IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山崎 明美の特許一覧

<>
  • 特開-質量流量計測装置 図1
  • 特開-質量流量計測装置 図2
  • 特開-質量流量計測装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174619
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】質量流量計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/80 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
G01F1/80
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023095932
(22)【出願日】2023-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】520105164
【氏名又は名称】山崎 明美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴志
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035AA06
2F035JA03
(57)【要約】
【課題】流動体の流れにおいて質量流量をリアルタイムに計測するのに好適な、質量流量計測装置を提供する。
【解決手段】流動体の流れにおいて、流れに接触して流れの方向を変化させる受圧部1と、受圧部1が流れから受ける力を計測する計測部2と、を備え、計測部2から得る力の情報と、計測部2の計測とは別に計測または推測する流れの速度情報と、を含む情報からの演算により流れの質量流量を算出することを特徴とする、質量流量計測装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体の流れにおいて、流れに接触して流れの方向を変化させる受圧部(1)と、受圧部(1)が流れから受ける力を計測する計測部(2)と、を備え、計測部(2)から得る力の情報と、計測部(2)の計測とは別に計測または推測する流れの速度情報と、を含む情報からの演算により流れの質量流量を算出することを特徴とする、質量流量計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、流動体の流れにおいて質量流量をリアルタイムに計測するのに好適な、質量流量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪地域の除雪方法の一つである運搬排雪作業では、ロータリ除雪車でダンプトラックに雪を積み込む作業が行われる。この積み込み作業では、雪は、ロータリ除雪車のシュート装置内を流動状態となって流れ、ダンプトラックの荷台に吐出される。ダンプトラックには積載重量制限があるが、ロータリ除雪車のシュート装置から吐出される雪の質量流量をリアルタイムに計測する方法がない。流動体の流れにおいて質量流量をリアルタイムに計測する方法としては、特許文献1~2に、質量流量測定装置や質量流量計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-276519号公報
【特許文献2】特開2009-150671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、ロータリ除雪車のシュート装置内を流れる雪の質量流量や、その他の流動体の流れにおける質量流量をリアルタイムに計測するのに好適な、質量流量計測装置を提供するものである。
【0005】
流動体の流れにおいて質量流量をリアルタイムに計測する方法としては、特許文献1~2に、質量流量測定装置や質量流量計が開示されているが、いずれの文献も、流動体が流れる流路が管路に限定されており、ロータリ除雪車のシュート装置のような開放状態の流路には適応しないものとなっている。
【0006】
対して本願発明は、流動体の流れにおいて、流動体が流れる流路が管路ではなくロータリ除雪車のシュート装置のような開放状態であっても、さらには、流路がない状態の流れであっても、質量流量をリアルタイムに計測することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
流動体の流れにおいて、流れに接触して流れの方向を変化させる受圧部1と、受圧部1が流れから受ける力を計測する計測部2と、を備え、計測部2から得る力の情報と、計測部2の計測とは別に計測または推測する流れの速度情報と、を含む情報からの演算により流れの質量流量を算出することを特徴とする、質量流量計測装置とする。
【発明の効果】
【0008】
流動体の流れにおいて、流れに接触して流れの方向を変化させる受圧部1を設けることで、受圧部1は流れから力を受ける。この力を力覚センサ等の計測部2により計測することで時系列的な力の情報を得ることができる。この力の情報と、計測部2とは別途に流速計等により計測するかまたは流れを発生させる装置の回転数等から推測する流れの時系列的な速度情報と、を含む情報からの演算により、力と運動量(ベクトル量)の変化量との関係から、受圧部1に接触した流動体の質量を時系列的に算出することができるため、質量流量をリアルタイムに計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の概略正面図および概略断面図である。
図2】実施例2の概略平面図である。
図3】実施例3の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
流動体の流れにおいて、流れに接触して流れの方向を変化させる受圧部1と、受圧部1が流れから受ける力を計測する計測部2と、を備え、計測部2から得る力の情報と、計測部2の計測とは別に計測または推測する流れの速度情報と、を含む情報からの演算により流れの質量流量を算出することを特徴とする、質量流量計測装置とする。
【0011】
図1に、本願発明に係る実施例1を示す。実施例1は、ロータリ除雪車のシュート装置4内を流れる雪の質量流量を計測する装置としている。受圧部1をシュートキャップ3とし、また、計測部2を6軸力覚センサとし、計測部2はシュートキャップ3の後面とシュートキャップ3を支える架台との間に設置している。雪がシュート装置4内を流れ、シュートキャップ3と接触して流れの方向が変化する際に、シュートキャップ3に働く力とモーメントを6軸力覚センサにより計測するものとしている。
【0012】
シュートキャップ3は雪の吐出方向を前後に変化させることができるように可動するが、6軸力覚センサで計測する力とモーメントの分解・合成により、シュートキャップ3に働く力の任意方向成分を知ることができるため、シュートキャップ3が動いて流れの方向を変化させる角度が変化しても質量流量を計測することができる。
【0013】
雪の流れの速度は、シュートキャップ3とシュート装置4との間の隙間から計測できるように設置する流速計6により計測するものとしている。流速計6は、雪の流れに接触させて回転する羽根車の回転数から流速を計測するものとしているが、雪の流れに非接触で計測する超音波流速計やレーザードップラ流速計等であっても良い。また、雪の流れの速度は、高速度撮影画像からの画像解析により計測しても良い。さらに、雪の流れの速度は、ロータリ除雪車において雪の流れを発生させるブロア装置5の回転数や、ブロア装置5の動力源の回転数や出力から推測しても良い。
【0014】
流速計6の設置位置や前記高速度撮影画像の撮影位置は、前記のシュートキャップ3とシュート装置4との間の隙間のほか、シュート装置4の背面に観測窓や観測孔を設けてその位置とすることや、開放流路であるシュートキャップ3やシュート装置4の前面とすることも考えられる。
【0015】
図2に、本願発明に係る実施例2を示す。実施例2は、管内を流れる流動体の質量流量を計測する装置としている。実施例2では、受圧部1を曲管7とし、また、計測部2を1方向のみの力を計測するロードセルとし、計測部2は曲管7の後方に設置している。ロードセルの設置位置は曲管7に働く力を計測することができればどこでもよく、曲管7の側面に突起をつけて設置したり、リニアガイド8に組み込んだりすることも考えられる。曲管7はリニアガイド8により保持され、力の計測方向にのみ可動可能として、曲管7に働く力の計測に影響を与えないようにしている。また、曲管7とその前後の管との隙間を塞ぐための継手9は、曲管7との間でなめらかに滑るようにしており、曲管7に働く力の計測に影響を与えないようにしている。
【0016】
管内の流れの速度は、曲管7の手前の管に設置した流速計6により計測するものとしている。流速計6は、管の外側から流動体に非接触で計測することができる超音波流速計としているが、レーザードップラ流速計としても良く、その場合計測箇所の管を透明にする必要がある。また、管内の流れの速度の計測は、管に開口部を設けて実施例1のような羽根車式の計測方法としたり、管の一部を透明にして高速度撮影画像からの画像解析による計測方法とすること等も考えられる。
【0017】
図3に、本願発明に係る実施例3を示す。実施例3は、流路がない状態で自由落下する流動体としての固体粒子群の質量流量を計測する装置としている。実施例3では、受圧部1を傾斜させた平板10とし、計測部2を鉛直方向の荷重を計測するロードセルとしている。ロードセルは、平板10の下部に水平に取り付けた水平板11の4隅に設置している。
【0018】
受圧部1に接触する直前の固体粒子群の速度は、計測器による計測を行わずに、固体粒子群の自由落下開始高さから推測するものとしているが、前記のような各種流速計や各種計測方法により計測するものとしてもよい。
【0019】
本願発明において、流動体の質量流量の算出を精度良く行うには、受圧部1に接触する直前と直後の両方の速度情報を演算に利用することが理想ではあるが、装置の簡略化のため、実施例1~実施例3では受圧部1に接触する直前の速度情報のみを演算に利用するものとしている。
【0020】
受圧部1における流動体が接触する面は平面でも曲面でもよく、また、受圧部1が流動体の流れの方向を変化させる角度は任意でよいが、流れの方向を変化させる角度が小さすぎると精度の高い計測が難しくなる。
【0021】
質量流量算出のための演算には、受圧部1が変化させる流動体の流れの方向の角度変化量の情報も必要であり、受圧部1が固定的である実施例2や実施例3の場合には、曲管7の曲がり角度や平板10の傾斜角度が固定値として前記の角度変化量となる。受圧部1が可動する実施例1のような場合には、受圧部1の角度状態を計測するセンサ等により前記の角度変化量を得たり、6軸力覚センサ等の多方向成分を計測する計測部2の計測値の各方向成分から前記の角度変化量を推測すること等が考えられる。
【0022】
また、質量流量算出のための演算には、流動体の流れの方向によっては重力の考慮も当然必要である。精度の高い計測のためには、流動体と受圧部1との摩擦や流動体の空気抵抗等の要素の考慮も必要であり、これらの要素を演算に反映させる方法としては、理論式による方法のほか、事前計測試験で作成する補正係数を利用する方法等が考えられる。
【0023】
図1図3に示した、実施例1~実施例3は、本願発明の実施例に過ぎず、受圧部1の形状・設置方法・設置位置・設置角度、計測部2の計測方法・機器の種類・設置方法・設置位置・設置個数、リニアガイド8や継手9の有無・構造・設置位置・設置個数、流動体の流速の計測方法・計測機器の種類・計測位置、流動体の種類、等を限定するものではない。
【0024】
図1図3に示した、実施例1~実施例3には、本願発明の各構成機器の動作や演算に当然必要な、電力ケーブル、信号ケーブル、演算装置、電源等は記載していないが、記載していないことをもって不要であるということではない。信号ケーブルは無線通信での代替も考えられる。
【0025】
1 受圧部
2 計測部
3 シュートキャップ
4 シュート装置
5 ブロア装置
6 流速計
7 曲管
8 リニアガイド
9 継手
10 平板
11 水平板
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体の流れにおいて、流れに接触して流れの方向を変化させる受圧部(1)と、受圧部(1)が流れから受ける力を計測する計測部(2)と、を備え、計測部(2)から得る力の情報と、計測部(2)の計測とは別に計測または推測する流れの速度情報と、を含む情報からの演算により流れの質量流量を算出すること、および、受圧部(1)を、流れの方向の変化量を任意に変化させることができるように可動とし、流れの方向の変化量が変化しても質量流量を算出できること、を特徴とする、質量流量計測装置。