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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174707
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】移動装置および駆動機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/04 20060101AFI20231201BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20231201BHJP
   F16C 29/04 20060101ALI20231201BHJP
   B23Q 5/34 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
F16H19/04 J
F16C17/02 Z
F16C29/04
B23Q5/34 510Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023164041
(22)【出願日】2023-09-26
(62)【分割の表示】P 2020020321の分割
【原出願日】2020-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】520048975
【氏名又は名称】株式会社TKG
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】筒井 琢也
(72)【発明者】
【氏名】石井 耕平
(72)【発明者】
【氏名】津守 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】大浦 翼
【テーマコード(参考)】
3J011
3J062
3J104
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA08
3J011KA07
3J062AA21
3J062AB05
3J062AC07
3J062BA35
3J062CA16
3J104AA12
3J104AA23
3J104DA06
3J104EA07
(57)【要約】
【課題】従動体を自由に移動させることができる駆動機構を提供する。
【解決手段】複数の突起2pを有するベース部材2と、ベース部2材上に配置される移動体10と、を備え、移動体10が、回転軸12aに対して交差する歯12tを有する第一歯車12と、回転軸13aに対して交差する歯12tを有する第二歯車13と、第一歯車12および第二歯車13を両者の回転軸12a,13aが互いに平行かつ回転可能に保持するフレーム11と、第一歯車12および第二歯車13を駆動する駆動部15と、を備えており、ベース部材2は、複数の突起2pが、隣接する突起2pによって移動体10の第一歯車12および第二歯車13の歯と噛み合うラックが形成されるように配設されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の突起を有するベース部材と、
該ベース部材に配置され、該ベース部材に沿って移動する移動体と、を備え、
該移動体が、
歯すじ方向が回転軸に対して傾斜した第一歯車と、
該第一歯車の回転軸と平行な回転軸を有し、該回転軸に対して歯すじ方向が傾斜した第二歯車と、
前記第一歯車および前記第二歯車を回転可能となるように保持するフレームと、
前記第一歯車および前記第二歯車を駆動する駆動部と、を備えており、
前記ベース部材は、
前記複数の突起が、隣接する突起によって前記移動体の前記第一歯車および前記第二歯車の歯と噛み合うラックが形成されるように配設されている
ことを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記第一歯車および前記第二歯車の回転軸と直交する方向から見たときに、
前記第一歯車は、
その歯すじ方向が前記第二歯車の歯すじ方向と交差するように前記フレームに取り付けられている
ことを特徴とする請求項1記載の駆動機構。
【請求項3】
前記第一歯車および/または前記第二歯車がウォーム歯車である
ことを特徴とする請求項1または2記載の駆動機構。
【請求項4】
前記移動体のフレームと前記ベース部材の複数の突起との間に摺動機構が設けられている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の駆動機構。
【請求項5】
前記摺動機構が、
前記移動体のフレームまたは前記ベース部材の複数の突起に回転自在に設けられた球体を備えている
ことを特徴とする請求項4記載の駆動機構。
【請求項6】
ベース部材と、該ベース部材に沿って移動可能に設けられた移動体と、を備え、
前記ベース部材が、
請求項1~5のいずれかに記載の駆動機構のベース部材であり、
前記移動体が、
請求項1~5のいずれかに記載の駆動機構の移動体であり、
該移動体が、
被移動物が配置される保持部を備えている
ことを特徴とする移動装置。
【請求項7】
前記移動体を複数備えている
ことを特徴とする請求項6記載の移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置および駆動機構に関する。さらに詳しくは、物体を搬送したり移動したりできる移動装置および、描画装置や移動装置に使用できる駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等において加工物等を位置決めして移動させるテーブル等の駆動には直交する2軸を有するアクチュエータが使用されている。つまり、テーブル等をX軸方向とY軸方向にそれぞれ移動させるアクチュエータを備えている。このため、2つのアクチュエータを独立して移動させることによって、テーブル等をその表面に沿った方向に自由に移動させることができ、テーブル等に載せられた加工物等を所望の位置に配置することができる。
【0003】
しかし、これらのアクチュエータの場合、X軸方向のアクチュエータとY軸方向のアクチュエータとを上下に重ねて配置しなければならず、アクチュエータ自体が大型化するという問題がある。
【0004】
かかる問題を解決する技術が特許文献1~3に開示されている。特許文献1~3には、一対の駆動歯車と、表面に一対の歯車に噛み合う歯を有する平板等の従動部材とを有する駆動機構が開示されている。
特許文献1、2の技術では、一対の駆動歯車の回転軸を交差した状態とすれば、一対の駆動歯車の回転を調整することによって、従動部材を2次元的に移動させることができる旨が記載されている。
また、特許文献3の技術では、一対の駆動歯車として歯すじ方向が回転軸方向に対して斜交した歯車を使用しており、一対の駆動歯車が平行に配置されていても、従動部材を2次元的に移動させることができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-196487号公報
【特許文献2】特開2018-105413号公報
【特許文献3】特開2019-113096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1~3の技術は平板等の従動部材を移動させるものであり、一対の駆動歯車自体は移動しないか、移動しても限定された範囲でしか移動できない。つまり、特許文献1~3の技術は、あくまでも従動部材をある程度決められた範囲で移動させることしかできないので、特許文献1~3の技術を使用できる用途は限定されている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、従動体を自由に移動させることができる駆動機構を提供することを目的とする。
また、駆動機構を使用して物体を搬送することができる移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<駆動機構>
本発明の駆動機構は、複数の突起を有するベース部材と、該ベース部材に配置され、該ベース部材に沿って移動する移動体と、を備え、該移動体が、歯すじ方向が回転軸に対して傾斜した第一歯車と、該第一歯車の回転軸と平行な回転軸を有し、該回転軸に対して歯すじ方向が傾斜した第二歯車と、前記第一歯車および前記第二歯車を回転可能となるように保持するフレームと、前記第一歯車および前記第二歯車を駆動する駆動部と、を備えており、前記ベース部材は、前記複数の突起が、隣接する突起によって前記移動体の前記第一歯車および前記第二歯車の歯と噛み合うラックが形成されるように配設されていることを特徴とする。
<移動装置>
本発明の移動装置は、ベース部材と、該ベース部材に沿って移動可能に設けられた移動体と、を備え、前記ベース部材が、請求項1~5のいずれかに記載の駆動機構のベース部材であり、前記移動体が、請求項1~5のいずれかに記載の駆動機構の移動体であり、該移動体が、被移動物が配置される保持部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
<駆動機構>
本発明の駆動機構によれば、歯すじ方向が回転軸に対して傾斜した第一歯車および第二歯車を有しているので、第一歯車や第二歯車を回転させれば、ベース部材の表面に沿ってフレームを所望の方向に移動させることができる。
<移動装置>
本発明の移動装置によれば、移動体のフレームの保持部に保持された被移動物を、ベース部材の表面に沿って所望の方向に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の描画装置1の概略説明図であって、(A)は側面図であり、(B)は平面図である。
図2】本実施形態の描画装置1における移動機構5の移動体10の単体概略説明図であって、(A)は斜視図であり、(B)は底面図である。
図3】本実施形態の描画装置1における移動機構5の移動体10の単体概略説明図であって、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
図4】本実施形態の描画装置1における移動機構5のベース部材6の概略説明図であって、(A)は単体平面図であり、(B)部分拡大図であり、(C)は第一歯車12とベース部材6の突起6pの噛合せの説明図である。
図5】他の実施形態の移動機構5のベース部材6の移動体10の単体概略説明図である。
図6】移動体10に摺動機構30を設けた移動機構5の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の描画装置は、テーブル上の描画媒体に図柄などを描くことができる装置である。本実施形態の描画装置に使用される描画媒体は、磁力線を透過することができ、かつ、移動部材の移動に伴って移動部材の移動軌跡を形成することができるものであればよく、とくに限定されない。描画媒体としては、例えば、砂やなどの粉体や、ある程度の粘性を有する流体等を挙げることができる。
以下では、描画媒体3として砂を採用した場合を説明する。
【0012】
<描画装置1>
図1に示すように、本実施形態の描画装置1は、テーブル2と、このテーブル2の上面に配置された描画媒体である砂3と、この砂3の上、言い換えれば、テーブル2の上面に載せられた移動部材である球4と、備えている。
【0013】
図1に示すように、テーブル2は、その上面が平坦面であり水平になるように設置されている。このテーブル2は、例えば、ステンレスやガラス、アルミ、ジェラルミン等の透磁性を有する素材によって形成されている。なお、テーブル2は、透磁性を高める上では厚さが薄いものが望ましく、厚さを薄くしてもある程度の強度を有する素材で形成することが望ましい。
【0014】
テーブル2の上面には、鉄等の強磁性体で形成された球4が載せられている。この球4は、テーブル2の上面に配置されている砂3の上に載せられており、砂3の上で移動(転動)できるようになっている。
【0015】
このテーブル2の下方には、移動機構5が設けられている。この移動機構5は、複数の突起6pを有するベース部材6(図4参照)と、ベース部材6の移動面6aに沿って移動する移動体10と、を備えている。ベース部材6は、テーブル2の上面と平行な移動面6aを備えており(図4(C)参照)、移動体10は、駆動部15によって第一歯車12および第二歯車13を駆動することによってベース部材6の移動面6aに沿って移動できるようになっている。
【0016】
この移動体10は磁石7を備えている。この磁石7は、発生する磁力線がテーブル2および砂3を透過し磁力によって移動体10に追従して鉄球4を移動させることができるように移動体10に設けられている。つまり、磁石7は、その磁力やテーブル2および砂3の厚さに応じて、上述した機能(鉄球4を移動させる機能)を発揮させることができるように移動体10に設けられている。
【0017】
かかる構成であるので、駆動部15による第一歯車12および第二歯車13の駆動を制御すれば、移動体10をベース部材6の移動面6aに沿って所望の経路で移動させることができる。言い換えれば、移動体10をテーブル2の上面に沿って所望の経路で移動させることができる。すると、テーブル2の上面に載せられている鉄球4も、磁石7の磁力によって移動体10と同じ経路でテーブル2の上面を移動する。テーブル2の上面には砂3が載せられているので、鉄球4がテーブル2の上面を移動すると、鉄球4によって移動体10の経路に沿った溝TRが形成され、溝TRによって砂3に砂絵を描くことができる(図1(B))。
【0018】
<移動機構5>
以下、図2図4に基づいて移動機構5を詳細に説明する。
なお、この描画装置1の移動機構5(磁石7を除く)が、特許請求の範囲にいう駆動機構に相当する。
【0019】
<ベース部材6>
ベース部材6は、その素材が摩擦抵抗の小さい素材によって形成されており、第一歯車12および第二歯車13と接触した際の摩擦抵抗が小さくなるようになっている。例えば、ベース部材6は、ポリアセタール等の樹脂などによって形成されている。また、ベース部材6を金属で形成し、油などの潤滑剤をその表面に供給して摩擦抵抗を低下させてもよい。
【0020】
図4に示すようにこのベース部材6は、その上面6aに複数の突起6pが設けられている。この複数の突起6pは、隣接する突起6pによって移動体10の第一歯車12および第二歯車13の歯と噛み合う二次元的にラックが形成されるように配設されている。具体的には、図4(A)、(B)に示すA方向とこのA方向と直交するB方向とに沿って並ぶ複数の突起6pによってそれぞれラックが形成されるように、複数の突起6pは配設されている。また、この複数の突起6pは、全ての突起6pが同じ高さで同じ断面形状に形成されている。例えば、断面が正方形や円形に形成されている。そして、A方向およびB方向では、隣接する突起6p間に形成された溝6hの幅W1、W2が同じ長さになるように配設されている。なお、複数の突起6pが正方形の場合であれば、A方向およびB方向と突起6pの側面とが直交するように複数の突起6pは設けられている。
なお、第一歯車12および第二歯車13と突起6pとが接触した際の摩擦抵抗を小さくするのであれば、突起6pはベアリングを備えていてもよい。
【0021】
<移動体10>
図2および図3に示すように、移動体10は、フレーム11と、このフレーム11に回転可能に取り付けられた第一歯車12および第二歯車13と、この第一歯車12および第二歯車13を駆動する駆動部15と、を備えている。
【0022】
<フレーム11>
フレーム11は、板状の天板11aと、この天板11aから下方に延びる一対の側板11b,11bとを有している。このフレーム11には、上述した磁石7が設けられている。この磁石7は、天板11aの上面に設置されている。
【0023】
なお、フレーム11は、第一歯車12および第二歯車13を回転可能に保持でき、駆動部15や磁石7を設置できるものであればよく、その形状や素材はとくに限定されない。しかし、天板11aの下面や天板11aに埋め込まれた状態で磁石7を設置する場合には、少なくとも天板11aを透磁性の素材によって形成したり、天板11aに磁力線を透過できる貫通孔を設けたりすることが必要である。
【0024】
また、磁石7は、天板11aの下面や天板11aに埋め込まれた状態で設置されていてもよい。
【0025】
<第一歯車12および第二歯車13>
フレーム11の天板11aの下方であって、一対の側板11b,11b間には、第一歯車12および第二歯車13が回転可能に取り付けられている。この第一歯車12および第二歯車13は、回転軸12aおよび回転軸13aに対して歯すじが傾斜した螺旋状の歯12t,13tを備えるウォーム歯車である。この第一歯車12および第二歯車13は、ベース部材6と接触した際の摩擦抵抗が小さくなるようになっている。例えば、第一歯車12および第二歯車13は、ポリアセタール等の樹脂などによって形成されていてもよい。また、第一歯車12および第二歯車13を金属で形成し、油などの潤滑剤をベース部材6との間に供給して摩擦抵抗を低下させてもよい。
【0026】
第一歯車12および第二歯車13は、その歯12t,13tの厚みTが溝6hの幅W1,W2とほぼ同じであり、歯溝の長さGが突起6pの幅D1とほぼ同じ幅になるように形成されている。この第一歯車12および第二歯車13は、その回転軸12aおよび回転軸13aが互いに平行となるように設けられている。しかも、第一歯車12および第二歯車13は、その回転軸12aおよび回転軸13aの方向からみると、螺旋状の歯12t,13tが逆方向に旋回するように設けられている。言い換えれば、天板11aの上方から見ると、回転軸12aおよび回転軸13aの中間線CLに対して、第一歯車12の歯12tと第二歯車13の歯13tが左右対称になるように、第一歯車12および第二歯車13の歯12t,13tは形成されている。かかる構成とすれば、第一歯車12と第二歯車13を以下のように作動させれば、移動体10をベース部材6の上面6aに沿って所望の方向に移動させることができる。なお、図2図3では、第一歯車12の歯12tは右ネジの螺旋となっており、第二歯車13の歯13tは左ネジの螺旋となっている。
【0027】
例えば、図2(B)に示すX方向およびY方向に第一歯車12および第二歯車13が回転した場合を、第一歯車12および第二歯車13の正転方向とする。この場合、図4(A)のベース部材6上に移動体10を載せて、第一歯車12および第二歯車13の両方を正転させると移動体10は図4(A)の上方に移動し、第一歯車12および第二歯車13の両方を逆転させると移動体10は図4(A)の下方に移動する。また、第一歯車12を正転し第二歯車13を逆転させると移動体10は図4(A)の右方に移動し、第一歯車12を逆転し第二歯車13を正転させると移動体10は図4(A)の右方に移動する。さらに、第一歯車12を正転し第二歯車13が回転しないようにすると移動体10は図4(A)の右斜め上方に移動し、第一歯車12を逆転し第二歯車13が回転しないようにすると移動体10は図4(A)の右斜め下方に移動する。さらに、第一歯車12が回転しないようにした状態で第二歯車13を正転させると移動体10は図4(A)の左斜め上方に移動し、第一歯車12が回転しないようにした状態で第二歯車13を逆転させると移動体10は図4(A)の左斜め上方に移動する。したがって、第一歯車12および第二歯車13の回転方向、および、第一歯車12および第二歯車13が回転を開始・停止するタイミング等を調整すれば、移動体10をベース部材6の上面6aに沿って所望の方向に移動させることができる。
【0028】
なお、第一歯車12および第二歯車13は、必ずしも第一歯車12の回転軸12aと第二歯車13の回転軸13aが互いに平行となっていなくてもよい。フレーム11の天板11a側からみたとき、言い換えれば、第一歯車12および第二歯車13の回転軸12a,回転軸13aと直交する方向から見たときに、第一歯車12の歯すじ方向と第二歯車13の歯すじ方向とが交差するようにフレーム11に取り付けられていればよい。この場合でも、
【0029】
例えば、図5(A)に示すように、第一歯車12の回転軸12aと第二歯車13の回転軸13aとは、互いに直交するように設けられていてもよい。この場合でも、第一歯車12および第二歯車13の回転方向、および、第一歯車12および第二歯車13が回転を開始・停止するタイミング等を調整すれば、移動体10をベース部材6の上面6aに沿って所望の方向に移動させることができる。なお、図5(A)では、第一歯車12の歯12tは左ネジの螺旋となっており、第二歯車13の歯13tも左ネジの螺旋となっている。
【0030】
また、図5(B)に示すように、第一歯車12の回転軸12aと第二歯車13の回転軸13aとが同軸になるように設けられていてもよい。この場合でも、第一歯車12および第二歯車13の回転方向、および、第一歯車12および第二歯車13が回転を開始・停止するタイミング等を調整すれば、移動体10をベース部材6の上面6aに沿って所望の方向に移動させることができる。なお、図5(B)では、第一歯車12の歯12tは左ネジの螺旋となっており、第二歯車13の歯13tが右ネジの螺旋となっている。
【0031】
<駆動部15>
駆動部15は、第一歯車12および第二歯車13を回転させる機能を有するものである。この駆動部15は、第一歯車12を駆動する第一駆動源であるモータ16と、第二歯車13を駆動する第二駆動源であるモータ17と、を備えている。また、駆動部15は、モータ16,17の各主軸と第一歯車12の回転軸12aおよび第二歯車13の回転軸13aとを連結する、ベルト機構からなる伝達機構19a,19bを備えている。つまり、駆動部15のモータ16,17の主軸を回転させると、第一歯車12および第二歯車13をそれぞれ回転させることができるようになっている。
【0032】
なお、第一駆動源および第二駆動源は、第一歯車12および第二歯車13を回転させる駆動力を発生させるものであればよく、とくに限定されない。また、伝達機構19a,19bも、第一駆動源および第二駆動源が発生する駆動力を第一歯車12および第二歯車13に伝達できるものであればよく、とくに限定されない。例えば、歯車機構によってモータ16,17が発生する駆動力を第一歯車12および第二歯車13に伝達するようにしてもよい。
【0033】
制御部18は、モータ16,17の駆動を制御するものである。この制御部18には、移動体10を移動させるための移動情報が記憶されている。移動情報とは、移動体10を移動させる経路と、その経路に沿って移動体10を移動させるために必要なモータ16,17の回転速度や回転方向、回転を開始・停止するタイミング等に関する情報である。なお、移動情報は、外部から無線等によって制御部18に供給するようにしてもよい。
【0034】
移動機構5が以上のような構造であるので、移動情報に基づいて制御部18によってモータ16,17を駆動させれば、第一歯車12および第二歯車13の回転に応じて、移動体10をベース部材6の上面6aに沿って所望の方向に移動させることができる。
【0035】
<摺動機構30>
移動体10をベース部材6の上面6aに沿ってスムースに移動させる上では、フレーム11とベース部材6の複数の突起6pとの間に摺動機構30を設けることが望ましい。
【0036】
例えば、図6(A)に示すように、ベース部材6に、下面が平坦面に形成された摺動部材31を設けて、この摺動部材31によって移動体10がベース部材6上に載せられた状態となるようにする。言い換えれば、この摺動部材31によって移動体10が複数の突起6p上に載せられた状態となるようにする。つまり、摺動部材31の下面から第一歯車12および第二歯車13の歯12t,13tの下端までの距離Lが突起6pの高さHよりも低くなるようにする。すると、第一歯車12および第二歯車13の歯12t,13tは、ベース部材6の上面6a(溝6hの底面)に接触しない状態で移動できるので、移動体10をベース部材6の上面6aに沿ってスムースに移動させることができる。この場合、ベース部材6の複数の突起6pの上端面は、全ての突起6pの上面が同一平面に位置する平坦面や、頂点が同一平面に位置する球面等に形成されていることが望ましい。すると、移動体10のベース部材6の上面6aに沿った移動をよりスムースにすることができる。
【0037】
また、図6(B)に示すように、摺動部材31に複数の球体32を回転自在に設けておき、球体32の下端から第一歯車12および第二歯車13の歯12t,13tの下端までの距離L2が突起6pの高さHよりも低くなるようにしてもよい。この場合も、第一歯車12および第二歯車13の歯12t,13tは、ベース部材6の上面6a(溝6hの底面)に接触しない状態で移動できるので、移動体10をベース部材6の上面6aに沿ってスムースに移動させることができる。この場合、ベース部材6の複数の突起6pの上端面は、全ての突起6pの上面が同一平面に位置する平坦面に形成されていることが望ましい。なお、摺動部材31を設けずに直接フレーム11に球体32を設けてもよいし、ベース部材6の突起6pの先端に球体32を設けてもよい。
【0038】
かかる摺動機構30を設ければ、移動体10をベース部材6の上面6aに沿ってスムースに移動させることができるし、移動体10をベース部材6上に安定して配置できる。とくに、図5(B)に示すように、第一歯車12の回転軸12aと第二歯車13の回転軸13aとが同軸になるように設けた場合には、摺動機構30を設けることによって、移動体10をベース部材6上に安定して配置できる。
【0039】
<移動装置>
また、上述した描画装置1の移動機構5は、移動機構5だけを他の用途に使用することができる。例えば、移動機構5の移動体10のフレーム11に、被移動物が配置される保持部を設ければ、移動機構5を移動装置として使用することができる。この場合、ベース部材6を設置する場所を調整すれば、移動機構5の移動体10によって所望の場所に被移動物を搬送することが可能となる。例えば、移動機構5の移動体10を、倉庫などにおいて被移動物を所望の場所に搬送する移動体として機能させることができる。そして、複数の移動体10を設ければ、複数の物品等を同時に搬送することもできる。
【0040】
また、工作機械のテーブルに代えて移動機構5を設け、移動体10の保持部に加工物(被移動物に相当する)を保持させれば、加工物を所望の位置まで搬送して位置決めできるし、切削工具などに対する加工物の送りを移動体10の移動によって行うことができる。
【0041】
逆に、移動体10の保持部として駆動源を有する駆動装置等を採用しこの駆動装置に切削工具等の工具を取り付ければ、移動体10によって工具を加工物に接触させることによって加工物を加工することができる。例えば、エンドミルを移動体10に設けられた駆動装置に取り付ければ、移動体10によって所定の位置までエンドミルを移動させれば、移動させながら加工物をエンドミルによって切削できる。また、エンドミルが切削している状態で移動体10を移動させれば、移動体10の移動軌跡に沿った溝などを加工物に形成することができる。
【0042】
そして、駆動装置等を備えた複数の移動体10を設ければ、複数の工具を加工物に所望のタイミングで所望の位置に接触させることが可能になる。すると、複数の工具によって一つの加工物を同時に加工することができる。また、加工物を保持した複数の移動体10と、駆動装置等を備えた複数の移動体10を設ければ、複数の加工物を同時に複数の工具で加工することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の駆動機構は、工作機械における加工物の移動や倉庫などにおける物体の搬送、砂絵を描く描画装置等に使用する機構として適している。
【符号の説明】
【0044】
1 移動装置
2 テーブル
3 砂
4 鉄球
6 ベース部材
6h 溝
6p 突起
10 移動体
11 フレーム
12 第一歯車
12a 回転軸
12h 歯溝
12t 歯
13 第二歯車
13a 回転軸
13h 歯溝
13t 歯
15 駆動部
30 摺動機構
31 摺動部材
32 球体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本実施形態の描画装置は、テーブル上の描画媒体に図柄などを描くことができる装置である。本実施形態の描画装置に使用される描画媒体は、磁力線を透過することができ、かつ、移動部材の移動に伴って移動部材の移動軌跡を形成することができるものであればよく、とくに限定されない。描画媒体としては、例えば、砂などの粉体や、ある程度の粘性を有する流体等を挙げることができる。
以下では、描画媒体3として砂を採用した場合を説明する。