(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174545
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】モーター相電流再構成
(51)【国際特許分類】
H02P 21/14 20160101AFI20231130BHJP
【FI】
H02P21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】43
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023074987
(22)【出願日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】17/824,557
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100125818
【弁理士】
【氏名又は名称】立原 聡
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エマニュエル アティエンザ タン
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ベレン アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャエビー マーク クイロズ カルデロン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘンリー レメンティラ プエンテ
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA04
5H505AA09
5H505DD06
5H505EE41
5H505GG04
5H505GG06
5H505HB01
5H505JJ04
5H505LL14
5H505LL22
5H505LL41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動作を実施するように構成された相電流再構成器を備える、モーター駆動システムのためのシステム制御装置を提供する。
【解決手段】動作は、固定子電流角度と、動作時にモーター駆動システムを駆動する複数のそれぞれのデバイスからの複数の相電流検出信号とを受信することと、それぞれの相電流に対する再構成スケーリングファクターを記憶した複数の参照表の中から参照表を、受信された固定子電流角度に基づいて選択することと、それぞれの相電流に対するそれぞれの再構成スケーリングファクターを、選択された参照表から取得することと、複数のデバイスに対するそれぞれの再構成された相電流の大きさの値を、取得された再構成スケーリングファクターから生成することと、再構成された相電流の大きさの値を出力することとを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター駆動システムのためのシステム制御装置であって、前記システム制御装置が、
相電流再構成器であって、
固定子電流角度と、動作時に前記モーター駆動システムを駆動する複数のそれぞれのデバイスからの複数の相電流検出信号とを受信することと、
それぞれの相電流に対する再構成スケーリングファクターを記憶した複数の参照表の中から参照表を、受信された前記固定子電流角度に基づいて選択することと、
それぞれの前記相電流に対するそれぞれの再構成スケーリングファクターを、選択された前記参照表から取得することと、
複数の前記デバイスに対するそれぞれの再構成された相電流の大きさの値を、取得された前記再構成スケーリングファクターから生成することと、
前記再構成された相電流の大きさの値を出力することと、
を含む動作を実施するように構成された、前記相電流再構成器と、
出力された前記再構成された相電流の大きさの値を受信するように、および、固定子の基準座標系のアルファ成分とベータ成分とを生成するように構成された基準座標系変換器と、
前記アルファ成分と前記ベータ成分とを受信するように、および、前記固定子電流角度の推定結果を演算するように、および、前記相電流再構成器に戻すように前記固定子電流角度の前記推定結果を提供するように構成された固定子電流角度推定部と、
前記再構成された相電流の大きさの値に基づいて複数の前記デバイスに対する制御信号を生成するように構成された制御信号生成器と、
を備える、システム制御装置。
【請求項2】
前記相電流再構成器が、前記固定子電流角度に応じてセクターとセクター角度とを特定する、
請求項1に記載のシステム制御装置。
【請求項3】
前記相電流再構成器が、前記複数の参照表に対するインデックスを特定し、前記インデックスが、実質的に前記固定子電流角度と前記セクター角度との間の差である、
請求項2に記載のシステム制御装置。
【請求項4】
前記複数の参照表が、第1の参照表と第2の参照表と第3の参照表とを含み、
前記第1の参照表と前記第2の参照表と前記第3の参照表とに記憶された前記再構成スケーリングファクターが、前記インデックスに応じたものである、
請求項3に記載のシステム制御装置。
【請求項5】
前記第1の参照表に記憶された前記再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスと120度との和のサインを前記インデックスのサインで割ったものである、
請求項4に記載のシステム制御装置。
【請求項6】
前記第2の参照表に記憶された前記再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスと120度との差のサインを前記インデックスのサインで割ったものである、
請求項4に記載のシステム制御装置。
【請求項7】
前記第3の参照表に記憶された前記再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスのサインを前記インデックスと120度との間の差のサインで割ったものである、
請求項4に記載のシステム制御装置。
【請求項8】
前記複数の参照表が、第1の参照表と第2の参照表とを含み、前記第1の参照表と前記第2の参照表とに記憶された前記再構成スケーリングファクターが、前記インデックスに応じたものである、
請求項3に記載のシステム制御装置。
【請求項9】
前記第1の参照表に記憶された前記再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスと60度との和のサインを60度と前記インデックスとの間の差のサインで割ったものである、
請求項8に記載のシステム制御装置。
【請求項10】
前記第2の参照表に記憶された前記再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスのサインを前記インデックスと60度との和のサインで割ったものである、
請求項8に記載のシステム制御装置。
【請求項11】
前記固定子電流角度推定部が、位相ロックループを含む、
請求項1に記載のシステム制御装置。
【請求項12】
前記固定子電流角度推定部が、
前記ベータ成分と前記固定子電流角度のコサインとを受信するように構成された、および、前記ベータ成分と前記固定子電流角度の前記コサインとを乗じるように更に構成された第1の乗算器と、
前記アルファ成分と前記固定子電流角度のサインとを受信するように構成された、および、前記アルファ成分と前記固定子電流角度の前記サインとを乗じるように更に構成された第2の乗算器と、
前記第1の乗算器の出力から前記第2の乗算器の出力を減算するように構成された第1の算術演算素子と、
利得Kpを使用して前記第1の算術演算素子の出力を増幅するように構成された第1の増幅器と、
利得Kiを使用して前記第1の算術演算素子の前記出力を増幅するように構成された第2の増幅器と、
前記第2の増幅器の出力を積分するように構成された第1の積分器と、
前記第1の増幅器の出力と前記第1の積分器の出力とを受信するように構成された第2の算術演算素子であって、前記第2の算術演算素子が、前記第1の増幅器の前記出力と前記第1の積分器の前記出力とを足し合わせる、前記第2の算術演算素子と、
前記第2の算術演算素子の出力を積分するように、および、前記固定子電流角度を提供するように構成された第2の積分器と、
を更に備える、
請求項11に記載のシステム制御装置。
【請求項13】
前記アルファ成分と前記ベータ成分とに応じて、回転子フラックスベクトルの角度位置を表す回転子角度を出力するように構成された回転子位置推定部を更に備える、
請求項1に記載のシステム制御装置。
【請求項14】
前記基準座標系変換器が、前記アルファ成分および前記ベータ成分を横軸成分および直軸成分に更に変換するように構成されており、前記横軸成分および前記直軸成分が、前記アルファ成分および前記ベータ成分の静止対回転座標系変換である、
請求項1に記載のシステム制御装置。
【請求項15】
前記横軸成分と前記直軸成分とモーターの特性を表す入力とを受信するように構成された比例・積分器制御ブロックであって、前記比例・積分器制御ブロックが、前記モーターの前記特性に応じて、前記横軸成分を調節するための制御信号と前記直軸成分を調節するための制御信号とを出力するように構成された、前記比例・積分器制御ブロックと、
前記横軸成分を調節するための前記制御信号と前記直軸成分を調節するための前記制御信号とを受信するように、および、前記相電流の大きさを調節するための複数の制御信号を出力するように構成された第2の基準座標系変換器であって、前記相電流の大きさを調節するための複数の前記制御信号が、前記横軸成分を調節するための前記制御信号および前記直軸成分を調節するための前記制御信号の変換であり、前記制御信号生成器が、前記相電流の大きさを調節するための複数の前記制御信号を受信するように、および、複数の前記デバイスに対する複数の前記制御信号を出力するように更に構成された、前記第2の基準座標系変換器と、
を更に備える、請求項14に記載のシステム制御装置。
【請求項16】
前記回転子角度を受信するように構成された比例・積分器制御ブロックであって、前記比例・積分器制御ブロックが、モーターの前記特性と前記回転子角度とに応じて、横軸成分を調節するための制御信号と直軸成分を調節するための制御信号とを出力するように構成された、前記比例・積分器制御ブロックと、
前記横軸成分を調節するための前記制御信号と前記直軸成分を調節するための前記制御信号とを受信するように、および、前記相電流の大きさを調節するための複数の制御信号を出力するように構成された第2の基準座標系変換器であって、前記相電流の大きさを調節するための複数の前記制御信号が、前記横軸成分を調節するための前記制御信号および前記直軸成分を調節するための前記制御信号の変換である、前記第2の基準座標系変換器と、
を更に備え、
前記制御信号生成器が、前記相電流の大きさを調節するための複数の前記制御信号を受信するように、および、複数の前記デバイスに対する複数の前記制御信号を出力するように更に構成された、
請求項13に記載のシステム制御装置。
【請求項17】
モーターの複数の相電流を再構成するための方法であって、前記方法が、
第1の相電流検出信号と第2の相電流検出信号と第3の相電流検出信号とを受信することと、
固定子電流角度に応じて、角度の複数のセクターからセクターを選択することと、
選択された前記セクターに応じてセクター角度を特定することと、
前記第1の相電流検出信号、前記第2の相電流検出信号、および前記第3の相電流検出信号のうちの1つが利用可能であるか否かを判定することと、
前記セクターと、前記第1の相電流検出信号、前記第2の相電流検出信号、および前記第3の相電流検出信号のうちの1つが利用可能であるか否かを判定することとに応じて、参照表を選択することと、
前記固定子電流角度と前記セクター角度との間の差に応じてインデックスを特定することと、
前記インデックスに応じて、選択された前記参照表に記憶されたスケーリングファクターを選択することと、
選択された前記スケーリングファクターと特定された利用可能な相電流検出信号とに応じて、再構成された相電流の大きさの値を出力することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記角度の複数のセクターが、実質的に前記固定子電流角度の60度の増分であり、第0のセクター、第1のセクター、第2のセクター、第3のセクター、第4のセクター、および第5のセクターを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の相電流検出信号を第1の閾値と比較することと、
前記第2の相電流検出信号を第2の閾値と比較することと、
前記第3の相電流検出信号を第3の閾値と比較することと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の相電流検出信号が前記第1の閾値より大きいこと、および、第2の相電流が前記第2の閾値より大きいことを特定することと、
第1の再構成された相電流の大きさが実質的に前記第1の相電流検出信号にマイナスを掛けたものであることを特定することと、
第2の再構成された相電流の大きさが、実質的に前記第2の相電流検出信号にマイナスを掛けたものであることを特定することと、
第3の再構成された相電流の大きさが実質的に前記第1の相電流検出信号と前記第2の相電流検出信号との和であることを特定することと、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の相電流検出信号が前記第1の閾値より大きいこと、および、第3の相電流が前記第3の閾値より大きいことを特定することと、
第1の再構成された相電流の大きさが実質的に前記第1の相電流検出信号にマイナスを掛けたものであることを特定することと、
第2の再構成された相電流の大きさが実質的に前記第1の相電流検出信号と前記第3の相電流検出信号との和であることを特定することと、
第3の再構成された相電流の大きさが実質的に前記第3の相電流検出信号にマイナスを掛けたものであることを特定することと、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の相電流検出信号が前記第2の閾値より大きいこと、および、第3の相電流が前記第3の閾値より大きいことを特定することと、
第1の再構成された相電流の大きさが実質的に前記第2の相電流検出信号と前記第3の相電流検出信号との和であることを特定することと、
第2の再構成された相電流の大きさが実質的に前記第2の相電流検出信号にマイナスを掛けたものであることを特定することと、
第3の再構成された相電流の大きさが実質的に前記第3の相電流検出信号にマイナスを掛けたものであることを特定することと、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
始動動作が完了しているか否かを判定することと、
前記始動動作が完了してない場合、前記固定子電流角度を特定するために、受信された回転子角度を使用することと、
前記始動動作が完了している場合、前記固定子電流角度に対して、受信された推定された固定子電流角度を使用することと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第0のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第2のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合または、前記セクターが前記第4のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、第1の参照表を選択することと、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の参照表に記憶された再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスと120度との和のサインを前記インデックスのサインで割ったものである、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第0のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第2のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第4のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、第2の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の参照表に記憶された再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスと120度との間の差のサインを前記インデックスのサインで割ったものである、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第1のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第3のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第5のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、第3の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記第3の参照表に記憶された再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスのサインを前記インデックスと120度との間の差のサインで割ったものである、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第0のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第2のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第4のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、逆の第1の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項31】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第0のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第2のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第4のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、逆の第2の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項32】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第1のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第3のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第5のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、逆の第3の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項33】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第0のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第2のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第4のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、第1の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の参照表に記憶された再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスと60度との和のサインを60度と前記インデックスとの間の差のサインで割ったものである、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第1のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第3のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第5のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、第2の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の参照表に記憶された再構成スケーリングファクターが、実質的に前記インデックスのサインを前記インデックスと60度との和のサインで割ったものである、
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第0のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第2のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第4のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、逆の第1の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項38】
前記セクターに応じて前記参照表を選択することが、
前記セクターが前記第1のセクターであって前記第1の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第3のセクターであって前記第2の相電流検出信号が利用可能である場合、または、前記セクターが前記第5のセクターであって前記第3の相電流検出信号が利用可能である場合、逆の第2の参照表を選択すること、
を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項39】
モーターの複数の相電流を再構成するための方法であって、前記方法が、
固定子電流角度と、動作時にモーター駆動システムを駆動する複数のそれぞれのデバイスからの複数の相電流検出信号とを受信することと、
それぞれの前記相電流に対する再構成スケーリングファクターを記憶した複数の参照表の中から参照表を、受信された前記固定子電流角度に基づいて選択することと、
それぞれの前記相電流に対するそれぞれの前記再構成スケーリングファクターを、選択された前記参照表から取得することと、
複数の前記デバイスに対するそれぞれの再構成された相電流の大きさの値を、取得された前記再構成スケーリングファクターから生成することと、
前記再構成された相電流の大きさの値を出力することと、
を含む、方法。
【請求項40】
前記複数の参照表の中から前記参照表を、受信された前記固定子電流角度に基づいて選択することが、
前記複数の相電流検出信号のうちのどの1つが利用可能であるかを特定することと、
受信された前記固定子電流角度と利用可能な前記複数の相電流検出信号のうちの1つとに基づいて前記複数の参照表の中から前記参照表を選択することと、
を更に含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の相電流検出信号のうちのどの1つが利用可能であるかを特定することが、
前記複数の相電流検出信号をそれぞれの閾値と比較することと、
前記相電流検出信号がそれぞれの前記閾値より大きい場合、前記相電流検出信号が利用可能であると特定することと、
を更に含む、
請求項40に記載の方法。
【請求項42】
それぞれの前記再構成スケーリングファクターを、選択された前記参照表から取得することが、
固定子電流角度に応じた角度の複数のセクターから、セクターを、受信された前記固定子電流角度から特定すること、
特定された前記セクターからセクター角度を特定することと、
前記固定子電流角度と前記セクター角度との間の差に応じて、インデックスを特定することと、
選択された前記参照表からそれぞれの前記再構成スケーリングファクターを取得するために前記インデックスを使用することと、
を更に含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項43】
複数の前記デバイスに対するそれぞれの前記再構成された相電流の大きさの値を、取得された前記再構成スケーリングファクターから生成することが、
前記複数の相電流検出信号のうちのどの1つが利用可能であるかを特定することと、
複数の前記デバイスに対するそれぞれの前記再構成された相電流の大きさの値を生成するために、前記再構成スケーリングファクターに特定された利用可能な前記相電流検出信号を乗じることと、
を更に含む、
請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本発明は概してモータードライバに関し、特に、ブラシレスDCモータードライバに関する。
【背景技術】
【0002】
[002] 例えば通気ファン、冷却システム、冷却器、食器洗い機、洗濯/乾燥機、および多くの他の白物家電/物品といった家庭用および産業用電化製品は、典型的には電源から機械的負荷までエネルギーを伝達する電動モーターを使用する。電動モーターを駆動するための電気エネルギーは、電源から(例えばAC低周波電源から)電気エネルギーを取り出す駆動システムを通して提供される。電気エネルギーは電力コンバーターを通して処理され、所望の機械的な出力を達成するためにモーターに供給される所望の形態の電気エネルギーに変換される。モーターの所望の機械的な出力は、例えば、モーターの速度、トルク、またはモーターシャフトの位置であり得る。
【0003】
[003] モーターおよびモーターに関連した回路、例えばモータードライバがネットワーク負荷の大部分に相当する。モータードライバの機能、効率、サイズ、および価格は、これらの製品のサプライヤーが検討する、困難を伴い競争力に関連した要因である。モーター駆動部における電力コンバーターの機能は、モーターシャフトにおける所望の機械的な出力負荷の動き(例えば、スピン/力)のための、例えば電圧、電流、周波数、および位相といった入力電気信号をモーターに提供することを含む。一例における電力コンバーターは、DC入力を所望の電圧、電流、周波数、および位相のAC出力に変換するインバーターであり得る。電力コンバーターの制御装置は、センサーブロックから受信された信号に応答してエネルギーの流れを調節する。モーターまたは電力コンバーターからの低出力の検出された信号は、実際の値を所望の値と比較することにより閉ループシステムにおいて制御装置に送信される。制御装置は、対象出力を維持するように実際の値を所望の値と比較して出力を調節する。
【0004】
[004] ブラシレスDC(BLDC)モーターは、それらのより高い信頼性および効率の点から知られており、ブラシ付きDCおよびモーターに置き換わる、市場において一般的な選択肢となりつつある。それらは、例えば冷却器、空調機、真空掃除機、洗濯機/乾燥機、および他の白物物品といった家庭用電化製品、および、例えば電動ドリルまたは他の電動工具といった電力式工具において広く使用されている。BLDCモーターは、典型的にはハーフブリッジスイッチャーモジュールの組み合わせとしてインバーターステージを含む電力コンバーターを必要とする。ハーフブリッジスイッチャーモジュールは、より小サイズでより高効率な小型構造を提供する集積回路の内部の電力スイッチと制御ブロックとを含み得る。
【発明の概要】
【0005】
[005] 以下の図を参照しながら、本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態が説明され、異なる図の中の同様の参照符号は、別段の指定がない限り同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】[006]
図1Aは、本開示の教示による、三相モーターのための相電流再構成を伴う例示的なモーター駆動システムを示す。
【
図1B】[007]
図1Bは、本開示の教示による、
図1Aのハーフブリッジモジュールおよび相電流再構成を伴うシステム制御装置の一例を示す。
【
図2A】[008]
図2Aは、本開示の教示による
図1Aの三相モーターに対する相電流および相電流検出信号の図を示す。
【
図2B】[009]
図2Bは、本開示の教示による、
図1Aのモーター駆動システムに対する二次元基準軸と三次元基準軸とを含むベクトル図を示す。
【
図3A】[0010]
図3Aは、本開示の教示による、
図1Aの相電流再構成を伴うシステム制御装置の機能ブロック図である。
【
図3B】[0011]
図3Bは、本開示の教示による、
図1Aの相電流再構成を伴う別のシステム制御装置の機能ブロック図である。
【
図4】[0012]
図4は、本開示の教示による、
図3の固定子電流角度推定結果の機能ブロック図である。
【
図5】[0013]
図5は、本開示の教示による、相電流再構成の1つの例示的な方法を示すフロー図である。
【
図6A】[0014]
図6Aは、本開示の教示による、
図5の相電流を再構成するための適切な参照表を選択するための1つの例示的な表である。
【
図6B】[0015]
図6Bは、本開示の教示による、
図6Aの相電流を再構成するための参照表の内容を示す1つの例示的な表である。
【
図7A】[0016]
図7Aは、本開示の教示による、
図5の相電流を再構成するための適切な参照表を選択するための別の例示的な表である。
【
図7B】[0017]
図7Bは、本開示の教示による、
図7Aの相電流を再構成するための参照表の内容を示す別の例示的な表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0018] 図面中の複数の図にわたり、対応する参照符号が対応するコンポーネントを示す。当業者は、図中の要素が簡潔かつ明確であるように描かれること、および、一定の縮尺で描かれているとは限らないことを理解する。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、本発明の様々な実施形態をより理解しやすくするために、他の要素より誇張される場合がある。更に、市販に適した実施形態において有用なまたは必要な、一般的だが良く理解される要素は、多くの場合、本発明に係るこれらの様々な実施形態の図が見づらくならないように、描かれない。
【0008】
[0019] 以下の説明では、本発明を十分に理解してもらうために、多くの特定の詳細事項が記載される。しかし、本発明を実施するために特定の詳細事項が使用されるとは限らないことが当業者に明らかである。他の例を挙げると、よく知られた材料または方法については、本発明が理解しにくくなるのを防ぐために、詳細には説明されていない。
【0009】
[0020] 本明細書中での、「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、または「例」についての言及は、実施形態または例との関連で説明される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所における「一実施形態において」、「実施形態において」、「一例」、または「例」といった表現の使用は、すべてが同じ実施形態または例に関連するとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態または例において、任意の適切な組み合わせ、および/または部分的組み合わせで組み合わされてもよい。特定の特徴、構造、または特性は、説明される機能を提供する集積回路、電子回路、結合論理回路、または他の適切なコンポーネントに含まれてもよい。加えて、本明細書とともに提供される図が当業者への説明を目的としていること、および図面が一定の縮尺で描かれているとは限らないことが理解される。
【0010】
[0021] ブラシレスDC(BLDC)モーターは、ブラシ付きDCおよびACモーターを置き換えるための一般的な選択肢になりつつある。それらは例えば冷却器、空調機、真空掃除機、洗濯機/乾燥機、ファン、ポンプ、および他の白物物品といった家庭用電化製品、および、例えば電動ドリルまたは他の電動工具といった電力式工具において広く使用される。BLDCモーターは典型的には1つまたは複数のハーフブリッジモジュールのインバーターステージを含む電力コンバーターを使用する。ハーフブリッジモジュールは概して電力スイッチ、ハーフブリッジ構成で結合されたハイ側電力スイッチおよびロー側電力スイッチ、および、電力スイッチをオンまたはオフに駆動するためのそれらのそれぞれのスイッチ制御装置を含む。BLDCモーターのためのモーター駆動システムは更に概して、電力スイッチのオン切り替えとオフ切り替えとを制御するために、および、ひいてはBLDCモーターの回転子シャフトの所望の運動を制御するために、モーターの特性に関連した検出信号を受信する、および、ハーフブリッジモジュールに制御信号を送信するシステム制御装置を含む。
【0011】
[0022] 三相モーターは3つの巻線を伴う、U、V、およびWと呼ばれる3つの端子を含む。巻線およびそれに伴う相は概して、それらに対応する端子により参照される。三相モーターのためのモーター駆動システムは、IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWというモーターの三相電流の大きさと方向とを制御するために、システム制御装置と3つのハーフブリッジモジュールとを使用する。システム制御装置は、例えば台形波またはサイン波コミュテーションといった幾つかの異なる制御スキームを使用し得る。台形波コミュテーションの場合、電流は一度に1ペアずつモーター端子を通して制御され、第3のモーターは端子的に電気的に接続解除される。しかし、モーター端子はペアでのみ制御されるので、モーターが制御され得るのは6つのディスクリートな方向しか存在しない。したがって、位置ずれがよく起こり、制御は低いモーター速度ではぎくしゃくし得る。サイン波コミュテーションは、相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの形状がサイン波になるようにしながら3つのモーター巻線を駆動しようと試みる。迅速な過渡応答とともに、モーター位置と相電流との両方のフィードバック情報が概して、サイン波コミュテーションに必要である。しかし、高いモーター速度では、サイン波コミュテーションの過渡応答は十分ではない場合があり得、制御は高いモーター速度では大幅に劣化し得る。
【0012】
[0023] フィールド指向制御は、電流空間ベクトルと呼ばれることの多いベクトルとして相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの表現を利用するシステム制御装置により使用され得る別の制御スキームである。所与の巻線に対する電流空間ベクトルは、その巻線により生成された磁場を表す方向と、巻線を通る相電流に比例した大きさとをもつ。総固定子電流は、モーターの各巻線の各電流相ベクトルの和であるベクトルにより提示され得る。三相モーターの各電流空間ベクトルは実質的に120度(120°)離れている。
【0013】
[0024] フィールド指向制御(FOC)の場合、相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの電流空間ベクトルは、120度(120°)離れたU軸、V軸、およびW軸というモーター巻線の3軸基準座標系における固定子電流の表現を可能にする。3軸基準座標系における固定子電流ベクトルの表現は、クラーク変換を使用して90度(90°)離れたアルファ-軸(α軸)およびベータ-軸(β軸)という固定子の2軸基準座標系における固定子電流ベクトルの表現に変換され得る。固定子の2軸基準座標系における固定子電流ベクトルは、90度(90°)離れている直軸(d軸)および横軸(q軸)という回転子の回転する2軸基準座標系において更に表され得るが、パーク変換を使用して回転子に対して回転し得る。固定子電流ベクトルの直軸d軸成分が回転子を回転させない圧縮力を生成するのに対し、固定子電流ベクトルの横軸q軸成分はトルクを生成する。したがって、比例積分(PI)制御が、直軸成分を最小化するために、および、固定子電流ベクトルの横軸成分を最大化するために使用され得る。PI制御の出力は次に、固定子の固定の2軸基準座標系(90°離れたα軸およびβ軸)に戻すように変換され、次にモーター巻線の3軸基準に戻すように変換される。したがって、FOCを使用するシステム制御装置は、低速では滑らかな動きを伴い得、高速では高効率の動作を伴い得る。しかし、FOCが使用される場合、システム制御装置は、相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの全体を受信しなければならない。モーター駆動システムが相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWを測定するための1つの一般的な技術は、ハーフブリッジモジュールの各足のロー側スイッチと直列にシャント抵抗器を追加することである。例えば演算増幅器およびオフセットコンポーネントといった更なるコンポーネントが、システム制御装置が相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWを測定するために更に追加され、これは、非常に大きい物理的空間を使用し、コンポーネント数を増やし、システム全体のコストを上げる。
【0014】
[0025] 対照的に、BridgeSwitch(商標)ハーフブリッジモジュールは、ハーフブリッジモジュールのロー側スイッチを通って流れる電流に比例した、および従って相電流の一部に比例した相電流検出信号(IPH)を提供する端子を含む。しかし、相電流検出信号の各々は、それらのそれぞれの検出された相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの一部、特に相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの負の部分を提供する。したがって、任意の所与の時点において、全ての三相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWが、相電流検出信号から利用可能というわけではない場合があり得る。FOCを使用するために、相電流が、存在する少なくとも1つの相電流検出信号(IPH)から再構成されなければならない。
【0015】
[0026] 相電流の再構成は、https://www.power.com/design-support/whitepapers/direct-use-bridgeswitch-current-sense-signal-output-field-oriented-control-brushless-dc-motorsにおいて2019年8月に公開されたS.BaeurleおよびM.Ahmedを著者とする「Direct Use of BridgeSwitchTM Current Sense Signal Output in Field Oriented Control of Brushless DC Motors」と題する白書において説明されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかし、白書において提案された再構成アルゴリズムは、再構成スケーリングファクターを生成するための三角関数計算および除算の組み合わせであり、これはシステム制御装置のために非常に大きい処理能力を必要とし得る。再構成された相電流は実質的に再構成スケーリングファクターと相電流検出信号との乗算結果である。例えば、例えば48MHz Cortex-M0マイクロ制御装置といったマイクロ制御装置が多くの場合モーター駆動システムのためのシステム制御装置のために使用される。これらのマイクロ制御装置は概して、約48MHzの処理速度をもつ、約32kB~200kBのフラッシュメモリ、約8kB~16kBのRAMを含む。これらのマイクロ制御装置は、FOCを利用するために十分速い速度で電流再構成のための三角関数計算を実施することができない場合があり得る。例えば、白書の提案されている工程に従った相電流再構成は、典型的なモーター駆動システムとともに一般的に使用されるマイクロ制御装置に対して約836.63μsの処理時間がかかり得る。
【0016】
[0027] 例えばフィールド指向制御といった制御スキームの場合、相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWを検出することは相電流の電流フィードバックを必要とする。幾つかの推定では、ハーフブリッジモジュールの外部にある全部で29個のコンポーネントが、三相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの電流フィードバックを提供するために使用される。対照的に、本開示の実施形態は、ハーフブリッジモジュールのロー側スイッチを通って流れる電流に比例した、および従って相電流の一部に比例した内部で検出された相電流検出信号(IPH)を提供する端子を含むハーフブリッジモジュールを使用する。したがって、ハーフブリッジモジュール当たり1つの抵抗器が三相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの電流フィードバックを提供することに使用され得、電流フィードバックのための外部コンポーネント数を90パーセントぶん減らす。従来のシャント抵抗器の場合、相電流の全体が抵抗器を通って流れ、シャント抵抗器に起因した電力損失が非常に大きくなり得る。対照的に、内部で検出された相電流検出信号(IPH)は相電流自体よりはるかに小さい値である。例えば、相電流が1アンペア(A)であり得るのに対し、相電流検出信号は100μAであり得る。従来のシャント抵抗器が典型的には0.22オームの抵抗器であるのに対し、1つの抵抗器は相電流検出信号を電圧値に変換するために概して10kOhmである。従来の抵抗器に起因した電力損失が約220mWであるのに対し、IPH相電流検出信号に起因した電力損失は約0.1mWであり、電力損失の99.95%の改善がみられる。
【0017】
[0028] 本開示の実施形態は、相電流再構成のために使用される計算結果におけるパターンに気付いた。特に本開示の実施形態は、幾つかの反復パターンが60度(60°)ごとに発生することを認識した。したがって、360度(360°)の相電流は、実質的に60度(60°)の増分で6つのセクター(セクター0からセクター5)に区切られ得、反復パターンは固定子電流ベクトルの固定子電流角度Θαβに応じたものである。したがって、反復パターンは参照表により表され得、これが、相電流再構成のための処理時間を短くする計算結果のプリロードを可能にする。参照表は、固定子電流角度Θαβに応じてインデックスを付され得、適切な参照表の選択は、固定子電流角度Θαβと少なくとも1つの相電流検出信号(IPH)とに応じたものであり得る。固定子電流角度Θαβは、固定子電流ベクトルのアルファ成分およびベータ成分から推定され得る。更に、参照表に記憶された値は再構成スケーリングファクターを表す。再構成された相電流は実質的に再構成スケーリングファクターと利用可能な相電流検出信号との乗算結果である。したがって、複雑な三角関数計算を実施する代わりに、システム制御装置は、モーターの相電流を再構成するために相電流検出信号(IPH)と固定子電流角度Θαβとに応じて選択された複数の参照表を使用する。相電流が再構成された後、システム制御装置は、ハーフブリッジモジュールの様々なスイッチをオンに切り替えるために、およびオフに切り替えるために制御信号を提供するために、例えばFOCといった制御スキームを実施し得る。上述のように、マイクロ制御装置は、固定子電流角度Θαβを更に特定するために更なる量の処理時間を含まずに、相電流再構成の三角関数計算を実施するために836.63μs程度の処理時間がかかり得る。対照的に、参照表を使用する提示された開示の実施形態を使用するシステム制御装置は、相電流再構成を実施するために約2.63μsの処理時間がかかり得る。したがって、本開示の実施形態は、相電流再構成のための処理時間を短くし得、モーター駆動システムのためのフィールド指向制御を円滑化する。
【0018】
[0029]
図1Aは、高電圧(HV)バス107に結合された、および、例えば三相モーターといったモーター104を駆動するためにシステム制御装置106を使用して制御される3つのハーフブリッジインバーターモジュール102a、102b、および102cを含む多相モーター駆動システム100を示す。示されているように、各ハーフブリッジインバーターモジュール102a、102b、および102c、および、システム制御装置106は帰路111を基準とする。各ハーフブリッジモジュール102a、102b、および102cは、モーター104の三相端子U、V、およびWに結合される。モーター104の各相/足に対する電流は相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、およびI
PHASEW128と表記される。更に、各ハーフブリッジモジュール102a、102b、および102cは、システム制御装置102にそれらのそれぞれの相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、およびI
PHASEW128を表す相電流検出信号IPHU118、IPHV124、およびIPHW130を出力するように構成される。一例において、システム制御装置102は、本開示の教示に従って、少なくとも1つの相電流検出信号IPHU118、IPHV124、およびIPHW130から相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、およびI
PHASEW128を特定し得る。相電流検出信号IPHU118、IPHV124、およびIPHW130が、第1の相電流検出信号IPHU、第2の相電流検出信号IPHV、および第3の相電流検出信号IPHWと呼ばれ得るのに対し、相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、およびI
PHASEW128は、第1の相電流I
PHASEU、第2の相電流I
PHASEV、および第3の相電流I
PHASEWと呼ばれ得ることが理解されなければならない。
【0019】
[0030] 各ハーフブリッジモジュール102a、102b、および102cは、それぞれ、ハーフブリッジ構成をとって電力コンバーターまたはインバーターとしてまとまって結合されたハイ側電力スイッチ108a、108b、108cとロー側電力スイッチ110a、110b、110cとを含む。ハイ側スイッチ108a、108b、108c、および、ロー側スイッチ110a、110b、110cは、それらのそれぞれのアンチパラレルダイオードを伴うn型金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタとして示される。しかし、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、バイポーラトランジスタ、注入促進ゲートトランジスタ(IEGT)、およびゲートターンオフサイリスタ(GTO)といった他のトランジスタが使用され得ることが理解されなければならない。加えて、ハーフブリッジモジュール102a、102b、および102cは、窒化ガリウム(GaN)半導体または炭化ケイ素(SiC)半導体をベースとした電力スイッチとともに使用され得る。それらのそれぞれのハーフブリッジモジュール102a、102b、および102cの各ハイ側スイッチ108a、108b、108cとロー側スイッチ110a、110b、110cとの間のハーフブリッジ中点端子HB1、HB2、HB3が、多相モーター104の三相端子U、V、Wに結合される。一例において、モーター104はブラシレス三相DCモーターである。
【0020】
[0031] 各ハイスイッチ電力スイッチ108a、108b、108cのオン切り替えおよびオフ切り替えは、そのそれぞれのハイ側スイッチ制御装置112a、112b、112cにより制御されるのに対し、各ロー側電力スイッチ110a、110b、110cのオン切り替えおよびオフ切り替えは、そのそれぞれのロー側スイッチ制御装置114a、114b、114cにより制御される。スイッチ108a、108b、108c、112a、112b、および112cのスイッチング特性はモーター104へのエネルギーの流れを調節するために、それらのそれぞれのスイッチ制御装置により制御される。言い換えると、スイッチ制御装置112a、112b、112c、114a、114b、および114cは、モーター104の目標動作を維持するためにモーター104への出力を調節する。動作時、ハーフブリッジモジュール102a、102b、および102cは、HVバス107により供給される電気エネルギーからモーター104に(所望の機械的な出力負荷の動きのために例えば電圧、電流、周波数、および位相といった)入力電気信号を提供する。一例において、ハーフブリッジモジュール102a、102b、および102cは、モーター104を目標動作に制御するために、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128を制御する。
【0021】
[0032] ハーフブリッジモジュール102a、102b、102cの各々が、それぞれ電流検出回路115a、115b、115cを含む。示されているように、ロー側スイッチ制御装置114a、114b、114cの各々が、それぞれの電流検出回路115a、115b、115cを含む。電流検出回路115a、115b、115cは、それらのそれぞれのロー側電力スイッチ110a、110b、110cの電流を受信するように構成される。一例において、電流検出回路115a、115b、115cは、それらのそれぞれのロー側電力スイッチ110a、110b、110cのドレイン電流を受信する。ロー側電力スイッチ110a、110b、110cのドレイン電流は、ロー側電力スイッチ110a、110b、110cが伝導しているときの、それらのそれぞれのモーター相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128を表す。特に、電流検出回路115aは、ロー側電力スイッチ110aが伝導しているときの相電流IPHASEU116を表す。ロー側電力スイッチ110aのドレイン電流を受信する。電流検出回路115bは、ロー側電力スイッチ110nが伝導しているときの相電流IPHASEV122を表すロー側電力スイッチ110bのドレイン電流を受信する。電流検出回路115cはロー側電力スイッチ110cが伝導しているときの相電流IPHASEW128を表すロー側電力スイッチ110cのドレイン電流を受信する。したがって、電流検出回路115a、115b、115cは、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128のそれぞれの負の値を検出する。
【0022】
[0033] 各電流検出回路115a、115b、115cは、それらのそれぞれの相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130を出力する。一例において、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は電流信号である。示される例において、正の位相電流は、ハーフブリッジモジュールからモーターに流れる電流として定義される。したがって、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、それらのそれぞれの相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の負の値を表す。例えば、相電流検出信号IPHU118は相電流IPHASEU116の負の値を表し、相電流検出信号IPHV124は相電流IPHASEV122の負の値を表し、相電流検出信号IPHW130は相電流IPHASEW128の負の値を表す。一例において、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、それらのそれぞれの相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の正の値に対して一定値であり得る。一例において、一定値は、実質的にゼロである。しかし、電流検出回路115a、115b、および115cの幾つかの実施態様では、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、電流がロー側電力スイッチ110a、110b、110cを通っていない場合でも、最小の非ゼロの出力値をもつ。しかし、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の検出された負の値に対して、正の値を提供することが理解されなければならない。したがって、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、それぞれ、正の値の相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128に対して実質的に一定であり、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の負の値をそれぞれミラーリングする。
【0023】
[0034] システム制御装置106は、モーター104の動作を制御するために、ユーザー入力134から1つまたは複数のコマンド信号を受信するように構成される。例えば、システム制御装置106は、モーター104をオンに切り替えるために、およびモーター104の動作を開始させるために「オン」コマンドを受信し得、または逆に、モーター106の動作を停止させるために「オフ」コマンドを受信し得る。ユーザー入力134からの更なるコマンド信号は、例えば速度またはトルクといったモーター104の所望の機械的な出力を含み得る。更に、システム制御装置106は、モーター104の相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128を表す相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130を受信するように更に結合される。システム制御装置106は、モーター104の所望の機械的な出力を制御するために、これらの相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130を使用する。
【0024】
[0035] ユーザー入力134からのコマンド信号と相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130とに応答して、システム制御装置106は、ハイ側電力スイッチ108a、108b、108cとロー側電力スイッチ110a、110b、110cとのオン切り替えとオフ切り替えとを制御するために、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132を、それぞれ、ハーフブリッジモジュール102a、102b、102cに出力する。一例において、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132は、適用可能なハーフブリッジモジュールのハイ側電力スイッチおよびロー側電力スイッチをオンに切り替えるための、またはオフに切り替えるためのコマンドを表す。別の例では、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132は、それぞれの電力スイッチのスイッチング特性も表し得る。スイッチング特性は、電力スイッチのオン期間、オフ期間、デューティ比(典型的には総スイッチング周期に対するスイッチのオン期間の比)、スイッチング周波数、または電力スイッチの単位時間当たりのパルス数を含み得る。更に、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132は、電圧信号または電流信号であり得る。
【0025】
[0036] 一例において、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132は、可変長のハイ持続期間およびロー持続期間をもつ方形パルス幅波形である。一例において、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132に対するハイ値は、それぞれのハイ側スイッチ108a、108b、108cをオンに切り替えること、および、それぞれのロー側スイッチ110a、110b、110cをオフに切り替えることに対応し得る。制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132に対するロー値は、それぞれのロー側スイッチ110a、110b、110cをオンに切り替えること、および、それぞれのハイ側スイッチ108a、108b、108cをオフに切り替えることに対応し得る。それぞれの受信された制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132に応答して、ハイ側スイッチ制御装置112a、112b、112cがハイ側スイッチ110a、110b、110cのオン切り替えまたはオフ切り替えを駆動し、ロー側スイッチ制御装置114a、114b、114cがロー側スイッチ112a、112b、112cのオン切り替えまたはオフ切り替えを駆動する。
【0026】
[0037] システム制御装置106は本開示の実施形態による相電流再構成を更に実施する。上述のように、受信された相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、モーター104の相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の一部を表す。一例において、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、それぞれ、正の値の相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128に対して実質的に一定であり、それぞれ、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の負の値をミラーリングする。更に、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128は、互いに120度(120°)ぶんオフセットされ、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130も、互いに120度(120°)オフセットされる。したがって、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130のうちの1つまたは複数が一定値に実質的に等しい、および、それらのそれぞれの相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128に関連した情報を提供しない時間部分が存在する。例えばフィールド指向制御といったシステム制御装置106により使用され得る幾つかの制御スキームは、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132を特定するために、全ての三相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128を使用する。したがって、本開示の実施形態において、システム制御装置106は、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130のうちの1つまたは複数が例えばゼロまたは電流検出回路の最小出力といった一定値に実質的に等しいことに起因して、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128のうちの1つまたは複数に関連した情報が不足しているときに、相電流再構成を含む。
【0027】
[0038] 更に説明されるように、システム制御装置106は、固定子電流ベクトルの固定子電流角度Θαβおよび複数の参照表を使用して相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128を再構成する。システム制御装置106は、固定子電流ベクトルのアルファ成分とベータ成分とから固定子電流角度Θαβを特定する固定子電流角度推定部を更に含む。幾つかのパターンが相電流再構成のために使用される複素三角方程式に対して実質的に60度(60°)ごとに繰り返される。したがって、360度(360°)の相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128は、実質的に60度(60°)の増分で6つのセクター(セクター0からセクター5)に区切られ得、反復パターンは固定子電流角度Θαβに関連する。参照表はパターンを表すために使用され得、これが、相電流再構成のための複素三角関数計算結果のプリロードを可能にする。本開示の実施形態では、適切な参照表は、固定子電流ベクトルの推定された固定子電流角度Θαβと相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130とに応じて選択され得る。参照表自体は、固定子電流角度Θαβと固定子電流ベクトルのセクターとに関連してインデックスを付される。参照表自体は、それぞれの相電流を再構成するために使用される再構成スケーリングファクターを含む。1つの実施形態において、それぞれの相電流の再構成は、再構成スケーリングファクターと相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130のうちの1つとに応じて実現される。
【0028】
[0039]
図1Bは、システム制御装置106に相電流検出信号IPHU118を提供するように結合されたハーフブリッジモジュール102aの一例を示す。同様に命名された、および番号付けされた要素が上述のように結合すること、および機能することが理解されなければならない。更に、ハーフブリッジモジュール102aのみが
図1Bに示されているが、示されている結合がハーフブリッジモジュール102bおよび102cに対しても使用され得ることが理解されなければならない。
【0029】
[0040] 相電流検出信号IPHU118は、システム制御装置106に対してハーフブリッジモジュール102aにより出力された電流信号であり得る。相電流検出信号IPHU118は、ロー側電力スイッチ110aのドレイン電流および相電流I
PHASEU116の負の値を表す。抵抗器121が、帰路111と、相電流検出信号IPHU118を出力するハーフブリッジモジュール102aの端子とに結合されている。相電流検出信号IPHU118の電流信号出力は、抵抗器117を介して電圧信号V
IPHU121に変換され得る。ハーフブリッジモジュール102aのみが
図1Bに示されているが、抵抗器が、ハーフブリッジモジュール102b、102cにより出力された相電流検出信号を電圧信号に変換することに使用され得ることが理解されなければならない。
【0030】
[0041] 相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、I
PHASEW128のフィードバックを提供するための従来技術は、ハーフブリッジモジュール102a、102b、102cの各足のロー側スイッチ110a、110b、110cと直列なシャント抵抗器の使用を含んでいた。検出された相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、I
PHASEW128をシステム制御装置が受信するために、例えば演算増幅器およびオフセットコンポーネントといった更なるコンポーネントが更に追加され、これは、非常に大きい物理的空間を使用し、コンポーネント数を増やし、システム全体のコストを高める。以前の解決策では、例えば、ハーフブリッジモジュール102a、102b、102cの外部にある全部で29個のコンポーネントが、三相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、I
PHASEW128の電流フィードバックを提供するために使用される。対照的に、本開示の実施形態は、ハーフブリッジモジュール102a、102b、102cを含み、これらが、ロー側電力スイッチ110a、110b、110cのドレイン電流を表した、および従って、それらのそれぞれの相電流に比例した相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130を出力する。したがって、ハーフブリッジモジュール102a、102b、102c当たり
図1Bに示されている1つの抵抗器が三相電流I
PHASEU、I
PHASEV、I
PHASEWのフィードバックを提供するために使用され得、電流フィードバックのための外部コンポーネント数を90パーセントぶん減らす。従来のシャント抵抗器の場合、相電流I
PHASEU116の全体がシャント抵抗器を通って流れるおよび電力損失が非常に大きくなり得る。対照的に、ハーフブリッジモジュール102aにより内部から提供される相電流検出信号IPHU118は相電流I
PHASEU116を表し、約1Aの相電流I
PHASEU116自体に比べてはるかに小さい値、約100μAである。したがって、従来のシャント抵抗器に起因した電力損失が約220mWであり得るのに対し、相電流検出信号IPHU118に起因した電力損失は約0.1mWであり得、電力損失の99.95%の改善が見られる。
【0031】
[0042]
図2Aは、例示的な相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、およびI
PHASEW128の
図200、および、対応する例示的な相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130の
図201を示す。相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、およびI
PHASEW128は実質的にサイン関数であり、互いに120度(120°)ぶんシフトされる。例えば、相電流I
PHASEV122は相電流I
PHASEU116から120度(120°)ぶんシフトされるのに対し、相電流I
PHASEW128は相電流I
PHASEV122から120度(120°)ぶんシフトされる。したがって、相電流I
PHASEW128は、相電流I
PHASEU116から240度(240°)ぶんシフトされる。
図200と
図201との両方のx軸が、時間と固定子電流角度Θ
αβとを表す。示されているように、固定子電流角度Θ
αβに対するゼロ度(0°)では、相電流I
PHASEU116のピークの正の値に実質的に対応し、固定子電流角度Θ
αβに対する120度(120°)では、相電流I
PHASEV122のピークの正の値に実質的に対応するのに対し、固定子電流角度Θ
αβに対する240度(240°)では、I
PHASEW128のピークの正の値に実質的に対応する。相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、およびI
PHASEW128の各々は実質的に360度(360°)の周期を実質的にもつ。
【0032】
[0043] 相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、それらのそれぞれの相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の負の値を表す。更に、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、それらのそれぞれの相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の正の値に対して実質的に一定である。一例において、一定値は実質的にゼロである。しかし、電流検出回路115a、115b、および115cの幾つかの実施態様では、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は最小の非ゼロの出力値をもつ。したがって、一例において、一定値は非ゼロの出力値である。しかし、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の検出された負の値に対して、出力された相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は正であることが理解されなければならない。したがって、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、正の値の相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128に対してそれぞれ実質的に一定値であり、それぞれ、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の負の値をミラーリングする。
【0033】
[0044]
図201に示されるように、相電流検出信号IPHU118はゼロ度(0°)から90度(90°)まで実質的に一定値である。90度(90°)から270度(270°)の間、相電流検出信号IPHU118は、90度(90°)から270度(270°)の間の相電流I
PHASEU116の負の値を実質的にミラーリングする。相電流検出信号IPHU118は、270度(270°)から450度(450°)まで実質的に一定値である。
【0034】
[0045] 同様に、相電流検出信号IPHV124は、30度(30°)から210度(210°)まで実質的に一定値であり、210度(210°)から390度(390°)の間の相電流IPHASEV122の負の値を実質的にミラーリングする。相電流検出信号IPHW130は、150度(150°)から330度(330°)の間は実質的に一定値であり、330度(330°)から510度(510°)の間の相電流IPHASEW128の負の値を実質的にミラーリングする。したがって、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、180度(180°)のセクションに対して実質的に一定値であり、180度(180°)のセクションに対してそれらのそれぞれの相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の負の値をミラーリングする。相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130も実質的に360度(360°)の周期をもつ。
【0035】
[0046] セクター0から5が
図2Aに示されている。各セクターは実質的に固定子電流角度Θ
αβの60度(60°)の増分内にある。セクター0は、実質的に90度(90°)から150度(150°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応する。セクター1は、実質的に150度(150°)から210度(210°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応する。セクター2は、実質的に210度(210°)から270度(270°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応する。セクター3は、実質的に270度(270°)から330(330°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応する。セクター4は、実質的に330(330°)から390度(390)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応する。または言い換えると、セクター4は、実質的に330(330°)から360度(360°)の間の、およびゼロ度(0°)から30度(30°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応する。セクター5は、実質的に30度(30°)から90度(90°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応する。
【0036】
[0047]
図2Bは、
図2Aに示されているタイミング図に対応したベクトル
図203を示す。
図2Bにおける角度表示は、
図2Aに関連して更に示されている固定子電流角度Θ
αβ238に対応する。相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、I
PHASEW128は、それらのそれぞれの相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130とともに、電流空間ベクトルと呼ばれることの多いベクトルとして表され得る。所与の巻線に対する電流空間ベクトルは、その巻線により生成された磁場を表す方向と、巻線を通る相電流に比例した大きさとをもつ。総固定子電流は、モーターの各巻線の各電流相ベクトルの和であるベクトルにより提示され得る。三相モーターの各電流空間ベクトルは実質的に120度(120°)離れている。
【0037】
[0048] 相電流IPHASEU、IPHASEV、IPHASEWの電流空間ベクトルは、モーター巻線の3軸基準座標系における固定子電流の表現を可能にする。モーター巻線の3軸基準座標系は、各々が120(120°)離れたU軸、V軸、およびW軸と一般的に呼ばれる。示されているように、U軸はゼロ度(0°)に対応し、V軸は120度(120°)に対応し、W軸は240度(240°)に対応する。相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、IPHASEW128を表すそれぞれの電流空間ベクトルに対する大きさを提供する。相電流IPHASEU116を表す電流空間ベクトルの方向はゼロ度(0°)になり、相電流IPHASEV122を表す電流空間ベクトルの方向は120度(120°)になり相電流IPHASEW128を表す電流空間ベクトルの方向は240度(240°)になる。相電流IPHASEU116、IPHASEV122、IPHASEW128の各々に対する個々の電流空間ベクトルは、固定子電流ベクトルIαβ236を提供するためにまとめて足し合わされ得る。
【0038】
[0049] 3軸基準座標系、U軸、V軸、およびW軸における固定子電流ベクトルIαβ236の表現は、固定子の2軸基準座標系における固定子電流ベクトルIαβ236の表現に変換され得る。固定子の2軸基準座標系は、90度(90°)離れたアルファ軸(α軸)およびベータ軸(β軸)と一般的に呼ばれる。示されているように、アルファ軸(α軸)はゼロ度(0°)に対応するのに対し、ベータ軸(β軸)は90度(90°)に対応する。例えばクラーク変換といった3相から2相への変換が、3軸基準座標系(U軸、V軸、およびW軸)における固定子電流ベクトルIαβ236の表現をアルファ軸(α軸)およびベータ軸(β軸)の2軸基準座標系に変換するために使用され得る。
【0039】
[0050]
図2Bは、大きさと方向とをもつ固定子電流ベクトルI
αβ236の一例を示す。方向は、アルファ軸(α軸)と固定子電流ベクトルI
αβ236との間の角距離である固定子電流角度Θ
αβにより規定され得る。固定子電流ベクトルI
αβ236は、アルファ成分ベクトルi
αとベータ成分ベクトルi
βとにより表され得る。アルファ成分ベクトルi
αが実質的にアルファ軸(α軸)上における固定子電流ベクトルI
αβ236の投影であるのに対し、ベータ成分ベクトルi
βは実質的にベータ軸(β軸)上における固定子電流ベクトルI
αβ236の投影である。アルファ成分とベータ成分との和は固定子電流ベクトルI
αβ236に実質的に等しい。
【0040】
[0051]
図2Aと同様に、セクター0から5は、
図2Bのベクトル
図203ではシェーディングされた領域により示される。各セクターは、実質的に固定子電流角度Θ
αβの60度(60°)の増分内にある。セクター0は、実質的に90度(90°)から150度(150°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応し、高密度の点で描かれた領域により示される。セクター1は、実質的に150度(150°)から210度(210°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応し、低密度の点で描かれた領域により示される。セクター2は、実質的に210度(210°)から270度(270°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応し、中程度の密度の点で描かれた領域により示される。セクター3は、実質的に270度(270°)から330(330°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応し、高密度の点で描かれた領域により示される。セクター4は、実質的に330(330°)から360度(360°)の間の、および、ゼロ度(0°)から30度(30°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応し、低密度の点で描かれた領域により示される。セクター5は、実質的に30度(30°)から90度(90°)の間の固定子電流角度Θ
αβに対応し、中程度の密度の点で描かれた領域により示される。
【0041】
[0052] 上述のように、固定子の2軸基準座標系における固定子電流ベクトルIαβ236は、回転子の回転する2軸基準座標系により更に表され得る。回転子の回転する2軸基準座標系は、90度(90°)離れて固定子の2軸基準座標系に対して回転する直軸(d軸)および横軸(q軸)と一般的に呼ばれる。例えばパーク変換といった静止対回転座標系変換が、d軸におけるその直軸成分およびq軸におけるその横軸成分の観点から固定子電流ベクトルIαβ236を表すために使用され得る。固定子電流ベクトルIαβ236の直軸成分は回転子を回転させない圧縮力を生成するのに対し、固定子電流ベクトルの横軸成分Iαβ236はトルクを生成する。直軸成分を最小化するために、および固定子電流ベクトルIαβ236の横軸成分を最大化するために、比例積分(PI)制御が使用され得る。
【0042】
[0053] したがって、電流空間ベクトルとしての相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、I
PHASEW128の表現は、システム制御装置106による例えばフィールド指向制御といった制御スキームの使用を可能にし得る。しかし、
図2Aに示されているように、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130は、同時に相電流I
PHASEU116、I
PHASEV122、I
PHASEW128の全てに関連した情報を提供するわけではないものであり得る。例えば、実質的に180度(180)では、相電流検出信号IPHU118のみがその相電流I
PHASEU116を表し、したがって、相電流I
PHASEU116に関連した情報のみがシステム制御装置106により利用可能である。したがって、本開示の実施形態において、システム制御装置106は相電流再構成を使用する。
【0043】
[0054] 実施形態では、システム制御装置106は、固定子電流ベクトルIαβ236の固定子電流角度Θαβ238と複数の参照表とを使用して、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128を再構成する。システム制御装置106は、固定子電流ベクトルIαβ236のアルファ成分iαとベータ成分iβとから固定子電流角度Θαβ238を特定する固定子電流角度推定部を更に含む。相電流再構成のために、参照表が使用され得、および複素三角関数計算結果のプリロードを可能にする。1つの実施形態では、これらの複素三角関数計算結果は再構成スケーリングファクターを表す。本開示の実施形態では、適切な参照表は、固定子電流ベクトルIαβ236の推定された固定子電流角度Θαβ238と、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130のうちの1つとに応じて選択され得る。参照表自体は、固定子電流角度Θαβ238と固定子電流ベクトルIαβ236のセクターとに関連してインデックスを付される。1つの実施形態では、参照表に記憶された値は再構成スケーリングファクターを表し、それぞれの相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128の再構成は実質的に、適切な参照表により提供される記憶された再構成スケーリングファクターと、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130のうちの1つにより提供される大きさとの積である。
【0044】
[0055]
図3Aは、本開示の教示による相電流再構成器340を含む1つの例示的なシステム制御装置306Aを示す。システム制御装置306Aはシステム制御装置106の一例であり、更に、同様に命名された、および番号付けされた要素は上述のように結合し、および機能する。システム制御装置306Aは、相電流再構成器340、基準座標系変換器342、固定子電流推定部348、回転子位置推定部378、比例積分器(P-I)制御部350、基準座標系変換器352、および制御信号生成器354を含んだ状態で示される。基準座標系変換器342は、例えばクラーク変換器344といった3相から2相への変換器344、および、例えばパーク変換器346といった静止対回転座標系変換器346を含んだ状態で更に示される。
図3Aに示されているシステム制御装置306Aが、ソフトウェアアーキテクチャ、ハードウェア設計、またはソフトウェアアーキテクチャとハードウェア設計との両方の組み合わせを表し得ることが理解されなければならない。
図3Aに示されているシステム制御装置306Aは、モーター駆動システムのためのフィールド指向制御を実施するが、他の制御スキームが本開示の実施形態とともに使用されてもよいことが理解されなければならない。例えば、サイン波コミュテーションを使用するシステム制御装置は、本開示の実施形態とともに説明されている再構成された相電流の大きさを利用し得る。
【0045】
[0056] システム制御装置306Aは相電流検出信号IPHU118、IPHV124、およびIPHW130を受信し、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTROLW132を出力する。示されているように、相電流再構成器340は、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、およびIPHW130と推定された固定子電流角度Θαβ338とを受信する。相電流検出信号IPHU118、IPHV124、およびIPHW130と推定された固定子電流角度Θαβ338とを受信したことに応答して、相電流再構成器340は、相電流IPHASEU116、IPHASEV122、およびIPHASEW128を再構成する。再構成された相電流は、u成分iu355、v成分iv356、および、w成分iw357として相電流再構成器340により出力される。1つの実施形態では、u成分iu355は相電流IPHASEU116の再構成された大きさを表し、v成分iv356は相電流IPHASEV122の再構成された大きさを表し、w成分iw457は相電流IPHASEW128の再構成された大きさを表す。u成分iu355、v成分iv356、および、w成分iw357は、第1の再構成された相電流の大きさiu、第2の再構成された相電流の大きさiv、および、第3の再構成された相電流の大きさiwと呼ばれ得ることが理解されなければならない。
【0046】
[0057] 相電流再構成器340は、再構成スケーリングファクターを表すプリロードされた値を含む少なくとも1つの参照表を含む。1つの実施形態では、再構成された相電流の大きさ、u成分iu355、v成分iv356、および、w成分iw357は実質的に、適切な記憶された再構成スケーリングファクターと、相電流検出信号IPHU118、IPHV124、またはIPHW130のうちの1つにより提供される大きさとの乗算結果であり得る。各参照表は60個の値を含み、u成分iu355、v成分iv356、および、w成分iw357の再構成スケーリングファクターに対して出力される適切な値の選択は、推定された固定子電流角度Θαβ338に応じたものである。更に、プリロードされた値は固定子電流角度Θαβ338に基づいて演算され、再構成スケーリングファクターを表す。したがって、参照表は固定子電流角度Θαβ338に関連してインデックスを付される。本開示の実施形態では、推定された固定子電流角度Θαβ338と相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130とに応じて、適切な参照表が選択され得る。更に説明されるように、推定された固定子電流角度Θαβ338と、受信された相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130のうちのどれが利用可能かとに応じて、参照表が選択され得る。受信された相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130がそれぞれ閾値UMIN、VMIN、またはWMINより大きい場合、受信された相電流検出信号IPHU118、IPHV124、IPHW130が利用可能である、または存在すると考えられ得る。閾値UMIN、VMIN、またはWMINは、第1の閾値UMIN、第2の閾値VMIN、および第3の閾値WMINと呼ばれ得ることが理解されなければならない。一例において、閾値UMIN、VMIN、またはWMINの値は実質的に等しい。基準座標系変換器342は、モーター巻線の3軸基準座標系からの再構成された相電流の大きさ、u成分iu355、v成分iv356、およびw成分iw357を、回転子の回転する2軸基準座標系に関連した対応する直軸成分id360および横軸成分iq361に変換する。示されているように、基準座標系変換器342の例えばクラーク変換器344といった3相から2相への変換器344が、u成分iu355、v成分iv356、および、w成分iw357を受信し、固定子の2軸基準座標系に関連したアルファ成分iα358とベータ成分iβ359とを出力する。アルファ成分iα358およびベータ成分iβ359は、それぞれ、α軸およびβ軸における固定子電流ベクトルIαβの投影の大きさである。1つの例示的な動作において、3相から2相への変換器344、クラーク変換器344は、u成分iu355、v成分iv356、およびw成分iw357にクラーク変換を実施して、アルファ成分iα358とベータ成分iβ359とを出力する。
【0047】
[0058] 固定子電流角度推定部348は、アルファ成分i
α358とベータ成分i
β359とを受信し、推定された固定子電流角度Θ
αβ338を出力する。上述のように、アルファ成分i
α358とベータ成分i
β359との和は、固定子電流ベクトルI
αβ236をもたらす。したがって、固定子電流角度Θ
αβ338は、アルファ成分i
α358とベータ成分i
β359とから導出され得る。一例において、および
図4に関連して更に示されるように、位相ロックループ(PLL)は、アルファ成分i
α358とベータ成分i
β359とから推定された固定子電流角度Θ
αβ338を特定するために使用され得る。しかし、他の角度推定部が使用され得ることが理解されなければならない。例えばスタンダードCライブラリを使用するアークタンジェント角度推定部または特別なハードウェアを使用するアークタンジェント角度推定部といったものがある。
【0048】
[0059] 回転子位置推定部378は、アルファ成分iα358とベータ成分iβ359とを受信するように更に結合され、回転子角度Θrotor379を出力する。一例において、回転子位置推定部378は、回転子フラックスベクトルの角度位置(例えば回転子角度Θrotor379)を特定する。本開示の一例において、システム制御装置306Aはセンサーレスであり、回転子の位置を特定するために外部センサーを使用しない。したがって、システム制御装置306Aは、回転子位置推定部378を含む。一例において、回転子位置推定部378は、基準座標系変換器352により生成された制御信号vα380およびvβ381とともに、アルファ成分iα358とベータ成分iβ359とに応じて回転子角度Θrotor379を特定する。更に説明されるように、制御信号vα380は、アルファ成分iα358を調節するために出力されるのに対し、制御信号vβ381はベータ成分iβ359を所望の値に調節するために出力される。しかし、本開示の実施形態が、外部回転子位置センサーにより実現され得ることが理解されなければならない。1つの実施形態では、回転子フラックスベクトルは、固定子電流ベクトルIαβ236の後方に向かって実質的に90度(90°)である。
【0049】
[0060] 固定子電流角度推定部348は、より正確な推定された固定子電流角度Θαβ338を提供するために初期化するための時間を必要とし得る。特に固定子電流角度推定部348は、モーター駆動システムおよびシステム制御装置306Aの始動動作中に初期化され得る。しかし、回転子フラックスベクトルは、固定子電流ベクトルIαβ236の後方に向かって実質的に90度(90°)である。したがって、始動動作中に、相電流再構成器340は、固定子電流角度推定部348により提供される推定された固定子電流角度Θαβ338ではなく、固定子電流角度Θαβを特定するために回転子角度Θrotor379を使用し得る。示される実施形態では、相電流再構成器340は、回転子角度Θrotor379を受信する。始動動作中、相電流再構成器340は、固定子電流角度Θαβ338が実質的に回転子角度Θrotor379とプリセットオフセット角度Θangleとの和であると特定する。一例において、プリセットオフセット角度Θangleは、実質的に90度(90°)である。したがって、始動動作中、固定子電流角度Θαβ338はu成分iu355、v成分iv356、およびw成分iw357を出力するために、所定の速度でゼロ度(0°)から360度(360°)の間で変化する。始動動作が完了した後、相電流再構成器340は、固定子電流角度推定部348により提供される推定された固定子電流角度Θαβ338を使用する。
【0050】
[0061] 例えばパーク変換器346といった静止対回転座標系変換器346は、固定子の固定の2軸基準座標系に対応したアルファ成分iα358、ベータ成分iβ359および回転子角度Θrotor379を受信し、回転子の回転する2軸基準座標系に対応した直軸成分id360と横軸成分iq361とを出力する。1つの例示的な動作において、例えばパーク変換器346といった静止対回転座標系変換器346は、直軸成分id360と横軸成分iq361とを出力するために、アルファ成分iα358およびベータ成分iβ359にパーク変換を実施する。
【0051】
[0062] P-I制御ブロック350は直軸成分id360と横軸成分iq361とを受信し、制御信号vd362と制御信号vq363とを出力する。P-I制御ブロック350は、ユーザー入力134を更に受信する。1つの実施形態では、ユーザー入力134は、例えばモーターの速度、トルク、または位置といった、モーターの所望の機械的な出力を表す。一例において、ユーザー入力134はモーターのトルクを表し得る。直軸成分id360がモーターの圧縮力を表すのに対し、横軸成分iq361はモーターのトルクを表す。P-I制御ブロック350は、直軸成分id360および横軸成分iq361に対して1つずつとして、2つのP-I制御装置を使用し得る。動作時、P-I制御ブロック350の1つのP-I制御装置は、直軸成分id360が所望の値に調節されるように、制御信号vd362に対する値を特定する。したがって、制御信号vd362は、所望の値への直軸成分id360の調節を表す。1つの実施形態では、P-I制御ブロック350は、実質的にゼロまで直軸成分id360を最小化する。P-I制御ブロック350の他方のP-I制御装置は、横軸成分iq361がユーザー入力134により示されるモーターの所望のトルクに調節されるように、制御信号vq363に対する値を特定する。したがって、制御信号vq363は、所望の値への横軸成分iq361の調節を表す。
【0052】
[0063] 基準座標系変換器352は制御信号vd362と制御信号vq363とを受信し、制御信号vU364と制御信号vV365と制御信号vW366とを出力する。基準座標系変換器352は、回転子の回転する2軸基準座標系の制御信号vd362および制御信号vq363を、モーター巻線の3軸基準座標系の対応する制御信号vU364、制御信号vV365、および制御信号vW366に変換する。一例において、基準座標系変換器352は、制御信号vU364と制御信号vV365と制御信号vW366とを出力するために、逆パーク変換を実施した後、逆クラーク変換を実施し得る。しかし、制御信号vd362と制御信号vq363とから、対応する制御信号vU364、制御信号vV365、および制御信号vW366を特定するための他の技術が存在することが理解されなければならない。例えば、空間ベクトル変調も使用され得る。一例において、制御信号vU364は、(例えば相電流IPHASEUの大きさといった)u成分iU355を調節するための値を表し、制御信号vV365は、(例えば相電流IPHASEVの大きさといった)v成分iV356を調節するための値を表し、制御信号vW366は、(例えば相電流IPHASEWの大きさといった)w成分iW357を調節するための値を表す。基準座標系変換器342と同様に、基準座標系変換器352は回転子の回転する2軸基準座標系から固定子の2軸基準座標系への2ステップ変換を実施した後、モーター巻線の3軸基準座標系への変換を実施することが理解されなければならない。したがって、基準座標系変換器352は、所望の値にアルファ成分iα358を調節するための値を表す制御信号vα380と、所望の値にベータ成分iβ359を調節するための値を表す制御信号vβ381とを生成する。
【0053】
[0064] 制御信号生成器354は、制御信号vU364、vV365、およびvW366を受信し、それに応答して、それらのそれぞれのハーフブリッジモジュールに制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132を出力する。例えば、制御信号生成器354は、制御信号vU364に応答して制御信号CTRLU120を出力し、制御信号vV365に応答して制御信号CTRLV126を出力し、制御信号vW366に応答して制御信号CTRLW132を出力し得る。動作時、制御信号生成器354は、制御信号vU364、vV365、およびvW366に応答して、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132を出力するためにパルス幅変調(PWM)を実施し得る。一例において、制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132は、可変長のハイ持続期間およびロー持続期間をもつ方形パルス幅波形である。制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132に対するロー値は、それぞれのハイ側スイッチをオンに切り替えること、および、それぞれのロー側スイッチをオフに切り替えることに対応し得る。制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132に対するハイ値は、それぞれのロー側スイッチをオンに切り替えること、および、それぞれのハイ側スイッチをオフに切り替えることに対応し得、または逆も同様である。制御信号CTRLU120、CTRLV126、およびCTRLW132のハイセクションとローセクションとの持続期間は、制御信号vU364、vV365、およびvW366を受信したことに応答して演算され得る。
【0054】
[0065] 一例において、システム制御装置306A、相電流再構成器340、および固定子電流角度推定部348は、例えば48MHz Cortex-M0マイクロ制御装置といった、コンピュータ実行可能命令を実行する特別な論理回路またはマイクロ制御装置により実現され得る。これらのマイクロ制御装置は概して、約48MHzの処理速度をもつ、約32kB~200kBのフラッシュメモリ、約8kB~16kBのRAMを含む。例えば、ソフトウェアは、システム制御装置306Aのために使用されるマイクロ制御装置をプログラムするために使用され得る。
【0055】
[0066]
図3Bは、本開示の教示による相電流再構成器340を含む別の例示的なシステム制御装置306Aを示す。システム制御装置306Bはシステム制御装置106の一例であり、システム制御装置306Aと多くの類似性を共有し、同様に命名された、および番号付けされた要素は上述のように結合し、および機能する。しかし、少なくとも1つの違いは、システム制御装置306Bが疑似フィールド指向制御を実施すること、および、基準座標系変換器342に対する静止対回転変換が存在しないことである。しかし、相電流再構成器340および固定子電流角度推定部348が、
図3Aに関連して既に説明されているように結合すること、および機能することが理解されなければならない。
【0056】
[0067] 基準座標系変換器342例えばクラーク変換器といった3相から2相への変換器344を含む。示されているように、3相から2相への変換器344は、再構成された相電流の大きさを表すu成分iu355、v成分iv356、および、w成分iw357を受信し、固定子の2軸基準座標系に関連したアルファ成分iα358とベータ成分iβ359とを出力する。アルファ成分iα358およびベータ成分iβ359は、それぞれ、α軸およびβ軸における固定子電流ベクトルIαβの投影の大きさである。固定子電流角度推定部348は、アルファ成分iα358とベータ成分iβ359とを受信し、推定された固定子電流角度Θαβ338を出力する。
【0057】
[0068]
図3Aに示されている例示的なシステム制御装置306Aでは、P-I制御ブロック350は、横軸成分i
q361と直軸成分i
d360とを受信する。しかし、
図3Bに示されているシステム制御装置306Bでは、P-I制御ブロック350は回転子角度Θrotor379を受信する。上述のように、回転子位置推定部378が回転子フラックスベクトルの角度位置(例えば回転子角度Θrotor379)を特定する。
図3Bに示される例では、P-I制御ブロック350はモーターの横軸成分の調節を表すユーザー入力134に応じて制御信号v
q363を特定する。モーターの直軸成分の調節を表す制御信号v
d362は、実質的にゼロである。P-I制御ブロック350は更に、回転子角度Θrotor379に応じてモーターの速度を推定し、および調節する。
【0058】
[0069]
図4は、固定子電流角度推定部348の一例である固定子電流角度推定部448を示し、同様に命名された、および番号付けされた要素が上述のように結合すること、および機能することが理解されなければならない。固定子電流角度推定部448は、乗算器467、乗算器468、算術演算素子469、増幅器K
P470、増幅器K
i471、積分器472、算術演算素子473、積分器475、コサイン476、およびサイン477を含んだ状態で示されている。
【0059】
[0070] 固定子電流角度推定部448は、固定子電流ベクトルIαβのアルファ成分iα458とベータ成分iβ459とを受信し、推定された固定子電流角度Θαβ438を出力する。乗算器467は、ベータ成分iβ459と推定された固定子電流角度Θαβ438のコサインとを受信するように結合されている。乗算器467の出力は、実質的にベータ成分iβ459と推定された固定子電流角度Θαβ438のコサインとの乗算結果であり、または、数学的には、iβcos(Θαβ)である。乗算器468は、アルファ成分iα458と推定された固定子電流角度Θαβ438のサインとを受信するように結合され、その出力は、実質的にアルファ成分iα458と推定された固定子電流角度Θαβ438のサインとの乗算結果であり、または数学的には、iαsin(Θαβ)である。
【0060】
[0071] 乗算器467および乗算器468の出力は算術演算素子469において受信される。示されているように、算術演算素子469は減算を実施し、乗算器467と468との出力の間の差を出力し、または数学的には、iβcos(Θαβ)-iαsin(Θαβ)である。増幅器470および471は、算術演算素子469の出力を受信するように、および、それぞれその利得KPおよびKi倍だけ算術演算素子469の出力を増幅するように結合されている。積分器472は、増幅器Kiの出力を受信し、および積分する。
【0061】
[0072] 算術演算素子473は、増幅器470と積分器472との出力を受信するように結合されている。示されているように、算術演算素子473は加算器であり、その出力は、増幅器470および積分器472の出力の和である。積分器475は、算術演算素子473の出力を受信し、および積分するように結合されている。積分器475の出力は、推定された固定子電流角度Θαβ438である。コサインブロック476は、推定された固定子電流角度Θαβ438を受信するように、および、乗算器467に固定子電流角度Θαβ438のコサインを出力するように結合されている。同様に、サインブロック477は、推定された固定子電流角度Θαβ438を受信するように、および乗算器468に固定子電流角度Θαβ438のサインを出力するように結合されている。
【0062】
[0073]
図5Aは、システム制御装置による相電流再構成の1つの例示的な方法のフロー
図500を示す。例示的な工程は、例えば
図3に示されている相電流再構成器といった、本明細書に従ってプログラムされた相電流再構成器により実施され得る。u成分i
U、v成分i
V、およびw成分i
Wがそれぞれ、相電流I
PHASEU、I
PHASEV、およびI
PHASEWに対する再構成された相電流の大きさを表すことが理解されなければならない。
【0063】
[0074] ブロック505では、相電流検出信号IPHU、IPHV、およびIPHWが受信される。工程は判断ブロック510に進む。判断ブロック510では、相電流検出信号IPHUが閾値UMINと比較され、相電流検出信号IPHVが閾値VMINと比較される。相電流検出信号IPHUが閾値UMINより大きく、および、相電流検出信号IPHVがVMINより大きい場合、工程はブロック513に進む。ブロック513では、相電流の再構成された大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWが、相電流検出信号IPHUおよびIPHVにより特定され得る。ブロック513では、u成分iUは実質的に相電流検出信号IPHUの負の値(iU=-IPHU)であり、v成分iVは実質的に相電流検出信号IPHVの負の値(iV=-IPHV)であり、w成分iWは実質的に相電流検出信号IPHUと相電流検出信号IPHVとの和(iW=IPHU+IPHV)である。工程は次にブロック555に進み、特定された再構成された相電流の大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWが出力される。
【0064】
[0075] 相電流検出信号IPHUまたは相電流検出信号IPHVのいずれかまたは両方が、それらのそれぞれの閾値UMINまたはVMIN未満である場合、工程は判断ブロック515に進む。判断ブロック515では、相電流検出信号IPHUが閾値UMINと比較され、相電流検出信号IPHWが閾値WMINと比較される。相電流検出信号IPHUが閾値UMINより大きく、および、相電流検出信号IPHWがWMINより大きい場合、工程はブロック518に進む。ブロック518では、相電流の再構成された大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWが、相電流検出信号IPHUおよびIPHWにより特定され得る。ブロック518では、u成分iUは実質的に相電流検出信号IPHUの負の値であり(iU=-IPHU)、w成分iWは実質的に相電流検出信号IPHWの負の値であり(iW=-IPHW)、および、v成分iVは実質的に相電流検出信号IPHUと相電流検出信号IPHWとの和(iV=IPHU+IPHW)である。工程は次にブロック555に進み、特定された再構成された相電流の大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWが出力される。
【0065】
[0076] 相電流検出信号IPHUまたは相電流検出信号IPHWのいずれかまたは両方がそれらのそれぞれの閾値UMINまたはWMIN未満である場合、工程は判断ブロック520に進む。判断ブロック520では、相電流検出信号IPHVが閾値VMINと比較され、相電流検出信号IPHWが閾値WMINと比較される。相電流検出信号IPHVが閾値VMINより大きく、および、相電流検出信号IPHWがWMINより大きい場合、工程はブロック523に進む。ブロック523では、相電流の再構成された大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWが、相電流検出信号IPHVおよびIPHWにより特定され得る。ブロック518では、v成分iVは実質的に相電流検出信号IPHVの負の値(iV=-IPHV)であり、w成分iWは実質的に相電流検出信号IPHWの負の値であり(iW=-IPHW)、u成分iUは実質的に相電流検出信号IPHVと相電流検出信号IPHWとの和である(iU=IPHV+IPHW)。工程は次にブロック555に進み、特定された再構成された相電流の大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWが出力される。
【0066】
[0077] 閾値UMIN、閾値VMIN、および閾値WMINはオフセット閾値であり、相電流検出信号IPHU、IPHV、およびIPHWの存在を確認するために使用される閾値である。1つの実施形態では、相電流検出信号IPHU、IPHV、およびIPHWは、電流がハーフブリッジモジュールのロー側電力スイッチを通って流れないときでも最小定数値をもつ。したがって、閾値UMIN、VMIN、およびWMINは、最小定数値を無視するために選択され得る。更に、閾値UMIN、VMIN、およびWMINは、ノイズ除去のために使用され得る。一例において、閾値UMIN、VMIN、またはWMINの値は実質的に等しい。
【0067】
[0078] 相電流検出信号IPHVまたは相電流検出信号IPHWのいずれかまたは両方それらのそれぞれの閾値VMINまたはWMIN未満である場合、工程は判断ブロック525に進む。工程が判断ブロック525に進んだ場合、相電流検出信号IPHU、IPHV、またはIPHWのうちの1つが、それらのそれぞれの閾値UMIN、VMIN、またはWMINより大きいのに対し、他の2つの相電流検出信号がそれらのそれぞれの閾値UMIN、VMIN、またはWMIN未満である。相電流検出信号のうちの1つのみがそれらのそれぞれの閾値より大きい場合は、相電流再構成器は相電流を再構成するために、および、再構成された相電流の大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWを特定するために、参照表と推定された固定子電流角度Θαβとを使用する。
【0068】
[0079] 判断ブロック525では、モーター駆動システムに対する始動動作が完了しているか否かが判定される。始動動作が完了していない場合、工程はブロック530に進み、相電流再構成器は、固定子電流角度Θαβを特定するために、回転子角度Θrotorとプリセットオフセット角度Θoffsetとを受信する。一例において、固定子電流角度Θαβは、実質的に回転子角度Θrotorとプリセットオフセット角度Θoffsetとの和であり、または数学的には、Θαβ=Θrotor+Θoffsetである。プリセットオフセット角度Θoffsetは、実質的に90度(90°)であり得、回転子フラックスベクトルが固定子電流ベクトルの後方にある角距離を表す。回転子角度Θrotorとプリセットオフセット角度Θoffsetとから特定された固定子電流角度Θαβは、相電流の大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWを再構成するために相電流再構成器により使用される。始動動作が完了している場合、工程はブロック535に進み、相電流再構成器が固定子電流角度推定部から推定された固定子電流角度Θαβを受信する。推定された固定子電流角度Θαβは相電流の大きさu成分iU、v成分iV、およびw成分iWを再構成するために相電流再構成器により使用される。
【0069】
[0080] ブロック530または535から、工程はブロック540に進む。ブロック540では、相電流再構成器が、相電流検出信号IPHU、IPHV、またはIPHWのうちのどれが利用可能かを特定する。言い換えると、相電流再構成器は、相電流検出信号IPHU、IPHV、およびIPHWのうちのどれが、そのそれぞれの閾値UMIN、VMIN、およびWMINより大きいかを特定する。相電流検出信号IPHU、IPHV、またはIPHWのうちのどれが存在すると特定された場合でも、それに対応した再構成された相電流の大きさiU、iV、またはiWは実質的に利用可能な相電流信号の負の値である。例えば、相電流検出信号IPHUが存在する場合、それに対応したu成分iU(例えば再構成された相電流の大きさ)は、実質的に相電流検出信号IPHUにマイナスを掛けたものであり、または数学的には、iU=-IPHUである。相電流検出信号IPHVが存在する場合、それに対応したv成分iV(例えば再構成された相電流の大きさ)は実質的に相電流検出信号IPHVにマイナスを掛けたものであり、または数学的には、iV=-IPHVである。相電流検出信号IPHWが存在する場合、それに対応したw成分iW(例えば再構成された相電流の大きさ)は実質的に相電流検出信号IPHWにマイナスを掛けたものであり、または数学的には、iW=-IPHWである。利用可能な相電流検出信号が特定された、および、対応する再構成された相電流の大きさが特定されたされた後、工程はブロック545に進む。
【0070】
[0081] ブロック545では、適切なセクターが選択される。
図2Aおよび
図2Bを参照して既に述べられているように、360度(360°)の期間が、実質的に60度(60°)の増分で6つのセクターにセクション分けされ得る。セクターは、ブロック530または535から提供された特定された、または推定された固定子電流角度Θ
αβの値に応じて選択される。例えば、85度(85°)に等しい固定子電流角度Θ
αβはセクター5に対応する。
【0071】
[0082] 一例において、セクター0は、90度(90°)から149度(149°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター1は、150度(150°)から209度(209°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター2は、210度(210°)から269度(269°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター3は、270度(270°)から329度(329°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター4は、330(330°)から360度(359°)までの、および、ゼロ度(0°)から29度(29°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター5は、30度(30°)から89度(90°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。
【0072】
[0083] セクターが特定された後、セクター角度Θsectorが更に特定され得る。セクター角度Θsectorは、反時計回り方向からセクターにおいて最初に発生する角度に対応する。更に説明されるように、固定子電流角度Θ
αβはセクター角度Θsectorとともに、適切な参照表に対するインデックスΘindexを特定するために使用される。インデックスΘindexは参照表において再構成スケーリングファクターを表すどの記憶された値が適切なu/v/w成分に対して使用されるかを特定するために使用される。セクターおよび対応するセクター角度Θsectorは、次の表1に示されている。
【表1】
【0073】
[0084] セクターが特定された後、セクターと、固定子電流角度Θ
αβと、相電流検出信号IPHU、IPHV、またはIPHWのうちのどの1つが利用可能かとに応じて、適切な参照表が選択され得る。
図6Aおよび
図7Aは、相電流再構成のための適切な参照表を特定するための例を示す。相電流検出信号IPHU、IPHV、またはIPHWのうちの1つのみが利用可能であるので、利用可能ではない他の2つのモーター巻線に対して2つの参照表が選択されることが理解されなければならない。
【0074】
[0085] 工程は次にブロック550に進む。固定子電流角度Θαβはセクター角度Θsectorとともに、再構成された相電流の大きさu成分iU、v成分iV、および/またはw成分iWに対する再構成スケーリングファクターを表す記憶された値を特定するために、適切な参照表に対するインデックスΘindexを特定するために使用される。後述のように、インデックスΘindexは固定子電流角度Θαβとセクター角度Θsectorとの間の差であり、または数学的には、Θindex=Θαβ-Θsectorである。
【0075】
[0086] 例えば、相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、それぞれ相電流IPHASEVおよびIPHASEWに対応した相電流の大きさv成分iVおよびw成分iWを再構成するために使用されるスケーリングファクターを特定するために、参照表が選択される。固定子電流角度Θαβから特定されたセクターに応じて、両方の参照表が選択される。更に、固定子電流角度Θαβが85度(85°)である場合、セクターはセクター5であり、セクター角度Θsectorは30度(30°)であり、インデックスΘindexは55度(55°)である。したがって、55度(55°)のインデックスΘindexが、相電流の大きさv成分iVおよびw成分iWを再構成するために使用されるそれらの対応する参照表におけるスケーリングファクターに対する位置を特定するために使用される。
【0076】
[0087] スケーリングファクターが選択された後、工程はブロック553に進み、再構成された相電流の大きさu成分iU、v成分iVおよびw成分iWがスケーリングファクターと、相電流検出信号IPHU、IPHV、またはIPHWのうちのどれが利用可能かとから特定される。対応する相電流検出信号が利用可能ではない再構成された相電流の大きさに対して、再構成された相電流の大きさは実質的に、適切な参照表から選択されたスケーリングファクターと利用可能な相電流検出信号との乗算結果であることが理解されなければならない。例えば、相電流検出信号IPHUが利用可能である、および、相電流検出信号IPHVおよびIPHWが利用可能ではない場合、再構成された相電流の大きさv成分iVおよびw成分iWは実質的に、適切なスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。例えば、再構成された相電流の大きさv成分iVは実質的に、ステップ550から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。同様に、再構成された相電流の大きさw成分iwは実質的に、ステップ550から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。再構成された相電流の大きさu成分iUは、相電流検出信号IPHUにマイナスを掛けたものに対応し、または数学的には、iU=-IPHUである。
【0077】
[0088] 再構成された相電流の大きさu成分iU、v成分iV、および/またはw成分iWが特定された後、工程はブロック555に進み、相電流再構成器はu成分iU、v成分iV、および/またはw成分iWを出力する。u成分iuは相電流IPHASEUの大きさを表し、v成分ivは相電流IPHASEVの大きさを表し、w成分iwは相電流IPHASEWの大きさを表すことが理解されなければならない。
【0078】
[0089]
図6Aは、固定子電流角度Θ
αβと、相電流検出信号IPHU、IPHV、またはIPHWのうちのどの1つが利用可能かとに応じて再構成参照表を選択するための1つの例示的な工程を示す表600を示す。上述のように、セクターおよびセクター角度Θsectorは固定子電流角度Θ
αβから特定される。セクターが特定された後、相電流検出信号IPHU、IPHV、IPHWのうちのどれが利用可能であるかに応じて、適切な参照表が選択される。言い換えると、相電流再構成器は、相電流検出信号IPHU、IPHV、およびIPHWのうちのどれがそのそれぞれの閾値UMIN、VMIN、およびWMINより大きいかを特定する。
【0079】
[0090] 示される例において、セクター0は、90度(90°)から149度(149°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター1は、150度(150°)から209度(209°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター2は、210度(210°)から269度(269°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター3は、270度(270°)から329度(329°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター4は、330(330°)から360度(359°)までの、および、ゼロ度(0°)から29度(29°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター5は、30度(30°)から89度(90°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。
【0080】
[0091] 90度から149度(90°~149°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター0に対応した1行目を参照する。セクター0に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、相電流IPHASEWを再構成するために、w成分iWに対するスケーリングファクターを特定するために、参照表Aが使用される。上述のように、w成分iwは相電流IPHASEW128の大きさを表し、および、実質的に参照表Aから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。更に、相電流IPHASEVを再構成するために、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために、参照表Bが使用され、v成分ivは相電流IPHASEVの大きさを表し、および、実質的に参照表Bから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。
【0081】
[0092] セクター0に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、相電流IPHASEUを再構成するために、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために、参照表A’が使用され、u成分iUは相電流IPHASEUの大きさを表し、および、実質的に参照表A’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果である。更に、相電流IPHASEVを再構成するために、v成分ivに対する値を特定するために、参照表B’が使用され、v成分ivは相電流IPHASEVの大きさを表し、および、実質的に参照表B’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果である。
【0082】
[0093]
図6Aに示されているように、1つの実施形態では、相電流再構成器は3つの参照表、すなわち参照表A、B、およびCを使用する。これらの参照表は、第1の参照表(A)、第2の参照表(B)および第3の参照表(C)とも呼ばれ得る。表600は参照表A’、B’およびC’を更に示す。これらの参照表は、逆の第1の参照表(A’)、逆の第2の参照表(B’)、および、逆の第3の参照表(C’)とも呼ばれ得る。参照表A’、B’、およびC’は実質的に参照表A、B、およびCに対応するが、参照表A、B、およびCとは逆にインデックスを付されている。上述のように、参照表に対するインデックスΘindexは、実質的に固定子電流角度Θ
αβとセクター角度Θsectorとの間の差であり、または数学的には、Θ
index=Θ
αβ-Θ
sectorである。したがって、インデックスΘindexは60個の値をもち、0度から59度まで(0°~59°)変化する。
【0083】
[0094] 例えば、相電流の大きさを再構成するためのスケーリングファクターを表す予め記憶された値は、ゼロ度(0°)におけるインデックスΘindexに対応する位置で参照表Aに記憶されている。同じ予め記憶された値が参照表A’では逆に記憶されている。例えば、予め記憶された値は参照表A’では59度(59°)におけるインデックスΘindexに対応する位置に記憶されている。予め記憶された値は1度(1°)におけるインデックスΘindexに対応する位置で参照表Aに記憶されている。同じ予め記憶された値が、参照表A’では58度(58°)におけるインデックスΘindexに対応する位置に記憶されており、他も同様である。このインデックス処理は、参照表B’との間で参照表Bに対して同様であり、参照表Cおよび参照表C’に対しても同様である。
【0084】
[0095] セクター0に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、相電流IPHASEUを再構成するために、u成分iuの値を特定するために参照表Cが使用され、u成分iUは相電流IPHASEUの大きさを表し、および、実質的に参照表Cから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。更に、相電流IPHASEWを再構成するために、w成分iwに対する値を特定するために、参照表C’が使用され、w成分iwは相電流IPHASEWの大きさを表し、および、実質的に参照表C’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。しかし、600のこれらのセクションはグレーアウトされており、その理由は、概してセクター0では、利用可能なものは相電流検出信号IPHUおよびIPHWだからである。
【0085】
[0096] 150度から209度まで(150°~209°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター1に対応した表600の行2を参照する。セクター1に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、w成分iWに対するスケーリングファクターを特定するために、参照表Cが使用され、w成分iWは実質的に参照表Cから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。更に、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために、参照表C’が使用され、v成分ivは実質的に、参照表C’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。
【0086】
[0097] セクター1に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、相電流IPHASEUを再構成するために、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために、参照表Bが使用される。更に、相電流IPHASEVを再構成するために、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために、参照表Aが使用される。セクター1に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために、参照表B’が使用され、および、w成分iwに対するスケーリングファクターを特定するために、参照表A’が使用される。しかし、600のこれらのセクションはグレーアウトされており、その理由は、概してセクター1では、利用可能なものは相電流検出信号IPHUだからである。
【0087】
[0098] 210度から269度まで(210°~269°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター2に対応した表600の行3を参照する。セクター2に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、w成分iWに対するスケーリングファクターを特定するために参照表B’が使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表A’が使用される。w成分iWは実質的に、参照表B’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果であり、v成分ivは実質的に、参照表A’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。セクター2に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表Aが使用され、w成分iwに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Bが使用される。u成分iuは実質的に、参照表Aから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果であり、w成分iwは実質的に、参照表Bから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。
【0088】
[0099] セクター2に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表C’が使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Cが使用される。しかし、600のこれらのセクションはグレーアウトされており、その理由は、概してセクター2では、利用可能なものは相電流検出信号IPHUおよびIPHVだからである。
【0089】
[00100] 270から329まで(270°~329°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター3に対応した表600の行4を参照する。セクター3に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、u成分iuの値を特定するために参照表Cが使用され、w成分iwに対する値を特定するために参照表C’が使用される。u成分iuは実質的に、参照表Cから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果であり、w成分iwは実質的に、参照表C’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。
【0090】
[00101] セクター3に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、w成分iWに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Aが使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Bが使用される。セクター3に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表A’が使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表B’が使用される。しかし、600のこれらのセクションはグレーアウトされており、その理由は、概してセクター3では、利用可能なものは相電流検出信号IPHVだからである。
【0091】
[00102] 330から359までの、および、ゼロ度から29度まで(330°~359°;0°~29°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター4に対応した表600の行5を参照する。セクター4に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表Bが使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Aが使用される。u成分iuは実質的に、参照表Bから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果であり、v成分ivは実質的に、参照表Aから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果である。セクター4に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表B’が使用され、w成分iwに対するスケーリングファクターを特定するために参照表A’が使用される。u成分iuは実質的に、参照表B’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果であり、w成分iwは実質的に、参照表A’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。
【0092】
[00103] セクター4に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、w成分iWに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Cが使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表C’が使用される。しかし、600のこれらのセクションはグレーアウトされており、その理由は、概してセクター4では、利用可能なものは相電流検出信号IPHWおよびIPHVだからである。
【0093】
[00104] 30度から89度まで(30°~89°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター5に対応した表600の行6を参照する。セクター5に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表C’が使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Cが使用される。u成分iuは実質的に、参照表C’から選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果であり、v成分ivは実質的に、参照表Cから選択されたスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果である。
【0094】
[00105] セクター5に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、w成分iWに対するスケーリングファクターを特定するために参照表B’が使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表A’が使用される。セクター5に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表Aが使用され、w成分iwに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Bが使用される。しかし、600のこれらのセクションはグレーアウトされており、その理由は、概してセクター5では、利用可能なものは相電流検出信号IPHWだからである。
【0095】
[00106] したがって、固定子電流角度Θαβに応じて、セクターおよびセクター角度Θsectorが特定され得、および、利用不可能な他の相電流の大きさを再構成するために、利用可能な相電流検出信号IPHU、IPHV、IPHWに応じて、適切な参照表およびスケーリングファクターが選択される。
【0096】
[00107]
図6Bは、相電流を再構成するための参照表A、B、およびCの内容を示す別の表601を示す。上述のように、参照表は参照表における予め記憶された値の位置を示すためにインデックスΘindexを使用する。一例において、予め記憶された値は相電流の大きさを再構成するために使用されるスケーリングファクターを表す。更に、予め記憶された値は、インデックスΘindexに基づいて更に演算される。インデックスΘindexは、実質的に固定子電流角度Θ
αβとセクター角度Θsectorとの間の差であり、または数学的には、Θ
index=Θ
αβ-Θ
sectorである。したがって、インデックスΘindexは60個の値を含み、0度から59度まで(0°~59°)変化する。
【0097】
[00108] 参照表A、B、およびCの各々がインデックスΘindexの異なる値に対応した値を記憶している。一例において、参照表A、B、およびCの各々が、60度のインデックスΘindexに対して1度の増分で値を記憶している。参照表Aに対して、スケーリングファクターを表す記憶された値の各々が、インデックスΘindexと120度との和のサインを、インデックスΘindexのサインで割ったものに実質的に等しく、または数学的には次のとおりである。
【数1】
【0098】
[00109] 参照表Bに対して、スケーリングファクターを表す記憶された値の各々は、インデックスΘindexと120度との差のサインを、インデックスΘindexのサインで割ったものに実質的に等しく、または数学的には、次のとおりである。
【数2】
【0099】
[00110] 参照表Cに対して、スケーリングファクターを表す記憶された値の各々は、インデックスΘindexのサインを、インデックスΘindexと120度との差のサインで割ったものに実質的に等しく、または数学的には次のとおりである。
【数3】
【0100】
[00111] 参照表A’、B’、およびC’は実質的に参照表A、B、およびCに対応しているが、参照表A、B、およびCとは逆にインデックスを付されている。例えば、予め記憶された値が、ゼロ度(0°)におけるインデックスΘindexに対応する位置で参照表Aに記憶されている。同じ予め記憶された値が参照表A’において逆に記憶されている。例えば、予め記憶された値は、参照表A’では59度(59°)におけるインデックスΘindexに対応する位置に記憶されている。予め記憶された値が、1度(1°)におけるインデックスΘindexに対応する位置において参照表Aに記憶されている。同じ予め記憶された値が、参照表A’では58度(58°)におけるインデックスΘindexに対応する位置に記憶されており、他も同様である。このインデックス処理は、参照表B’との間で参照表Bに対しても同様であり、参照表Cおよび参照表C’も同様である。
【0101】
[00112] 上述のように、本開示の実施形態は相電流検出信号IPHU、IPHV、IPHWを使用し、これが、従来の相電流フィードバックに比べてコンポーネント数、コスト、電力損失の全体的な低減を円滑化する。加えて、参照表の使用は相電流再構成について、より速い処理速度を可能にする。
【0102】
[00113]
図7Aは、固定子電流角度Θ
αβと相電流検出信号IPHU、IPHV、またはIPHWのうちのどの1つが利用可能かとに応じて再構成参照表を選択するための別の例示的な工程を示す表700を示す。本開示の実施形態では、各セクターに対して、交差し、および実質的に互いに逆の関係にある2つの相電流が存在するのに対し、他の相電流は逆極性をもつ。例えば、セクター0では、相電流I
PHASEU116とI
PHASEW128とが交差し、相電流I
PHASEV122が、相電流I
PHASEU116およびI
PHASEW128と逆極性である。セクター1では、相電流I
PHASEV122とI
PHASEW128とが交差し、相電流I
PHASEU116が、相電流I
PHASEV122およびI
PHASEW128と逆極性であり、他も同様である。更に、「偶数」セクター(セクター0、2、および4)では、交差している相電流は極性が負であり、「奇数」セクター(セクター1、3、および5)では、交差している相電流は極性が正である。したがって、別のパターンが認識されており、
図6Aおよび
図6Bを参照して使用される3つの参照表は、参照表Eおよび参照表Dと呼ばれる2つの参照表に簡略化され得る。
【0103】
[00114] 上述のように、セクターおよびセクター角度Θsectorが固定子電流角度Θαβから特定される。セクターが特定された後、相電流検出信号IPHU、IPHV、IPHWのうちのどれが利用可能であるかに応じて適切な参照表が選択される。言い換えると、相電流再構成器は相電流検出信号IPHU、IPHV、およびIPHWのうちのどれがそのそれぞれの閾値UMIN、VMIN、およびWMINより大きいかを特定する。
【0104】
[00115] 示される例において、セクター0は、90度(90°)から149度(149°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター1は、150度(150°)から209度(209°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター2は、210度(210°)から269度(269°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター3は、270度(270°)から329度(329°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター4は、330(330°)から360度(359°)まで、および、ゼロ度(0°)から29度(29°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。セクター5は、30度(30°)から89度(90°)までの固定子電流角度Θαβに対応する。
【0105】
[00116] 90度から149度(90°~149°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター0に対応した1行目を参照する。セクター0は偶数であり、したがって、相電流を再構成するために参照表EとE’とが使用される。セクター0に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、v成分iVに対するスケーリングファクターを特定するために参照表E’が使用され、v成分ivは実質的に、参照表E’からのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。セクター0に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Eが使用され、v成分ivは実質的に参照表Eからのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果である。
【0106】
[00117]
図7Aは、参照表E、E’および参照表D、D’の選択を示す。参照表EとDは、第1の参照表(E)および第2の参照表(D)とも呼ばれ得る。参照表E’およびD’は、それぞれ、実質的に参照表EおよびDに対応しているが、参照表EおよびDとは逆にインデックスを付されている。参照表E’およびD’は、逆の第1の参照表(E’)および逆の第2の参照表(D’)とも呼ばれ得る。上述のように、参照表に対するインデックスΘindexは実質的に固定子電流角度Θ
αβとセクター角度Θsectorとの間の差であり、または数学的には、Θ
index=Θ
αβ-Θ
sectorである。したがって、一例において、インデックスΘindexは60個の値を含み、0度から59度まで(0°~59°)変化する。
【0107】
[00118] 例えば、スケーリングファクターを表す予め記憶された値はゼロ度(0°)におけるインデックスΘindexに対応する位置で参照表Eに記憶されている。同じ予め記憶された値が、参照表E’では逆に記憶されている。例えば、予め記憶された値は参照表E’では59度(59°)におけるインデックスΘindexに対応する位置に記憶されている。予め記憶された値は、1度(1°)におけるインデックスΘindexに対応する位置において参照表Eに記憶されている。同じ予め記憶された値は、参照表E’では58度(58°)におけるインデックスΘindexに対応する位置に記憶されており、他も同様である。このインデックス処理は参照表DおよびD’に対しても同様である。
【0108】
[00119] 150度から209度まで(150°~209°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター1に対応した表700の行2を参照する。セクター1は奇数であり、したがって、相電流を再構成するために参照表DおよびD’が使用される。セクター1に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、w成分iWに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Dが使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表D’が使用される。w成分iWは実質的に、参照表Dからのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。v成分ivは実質的に、参照表D’からのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。
【0109】
[00120] 210度から269度まで(210°~269°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター2に対応した表700の行3を参照する。セクター2は偶数であり、したがって、参照表EおよびE’が使用される。セクター2に対して相電流検出信号IPHUが利用可能である場合、w成分iWに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Eが使用される。w成分iWは実質的に、参照表Eからのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHUとの乗算結果である。セクター2に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、w成分iwに対するスケーリングファクターを特定するために参照表E’が使用される。w成分iwは実質的に、参照表E’からのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。
【0110】
[00121] 270から329まで(270°~329°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター3に対応した表700の行4を参照する。セクター3は奇数であり、したがって、相電流を再構成するために参照表DおよびD’が使用される。セクター3に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表Dが使用され、w成分iwに対するスケーリングファクターを特定するために参照表D’が使用される。u成分iWは実質的に、参照表Dからのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。v成分ivは実質的に、参照表D’からのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。
【0111】
[00122] 330から359までの、および、ゼロ度から29度まで(330°~359°;0°~29°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター4に対応した表700の行5を参照する。セクター4は偶数であり、したがって、参照表EおよびE’が使用される。セクター4に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表E’が使用される。u成分iuは実質的に、参照表E’からのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果である。セクター4に対して相電流検出信号IPHVが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表Eが使用される。u成分iuは実質的に、参照表Eからのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHVとの乗算結果である。
【0112】
[00123] 30度から89度まで(30°~89°)の固定子電流角度Θαβに対するセクター5に対応した表700の行6を参照する。セクター5は奇数であり、したがって、相電流を再構成するために参照表DおよびD’が使用される。セクター5に対して相電流検出信号IPHWが利用可能である場合、u成分iuのスケーリングファクターを特定するために参照表D’が使用され、v成分ivに対するスケーリングファクターを特定するために参照表Dが使用される。w成分iWは実質的に、参照表D’からのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果である。v成分ivは実質的に、参照表Dからのスケーリングファクターと相電流検出信号IPHWとの乗算結果である。
【0113】
[00124] したがって、固定子電流角度Θαβに応じて、セクターおよびセクター角度Θsectorが特定され得、利用不可能な他の相電流を再構成するために、相電流検出信号IPHU、IPHV、IPHWのうちのどれが利用可能であるかに応じて、適切な参照表およびスケーリングファクターが選択される。
【0114】
[00125]
図7Bは、相電流を再構成するための参照表DおよびEの内容を示す別の表701を示す。上述のように、参照表は参照表における予め記憶された値の位置を示すためにインデックスΘindexを使用する。更に、相電流の大きさを再構成するために使用されるスケーリングファクターを表す予め記憶された値は、更に、インデックスΘindexに基づいて演算される。インデックスΘindexは、実質的に固定子電流角度Θ
αβとセクター角度Θsectorとの間の差であり、または数学的には、Θ
index=Θ
αβ-Θ
sectorである。したがって、一例において、インデックスΘindexは60個の値を含み、0度から59度まで(0°~59°)変化する。
【0115】
[00126] 参照表EおよびDの各々は記憶された60個の値を含み、記憶された値の各々がインデックスΘindexの60個の値のうちの1つに対応している。表Eに対して、スケーリングファクターを表す記憶された値の各々は、インデックスΘindexと60度との和のサインを、60度とインデックスΘindexとの間の差のサインで割ったものに実質的に等しく、または数学的には次のとおりである。
【数4】
【0116】
[00127] 参照表Dに対して、スケーリングファクターを表す記憶された値の各々は、インデックスΘindexのサインを、インデックスΘindexと60度との和のサインで割ったものに実質的に等しく、または数学的に次のとおりである。
【数5】
【0117】
[00128] 上述のように、本開示の実施形態は従来の相電流フィードバックに比べてコンポーネント数、コスト、電力損失の全体的な低減を円滑化する相電流検出信号IPHU、IPHV、IPHWを使用する。加えて、参照表の使用が、相電流再構成のための、より速い処理速度を可能にする。
【0118】
[00129] 本発明に関して示される例についての上述の説明は、要約で説明される事項を含め、網羅的であることを意図したものではなく、開示される形態そのものへの限定であることを意図したものでもない。本発明の特定の実施形態および例が本明細書において例示を目的として説明されるが、本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱せずに様々な同等な変更が可能である。実際、具体的で例示的な電圧、電流、周波数、出力範囲値、時間などが説明のために提示されること、および本発明の教示による他の実施形態および例において他の値が使用されてもよいことが理解される。
【外国語明細書】