IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイディーアール株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社サンアールの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174614
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】還元性製鋼用加炭剤
(51)【国際特許分類】
   C21C 7/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
C21C7/00 101A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087314
(22)【出願日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0064730
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523199265
【氏名又は名称】エイディーアール株式会社
【氏名又は名称原語表記】ADR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】137, Donghampyeongsandan-gil, Daedong-myeon, Hampyeong-gun, Jeollanam-do, 57141 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】517204531
【氏名又は名称】株式会社サンアール
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ハンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ユジン
(72)【発明者】
【氏名】豊田永基
(72)【発明者】
【氏名】豊田哲夫
【テーマコード(参考)】
4K013
【Fターム(参考)】
4K013BA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加炭効率を上げ、経済的で、操業を安定化出来る製鋼用加炭剤を提供する。
【解決手段】製鋼用加炭剤は、炭素材料;及び金属アルミニウム(Al)とアルミナ(Al2O3)を含むアルミニウムドロスと、金属マグネシウム(Mg)と酸化マグネシウム(MgO)を含むマグネシウムドロスと、シリコン(Si)中、選択されるいずれか一つ以上の還元剤を含み、上記炭素材料と上記還元剤の混合比は、上記炭素材料40乃至90重量%に対し、上記還元剤は10乃至60重量%であり、粉末状である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素材料;及び
金属アルミニウム(Al)とアルミナ(Al2O3)を含むアルミニウムドロスと、金属マグネシウム(Mg)と酸化マグネシウム(MgO)を含むマグネシウムドロスと、シリコン(Si)中、選択されるいずれか一つ以上の還元剤;
を含み、
上記炭素材料と上記還元剤の混合比は、上記炭素材料40乃至90重量%に対し、上記還元剤は10乃至60重量%であり、粉末状の加炭剤である事を特徴とする還元性製鋼用加炭剤。
【請求項2】
請求項1に於いて、
上記炭素材料は石炭、黒鉛、コークス又は炭化炉由来の炭素含有物質である事を特徴とする還元性製鋼用加炭剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製鋼用加炭剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気炉製鋼分野では原料として鉄スクラップを利用している。鉄スクラップを溶融させた溶鋼は炭素量が不足する場合が多く炭素量を補充する加炭作業が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特許公報 特公平4-042452公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記、加炭作業時に炭素材料を溶鋼へ投入する際、酸素雰囲気で炭素材料が酸化燃焼する場合が多い。其の為加炭に必要な所定量以上の炭素材料が必要となり、これに伴い加炭効率が良くならない。また作業の安定性の基準になるスクラップ溶落時の炭素量が安定しない。
【0005】
本発明は加炭効率を上げ、低廉させ経済的で、操業を安定化出来る製鋼用加炭剤を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目標を達成する為、本発明は, 炭素材料;及び金属アルミニウム(Al)とアルミナ(Al2O3)を含むアルミニウムドロスと,金属マグネシウム(Mg)と酸化マグネシウム(MgO)を含むマグネシウムドロスと, シリコン(Si)中、選択されるいずれか一つ以上の還元剤;を含み、 上記、炭素材料と上記還元剤の混合比は、 上記炭素材料40乃至90重量%に対し、上記還元剤は10乃至60重量%であり、粉末状の加炭剤である事を特徴とする還元性製鋼用加炭剤を技術的要旨とする。
【0007】
ここで上記炭素材料は石炭、黒鉛、コークス又は炭化炉由来の炭素含有物質である事が望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、本発明に係る還元性製鋼用加炭剤に一定量含有されるAl、Si或いはMgの金属が炭素材料よりも先に酸素と反応することにより炭素材料の酸化燃焼反応を抑制し、加炭効率の向上に寄与し、CO2発生を低減する利点がある。
【0009】
本発明に係る加炭剤に由れば、炭素材料を少なく使用しても100%炭素材料のみを使用する場合と同様の効果を示す。
【0010】
炭素材料と酸素の結合、即ち燃焼を抑制し二酸化炭素の発生量を抑制する利点がある。
【0011】
加炭剤を成型体に製作することなく粉末状態の加炭剤が提供でき、バインダー費用及び乾燥費用等の費用が不要である等、成型費用が削減され低費用で製鋼でき、経済的な利点がある。
【0012】
又、本発明に係る粉末状の加炭剤の場合、長期間保管が容易である利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に対して実施例と共に詳細を以下に説明する。本発明を説明するにあたり関連する公知技術又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に損なわせる可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0014】
そして後述される用語は本発明での機能を考慮し定義された用語で、是は使用者、運用者の意図又は慣例などよって異なる可能性があるため、その定義は、本発明を説明する本明細書全体にわたる内容に基づいて行われるべきである。
【0015】
本実施形態の還元性製鋼用加炭剤は溶鋼の炭素量を増やす為、溶鋼中に投入される粉末混合剤である。現在実用化されている加炭剤はその粒度が2mm~30mm程度で電気炉炉上バンカーからシューターから炉内へ装入されるのが一般的である。
【0016】
上記加炭剤を粉末状態ではなくペレット(Pellet)やブリケット(Briquette)状の成型物に製作し、装入できれば理想的であるが、成型加工費用が高く原価が高くなるため製鋼現場では成型物状態で利用する事に関心が高くない。この様な現実から電気炉内に挿入する方法は従来の方法に従って、加炭剤に還元性機能を付与させる。上記加炭剤をフレコンバッグに入れ鉄スクラップと共に投入し調整量はシューターから装入するのが合理的で現実的である。
【0017】
1. 実施形態
1-1. 構成
本発明に係る粉末状の還元性製鋼用加炭剤は、炭素材料と還元剤で構成される。そして、上記炭素材料40乃至90重量%と還元剤10乃至60重量%の比率で混合される。
【0018】
<炭素材料>
上記炭素材料は炭素を主成分とする材料である。即ち、炭素を70重量%以上含む材料を意味する。
【0019】
上記炭素材料としては石炭、黒鉛、コークス又は炭化炉由来の炭素含有物質が望ましい。また、木材を炭化した炭化チップも使用できる。石炭、黒鉛、コークスは天然資源であり、製鋼分野では従来から使用されている炭素材料である。
【0020】
炭化炉由来の炭素含有物質は廃棄物の減溶化手段である有機物の炭化化炉から生成される炭化物質である。 炭化炉由来の炭素含有物質を使用すると、天然資源の消費を抑えることができる。
【0021】
上記還元性製鋼用加炭剤に於ける炭素材料の含有量の下限としては約40重量%が望ましい。一方で炭素材料の含有量の上限としては約90重量%が可能であるが60重量%がより望ましい。
【0022】
製鋼用加炭剤に於いての固定炭素の含有量の下限としては30重量%が望ましく、35重量%がより望ましい。一方固定炭素の含有量の上限としては65重量%が望ましく、55重量%がより望ましい。
【0023】
上記還元性製鋼用加炭剤に於いての炭素材料又は固定炭素の含有量が上記下限よりも小さい場合、加炭効率が不充分となる憂慮がある。反対に炭素材料又は固定炭素の含有量が上記上限よりも大きい場合、還元剤の含有量が小さくなる為、この場合も加炭効率が充分に得られない憂慮がある。
【0024】
<還元剤>
上記還元剤はアルミニウムドロス、マグネシウムドロス及びシリコン中のいずれか一つ以上を選択し利用できる。上記還元剤はAl、Si、Mg等から選択される、いずれか一つ以上の還元性金属で構成されることを特徴とする。
【0025】
上記還元性金属等は金属の加工工程で発生する切粉、チップ、切削粉、研磨粉等の副産物を利用するのが合理的であり、最も現実的である。
【0026】
其の中、実用的な材料の一つはアルミニウムドロスである。本発明に使用されるアルミニウムドロスは金属アルミニウムの含有量の下限としては10重量%が望ましく、上限としては50重量%まで使用できる。
【0027】
上記アルミニウムドロスはアルミニウムの溶解時に発生する副生物である。その組成は金属アルミニウム(Al)及びその酸化物であるアルミナ(Alumina、Al2O3)が代表成分である。
【0028】
金属アルミニウムは活性が高い為、高温酸化雰囲気では炭素材料よりも先に酸素と反応する。其の為、金属アルミニウムを含有するアルミニウムドロスの存在により炭素材料の酸化燃焼が抑制される。
【0029】
この効果を確認する為の試験例を以下に説明する。
初めに、固定炭素76.32%の土壌黒鉛、単体Aとこの土壌黒鉛に金属アルミニウムを10重量%含むアルミニウムドロス粉末を混合した混合物Bを準備した。上記混合物Bは土壌黒鉛とAD10(金属アルミニウムを10重量%含むアルミニウムドロス)との混合重量比7:3とした。
【0030】
次に、酸化鉄(Fe2O3)の純度95%の一級試薬を反応量以上の140gを入れた黒鉛坩堝を二つ準備し、上記、各黒鉛坩堝に黒鉛単体Aとドロス粉末混合物Bを各々10gずつ入れ実験用電気炉にて1,400℃の温度で40分加熱し熱還元反応を比較した。
【0031】
上記熱反応により生成された還元鉄をFe(鉄)の形態分析で得た。具体的には上記坩堝の内容物の全量を臭素メタノール→塩酸→王水により順次溶解して、Feの形態分析を行った。この結果を表1に示す。
【0032】
上記表1で示したようにAとBの還元力は同等であった。即ちこの試験により炭素材料に3重量%の金属アルミニウムを含有させても炭素材料100重量%の材料と同じ還元力が発揮されることが示された。還元性加炭剤の特徴的な機能が証明された。即ち還元力を維持したまま炭素材料を金属アルミニウムの重量分減らせることが確認された。同時に炭素量により発生する二酸化炭素の量も削減される。又、アルミニウムドロスに含まれるアルミナ(Al2O3)は蛍石(CaF2)を使わずCaOの滓化(スラグ化)促進効果もありスラグには弗素(F)が無くなり環境保存に大きく寄与する。
【0033】
上記還元性製鋼用加炭剤に於いてのアルミニウムドロスの含有量は加炭剤に於いての金属アルミニウムの含有量が一定範囲になる様決定される。
【0034】
上記還元性製鋼用加炭剤に於いての金属アルミニウムの含有量の下限としては2重量%であり4重量%が、より望ましい。一方上記、還元性製鋼用加炭剤に於いての金属アルミニウムの含有量の上限としては10重量%であり8重量%が、より望ましい。
【0035】
上記還元性製鋼用加炭剤に於いての金属アルミニウムの含有量が上記下限よちも小さい場合、炭素材料の酸化燃焼の抑制が不充分になる事があり、反対に加炭剤に於いての金属アルミニウムの含有量が上記上限よりも大きい場合、炭素材料の含有量が相対的に小さくなる為、加炭効率を充分に得られない憂慮がある。
【0036】
上記アルミニウムに於いての金属アルミニウムの含有量は一定ではないが、公知の分析方法により迅速に分析出来る。従って金属アルミニウムの含有量を容易に調整出来る。
【0037】
上記アルミニウムドロスに於いての金属アルミニウムの含有量の下限としては、10重量%が望ましく、20重量%がより望ましい。一方、上記アルミニウムドロスに於いての金属アルミニウムの含有量の上限としては含有量の50重量%が望ましく、40重量%がより望ましい。
【0038】
上記アルミニウムドロスに於いての金属アルミニウムの含有量の上記上限以下にする事で、アルミニウムの回収が困難で製鋼分野での利用が限定されている低品位のアルミニウムドロスを有効的に活用することが出来る。一方上記アルミニウムドロスに於いての金属アルミニウムの含有量が上記下限よりも少ない場合、製鋼用加炭剤に於いての金属アルミニウムの含有量を一定量以上にする為にアルミニウムドロスの量が増大し、炭素材料の含有量が相対的に減少する憂慮がある。このような場合、金属Al、Mgの切粉、チップ、切削粉、研磨粉等と珪素鉄(フェロシリコン、Ferro Silicon 、Fe-Si)を利用する事が出来る。上記加炭剤に使用されるドロスの粒度としては20メッシュ以下が望ましい。
【0039】
上記金属アルミニウムの場合、金属単独での使用時よりも金属アルミニウムを含むアルミニウムドロスの利用がより合理的である。この場合、量が多く価格も低廉である。又、代表成分であるAl2O3はCaOと融合し、製鋼製錬に有利な流動性の良いCaO-Al2O3系スラグを形成する。
【0040】
上記還元剤として上記アルミニウムドロスだけではなく、シリコン(Si)又はマグネシウムドロスを利用する事もできる。
【0041】
シリコン(Si)の場合、主には珪素鉄(フェロシリコン、Ferro Silicon 、Fe-Si)が対象となるが、酸化し生成されるSiO2スラグが塩基度を下げる悪影響が憂慮される為、使用時にはその量を制限するのが良い。
【0042】
マグネシウム(Mg)の場合、上記アルミニウムドロスと同様に、金属マグネシウム(Mg)及び酸化マグネシウム(MgO)を含むマグネシウムドロスが利用できる。マグネシウムドロス単独で利用する事も出来、上記アルミニウムドロスの補助還元剤としても利用できる。
【0043】
参考として、上記還元性金属1gと反応する酸素量を次に示す。
【0044】
1-2. 製鋼方法
本発明の還元性製鋼用加炭剤を使用した製鋼方法に対して以下に説明する。本実施形態の製鋼方法は炭素を溶鋼に添加する工程を備える。
【0045】
炭素を溶鋼に添加する工程は精錬工程の一部である。炭素は還元性加炭剤を炉に投入し添加される。一方溶鋼鉄には生石灰と蛍石(CaF2)も造滓剤として装入されるが、本発明では CaF2が不要である。その理由は還元性加炭剤に使用されるアルミニウムドロスの主成分の一つであるアルミナ(Al2O3)がCaOと融合しスラグを形成する為である。
【0046】
上記炭素材料と混合された上記還元性製鋼用加炭剤は上記アルミニウムドロスに含まれる金属アルミニウムにより還元雰囲気下で加炭剤に含まれる炭素材料の酸化燃焼が抑制され効率的に溶鋼に加炭される。
【0047】
上述した実施形態により以下の効果を得られる。
上記還元性製鋼用加炭剤中に一定量含有されるアルミニウムドロスから由来される金属アルミニウムが炭素材料より優先し、酸素と反応する。又、アルミニウムドロスが含有するアルミナスラグ形成に寄与しつつ、炭素材料が大気と接触する事を防ぎ炭素材料の酸化燃焼が抑制される。従って本発明の還元性製鋼用加炭剤によると、溶鋼鉄に対する加炭効率を高めることが出来、電気炉操業の安定性が向上する。
【0048】
又、上記還元性製鋼用加炭剤は石炭等の炭素材料とアルミニウムドロスの混合物であり配合により炭素材料が30%程度減少し、不必要な炭素材料の燃焼の抑制により二酸化炭素の発生量を抑制できる。しかもアルミニウムドロスを原料として利用する事で加炭剤の費用、更に製鋼費用を節減出来る。
【0049】
2. 試験例
本発明の効果を確認する為に、実施した試験の内容とその評価について以下に説明する。
【0050】
<試験例 1>
初めに、炭素材料として平均粒度3mm、固定炭素78.2%の無煙炭と粒径1mm以下の金属アルミニウム30%を含むアルミニウムドロス(AD30)を混合し還元性加炭剤を製造した。上記還元性製鋼用加炭剤に於いての金属アルミニウムの含有量は6重量%である。
【0051】
フレコンバッグに上記還元性製鋼用加炭剤を入れ鉄スクラップ追加装入時、電気炉に上記鉄スクラップと同時に装入した。
【0052】
試験に於いての溶落炭素(MDC)の目標値を0.3%に設定し、上記鉄スクラップの装入量は平均88tとした。上記鉄スクラップを原料とする溶鋼に従来の加炭材である無煙炭と試験例1の還元性加炭剤とを原単位を変えながらチャージ毎に投入しMDCを測定した。その結果を次の表3に示す。
【0053】
【0054】
上記表3に示したように試験例1の還元性製鋼用加炭剤では原単位を無煙炭に比べ約2kg/t減らした場合でも、目標値0.3%を超える0.43%のMDCを得られた。この実際の電気炉試験では試験例1の還元性製鋼用加炭剤の原単位は7~9kg/tで0.3%のMDCを達成出来た。
【0055】
<試験例 2>
試験例1の様な無煙炭と金属アルミニウム15%重量%のアルミニウムドロスを7:3で混合し、還元性製鋼用加炭剤を試験例1と同様に製造した。この還元性製鋼用加炭剤の原単位を8.5kg/tで操業したところMDCは0.33%であり、試験例1とほぼ同等であった。
【0056】
<試験例 3>
無煙炭に粒度1mm以下の金属アルミニウムの含有量が10.1重量%のアルミニウムドロス粉末(AD10)を10重量%と珪素鉄であるFerro Silicon 75(Si 75%含有合金鉄)を3重量%、そして含有量が10重量%のマグネシウムドロスを10重量%混合し、還元性製鋼用加炭剤を製作し原単位9kg/tで操業した結果、MDCは0.33%を得た。
【0057】
上記還元性加炭剤の還元金属の合計は、
Al + Si + Mg = (10/100×10.1%) + (3/100×75%) + (10/100×10%) = 4.26重量%である。
【0058】
上記試験例1から3を通して上記還元性製鋼用加炭剤の機能と効果を明らかに示している。
【0059】
<比較例 1>
加炭剤として炭素を4~5%含む銑鉄及びコークスを利用し鉄スクラップ総量88トン中4.6kgを加炭剤としての銑鉄とみなしコークス原単位6.6kg/tで操業した。その結果MDCは0.25%で目標値0.3%に至らなかった。
【0060】
<比較例 2>
加炭剤としてコークスを利用し、コークス原単位9.09kg/t、吹き込み粉末コークス3.82kg/tで操業した。その結果MDCは0.21%で目標値0.3%に至らなかった。
【0061】
以上、本発明の一実施例に限定し説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、様々な方法に変更し実施されたり、更には開示された技術的内容に基づいて別々の技術的特徴が付加され実施されたり、上記実施形態の構成の少なくとも一部を他の上記実施形態の構成に対して付加置換等してもよいことは明らかであろう。