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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174694
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】キッチンロールタオル製品
(51)【国際特許分類】
   D21H 27/00 20060101AFI20231201BHJP
   D21H 27/30 20060101ALI20231201BHJP
   A47L 13/16 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
D21H27/00 F
D21H27/30 B
A47L13/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159348
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2019213393の分割
【原出願日】2019-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード(参考)】
3B074
4L055
【Fターム(参考)】
3B074AA04
3B074AB01
3B074AB05
3B074AC03
4L055AJ01
4L055AJ07
4L055BD02
4L055BD03
4L055BD04
4L055BD05
4L055BD06
4L055CE71
4L055EA08
4L055EA10
4L055EA15
4L055FA11
4L055GA29
(57)【要約】
【課題】吸水性と拭き取り性とを高水準で両立し、使用時の触感の良好なキッチンタオルのロールを、優れた美粧性を付与して包装したキッチンロールタオル製品の提供。
【解決手段】2プライ積層体であるシート状のキッチンタオル11xをロール状に巻き取ったキッチンロールタオル2と、キッチンロールタオルを包装する包装用フィルム20と、を備え、抄紙機のヘッドボックスからヤンキードライヤー入口までの間に付与された抄紙機由来の凹凸パターンを有し、キッチンタオル11xの坪量が32g/m以上65g/m以下、キッチンタオル11xの吸水量が155g/cm以上520g/cm以下、ロール密度が0.04g/cm以上0.15g/cm以下であり、包装用フィルム20による1個又は複数個のロールのキャラメル包装体である、キッチンロールタオル製品1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2プライ積層体であるシート状のキッチンタオルをロール状に巻き取ったキッチンロールタオルと、前記キッチンロールタオルを包装する包装用フィルムと、を備えるキッチンロールタオル製品であって、
抄紙機のヘッドボックスからヤンキードライヤー入口までの間に付与された抄紙機由来の凹凸パターンを有し、前記キッチンタオルの坪量が32g/m以上65g/m以下、前記キッチンタオルの吸水量が155g/cm以上520g/cm以下、ロール密度が0.04g/cm以上0.15g/cm以下であり、前記包装用フィルムによる1個又は複数個のロールのキャラメル包装体である、キッチンロールタオル製品。
【請求項2】
前記キッチンロールタオルが、長さ方向に所定の間隔を空けて設けられ、幅方向に延びて前記キッチンタオルを幅方向に切断するための複数のミシン目を更に有し、長手方向に隣り合う2つの前記ミシン目で囲まれた前記キッチンタオルの面積が0.02m以上0.10m以下である、請求項1に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項3】
1ロールの巻径が113mm以上200mm以下である、請求項1又は2に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項4】
前記キッチンタオルは、前記抄紙機由来の前記凹凸パターンとともに、前記凹凸パターンとは異なるエンボスパターンをさらに有し、前記エンボスパターンにおける大きさが1mm以上40mm以下の面積であるエンボス単体の深さが0.10mm以上0.80mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項5】
前記エンボスパターンは、複数の前記エンボス単体を含み、前記エンボス単体の単位面積100cmあたりの個数が、20個以上1800個以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項6】
前記包装用フィルムがヒートシール性を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項7】
前記包装用フィルムの厚みが15μm以上40μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のキッチンロールタオル製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンロールタオル製品に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンタオルは、例えば、台所や電子レンジ、コンロ等の調理機器の清掃、食器の水切りや拭き取り、生野菜、肉、魚等の食材の水気取り、揚げ物の油切り等に広く用いられ、その用途から十分な吸水量及び吸油量が求められている。このため、キッチンタオルの吸水量や吸油量を高くする嵩高抄紙技術が開発されている(特許文献1、2)。しかしながら、嵩高いキッチンタオルをロール状に巻き取ると、巻きが緩み易いという問題がある。巻きが緩んだロールを包装すると、シール不良や、スコーチ(焦げによる穴)が発生して包装の美粧性が低下する。
【0003】
一方、ロールの巻きを固くすると、包装時のシール不良や包装の美粧性の低下は発生し難くなるものの、紙が潰れて吸水性が低下し、嵩高抄紙技術のメリットが得られない。また、キッチンタオルの坪量を過剰に高くし、かつ固巻きとすることで、包装の美粧性と吸水性とを両立することが可能であるが、コストが高くなってしまうことや、紙が固くなって拭き取り性が低下すること等の問題がある。したがって、キッチンタオルをロール状に巻いて包装した、使い勝手が良好で、製品としての美粧性に優れたキッチンロールタオル製品が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5373208号公報
【特許文献2】特表2011-506780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、吸水性と拭き取り性とを高水準で両立し、使用時の触感の良好なキッチンタオルのロールを、優れた美粧性を付与して包装したキッチンロールタオル製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、好ましい実施形態として、下記(1)~(7)のキッチンロールタオル製品を提供する。
(1)2プライ積層体であるシート状のキッチンタオルをロール状に巻き取ったキッチンロールタオルと、前記キッチンロールタオルを包装する包装用フィルムと、を備えるキッチンロールタオル製品であって、抄紙機のヘッドボックスからヤンキードライヤー入口までの間に付与された抄紙機由来の凹凸パターンを有し、前記キッチンタオルの坪量が32g/m以上65g/m以下、前記キッチンタオルの吸水量が155g/cm以上520g/cm以下、ロール密度が0.04g/cm以上0.15g/cm以下であり、前記包装用フィルムによる1個又は複数個のロールのキャラメル包装体である、キッチンロールタオル製品。
(2)前記キッチンロールタオルが、長さ方向に所定の間隔を空けて設けられ、幅方向に延びて前記キッチンタオルを幅方向に切断するための複数のミシン目を更に有し、長手方向に隣り合う2つの前記ミシン目で囲まれた前記キッチンタオルの面積が0.02m以上0.10m以下である、上記(1)のキッチンロールタオル製品。
(3)1ロールの巻径が113mm以上200mm以下である、上記(1)又は(2)のキッチンロールタオル製品。
(4)前記キッチンタオルは、前記抄紙機由来の前記凹凸パターンとともに、前記凹凸パターンとは異なるエンボスパターンをさらに有し、前記エンボスパターンにおける大きさが1mm以上40mm以下の面積であるエンボス単体の深さが0.10mm以上0.80mm以下である、上記(1)~(3)のいずれかのキッチンロールタオル製品。
(5)前記エンボスパターンは、複数の前記エンボス単体を含み、前記エンボス単体の単位面積100cmあたりの個数が、20個以上1800個以下である、上記(4)のキッチンロールタオル製品。
(6)前記包装用フィルムがヒートシール性を有する、上記(1)~(5)のいずれかのキッチンロールタオル製品。
(7)前記包装用フィルムの厚みが15μm以上40μm以下である、上記(1)~(6)のいずれかのキッチンロールタオル製品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸水性と拭き取り性とを高水準で両立し、使用時の触感の良好なキッチンタオルのロールを、優れた美粧性を付与して包装したキッチンロールタオル製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態であるキッチンロールタオル製品の外観構成を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示す第一実施形態のキッチンロールタオル製品に備わるロールの外観を模式的に示す斜視図である。
図3図1に示す第一実施形態のキッチンロールタオル製品に備わるキッチンタオルのエンボス面積の求め方を示す図である。
図4】マイクロスコープによるX-Y平面上の高さプロファイルを濃淡で示す図である。
図5】マイクロスコープによるX-Y平面上の高さプロファイルを示すグラフである。
図6】面積が1mm以上40mm以下のエンボスの深さの求め方を示す図である。
図7図1に示す第一実施形態のキッチンロールタオル製品に備わるキッチンタオルの吸水量の測定方法を示す図である。
図8図1に示す第一実施形態のキッチンロールタオル製品に備わるキッチンタオルの抄紙工程の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照しつつ、本実施形態のキッチンロールタオル製品について詳細に説明する。図1は、第一実施形態であるキッチンロールタオル製品1の外観構成を示す斜視図である。図2図1に示すキッチンロールタオル製品1に備わるキッチンロールタオル(ロール)2の外観を模式的に示す斜視図である。
図3は、図1に示すキッチンロールタオル製品1に備わるキッチンタオルのエンボス面積の求め方を示す図である。図4は、マイクロスコープによるX-Y平面上の高さプロファイルを濃淡で示す図である。図5は、マイクロスコープによるX-Y平面上の高さプロファイルを示すグラフである。図6は、面積が1mm以上40mm以下のエンボス単位の深さの求め方を示す図である。図7は、図1に示すキッチンロールタオル製品1に備わるキッチンタオルの吸水量の測定方法を示す図である。図8は、図1に示すキッチンロールタオル製品1に備わるキッチンタオルの抄紙工程の一部を示す図である。
【0010】
(キッチンロールタオル製品)
図1及び図2に示すように、本実施形態のキッチンロールタオル製品1は、2プライ積層体であり、かつ抄紙機由来の凹凸パターンを有し、坪量及び吸水量が所定の範囲にあるシート状のキッチンタオル11x(以下「キッチンタオルシート11x」ともいう)を紙管、プラスチック管等のコア10に巻き取ったキッチンロールタオル2(以下単に「ロール2」ともいう)を、長手方向に揃えて2個並列して包装用フィルム20によりキャラメル包装体としたものである。
【0011】
ここで、抄紙機由来の凹凸パターンとは、抄紙機のヘッドボックスからヤンキードライヤー入口までの間に自動的に付与される凹凸パターンである。本実施形態のキッチンロールタオル製品1は、キッチンロールタオル2を2個包装したものであるが、これに限定されず、1個又は複数個を包装してもよい。複数個の場合は、包装の美粧性等の観点から、好ましくは2個又は3個である。キッチンロールタオル2であるロールをキャラメル包装することにより、シール不良やスコーチ(焦げによる穴)が発生し難く、包装体としての美粧性が顕著に向上する。また、キャラメル包装であることから、強度や開封性にも優れている。
【0012】
ロール2のコア10の外径D1は特に制限はないが、ロール2の巻密度の調整が容易になることや、製造時におけるロール2の取り扱い性等の観点から、好ましくは35mm以上45mm以下、より好ましくは37mm以上42mm以下である。
以下、キッチンタオルシート11xの表面のうち、ロール2の外方を臨む表面をロール表面11a、ロール2のコア20に接するか又はコア20を臨む面をロール裏面11bとする。
【0013】
本実施形態のキッチンタオルシート11xは、2プライの積層体である。キッチンタオルシート11xでは、プライ剥がれを予防するために、プライ間に接着剤層を設けてもよい。接着剤層は、プライ間の全面に設けてもよく、一部に設けてもよい。接着剤としては、キッチンタオルシートの吸水性や風合いに影響を及ぼさない公知の接着剤を特に限定なく使用でき、例えば、グルー(糊)等が挙げられる。
【0014】
本実施形態では、キッチンタオルシート11xの坪量は32g/m以上65g/m以下、好ましくは39g/m以上63g/m以下であり、さらに好ましくは47g/m以上55g/m以下である。坪量が32g/m未満であると、使用時のキッチンタオルシート11xの触感が低下する。坪量が65g/mを超えると、キッチンタオルシートが固くなって対象物の形状に追随しないため、拭き取り性が低下する。坪量はJIS P 8124に基づいて測定する。
【0015】
本実施形態では、キッチンタオルシート11xの吸水量は155g/cm以上520g/cm以下、好ましくは180g/cm以上400g/cm以下であり、さらに好ましくは200g/cm以上260g/cm以下である。ここで、前記単位中、「g」は吸水された水の重量を示し、「cm」は水を吸水したキッチンタオルシートの面積を示す。キッチンタオルシート11xを取り扱い性の良好なサイズにすると、吸水量が155g/cm未満では、該シート1枚で水を十分に拭き取ることができない場合があり、吸水量が520g/cmを超えると、該シートを有効に使い切ることができず、水を吸える余力があるのに廃棄しなければならなくなる。
【0016】
吸水量の測定は、例えば次のようにして実施される。まず、2プライに重ねられたキッチンタオルシート11xを採取し、一片が7.6cm(3インチ)の正方形の型版を用いてカットし、一辺7.6cmの矩形の試験片を作製する。吸水前の試験片の質量を電子天秤で測定しておく。試験片を図7に示すホルダー(試験片の3点を固定する治具で、治具は水分を吸収しない金属からなる)にセットする。
【0017】
市販のバットに、蒸留水を深さ2cm入れ、ホルダーにセットした試験片を蒸留水中に2分間浸漬する。2分浸漬後に試験片をホルダーと共に蒸留水から取り出し、図7に示すように、試験片200の1つの隅部200dに帯210を貼り付ける。帯210は、測定するサンプルと同じキッチンタオルシート11xを幅2mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片の隅部200dから中心に向かって6mmの部分に貼り付ける。次いで、ホルダーと試験片200を、隅部200dに対向する隅部200aが上になるようにして空の水槽内に設置した棒にぶら下げ、水槽の蓋を閉めて10分間、放置する。その後、ホルダー220と試験片200を水槽から取り出し、帯210とホルダー220を外し、電子天秤で試験片200の質量を測定する。蒸留水に浸す前後での試験片200の質量変化から、試験片1mあたりの蒸留水の吸水量(水g/紙m)を計算する。測定は各サンプル5回ずつ行い、平均値を採用する。なお、本測定は、JIS P 8111法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で行う。また、蒸留水は23±1℃に保持する。
【0018】
本実施形態のキッチンタオルシート11xの巻長は特に限定されないが、ロール2の交換頻度、製品1の持ちやすさ等の観点から、好ましくは20以上50m以下、より好ましくは25m以上45m以下、更に好ましくは30m以上40m以下である。また、キッチンタオルシート11xの厚みは特に限定されないが、坪量や吸水量の調整の容易さ、強度等の観点から、好ましくは1.6mm/10プライ以上4.7mm/10プライ以下である。紙厚は、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK(登録商標)」)を用いて測定する。測定は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。2プライに積層したキッチンタオルシート11xを5組重ねて、10枚分として測定を行う。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。なお、キッチンタオルシート11xの坪量、吸水性、厚み等は、例えば、原紙ウェブのカレンダー条件、エンボス条件等を適宜調整することにより、所定の範囲にすることができる。
【0019】
また、キッチンタオルシート11xの1枚当たりの面積は、好ましくは0.02m以上0.10m以下、より好ましくは0.03m以上0.08m以下であり、さらに好ましくは0.04m以上0.06m以下である。この面積を単独で設定するのではなく、キッチンタオルシート11xの特性、特に坪量や吸水量と合わせて設定することが必要である。キッチンロールタオル2には、長さ方向に所定の間隔を空けて複数のミシン目を設けることがある。このミシン目は、キッチンタオルシート11xの幅方向に延びて、キッチンタオルシート11xを幅方向に切断するものである。ここで、長手方向に隣り合う2つのミシン目で囲まれた面積を、キッチンタオルシート11xの1枚当たりの面積とする。また、キッチンタオルシート11xはプリント有していてもよく、有していなくてもよい。
【0020】
キッチンタオルシート11xの1枚当たりの面積が0.02m未満では、作業性や吸水量の低下が起こり、拭き取り性が低下し、拭き取り対象物を拭き取りにくかったり、シート1枚で十分に拭き取ることができなくなったりする傾向があり、0.10mを超えると、シートを有効に使い切ることができず、シートのロスが生じる傾向がある。より具体的に言えば、シート1枚で例えばお皿1枚を拭き切ることができればよいが、シートの吸水量が高いと、例えばシート0.8枚でお皿1枚を拭き切ることができ、この時シート0.2枚分が無駄になる。シート一枚の面積を小さくすれば、作業性や吸水量が低下し、水の拭き取りも不十分になる。本実施形態では、作業性の良いシート面積とした場合の、最適な吸水量等を設定することで、利便性の高いキッチンタオルシート11xとすることができる。
【0021】
本実施形態では、キッチンタオルシート11xをロール状に巻いたキッチンタオルロール2において、ロール密度は0.04g/cm以上0.15g/cm以下である。ロール密度の範囲を単独で設定するのではなく、キッチンタオルシート11xの坪量及び吸水量に応じて、ロール密度を設定することが必要である。ロール密度が0.04g/cm未満であると、キャラメル包装する際に天面及び/又は底面を綺麗に折りこめず、未接着部が生じたり、スコーチが発生するなどして、美粧性が損なわれる場合がある。ロール密度が0.15g/cmを超えると、巻径が一定の場合にキッチンタオルシートが潰れて吸水量が低下する場合がある。
【0022】
ロール密度は、例えば、次の方法により測定できる。まず、ロール体積は{{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}-(コア外径DI部分の断面積)}×ロール幅(206mmあたりに換算する)で表される。例えば、ロール幅206mmあたりのロール質量が327g、巻直径DR122mm、コアの外径が39mmの場合、ロール密度=327g÷[{3.14×(122mm÷2÷10)-3.14×(39mm÷2÷10)}×(206mm÷10)]=0.15g/cmとなる。なお、キッチンロールタオル2にコアが無い場合は、中心孔の直径をコア外径DIに置き換える。
【0023】
本実施形態のキッチンロールタオル2に関し、キッチンロールタオル2の、1ロール当りの巻径は、好ましくは113mm以上200mm以下、より好ましくは135mm以上180mm以下であり、さらに好ましくは140mm以上160mm以下である。巻径が113mm未満では、ロール密度とキッチンタオルシート11xの吸水量とをバランス良く。良好な範囲に調整しにくくなる傾向がある。巻径が200mmを超えると、ロール密度ひいては包装の美粧性が低下する傾向がある。
【0024】
本実施形態のキッチンタオルシート11xに関し、キッチンタオルシート11xは、抄紙機由来の凹凸パターンとは別に、エンボスパターンを有していてもよい。このようなエンボスパターンは、例えば、エンボス加工により容易に形成できる。また、本実施形態理のキッチンタオルシート11xは、1プライのシートにエンボス処理した後、2プライを積層したものでもよい。2プライ積層する際には、プライボンドグルー(糊)を用い、グルーを塗布して接着処理することが好ましい。このように接着して2プライにすることにより、プライの接着が強くなり、キッチンタオルシート11xが水に濡れてもプライ剥がれせずに破れにくくなる。
【0025】
キッチンタオルシート11xの表面11aのプライには、好ましくはドット状のエンボスパターンが施されている。ドット状のエンボスパターンが表面1aに施されることで、該エンボスパターンのエンボス部にグルーを塗布して接着処理することができ、キッチンタオルシート11xのプライ剥がれが起こりにくくなり、吸水量の大きな変動を抑制できる。
【0026】
(プライ剥離強度)
キッチンタオルシート11xのプライ剥離強度は、好ましくは0.05N/75mm以上2.0N/75mm以下、より好ましくは0.10N/75mm以上1.5N/100mm以下、更に好ましくは0.15N/75mm以上1.0N/75mm以下である。プライ剥離強度が0.05N/75mm未満であると、プライ同士が剥がれて拭き取りにくくなり、プライ剥離強度が2.0N/75mmを超えると、キッチンタオルシート1xの吸水量に劣る。
【0027】
プライ剥離強度の測定方法は、JIS P 8113の引張試験方法に準じて、引張試験機(STB-1225S、株式会社エー・アンド・デイ社製)を使用し、JIS P 8111に規定された標準条件下で行う。まず、キッチンタオルシート11xのサンプルから幅方向75mm、流れ方向200mmの試験片を採取する。次に、流れ方向にプライを35mm剥離する。剥離したプライの片側を上側のつかみ具(幅75mm)に流れ方向で15mm挟んで固定する。また、もう一方のプライも下側のつかみ具(幅75mm)に流れ方向で15mm挟んで固定する。なお、つかみ具のピッチ(間隔)は20mmとする。次に、引張速度を100mm/minの条件で引張り(剥離し)、強度データを採取する。強度データは20μmおきに取得し、測定開始後の距離40mmから150mmまで(測定長110mm)のデータを平均して、これを剥離強度(N/75mm)とする。ただし、測定開始後の距離40mmから150mmまでにミシン目を含んでしまう場合は、測定開始後の距離を40mmから例えば90mm(測定長50mm)のように、ミシン目を含まない範囲で短くすることができる。
【0028】
エンボスパターンにおいて、大きさが1mm以上40mm以下の面積であるエンボスをエンボス単体とする。エンボスパターンにおける単位面積100cmあたりのエンボス単体の個数は特に限定されないが、好ましくは20個以上1800個以下、より好ましくは50個以上1000個以下、更に好ましくはむ80個以上500個以下である。エンボス単体の個数が20個未満であると、本実施形態のような吸水性が良好なキッチンタオルシート11xの場合、プライ同士が剥がれやすくなる傾向がある。エンボス単体の個数が1800個を超えると、キッチンタオルシート11xが潰れて、吸水量が低下する傾向がある。また、エンボス単体の形状は、円形、楕円形、長方形、正方形、花柄等、特に制限なく用いることができる。
【0029】
また、エンボスパターンにおいて、大きさが1mm以上40mm以下の面積であるエンボス単体の深さは、好ましくは0.10mm以上0.80mm以下、より好ましくは0.25mm以上0.67mm以下、更に好ましくは0.35mm以上0.55mm以下である。キッチンロールタオル11xのエンボス単位の深さが0.10mm未満であると、キッチンタオルシート11xの吸水量が低下したり、使用時の触感が劣ったりする傾向があり、0.80mmを超えると、キッチンタオルシート11xが嵩高になり、ロール密度が低下して、包装の美粧性が低下する傾向がある。
【0030】
エンボスの面積と深さは、マイクロスコープを用いて測定する。マイクロスコープとしては、KEYENCE社製の製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ VR-3100」を使用する。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR-H1A」を使用することができる。又、測定条件は、倍率12倍、視野面積24mm×18mmの条件で測定する。測定倍率と視野面積は、求めるエンボスの大きさによって、適宜変更しても良い。
【0031】
なお、エンボスの面積は、図3に示すように、エンボスの周縁frの最長部の長さaと、長さaに垂直な方向での最長部の長さbを測定し、a×bを面積として求める。また、図4は、マイクロスコープによるX-Y平面上の高さプロファイルを示し、シート表面の高さが濃淡で表されている。図4の濃淡が周辺と異なる略楕円形の部位が個々のエンボスを示し、このうち1つのエンボスの最長部の長さaを目視で見分けることができる。このうち、面積が1mm以上40mm以下のエンボス単位について、100cmあたりの個数を数える。
【0032】
エンボスの個数の測定は、シートの全幅で、長手方向に隣り合う2つのミシン目の間の全領域から、任意の100cmの部位を選んで目視で測定する。なお、ナーリング(エッジエンボス)処理が行われているなど、100cmの部位を選択できない場合は、ナーリング(エッジエンボス)処理等で測定できない部分を除いて測定可能な部位についてエンボス個数を測定し、100cmあたりのエンボス個数として換算する。
【0033】
次に、面積が1mm以上40mm以下のエンボス単位について、エンボスの深さを測定する。エンボスの深さは、上記マイクロスコープを用いて上述のエンボスの高低差を測定して求める。まず、図4のように線分ABを引き、図5の高さプロファイルを得る。なお、線分ABは、エンボスを横切るように引けばよい。高さプロファイルは、実際のシートの試料表面の凹凸を表す(測定)断面曲線Sであるが、ノイズ(シートの表面に繊維塊があったり、繊維がヒゲ状に伸びていたり、繊維のない部分に起因した急峻なピーク)をも含んでおり、凹凸の高低差の算出に当たっては、このようなノイズピークを除去する必要がある。
【0034】
そして、図6に示すように、高さプロファイルの断面曲線Sから「輪郭曲線」Wを計算し、この輪郭曲線Wのうち、底部P1,P2の平均値と、底部P1,P2で挟まれる頂部の差を求め、これをエンボスの深さD1とする。同様に、底部P2、P3の平均値と、底部P2、P3で挟まれる頂部の差を求め、これをエンボスの深さD2とする。同様にD3を測定する。なお、D1、D2、D3は図6で示すように、連続する箇所で測定する。この測定をキッチンタオルシート11xの10カ所で測定し、合計30カ所のデータの平均値をエンボスの深さとする。なお、エンボスとエンボスとの間隔(P1とP2の距離)が1cm以上離れている場合には、連続する箇所で測定せず、底部P1,P2の平均値と、底部P1,P2で挟まれる頂部の差を求め、これをエンボスの深さD1とし、D1を30カ所測定し、平均値をエンボス深さとしても良い。
【0035】
なお、「輪郭曲線」は、断面曲線からλc:800μm(但し、λcはJIS B 0601「3.1.1.2」に記載の「粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタ」)より短波長の表面粗さの成分を低域フィルタによって除去して得られる曲線である。なお、λcを、隣接するエンボス同士のP1とP2、P2とP3の間隔(これを、エンボスピッチという)以上に設定すると、ピークをノイズと認識してしまう可能性があるので、λcをエンボスピッチ未満とする。例えば、エンボスピッチが800μm以下の場合、例えばλc:250μmに設定する。
【0036】
エンボスを測定する際、測定面は表面側とし、また、エンボスを選定する際には、キッチンタオルロール1の外巻の端部(キッチンタオルシート1xを使用し始める位置)から、キッチンタオルロール1の巻長の10%に当たる部分で測定する。例えば、巻長が30mの場合、端部から30m×10%=3mの部分で測定する。なお、巻長の10%の部分がミシン目に当たる場合は、ミシン目の外巻側を測定する。
【0037】
キッチンタオルシート11xの裏面1bのプライは、エンボスパターンとは異なる抄紙工程由来の凹凸のパターンを有していれば、エンボスのパターンが施されているかどうかに関しては特に制限はない。ネステッドエンボスやピントゥピンエンボスが施されているか、又はエンボスを施されていなくてもかまわないが、好ましくはネステッドエンボス又はエンボスなし、より好ましくはエンボスなしである。
【0038】
包装用フィルム20としては、例えば、ヒートシール性を有する樹脂フィルムが用いられる。包装用フィルムの厚みは好ましくは15μm以上40μm以下である。厚みが15μm未満であると、ヒートシール時にスコーチが発生して美粧性が低下したり、フィルムが破れたりする傾向がある。また、厚みが40μmを超えると、開封性が低下する傾向がある。包装用フィルム20としては、ヒートシール性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0039】
本実施形態のキッチンタオルシート11x、前述した各物性の他に、次のような物性を有することが好ましい。
(DMDT及びDCDT)
キッチンタオルシート11xの、JIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDT(Dry Machine Direction Tensile Strength)は、拭き取り性等の観点から、好ましくは5N/25mm以上24N/25mm以下、より好ましくは8N/25mm以上19N/25mm以下、更に好ましくは10N/25mm以上16N/25mm以下である。また、乾燥時の横方向の引張強さDCDT(Dry Cross Direction Tensile Strength)は、拭き取り性等の観点から、好ましくは3N/25mm以上19N/25mm以下、より好ましくは5N/25mm以上14N/25mm以下、更に好ましくは6N/25mm以上12N/25mm以下である。DMDTが5N/25mm未満であるか、又はDCDTが3N/25mm未満であると、いずれもキッチンタオルシート11xが吸水時に破れやすくなって拭き取り性が低下する傾向があり、DMDTが24N/25mmを超えるか、又はDCDTが19N/25mmを超えると、いずれもキッチンタオルシート11xの密度が高くなり、吸水性の低下に伴って拭き取り性が低下したり、固くなって拭き取り性が低下する傾向がある。
【0040】
(WMDT及びWCDT)
キッチンタオルシート11xの、旧JIS S 3104に基づく湿潤時の縦方向の引張強さWMDT(Wet Machine Direction Tensile Strength)は、拭き取り性等の観点から、好ましくは1.3N/25mm以上7.0N/25mm以下、より好ましくは2.0N/25mm以上6.0N/25mm以下、更に好ましくは2.5N/25mm以上5.0N/25mm以下である。また、湿潤時の横方向の引張強さWCDT(Wet Cross Direction Tensile Strength)は、拭き取り性等の観点から、好ましくは0.7N/25mm以上5.5N/25mm以下、より好ましくは1.0N/25mm以上4.0N/25mm以下、更に好ましくは1.8N/25mm以上3.5N/25mm以下である。WMDTが1.3N/25mm未満であるか、又はWCDTが0.7N/25mm未満であると、キッチンタオルシート1xが吸水時に破れやすくなって、拭き取り性が低下する傾向がある。WMDTが7.0N/25mmを超えるか、又はWCDTが5.5N/25mmを超えると、キッチンタオルシート11xの密度が高くなり、吸水性の低下に伴って拭き取り性が低下したり、固くなって拭き取り性が低下する傾向がある。
【0041】
(比容積)
キッチンタオルシート11xの比容積は、使用時の触感等の観点から、好ましくは6cm/g以上16cm/g以下、より好ましくは8cm/g以上14cm/g以下、更に好ましくは9cm/g以上13cm/g以下である。キッチンタオルシート11xの比容積が6cm/g未満であると、キッチンタオルシート11xの吸水量及び使用時の触感が低下する傾向があり、16cm/gを超えると、キッチンタオルシート11xが嵩張って使用時の触感が低下するとともに、吸水量の向上も不十分になる傾向がある。なお、比容積は、キッチンタオルシート11xあたりの紙厚を坪量で除し、単位gあたりの容積cmで表した値である。
【0042】
(キッチンタオルシート及びキッチンタオルロールの製造方法)
キッチンタオルシート11x及びキッチンロールタオル2は、例えば(1)抄紙及びクレーピング、(2)エンボス処理、(3)ロール巻取り加工の順で製造することができる。製造工程においては、スルーエアードライヤー技術を用いないことが好ましい。以下、各工程について説明する。
【0043】
抄紙工程では、上述のエンボスパターンとは異なる抄紙工程由来の凹凸のパターンがキッチンタオルシート11xに施される。この凹凸のパターンを有することにより、キッチンタオルシート11xの吸水量が更に高くなる。なお、抄紙工程由来とは、キッチンタオルシート1xの抄紙工程において、抄紙機のヘッドボックスからヤンキードライヤーの入口までの間に付与されることを意味する。具体的には、図9に示す抄紙工程の一部において、脱水ロール31とヤンキードライヤー32の間に配置される、ベルトプレス部30にて凹凸を付与することができる。ベルトプレス部30では、湿紙34と凹凸ベルト33(凹凸ベルト33は、ベルトプレス部30とヤンキードライヤー32をループしている)を一緒にプレスすることで、湿紙に凹凸のパターンを付与することができる。
【0044】
また、凹凸のパターンは、ベルトのパターン(細かいパターン、荒いパターン)を変更することで、適宜変更することができる。凹凸のパターンを変更すると比容積(紙厚)が変わるが、原紙の比容積(紙厚)が後述する数値範囲内になるようなパターンを選定することが好ましい。
【0045】
このとき、キッチンタオルシート11xの製造に用いる原紙の2プライの坪量は、33g/m以上68g/m以下であることが好ましく、39g/m以上63g/m以下であることがより好ましく、47g/m以上55g/m以下であることが更に好ましい。また、紙厚は1.3mm/10枚以上4.5mm/10枚以下であることが好ましく、1.7mm/10枚以上3.5mm/10枚以下であることがより好ましく、2.0mm/10枚以上3.0mm/10枚以下であることが更に好ましい。さらに、比容積は6cm/g以上16cm/g以下であることが好ましく、7cm/g以上15cm/g以下であることがより好ましく、9cm/g以上13cm/g以下であることが更に好ましい。また、キッチンタオルシート11xの厚みは、吸水性を良好にするため、原紙の紙厚より高い方が好ましく、キッチンタオルシート11xの比容積は、吸水性を良好にするため、原紙の比容積より高い方が好ましい。
【0046】
こうして得られるキッチンロールタオル2は、1個又は複数個が長手方向を揃えて幅方向に並列させた状態で、包装用フィルム20により、公知の方法に従って、図1のようにキャラメル包装される。
【0047】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
【実施例0048】
(1)抄紙及びクレーピング、(2)エンボス処理、(3)ロール巻取り加工、(4)キャラメル包装の工程を経て、実施例1から実施例25、比較例1から比較例12のキッチンロールタオル製品を製造した。以上の全ての実施例、及び比較例のキッチンタオルロール製品に関して各パラメーターを測定し、かつ、官能評価を行った。結果を表1~5に示す。なお、実施例1から実施例25、比較例1から比較例12のキッチンタオルシートは、抄紙機由来の凹凸パターンを有していた。
【0049】
官能評価は、モニター20人が各評価項目について、「よい」又は「悪い」を選択する方式で行った。評価基準は以下のとおりである。◎、○、△を合格とした。
◎:「よい」が18人以上20人以下のとき
○:「よい」が14人以上17人以下のとき
△:「よい」が10人以上13人以下のとき
×:「よい」が6人以上9人以下のとき
××:「よい」がいないか、1人以上5人以下のとき
【0050】
各評価項目について説明する。
<シート1枚あたりの吸水量(各表では「吸水量/一枚」と表記)>
モニターがシート1枚を使用した際の、水の拭き残りを評価した。
<シートを無駄なく使うことができるか(各表では「効率性」と表記)>
モニターがシート1枚を使用し、廃棄する際に勿体ないと感じるか評価した。
<美粧性>
スコーチや未接着部の発生を目視評価した。
<フィルムの破れにくさ(各表では「破れにくさ」と表記)>
製品を手で陳列、持ち運びした時の破れにくさを評価した。
<開封性>
フィルムを指で千切る、または穴をあけるように開封する際の容易さを評価した。
<拭き取り性>
モニターが使用した際の、拭き取り作業のし易さを評価した。
<使用時の触感>
モニターが使用した際の、触感の良さを評価した。
【0051】












【表1】
























【0052】
【表2】






















【0053】
【表3】






















【0054】
【表4】






















【0055】
【表5】
【0056】
以上より、本発明によれば、キッチンタオルシートの坪量、吸水量、シート面積、キッチンロールタオルロール(ロール)のロール密度、包装用フィルムの厚み等を特許請求の範囲に記載された範囲内とすることにより、吸水性と拭き取り性とを高水準で両立し、使用時の触感の良好なキッチンタオルを、巻き取ったロールを、優れた美粧性を付与して包装し、製品化できることが分かる。
【符号の説明】
【0057】
1 キッチンロールタオル製品
2 キッチンロールタオル
10 コア
20 包装用フィルム
11a 表面
11b 裏面
11x キッチンタオルシート
30 ベルトプレス部
31 脱水ロール
32 ヤンキードライヤー
33 凹凸ベルト
34 湿紙
200 試験片
200a、200d 隅部
210 帯
220 ホルダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2プライ積層体であるシート状のキッチンタオルをロール状に巻き取ったキッチンロールタオルと、前記キッチンロールタオルを包装する包装用フィルムと、を備えるキッチンロールタオル製品であって、
抄紙機のヘッドボックスからヤンキードライヤー入口までの間に付与された抄紙機由来の凹凸パターンを有し、前記キッチンタオルの坪量が47g/m 以上55g/m 以下、前記キッチンタオルの吸水量が155g/ 以上520g/ 以下、ロール密度が0.04g/cm以上0.15g/cm以下であり、前記包装用フィルムによる1個又は複数個のロールのキャラメル包装体である、キッチンロールタオル製品。
【請求項2】
前記キッチンロールタオルが、長さ方向に所定の間隔を空けて設けられ、幅方向に延びて前記キッチンタオルを幅方向に切断するための複数のミシン目を更に有し、長手方向に隣り合う2つの前記ミシン目で囲まれた前記キッチンタオルの面積が0.02m以上0.10m以下である、請求項1に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項3】
1ロールの巻径が113mm以上200mm以下である、請求項1又は2に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項4】
前記キッチンタオルは、前記抄紙機由来の前記凹凸パターンとともに、前記凹凸パターンとは異なるエンボスパターンをさらに有し、前記エンボスパターンにおける大きさが1mm以上40mm以下の面積であるエンボス単体の深さが0.10mm以上0.80mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項5】
前記エンボスパターンは、複数の前記エンボス単体を含み、前記エンボス単体の単位面積100cmあたりの個数が、20個以上1800個以下である、請求項4に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項6】
前記包装用フィルムがヒートシール性を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のキッチンロールタオル製品。
【請求項7】
前記包装用フィルムの厚みが15μm以上40μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のキッチンロールタオル製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、好ましい実施形態として、下記(1)~(7)のキッチンロールタオル製品を提供する。
(1)2プライ積層体であるシート状のキッチンタオルをロール状に巻き取ったキッチンロールタオルと、前記キッチンロールタオルを包装する包装用フィルムと、を備えるキッチンロールタオル製品であって、抄紙機のヘッドボックスからヤンキードライヤー入口までの間に付与された抄紙機由来の凹凸パターンを有し、前記キッチンタオルの坪量が47g/m 以上55g/m 以下、前記キッチンタオルの吸水量が155g/ 以上520g/ 以下、ロール密度が0.04g/cm以上0.15g/cm以下であり、前記包装用フィルムによる1個又は複数個のロールのキャラメル包装体である、キッチンロールタオル製品。
(2)前記キッチンロールタオルが、長さ方向に所定の間隔を空けて設けられ、幅方向に延びて前記キッチンタオルを幅方向に切断するための複数のミシン目を更に有し、長手方向に隣り合う2つの前記ミシン目で囲まれた前記キッチンタオルの面積が0.02m以上0.10m以下である、上記(1)のキッチンロールタオル製品。
(3)1ロールの巻径が113mm以上200mm以下である、上記(1)又は(2)のキッチンロールタオル製品。
(4)前記キッチンタオルは、前記抄紙機由来の前記凹凸パターンとともに、前記凹凸パターンとは異なるエンボスパターンをさらに有し、前記エンボスパターンにおける大きさが1mm以上40mm以下の面積であるエンボス単体の深さが0.10mm以上0.80mm以下である、上記(1)~(3)のいずれかのキッチンロールタオル製品。
(5)前記エンボスパターンは、複数の前記エンボス単体を含み、前記エンボス単体の単位面積100cmあたりの個数が、20個以上1800個以下である、上記(4)のキッチンロールタオル製品。
(6)前記包装用フィルムがヒートシール性を有する、上記(1)~(5)のいずれかのキッチンロールタオル製品。
(7)前記包装用フィルムの厚みが15μm以上40μm以下である、上記(1)~(6)のいずれかのキッチンロールタオル製品。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本実施形態では、キッチンタオルシート11xの吸水量は155g/ 以上520g/ 以下、好ましくは180g/ 以上400g/ 以下であり、さらに好ましくは200g/ 以上260g/ 以下である。ここで、前記単位中、「g」は吸水された水の重量を示し、「 」は水を吸水したキッチンタオルシートの面積を示す。キッチンタオルシート11xを取り扱い性の良好なサイズにすると、吸水量が155g/ 未満では、該シート1枚で水を十分に拭き取ることができない場合があり、吸水量が520g/ を超えると、該シートを有効に使い切ることができず、水を吸える余力があるのに廃棄しなければならなくなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
ロール密度は、例えば、次の方法により測定できる。まず、ロール体積は{{ロールの外径(巻径DR)部分の断面積}-(コア外径DI部分の断面積)}×ロール幅(206mmあたりに換算する)で表される。例えば、ロール幅206mmあたりのロール質量が327g、巻径DR122mm、コアの外径が39mmの場合、ロール密度=327g÷[{3.14×(122mm÷2÷10)-3.14×(39mm÷2÷10)}×(206mm÷10)]=0.15g/cmとなる。なお、キッチンロールタオル2にコアが無い場合は、中心孔の直径をコア外径DIに置き換える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
(1)抄紙及びクレーピング、(2)エンボス処理、(3)ロール巻取り加工、(4)キャラメル包装の工程を経て、実施例1から実施例25、比較例1から比較例12のキッチンロールタオル製品を製造した(なお、実施例6~13は参考例に相当する。)。以上の全ての実施例、及び比較例のキッチンタオルロール製品に関して各パラメーターを測定し、かつ、官能評価を行った。結果を表1~5に示す。なお、実施例1から実施例25、比較例1から比較例12のキッチンタオルシートは、抄紙機由来の凹凸パターンを有していた。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
【表1】