IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフトの特許一覧

特開2023-174587必要に応じたバッテリの冷却および調整を伴うバッテリ作動式作業機械
<>
  • 特開-必要に応じたバッテリの冷却および調整を伴うバッテリ作動式作業機械 図1
  • 特開-必要に応じたバッテリの冷却および調整を伴うバッテリ作動式作業機械 図2
  • 特開-必要に応じたバッテリの冷却および調整を伴うバッテリ作動式作業機械 図3
  • 特開-必要に応じたバッテリの冷却および調整を伴うバッテリ作動式作業機械 図4
  • 特開-必要に応じたバッテリの冷却および調整を伴うバッテリ作動式作業機械 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174587
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】必要に応じたバッテリの冷却および調整を伴うバッテリ作動式作業機械
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20231130BHJP
   E01C 19/34 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 H
E01C19/34 A
E01C19/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085204
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】10 2022 113 284.6
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511237955
【氏名又は名称】ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson Produktion GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Wackerstrasse 6, D-85084 Reichertshofen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ディラー
(72)【発明者】
【氏名】アルト ヴァイスコプフ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン グランツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ガレ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ハックル
【テーマコード(参考)】
2D052
3C064
【Fターム(参考)】
2D052BC06
2D052DA31
3C064AA04
3C064AA20
3C064AB01
3C064AC02
3C064BA05
3C064BA06
3C064BB03
3C064BB08
3C064BB10
3C064BB43
3C064BB71
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA28
3C064CA30
3C064CA56
3C064CA57
3C064CA77
3C064CA78
3C064CA79
3C064CA80
3C064CB08
3C064CB32
3C064CB37
3C064CB46
3C064CB61
3C064DA08
3C064DA22
3C064DA31
3C064DA43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】必要に応じたアクティブな冷却と温度調整とによって、温度管理が改善された作業機械を提示する。
【解決手段】作業機械は、作業運動を発生させるための作業装置と、作業装置の駆動のための電気モータ(5)と、電気モータに電流を供給するための電気的なエネルギ蓄積器(10)と、エネルギ蓄積器(10)を冷却するための冷却装置とを備えており、冷却装置は、エネルギ蓄積器(10)を介して案内可能な冷却空気流(16)を発生させるための少なくとも1つのファン設備(15)を有しており、温度を検出するための少なくとも1つの温度センサが設けられており、温度センサによって検出された温度に関連してファン設備(15)を駆動制御するための制御設備が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械であって、
作業運動を発生させるための作業装置と、
前記作業装置の駆動のための電気モータ(5)と、
前記電気モータに電流を供給するための電気的なエネルギ蓄積器(10)と、
前記エネルギ蓄積器(10)を冷却するための冷却装置とを備えており、
前記冷却装置は、前記エネルギ蓄積器(10)を介して案内可能な冷却空気流(16)を発生させるための少なくとも1つのファン設備(15)を有しており、
温度を検出するための少なくとも1つの温度センサ(26)が設けられており、
前記温度センサ(26)によって検出された前記温度に関連して前記ファン設備(15)を駆動制御するための制御設備(25)が設けられている、
作業機械。
【請求項2】
作業機械であって、
作業運動を発生させるための作業装置と、
前記作業装置の駆動のための電気モータ(5)と、
前記電気モータ(5)に電流を供給するための電気的なエネルギ蓄積器(10)と、
オペレータによって前記電気モータをスイッチオンおよびスイッチオフするためのモータスイッチング装置と、
前記オペレータによって操作可能な、前記エネルギ蓄積器(10)をアクティブ化および非アクティブするための操作設備と、
前記作業機械の作業状態に関連して前記エネルギ蓄積器(10)を非アクティブ化するための制御設備(25)とを備えており、
前記作業状態は、
前記モータスイッチング装置による前記電気モータ(5)のスイッチオンを伴わない、前記操作設備によって前記エネルギ蓄積器(10)がアクティブ化された後の所定の第1の期間の経過;
前記モータスイッチング装置によって前記電気モータ(5)がスイッチオフされた後の所定の第2の期間の経過
のグループから選択されている、
作業機械。
【請求項3】
前記エネルギ蓄積器(10)を冷却するための冷却装置を備えており、
前記冷却装置は、前記エネルギ蓄積器(10)を介して案内可能な冷却空気流(16)を発生させるための少なくとも1つのファン設備(15)を有しており、
温度を検出するための少なくとも1つの温度センサ(26)が設けられており、
前記制御設備(25)は、前記温度センサ(26)によって検出された温度に関連して前記ファン設備(15)を駆動制御するように構成されている、請求項2記載の作業機械。
【請求項4】
前記エネルギ蓄積器(10)からの前記電流の変換のために、かつ前記電気モータ(5)への前記電流の供給のために、変換器(11)が設けられており、
前記冷却装置は、前記エネルギ蓄積器(10)の冷却に対して付加的に、前記変換器(11)を冷却するためにも設けられており、
前記冷却空気流(16)は前記変換器設備(11)を介して案内可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項5】
前記作業機械における少なくとも1つの温度を検出するための温度センサ(26,27)が設けられており、前記温度は、
前記エネルギ蓄積器(10)の温度、
前記変換器(11)の温度、
前記電気モータ(5)の温度、
周囲温度、
前記冷却空気流を案内するために設けられている冷却空気通路の空気入口における温度、
前記冷却空気通路の出口における温度
のグループから選択されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項6】
前記制御設備(25)内には、温度限界値が格納されており、
前記制御設備(25)によって、検出された前記温度が前記温度限界値と比較可能であり、
検出された前記温度による前記温度限界値の超過が確認されると、前記制御設備は、前記ファン設備(15)をスイッチオンする、請求項1から5までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項7】
前記制御設備(25)は、前記温度センサ(26,27)によって検出された前記温度に関連して、かつ前記作業機械の動作状態に関連して前記ファン設備(15)を駆動制御するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項8】
前記作業機械の前記動作状態は、
エネルギ蓄積器(10)がスイッチオフされている、
エネルギ蓄積器(10)がスイッチオンされている、
電気モータ(5)がスイッチオンされている、のグループから選択されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項9】
前記制御設備(25)は、前記温度センサ(26,27)によって検出された前記温度に関連して、かつ前記作業機械の前記作業状態に関連して、検出された前記温度が所定の温度限界値を上回っている場合に、前記ファン設備(15)が前記第1の期間および/または前記第2の期間においてもアクティブ化されるように、前記ファン設備(15)を駆動制御するように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項10】
前記制御設備(25)は、以降のパラメータ、すなわち、
前記エネルギ蓄積器(10)の充電状態、
前記エネルギ蓄積器(10)の経年劣化状態、
前記エネルギ蓄積器(10)によって提供される電圧、
前記エネルギ蓄積器(10)のモデルタイプ
のうちの少なくとも1つに関連して前記ファン設備(15)を駆動制御するように構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項11】
前記制御設備(25)内には、前記エネルギ蓄積器(10)の動作に対する上側の限値として設定されている最大温度限界値が格納されており、
前記エネルギ蓄積器(10)内の前記温度は温度センサ(26)によって検出され、
前記制御設備(25)によって、検出された前記温度が前記最大温度限界値と比較可能であり、
検出された前記温度による前記最大温度限界値の超過が確認されると、前記制御設備(25)は、前記電気モータ(5)をスイッチオフする、または前記電気モータ(5)のスイッチオンを阻止する、請求項1から10までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項12】
前記制御設備(25)は、前記変換器(11)の制御部に組み込まれている、請求項1から11までのいずれか1項記載の作業機械。
【請求項13】
作業機械におけるエネルギ蓄積器の前調整のための方法であって、
オペレータが前記エネルギ蓄積器(10)をアクティブ化するステップと、
前記作業機械の駆動モータとして用いられる前記電気モータ(5)の始動が可能な、前記アクティブ化後の第1の期間を設定するステップと、
前記電気モータ(5)が前記第1の期間内に始動されなかった場合に前記エネルギ蓄積器(10)を非アクティブ化するステップと、
前記第1の期間の間、前記エネルギ蓄積器(10)の温度を監視し、前記エネルギ蓄積器(10)の前記温度が所定の温度限界値を上回った場合に、前記エネルギ蓄積器(10)のために冷却空気流(16)を発生させるためにファン設備(15)をアクティブ化するステップとを備える
方法。
【請求項14】
作業機械におけるエネルギ蓄積器(10)の後調整のための方法であって、
アクティブ化されているエネルギ蓄積器(10)から電気エネルギが供給される、前記作業機械の駆動モータとして用いられる電気モータ(5)をスイッチオフするステップと、
前記電気モータ(5)の前記スイッチオフによって開始する第2の期間を設定するステップと、
前記第2の期間の間、前記エネルギ蓄積器(10)のアクティブ化状態を維持するステップと、
前記第2の期間の間、前記エネルギ蓄積器(10)の温度を監視し、前記エネルギ蓄積器(10)の前記温度が所定の温度限界値を上回った場合に、前記エネルギ蓄積器(10)のために冷却空気流(16)を発生させるためにファン設備(15)をアクティブ化するステップとを備える
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械、特に、土の締固め用の振動タンパおよび振動プレート、ジョイントカッタ等のバッテリ作動式作業機械に関する。さらに、本発明は、作業機械内で使用されるバッテリの調整のための方法に関する。
【0002】
このような作業機械もしくは建設機械では、種々異なる駆動コンセプトが使用される。このような機械は以前は、主に内燃機関によって駆動されていたが、電気駆動装置がますます普及してきており、電気駆動装置では、機器に設けられているバッテリと、属する変換器とによって電気モータに電気エネルギが供給される。
【0003】
このような機械では、駆動モータとして用いられる電気モータにファンホイールが設けられており、このファンホイールは、モータの動作時に持続的に冷却空気流を生じさせ、この冷却空気流は、バッテリおよび変換器の冷却のためにも利用され得る。これに関する一例は、独国特許出願公開第102010055632号明細書に記載されている。
【0004】
冷却は、この場合、必要に応じて行われるのではなく、電気モータの動作中に自動的に行われる。したがって、コンポーネントは、モータが動作し、したがって機器が動作しているときにしか冷却されない。さらに、これらのコンポーネントがまだクリチカルな温度に達していないので冷却が必要でない場合にも、これらのコンポーネントは冷却される。
【0005】
このようなバッテリ作動式機器ではさらに、機械の動作開始前に、はじめに、バッテリに設けられているボタンまたはスイッチを介してバッテリをアクティブ化することが必要である。次いで、オペレータは、所定の期間(たとえば30秒)の間、機械スイッチを介して電気モータをスイッチオンし、これによって機械の動作を開始させることができる。電気モータのスイッチオフ後には、再びボタンを介して、バッテリを非アクティブ化しなければならない。
【0006】
コンポーネントの冷却は、専ら駆動モータの動作中に行われるので、バッテリの前調整もしくは後調整または前温度調整もしくは後温度調整は不可能である。バッテリが、たとえば先行の充電過程もしくは放電過程によって既に加熱されている場合、このことは、とりわけ電力消費が比較的高い機器においては、動作時間を短くし得る。なぜなら、バッテリの最大許容温度により迅速に達するからである。これによって、機械全体の強制的なスイッチオフ、むしろコンポーネント(バッテリ、変換器)の損傷が生じるおそれがある。
【0007】
逆に、モータ動作中に持続的に生成される冷却空気流内に置かれているコンポーネントが、コンポーネントの温度に関して冷却がまだ必要でない場合にも、冷却されてしまうことがある。これによって、外部温度が低い場合には特に、コンポーネント、とりわけバッテリが、比較的長い時間にわたって、自身の所定の動作温度(「快適温度」)を下回った状態で動作してしまうことがある。
【0008】
バッテリ作動式機器でのファンの使用は、駆動モータにおける直接的なファンホイールによってであれ、または別個のファンによってであれ、エネルギ需要を増大させる。なぜなら、バッテリがアクティブ化され、バッテリから電流を取り出すことができるようになるとすぐに、ファンは常に動作するからである。
【0009】
本発明の課題は、必要に応じたアクティブな冷却と温度調整とによって、温度管理が改善された作業機械を提示することである。
【0010】
上述の課題は、請求項1に記載の特徴を有する作業機械と、別の独立請求項に記載の特徴を有する作業機械とによって解決される。有利な構成は、従属請求項に記載されている。さらに別の独立請求項には、作業機械におけるエネルギ蓄積器の前調整および後調整のための方法が提示されている。
【0011】
作業運動を発生させるための作業装置と、作業装置の駆動のための電気モータと、電気モータに電流を供給するための電気的なエネルギ蓄積器と、エネルギ蓄積器を冷却するための冷却装置とを備えている作業機械が提示され、冷却装置は、エネルギ蓄積器を介して案内可能な冷却空気流を発生させるための少なくとも1つのファン設備を有しており、温度を検出するための少なくとも1つの温度センサが設けられており、温度センサによって検出された温度に関連してファン設備を駆動制御するための制御設備が設けられている。
【0012】
作業機械は、特に、土の締固め用の振動タンパ、振動プレートまたはアスファルト舗装やコンクリートを切断するためのジョイントカッタのような建設機械であってよい。
【0013】
制御設備は、ファン設備、ひいては冷却空気流を制御し、特にオンおよびオフすることができる。ファン設備は、ファンと、ファンを駆動するファンモータとを有していてよく、ファンモータは、特に、作業機械の本来の駆動モータ(電気モータ)とは別個に設けられていてよい。
【0014】
制御設備によるファン設備の駆動制御を、特に、制御設備によって、所定の温度限界値の上回りまたは下回りが監視されることによって行うことができる。たとえば、所定の上側の温度限界値を上回ると、ファン設備をスイッチオンすることができ、これによって生成される冷却空気流を用いて、冷却されるべきコンポーネント、詳細には特にエネルギ蓄積器(バッテリ)を冷却することができる。
【0015】
この場合、ファン設備は、それぞれ一緒にまたは個別に、制御設備によって駆動制御され得る複数のファンも含むことができる。これによって冷却空気流を、必要に応じて、冷却が必要な箇所において生成することができる。
【0016】
この駆動制御によって、ファン設備の少なくともスイッチオンまたはスイッチオフが可能となる。同様に、ファン回転数の調節もしくは調整も可能になる。
【0017】
さらに、作業運動を発生させるための作業装置と、作業装置の駆動のための電気モータと、電気モータに電流を供給するための電気的なエネルギ蓄積器と、オペレータによって電気モータをスイッチオンおよびスイッチオフするためのモータスイッチング装置と、オペレータによって操作可能な、エネルギ蓄積器をアクティブ化および非アクティブするための操作設備と、作業機械の作業状態に関連してエネルギ蓄積器を非アクティブ化するための制御設備とを備えている作業機械が提示され、作業状態は、モータスイッチング装置による電気モータのスイッチオンを伴わない、操作設備によってエネルギ蓄積器がアクティブ化された後の所定の第1の期間の経過;モータスイッチング装置によって電気モータがスイッチオフされた後の所定の第2の期間の経過のグループから選択されている。
【0018】
バッテリ作動式作業機械では通常、使用されるエネルギ蓄積器(バッテリ)をはじめに操作設備(たとえばボタンまたはスイッチ)の操作によってアクティブ化しなければならない。その後にはじめて、バッテリもしくはバッテリに設けられている制御部が電流を放出する。バッテリがアクティブ化されると、バッテリはスタンバイ状態になり、バッテリの電気エネルギが利用可能になる。
【0019】
バッテリのアクティブ化に伴って、電気モータのスイッチオンによって作業動作が開始されるべきもしくは開始可能な第1の期間が設定される。この第1の期間中に電気モータの始動が行われない場合には、バッテリが再び非アクティブ化される。
【0020】
作業動作後にモータが再びスイッチオフされたときに、第2の期間の経過が監視される。たとえば電気モータのスイッチオン等のさらなる活動が行われることなく、この第2の期間が経過すると、制御設備はバッテリを非アクティブ化する。
【0021】
作業機械では、エネルギ蓄積器を冷却するための冷却装置が設けられていてよく、冷却装置は、エネルギ蓄積器を介して案内可能な冷却空気流を発生させるための少なくとも1つのファン設備を有しており、温度を検出するための少なくとも1つの温度センサが設けられており、制御設備は、温度センサによって検出された温度に関連してファン設備を駆動制御するように構成されている。
【0022】
上述した実施形態の場合と同様に、制御設備は、温度センサの測定値を評価し、たとえば温度限界値と比較することができ、これによって、相応にファン設備が駆動制御される。
【0023】
エネルギ蓄積器からの電流の変換のために、かつ電気モータへの電流の供給のために、変換器が設けられていてよく、この場合、冷却装置は、エネルギ蓄積器の冷却に対して付加的に、変換器を冷却するためにも設けられていてよく、この場合、冷却空気流はこの変換器設備を介して案内可能であってよい。
【0024】
この場合、構成に応じて、冷却空気流をエネルギ蓄積器と変換器設備との間で案内することができる。たとえばファンは、冷却空気流中で、エネルギ蓄積器と変換器設備との間に配置されていてよい。これに相応して冷却空気流は、冷却空気流が相応にこれらのコンポーネントを通過して案内される場合に、はじめにエネルギ蓄積器を冷却し、その後に変換器設備を冷却することができる。
【0025】
作業機械における少なくとも1つの温度を検出するための温度センサが設けられていてよく、この温度は、エネルギ蓄積器の温度、変換器の温度、電気モータの温度、周囲温度、冷却空気流を案内するために設けられている冷却空気通路の空気入口における温度、冷却空気通路の出口における温度のグループから選択されている。
【0026】
したがって、作業機械に、少なくとも1つの温度センサが設けられていてよく、場合によっては複数の温度センサが、種々異なる箇所もしくは複数のコンポーネントに設けられていてもよい。これらの温度センサによって検出された各温度測定値は制御設備に供給され、制御設備は、相応の措置を講じる。措置はたとえばファン設備のスイッチオンまたはスイッチオフまたは上方調整もしくは下方調整である。
【0027】
この場合、温度センサは、エネルギ蓄積器および/または変換器に設けられていてよい。
【0028】
制御設備内には、温度限界値が格納されていてよく、この場合、制御設備によって、検出された温度がこの温度限界値と比較可能であってよく、検出された温度による温度限界値の超過が確認されると、制御設備は、ファン設備をスイッチオンする。
【0029】
制御設備は、温度センサによって検出された温度に関連して、かつ作業機械の動作状態に関連してファン設備を駆動制御するように構成されていてよい。複数の温度センサが設けられている場合には、制御設備は、1つのファン設備(または複数のファン設備)を、これら複数の温度センサによって検出された複数の温度に関連して駆動制御することもできる。
【0030】
作業機械の動作状態は、エネルギ蓄積器がスイッチオフされている、エネルギ蓄積器がスイッチオンされている、電気モータがスイッチオンされている、のグループから選択されていてよい。動作状態に応じて、制御設備は措置を講じて、検出された温度を考慮して、ファン設備をたとえばスイッチオンまたはスイッチオフする。
【0031】
制御設備は、温度センサによって検出された温度に関連して、かつ作業機械の作業状態に関連して、検出された温度が所定の温度限界値を上回っている場合に、ファン設備が第1の期間および/または第2の期間においてもアクティブ化されるように、ファン設備を駆動制御するように構成されていてよい。
【0032】
作業状態の基準は、上述したように、電気モータ(駆動モータ)がスイッチオンされる前の、または電気モータがスイッチオフされた後の、所定の第1の期間または第2の期間の経過に関連する。これらの時間フェーズでは、たとえばエネルギ蓄積器は、電気モータ自体がスイッチオンされていない場合でも、ファン設備のアクティブ化によって冷却され得る。このことは、たとえば、その使用直前に充電されかつ充電過程によって依然として高い温度を有しているエネルギ蓄積器が、電気モータに電気エネルギを供給するために使用される前に、まだスタンバイフェーズ(第1の期間)において既に冷却されることを可能にする。
【0033】
同様に、エネルギ蓄積器は、自身の検出された温度が所定の温度限界値を上回っている場合に、電気モータのスイッチオフ後にもさらに冷却され得る。
【0034】
制御設備は、以降のパラメータ、すなわち、エネルギ蓄積器の充電状態、エネルギ蓄積器の経年劣化状態、エネルギ蓄積器によって提供される電圧、エネルギ蓄積器のモデルタイプのうちの少なくとも1つに関連してファン設備を駆動制御するように構成されていてよい。これは、制御設備が、純粋な温度値、特にエネルギ蓄積器の温度だけではなく、ファン設備のアクティブ化に影響を与え得る付加的な他のパラメータも考慮することができることを意味している。場合によってはこのためにコアフィールド制御を規定することができ、ここでは、各結果(換気のオン、換気のオフ、冷却空気流の強さ)に関連して種々異なるパラメータがマッピングされている。
【0035】
制御設備内には、エネルギ蓄積器の動作に対する上側の限値として設定されている最大温度限界値が格納されていてよく、この場合、エネルギ蓄積器内の温度は温度センサによって検出され、制御設備によって、検出された温度がこの最大温度限界値と比較可能であり、検出された温度による最大温度限界値の超過が確認されると、制御設備は、電気モータをスイッチオフする、または電気モータのスイッチオンを阻止する。
【0036】
このケースでは、エネルギ蓄積器内の温度が最大温度限界値を上回っていないことが監視される。しかし、エネルギ蓄積器内の温度が最大温度限界値を上回っている場合には、損傷を回避するためにエネルギ蓄積器にさらに負荷をかけてはならない。このケースでは、作業機械の駆動モータは、制御設備によって直接的にスイッチオフされる、もしくはモータのスイッチオンが阻止される。この動作状態では、換気設備の動作のための電流だけがエネルギ蓄積器から取り出し可能である。
【0037】
制御設備は、変換器の制御部に組み込まれていてよい。変換器は、いずれにせよ電子コンポーネントを有しているため、この箇所には、制御設備に必要とされる他の電子コンポーネントも配置されていてよい。
【0038】
作業機械におけるエネルギ蓄積器の前調整のための方法であって、
・オペレータがエネルギ蓄積器をアクティブ化するステップと、
・作業機械の駆動モータとして用いられる電気モータの始動が可能な、アクティブ化後の第1の期間を設定するステップと、
・電気モータが第1の期間内に始動されなかった場合にエネルギ蓄積器を非アクティブ化するステップと、
・第1の期間の間、エネルギ蓄積器の温度を監視し、エネルギ蓄積器の温度が所定の温度限界値を上回った場合に、エネルギ蓄積器のために冷却空気流を発生させるためにファン設備をアクティブ化するステップとを備える方法を提示する。
【0039】
作業機械におけるエネルギ蓄積器の後調整のための方法であって、
・アクティブ化されているエネルギ蓄積器から電気エネルギが供給される、作業機械の駆動モータとして用いられる電気モータをスイッチオフするステップと、
・電気モータのスイッチオフによって開始する第2の期間を設定するステップと、
・第2の期間の間、エネルギ蓄積器のアクティブ化状態を維持するステップと、
・第2の期間の間、エネルギ蓄積器の温度を監視し、エネルギ蓄積器の温度が所定の温度限界値を上回った場合に、エネルギ蓄積器のために冷却空気流を発生させるためにファン設備をアクティブ化するステップとを備える方法をさらに提示する。
【0040】
第2の期間が経過した後、エネルギ蓄積器は非アクティブ化されてよい。
【0041】
本発明のこれらの利点および他の利点ならびにこれらの特徴および他の特徴を以降で、例に基づいて、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に係る作業機械に対する例としての振動タンパの側面図を概略的に示す図である。
図2】本発明に係る作業機械に対する例としての振動プレートの側面図を概略的に示す図である。
図3】必要に応じた制御を伴う冷却装置の原理構造を示す図である。
図4】種々異なる作業状態および動作状態に関連して冷却装置を駆動制御するための制御状況を示す図である。
図5】前調整および後調整を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0043】
図1および図2は、例示的に、バッテリおよび変換器の冷却を伴う作業機械をそれぞれ示している。図示の例では、後でさらに説明されるように、これら2つのコンポーネントを冷却するために、バッテリおよび変換器を介して案内される冷却空気流が生成される。しかしまた本発明は、他の冷却コンセプトでも、特に冷却空気流の他の進路においても使用される。
【0044】
図1は、上部質量体1と、上部質量体1に対して相対的に可動の下部質量体2とを備える振動タンパを概略的に示している。上部質量体1と下部質量体2とは、それ自体公知のスプリング設備3によって互いに連結されている。下部質量体2の下面には、土の締固め用の土壌接触プレート4が設けられている。
【0045】
上部質量体1には、電気モータ5を備えた駆動装置が設けられている。電気モータ5は、クランクホイール6を、回転するように駆動する。クランクホイール6は、クランクピン7を介してコンロッド8に連結されている。コンロッド8は、締固めピストン9と結合されているので、クランクホイール6の回転運動は、締固めピストン9の往復運動に変換される。次いで締固めピストン9の直線運動が、スプリング設備3を介して、本来の締固め運動を実行する土壌接触プレート4へ伝達される。
【0046】
電気モータ5にエネルギを供給するために、電気的なエネルギ蓄積器として用いられるバッテリ10が設けられている。
【0047】
バッテリ10によって提供された電流は、変換器設備として用いられる変換器11によって、自身の電圧および自身の周波数に関して、電気モータ5に適した電流に変えられるもしくは変換される。特にこの際、バッテリ10内に蓄積された直流電流から、電気モータ5用の交流電流を生成することが可能である。
【0048】
クランクホイール6、クランクピン7およびコンロッド8は、クランクケース12内に収容されており、クランクケース12には電気モータ5も固定されている。一変化形態では、電気モータ5の大部分がクランクケース12の内部に配置されていてもよい。
【0049】
クランクケース12の上面には、上部質量体1に属し、ハンドルバーとして形成されている把持設備13が取り付けられている。把持設備13の振動絶縁のために、把持設備13とクランクケース12との間に、たとえばゴムダンパの形態の振動絶縁装置14が配置されている。これによって、把持設備13は、所定の範囲内で、残りの上部質量体1に対して相対的に、特にクランクケース12に対して相対的に旋回可能になり、これによって、ハンドルバーもしくは把持設備13を意図した通りに図1の右側の端部において把持するオペレータを、過剰に強い振動の作用から防護することができる。
【0050】
バッテリ10も変換器11も、把持設備13に固定されている、もしくは把持設備13によって支持されている。ここでは、バッテリ10は、把持設備13に交換可能に固定可能であり、これによって、バッテリ10をそれぞれ、新鮮なバッテリ10によって置き換えることができる。
【0051】
バッテリ10と変換器11との間には、空間的に、ファン設備15が配置されており、ファン設備15は、ファン、たとえばベンチレータとファンモータとを有している。
【0052】
ファン設備15は、バッテリ10を介して空気を吸い込み、冷却空気流16が再び周囲に到達するまで、下流側で変換器11を介して圧縮することによって、冷却空気流16を生成する。冷却空気流16の進路は、図1において矢印によって象徴的に示されている。
【0053】
冷却空気流16のより良好な案内のためならびに種々異なるコンポーネントの保護のために、カバー17、たとえばプラスチックフードが設けられている。
【0054】
図示されていない一変化態様では、冷却空気流16(矢印方向を参照)を適切に生成するために、ファン設備15が、バッテリ10の上流側または変換器11の下流側にも配置されていてよい。
【0055】
図2は振動プレートである作業機械の別の実施形態を示している。図1の実施形態と機能的に類似のまたは同一のコンポーネントには、同じ参照符号が付されている。
【0056】
これに従うと、振動プレートは同様に上部質量体1と下部質量体2とを有しており、ここで、下部質量体2は上部質量体1に対して相対的に可動である。このために、上部質量体1と下部質量体2との間に、振動絶縁要素20が設けられている。
【0057】
下部質量体2には、土壌接触プレート4が形成されている。土壌接触プレート4上には、振動発生器21を駆動する電気モータ5が配置されている。振動発生器21は、たとえば1つまたは複数の偏心軸を有していてよく、偏心軸は、所望の振動を発生させるために、駆動モータとして用いられる電気モータ5によって回転させられる。次いで振動が、土壌接触プレート4を介して、締固められるべき土に直接的に導き入れられる。
【0058】
電気モータ5用のエネルギを提供するバッテリ10は、変換器11と共に、上部質量体1に配置されている。
【0059】
図1の実施形態の場合と同様に、バッテリ10と変換器11との間にファン設備15が配置されており、これによって、バッテリ10を通り、変換器11に沿って、冷却空気流16が生じる。見て取れるように、冷却空気流16はファン設備15の下流側で、冷却空気流16が変換器11のできるだけ全ての面もしくは少なくとも両側で周りを流れるように案内されてよい。しかし構成に応じて、バッテリ10および/または変換器11の片側だけを通って流れる場合にも、冷却作用は十分である。
【0060】
冷却空気流16のより良好な案内のために、カバー17が設けられている。
【0061】
把持設備13は、振動プレートでは、オペレータによって案内可能な牽引棒の形態で形成されており、これは、下部質量体2に固定されている。
【0062】
図3は、たとえば図1または図2に示した作業機械の1つにおいて使用することができる、必要に応じた冷却を実現するための、本発明に係る冷却装置の概略的な構造を示している。
【0063】
ここでは、バッテリ10は、変換器11に電圧を供給するために用いられる。制御設備として用いられる制御モジュール25も、変換器11の構成部材として設けられている。制御モジュール25は、変換器11の組み込み構成部材であってよいが、変換器11とは別個に、たとえば作業機械の別の領域に配置されていてもよい。しかし、変換器の場合に敏感な電子構成部材は既に、振動、汚染および湿分の侵入に対して相応に保護されて設けられているので、制御モジュール25を変換器11に接してもしくは変換器11の内部に配置することが合理的である。変換器11に制御モジュール25を組み込むことによって、そうでない場合には制御モジュール25に対する相応の付加的な保護措置によって必要になるだろう付加的なコストを回避することができる。
【0064】
制御モジュール25は、ファン15を駆動制御する。特に制御モジュール25は、ファン15をスイッチオン・スイッチオフすることができる。同様に、ファンの回転数を必要に応じて変更するために制御モジュール25が構成されていてよい。
【0065】
冷却の必要性を監視するために、バッテリ10には温度センサ26が設けられており、変換器11には温度センサ27が設けられている。温度センサ26,27は、バッテリ10および変換器11の外壁もしくはケーシング壁に配置されていてよい。しかし、構造的に可能である場合には、温度センサ26,27をケーシングの内部に組み込むこともできる。
【0066】
温度センサ26,27の測定結果は制御モジュール25に供給され、制御モジュール25は、測定結果を所定の特性マップまたは限界値と比較する。識別された状況に応じて、特に所定の温度限界値を上回ったまたは下回った場合に、冷却空気流を生成するもしくは遮断するまたは強めるもしくは弱めるために、制御モジュール25は、ファン15を駆動制御する。
【0067】
必要に応じて冷却をサポートする、制御モジュール25のための情報を提供するために、作業機械内にさらに他の温度センサが適切な箇所に設けられていてよい。これらの情報には、たとえば外気温、クランク機構(振動タンパ)内の温度または振動発生器(振動プレート)内の温度または駆動モータ(たとえば電気モータ5)内の温度が属する。
【0068】
図4には、例示的に、時間tにわたる種々のパラメータおよびその展開が示されている。特に、必要に応じた冷却の作動様式を説明するために、ここでは、種々の動作状態およびスイッチング状態が示される。
【0069】
上方の行には、それぞれ異なる状態である「バッテリスイッチオフ」、「スタンバイ」および「モータスイッチオン」を備える、作業機械の状態が示されている。
【0070】
「バッテリスイッチオフ」状態では、バッテリは非アクティブ化されており、電圧を供給しない。
【0071】
「スタンバイ」状態では、バッテリ10は、オペレータによって、相応の操作要素、たとえばボタンの操作によってアクティブ化され、それに応じてスタンバイモードにある。この状態において、バッテリは、作業機械の動作のために電圧を提供する。
【0072】
「モータスイッチオン」状態では、作業機械の駆動モータ5がアクティブ化されており、作業機械は、意図した通りに設定されている作業、たとえば振動タンパまたは振動プレートによる土の締固めを実行することができる。
【0073】
図4の、その下の行には例示的に、温度センサ26によって検出される、バッテリ10における温度値T_batが示されている。温度値は、図示の例では、およそ33℃(バッテリ10にとって高すぎる温度)、25℃(バッテリ10にとって最適な動作温度、いわゆる「快適温度」)および17℃(低い温度)の間で跳躍している。しかし、これらの温度値は例示的に提示されているだけである。当然、実際には、バッテリのタイプに応じて、作業機械の動作中に他の値も測定され得る。
【0074】
図4の、その下の行には、バッテリ10における温度値と同様に、変換器11における測定された温度値T_invが示されている。ここでは、温度値は、40℃を下回る値および40℃を上回る値に跳躍する。
【0075】
図4の下方の行には、ファン15のスイッチング位置、すなわち「ファンスイッチオン」または「ファンスイッチオフ」が示されている。
【0076】
このことから、図4では例示的に、種々異なる期間t0~t9に対して、以降のスイッチング状態が生じる:
t0:バッテリスイッチオフ(電流は供給されていない)、バッテリにおける温度(T_bat)が過度に高い、変換器における温度(T_inv)が低い。バッテリ10が電圧を供給しないので、ファンはスイッチオフされている。
t1:t0の場合と類似の状況。付加的に、変換器における温度T_invが高い。バッテリは、電流を供給せず、ファンはスイッチオフのままである。
t2:オペレータがバッテリ10をアクティブ化し、それによってバッテリ10はスタンバイ状態にある。温度値は、t0の温度値に相応する。しかしこの時点ではバッテリ10によって電圧が提供されるので、ファンがスイッチオンされる。
t3:全ての温度値が最適な範囲にある。ファンはスイッチオフされている。
t4:t3の場合と類似の状況であるが、変換器における温度T_invは高い。したがって、ファンがスイッチオンされている。
t5:2つの温度値T_batおよびT_invが高く、ファンがスイッチオンされている。
t6:モータが始動されており、動作中である。これらの温度値は高く、ファンがスイッチオンされている。
t7:バッテリにおける温度値T_batが高く、ファンがスイッチオンされている。
t8:2つの温度値が低い。しかし、直前のt7では、バッテリの温度値が高かったので、冷却が続行され、ファンはスイッチオンされたままである。
t9:バッテリの温度T_batは極めて低い。冷却はもはや必要ではなく、むしろ周囲温度が比較的低い場合には、不利であり得る。換気はオフされている。
【0077】
要約すると、バッテリ10がスイッチオフされている場合、ファン15は常にスイッチオフされている。バッテリ10がスタンバイ状態にあり、バッテリ温度T_batが高い(たとえば>30℃)場合、ファン15は常にスイッチオンされている。モータ(電気モータ5)がスイッチオンされており、バッテリ温度T_bat>20℃または変換器温度T_inv>40℃である場合、ファンはスイッチオンされている。
【0078】
深放電を回避するために、バッテリ10がアクティブ化されると迅速に、はじめて冷却が行われる。
【0079】
作業機械を、特に建設機械としての形態で使用する場合、しばしば、バッテリが依然として、機械の動作開始前に過度に高い温度を有している可能性がある。これは、バッテリがたとえば太陽の当たる場所に保管されていたまたは使用の開始直前に充電されたためであり得る。同様に、バッテリに、駆動モータの使用によって事前に強く負荷がかけられたため、機械のスイッチオフ後にバッテリ温度が高いことがある。
【0080】
このために調整方法が設定されており、この調整方法によって、バッテリ10は機械の動作前後にアクティブ状態に維持され、相応に、必要に応じてさらに冷却もされ得る。ここではまた、バッテリ温度が好適な範囲内に位置するとはじめて機械のスイッチオンが許可されることが設定されていてもよい。したがって、過温度時に機械を始動させることはできない。
【0081】
図5は、この調整方法の機能ステップの例を示している。
【0082】
ステップS1では、バッテリに設けられているボタンが操作されることによって、バッテリをアクティブ化する。その後、バッテリは、作業機械によって利用可能な電圧を提供する。
【0083】
特に、ステップS2では、変換器もしくは変換器に設けられている制御モジュールに電圧を供給し、バッテリに対して、いわゆる「スタンバイ」時間もしくは「スタンバイ」期間(第1の期間)を設定する。
【0084】
ステップS3では、所定の時間「スタンバイ・スタートアップ」の間、バッテリをアクティブに維持する。
【0085】
オペレータがさらなる措置を開始しない限り、ステップS4において、期間「スタンバイ・スタートアップ」の経過後にバッテリをスイッチオフする。
【0086】
しかし、ステップS5において、オペレータが、操作領域に設けられている機械スイッチを介して、作業機械をスイッチオンし、特に、たとえば機器の駆動モータをアクティブ化すると、ステップS6において機器の動作が可能になる。
【0087】
これと並行して、温度の監視が、上で説明した図3に相応に行われる。これによれば、ステップS7において、制御モジュール25が、バッテリがその最大許容温度に到達したことを識別すると、制御モジュールは、ステップS8において駆動モータをスイッチオフする。この場合、バッテリは、ファン設備15の動作のために必要となる電流だけは供給することができ、これによって、バッテリを引き続き冷却することができる。
【0088】
所定の時間「スタンバイ・シャットダウン」(第2の期間)の経過後に、バッテリを、ステップS9においてスイッチオフする。
【0089】
ステップS6における機器の動作中に、バッテリ温度の超過(ステップS7)が確認されない場合、作業の終了後、機械スイッチの操作によって、ステップS10において機器をスイッチオフすることができる。
【0090】
バッテリは、電流が引き出されなくなったことによって、機器のスイッチオフを識別する。付加的にまたは択一的には、モータ制御部またはモータスイッチと、バッテリとの間で情報交換が行われ、このようにしてバッテリが、モータがスイッチオフされたという情報を得ることも可能である。
【0091】
ステップS10において機器をスイッチオフした後、ステップS11において、バッテリを依然として、時間「スタンバイ・シャットダウン」(第2の期間)の間、アクティブに維持する。したがってこのフェーズにおいて、バッテリはさらに冷却され得る。
【0092】
ステップS12では、時間「スタンバイ・シャットダウン」の経過後に、バッテリをスイッチオフする。バッテリのアクティブな冷却はもはや行われない。なぜならファンにもはや電流が供給されないからである。
【0093】
機器のスイッチオフ後に、同様にバッテリ自体がスイッチオフされる前にバッテリが休止状態(スタンバイ)に留まるべき時間は、たとえば3分または5分である。この期間中、オペレータは、機械スイッチを操作することによって機器を再びスイッチオンし、作業動作を継続することができる。この際にバッテリを再度アクティブ化する必要はない。他の機器では、動作の再開の可能性が低いことがある。したがってこのケースでは、バッテリは、比較的長い時間にわたってアクティブに維持される必要はなく、この間に機器の新たな始動が行われなければ、比較的短い最小時間(たとえば30秒)の後にバッテリは再びスイッチオフされる。
【0094】
上で説明した、必要に応じた冷却によって、ファンを持続的に動作させる必要がないので、冷却装置のエネルギ効率は、特に駆動制御されないアクティブなファンに比べて、より高くなり得る。
【0095】
必要に応じたコンポーネントの冷却によって、最大許容動作時間を長くすることができる。なぜなら、該当するコンポーネント、特にバッテリの場合には、最大許容温度に対する現在の温度のデルタが、前調整および後調整によって増大されるからである。たとえば、バッテリの前冷却によって、その後、バッテリの温度が最大許容限界温度を上回るまで、バッテリをより長く動作状態に維持することが可能になる。
【0096】
自身の快適温度でのコンポーネントの動作によって、バッテリのセルおよび変換器における電子構成部材の寿命を長くすることができる。
【0097】
図5に基づいて説明したスイッチオンコンセプトおよびスイッチオフコンセプトによって、短い休止の場合に、機械をより容易かつより迅速に始動させることが可能になる。特に、オペレータは、機械の始動の前に毎回バッテリをアクティブ化する必要はない。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】