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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174592
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】通行路マット
(51)【国際特許分類】
   E01C 9/08 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
E01C9/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085516
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2022085249
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】楚良 洋
(72)【発明者】
【氏名】沖吉 勇二
(72)【発明者】
【氏名】狩野 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健夫
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA09
2D051AG03
2D051AG11
2D051AH02
2D051DA20
2D051DB15
2D051DC01
(57)【要約】
【課題】軽量でコンパクトなためハンドリング性が良く、風などの外力で飛ばされることもなく砂地に固定され、通行路表面の安全性が確保できる通行路マットを提供する。
【解決手段】通行路マット1は、凹部21A・凸部21Bが多数形成された、凹凸状シート2と、凹凸状シート2の、多数の凹部21A・凸部21Bが設けられた面とは反対側の面に配置された、不織布3と、不織布3の上に配置されたゴムシート4とが積層されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の凹凸部が形成された、凹凸状シートと、
前記凹凸状シートの、前記多数の凹凸部が設けられた面とは反対側の面に配置された、不織布と、
前記不織布の上に配置された、ゴムシートと、
が積層された、通行路マット。
【請求項2】
前記凹凸状シートの、前記不織布が配置された面の一方の端部に、雄型面ファスナーが露出して配置されており、
前記ゴムシートの、前記不織布が配置された面の他方の端部に、当該不織布が露出しており、
通行路マットの前記雄型面ファスナーと、別の通行路マットの露出した前記不織布とを係合して連結可能な、請求項1に記載の通行路マット。
【請求項3】
前記ゴムシートの表面に遮熱塗料が塗布されている、請求項1又は2に記載の通行路マット。
【請求項4】
前記凹凸状シートは、長手方向の中央付近を幅方向、又は、幅方向の中央付近を長手方向に横断する、切り込みが形成されている、請求項1に記載の通行路マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装されていない下地に敷設される通行路マットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビーチ(砂浜)などの砂地、砂利道、芝生など、移動しにくい下地での移動を容易にするために通行路を設けるには、巻物状のシート、プラスチック板、ベニヤ板などを敷設する方法が考えられる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-60805号公報
【特許文献2】特開2014-156051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、巻物状のシートの場合には、分割した作業ができず運搬の際に重量物となってハンドリング性(持ち運びや、敷設・片付けの容易さ)が悪い。また、その上を車いすや台車などが通行する場合には、車輪部分が砂地にめり込みやすく、進行の妨げとなる場合がある。
【0005】
また、比較的硬質なプラスチック板、ベニヤ板の場合にはハンドリング性は改善されるが、風で飛ばされやすくなるうえに、重量物による荷重がかかると割れやすくなる。また、ベニヤ板の場合には、特に裸足の人が通行する場合の質感や安全性(ささくれ等によるケガ)が危惧される。
【0006】
また、シート等の通行路のハンドリング性(持ち運びや、敷設・片付けの容易さ)の観点から、特許文献2に記載されたファスナーによりシートとシートとを連結することが考えられる。
【0007】
しかし、特許文献2のファスナーでは、雄型面ファスナーと雌型面ファスナーとが別個取り付けられていることから、シートとシートとの間に段差が生じるおそれがあり、しかも、部品点数も多くなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、軽量でコンパクトなためハンドリング性が良く、風などの外力で飛ばされることもなく砂地に固定され、通行路表面の安全性が確保できる通行路マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の通行路マットは、多数の凹凸部が形成された、凹凸状シートと、
前記凹凸状シートの、前記多数の凹凸部が設けられた面とは反対側の面に配置された、不織布と、
前記不織布の上に配置された、ゴムシートと、
が積層されていることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、通行路マットとして、軽量でコンパクトなため、ハンドリング性を良くすることができる(持ち運びや、敷設・片付けが容易)。また、通行路マットに設けられた凹凸部は、適度な剛性があるうえ、折れずに適度に撓みやすいことから、砂地や砂利に適度に噛ませることができ(凹部に砂等が入り込み固定される)、通行路マットを砂地や砂利などの不安定な下地に容易に固定することができる。また、凹凸状シートの上に、不織布及びゴムシートを積層していることから、耐荷重性に優れるとともに、表面が柔らかく安全性にも優れ(人が裸足で通っても安全である)、更に、通行路マットの上を、人、自転車、車いす、ベビーカー、台車等がスムーズに通行でき、通行性・走行性においても優れている。
【0011】
また、本発明は、上記通行路マットにおいて、前記凹凸状シートの、前記不織布が配置された面の一方の端部に、雄型面ファスナーが露出して配置されており、
前記ゴムシートの、前記不織布が配置された面の他方の端部に、当該不織布が露出しており、
通行路マットの前記雄型面ファスナーと、別の通行路マットの露出した前記不織布とを係合して連結可能なことを特徴としてもよい。
【0012】
上記構成によれば、通行路マットの耐荷重性及び走行性の向上のために使用している不織布を、通行路マットの端部で露出させることにより、不織布は、雌型面ファスナーとしての役割をも果たすことができる。即ち、通行路マットの雄型面ファスナーと、これとは別の通行路マットの露出した不織布とを係合して、複数の通行路マットを容易に連結することができる。
これにより、通行路マットの製造工程において、雌型面ファスナーを別個の部材として用意する必要が無く、製造工程の簡易化・コスト低減を図ることができる。
【0013】
また、本発明は、上記通行路マットにおいて、前記ゴムシートの表面に遮熱塗料が塗布されていることを特徴としてもよい。
【0014】
ゴムシートの表面に遮熱塗料を塗布することにより、夏場の砂浜等に通行路マットを敷いた場合でも、通行路マットの昇温を抑制することができる。
また、通行路マットの表面がゴムシートであることから、遮熱塗料とも馴染みやすい。
【0015】
また、本発明は、上記通行路マットにおいて、前記凹凸状シートには、長手方向の中央付近を幅方向、又は、幅方向の中央付近を長手方向に横断する、切り込みが形成されていることを特徴としてもよい。
【0016】
上記構成によれば、通行路マットを切り込み部分を起点に折り畳むことができる。その結果、通行路マットの敷設の作業性とコンパクト(運搬時のハンドリング性)さとを両立させることができる。
【発明の効果】
【0017】
軽量でコンパクトなためハンドリング性が良く、風などの外力で飛ばされることもなく砂地に固定され、通行路表面の安全性が確保できる通行路マットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る通行路マットの側面図である。
図2】複数の通行路マットの連結態様の説明図である。
図3】(A)連結した通行路マットの上面図(表面)である。(B)連結した通行路マットの底面図(裏面)である。
図4】通行路マットの製造方法の説明図である。
図5】本実施形態に係る通行路マットの使用態様の一例を示す写真である。
図6】(A)その他の実施形態2に係る通行路マットの上面図(表面)である。(B)その他の実施形態2に係る通行路マットの底面図(裏面)である。
図7】(A)その他の実施形態2に係る通行路マットの切り込みの説明図である。(B)通行路マットの切り込みの変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態)
本発明の実施形態に係る通行路マット1について、図1図3に基づいて説明する。
【0020】
(通行路マット1)
実施形態に係る通行路マット1は、凹部21A・凸部21Bが多数形成された、凹凸状シート2と、凹凸状シート2において、多数の凹部21A・凸部21Bが設けられた面とは反対側の面に配置された、不織布3と、不織布3の上に配置された、ゴムシート4とが積層されている。
また、凹凸状シート2の、不織布3が配置された面の一方の端部2Aに、雄型面ファスナー5が露出して配置されており、ゴムシート4の、不織布3が配置された面の他方の端部4Aに、不織布3の端部31が露出している。
【0021】
通行路マット1は、凹部21A・凸部21Bが多数形成された凹凸状シート2側が、舗装されていない下地(砂地、砂利)に接するように敷設されて使用される。
通行路マット1枚の大きさは、特に限定されないが、本実施形態では、ハンドリング性(持ち運びや、敷設・片付けの容易さ)の観点から、縦1,400mm×横1,600mm×厚み7.5mmであり、重量は約7.5kgとしている。
【0022】
(凹凸状シート2)
凹凸状シート2としては、例えば、図1及び図3(B)に示すように、プラスチックシートを熱成形または真空成形により、多数のキャップ状(円柱状)の凹部21Aを有する突出シート21を形成し(凹部21Aが形成されていない部分は凸部21Bになる)、多数のキャップ状の凹部21Aの頂面と平坦状の平坦シート22とを貼り合わせた(熱融着或いは接着剤による貼り合わせ)気泡ボード、すなわち、突出シート21と平坦シート22との間が密閉されていない、2層構造の気泡ボードを用いることができる。
【0023】
なお、一般に、プラスチック、とくにポリエチレンやポリプロピレンを材料として用い、プラスチックシートの熱成形または真空成形により形成した、多数のキャップ状の凹部を有するキャップシート(突出シート)の、凹部の底面にプラスチックシート(平坦シート)を貼り合わせて、凹部が封入構造となり空気が密閉された(密閉された気泡を有する)成形品が、「プラスチック気泡ボード」の名で知られており(以下「気泡ボード」と略称する)、包装容器や断熱材、あるいは構造材料として広く使用されている。
この種の気泡ボードには、上記凹部が封入構造となり空気が密閉された(密閉された気泡を有する)ものだけでなく、本実施形態の凹凸状シート2のように、突出シート21と平坦シート22との間が密閉されていないものもある。このタイプの成形品は、厳密には「気泡」を有するわけでないが、気泡を有するものと同種の製品として、同じく気泡ボードと呼んでいる。
【0024】
凹凸状シート2の材料としては、ポリオレフィンが好適であって、とくに高密度ポリエチレンが最適であるが、ポリプロピレンも有用であり、ポリエステルも使用可能である。そのほか、ポリスチレンやポリカーボネート、さらにはABS樹脂など、任意のプラスチックを、通行路マット1の用途に応じて選択使用することができる。一般には、融点とビカット軟化点との差が20℃以内であり、かつ、デュロメータにより測定した硬さが50以上のものが使用可能であり、好ましくは、それぞれの値が10℃以内および60以上のものである。
なお、突出シート21及び平坦シート22は、それぞれ単層でも、複数のフィルム状のシートを積層した構成であってもよい。
【0025】
凹凸状シート2の厚みは、例えば6.0mm程度である。
凹凸状シート2の厚みが小さすぎると、剛性が不足して耐荷重性が低下したり、砂地への固定が不安定となる。一方、凹凸状シート2の厚みが大きすぎると、運搬や収納の面でハンドリング性が低下する。
【0026】
凹凸状シート2の市販品としては、プラパール(登録商標、川上産業(株)製)「2層Bタイプ」等が挙げられる。このプラパール「2層Bタイプ」は、突出シート21の多数のキャップ状の凹部21Aの頂面を平坦シート22と熱溶着した2層品であり、凹部21A及び凸部21Bが表面に現れる。本用途では、平坦シート22側に、不織布付ゴムシート43の不織布3及び雄型面ファスナー5を接着して製造される(詳細は後述する)。なお、凹凸状シート2の凹部21A及び凸部21Bが現れている面が、下地(砂地、砂利)に接する面となる。
【0027】
なお、凹凸状シート2の大きさや材質等は、通行路マット1の使用用途により便宜変更可能であるが、本実施形態では、大きさが縦1,400mm×横1,600mm×厚み6mm、材質がポリプロピレン、目付重量が1,500g/m2の凹凸状シート2を用いている。
【0028】
(不織布3)
不織布3は、凹凸状シート2とゴムシート4との間に配置されており、不織布3の端部31が、図1及び図2に示すように、ゴムシート4の端部4Aとともに露出している。また、不織布3は、不織布3とゴムシート4との間に熱可塑性樹脂で形成したシートを挟んだ状態で加熱、押圧されることによりゴムシート4と一体形成されている。また、不織布3は、凹凸状シート2に、接着剤により接着されている。
【0029】
不織布3と凹凸状シート2とを接着する接着剤は、溶剤系接着剤、水系接着剤、化学反応によって硬化させる無溶剤系接着剤などである。具体的には、クロロプレンゴム、ブチルゴム等を溶剤に溶かした接着剤、ポリウレタン系接着剤、変性シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。これらの接着剤のうち、接着力や施工性に優れる点から溶剤系接着剤、特にクロロプレンゴム系接着剤やブチルゴム系接着剤を用いることが好ましい。特に、夏場の高温環境下での使用を考慮して、耐熱性接着剤を用いることが好ましい。
【0030】
不織布3の構成材料としては、耐荷重性、クッション性、軽量化、耐水性の観点から、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアミド繊維、アクリル系繊維などを少なくとも1種類以上を組み合わせた繊維の長繊維不織布や短繊維不織布を使用することが好ましい。
【0031】
不織布3の厚みは、例えば0.5~5.0mm程度であり、特に1.0mm程度が好ましい。
【0032】
また、不織布3は、当該不織布3を構成する繊維がループを形成し、これが雌型面ファスナーの役割を果たす。具体的には、ゴムシート4の端部4Aとともに露出している、不織布3の端部31が、雌型面ファスナーとしての役割を果たす。
そして、ゴムシート4の端部4Aとともに露出した不織布3の端部31が、他の通行路マット1の雄型面ファスナー5(詳細は後述)に係合可能とされている。
【0033】
(ゴムシート4)
ゴムシート4の構成材料としては、可撓性、防水性の観点から、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)、IIR(ブチルゴム)、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、HNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、CSM(クロロスルフォン化ポリエチレン)等のゴムであってもよく、熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂であってもよい。特に、耐候性に優れる観点から、EPDMが好ましい。
【0034】
また、ゴムシート4は、1枚のシートであってもよく、一体成形された複数枚のシートを接着したものであってもよい。
【0035】
ゴムシート4の厚みは、1.0~2.5mmが好ましい。
ゴムシート4の厚みが1.0mm未満であると通行路マット1の強度が不足する場合がある。一方、ゴムシート4の厚みが2.5mmを越えると重量が大きくなり、ハンドリング性の低下につながるため好ましくない。また、ゴムシート4は、上述したゴムまたは合成樹脂からなるシートに、ガラス繊維やポリエステル繊維などからなる補強布を埋設して機械的強度を向上させたり寸法安定性を向上させたりしたものを用いてもよい。
【0036】
また、不織布3とゴムシート4との積層については、詳細は通行路マット1の製造方法の項目で説明するが、予め不織布3とゴムシート4とを一体的に積層した不織布付ゴムシート43(複合シート)を用いることが可能である。なお、不織布3とゴムシート4との積層には、前述した、凹凸状シート2と不織布3との接着に用いる接着剤を使用してもよいし、両面粘着テープなどで接着してもよいが、実用的には、生産性を考慮して、不織布付ゴムシート43を用いる方法が好適である。
【0037】
不織布付ゴムシート43としては、例えば、ファストバックシート(登録商標、三ツ星ベルト(株)製)等が挙げられる。ファストバックシートは、EPDM系ゴムシートと不織布とを積層したシートであって、EPDMを用いていることから耐候性に優れる。
【0038】
この場合、不織布付ゴムシート43の仕様としては、通行路マット1の使用用途により便宜変更可能であるが、本実施形態では、縦1,200mm×横1,600mm×厚み1.5mmのものを用いている。
【0039】
また、本実施形態では、ゴムシート4の表面に遮熱塗料が塗布されていてもよい。ゴムシート4の表面に遮熱塗料を塗布する場合、遮熱塗料としては特に限定されず、アクリルシリコン系・アクリルウレタン系の樹脂塗料やフッ素樹脂塗料などが例示される。
【0040】
(雄型面ファスナー5)
雄型面ファスナー5は、凹凸状シート2の端部2A(不織布3が配置された面の一方の端部)に接着剤により取り付けられている(図4参照)。
【0041】
この雄型面ファスナー5は、不織布3を構成するループ形状の繊維と係合する、フック状部材が多数形成された面ファスナーである。このフック状部材は、プラスチック、合成樹脂モノフィラメント、金属モノフィラメントなどの素材で形成されている。
また、フック状部材の形状は、特に限定されず、波型(逆J字型)、鉤型、鏃型、T型、逆L字型などが例示できる。
【0042】
そして、通行路マット1の雄型面ファスナー5と、別の通行路マット1の露出した不織布3の端部31とを重ねて、人がゴムシート4の端部4Aを軽く押さえることにより係合させて、複数の通行路マット1を連結することができる。
【0043】
なお、不織布3の端部31の厚みは、雄型面ファスナー5に係合しない部分の不織布3の厚みより薄いことが好ましい。この場合、連結した通行路マット1において、雄型面ファスナー5と不織布3の端部31とを係合した連結箇所の厚みと、連結箇所でない部分の厚みとをほぼ同じにすることができる。これにより、複数の通行路マット1を連結した際の連結箇所の凹凸をなくして、連結箇所の表面をフラットにすることができる。
【0044】
なお、雄型面ファスナー5の幅(通行路マット1の長手方向の長さ(図3参照))、すなわち連結箇所の幅は、通行路マット1の使用用途により便宜変更可能であるが、本実施形態では、100mmとしている。
【0045】
(通行路マット1同士を連結した通行路の敷設)
図3に示すように、進行方向に複数の通行路マット1を、凹凸状シート2側が、舗装されていない下地(砂地、砂利)に接するように並べて、通行路マット1の雄型面ファスナー5と別の通行路マット1の露出した不織布3の端部31とを重ねて、人がゴムシート4の端部4Aを軽く押さえることにより係合させて、通行路マット1同士を連結する。そして、この連結を繰り返すことで、複数の通行路マット1が連結した通行路を下地(砂地、砂利)に敷設することができる。
【0046】
例えば、図5の写真に示すように、ビーチ(砂浜)などに、連結した通行路マット1を敷設することにより、人、車いす、ベビーカー等が、連結した通行路マット1の上をスムーズに通行することができる。
【0047】
(通行路マット1の製造方法)
本実施形態に係る通行路マット1の製造方法について、図4を参照し説明する。
【0048】
まず、突出シート21の凹部21Aの円柱状の底が平坦シート22に熱溶着されて形成された凹凸状シート2を製造する。
例えば、凹凸状シート2(気泡ボード)は、公知の凹凸状シートの製造方法で製造される。その一例として、キャップの形状の孔を設けたゴム製の無端ベルトを循環させ、その上に熱可塑状態にあるプラスチックシートをのせ、孔の底から真空吸引して多数のキャップ状(円柱状)の凹部21Aを形成し、続いて、多数のキャップ状の凹部21Aの頂面に平坦シート22を貼り合わせて二層構成の凹凸状シート2を製造する方法が挙げられる。
【0049】
次に、不織布3とゴムシート4とを一体化させて不織布付ゴムシート43を作製する。
例えば、不織布3とゴムシート4との間に熱可塑性樹脂で形成したシートを挟んだ状態で加熱、押圧して不織布付ゴムシート43を作製する。本実施形態では、ポリエステル不織布(不織布3)の片面に超低密度ポリエチレンがあらかじめラミネートされたラミネート不織布を用いて、架橋が終わった直後で高温のEPDMシート(ゴムシート4)に上記ラミネート不織布を超低密度ポリエチレンの面をEPDMシートの側に向けて重ね合わせて2つのロールの間に通すことで一体化させて、不織布付ゴムシート43を作製している。
【0050】
なお、不織布付ゴムシート43は、ゴムシート4に不織布3を接着剤により接着させることにより作製してもよいし、両面粘着テープなどで接着することにより接着してもよい。接着剤を使用する場合には、前述した凹凸状シート2と不織布3との接着に用いる接着剤と同じものを使用することが好ましい。
【0051】
また、必須の構成ではないが、通行路マット1に遮熱機能を付与するために、ゴムシート4の表面に遮熱塗料を塗布してもよい。
【0052】
この際、凹凸状シート2の幅方向の長さは、不織布付ゴムシート43の幅方向長さよりも大きく、凹凸状シート2の長手方向の長さは、不織布付ゴムシート43の長手方向長さと同じ長さになるように加工する。
【0053】
そして、図4に示すように、不織布付ゴムシート43の不織布3の表面に接着剤を塗布し、凹凸状シート2の表面に張り付ける。この際、凹凸状シート2の幅方向の両端部2Bが表面側に露出する位置で(図3(A)参照)、且つ、凹凸状シート2の長手方向の端部2Aが表面側に露出し(図3(A)、図4参照)、不織布付ゴムシート43の不織布3の長手方向の端部31が裏面に露出する位置で、不織布付ゴムシート43を凹凸状シート2に張り付ける。
【0054】
なお、凹凸状シート2と不織布付ゴムシート43の不織布3との接着に用いる接着剤は、前述した、溶剤系接着剤、水系接着剤、無溶剤系接着剤などから便宜選択される。特に、夏場の高温環境下での使用を考慮して、耐熱性接着剤を用いることが好ましい。
【0055】
次に、凹凸状シート2の端部2Aに雄型面ファスナー5を接着剤により張り付ける。
【0056】
なお、不織布3の端部31の厚みが、雄型面ファスナー5に係合しない部分の不織布3の厚みより薄くなるように不織布3を削ることが好ましい。削る厚みは、複数の通行路マット1を連結した場合に、雄型面ファスナー5と不織布3の端部31とを係合した連結箇所の厚みと、連結箇所でない部分の厚みとが同じになる程度である。これにより、複数の通行路マット1を連結した際の連結箇所の凹凸をなくして、連結箇所の表面をフラットにすることができる。
【0057】
上記工程により、通行路マット1が製造される。
【0058】
上記構成の通行路マット1によれば、軽量でコンパクトなため、ハンドリング性を良くすることができる(持ち運びや、敷設・片付けが容易)。また、通行路マット1に設けられた凹部21A・凸部21Bが多数形成された、凹凸状シート2は、適度な剛性があるうえ、折れずに適度に撓みやすいことから、砂地や砂利に適度に噛ませることができ(凹部21Aに砂等が入り込み固定される)、通行路マット1を砂地や砂利などの不安定な下地に容易に固定することができる。また、凹凸状シート2の上に、不織布3及びゴムシート4を積層していることから、耐荷重性に優れるとともに、表面が柔らかく安全性にも優れ(人が裸足で通っても安全である)、更に、通行路マット1の上を、人、自転車、車いす、ベビーカー、台車等がスムーズに通行でき、通行性・走行性においても優れている(車いすであれば、車輪が砂地などにめり込まない、荷重で通行路マット1が割れない)。
【0059】
また、上記構成の通行路マット1によれば、通行路マット1の耐荷重性及び走行性の向上のために使用している不織布3の端部31を、ゴムシート4の端部4Aとともに露出させることにより、不織布3は、雌型面ファスナーとしての役割をも果たすことができる。即ち、通行路マット1の雄型面ファスナー5と、これとは別の通行路マット1の露出した不織布3の端部31とを係合して、複数の通行路マット1を容易に連結することができる。
これにより、通行路マット1の製造工程において、雌型面ファスナーを別個の部材として用意する必要が無く、製造工程の簡易化・コスト低減を図ることができる。
【0060】
また、上記構成の通行路マット1において、ゴムシート4の表面に遮熱塗料を塗布した場合には、夏場の砂浜等に通行路マット1を敷いた際に、通行路マット1の昇温を抑制することができる。
また、通行路マット1の表面がゴムシート4であることから、遮熱塗料とも馴染みやすい。
【0061】
(その他の実施形態1)
上記実施形態の通行路マット1の凹凸状シート2では、突出シート21と平坦シート22との間が密閉されていない、2層構造の気泡ボードを用いているが、凹凸状シート2としては、突出シートに形成された多数のキャップ状(円柱状)の凹部の底面に平坦シートを貼り合わせて、凹部が封入構造となり空気が密閉された、2層構造の気泡ボードや、突出シートに形成された多数のキャップ状の凹部の底面と頂面との両方に平坦シートを貼り合わせて、凹部が封入構造となり空気が密閉された、3層構成の気泡ボードを用いてもよい。
【0062】
(その他の実施形態2)
上記実施形態の通行路マット1は、人、自転車、車いす、ベビーカー、台車等がその通行路マット1の上を、通行することから、通行路マット1を連続的に敷設する作業性の面では、1枚当たりの面積を大きくした方が効率的である。
しかしながら、通行路マット1の1枚当たりの面積を大きくした場合、通行路マット1の運搬車両内への積み込みや、敷設場所へ運ぶにあたってはハンドリング性(持ち運びや、敷設・片付け)が悪くなる場合があり、通行路マット1は、適度にコンパクトなサイズになることが求められる。
そこで、敷設の作業性とコンパクト(運搬時のハンドリング性)さとを両立させるための仕様として、通行路マットを折り畳み式としてもよい。
【0063】
具体的には、図6(A)(B)及び図7(A)に示すように、折り畳み式の通行路マット101は、切断加工により、凹凸状シート2の突出シート21の長手方向の中央部分を幅方向に横断する切り込み21Cが入れられており、凹凸状シート2の突出シート21が長手方向に2分割された構造をしている。
また、図7(A)に示すように、不織布付ゴムシート43(不織布3及びゴムシート4)及び平坦シート22には切り込み21Cが入れられていない。このため、不織布付ゴムシート43(不織布3及びゴムシート4)及び平坦シート22により、2分割された突出シート21を連結している態様となる。
上記構成により、切り込み21Cが外側になるように、通行路マット101を山折りすることにより折り畳むことができる(ゴムシート4が対向するように折り畳む)。
【0064】
なお、折り畳み式の通行路マット101は、凹凸状シート2の突出シート21に切り込み21Cを入れた以外の構成は上記実施形態の通行路マット1と同様である。
【0065】
また、凹凸状シート2の突出シート21に入れる切り込み21Cの位置は、凹凸状シート2の突出シート21の長手方向の中央付近でもよく、折り畳んで運搬に支障がない範囲(長手方向中央から±100mm程度)であればよい。また、凹凸状シート2の突出シート21に入れる切り込み21Cの位置は、凹凸状シート2の突出シート21の幅方向の中央付近でもよい。
【0066】
また、通行路マット101では、凹凸状シート2の突出シート21に入れる切り込み21Cは、図7(A)に示すように、突出シート21に対して細いスリット状の切り込みを幅方向に向かって入れることにより形成されている。
しかし、これに限らず、図7(B)に示す通行路マット201ように、突出シート21に対して工具で幅方向に向かって所定幅(最大で50mm程度まで)分を除去して、所定幅を有する切り込み21Dを形成してもよい。この場合、切り込み21Dの長手方向の断面形状は、四角形(図7(B)参照)に限定されず、台形や三角形などであってもよい。
【0067】
上記構成によれば、通行路マット101や通行路マット201を長手方向の中央部分(切り込み21C、切り込み21D)を起点に折り畳むことができる。その結果、敷設の作業性とコンパクト(運搬時のハンドリング性)さとを両立させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 通行路マット
2 凹凸状シート
21 突出シート
21A 凹部
21B 凸部
2A 凹凸状シートの端部
22 平坦シート
3 不織布
31 不織布の端部
4 ゴムシート
5 雄型面ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7