(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174631
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】裁断装置の付属装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/18 20060101AFI20231201BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20231201BHJP
D06H 3/08 20060101ALI20231201BHJP
D06H 7/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B26D7/18 Z
B26D5/00 F
B26D7/18 C
D06H3/08
D06H7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087285
(22)【出願日】2022-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】500564493
【氏名又は名称】株式会社イレブンインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】板倉 剛
【テーマコード(参考)】
3B154
3C021
3C024
【Fターム(参考)】
3B154AB19
3B154AB27
3B154BA47
3B154BA53
3B154BB54
3B154BC16
3B154BC28
3B154CA02
3B154CA03
3B154CA23
3B154CA29
3B154CA33
3B154CA40
3C021FB00
3C024AA00
(57)【要約】
【課題】同一平面上に並んだ複数種類のパーツを取り上げる作業がピックアップ装置に頼らずとも正確にできようにする。
【解決手段】シート材Sを裁断処理して同一平面上に並んだ複数のパーツPに切り分ける裁断テーブル13の下流に設けられて裁断時の状態のままパーツPを待機させるピックアップテーブル15と、ピックアップテーブル15上のパーツPに対して裁断処理に用いられた図形データから生成したパーツ情報画像Iaを投影するプロジェクタ16を備える。ピックアップテーブル15をコンベヤで構成し、コンベヤを駆動制御するコンベヤ制御部によって、プロジェクタ16で投影するパーツ情報画像IaとパーツPを一致させて、取り上げるべきパーツPを明確にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を裁断処理して同一平面上に並んだ複数のパーツに切り分ける裁断テーブルより下流側に設けられて裁断時の状態のままパーツを待機させるピックアップテーブルと、
前記ピックアップテーブル上のパーツに対して裁断処理に用いられた図形データから生成したパーツ情報画像を投影するプロジェクタを有する
裁断装置の付属装置。
【請求項2】
前記ピックアップテーブルがパーツを載せて搬送するコンベヤで構成され、
前記コンベヤを駆動制御するコンベヤ制御部が、前記プロジェクタで投影するパーツ情報画像にパーツを一致させるように前記コンベヤを駆動するものである
請求項1に記載の裁断装置の付属装置。
【請求項3】
前記プロジェクタで投影されたパーツ情報画像を読み取る投影画像撮影カメラが設けられるとともに、
前記投影画像撮影カメラで読み取られた情報に基づいてパーツをピックアップして次工程へ移送する移送装置が備えられた
請求項1または請求項2に記載の裁断装置の付属装置。
【請求項4】
前記図形データに基づいてパーツをピックアップして次工程へ移送する移送装置が備えられた
請求項1または請求項2に記載の裁断装置の付属装置。
【請求項5】
前記ピックアップテーブルでのパーツのピックアップ状況を撮影する作業状況撮影カメラが設けられるとともに、
前記作業状況撮影カメラから入力された作業状況画像と前記図形データとを対比して次に取り上げるべきパーツを判定する画像比較処理部を設け、
前記画像比較処理部での結果に基づいて、前記図形データにおける次に取り上げるべきパーツに対応する部分示す作業支援画像を前記プロジェクタに投影する画像を生成する投影画像生成部に生成させる
請求項1または請求項2に記載の裁断装置の付属装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート材を裁断処理して同一平面上に並んだ複数のパーツに切り分ける裁断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
裁断装置で裁断された被縫製物などのパーツは、縫製工程などの次の工程に移す必要がある。
【0003】
そのパーツについて、一つの製品を得るためにはさまざまな形状のものが複数必要であるのが一般的である。通常、それらのパーツはシート材から無駄なく切り出すように工夫されるので、裁断後の配置は次工程のことが考慮されていない。そのため、裁断されたパーツは、例えば種類ごとや縫製順序ごとなど、人の目で判断して秩序立てて取り上げられていた。
【0004】
だが、このピックアップにミスが生じると、次の工程以降の作業に支障が出て、不良品の発生や作業遅延などの不都合が生じてしまう。
【0005】
下記特許文献1には、裁断されたパーツを人手ではなく機械的に取り上げて縫製用のテンプレートに搬送する搬送装置が開示されている。このようにピックアップを機械的に行えば取り上げる対象を間違えるミスを人手で行う場合に比べて少なくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、設置するすべての裁断装置を一律にピックアップ装置付きのものとすることは、複数の製造ラインを備えて多種多様な製品を効率よく生産し、かつ受注に応じて柔軟に対応できるようにした工場において現実的ではない。
【0008】
そこで、この発明はピックアップ装置に頼らずとも正確なピックアップができようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段は、シート材を裁断処理して同一平面上に並んだ複数のパーツに切り分ける裁断テーブルより下流側に設けられて裁断時の状態のままパーツを待機させるピックアップテーブルと、前記ピックアップテーブル上のパーツに対して裁断処理に用いられた図形データから生成したパーツ情報画像を投影するプロジェクタを有する裁断装置の付属装置である。
【0010】
この構成では、裁断処理がなされてピックアップテーブル上に並んだ複数のパーツに対してパーツ形状やパーツ識別符号などからなるパーツ情報画像がプロジェクタから投影される。パーツ情報画像は、視認しにくい切り溝で囲まれたパーツであっても、投影されたパーツが何であるかを明瞭にする。例えばパーツ情報画像がパーツ形状であればパーツの輪郭を明示にして、パーツ情報画像がパーツ識別符号であればパーツの種別や取り上げ順序を明確にして、正確なピックアップ作業を促す。投影されたパーツ情報画像は、目視で直接的に利用されるほか、撮影装置で撮影するなどして間接的に利用され得る。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、プロジェクタがピックアップテーブル上のパーツに対してそのパーツ情報画像を明瞭に示すので、ピックアップ装置を用いずに人手で行っても正確なピックアップが可能である。しかも、パーツ情報画像は投影されるので、手元が明るくなることもあって人の目で見ての作業が行い易いうえに、カメラで撮影して利用することもできる。このため、正確なピックアップが可能でありながも、製造する製品や製造ラインの変更等にも柔軟に対応可能な生産環境を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図8】移送装置によるパーツの吸着状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0014】
図1に、付属装置11を備えた裁断装置12の概略平面図を示す。裁断装置12は、入力された図形データに基づいてシート材Sを裁断処理して、同一平面上に並んだ複数のパーツPに切り分けるものである。裁断処理を行う裁断テーブル13を備え、その上に裁断ヘッド14を備えている。裁断ヘッド14は、裁断テーブル13に載置されたシート材Sの表面を縦横に移動して切断を行うものである。
【0015】
付属装置11は裁断テーブルで裁断されたパーツPのピックアップ作業を補助するものである。裁断装置12に一体のものであっても、後付けするものであっても、いずれでもよい。
【0016】
付属装置11は、裁断時の状態のままパーツPを待機させるピックアップテーブル15と、ピックアップテーブル15上のパーツPに対して投影を行うプロジェクタ16を有している。
【0017】
ピックアップテーブル15は、裁断装置12における裁断処理を行う裁断テーブル13の下流側に隣接して設けられている。裁断テーブル13での裁断処理を経て搬送されるシート材Sを受け入れてそのまま搬送できるように、
図2に示す如くコンベヤで構成されており、シート材Sを下流側に搬送する機能を有している。コンベヤを駆動するモータ17は、必要な時に停止できるようにステッピングモータやサーボモータ等で構成される。
【0018】
ピックアップテーブル15は、コンベヤの駆動制御に必要な装置として、搬送されるシート材をS検知する光電センサ等からなるセンサ18と、センサ18の検知に基づいてモータ17の駆動と停止を行うコンベヤ制御部19を有している。コンベヤ制御部19は例えばセンサ18による検知から一定距離移動したのち停止するように制御するものであるとよい。またピックアップテーブル15はモータ17の正逆回転を手動で行う手動スイッチ21を有している。
【0019】
プロジェクタ16は、ピックアップテーブル15の上流側位置の上方に備えられており、投影画像をピックアップテーブル15の下流端部に投影するように設定される。これは、ピックアップテーブル15の下流端に立った作業員Hの手が届く範囲に投影するためである。
図1中、投影範囲は一点鎖線で示した。
図1中、22はプロジェクタ16をピックアップテーブル15の上方に支持する支持フレームである。
【0020】
プロジェクタ16から投影する画像を生成する投影画像生成部23には、裁断装置12に入力された裁断処理のための図形データ24が入力されるように構成されている。
【0021】
図形データ24は、少なくともパーツPの輪郭を示す位置情報(二次元座標情報)及びパーツPを特定する固有の識別情報を有しており、識別情報にはピックアップする際に取り上げるべき順番の情報が含まれている。また識別情報は、アルファベットなどの文字や数字などの記号として目視で判別可能な表示にできるように構成される。
【0022】
投影画像生成部23で生成されるパーツ情報画像Iaは図形データ24から生成される。パーツ情報画像Iaは
図3に示したようにパーツ形状xとパーツ識別符号yとするとよい。パーツ情報画像Iaのうちパーツ形状xはパーツPの位置情報に基づいてその輪郭の内側を適宜の色を付した画像で表示する。パーツ識別符号yは、パーツ形状xの輪郭の内側に色抜き部分xaをつくり、この色抜き部分xaに文字や記号の羅列で表示する。パーツ情報画像Iaの輪郭は、本来パーツPの輪郭と一致するが、
図3ではわかりやすくするため、パーツPの輪郭線から斜めに僅かにずらして描いている。パーツ形状xの輪郭と色抜き部分xaの輪郭に相当する部分を細線で表し、それらの間の部分であって細線に近い部分に斜線を施して、パーツ形状xを示している。また、パーツ識別符号yは複数の細線の円で示している。
【0023】
これらのような各部で構成される付属装置11の制御部25は、プログラムを格納したROM及び動作に必要なデータを記憶するRAMを内蔵している。以下、この制御部25が行う駆動制御を説明する。
【0024】
制御部25は、入力部(図示せず)からの入力に従って裁断装置12の図形データ24を投影画像生成部23に読み込んで、位置情報(二次元座標情報)及び識別情報を含むその図形データ24に基づいて演算を行い、投影画像としてパーツ情報画像Iaを生成する。パーツ情報画像Iaは
図1、
図2、
図4(a)に示したように、ピックアップテーブル15の下流端部に投影される。
【0025】
一方で制御部25は、コンベヤ制御部19によりモータ17を駆動してシート材Sを下流側に搬送し、センサ18がシート材Sの所定位置を検知してからあらかじめ定めた距離搬送を行う。その後、プロジェクタ16で投影するパーツ情報画像IaにパーツPを一致させて(
図4(b))、モータ17を停止する。
【0026】
シート材SのパーツPをパーツ情報画像Iaに合わせるコンベヤのモータ17駆動は、手動スイッチ21を用いて行ってもよい。また、シート材Sを所定位置に搬送してからプロジェクタ16による投影を行ってもよい。
【0027】
パーツ情報画像IaとパーツPが一致した状態で作業員Hはピックアップ作業を行う(
図4(c))。このとき、ピックアップされるべきパーツPのパーツ形状xとパーツ識別符号yがそのパーツPの上に投影されている。しかも、パーツ識別符号yはピックアップすべき順序も示しているので、予定された正確なピックアップ作業が容易に行える。
【0028】
特に、シート材Sにカッターで切れ目を入れてパーツPを切り分けた場合、パーツPの輪郭を形成する切れ目は目視しにくく、パーツPを認識しにくい。しかし、パーツ情報画像Iaのうちのパーツ形状xにより、パーツPの輪郭が明瞭となり、必要なパーツPのみを取り上げる作業がきわめて容易に、しかも正確に行える。
【0029】
このような作業員Hによるピックアップ作業は、装置の設置スぺースが狭い場合や、ピックアップ装置では取り上げにくいほどパーツが小さい製品の場合、急な注文に対応して製造する製品を変更する場合、小ロットの製品を製造する場合などに好都合である。
【0030】
以下、他の例について説明する。その説明において前述と同一の構成については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0031】
パーツPを自動でピックアップして次工程に移送する移送装置31を備える場合には、例えば
図5、
図6に示したように構成するとよい。
【0032】
まず、移送装置31について概要を説明する。
【0033】
移送装置31は、ピックアップテーブル15の搬送方向に沿った両側部に設けられ、複数のピックアップアーム32を備えている。ピックアップアーム32は、伸縮可能なアーム部33と、アーム部33の先端でパーツPを吸着する吸着ハンド部34を有するものである。吸着ハンド部34は昇降可能に構成されており、吸着ハンド部34の下面には吸着口34aが形成されている。
【0034】
これらピックアップアーム32は、ピックアップテーブル15と、それよりも下流側に位置する次の工程である集合工程部35との間を往復移動可能に備えられている。集合工程部35はコンベアではなく天板を有するテーブルで構成される。
【0035】
またピックアップアーム32は、ピックアップテーブル15と集合工程部35を結ぶ移送ラインの両側部にそれぞれ複数ずつ、具体的には2個ずつ配設されており、それらピックアップアーム32はそれぞれ移動体36に支持されている。
【0036】
アーム部33の先端の吸着ハンド部34は昇降可能に構成されており、吸着ハンド部34の下面には吸着口34aが形成されている。
【0037】
移送装置31はまた、印字手段41を備える。印字手段41は、ピックアップテーブル15と集合工程部35との間においてパーツPに印字を行うものである。図中、42は例えばインクジェットプリンターで構成されたプリンタであり、上方に架設された支持枠43に対してプリンタ昇降用モータ44で昇降可能に支持される。また図中、45はパーツPにたるみができて印字ができない場合に使用される支持板であり、プリンタ42に隣接して支持枠43に支持板昇降用モータ46で昇降可能に、かつ支持用アクチュエータ47で水平方向に回転可能に支持されている。支持用アクチュエータ47は支持板45をパーツPの下とパーツPの下から外れた位置とに選択的に移動可能にするものである。
【0038】
このような移送装置31を備える付属装置11は、
図7に示したようにプロジェクタ16で投影されたパーツ情報画像Iaを読み取る投影画像撮影カメラ51を設けている。投影画像撮影カメラ51で読み取られた情報に基づいて移送装置31でパーツPをピックアップして移送することができる。
【0039】
すなわち、付属装置11の制御部25は、前述と同様にプロジェクタ16からパーツ情報画像Iaをピックアップテーブル15上に投影する一方、センサ18検知に基づいてコンベヤ制御部19からモータ17を駆動停止し、パーツ情報画像IaとパーツPを重ね合わせる。
【0040】
この状態でパーツP上に投影されたパーツ情報画像Iaを投影画像撮影カメラ51で撮影して、その情報を形状データとして移送装置制御部52に入力する。そして、その形状データと図形データ24を参照して、ピックアップするパーツP及びその順序を、予め記憶されたプログラムに基づいて決定する。同時に制御部25は、ピックアップするパーツPのどの部位を吸着するのか、どのピックアップアーム32を用いるのかを形状データに基づいて演算して決定する。
【0041】
決定に基づいて制御部25は、待機状態にある複数のピックアップアーム32のうち選択されたピックアップアーム32を有する1個以上の移動体36の移動用モータを駆動して、ピックアップするパーツPに対応する位置まで移動体36を移動し、停止させる。
【0042】
続いて制御部25は、ピックアップアーム32の伸縮や吸着ハンド部34の昇降を行って、必要なパーツPを引き上げ、ピックアップアーム32を集合工程部35に移動して、パーツPをテーブル上に置く。
【0043】
その途中、制御部25は移動体36を一旦停止して印字手段41による印字を実行させる。
【0044】
吸着ハンド部34による吸着の態様について一例を説明する。
【0045】
制御部25は、RAMに記憶させた必要な情報として、
図8に示したような左右に並ぶアーム部33の吸着ハンド部34間の最短距離Lの情報と吸着口34aの口径dの情報を有しており、これらの情報とピックアップするパーツの形状データを対比する。
【0046】
また制御部25は、形状データから判断されるパーツPの搬送方向での最大長さと搬送方向と直交する方向での最大長さと輪郭形状に基づいて、吸着口34aの口径dの情報等を参照して、1個の吸着ハンド部34で吸着保持が可能であるか否かを判断する。
【0047】
図8中のパーツPaのように縦横比が小さいパーツの場合には、その中心部の一つの座標が吸着位置とされる。
図8中、仮想線で描いた丸印は吸着位置である。パーツPb,Pc,Pd,Peのように吸着ハンド部34同士の間の最短距離Lより長く、1個の吸着ハンド部34で吸着保持可能な所定値よりも長い形状である場合には、その長手方向の両側部分を含む2つ以上の座標が吸着位置とされる。パーツPb,Pcのように搬送方向又はそれと直交する方向に長い姿勢となっているパーツの場合はもちろん、パーツPd,Peのように斜め方向に長い姿勢のパーツも、吸着位置の座標が決定されることで正しく保持できる。
【0048】
パーツPf,Pgのように縦横比は大きくはないが、差し渡し長さが1個の吸着ハンド部34で吸着保持な所定値より長い形状のパーツの場合には、その中心部から4方向又は3方向に離れて輪郭線とは所定の距離を保った4つ又は3つの座標が吸着位置とされる。パーツPfのように四角形又はそれに近い多角形状である場合には、4箇所を吸着すれば基本的に保持可能である。パーツPgのように、三角形または一部が延びた形状である場合は、3箇所又は4箇所を吸着すれば保持可能である。
【0049】
パーツPの吸着保持をするピックアップアーム32の選定について制御部25は、取り上げるパーツPの位置情報と好ましい移送順序情報を参照する。例えば
図8のパーツPaのように吸着位置が一つの場合には、搬送方向と直交する方向においてパーツPaに近い側のピックアップアーム32を優先的に稼働し、パーツPeのように吸着位置が3箇所の場合には、遠くてもパーツPeと反対側のピックアップアーム32も利用する。また、例えば
図8のパーツPbを搬送しながら、搬送効率や搬送順序の関係上、パーツPaも同時に搬送する場合には、それぞれ別側に位置するピックアップアーム32を使用する。
【0050】
このように、投影されたパーツ情報画像IaからパーツPの形状を判断して、所望のピックアップを行って次の工程へ移送することができる。
【0051】
移送装置31によるピックアップ作業は、
図9に示したように構成して、つまり投影画像撮影カメラ51を用いずに、裁断処理に用いられた図形データ24に基づいて行うようにすることもできる。
【0052】
すなわち、制御部25は、投影画像生成部23に入力された図形データ24を読み出すなどして移送装置制御部52で前述と同様の動作、つまり前述の「形状データ」を「図形データ24」に読み替えた制御動作を行い、移送装置31を駆動制御する。
【0053】
パーツPを人手でピックアップする場合には、例えば
図10に示したように構成することができる。
【0054】
すなわち付属装置11は、ピックアップテーブル15でのパーツPのピックアップ状況を撮影する作業状況撮影カメラ55を備えている。制御部25には画像比較処理部56を設け、作業状況撮影カメラ55から入力された作業状況画像と、裁断処理に用いた図形データ24とを対比して次に取り上げるべきパーツPを判定させる。そして、その結果に基づいて図形データ24における次に取り上げるべきパーツに対応する部分示す作業支援画像Ib(
図11(b)参照)を投影画像生成部23に生成させ、プロジェクタ16から投影していた画像をその作業支援画像Ibに切り替える。
【0055】
図11はその作用を示したものであり、(a)はパーツPをピックアップする前の投影状態、(b)は2枚のパーツPをピックアップした後の投影状態を示している。具体的には、ピックアップ作業をする前には、図形データ24から生成したパーツ情報画像IaがすべてのパーツPにそのパーツ形状xとパーツ識別符号yを映し出している(
図11(a))。パーツ情報画像Iaが変わらないと、一部のパーツPを取り上げたあとでも、パーツPがないその部分にパーツPのパーツ形状xとパーツ識別符号yが投影されている。
【0056】
この点、
図10の構成の制御部25は投影する画像を変更する。すなわち制御部25は、画像比較処理部56に入力した作業状況画像から取り除かれたパーツPを判定し、現在投影している画像からそのパーツPに対応する部分の画像を除去する。そして、次に取り上げるべきパーツPに対応する部分を色分けなどで明示した作業支援画像Ibを生成して投影を行う(
図11(b))。
図11(b)において、次に取り上げるべきパーツPは斜線に代えてドットを付して表している。
【0057】
このように構成すると、次にとるべきパーツPが視覚的により明確になるので、確実に作業ミスをなくすことができ、作業に不慣れな者に対する作業支援になる。
【符号の説明】
【0058】
11…付属装置
12…裁断装置
13…裁断テーブル
15…ピックアップテーブル
16…プロジェクタ
19…コンベヤ制御部
23…投影画像生成部
24…図形データ
31…移送装置
51…投影画像撮影カメラ
55…作業状況撮影カメラ
56…画像比較処理部
S…シート材
P…パーツ
Ia…パーツ情報画像
Ib…作業支援画像