(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174563
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】給糸パッケージ搬送台車
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B65H67/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080937
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022086705
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128923
【弁理士】
【氏名又は名称】納谷 洋弘
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100180297
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】奥山 康夫
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA10
3F112GB05
(57)【要約】
【課題】ペグ軸の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージのいずれともペグ軸の軸方向において所定の取出位置に位置決めでき、構造の複雑化及び製造コストの増大を抑制することができる給糸パッケージ搬送台車を提供できる。
【解決手段】給糸パッケージ搬送台車1は、台車本体21と、台車本体21から片持ち状に延びて給糸パッケージ10が掛けられるペグ軸22と、ペグ軸22に設けられた位置決め部23と、を備える。ペグ軸22には、ペグ軸22の軸方向に沿って並び、給糸パッケージ10が掛けられる第1位置P1及び第2位置P2が設けられる。ペグ軸22の軸方向において、第1位置P1は先端側の位置として、第2位置P2は台車本体21側の位置として設けられる。位置決め部23は、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止して給糸パッケージ10を第1位置P1に位置決めするように設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸パッケージを搭載して搬送する給糸パッケージ搬送台車であって、
走行可能な台車本体と、
前記台車本体から片持ち状に延びるように設けられ、前記給糸パッケージのボビンに挿入されて前記給糸パッケージが掛けられるペグ軸と、
前記ペグ軸に設けられた位置決め部と、を備え、
前記ペグ軸には、当該ペグ軸の軸方向に沿って並ぶとともに、前記給糸パッケージが掛けられる位置である第1位置及び第2位置が設けられ、
前記第1位置は、前記軸方向における前記ペグ軸の先端側の位置として設けられ、前記第2位置は、前記軸方向における前記台車本体側の位置として設けられ、
前記位置決め部は、前記軸方向における前記第1位置と前記第2位置との間において前記軸方向に移動しない状態で前記ペグ軸に取り付けられ、前記第1位置に掛けられた前記給糸パッケージと係止して当該給糸パッケージを前記第1位置に位置決めするように設けられ、
前記位置決め部は、前記ペグ軸から上方に向かって突出して前記第1位置に掛けられた前記給糸パッケージと係止可能な突出状態と、前記ペグ軸から上方に突出しない非突出状態と、の間で状態が遷移可能に設けられている、
ことを特徴とする、給糸パッケージ搬送台車。
【請求項2】
請求項1に記載の給糸パッケージ搬送台車において、
前記位置決め部は、前記第2位置に前記給糸パッケージが掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれにおいても、前記突出状態と前記非突出状態との間で状態が遷移可能に設けられている、
ことを特徴とする、給糸パッケージ搬送台車。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の給糸パッケージ搬送台車であって、
前記位置決め部は、前記ペグ軸に対して前記軸方向に直交する方向に沿う方向に延びる回転軸を中心として回転自在に取り付けられ、前記回転軸回りで回転することで前記突出状態と前記非突出状態との間で状態が遷移するように設けられ、
前記位置決め部は、前記ペグ軸から上方に向かって突出可能であって前記第1位置に掛けられた前記給糸パッケージと係止可能な係止部を備え、
前記突出状態では、前記係止部が前記ペグ軸から上方に向かって突出する位置に位置し、前記非突出状態では、前記係止部が前記ペグ軸から上方に突出しない位置に位置し、
前記位置決め部は、外力が作用していない状態では、前記非突出状態となり、回転操作が行われると、前記突出状態となる、
ことを特徴とする、給糸パッケージ搬送台車。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の給糸パッケージ搬送台車であって、
前記ペグ軸には、軸回りで周方向に延びる溝が設けられ、
前記位置決め部には、前記溝に対して前記周方向に摺動自在に嵌め込まれて前記ペグ軸に取り付けられる取付け部と、前記取付け部から突出する凸部と、が設けられ、
前記位置決め部は、前記取付け部が前記溝に沿って摺動して前記ペグ軸に対して回転することで、前記突出状態と前記非突出状態との間で状態が遷移するように設けられ、
前記突出状態では、前記凸部が前記ペグ軸から上方に向かって突出した状態で前記取付け部が前記ペグ軸に取り付けられ、前記凸部が、前記第1位置に掛けられた前記給糸パッケージと係止し、
前記非突出状態では、前記凸部が前記ペグ軸から上方に突出しない状態で前記取付け部が前記ペグ軸に取り付けられる、
ことを特徴とする、給糸パッケージ搬送台車。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の給糸パッケージ搬送台車であって、
前記台車本体から複数の前記ペグ軸が片持ち状に延びるように設けられている、
ことを特徴とする、給糸パッケージ搬送台車。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の給糸パッケージ搬送台車であって、
前記第2位置は、1つ又は複数の前記給糸パッケージが掛けられる位置として設けられている、
ことを特徴とする、給糸パッケージ搬送台車。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の給糸パッケージ搬送台車であって、
前記ペグ軸は、前記台車本体から斜め上方に向かって片持ち状に延びるように設けられている、
ことを特徴とする、給糸パッケージ搬送台車。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の給糸パッケージ搬送台車であって、
クリールロボットによって取り出されてクリールスタンドへ供給される前記給糸パッケージを搭載して搬送する、
ことを特徴とする、給糸パッケージ搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリールスタンドへと供給される給糸パッケージを搭載して搬送する給糸パッケージ搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮撚加工機等の繊維機械のクリールスタンドに対する給糸パッケージの供給においては、給糸パッケージを搭載して搬送する給糸パッケージ搬送台車からクリールロボット等の給糸パッケージ取出装置が給糸パッケージを取り出してクリールスタンドへと供給することが行われている。給糸パッケージ搬送台車には、給糸パッケージ搬送台車の台車本体から片持ち状に突出する複数のペグ軸が設けられている。複数のペグ軸のそれぞれが給糸パッケージのボビンに挿入されて給糸パッケージがペグ軸に掛けられ、給糸パッケージが給糸パッケージ搬送台車に搭載される。クリールロボット等の給糸パッケージ取出装置は、給糸パッケージ搬送台車のペグ軸に掛けられた給糸パッケージをペグ軸から取り出してクリールスタンドへと供給する。
【0003】
例えば特許文献1には、給糸パッケージが掛けられるペグ軸が設けられた給糸パッケージ搬送台車が開示されている。特許文献1の給糸パッケージ搬送台車においては、ペグ軸は、2つの給糸パッケージがペグ軸の軸方向に並んで掛けられる長さを有している。また、このペグ軸には、ペグ軸の軸方向にスライド移動自在に設けられて、ペグ軸の軸方向に沿って給糸パッケージを移動させるパッケージ移動部材が設けられている。パッケージ移動部材には、台車本体側の部分において、ペグ軸に掛けられた給糸パッケージに当接するボビン当接部が設けられている。更に、パッケージ移動部材には、ペグ軸の先端側の部分において、パッケージ移動部材をスライド移動させる際に操作される引っ掛け部が設けられている。
【0004】
特許文献1の給糸パッケージ搬送台車では、クリールロボット等の給糸パッケージ取出装置によってペグ軸から給糸パッケージが取り出される際には、ペグ軸の軸方向に並んだ2つの給糸パッケージのうち、まず、ペグ軸の先端側に掛けられた給糸パッケージが取り出される。ペグ軸の先端側でペグ軸に掛けられた給糸パッケージは、台車本体側でペグ軸に掛けられた給糸パッケージと当接して位置決めされている。これにより、ペグ軸の軸方向においてクリールロボット等の給糸パッケージ取出装置によって取り出される所定の取出位置に位置決めされたペグ軸の先端側の給糸パッケージが、クリールロボットによって取り出される。ペグ軸の先端側の給糸パッケージが取り出された後、台車本体側でペグ軸に掛けられた給糸パッケージが、パッケージ移動部材によってペグ軸の軸方向にスライド移動される。ペグ軸の先端側に移動した給糸パッケージは、パッケージ移動部材のボビン当接部と当接して位置決めされている。これにより、ペグ軸の先端側に移動し、ペグ軸の軸方向において所定の取出位置に位置決めされた給糸パッケージが、クリールロボット等の給糸パッケージ取出装置によって取り出される。よって、給糸パッケージ搬送台車においてペグ軸の軸方向に2つ並んで搭載された給糸パッケージをペグ軸に対して同じ取出位置において取り出すことができる。これにより、クリールロボット等の給糸パッケージ取出装置は、同じ動作を行うことで、ペグ軸に2つ並んで搭載された給糸パッケージを取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の給糸パッケージ搬送台車では、2つの給糸パッケージのいずれとも所定の取出位置に位置決めするためには、ボビン当接部と引っ掛け部とを備えて軸方向にスライド移動自在なパッケージ移動部材が必要となる。このため、特許文献1の給糸パッケージ搬送台車は、構造が複雑化してしまうという問題がある。更に、特許文献1の給糸パッケージ搬送台車は、構造が複雑化するため、製造コストが増大してしまうという問題がある。また、特許文献1の給糸パッケージ搬送台車では、1つのペグ軸で2つの給糸パッケージしか運ぶことができないという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、ペグ軸の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージのいずれともペグ軸の軸方向において所定の取出位置に位置決めでき、構造の複雑化及び製造コストの増大を抑制することができる給糸パッケージ搬送台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の給糸パッケージ搬送台車は、
給糸パッケージを搭載して搬送する給糸パッケージ搬送台車であって、
走行可能な台車本体と、
前記台車本体から片持ち状に延びるように設けられ、前記給糸パッケージのボビンに挿入されて前記給糸パッケージが掛けられるペグ軸と、
前記ペグ軸に設けられた位置決め部と、を備え、
前記ペグ軸には、当該ペグ軸の軸方向に沿って並ぶとともに、前記給糸パッケージが掛けられる位置である第1位置及び第2位置が設けられ、
前記第1位置は、前記軸方向における前記ペグ軸の先端側の位置として設けられ、前記第2位置は、前記軸方向における前記台車本体側の位置として設けられ、
前記位置決め部は、前記軸方向における前記第1位置と前記第2位置との間において前記軸方向に移動しない状態で前記ペグ軸に取り付けられ、前記第1位置に掛けられた前記給糸パッケージと係止して当該給糸パッケージを前記第1位置に位置決めするように設けられ、
前記位置決め部は、前記ペグ軸から上方に向かって突出して前記第1位置に掛けられた前記給糸パッケージと係止可能な突出状態と、前記ペグ軸から上方に突出しない非突出状態と、の間で状態が遷移可能に設けられている、
ことを特徴とする。
【0009】
上記(1)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、複数の給糸パッケージのうちペグ軸の先端側の第1位置でペグ軸に掛けられた給糸パッケージは、位置決め部と係止して位置決めされている。これにより、ペグ軸の軸方向においてクリールロボット等の給糸パッケージ取出装置によって取り出される所定の取出位置に位置決めでき、給糸パッケージを容易に取り出すことができる。また、台車本体側の第2位置でペグ軸に掛けられた給糸パッケージは、ペグ軸の先端側の給糸パッケージの取り出し後に、第1位置へと移動させ、位置決め部に係止させることができる。このため、第2位置から第1位置に移動させた給糸パッケージも、所定の取出位置に位置決めでき、容易に取り出すことができる。よって、ペグ軸の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージのいずれともペグ軸の軸方向において所定の取出位置に位置決めできる。従って、第1位置及び第2位置のそれぞれの位置で給糸パッケージを掛けることができるとともに、第1位置及び第2位置に位置させたいずれの給糸パッケージともに所定の取出位置に位置決めできる。このため、複数の給糸パッケージを取り出しやすくすることができる。また、ペグ軸に対して第1位置と第2位置との間で位置決め部を設けた簡素な構成で、いずれの給糸パッケージとも所定の取出位置に位置決めすることができる。このため、給糸パッケージ搬送台車の構造の複雑化と製造コストの増大とを抑制することができる。よって、上記(1)に記載の給糸パッケージ搬送台車によると、ペグ軸の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージのいずれともペグ軸の軸方向において所定の取出位置に位置決めでき、構造の複雑化及び製造コストの増大を抑制することができる。
【0010】
さらに、上記(1)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、突出状態では、位置決め部がペグ軸から上方に突出していることにより、給糸パッケージをペグ軸に対して第1位置と第2位置とでそれぞれ位置決めして掛けることができる。また、非突出状態では、位置決め部がペグ軸から上方に突出していないことにより、給糸パッケージを第1位置と第2位置との間でペグ軸に沿って自由に移動させることができる。
【0011】
(2)本発明の給糸パッケージ搬送台車において、
前記位置決め部は、前記第2位置に前記給糸パッケージが掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれにおいても、前記突出状態と前記非突出状態との間で状態が遷移可能に設けられている、
ことを特徴とする。
【0012】
上記(2)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、給糸パッケージが第2位置に掛けられた状態において位置決め部を非突出状態とすることで、位置決め部をペグ軸上で乗り越えさせるようにして給糸パッケージを第2位置から第1位置へとペグ軸に沿って自由に移動させることできる。そして、給糸パッケージを第1位置へ移動させた後に位置決め部を突出状態に遷移させることで、給糸パッケージをペグ軸に対して第1位置で位置決めして掛けることができる。また、給糸パッケージが第2位置に掛けられていない状態において位置決め部を非突出状態とすることで、位置決め部をペグ軸上で乗り越えさせるようにして給糸パッケージを第1位置から第2位置へとペグ軸に沿って自由に移動させ、給糸パッケージをペグ軸に対して第2位置で掛けることができる。また、給糸パッケージが第2位置に掛けられていない状態において位置決め部を突出状態とすることで、給糸パッケージを位置決め部と係止させてペグ軸に対して第1位置で位置決めして掛けることができる。このため、第2位置に給糸パッケージが掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれの状態であるかにかかわらず、給糸パッケージをペグ軸に対して第1位置で位置決めして掛けることができる。
【0013】
(3)本発明の給糸パッケージ搬送台車において、
前記位置決め部は、前記ペグ軸に対して前記軸方向に直交する方向に沿う方向に延びる回転軸を中心として回転自在に取り付けられ、前記回転軸回りで回転することで前記突出状態と前記非突出状態との間で状態が遷移するように設けられ、
前記位置決め部は、前記ペグ軸から上方に向かって突出可能であって前記第1位置に掛けられた前記給糸パッケージと係止可能な係止部を備え、
前記突出状態では、前記係止部が前記ペグ軸から上方に向かって突出する位置に位置し、前記非突出状態では、前記係止部が前記ペグ軸から上方に突出しない位置に位置し、
前記位置決め部は、外力が作用していない状態では、前記非突出状態となり、回転操作が行われると、前記突出状態となる、
ことを特徴とする。
【0014】
上記(3)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、突出状態では、位置決め部の係止部がペグ軸から上方に突出していることにより、給糸パッケージをペグ軸に対して第1位置と第2位置とでそれぞれ位置決めして掛けることができる。また、非突出状態では、位置決め部の係止部がペグ軸から上方に突出していないことにより、給糸パッケージを第1位置と第2位置との間でペグ軸に沿って自由に移動させることができる。
【0015】
(4)本発明の給糸パッケージ搬送台車において、
前記ペグ軸には、軸回りで周方向に延びる溝が設けられ、
前記位置決め部には、前記溝に対して前記周方向に摺動自在に嵌め込まれて前記ペグ軸に取り付けられる取付け部と、前記取付け部から突出する凸部と、が設けられ、
前記位置決め部は、前記取付け部が前記溝に沿って摺動して前記ペグ軸に対して回転することで、前記突出状態と前記非突出状態との間で状態が遷移するように設けられ、
前記突出状態では、前記凸部が前記ペグ軸から上方に向かって突出した状態で前記取付け部が前記ペグ軸に取り付けられ、前記凸部が、前記第1位置に掛けられた前記給糸パッケージと係止し、
前記非突出状態では、前記凸部が前記ペグ軸から上方に突出しない状態で前記取付け部が前記ペグ軸に取り付けられる、
ことを特徴とする。
【0016】
上記(4)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、突出状態では、位置決め部の凸部がペグ軸から上方に突出していることにより、給糸パッケージをペグ軸に対して第1位置と第2位置とでそれぞれ位置決めして掛けることができる。また、非突出状態では、位置決め部の凸部がペグ軸から上方に突出していないことにより、給糸パッケージを第1位置と第2位置との間でペグ軸に沿って自由に移動させることができる。
【0017】
(5)本発明の給糸パッケージ搬送台車は、
前記台車本体から複数の前記ペグ軸が片持ち状に延びるように設けられている、
ことを特徴とする。
【0018】
上記(5)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、台車本体から複数のペグ軸が延びるように設けられるため、1つの台車本体において複数のペグ軸のそれぞれに複数の給糸パッケージを掛けることができ、多数の給糸パッケージを給糸パッケージ搬送台車に搭載して搬送することができる。
【0019】
(6)本発明の給糸パッケージ搬送台車において、
前記第2位置は、1つ又は複数の前記給糸パッケージが掛けられる位置として設けられている、
ことを特徴とする。
【0020】
上記(6)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、第2位置に1つ以上の給糸パッケージを掛けることができるため、1つのペグ軸において、2つ以上の多くの給糸パッケージを掛けることができる。このため、多数の給糸パッケージを給糸パッケージ搬送台車に搭載して搬送することができる。
【0021】
(7)本発明の給糸パッケージ搬送台車において、
前記ペグ軸は、前記台車本体から斜め上方に向かって片持ち状に延びるように設けられている、
ことを特徴とする。
【0022】
上記(7)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、ペグ軸が台車本体から斜め上方に延びるため、給糸パッケージ搬送台車に外力が作用して振動が発生したような場合であっても、ペグ軸に掛けられた給糸パッケージが落下してしまうことをより確実に抑制することができる。また、第1位置で掛けられた給糸パッケージは、重力によりペグ軸の軸方向に沿って台車本体側へ付勢された状態で位置決め部に係止する。このため、ペグ軸の先端側の第1位置でペグ軸に掛けられた給糸パッケージを位置決め部に確実に係止させ、安定した状態で位置決めすることができる。尚、ペグ軸が上方に向かって突出していると、ペグ軸に掛けられた給糸パッケージは、その自重により、ペグ軸に対して安定した状態で支持されることになる。しかし、ペグ軸に位置決め部が設けられていない場合、ペグ軸に掛けられた複数の給糸パッケージ同士が当接し、ペグ軸の先端側の給糸パッケージの自重が作用することで、先端側の給糸パッケージを取り出しにくくなる。しかし、上記(7)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、ペグ軸が上方に向かって延びるとともに、第1位置で掛けられた給糸パッケージと係止する位置決め部が設けられている。これにより、第1位置でペグ軸に掛けられた給糸パッケージが第2位置でペグ軸に掛けられた給糸パッケージと当接しないため、先端側の第1位置でペグ軸に掛けられた給糸パッケージを容易に取り出すことができる。
【0023】
(8)本発明の給糸パッケージ搬送台車において、
クリールロボットによって取り出されてクリールスタンドへ供給される前記給糸パッケージを搭載して搬送する、
ことを特徴とする。
【0024】
上記(8)に記載の給糸パッケージ搬送台車によれば、複数の給糸パッケージのうちペグ軸の先端側の第1位置でペグ軸に掛けられて位置決め部と係止して位置決めされた給糸パッケージが、クリールロボットによって取り出される。即ち、第1位置が、クリールロボットがペグ軸から給糸パッケージを取り出すときの所定の取出位置となる。そして、台車本体側の第2位置でペグ軸に掛けられた給糸パッケージは、ペグ軸の先端側の給糸パッケージの取り出し後に、第1位置へと移動させ、位置決め部に係止させることができる。このため、第2位置から第1位置に移動させた給糸パッケージも、所定の取出位置に位置決めでき、クリールロボットが容易に取り出すことができる。よって、ペグ軸の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージのいずれともペグ軸の軸方向においてクリールロボットが取り出すときの所定の取出位置に位置決めすることができる。また、クリールロボットによる給糸パッケージの取り出しのためにクリールロボットに対して特別の装備を設ける必要がなく、クリールロボットが複数の給糸パッケージを取り出しやすい構造を実現することができる。
【0025】
なお、本発明の給糸パッケージ搬送台車は、上記(1)~(8)に記載された構成の全部を備えることは必須でない。例えば、上記(1)に記載された給糸パッケージ搬送台車の発明において、上記(2)~(8)に記載された構成は必須でない。また、整合を図ることができる範囲で、上記(1)に記載された構成と、上記(2)~(8)に記載された構成のうちの一部の構成と、を任意に組み合わせたものを、本発明の給糸パッケージ搬送台車とすることもできる。例えば、上記(1)に記載された構成と、上記(2)、(3)、(5)~(8)に記載された構成のうちの一部又は全部の構成とを組み合わせたものを本発明の給糸パッケージ搬送台車とすることもできる。また、上記(1)に記載された構成と、上記(2)、(4)~(8)に記載された構成のうちの一部又は全部の構成とを組み合わせたものを本発明の給糸パッケージ搬送台車とすることもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ペグ軸の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージのいずれともペグ軸の軸方向において所定の取出位置に位置決めでき、構造の複雑化及び製造コストの増大を抑制することができる給糸パッケージ搬送台車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る給糸パッケージ搬送台車を示す斜視図である。
【
図2】給糸パッケージ搬送台車の斜視図であって、複数の給糸パッケージを搭載した状態の給糸パッケージ搬送台車を示す図である。
【
図3】クリールスタンドが設置された仮撚加工機の配置構成を模式的に示す平面図である。
【
図5】給糸パッケージ搬送台車のペグ軸に給糸パッケージが掛けられた状態を示す斜視図であって、ペグ軸の一部と給糸パッケージとを拡大して示す図である。
【
図7】複数の給糸パッケージを塔体した状態の給糸パッケージ搬送台車を部分的に示す給糸パッケージ搬送台車の側面図である。
【
図8】複数の給糸パッケージを塔体した状態の給糸パッケージ搬送台車を部分的に示す給糸パッケージ搬送台車の側面図であって、給糸パッケージ搬送台車のペグ軸の第2位置に複数の給糸パッケージが掛けられた状態を示す図である。
【
図9】ペグ軸に設けられた位置決め部について説明するための図である。
【
図10】ペグ軸に掛けられた給糸パッケージがペグ軸の第2位置から第1位置へと移動する際の位置決め部の動作を説明するための図である。
【
図11】変形例に係る給糸パッケージ搬送台車を説明するための図であって、変形例に係る給糸パッケージ搬送台車のペグ軸と位置決め部とを拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、給糸パッケージを搭載して搬送する給糸パッケージ搬送台車として、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0029】
図1は、本発明の一実施の形態に係る給糸パッケージ搬送台車1を示す斜視図である。
図2は、給糸パッケージ搬送台車1の斜視図であって、複数の給糸パッケージ10を搭載した状態の給糸パッケージ搬送台車1を示す図である。
図3は、クリールスタンド13が設置された仮撚加工機11の配置構成を模式的に示す平面図である。
図4は、クリールロボット15の側面図である。
【0030】
給糸パッケージ搬送台車1は、
図3に示すような仮撚加工機11のクリールスタンド13に対して供給される給糸パッケージ10を搭載して搬送するための台車として構成される。そして、給糸パッケージ搬送台車1に搭載された給糸パッケージ10は、例えば、
図3及び
図4に示すような仮撚加工機11のクリールロボット15等の給糸パッケージ取出装置によって取り出されてクリールスタンド13へと供給される。尚、
図1及び
図2を参照して、給糸パッケージ10は、円筒状のボビン10aの周囲に糸10bが巻かれていることで構成されている。
【0031】
図3を参照して、仮撚加工機11においては、長手方向に機台12が延在しており、この機台12の両側に、糸供給ローラ、過熱ヒータ、撚掛装置、巻取装置等の糸処理機構(図示省略)を備えて構成される糸処理錘が多数並んで設けられている。仮撚加工機11の機台12に対しては、クリールスタンド13から原糸が供給される。クリールスタンド13は、機台12に隣接して設けられており、クリールロボット15によって給糸パッケージ10が供給され、供給された給糸パッケージ10から解舒された糸を機台12へと供給する機構として構成されている。
【0032】
図3及び
図4を参照して、クリールロボット15は、給糸パッケージ搬送台車1によって搬送された給糸パッケージ10を給糸パッケージ搬送台車1から取り出し、クリールスタンド13へと供給する機構として構成されている。クリールロボット15は、クリールスタンド13に隣接して敷設されたレール14を移動し、クリールスタンド13へと給糸パッケージ10を供給するように構成されている。また、クリールロボット15は、レール14の端部の所定の位置において、給糸パッケージ搬送台車1から給糸パッケージ10を取り出すように構成されている。クリールロボット15によって給糸パッケージ搬送台車1から給糸パッケージ10が取り出される際には、給糸パッケージ10を搭載した給糸パッケージ搬送台車1は、
図3において破線で示す所定の台車停止位置Sまで走行して移動させられ、台車停止位置Sで停止される。台車停止位置Sは、レール14上の所定の位置に位置したクリールロボット15が給糸パッケージ搬送台車1から給糸パッケージ10を取り出す作業を行う位置として設定されている。尚、給糸パッケージ搬送台車1は、台車停止位置Sまで移動させられる際には、まず、
図3において矢印X1で示すように、仮撚加工機11の機台12の長手方向と略直交する方向に沿って、クリールスタンド13及びクリールロボット15に近づく位置まで移動させられる。そして、クリールスタンド13及びクリールロボット15に近づく位置まで移動すると、次いで、
図3において矢印X2で示すように、台車停止位置Sへと移動させられる。クリールロボット15は、台車停止位置Sで停止した給糸パッケージ搬送台車1から給糸パッケージ10を取り出す作業を行う。
【0033】
図4を参照して、クリールロボット15には、レール14を転動する駆動輪16aを備えてレール14上を走行する走行台車16、走行台車16に昇降自在に設けられた給糸交換装置17、給糸交換装置17を昇降させる昇降装置18、等が設けられている。給糸交換装置17は、給糸パッケージ搬送台車1から給糸パッケージ10を取り出すとともにクリールスタンド13へ給糸パッケージ10を供給する装置として構成されている。そして、給糸交換装置17には、パッケージ保持部17a、第1支持部17b、第2支持部17c、等が設けられている。パッケージ保持部17aは、給糸パッケージ搬送台車1から給糸パッケージ10を取り出す際に給糸パッケージ10を保持する機構として設けられ、給糸パッケージ10を直接に保持する一対の給糸パッケージ保持部材17dを備えている。一対の給糸パッケージ保持部材17dは、水平方向に沿って片持ち状に延びるとともに互いに平行に延びる一対の棒状部材として設けられている。給糸パッケージ保持部17aは、一対の給糸パッケージ保持部材17dを給糸パッケージ10のボビン10aに挿入することで、給糸パッケージ10を保持するように構成されている。第1支持部17bは、昇降装置18に支持され、昇降装置18によって駆動されることで、上下方向に沿って移動するように設けられている。また、第1支持部17bには、パッケージ保持部17aを水平方向に沿ってスライド移動自在に支持するガイド部材17eが設けられている。第2支持部17cは、第1支持部17bに対して水平方向に沿って移動可能に設けられている。第2支持部17cは、パッケージ保持部17aを吊下げ状態で支持している。第2支持部17cは、第1支持部17bに対して水平方向に沿って移動することで、吊下げ支持したパッケージ保持部17aを第2支持部17bのガイド部材17eに対してスライドさせて水平方向に移動させるように構成されている。
【0034】
クリールロボット15は、給糸パッケージ搬送台車1に搭載された給糸パッケージ10のボビン10a内に給糸交換装置17のパッケージ保持部17aの一対の給糸パッケージ保持部材17dを進出させる。そしてクリールロボット15は、給糸交換装置17を上昇させることで給糸パッケージ10を一対の給糸パッケージ保持部材17dで持ち上げ、次いで、一対の給糸パッケージ保持部材17dを退避させることで給糸パッケージ10を取り出すように構成されている。尚、クリールロボット15は、パッケージ保持部17aの一対の給糸パッケージ保持部材17dが一対の棒状部材として設けられていることで、給糸パッケージ10を取り出すことができるように構成されている。
【0035】
次に、本発明の実施形態の給糸パッケージ搬送台車1について詳しく説明する。
図1及び
図2を参照して、給糸パッケージ搬送台車1は、台車本体21と、複数のペグ軸22と、複数のペグ軸22のそれぞれに設けられた位置決め部23と、を備えて構成されている。
【0036】
台車本体21は、基台部24、一対の上下フレーム25、複数の水平フレーム26、複数の車輪27、を備えて構成されている。基台部24は、台車本体21における基礎構造部分を構成する台座として設けられている。尚、本実施形態では、基台部24が、略長方形の外形形状を有する枠体として設けられた形態を例示している。基台部24は、枠体として設けられていなくてもよく、例えば、板状に設けられていてもよい。また、基台部24には、その下面側において開口する位置決め孔(図示省略)が設けられている。位置決め孔は、給糸パッケージ搬送台車1が、前述の台車停止位置Sで停止した際に、台車停止位置Sにおける所定の位置に給糸パッケージ搬送台車1を位置決めするために設けられている。尚、台車停止位置Sには、基台部24に設けられた位置決め孔に係合する位置決めピンが設けられている。そして、給糸パッケージ搬送台車1が台車停止位置Sに停止した状態で、基台部24の位置決め孔を台車停止位置Sにおける位置決めピンに係合させることで、給糸パッケージ搬送台車1が、台車停止位置Sにおける所定の位置に位置決めされる。
【0037】
一対の上下フレーム25は、基台部24から上方に向かって突出して上下方向に延びる柱状のフレーム部分として設けられている。尚、本実施形態では、角柱状に形成された上下フレーム25の形態を例示している。一対の上下フレーム25は、略長方形の外形を有する基台部の長手方向における両端部において、基台部24から上方に突出して延びるように設けられている。また、一対の上下フレーム25は、上下方向に沿って互いに平行に延びるように設けられている。
【0038】
複数の水平フレーム26のそれぞれは、一対の上下フレーム25を連結して水平に延びる角柱状の部材として設けられている。即ち、各水平フレーム26は、一対の上下フレーム25間に架け渡された状態で水平に延びるように設けられている。水平フレーム26の長手方向における一方の端部は、一対の上下フレーム25のうちの一方に固定されており、水平フレーム26の長手方向における他方の端部は、一対の上下フレーム25のうちの他方に固定されている。また、複数の水平フレーム26は、一対の上下フレーム25の間において、上下方向に並んで配置され、互いに平行に延びるように設けられている。即ち、複数の水平フレーム26のそれぞれは、上下フレーム25に対して、上下方向における互いに異なる位置で結合している。尚、本実施形態では、水平フレーム26が3つ設けられた形態を例示している。このため、本実施形態では、上下方向に沿って上段、中段、下段の3つの異なる高さ位置に、水平フレーム26が配置されている。
【0039】
複数の車輪27は、基台部24の下部に設けられ、基台部24に対して、回転軸(図示省略)周りで回転自在に取り付けられている。車輪27が設けられていることで、台車本体21は、走行可能に構成されている。給糸パッケージ搬送台車1の移動の際には、例えば、作業者(図示省略)が台車本体21を押すことで、基台部24の下部の複数の車輪27が回転し、給糸パッケージ搬送台車1が走行して移動することになる。
【0040】
図5は、給糸パッケージ搬送台車1のペグ軸22に給糸パッケージ10が掛けられた状態を示す斜視図であって、ペグ軸22の一部と給糸パッケージ10とを拡大して示す図である。
図6は、
図5の一部を拡大して示す図である。
図7は、複数の給糸パッケージ10を搭載した状態の給糸パッケージ搬送台車1を部分的に示す給糸パッケージ搬送台車1の側面図である。
【0041】
図1、
図2、
図5~
図7を参照して、ペグ軸22は、台車本体21から片持ち状に延びるように設けられ、給糸パッケージ10のボビン10aに挿入されて給糸パッケージ10が掛けられる軸状の部材として設けられている。ペグ軸22は、例えば、円形断面で細長く延びる軸状の部材として設けられ、ペグ軸22の軸方向が、ペグ軸22が台車本体21から延びる方向となる。また、給糸パッケージ搬送台車1においては、ペグ軸22は、複数設けられており、複数のペグ軸22が、台車本体21から延びている。また、複数のペグ軸22のそれぞれは、台車本体21における水平フレーム26から延びている。本実施形態では、上下に並んで配置された3つの水平フレーム26のそれぞれから、複数のペグ軸22が延びている。
【0042】
複数のペグ軸22は、水平フレーム26が水平に延びる方向に沿って並んで配置され、互いに平行に延びる状態で水平フレーム26から延びている。また、複数のペグ軸22は、水平フレーム26が水平に延びる方向を中心として水平方向における両側に向かって、水平フレーム26から延びている。そして、各ペグ軸22は、台車本体21の水平フレーム26から斜め上方に向かって延びている。より具体的には、各ペグ軸22は、水平フレーム26が延びる方向に対して略直交する方向に沿って、水平フレーム26から斜め上方に向かって延びている。
【0043】
また、ペグ軸22は、2つのペグ軸22に対して給糸パッケージ10が同時に掛けられることで、給糸パッケージ10を保持するように構成されている。給糸パッケージ10が同時に掛けられる2つのペグ軸22は、近接して並んで平行に延びた状態で、水平フレーム26から延びている。クリールロボット15によって給糸パッケージ10が給糸パッケージ搬送台車1から取り出される際には、2つのペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10が、クリールロボット15の給糸交換装置17によって取り出される。このとき、クリールロボット15の給糸交換装置17のパッケージ保持部17aの一対の給糸パッケージ保持部材17dが、2つのペグ軸22の間に挿入されるようにして、給糸パッケージ10のボビン10a内に挿入される。そして、クリールロボット15の作動により、ボビン10a内で2つのペグ軸22の間に挿入された一対の給糸パッケージ保持部材17dが上昇することで、給糸パッケージ10が一対の給糸パッケージ保持部材17dによって2つのペグ軸22から持ち上げられる。次いで、クリールロボット15の作動により、パッケージ保持部17aの一対の給糸パッケージ保持部材17dが退避することで、一対の給糸パッケージ保持部材17dに支持された給糸パッケージ10が2つのペグ軸22から取り出される。尚、給糸パッケージ10が同時に掛けられる2つのペグ軸22は、給糸パッケージ10のボビン10aに対してともに挿入されるように、ボビン10aの内径寸法よりも小さい距離寸法の隙間を介して配置されている。更に、2つのペグ軸22の間の隙間の距離寸法は、2つのペグ軸22の間に一対の給糸パッケージ保持部材17dが挿入されるように、平行に並んだ一対の給糸パッケージ保持部材17dが配置される領域の幅方向の寸法よりも大きい距離寸法に設定される。
【0044】
また、
図1及び
図7を参照して、ペグ軸22には、ペグ軸22の軸方向に沿って並ぶとともに、給糸パッケージ10が掛けられる位置である第1位置P1及び第2位置P2が設けられている。第1位置P1は、ペグ軸22の軸方向におけるペグ軸22の先端側の位置として設けられている。即ち、第1位置P1は、台車本体21から片持ち状に延びるペグ軸22の先端側の位置として設けられている。第2位置P2は、ペグ軸22の軸方向における台車本体21側の位置として設けられている。即ち、第2位置P2は、台車本体21から片持ち状に延びるペグ軸22における根本側の位置として設けられている。
【0045】
また、第1位置P1は、ペグ軸22の先端側で1つの給糸パッケージ10が掛けられる位置として設けられている。そして、第1位置P1は、クリールロボット15によって給糸パッケージ10が取り出される際におけるクリールロボット15による所定の取出位置として構成されている。また、第2位置P2は、ペグ軸22の軸方向における台車本体21側で1つ又は複数の給糸パッケージ10が掛けられる位置として設けられている。尚、
図1、
図2及び
図7では、第1位置P1に1つの給糸パッケージ10が掛けられるとともに、第2位置P2に1つの給糸パッケージ10が掛けられた状態を例示している。そして、
図5及び
図6では、第1位置P1に1つの給糸パッケージ10が掛けられ、第2位置P2には給糸パッケージ10が掛けられていない状態を例示している。
【0046】
尚、
図1、
図2及び
図7では、第2位置P2において1つの給糸パッケージ10が掛けられた形態を例示しているが、第2位置P2に複数の給糸パッケージ10が掛けられる形態を実施することもできる。
【0047】
図8は、複数の給糸パッケージ10を搭載した状態の給糸パッケージ搬送台車1を部分的に示す給糸パッケージ搬送台車1の側面図であって、給糸パッケージ搬送台車1のペグ軸22の第2位置P2に複数の給糸パッケージ10が掛けられた状態を示す図である。
図8に示す形態では、ペグ軸22の第2位置P2は、ペグ軸22の軸方向における台車本体21側で複数の給糸パッケージ10が掛けられる位置として設けられている。
図8に示すように、第2位置P2において複数の給糸パッケージ10が掛けられる場合は、第2位置P2に掛けられる給糸パッケージ10の個数に応じてペグ軸22の軸方向の長さが長く設定される。そして、第2位置P2において、複数の給糸パッケージ10がペグ軸22の軸方向に沿って並んだ状態で掛けられる。尚、
図8においては、ペグ軸22の第2位置P2に2つの給糸パッケージ10が掛けられる形態を例示している。ペグ軸22の第2位置P2に複数の給糸パッケージ10が掛けられる形態としては、2つの給糸パッケージ10が掛けられる形態に限らず、3つ以上の給糸パッケージ10が掛けられる形態が実施されてもよい。
【0048】
図1、
図5~
図8を参照して、位置決め部23は、ペグ軸22に設けられ、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10を第1位置P1に位置決めするための部材として設けられている。位置決め部23は、複数のペグ軸22のそれぞれに設けられ、各ペグ軸22に1つの位置決め部23が設けられている。位置決め部23は、ペグ軸22の軸方向における第1位置P1と第2位置P2との間においてペグ軸22の軸方向に移動しない状態でペグ軸22に取り付けられている。そして、位置決め部23は、ペグ軸22の軸方向における第1位置P1と第2位置P2との間において、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止して給糸パッケージ10を第1位置P1に位置決めするように設けられている。また、位置決め部23は、ペグ軸22から上方に向かって突出して第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な突出状態と、ペグ軸22から上方に突出しない非突出状態と、の間で状態が遷移可能に設けられている。また、位置決め部23は、第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれにおいても、突出状態と非突出状態との間で状態が遷移可能に設けられている。
【0049】
図5~
図8を参照して、位置決め部23は、ペグ軸22に対して回転自在に取り付けられている。ペグ軸22には、ペグ軸22の軸方向に直交する方向に沿ってペグ軸22を貫通して取り付けられる回転軸28が取り付けられ、回転軸28に対して位置決め部23が回転自在に取り付けられている。これにより、位置決め部23は、ペグ軸22に対して、ペグ軸22の軸方向に直交する方向に沿う方向に延びる回転軸28を中心として回転自在に取り付けられている。そして、位置決め部23は、回転軸28周りで回転することで、ペグ軸22から上方に向かって突出した突出状態と、ペグ軸22から上方に突出しない非突出状態と、の間で状態が遷移するように設けられている。また、ペグ軸22には、位置決め部23が設けられる箇所において、外周側面の一部が切り欠かれるように凹み形成された凹部22a(
図6参照)が設けられている。ペグ軸22に回転自在に取り付けられた位置決め部23は、凹部22aの内側の領域で回転自在な状態で、ペグ軸22に取り付けられている。尚、ペグ軸22において位置決め部23が回転自在な状態で設けられる領域としては、凹部22aの形態に限らず、他の形態であってもよい。例えば、ペグ軸22においてスリット状に貫通形成された領域が設けられ、スリット状に貫通形成された領域において、位置決め部23が回転自在に取り付けられていてもよい。
【0050】
図9は、ペグ軸22に設けられた位置決め部23について説明するための図である。尚、
図9は、位置決め部23とペグ軸22の一部とを拡大して示している。また、
図9(A)は、ペグ軸22に給糸パッケージ10が掛けられていない状態を示している。
図9(B)は、ペグ軸22に対して第2位置P2で掛けられた給糸パッケージ10が第2位置P2から第1位置P1へとペグ軸22の軸方向にスライド移動する際の状態を示している。
図9(C)は、ペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10が第2位置P2から第1位置P1へと移動した状態を示している。
図5~
図9を参照して、ペグ軸22に対して回転自在に取り付けられた位置決め部23は、係止部23a、錘部23b、及び当接部23cを備えて構成されている。
【0051】
係止部23aは、位置決め部23において、回転軸28に対して上方に配置可能な部分として設けられている。そして、係止部23aは、ペグ軸22から上方に向かって突出可能な部分として設けられ、ペグ軸22に対して第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な部分として設けられている。また、係止部23aは、ペグ軸22に対して回転自在に取り付けられた位置決め部23に外力が作用していない状態では、ペグ軸22の凹部22aの内側に配置されている。このため、位置決め部23に外力が作用していない状態では、係止部23aが凹部22aから上方に突出しておらず、位置決め部23は、凹部22aから上方に突出していない状態となっている。この状態、即ち、位置決め部23が凹部22aから上方に突出していない状態では、位置決め部23の状態は、ペグ軸22から上方に突出しない非突出状態となっている。非突出状態では、係止部23aが凹部22aから上方に突出しておらず、係止部23aは、ペグ軸22から上方に突出しない位置に位置している。位置決め部23の状態が非突出状態になっていることにより、ペグ軸22の先端側でペグ軸22に掛けた給糸パッケージ10をペグ軸22の先端側から第2位置P2へとペグ軸22の軸方向にスライド移動させる際に、給糸パッケージ10のボビン10aと位置決め部23とを当接させることなく、給糸パッケージ10をペグ軸22に沿ってスライド移動させることができる。また、ペグ軸22に対して第2位置P2で掛けられた給糸パッケージ10を第2位置P2から第1位置P1へとペグ軸22の軸方向にスライド移動させる際にも、給糸パッケージ10のボビン10aと位置決め部23とを当接させることなく、給糸パッケージ10をペグ軸22に沿って第1位置P1へとスライド移動させることができる。よって、位置決め部23の状態が非突出状態のときには、位置決め部23がペグ軸22から上方に突出していないことにより、給糸パッケージ10を第1位置P1と第2位置P2との間でペグ軸22に沿って自由に移動させることができる。
【0052】
錘部23bは、位置決め部23において、回転軸28に対して下方に配置される部分として設けられている。錘部23bは、係止部23aよりも重量が大きい部分として設けられている。このため、
図9(A)に示すように、ペグ軸22に対して回転軸28周りで回転自在に取り付けられた位置決め部23は、外力が作用していない状態では、錘部23bが下方に位置した状態で、姿勢が安定する。この状態では、係止部23aは、ペグ軸22の凹部22aの内側に配置されて凹部22a内に隠れた状態となっており、ペグ軸22の凹部22aの上方に突出していない。即ち、位置決め部23は、外力が作用していない状態では、凹部22aから上方に突出しておらず、位置決め部23の状態は、ペグ軸22から上方に突出しない非突出状態となっている。一方、錘部23bを作業者が手で操作し、位置決め部23を回転軸28周りで回転させると、係止部23aは、凹部22aから突出して、ペグ軸22の上方に向かって突出した状態となる。係止部23aは、ペグ軸22の上方に向かって突出した状態となることで、ペグ軸22に対して第1位置P1で掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な状態となる。この状態、即ち、位置決め部23が凹部22aから上方に突出した状態では、位置決め部23の状態は、ペグ軸22から上方に突出して第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な突出状態となっている。突出状態では、係止部23aが凹部22aから上方に突出しており、係止部23aは、ペグ軸22から上方に突出する位置に位置している。位置決め部23の状態が突出状態のときには、位置決め部23がペグ軸22から上方に突出していることにより、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第1位置P1と第2位置P2とでそれぞれ位置決めして掛けることができる。
【0053】
当接部23cは、位置決め部23の下端側において、錘部23bから突出した部分として設けられ、ペグ軸22の下半側の外周面と当接可能な部分として設けられている。より具体的には、
図9(C)に示すように、当接部23cは、錘部23bを作業者が操作して係止部23aをペグ軸22から上方に突出させ、ペグ軸22に対して第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10が係止部23aと係止した際に、ペグ軸22の下半側の外周面と当接するように構成されている。当接部23cがペグ軸22の下半側の外周面と当接した状態では、位置決め部23の回転がペグ軸22の外周によって規制される。このため、第1位置P1に掛けられて係止部23aに係止した給糸パッケージ10が第2位置P2へスライド移動しようとしても、位置決め部23は回転せず、給糸パッケージ10が係止部23aと係止した状態が維持され、給糸パッケージ10の第2位置P2側へのスライド移動が規制されることになる。
【0054】
上述した係止部23a、錘部23b、及び当接部23cが設けられた位置決め部23は、
図9(A)に示すように、外力が作用していない状態では、係止部23aが凹部22aの内側に配置されて凹部22a内に隠れ、位置決め部23は、ペグ軸22の上方に向かって突出していない状態となっている。即ち、位置決め部23の状態は、ペグ軸22から上方に突出しない非突出状態となっている。このため、給糸パッケージ10をペグ軸22の先端側から第2位置P2へとスライド移動させる際、及び、給糸パッケージ10を第2位置P2から第1位置P1へとスライド移動させる際に、給糸パッケージ10のボビン10aと位置決め部23とが当接せず、給糸パッケージ10をペグ軸22の軸方向にスライド移動させることができる。尚、
図9(B)は、第2位置P2に掛けられた給糸パッケージ10が第2位置P2から第1位置P1へとペグ軸22の軸方向にスライド移動する際の状態を示している。給糸パッケージ10のスライド移動の際、係止部23aは凹部22a内に配置されて上方に突出していないため、ボビン10aが位置決め部23と当接することなく、給糸パッケージ10がペグ軸22の軸方向にスライド移動する。このように、位置決め部23は、給糸パッケージ10が第2位置P2から第1位置P1へとペグ軸22の軸方向にスライド移動する際には給糸パッケージ10のスライド移動を許容するように構成されている。
【0055】
また、給糸パッケージ10が第2位置P2から第1位置P1へと移動して位置決め部23の上方を通過した状態となると、位置決め部23は、錘部23bが作業者によって手で操作され、
図9(A)における反時計回り方向に回転軸28周りで回転させられる。この回転操作が行われると、係止部23aが凹部22aから突出し、位置決め部23が、ペグ軸22から上方に突出した状態となる。即ち、位置決め部23の状態は、ペグ軸22から上方に突出して第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な突出状態となっている。この状態で、給糸パッケージ10がペグ軸22に対して第1位置P1に掛けられた状態となると、
図9(C)に示すように、位置決め部23は、係止部23aにおいて給糸パッケージ10のボビン10aの端部と係止する。そして、給糸パッケージ10のボビン10aと係止部23aとが係止した状態では、当接部23cがペグ軸22の下半側の外周面と当接し、
図9(C)における反時計回り方向の位置決め部23の回転が規制される。これにより、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10が第2位置P2へスライド移動しようとしても、位置決め部23は回転せず、給糸パッケージ10が係止部23aと係止した状態が維持される。このため、給糸パッケージ10の第2位置P2側へのスライド移動が規制されることになる。このように、位置決め部23は、給糸パッケージ10が第1位置P1から第2位置P2へと移動する際には給糸パッケージ10と係止して給糸パッケージ10のスライド移動を規制可能に設けられている。
【0056】
次に、上述した給糸パッケージ搬送台車1の使用態様について説明する。クリールスタンド13に給糸パッケージ10が供給される際には、複数の給糸パッケージ10が給糸パッケージ搬送台車1に搭載されて搬送される。給糸パッケージ10は、給糸パッケージ搬送台車1のペグ軸22に掛けられることで、給糸パッケージ搬送台車1に搭載される。ペグ軸22に給糸パッケージ10を掛ける作業は、作業者によって行われる。作業者によって、給糸パッケージ10のボビン10aにペグ軸22が挿入された状態で給糸パッケージ10がペグ軸22に掛けられる。また、ペグ軸22には、第1位置P1と第2位置P2とのそれぞれの位置に対して、給糸パッケージ10が掛けられる。
【0057】
ペグ軸22に対しては、まず、第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられ、次いで、第1位置P1に給糸パッケージ10が掛けられる。第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられる際には、ペグ軸22にボビン10aが挿入された状態で、給糸パッケージ10が、ペグ軸22の先端側から第2位置P2へとスライド移動させられる。このとき、位置決め部23はペグ軸22の上方に突出していない非突出状態のため、給糸パッケージ10は、位置決め部23と当接せずに第2位置P2までペグ軸22の軸方向にスライドしてペグ軸22に第2位置P2にて掛けられる。次いで、第1位置P1に給糸パッケージ10が掛けられる際には、ペグ軸22にボビン10aが挿入された状態で、給糸パッケージ10が、ペグ軸22の先端側から第1位置P1の近傍の位置までスライド移動させられる。給糸パッケージ10が第1位置P1の近傍の位置まで移動すると、位置決め部23が回転操作される。これにより、位置決め部23の状態が、非突出状態から、位置決め部23がペグ軸22から上方に突出した状態である突出状態へと遷移するように、位置決め部23が操作される。この状態で、給糸パッケージ10が第1位置P1へと移動させられ、位置決め部23の係止部23aが、給糸パッケージ10のボビン10aと当接する。これにより、第1位置P1でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10は、位置決め部23と係止して第1位置P1に位置決めされる。
【0058】
複数の給糸パッケージ10が給糸パッケージ搬送台車1に搭載されると、給糸パッケージ搬送台車1は、クリールロボット15が給糸パッケージ搬送台車1から給糸パッケージ10を取り出す作業を行う領域である台車停止位置Sまで移動させられる。給糸パッケージ搬送台車1の移動は、作業者が台車本体21を押して給糸パッケージ搬送台車1を走行させることで行われる。給糸パッケージ10を搭載した給糸パッケージ搬送台車1が台車停止位置Sまで移動して停止すると、クリールロボット15の作動によって、給糸パッケージ搬送台車1から給糸パッケージ10が取り出される作業が行われる。
【0059】
クリールロボット15によって給糸パッケージ10が給糸パッケージ搬送台車1から取り出される際には、ペグ軸22に対して第1位置P1において掛けられた給糸パッケージ10が、クリールロボット15の給糸交換装置17によって取り出される。このとき、クリールロボット15の給糸交換装置17のパッケージ保持部17aの一対の給糸パッケージ保持部材17dが、第1位置P1で給糸パッケージ10が掛けられた2つのペグ軸22の間に挿入されるようにして、第1位置P1で掛けられた給糸パッケージ10のボビン10a内に挿入される。そして、クリールロボット15の作動により、第1位置P1で掛けられた給糸パッケージ10のボビン10a内で2つのペグ軸22の間に挿入された一対の給糸パッケージ保持部材17dが上昇する。一対の給糸パッケージ保持部材17dが上昇することで、第1位置P1でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10がペグ軸22から持ち上げられる。次いで、クリールロボット15の作動により、パッケージ保持部17aの一対の給糸パッケージ保持部材17dが退避することで、ペグ軸22の第1位置P1から持ち上げられて一対の給糸パッケージ保持部材17dに支持された給糸パッケージ10がペグ軸22から取り出される。
【0060】
クリールロボット15によって給糸パッケージ10が給糸パッケージ搬送台車1から取り出される動作は、ペグ軸22に対して第1位置P1で掛けられた給糸パッケージ10に対してのみ行われる。ペグ軸22に対して第2位置P2で掛けられた給糸パッケージ10を給糸パッケージ搬送台車1から取り出す際には、給糸パッケージ10の取り出し動作が行われる前に、第2位置P2に掛けられた給糸パッケージ10を第1位置P1へと移動させる作業が行われる。給糸パッケージ10を第2位置P2から第1位置P1へと移動させる作業は、作業者が、第2位置P2に掛けられた給糸パッケージ10をペグ軸22の軸方向にスライド移動させることで行われる。
【0061】
図10は、ペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10がペグ軸22の第2位置P2から第1位置P1へと移動する際の位置決め部23の動作を説明するための図である。尚、
図10は、位置決め部23とペグ軸22の一部と給糸パッケージ10の一部とを拡大して示している。また、
図10(A)は、給糸パッケージ10がペグ軸22の第2位置P2から第1位置P1へと移動している途中の状態を示している。
図10(B)は、給糸パッケージ10が第2位置P2から第1位置P1へと移動した状態を示している。
【0062】
給糸パッケージ10を第2位置P2から第1位置P1へと移動させる際には、作業者は、第2位置P2に掛けられた給糸パッケージ10を第1位置P1側へ向かってペグ軸22の軸方向にスライド移動させる。このとき、第1位置P1には給糸パッケージ10は掛けられておらず、位置決め部23には外力が作用していないため、位置決め部23は、ペグ軸22の上方に突出していない非突出状態となっている。この状態で、第2位置P2に掛けられた給糸パッケージ10が第1位置P1側に向かってスライド移動するため、
図10(A)に示すように、給糸パッケージ10は、位置決め部23と当接せず、ペグ軸22の軸方向にスライド移動する。
【0063】
給糸パッケージ10が第2位置P2から第1位置P1へとスライド移動して位置決め部23の上方を通過した状態となると、位置決め部23が回転操作される。これにより、位置決め部23の状態が、非突出状態から、位置決め部23がペグ軸22から上方に突出した状態である突出状態へと遷移するように、位置決め部23が操作される。この状態で、給糸パッケージ10が第1位置P1へと移動させられ、
図10(B)に示すように、第1位置P1に掛けられた状態となった給糸パッケージ10のボビン10aの端部が、係止部23aと係止する。更に、給糸パッケージ10のボビン10aと係止部23aとが係止した状態では、当接部23cがペグ軸22の下半側の外周面と当接し、位置決め部23の回転が規制される。これにより、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10が第2位置P2へスライド移動しようとしても、給糸パッケージ10が係止部23aと係止して第1位置P1に掛けられた状態が維持される。このため、第2位置P2から第1位置P1へとスライド移動させられた給糸パッケージ10は、そのまま第1位置P1に掛けられた状態となる。
【0064】
第2位置P2から第1位置P1へとスライド移動して第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10に対しては、クリールロボット15によって取り出される動作が行われる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、複数の給糸パッケージ10のうちペグ軸22の先端側の第1位置P1でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10は、位置決め部23と係止して位置決めされている。これにより、ペグ軸22の軸方向においてクリールロボット15等の給糸パッケージ取出装置によって取り出される所定の取出位置に位置決めでき、給糸パッケージ10を容易に取り出すことができる。また、台車本体21側の第2位置P2でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10は、ペグ軸22の先端側の給糸パッケージ10の取り出し後に、第1位置P1へと移動させ、位置決め部23に係止させることができる。このため、第2位置P2から第1位置P1に移動させた給糸パッケージ10も、所定の取出位置に位置決めでき、容易に取り出すことができる。よって、ペグ軸22の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージ10のいずれともペグ軸22の軸方向において所定の取出位置に位置決めできる。従って、第1位置P1及び第2位置P2のそれぞれの位置で給糸パッケージ10を掛けることができるとともに、第1位置P1及び第2位置P2に位置させたいずれの給糸パッケージ10ともに所定の取出位置に位置決めできる。このため、複数の給糸パッケージ10を取り出しやすくすることができる。また、ペグ軸22に対して第1位置P1と第2位置P2との間で位置決め部23を設けた簡素な構成で、いずれの給糸パッケージ10とも所定の取出位置に位置決めすることができる。このため、給糸パッケージ搬送台車1の構造の複雑化と製造コストの増大とを抑制することができる。よって、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によると、ペグ軸22の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージ10のいずれともペグ軸22の軸方向において所定の取出位置に位置決めでき、構造の複雑化及び製造コストの増大を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、位置決め部23の状態が突出状態のときは、位置決め部23の係止部23aがペグ軸22から上方に突出していることにより、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第1位置P1と第2位置P2とでそれぞれ位置決めして掛けることができる。また、位置決め部23の状態が非突出状態のときは、位置決め部23の係止部23aがペグ軸22から上方に突出していないことにより、給糸パッケージ10を第1位置P1と第2位置P2との間でペグ軸22に沿って自由に移動させることができる。
【0067】
また、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、位置決め部23は、第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれにおいても、突出状態と非突出状態との間で状態が遷移可能に設けられている。このため、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、給糸パッケージ10が第2位置P2に掛けられた状態において位置決め部23を非突出状態とすることで、位置決め部23をペグ軸22上で乗り越えさせるようにして給糸パッケージ10を第2位置P2から第1位置P1へとペグ軸22に沿って自由に移動させることできる。そして、給糸パッケージ10を第1位置P1へ移動させた後に位置決め部23を突出状態に遷移させることで、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第1位置P1で位置決めして掛けることができる。また、給糸パッケージ10が第2位置P2に掛けられていない状態において位置決め部23を非突出状態とすることで、位置決め部23をペグ軸22上で乗り越えさせるようにして給糸パッケージ10を第1位置P1から第2位置P2へとペグ軸22に沿って自由に移動させ、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第2位置P2で掛けることができる。また、給糸パッケージ10が第2位置P2に掛けられていない状態において位置決め部23を突出状態とすることで、給糸パッケージ10を位置決め部23と係止させてペグ軸22に対して第1位置P1で位置決めして掛けることができる。このため、第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれの状態であるかにかかわらず、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第1位置P1で位置決めして掛けることができる。
【0068】
また、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、台車本体21から複数のペグ軸22が延びるように設けられるため、1つの台車本体21において複数のペグ軸22のそれぞれに複数の給糸パッケージ10を掛けることができ、多数の給糸パッケージ10を給糸パッケージ搬送台車1に搭載して搬送することができる。
【0069】
また、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、第2位置P2に1つ以上の給糸パッケージ10を掛けることができるため、1つのペグ軸22において、2つ以上の多くの給糸パッケージ10を掛けることができる。このため、多数の給糸パッケージ10を給糸パッケージ搬送台車1に搭載して搬送することができる。
【0070】
また、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、ペグ軸22が台車本体21から斜め上方に延びるため、給糸パッケージ搬送台車1に外力が作用して振動が発生したような場合であっても、ペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10が落下してしまうことをより確実に抑制することができる。また、第1位置P1で掛けられた給糸パッケージ10は、重力によりペグ軸22の軸方向に沿って台車本体21側へ付勢された状態で位置決め部23に係止する。このため、ペグ軸22の先端側の第1位置P1でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10を位置決め部23に確実に係止させ、安定した状態で位置決めすることができる。尚、ペグ軸22が上方に向かって突出していると、ペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10は、その自重により、ペグ軸22に対して安定した状態で支持されることになる。しかし、ペグ軸22に位置決め部23が設けられていない場合、ペグ軸22に掛けられた複数の給糸パッケージ10同士が当接し、ペグ軸22の先端側の給糸パッケージ10の自重が作用することで、先端側の給糸パッケージ10を取り出しにくくなる。しかし、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、ペグ軸22が上方に向かって延びるとともに、第1位置P1で掛けられた給糸パッケージ10と係止する位置決め部23が設けられている。これにより、第1位置P1でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10が第2位置P2でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10と当接しないため、先端側の第1位置P1でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10を容易に取り出すことができる。
【0071】
また、本実施形態の給糸パッケージ搬送台車1によれば、複数の給糸パッケージ10のうちペグ軸22の先端側の第1位置P1でペグ軸22に掛けられて位置決め部23と係止して位置決めされた給糸パッケージ10が、クリールロボット15によって取り出される。即ち、第1位置P1が、クリールロボット15がペグ軸22から給糸パッケージ10を取り出すときの所定の取出位置となる。そして、台車本体21側の第2位置P2でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10は、ペグ軸22の先端側の給糸パッケージ10の取り出し後に、第1位置P1へと移動させ、位置決め部23に係止させることができる。このため、第2位置P2から第1位置P1に移動させた給糸パッケージ10も、所定の取出位置に位置決めでき、クリールロボット15が容易に取り出すことができる。よって、ペグ軸22の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージ10のいずれともペグ軸22の軸方向においてクリールロボット15が取り出すときの所定の取出位置に位置決めすることができる。また、クリールロボット15による給糸パッケージ10の取り出しのためにクリールロボット15に対して特別の装備を設ける必要がなく、クリールロボット15が複数の給糸パッケージ10を取り出しやすい構造を実現することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0073】
(1)前述の実施形態では、ペグ軸が台車本体から斜め上方に向かって片持ち状に延びるように設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。ペグ軸が台車本体から水平方向に向かって片持ち状に延びるように設けられた形態が実施されてもよい。
【0074】
(2)前述の実施形態では、位置決め部が、ペグ軸に対して回転自在に取り付けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。位置決め部が、ペグ軸に対して回転不能な状態で固定されて取り付けられた形態が実施されてもよい。
【0075】
(3)前述の実施形態では、位置決め部が、ペグ軸に対してペグ軸の軸方向に直交する方向に沿う方向を中心として回転軸回りで回転自在に取り付けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。位置決め部が、ペグ軸に対してペグ軸の周方向に摺動自在に嵌め込まれて取り付けられる形態が実施されてもよい。位置決め部が、ペグ軸に対してペグ軸の周方向に摺動自在に嵌め込まれて取り付けられる形態として、例えば、
図11及び
図12に示す変形例に係る給糸パッケージ搬送台車が実施されてもよい。
【0076】
図11は、変形例に係る給糸パッケージ搬送台車を説明するための図であって、変形例に係る給糸パッケージ搬送台車のペグ軸22と位置決め部29とを拡大して示す図である。
図12は、
図11の一部を拡大して示す図である。
図11及び
図12では、ペグ軸22の第1位置P1に給糸パッケージ10が掛けられ、第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられていない状態を例示している。尚、以下の変形例についての説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素及び前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0077】
図11及び
図12に示す変形例に係る給糸パッケージ搬送台車は、前述の実施形態の給糸パッケージ搬送台車1と同様に構成されている。ただし、変形例に係る給糸パッケージ搬送台車は、位置決め部29の構成と、位置決め部29がペグ軸22に取り付けられる形態についての構成とにおいて、前述の実施形態の給糸パッケージ搬送台車1とは異なっている。
【0078】
図11及び
図12に示すように、変形例に係る給糸パッケージ搬送台車においては、ペグ軸22には、位置決め部29が取付けられる部分において、ペグ軸22の軸回りで周方向に延びる溝22bが設けられている。溝22bは、ペグ軸22の軸方向において部分的にペグ軸22の直径が縮径してペグ軸22の外周が段状に凹んだ領域として設けられている。そして、溝22bは、ペグ軸22の軸回りの周方向の全周に亘って延びるように設けられている。
【0079】
位置決め部29は、前述の実施形態の位置決め部23と同様に、ペグ軸22に設けられており、ペグ軸22の軸方向における第1位置P1と第2位置P2との間においてペグ軸22の軸方向に移動しない状態でペグ軸22に取り付けられている。そして、位置決め部29は、ペグ軸22の軸方向における第1位置P1と第2位置P2との間において、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止して給糸パッケージ10を第1位置P1に位置決めするように設けられている。そして、位置決め部29は、ペグ軸22から上方に向かって突出して第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な突出状態と、ペグ軸22から上方に突出しない非突出状態と、の間で状態が遷移可能に設けられている。また、位置決め部29は、第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれにおいても、突出状態と非突出状態との間で状態が遷移可能に設けられている。ただし、前述の実施形態の位置決め部23とは異なり、位置決め部29には、ペグ軸22の溝22bに対してペグ軸22の周方向に摺動自在に嵌め込まれてペグ軸22に取り付けられる取付け部29aと、取付け部29aから突出する凸部29bと、が設けられている。
【0080】
取付け部29aは、周方向における一部が開口した円筒状の部分として設けられている。周方向の一部が開口した円筒状の部分としての取付け部29aの内径の寸法は、ペグ軸22における溝22bの部分の直径寸法に対応して設定されている。これにより、取付け部29aは、ペグ軸22の溝22bに対してペグ軸22の周方向に摺動自在に嵌り込む形状に設けられている。また、円筒状の取付け部29aにおいて周方向における一部が開口した領域は、例えば、周方向において半周よりも少し小さい円弧角度に亘って開口している。これにより、取付け部29aは、ペグ軸22の溝22bに対して、溝22bの外周の半周よりも少し大きい円弧角度の領域に亘って嵌り込むように構成されている。このため、取付け部29aは、ペグ軸22の溝22bに摺動自在に嵌め込まれた状態では、溝22bから脱落しないように構成されている。また、取付け部29aは、ペグ軸22の溝22bに対して周方向に摺動自在に設けられているため、溝22bに沿って摺動してペグ軸22に対して回転するように構成されている。そして、位置決め部29は、取付け部29aが溝22bに沿って摺動してペグ軸22に対して回転することで、ペグ軸22から上方に向かって突出した突出状態と、ペグ軸22から上方に突出しない非突出状態と、の間で状態が遷移するように設けられている。
【0081】
また、周方向の一部が開口した円筒状の部分としての取付け部29aの円筒軸方向の寸法は、ペグ軸22の軸方向における溝22bの長さ寸法によりも少し小さい寸法に設定されている。このため、取付け部29aは、ペグ軸22の溝22bに対して周方向に摺動自在に嵌り込んだ状態において、ペグ軸22の軸方向に移動しようとしても、溝22bの縁部と当接し、ペグ軸22の軸方向の移動が規制されることになる。これにより、位置決め部29は、ペグ軸22の軸方向における第1位置P1と第2位置P2との間において、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な位置に取り付けられるように構成されている。
【0082】
尚、位置決め部29は、例えば、樹脂材料で構成され、弾性変形可能に設けられている。これにより、取付け部29aをペグ軸22の溝22bに嵌め込んで取り付ける際には、取付け部29aを溝22bに押し付けるようにして嵌め込むことで、取付け部29aを一旦弾性変形させて溝22bに取り付けることができる。即ち、取付け部29aを溝22bに押し付けることで弾性変形させて一旦拡径させ、溝22bに取付け部29aを押し込むことができる。取付け部29aは、溝22bに押し込まれた後は、弾性回復して溝22bに嵌り込み、溝22bに対して摺動自在に取り付けられる。
【0083】
凸部29bは、取付け部29aと一体に設けられ、取付け部29aから突出した部分として設けられている。凸部29bは、例えば、取付け部29aから突起状或いは板状に突出した部分として設けられている。凸部29bは、取付け部29aがペグ軸22に取り付けられた状態で、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な部分として設けられている。凸部29bは、取付け部29aがペグ軸22の溝22bに取り付けられた状態では、溝22bからペグ軸22の外側に突出した状態で配置される。そして、凸部29bは、ペグ軸22の溝22bに周方向に摺動自在に嵌め込まれた取付け部29aがペグ軸22に対して回転操作されてペグ軸22の周方向における位置が適宜調整されることで、ペグ軸22の上方に向かって突出した状態となる。取付け部29aのペグ軸22周りの周方向位置が調整されて凸部29bが上方に突出した状態では、位置決め部29の状態は、ペグ軸22から上方に突出して第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能な突出状態となっている。即ち、突出状態では、凸部29bが上方に向かって突出した状態で取付け部29aがペグ軸22に取付けられており、凸部29bが、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止する状態となる。位置決め部29の状態が突出状態のときには、位置決め部29がペグ軸22から上方に突出していることにより、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第1位置P1と第2位置P2とでそれぞれ位置決めして掛けることができる。
【0084】
また、凸部29bは、取付け部29aがペグ軸22に対して回転操作されてペグ軸22の周方向における位置が適宜調整されることで、ペグ軸22から上方に突出しない状態にもなる。取付け部29aのペグ軸22周りの周方向位置が調整されて凸部29bがペグ軸22から上方に突出しない状態では、位置決め部29の状態は、ペグ軸22から上方に突出しない非突出状態となっている。即ち、非突出状態では、凸部29bが上方に突出しない状態で取付け部29aがペグ軸22に取付けられた状態となる。位置決め部29の状態が非突出状態のときには、位置決め部29がペグ軸22から上方に突出していないことにより、給糸パッケージ10を第1位置P1と第2位置P2と間でペグ軸22に沿って自由に移動させることができる。例えば、第2位置P2でペグ軸22に掛けられた給糸パッケージ10を第1位置P1へとペグ軸22の軸方向にスライド移動させる際には、取付け部29aを回転操作される。このとき、位置決め部29の状態を、凸部29bがペグ軸22から上方に向かって突出した突出状態から、凸部29bがペグ軸22から上方に突出しない非突出状態へと遷移させるように、取付け部29aが操作される。これにより、第2位置P2に掛けられた給糸パッケージ10を、凸部29bと当接させることなく、ペグ軸22の溝22bに嵌った位置決め部29を通過させ、第1位置P1へとペグ軸22の軸方向にスライド移動させることができる。
【0085】
位置決め部29には、上記のように、取付け部29aと凸部29bとが設けられている。そして、取付け部29aは、ペグ軸22の溝22bに対して周方向に摺動自在に嵌め込まれて回転操作可能にペグ軸22に取付けられるように設けられている。更に、凸部29bは、取付け部29aから突出して設けられるとともに、取付け部29aがペグ軸22に取り付けられた状態でペグ軸22から突出して、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止可能に設けられている。これにより、位置決め部29は、凸部29bが上方に向かって突出した突出状態で取付け部29aがペグ軸22に取り付けられているときに、凸部29bが、第1位置P1に掛けられた給糸パッケージ10と係止するように構成されている。また、位置決め部29は、凸部29bが上方に向かって突出しない非突出状態で取付け部29aがペグ軸22に取り付けられているときに、給糸パッケージ10を第1位置P1と第2位置P2と間でペグ軸22に沿って自由に移動させることができるように構成されている。
【0086】
上述した変形例に係る給糸パッケージ搬送台車によると、前述した実施形態と同様の効果を奏することができる。即ち、上述した変形例に係る給糸パッケージ搬送台車によると、ペグ軸22の軸方向に並んだ複数の給糸パッケージ10のいずれともペグ軸22の軸方向においてクリールロボット15の取出位置に位置決めでき、構造の複雑化及び製造コストの増大を抑制することができる。
【0087】
また、上述した変形例に係る給糸パッケージ搬送台車によると、位置決め部29の状態が突出状態のときは、位置決め部29の凸部29bがペグ軸22から上方に突出していることにより、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第1位置P1と第2位置P2とでそれぞれ位置決めして掛けることができる。また、位置決め部29の状態が非突出状態のときは、位置決め部29の凸部29bがペグ軸22から上方に突出していないことにより、給糸パッケージ10を第1位置P1と第2位置P2との間でペグ軸22に沿って自由に移動させることができる。
【0088】
また、上述した変形例に係る給糸パッケージ搬送台車によると、位置決め部29は、第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれにおいても、突出状態と非突出状態との間で状態が遷移可能に設けられている。このため、上述した変形例に係る給糸パッケージ搬送台車によると、給糸パッケージ10が第2位置P2に掛けられた状態において位置決め部29を非突出状態とすることで、位置決め部29をペグ軸22上で乗り越えさせるようにして給糸パッケージ10を第2位置P2から第1位置P1へとペグ軸22に沿って自由に移動させることできる。そして、給糸パッケージ10を第1位置P1へ移動させた後に位置決め部29を突出状態に遷移させることで、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第1位置P1で位置決めして掛けることができる。また、給糸パッケージ10が第2位置P2に掛けられていない状態において位置決め部29を非突出状態とすることで、位置決め部29をペグ軸22上で乗り越えさせるようにして給糸パッケージ10を第1位置P1から第2位置P2へとペグ軸22に沿って自由に移動させ、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第2位置P2で掛けることができる。また、給糸パッケージ10が第2位置P2に掛けられていない状態において位置決め部29を突出状態とすることで、給糸パッケージ10を位置決め部29と係止させてペグ軸22に対して第1位置P1で位置決めして掛けることができる。このため、第2位置P2に給糸パッケージ10が掛けられている状態および掛けられていない状態のいずれの状態であるかにかかわらず、給糸パッケージ10をペグ軸22に対して第1位置P1で位置決めして掛けることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 給糸パッケージ搬送台車
10 給糸パッケージ
10a ボビン
13 クリールスタンド
15 クリールロボット
21 台車本体
22 ペグ軸
23、29 位置決め部
P1 第1位置
P2 第2位置