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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174708
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】スクリーンシステム
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/04 20060101AFI20231201BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A47B96/04 B
A47G5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023164196
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2018184516の分割
【原出願日】2018-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】西口 眞由
(57)【要約】
【課題】接地体の種類、接地体の有無、又は背丈の違いにかかわらず、複数枚のスクリーンを自由に装脱して配置することが容易にできるスクリーンシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも側縁部に磁石M1、M2を設けた複数枚のスクリーンS1、S2を具備し、スクリーンS1、S2を磁石M1、M2の磁力を利用して連結できるようにしたスクリーンシステムSSにおいて、複数枚のスクリーンS1、S2が相互に接地体62、63の種類が異なるものを含み、各スクリーンS1、S2は側縁部における共通の高さ位置Hに基本の磁石M1を有し、共通の高さ位置Hは各スクリーンS1、S2が床面Fに接する接地体62、63を有しているか否かにかかわらず、また、接地体62、63の種類にかかわらず床面Fに対する基本の磁石M1の高さ位置であるとともに、接地体62、63の種類が相互に異なるスクリーンS1、S2同士を連結可能である構成を採用する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも側縁部に磁石を設けた複数枚のスクリーンを具備してなり、それらのスクリーンを前記磁石の磁力を利用して連結することができるようにしたスクリーンシステムであって、
前記複数枚のスクリーンが相互に接地体の種類が異なるものを含み、
前記各スクリーンは、前記側縁部における共通の高さ位置に基本の磁石を有しており、前記共通の高さ位置は、各スクリーンが床面に接する接地体を有しているか否かにかかわらず、また、接地体の種類にかかわらず前記床面に対する前記基本の磁石の高さ位置であるとともに、接地体の種類が相互に異なるスクリーン同士を連結可能であることを特徴とするスクリーンシステム。
【請求項2】
前記複数枚のスクリーンのうちの一方のスクリーンの接地体が当該スクリーンの拡張方向に対して交差する方向に延びる接地体であり、他方のスクリーンの接地体がアジャスタである請求項1記載のスクリーンシステム。
【請求項3】
前記複数枚のスクリーンのうちの一方のスクリーンが平面視直線状をなし、他方のスクリーンが平面視L状をなす請求項1又は2記載のスクリーンシステム。
【請求項4】
前記他方のスクリーンの下縁部にウエイト板が設けられている請求項3記載のスクリーンシステム。
【請求項5】
前記スクリーンにおける他のスクリーンを連結すべき縁部に磁石収容室を設け、その磁石収容室内に前記磁石を遊動可能に収容することとし、
前記磁石収容室の内壁面の少なくとも一部は円筒状のものであり、
前記磁石収容室に収容された前記磁石が内壁面の円筒状をなす部位に2つの隣接する角部を同時に線接触させ得る角柱状をなしている請求項1、2、3又は4記載のスクリーンシステム。
【請求項6】
少なくとも側縁部に磁石を設けた複数枚のスクリーンを具備してなり、それらのスクリーンを前記磁石の磁力を利用して連結することができるようにしたスクリーンシステムであって、
前記複数枚のスクリーンが相互に背の高さが異なるものを含むか、又は、前記複数枚のスクリーンが相互に接地体の種類が異なるものを含み、
前記各スクリーンは、前記側縁部における共通の高さ位置に基本の磁石を有しており、前記共通の高さ位置は、各スクリーンが床面に接する接地体を有しているか否かにかかわらず、また、接地体の種類にかかわらず前記床面に対する前記基本の磁石の高さ位置であるとともに、背の高さが相互に異なるスクリーン同士を連結可能であり、
前記スクリーンの全部又はいずれかは、前記基本の磁石よりも一定の下方離間距離だけ下に偏移した位置に下段の磁石を有したものであり、
前記下段の磁石が、前記スクリーンの側縁部と下縁部とが交差する下コーナに設けられており、
前記下コーナに設けられた左、右の磁石の離間距離が、前記下方離間距離と等しくなるように前記スクリーンの幅寸法が設定されているスクリーンシステム。
【請求項7】
前記スクリーンの側縁部と上縁部とが交差する上コーナに上段の磁石が設けられており、
前記上段の磁石の前記基本の磁石に対する上方離間距離が、前記下方離間距離に等しい値に設定されている請求項6記載のスクリーンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウンジやオフィス内の空間を仕切る場合等に好適に使用されるスクリーンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスクリーンシステムとして、複数枚のスクリーンをジョイント部材を介して機械的に連結したものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
このようなスクリーンシステムは、各スクリーンを乱れることなく整然と配置することができるため、多くの場所で使用されているが、スクリーン同士を着脱して自由に配置するようなシチュエーションではスクリーン同士の装脱に手間がかかるものであり、何らかの対策が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“パネルスクリーン”,コクヨ総合カタログ2018年版ファニチャー編,コクヨ株式会社,平成29年12月,p.201
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に着目してなされたもので、接地体の種類、接地体の有無、又は背丈の違いにかかわらず、複数枚のスクリーンを自由に装脱して配置することが容易にできるスクリーンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係るスクリーンシステムは、少なくとも側縁部に磁石を設けた複数枚のスクリーンを具備してなり、それらのスクリーンを前記磁石の磁力を利用して連結することができるようにしたスクリーンシステムであって、前記複数枚のスクリーンが相互に接地体の種類が異なるものを含み、前記各スクリーンは、前記側縁部における共通の高さ位置に基本の磁石を有しており、前記共通の高さ位置は、各スクリーンが床面に接する接地体を有しているか否かにかかわらず、また、接地体の種類にかかわらず前記床面に対する前記基本の磁石の高さ位置であるとともに、接地体の種類が相互に異なるスクリーン同士を連結可能であることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明において、「共通の高さ位置」とは、床面に対する基本の磁石の中心の高さ位置を意味する概念である。
【0008】
請求項2記載の発明に係るスクリーンシステムは、請求項1記載のものにおいて、前記複数枚のスクリーンのうちの一方のスクリーンの接地体が当該スクリーンの拡張方向に対して交差する方向に延びる接地体であり、他方のスクリーンの接地体がアジャスタである。
【0009】
請求項3記載の発明に係るスクリーンシステムは、請求項1又は2記載のものにおいて、前記複数枚のスクリーンのうちの一方のスクリーンが平面視直線状をなし、他方のスクリーンが平面視L状をなす。
【0010】
請求項4記載の発明に係るスクリーンシステムは、請求項3記載のものにおいて、前記他方のスクリーンの下縁部にウエイト板が設けられている。
【0011】
請求項5記載の発明に係るスクリーンシステムは、請求項1、2、3又は4記載のものにおいて、前記スクリーンにおける他のスクリーンを連結すべき縁部に磁石収容室を設け、その磁石収容室内に前記磁石を遊動可能に収容することとし、前記磁石収容室の内壁面の少なくとも一部は円筒状のものであり、前記磁石収容室に収容された前記磁石が内壁面の円筒状をなす部位に2つの隣接する角部を同時に線接触させ得る角柱状をなしている。
【0012】
請求項6記載の発明に係るスクリーンシステムは、少なくとも側縁部に磁石を設けた複数枚のスクリーンを具備してなり、それらのスクリーンを前記磁石の磁力を利用して連結することができるようにしたスクリーンシステムであって、前記複数枚のスクリーンが相互に背の高さが異なるものを含むか、又は、前記複数枚のスクリーンが相互に接地体の種類が異なるものを含み、前記各スクリーンは、前記側縁部における共通の高さ位置に基本の磁石を有しており、前記共通の高さ位置は、各スクリーンが床面に接する接地体を有しているか否かにかかわらず、また、接地体の種類にかかわらず前記床面に対する前記基本の磁石の高さ位置であるとともに、背の高さが相互に異なるスクリーン同士を連結可能であり、前記スクリーンの全部又はいずれかは、前記基本の磁石よりも一定の下方離間距離だけ下に偏移した位置に下段の磁石を有したものであり、前記下段の磁石が、前記スクリーンの側縁部と下縁部とが交差する下コーナに設けられており、前記下コーナに設けられた左、右の磁石の離間距離が、前記下方離間距離と等しくなるように前記スクリーンの幅寸法が設定されている。
【0013】
なお、本発明において、「磁石の離間距離」とは、磁石の中心間の距離を示す概念である。
【0014】
請求項7記載の発明に係るスクリーンシステムは、請求項6記載のものにおいて、前記スクリーンの側縁部と上縁部とが交差する上コーナに上段の磁石が設けられており、前記上段の磁石の前記基本の磁石に対する上方離間距離が、前記下方離間距離に等しい値に設定されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接地体の種類、接地体の有無、又は背丈の違いにかかわらず、複数枚のスクリーンを自由に装脱して配置することが容易にできるスクリーンシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係るスクリーンシステムを示す斜視図。
図2】同実施形態に係るスクリーンシステムを示す正面図。
図3】同実施形態に係る一方のスクリーンを示す分解斜視図。
図4図2におけるA-A線に沿った要部拡大断面図。
図5】同実施形態に係る一方のスクリーンのスクリーン本体を示す分解斜視図。
図6図2におけるC部拡大図。
図7図2におけるD部拡大図。
図8図2におけるX部拡大図。
図9】同実施形態に係る他方のスクリーンのスクリーン本体を示す分解斜視図。
図10】本発明に関連する参考例に係るスクリーンシステムを示す概略図。
図11】同参考例に係るスクリーン同士の近接態様を示す概略図。
図12】本発明の第2の実施形態を構成する各スクリーンを示す概略図。
図13】同実施形態に係るスクリーンシステムを示す概略図。
図14】本発明の第3の実施形態を構成する各スクリーンを示す概略図。
図15】同実施形態に係るスクリーンシステムを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<第1の実施形態>>(図1図9
本発明の第1の実施形態を、図1図9を参照しつつ説明する。
【0018】
この実施形態は、本発明を2枚のスクリーンS1を連結してなるスクリーンシステムSSに適用した場合のものである。
【0019】
このスクリーンシステムSSは、図1及び図2に示すように、側縁部に磁石M1、M2を設けた2枚のスクリーンS1、S2を具備してなり、それらのスクリーンS1、S2を前記磁石M1、M2の磁力を利用して連結することができるようにしたものであって、前記各スクリーンS1、S2は、少なくとも側縁部における共通の高さ位置Hに基本の磁石M1を有している。上述した「共通の高さ位置H」は、各スクリーンS1、S2が床面Fに接する接地体を有しているか否かにかかわらず、また、接地体の種類にかかわらず床面Fに対する基本の磁石M1の高さ位置である。なお、後述するように、本実施形態の一方のスクリーンS1の接地体は脚体62であり、他方のスクリーンS2の接地体はアジャスタ63であり、相互に種類が異なっている。この実施形態のスクリーンS1、S2は、基本の磁石M1よりも上に磁石を有しないタイプのものである。そして、これら両スクリーンS1、S2は、基本の磁石M1よりも一定の下方離間距離Zだけ下に偏移した位置に下段の磁石M2を有している。以下、各スクリーンS1、S2について説明する。
【0020】
<一方のスクリーンS1>
一方のスクリーンS1は、平面視直線状をなすストレートタイプのものであり、図1図4に示すように、枠状をなすスクリーン本体1と、このスクリーン本体1の両面に配された対をなす表装材2A、2Bとを具備してなる。各表装材2A、2Bは、図8に示すように、それぞれ光を通しにくい難透光部2xと、光を通しやすい透光部2yとをランダムに混在させて備えたものである。すなわち、図3及び図4に示すように、スクリーン本体1は、枠状に配されたフレーム3~6の内側に空洞領域CAを備えたものであり、両表装材2A、2Bは、その空洞領域CAを覆うようにしてフレーム3~6に添設されている。そして、図1図4に示すように、各表装材2A、2Bは、フレーム3~6に対応する部位21が難透光部2xにより構成され、空洞領域CAに対応する部位22に難透光部2xと透光部2yとをランダムに混在させて備えたものである。以下、具体的に説明する。
【0021】
スクリーン本体1は、図1図3及び図5に示すように、右、左のフレーム3、4と、これら右、左のフレーム3、4の上端間を接続する上のフレーム5と、右、左のフレーム3、4の下端間を接続する下のフレーム6とを備えた枠状のもので、下のフレーム6には、接地体として右、左対をなす脚体62が設けられている。各フレーム3~6は、断面円形をなすパイプ材製のものであり、具体的には、非磁性体であるアルミパイプ素材により作られている。右、左のフレーム3、4は、起立姿勢をなすもので、上端3a、4a近傍部及び下端3b、4b近傍部の空洞領域CA側にそれぞれネジ挿通孔3x、4x、3y、4yが設けられている。上のフレーム5は水平姿勢をなすもので、右、左両端に下方に延出する垂下部51を有しており、それら両垂下部51の下端51a近傍部における空洞領域CA側にそれぞれネジ挿通孔51xが設けられている。下のフレーム6は水平姿勢をなすもので、右、左両端に上方に延出する起立部61を有しており、それら両起立部61の上端61a近傍部における空洞領域CA側にそれぞれネジ挿通孔61xが設けられている。
【0022】
そして、図5図7に示すように、右、左のフレーム3、4の上端3a、4aと上のフレーム5における垂下部51の下端51aとを上のフレーム接続部材7Aにより接続するとともに、図5に示すように、右、左のフレーム3、4の下端3b、4bと下のフレーム6における起立部61の上端61aとを下のフレーム接続部材7Bにより接続している。図5図7に示すように、上のフレーム接続部材7Aは、下側の片半部が右、左のフレーム3、4の上端部に嵌合するとともに、上側の片半部が上のフレーム5における垂下部51の下端部に嵌合する棒状のもので、非磁性体である合成樹脂製のものである。上のフレーム接続部材7Aの下側の片半部には、右、左のフレーム3、4のネジ挿通孔3x、4xに対応する雌ネジ孔71が形成されており、また、上側の片半部には、上フレームの垂下部51に設けられたネジ挿通孔51xに対応する雌ネジ孔71が形成されている。そして、接続用のネジvをネジ挿通孔3x、4x、51xから対応する雌ネジ孔71にそれぞれ螺合させ緊締することによって、右、左のフレーム3、4と上のフレーム5とが剛結されるようになっている。なお、73は、組立時に上のフレーム接続部材7Aをフレーム3、4に位置決めするための位置決め突起である。そして、右、左対をなす上のフレーム接続部材7Aの下端には、それぞれ対応する右、左のフレーム3、4内に延出する磁石ホルダ72が形成されており、磁石ホルダ72の内面(より具体的には、後述するホルダ本体721の内周面721a)とフレームの内周面3s、4sとの間に基準の磁石M1を収容する磁石収容室72aが形成されている。一方、下のフレーム接続部材7Bは、以上で説明した上のフレーム接続部材7Aを上下に反転させたものであり、同一又は対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。しかして、下のフレーム接続部材7Bの磁石ホルダ72の内面(より具体的には、後述するホルダ本体721の内周面721a)とフレームの内周面3s、4sとの間に下方の磁石M2を収容する磁石収容室72aが形成されている。
【0023】
ここで磁石収容室72aに関連して磁石M1、M2の取付け構造について説明する。このスクリーンS1は、図4図7に示すように、他のスクリーンS2を連結すべき縁部に磁石収容室72aを設け、その磁石収容室72a内に連結用の磁石M1、M2を遊動可能に収容してなるものである。磁石収容室72aの内壁面(ホルダ本体721の内周面721a)の少なくとも一部は円筒状のものであり、その磁石収容室72aに収容された磁石M1、M2が内壁面の円筒状をなす部位に2つの隣接する角部M1a、M2aを同時に線接触させ得る角柱状をなしている。この実施形態の磁石M1、M2は、4つの角部を有する四角柱状のもので、隣接する一対の角部間に位置する部位がN極となり、他方の隣接する一対を角部間に位置する部位がS極となるように着磁されている。なお、下段の磁石M2は基本の磁石と全く同一の形状をなしているため、その角部M2aの磁石収容室72aの内壁面への線接触の態様は図示を省略している。
【0024】
このスクリーンS1は、前述したように枠状に接続された複数のフレーム、すなわち、右、左のフレーム3、4、上のフレーム5、及び下のフレーム6を有し、右、左のフレーム3、4内に磁石収容室72aが設けられている。この実施形態のスクリーンS1は、突き合わせた右、左のフレーム3、4と上のフレーム5とに内嵌する右、左対をなすフレーム接続部材7Aを有し、これらのフレーム接続部材7Aを利用して基本の磁石M1を収容するための磁石収容室72aが形成されている。また、このスクリーンS1は、突き合わせた右、左のフレーム3、4と下のフレーム6とに内嵌する右、左対をなすフレーム接続部材7Bを有し、これらのフレーム接続部材7Bを利用して下段の磁石M2を収容するための磁石収容室72aが形成されている。なお、フレーム3~6は前述したように断面円形をなす非磁性体製のパイプ材により構成されたものであり、右、左のフレーム3、4の内周面3s、4sが、前記磁石収容室72aの円筒状をなす内壁面の一部を構成している。
【0025】
以上説明した構造について観点を変えて説明すれば、このスクリーンS1は、非磁性体製の磁石ホルダ72と、この磁石ホルダ72に保持された連結用の磁石M1、M2とを備え、その磁石M1、M2を保持した磁石ホルダ72がスクリーン本体1の縁部に取り付けられている。詳述すれば、スクリーン本体1は、フレーム3~6を主体に構成されたフレーム構造をなすものであり、スクリーン本体1の縁部を構成する右、左のフレーム3、4に磁石ホルダ72が磁石M1、M2とともに仕込まれている。すなわち、スクリーン本体1は、複数のフレーム3~6がフレーム接続部材7A、7Bを介して接続されたフレーム構造を備えたものであり、磁石ホルダ72がフレーム接続部材7A、7Bに一体に設けられている。具体的には、磁石ホルダ72は、フレーム接続部材7A、7Bの端面から突設されフレーム3、4の内周面の一部に添接する部分円筒体状をなすホルダ本体721と、このホルダ本体721の突出端に設けられフレーム接続部材7A、7Bと協働して磁石M1、M2の上下動を規制する端板部722とを備えたもので、合成樹脂によりフレーム接続部材7A、7Bとともに一体に成型されている。しかして、磁石収容室72aは、部分円弧状をなすフレーム3、4の内周面3s、4sの一部と、この内周面3s、4sに対向するホルダ本体721の内周面721aとの間に形成されたもので、磁石収容室72aの上下端はフレーム接続部材7A、7Bと磁石ホルダ72の端板722とによって塞がれている。
【0026】
以上説明したスクリーン本体1に装着される表装材2A、2Bについて説明すれば、次の通りである。スクリーン本体1の一面側に張設された表の表装材2Aと、他面側に張設された裏の表装材2Bは、全体として袋状をなすようにフレーム3~6の外側において連続させてある。すなわち、これら表の表装材2Aと裏の表装材2Bは、例えば、上縁と左右両側縁とが繋がった袋状の編み物として編み上げられ、スクリーン本体1に上から被せて下縁同士を接続することによってフレーム3~6の外側に添設されるものである。この実施形態の表装材2A、2Bは、糸素材2sを用いて作られたニットであり、難透光部2xは、糸素材2sが比較的密に編まれた編み目状構造をなすものであるとともに、透光部2yは糸素材2sが存在しない孔状をなすものである。図8は、図2における領域Xに存在する表の表装材2Aのみを拡大して示すものである。すなわち、表の表装材2Aは、編み目構造をなして連続する難透光部2xの間に多数の孔状の透光部2yがランダムに点在しているものである。裏の表層部2Bも表の表層部2Aに準じた構成をなすもので、遠くから見た場合には両者は同じ印象を与えるが、透光部2yが難透光部2xに対してランダムに配されているので、表、裏の表層部2A、2Bは細かく正確に比較した場合、全く異なったパターン形状をなしている。
【0027】
<他方のスクリーンS2>
他方のスクリーンS2は、平面視L状をなすL型タイプのものであり、枠状をなすスクリーン本体1と、このスクリーン本体1の両面に配された対をなす表装材2A、2Bとを具備してなる。
【0028】
スクリーン本体1の構成は、上のフレーム5と下のフレーム6とが中央で直角に屈曲している点と、下のフレーム6の下に脚体62に代えて接地体であるアジャスタ63が設けられている点、及び、下のフレーム6の屈曲部下面側にウエイト板64が設けられている点のみが一方のスクリーンS1と異なっており、基本的には一方のスクリーンS1と同じ考え方で構成されている。表、裏の表装材2A、2Bについても、一方のスクリーンS1の場合と同じように袋状に編み上げた状態でフレーム本体に被せ、それら表裏の表装材2A、2Bの下縁同士を下フレームの下面側で接続することによりフレーム本体に装着されている。そのため、一方のスクリーンS1と同一又は相当する部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
なお、これら両スクリーンS1、S2の接地体は、相互に異なった形式のものであるが、その支持高さは揃えてある。すなわち、少なくとも両スクリーンS1、S2の基本の磁石M1の高さ位置Hは同じになるように(床面Fと各磁石M1、M2との間の離間距離が同じになるように)設定されている。そして本実施形態では、両スクリーンS1、S2における基本の磁石M1と下段の磁石M2との間の距離である下方離間距離Zも同じになるように設定されている。
【0030】
<第1の実施形態の作用効果>
このような構成のものであれば、各スクリーンS1、S2の基本の磁石M1同士が共通の高さ位置Hに存在するため、スクリーンS1、S2の側縁部同士を接近させることによって、隣接するスクリーンS1、S2同士を接続することができる。そして、基本の磁石M1同士の磁力に打ち勝つ力でスクリーンを引き離せば、スクリーン同士を分離することもできる。
【0031】
また、本実施形態では、各スクリーンS1、S2の下段の磁石M2同士も共通の高さ位置に存在するため、下段の磁石M2同士の高さ位置も揃うことになり、基本の磁石M1同士、及び下段の磁石M2同士の磁力により両スクリーンを確実に接続することができる。
【0032】
<<参考例>>(図10図11
この参考例のスクリーンシステムSS2は、図10に示すように、中背のスクリーンBS1と、このスクリーンBS1よりも背の低いスクリーンBS2と、中背のスクリーンBS1よりも背の高いスクリーンBS3とを備えたものである。
【0033】
これらのスクリーンBS1~BS3は、側縁部に磁石M1、M3を設けたものであり、それらのスクリーンBS1~BS3を磁石M1、M3の磁力を利用して連結することができるようなっている。
【0034】
各スクリーンBS1~BS3は、側縁部における共通の高さ位置Hに基本の磁石M1を有している。共通の高さ位置Hとは、各スクリーンBS1~BS3が床面Fに接する接地体を有しているか否かにかかわらず、また、接地体の種類にかかわらず床面Fに対する基本の磁石M1の高さ位置を意味するものである。この参考例の場合には、各スクリーンは直接床面F上に設置した状態を想定しており、床面Fと基本の磁石M1との離間距離Pがそれぞれ等しくなるように設定されている。
【0035】
図10に示すように、背の低いスクリーンBS2は、基本の磁石M1よりも上に磁石を有しないものである。これに対して、同図に示すように、中背のスクリーンBS1と背の高いスクリーンBS3は、それぞれ基本の磁石M1よりも一定の上方離間距離Qだけ上に偏移した位置に上段の磁石M3を有したものある。
【0036】
各磁石M1、M3は、第1の実施形態で述べた鉛直軸周りに自転可能な四角柱状のものであってもよいし、他の形態のものであってもよい。
【0037】
このような構成のものであれば、各スクリーンの基本の磁石M1同士が共通の高さ位置Hに存在するため、図11に示すように、スクリーンBS1~BS3の側縁部同士を接近させることによって、隣接するスクリーンBS1~BS3同士を接続することができる。そして、基本の磁石M1同士の磁力に打ち勝つ力でスクリーンBS1~BS3を引き離せば、スクリーンBS1~BS3同士を分離することもできる。
【0038】
また、中背のスクリーンBS1と背の高いスクリーンBS3は、基本の磁石M1の上方に一定の上方離間距離Qだけあけて上方の磁石M3が設けられているので、上方の磁石M3同士の高さ位置も揃うことになり、基本の磁石M1同士、及び上方の磁石M3同士の磁力により両スクリーンBS1、BS3を確実に接続することができる。
【0039】
<<第2の実施形態>>(図12図13
この実施形態のスクリーンシステムSS3は、図12及び図13に示すように、背の高いスクリーンCS1と、このスクリーンCS1よりも背の低いスクリーンCS2とを備えたものである。
【0040】
これらのスクリーンCS1、CS2は、側縁部に磁石M1、M2、M3を設けたものであり、それらのスクリーンCS1、CS2を磁石M1、M2、M3の磁力を利用して連結することができるようなっている。
【0041】
図12に示すように、各スクリーンCS1、CS2は、側縁部における共通の高さ位置Hに基本の磁石M1を有している。共通の高さ位置Hとは、前述した他の実施形態と同様に、各スクリーンCS1、CS2が床面Fに接する接地体を有しているか否かにかかわらず、また、接地体の種類にかかわらず床面Fに対する基本の磁石M1の高さ位置を意味するものである。この第2の実施形態の場合には、各スクリーンCS1、CS2は直接床面F上に設置した状態を想定しており、床面Fと基本の磁石M1との離間距離Pがそれぞれ等しくなるように設定されている。
【0042】
背の高いスクリーンCS1は、基本の磁石M1よりも一定の上方離間距離Rだけ上に偏移した位置に上段の磁石M3を有するとともに、基本の磁石M1よりも一定の下方離間距離Tだけ下に偏移した位置に下段の磁石M2を有したものであり、左、右対をなす下段の磁石M2は、スクリーンCS1の側縁部と下縁部とが交差する下コーナにそれぞれ設けられている。そして、下コーナに設けられた左、右の磁石M2の離間距離Uが、前述した下方離間距離Tと等しくなるように前記スクリーンCS1の幅寸法が設定されている。
【0043】
背の低いスクリーンCS2は、左、右対をなす基本の磁石M1が、当該スクリーンCS2の側縁部と上縁部とが交差する上コーナにそれぞれ設けられており、また、基本の磁石M1よりも一定の下方離間距離Tだけ下に偏移した位置に下段の磁石M2を有している。左、右対をなす下段の磁石M2は、当該スクリーンCS2の側縁部と下縁部とが交差する下コーナにそれぞれ設けられている。そして、下コーナに設けられた左、右の磁石M2の離間距離Uが、前述した下方離間距離Tと等しくなるように前記スクリーンCS2の幅寸法が設定されている。
【0044】
各磁石M1、M2、M3は、第1の実施形態で述べた鉛直軸周りに自転可能な四角柱状のものであってもよいし、他の形態のものであってもよい。
【0045】
このような構成のものであれば、図13に示すように、各スクリーンCS1、CS2の基本の磁石M1同士が共通の高さ位置Hに存在するため、スクリーンCS1、CS2の側縁部同士を接近させることによって、隣接するスクリーンCS1、CS2同士を接続することができる。そして、基本の磁石M1同士の磁力に打ち勝つ力でスクリーンCS1、CS2を引き離せば、スクリーンCS1、CS2同士を分離することもできる。
【0046】
また、この第2の実施形態によれば、背の高いスクリーンCS1を横倒しにし、その下コーナの一方に設けられた下方の磁石M2と上コーナの一方に設けられた上方の磁石M3とを前述した共通の高さ位置Hに合致させさえすれば、この横倒しの背の高いスクリーンCS1の両側に他のスクリーンCS1、CS2を接続することができる。図13では、横倒しのスクリーンCS1の左に同一構造の背の高いスクリーンCS1を正規の起立姿勢で接続するとともに、右に背の低いスクリーンCS2を接続した例を示している。
【0047】
<<第3の実施形態>>(図14図15
この実施形態のスクリーンシステムSS4は、図14及び図15に示すように、背の高いスクリーンDS1と、このスクリーンDS1よりも背の低いスクリーンCS2とを備えたものである。
【0048】
これらのスクリーンDS1、DS2は、側縁部に磁石M1A、M1B、M2、M3を設けたものであり、それらのスクリーンDS1、DS2を磁石M1A、M1B、M2、M3の磁力を利用して連結することができるようなっている。
【0049】
図14に示すように、各スクリーンDS1、DS2は、側縁部における共通の高さ位置Hに第1の基本の磁石M1Aを有している。共通の高さ位置Hとは、前述した他の実施形態と同様に、各スクリーンDS1、DS2が床面Fに接する接地体を有しているか否かにかかわらず、また、接地体の種類にかかわらず床面Fに対する第1の基本の磁石M1Aの高さ位置を意味するものである。この第3の実施形態の場合には、各スクリーンDS1、DS2は直接床面F上に設置した状態を想定しており、床面Fと第1の基本の磁石M1Aとの離間距離Pがそれぞれ等しくなるように設定されている。
【0050】
背の高いスクリーンDS1は、第1の基本の磁石M1Aよりも一定の下方離間距離Tだけ下に偏移した位置に下段の磁石M2を有するとともに、第1の基本の磁石M1Aよりも基本磁石間離間距離Vだけ上に偏移した位置に第2の基本の磁石M1B、この第2の基本の磁石M1Bよりもさらに上方離間距離Wだけ上に偏移した位置に上段の磁石M3をそれぞれ有し、左、右対をなす下段の磁石M2は、スクリーンDS1の側縁部と下縁部とが交差する下コーナにそれぞれ設けられている。そして、下コーナに設けられた左、右の磁石M2の離間距離Uが、前述した下方離間距離Tと等しくなるように前記スクリーンDS1の幅寸法が設定されている。また、前述した上方離間距離Wも、下方離間距離Tと等しくなるように設定されている。
【0051】
背の低いスクリーンDS2は、左、右対をなす基本の磁石M1が、当該スクリーンDS2の側縁部と上縁部とが交差する上コーナにそれぞれ設けられており、また、基本の磁石M1よりも一定の下方離間距離Tだけ下に偏移した位置に下段の磁石M2を有している。左、右対をなす下段の磁石M2は、当該スクリーンDS2の側縁部と下縁部とが交差する下コーナにそれぞれ設けられている。そして、下コーナに設けられた左、右の磁石M2の離間距離Uが、前述した下方離間距離Tと等しくなるように前記スクリーンDS2の幅寸法が設定されている。
【0052】
各磁石M1、M1A、M1B、M2~M4は、第1の実施形態で述べた鉛直軸周りに自転可能な四角柱状のものであってもよいし、他の形態のものであってもよい。
【0053】
このような構成のものであれば、図15に示すように、背の高いスクリーンDS1の第1の基本の磁石M1Aと背の低いスクリーンDS2の基本の磁石M1とが共通の高さ位置Hに存在するため、スクリーンDS1、DS2の側縁部同士を接近させることによって、隣接するスクリーンDS1、DS2同士を接続することができる。そして、これら基本の磁石M1A、M1同士の磁力に打ち勝つ力でスクリーンDS1、DS2を引き離せば、スクリーンDS1、DS2同士を分離することもできる。
【0054】
また、この第3の実施形態によれば、背の高いスクリーンDS1を横倒しにし、その下コーナの一方に設けられた下方の磁石M2と上コーナの一方に設けられた上方の磁石M3とを前述した共通の高さ位置Hに合致させさえすれば、この横倒しの背の高いスクリーンDS1の両側に他のスクリーンDS1、DS2を接続することができる。図15では、横倒しのスクリーンDS1の左に同一構造の背の高いスクリーンDS1を正規の起立姿勢で接続するとともに、右に背の低いスクリーンDS2を接続した例を示している。その上で、横倒しのスクリーンDS1の上に同一構造の背の高いスクリーンDS1を同じく横倒しの姿勢で載置するとともに、背の低いスクリーンDS2の上に同一構造の背の低いスクリーンDS2を載置している。この実施形態では、背の高いスクリーンDS1の下方の磁石M2と、この下方の磁石M2が設けられている側のスクリーンDS1の端縁との間の距離Dの2倍(2D)が基本磁石間離間距離Vと等しくなるように設定しているとともに、上方離間距離Wと左、右の磁石M2の離間距離Uとも等しくなるように設定しているので、上側の横倒しのスクリーンDS1の一方の下方の磁石M2及び他方の下方の磁石M2の高さ位置が、それぞれその左に位置する正規の起立姿勢の背の高いスクリーンDS1の第2の基本の磁石M1B及び上段の磁石M3と同一となり、これらのスクリーンDS1をも好適に接続することができる。
【0055】
<<その他の実施形態>>
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0056】
例えば、スクリーンシステムを構成する複数のスクリーンの全てが基本の磁石よりも上に上段の磁石を有するものであってもよい。このようなものであっても、上段の磁石が全て基本の磁石よりも一定の上方離間距離だけ上に偏移した位置に配されていれば、基本の磁石だけでなく上段の磁石の磁力も利用して隣接するスクリーン同士を接続することができる。
【0057】
また、基本の磁石の高さ位置は任意の箇所に設定してよく、基本の磁石と上段の磁石との間の上方離間距離、及び基本の磁石と下段の磁石との間の下方離間距離も任意の値に設定してよい。
【0058】
そして、下コーナに設けられた左、右の磁石の離間距離も任意の値に設定してよい。但し、左、右の磁石の離間距離が下方離間距離と等しくなるように設定したものであれば、上述した第2及び第3実施形態のように、横倒しにしたスクリーンの側方に、正規の起立姿勢にある同一構造を有する他のスクリーンを接続することができる。
【0059】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0060】
62、63…接地体(脚体、アジャスタ)
SS、SS2、SS3、SS4…スクリーンシステム
S1、S2…スクリーン
BS1~BS3…スクリーン
CS1、CS2…スクリーン
DS1、DS2…スクリーン
H…共通の高さ位置
Q、R、W…上方離間距離
Z、T…下方離間距離
U…左、右の磁石の離間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15