(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174546
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】シート給送装置およびシート分離装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B65H3/48 310B
B65H3/48 320B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075650
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2022085499
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 晋哉
(72)【発明者】
【氏名】福島 和行
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB00
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA12
3F343JD03
3F343JD28
3F343JD33
3F343KB05
3F343LA02
3F343LA15
3F343LA16
3F343LB08
3F343LD07
3F343LD08
3F343LD10
(57)【要約】
【課題】製造コストの増大を防止しつつ簡易な機構により用紙スタックの最上位の用紙を確実に分離して給送する。
【解決手段】用紙スタックSを積載する積載部と、用紙スタックSの最上位の用紙Pの表面に接触して用紙を給送方向に給送する給送ローラと、用紙スタックSの最上位の用紙Pを他の用紙Pから分離するシート分離機構30と、を備え、シート分離機構30は、給送方向FDの上流側において、用紙スタックSの最上位の用紙Pを吸引して上方へ引き上げる吸引部31と、用紙スタックSの最上位の用紙Pを含む用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域に向けた第1噴射方向JD1を変動させるように空気を噴射する回転噴射部33により最上位の用紙Pを他の用紙Pから分離する噴射機構32と、を有する紙折装置を提供する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の用紙を含む用紙スタックを積載する積載部と、
前記用紙スタックの最上位の前記用紙の表面に接触して前記用紙を給送方向に給送する給送部と、
前記用紙スタックの最上位の前記用紙を他の前記用紙から分離するシート分離機構と、を備え、
前記シート分離機構は、
前記給送方向の上流側において、前記用紙スタックの最上位の前記用紙を吸引して上方へ引き上げる吸引部と、
前記用紙スタックの最上位の前記用紙を含む前記用紙スタックの前記給送方向の上流側の端面を含む所定領域に向けた第1噴射方向を変動させるように空気を噴射する第1噴射部により最上位の前記用紙を他の前記用紙から分離する噴射機構と、を有するシート給送装置。
【請求項2】
前記第1噴射部は、
前記用紙スタックの高さ方向と交差する軸線に沿って延びるとともに先端が閉塞した円筒状に形成され、側面に前記所定領域に向けて空気を噴射する噴射孔が形成されたノズル部と、
前記ノズル部を前記軸線回りの所定方向に回転させる回転部と、を有し、
前記ノズル部の内部空間には、前記噴射孔から噴射させる空気が供給される請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記ノズル部は、前記軸線回りの周方向において、前記用紙スタックの前記端面側の180度以下の噴射領域で前記噴射孔から空気を噴射する請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記第1噴射部は、前記ノズル部を保持する本体部を有し、
前記本体部は、前記噴射孔が形成された前記側面の一部を突出させた状態で前記ノズル部を収容する収容穴と、前記収容穴と連通するとともに外部から空気が供給される供給路と、を有し、
前記ノズル部には、前記側面の前記供給路と対向する位置において、前記周方向の180度以下の領域に前記供給路と前記内部空間とを連通させる開口部が形成されている請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記回転部は、外部から供給される空気により前記軸線回りに回転する駆動力を発生する請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記シート分離機構は、前記所定領域へ向けた第2噴射方向を固定して空気を噴射する第2噴射部を有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
複数の用紙を含む用紙スタックの端面の所定領域に向けて空気を噴射して前記用紙を分離するシート分離装置であって、
前記用紙スタックの高さ方向と交差する軸線に沿って延びるとともに先端が閉塞した円筒状に形成され、側面に前記所定領域に向けて空気を噴射する噴射孔が形成されたノズル部と、
前記ノズル部を前記軸線回りの所定方向に回転させる回転部と、を備え、
前記ノズル部の内部空間には、前記噴射孔から噴射させる空気が供給されるシート分離装置。
【請求項8】
前記ノズル部は、前記軸線回りの周方向において、前記用紙スタックの前記端面側の180度以下の噴射領域で前記噴射孔から前記空気を噴射する請求項7に記載のシート分離装置。
【請求項9】
前記ノズル部を保持する本体部を有し、
前記本体部は、前記噴射孔が形成された前記側面の一部を突出させた状態で前記ノズル部を収容する収容穴と、前記収容穴と連通するとともに外部から空気が供給される供給路と、を有し、
前記ノズル部には、前記側面の前記供給路と対向する位置において、前記周方向の180度以下の領域に前記供給路と前記内部空間とを連通させる開口部が形成されている請求項8に記載のシート分離装置。
【請求項10】
前記回転部は、外部から供給される空気により前記軸線回りに回転する駆動力を発生する請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のシート分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置およびシート分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレイに積載されるシート束に向けて空気を噴射して分離し、最上位の1枚のシートを吸着搬送ベルトで吸着して搬送する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、シート束の側面側に配置した一対のエアーノズルからシート束に空気を噴射することにより、シート同士の分離を促す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、トレイに積載されるシート束のシート同士の分離を促すために一対のエアーノズルを設ける必要がある。また、特許文献1では、シート束の最上位にあるシートの位置を検出する位置検出手段と、シートの位置に応じてエアーノズルの位置を最上位にあるシートの位置に合わせるように移動させる機構を設ける必要がある。そのため、特許文献1では、シート同士の分離を促すために複雑な機構が必要となり、製造コストが増大してしまう。
【0005】
本発明は以上に鑑みてなされたものであり、製造コストの増大を防止しつつ簡易な機構により用紙スタックの最上位の用紙を確実に分離して給送することが可能なシート給送装置およびシート分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係るシート給送装置は、複数の用紙を含む用紙スタックを積載する積載部と、前記用紙スタックの最上位の前記用紙の表面に接触して前記用紙を給送方向に給送する給送部と、前記用紙スタックの最上位の前記用紙を他の前記用紙から分離するシート分離機構と、を備え、前記シート分離機構は、前記給送方向の上流側において、前記用紙スタックの最上位の前記用紙を吸引して上方へ引き上げる吸引部と、前記用紙スタックの最上位の前記用紙を含む前記用紙スタックの前記給送方向の上流側の端面を含む所定領域に向けて空気を噴射して最上位の前記用紙を他の前記用紙から分離する噴射機構と、を備え、前記噴射機構は、前記所定領域へ向けた第1噴射方向を変動させるように空気を噴射する第1噴射部を有する。
【0007】
本発明の第1態様に係るシート給送装置によれば、用紙の給送方向の上流側において、積載部に積載される用紙スタックの最上位の用紙が吸引部により上方へ引き上げられる。そして、シート分離機構の噴射機構が、用紙スタックの最上位の用紙を含む用紙スタックの給送方向の上流側の端面を含む所定領域に向けて空気を噴射することにより、最上位の用紙が他の用紙から分離される。このように、本発明の第1態様に係るシート給送装置によれば、製造コストの増大を防止しつつ簡易な機構により用紙スタックの最上位の用紙を確実に分離して給送することできる。
【0008】
本発明の第2態様に係るシート給送装置は、第1態様において、前記第1噴射部は、前記用紙スタックの高さ方向と交差する軸線に沿って延びるとともに先端が閉塞した円筒状に形成され、側面に前記所定領域に向けて空気を噴射する噴射孔が形成されたノズル部と、前記ノズル部を前記軸線回りの所定方向に回転させる回転部と、を有し、前記ノズル部の内部空間には、前記噴射孔から噴射させる空気が供給される。
【0009】
本発明の第2態様に係るシート給送装置によれば、回転部によりノズル部を用紙スタックの高さ方向と交差する軸線回りの所定方向に回転させるという比較的簡易な構造により、用紙スタックの給送方向の上流側の端面の所定領域に向けた空気の第1噴射方向を用紙スタックの高さ方向において周期的に変動させることができる。そして、本発明の第2態様に係るシート給送装置によれば、最上位の用紙に他の用紙が接触したまま吸引部により引き上げられたとしても、最上位の用紙と他の用紙との間に空気を送り込み、最上位の用紙と他の用紙との分離を促進することができる。
【0010】
本発明の第3態様に係るシート給送装置は、第2態様において、前記ノズル部は、前記軸線回りの周方向において、前記用紙スタックの前記端面側の180度以下の噴射領域で前記噴射孔から空気を噴射する。
本発明の第3態様に係るシート給送装置によれば、用紙スタックの端面側の180度以下の噴射領域で噴射孔から空気を噴射するため、用紙スタックの端面側に噴射されない領域において空気が噴射されてしまうことを適切に防止することができる。
【0011】
本発明の第4態様に係るシート給送装置は、第3態様において、前記第1噴射部は、前記ノズル部を保持する本体部を有し、前記本体部は、前記噴射孔が形成された前記側面の一部を突出させた状態で前記ノズル部を収容する収容穴と、前記収容穴と連通するとともに外部から空気が供給される供給路と、を有し、前記ノズル部には、前記側面の前記供給路と対向する位置において、前記周方向の180度以下の領域に前記供給路と前記内部空間とを連通させる開口部が形成されている。
【0012】
本発明の第4態様に係るシート給送装置によれば、供給部から供給路へ空気を供給することにより、供給路と対向する位置を開口部が通過する際に供給路からノズル部の内部空間へ空気が供給され、噴射孔から空気が噴射される。開口部が、供給路と対向する位置のノズル部の側面の周方向の180度以下の領域に形成されているため、ノズル部の回転に応じて、供給路から内部空間へ空気が供給される期間と、供給路から内部空間へ空気が供給されない期間とが周期的に繰り返される。これにより、所定領域へ向けた空気の第1噴射方向を周期的に変動させることができる。
【0013】
本発明の第5態様に係るシート給送装置は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記回転部は、外部から供給される空気により前記軸線回りに回転する駆動力を発生する。
本発明の第5態様に係るシート給送装置によれば、回転部を駆動する駆動力を発生する専用の装置を用いることなく、供給部から供給される空気を用いて回転部を駆動する駆動力を得ることができる。
【0014】
本発明の第6態様に係るシート給送装置は、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記シート分離機構は、前記所定領域へ向けた第2噴射方向を固定して空気を噴射する第2噴射部を有する。
本発明の第6態様に係るシート給送装置によれば、所定領域へ向けた第2噴射方向を固定して空気を噴射する第2噴射部を有するため、第1噴射部により最上位の用紙と他の用紙との分離を促進しつつ、第2噴射部により第2噴射方向に沿って用紙の給送方向の下流側へ送られる空気量を十分に確保して用紙と用紙の間に形成される隙間に確実に空気を送り込むことができる。
【0015】
本発明の第7態様に係るシート分離装置は、複数の用紙を含む用紙スタックの端面の所定領域に向けて空気を噴射して前記用紙を分離し、前記用紙スタックの高さ方向と交差する軸線に沿って延びるとともに先端が閉塞した円筒状に形成され、側面に前記所定領域に向けて空気を噴射する噴射孔が形成されたノズル部と、前記ノズル部を前記軸線回りの所定方向に回転させる回転部と、を備え、前記ノズル部の内部空間には、前記噴射孔から噴射させる空気が供給される。
【0016】
本発明の第7態様に係るシート分離装置によれば、回転部によりノズル部を用紙スタックの高さ方向と交差する軸線回りの所定方向に回転させるという比較的簡易な構造により、用紙スタックの給送方向の上流側の端面の所定領域に向けた空気の第1噴射方向を用紙スタックの高さ方向において周期的に変動させることができる。そして、本発明の第7態様に係るシート分離装置によれば、最上位の用紙に他の用紙が接触したまま吸引部により引き上げられたとしても、最上位の用紙と他の用紙との間に空気を送り込み、最上位の用紙と他の用紙との分離を促進することができる。
【0017】
本発明の第8態様に係るシート分離装置は、第7態様において、前記ノズル部は、前記軸線回りの周方向において、前記用紙スタックの前記端面側の180度以下の噴射領域で前記噴射孔から前記空気を噴射する。
本発明の第8態様に係るシート分離装置によれば、用紙スタックの端面側の180度以下の噴射領域で噴射孔から空気を噴射するため、用紙スタックの端面側に噴射されない領域において空気が噴射されてしまうことを適切に防止することができる。
【0018】
本発明の第9態様に係るシート分離装置は、第8態様において、前記ノズル部を保持する本体部を有し、前記本体部は、前記噴射孔が形成された前記側面の一部を突出させた状態で前記ノズル部を収容する収容穴と、前記収容穴と連通するとともに外部から空気が供給される供給路と、を有し、前記ノズル部には、前記側面の前記供給路と対向する位置において、前記周方向の180度以下の領域に前記供給路と前記内部空間とを連通させる開口部が形成されている。
【0019】
本発明の第9態様に係るシート分離装置によれば、供給部から供給路へ空気を供給することにより、供給路と対向する位置を開口部が通過する際に供給路からノズル部の内部空間へ空気が供給され、噴射孔から空気が噴射される。開口部が、供給路と対向する位置のノズル部の側面の周方向の180度以下の領域に形成されているため、ノズル部の回転に応じて、供給路から内部空間へ空気が供給される期間と、供給路から内部空間へ空気が供給されない期間とが周期的に繰り返される。これにより、所定領域へ向けた空気の第1噴射方向を周期的に変動させることができる。
【0020】
本発明の第10態様に係るシート分離装置は、第7態様から第9態様のいずれかにおいて、前記回転部は、外部から供給される空気により前記軸線回りに回転する駆動力を発生する。
本発明の第10態様に係るシート分離装置によれば、回転部を駆動する駆動力を発生する専用の装置を用いることなく、供給部から供給される空気を用いて回転部を駆動する駆動力を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、製造コストの増大を防止しつつ簡易な機構により用紙スタックの最上位の用紙を確実に分離して給送することが可能なシート給送装置およびシート分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る紙折装置を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す給送ローラおよびシート分離機構を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示すシート分離機構を給送ローラ側からみた図であり、吸引部が用紙を上方へ引き上げる前の状態を示す。
【
図4】
図1に示すシート分離機構を給送ローラ側からみた図であり、吸引部が用紙を上方へ引き上げた状態を示す。
【
図5】
図3に示すシート分離機構のA-A矢視断面図である。
【
図6】
図4に示すシート分離機構のB-B矢視断面図である。
【
図7】
図4に示すシート分離機構のC-C矢視断面図である。
【
図10】
図8に示す回転噴射部をノズル部の軸線に沿ったみた図である。
【
図11】
図9に示す回転噴射部のD-D矢視断面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る紙折装置の給送ローラおよびシート分離機構を示す斜視図である。
【
図13】
図12に示すシート分離機構を給送ローラ側からみた図であり、吸引部が用紙を上方へ引き上げる前の状態を示す。
【
図14】本発明の第3実施形態の回転噴射部の斜視図である。
【
図15】本発明の第3実施形態の回転噴射部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る紙折装置(シート給送装置)100について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る紙折装置100を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態の紙折装置100は、積載部10と、給送ローラ(給紙部)20と、シート分離機構(シート分離装置)30と、コンベヤベルト40と、紙折部50と、制御部60と、を備える。
【0024】
本実施形態では、コンベヤベルト40および紙折部50を備える紙折装置100について説明するが、コンベヤベルト40および紙折部50を備えない他のシート給送装置としてもよい。この場合、シート給送装置は、積載部10と、給送ローラ20と、シート分離機構30とを備えるものとなる。
【0025】
積載部10は、複数の用紙Pを含む用紙スタックSを積載する装置である。用紙スタックSは、棚11の上に複数の用紙Pを高さ方向HDに積み上げたものである。棚11は、昇降機構12により、用紙スタックSの最上位の用紙Pが給送ローラ20と近接するように、高さ方向HDに沿って移動する。
【0026】
給送ローラ20は、用紙スタックSの最上位の用紙Pの表面に接触して用紙Pを給送方向FDに給送する装置である。給送ローラ20は、水平方向に延びる軸線Xf回りの回転方向RDに沿って回転し、用紙スタックSの最上位の用紙Pを摩擦力により給送方向FDに沿って移動させ、用紙Pをコンベヤベルト40に給送する。なお、給送ローラ20に換えて無端状のベルトにより用紙Pを給送する給送ベルトを採用してもよい。
【0027】
シート分離機構30は、用紙スタックSの最上位の用紙Pを他の用紙Pから分離する装置である。シート分離機構30の詳細については後述する。
【0028】
コンベヤベルト40は、給送ローラ20から給送された用紙Pを紙折部50へ給送する装置である。コンベヤベルト40は、搬送ベルト41と、搬送ベルト41が掛け回される一対のローラ42と、を有する。コンベヤベルト40は、一対のローラ42により搬送ベルト41を駆動し、搬送ベルト41に給送された用紙Pを給送方向FDに沿って紙折部50へ搬送する。一対のローラ42に示す矢印は、一対のローラ42の回転方向を示す。
【0029】
紙折部50は、コンベヤベルト40から給送される用紙Pを2つ折りにする装置である。紙折部50は、一対の桟51a,51bからなるバックル51と、ストッパ52と、一対の取り込みローラ53,54と、折りローラ55と、を有する。一対の取り込みローラ53,54および折りローラ55に示す矢印は、各ローラの回転方向を示す。紙折部50は、コンベヤベルト40から給送される用紙Pを一対の取り込みローラ53,54により給送し、バックル51のスロット51cから一対の桟51a,51bの間隙51dに導入する。
【0030】
図1に示すように、一対の取り込みローラ53,54が用紙Pを間隙51dへ導入してストッパ52へ向けて給送すると、用紙Pの先端がストッパ52に接触する。用紙Pの先端がストッパ52へ接触した後、一対の取り込みローラ53,54が用紙Pを給送方向FDに更に押し込むと、給送方向FDの下流側で用紙Pが折り曲がる。折り曲げられた用紙Pは、取り込みローラ53と折りローラ55により折り曲げ部Pfを先端として下方へ向けて給送される。
【0031】
制御部60は、紙折装置100の各部を制御する装置である。制御部60は、記憶部(図示略)に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、紙折装置100の各部を制御する。
【0032】
次に、シート分離機構30の詳細について図面を参照して説明する。
図2は、
図1に示す給送ローラ20およびシート分離機構30を示す斜視図である。
図3は、
図1に示すシート分離機構30を給送ローラ20側からみた図であり、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げる前の状態を示す。
図4は、
図1に示すシート分離機構30を給送ローラ20側からみた図であり、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げた状態を示す。
図3および
図4では、用紙Pの図示を省略している。
図2から
図4に示すように、シート分離機構30は、吸引部31と、噴射機構32と、を有する。
【0033】
吸引部31は、積載部10に積載される用紙スタックSの給送方向FDの上流側において、用紙スタックSの最上位の用紙Pを吸引して上方へ引き上げる装置である。吸引部31は、吸引機構(図示略)に接続されており、吸引面31aから周囲の空気を吸引することで、吸引面31aに接触する用紙Pの上面領域の圧力を大気圧より低い負圧状態とする。
【0034】
吸引部31は、シート分離機構30の本体部30aに対して高さ方向HDに沿って移動可能となっている。用紙Pの上面領域が負圧状態となり、負圧と大気圧との差が吸引部31の重量を上回ると、最上位の用紙Pを吸引した状態の吸引部31が用紙スタックSから上方に引き上げられる。吸引部31は、このようにして用紙スタックSの最上位の用紙Pを吸引して上方へ引き上げ、
図3に示す状態から
図4に示す状態へ切り替える。
【0035】
図5は、
図3に示すシート分離機構30のA-A矢視断面図である。
図6は、
図4に示すシート分離機構30のB-B矢視断面図である。
図5に示すように、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げる前の状態で、吸引部31の吸引面31aは、用紙スタックSの最上位の用紙Pに接触した状態となる。
図5に示すように、この状態において、最上位の用紙Pは用紙スタックSから引き上げられておらず、他の用紙Pとの間に隙間を空けずに積み重ねられている。
【0036】
図6に示すように、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げた状態で、吸引部31の吸引面31aは、用紙スタックSの最上位の用紙Pに接触した状態となる。
図6に示すように、この状態において、最上位の用紙Pは用紙スタックSから引き上げられ、用紙スタックSに積載される他の用紙Pとの間に隙間が設けられた状態となる。
【0037】
噴射機構32は、用紙スタックSの最上位の用紙Pを含む用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域に向けて空気を噴射して最上位の用紙Pを他の用紙Pから分離する機構である。噴射機構32は、吸引部31に吸引された最上位の用紙Pに密着した他の用紙Pを最上位の用紙Pから分離する。
【0038】
図6に示す吸引部31は、最上位の用紙Pを吸引して高さ方向HDに引き上げることにより、最上位の用紙Pを用紙スタックSに積載される他の用紙Pから分離している。一方、
図6では、最上位の用紙Pの下方の用紙Pが最上位の用紙Pから分離せずに密着した状態となっている。本実施形態の噴射機構32は、最上位の用紙Pとその下方に密着した他の用紙Pとの間に空気を導き、最上位の用紙Pとその下方に密着した他の用紙Pとを分離する。
【0039】
図1から
図4に示すように、噴射機構32は、一対の回転噴射部(第1噴射部)33と、一対の固定噴射部(第2噴射部)34と、切替噴射部35と、一対の押さえ部36と、連結部37と、供給部38と、を有する。
【0040】
回転噴射部33は、用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域へ向けた第1噴射方向JD1を周期的に変動させるように空気を噴射する装置である。一対の回転噴射部33は、シート分離機構30の本体部30aに固定されている。
図6に示すように、回転噴射部33は、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げた状態で、第1噴射方向JD1へ空気を噴射する。
【0041】
回転噴射部33が空気を噴射する第1噴射方向JD1は、水平方向に延びる軸線Ra回りに、
図6に示す周方向CDに沿って変動する。また、回転噴射部33は、
図6に示す角度θ1の領域において第1噴射方向JD1を変動させる。なお、
図6は、第1噴射方向JD1を反時計回りに変動させる例を示すが、第1噴射方向JD1を時計回りに変動させてもよい。回転噴射部33の詳細な構造については後述する。
【0042】
固定噴射部34は、用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域へ向けた第2噴射方向JD2を固定して空気を噴射する装置である。
図7は、
図4に示すシート分離機構30のC-C矢視断面図である。固定噴射部34は、供給部38から供給される空気を水平方向である第2噴射方向JD2に沿って噴射するノズル部34aを有する。
【0043】
切替噴射部35は、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げた状態で、吸引部31に引き上げられた最上位の用紙Pの下方の空間に水平方向である第3噴射方向JD3に沿って空気を噴射する装置である。
図5に示すように、切替噴射部35は、揺動軸35c回りに揺動可能な蓋部35aと、供給部38から供給される空気を噴射する噴射孔35bと、を有する。
【0044】
図5に示すように、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げる前の状態で、切替噴射部35は、蓋部35aにより噴射孔35bを封止して噴射孔35bから空気が噴射されないようにしている。一方、
図6に示すように、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げた状態で、切替噴射部35は、蓋部35aが揺動軸35c回りに時計回りに揺動し、噴射孔35bから空気が噴射されるように切り替える。蓋部35aは、吸引部31に固定された突起部31bと接触することにより、揺動軸35c回りに時計回りに揺動する。
【0045】
押さえ部36は、
図2に示すように、用紙スタックSに積載される最上位の用紙Pの幅方向WDの端部が用紙スタックSから離れないように押し付ける装置である。押さえ部36は、最上位の用紙Pが吸引部31により上方へ引き上げられた状態でも最上位の用紙Pの幅方向WDの端部を用紙スタックSに押さえつけることにより用紙Pの位置を保持し、最上位の用紙Pの下方の領域に空気を送り込んで他の用紙Pとの分離を促進させることができる。
【0046】
連結部37は、水平方向に延びるように棒状に形成され、シート分離機構30の本体部30aに対して、一対の固定噴射部34と、一対の押さえ部36とを固定する装置である。連結部37は、シート分離機構30の本体部30aに固定されている。連結部37に対する一対の固定噴射部34および一対の押さえ部36の幅方向WDの位置は任意に調整可能となっている。
【0047】
供給部38は、シート分離機構30が噴射する空気を供給する装置である。供給部38は、回転噴射部33が第1噴射方向JD1に噴射する空気を回転噴射部33に供給する。また、供給部38は、固定噴射部34が第2噴射方向JD2に噴射する空気を固定噴射部34に供給する。また、供給部38は、切替噴射部35が噴射孔35bから第3噴射方向JD3に噴射する空気を切替噴射部35に供給する。
【0048】
図6に示すように、吸引部31に吸引された最上位の用紙Pとその下方の他の用紙Pとの間に向けて、切替噴射部35から水平方向の第3噴射方向JD3に向けて空気が噴射される。また、回転噴射部33から噴射される空気の第1噴射方向JD1を周期的に変動させることで、最上位の用紙Pとその下方の他の用紙Pとの隙間に空気を導く。以上の回転噴射部33が第1噴射方向JD1に噴射する空気と、固定噴射部34が第2噴射方向JD2に噴射する空気と、切替噴射部35が噴射孔35bから第3噴射方向JD3に噴射する空気とにより、最上位の用紙Pから他の用紙Pを分離する。
【0049】
なお、回転噴射部33が空気を噴射する第1噴射方向JD1を変動させることは、最上位の用紙Pからその下方に密着した他の用紙Pを分離する際に特に有利である。吸引部31に吸引された最上位の用紙Pとその下方に密着した他の用紙P(
図6に点線で示す用紙P)との密着力が大きいと、固定噴射部34が第2噴射方向JD2に噴射する空気、あるいは切替噴射部35が噴射孔35bから第3噴射方向JD3に噴射する空気では、最上位の用紙Pからその下方に密着した他の用紙Pを分離することができない場合がある。この場合、回転噴射部33が空気を噴射する第1噴射方向JD1を変動させることにより、最上位の用紙Pとその下方に密着した他の用紙Pとの分離を促進することができる。
【0050】
次に、
図8から
図11を参照して、回転噴射部33の詳細な構造について説明する。
図8は、
図3に示す回転噴射部33の斜視図である。
図9は、
図8に示す回転噴射部33の部分断面図である。
図10は、
図8に示す回転噴射部33をノズル部33aの軸線Raに沿ったみた図である。
図11は、
図9に示す回転噴射部33のD-D矢視断面図である。
図8および
図9に示すように、回転噴射部33は、ノズル部33aと、回転部33bと、軸受部33cと、本体部33dと、を有する。
【0051】
図8に示すように、ノズル部33aは、用紙スタックSの高さ方向HDと直交する(交差する)軸線Raに沿って延びるとともに先端が閉塞した円筒状に形成される部材である。ノズル部33aの側面には、用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域に向けて空気を噴射する複数の噴射孔33a1が形成されている。複数の噴射孔33a1は、軸線Ra回りの周方向CDの同一位置に、軸線Raに沿って並ぶように間隔を空けて配置されている。
【0052】
図9および
図11に示すように、ノズル部33aには、本体部33dに形成される空気供給路33d2と対向する位置において、周方向CDの角度θ2の領域に空気供給路33d2とノズル部33aの内部空間ISとを連通させる開口部33a2が形成されている。角度θ2は、180度以下とするのが好ましい。
【0053】
ノズル部33aの内部空間ISには、開口部33a2が空気供給路33d2を通過する際に、噴射孔33a1から噴射される空気が供給される。開口部33a2は、軸線Ra回りの周方向CDにおいて角度θ2の範囲だけに設けられている。そのため、
図10に示すように、ノズル部33aは、軸線Ra回りの周方向CDにおいて、用紙スタックSの端面Se側の180度以下の噴射領域JAで噴射孔33a1から空気を噴射する。噴射領域JAの周方向CDの角度θ1は、開口部33a2が形成される角度θ2と一致する。
【0054】
ノズル部33aは、軸線Ra回りに一方向に連続的に回転し、1回転中で開口部33a2が空気供給路33d2を通過する際に噴射孔33a1から空気を噴射し、1回転中で開口部33a2が空気供給路33d2を通過しない際には噴射孔33a1から空気を噴射しない。ノズル部33aは、このようにして、用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域へ向けた第1噴射方向JD1を周期的に変動させるように空気を噴射する。
【0055】
回転部33bは、ノズル部33aの基端部に接続されておりノズル部33aを軸線Ra回りの周方向CDに回転させる装置である。回転部33bの周方向CDの複数箇所に凹部33b1が形成されている。凹部33b1には、本体部33dに形成される空気供給路33d1を介して、供給部38から空気が供給される。回転部33bは、供給部38から供給される空気により軸線Ra回りに回転する駆動力を発生する。
【0056】
軸受部33cは、本体部33dに固定されるとともにノズル部33aの側面を軸線Ra回りに回転可能に支持する部材である。軸受部33cには、空気供給路33d2と開口部33a2とを連通させる連通穴33c1が形成されている。
図9および
図11に示すように、連通穴33c1は、軸線Ra回りの周方向CDにおいて、空気供給路33d2と一致する位置にのみ設けられている。したがって、空気供給路33d2と開口部33a2とは、開口部33a2が連通穴33c1の位置を通過するときだけ一時的に連通する。
【0057】
図9に示すように、本体部33dは、ノズル部33aと、回転部33bと、軸受部33cとを内部に保持する部材である。本体部33dは、空気供給路33d1と、空気供給路33d2と、収容穴33d3と、を有する。
図9において、空気供給路33d1および空気供給路33d2に示す矢印は、供給部38から導かれる空気の流通方向を示す。
【0058】
空気供給路33d1は、供給部38から供給される空気を回転部33bへ供給する流路である。空気供給路33d2は、収容穴33d3と連通するとともに供給部38から空気が供給される流路である。空気供給路33d2は、供給部38から供給される空気をノズル部33aの内部空間ISへ導く。収容穴33d3は、噴射孔33a1が形成された側面の一部を突出させた状態でノズル部33aおよび軸受部33cを収容する穴である。
【0059】
以上説明した本実施形態の紙折装置100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の紙折装置によれば、用紙Pの給送方向FDの上流側において、積載部10に積載される用紙スタックSの最上位の用紙Pが吸引部31により上方へ引き上げられる。そして、シート分離機構30の噴射機構32が、用紙スタックSの最上位の用紙Pを含む用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域に向けて空気を噴射することにより、最上位の用紙Pが他の用紙Pから分離される。
【0060】
また、本実施形態の紙折装置100によれば、回転噴射部33が所定領域へ向けた第1噴射方向JD1を周期的に変動させるため、最上位の用紙Pに他の用紙Pが接触したまま吸引部31により引き上げられたとしても、最上位の用紙Pと他の用紙Pとの間に空気を送り込み、最上位の用紙Pと他の用紙Pとの分離を促進することができる。これにより、用紙Pの給送方向FDの上流側で最上位の用紙Pのみが用紙スタックSから適切に分離されるため、最上位の用紙Pがその下方の用紙Pと接触する面積が減少し、最上位の用紙Pが給送ローラ20によって給送される際に、最上位の用紙Pとともに下方の用紙Pが給送されてしまうことが防止される。このように、本実施形態の紙折装置100によれば、製造コストの増大を防止しつつ簡易な機構により用紙スタックSの最上位の用紙Pを確実に分離して給送することできる。
【0061】
また、本実施形態の紙折装置100によれば、回転部33bによりノズル部33aを用紙スタックSの高さ方向HDと直交(交差)する軸線Ra回りの一定方向に回転させるという比較的簡易な構造により、用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seの所定領域に向けた空気の第1噴射方向JD1を用紙スタックSの高さ方向HDにおいて周期的に変動させることができる。そして、本実施形態の紙折装置100によれば、最上位の用紙Pに他の用紙Pが接触したまま吸引部31により引き上げられたとしても、最上位の用紙Pと他の用紙Pとの間に空気を送り込み、最上位の用紙Pと他の用紙Pとの分離を促進することができる。
【0062】
また、本実施形態の紙折装置100によれば、用紙スタックSの端面Se側の180度以下の噴射領域JAで噴射孔33a1から空気を噴射するため、用紙スタックSの端面Se側に噴射されない領域において空気が噴射されてしまうことを適切に防止することができる。
【0063】
また、本実施形態の紙折装置100によれば、供給部38から空気供給路33d2へ空気を供給することにより、空気供給路33d2と対向する位置を開口部33a2が通過する際に空気供給路33d2からノズル部33aの内部空間ISへ空気が供給され、噴射孔33a1から空気が噴射される。開口部33a2が、空気供給路33d2と対向する位置のノズル部33aの側面の周方向CDの180度以下の領域に形成されているため、ノズル部33aの回転に応じて、空気供給路33d2から内部空間ISへ空気が供給される期間と、空気供給路33d2から内部空間ISへ空気が供給されない期間とが周期的に繰り返される。これにより、所定領域へ向けた空気の第1噴射方向JD1を周期的に変動させることができる。
【0064】
また、本実施形態の紙折装置100によれば、回転部33bを駆動する駆動力を発生する専用の装置を用いることなく、供給部38から空気供給路33d1を介して供給される空気を用いて回転部33bを駆動する駆動力を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態の紙折装置100によれば、所定領域へ向けた第2噴射方向JD2を固定して空気を噴射する固定噴射部34を有するため、回転噴射部33により最上位の用紙Pと他の用紙Pとの分離を促進しつつ、固定噴射部34により第2噴射方向JD2に沿って用紙Pの給送方向FDの下流側へ送られる空気量を十分に確保して用紙Pと用紙Pの間に形成される隙間に確実に空気を送り込むことができる。
【0066】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る紙折装置100Aについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る紙折装置100Aの給送ローラ20およびシート分離機構30Aを示す斜視図である。
図13は、
図12に示すシート分離機構30Aを給送ローラ20側からみた図であり、吸引部31が用紙Pを上方へ引き上げる前の状態を示す。
【0067】
図12および
図13に示すように、第1実施形態に係る紙折装置100は、噴射機構32の一対の回転噴射部33がシート分離機構30の本体部30aに固定されるものであった。それに対して、本実施形態に係る紙折装置100Aは、噴射機構32の一対の回転噴射部33が本体部30aに固定されず、連結部37により本体部30aから幅方向WDに沿って分離した位置に配置される。連結部37に対する一対の回転噴射部33の幅方向WDの位置は任意に調整可能となっている。
【0068】
なお、
図12および
図13に示すように、本実施形態の噴射機構32は、第1実施形態の一対の固定噴射部34を備えないものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、幅方向WDの左右2箇所の回転噴射部33と押さえ部36の間に固定噴射部34を設置してもよい。また、例えば、幅方向WDの左右2箇所の回転噴射部33と吸引部31の間に固定噴射部34を設置してもよい。
【0069】
本実施形態の紙折装置100Aによれば、噴射機構32の一対の回転噴射部33が本体部30aに固定されず、連結部37により本体部30aから幅方向WDに沿って分離した位置に配置されるため、用紙Pに施された印刷やその他の要因により本体部30aから幅方向に沿って分離した位置において最上位の用紙Pを他の用紙Pから分離させにくい場合であっても、最上位の用紙Pを他の用紙Pから適切に分離させることができる。
【0070】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る紙折装置100Aについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
図14は、本発明の第3実施形態の回転噴射部33Bの斜視図である。
図15は、本発明の第3実施形態の回転噴射部33Bの部分断面図である。
【0071】
第1実施形態の回転噴射部33は、ノズル部33aに接続される回転部33bに対して供給部38から空気を供給することにより、ノズル部33aを軸線Ra回りに回転させるものであった。それに対して、本実施形態の回転噴射部33Bは、駆動モータ33eの駆動力によりノズル部33aを軸線Ra回りに回転させるものである。
【0072】
駆動モータ33eは、ノズル部33aの基端部に接続されておりノズル部33aを軸線Ra回りの周方向CDに回転させる装置である。駆動モータ33eは、ノズル部33aを軸線Ra回りに回転する駆動力を発生する。
【0073】
ノズル部33aは、軸線Ra回りに一方向に連続的に回転し、1回転中で開口部33a2が空気供給路33d2を通過する際に噴射孔33a1から空気を噴射し、1回転中で開口部33a2が空気供給路33d2を通過しない際には噴射孔33a1から空気を噴射しない。ノズル部33aは、用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域へ向けた第1噴射方向JD1(
図10参照)を周期的に変動させるように空気を噴射する。
【0074】
本実施形態の回転噴射部33Bによれば、駆動モータ33eが発生させる駆動力によりノズル部33aを軸線Ra回りに回転させ、用紙スタックSの給送方向FDの上流側の端面Seを含む所定領域へ向けた第1噴射方向JD1を周期的に変動させるように空気を噴射することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 積載部
11 棚
12 昇降機構
20 給送ローラ
30,30A シート分離機構
30a 本体部
31 吸引部
31a 吸引面
31b 突起部
32 噴射機構
33,33B 回転噴射部(第1噴射部)
33a ノズル部
33a1 噴射孔
33a2 開口部
33b 回転部
33b1 凹部
33c 軸受部
33c1 連通穴
33d 本体部
33d1,33d2 空気供給路
33d3 収容穴
33e 駆動モータ
34 固定噴射部(第2噴射部)
34a ノズル部
35 切替噴射部
35a 蓋部
35b 噴射孔
35c 揺動軸
36 押さえ部
37 連結部
38 供給部
40 コンベヤベルト
50 紙折部
51 バックル
52 ストッパ
53,54 取り込みローラ
55 折りローラ
60 制御部
100,100A 紙折装置(シート給送装置)
CD 周方向
FD 給送方向
HD 高さ方向
IS 内部空間
JA 噴射領域
JD1 第1噴射方向
JD2 第2噴射方向
JD3 第3噴射方向
P 用紙
Pf 折り曲げ部
RD 回転方向
Ra 軸線
S 用紙スタック
Se 端面
WD 幅方向
Xf 軸線
θ1,θ2 角度