(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174635
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ドリル用垂直穿孔治具
(51)【国際特許分類】
B23B 45/00 20060101AFI20231201BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B23B45/00 A
B25F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087290
(22)【出願日】2022-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】720006711
【氏名又は名称】伊藤 真
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晢子
【テーマコード(参考)】
3C036
3C064
【Fターム(参考)】
3C036EE01
3C064AA03
3C064AA04
3C064AB02
3C064AC01
3C064AC09
3C064BA14
3C064BA32
3C064BB84
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB84
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ドリルでの穿孔作業において傾斜した被穿孔面に対しても垂直に穿孔することができる簡素な機構のドリル用垂直穿孔治具を提供すること。
【解決手段】ドリル本体2に水準器4を3次元に傾転可能となるよう、粘着剤5を介して着脱可能に取り付けることを特徴とするドリル用垂直穿孔治具3である。ドリル本体2のドリルチャック6に垂直芯出し具7を挿着し、被穿孔物8に垂直芯出し具7を垂直に当接できて、粘着剤5を手の力で塑性変形することにより水準器4を水平状態に固定することによって、被穿孔物8に対して垂直に穿孔することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル本体に水準器を3次元に傾転可能となるよう粘着剤を介して着脱可能に取り付けることを特徴とするドリル用垂直穿孔治具。
【請求項2】
垂直芯出し具をドリル本体のドリルチャックに装着し、被穿孔面に上記垂直芯出し具を垂直に当接できて上記ドリル本体に取り付けた水準器を上記粘着剤を塑性変形することにより水平状態に固定してドリルの垂直位置決めをするようにした請求項1記載のドリル用垂直穿孔治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリル加工において穿孔面に垂直に穿孔をすることができる治具に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野の背景技術として、孔明け方向を感知する手段を備えたドリルに関して次の特許文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、傾斜した被穿孔面に対しても直角に孔明けが行えるように、ドリル本体に水準器を3次元に傾転可能に自在継手やフレキシブルジョイント等の継手手段に取着し、ベルベットファスナーや磁石体等の着脱手段を介してドリル本体に着脱可能に取り付けるものである。
【0005】
しかし、上記特許文献では、水準器は自在継手やフレキシブルジョイント等の継手手段と、ベルベットファスナーや磁石体等の着脱手段の2種類の手段を介してドリル本体に着脱可能に取り付けるものであり、機構の複雑さや作業時の振動などによるガタやズレ等の不安定が生じる問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、水準器を3次元に傾斜可能にドリルに取り付けるための継手手段と着脱手段を一体化し、機構を簡素にすることにより安定した水準器の取り付けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ドリル本体に水準器を3次元に傾転可能となるよう、粘着剤を介して着脱可能に取り付けることを特徴とするドリル用垂直穿孔治具である。
【0008】
請求項2に係る発明は、垂直芯出し具をドリル本体のドリルチャックに装着し、被穿孔面に上記垂直芯出し具を垂直に当接できて上記ドリル本体に取り付けた水準器を上記粘着剤を塑性変形することにより水平状態に固定してドリルの垂直位置決めをするようにした請求項1記載のドリル用垂直穿孔治具である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によると、水準器を上記粘着剤を介してドリル本体に取り付けるようにしたので、水準器を3次元的に傾転できて、被穿孔面が水平面、垂直面に二次元状や三次元状に傾斜する面に対しても、水準器を水平状態に保持することができるものである。
【0010】
水準器に取着した上記粘着剤は、水準器及びドリル本体に着脱可能に取り付けることによって、他のドリルにも同様に取り付けられて、上記のように作用、効果を奏する。
【0011】
請求項2に係る発明によると、ドリル本体のドリルチャックに垂直芯出し具を挿着し、被穿孔面に上記垂直芯出し具を垂直に当接できて上記ドリル本体に取り付けた水準器を上記粘着剤で水平状に固定することによって、被穿孔面に簡単かつ正確に垂直にドリル本体を位置決めすることができ、被穿孔面に対して垂直に穿孔することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のドリル用垂直穿孔治具の実施例を説明する図面である。
【
図2】
図1のドリル用垂直穿孔治具の垂直心出し具を説明する図面である。
【
図3】
図1のドリル用垂直穿孔治具で位置決めをしたドリルで被穿孔物を穿孔する状態を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明におけるドリル用垂直穿孔治具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1において、ドリル用垂直穿孔治具3は、水準器4と、水準器4とドリル1のドリル本体2に粘着し結合する粘着剤5と、ドリル本体2のドリルチャック6に挿着する垂直芯出し具7とにより構成されている。
【0015】
ドリル1は、一般的な電気ドリルに加えて、振動ドリル,ハンマードリル, 高速ドリル, エアドリル等の孔明け加工が可能な電動工具を含む。
【0016】
粘着剤5は、粘着強度に優れ可塑性をもった粘土状の固形物であり、水準器3とドリル本体2に粘着し、水準器4をドリル本体2にドリル穿孔時の振動に対しても十分な強度で固着するとともに、手の力で水準器4をドリル本体2から脱着可能とする。また、手の力で粘着剤5を塑性変形することにより水準器4をドリル本体2に対して3次元に傾転可能とする。粘着剤5の材質は、合成ゴムを主成分とする固形物で形成する。
【0017】
図2は、ドリル用垂直穿孔治具3の垂直芯出し具7を説明する拡大図である。
図2において、垂直芯出し具7は、垂直棒9と、円板10とにより構成されている。垂直軸9は円板10の中心で円板10に垂直となるように結合される。垂直軸9と円板10の材質としては、強度と剛性に優れる炭素鋼工具やステンレス鋼が適しているが、エンジニアリングプラスチックを使用することもできる。
【0018】
そして、
図1のように垂直芯出し具7の垂直棒9をドリル本体2のドリルチャック6に挿着し、垂直芯出し具7を被穿孔物8に当接すればドリル本体2を簡単に被穿孔面に垂直に芯出しでき、ドリル本体2に対して3次元に傾転可能とする水準器4を調整して水平状に設定する。
【0019】
次に、垂直芯出し具7を取り外して
図3のようにドリル刃11を挿着して、穿孔中に水準器が常に水平状になるよう保持することにより非穿孔物8を垂直に穿孔することができる。
【0020】
このように本発明のドリル用垂直穿孔治具は、被穿孔面がいかなる傾斜面であっても、ドリル本体2を傾斜面に垂直に容易に対向できて穿孔することができるとともに、粘着剤5により水準器4はドリル本体2から容易に着脱可能であるため、傾斜面によらず水準器が見えやすい位置に取り付けたり、他のドリルについても水準器を簡単に取り付けて使用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 ドリル
2 ドリル本体
3 ドリル用垂直穿孔治具
4 水準器
5 粘着剤
6 ドリルチャック
7 垂直芯出し具
8 被穿孔物
9 垂直棒
10 円板
11 ドリル刃