(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174626
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20231130BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20231130BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231130BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231130BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231130BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/36
G09G3/20 611A
G09G3/20 611H
G09G3/20 624B
G09G3/20 642A
G09G3/20 650C
G09F9/30 338
H01L29/78 612Z
H01L29/78 613Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149062
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2022145811の分割
【原出願日】2018-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2017225270
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直人
(57)【要約】
【課題】画像品質を高めることができる表示装置を提供する。
【解決手段】各画素には記憶ノードが設けられ、当該記憶ノードに第1のデータを保持す
ることができる。第1のデータには容量結合によって第2のデータが付加され、表示素子
に供給することができる。したがって、表示装置では補正された画像を表示することがで
きる。また、容量結合動作を行うための基準電位を電源線等から供給する構成とするため
、第1のデータおよび第2のデータを共用の信号線で供給することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第1の容量素子と、回路ブロックと、第1の配線と、第2の配線と、を有する表示装置であって、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記第1の容量素子の一方の電極と電気的に接続され、
前記第1の容量素子の他方の電極は、前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記回路ブロックと電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第1の配線に電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記第1の配線に電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2の配線と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのゲートは、前記第2の配線と電気的に接続され、
前記回路ブロックは、表示素子を有し、
前記第1のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記第2のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記第3のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有する表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装
置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を
一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、記憶装置、
表示装置、撮像装置、電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが
、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。酸化物半導体としては、例えば、
酸化インジウム、酸化亜鉛などの一元系金属の酸化物のみでなく、多元系金属の酸化物も
知られている。多元系金属の酸化物の中でも、特にIn-Ga-Zn酸化物(以下、IG
ZOとも呼ぶ)に関する研究が盛んに行われている。
【0005】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもないCAA
C(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(nan
ocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照)。
非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いてトラ
ンジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造およびnc構造よりも
結晶性の低い酸化物半導体でさえも微小な結晶を有することが非特許文献4および非特許
文献5に示されている。
【0006】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非特
許文献6参照)、その特性を利用したLSIおよびディスプレイが報告されている(非特
許文献7および非特許文献8参照)。
【0007】
また、オフ電流が極めて低いトランジスタをメモリセルに用いる構成の記憶装置が特許文
献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S. Yamazaki et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2012, volume 43, issue 1, p.183-186
【非特許文献2】S. Yamazaki et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2014, volume 53, Number 4S, p.04ED18-1-04ED18-10
【非特許文献3】S. Ito et al., “The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”, 2013, p.151-154
【非特許文献4】S. Yamazaki et al., “ECS Journal of Solid State Science and Technology”, 2014, volume 3, issue 9, p.Q3012-Q3022
【非特許文献5】S. Yamazaki, “ECS Transactions”,2014, volume 64, issue 10, p.155-164
【非特許文献6】K. Kato et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2012, volume 51, p.021201-1-021201-7
【非特許文献7】S. Matsuda et al., “2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”, 2015, p.T216-T217
【非特許文献8】S. Amano et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2010, volume 41, issue 1, p.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
表示装置では高解像度化が進み、8K4K(画素数:7680×4320)解像度または
それ以上の解像度で表示を行うことができるハードウェアが開発されている。また、輝度
調整によって画像品質を高めるHDR(ハイダイナミックレンジ)表示技術の導入も進ん
でいる。
【0011】
表示装置で適切な表示を行うためには、画像データを表示装置の解像度に合わせる必要が
ある。例えば、表示装置の解像度が8K4Kであって画像データが4K2K(画素数:3
840×2160)用である場合は、データ数を4倍に変換しなければ全画面表示をする
ことができない。逆に、表示装置の解像度が4K2Kであって画像データが8K4K用で
ある場合は、データ数を1/4に変換する必要がある。
【0012】
また、HDR処理による画像データの生成やデータ数の変換には専用の回路が必要となり
、消費電力も高めてしまう問題がある。少なくとも元の画像データは変換せずに表示装置
の画素に入力できることが好ましい。
【0013】
したがって、本発明の一態様では、画像品質を高めることができる表示装置を提供するこ
とを目的の一つとする。または、画像データを変換せずに適切な表示が行える表示装置を
提供することを目的の一つとする。または、HDR表示を行うことができる表示装置を提
供することを目的の一つとする。または、アップコンバート動作が行える表示装置を提供
することを目的の一つとする。または、表示画像の輝度を高めることができる表示装置を
提供することを目的の一つとする。または、二つの画像を重ねて表示できる表示装置を提
供することを目的の一つとする。
【0014】
または、低消費電力の表示装置を提供することを目的の一つとする。または、信頼性の高
い表示装置を提供することを目的の一つとする。または、新規な表示装置などを提供する
ことを目的の一つとする。または、上記表示装置の駆動方法を提供することを目的の一つ
とする。または、新規な半導体装置などを提供することを目的の一つとする。
【0015】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、画像品質を高めることができる表示装置に関する。または、画像処理
を行うことができる表示装置に関する。
【0017】
本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタ
と、第1の容量素子と、回路ブロックと、第1の配線と、第2の配線と、を有する表示装
置であって、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第2のトランジスタ
のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第2のトランジスタのソースまたは
ドレインの一方は、第1の容量素子の一方の電極と電気的に接続され、第1の容量素子の
他方の電極は、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、
第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、回路ブロックと電気的に接続され
、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第1の配線に電気的に接続され
、第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第1の配線に電気的に接続され
、第2のトランジスタのゲートは、第2の配線と電気的に接続され、第3のトランジスタ
のゲートは、第2の配線と電気的に接続され、回路ブロックは、表示素子を有する表示装
置である。
【0018】
また、本発明の他の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の回
路および第2の回路と、第1の配線と、第2の配線と、を有する表示装置であって、第1
の回路および第2の回路のそれぞれは、第3のトランジスタと、第1の容量素子と、回路
ブロックと、を有し、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第1の容量
素子の一方の電極と電気的に接続され、第1の容量素子の一方の電極は、回路ブロックと
電気的に接続され、第1の容量素子の他方の電極は、第1のトランジスタのソースまたは
ドレインの一方と電気的に接続され、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方
は、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第1の回路
が有する第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第1の配線と電気的に接
続され、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第1の配線と電気的に接
続され、第1の回路が有する第3のトランジスタのゲートは、第2の配線と電気的に接続
され、第2の回路が有する第3のトランジスタのゲートは、第2の配線と電気的に接続さ
れ、第2のトランジスタのゲートは、第2の配線と電気的に接続され、回路ブロックは表
示素子を有する表示装置である。
【0019】
回路ブロックは、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、第2の容量素子と、表
示素子として有機EL素子と、を有し、有機EL素子の一方の電極は、第5のトランジス
タのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第5のトランジスタのソースまた
はドレインの他方は、第2の容量素子の一方の電極と電気的に接続され、第2の容量素子
の一方の電極は、第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され
、第4のトランジスタのゲートは、第2の容量素子の他方の電極と電気的に接続され、第
2の容量素子の他方の電極は、第1の容量素子の一方の電極と電気的に接続された構成と
することができる。
【0020】
上記構成において、第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第2のトラン
ジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続することができる。
【0021】
また、回路ブロックは、第6のトランジスタと、第3の容量素子と、表示素子として液晶
素子と、を有し、液晶素子の一方の電極は、第3の容量素子の一方の電極と電気的に接続
され、第3の容量素子の一方の電極は、第6のトランジスタのソースまたはドレインの一
方と電気的に接続され、第6のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第1の容
量素子の一方の電極と電気的に接続された構成としてもよい。
【0022】
上記構成において、第3の容量素子の他方の電極は、第2のトランジスタのソースまたは
ドレインの他方と電気的に接続することができる。
【0023】
第3のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、金属酸化物は、Inと、
Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)と
、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様を用いることで、画像品質を高めることができる表示装置を提供すること
ができる。または、画像データを変換せずに適切な表示が行える表示装置を提供すること
ができる。または、HDR表示を行うことができる表示装置を提供することができる。ま
たは、アップコンバート動作が行える表示装置を提供することができる。または、表示画
像の輝度を高めることができる表示装置を提供することができる。または、二つの画像を
重ねて表示できる表示装置を提供することができる。
【0025】
または、低消費電力の表示装置を提供することができる。または、信頼性の高い表示装置
を提供することができる。または、新規な表示装置などを提供することができる。または
、上記表示装置の駆動方法を提供することができる。または、新規な半導体装置などを提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】画素回路の動作を説明するタイミングチャート。
【
図3】画像データの補正および画像の合成を説明する図。
【
図8】画素アレイの動作を説明するタイミングチャート。
【
図10】ニューラルネットワークの構成例を説明する図。
【
図11】シミュレーションに用いる画素アレイの構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変
更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施
の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成
において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通
して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハ
ッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0028】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置について、図面を参照して説明する。
【0029】
本発明の一態様は、画素内で画像データを補正する機能を有する表示装置である。各画素
には記憶ノードが設けられ、当該記憶ノードに第1のデータを保持することができる。第
1のデータには容量結合によって第2のデータが付加され、表示素子に供給することがで
きる。または、当該記憶ノードに第2のデータを書き込んだ後に第1のデータを容量結合
で付加することもできる。
【0030】
したがって、表示装置では補正された画像を表示することができる。当該補正によって、
画像のアップコンバートを行うことができる。または、表示部における一部または全体の
画像を補正し、HDR表示を行うことができる。または、第1のデータおよび第2のデー
タとして同じ画像データを用いることで、表示画像の輝度を大幅に向上させることができ
る。または、第1のデータおよび第2のデータとして異なる画像データを用いることで、
任意の画像を重ねあわせて表示することができる。
【0031】
また、本発明の一態様を用いることで、高解像度用および低解像度用の二つの画像データ
に対して、アップコンバートまたはダウンコンバートすることなく適切な表示を行うこと
ができる。高解像度で表示する場合は、各画素が有する第1のトランジスタを経路して各
画素に個別のデータを供給する。低解像度で表示する場合は、複数の画素と電気的に接続
する第2のトランジスタを経路して当該複数の画素に同一のデータを供給する。
【0032】
ここで、高解像度用の画像データとは、例えば、8K4K(画素数:7680×4320
)に対応するデータに相当する。また、低解像度用の画像データとは、例えば、4K2K
(画素数:3840×2160)に対応するデータに相当する。すなわち、高解像度用画
像データと低解像度用画像データの有効なデータ数(有効な画素数に対応)の比率は4:
1であることを前提とする。
【0033】
なお、データ数(画素数)の比率が4:1であれば、上記の例に限らず、高解像度用の画
像データが4K2Kに対応するデータ、低解像度用の画像データがFullHD(画素数
:1920×1080)に対応するデータであってもよい。または、高解像度用の画像デ
ータが16K8K(画素数:15360×8640)に対応するデータ、低解像度用の画
像データが8K4Kに対応するデータであってもよい。
【0034】
図1は、本発明の一態様の表示装置に用いることができる画素10を説明する図である。
画素10は、トランジスタ101と、トランジスタ102と、トランジスタ103と、容
量素子104と、回路ブロック110を有する。回路ブロック110は、トランジスタ、
容量素子、および表示素子などを有することができ、詳細は後述する。
【0035】
トランジスタ101のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ102のソースまた
はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ102のソースまたはドレインの
一方は、容量素子104の一方の電極と電気的に接続される。容量素子104の他方の電
極は、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トラン
ジスタ103のソースまたはドレインの一方は、回路ブロック110と電気的に接続され
る。
【0036】
ここで、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方、容量素子104の他方の電
極、および回路ブロック110が接続される配線をノードNMとする。なお、ノードNM
と接続する回路ブロック110の要素は、ノードNMをフローティングにすることができ
る。
【0037】
トランジスタ101のゲートは、配線122と電気的に接続される。トランジスタ102
のゲートおよびトランジスタ103のゲートは、配線121と電気的に接続される。トラ
ンジスタ101のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ103のソースまたは
ドレインの他方は、配線123と電気的に接続される。トランジスタ102のソースまた
はドレインの他方は、特定の電位“Vref”を供給することのできる配線と電気的に接
続される。
【0038】
配線121、122は、トランジスタの動作を制御するための信号線としての機能を有す
ることができる。配線123は、第1のデータまたは第2のデータを供給する信号線とし
ての機能を有することができる。“Vref”を供給することのできる配線としては、例
えば回路ブロック110の要素と電気的に接続される電源線などを用いることができる。
【0039】
なお、後に説明する容量結合動作を行うには、画素に“Vref”および第1のデータ(
例えば、補正データ)を同じ期間に供給する必要がある。そのため、“Vref”を信号
線から供給する場合は、少なくとも、第1のデータを供給する信号線と、“Vref”ま
たは第2のデータ(例えば、画像データ)を供給する信号線が必要となる。
【0040】
一方、本発明の一態様の表示装置では“Vref”の供給を電源線等から行うため、タイ
ミングを切り替えることにより、第1のデータの供給または第2のデータの供給を一つの
信号線(配線123)から行うことができる。すなわち、少ない配線数で構成することが
できる。
【0041】
ノードNMは記憶ノードであり、トランジスタ103を導通させることで、配線123に
供給されたデータをノードNMに書き込むことができる。また、トランジスタ103を非
導通とすることで、当該データをノードNMに保持することができる。トランジスタ10
3に極めてオフ電流の低いトランジスタを用いることで、ノードNMの電位を長時間保持
することが可能となる。当該トランジスタには、例えば、金属酸化物をチャネル形成領域
に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)を用いることができる。
【0042】
なお、トランジスタ103だけでなく、画素を構成するその他のトランジスタにOSトラ
ンジスタを適用してもよい。また、トランジスタ103にSiをチャネル形成領域に有す
るトランジスタ(以下、Siトランジスタ)を適用してもよい。または、OSトランジス
タと、Siトランジスタとの両方を用いてもよい。なお、上記Siトランジスタとしては
、アモルファスシリコンを有するトランジスタ、結晶性のシリコン(代表的には、低温ポ
リシリコン、単結晶シリコン)を有するトランジスタなどが挙げられる。
【0043】
OSトランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ま
しくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができ
る。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAAC
-OSまたはCAC-OSなどを用いることができる。CAAC-OSは結晶を構成する
原子が安定であり、信頼性を重視するトランジスタなどに適する。また、CAC-OSは
、高移動度特性を示すため、高速駆動を行うトランジスタなどに適する。
【0044】
OSトランジスタはエネルギーギャップが大きいため、極めて低いオフ電流特性を示す。
また、OSトランジスタは、インパクトイオン化、アバランシェ降伏、および短チャネル
効果などが生じないなどSiトランジスタとは異なる特徴を有し、信頼性の高い回路を形
成することができる。
【0045】
OSトランジスタが有する半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム
、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム
、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記され
る膜とすることができる。
【0046】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn酸化
物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M
、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の
原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In
:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.
1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:
1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタ
リングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0047】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いる。例えば、半導体層は、キ
ャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さらに
好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、さら
に好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上のキャリア密
度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または
実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。当該酸化物半導体は、欠陥準位密度が低く、
安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0048】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効
果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とす
るトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥
密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好まし
い。
【0049】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が
含まれると、酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコ
ンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atom
s/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0050】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生
成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、半
導体層におけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度(二次イオン質量分析法によ
り得られる濃度)を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016a
toms/cm3以下にする。
【0051】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が
生じてキャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半
導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層におけ
る窒素濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)は、5×1018atoms/
cm3以下にすることが好ましい。
【0052】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向
した結晶を有するCAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalli
ne Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非
晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAA
C-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0053】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない
。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さな
い。
【0054】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC
-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合
膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層
構造を有する場合がある。
【0055】
以下では、非単結晶の半導体層の一態様であるCAC(Cloud-Aligned C
omposite)-OSの構成について説明する。
【0056】
CAC-OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以
下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構
成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が
偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm
以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状
ともいう。
【0057】
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムお
よび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イッ
トリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲ
ルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、
タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含
まれていてもよい。
【0058】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-G
a-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物
(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸
化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)
とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする
。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、および
Z4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状とな
り、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した
構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0059】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、
またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体
である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比
が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第
2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0060】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場
合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(
1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表
される結晶性の化合物が挙げられる。
【0061】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、
CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面において
は配向せずに連結した結晶構造である。
【0062】
一方、CAC-OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、G
a、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観
察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれ
モザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC-OSにおいて、
結晶構造は副次的な要素である。
【0063】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。
例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含ま
ない。
【0064】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が
主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0065】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム
、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン
、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネ
シウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部
に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とする
ナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成を
いう。
【0066】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成
することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスと
して、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれた
いずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素
ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ま
しくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0067】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひ
とつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに
、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定
領域のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0068】
また、CAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を
照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該
リング領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC-
OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nan
o-crystal)構造を有することがわかる。
【0069】
また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X
線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectro
scopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域
と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合
している構造を有することが確認できる。
【0070】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IG
ZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分で
ある領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互い
に相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0071】
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3
などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY
2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化
物半導体としての導電性が発現する。したがって、InX2ZnY2OZ2、またはIn
OX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界
効果移動度(μ)が実現できる。
【0072】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX
1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが
主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なス
イッチング動作を実現できる。
【0073】
したがって、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性
と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用す
ることにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現するこ
とができる。
【0074】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC-OSは
、様々な半導体装置の構成材料として適している。
【0075】
図2(A)、(B)に示すタイミングチャートを用いて、画像データに補正データを付加
する画素10の動作の一例を説明する。なお、以下の説明においては、高電位を“H”、
低電位を“L”で表す。また、補正データを“Vp”、画像データを“Vs”、特定の電
位を“Vref”とする。“Vref”としては、例えば0V、GND電位または特定の
基準電位を用いることができる。なお、“Vp”は任意の第1のデータ、“Vs”は任意
の第2のデータということもできる。
【0076】
まず、
図2(A)を用いて補正データ“Vp”をノードNMに書き込む動作を説明する。
なお、ここでは電位の分配、結合または損失において、回路の構成や動作タイミングなど
に起因する詳細な変化は勘案しない。また、容量結合による電位の変化は供給側と被供給
側の容量比に依存するが、説明を明瞭にするため、ノードNMの容量値は十分に小さい値
に仮定する。
【0077】
時刻T1に配線121の電位を“H”、配線122の電位を“L”、配線123の電位を
“Vp”とすると、トランジスタ102が導通し、容量素子104の一方の電極の電位は
“Vref”となる。当該動作は、後の補正動作(容量結合動作)を行うためのリセット
動作である。
【0078】
また、トランジスタ103が導通し、ノードNMに配線123の電位(補正データ“Vp
”)が書き込まれる。
【0079】
時刻T2に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“L”、配線123の電位を
“L”とすると、トランジスタ102およびトランジスタ103が非導通となり、ノード
NMに補正データ“Vp”が保持される。また、容量素子104には、“Vp-Vref
”が保持される。
【0080】
ここまでが補正データ“Vp”の書き込み動作である。なお、補正を行わない場合は、上
記動作において、補正データ“Vp”として“Vref”と同じ電位を供給すればよい。
【0081】
続いて、
図2(B)を用いて、画像データ“Vs”の補正動作および回路ブロック110
が有する表示素子での表示動作を説明する。
【0082】
図2(A)、(B)の動作は、1水平期間内で連続して行うことができる。または、
図2
(A)の動作を第kのフレームで行い(kは自然数)、
図2(B)の動作を第k+1のフ
レームで行ってもよい。または、
図2(A)の動作の後、
図2(B)の動作を複数回行っ
てもよい。
【0083】
時刻T11に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“H”、配線123の電位
を“Vs”とすると、トランジスタ101が導通し、容量素子104の容量結合によりノ
ードNMの電位に配線123の電位“Vs”が付加される。このとき、ノードNMの電位
は“Vp-Vref+Vs”であり、“Vref”=0であれば、ノードNMの電位は、
“Vp+Vs”となる。
【0084】
時刻T12に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“L”、配線123の電位
を“L”とすると、トランジスタ103が非導通となり、ノードNMの電位は、“Vp+
Vs”に保持される。
【0085】
その後、回路ブロック110が有する表示素子において、ノードNMの電位に応じた表示
動作を行う。なお、回路ブロックの構成によっては、時刻T1または時刻T11から表示
動作を行う場合もある。
【0086】
ここで、画像データの補正動作について、
図3(A)を用いて説明する。
【0087】
図3(A)に示す図は水平垂直方向の4画素(P1乃至P4)を示しており、左から、入
力される画像データ(Vs1、Vs2、Vs3)、入力される補正データ(+Vp1、V
p0、-Vp1)、生成される補正後の画像データである。なお、以下の説明において、
表示素子では、画像データの電位が相対的に高いときに高輝度、低いときに低輝度の表示
が行えることとする。
【0088】
例えば、画素P1において、画像データ“Vs1”に対してプラスの補正データ“+Vp
1”が適用されると、画像データは“Vs1+Vp1”となり、輝度が上昇する。画素P
2およびP3において、画像データVs2に対して実質的に補正なしとなる補正データ“
Vp0”が適用されると、画像データは“Vs2+Vp0=Vs1”となり、輝度は変化
しない。画素P4において、画像データ“Vs3”に対してマイナスの補正データ“-V
p1”が適用されると、画像データは“Vs1-Vp1”となり、輝度が低下する。
【0089】
このような画像データと補正データとの組み合わせにおいては、アップコンバート、HD
R表示、表示装置固有の表示ムラの補正、画素が有するトランジスタのしきい値電圧の補
正などを行うことができる。
【0090】
アップコンバート動作では、例えば、4画素全てに同じ画像データを供給する。補正によ
りそれぞれの画素で異なる画像の表示を行うことができる。例えば、8K4Kの画素数を
有する表示装置の特定の4画素に4K2Kの画素数を有する表示装置の特定の1画素に適
用されるデータを入力し、解像度を向上させた表示を行うことができる。
【0091】
また、広義では画像データの補正であるが、異なる画像を重ねて表示させることができる
。
図3(B)は、表示部全体の画像を示しており、左から、画像データ“Vs”で構成す
る第1の画像、補正データ“Vp”で構成する第2の画像、第1の画像および第2の画像
が合成された画像である。
【0092】
このような画像データと補正データとの組み合わせにおいては、異なる画像の合成表示の
ほか、表示画像全体の輝度向上などを行うことができる。例えば、文字の挿入やAR(A
ugmented Reality)表示などに適用することができる。
【0093】
図4(A)乃至(C)は、回路ブロック110に適用でき、表示素子としてEL素子を含
む構成の例である。
【0094】
図4(A)に示す構成は、トランジスタ111と、容量素子113と、EL素子114を
有する。トランジスタ111のソースまたはドレインの一方は、EL素子114の一方の
電極と電気的に接続される。EL素子114の一方の電極は、容量素子113の一方の電
極と電気的に接続される。容量素子113の他方の電極は、トランジスタ111のゲート
と電気的に接続される。トランジスタ111のゲートは、ノードNMに電気的に接続され
る。
【0095】
トランジスタ111のソースまたはドレインの他方は、配線128と電気的に接続される
。EL素子114の他方の電極は、配線129と電気的に接続される。配線128、12
9は電源を供給する機能を有する。例えば、配線128は、高電位電源を供給することが
できる。また、配線129は、低電位電源を供給することができる。
【0096】
ここで、
図1に示した“Vref”を供給するためのトランジスタ103のソースまたは
ドレインの他方は、配線128と電気的に接続することができる。“Vref”は0V、
GNDまたは低電位であることが好ましいため、配線128は、少なくともそれらの電位
のいずれかを供給する機能も有する。配線128には、ノードNMにデータを書き込むタ
イミングでは“Vref”を供給し、EL素子114を発光させるタイミングでは高電位
電源を供給すればよい。
【0097】
図4(A)に示す構成では、ノードNMの電位がトランジスタ111のしきい値電圧以上
となったときにEL素子114に電流が流れる。したがって、
図2(A)に示すタイミン
グチャートの時刻T1の段階でEL素子114の発光が始まる場合があり、用途が限定さ
れることがある。
【0098】
図4(B)は、
図4(A)の構成にトランジスタ112を付加した構成である。トランジ
スタ112のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ111のソースまたはドレイ
ンの一方と電気的に接続される。トランジスタ112のソースまたはドレインの他方は、
EL素子114と電気的に接続される。トランジスタ112のゲートは、配線126と電
気的に接続される。配線126は、トランジスタ112の導通を制御する信号線としての
機能を有することができる。
【0099】
当該構成では、ノードNMの電位がトランジスタ111のしきい値電圧以上であって、ト
ランジスタ112が導通したときにEL素子114に電流が流れる。したがって、
図2(
B)に示すタイミングチャートの時刻T12以降にEL素子114の発光を開始すること
ができ、補正を伴う動作に適している。
【0100】
図4(C)は、
図4(B)の構成にトランジスタ115を付加した構成である。トランジ
スタ115のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ111のソースまたはドレイ
ンの一方と電気的に接続される。トランジスタ115のソースまたはドレインの他方は、
配線130と電気的に接続される。トランジスタ115のゲートは、配線131と電気的
に接続される。配線131は、トランジスタ115の導通を制御する信号線としての機能
を有することができる。なお、トランジスタ115のゲートは、配線122と電気的に接
続してもよい。
【0101】
配線130は、基準電位などの特定の電位の供給源と電気的に接続することができる。配
線130からトランジスタ111のソースまたはドレインの一方に特定の電位を供給する
ことで、画像データの書き込みを安定化させることもできる。
【0102】
また、配線130は回路120と接続することができ、モニタ線としての機能を有するこ
ともできる。回路120は、上記特定の電位の供給源、トランジスタ111の電気特性を
取得する機能、および補正データを生成する機能の一つ以上を有することができる。
【0103】
配線130をモニタ線として機能させる場合、前述した補正データ“Vp”として、トラ
ンジスタ111のしきい値電圧を補正する電位を回路120で生成することができる。
【0104】
図5(A)乃至(C)は、回路ブロック110に適用でき、表示素子として液晶素子を含
む構成の例である。
【0105】
図5(A)に示す構成は、容量素子116および液晶素子117を有する。液晶素子11
7の一方の電極は、容量素子116の一方の電極と電気的に接続される。容量素子116
の一方の電極は、ノードNMに電気的に接続される。
【0106】
容量素子116の他方の電極は、配線132と電気的に接続される。液晶素子117の他
方の電極は、配線133と電気的に接続される。配線132、133は電源を供給する機
能を有する。例えば、配線132、133は、GNDや0Vなどの基準電位や任意の電位
を供給することができる。
【0107】
ここで、
図1に示した“Vref”を供給するためのトランジスタ103のソースまたは
ドレインの他方は、配線132と電気的に接続することができる。
【0108】
当該構成では、ノードNMの電位が液晶素子117の動作しきい値以上になったときに液
晶素子117の動作が開始される。したがって、
図2(A)に示すタイミングチャートの
時刻T1の段階で表示動作が始まる場合があり、用途が限定されることがある。ただし、
透過型液晶表示装置の場合は、
図2(B)に示す時刻T12までバックライトを消灯する
などの動作を併用することで、不必要な表示動作が行われても視認を抑制することができ
る。
【0109】
図5(B)は、
図5(A)の構成にトランジスタ118を付加した構成である。トランジ
スタ118のソースまたはドレインの一方は、容量素子116の一方の電極と電気的に接
続される。トランジスタ118のソースまたはドレインの他方は、ノードNMと電気的に
接続される。トランジスタ118のゲートは、配線126と電気的に接続される。配線1
26は、トランジスタ118の導通を制御する信号線としての機能を有することができる
。
【0110】
当該構成では、トランジスタ118の導通に伴って液晶素子117にノードNMの電位が
印加される。したがって、
図2(B)に示すタイミングチャートの時刻T12以降に液晶
素子の動作を開始することができ、補正を伴う動作に適している。
【0111】
なお、トランジスタ118が非導通の状態では容量素子116および液晶素子117に供
給された電位が保持され続けるため、画像データを書き換える前に容量素子116および
液晶素子117に供給された電位をリセットすることが好ましい。当該リセットは、例え
ば、配線123にリセット電位を供給し、トランジスタ103およびトランジスタ118
を同時に導通させればよい。
【0112】
図5(C)は、
図5(B)の構成にトランジスタ119を付加した構成である。トランジ
スタ119のソースまたはドレインの一方は、液晶素子117の一方の電極と電気的に接
続される。トランジスタ119のソースまたはドレインの他方は、配線130と電気的に
接続される。トランジスタ119のゲートは、配線131と電気的に接続される。配線1
31はトランジスタ119の導通を制御する信号線としての機能を有することができる。
なお、トランジスタ119のゲートは、配線122と電気的に接続してもよい。
【0113】
配線130と電気的に接続される回路120は、前述した
図4(C)の説明と同様である
ほか、容量素子116および液晶素子117に供給された電位をリセットする機能を有し
ていてもよい。
【0114】
また、
図4、
図5では“Vref”を電源線から供給する例を示したが、走査線から供給
することもできる。例えば、
図6(A)に示すように配線122から“Vref”を供給
してもよい。
図6(A)に示すように、補正データの書き込み時(トランジスタ103の
導通時)に配線122は“L”に相当する電位が供給されているため、当該電位を“Vr
ef”として利用することができる。
【0115】
また、
図6(B)、(C)に示すようにトランジスタ101、102、103は、バック
ゲートを設けた構成であってもよい。
図6(B)は、バックゲートがフロントゲートと電
気的に接続された構成を示しており、オン電流を高める効果を有する。
図6(C)は、バ
ックゲートが定電位を供給できる配線134と電気的に接続された構成を示しており、ト
ランジスタのしきい値電圧を制御することができる。なお、
図4(A)乃至(C)および
図5(A)乃至(C)に示す回路ブロック110が有するトランジスタにもバックゲート
を設けてもよい。
【0116】
図7は、画素10の基本構成を適用した画素11を有する画素アレイの一部(4画素分)
を表す図である。画素11には、トランジスタ103と、容量素子104と、回路ブロッ
ク110が設けられる。なお、符号に付記する括弧内のn、mは特定の行、iは特定の列
(n、m、iは自然数)を表す。
【0117】
画素11のそれぞれはマトリクス状に配置され、n行i列目、n行(i+x)列目(xは
自然数)、(n+1)行i列目および(n+1)行(i+x)列目に配置することができ
る。なお、
図7では、x=1のときの配置を示している。
【0118】
また、画素アレイには、4つの画素11と電気的に接続されるトランジスタ101、トラ
ンジスタ102aおよびトランジスタ102bが設けられる。トランジスタ102a、1
02bは、画素10におけるトランジスタ102の機能を有する。
【0119】
なお、トランジスタ101は、各画素11の要素であって、4つの画素で共有していると
もいえる。トランジスタ102aは、画素11[n,i]および画素11[n,i+1]
の要素であって、2つの画素で共有しているともいえる。トランジスタ102bは、画素
11[n+1,i]および画素11[n+1,i+1]の要素であって、2つの画素で共
有しているともいえる。なお、トランジスタ101、102a、102bは、いずれかの
画素の領域に分散して配置してもよい。
【0120】
各画素11において、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方は、容量素子1
04の一方の電極と電気的に接続される。容量素子104の一方の電極は、回路ブロック
110と電気的に接続される。容量素子104の他方の電極は、トランジスタ101のソ
ースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ101のソースまたはド
レインの一方は、トランジスタ102aのソースまたはドレインの一方と電気的に接続さ
れる。また、トランジスタ101のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ102
bのソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0121】
当該画素アレイでは、画素10を単純にマトリクス状に配置した構成よりも、配線数およ
びトランジスタ数が少ない構成でいくつかの同じ動作を行うことができる。
【0122】
また、表示装置と画像データの解像度が異なる場合であっても、画像データおよび補正デ
ータの入力経路を切り替えることで、アップコンバートまたはダウンコンバートすること
なく適切な表示を行うことができる。
【0123】
図8(A1)、(A2)に示すタイミングチャートを用いて、それぞれの画素11に異な
るデータを書き込む動作の一例を説明する。当該動作は、例えば、画素数が8K4Kに対
応した表示装置であって、高解像度用の画像データ(8K4Kデータ)を入力する場合に
相当する。なお、説明は一つの画素11について行うが、その他の画素11も同様の動作
を適用できる。
【0124】
以下の説明においては、高電位を“H”、低電位を“L”、高電位と低電位の間の特定の
電位を“M”、で表す。なお、“M”としては、例えば0VやGNDなどの基準電位とす
ることができるが、他の電位であってもよい。また、高解像度用の画像データを“VsH
”、高解像度用の補正データを“Vp1”とする。なお、“Vp1”は任意の第1のデー
タ、“VsH”は任意の第2のデータということもできる。
【0125】
まず、
図8(A1)を用いて画像データ“VsH”をノードNMに書き込む動作を説明す
る。なお、ここでは電位の分配、結合または損失において、回路の構成や動作タイミング
などに起因する詳細な変化は勘案しない。
【0126】
時刻T1に配線121の電位を“H”、配線122の電位を“L”、配線123の電位を
“VsH”とすると、トランジスタ102が導通し、容量素子104の他方の電極の電位
は“Vref”となる。当該動作は、後の補正動作(容量結合動作)を行うためのリセッ
ト動作である。
【0127】
また、トランジスタ103が導通し、ノードNMに配線123の電位(画像データ“Vs
H”)が書き込まれる。
【0128】
時刻T2に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“L”、配線123の電位を
“M”、とすると、トランジスタ102およびトランジスタ103が非導通となり、ノー
ドNMに画像データ“VsH”が保持される。また、容量素子104には“VsH-Vr
ef”が保持される。
【0129】
ここまでが画像データ“VsH”の書き込み動作である。続いて、
図8(A2)を用いて
、画像データ“VsH”の補正動作および回路ブロック110が有する表示素子での表示
動作を説明する。
【0130】
図8(A1)、(A2)の動作は、1水平期間内で連続して行うことができる。または、
図8(A1)の動作を第kのフレームで行い(kは自然数)、
図8(A2)の動作を第k
+1のフレームで行ってもよい。または、
図8(A1)の動作の後、
図8(A2)の動作
を複数回行ってもよい。
【0131】
時刻T11に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“H”、配線123の電位
を“Vp1”とすると、トランジスタ101が導通し、容量素子104の容量結合により
ノードNMの電位に配線123の電位“Vp1”が付加される。このとき、ノードNMの
電位は“VsH-Vref+Vp1”であり、“Vref”=0であれば、ノードNMの
電位は、“VsH+Vp1”となる。なお、補正を行わない場合は、上記動作において、
補正データ“Vp1”として“Vref”と同じ電位を供給すればよい。
【0132】
時刻T12に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“L”、配線123の電位
を“M”とすると、トランジスタ101が非導通となり、ノードNMの電位は“VsH+
Vp1”に保持される。
【0133】
その後、回路ブロック110が有する表示素子において、ノードNMの電位に応じた表示
動作を行う。なお、回路ブロックの構成によっては、時刻T1または時刻T11から表示
動作を行う場合もある。
【0134】
このように選択した画素で補正を行うことで、HDR表示などを行うことができる。なお
、補正データ“Vp1”は4画素に対して同じ値となるが、明暗の視覚的効果を得るには
十分である。また、補正を行わない場合は、時刻T11において、配線123の電位を“
M”に維持すればよい。または、配線122の電位を“L”として、トランジスタ101
を導通させなければよい。
【0135】
次に、
図8(B1)、(B2)に示すタイミングチャートを用いて、4つの画素11に同
じデータを書き込む動作を説明する。当該動作は、例えば、画素数が8K4Kに対応した
表示装置であって、低解像度用の画像データ(4K2Kデータ)を入力する場合に相当す
る。
【0136】
まず、
図8(B1)を用いて補正データ“Vp2”をノードNMに書き込む動作を説明す
る。以下では、低解像度用の画像データを“VsL”、低解像度用の補正データを“Vp
2”とする。なお、“Vp2”は任意の第1のデータ、“VsL”は任意の第2のデータ
ということもできる。
【0137】
時刻T1に配線121の電位を“H”、配線122の電位を“L”、配線123の電位を
“Vp2”とすると、トランジスタ102が導通し、容量素子104の他方の電極の電位
は“Vref”となる。当該動作は、後の補正動作(容量結合動作)を行うためのリセッ
ト動作である。
【0138】
また、トランジスタ103が導通し、ノードNMに配線123の電位(補正データ“Vp
2”)が書き込まれる。
【0139】
時刻T2に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“L”、配線123の電位を
“M”とすると、トランジスタ102およびトランジスタ103が非導通となり、ノード
NMに補正データ“Vp2”が保持される。また、容量素子104には、“Vp2-Vr
ef”が保持される。
【0140】
ここまでが補正データ“Vp2”の書き込み動作である。なお、補正を行わない場合は、
上記動作において、補正データ“Vp2”として“Vref”同じ電位を供給すればよい
。
【0141】
続いて、
図8(B2)を用いて、画像データ“VsL”の補正動作および回路ブロック1
10が有する表示素子での表示動作を説明する。
【0142】
図8(B1)、(B2)の動作は1水平期間内で連続して行うことができる。または、図
8(B1)の動作を第kのフレームで行い、
図8(B2)の動作を第k+1のフレームで
行ってもよい。または、
図8(B1)の動作の後、
図8(B2)の動作を複数回行っても
よい。
【0143】
時刻T11に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“H”、配線123の電位
を“VsL”とすると、トランジスタ101が導通し、容量素子104の容量結合により
ノードNMの電位に配線123の電位“VsL”が付加される。このとき、ノードNMの
電位は“Vp2-Vref+VsL”であり、“Vref”=0であれば、ノードNMの
電位は、“Vp2+VsL”となる。
【0144】
時刻T12に配線121の電位を“L”、配線122の電位を“L”、配線123の電位
を“M”とすると、トランジスタ101が非導通となり、ノードNMの電位は“Vp2+
VsL”に保持される。
【0145】
その後、回路ブロック110が有する表示素子において、ノードNMの電位に応じた表示
動作を行う。なお、回路ブロックの構成によっては、時刻T11から表示動作を行う場合
もある。
【0146】
補正データ“Vp2”としては、各画素11に異なる値を入力することができるため、画
像データ“VsL”は同じであっても各画素11で異なる表示を行うことができる。すな
わち、アップコンバートが可能となる。なお、補正を行わない場合は、4画素で同じ画像
が表示される。
【0147】
以上のように動作させることで、元の画像データをアップコンバートすることなく表示装
置に入力することができ、適切な表示を行うことができる。または、画像表示に適切な補
正を行うことができる。
【0148】
図9(A)は、本発明の一態様の表示装置のブロック図の一例である。当該表示装置は、
画素11がマトリクス状に設けられた画素アレイ12と、ロードライバ13と、カラムド
ライバ14と、回路15と、選択回路16を有する。なお、
図9(A)では、トランジス
タ102aおよびトランジスタ102bを一つのブロックで表し、電位“Vref”を供
給する配線との接続形態を省略している。
【0149】
ロードライバ13は、例えば、シフトレジスタ20およびバッファ回路21を組み合わせ
た構成とすることができる。バッファ回路21の導通を制御することにより、配線121
または配線122にデータを出力することができる。
【0150】
カラムドライバ14は、例えば、シフトレジスタ22およびバッファ回路23を組み合わ
せた構成とすることができる。バッファ回路23の導通を制御することにより、配線12
3にデータを出力することができる。
【0151】
回路15は、補正データを生成する機能を有する。なお、回路15は、補正データを生成
するための外部機器ということもできる。
【0152】
ロードライバ13は、トランジスタ101およびトランジスタ102a、102bの導通
を制御することができる。カラムドライバ14は、配線123に補正データまたは画像デ
ータを供給することができる。
【0153】
回路15には、高解像度用の画像データ“VsH”(例えば、8K4Kデータ)または低
解像度用の画像データ“VsL”(例えば、4K2Kデータ)が入力される。画像データ
“VsH”が入力されたときは補正データ“Vp1”が生成され、画像データ“VsL”
が入力されたときは、補正データ“Vp2”が生成される。
【0154】
選択回路16は、回路15で生成された補正データ“Vp1”、“Vp2”の他に、外部
で生成した補正データ“Vp1”、“Vp2”または画像データ“VsH”、“VsL”
をカラムドライバ14に出力することができる。
【0155】
図9(A)に示す構成では、例えば低解像度で補正なしの表示動作を行う場合に各ドライ
バの出力段を半数にすることができるため、消費電力を低減することができる。
【0156】
回路15は、ニューラルネットワークを有していてもよい。例えば、膨大な画像を教師デ
ータとして学習したディープニューラルネットワークを用いることで、精度の高い補正デ
ータを生成することができる。
【0157】
図10(A)に示すように、ニューラルネットワークNNは入力層IL、出力層OL、中
間層(隠れ層)HLによって構成することができる。入力層IL、出力層OL、中間層H
Lはそれぞれ、1または複数のニューロン(ユニット)を有する。なお、中間層HLは1
層であってもよいし2層以上であってもよい。2層以上の中間層HLを有するニューラル
ネットワークはDNN(ディープニューラルネットワーク)と呼ぶこともでき、ディープ
ニューラルネットワークを用いた学習は深層学習と呼ぶこともできる。
【0158】
入力層ILの各ニューロンには入力データが入力され、中間層HLの各ニューロンには前
層または後層のニューロンの出力信号が入力され、出力層OLの各ニューロンには前層の
ニューロンの出力信号が入力される。なお、各ニューロンは、前後の層の全てのニューロ
ンと結合されていてもよいし(全結合)、一部のニューロンと結合されていてもよい。
【0159】
図10(B)に、ニューロンによる演算の例を示す。ここでは、ニューロンNと、ニュー
ロンNに信号を出力する前層の2つのニューロンを示している。ニューロンNには、前層
のニューロンの出力x
1と、前層のニューロンの出力x
2が入力される。そして、ニュー
ロンNにおいて、出力x
1と重みw
1の乗算結果(x
1w
1)と出力x
2と重みw
2の乗
算結果(x
2w
2)の総和x
1w
1+x
2w
2が計算された後、必要に応じてバイアスb
が加算され、値a=x
1w
1+x
2w
2+bが得られる。そして、値aは活性化関数hに
よって変換され、ニューロンNから出力信号y=h(a)が出力される。
【0160】
このように、ニューロンによる演算には、前層のニューロンの出力と重みの積を足し合わ
せる演算、すなわち積和演算が含まれる(上記のx1w1+x2w2)。この積和演算は
、プログラムを用いてソフトウェア上で行ってもよいし、ハードウェアによって行われて
もよい。積和演算をハードウェアによって行う場合は、積和演算回路を用いることができ
る。この積和演算回路としては、デジタル回路を用いてもよいし、アナログ回路を用いて
もよい。
【0161】
積和演算回路は、Siトランジスタによって構成してもよいし、OSトランジスタによっ
て構成してもよい。特に、OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、積和演算回
路のアナログメモリを構成するトランジスタとして好適である。なお、Siトランジスタ
とOSトランジスタの両方を用いて積和演算回路を構成してもよい。
【0162】
なお、補正データの生成は、回路15に限らず前述した回路120で行うこともできる(
図9(B)参照)。また、表示部でグレースケールの表示を行い、当該表示の輝度を輝度
計で読み取ったデータや当該表示の写真を読み取ったデータを元に補正データを生成して
もよい。また、表示の輝度を検出できるセンサ24を設け、表示素子の劣化を検出して補
正データを生成できる回路25を設けてもよい(
図9(C)参照)。
【0163】
次に、
図7に示す画素アレイに
図4(A)に示す回路ブロックを適用した構成(
図11参
照)のシミュレーション結果を説明する。パラメータは以下の通りであり、トランジスタ
サイズはL/W=6μm/6μm(トランジスタ111)、L/W=4μm/4μm(そ
の他のトランジスタ)、容量素子104の容量値150fF、容量素子113の容量値5
0fF、EL素子114はFNダイオードモデル、配線128はアノード電位として+1
0V、“Vref”として+1V、配線129はカソード電位として-5V、画像データ
および補正データの最小値は+1V、最大値は+8Vとした。なお、回路シミュレーショ
ンソフトウェアにはSPICEを用いた。
【0164】
図12(A)乃至(C)は、高解像度の表示(補正なし)を検証するシミュレーション結
果である。
図12(A)は、検証に用いたタイミングチャートである。
図12(A)にお
ける時刻T1乃至T2でトランジスタ103を導通させることにより、配線123から画
像データ“Vs”(s[n])の書き込みを行う。また、時刻T3乃至T4では、画像デ
ータ“Vs”(s[n+1])の書き込みを行う。このとき、配線128は、アノード電
位とする。
【0165】
図12(B)は、画像データ“Vs”に対してEL素子114が流す電流(I
LED)を
シミュレーションした結果である。
図12(B)は一つの画素におけるシミュレーション
結果であるが、いずれの画素(pix1乃至pix4)でも階調表示できることが確認さ
れている。
【0166】
また、
図12(C)は、画像データ“Vs”に対するノードNMの電位“V
NM”の変化
をシミュレーションした結果である。いずれの画素でもノードNMの電位“V
NM”が画
像データ“Vs”と比例することが確認されている。
【0167】
すなわち、配線123から供給する高解像度用の画像データ“Vs”を表示できることが
確認された。
【0168】
図13(A)乃至(D)は、低解像度の表示(補正なし)を検証するシミュレーション結
果である。
図13(A)、(B)は、検証に用いたタイミングチャートである。まず、配
線123の電位を最小値(+1V)とし、
図13(A)における時刻T1乃至T4で全て
の画素に補正データ“Vp”(p)の書き込みを行う。このとき、配線128は電位“V
ref”(+1V)としておくため、容量素子104に保持される差分電位は0である。
すなわち、補正なしとなる。
【0169】
その後、
図13(B)に示す時刻T1乃至T2において、トランジスタ101を導通させ
ることにより配線123から画像データ“Vs”(s[m])の書き込みを行う。
【0170】
図13(C)は、画像データ“Vs”に対してEL素子114が流す電流(I
LED)を
シミュレーションした結果である。
図13(C)は、一つの画素におけるシミュレーショ
ン結果であるが、いずれの画素(pix1乃至pix4)でも階調表示できることが確認
されている。
【0171】
また、
図13(D)は、画像データ“Vs”に対するノードNMの電位“V
NM”の変化
をシミュレーションした結果である。いずれの画素でもノードNMの電位“V
NM”が画
像データ“Vs”と比例することが確認されている。
【0172】
すなわち、配線123から供給する低解像度用の画像データ“Vs”を表示できることが
確認された。
【0173】
図14(A)乃至(D)は、低解像度の表示(補正あり)を検証するシミュレーション結
果である。
図14(A)、(B)は、検証に用いたタイミングチャートである。まず、配
線123に所望の補正データ“Vp”を供給し、
図14(A)における時刻T1乃至T2
で補正データ“Vp”(p[n])の書き込みを行う。また、時刻T3乃至T4で補正デ
ータ“Vp”(p[n+1])の書き込みを行う。このとき、配線128は電位“Vre
f”(+1V)としておくため、容量素子104に保持される差分電位は“Vp-1”で
ある。
【0174】
その後、
図14(B)に示す時刻T1乃至T2において、トランジスタ101を導通させ
ることにより配線123から画像データ“Vs”の書き込みを行い、画像データに補正デ
ータを付加する。このとき、配線128は、アノード電位とする。
【0175】
図14(C)は、画像データ“Vs”に対してEL素子114が流す電流(I
LED)を
補正データ毎にシミュレーションした結果である。補正データ“Vp”として1V乃至8
Vを書き込み、画像データ“Vs”と結合させたいずれの場合においても階調表示できる
ことが確認されている。
【0176】
また、
図14(D)は、画像データ“Vs”に対するノードNMの電位“V
NM”の変化
を補正データ“Vp”ごとにシミュレーションした結果である。補正データ“Vp”とし
て1V乃至8Vを書き込み、画像データ“Vs”と結合させたいずれの場合においてもノ
ードNMの電位“V
NM”が比例傾向にあることが確認されている。
【0177】
すなわち、配線123から供給する補正データ“Vp”および低解像度用の画像データ“
Vs”を結合させて有効な表示ができることが確認された。
【0178】
図15は、本発明の一態様の画素をカラー表示が行えるEL表示装置に適用した場合の一
例である。一般的にカラー表示が行える表示装置の画素は、R(赤)、G(緑)、B(青
)のそれぞれの色を発する副画素の組み合わせを有する。
図15では、水平方向に並ぶ副
画素10R、副画素10G、副画素10Bの各色3つの副画素が一つの画素を構成するこ
とになり、水平垂直方向の4画素を表している。なお、
図15では、トランジスタ102
aおよびトランジスタ102bを一つのブロックで表している。
【0179】
前述したように、本発明の一態様では、トランジスタ101を介してマトリクス状に配置
された4画素(ここでは、同色を発する4副画素に相当)に補正データ“Vp1”または
画像データ“VsL”を入力することができる。また、トランジスタ102a、102b
を介して水平方向に配置された2画素(ここでは、同色を発する2副画素に相当)に電位
“Vref”を供給することができる。
【0180】
ストライプ配列では、それぞれの副画素は等間隔に配置されることが好ましいが、各副画
素で配線やトランジスタを共有する場合は、各副画素の間隔(同一の機能を有する要素の
間隔)を一定とすることが困難となる場合がある。
【0181】
そのため、副画素10R、副画素10G、副画素10Bと接続される画素電極をそれぞれ
、電極26R、26G、26Bとしたとき、
図15に示すように電極26R、26G、2
6Bを等間隔に配置する構成とすることが好ましい。なお、画素電極は各副画素の要素と
もいえるが、ここでは説明を明瞭にするために別の要素としている。当該構成はトップエ
ミッション型のEL表示装置、または反射型の液晶表示装置に有効である。
【0182】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0183】
(実施の形態2)
本実施の形態では、液晶素子を用いた表示装置の構成例と、EL素子を用いた表示装置の
構成例について説明する。なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した表示
装置の要素、動作および機能の説明は省略する。
【0184】
図16(A)乃至(C)は、本発明の一態様を用いることのできる表示装置の構成を示す
図である。
【0185】
図16(A)において、第1の基板4001上に設けられた表示部215を囲むようにし
て、シール材4005が設けられ、表示部215がシール材4005および第2の基板4
006によって封止されている。
【0186】
表示部215には、実施の形態1の
図7に示した画素アレイを設けることができる。なお
、以下に説明する走査線駆動回路はロードライバ、信号線駆動回路はカラムドライバに相
当する。
【0187】
図16(A)では、走査線駆動回路221a、信号線駆動回路231a、信号線駆動回路
232a、および共通線駆動回路241aは、それぞれがプリント基板4041上に設け
られた集積回路4042を複数有する。集積回路4042は、単結晶半導体または多結晶
半導体で形成されている。信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aは、実
施の形態1に示したカラムドライバの機能を有する。走査線駆動回路221aは、実施の
形態1に示したロードライバの機能を有する。共通線駆動回路241aは、実施の形態1
に示した電源を供給する配線やVrefを供給する配線に規定の電位を供給する機能を有
する。
【0188】
走査線駆動回路221a、共通線駆動回路241a、信号線駆動回路231a、および信
号線駆動回路232aに与えられる各種信号および電位は、FPC(Flexible
printed circuit)4018を介して供給される。
【0189】
走査線駆動回路221aおよび共通線駆動回路241aが有する集積回路4042は、表
示部215に選択信号を供給する機能を有する。信号線駆動回路231aおよび信号線駆
動回路232aが有する集積回路4042は、表示部215に画像データを供給する機能
を有する。集積回路4042は、第1の基板4001上のシール材4005によって囲ま
れている領域とは異なる領域に実装されている。
【0190】
なお、集積回路4042の接続方法は、特に限定されるものではなく、ワイヤボンディン
グ法、COG(Chip On Glass)法、TCP(Tape Carrier
Package)法、COF(Chip On Film)法などを用いることができる
。
【0191】
図16(B)は、信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aに含まれる集積
回路4042をCOG法により実装する例を示している。また、駆動回路の一部または全
体を表示部215と同じ基板上に一体形成して、システムオンパネルを形成することがで
きる。
【0192】
図16(B)では、走査線駆動回路221aおよび共通線駆動回路241aを、表示部2
15と同じ基板上に形成する例を示している。駆動回路を表示部215内の画素回路と同
時に形成することで、部品点数を削減することができる。よって、生産性を高めることが
できる。
【0193】
また、
図16(B)では、第1の基板4001上に設けられた表示部215と、走査線駆
動回路221aおよび共通線駆動回路241aと、を囲むようにして、シール材4005
が設けられている。また表示部215、走査線駆動回路221a、および共通線駆動回路
241aの上に第2の基板4006が設けられている。よって、表示部215、走査線駆
動回路221a、および共通線駆動回路241aは、第1の基板4001とシール材40
05と第2の基板4006とによって、表示素子と共に封止されている。
【0194】
また、
図16(B)では、信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aを別途
形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない
。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線
駆動回路の一部を別途形成して実装しても良い。また、
図16(C)に示すように、信号
線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aを表示部215と同じ基板上に形成し
てもよい。
【0195】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラ
を含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む場合がある。
【0196】
また第1の基板上に設けられた表示部および走査線駆動回路は、トランジスタを複数有し
ている。当該トランジスタとして、上記実施の形態で示したトランジスタを適用すること
ができる。
【0197】
周辺駆動回路が有するトランジスタと、表示部の画素回路が有するトランジスタの構造は
同じであってもよく、異なっていてもよい。周辺駆動回路が有するトランジスタは、全て
同じ構造のトランジスタであってもよく、2種類以上の構造のトランジスタを有していて
もよい。同様に、画素回路が有するトランジスタは、全て同じ構造のトランジスタであっ
てもよく、2種類以上の構造のトランジスタを有していてもよい。
【0198】
また、第2の基板4006上には入力装置4200を設けることができる。
図16に示す
表示装置に入力装置4200を設けた構成はタッチパネルとして機能させることができる
。
【0199】
本発明の一態様のタッチパネルが有する検知素子(センサ素子ともいう)に限定は無い。
指やスタイラスなどの被検知体の近接または接触を検知することのできる様々なセンサを
、検知素子として適用することができる。
【0200】
センサの方式としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方
式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。
【0201】
本実施の形態では、静電容量方式の検知素子を有するタッチパネルを例に挙げて説明する
。
【0202】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投影
型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いる
と、同時多点検知が可能となるため好ましい。
【0203】
本発明の一態様のタッチパネルは、別々に作製された表示装置と検知素子とを貼り合わせ
る構成、表示素子を支持する基板および対向基板の一方または双方に検知素子を構成する
電極等を設ける構成等、様々な構成を適用することができる。
【0204】
図17(A)、(B)に、タッチパネルの一例を示す。
図17(A)は、タッチパネル4
210の斜視図である。
図17(B)は、入力装置4200の斜視概略図である。なお、
明瞭化のため、代表的な構成要素のみを示している。
【0205】
タッチパネル4210は、別々に作製された表示装置と検知素子とを貼り合わせた構成で
ある。
【0206】
タッチパネル4210は、入力装置4200と、表示装置とを有し、これらが重ねて設け
られている。
【0207】
入力装置4200は、基板4263、電極4227、電極4228、複数の配線4237
、複数の配線4238および複数の配線4239を有する。例えば、電極4227は配線
4237または配線4239と電気的に接続することができる。また、電極4228は配
線4239と電気的に接続することができる。FPC4272bは、複数の配線4237
および複数の配線4238の各々と電気的に接続する。FPC4272bにはIC427
3bを設けることができる。
【0208】
または、表示装置の第1の基板4001と第2の基板4006との間にタッチセンサを設
けてもよい。第1の基板4001と第2の基板4006との間にタッチセンサを設ける場
合は、静電容量方式のタッチセンサのほか、光電変換素子を用いた光学式のタッチセンサ
を適用してもよい。
【0209】
図18(A)および
図18(B)は、
図16(B)中でN1-N2の鎖線で示した部位の
断面図である。
図18(A)および
図18(B)に示す表示装置は電極4015を有して
おり、電極4015はFPC4018が有する端子と異方性導電層4019を介して、電
気的に接続されている。また、
図18(A)および
図18(B)では、電極4015は、
絶縁層4112、絶縁層4111、および絶縁層4110に形成された開口において配線
4014と電気的に接続されている。
【0210】
電極4015は、第1の電極層4030と同じ導電層から形成され、配線4014は、ト
ランジスタ4010、およびトランジスタ4011のソース電極およびドレイン電極と同
じ導電層で形成されている。
【0211】
また、第1の基板4001上に設けられた表示部215と走査線駆動回路221aは、ト
ランジスタを複数有しており、
図18(A)、および
図18(B)では、表示部215に
含まれるトランジスタ4010、および走査線駆動回路221aに含まれるトランジスタ
4011を例示している。なお、
図18(A)および
図18(B)では、トランジスタ4
010およびトランジスタ4011としてボトムゲート型のトランジスタを例示している
が、トップゲート型のトランジスタであってもよい。
【0212】
図18(A)および
図18(B)では、トランジスタ4010およびトランジスタ401
1上に絶縁層4112が設けられている。また、
図18(B)では、絶縁層4112上に
隔壁4510が形成されている。
【0213】
また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4102上に設けら
れている。また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4111
上に形成された電極4017を有する。電極4017はバックゲート電極として機能する
ことができる。
【0214】
また、
図18(A)および
図18(B)に示す表示装置は、容量素子4020を有する。
容量素子4020は、トランジスタ4010のゲート電極と同じ工程で形成された電極4
021と、ソース電極およびドレイン電極と同じ工程で形成された電極と、を有する。そ
れぞれの電極は、絶縁層4103を介して重なっている。
【0215】
一般に、表示装置の画素部に設けられる容量素子の容量は、画素部に配置されるトランジ
スタのリーク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。容
量素子の容量は、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。
【0216】
表示部215に設けられたトランジスタ4010は表示素子と電気的に接続する。
図18
(A)は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の一例である。
図18(A)に
おいて、表示素子である液晶素子4013は、第1の電極層4030、第2の電極層40
31、および液晶層4008を含む。なお、液晶層4008を挟持するように配向膜とし
て機能する絶縁層4032、絶縁層4033が設けられている。第2の電極層4031は
第2の基板4006側に設けられ、第1の電極層4030と第2の電極層4031は液晶
層4008を介して重畳する。
【0217】
また、スペーサ4035は絶縁層を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペー
サであり、第1の電極層4030と第2の電極層4031との間隔(セルギャップ)を制
御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。
【0218】
また、必要に応じて、ブラックマトリクス(遮光層)、着色層(カラーフィルタ)、偏光
部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などを適宜設けてもよい。
例えば、偏光基板および位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバッ
クライト、サイドライトなどを用いてもよい。また、上記バックライト、およびサイドラ
イトとして、マイクロLEDなどを用いても良い。
【0219】
図18(A)に示す表示装置では、第2の基板4006と第2の電極層4031の間に、
遮光層4132、着色層4131、絶縁層4133が設けられている。
【0220】
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金
属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は
、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また
、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光
を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を
含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、
装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0221】
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含ま
れた樹脂材料などが挙げられる。遮光層および着色層は、例えば、インクジェット法など
を用いて形成することができる。
【0222】
また、
図18(A)および
図18(B)に示す表示装置は、絶縁層4111と絶縁層41
04を有する。絶縁層4111と絶縁層4104として、不純物元素を透過しにくい絶縁
層を用いる。絶縁層4111と絶縁層4104でトランジスタの半導体層を挟むことで、
外部からの不純物の浸入を防ぐことができる。
【0223】
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素
子(EL素子)を適用することができる。EL素子は、一対の電極の間に発光性の化合物
を含む層(「EL層」ともいう。)を有する。一対の電極間に、EL素子の閾値電圧より
も大きい電位差を生じさせると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が
注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光性
の化合物が発光する。
【0224】
また、EL素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別さ
れ、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0225】
有機EL素子は、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正孔
がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合す
ることにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る
際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素
子と呼ばれる。
【0226】
なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質
、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ
性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)などを有していてもよい。
【0227】
EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法な
どの方法で形成することができる。
【0228】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分
類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有
するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-ア
クセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、
さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利
用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明す
る。
【0229】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そし
て、基板上にトランジスタおよび発光素子を形成し、当該基板とは逆側の面から発光を取
り出す上面射出(トップエミッション)構造や、基板側の面から発光を取り出す下面射出
(ボトムエミッション)構造や、両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッショ
ン)構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
【0230】
図18(B)は、表示素子として発光素子を用いた発光表示装置(「EL表示装置」とも
いう。)の一例である。表示素子である発光素子4513は、表示部215に設けられた
トランジスタ4010と電気的に接続している。なお発光素子4513の構成は、第1の
電極層4030、発光層4511、第2の電極層4031の積層構造であるが、この構成
に限定されない。発光素子4513から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子45
13の構成は適宜変えることができる。
【0231】
隔壁4510は、有機絶縁材料、または無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹
脂材料を用い、第1の電極層4030上に開口部を形成し、その開口部の側面が連続した
曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0232】
発光層4511は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成され
ていてもどちらでも良い。
【0233】
発光素子4513の発光色は、発光層4511を構成する材料によって、白、赤、緑、青
、シアン、マゼンタ、または黄などとすることができる。
【0234】
カラー表示を実現する方法としては、発光色が白色の発光素子4513と着色層を組み合
わせて行う方法と、画素毎に発光色の異なる発光素子4513を設ける方法がある。前者
の方法は後者の方法よりも生産性が高い。一方、後者の方法では画素毎に発光層4511
を作り分ける必要があるため、前者の方法よりも生産性が劣る。ただし、後者の方法では
、前者の方法よりも色純度の高い発光色を得ることができる。後者の方法に加えて、発光
素子4513にマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度をさらに高めること
ができる。
【0235】
なお、発光層4511は、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。例えば、量
子ドットを発光層に用いることで、発光材料として機能させることもできる。
【0236】
発光素子4513に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層
4031および隔壁4510上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化シリコ
ン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、
窒化酸化アルミニウム、DLC(Diamond Like Carbon)などを形成
することができる。また、第1の基板4001、第2の基板4006、およびシール材4
005によって封止された空間には充填材4514が設けられ密封されている。このよう
に、外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフ
ィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好
ましい。
【0237】
充填材4514としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂また
は熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル系樹脂、
ポリイミド、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)または
EVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、充填材4514
に乾燥剤が含まれていてもよい。
【0238】
シール材4005には、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常
温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることが
できる。また、シール材4005に乾燥剤が含まれていてもよい。
【0239】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、または円偏光板(楕円偏光板を含む)
、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けても
よい。また、偏光板または円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸に
より反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0240】
また、発光素子をマイクロキャビティ構造とすることで、色純度の高い光を取り出すこと
ができる。また、マイクロキャビティ構造とカラーフィルタを組み合わせることで、映り
込みが低減し、表示画像の視認性を高めることができる。
【0241】
表示素子に電圧を印加する第1の電極層および第2の電極層(画素電極層、共通電極層、
対向電極層などともいう)においては、取り出す光の方向、電極層が設けられる場所、お
よび電極層のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
【0242】
第1の電極層4030、第2の電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸
化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化
物、インジウム錫酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物
、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いるこ
とができる。
【0243】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031はタングステン(W)、モリブデン
(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(N
b)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタ
ン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)などの金属
、またはその合金、もしくはその金属窒化物から一種以上を用いて形成することができる
。
【0244】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリ
マーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子として
は、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若
しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導
体、または、アニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくは
その誘導体などがあげられる。
【0245】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路
を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0246】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0247】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した各トランジスタに置き換えて用いることので
きるトランジスタの一例について、図面を用いて説明する。
【0248】
本発明の一態様の表示装置は、ボトムゲート型のトランジスタや、トップゲート型トラン
ジスタなどの様々な形態のトランジスタを用いて作製することができる。よって、既存の
製造ラインに合わせて、使用する半導体層の材料やトランジスタ構造を容易に置き換える
ことができる。
【0249】
〔ボトムゲート型トランジスタ〕
図19(A1)は、ボトムゲート型のトランジスタの一種であるチャネル保護型のトラン
ジスタ810のチャネル長方向の断面図である。
図19(A1)において、トランジスタ
810は基板771上に形成されている。また、トランジスタ810は、基板771上に
絶縁層772を介して電極746を有する。また、電極746上に絶縁層726を介して
半導体層742を有する。電極746はゲート電極として機能できる。絶縁層726はゲ
ート絶縁層として機能できる。
【0250】
また、半導体層742のチャネル形成領域上に絶縁層741を有する。また、半導体層7
42の一部と接して、絶縁層726上に電極744aおよび電極744bを有する。電極
744aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能できる。電極744bは、
ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。電極744aの一部、および電
極744bの一部は、絶縁層741上に形成される。
【0251】
絶縁層741は、チャネル保護層として機能できる。チャネル形成領域上に絶縁層741
を設けることで、電極744aおよび電極744bの形成時に生じる半導体層742の露
出を防ぐことができる。よって、電極744aおよび電極744bの形成時に、半導体層
742のチャネル形成領域がエッチングされることを防ぐことができる。本発明の一態様
によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0252】
また、トランジスタ810は、電極744a、電極744bおよび絶縁層741上に絶縁
層728を有し、絶縁層728の上に絶縁層729を有する。
【0253】
半導体層742に酸化物半導体を用いる場合、電極744aおよび電極744bの、少な
くとも半導体層742と接する部分に、半導体層742の一部から酸素を奪い、酸素欠損
を生じさせることが可能な材料を用いることが好ましい。半導体層742中の酸素欠損が
生じた領域はキャリア濃度が増加し、当該領域はn型化し、n型領域(n+層)となる。
したがって、当該領域はソース領域またはドレイン領域として機能することができる。半
導体層742に酸化物半導体を用いる場合、半導体層742から酸素を奪い、酸素欠損を
生じさせることが可能な材料の一例として、タングステン、チタン等を挙げることができ
る。
【0254】
半導体層742にソース領域およびドレイン領域が形成されることにより、電極744a
および電極744bと半導体層742の接触抵抗を低減することができる。よって、電界
効果移動度や、しきい値電圧などの、トランジスタの電気特性を良好なものとすることが
できる。
【0255】
半導体層742にシリコンなどの半導体を用いる場合は、半導体層742と電極744a
の間、および半導体層742と電極744bの間に、n型半導体またはp型半導体として
機能する層を設けることが好ましい。n型半導体またはp型半導体として機能する層は、
トランジスタのソース領域またはドレイン領域として機能することができる。
【0256】
絶縁層729は、外部からのトランジスタへの不純物の拡散を防ぐ、または低減する機能
を有する材料を用いて形成することが好ましい。なお、必要に応じて絶縁層729を省略
することもできる。
【0257】
図19(A2)に示すトランジスタ811は、絶縁層729上にバックゲート電極として
機能できる電極723を有する点が、トランジスタ810と異なる。電極723は、電極
746と同様の材料および方法で形成することができる。
【0258】
一般に、バックゲート電極は導電層で形成され、ゲート電極とバックゲート電極で半導体
層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極は、ゲート電
極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位と
してもよいし、接地電位(GND電位)や、任意の電位としてもよい。また、バックゲー
ト電極の電位をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしき
い値電圧を変化させることができる。
【0259】
電極746および電極723は、どちらもゲート電極として機能することができる。よっ
て、絶縁層726、絶縁層728、および絶縁層729は、それぞれがゲート絶縁層とし
て機能することができる。なお、電極723は、絶縁層728と絶縁層729の間に設け
てもよい。
【0260】
なお、電極746または電極723の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バッ
クゲート電極」という。例えば、トランジスタ811において、電極723を「ゲート電
極」と言う場合、電極746を「バックゲート電極」と言う。また、電極723を「ゲー
ト電極」として用いる場合は、トランジスタ811をトップゲート型のトランジスタの一
種と考えることができる。また、電極746および電極723のどちらか一方を、「第1
のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合がある。
【0261】
半導体層742を挟んで電極746および電極723を設けることで、更には、電極74
6および電極723を同電位とすることで、半導体層742においてキャリアの流れる領
域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、ト
ランジスタ811のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。
【0262】
したがって、トランジスタ811は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジ
スタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ811の占有面積を
小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくす
ることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現する
ことができる。
【0263】
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で
生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気
などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、バックゲート電極を半導体層よりも大きく
形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる
。
【0264】
また、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電極
側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を防
ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる
。
【0265】
本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また、
信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0266】
図19(B1)は、
図19(A1)とは異なる構成のチャネル保護型のトランジスタ82
0のチャネル長方向の断面図である。トランジスタ820は、トランジスタ810とほぼ
同様の構造を有しているが、絶縁層741が半導体層742の端部を覆っている点が異な
る。また、半導体層742と重なる絶縁層741の一部を選択的に除去して形成した開口
部において、半導体層742と電極744aが電気的に接続している。また、半導体層7
42と重なる絶縁層741の一部を選択的に除去して形成した他の開口部において、半導
体層742と電極744bが電気的に接続している。絶縁層741の、チャネル形成領域
と重なる領域は、チャネル保護層として機能できる。
【0267】
図19(B2)に示すトランジスタ821は、絶縁層729上にバックゲート電極として
機能できる電極723を有する点が、トランジスタ820と異なる。
【0268】
絶縁層741を設けることで、電極744aおよび電極744bの形成時に生じる半導体
層742の露出を防ぐことができる。よって、電極744aおよび電極744bの形成時
に半導体層742の薄膜化を防ぐことができる。
【0269】
また、トランジスタ820およびトランジスタ821は、トランジスタ810およびトラ
ンジスタ811よりも、電極744aと電極746の間の距離と、電極744bと電極7
46の間の距離が長くなる。よって、電極744aと電極746の間に生じる寄生容量を
小さくすることができる。また、電極744bと電極746の間に生じる寄生容量を小さ
くすることができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現で
きる。
【0270】
図19(C1)は、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネルエッチング型の
トランジスタ825のチャネル長方向の断面図である。トランジスタ825は、絶縁層7
41を用いずに電極744aおよび電極744bを形成する。このため、電極744aお
よび電極744bの形成時に露出する半導体層742の一部がエッチングされる場合があ
る。一方、絶縁層741を設けないため、トランジスタの生産性を高めることができる。
【0271】
図19(C2)に示すトランジスタ826は、絶縁層729上にバックゲート電極として
機能できる電極723を有する点が、トランジスタ825と異なる。
【0272】
図20(A1)乃至(C2)にトランジスタ810、811、820、821、825、
826のチャネル幅方向の断面図をそれぞれ示す。
【0273】
図20(B2)、(C2)に示す構造では、ゲート電極とバックゲート電極とが接続され
、ゲート電極とバックゲート電極との電位が同電位となる。また、半導体層742は、ゲ
ート電極とバックゲート電極と挟まれている。
【0274】
ゲート電極およびバックゲート電極のそれぞれのチャネル幅方向の長さは、半導体層74
2のチャネル幅方向の長さよりも長く、半導体層742のチャネル幅方向全体は、絶縁層
726、741、728、729を間に挟んでゲート電極またはバックゲート電極に覆わ
れた構成である。
【0275】
当該構成とすることで、トランジスタに含まれる半導体層742を、ゲート電極およびバ
ックゲート電極の電界によって電気的に取り囲むことができる。
【0276】
トランジスタ821またはトランジスタ826のように、ゲート電極およびバックゲート
電極の電界によって、チャネル形成領域が形成される半導体層742を電気的に取り囲む
トランジスタのデバイス構造をSurrounded channel(S-chann
el)構造と呼ぶことができる。
【0277】
S-channel構造とすることで、ゲート電極およびバックゲート電極の一方または
双方によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に半導体層742に印加すること
ができるため、トランジスタの電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可
能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるため、トランジスタを微細化する
ことが可能となる。また、S-channel構造とすることで、トランジスタの機械的
強度を高めることができる。
【0278】
〔トップゲート型トランジスタ〕
図21(A1)に例示するトランジスタ842は、トップゲート型のトランジスタの1つ
である。電極744aおよび電極744bは、絶縁層728および絶縁層729に形成し
た開口部において半導体層742と電気的に接続する。
【0279】
また、電極746と重ならない絶縁層726の一部を除去し、電極746と残りの絶縁層
726をマスクとして用いて不純物755を半導体層742に導入することで、半導体層
742中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域を形成することができる。ト
ランジスタ842は、絶縁層726が電極746の端部を越えて延伸する領域を有する。
半導体層742の絶縁層726を介して不純物755が導入された領域の不純物濃度は、
絶縁層726を介さずに不純物755が導入された領域よりも小さくなる。よって、半導
体層742は、電極746と重ならない領域にLDD(Lightly Doped D
rain)領域が形成される。
【0280】
図21(A2)に示すトランジスタ843は、電極723を有する点がトランジスタ84
2と異なる。トランジスタ843は、基板771の上に形成された電極723を有する。
電極723は、絶縁層772を介して半導体層742と重なる領域を有する。電極723
は、バックゲート電極として機能することができる。
【0281】
また、
図21(B1)に示すトランジスタ844および
図21(B2)に示すトランジス
タ845のように、電極746と重ならない領域の絶縁層726を全て除去してもよい。
また、
図21(C1)に示すトランジスタ846および
図21(C2)に示すトランジス
タ847のように、絶縁層726を残してもよい。
【0282】
トランジスタ842乃至トランジスタ847も、電極746を形成した後に、電極746
をマスクとして用いて不純物755を半導体層742に導入することで、半導体層742
中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。本発明の一態様によれば、電気特
性の良好なトランジスタを実現することができる。また、本発明の一態様によれば、集積
度の高い半導体装置を実現することができる。
【0283】
図22(A1)乃至(C2)にトランジスタ842、843、844、845、846、
847のチャネル幅方向の断面図をそれぞれ示す。
【0284】
トランジスタ843、トランジスタ845、およびトランジスタ847は、それぞれ先に
説明したS-channel構造である。ただし、これに限定されず、トランジスタ84
3、トランジスタ845、およびトランジスタ847をS-channel構造としなく
てもよい。
【0285】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【0286】
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る表示装置を用いることができる電子機器として、表示機器、パーソ
ナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置または画像再生装置、携帯電話、携帯
型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメ
ラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーショ
ンシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写
機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自
動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図23に示す。
【0287】
図23(A)はデジタルカメラであり、筐体961、シャッターボタン962、マイク9
63、スピーカ967、表示部965、操作キー966、ズームレバー968、レンズ9
69等を有する。表示部965に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々な画像
の表示を行うことができる。
【0288】
図23(B)はデジタルサイネージであり、大型の表示部922を有する。例えば柱92
1の側面に取り付けられる。表示部922に本発明の一態様の表示装置を用いることで、
様々な画像の表示を行うことができる。
【0289】
図23(C)は携帯電話機であり、筐体951、表示部952、操作ボタン953、外部
接続ポート954、スピーカ955、マイク956、カメラ957等を有する。当該携帯
電話機は、表示部952にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力する
などのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部952に触れることで行うことがで
きる。また、筐体951および表示部952は可撓性を有し、図示するように折り曲げて
使用することができる。表示部952に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々
な画像の表示を行うことができる。
【0290】
図23(D)は携帯データ端末であり、筐体911、表示部912、スピーカ913、カ
メラ919等を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行
うことができる。表示部912に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々な画像
の表示を行うことができる。
【0291】
図23(E)はテレビであり、筐体971、表示部973、操作キー974、スピーカ9
75、通信用接続端子976、光センサ977等を有する。表示部973にはタッチセン
サが設けられ、入力操作を行うこともできる。表示部973に本発明の一態様の表示装置
を用いることで、様々な画像の表示を行うことができる。
【0292】
図23(F)は情報処理端末であり、筐体901、表示部902、表示部903、センサ
904等を有する。表示部902および表示部903は一つの表示パネルから成り、可撓
性を有する。また、筐体901も可撓性を有し、図示するように折り曲げて使用すること
ができるほか、タブレット端末のように平板状にして使用することもできる。センサ90
4は筐体901の形状を感知することができ、例えば、筐体が曲げられたときに表示部9
02および表示部903の表示を切り替えることができる。表示部902および表示部9
03に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々な画像の表示を行うことができる
。
【0293】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが
可能である。
【符号の説明】
【0294】
10 画素
10B 副画素
10G 副画素
10R 副画素
11 画素
12 画素アレイ
13 ロードライバ
14 カラムドライバ
15 回路
16 選択回路
20 シフトレジスタ
21 バッファ回路
22 シフトレジスタ
23 バッファ回路
24 センサ
25 回路
26B 電極
26G 電極
26R 電極
101 トランジスタ
102 トランジスタ
102a トランジスタ
102b トランジスタ
103 トランジスタ
104 容量素子
110 回路ブロック
111 トランジスタ
112 トランジスタ
113 容量素子
114 EL素子
115 トランジスタ
116 容量素子
117 液晶素子
118 トランジスタ
119 トランジスタ
120 回路
121 配線
122 配線
123 配線
126 配線
128 配線
129 配線
130 配線
131 配線
132 配線
133 配線
134 配線
215 表示部
221a 走査線駆動回路
231a 信号線駆動回路
232a 信号線駆動回路
241a 共通線駆動回路
723 電極
726 絶縁層
728 絶縁層
729 絶縁層
741 絶縁層
742 半導体層
744a 電極
744b 電極
746 電極
755 不純物
771 基板
772 絶縁層
810 トランジスタ
811 トランジスタ
820 トランジスタ
821 トランジスタ
825 トランジスタ
826 トランジスタ
842 トランジスタ
843 トランジスタ
844 トランジスタ
845 トランジスタ
846 トランジスタ
847 トランジスタ
901 筐体
902 表示部
903 表示部
904 センサ
911 筐体
912 表示部
913 スピーカ
919 カメラ
921 柱
922 表示部
951 筐体
952 表示部
953 操作ボタン
954 外部接続ポート
955 スピーカ
956 マイク
957 カメラ
961 筐体
962 シャッターボタン
963 マイク
965 表示部
966 操作キー
967 スピーカ
968 ズームレバー
969 レンズ
971 筐体
973 表示部
974 操作キー
975 スピーカ
976 通信用接続端子
977 光センサ
4001 基板
4005 シール材
4006 基板
4008 液晶層
4010 トランジスタ
4011 トランジスタ
4013 液晶素子
4014 配線
4015 電極
4017 電極
4018 FPC
4019 異方性導電層
4020 容量素子
4021 電極
4030 電極層
4031 電極層
4032 絶縁層
4033 絶縁層
4035 スペーサ
4041 プリント基板
4042 集積回路
4102 絶縁層
4103 絶縁層
4104 絶縁層
4110 絶縁層
4111 絶縁層
4112 絶縁層
4131 着色層
4132 遮光層
4133 絶縁層
4200 入力装置
4210 タッチパネル
4227 電極
4228 電極
4237 配線
4238 配線
4239 配線
4263 基板
4272b FPC
4273b IC
4510 隔壁
4511 発光層
4513 発光素子
4514 充填材