茹でたタケノコと水と砂糖に加えて果実をブレンダーに投入することを第4の特徴とする。
【0013】
本発明に係る植物性ミルク飲料の製造方法は、
タケノコと水と砂糖と炭酸水を準備し、所定の大きさにカットしたタケノコを沸騰した湯に投入し、生タケノコの場合は中火で45分~120分、水煮タケノコの場合は中火で7分~15分茹で、茹でたタケノコを取り上げて水を切って冷まし、冷ました後の茹でたタケノコを薄くカットして乾燥させた後粉状にしてタケノコパウダーを得、得られたタケノコパウダーに水と砂糖を加えて弱火で5~15分加熱し、これらのブレンド材料が黄金色になったら火を止めてフィルタに濾しかつ熱を冷ましてタケノコを主成分とするタケノコミルクシロップを得、得られたタケノコミルクシロップに炭酸水を加えてタケノコミルクソーダ飲料を得ることを第5の特徴とする。
【0014】
本発明に係る植物性ミルク凝固食品の製造方法は、
タケノコと水と砂糖に加えて第4の材料を準備し、所定の大きさにカットしたタケノコを沸騰した湯に投入し、生タケノコの場合は中火で45分~120分、水煮タケノコの場合は中火で7分~15分茹で、茹でたタケノコを取り上げて水を切って冷まし、冷ました後の茹でたタケノコに水と砂糖を加えてブレンダーに投入し、これらの材料をブレンドしてタケノコを主成分とするタケノコミルクを得、得られたタケノコミルクに第4の材料を加えて凝固させ、タケノコミルク凝固食品を得ることを第1の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によると、タケノコを主材料とし、植物性のタンパク質が多く、カリウムおよび植物繊維が豊富に含まれた植物性ミルク飲料、植物性ミルク凝固食品がそれぞれ得られるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明によれば、乳製品や豆乳、ナッツミルク、オーツミルクなどがアレルギーによって飲めない人たちでも、本発明によって得られた植物性ミルク飲料を飲むことにより、植物性のタンパク質を補い、豊富なカリウム、植物繊維を容易に摂取することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る植物性ミルク飲料の製造手順を示す図、
図2図1の製造手順により得られたタケノコミルク飲料と比較例である豆乳を示す図、
図3】寒山竹を材料として得られたタケノコミルク飲料を示す図、
図4】本発明に係る別の植物性ミルク飲料の製造手順を示す図、
図5図4の製造手順により得られたタケノコミルクソーダ飲料を示す図、
図6】タケノコミルクを使ったアイスキャンディーを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る植物性ミルク飲料として、タケノコミルク飲料の製造手順を示す図、図2図3図1の製造手順によって得られたタケノコミルク飲料を示している。以下、製造手順について説明する。
【0019】
最初に、タケノコミルク飲料の製造に用いる材料を準備する(S1)。材料はタケノコ、水、砂糖を基本とする。タケノコは孟宗竹(モウソウチク)、真竹(マダケ)、寒山竹(カンザンチク)、淡竹(ハチク)等から収穫される生タケノコ、市販の水煮タケノコを用いる。孟宗竹(モウソウチク)は3月から5月の間、真竹(マダケ)、寒山竹(カンザンチク)は5月から6月の間、タケノコを収穫できる。砂糖はテンサイ、サトウキビを原料とする白糖、グラニュー糖、三温糖、黒糖等を用いる。
【0020】
次に、準備したタケノコを茹でやすい大きさにカットする(S2)。収穫後のタケノコは皮を剥ぎ、頭の部分(全体の3分の1)は切り落とす。皮は茶色の部分とその内側の紫の部分まで剥ぎ取り、緑になって竹のように硬くなった部分は使用しない。
【0021】
次に、茹でやすい大きさ(中サイズ)にカットしたタケノコを鍋の中で沸騰した湯に投入し、落とし蓋をして、生タケノコの場合は45分~120分、水煮タケノコの場合は7分~15分、160~180℃の中火にかけて、タケノコを茹でる(S3)。上記設定時間の中で、柔らかめのタケノコは茹でる時間を比較的短く、硬めのタケノコは比較的長く調整する。茹でる最中にタケノコから発生するアクは適宜すくい上げて取り除く。タケノコに竹串が簡単にささる状態になったら、茹でたタケノコをザルに上げる。
【0022】
次に、ザルに上げたタケノコから水を切り、そのまま水で洗って冷ます(S4)。茹でたタケノコを水で洗って冷ます時間は約2~3分程度でよい。ザルに上げたタケノコから水を切るのは茹でたタケノコをきれいにするため、そのまま水で洗うのは茹でたタケノコを冷ますためである。
【0023】
次に、水で洗った茹でたタケノコをブレンダーに入る大きさにカットする(S5)。家庭用ブレンダーを用いる場合、一口大(3cm×3cm)にカットする。ブレンダーは、本体容器内に配置された回転刃で茹でたタケノコを細かく刻み、一緒に投入された水と砂糖を撹拌する機械である。これらの材料を一定時間ブレンダーにかけることで、茹でたタケノコがミルク状になる。ブレンダーは家庭用、業務用を問わない。ブレンダーの代わりにミキサーを用いても良い。
【0024】
次に、カットした茹でたタケノコと水と砂糖をブレンダーに投入し、一定時間、ブレンダーにかける(S6)。ブレンダーにかける時間は15~25分程度とする。ブレンダーの本体容器内で茹でたタケノコが、回転する刃により細かく刻まれ、また、水および砂糖と均一に撹拌される。ブレンダーに投入する材料の割合は、タケノコ100重量%に対し、水10~120重量%、砂糖5~12重量%とする。15分間以上ブレンダーにかけると、刻まれたタケノコがきめ細かくなり、また、水や砂糖と十分撹拌され、得られたタケノコミルクがミルク状の均一な性状となる。
【0025】
砂糖は湯で溶かした状態で投入すると、甘さが引き立ち、また、砂糖を入れることで、茹でたときのタケノコ特有の匂いを減じさせ、飲みやすくなる。砂糖を溶かす湯は前記配合の水の割合に含める。
【0026】
上記割合の範囲の中で、タケノコに対する水の割合を少なくすると、得られるタケノコミルクはクリーミーさが増し、また、タケノコの風味が濃くなる。タケノコに対する水の割合を多くすると、得られるタケノコミルク飲料はサラッとした状態となり、タケノコの風味が薄くなる。タケノコに対する砂糖の割合を多くすると、タケノコミルクの甘みが増し、タケノコに対する砂糖の割合を少なくすると、タケノコミルクの甘みが減じる。
【0027】
タケノコは、植物性タンパク質を多く含み、カリウムおよび食物繊維が豊富で、カロリーが低いという特徴がある。表1にタケノコ(孟宗竹で茹でたもの)の100gあたりの成分例を示す。
【0028】
【表1】
【0029】
上記の手順で製造されたタケノコミルクは、植物性のタンパク質を多く含み、飲料として飲むことによりタンパク質を補うことができる。タンパク質は筋肉や臓器の構成成分になるなど体を作る上で重要な役割があり、ダイエット中にも有用である。
【0030】
得られたタケノコミルクは、カリウムが豊富で、カリウムは体の余分な塩分を水分と一緒に排出してくれる働きがあり、タケノコミルクを飲むことにより、むくみ防止や血圧を下げる効果がある。
【0031】
また、得られたタケノコミルクは、食物繊維が豊富で、食物繊維は便通を良くし、特に、タケノコに含まれる食物繊維は水に溶けにくい不溶性食物繊維が殆ど占めており、水を含むと食物繊維が膨らみ、腸を刺激して便通を良好にする。キャベツやレタスも食物繊維が多いが、タケノコはその2倍に近い。
【0032】
さらに、得られたタケノコミルクは、カロリーが低いのでダイエットに良好である。
【0033】
上記のようにして製造されたタケノコミルク飲料は、乳製品が苦手な人、乳製品(牛乳など)に含まれる成分にアレルギーをもって乳製品を摂取できない人、豆乳が苦手な人、豆乳に含まれる成分にアレルギーをもって豆乳を飲めない人、アーモンドミルクが苦手な人、アーモンドミルクに含まれる成分にアレルギーをもってアーモンドミルクを飲めない人、ライスミルクが苦手な人、ライスミルクに含まれる成分にアレルギーをもってライスミルクを飲めない人であっても、飲むことができ、これらの製品や飲料にアレルギーをもつ消費者向けの飲料として非常に優れている。タケノコミルク飲料を飲むことで、必要なタンパク質を補い、豊富なカリウム、食物繊維を摂取することができる。
【0034】
上記のようにして製造されたタケノコミルク飲料は、野菜嫌いな子供の栄養を補うことができ、また、植物性のタンパク質を補うことができるので、動物性のものを取らない食生活を送る人々に対しても好適な飲料となる。
【0035】
タケノコミルクの製造過程によると、茹でたタケノコをブレンダーにかけてそのまま飲料にすることができ、豆乳の製造過程のように、大豆の皮を濾すという工程がなく、ミルク状飲料を容易に製造することができる。
【0036】
タケノコは、全国で採れる(特に九州は多く採れる)ので採算に乗りやすい。また、タケノコミルクの製造は、放置竹林の対策に悩む自治体にとって好適な対策となる。砂糖は様々な種類を用いることができるが、サトウキビを原料とする砂糖が健康飲料に好適であり、サトウキビ農家の支援につながる。
【0037】
製造されたタケノコミルクは、色々なアレンジが可能である。
【0038】
タケノコミルクにイチゴを加えるとイチゴ味のイチゴミルク飲料が得られる。イチゴは、ブレンダーで潰して液状にしてからタケノコミルクに加えて良いし、タケノコミルクを製造する際にブレンダーに一緒に加えても良い。ミキサーでスムージーを製造することもできる。スムージーの材料として、イチゴの代わりにあんこ、バナナ、枇杷などを用いることができる。
【0039】
タケノコミルクに山芋とイチゴを加えるとプリンのようなデザートが得られる。山芋は磨り潰すと粘性が増すので、ブレンダーで山芋とイチゴを潰してからタケノコミルクに加えても良いし、タケノコミルクを製造する際にブレンダーに山芋とイチゴを一緒に加えても良い。出来たものを冷やして凝固させると植物性ミルク凝固食品としてプリン状のデザートが得られる。
【0040】
タケノコミルクにサトウキビ絞り汁とハチミツを加えて混ぜ、これら混合材料を容器に入れて冷凍室で凍らすとアイスキャンディーが得られる。
【0041】
図4は本発明に係る植物性ミルク飲料として、タケノコミルクに炭酸水を混ぜたタケノコミルクソーダ飲料の製造手順を示す図、図5は同図の製造手順によって得られたタケノコミルクソーダ飲料を示している。以下、製造手順について説明する。
【0042】
最初にタケノコミルクシロップを製造する。図4を参照して、材料としてタケノコ、水、砂糖、炭酸水を準備する(S1)。炭酸水は最後に用いる。
【0043】
次に、準備したタケノコを茹でやすい大きさにカットする(S2)。タケノコは市販の真空パック入りの水煮タケノコか、生タケノコを用いる。
【0044】
次に、茹でやすい大きさの中サイズにカットしたタケノコを鍋の中で沸騰した湯に投入し、落とし蓋をして、生タケノコの場合は45分~120分、水煮タケノコの場合は7分~15分、160~180℃の中火にかけて、タケノコを茹でる(S3)。茹でる最中に適宜アクをすくい上げる。タケノコに竹串が簡単にささるような状態になったら、ザルに上げる。
【0045】
次に、ザルに上げたタケノコから水を切り、そのまま水で洗って冷ます(S4)。茹でたタケノコを水で洗って冷ます時間は約2~3分程度でよい。
【0046】
次に、水で洗った茹でたタケノコを薄くカットし、乾燥機械を用いて完全に乾燥させた後、機械を用いて粉状に磨り潰し、粒状のタケノコパウダーを得る(S5)。
【0047】
材料の割合は、一例として市販の水煮タケノコ(真空パック)1800~2000g(中サイズ4~6個)、水600ml、砂糖600mlとする。生タケノコを用いる場合、茹でた後の重量を1800~2000gに合せる。タケノコ100重量%に対し、水20~35重量%、砂糖20~35重量%とする。
【0048】
次に、市販のフライパンの上に、上記割合のタケノコパウダー、水、砂糖を投入し、5分~15分弱火にかけて混ぜる。ぶくぶくと泡が出てきて全体が黄金色になったら火を止めてフィルタの上から濾して固形物を完全に取り除く。熱を冷ましたらタケノコシロップが出来上がる(S6)。
【0049】
次に、得られたタケノコシロップと炭酸水(ソーダ)を混ぜ合わせ(S7)、タケノコミルクソーダ飲料を完成させる(S8)。
【0050】
材料として白砂糖を用いるとタケノコミルクシロップの仕上がりの色が薄くなり、また薄味となる。黒砂糖(サトウキビ)を用いるとタケノコミルクシロップの仕上がりの色が濃くなり、また味にコクがでる。
【0051】
タケノコミルクシロップには生姜パウダー、乾燥ローズマリー、他ハーブパウダーを加えて良い。例えば、タケノコミルクシロップ500mlに対し、生姜パウダー1~2ティースプーン、乾燥ローズマリー小さじ1~2スプーン、他ハーブパウダー1~2ティースプーンを加える。
【実施例0052】
発明者は、約500~520gの生タケノコを茹でやすい大きさにカットして、沸騰した湯に投入し、落し蓋をして1時間半~2時間中火にかけた。その後、茹でたタケノコをザルにあげて水を切り、そのまま3分間ほどタケノコを洗って冷まし、茹でたタケノコをブレンダーに入る一口大の大きさにカットした。タケノコの種類は孟宗竹を用いた。そして、カットしたタケノコと、約600~650mlの水、大さじ5~6杯の砂糖をブレンダーに投入し、15分間以上ブレンダーにかけたところ、非常になめらかなでクリーミーでありながら、爽やかな味のタケノコミルクができ上がった。図2にでき上がったタケノコミルク1(左)と比較例としての豆乳(右)を示す。
【実施例0053】
発明者は、寒山竹の生タケノコを用いて、上記実施例1と同じ配合および手順でタケノコミルクを製造した。寒山竹の生タケノコは柔らかく、茹でる時間は45分から1時間とした。できあがったタケノコミルクは、茹でたタケノコに特有の匂いがほぼ無く、実施例1と同様に、非常になめらかなでクリーミーでありながら、爽やかな味のタケノコミルクができ上がった。図3にでき上がったタケノコミルク2の例を示す。
【実施例0054】
発明者は、実施例1で得られたタケノコミルク1にサトウキビ絞り汁とハチミツを加えて混ぜたものを容器に入れ、冷凍室で凍らせてアイスキャンディーを製造した。得られたアイスキャンディーは、ざらざら感がなく、非常になめらかな味わいのアイスキャンディーができ上がった。図6にでき上がったアイスキャンディー4の例を示す。
【0055】
かくして、本発明によると、タケノコを主材料とし、植物性のタンパク質が多く、カリウムおよび植物繊維が豊富に含まれた植物性ミルク飲料、すなわちタケノコミルク飲料を得ることができた。得られたタケノコミルク飲料は、乳製品や豆乳、ナッツミルク、オーツミルクなどがアレルギーによって飲めない人たちでも飲むことができ、タケノコミルク飲料によって、植物性のタンパク質を補い、豊富なカリウム、植物繊維を容易に摂取することができるようになった。さらに、得られたタケノコミルクを使って、色々なアレンジの飲料、凝固食品を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、タケノコを主材料とする植物性ミルク飲料の製造方法、植物性ミルク凝固食品の製造方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1,2 タケノコミルク
3 タケノコミルクソーダ
4 アイスキャンディー
図1
図2
図3
図4
図5
図6