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特開2023-174566バリアブル印刷の校正遅れによる遅延を抑える産業印刷システム、サーバー、及びバリアブル印刷方法
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  • 特開-バリアブル印刷の校正遅れによる遅延を抑える産業印刷システム、サーバー、及びバリアブル印刷方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174566
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】バリアブル印刷の校正遅れによる遅延を抑える産業印刷システム、サーバー、及びバリアブル印刷方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231130BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G06F3/12 343
G06F3/12 305
G06F3/12 359
B41J29/38 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081204
(22)【出願日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】17/827,631
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】松尾 卓
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061HJ06
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HQ05
(57)【要約】
【課題】バリアブル印刷の校正による遅延リスクを抑える産業印刷システムを提供する。
【解決手段】
産業印刷システムXは、プロダクション印刷のバリアブルデータを処理する。状況管理部100は、バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理する。工程管理部110は、状況管理部100により管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケット330を作成する。処理管理部120は、工程管理部110により作成されたジョブチケット330によりプリプレス処理又は印刷処理を行う。後処理部130は、処理管理部120によりプリプレス又は印刷処理が行われたレコード又はページについて、ジョブチケット330応じた後処理を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロダクション印刷によるバリアブル印刷を行う産業印刷システムであって、
前記バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理する状況管理部と、
前記状況管理部により管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケットを作成する工程管理部と、
前記工程管理部により作成された前記ジョブチケットによりプリプレス処理又は印刷処理を行う処理管理部とを備える
ことを特徴とする産業印刷システム。
【請求項2】
前記工程管理部は、
まとめられたレコードを先に出力するレコード優先モード、又はまとめられたページを先に出力するページ優先モードに設定可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の産業印刷システム。
【請求項3】
前記工程管理部は、
前記レコード優先モードの場合、前記複数のレコードにおける校了済みの前記レコードのレコード順を前記ジョブチケットに記録し、
前記処理管理部は、
前記ジョブチケットに記録された前記レコード順の情報を、プリプレス処理で利用する
ことを特徴とする請求項2に記載の産業印刷システム。
【請求項4】
前記工程管理部は、
前記ページ優先モードの場合、校了済みの前記ページのページ順を前記ジョブチケットに記録し、
前記ジョブチケットに記録された前記ページ順の情報を、ページ差し込みの際に利用させる
ことを特徴とする請求項2に記載の産業印刷システム。
【請求項5】
前記工程管理部は、
未校了の部品について、代替部品を使用して前記ジョブチケットを作成し、前記代替部品はリンクデータとして保存し、
前記処理管理部は、
前記ジョブチケットに前記代替部品を含むページがある場合は、プリプレス処理又は印刷のRIP処理前で停止し、校了した部品が取得できた場合、前記リンクデータから差し換えてRIP処理に進める
ことを特徴とする請求項4に記載の産業印刷システム。
【請求項6】
プロダクション印刷によるバリアブル印刷を行う産業印刷システムのサーバーであって、
前記バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理する状況管理部と、
前記状況管理部により管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケットを作成する工程管理部と、
前記工程管理部により作成された前記ジョブチケットによりプリプレス処理又は印刷処理を行う処理管理部と、
前記処理管理部によりプリプレス処理又は印刷処理が行われた前記レコード又は前記ページについて、前記ジョブチケットに応じた後処理を行う後処理部とを備える
ことを特徴とするサーバー。
【請求項7】
前記工程管理部は、
まとめられたレコードを先に出力するレコード優先モード、又はまとめられたページを先に出力するページ優先モードに設定可能である
ことを特徴とする請求項6に記載のサーバー。
【請求項8】
前記工程管理部は、
前記レコード優先モードの場合、前記複数のレコードにおける校了済みの前記レコードのレコード順を前記ジョブチケットに記録し、
前記処理管理部は、
前記ジョブチケットに記録された前記レコード順の情報を、プリプレス処理で利用する
ことを特徴とする請求項7に記載のサーバー。
【請求項9】
前記工程管理部は、
前記ページ優先モードの場合、校了済みの前記ページのページ順を前記ジョブチケットに記録し、
後処理部は、
前記ジョブチケットに記録されたページ順の情報を、ページ差し込みの際に利用する
ことを特徴とする請求項7に記載のサーバー。
【請求項10】
前記工程管理部は、
未校了の部品について、代替部品を使用して前記ジョブチケットを作成し、前記代替部品はリンクデータとして保存し、
前記処理管理部は、
前記ジョブチケットに前記代替部品を含むページがある場合は、プリプレス処理又は印刷のRIP処理前で停止し、校了した部品が取得できた場合、前記リンクデータから差し換えてRIP処理に進める
ことを特徴とする請求項9に記載のサーバー。
【請求項11】
プロダクション印刷によるバリアブル印刷を行う産業印刷システムのサーバーにより実行されるバリアブル印刷方法であって、前記サーバーは、
前記バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理し、
管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケットを作成し、
作成された前記ジョブチケットによりプリプレス処理又は印刷処理を行う
ことを特徴とするバリアブル印刷方法。
【請求項12】
まとめられたレコードを先に出力するレコード優先モード、又はまとめられたページを先に出力するページ優先モードに設定可能である
ことを特徴とする請求項11に記載のバリアブル印刷方法。
【請求項13】
前記レコード優先モードの場合、前記複数のレコードにおける校了済みの前記レコードのレコード順を前記ジョブチケットに記録し、
前記ジョブチケットに記録された前記レコード順の情報を、プリプレス処理で利用する
ことを特徴とする請求項12に記載のバリアブル印刷方法。
【請求項14】
前記ページ優先モードの場合、校了済みの前記ページのページ順を前記ジョブチケットに記録し、
前記ジョブチケットに記録された前記ページ順の情報を、ページ差し込みの際に利用させる
ことを特徴とする請求項12に記載のバリアブル印刷方法。
【請求項15】
未校了の部品について、代替部品を使用して前記ジョブチケットを作成し、
前記代替部品はリンクデータとして保存し、
前記ジョブチケットに前記代替部品を含むページがある場合は、プリプレス処理又は印刷のRIP処理前で停止し、
校了した部品が取得できた場合、前記リンクデータから差し換え、
RIP処理に進める
ことを特徴とする請求項14に記載のバリアブル印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にバリアブル印刷を行う産業印刷システム、サーバー、及びバリアブル印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業(産業)用の印刷装置を用いるプロダクションプリンティングと呼ばれる産業印刷では、最終成果物の構成部材を複数の工程で分業して製作している。例えば、製本の場合、カバー、本身(カラー)、本身(白黒)、販促物、帯、発送封筒等が、それぞれ異なるジョブとして処理される。そして、途中の工程で、各ジョブを結合しながら、最終成果物の本として仕上げられる。
【0003】
一方、共通のフォーム等を用いて、データベースのレコード毎に異なる印刷を行うバリアブル印刷の技術が存在する。
特許文献1を参照すると、典型的なバリアブル印刷の技術として、バリアブル印刷を指示する装置側で、レコード毎に出力形態を簡便に設定することができる印刷制御プログラム及びバリアブル印刷システムが記載されている。この技術では、複数のレコードが記述されたデータベースに基づいて、各レコードと印刷すべき画像とを関連付ける画像レイアウト情報を生成する。また、バリアブル印刷を実行する装置の印刷設定条件が記述された装置情報を取得する。そして、データベースと装置情報とを用いて設定された情報に基づいて、各レコードと印刷設定条件とを関連付ける印刷設定情報を生成する。また、画像レイアウト情報及び印刷設定情報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-277217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、多数のレコードやページの校正自体が間に合わない場合に、遅延リスクを抑えることができなかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、上述の問題点を解消する産業印刷システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の産業印刷システムは、プロダクション印刷によるバリアブル印刷を行う産業印刷システムであって、前記バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理する状況管理部と、前記状況管理部により管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケットを作成する工程管理部と、前記工程管理部により作成された前記ジョブチケットによりプリプレス処理又は印刷処理を行う処理管理部とを備えることを特徴とする。
本発明のサーバーは、プロダクション印刷によるバリアブル印刷を行う産業印刷システムのサーバーであって、前記バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理する状況管理部と、前記状況管理部により管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケットを作成する工程管理部と、前記工程管理部により作成された前記ジョブチケットによりプリプレス処理又は印刷処理を行う処理管理部と、前記処理管理部によりプリプレス処理又は印刷処理が行われた前記レコード又は前記ページについて、前記ジョブチケットに応じた後処理を行う後処理部とを備えることを特徴とする。
本発明のバリアブル印刷方法は、プロダクション印刷によるバリアブル印刷を行う産業印刷システムのサーバーにより実行されるバリアブル印刷方法であって、前記サーバーは、前記バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理し、管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケットを作成し、作成された前記ジョブチケットによりプリプレス処理又は印刷処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のレコード又はページの校了状況を管理し、校了済みのレコード又はページをまとめて取得してジョブチケットを作成し、作成されたジョブチケットによりプリプレス処理又は印刷処理を行うことで、産業印刷のバリアブル印刷で遅延リスクを抑えることを可能とする産業印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る産業印刷システムのシステム構成図である。
図2図1に示すサーバーの制御構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る産業印刷システムの機能構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係るバリアブルデータ処理のフローチャートである。
図5図4に示すバリアブルデータ処理におけるレコード優先モードの概念図である。
図6図4に示すバリアブルデータ処理におけるページ優先モードの概念図である。
図7図4に示すバリアブルデータ処理における代替部品のリンクの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
〔産業印刷システムXの構成〕
まず、図1を参照して、本実施形態に係る産業印刷システムXの全体のシステム構成について説明する。
本実施形態に係る産業印刷システムXは、産業印刷(プロダクション印刷)におけるデザイン及び印刷を実行するシステムである。
ここで、本実施形態の産業印刷システムXでは、出力される本等の最終成果物を「オーダー」とし、オーダーの各構成部材をジョブとする。本実施形態の産業印刷システムXでは、このオーダーの出力のための各ジョブをコンポーネント装置2へと割り当てて、ワークフローにて管理する。
【0011】
本実施形態の産業印刷システムXは、サーバー1、コンポーネント装置2、及び管理者端末3を含み、各装置がネットワーク5で接続される。
【0012】
サーバー1は、産業印刷におけるバリアブル印刷のデザインを行い、ワークフローを管理し、工程管理を実行するためのサーバーである。サーバー1は、いわゆるクラウド上又はユーザーの拠点に載置されたPC(Personal Computer)サーバー、専用機、汎用機等である。
この上で、サーバー1は、専用のデザインアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」という。)により、バリアブル文書のデザインを行う。また、サーバー1は、印刷工程管理アプリを実行することで、産業印刷のワークフローの各工程を管理する。
【0013】
具体的には、サーバー1は、印刷における各工程のコンポーネント装置2と各種の指示や情報を送受信して、各コンポーネント装置2のステータスの管理や処理の依頼を行う。本実施形態において、サーバー1は、バリアブル印刷における工程管理を行う。
なお、サーバー1は、ユーザー管理、テナント管理、セキュリティー管理、メンテナンス用の通知サービス、プリプレスの管理、各文書のストレージ管理、印刷装置の管理等を行う共通プラットフォームを実行するサーバーであってもよい。上述のアプリは、このサーバー上で実行されてもよい。
【0014】
コンポーネント装置2は、産業印刷の各種ジョブを実行するコンポーネントであり、サーバー1で管理される各装置である。コンポーネント装置2は、例えば、入稿用の端末、デザイン校正用の端末、プリプレス装置、産業印刷の印刷装置、後処理装置、発送管理サーバー等を含む。これらの装置のうち一つを本実施形態では、単にコンポーネント装置2という。コンポーネント装置2のうち、各端末やサーバーは、PCやスマートフォン等のウェブブラウザーや専用アプリ等を介してサーバー1と接続可能である。
【0015】
管理者端末3は、ユーザーのうち、印刷工程の管理者等が使用する端末である。管理者端末により、ユーザーは、サーバー1にアクセスして、GUIによるバリアブル文書のデザインを行ったり、進捗状況の確認や処理依頼を行ったりすることが可能である。
【0016】
次に、図2を参照して、サーバー1の制御構成について説明する。
サーバー1は、制御部10、ネットワーク送受信部15、及び記憶部19等を含む。各部は、制御部10に接続され、制御部10によって動作制御される。
【0017】
制御部10は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向けプロセッサー)等の情報処理部である。
制御部10は、記憶部19のROMやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、後述する機能ブロックの各部として動作させられる。また、制御部10は、管理者端末3やコンソールから入力された指示情報に応じて、装置全体の制御を行う。
【0018】
ネットワーク送受信部15は、ネットワーク5に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続部である。本実施形態のネットワーク5は、例えば、LAN(Local Area Network)、WiFi、WAN(Wide Area Network)、携帯電話網、音声電話網等である。
ネットワーク送受信部15は、データ通信用の回線ではデータを送受信し、音声電話回線では音声信号を送受信する。
【0019】
記憶部19は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の一時的でない記録媒体である。
記憶部19のROMやHDDにはサーバー1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。この制御プログラムは、OS(Operating System)、OS上のミドルウェア、サービス(デーモン)、各種アプリ、データベースのデータ等を含む。このうち、各種アプリは、上述の印刷工程管理アプリを含む。
【0020】
〔サーバー1の機能構成〕
ここで、図3を参照し、サーバー1の機能構成について説明する。
サーバー1の制御部10は、状況管理部100、工程管理部110、処理管理部120、及び後処理部130を備えている。
記憶部19は、バリアブル文書データ300、ジョブチケット330、及びワークフロー設定データ360を格納する。
【0021】
状況管理部100は、ワークフロー設定データ360に応じてバリアブル文書データ300のデザインの管理を行う。
具体的には、状況管理部100は、バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理する。この際、状況管理部100は、ページを形成する「部品」が保存された部品データ400についても、校了状況を管理する。
【0022】
工程管理部110は、状況管理部100により管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケット330を作成する。
工程管理部110は、このジョブチケット330について、バリアブル文書データ300の出力に対して、レコード優先モード又はページ優先モードに設定可能である。
ここで、本実施形態において、レコード優先モードは、まとめられたレコードを次の工程に進め、先に出力するモードである。ページ優先モードは、まとめられたページを次の工程に進め、先に出力するモードである。
【0023】
レコード優先モードの場合、工程管理部110は、複数のレコードにおける校了済みのレコードのレコード順をジョブチケット330に記録する。
一方、ページ優先モードの場合、工程管理部110は、複数の部品が全て校了済みになったページを校了済みとして取得する。この際、工程管理部110は、未校了の部品について、代替部品401を使用してジョブチケット330を作成する。そして、工程管理部110は、代替部品401は、外部データを参照するリンクのデータ(以下、「リンクデータ」という。)として保存する。この外部のデータは、記憶部19に格納されたファイルであっても、外部の端末やサーバー等に格納されたファイル等であってもよい。
工程管理部110は、これらのモードに応じて、プリプレス、印刷、後加工、及び出力先を指定したジョブチケット330を作成する。
【0024】
処理管理部120は、ジョブチケット330に応じた処理を行う。
本実施形態においては、処理管理部120は、工程管理部110により作成されたジョブチケット330によりプリプレス処理又は印刷処理を行う。
ここで、レコード優先モードの場合、処理管理部120は、ジョブチケット330に記録されたレコード順の情報を、プリプレス処理で利用する。
一方、ページ優先モードの場合、処理管理部120は、校了済みのページのページ順をジョブチケット330に記録する。この上で、処理管理部120は、ジョブチケット330に記録されたページ順の情報を、ページ差し込みの際に利用する。
【0025】
さらに、処理管理部120は、部品データ400の代替部品401の使用の管理も行う。
具体的には、処理管理部120は、ジョブチケット330に代替部品401を含むページが一つでもある場合は、プリプレス又は印刷のRIP(Raster Image Processer)処理の前で、処理を停止する。この上で、処理管理部120は、代替部品401に対応する校了した部品データ400が取得できた場合、リンクデータにより代替部品401を差し換えてRIP処理に進める。この上で、処理管理部120は、校了した部品データ400が取得できた場合、リンクデータから差し換えてRIP処理に進める。
【0026】
本実施形態においては、処理管理部120は、ジョブチケット330に応じて、コンポーネント装置2にて各処理を実行させる。この処理は、プリプレス及び印刷を含む。印刷は、出力先が電子メール出力、及び電子文書出力であってもよい。
【0027】
後処理部130は、処理管理部120によりプリプレス処理又は印刷処理が行われたレコード又はページについて、ジョブチケット330に応じた後処理を行う。この後処理は、丁合い処理や並べ換えの処理の指示を含む。
【0028】
バリアブル文書データ300は、バリアブル印刷時に用いられるバリアブル文書及びこれに関連する各種データをまとめたファイルやデータベース等である。バリアブル文書データ300は、例えば、JDF(Job Description Format)及び/又はJMF(Job Messaging Format)で記載されてもよい。
本実施形態において、バリアブル文書データ300は、フォームデータ310と、可変データ320とを含む。これらのデータは、バリアブル文書データ300に、属性データとして含まれていてもよい。
【0029】
フォームデータ310は、バリアブル印刷において使用される共通フォーム等を含むデータである。このフォームデータ310は、代替部品401の差し換えが行われる可能性があるものの、基本的に印刷時には変化しない。フォームデータ310は、例えば、PDF(Portable Document Format)、PDL(Page Description Language)、XML(Extensible Markup Language)形式のPPML(Personalized Print Markup Language)等のデータであってもよい。このうち、PDFは、国際標準化機構(ISO15930)で定義された標準PDFのサブセットであるPDF/X、より簡易なPDF等であってもよい。
フォームデータ310は、部品データ400を一つ以上含んでいてもよい。
【0030】
部品データ400は、例えば、jpg、gif、BMP、PNG、TIFF、PS(Post Script)のような画像データ、文字やその他の文書データや他の種類のデータ等であるデザインファイルであってもよい。本実施形態においては、この部品データ400が各ページに配置されてプリプレスでRIP処理されることで、ページが形成される。
本実施形態においては、この部品データ400は、フォームデータ310に直接、データとして含まれるか、リンクデータとして保存される。すなわち、リンクデータの場合、部品データ400のデータ本体は別ファイルであってもよい。部品データ400は、代替部品401を使用しているか否かの情報も含まれる。部品データ400は、代替部品401を使用していた場合、リンクデータが保存されてもよい。
さらに各部品データ400は、校了済みか否かを示す情報(以下、「校了情報」という。)、校了完了するまでの予想時間や遅延時間を示す情報(以下、「遅延情報」という。)等が含まれていてもよい。
【0031】
加えて、フォームデータ310は、ページ上のレイアウト等を規定するレイアウト情報が含まれてもよい。このレイアウト情報は、フォームのページ上の位置(座標)、大きさ、可変データ320のフォントの大きさ、左揃え、中央揃え、右揃え等のフォーマット情報を含んでいてもよい。さらに、フォームデータ310は、可変データ320の定義や項目を説明するデータ等も含まれていてもよい。
【0032】
本実施形態において、フォームデータ310は、ページ毎に異なっていてもよく、ページ単位で区分されたデータ(以下、「ページのデータ」という。)の集合体であってもよい。この場合、フォームデータ310は、ページ順に応じて異なるものが用意されても、可変データ320の内容に応じて異なるものが用意されてもよい。
加えて、フォームデータ310は、このページのデータ毎に、校了情報、遅延情報等が含まれていてもよい。このうち、校了情報は、例えば、初校済、再校済、三校済、四校済、……、色校正済、校了済み等の完成度レベルを示す情報であってもよい。遅延情報は、校了情報のこの完成度レベル、又は完成度レベルの変化の際の時間から算出された情報等であってもよい。
【0033】
可変データ320は、印刷時に印刷内容を変更するバリアブル出力用のデータである。可変データ320は、例えば、部毎に印刷が変化するデータであってもよい。このため、可変データ320は、バリアブル文書データ300内に、複数のレコードを含む表形式、XMLのようなデータベース形式等で埋め込まれていてもよい。
または、可変データ320は、データベースとして扱いやすい形式のファイルとして別途付加されてもよい。この場合、可変データ320は、タブ区切りやコンマ区切りファイルのようなデータベース、スプレッドシートのアプリのファイル、その他の種類のデータベースファイル、リストファイル等であってもよい。
【0034】
本実施形態において、可変データ320は、各レコードについて、校了済みか否かを示す情報(校了情報)、遅延情報等が含まれていてもよい。さらに、可変データ320にも、部品データ400のリンクデータ、校了情報、遅延情報、代替部品401を使用しているか否かの情報等が含まれていてもよい。
【0035】
ジョブチケット330は、作成されたバリアブル文書データ300を用いて、サーバー1又は各コンポーネント装置2に処理を実行させるためのジョブのデータである。ジョブチケット330は、例えば、処理の属性データとして、JDF(Job Description Format)及び/又はJMF(Job Messaging Format)で記載されてもよい。このジョブチケット330は、例えば、プリプレス、印刷、後加工、及び出力先が指定され、この出力先へ送信するコマンドやデータ等が設定されている。
本実施形態において、ジョブチケット330は、集合データ340及び付加情報350を含む。
【0036】
集合データ340は、フォームデータ310及び可変データ320から、出力可能な校了済みのレコード又はページのデータが集められたデータである。集合データ340は、レコード優先モードの場合はレコードのデータが主に含まれていてもよい。加えて、集合データ340は、ページ優先モードでは、ページのデータも含まれていてもよい。この場合でも、集合データ340には、レコードのデータが含まれていてもよい。加えて、集合データ340は、部品データ400のリンクデータが含まれていてもよい。
【0037】
付加情報350は、集合データ340に含まれるレコードのレコード順の情報、及び/又はページのページ順の情報を含むデータである。このレコード順は、可変データ中のレコードの位置やエントリー数等を示す情報であってもよい。また、ページ順の情報も、ページ番号の情報、RIP処理された印刷データ中のページの位置の情報等であってもよい。
さらに、付加情報350は、他のレコード及び/又はページの校了情報、遅延情報等を含んでいてもよい。加えて、付加情報350は、各レコードやページにおける部品データ400の校了情報、遅延情報等が含まれていてもよい。加えて、付加情報350は、レコード順指定の有無についての設定情報が含まれていてもよい。
この他にも、付加情報350は、プリプレス処理で作成されたデータ、ワークフローからの修正内容、オフセット印刷での処理結果等を含んでいてもよい。さらに、ジョブチケット330は、プリプレス処理、印刷処理、又は後処理に応じて変更された情報も含んでいてもよい。
【0038】
ワークフロー設定データ360は、ジョブのテンプレートを組合せて、最終成果物であるオーダーを作成するワークフローを設定するためのデータである。
本実施形態において、ワークフロー設定データ360は、バリアブル文書データ300によるバリアブル印刷を行う際に遅延を抑えるための設定のデータを含んでいる。この設定のデータは、レコード優先モード又はページ優先モードの設定情報を含んでいる。
加えて、ワークフロー設定データ360は、規定データ(以下、「テンプレート」という。)を含んでいてもよい。このテンプレートは、どのようなジョブチケット330が生成されるかについての設定を含んでいる。このテンプレートは、共有化も可能である。すなわち、変更等の設定管理を一元管理することが可能であってもよい。これは、オブジェクト指向言語の「クラス」のインスタンスをグローバル使用するのと同様に行ってもよい。
【0039】
ここで、サーバー1の制御部10は、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行することで、状況管理部100、工程管理部110、処理管理部120、及び後処理部130として機能させられる。
また、上述のサーバー1の各部は、本発明の画像形成方法を実行するハードウェア資源となる。
なお、上述の機能構成の一部又は任意の組み合わせをICやプログラマブルロジックやFPGA(Field-Programmable Gate Array)等でハードウェア的、回路的に構成してもよい。
【0040】
〔産業印刷システムXによるバリアブルデータ処理〕
次に、図4図7を参照して、本発明の実施の形態に係る産業印刷システムXによるバリアブルデータ処理の説明を行う。
本実施形態のバリアブルデータ処理では、まず、バリアブル文書データ300を作成する。この上で、複数のレコードから、バリアブルデータの校了済みのレコード又はページをまとめて取得したジョブチケット330を作成する。そして、作成されたジョブチケット330によりプリプレス処理又は印刷処理を行う。
本実施形態のバリアブルデータ処理は、主にサーバー1の制御部10が、記憶部19に記憶された制御プログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下では、図4のフローチャートを参照して、主にサーバー1による処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0041】
(ステップS101)
まず、工程管理部110が、優先選択処理を行う。
具体的には、工程管理部110は、バリアブル文書の作成を管理する管理者等であるユーザーの指示に従い、ワークフロー設定データ360に含まれるテンプレート等を用いたバリアブル文書の作成を開始する。このため、工程管理部110は、デザインアプリによるGUI(Graphical User Interface)やCUI(Character-based User Interface)を提供してもよい。この上で、工程管理部110は、作成されるバリアブル文書をバリアブル文書データ300として、記憶部19に格納する。
【0042】
このバリアブル文書データ300の作成の際、工程管理部110は、GUIやCUIにより、ユーザーによるレコード優先モード又はページ優先モードの指示を取得し、これをバリアブル文書データ300に設定する。この際、工程管理部110は、先の工程に進めるための特定レコード数、特定ページ数等についての設定も、ユーザーからの指示に応じて設定することが可能である。たとえば、この特定レコード数は、数十~数千、特定ページ数は一ページ~数百ページ等の値を設定可能である。
加えて、工程管理部110は、可変データ320のレコードの順番(レコード順)で各レコードを印刷する指定(以下、「レコード順指定」という。)の有無についての値も設定可能である。このレコード順指定がある場合、後述するように、まとめられたレコードについても、他のレコードの取得を待って、順番に印刷される。
さらに、工程管理部110は、代替部品401を使用可能か否かについての設定も可能である。
【0043】
これらの設定の際、工程管理部110は、テンプレートを用いることで、設定を他の条件指定でも、共通利用できるようにしてもよい。加えて、ユーザーによる上述の設定値の指示がない場合には、工程管理部110は、テンプレートを用いることで、デフォルト(規定)の設定値を設定可能である。
さらに、状況管理部100は、GUIやCUIにより、テンプレートそのものを作成することも可能である。加えて、状況管理部100は、JDF及び/又はJMFによる直接指定、いわゆる「マクロ」言語を用いたプログラム的な記載等も可能である。
【0044】
(ステップS102)
次に、状況管理部100が、バリアブル文書デザイン処理を行う。
状況管理部100は、各レコードに条件を設定したバリアブル文書を作成する。
状況管理部100は、入稿データでバリアブル原稿をデザインする。具体的には、状況管理部100は、各レコード及び部品を含むバリアブル文書を入稿端末から取得してデザインする。これらのデザインの際、状況管理部100は、レコード単位、及びページ単位で、校正が完了(校了済み)となったか否かを管理する。
本実施形態において、状況管理部100は、バリアブル文書データ300のフォームデータ310の各部品データ400、及び可変データ320の各レコードに対して、校了情報及び遅延情報を取得して、設定する。この際、代替部品401も使用してもよい。
【0045】
(ステップS103)
次に、状況管理部100が、代替部品記録処理を行う。
本実施形態において、状況管理部100は、遅延を抑える等の理由で代替部品401を使用した場合は、当該レコード又はページに代替部品401が含まれることをフォームデータ310又は可変データ320に記録する。すなわち、状況管理部100は、代替部品401を含むレコードやページを記憶しておくことが可能である。
さらに、状況管理部100は、この代替部品401を使用することを条件として、バリアブル文書内の他の部分に関するデザインの入稿を行わせるようにしてもよい。
【0046】
(ステップS104)
次に、工程管理部110が、レコード数又はページ数が揃ったか否かを判断する。工程管理部110は、バリアブル文書データ300のフォームデータ310及び可変データ320を参照し、各レコード又は各ページにおける各部品データ400が校了済みかどうかを確認する。工程管理部110は、レコード優先モードの場合、設定された特定レコード数以上の校了済のレコードがあった場合、Yesと判断する。具体的には、工程管理部110は、可変データ320中の各レコードについて、内容及び参照している部品データ400が全て校了済みになったレコードを校了済レコードと判断してもよい。
【0047】
または、ページ優先モードの場合、工程管理部110は、特定ページ数以上の校了済みのページが揃った場合、Yesと判断する。この際、工程管理部110は、ページ単位で、参照している部品データ400が全て校了済み(部品が全て揃っている)場合に、当該ページを校了済みのページと判断してもよい。ここで、代替部品401を使用可能な設定の場合は、工程管理部110は、代替部品401を使っていても、それ以外の校了済みの部品データ400が揃っていれば校了済みのページとしてカウントしてもよい。
工程管理部110は、それ以外の場合には、Noと判断する。
【0048】
Yesの場合、工程管理部110は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、工程管理部110は、処理をステップS102に戻して、バリアブル文書のデザインを続ける。
【0049】
(ステップS105)
レコード数又はページ数が揃った場合、工程管理部110が、ジョブチケット作成処理を行う。
工程管理部110は、状況管理部100により管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケット330を作成する。
具体的には、工程管理部110は、レコード及びページの属性に応じて、プリプレス、印刷、後加工、及び出力先を指定したジョブチケット330を生成してもよい。この際、工程管理部110は、ジョブチケット330の集合データ340に、まとめられたレコード又はページのデータを格納する。
【0050】
図5の例を参照すると、レコード優先モードの場合、工程管理部110は、校了済みのレコードを特定レコード数だけ、まとめて取得する。この例では、工程管理部110は、取得された特定レコード数分のレコードのデータを、集合データ340-1として格納している。
【0051】
図6の例を参照すると、ページ優先モードの場合、工程管理部110は、校了済みのページを、特定ページ数だけ、まとめて取得する。この例では、工程管理部110は、取得された特定ページ数分のページのデータを集めて、集合データ340-2、集合データ340-3として格納している。
【0052】
図7の例を参照すると、状況管理部100は、ジョブチケット330に、各ページの代替部品401をリンクデータとして格納してもよい。この例では、状況管理部100は、集合データ340-2に、外部データを参照するデータ、すなわちリンクデータとして代替部品401を保存してもよい。
【0053】
(ステップS106)
次に、工程管理部110が、付加情報追加処理を行う。
工程管理部110は、レコード優先モードの場合、複数のレコードにおける校了済みのレコードのレコード順をジョブチケット330の付加情報350に記録する。すなわち、レコード順に意味がある場合のデータを想定して、バリアブル文書データ300の可変データ320でのレコード順を、付加情報350として記録する。
【0054】
または、ページ優先モードの場合、工程管理部110は、校了済みのページのページ順をジョブチケット330の付加情報350に記録する。この際、工程管理部110は、代替部品401を含むか否かの情報についても、付加情報350に記録する。さらに、工程管理部110は、未校了のページについて、後からの差し込み対象ページとして付加情報350にその情報を記録してもよい。
また、ページ優先モードであっても、工程管理部110は、レコード順情報を付加情報350に記録してもよい。これによりレコード順の情報をジョブチケット330で保持して利用することが可能となり、レコードがズレて差し込まれないようにすることができる。すなわち、差し込みページと、差し込まれる箇所のページとで、レコード順が一致していることを、チェック可能となる。
これらのように、工程管理部110は、レコード順の情報、ページ順の情報、差込みページの情報、代替部品401を含むか否かの情報等を付加情報350に記録する。
【0055】
加えて、工程管理部110は、いずれのモードであっても、後処理工程に合わせたマッチング情報を、ジョブチケット330に付加するしてもよい。このマッチング情報は、例えば、ページ毎に、レコード順を記録したりページ順を記録したりしたバーコードの部品データ400であってもよい。すなわち、工程管理部110は、後処理工程で使用可能なように、レコード順やページ順についてバーコード等として印刷されるようにジョブチケット330に設定し、専用の部品データ400を追加してもよい。
以下に、このように設定されたジョブチケット330の一例を示す。
【0056】
<insert-page syntax="xxx">
<value syntax="xxx">
<insert-page-number syntax="integer">差込むページ番号</insert-page-number>
<insert-page-recode-id syntax="integer">レコード番号</insert-count>
</value>
</insert-sheet>
【0057】
(ステップS107)
次に、工程管理部110が、ページ優先モードか否かを判断する。工程管理部110は、バリアブル文書データ300に、ページ優先モードが設定されていた場合に、Yesと判断する。ページ優先モードは、それ以外、すなわちレコード優先モードが設定されていた場合には、Noと判断する。
Yesの場合、工程管理部110は、処理をステップS108に進める。
Noの場合、工程管理部110は、処理をステップS110に進める。
【0058】
(ステップS108)
ページ優先モードの場合、工程管理部110が、代替部品を含むか否かを判断する。工程管理部110は、ジョブチケット330のプリプレス又は印刷対象となるページが代替部品401を含んでいる場合に、Yesと判断する。工程管理部110は、それ以外の場合には、Noと判断する。
Yesの場合、工程管理部110は、処理をステップS109に進める。
Noの場合、工程管理部110は、処理をステップS110に進める。
【0059】
(ステップS109)
ページが代替部品401を含んでいる場合、処理管理部120が、代替部品待ち停止処理を行う。
具体的には、処理管理部120は、代替部品401を含むページについて、プリプレス処理又は印刷処理のRIP処理の前で処理の実行を停止させる。
ここでは、処理管理部120は、代替部品401の校了データがきたら、差し換える。具体的には、処理管理部120は、代替部品401に対する実際の部品データ400が校了済みとなり、コンポーネント装置2の入稿端末又はデザイン校正端末から取得できた場合、リンクデータを介してこの部品データ400をジョブチケット330に取得する。この上で、処理管理部120は、実際の部品データ400を全て取得したページを校了済みページになったと判断し、これを取得して処理を次に進める。
すなわち、処理管理部120は、代替部品401を含むページは、これに対応する校了済みの部品データ400と差し替えてからRIP処理を実行させる。
一方、処理管理部120は、代替部品401を含まないページについては、下記のプリプレス処理又は印刷処理のRIP処理に処理を進めてもよい。
【0060】
(ステップS110)
ここで、処理管理部120が、RIP処理を行う。
処理管理部120は、作成されたジョブチケット330により各コンポーネント装置2でジョブを実行させる処理を行う。
このため、まず、処理管理部120は、ジョブチケット330を、コンポーネント装置2のプリプレス装置によりRIP処理させる。これにより、印刷データが生成され、印刷装置に送信される。または、処理管理部120は、印刷後の校正が行われたジョブチケット330により、RIP処理を行ってもよい。
これらの際、処理管理部120は、ジョブチケット330に記録されたレコード順の情報を、プリプレス処理で利用することが可能である。
【0061】
(ステップS111)
次に、処理管理部120が、印刷処理を行う。
処理管理部120は、RIP処理で生成された印刷データにより、コンポーネント装置2の印刷装置に、印刷を実行させる。
印刷された印刷紙は、コンポーネント装置2の後処理装置に搬送される。
【0062】
(ステップS112)
次に、後処理部130が、印刷完了か否かを判断する。後処理部130は、少なくとも後処理が可能なページ数以上の印刷が完了した場合に、Yesと判断する。後処理部130は、それ以外の場合には、Noと判断する。
Yesの場合、後処理部130は、処理をステップS113に進める。
Noの場合、後処理部130は、処理をステップS102に戻して、処理を続ける。
【0063】
(ステップS113)
印刷完了の場合、後処理部130が、後処理実行処理を行う。後処理部130は、コンポーネント装置2の後処理装置、発送管理サーバー等により、それぞれの処理を行わせる。
後処理部130は、処理管理部120によりプリプレス処理又は印刷処理が行われたレコード又はページについて、ジョブチケット330に応じた後処理を行う。具体的には、後処理部130は、コンポーネント装置2の後処理装置にて、丁合い処理や並べ換えの処理を実行させる。この際、後処理部130は、ジョブチケット330の付加情報350に記録されたレコード順やページ順の情報を参照し、並び換えやページ差し込みの際に利用することも可能である。
【0064】
本実施形態においては、後処理部130は、レコード優先モードで、ジョブチケット330の付加情報350にレコード順指定がある場合、他のレコード原稿が印刷されるまで待ち、指定に従って丁合い処理を行ってもよい。
または、後処理部130は、ページ優先モードの場合、他のページ原稿が印刷されるまで待ち、差込みページ指定に従って丁合い処理を行ってもよい。
より具体的には、例えば、後処理部130は、ジョブチケット330の付加情報350からレコード順の情報やページ順の情報を参照する。後処理部130は、これに従い、後処理装置の丁合機やソーターで、レコード順及びページ順に並べ替える処理を実行させる。
または、後処理部130は、印刷されたページのバーコード等をカメラやスキャナーで読み取って、レコード順及びページ順に並べ替える処理を行ってもよい。
【0065】
さらに、後処理部130は、レコード順とは異なる条件で並び換えを行い、丁合い処理を実行してもよい。たとえば、レコード内の住所で「名寄せ」して、特定の住所の箇所だけまとめるといった処理も可能である。
加えて、後処理の完成した印刷物について、後処理部130は、発送管理サーバーにて処理してもよい。
以上により、本発明の実施の形態に係るバリアブルデータ処理を終了する。
【0066】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
典型的なプロダクション印刷での印刷物は、複数の部品で構成され、それぞれが別々にデザイン製作されている。
【0067】
一般的には、印刷物ができあがるまでに、以下のような工程が存在する:
(1)注文
(2)仕様確認
・製品の内容
・スケジュール
・見積もり
(3)A 組版及びデザイン、校正
・校了となるまで行う
B 完全データ入稿
(4)校了
(5)印刷
(6)後処理(製本加工)
(7)配送
【0068】
ここで、典型的なバリアブル印刷では、(3)の工程では、全てのページが校了済みとなるか、完全データが入稿がされないと、印刷工程に進められない。すなわち、全ての部品が揃ってからでないと、プリプレスや印刷等の次の工程作業に進められなかった。
このため、特定の部品が遅れることで、納期遅れが発生することがあった。
特に、バリアブル印刷においては、レコード毎に異なるデザインが可能となるため、部品点数が多くなり、遅延リスクが更に増すこととなっていた。
【0069】
本実施形態に係る産業印刷システムXのサーバー1は、プロダクション印刷によるバリアブル印刷を行う産業印刷システムのサーバーであって、バリアブル印刷用の複数のレコード又はページの校了状況を管理する状況管理部100と、状況管理部100により管理された校了済みのレコード又はページをまとめて取得して、ジョブチケット330を作成する工程管理部110と、工程管理部110により作成されたジョブチケット330によりプリプレス処理又は印刷処理を行う処理管理部120と、処理管理部120によりプリプレス処理又は印刷処理が行われたレコード又はページについて、ジョブチケット330に応じた後処理を行う後処理部130とを備えることを特徴とする。
【0070】
このように構成することで、バリアブル印刷において、全レコード又はページの校了が完了するのを待たずに処理可能なレコード原稿やページ原稿から処理を進めることで遅延リスクを抑えることができる。つまり、レコード又はページの部品データ400を待つことなく、次工程のプリプレスや印刷作業に進めることで、全体遅延を最小限にすることができる。よって、印刷物出力までのトータルコストを抑えることが期待できる。
【0071】
本発明の実施の形態に係るサーバー1において、工程管理部110は、まとめられたレコードを先に出力するレコード優先モード、又はまとめられたページを先に出力するページ優先モードに設定可能であることを特徴とする。
このように構成することで、バリアブル印刷の工程管理において、製作遅延が生じると考えられるレコード又はページのどちらを先に進めるかを選択し、合理的な印刷工程の管理を行うことができる。結果として、遅延リスクを抑えることができる。
【0072】
本発明の実施の形態に係るサーバー1において、工程管理部110は、レコード優先モードの場合、複数のレコードにおける校了済みのレコードのレコード順をジョブチケット330に記録し、処理管理部120は、ジョブチケット330に記録されたレコード順の情報を、プリプレスで利用することを特徴とする。
このように構成することで、先に進めたレコード順の情報をまとめて、プリプレスで利用することができる。これにより、レコード順に意味がある場合のデータであっても、後でまとめることが可能となる。よって、並べ換えの手間を減らすことができる。
【0073】
本発明の実施の形態に係るサーバー1において、工程管理部110は、ページ優先モードの場合、校了済みのページのページ順をジョブチケット330に記録し、ジョブチケット330に記録されたページ順の情報を、ページ差し込みの際に利用させ、後処理部130は、ジョブチケット330に記録されたページ順の情報を、ページ差し込みの際に利用することを特徴とする。
このように構成することで、ページ優先モードで、ページ順が異なって印刷されても、後処理を並べ換えて正しいページ順で出力することができる。よって、並べ換えの手間を減らすことができる。
【0074】
本発明の実施の形態に係るサーバー1において、工程管理部110は、未校了の部品データ400について、代替部品401を使用してジョブチケット330を作成し、代替部品401はリンクデータとして保存し、処理管理部120は、ジョブチケット330に代替部品401を含むページがある場合は、プリプレス処理又は印刷のRIP処理前で停止し、校了した部品データ400が取得できた場合、リンクデータから差し換えてRIP処理に進めることを特徴とする。
このように構成することで、バリアブル印刷において、全原稿の校了を待たずに代替部品401を使用して処理を進めることができる。これにより、ページ単位での遅延リスクを抑えることができる。
【0075】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施形態においては、印刷して後処理を行う例について記載した。
しかしながら、処理管理部120は、印刷の代わりに、電子メール出力、及び電子文書出力をしてもよい。または、処理管理部120は、コンポーネント装置2の発送管理サーバーに電子メールを送信させて、印刷出力したものと合わせて管理させてもよい。また、出力後に検品を行う処理を変更する等、それ以外の処理についてのジョブチケット330を作成するようにしてもよい。
さらに、上述の実施形態において、JDF及び/又はJMFで記載されたジョブチケット330を作成して、バリアブル文書の各処理を行う例について記載した。しかしながら、JDF及び/又はJMFを作成せず、直接、各装置を制御するような、ジョブチケット330と同様の制御を行うような構成であってもよい。
このように構成することで、様々な構成に対応することができる。
【0076】
また、上述の実施形態では、コンポーネント装置2のプリプレス装置及び印刷装置の使い分けについては述べていなかった。
しかしながら、レコード、ページ、又はページ内の部品データ400の校正の状況等に応じて、複数の装置から出力先を選択してもよい。すなわち、校了情報や遅延情報に応じて、例えば、遅延がある場合に、高速なプリプレス装置やデジタル印刷装置を選択して出力するといった処理も可能である。
【0077】
また、レコードが少ない場合、小ロットで印刷する場合等では、オフセット印刷装置を用いずに、デジタル印刷装置のみで印刷されるようにするといった条件を指定することも可能である。さらに、レコード優先モードとページ優先モードとで、又は、校了情報や遅延情報に応じて、オフセット印刷装置とデジタル印刷装置とを使い分けるように変更してもよい。または、特定レコード数や特定ページ数が、特定の閾値より小さいジョブチケット330についてはデジタル印刷装置を用いて、特定の閾値以上の場合は、オフセット印刷装置を用いるといった構成も可能である。
このように構成することで、様々な条件を設定して、産業印刷システムで実際に必要なバリアブル印刷を行うことができる。
【0078】
また、上述の実施の形態では、レコード優先モードとページ優先モードとをユーザーが選択するように記載した。
しかしながら、レコードの数、テンプレートやバリアブル文書データ300の属性、種類、部品データ400や代替部品401の数等に応じて、自動的に設定するようにしてもよい。たとえば、レコードが特定の数より多い場合には、レコード優先モードとしてもよい。または、ページに共通して用いられる部品データ400や代替部品401が多い、部品データ400の数自体が少ない等の場合にはページ優先モードとしてもよい。
このように構成することで、レコード優先モードとページ優先モードとをユーザーが設定しなくてもよくなり、使い勝手をよくすることができる。
【0079】
上述の実施形態においては、処理管理部120により自動的にジョブチケット330を生成する例について記載した。
しかしながら、工程管理部110による条件の設定に応じて、ユーザーがジョブチケット330を直接作成することも可能であってもよい。
また、上述の実施の形態では、ジョブチケット330がJDF及び/又はJMFのような処理の属性データである例について記載した。しかしながら、ジョブチケット330は、マクロ言語、プログラミング言語のような形式のデータも用いることが可能であってもよい。
【0080】
また、上述の実施形態においては、プロダクション印刷として、紙の印刷物へのバリアブル印刷、電子メール送付、及び電子文書出力する例について記載したものの、これ以外のプロダクション印刷にも適用可能である。
たとえば、バリアブルブック印刷、オンデマンドプリンティング、その他の印刷についても適用可能である。
また、例えば、大判ポスターの分割印刷、航空機や自動車の外装や内装のシートプリンティング、フラットディスプレイや電子基板等の電子部品の製造、培養細胞のプリンティング等に用いることも可能である。この場合、コンポーネント装置2として、産業用インクジェットプリンター、産業用ロボット、各種反応装置、培養装置等も用いることが可能である。
このように構成することで、様々な用途に対応可能となる。
【0081】
また、上述の実施の形態では、サーバー1で各種処理まで行う例について記載した。
しかしながら、可変データ320を作成する専用の端末を用いたり、ワークフローを管理する別のサーバーを用いたり、管理者端末3を介してプリプレスの処理を行ったり、電子メール送信サーバーを用いたりしてもよい。さらに、その他の装置でジョブチケット330の作成や制御を行ったりするような構成であってもよい。
【0082】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1 サーバー
2 コンポーネント装置
3 管理者端末
5 ネットワーク
10 制御部
15 ネットワーク送受信部
19 記憶部
100 状況管理部
110 工程管理部
120 処理管理部
130 後処理部
300 バリアブル文書データ
310 フォームデータ
320 可変データ
330 ジョブチケット
340、340-1、340-2、340-3 集合データ
350 付加情報
360 ワークフロー設定データ
400 部品データ
401 代替部品
X 産業印刷システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7