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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174666
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】振動発生装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20231201BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20231201BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/72
B60R11/02 S
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151086
(22)【出願日】2023-09-19
(62)【分割の表示】P 2022129952の分割
【原出願日】2018-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500403929
【氏名又は名称】パイオニアシステムテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 尚希
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 賢太
(72)【発明者】
【氏名】森重 隆司
(72)【発明者】
【氏名】福田 達也
(72)【発明者】
【氏名】飯澤 高志
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3D020
【Fターム(参考)】
3B084JA03
3B084JA06
3B084JD05
3B087DE10
3D020BA10
3D020BC11
3D020BD05
3D020BE03
(57)【要約】
【課題】再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生可能な振動発生装置を提供する。
【解決手段】4つの振動子21~24が移動体の座席Sに配置されている。制御部3は、移動体の走行状態情報としてアクセル開度を取得し、振動子21~24の各々を、アクセル開度に応じて振動パラメータとしての振幅A(x)及びパルス群同士の間隔Δt(x)を決定して振動させる。これにより、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の座席に配置された複数の振動子と、
前記移動体の走行状態に関する走行状態情報を取得する取得部と、
前記複数の振動子の各々を前記走行状態情報に応じて制御する制御部と、を備えることを特徴とする振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバシート(座席)に設けられたシートバイブレータ(振動子)と、スピーカと、を備えた電気レーシングカートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された電気レーシングカートでは、シートバイブレータ及びスピーカを制御することにより、ドライバーに擬似的なエンジン振動及びエンジン音を体感させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-180800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際のエンジン振動は複雑であり、特許文献1に記載されたように単にシートバイブレータを振動させるだけでは充分な再現度を得ることが困難であった。
【0005】
したがって、本発明の課題は、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生可能な振動発生装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の振動発生装置は、移動体の座席に配置された複数の振動子と、前記移動体の走行状態に関する走行状態情報を取得する取得部と、前記複数の振動子の各々を前記走行状態情報に応じて制御する制御部と、を備え、前記制御部は前記複数の振動子を仮想的な振動発生源に近い振動子から順に振動させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例に係る振動発生装置を模式的に示すブロック図である。
図2】前記振動発生装置の振動子が移動体の座席に設けられた様子を示す斜視図である。
図3】前記振動子を示す斜視図である。
図4図3におけるV1-V1線に沿った断面を示す断面図である。
図5】前記振動子の振動変位の時間変化を示すグラフである。
図6】前記振動発生装置の制御部が実行する強調処理の一例を示すフローチャートである。
図7】前記強調処理における第1処理及び第2処理によって決定される振動強度と走行速度との関係の一例を示すグラフである。
図8】前記第1処理及び前記第2処理によって決定される振動強度と走行速度との関係の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る振動発生装置は、移動体の座席に配置された複数の振動子と、移動体の走行状態に関する走行状態情報を取得する取得部と、複数の振動子の各々を走行状態情報に応じて制御する制御部と、を備える。
【0009】
エンジン車において生じる実際のエンジン振動は、座席の各位置において、振動強度や振動発生タイミング等が異なる。そこで、座席に配置された複数の振動子の各々を、走行状態情報に応じて振動を制御することにより、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。
【0010】
走行状態情報は、移動体の動力源回転数と、アクセル開度と、走行速度と、のうち少なくとも1つを含んでいればよい。即ち、動力源回転数(エンジンの回転数又はモータの回転数)に基づいて振動を制御してもよいし、アクセル開度に基づいて振動を制御してもよいし、走行速度に基づいて振動を制御してもよいし、これらの組み合わせに基づいて振動を制御してもよい。
【0011】
制御部は、周波数と、振幅と、振幅の時間変化と、パルス群同士の間隔と、のうち少なくとも1つが互いに異なるように複数の振動子の振動を制御すればよい。
【0012】
複数の振動子は、座席の背面部に配置されたものと座面部に配置されたものとを含むことが好ましい。これにより、エンジン車において生じる実際のエンジン振動が、背面部と座面部とで異なる場合に、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。
【0013】
複数の振動子は、座席のうち同一対象部位に配置されたものを含むことが好ましい。これにより、エンジン車において生じる実際のエンジン振動が、1つの部位(背面部又は座面部)内で位置によって異なる場合に、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。
【0014】
このとき、同一対象部位に配置された2以上の振動子は、振動方向が互いに異なっていることがより好ましい。これにより、エンジン車において生じる実際のエンジン振動が、1つの部位内で位置によって振動方向が異なる場合に、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。
【0015】
移動体は、動力源としてモータを備えたものであればよい。モータ駆動によって移動体が走行する際に擬似的なエンジン振動を発生させればよい。
【0016】
移動体の走行速度に応じた擬似エンジン音を発生する音発生部をさらに備えることが好ましい。これにより、擬似的なエンジン振動だけでなく擬似的なエンジン音も発生させることができる。尚、音発生部が振動子とは別体に設けられていてもよいし、振動子が振動する際に発生する音を利用することにより、複数の振動子のうち全部または一部を音発生部として用いてもよい。
【実施例0017】
以下、本発明の各実施例について具体的に説明する。本実施例の振動発生装置1は、図1に示すように、4つの振動子21~24と、制御部3と、アンプ4と、記憶部5と、を備え、動力源としてモータを備えた移動体(電気自動車)に搭載される。
【0018】
4つの振動子21~24は、図2にも示すように、移動体の座席Sに配置され、このうち2つが座席Sの背面部(背もたれ部)S1に配置されるとともに、他の2つが座面部S2に配置されている。背面部S1に配置された振動子21、22は、移動体の幅方向に並設され、いずれも背面部S1の前面に対する直交方向に沿った方向を振動方向とする。座面部S2に配置された振動子23、24は、移動体の幅方向に並設され、いずれも座面部S2の上面に対する直交方向に沿った方向を振動方向とする。
【0019】
ここで、振動子21~24の詳細について、図3、4に基づいて説明する。尚、図4は、図3(A)中のV1-V1切断線に沿った断面を示す断面図である。
【0020】
振動子21~24は、ケース210内に磁気回路220が収容されたものである。ケース210は、背の低い円筒フレーム211の一端側の開口が、中央部に複数の貫通孔212が設けられた円形の第1板壁213で塞がれ、他端側の開口が円形の第2板壁214で塞がれたものである。図3(A)には貫通孔212が設けられた第1板壁213側から見た振動子21~24が示されており、図3(B)にはその反対側から見た振動子21~24が示されている。
【0021】
第1板壁213の略中央からは、複数の貫通孔212を囲むように円筒状のボビン215が第2板壁214に向かって立設されており、そのボビン215の外周にボイスコイル216が設けられている。このように、ボイスコイル216は、ボビン215を介して第1板壁213に固定されている。また、複数の貫通孔212は、第1板壁213と交差する方向から見たときの平面視でボイスコイル216の内側に相当する領域213aに設けられている。
【0022】
磁気回路220は、各々がリング状のプレート221及びマグネット222と円盤状のヨーク223とを備えている。プレート221及びマグネット222が、ボイスコイル216に対してギャップを開けて同軸に配置されている。プレート221、即ち磁気回路220は、ダンパ230を介して円筒フレーム211の内壁面に、第1板壁213に対する接離方向D1に振動可能に支持されている。
【0023】
ボイスコイル216に交流信号が通電されると、磁気回路220が、第1板壁213に対する接離方向D1に振動する。また、その振動のダンパ230を介した反作用でケース210も振動する。このように、振動子21~24では、ボイスコイル216への通電によりケース210と磁気回路220との間に相対振動が生じる。この相対振動により、振動子21~24は、ケース210ごと振動する。また、ケース210においては、磁気回路220からの反作用を受けるボイスコイル216が固定されている第1板壁213が局部的に振動する。この第1板壁213の振動により音が発生する。このように、振動子21~24は、ケース210と磁気回路220との、ボイスコイル216への通電による相対振動によりケース210ごと振動して放音する。
【0024】
制御部3は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備えたCPU(Central Processing Unit)で構成され、振動発生装置1の
全体制御を司る。即ち、制御部3は、取得した情報に応じた駆動信号を振動子21~24に送信する。制御部3と振動子21~24との間にはアンプ4が設けられており、制御部3が送信した駆動信号が増幅されて振動子21~24に供給されるようになっている。
【0025】
制御部3は、移動体のCAN(Controller Area Network)10から移動体の走行状態
に関する走行状態情報を取得し、取得部として機能する。本実施例では、移動体のアクセル開度(運転者によるアクセルの踏み込み量)を走行状態情報とするが、モータ回転数又は走行速度を走行状態情報としてもよいし、これらの各パラメータを適宜組み合わせて走行状態情報としてもよい。また、制御部3は、CAN10から移動体の走行速度情報として走行速度を取得し、第1取得部として機能する。
【0026】
制御部3は、現在位置推定部20から移動体の現在位置を取得するとともに、地図情報記憶部30から地図情報を取得する。即ち、制御部3は、走行環境情報として、移動体が現在走行している道路の種別(高速道路又は一般道路)及びその制限速度を取得し、第2
取得部として機能する。現在位置推定部20としては、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信するGPS受信部が例示される。また、地図
情報記憶部30は、カーナビゲーションシステムの記憶部であってもよいし、外部サーバの記憶部であってもよい。
【0027】
記憶部5には、アクセル開度と、各振動子21~24の振動パラメータの組み合わせと、の関係を示すテーブルが記憶されている。振動子21~24の振動パラメータとは、振動波形(振動変位の時間変化)を決定するための変数である。尚、このようなテーブルは、エンジン車の座席の各位置(振動子21~24が設けられる位置)において実際に発生する振動を測定することで決定してもよいし、シミュレーション結果に基づいて決定してもよい。また、記憶部5は、テーブルに代えて、アクセル開度と振動パラメータとの関係を示す数式を記憶してもよい。また、アクセル開度に代えて、モータ回転数又は走行速度、あるいはこれらの組み合わせと、各振動子21~24の振動パラメータの組み合わせと、の関係を示すテーブルが記憶部5に記憶されていてもよい。
【0028】
[複数の振動子の振動パラメータの決定方法]
制御部3は、複数の振動子21~24の各々を、走行状態情報に応じて振動を制御する。この詳細について以下に説明する。制御部3は、記憶部5からテーブルを読み込むことにより、アクセル開度に応じた振動パラメータの組み合わせを取得する。さらに制御部3は、取得した振動パラメータの組み合わせに応じた駆動信号を振動子21~24に送信する。このときの各振動子21~24の振動変位の時間変化の一例を図5に示す。
【0029】
振動子23は、複数(図示の例では3つ)のパルスによって構成されたパルス群による振動を発生した後、所定の時間間隔を空けて再びパルス群による振動を発生し、これを繰り返す。1つのパルス群を構成する各パルスの振幅は略等しい。また、一のパルス群の振幅A(x)と次のパルス群の振幅A(x+1)とは異なる値となっている。また、パルス群同士の間隔Δt(x)と、次の間隔Δt(x+1)とは異なる値となっている。尚、本実施例では、パルス群を構成する各パルスの波長(例えば40~120Hz)、及び、パルス群の含まれるパルス数は一定である。
【0030】
このように、振動子23の振動波形(図5において二点鎖線で図示)を決定する振動パラメータは、パルス群の振幅A(x)及び間隔Δt(x)である。振動子22~24においても同様に、パルス群の振幅A(x)及び間隔Δt(x)によって振動波形が決定される。間隔Δt(x)は、60~250msec程度であることが好ましい。
【0031】
振動子21~24の振動波形は互いに異なっている。具体的には、x=nの場合における振動子21~24の振幅A(x)が互いに異なっており、間隔Δt(x)も互いに異なっている。また、略同一タイミングのパルス群について、振動子21~24では互いに中心時間t0が異なっている。図5に一点鎖線で示すように、各振動子における中心時間t0の順番は、早い方から、座面部S2の左側に配置された振動子23、背面部S1の左側に配置された振動子21、座面部S2の右側に配置された振動子24、背面部S1の右側に配置された振動子22となっている。本実施例では、幅方向右側に運転席が位置し且つ前方にエンジンが搭載された車両における振動を模擬しており、座席Sから見て左前方に仮想的な振動発生源が位置している。即ち、仮想的な振動発生源に近い振動子から順に振動させている。
【0032】
尚、振動パラメータの決定及び更新のタイミングは任意であり、制御部3は、移動体の走行中、所定の時間が経過する毎に振動パラメータを決定してもよいし、アクセル開度が所定値以上変化した場合に新たに振動パラメータを決定してもよい。
【0033】
[振動パラメータ決定処理の変更]
制御部3は、上記のように振動子21~24の振動パラメータの組み合わせを決定するだけでなく、移動体の走行速度に応じた疑似エンジン振動を運転者に与えるように振動パラメータを決定し、決定部として機能する。
【0034】
運転者にとっての体感速度は、振動子21~24の振動強度に応じた速度となる。振動強度は、振動パラメータである振幅A(x)及び間隔Δt(x)によって決まる。即ち、振幅A(x)が大きくなるほど振動強度が高くなり、間隔Δt(x)が短くなるほど振動強度が高くなる。このように、制御部3が振動パラメータを決定することは、振動強度を決定することと等しい。
【0035】
制御部3は、移動体の走行中に強調処理を実行する。強調処理の一例について図6を参照しつつ説明する。制御部3は、移動体が高速道路から一般道路に進入したか否かを判定する(ステップS1)。移動体が高速道路から一般道路に進入した場合(ステップS1でY)、制御部3は、移動体の走行速度(速度判定値)が一般道路の制限速度(閾値)以下であるか否かを判定する(ステップS2)。移動体の走行速度が制限速度以下である場合(ステップS2でY)、制御部3は、第1処理によって振動強度を決定する(ステップS3)。一方、移動体の走行速度が制限速度よりも高い場合(ステップS2でN)、制御部3は、第2処理によって振動強度を決定する(ステップS4)。
【0036】
ステップS3、ステップS4に続き、制御部3は、移動体の走行状態が終了条件を満たしているか否かを判定する(ステップS5)。終了条件とは、例えば、移動体が高速道路から一般道路に進入してから所定距離だけ移動したことであってもよいし、所定時間が経過したことであってもよいし、移動体が停車したことであってもよいし、これらが適宜に組み合わされていてもよい。
【0037】
終了条件を満たしていない場合(ステップS5でN)、制御部3はステップS2に戻る。一方、移動体が高速道路から一般道路に進入していない場合(ステップS1でN)又は終了条件を満たした場合(ステップS5でY)、制御部3は、第1処理によって振動強度を決定する(ステップS6)。ステップS6の後、制御部3はステップS1に戻る。
【0038】
ここで、第1処理とは、振動子21~24の振動強度を、同程度の走行速度のエンジン車において実際に得られる振動強度と略等しくするように、振動パラメータを決定する処理である。エンジン車における実際の走行速度と、発生する振動の振動強度と、の関係は、予め実測してもよいし、シミュレーション結果に基づいて決定してもよい。尚、第1処理によって得られる振動強度を、その走行速度のエンジン車において実際に得られる振動強度よりも高く設定してもよいし、低く設定してもよい。一方、第2処理とは、同速度において第1処理によって得られる振動強度よりも、高い振動強度が得られるように振動パラメータを決定する処理である。
【0039】
振動子21~24の振動強度と速度との関係を図7に模式的に示す。移動体の走行速度が制限速度を超えている場合、第2処理によって振動強度を決定することにより、第1処理によって振動強度を決定する場合よりも高い振動強度が得られ、体感速度が高くなる。即ち、制限速度以下で走行している際には実際の走行速度と体感速度とが同程度となり、速度超過している際には体感速度が実際の走行速度よりも高くなるように(例えば実際の走行速度が60km/hに対し体感速度が70km/hとなるように)している。
【0040】
尚、図7に示す例では、第1処理を示す直線と第2処理を示す直線とが制限速度において不連続となり、且つ、傾きが略等しいものとしたが、これらの直線は、制限速度において連続し、且つ、傾きが異なるものであってもよいし、制限速度において不連続であり、
且つ、傾きが異なるものであってもよい。
【0041】
上記の構成により、座席Sに配置された4つの振動子21~24の各々を、走行状態情報としてのアクセル開度に応じて振動パラメータを決定して振動させることにより、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。
【0042】
また、振動子21、22が背面部S1に配置されるとともに振動子23、24が座面部S2に配置されていることで、エンジン車において生じる実際のエンジン振動が、背面部S1と座面部S2とで異なる場合に、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。
【0043】
また、2つの振動子21、22が背面部S1に配置されていることで、エンジン車において生じる実際のエンジン振動が、背面部S1内で位置によって異なる場合に、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。さらに、2つの振動子23、24が座面部S2に配置されていることで、エンジン車において生じる実際のエンジン振動が、座面部S2内で位置によって異なる場合に、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。
【0044】
また、2つの振動子21、22が背面部S1に配置され且つ2つの振動子23、24が座面部S2に配置されていることで、着座者(運転者)を基準として三次元的に4つの振動子21~24が配置されており、振動によるねじれ感を演出することができる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0046】
例えば、前記実施例では、振動子21~24の振幅A(x)と間隔Δt(x)と中心時間t0とが互いに異なっているものとしたが、他のパラメータが異なっていてもよい。例えば、複数の振動子同士で、パルス群を構成するパルスの周波数又は波長やパルス数が異なっていてもよい。また、実際のエンジン振動によっては、複数の振動子のうち一部の振動パラメータが互いに等しくなってもよい。
【0047】
また、前記実施例では、振動発生装置1が、背面部S1に配置された振動子21、22と座面部S2に配置された振動子23、24との両方を備えるものとしたが、振動発生装置は、背面部S1に配置された振動子のみを備えていてもよいし、座面部S2に配置された振動子のみを備えていてもよい。
【0048】
また、前記実施例では、背面部S1に2つの振動子21、22が配置され、座面部S2に2つの振動子23、24が配置されているものとしたが、背面部S1及び座面部S2には、それぞれ3以上の振動子が配置されていてもよいし、1つの振動子のみが配置されていてもよい。また、背面部S1と座面部S2とに配置される振動子の数が互いに異なっていてもよい。
【0049】
また、前記実施例では、背面部S1に配置された振動子21、22が同様の(略平行な)振動方向を有し、座面部S2に配置された振動子23、24が同様の(略平行な)振動方向を有するものとしたが、同一対象部位に配置された2以上の振動子は、振動方向が互いに異なっていてもよい。例えば、座面部S2に配置される振動子の場合、一の振動子が、座面部S2の上面に対する直交方向を振動方向とするとともに、他の振動子が、この直交方向に対して傾斜した方向や、座面部S2の上面の面内方向に沿った方向を振動方向としてもよい。
【0050】
このような構成によれば、エンジン車において生じる実際のエンジン振動が、1つの部位内で位置によって振動方向が異なる場合に、再現度の高い擬似的なエンジン振動を発生させることができる。尚、振動子全体の向きを変更する(例えば傾斜角度を変更する)駆動手段を設けることにより、振動方向を変更可能な構成としてもよい。
【0051】
また、前記実施例では、移動体の走行速度を速度判定値とするとともに制限速度を閾値としたが、閾値は、制限速度よりも低くてもよいし高くてもよい。また、加速度を速度判定値としてもよいし、走行速度と加速度との総合値を速度判定値としてもよい。即ち、実際に速度超過したか否かを判定してもよいし、速度超過が発生しそうか否かを判定してもよい。例えば、加速度が所定の閾値以上となった場合には速度超過が発生する可能性があるとして第2処理を実行してもよいし、走行速度と加速度との総合値が閾値以上となった場合には速度超過が発生する可能性があるとして第2処理を実行してもよい。
【0052】
また、前記実施例では、移動体が高速道路から一般道路に進入してから終了条件を満たすまでの間、第1処理又は第2処理によって振動強度を決定するものとしたが、制御部3は、適宜なタイミングで第1処理又は第2処理によって振動強度を決定すればよい。例えば、移動体の走行中は常に速度超過しているか否かを判定し(即ちステップS1、S5、S6を省略し)、第1処理又は第2処理を実行するようにしてもよい。
【0053】
また、前記実施例では、速度判定値が閾値以下となるか否かに基づいて第1処理又は第2処理を実行するものとしたが、走行環境情報のみに基づいて第1処理と第2処理とを切り換えてもよい。
【0054】
また、前記実施例では、速度判定値が閾値以下となるか否かに基づいて第1処理又は第2処理を実行するものとしたが、走行環境情報のみに基づいて第1処理と第2処理とを切り換えてもよい。
【0055】
例えば、通常時は第1処理を実行し、移動体が高速道路から一般道路に進入してから終了条件(例えば前記実施例と同様の条件)を満たすまでの間は、速度判定値と閾値とを比較することなく第2処理を実行するようにしてもよい。即ち、移動体が高速道路から一般道路に進入した場合に、速度超過が発生しているか否かに関わらず体感速度を高くすることにより、速度超過を未然に抑制するようにしてもよい。
【0056】
また、第2取得部としての制御部3によって、走行環境情報として道路の勾配を取得し、通常時は第1処理を実行し、勾配が閾値以上となった場合に第2処理を実行してもよい。下り勾配においては速度超過が生じやすく、上り勾配においては速度低下によって渋滞の要因となることがある。そこで、道路の勾配に応じて体感速度を高くしたり低くしたりするように第2処理に切り換えれば、望ましい速度で走行するよう運転者に自然に働きかけることができる。尚、取得する道路の勾配は、移動体の現在位置の勾配であってもよいし、現在位置よりも前方位置における勾配であってもよい。また、制御部3は、電磁波を送受信するセンサやカメラを用いることで道路の勾配を取得してもよいし、地図情報記憶部30から道路の勾配を取得してもよい。
【0057】
また、第2取得部としての制御部3によって、走行環境情報として移動体周辺の明るさと時刻とのうち少なくとも一方を取得し、通常時は第1処理を実行し、明るさが閾値以下となるか又は時刻が夜間時刻となった場合に第2処理を実行してもよい。移動体の周辺が暗い場合には視認性が低下しやすいことから、低速で走行することが好ましい。そこで、明るさが閾値以下となるか又は時刻が夜間時刻となった場合に、体感速度が高くなるような第2処理に切り換えれば、低速での走行を促すことができる。尚、夜間時刻は日没時刻に基づいて決定すればよく、例えば夏季と冬季とで異なる時刻としてもよい。
【0058】
また、第2取得部としての制御部3によって、路面状態の悪化度を取得し、通常時は第1処理を実行し、悪化度が閾値以上となった場合に第2処理を実行してもよい。路面状態が悪化している場合には移動体の走行制御が困難となる場合があることから、低速で走行することが好ましい。そこで、路面状態の悪化度が閾値以上となった場合に、体感速度が高くなるような第2処理に切り換えれば、低速での走行を促すことができる。尚、路面状態の悪化度が高い場合の例として、路面が凍結している場合や、路面の凹凸が大きい場合が挙げられる。
【0059】
また、前記実施例では、第2処理によって得られる振動強度を、同速度において第1処理によって得られる振動強度よりも高くし、速度超過を抑制するものとしたが、図8に示すように、第2処理によって得られる振動強度を、同速度において第1処理によって得られる振動強度よりも低くしてもよい。例えば、高速道路の走行中において走行速度が低下してしまい渋滞の要因となる場合には、振動強度を低くして体感速度を低くすることにより、速度上昇を促してもよい。
【0060】
また、前記実施例では、振動強度を決定する振動パラメータとして、振幅A(x)及び間隔Δt(x)を例示したが、その他の振動パラメータを調節することによって振動強度を決定してもよい。例えば、パルス群を構成するパルスの周期又は波長を振動パラメータとすることで振動強度を決定してもよい。
【0061】
また、前記実施例では、振動発生装置1が動力源としてモータを備えた電気自動車に搭載されるものとしたが、振動発生装置1は、エンジン及びモータを備えたハイブリッド車に搭載されてもよい。また、発生するエンジン振動が小さい場合や、エンジン回転数と加速度とが比例しにくい場合(例えば無段変速機付の車両)には、モータを備えていないエンジン車に振動発生装置1を搭載してもよい。
【0062】
また、振動発生装置は、固定された(移動しない)装置における座席に搭載されてもよく、例えば、レーシングゲーム等のゲーム筐体における座席や、ドライブシミュレータにおける座席に搭載されてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、振動子21~24によって擬似的なエンジン振動を発生させるものとしたが、振動発生装置がスピーカ等の音発生部をさらに備えることにより、移動体の走行速度に応じた疑似エンジン音も発生させてもよい。このとき、音発生部が振動子21~24とは別体に設けられていてもよいし、振動子21~24が振動する際に発生する音を利用することにより、複数の振動子21~24のうち全部または一部を音発生部として用いてもよい。
【0064】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施例に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施例に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 振動発生装置
21~24 振動子
3 制御部(取得部)
S 座席
S1 背面部
S2 座面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8