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特開2023-174552冷却ユニットを有する温度校正器を運転する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174552
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】冷却ユニットを有する温度校正器を運転する方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 15/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
G01K15/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077831
(22)【出願日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】10 2022 113 268.4
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523173209
【氏名又は名称】ジーカ・ドクトル・ジーベルト・ウント・キューン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・レーム-グンベル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・メト
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056XA07
(57)【要約】
【課題】温度センサ10を校正する温度校正器1を運転する方法であって、温度校正器は、温度センサが挿入される校正ブロック11と、校正ブロックを加熱する加熱手段12と、校正ブロックを冷却する冷却ユニット13と、を備える、方法を簡略化する。
【解決手段】アクチュエータ14が設けられていて、アクチュエータによって、冷却ユニット13を、冷却時に校正ブロックに熱伝導接触させ、加熱時に空隙15を形成して空間的に校正ブロック11から分離させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサ(10)を校正する温度校正器(1)を運転する方法であって、
温度校正器(1)は、温度センサ(10)が導入される校正ブロック(11)と、校正ブロック(11)を加熱する加熱手段(12)と、校正ブロック(11)を冷却する冷却ユニット(13)と、を備える、方法において、
アクチュエータ(14)が設けられていて、アクチュエータ(14)によって、冷却ユニット(13)を、
冷却時に校正ブロック(11)に熱伝導接触させ、
加熱時に空隙(15)を形成して空間的に校正ブロック(11)から分離させる
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
冷却ユニット(13)は、冷却ヘッド(17)を具備する冷熱機器(16)を有し、冷却ヘッド(17)は、冷熱機器(16)によって冷却可能であり、少なくとも冷却ヘッド(17)は、又は冷熱機器(16)と一緒に冷却ヘッド(17)は、アクチュエータ(14)によって、校正ブロック(11)に対して相対移動させられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
制御部(18)が設けられていて、制御部(18)によって、アクチュエータ(14)が制御部(18)によって制御されることによって、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の空隙(15)が制御されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
温度測定センサ(19)が、特に冷却ヘッド(17)内に又は冷却ヘッド(17)に接して又は冷却ヘッド(17)の領域に設けられていて、温度測定センサ(19)によって、温度値を記録し、特に制御部(18)へ出力することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
冷却ヘッド(17)の臨界温度(T)を設定し、臨界温度を上回ると、空隙(15)を生成する又は拡大し、臨界温度(T)を下回ると、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の熱伝導接触を再び確立することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
制御部(18)は、アクチュエータ(14)を用いて、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の空隙(15)を、校正ブロック(11)の加熱前、加熱中及び/又は加熱後に、冷却ユニット(13)、特に冷却ヘッド(17)が臨界温度に維持される又は臨界温度をわずかに下回る温度に維持されるように追従制御することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
温度センサ(10)を校正する温度校正器(1)であって、
温度センサ(10)を挿入可能な校正ブロック(11)と、校正ブロック(11)を加熱可能な加熱手段(12)と、校正ブロック(11)を冷却可能な冷却ユニット(13)と、を備える、温度校正器(1)において、
アクチュエータ(14)が設けられていて、アクチュエータ(14)によって、校正ブロック(11)と冷却ユニット(13)との間に空隙(15)が生成可能である及び/又は及び/又は設定可能であることを特徴とする、温度校正器(1)。
【請求項8】
冷却時に冷却ユニット(13)を校正ブロック(11)に熱伝導接触させることが可能であるとともに、加熱時に冷却ユニット(13)を校正ブロック(11)から空間的に分離させることによって空隙(15)を生成可能である又は拡大可能であるように、空隙(15)が設定可能であることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の温度校正器(1)。
【請求項9】
冷却ユニット(13)は、冷却ヘッド(17)を有し、冷却ヘッド(17)は、校正ブロック(11)に熱伝導接触させることが可能であり、冷却ヘッド(17)上に緊締リング(20)及び/又は絶縁リング(21)が配置されている、及び/又は熱伝導接触部は、緊締リング(20)を介して形成されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の温度校正器(1)。
【請求項10】
冷却ヘッド(17)内に又は冷却ヘッド(17)に接して温度測定センサ(19)が配置されている、及び/又は温度測定センサ(19)が緊締リング(20)内に配置されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の温度校正器(1)。
【請求項11】
アクチュエータ(14)は、昇降装置及び/又は昇降磁石及び/又はスピンドルナットユニット及び/又はステッピングモータ及び/又はピエゾモータ及び/又はモータ伝動装置ユニット及び/又は空圧ユニット若しくは液圧ユニットを有することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の温度校正器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサを校正する温度校正器を運転する方法であって、温度校正器は、温度センサが挿入される校正ブロックと、校正ブロックを加熱する加熱手段と、校正ブロックを冷却する冷却ユニットと、を備える、方法に関する。本発明はさらに、本発明に係る方法を用いて運転できる、温度センサを校正する温度校正器に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第2074374号明細書又は欧州特許出願公開第3441709号明細書から温度校正器が公知であり、温度校正器によって、温度センサを校正でき、温度校正器は、校正ブロックを有し、校正ブロック内に温度センサを挿入でき、温度校正器は、加熱手段を有し、また冷却ユニットをさらに有し、これにより、0℃をはるかに上回る高い温度と0℃を下回る低い温度との両方で校正が行われる。
【0003】
冷却ユニットは、通常ヘリウムガスを用いて運転されるスターリングモータを有する。例えば50℃を上回る校正温度に近づくと、ヘリウムガスがこの温度を超えて加熱されないことを保証しなければならない。というのも、これによりスターリングモータが損傷し得るからである。スターリングモータ、ひいては冷却ユニット全体の損傷を回避するために、いわゆるサーモサイフォンが使用され、冷却ユニットと校正ブロックとの間の熱結合は、サーモサイフォンを運転する冷熱媒体を介して可能となる。したがって、サーモサイフォンは、校正ブロックと冷却ユニットとの間に延在し、サーモサイフォンの、冷却ユニットに位置する側で、冷熱媒体が凝縮され、サーモサイフォンの、校正ブロックに位置する側で、冷熱媒体は再び気化される。これにより、校正ブロックを、例えば-60℃までの必要な低温にできる。校正ブロックが加熱手段によって加熱されると、それで冷却ユニットが停止され、その結果、冷熱媒体は、外部のチャンバへと逃げることができるので、サーモサイフォンも相応に損傷せずに維持できる。
【0004】
したがって、加熱された校正ブロックと冷却ユニットとの間の熱的な分離のために、サーモサイフォンは、冷熱媒体が外部のチャンバへと移されるとき、冷却ユニットのスターリングモータの過熱を確実に防止する結合部材を形成する。しかし不都合なことに、サーモサイフォンの使用が必要であり、このことは、温度校正器の構造と、特に高い温度と低い温度との間での変化に際して方法の実行とを煩雑にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第2074374号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3441709号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、請求項1による温度校正器を運転する方法の簡略化にあり、本発明のさらなる課題は、請求項7による温度校正器の構成の簡略化である。特に、本発明の課題は、加熱及び冷却可能な温度校正器においてサーモサイフォンの使用を回避することであり、この点に関して、さらに本発明の課題は、サーモサイフォンの冷熱媒体のための外部の容器の使用を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の方法及び請求項7に記載の温度校正器から出発して、それぞれ記載された特徴との関連において解消される。本発明の有利な発展形は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明は、方法を実施するために、本発明による以下の:
アクチュエータが設けられていて、アクチュエータによって、冷却ユニットを、冷却時に校正ブロックに熱伝導接触させ、加熱時に空隙を形成して空間的に校正ブロックから分離させる、
ステップを含む。
【0009】
本発明に係る、温度校正器を運転する方法を実行すると、簡単にアクチュエータを制御することによって、空隙を形成して、冷却ユニットを過熱から防護でき、そして校正ブロックの温度が相応に高いときには、冷却ユニットが臨界温度を超えて加熱されないように空隙を拡大できる。したがって、温度校正器を運転するためのサーモサイフォンを、0℃をはるかに下回る低い温度でも省略でき、これにより、温度校正器の運転、特に温度校正器の技術的な構造が簡略化され、含まれる構成要素が少なくなる。
【0010】
有利には、冷却ユニットは、冷却ヘッドを具備する冷熱機器を有し、この場合、冷熱機器は、特にスターリングモータを有し、この場合、冷却ヘッドは、冷熱機器によって冷却できる。この場合、冷却ヘッドだけが、又は冷却ヘッドが冷媒機器と一緒に、アクチュエータによって、校正ブロックに対して相対的に移動可能であり、これにより、空隙が生成される、又は空隙の大きさが変化させられる、又は校正ブロックと冷却ユニットとの間に熱伝導接触が確立される。
【0011】
方法は、特に制御部によって実行され、アクチュエータが制御部によって制御されることによって、制御部によって、冷却ユニットと校正ブロックとの間の空隙が制御される。この場合、アクチュエータは、空隙の大きさについての情報を制御部へ提供することもできるので、制御部は、目下空隙がどの程度の規模を有するか又は校正ブロックと冷却ユニットとの間で熱伝導接触が確立されているかについての情報を受け取る。
【0012】
さらに有利には、温度測定センサが設けられていて、温度測定センサは、特に冷却ヘッド内に、冷却ヘッドに接して又は冷却ヘッドの領域に配置され、その際、温度測定センサによって、温度値が記録され、特に制御部へ出力される。この場合、空隙は、専ら温度測定センサの温度情報を介して制御できる、又は制御部は、前述のように例えばアクチュエータから出力される空隙の大きさについての情報を付加的に考慮に入れる。
【0013】
本発明に係る方法は、冷却ヘッドの臨界温度を設定し、臨界温度を上回ると、空隙を生成する又は拡大し、臨界温度を下回ると、冷却ユニットと校正ブロックとの間の熱伝導接触を再び確立することによって、さらに改善できる。臨界温度は、冷却ユニット及び特にスターリングエンジンの形態の冷熱機器を最大限加熱してよい温度に相当し得る。特に、冷熱媒体としてヘリウムを有するスターリングエンジンは、50℃を超えて加熱するべきではないので、この温度が、例示的に臨界温度を形成する。
【0014】
アクチュエータは、空隙が生成され、これにより固定値を有する、又は空隙が除去され、特に間接的又は直接的な固体接触によって冷却ユニットと校正ブロックとの間に熱伝導接触が生じるように構成されてよい。しかもこの場合、制御部は、アクチュエータを用いて、冷却ユニットと校正ブロックとの間の空隙を、校正ブロックの加熱前、加熱中及び/又は加熱後に、冷却ユニット及び特に冷却ヘッドが臨界温度に維持される又は臨界温度をわずかに下回る温度に維持されるように追従制御することも考えられる。校正ブロックと冷却ユニットとの間の温度差が小さいほど、空隙をより小さく選択でき、特に追従制御できる。
【0015】
本発明は、さらに、温度センサを挿入可能な校正ブロックと、校正ブロックを加熱可能な加熱手段と、校正ブロックを冷却可能な冷却ユニットと、を備える、温度センサを校正する温度校正器に関し、この場合、アクチュエータが設けられていて、アクチュエータによって、校正ブロックと冷却ユニットとの間の空隙が生成可能である及び/又は設定可能である。
【0016】
アクチュエータは、冷却ユニットと一緒に及び/又は冷却ユニットを有する構造ユニットとして構成されてよい、又はアクチュエータは、空間的に冷却ユニットを変位させるために冷却ユニットに対する接続部を有する。アクチュエータと冷却ユニットとは、同一構造で構成されてもよい、又はアクチュエータは、冷却ユニットと校正ブロックとの間の可動の結合部材を形成する。この点において、アクチュエータは、温度校正器に接して又は温度校正器内に配置されていて、冷却ユニットは、アクチュエータと共に、校正ブロックに対して相対移動可能であることも考えられる。この点において、校正ブロックは、冷却ユニットに対して相対的に変位又は移動させられることも考えられる。
【0017】
この場合、空隙は、冷却時に冷却ユニットを校正ブロックに熱伝導接触させることが可能であり、加熱時に冷却ユニットを校正ブロックから空間的に分離させることによって、空隙が生成可能である又は拡大可能であるように、設定可能である。空隙を設定又は制御するために、温度校正器及び/又は冷却ユニットは、制御部を有し、制御部によって、特にアクチュエータを制御できる。
【0018】
冷却ユニットは、有利には、冷却ヘッドを有し、冷却ヘッドは、校正ブロックに熱伝導接触させることが可能であり、この場合、冷却ヘッド上に緊締リング及び/又は絶縁リングが配置されている、及び/又は熱伝導接触部は、緊締リングを介して形成されている。したがって、冷却ヘッドは、直接的に冷却ユニットに固体接触させることが可能である、又は熱伝導接触部の形成は、少なくとも間接的にさらなる要素、例えば緊締リングを介して行ってよい。絶縁リングは、緊締リングを、外側で半径方向に周回するように包囲してよく、絶縁リングは、有利には、周回するポット又はカラーを有し、ポット又はカラーは、校正ブロックにある環状間隙に進入する又は校正ブロックを包囲するので、冷却ユニットの冷却ヘッドは、空隙の存在にかかわらず、本質的に絶縁されたままである。
【0019】
さらに有利には、冷却ヘッド内に又は冷却ヘッドに接して温度測定センサが配置されていて、特に温度測定センサは緊締リング内に収容されてよい。この場合、温度測定センサは、温度値を制御部に伝送でき、したがって、温度値を介して、冷却ユニット又は冷却ヘッドと校正ブロックとの間の空隙を制御できる。さらに、アクチュエータは、距離測定ユニットを有してよく、距離測定ユニットによって、空隙の値を制御部に伝達できる。
【0020】
校正ブロックは、さらに有利には、校正スリーブを有してよい又は校正スリーブを形成してよいので、冷却ユニット、特に冷却ヘッドと好ましくは直接的な校正スリーブとの接触が行われる。この場合、加熱手段は、例えば校正スリーブ又は校正容積を包囲し、校正ブロック内にある校正スリーブを収容するための収容領域を形成し、その結果、校正ブロック、特に校正ブロックの校正スリーブの加熱時、熱を直接的にスリーブに導入できる。
【0021】
アクチュエータは、様々な形で昇降装置を形成してよい。例えば、アクチュエータは、昇降磁石、スピンドルナットユニット、ステッピングモータ、ピエゾモータ、モータ伝動装置ユニット又は空圧ユニット若しくは液圧ユニットを有してよい。
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例の記述とともに本発明を改善するさらなる手段を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】校正ブロックと冷却ユニットとアクチュエータとを有する温度校正器を示し、校正ブロックと冷却ユニットとの間に熱伝導接触が生じる。
図2図1による温度校正器を示し、冷却ユニットと校正器との間に空隙が生じる。
図3】時間に対する校正ブロックの温度経過及び冷却ユニットの温度経過を示す図であり、加熱運転と、冷却運転と、時間に対する冷却ユニットと校正ブロックとの間の設定された間隙とがさらにプロットされている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び図2では、温度校正器1が略示されていて、温度校正器1は、校正ブロック11を有し、校正ブロック11は、中空円筒状の校正容積と、校正容積内に挿入された校正スリーブ22とを有する。校正ブロック11の外側に、例えば加熱シートの形態の加熱手段12が位置し、この場合、加熱手段の他の形態、特に抵抗加熱部を使用してもよい。この場合、校正ブロック11は、底面を除いて、複数の絶縁要素を有する絶縁体23によって包囲されている。
【0025】
底側で、校正ブロック11は、冷却接触面24を有し、冷却接触面24に冷却ユニット13を熱伝導接触させることができる。そのために、冷却ユニット13は、冷却ヘッド17を有し、冷却ヘッド17は、図1に示されるように、冷却ヘッド17上に取り付けられた緊締リング20を介して、冷却接触面24に接触させることができる。これに対して、図2には、冷却ヘッド17又は緊締リング20と冷却接触面24との間に空隙15が示されている。
【0026】
冷却ユニット13の冷却ヘッド17又は緊締リング20と校正ブロック11の冷却接触面24との間に、図1による熱伝導接触部又は図2による空隙15を形成するために、アクチュエータ14が用いられる。アクチュエータ14によって、例えば冷却ユニット13及びこの点において冷却ヘッド17も緊締リング20と共に上下に移動でき、これにより、通常は静止している校正ブロック11において、間隙15が形成される又は冷却接触面24との熱伝導接触が確立される。アクチュエータ14は、略示されているだけであり、様々な形で、特に、温度校正器1の制御部18によって制御できる往復装置として構成されてよく、この場合、特にアクチュエータ14及び制御部18は、温度校正器1の構成部品である。
【0027】
冷却ユニット13は、温度測定センサ19を有する。温度測定センサ19は、例えば緊締リング20内に配置して示されていて、温度測定センサ19は、その他の形で冷却ヘッド17内に又は冷却ヘッド17の領域に取り付けられてもよい。温度測定センサ19は、制御部18によって記録できる温度値を提供する。そうして特定可能な冷却ヘッド17の温度に依存して、制御部18によって、冷却ヘッド17ひいては冷却ユニット13が臨界温度を上回らないようにアクチュエータ14を制御できる。校正ブロック11の温度が高いほど、温度測定センサ19によって検出される、冷却ヘッド17内又は冷却ヘッド17の表面の温度も高くなり、その結果、アクチュエータ14が適切に制御されることによって、空隙15も、制御部18を介してより大きく設定される。この場合、校正ブロック11の加熱は、加熱手段12によって行われる。加熱手段12は、校正ブロック11を、ひいては冷却接触面24をも、臨界温度を超えて加熱可能である。臨界温度、例えば50℃を超える冷却ヘッド17の加熱を回避するために、空隙15は、アクチュエータ14によって適切に拡大でき、これにより、加熱された校正ブロック11から冷却ヘッド17へ、ひいては冷却ユニット13への熱伝導が弱められる。
【0028】
冷却ヘッド17の周囲には、ポット状に構成された絶縁リング21が示されていて、絶縁リング21は、校正ブロック11の絶縁体23内に加工された環状溝25内に進入可能である。これにより、温度が凝固点を下回るとき、冷却ヘッド17における凍結の影響が最小限に減らされる。
【0029】
校正ブロック11は、大体において校正スリーブ22が挿入されている校正容積によって形成され、この場合、校正スリーブは、公知の形で、校正容積から取出し可能であり、これにより校正スリーブは、例えば様々な形態に対して交換される。校正スリーブ22の中心には、孔26が加工されていて、孔26に、温度センサ10が挿入されている。冷却接触面24の方を向いた下側の領域で、校正スリーブ22は、より小さな直径を有し、これにより、環状間隙27が形成されていて、環状間隙27は、校正スリーブ22と冷却ブロック11の内側との間の底部間隙へとさらに移行する。底部間隙は、例えば底部間隙を下側で確保するリング又は例えば周回する突出部28によって形成される。ゆえに、特に冷却時に校正ブロック11内に、特に校正スリーブ22内に均一な温度プロフィールを生成できる。特に校正ブロック11が冷却接触面24を介して冷却されるとき、温度センサ10が配置された領域は、過剰に強く冷却されず、その一方、校正スリーブ22の上側の残りの領域は、依然としてより高い温度を有する。
【0030】
図3は、時間に対する冷却ヘッド及び校正ブロックの温度の経過を概略図で示し、この場合、温度は縦軸にTで示されていて、これに対して、時間は横軸にtで示されている。
【0031】
時間に対する温度の線図は、校正ブロックの温度TBLと冷却ヘッドの温度TKKとによってよって形成される2つの温度経過を示す。例示的な経過によれば、冷却ブロックの温度TBLは、周囲温度Tから始まり、第1の測定温度TM1へと加温されるので、測定温度TM1は、臨界温度Tを上回る。臨界温度Tに達するまで、冷却ヘッドは、依然として校正ブロックの冷却接触面との接触位置にある。接触位置は、線図に、校正ブロックと冷却ヘッドとの間の固体接触の位置Iの棒によって表されている。臨界温度Tに達すると、アクチュエータは、冷却ヘッドを、空隙が生じるように移動させ、これは、位置IIの棒によって示されていて、その点において、校正ブロックと冷却ヘッドとの間に空隙が存在する。測定温度TM1の継続時間及び校正ブロックの後続の冷却後、臨界温度Tを再び下回り、そして冷却温度として0℃を下回り得る後続の測定温度TM2まで、冷却ヘッドと校正ブロックとの間の固体接触を伴う位置Iが再び得られる。
【0032】
後続の経過は、周囲温度Tを超えて再び臨界温度Tに達し、そしてこれを上回る、校正ブックTBLの温度の再上昇を示し、臨界温度Tを上回ると、最終的に再び校正ブロックと冷却ヘッドとの間の空隙を伴う位置IIが設定される。
【0033】
温度経過に対応して、そして設定された空隙又は設定された固体接触に対応して、Hの棒経過を特徴とする加熱運転Hが行われ、冷却時には、冷却運転Kで、隣の線図におけるKの棒経過が行われる。
【0034】
固体接触Iと空隙IIとの両方の位置の図示の設定によって、冷却ヘッドは、臨界温度Tを上回り得ないことが明らかになる。とうのも、校正ブロックが臨界温度を上回るときには常に固体接触が解除され、空隙が設定されるからである。
【0035】
これにより、冷却ユニットと校正ブロックとの間にサーモサイフォンがもはや必要とされず、それにもかかわらず、スターリングモータを有する冷却ユニットの損傷が効果的に回避される。
【0036】
本発明は、その実施において、前述の好適な実施例に限定されない。むしろ原則として別の種類の構成であったとしても、示された手段を利用する幾つかの形態が考えられる。特許請求の範囲、明細書又は図面から明らかである、構造的な詳細又は空間的な配置を含む全ての特徴及び/又は効果は、単独でも様々な組合せでも本発明にとって重要であり得る。
【符号の説明】
【0037】
1 温度校正器
10 温度センサ
11 校正ブロック
12 加熱手段
13 冷却ユニット
14 アクチュエータ
15 空隙
16 冷熱機器
17 冷却ヘッド
18 制御部
19 温度測定センサ
20 緊締リング
21 絶縁リング
22 校正スリーブ
23 絶縁体
24 冷却接触面
25 環状溝
26 孔
27 環状間隙
28 突出部
T 温度
臨界温度
BL 校正ブロックの温度
KK 冷却ヘッドの温度
周囲温度
M1 測定温度
M2 測定温度
t 時間
I 固体接触の位置
II 空隙の位置
H 加熱運転
K 冷却運転
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサ(10)を校正する温度校正器(1)を運転する方法であって、
温度校正器(1)は、温度センサ(10)が導入される校正ブロック(11)と、校正ブロック(11)を加熱する加熱手段(12)と、校正ブロック(11)を冷却する冷却ユニット(13)と、を備える、方法において、
アクチュエータ(14)が設けられていて、アクチュエータ(14)によって、冷却ユニット(13)を、
冷却時に校正ブロック(11)に熱伝導接触させ、
加熱時に空隙(15)を形成して空間的に校正ブロック(11)から分離させる
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
冷却ユニット(13)は、冷却ヘッド(17)を具備する冷熱機器(16)を有し、冷却ヘッド(17)は、冷熱機器(16)によって冷却可能であり、少なくとも冷却ヘッド(17)は、又は冷熱機器(16)と一緒に冷却ヘッド(17)は、アクチュエータ(14)によって、校正ブロック(11)に対して相対移動させられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
制御部(18)が設けられていて、制御部(18)によって、アクチュエータ(14)が制御部(18)によって制御されることによって、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の空隙(15)が制御されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
温度測定センサ(19)が、特に冷却ヘッド(17)内に又は冷却ヘッド(17)に接して又は冷却ヘッド(17)の領域に設けられていて、温度測定センサ(19)によって、温度値を記録し、特に制御部(18)へ出力することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
冷却ヘッド(17)の臨界温度(T)を設定し、臨界温度を上回ると、空隙(15)を生成する又は拡大し、臨界温度(T)を下回ると、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の熱伝導接触を再び確立することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
制御部(18)は、アクチュエータ(14)を用いて、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の空隙(15)を、校正ブロック(11)の加熱前、加熱中及び/又は加熱後に、冷却ユニット(13)、特に冷却ヘッド(17)が臨界温度に維持される又は臨界温度をわずかに下回る温度に維持されるように追従制御することを特徴とする、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項7】
温度センサ(10)を校正する温度校正器(1)であって、
温度センサ(10)を挿入可能な校正ブロック(11)と、校正ブロック(11)を加熱可能な加熱手段(12)と、校正ブロック(11)を冷却可能な冷却ユニット(13)と、を備える、温度校正器(1)において、
アクチュエータ(14)が設けられていて、アクチュエータ(14)によって、校正ブロック(11)と冷却ユニット(13)との間に空隙(15)が生成可能である及び/又は及び/又は設定可能であることを特徴とする、温度校正器(1)。
【請求項8】
冷却時に冷却ユニット(13)を校正ブロック(11)に熱伝導接触させることが可能であるとともに、加熱時に冷却ユニット(13)を校正ブロック(11)から空間的に分離させることによって空隙(15)を生成可能である又は拡大可能であるように、空隙(15)が設定可能であることを特徴とする、請求項に記載の温度校正器(1)。
【請求項9】
冷却ユニット(13)は、冷却ヘッド(17)を有し、冷却ヘッド(17)は、校正ブロック(11)に熱伝導接触させることが可能であり、冷却ヘッド(17)上に緊締リング(20)及び/又は絶縁リング(21)が配置されている、及び/又は熱伝導接触部は、緊締リング(20)を介して形成されていることを特徴とする、請求項に記載の温度校正器(1)。
【請求項10】
冷却ヘッド(17)内に又は冷却ヘッド(17)に接して温度測定センサ(19)が配置されている、及び/又は温度測定センサ(19)が緊締リング(20)内に配置されていることを特徴とする、請求項7又は9に記載の温度校正器(1)。
【請求項11】
アクチュエータ(14)は、昇降装置及び/又は昇降磁石及び/又はスピンドルナットユニット及び/又はステッピングモータ及び/又はピエゾモータ及び/又はモータ伝動装置ユニット及び/又は空圧ユニット若しくは液圧ユニットを有することを特徴とする、請求項7又は8に記載の温度校正器(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
本発明は、その実施において、前述の好適な実施例に限定されない。むしろ原則として別の種類の構成であったとしても、示された手段を利用する幾つかの形態が考えられる。特許請求の範囲、明細書又は図面から明らかである、構造的な詳細又は空間的な配置を含む全ての特徴及び/又は効果は、単独でも様々な組合せでも本発明にとって重要であり得る。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
温度センサ(10)を校正する温度校正器(1)を運転する方法であって、
温度校正器(1)は、温度センサ(10)が導入される校正ブロック(11)と、校正ブロック(11)を加熱する加熱手段(12)と、校正ブロック(11)を冷却する冷却ユニット(13)と、を備える、方法において、
アクチュエータ(14)が設けられていて、アクチュエータ(14)によって、冷却ユニット(13)を、
冷却時に校正ブロック(11)に熱伝導接触させ、
加熱時に空隙(15)を形成して空間的に校正ブロック(11)から分離させる
ことを特徴とする、方法。
2.
冷却ユニット(13)は、冷却ヘッド(17)を具備する冷熱機器(16)を有し、冷却ヘッド(17)は、冷熱機器(16)によって冷却可能であり、少なくとも冷却ヘッド(17)は、又は冷熱機器(16)と一緒に冷却ヘッド(17)は、アクチュエータ(14)によって、校正ブロック(11)に対して相対移動させられることを特徴とする、上記1に記載の方法。
3.
制御部(18)が設けられていて、制御部(18)によって、アクチュエータ(14)が制御部(18)によって制御されることによって、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の空隙(15)が制御されることを特徴とする、上記1又は2に記載の方法。
4.
温度測定センサ(19)が、特に冷却ヘッド(17)内に又は冷却ヘッド(17)に接して又は冷却ヘッド(17)の領域に設けられていて、温度測定センサ(19)によって、温度値を記録し、特に制御部(18)へ出力することを特徴とする、上記1から3のいずれか一つに記載の方法。
5.
冷却ヘッド(17)の臨界温度(T )を設定し、臨界温度を上回ると、空隙(15)を生成する又は拡大し、臨界温度(T )を下回ると、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の熱伝導接触を再び確立することを特徴とする、上記のいずれか一つに記載の方法。
6.
制御部(18)は、アクチュエータ(14)を用いて、冷却ユニット(13)と校正ブロック(11)との間の空隙(15)を、校正ブロック(11)の加熱前、加熱中及び/又は加熱後に、冷却ユニット(13)、特に冷却ヘッド(17)が臨界温度に維持される又は臨界温度をわずかに下回る温度に維持されるように追従制御することを特徴とする、上記のいずれか一つに記載の方法。
7.
温度センサ(10)を校正する温度校正器(1)であって、
温度センサ(10)を挿入可能な校正ブロック(11)と、校正ブロック(11)を加熱可能な加熱手段(12)と、校正ブロック(11)を冷却可能な冷却ユニット(13)と、を備える、温度校正器(1)において、
アクチュエータ(14)が設けられていて、アクチュエータ(14)によって、校正ブロック(11)と冷却ユニット(13)との間に空隙(15)が生成可能である及び/又は及び/又は設定可能であることを特徴とする、温度校正器(1)。
8.
冷却時に冷却ユニット(13)を校正ブロック(11)に熱伝導接触させることが可能であるとともに、加熱時に冷却ユニット(13)を校正ブロック(11)から空間的に分離させることによって空隙(15)を生成可能である又は拡大可能であるように、空隙(15)が設定可能であることを特徴とする、上記のいずれか一つに記載の温度校正器(1)。
9.
冷却ユニット(13)は、冷却ヘッド(17)を有し、冷却ヘッド(17)は、校正ブロック(11)に熱伝導接触させることが可能であり、冷却ヘッド(17)上に緊締リング(20)及び/又は絶縁リング(21)が配置されている、及び/又は熱伝導接触部は、緊締リング(20)を介して形成されていることを特徴とする、上記のいずれか一つに記載の温度校正器(1)。
10.
冷却ヘッド(17)内に又は冷却ヘッド(17)に接して温度測定センサ(19)が配置されている、及び/又は温度測定センサ(19)が緊締リング(20)内に配置されていることを特徴とする、上記のいずれか一つに記載の温度校正器(1)。
11.
アクチュエータ(14)は、昇降装置及び/又は昇降磁石及び/又はスピンドルナットユニット及び/又はステッピングモータ及び/又はピエゾモータ及び/又はモータ伝動装置ユニット及び/又は空圧ユニット若しくは液圧ユニットを有することを特徴とする、上記のいずれか一つに記載の温度校正器(1)。
【外国語明細書】