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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174710
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/02 20060101AFI20231201BHJP
   G05G 1/08 20060101ALI20231201BHJP
   G05G 1/62 20080401ALI20231201BHJP
   B60N 2/38 20060101ALI20231201BHJP
   B60N 2/75 20180101ALI20231201BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231201BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G05G1/02 B
G05G1/08 B
G05G1/62
B60N2/38
B60N2/75
B60N2/90
A47C7/54
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166147
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2019202899の分割
【原出願日】2019-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2018229062
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 隆資
(72)【発明者】
【氏名】二神 元
【テーマコード(参考)】
3B087
3J070
【Fターム(参考)】
3B087CE10
3B087DE10
3J070AA03
3J070AA07
3J070AA14
3J070BA32
3J070BA33
3J070BA51
3J070CA02
3J070CA47
3J070CC71
3J070CE04
3J070DA24
(57)【要約】
【課題】アームレストに設けられた走行系押圧操作具と作業系押圧操作具とを直観的に明確に区別することができると共に、押圧操作具の操作性に優れている作業車両を提供すること。
【解決手段】作業車両は、運転席と、前記運転席の側方に設けられ且つ表面に複数の操作具が配置されたアームレストと、を備え、前記複数の操作具は、走行に関する操作を押圧により行う走行系押圧操作具と、作業に関する操作を押圧により行う作業系押圧操作具と、を含み、前記作業系押圧操作具は、前記走行系押圧操作具よりも小面積で且つ集約して配置された複数の押圧操作部を有する小型操作具を含む。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席と、
前記運転席の側方に設けられ且つ表面に複数の操作具が配置されたアームレストと、
を備え、
前記複数の操作具は、走行に関する操作を押圧により行う走行系押圧操作具と、作業に関する操作を押圧により行う作業系押圧操作具と、を含み、
前記作業系押圧操作具は、前記走行系押圧操作具よりも小面積で且つ集約して配置された複数の押圧操作部を有する小型操作具を含む作業車両。
【請求項2】
前記走行系押圧操作具は、押圧操作部と、操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを示す表示部と、を有し、
前記小型操作具は、押圧操作部を有し且つ前記表示部を有していない請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記小型操作具は、前記複数の押圧操作部が一体化されている請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
作業に関する操作を縦軸回りの回転により行う回転操作具を備え、
前記小型操作具と前記回転操作具とは、前記アームレストの幅方向において隣り合う位置に配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項5】
作業装置を昇降させる昇降装置を備え、
前記小型操作具及び前記回転操作具は、前記昇降装置を操作する操作具である請求項3に記載の作業車両。
【請求項6】
前記アームレストの表面は、前記運転席側に設けられた第1領域と、前記運転席側と反対側に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられた第3領域と、を含み、
前記走行系押圧操作具は前記第1領域に配置され、前記回転操作具は前記第2領域に配置され、前記小型操作具は前記第3領域に配置されている請求項4又は5に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトラクタ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業車両が知られている。
特許文献1に開示の作業車両は、運転席と、運転席の側方に設けられたアームレストとを備えている。アームレストには、複数の操作具(操作スイッチ)が設けられており、当該操作具は押圧操作具(ボタン)や回転操作具(ダイヤル)等を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-16739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された作業車両は、押圧操作具や回転操作具がそれぞれ離れた状態で配置されているため、作業者が直観的に操作具の位置を把握することが難しかった。特に、押圧操作具に含まれる走行系押圧操作具と作業系押圧操作具とを直観的に区別して把握することが難しかった。
【0005】
本発明は、上記したような実情に鑑みて、アームレストに設けられた走行系押圧操作具と作業系押圧操作具とを直観的に明確に区別することができると共に、押圧操作具の操作性に優れている作業車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業車両は、運転席と、前記運転席の側方に設けられ且つ表面に複数の操作具が配置されたアームレストと、を備え、前記複数の操作具は、走行に関する操作を押圧により行う走行系押圧操作具と、作業に関する操作を押圧により行う作業系押圧操作具と、を含み、前記作業系押圧操作具は、前記走行系押圧操作具よりも小面積で且つ集約して配置された複数の押圧操作部を有する小型操作具を含む。
【0007】
好ましくは、前記走行系押圧操作具は、押圧操作部と、操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを示す表示部と、を有し、前記小型操作具は、押圧操作部を有し且つ前記表示部を有していない。
好ましくは、前記小型操作具は、前記複数の押圧操作部が一体化されている。
好ましくは、作業に関する操作を縦軸回りの回転により行う回転操作具を備え、前記小型操作具と前記回転操作具とは、前記アームレストの幅方向において隣り合う位置に配置されている。
【0008】
好ましくは、作業装置を昇降させる昇降装置を備え、前記小型操作具及び前記回転操作具は、前記昇降装置を操作する操作具である。
好ましくは、前記アームレストの表面は、前記運転席側に設けられた第1領域と、前記運転席側と反対側に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられた第3領域と、を含み、前記走行系押圧操作具は前記第1領域に配置され、前記回転操作具は前記第2領域に配置され、前記小型操作具は前記第3領域に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
上記作業車両によれば、アームレストに設けられた走行系押圧操作具と作業系押圧操作具とを直観的に明確に区別することができると共に、押圧操作具の操作性に優れている作業車両が得られる。詳しくは、作業系押圧操作具は、走行系押圧操作具よりも小面積で且つ集約して配置された複数の押圧操作部を有する小型操作具を含むことから、走行系押圧操作具と作業系押圧操作具とを大きさの違いによって直観的に明確に区別することができる。また、小型操作具は、複数の押圧操作部が集約して配置されているため、操作性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】運転席、アームレスト、ステアリングホイールを示す平面図である。
図2】アームレストを左上後方から見た斜視図である。
図3】アームレストの平面図である。
図4】アームレストを運転席側(左側)から見た側面図である。
図5】アームレストを運転席と反対側(右側)から見た側面図である。
図6】アームレストの背面図である。
図7】アームレストのグリップ付近を左上後方から見た斜視図である。
図8】アームレストのグリップ付近を上後方から見た斜視図である。
図9】アームレストのグリップ付近の平面図である。
図10】アームレストのグリップ付近を握り部の裏面が略垂直面となる方向から見た図である。
図11】アームレストのグリップ付近を運転席側(左側)から見た側面図である。
図12】アームレストのグリップ付近を運転席と反対側(右側)から見た側面図である。
図13】アームレストのグリップ付近の背面図である。
図14図13のC-C断面図である。
図15図13のD-D断面図である。
図16】アームレストの肘置き部を開放した状態で左上後方から見た斜視図である。
図17】アームレストの肘置き部を開放した状態の平面図である。
図18】アームレストの前部を示す平面図である。
図19】アームレストの第1変更形態を示す平面図である。
図20】第1変更形態のアームレストの前部を左上後方から見た斜視図である。
図21】第1変更形態のアームレストの前部を右下前方から見た斜視図である。
図22】アームレストの第2変更形態を示す平面図である。
図23】第2変更形態のアームレストの操作具配置部を示す平面図である。
図24】第2変更形態のアームレストの後部操作具群を示す平面図である。
図25】作業車両の平面図である。
図26】作業車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図25は作業車両1の平面図であり、図26は作業車両1の側面図である。作業車両1は、農作業を行うための車両であり、本実施形態の場合はトラクタである。以下、作業車両1がトラクタ1であるとして説明する。但し、作業車両1はトラクタには限定されない。
【0012】
以下の説明において、トラクタ1の運転席10に着座した運転者の前側(図25図26の矢印A1方向)を前方、運転者の後側(図25図26の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(図25の矢印B1方向)を左方、運転者の右側(図25の矢印B2方向)を右方として説明する。また、図25図26の矢印K1で示す方向を前後方向として説明する。また、前後方向に直交する水平方向(図26の矢印K2方向)を車体幅方向という。
【0013】
<作業車両の全体構成>
図25図26に示すように、トラクタ1は、車体2と、走行装置3と、連結部4と、を備えている。
図26に示すように、車体2は、車体フレーム5と、クラッチハウジング6と、ミッションケース7とを有している。車体フレーム5は、車体2の前後方向に延びている。車体フレーム5には、原動機8が搭載されている。本実施形態の場合、原動機8はエンジン8である。エンジン8の上方は、ボンネット13により覆われている。クラッチハウジング6は、エンジン8の後部に連設されており、クラッチを収容している。ミッションケース7は、クラッチハウジング6の後部に連結されており、変速装置や後輪差動装置等を収容している。変速装置は、主変速装置と副変速装置とを含む。車体2の後方(ミッションケース7の後方)にはPTO軸(リヤPTO)9が突出している。また、図示していないが、車体2の前方にもPTO軸(フロントPTO)が突出している。リヤPTO及びフロントPTOは、PTOクラッチ(図示略)を接続又は遮断することによって回転又は停止する。
【0014】
走行装置3は、車体2の前部に設けられた前輪3Fと、車体2の後部に設けられた後輪3Rとを有している。前輪3Fは、車体フレーム5に支持されている。後輪3Rは、後輪差動装置の出力軸に支持されている。後輪3Rは、タイヤであってもよいし、クローラであってもよい。
連結部4は、車体2の後部に設けられている。連結部4は、圃場(農地)等に対して作業を行う作業装置(対地作業機)をトラクタ1の後部に連結するための部分である。作業装置は、例えばPTO軸9から伝達される駆動力によって駆動する。具体的には、作業装置は、耕耘機、散布機、播種機等であるが、これらに限定はされない。
【0015】
連結部4は、油圧シリンダ等のアクチュエータにより駆動して作業装置を上昇又は下降させる昇降装置である(以下、「昇降装置4」ともいう)。本実施形態の場合、昇降装置4は、3点リンク機構であって、リフトアーム4a、ロアーリンク4b、トップリンク4c、リフトロッド4d、リフトシリンダ4eを有している。また、車体2の後部には、作業装置を水平に維持するための水平制御装置(モンロー)が設けられている。
【0016】
車体2には、運転席10と、運転席10を囲うキャビン11が搭載されている。図1に示すように、運転席10は、背もたれ部10aと座部10bとを有している。運転席10の前方には、ステアリングホイール12が設けられている。
トラクタ1は、走行系や作業系の制御を行う制御装置(図示略)を備えている。制御装置は、演算部(CPU等)や記憶部(メモリ)等を備えており、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて所定の制御を実行する。より具体的には、制御装置は、運転席10の周囲に設置された操作具(レバー、スイッチ、ダイヤル等)を操作したときの操作信号や、車体2に搭載された様々なセンサの検出信号等に基づいてトラクタ1の走行系や作業系の制御を行う。例えば、制御装置は、操作具からの操作信号に基づく昇降装置4の昇降に関する制御や、アクセルペダルセンサからの検出信号に基づくエンジン8の回転数の制御等を実行する。
【0017】
<アームレスト>
図1に示すように、運転席10の一側方側には、アームレスト15が設けられている。
アームレスト15は、長手方向が前後方向を向き、短手方向が車体幅方向を向いて配置されている。以下、アームレスト15の短手方向をアームレスト15の幅方向という。アームレスト15の幅方向は、アームレスト15の長手方向と直交する方向であって、車体幅方向と同じ方向である。また、本実施形態の場合、一側方側は右側であり、一側方側と反対側の他側方側は左側である。従って、アームレスト15の一側方側は運転席10側と反対側であり、アームレスト15の他側方側は運転席10側である。
【0018】
図2図6に示すように、アームレスト15は、本体16と、当該本体16に設けられた揺動操作部17、肘置き部18、操作具配置部19を有している。本体16は、上面16a、下面16b、左側面16c、右側面16d、前面16e、後面16fを有している。
図4図5に示すように、上面16aは、上方に向けて凸状に緩やかに湾曲している。上面16aは、前方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。下面16bは、前部16b1に比べて後部16b2が上方に凹んでいる。これにより、アームレスト15の下面16bが運転席10に着座した作業者の膝(右膝)と接触することが回避される。下面16bの後部16b2には、アームレスト15を運転席10の側部に取り付けるための取付具39が設けられている。
【0019】
左側面16cは、上面16aの左部と下面16bの左部とを接続している。右側面16dは、上面16aの右部と下面16bの右部とを接続している。前面16eは、上面16aの前部、下面16bの前部、左側面16cの前部、右側面16dの前部を接続している。後面16fは、上面16aの後部、下面16bの後部、左側面16cの後部、右側面16dの後部を接続している。
【0020】
図6に示すように、左側面16cは、下方に向かうにつれて右方に移行するように傾斜している。右側面16dは、下方に向かうにつれて左方に移行するように傾斜している。図4図5に示すように、前面16eは、下方に向かうにつれて後方に移行するように傾斜している。後面16fは、下方に向かうにつれて前方に移行するように傾斜している。
【0021】
<揺動操作部>
図2図5に示すように、揺動操作部17は、アームレスト15の前部に設けられている。揺動操作部17は、台座20と操作レバー21とを有している。
台座20は、アームレスト15の前部に隆起して設けられている。台座20は、本体16の上面16aから上方に隆起している。台座20は、肘置き部18の上面18aより高く隆起している。言い換えれば、台座20の上端部の高さ(上面16aからの高さ)は、肘置き部18の上面18aの高さよりも高い。台座20は、略四角錐台状に形成されており、上方に向かうにつれて細くなっている。台座20は、上面20a、前面20b、後面20c、左面20d、右面20eを有している。前面20bと後面20cとの間の距離、及び、左面20dと右面20eとの間の距離は、上方に向かうにつれて狭くなっている。図4図5に示すように、台座20の上面20aは、上方に向けて凸状の円弧状に湾曲している。
【0022】
台座20は、硬質素材から形成されており、操作レバー21を揺動したときに変形しない。図7図11に示すように、台座20の上面20aには、開口部20fが形成されている。開口部20fは、前後方向に延びる長円形状に形成されている。
図4図6に示すように、操作レバー21は、揺動体22とグリップ23とを有している。
【0023】
揺動体22は、台座20に挿通された軸体である。揺動体22は、台座20の上面20aから上方に突出している。揺動体22の下部には、スカート22aが設けられている。スカート22aは、台座の上面20aに沿って湾曲している。スカート22aは、操作レバー21の揺動に伴って台座の上面20aに沿って移動する。
【0024】
図4図5に示すように、揺動体22は、後方から前方に向かうにつれて下方から上方に移行するように傾斜して延びている。揺動体22は、前後方向に揺動可能である。揺動体22の下部は、アームレスト15の内部に設けられた横軸(車体幅方向に延びる軸)21aに揺動可能に支持されている。これにより、操作レバー21(揺動体22及びグリップ23)は、横軸回りの前後方向の揺動操作が可能である。操作レバー21を前後方向に揺動操作することにより、変速装置を作動させて変速操作を行うことが可能である。
【0025】
操作レバー21は、前方に揺動したときには揺動体22が開口部20fの前縁に当たって止まり、後方に揺動したときには揺動体22が開口部20fの後縁に当たって止まる。つまり、操作レバー21の前後方向の揺動は、開口部20fにより規制される。
図4に示すように、操作レバー21の揺動支点(揺動体22の下部を支持する横軸)21aは、本体16の上面16aから上方に隆起した台座20の内部に設けられている。そのため、操作レバー21の揺動支点21aは、本体16の上面16aよりも上方に位置している。これにより、本体16の内部(上面16aよりも下方)に揺動支点を設けた場合に比べて、操作レバー21の前後方向の揺動のストロークを小さくすることができ、操作レバー21の操作性が良好となる。
【0026】
グリップ23は、揺動体22の上部に設けられている。図7図13に示すように、グリップ23は、握り部24と、操作部25と、延出部26と、を有している。握り部24は、運転席10に着座した作業者が片手(右手)で握る部分である。操作部25は、握り部24を握った作業者が親指を伸ばして操作を行うための部分である。延出部26は、握り部24を握った作業者が掌の小指側(小指球)を載せるための部分であり、握り部24を握った掌が下方にずれ落ちないように支持する。握り部24と操作部25と延出部26とは、一体的に形成されている。
【0027】
先ず、グリップ23の握り部24の形状について説明する。
握り部24は、グリップ23の一側方側(右側)に設けられている。言い換えれば、握り部24は、グリップ23の運転席10側と反対側に設けられている。図7図13に示すように、握り部24は、表面24a、裏面24b、上面24c、下面24d、左側面24e、右側面24f、角縁面24gを有している。
【0028】
握り部24の表面24aは、グリップ23の表面(運転席10に着座した作業者に対向する面)の右部を構成している。表面24aは、握り部24を握る際に掌が当たる部分である。図10に示すように、表面24aは、他側方側(左側)から一側方側(右側)に向けて湾曲して延びる湾曲面である。以下、握り部24の表面24aを「湾曲面24a」という。図10に示すように、湾曲面24aは、後方に向けて膨らむように凸状に湾曲している。湾曲面24aの右部は、左側から右側に向かうにつれて後方から前方に移行している。また、図11図12に示すように、湾曲面24aは、後方から前方に向かうにつれて下方から上方に移行するように傾斜しながら湾曲している。
【0029】
図8等に示すように、湾曲面24aは、側縁部24h、上縁部24i、下縁部24j、角縁部24kを有している。側縁部24h、上縁部24i、下縁部24j、角縁部24kによって、湾曲面24aの外縁部が構成されている。
側縁部24hは、第1側縁部24h1と第2側縁部24h2とを含む。第1側縁部24h1は、湾曲面24aの一側方側(右側)の縁部を構成している。第2側縁部24h2は、湾曲面24aの他側方側(左側)の縁部を構成している。上縁部24iは、湾曲面24aの上側の縁部を構成している。下縁部24jは、湾曲面24aの下側の縁部を構成している。角縁部24kは、側縁部(第1側縁部)24h1と上縁部24iとを繋いでおり、湾曲面24aの一側方側(右側)の上角の縁部を構成している。
【0030】
第1側縁部24h1、第2側縁部24h2、上縁部24i、下縁部24j、角縁部24kは、湾曲している。
第1側縁部24h1は、上方から下方に向けて延びている。図8等に示すように、第1側縁部24h1は、上方から下方に向かう中途部で僅かに一側方(右方)に膨らむように凸状に湾曲している。また、第1側縁部24h1は、上方から下方に向かうにつれて他側方(左方)から一側方(右方)に移行している。図12等に示すように、第1側縁部24h1は、上方から下方に向かうにつれて前方から後方に移行している。
【0031】
第2側縁部24h2は、上方から下方に向けて延びている。図8等に示すように、第2側縁部24h2は、上方から下方に向かうにつれて一側方(右方)から他側方(左方)に移行している。第1側縁部24h1と第2側縁部24h2との間の距離は、上方から下方に向かうにつれて次第に拡がっている。図11等に示すように、第2側縁部24h1は、上方から下方に向かうにつれて前方から後方に移行している。第2側縁部24h2は、上方から下方に向かう中途部で上後方に膨らむように凸状に湾曲している。当該湾曲は、上方から下方に向かうにつれて急激となっている。
【0032】
図8等に示すように、上縁部24iは、他側方(左方)から一側方(右方)に向けて延びており、他側方から一側方に向かうにつれて上方から下方に移行するように傾斜しながら湾曲している。図10等に示すように、上縁部24iは、一側方(右方)から他側方(左方)に向かう中途部で後方に膨らむように凸状に湾曲している。
図9等に示すように、下縁部24jは、他側方(左方)から一側方(右方)に向けて延びており、他側方から一側方に向かう中途部で後方に膨らむように凸状に湾曲している。
【0033】
図8等に示すように、角縁部24kは、第1側縁部24h1と上縁部24iとを滑らかな曲線で繋ぐように湾曲している。角縁部24kは、第1側縁部24h1及び上縁部24iに比べて小さい曲率半径で湾曲している。言い換えれば、角縁部24kは、第1側縁部24h1及び上縁部24iに比べて急激に湾曲している。
図7図11に示すように、握り部24の左側面24eは、操作部25から握り部24の湾曲面24aに向けて立ち上がっている。以下、握り部24の左側面24eを「起立面24e」という。起立面24eは、湾曲面24aに掌を当てて握り部24を握った際に、親指で触ることができる部分である。起立面24eは、操作部25と湾曲面24aの第2側縁部24h2とを繋いでいる。図10に示すように、起立面24eは、操作部25から湾曲面24aに向けて起立するにつれて他側方(左方)から一側方(右方)に向かうように僅かに傾斜している。起立面24eの下縁部は、操作部25の表面25aと繋がっている。起立面24eの上縁部は、握り部24の上面24cと繋がっている。起立面24eの右縁部は、湾曲面24aの第2側縁部24h2と繋がっている。
【0034】
握り部24の上面24cは、グリップ23の上面の右部を構成している。図8等に示すように、握り部24の上面24cは、他側方(左方)から一側方(右方)に向かうにつれて上方から下方に向かうように傾斜している。また、上面24cは、湾曲面24aの上縁部24iの湾曲に沿って湾曲している。図11図12に示すように、上面24cは、前方から後方に向かうにつれて下方から上方に移行しており、上方から下方に向かう中途部で上前方に膨らむように凸状に湾曲している。上面24cの前縁部は、湾曲面24aの上縁部24iと繋がっている。上面24cの後縁部は、裏面24bと繋がっている。上面24cの左縁部は、起立面24eの上縁部と繋がっている。また、上面24cの左縁部は、操作部25の上面25cとも繋がっている。図8図10等に示すように、上面24cには、後述する操作スイッチ35が設けられている。
【0035】
握り部24の右側面24fは、グリップ23の右側面を構成している。図8等に示すように、握り部24の右側面24fは、湾曲面24aの第1側縁部24h1の湾曲に沿って湾曲している。詳しくは、右側面24fは、上方から下方に向けて延びており、上方から下方に向かう中途部で僅かに一側方(右方)に膨らむように凸状に湾曲している。また、右側面24fは、上方から下方に向かうにつれて一側方(右方)に移行している。起立面24eと右側面24fとの間の距離は、上方から下方に向かうにつれて次第に拡がっている。
【0036】
図8図9等に示すように、握り部24の角縁面24gは、上面24cと右側面24fとを繋いている。角縁面24gは、湾曲面24aの角縁部24kの湾曲に沿って湾曲している。角縁面24gは、上面24cと右側面24fとを滑らかな曲面で繋ぐように湾曲している。角縁面24gは、上面24c及び右側面24fに比べて小さい曲率半径で湾曲している。言い換えれば、上面24c及び右側面24fが緩やかに湾曲しているのに対して、角縁面24gは急激に湾曲している。
【0037】
握り部24の裏面24bは、グリップ23の裏面の右部を構成している。裏面24bは、湾曲面24aに掌を当てて握り部24を握った際に、親指以外の指先が当たる部分である。図12に示すように、握り部24の裏面24bは、後方から前方に向かうにつれて下方から上方に移行するように傾斜している。また、図10に示すように、裏面24bは、一側方(左方)から他側方(右方)に向かうにつれて前方から後方に移行するように傾斜している。裏面24bの上縁部は、上面24cと繋がっている。裏面24bの下縁部は、下面24dと繋がっている。裏面24bの左縁部は、操作部25の裏面25bと繋がっている。裏面24bの右縁部は、右側面24fと繋がっている。裏面24bの角縁部は、角縁面24gと繋がっている。図12図13に示すように、裏面24bには、後述する案内凹部37及び操作スイッチ36が設けられている。
【0038】
握り部24の下面24dは、グリップ23の下面の右部を構成している。図12図13に示すように、握り部24の下面24dには、揺動体22の上端部が接続されている。下面24dの前縁部は、裏面24bと繋がっている。下面24dの後縁部は、延出部26の下面と繋がっている。下面24dの左縁部は、操作部25の下面25dと繋がっている。下面24dの右縁部は、右側面24fと繋がっている。
【0039】
次に、グリップ23の操作部25の形状について説明する。
操作部25は、グリップ23の他側方側(左側)に設けられている。言い換えれば、操作部25は、グリップ23の運転席10側に設けられている。
図7図13に示すように、操作部25は、表面25a、裏面25b、上面25c、下面25d、左側面25eを有している。以下、握り部24の表面24a等との区別を明確化するために、操作部25の表面25aを「第2表面25a」、裏面25bを「第2裏面25b」、上面25cを「第2上面25c」、下面25dを「第2下面25d」、左側面25eを「第2左側面25e」という場合がある。
【0040】
第2表面25aは、グリップ23の表面の左部を構成している。第2表面25aは、湾曲面24aに掌を当てて握り部24を握った際に、親指を伸ばして触ることができる部分である。図11等に示すように、第2表面25aは、後方から前方に向かうにつれて下方から上方に移行するように傾斜している。図6図10等に示すように、第2表面25aは、他側方(左方)から一側方(右方)に向かうにつれて前方から後方に向かうように傾斜している。図10等に示すように、第2表面25aは、握り部24の表面である湾曲面24aよりも前方に位置している。第2表面25aには、後述する複数の操作スイッチ30、31、32が設けられている。
【0041】
第2上面25cは、グリップ23の上面の左部を構成している。図8等に示すように、第2上面25cは、他側方(左方)から一側方(右方)に向かうにつれて下方から上方に向かうように傾斜している。握り部24の上面24cと操作部25の上面(第2上面)25cとは、握り部24と操作部25との境界付近を頂点29として山形状に連なっている。
【0042】
第2下面25dは、グリップ23の下面の左部を構成している。図9等に示すように、第2下面25dは、他側方(左方)から一側方(右方)に向かうにつれて上方から下方に向かうように傾斜している。第2上面25cと第2下面25dとの間の距離は、他側方から一側方に向かうにつれて次第に拡がっている。第2下面25dは、握り部24の下面24d及び延出部26の下面と繋がっている。
【0043】
第2左側面25eは、グリップ23の左側面を構成している。第2左側面25eの上部は、第2上面25cの左部と繋がっている。第2左側面25eの下部は、第2下面25dの左部と繋がっている。第2左側面25eと第2上面25cとの境界部、第2左側面25eと第2下面25dとの境界部は、それぞれ湾曲している。
第2裏面25bは、グリップ23の裏面の左部を構成している。図10図13に示すように、第2裏面25bは、ごく緩やかに湾曲する概ね平坦な面である。第2裏面25bの上縁部は、第2上面25cと繋がっている。第2裏面25bの下縁部は、第2下面25dと繋がっている。第2裏面25bの左縁部は、第2左側面25eと繋がっている。第2裏面25bの右縁部は、握り部24の裏面24bと繋がっている。
【0044】
図7図9等に示すように、延出部26は、握り部24の下部(湾曲面24aの下縁部24j)から後方に延出されている。延出部26は、他側方(左方)から一側方(右方)に向けて延びており、他側方から一側方に向かう中途部で後方に膨らむように凸状に湾曲している。延出部26の他側方側の部分(左部)は、湾曲面24a及び起立面24eよりも他側方(左方)まで延びており、連絡面27を介して操作部25の表面(第2表面)25aと繋がっている。図9に示すように、延出部26は、他側方側(左側)の延出幅W1が一側方側(右側)の延出幅W2よりも広い(W1>W2)。
【0045】
図7図9等に示すように、グリップ23は、滑り止め部28を有している。
滑り止め部28は、ゴム等の滑り止め機能を有する素材から構成されている。滑り止め部28の表面の摩擦係数は、握り部24の表面(滑り止め部28が設けられていない部分の表面)の摩擦係数よりも大きい。滑り止め部28は、例えば、ゴム板等の滑り止め部材を握り部24の表面に貼付する、滑り止め部材を握り部24の表面に埋め込む等の方法により構成される。滑り止め部28が設けられることにより、握り部24を握って操作レバー21を操作するとき等に手が滑ることが防止される。これにより、操作レバー21の確実な操作が可能となると共に、握り部24を強く握る必要がないため手の疲れが生じにくい。
【0046】
滑り止め部28は、握り部24から延出部26の表面にわたって(跨って)設けられている。具体的には、滑り止め部28は、握り部24の湾曲面24aから延出部26の表面にわたって設けられている。以下、滑り止め部28のうち、握り部24の湾曲面24aに設けられた部分を「滑り止め部28a」、延出部26の表面に設けられた部分を「滑り止め部28b」という。
【0047】
滑り止め部28bは、延出部26の表面のうち一側方側(右側)に位置する部分のみに設けられており、他側方側(左側)に位置する部分には設けられていない。言い換えれば、滑り止め部28bは、延出部26の表面のうち、操作部25側と反対側にのみ設けられており、操作部25側には設けられていない。また、滑り止め部28aは、握り部24の湾曲面24aの操作部25側の下部には設けられていない。つまり、握り部24の湾曲面24aは、延出部26側且つ操作部25側に滑り止め部28bが設けられていない領域24a1を有している。
【0048】
別の言い方をすると、滑り止め部28は、握り部24を右手で握った状態における親指側には設けられていない。詳しくは、滑り止め部28aは、握り部24を右手で握った状態において、親指の付け根付近(母指球)が当接する部分には設けられていない。これにより、操作部25に設けられた操作スイッチを操作する親指の動きが滑り止め部28によって阻害されることがない。
【0049】
次に、グリップ23に設けられた操作スイッチについて説明する。
グリップ23には、複数の操作スイッチが設けられている。複数の操作スイッチは、握り部24と操作部25にそれぞれ設けられている。
図7図9等に示すように、操作部25には、複数の操作スイッチ30、31、32が設けられている。複数の操作スイッチ30、31、32は、操作部25の表面(第2表面)25aに設けられている。具体的には、複数の操作スイッチ30、31、32は、操作部25の表面(第2表面)25aの上部に設けられている。第2表面25aの下部には、操作スイッチが設けられていないが、必要に応じて他の操作スイッチを設けてもよい。
【0050】
複数の操作スイッチ30、31、32は、握り部24を右手で握った作業者が親指を伸ばして操作できる範囲に配置されている。操作スイッチ30、31は、シーソースイッチである。操作スイッチ32は、押しボタンスイッチである。
具体的には、操作スイッチ30は、変速装置を操作するシャトルスイッチ(走行車両1の前後進の切り換えスイッチ)である。操作スイッチ30の上部(「F」の部分)を押すことにより前進に切り換えられ、操作スイッチ30の下部(「R」の部分)を押すことにより後進に切り換えられる。
【0051】
操作スイッチ31は、昇降装置4を駆動して作業装置を昇降させるポンパスイッチである。操作スイッチ31の上部を押すことにより作業装置が上昇し、操作スイッチ31の下部を押すことにより作業装置が下降する。
操作スイッチ32は、自動変速のオート/マニュアルの切り換えスイッチである。操作スイッチ32を押すことにより、オート変速モードとマニュアル変速モードとが切り換わる。オート変速モードでは、予め作業者が設定した車速段の範囲内で電子制御により最適な車速段が自動で選択される。マニュアル変速モードでは、作業者が手動で車速段を切り換えることができる。
【0052】
図7図11等に示すように、握り部24の起立面24eには、操作部25に設けられた操作スイッチ30、31、32とは異なる他の操作スイッチ33、34が設けられている。起立面24eに設けられた他の操作スイッチ33、34は、押しボタンスイッチである。操作スイッチ33、34は、変速比を切り換えるための主変速スイッチである。操作スイッチ33を押すことにより変速比が大きくなり、操作スイッチ34を押すことにより変速比が小さくなる。操作スイッチ33と操作スイッチ34とは、上下方向に並んで配置されている。具体的には、操作スイッチ34は、操作スイッチ33の下方且つ後方に配置されている。図8等に示すように、滑り止め部28は、少なくとも操作スイッチ33、34と上下方向にてオーバーラップする範囲にわたって設けられている。
【0053】
図8図11等に示すように、滑り止め部28bが設けられていない領域24a1は、上下方向において操作スイッチ30、31、32よりも下方に配置されている。これにより、操作スイッチ30、31、32を選択するときには親指の付け根の膨らみを領域24a1の表面で滑らせることができるため、親指の指先位置を操作したい操作スイッチに合わせることが容易である。また、選択した操作スイッチを操作する(押す)ときには、親指の付け根の膨らみが滑り止め部28bの表面上に位置することで滑りが抑制されるため、操作スイッチを確実に押すことができる。
【0054】
図7図10等に示すように、グリップ23の周囲であって且つ握り部24の周囲を構成する面に、操作スイッチ30、31、32とは異なる他の操作スイッチ35が設けられている。操作スイッチ35は、握り部24の上面24c、下面24d、右側面24f、角縁面24gの少なくとも1つ以上の面に設けられる。
本実施形態の場合、握り部24の上面24cに、操作部25に設けられた操作スイッチ30、31、32とは異なる他の操作スイッチ35が設けられている。握り部24の上面24cに設けられた他の操作スイッチ35は、押しボタンスイッチであり、上面24cから突出して設けられている。操作スイッチ35は、揺動体22の揺動の許否を切り換えるスイッチであり、具体的には、副変速牽制スイッチである。操作スイッチ35を押すことにより揺動体22の揺動が可能となる。操作スイッチ35を押しながら揺動体22を前方に揺動させると副変速段がシフトアップされ、後方に揺動させるとシフトダウンする。つまり、操作スイッチ35は、揺動体22の揺動による変速操作の許否を切り換えるスイッチである。
【0055】
操作スイッチ35は、握り部24の上面24cに設けられている。握り部24の上面24cは湾曲面24aの上方に設けられていることから、操作スイッチ35は湾曲面24aの上方に設けられていると言うこともできる。操作スイッチ35は、上面24cの操作部25寄りの位置に設けられている。詳しくは、図8に示すように、操作スイッチ35は、握り部24の一側方側の側縁(第1側縁部24h1)と他側方側の側縁(第2側縁部24h2)との中間位置24Mよりも操作部25寄りの位置(左寄りの位置)に設けられている。尚、一側方側の側縁と他側方側の側縁との中間位置24Mとは、アームレスト15の幅方向において、第1側縁部24h1と第2側縁部24h2との間の距離が最も広い部分(湾曲面24aの下縁部24j)における中間位置である。
【0056】
上述したように、握り部24の上面24cと操作部25の上面(第2上面)25cとは、握り部24と操作部25との境界付近を頂点29として山形状に連なっている。図8に示すように、操作スイッチ35は、握り部24の一側方側の側縁(第1側縁部24h1)と他側方側の側縁(第2側縁部24h2)との中間位置24Mよりも頂点29に近い位置(左寄りの位置)に設けられている。
【0057】
図10に示すように、操作スイッチ35は、操作部25の表面25a(第2表面25a)を握り部24側に延長した延長線La上に配置されている。これにより、作業者は握り部24を握った状態で操作スイッチ35の位置を直観的に把握することが可能となる。
図12図13に示すように、握り部24の裏面24bにも、操作部25に設けられた操作スイッチ30、31、32とは異なる他の操作スイッチ36が設けられている。握り部24の裏面24bに設けられた操作スイッチ36は、押しボタンスイッチである。操作スイッチ36は、シャトルスイッチである操作スイッチ30の操作の許否を切り換えるシャトル牽制スイッチである。操作スイッチ(シャトル牽制スイッチ)36を押しながら操作スイッチ(シャトルスイッチ)30を操作することにより、前進と後進との切り換えが可能となる。
【0058】
図14図15に示すように、操作スイッチ36は、裏面24bから突出していない。そのため、握り部24を握って操作レバー21を操作する際の操作感が、操作スイッチ36により損なわれることが防止できる。
図12図15に示すように、握り部24の裏面24bには、操作スイッチ36に向けて指を案内する案内凹部37が設けられている。操作スイッチ36は、握り部24を右手で握った状態において、右手の人差し指により操作される。そのため、案内凹部37は、握り部24を握った右手の人差し指を操作スイッチ36に向けて案内する。
【0059】
案内凹部37は、握り部24の裏面24bから凹んで形成されている。案内凹部37は、操作スイッチ36に近づくにつれて凹みの深さが変化する傾斜面37aを有している。図14図15に示すように、傾斜面37aは、操作スイッチ36に近づくにつれて次第に凹みの深さが深くなっている。そのため、案内凹部37の傾斜に沿って指を滑らせることにより、指が自然と操作スイッチ36へと導かれる。尚、傾斜面37aは、操作スイッチ36に近づくにつれて次第に凹みの深さが浅くなっていてもよい。
【0060】
案内凹部37の外縁部は、握り部24の裏面24bにおいて閉じた領域を形成している。つまり、案内凹部37の外縁部37bは、裏面24bの外縁部(上縁部、下縁部、左縁部、右縁部)の内側にあって当該外縁部まで達していない。これにより、握り部24の裏面24bには、案内凹部37の外縁部37bが形成する閉じた領域の周囲に、凹んでいない領域24pが形成されている。凹んでいない領域24pは、案内凹部37の外縁部37bの周囲(外側)を囲んでいる。
【0061】
操作スイッチ36は、握り部24の裏面24bにおける運転席10と反対側(右側)の上角部24nに配置されている。上角部24nは、握り部24の湾曲面24aの角縁部24kの裏側に位置しており、角縁面24gと繋がっている。傾斜面37aは、上角部24nの近傍から扇形状に拡がっている。
図13に仮想線で示すように、案内凹部37に円弧状に延びる突起又は溝37cを設けてもよい。突起又は溝37cは、案内凹部37の中心付近の領域(操作スイッチ36側の外縁部と操作スイッチ36と反対側の外縁部との間の領域)に設けられる。突起又は溝37cは、操作スイッチ36を中心とした円弧状に形成される。これにより、案内凹部37の中心付近に指先を置いた場合に、突起又は溝37cに触ることで、円弧の中心に操作スイッチ36があるとの感覚を得て操作スイッチ36の位置を把握することができる。
【0062】
<肘置き部>
次に、肘置き部18について説明する。
肘置き部18は、運転席10に着座した作業者が肘を置く部分である。肘置き部18は、全部又は一部(少なくとも上面)がクッション性のある素材から構成されている。
図2図5に示すように、肘置き部18は、アームレスト15の後部に設けられている。肘置き部18は、アームレスト15の本体16に取り付けられており、本体16の上面16aの後部を覆っている。図3に示すように、肘置き部18の幅(アームレスト15の幅方向の長さ)W3は、本体16の幅(アームレスト15の幅方向の長さ)W4よりも大きい(W3>W4)。
【0063】
肘置き部18は、操作レバー21の後方に配置されている。図3等に示すように、操作レバー21は、車体幅方向において肘置き部18の幅内に収まっている。言い換えれば、車体幅方向において、操作レバー21の左端部(グリップ23の左端部)は肘置き部18の左端部よりも右方に位置し、操作レバー21の右端部(グリップ23の右端部)は肘置き部18の右端部よりも左方に位置している。これにより、運転席10に着座した作業者は、肘置き部18に置いた肘を大きく動かさずに(胴体から肘が離れない状態で)操作レバー21を操作することができ、操作性に優れている。
【0064】
肘置き部18は、上面18a、左側面18b、右側面18c、前面18d、後面18eを有している。上面18aは、本体16の上面16aの上方に配置されている。上面18aは、略平坦な面であって、前方から後方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。前面18dは、上面18aの前部から下方に延びる面であって、下方に延びるにつれて前方に移行するように傾斜している。後面18eは、上面18aの後部から下方に延びる面であって、下方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜している。左側面18bは、上面18aの左部から下方に延びる面であって、下方に延びるにつれて左方に移行するように傾斜している。左側面18bは、本体16の左側面16bよりも左方に位置している。右側面18cは、上面18aの右部から下方に延びる面であって、下方に延びるにつれて右方に移行するように傾斜している。
【0065】
肘置き部18は、右側面18cの下部がヒンジ38により本体16と接続されている。これにより、肘置き部18は、ヒンジ38を支点として上方に回動することができる。図16図17に示すように、肘置き部18を上方に回動させることにより、肘置き部18を本体16の右上方に退避させることができる。これにより、肘置き部18により覆われていた本体16の上面16aを開放することができる。
【0066】
図16図17に示すように、肘置き部18により覆われる本体16の上面16aには、複数の操作具が設けられている。以下、この複数の操作具を「後部操作具群40」と称する。図17において、後部操作具群40を符号40が付された仮想線(二点鎖線)で囲んで示している。後部操作具群40は、本体16の後部に配置されている。後部操作具群40は、肘置き部18を使用しているときには肘置き部18により覆われており、肘置き部18を開放したときに露出して操作可能となる。
【0067】
後部操作具群40は、互いに操作形態が異なる操作具群40Aと操作具群40Bとを含む。以下、説明の便宜上、操作具群40Aを「第3操作具群40A」、操作具群40Bを「第4操作具群40B」と称する。
第3操作具群40Aは、押圧により操作される複数の操作具を含む。具体的には、第3操作具群40Aは、第1後部操作具41、第2後部操作具42、第3後部操作具43、第4後部操作具44、第5後部操作具45、第6後部操作具46、第7後部操作具47、第8後部操作具48を含む。第1後部操作具41~第8後部操作具48は、押圧により操作される押しボタンスイッチ(タクタイルスイッチ)である。
【0068】
第4操作具群40Bは、縦軸(上下方向の軸)回りの回転により操作される複数の操作具を含む。具体的には、第4操作具群40Bは、第9後部操作具49、第10後部操作具50、第11後部操作具51、第12後部操作具52、第13後部操作具53、第14後部操作具54を含む。第9後部操作具49~第14後部操作具54は、縦軸回りの回転により操作を行う回転ダイヤルである。
【0069】
第3操作具群40A(第1後部操作具41~第8後部操作具48)は、本体16の上面16aの左部(運転席10側)に配置されている。第4操作具群40B(第9後部操作具49~第14後部操作具54)は、本体16の上面16aの右部(運転席10側と反対側)に配置されている。つまり、押しボタンスイッチである第3操作具群40A(第1後部操作具41~第8後部操作具48)が上面16aの左部(運転席10側)に配置され、回転ダイヤルである第4操作具群40B(第9後部操作具49~第14後部操作具54)が上面16aの右部(運転席10側と反対側)に配置されている。これにより、運転席10に着座した作業者は、手指の自然な動きによって押しボタンスイッチと回転ダイヤルを容易に操作することができる。
【0070】
第1後部操作具41及び第2後部操作具42は、自動変速モード切り換えスイッチである。第1後部操作具41を押すと、自動変速モードがロードモードとなる。第2後部操作具42を押すと、自動変速がフィールドモードとなる。第3後部操作具43は、パワーアシスト制御スイッチである。第3後部操作具43を押圧することにより、作業装置等の負荷変動によるエンジン回転数の変動を抑えて、車速やPTO軸の回転数を略一定に保つことができる。
【0071】
第4後部操作具44は、モード切り換えスイッチであって、ポジションコントロールとドラフトコントロールとを切り換えることができる。第5後部操作具45は、DHCスイッチであって、エンジンの負荷に応じて変速操作を円滑にする。第6後部操作具46は、予備スイッチであって、必要に応じて機能が付加される。第7後部操作具47及び第8後部操作具48は、エンジンメモリ調整スイッチであり、後述するエンジン回転数メモリスイッチ(第2前部操作具62、第3前部操作具63)による設定回転数(第1回転数、第2回転数)を調整する。具体的には、第7後部操作具47は設定回転数を減少させ、第8後部操作具48は設定回転数を増加させる。
【0072】
図17に示すように、第1後部操作具41と第2後部操作具42、第3後部操作具43と第4後部操作具44、第5後部操作具45と第6後部操作具46、第7後部操作具47と第8後部操作具48は、それぞれアームレスト15の幅方向に並んでいる。また、第1後部操作具41、第3後部操作具43、第5後部操作具45、第7後部操作具47は、前後方向に並んでいる。第2後部操作具42、第4後部操作具44、第6後部操作具46、第8後部操作具48は、前後方向に並んでいる。
【0073】
第9後部操作具49は、オート変速モード感度調整用の回転ダイヤルである。第10後部操作具50は、シャトル変速感度調整用の回転ダイヤルである。第11後部操作具51は、エンジン回転数の上限設定用の回転ダイヤルである。第12後部操作具52は、ドラフト比調整用の回転ダイヤルである。第13後部操作具53は、3P(リフトアーム)の上限調整用の回転ダイヤルである。第14後部操作具54は、作業装置の落下速度調整用の回転ダイヤルである。
【0074】
後部操作具群40に含まれる複数の後部操作具は、原則的には、走行しながら使用しない操作具である。後部操作具群40は、作業車両1の走行時には肘置き部18により覆われるため、走行時に意図せずに接触して操作されてしまうことを防止できる。また、後部操作具群40は、作業車両1の走行を停止してから肘置き部18を開放して使用すればよいため、走行時に肘置き部18により覆われていても操作性の低下は生じない。但し、後部操作具群40に含まれる具体的な後部操作具の種類及び数は、上述した後部操作具の種類及び数には限定されない。
【0075】
図16図17に示すように、後部操作具群40の後方には、収納部55が設けられている。収納部55は、本体16の上面16aから凹んだ空間を有しており、当該空間にはスマートフォン(多機能携帯電話)等の物品を収納可能である。収納部55は、肘置き部18を使用しているときには肘置き部18により覆われており、肘置き部18を開放した状態において物品の出し入れが可能である。
【0076】
<操作具配置部>
図2図5図16図18に示すように、操作具配置部19には、複数の操作具が配置されている。以下、操作具配置部19に配置された複数の操作具を「前部操作具群60」と称する。図17において、前部操作具群60を符号60が付された仮想線で囲んで示している。前部操作具群60は、本体16の上面16aであって、後部操作具群40の前方に配置されている。前部操作具群60と後部操作具群40とは、同一の面(上面16a)に設けられている。操作具配置部19に配置された前部操作具群60に含まれる操作具は、肘置き部18により覆われる後部操作具群40に含まれる操作具に比べて操作頻度が多い操作具である。
【0077】
操作具配置部19は、アームレスト15の前方寄りの位置に設けられている。具体的には、操作具配置部19は、揺動操作部17の後方且つ肘置き部18の前方に設けられている。言い換えれば、操作具配置部19は、揺動操作部17と肘置き部18との間に設けられている。操作具配置部19は、本体16の上面16aのうち、揺動操作部17と肘置き部18との間に位置する部分にある上面である。
【0078】
図4図5に示すように、操作具配置部19は、台座20の上面20a及び肘置き部18の上面18aに対して低い位置に設けられている。つまり、操作具配置部19の高さは、台座20の高さ(上面16aからの高さ)及び肘置き部18の上面18aの高さよりも低い。言い換えれば、操作具配置部19は、台座20の上面20a及び肘置き部18の上面18aに対して凹んで設けられている。また、操作具配置部19の上面は、前方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。
【0079】
図4に示すように、前部操作具群60は、台座20の上端部と肘置き部18の上面18aの前端部とを繋ぐ仮想直線L1よりも下方に配置されている。つまり、前部操作具群60は、仮想直線L1から上方に突出していない。また、前部操作具群60は、肘置き部18の上面18aを台座20まで延長した延長線L2よりも下方に配置されている。つまり、前部操作具群60は、延長線L2から上方に突出していない。
【0080】
台座20の上端部は、肘置き部18の上面18aよりも高い。そのため、仮想直線L1は、前方に向かうにつれて上方に移行するように傾斜している。また、肘置き部18の上面18aは前方から後方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜しているため、延長線L2も前方に向かうにつれて上方に移行するように傾斜している。また、操作具配置部19の上面と仮想直線L1との上下方向の距離は、前方に向かうにつれて拡がっている。
【0081】
前部操作具群60は、第1操作具群60Aと第2操作具群60Bとを含む。図18において、第1操作具群60Aを符号60Aが付された仮想線で、第2操作具群60Bを符号60Bが付された仮想線で、それぞれ囲んで示している。
第1操作具群60Aは、操作具配置部19の後部に配置されている。第2操作具群60Bは、操作具配置部19の前部に配置されている。つまり、操作具配置部19において、第2操作具群60Bは第1操作具群60Aよりも前方に配置されている。
【0082】
先ず、第1操作具群60Aについて説明する。
図18に示すように、第1操作具群60Aは、第1前部操作具61、第2前部操作具62、第3前部操作具63、第4前部操作具64、第5前部操作具65、第6前部操作具66、第7前部操作具67、第8前部操作具68、第9前部操作具69、第10前部操作具70、第11前部操作具71、第12前部操作具72から構成される。
【0083】
第1前部操作具61~第11前部操作具71は、押圧操作具としての押しボタンスイッチ(タクタイルスイッチ)である。つまり、第1操作具群60Aは、押圧により操作される複数の操作具を含む。詳しくは、第1前部操作具61~第9前部操作具69は、走行による操作を押圧により行う走行系押圧操作具である。第10前部操作具70及び第11前部操作具71は、作業に関する操作を押圧により行う作業系押圧操作具である。
【0084】
第1前部操作具61は、シャトル変速中立スイッチであり、押すことにより変速装置の変速を中立に戻すことができる。第2前部操作具62及び第3前部操作具63は、エンジン回転数メモリスイッチであり、エンジン8の回転数を制御装置の記憶部に予め記憶されたエンジン回転数に設定する。第2前部操作具62は、押圧することにより、エンジン8の回転数を予め設定された第1回転数に設定することができる。第3前部操作具63は、押圧することにより、エンジン8の回転数を予め設定された第1回転数とは異なる第2回転数に設定することができる。
【0085】
第4前部操作具64は、デフロックスイッチ(マニュアル)である。第5前部操作具65は、デフロックスイッチ(自動)である。第6前部操作具66は、4WDスイッチ(マニュアル)であり、押すことによって常に前輪と後輪とが駆動される。第7前部操作具67は、4WDスイッチ(自動)であり、押すことによって車速と前輪の切れ角に応じて2WDと4WDとが自動的に切り換わる。第8前部操作具68は、倍速スイッチであり、押すことによって旋回時前輪を速く回して小回りの旋回が可能となる。第9前部操作具69は、旋回スイッチであり、押すことによって、作業装置を上昇させたときにエンジン回転数を減少させて作業車両1を低速で旋回させることができる。第10前部操作具70は、3Pリンクロックスイッチであり、押すことによって作業装置が下降しないように昇降装置4をロックすることができる。
【0086】
第11前部操作具71は、昇降装置4を駆動して作業装置を昇降させるポンパスイッチである。第11前部操作具71は、走行系押圧操作具(第1前部操作具61~第9前部操作具69)よりも小面積で且つ集約して配置された複数(2つ)の押圧操作部71a、71bを有する小型操作具である。本実施形態の場合、第11前部操作具(小型操作具)71は、複数(2つ)の押圧操作部71a、71bが一体化されているが、複数(2つ)の押圧操作部71a、71bが近接して配置されていてもよい。
【0087】
押圧操作部71a、71bは、操作時に押圧される部分である。第11前部作業具71は、2つの押圧操作部71a、71bが選択的に押圧操作されるシーソースイッチである。押圧操作部71aは、第11前部作業具71の前半分の領域である。押圧操作部71bは、第11前部作業具71の後ろ半分の領域である。2つの押圧操作部71a、71bのそれぞれの表面積は、走行系押圧操作具(第1前部操作具61~第9前部操作具69)の表面積よりも小さい。
【0088】
走行系押圧操作具(第1前部操作具61~第9前部操作具69)は、それぞれ押圧操作部80と表示部81とを有している。尚、図18では、図示のスペースの都合上、第6前部操作具65のみに符号80、81を付しているが、他の走行系押圧操作具も第6前部操作具65と同様の位置に押圧操作部80及び表示部81を有している。
押圧操作部80は、走行系押圧操作具(第1前部操作具61~第9前部操作具69)の操作時に押圧される部分である。表示部81は、走行系押圧操作具が操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを示す。操作状態は、押圧操作部80が押圧されている状態である。非操作状態は、押圧操作部80が押圧されていない状態である。表示部81は、点灯可能なLED等のランプから構成されている。表示部81を構成するランプは、操作状態において点灯し、非操作状態において消灯する。つまり、表示部81は、走行系押圧操作具が操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを点灯と消灯の切り換えによって示すインジケータである。作業者は、表示部81が点灯状態にあるか消灯状態にあるかを見ることによって、走行系押圧操作具が操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを把握可能である。
【0089】
第11前部操作具(小型操作具)71は、押圧操作部71a、71bを有しているが、操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるのかを示す表示部(インジケータ)を有していない。そのため、表示部を設けるためのスペースが不要となる。その結果、複数(2つ)の押圧操作部71a、71bを有する第11前部操作具(小型操作具)71の表面積を、同じ数(2つ)の走行系押圧操作具を合わせた表面積よりも小さく構成することができる。具体的には、第11前部操作具71は2つの押圧操作部71a、71bを有しているが、第11前部操作具71の表面積は、2つの走行系押圧操作具(例えば、第8前部操作具68と第9走行操作具69)を合わせた表面積よりも小さくなる。
【0090】
つまり、第11前部操作具71は、表示部81を有する走行系押圧操作具(第1前部操作具61~第9前部操作具69)よりも小面積で且つ集約して配置された複数の押圧操作部71a、71bを有する。
第11前部操作具71の前後方向の中心線CL1と、第11前部操作具71と車体幅方向に並んだ走行系押圧操作具であって前後方向に並んだ走行系押圧操作具(第4前部操作具64と第5走行操作具65、第6前部操作具66と第7走行操作具67、第8前部操作具68と第9走行操作具69)の間の中心線CL2は、前後方向において一致している。
【0091】
第11前部操作具71の押圧操作部71a,71bは、第11前部操作具71と車体幅方向に並んだ走行系押圧操作具(第4前部操作具64~第9前部操作具69)の押圧操作部80と前後方向においてずれた位置に配置されている。
第11前部操作具71の前後方向の長さは、2つの走行系押圧操作具(例えば、第8前部操作具68と第9走行操作具69)の前後方向の長さを合わせた長さよりも小さい。第11前部操作具71の車体幅方向の長さは、走行系押圧操作具(例えば、第8前部操作具68)の車体幅方向の長さと等しい。
【0092】
第12前部操作具72は、作業に関する操作を縦軸回りの回転により行う回転操作具である。つまり、前部操作具群60は、作業に関する操作を縦軸回りの回転により行う回転操作具(第12前部操作具)72を含む。回転操作具72は、操作具配置部19の右後部に配置されている。回転操作具72は、昇降装置4を駆動して作業装置による作業深さ(耕耘機による耕耘深さ)を調整する耕深調整ダイヤルである。
【0093】
図18に示すように、アームレスト15の表面(上面16a)は、第1領域15Aと第2領域15Bと第3領域15Cとを含む。第1領域15Aと第2領域15Bと第3領域15Cとは、操作具配置部19に設けられている。第1領域15Aは、運転席10側に設けられている。第2領域15Bは、運転席10側と反対側に設けられている。第3領域15Cは、第1領域15Aと第2領域15Bとの間に設けられている。第1領域15Aには、走行系押圧操作具(第1前部操作具61~第9前部操作具69)が配置されている。第2領域15Bには、第12操作具(回転操作具)72が配置されている。第3領域15Cには、第10操作具70及び第11前部操作具(小型操作具)71が配置されている。
【0094】
これにより、第11前部操作具(小型操作具)71と第12前部操作具(回転操作具)72とは、アームレスト15の幅方向において隣り合う位置に配置されている。具体的には、第12前部操作具(回転操作具)72は、アームレスト15の一側方側(運転席10側と反対側)に配置されている。第11前部操作具(小型操作具)71は、第12前部操作具(回転操作具)72よりも他側方側(運転席10側)に配置されている。ここで、第11前部操作具(小型操作具)71及び第12回転操作具(回転操作具)72は、いずれも昇降装置4を操作する操作具である。そのため、第11前部操作具(小型操作具)71と第12回転操作具(回転操作具)72とが、アームレスト15の幅方向において隣り合う位置に配置されていることで、昇降装置4の操作性が良好となる。
【0095】
また、第10前部操作具70と第11前部操作具71とは、前後方向において隣り合う位置に配置されている。これにより、昇降装置4に関する操作を行う第10前部操作具70、第11前部操作具71、第12回転操作具(回転操作具)72が、近くにまとめて配置されるため、昇降装置4に関する操作の操作性が向上する。
次に、第2操作具群60Bについて説明する。
【0096】
図18に示すように、第2操作具群60Bは、第13前部操作具73、第14前部操作具74、第15前部操作具75を含む。第13前部操作具73及び第14前部操作具74は、横軸(車体幅方向に延びる軸)回りに揺動操作される操作具である。第15前部操作具75は、横軸(車体幅方向に延びる軸)回りに回転操作される操作具である。つまり、第2操作具群60Bは、横軸回りの回転又は揺動により操作される複数の操作具を含む。
【0097】
第13前部操作具73及び第14前部操作具74は、PTOクラッチの接続又は遮断の操作を行うPTOクラッチコントロールスイッチである。第13前部操作具73は、リヤPTOクラッチコントロールスイッチである。第14前部操作具74は、フロントPTOクラッチコントロールスイッチである。
第15前部操作具75は、走行に関する操作を横軸回りの回転により行う回転ダイヤルである。本実施形態の場合、第15前部操作具75は、エンジン8の回転数を増加又は減少させるアクセルダイヤルである。
【0098】
図2に示すように、第15前部操作具(アクセルダイヤル)75は、回転体75aと摘み部75bとを有している。回転体75aは、アームレスト15の上面から側面視にて上向きに凸の円弧状に突出している。摘み部75bは、回転体75aの上面から突出している。回転体75aは、アームレスト15の内部に配置された横向き(水平方向)の支軸回りに回動可能に取り付けられている。摘み部75bを摘んで前方又は後方に移動させることにより、回転体75aが支軸回りに回動する。摘み部75bを前方に移動させると、エンジン8の回転数が増加する。摘み部75bを後方に移動させると、エンジン8の回転数が減少する。
【0099】
図18に示すように、第13前部操作具73、第14前部操作具74、第15前部操作具75は、アームレスト15の幅方向に並んで配置されている。第13前部操作具73及び第14前部操作具74は、アームレスト15の運転席10側に配置されている。第15前部操作具75は、アームレスト15の運転席10側と反対側に配置されている。
図18に示すように、第15前部操作具75の後方(矢印A2方向)には他の操作具が配置されていない。そのため、第15前部操作具(アクセルダイヤル)75を操作する際に、他の操作具が邪魔になることがなく、良好な操作性が得られる。
【0100】
図4図5に示すように、横軸回りの回転又は揺動により操作される操作具(第13前部操作具73~第15前部操作具75)の高さ(表面16aからの高さ)は、押圧により操作される操作具(第1前部操作具61~第11前部操作具71)の高さよりも高い。また、横軸回りの揺動により操作される操作具(第13前部操作具73、第14前部操作具74)の高さは、他の操作具の高さよりも高い。
【0101】
操作具配置部19において、横軸回りの回転又は揺動により操作される操作具(第13前部操作具73~第15前部操作具75)は、押圧により操作される操作具(第1前部操作具61~第11前部操作具71)よりも前方に配置されている。つまり、操作具配置部19において、高い操作具が低い操作具よりも前方に配置されている。台座20の上端部と肘置き部18の上面18aの前端部とを繋ぐ仮想直線L1は、前方に向かうにつれて上方に移行するように傾斜しているため、高い操作具を低い操作具よりも前方に配置することで、操作具が仮想直線L1から上方に突出することを回避できる。これにより、肘置き部18に肘を置いて操作レバー21を操作する作業者の腕が、操作具配置部19に配置された操作スイッチに接触することを確実に防止できる。
【0102】
前部操作具群60と後部操作具群40とは、1枚の基板に配置することができる。詳しくは、前部操作具群60の全部と後部操作具群40の全部とを1枚の基板に配置することができる。また、前部操作具群60の一部と後部操作具群40の全部とを1枚の基板に配置することもできる。また、前部操作具群60の全部と後部操作具群40の一部とを1枚の基板に配置することもできる。また、前部操作具群60の一部と後部操作具群40の一部とを1枚の基板に配置することもできる。本実施形態の場合、前部操作具群60と後部操作具群40に含まれる操作具のうち、第13前部操作具73と第14前部操作具74とを除く操作具が1枚の基板に配置されている。
【0103】
前部操作具群60に含まれる操作具のうち、縦軸回りの回転により操作される回転操作具(第12前部操作具72)は、アームレスト15の本体16の上面16aの一側方側(運転席10側と反対側)の領域に配置されている。また、後部操作具群40に含まれる操作具のうち、縦軸回りの回転により操作される回転操作具(第9後部操作具49~第14後部操作具54)も、上面16aの一側方側(運転席10側と反対側)の領域に配置されている。つまり、縦軸回りの回転により操作される回転操作具は、アームレスト15の本体16の上面16aの一側方側の領域に配置されている。これにより、縦軸回りの回転操作のための右手の指の動き(親指と他の指で摘んで回す動き)を自然に円滑に行うことができる。
【0104】
前部操作具群60に含まれる操作具のうち、押圧により操作される押圧操作具(第1前部操作具61~第11前部操作具71)は、アームレスト15の本体16の上面16aの他側方側(運転席10側)の領域に配置されている。また、後部操作具群40に含まれる操作具のうち、押圧により操作される押圧操作具(第1後部操作具41~第8後部操作具48)も、上面16aの他側方側(運転席10側)の領域に配置されている。つまり、押圧操作具は、アームレスト15の本体16の上面16aの他側方側の領域に配置されている。これにより、親指や人差し指に近い側に押圧操作具が配置されるため、押圧操作具の操作を円滑に行うことができる。
但し、前部操作具群60に含まれる具体的な前部操作具の種類及び数は、上述した前部操作具の種類及び数には限定されない。
【0105】
<第1変更形態>
図19図21は、アームレスト15の第1変更形態を示している。
以下、第1変更形態のアームレスト15について、上記実施形態のアームレスト15と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
第1変更形態のアームレスト15は、台座20及び操作レバー21の配置等が上記実施形態と異なっている。具体的には、台座20及び操作レバー21が上記実施形態に比べて運転席10側と反対側(右側)に偏位している。
【0106】
図19に示すように、台座20の幅方向中心(車体幅方向の中心)は、アームレスト15の本体16の幅方向中心よりも右側に偏位している。これにより、図21に示すように、台座20の右面20eの下端部は、本体16の右側面16dの上端部と面一となっている。また、台座20の前面20bの下端部は、本体16の前面16eの下端部と面一となっている。言い換えれば、台座20の右面20eの下端部は、本体16の右側面16dの上端部と段差無く滑らかに繋がっている。また、台座20の前面20bの下端部は、本体16の前面16eの上端部と段差無く滑らかに繋がっている。
【0107】
台座20の上面20aは、幅(車体幅方向の長さ)が前後方向の長さよりも小さい。台座20の上面20aの幅(車体幅方向の長さ)は、延出部26の幅よりも狭く、スカート22aの幅と略同じである。
図19図20に示すように、台座20が右側に偏位して配置されていることによって、本体16の上面16aには台座20の左側に操作具が配置されていない領域16gが設けられている。領域16gは、横軸回りに揺動操作される操作具である第13前部操作具(リヤPTOクラッチコントロールスイッチ)73の前方に位置している。領域16gは、第13前部操作具73の前方から本体16の前端部まで至っている。領域16gの前端部は、本体16の前面16eの上端部と繋がっている。領域16gの左端部は、本体16の左側面16cの上端部と繋がっている。
【0108】
図19に示すように、操作レバー21の幅方向中心(車体幅方向の中心)は、アームレスト15の本体16の幅方向中心よりも右側に偏位している。車体幅方向において、操作レバー21の左端部(グリップ23の左端部)は本体16の左側面16cよりも右方に位置し、操作レバー21の右端部(グリップ23の右端部)は本体16の右側面16dよりも右方に位置している。
【0109】
図19図20に示すように、第13前部操作具73の周囲には第1凹部76が設けられている。第14前部操作具(フロントPTOクラッチコントロールスイッチ)74の周囲には第2凹部77が設けられている。第1凹部76及び第2凹部77は、本体16の上面16aに対して下方に凹んでいる。第1凹部76及び第2凹部77は、平面視にて前後方向に長い長方形状に形成されている。
【0110】
第1凹部76と第2凹部77との間には、第1凹部76と第2凹部77とを仕切る中間壁78Mが設けられている。第1凹部76の左側には、左壁78Lが設けられている。第2凹部77の右側には、右壁78Rが設けられている。中間壁78M、左壁78L、右壁78Rは、互いに平行に前後方向に延びている。図20に示すように、中間壁78M、左壁78L、右壁78Rは、前方に向かうにつれて下方に移行するように円弧状に湾曲している。中間壁78Mの前端部及び左壁78Lの前端部は、操作具が配置されていない領域16gと繋がっている。
【0111】
第13前部操作具73及び第14前部操作具74が起立状態にあるときの上端部の高さは、中間壁78M、左壁78L、右壁78Rの上縁部の高さ以下に設定されている。そのため、第13前部操作具73及び第14前部操作具74の上端部は、中間壁78M、左壁78L、右壁78Rの上縁部より上方に突出しない。
図19図21に示すように、第12前部操作具(耕深調整ダイヤル)72と第15前部操作具(アクセルダイヤル)75とは前後方向に並んで配置されている。より詳しくは、第12前部操作具72は、第15前部操作具75の車体幅方向の中心線を後方に延長した延長線上に配置されている。
【0112】
図20図21に示すように、前部操作具群60(第1操作具群60A、第2操作具群60B)に含まれる操作具が配置された領域のうち、第12前部操作具72及び第15前部操作具75が配置された領域16hは、押圧により操作される操作具(走行系押圧操作具61~69、作業系押圧操作具70,71)が配置された領域16iに対して下方に凹んで形成されている。そのため、前部操作具群60に含まれる操作具のうち、回転により操作される操作具(第12前部操作具72、第15前部操作具75)は、押圧により操作される操作具(走行系押圧操作具61~69、作業系押圧操作具70,71)よりも低い位置に配置されている。
【0113】
第12前部操作具72及び第15前部操作具75が配置された領域16hは、操作具が配置されていない領域16gと同じ高さである。領域16h及び領域16gの高さは、領域16iの高さよりも低い。領域16hの左前部は、領域16gの右後部と繋がっている。領域16hは、本体16の右端部まで達しており、本体16の右側面18cの上端部と繋がっている。
【0114】
図19図21に示すように、領域16hと領域16iとの境界には、起立壁16jが形成されている。起立壁16jは、領域16hの上面から領域16iに向けて立ち上がっている。起立壁16jの前部は、第2凹部77の右側の右壁78Rを構成している。起立壁16jの後部は、第12前部操作具72の左方から後方に至るように平面視にて屈曲して延びている。図21に示すように、領域16hに配置された第12前部操作具72及び第15前部操作具75の上端部は、起立壁16jの高さよりも低い。そのため、第12前部操作具72の上端部及び第15前部操作具75の上端部は、起立壁16jの上端部より上方に突出していない。
【0115】
図19図20に示すように、第15前部操作具75と起立壁16jとの間には、領域16hの上面から突出する突出部79が設けられている。突出部79は、側面視にて円弧状に形成されており、第15前部操作具75と平行に前後方向に延びている。
図20に示す例では、第11前部操作具(ポンパスイッチ)71は、複数(2つ)の押圧操作部71a、71bが一体化されずに独立しており、互いに近接して配置されている。押圧操作部71aの前端部は、押圧操作部71aと車両幅方向に並んだ押圧操作具(第1前部操作具61、第2前部操作具62、第3前部操作具63)の前端部よりも後方に位置している。押圧操作部71bの後端部は、押圧操作部71bと車両幅方向に並んだ押圧操作具(第5前部操作具65、第7前部操作具67、第9前部操作具69)の後端部よりも前方に位置している。2つの押圧操作部71a、71bのそれぞれの表面積は、走行系押圧操作具(第1前部操作具61~第9前部操作具69)の表面積よりも小さい。
【0116】
<第2変更形態>
図22図24は、アームレスト15の第2変更形態を示している。
以下、第2変更形態のアームレスト15の構成のうち、本発明の特徴部分の構成について説明する。上述した実施形態及び第1変更形態と共通する構成については説明を省略する。
操作具配置部19の前部に配置された前部操作具群60は、第1操作具群160Aと第2操作具群160Bとを含む。
【0117】
以下、第1操作具群160Aについて説明する。
図23に示すように、第1操作具群160Aは、第1前部操作具161、第2前部操作具162、第3前部操作具163、第4前部操作具164、第5前部操作具165、第6前部操作具166、第7前部操作具167、第8前部操作具168、第9前部操作具169、第10前部操作具170から構成される。
【0118】
第1前部操作具161~第8前部操作具168は、押圧操作具としての押しボタンスイッチ(タクタイルスイッチ)である。つまり、第1操作具群160Aは、押圧により操作される複数の操作具161~168を含む。詳しくは、第1前部操作具161~第5前部操作具165は、走行による操作を押圧により行う走行系押圧操作具である。第6前部操作具166~第8前部操作具168は、作業に関する操作を押圧により行う作業系押圧操作具である。
【0119】
第1前部操作具161は、2WD/4WD切り換えスイッチ(マニュアル)であり、押すことによって2WDと4WDとを切り換えることができる。第2前部操作具162は、2WD/4WD切り換えスイッチ(自動)であり、押すことによって車速と前輪の切れ角等に応じて2WDと4WDとが自動的に切り換わる。第3前部操作具163は、倍速スイッチであり、押すことによって旋回時前輪を速く回して小回りの旋回が可能となる。第4前部操作具164は、デフロックスイッチ(マニュアル)である。第5前部操作具165は、デフロックスイッチ(自動)である。
【0120】
第6前部操作具166は、3Pリンクロックスイッチであり、押すことによって作業装置が下降しないように昇降装置4をロックすることができる。第7前部操作具167及び第8前部操作具168は、昇降装置4を駆動して作業装置を昇降させるポンパスイッチである。第7前部操作具167を押すと、昇降装置4は作業装置を下降させる。第8前部操作具168を押すと、昇降装置4は作業装置を上昇させる。
【0121】
第1前部操作具161~第6前部操作具166は、それぞれ押圧操作部80と表示部81と突起82とを有している。以下、押圧操作部80と表示部81と突起82とを有する操作具を「一の操作具」という場合がある。
第1前部操作具161~第6前部操作具166(一の操作具)は、平面視にて長手方向(長辺)と短手方向(短辺)を有する長方形状である。本実施形態の場合、長手方向が前後方向、短手方向が車体幅方向を向いている。表示部81と突起82と押圧操作部80は、前方から後方に向けてこの順番に並んでいる。
【0122】
押圧操作部80は、押圧により操作される部分である。押圧操作部80は、突起82よりも長手方向の他方側(後側)に設けられた押圧可能な(押圧により動く)部分である。押圧操作部80には、操作の内容を表すシンボルマーク(図柄)Mが記載されている。第1前部操作具161~第6前部操作具166には、それぞれ異なるシンボルマークMが記載されている。
【0123】
表示部81は、第1前部操作具161~第6前部操作具166(一の操作具)の長手方向の一方側に設けられた押圧不能な(押圧しても動かない)部分である。表示部81は、第1前部操作具161~第6前部操作具166(一の操作具)が操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを示す。操作状態は、押圧操作部80が押圧されている状態(機能を発揮している状態)である。非操作状態は、押圧操作部80が押圧されていない状態(機能を発揮していない状態)である。表示部81は、点灯可能なLED等のランプから構成されている。表示部81を構成するランプは、操作状態において点灯し、非操作状態において消灯する。つまり、表示部81は、第1前部操作具161~第6前部操作具166(一の操作具)が操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを点灯と消灯の切り換えによって示すインジケータである。作業者は、表示部81が点灯状態にあるか消灯状態にあるかを見ることによって、第1前部操作具161~第6前部操作具166(一の操作具)が操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを把握可能である。つまり、表示部81の表示の切り換わりによって、操作に関するフィードバックを操作者(運転者)に伝えることができる。
【0124】
また、押圧操作部80のシンボルマークMは透過性を有しており、表示部81を構成するランプの光はシンボルマークMを透過する。これにより、夜間であってもシンボルマークMを視認することができる。
突起82は、押圧操作部80と表示部81との間に設けられており、押圧操作部80と表示部81とを区画している。突起82は、押圧操作部80と表示部81との間において直線状に延びている。突起82は、アームレスト15の幅方向に延びている。突起82は、シンボルマークMとランプとを区画している。つまり、突起82は、シンボルマークとランプとの間に設けられている。
【0125】
第7前部操作具167及び第8前部操作具168は、それぞれ押圧操作部80と突起82とを有しているが、表示部81を有していない。以下、押圧操作部80と突起82とを有するが、表示部81を有さない操作具を「他の操作具」という場合がある。第5後部操作具145及び第6後部操作具146も「他の操作具」に含まれる。
第7前部操作具167及び第8前部操作具168(他の操作具)の突起82は、第1前部操作具161~第6前部操作具166(一の操作具)の突起82とは異なる位置に設けられている。具体的には、第7前部操作具167及び第8前部操作具168(他の操作具)の突起82は、第1前部操作具161~第6前部操作具166(一の操作具)の突起82に比べてシンボルマークMから離れた位置に設けられている。また、第7前部操作具167及び第8前部操作具168(他の操作具)の突起82は、第1前部操作具161~第6前部操作具166(一の操作具)の突起82に比べて、操作具の長手方向(前後方向)の縁(前縁又は後縁)に近い位置にある。
【0126】
第7前部操作具167に設けられた突起82と、第8前部操作具168に設けられた突起82とは、操作具の長手方向(前後方向)における位置が異なっている。具体的には、第7前部操作具167に設けられた突起82は操作具の長手方向の一方側(前側)に位置しており、第8前部操作具168に設けられた突起82は操作具の長手方向の他方側(後側)に位置している。つまり、第7前部操作具167と第8前部操作具168において、突起82は操作具の長手方向(前後方向)において、互いに反対方向に配置されている。
【0127】
第7前部操作具167と第8前部操作具168とは、互いに反対方向の操作を行うための操作具である。具体的には、第7前部操作具167と第8前部操作具168とは、作業装置を互いに反対方向に移動(上昇又は下降)させる操作具(ポンパスイッチ)である。従って、互いに反対方向の操作を行うための操作具(第7前部操作具167、第8前部操作具168)において、突起82は互いに反対方向に配置されている。これにより、運転者(作業者)は、視覚により直感的に或いは指先で突起82の位置を確認することによって、操作具(第7前部操作具167、第8前部操作具168)による操作の内容を把握することが可能となる。
【0128】
作業装置を下降させる操作具である第7前部操作具167と、作業装置を上昇させる操作具である第8前部操作具168は、前後方向に並んで配置されている。具体的には、第7前部操作具167が前方に配置され、第8前部操作具168が後方に配置されている。そして、前方に配置された第7前部操作具167の突起82は操作具の前側に位置し、後方に配置された第8前部操作具168の突起82は操作具の後側に位置しているため、第7前部操作具167の突起82と第8前部操作具168の突起82との間が広くあいている。これにより、第7前部操作具167の突起82と第8前部操作具168の突起82とを、視覚的に或いは指先の触覚により明確に判別することが可能となる。その結果、2つの操作具167,168を明確に判別することが可能となり、誤操作のリスクを低減することができる。
【0129】
また、運転者は、上述した突起82の位置の違いや表示部81の有無によって、操作具の種類を直感的に判別することが可能となり、操作性を向上させることができる。
第9前部操作具169及び第10前部操作具170は、作業に関する操作を縦軸回りの回転により行う回転操作具である。つまり、前部操作具群60は、作業に関する操作を縦軸回りの回転により行う回転操作具(第9前部操作具169、第10前部操作具170)を含む。回転操作具169,170は、操作具配置部19の右後部に配置されている。第9前部操作具169は、ドラフト比の調整ダイヤルである。第10前部操作具170は、昇降装置4を駆動して作業装置による作業深さ(耕耘機による耕耘深さ)を調整する耕深調整ダイヤルである。
【0130】
図23に示すように、アームレスト15の表面(上面16a)は、一方側上面115Aと中間上面115Bと他方側上面115Cとを含む。一方側上面115Aと中間上面115Bと他方側上面115Cとは、操作具配置部19に設けられている。言い換えれば、操作具配置部19が設けられた上面は、一方側上面115Aと中間上面115Bと他方側上面115Cとを有している。一方側上面115Aと中間上面115Bと他方側上面115Cは、操作具配置部19のうち、第1操作具群160Aが配置された領域である。
【0131】
一方側上面115Aは、運転席10側と反対側に設けられた領域である。他方側上面115Cは、運転席10側に設けられた領域である。中間上面115Bは、一方側上面115Aと他方側上面115Cとの間に設けられた領域である。
一方側上面115Aと中間上面115Bと他方側上面115Cとは、それぞれ高さが異なっている。具体的には、中間上面115Bは、一方側上面115Aよりも高く且つ他方側上面115Cよりも低い。つまり、一方側上面115A、中間上面115B、他方側上面115Cは、一方側上面115Aが最も低く、中間上面115Bが次に低く、他方側上面115Cが最も高い階段状に形成されている。
【0132】
一方側上面115A及び中間上面115Bには、作業に関する操作を行う作業系の操作具(第6前部操作具166~第10前部操作具170)が配置されている。中間上面115Bには、作業系操作具のうち、第6前部操作具166~第8前部操作具168が配置されている。一方側上面115Aには、作業系操作具のうち、第9前部操作具169及び第10前部操作具170が配置されている。他方側上面115Cには、走行に関する操作を行う走行系の操作具が配置されている。具体的には、他方側上面115Cには、走行系押圧操作具(第1前部操作具161~第5前部操作具165)が配置されている。
【0133】
このように、操作具配置部19が設けられた上面には、高さが異なる複数の領域(一方側上面115A、中間上面115B、他方側上面115C)が設けられ、異なる機能をもつ操作具が複数の領域に分けて配置されている。これにより、運転者は、操作具が設けられた上面の高さによって操作具を判別することができるため、視覚的に操作具の判別を容易に行うことができる。また、視覚に頼らずに指で高さを認識して操作具を判別することも可能となる。
【0134】
また、第1前部操作具161~第5前部操作具165は、同じ高さの上面(他方側上面115C)に配置されている。これにより、走行に関する操作の操作性が向上する。また、第6前部操作具166と第7前部操作具167と第8前部操作具168は、同じ高さの上面(中間上面115B)に配置されている。これにより、昇降装置4に関する操作の操作性が向上する。
【0135】
図24に示すように、操作具配置部19の後部に配置された後部操作具群40は、第3操作具群140Aと第4操作具群140Bとを含む。
第3操作具群140Aは、押圧により操作される複数の操作具を含む。具体的には、第3操作具群140Aは、第1後部操作具141、第2後部操作具142、第3後部操作具143、第4後部操作具144、第5後部操作具145、第6後部操作具146、第7後部操作具147、第8後部操作具148を含む。第1後部操作具141~第8後部操作具148は、押圧により操作される押しボタンスイッチ(タクタイルスイッチ)である。
【0136】
第4操作具群140Bは、縦軸(上下方向の軸)回りの回転により操作される複数の操作具を含む。具体的には、第4操作具群140Bは、第9後部操作具149、第10後部操作具150、第11後部操作具151、第12後部操作具152、第13後部操作具153を含む。第9後部操作具149~第13後部操作具153は、縦軸回りの回転により操作を行う回転ダイヤルである。
【0137】
第3操作具群140A(第1後部操作具141~第8後部操作具148)は、本体16の上面16aの左部(運転席10側)に配置されている。第4操作具群140B(第9後部操作具149~第13後部操作具153)は、本体16の上面16aの右部(運転席10側と反対側)に配置されている。つまり、押しボタンスイッチである第3操作具群140A(第1後部操作具141~第8後部操作具148)が上面16aの左部(運転席10側)に配置され、回転ダイヤルである第4操作具群140B(第9後部操作具149~第13後部操作具153)が上面16aの右部(運転席10側と反対側)に配置されている。これにより、運転席10に着座した作業者は、手指の自然な動きによって押しボタンスイッチと回転ダイヤルを容易に操作することができる。
【0138】
第1後部操作具141は、自動変速のモード切り替えスイッチであって、押圧することにより走行に適した自動変速モードになる。第2後部操作具142は、自動変速のモード切り替えスイッチであって、押圧することにより圃場作業に適した自動変速モードになる。第3後部操作具143は、エンジン回転数を一定に保つ制御モードのON/OFFスイッチである。第4後部操作具144は、DHCスイッチであって、エンジンの負荷に応じて変速操作を円滑にする。第5後部操作具145及び第6後部操作具146は、エンジンメモリ調整スイッチであり、エンジン回転数メモリスイッチ(操作スイッチ34、35)による設定回転数(第1回転数、第2回転数)を調整する。具体的には、第5後部操作具145は設定回転数を減少させ、第6後部操作具146は設定回転数を増加させる。第7
後部操作具147は、ドラフト制御とポジション制御とを切り換える切り換えスイッチである。第8後部操作具148は、予備スイッチであって、必要に応じて機能が付加される。
【0139】
図24に示すように、第1後部操作具141と第2後部操作具142、第3後部操作具143と第4後部操作具144、第5後部操作具145と第6後部操作具146、第7後部操作具147と第8後部操作具148は、それぞれアームレスト15の幅方向に並んでいる。また、第1後部操作具141、第3後部操作具143、第5後部操作具145、第7後部操作具147は、前後方向に並んでいる。第2後部操作具142、第4後部操作具144、第6後部操作具146、第8後部操作具148は、前後方向に並んでいる。
【0140】
第9後部操作具149は、オート変速モード感度調整用の回転ダイヤルである。第10後部操作具150は、エンジン回転数の上限設定用の回転ダイヤルである。第11後部操作具151は、ドラフト比調整用の回転ダイヤルである。第12後部操作具152は、3P(リフトアーム)の上限調整用の回転ダイヤルである。第13後部操作具153は、作業装置の落下速度調整用の回転ダイヤルである。
【0141】
第1後部操作具141~第4後部操作具144、及び第7後部操作具147も、押圧操作部80と表示部81と突起82とを有しているため、「一の操作具」に含まれる。第1後部操作具141~第4後部操作具144、及び第7後部操作具147は、平面視にて長手方向(長辺)と短手方向(短辺)を有する長方形状であって、短手方向が前後方向、長手方向が車体幅方向を向いている。表示部81と突起82と押圧操作部80は、右方(運転席10側と反対側)から左方(運転席10側)に向けてこの順番に並んでいる。
【0142】
第1後部操作具141~第4後部操作具144、及び第7後部操作具147の突起82も、押圧操作部80と表示部81との間に設けられており、押圧操作部80と表示部81とを区画している。突起82は、押圧操作部80と表示部81との間において直線状に延びている。突起82は、前後方向に直線状に延びている。突起82は、シンボルマークMとランプとを区画している。つまり、突起82は、シンボルマークとランプとの間に設けられている。
【0143】
第1後部操作具141~第4後部操作具144、及び第7後部操作具147における表示部81、突起82、押圧操作部80のその他の構成は、上述した第1前部操作具161~第6前部操作具166における押圧操作部80、表示部81、突起82の構成と同じである。
第5後部操作具145及び第6後部操作具146は、押圧操作部80と突起82とを有しているが、表示部81を有していないため、「他の操作具」に含まれる。
【0144】
第5後部操作具145及び第6後部操作具146(他の操作具)の突起82は、第1後部操作具141~第4後部操作具144、及び第7後部操作具147(一の操作具)の突起82とは異なる位置に設けられている。具体的には、第5後部操作具145及び第6後部操作具146(他の操作具)の突起82は、第1後部操作具141~第4後部操作具144、及び第7後部操作具147(一の操作具)の突起82に比べてシンボルマークMから離れた位置に設けられている。また、第5後部操作具145及び第6後部操作具146(他の操作具)の突起82は、第1後部操作具141~第4後部操作具144、及び第7後部操作具147(一の操作具)の突起82に比べて、操作具の長手方向(アームレストの幅方向)の縁(左縁又は右縁)に近い位置にある。
【0145】
上述したように、前部操作具群60に含まれる操作具161~168の突起82が延びる方向と、後部操作具群40に含まれる操作具141~147の突起82が伸びる方向とは、異なっている。具体的には、前部操作具群60に含まれる操作具161~168の突起82が延びる方向はアームレスト15の幅方向(車体幅方向)であり、後部操作具群40に含まれる操作具141~147の突起82が伸びる方向は前後方向である。
【0146】
これにより、運転席10に着座した運転者が操作具を触るときの指の方向が、突起82が延びる方向に対して直交する方向に近くなるため、突起82を容易に且つ確実に認識することができる。
【0147】
<効果>
上記作業車両によれば、以下の効果を奏する。
作業車両1は、運転席10と、運転席10の側方に設けられ且つ表面に複数の操作具141~147,161~168が配置されたアームレスト15と、を備え、複数の操作具は、押圧により操作される押圧操作部80と、操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを示す表示部81と、押圧操作部80と表示部81との間に設けられ且つ押圧操作部80と表示部81とを区画する突起82とを有する一の操作具141~144,147,161~166を含む。
【0148】
この構成によれば、表示部81によって操作具141~144,147,161~166の操作状態(操作状態にあるのか非操作状態にあるのか)を直感的に容易に認識することができる。また、押圧操作部80と表示部81とが突起82により区画されているため、押圧操作具の押圧位置(押圧操作部80)の認識を直感的に容易に行うことができる。これにより、操作具の操作を容易に且つ確実に行うことができる。
【0149】
また、突起82は、押圧操作部80と表示部81との間において直線状に延びている。
この構成によれば、押圧操作部80と表示部81とを突起82によって明確に区画することができるため、押圧操作具の押圧位置(押圧操作部80)を視覚や手指の触覚によって直感的に容易に認識することができる。
また、押圧操作部80には、操作の内容を表すシンボルマークMが記載され、表示部801は、操作状態にあるときに点灯し且つ非操作状態にあるとき消灯するランプであり、突起82は、シンボルマークMとランプとを区画する。
【0150】
この構成によれば、シンボルマークMによって押圧操作部80による操作の内容を容易に把握することができる。また、突起82がシンボルマークMとランプとを区画することによって、突起82の位置を認識し易くなり、突起82に基づく押圧操作具の押圧位置(押圧操作部80)の認識をより容易に行うことができる。
また、複数の操作具は、押圧操作部80を有し且つ表示部81を有さない他の操作具145,146,167,168を含み、他の操作具145,146,167,168は、一の操作具の突起82に比べてシンボルマークMから離れた位置に設けられた突起82を有している。
【0151】
この構成によれば、突起82の位置によって一の操作具141~144,147,161~166と他の操作具145,146,167,168とを視覚により直感的に或いは指で触って容易に区別して認識することができる。
また、一の操作具141~144,147,161~166は、平面視にて長手方向と短手方向を有する長方形状であって、表示部81は、長手方向の一方側に設けられた押圧不能な部分であり、押圧操作部80は、突起82よりも長手方向の他方側に設けられた押圧可能な部分である。
【0152】
この構成によれば、押圧操作部80と表示部81とを押圧によって簡単に判別することができ、押圧操作部80を操作し易くなる。
【0153】
上記特許文献1に開示された作業車両は、操作具(操作スイッチ)の操作状態(操作状態にあるのか非操作状態にあるのか)や押圧位置の認識を、直感的に容易に行うことができる構成を備えていないという課題を有している。このような実情に鑑みて、操作具の操作状態や押圧位置の認識を、直感的に容易に行うことができる作業車両を提供するために、上記段落[0147]~[0152]に記載の手段(構成)を提供する。
【0154】
作業車両1の操作レバー21は、作業車両1の運転席10の一側方側に設けられた操作レバー21であって、揺動可能な揺動体22と、揺動体22の上部に設けられたグリップ23と、を備え、グリップ23は、前記一側方側に設けられた握り部24と、前記一側方側と反対側である他側方側に設けられ且つ操作スイッチ30,31,32が設けられた操作部25と、握り部24の下部から後方に延出された延出部26と、握り部24の表面から延出部26の表面にわたって設けられた滑り止め部28と、を有する。
【0155】
上記構成によれば、グリップ23に滑り止め部28が設けられているため、グリップ23を握って操作レバー21を操作する際に、操作時に手に作用する保持力(グリップ力)が高められて操作性が向上する。また、滑り止め部28がグリップ23の握り部24の表面から延出部26の表面にわたって設けられているため、握り部24を握っている部分(掌)だけでなく延出部26に載せた部分(小指球)の滑りも防止され、保持力が確実に高められて操作性が大きく向上する。
【0156】
また、滑り止め部28は、延出部26の表面のうち前記一側方側に位置する部分のみに設けられている。
この構成によれば、滑り止め部28が運転席10の一側方側に設けられることで、握り部24を握った状態において小指球側の手の滑りが防がれるため、握り部24を握った掌が滑ってずれ落ちることを延出部26により確実に防止できる。加えて、滑り止め部28が運転席10の他側方側には設けられないことで、握り部24を握った状態において、手の母指球側を円滑に動かすことができるため、操作部25に設けられた操作スイッチを操作する親指の動きが滑り止め部28によって阻害されることがない。また、手の母指球側を動かしたときの摩擦が小さくなるため、母指球側の皮膚に加わる負荷が小さい。
【0157】
また、握り部24の表面は、延出部26側且つ操作部25側に滑り止め部28が設けられていない領域24a1を有している。
この構成によれば、握り部24を握った状態において親指の付け根付近が領域24a1に当たるため、操作部25に設けられた操作スイッチを操作する親指の動きが円滑となって、滑り止め部28によって阻害されることがない。
【0158】
また、滑り止め部28bが設けられていない領域24a1は、上下方向において操作スイッチ30、31、32よりも下方に配置されている。
この構成によれば、操作スイッチ30、31、32を選択するときには親指の付け根の膨らみを領域24a1の表面で滑らせることができるとともに、選択した操作スイッチを操作するときには、親指の付け根の膨らみが滑り止め部28bでグリップされる。そのため、操作スイッチを容易に且つ確実に操作することができる。
【0159】
また、握り部24は、前記他側方側から前記一側方側に向けて湾曲して延びる湾曲面24aと、操作部25から湾曲面24aに向けて立ち上がる起立面24eと、を有し、滑り止め部28は、湾曲面24aから延出部26の表面にわたって設けられている。
この構成によれば、握り部24を握ったときに、掌が湾曲面24aに沿うことで握り部24に対するフィット感に優れると共に、掌が湾曲面24aに沿って滑ることが防止される。
【0160】
また、起立面24eには、前記操作スイッチ30,31,32とは異なる他の操作スイッチ33,34が設けられており、滑り止め部28は、少なくとも他の操作スイッチ33,34と上下方向にてオーバーラップする範囲にわたって設けられている。
この構成によれば、起立面24eに設けられた操作スイッチ30,31,32を操作する際に、滑り止め部28によって掌の親指の付け根付近以外の部位が滑ることが防止される。そのため、掌の位置をしっかりと固定して操作スイッチ30,31,32を間違いなく確実に操作することができる。
【0161】
また、延出部26は、前記他側方側の延出幅が前記一側方側の延出幅よりも広い。
この構成によれば、握り部24を握ったときに、掌の親指側の下部を延出部26の延出幅の広い部分で支持することができるため、親指を動かしているときの掌の親指側のずり落ちを防ぐことができる。
また、湾曲面24aは、当該湾曲面24aの前記一側方側の縁部を構成する側縁部24hと、当該湾曲面24aの上側の縁部を構成する上縁部24iと、側縁部24hと上縁部24iとを繋ぐ角縁部24kと、を有し、角縁部24kは、側縁部24h及び上縁部24iに比べて小さい曲率半径で湾曲している。
【0162】
この構成によれば、親指以外の複数の指で角縁部24kを挟んで握り部24を握ることができるため、掌の位置が安定して滑りにくくなり、長時間にわたって掌を一定の位置に維持することが容易となる。
また、作業車両1は、車体2に搭載された運転席10と、運転席10の一側方側に設けられたアームレスト15と、アームレスト15に設けられた操作レバー21と、を備え、操作レバー21は上記の滑り止め部28を有する操作レバー21である。
【0163】
この構成によれば、アームレスト15に設けられた操作レバー21を備えた作業車両1において、グリップ23を握って操作レバー21を操作する際に、操作時に手に作用する保持力(グリップ力)が高められて操作性が向上する。
また、アームレスト15は操作レバー21の後方に肘置き部18を有し、操作レバー21は車体幅方向において肘置き部18の幅内に収まっている.
この構成によれば、運転席10に着座した作業者は、肘置き部18に置いた肘を大きく動かさずに(胴体から肘が離れない状態で)操作レバー21を操作することができ、操作性に優れている。
【0164】
また、作業車両1は、運転席10と、運転席10の側方に設けられ且つ、揺動操作部17と、肘置き部18と、複数の操作具が配置された操作具配置部19と、を有するアームレスト15と、を備え、肘置き部18は、アームレスト15の後部に設けられ、揺動操作部17は、アームレスト15の前部に肘置き部18の上面より高く隆起して設けられた台座20と、台座20から上方に突出し且つ揺動可能な操作レバー21と、を有している。
【0165】
この構成によれば、操作レバー21の揺動支点を台座20の隆起内で高い位置に設けることが可能となり、台座20から上方に突出した操作レバー21の前後方向の揺動のストロークを小さくすることができる。また、肘置き部18に肘を置いた状態で操作レバー21を操作する際に、常に肘よりも高い位置で操作レバー21を握って操作することができる。つまり、前腕(腕の肘より前の部分)を前方に向けて高くなる上向きの傾斜姿勢として操作レバー21を操作することができる。これらの結果、操作レバー21を前方に傾けた場合でも肘が延びきりにくく、操作性が良好となるとともに、確実な操作が可能となる。
【0166】
まら、操作具配置部19は、揺動操作部17の後方且つ肘置き部18の前方において、台座20の上面及び肘置き部18の上面に対して低い位置に設けられている。
この構成によれば、腕の位置が操作具配置部19に対して十分に高くなるため、操作具配置部19に配置された操作具に対して意図せずに腕が接触することを確実に防止することができる。
【0167】
また、複数の操作具は、台座20の上端部と肘置き部18の上面18aの前端部とを繋ぐ仮想直線L1よりも下方に配置されている。
この構成によれば、操作具配置部19に配置された操作具に対して意図せずに腕が接触することを、より確実に防止することができる。
また、複数の操作具は、肘置き部18の上面18aを台座20まで延長した延長線L2よりも下方に配置されている。
【0168】
この構成によれば、操作具配置部19に配置された操作具に対して意図せずに腕が接触することを、さらに確実に防止することができる。
また、仮想直線L1は、前方に向かうにつれて上方に移行するように傾斜している。
この構成によれば、肘置き部18に肘を置いて操作レバー21を操作する際に、腕の傾き方向と仮想直線L1の傾き方向が同じとなるため、操作具配置部19に配置された操作具に対して意図せずに腕が接触することを確実に防止することができる。
【0169】
また、操作具配置部19の上面は、前方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。
この構成によれば、操作具配置部19の上面と仮想直線L1との上下方向の距離が前方に向かうにつれて拡がるため、操作具配置部19に配置された操作具に対して意図せずに腕が接触することを効果的に防止することができる。
【0170】
また、複数の操作具は、押圧により操作される操作具61~71と、横軸回りの回転又は揺動により操作される操作具73~75と、を含み、操作具配置部19において、横軸回りの回転又は揺動により操作される操作具73~75は、押圧により操作される操作具61~71の前方に配置されている。
この構成によれば、仮想直線L1が前方に向かうにつれて上方に移行するように傾斜している条件下において、背が高い横軸回りの回転又は揺動により操作される操作具73~75が、背の低い押圧により操作される操作具61~71の前方に配置されるため、背が高い操作具が仮想直線L1から突出する状態が起こりにくい。そのため、操作具配置部19に配置された操作具に対して意図せずに腕が接触することを確実に防止することができる。
【0171】
また、アームレスト15の下面は、前部に比べて後部が上方に凹んでいる。
この構成によれば、アームレスト15の下面16bが運転席10に着座した作業者の膝と接触することが回避される。
また、作業車両1は、運転席10と、運転席10の側方に設けられ且つ表面に複数の操作具が配置されたアームレスト15と、を備え、複数の操作具は、走行に関する操作を押圧により行う走行系押圧操作具61~69と、作業に関する操作を押圧により行う作業系押圧操作具70,71と、を含み、作業系押圧操作具70,71は、走行系押圧操作具61~69よりも小面積で且つ集約して配置された複数の押圧操作部71a,71bを有する小型操作具71を含む。
【0172】
この構成によれば、作業系押圧操作具は、走行系押圧操作具よりも小面積で且つ集約して配置された複数の押圧操作部71a,71bを有する小型操作具71を含むことから、走行系押圧操作具と作業系押圧操作具とを大きさの違いによって直観的に明確に区別することができ、作業系押圧操作具を見つけ易い。また、小型操作具71は、複数の押圧操作部71a,71bが集約して配置されているため、操作性に優れている。
【0173】
また、走行系押圧操作具61~69は、押圧操作部80と、操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを示す表示部81と、を有し、小型操作具71は、押圧操作部71a,71bを有し且つ表示部を有していない。
この構成によれば、押圧操作部80について、表示部81の存在により操作状態と非操作状態のいずれの状態にあるかを視覚的に容易に把握することができる。また、小型操作具71について、表示部を有さないこと及び小型化されることによって、走行系押圧操作具61~69との区別を明確化することができ、見つけ易くなる。
【0174】
また、小型操作具71は、複数の押圧操作部71a,71bが一体化されている。
この構成によれば、複数の押圧操作部71a,71bを別体とした場合に比べて小型操作具71を小型化することができるため、走行系押圧操作具61~69との区別を明確化することができる。
また、作業に関する操作を縦軸回りの回転により行う回転操作具72を備え、小型操作具71と回転操作具72とは、アームレスト15の幅方向において隣り合う位置に配置されている。
【0175】
この構成によれば、共に作業に関する操作を行う作業系操作具である小型操作具71と回転操作具72とが、アームレスト15の幅方向において隣り合っているため、作業に関する操作を行う際の操作具の操作性に優れている。
また、作業装置を昇降させる昇降装置4を備え、小型操作具71及び回転操作具72は、昇降装置4を操作する操作具である。
【0176】
この構成によれば、共に昇降装置4を操作する操作具である小型操作具71と回転操作具72とが、アームレスト15の幅方向において隣り合っているため、昇降装置4の操作を行う際の操作具の操作性に優れている。
また、アームレスト15の表面は、運転席10側に設けられた第1領域15Aと、運転席10側と反対側に設けられた第2領域15Bと、第1領域15Aと第2領域15Bとの間に設けられた第3領域15Cと、を含み、走行系押圧操作具61~69は第1領域15Aに配置され、回転操作具72は第2領域15Bに配置され、小型操作具71は第3領域15に配置されている。
【0177】
この構成によれば、走行系押圧操作具61~69と作業系の操作具である回転操作具72と小型操作具71とがアームレスト15の異なる領域に配置されているため、走行系の操作具と作業系の操作具とを明確に区別することが可能となり、操作具の誤操作を防止することができる。
また、作業車両1の操作レバー21は、作業車両1の運転席10の側方に設けられた操作レバー21であって、揺動可能な揺動体22と、揺動体22の上部に設けられたグリップ23であって、運転席10側と反対側に設けられた握り部24と、運転席10側に設けられ且つ表面に操作スイッチ30,31,32が設けられた操作部25と、を有するグリップ23と、を備え、握り部24の裏面24bには、操作スイッチ30,31,32とは異なる他の操作スイッチ36と、裏面24bから凹んで形成され且つ他の操作スイッチ36に向けて指を案内する案内凹部37が設けられている。
【0178】
この構成によれば、握り部24の裏面24bに設けられた操作スイッチ36に向けて指を案内する案内凹部37が設けられているため、握り部24の裏面24bに設けられた操作スイッチ36の位置を容易に把握して迅速に操作することができる。特に、指の長い人が握り部24を握った場合、指先が裏面24bに設けられた操作スイッチ36を大きく越えてしまって操作スイッチ36を見つけにくい場合があるが、指が案内凹部37によって操作スイッチ37に案内されることで容易に操作スイッチ37を見つけて操作することができる。
【0179】
また、案内凹部37は、他の操作スイッチ36に近づくにつれて凹みの深さが変化する傾斜面37aを有している。
この構成によれば、案内凹部37の傾斜に沿って指を滑らせることにより、指が操作スイッチ36へと導かれるため、容易に操作スイッチ37を見つけて操作することができる。
好ましくは、傾斜面37aは、他の操作スイッチ37に近づくにつれて次第に凹みの深さが深くなっている。
【0180】
この構成によれば、案内凹部37の凹みの深さが深くなる方向に沿って指を滑らせることにより、指が自然と操作スイッチ36へと導かれるため、容易に操作スイッチ37を見つけて操作することができる。
また、案内凹部37の外縁部は、握り部24の裏面24bにおいて閉じた領域を形成しており、握り部24の裏面24bには、閉じた領域の周囲に凹んでいない領域24pが形成されている。
この構成によれば、握り部24の裏面24bにおいて、案内凹部37の領域と案内凹部37ではない領域24pとを指先で明確に認識することができるため、裏面24bにおける案内凹部37の存在を容易に且つ確実に把握することができる。
【0181】
また、他の操作スイッチ36は、握り部24の裏面24bにおいて運転席10と反対側の上角部24nに配置され、傾斜面37aは上角部24nの近傍から扇形状に拡がっている。
この構成によれば、握り部24が上角部24nに配置されていることにより、握り部24を握ったときに指先が直ちに操作スイッチ36に当たることがなく、意図せずに操作スイッチ36を押してしまうことが防がれる。また、傾斜面37aが上角部24nの近傍から扇形状に拡がっていることにより、指先を上角部24nに配置された操作スイッチ36に向けて確実に案内することができる。
【0182】
また、操作スイッチ30,31,32は、作業車両1の変速装置を操作するシャトルスイッチを含み、他の操作スイッチ36は、シャトルスイッチの操作の許否を切り換えるシャトル牽制スイッチである。
この構成によれば、案内凹部38によって操作スイッチ(シャトル牽制スイッチ)36の操作が容易となるため、操作スイッチ(シャトル牽制スイッチ)36を押しながら操作スイッチ(シャトルスイッチ)30を押して前進と後進とを切り換える操作を容易に行うことができる。
【0183】
また、作業車両1は、運転席10と、運転席10の側方に設けられたアームレスト15と、アームレスト15に設けられた操作レバー21と、を備え、操作レバー21は、上記の操作スイッチ36、案内凹部38等を備えた操作レバー21である。
この構成によれば、握り部24の裏面24bに設けられた操作スイッチ36の位置を容易に把握して迅速に操作することができる操作レバー21を備えた作業車両1となる。
【0184】
また、作業車両1の操作レバー21は、作業車両1の運転席10の一側方側に設けられた操作レバー21であって、揺動可能な揺動体22と、揺動体22の上部に設けられたグリップ23であって、前記一側方側に設けられた握り部24と、前記一側方側と反対側の他側方側に設けられ且つ操作スイッチ30,31,32が設けられた操作部25と、を有するグリップ23と、を備え、グリップ23の周囲であって且つ握り部24の周囲を構成する面に、操作スイッチ30,31,32とは異なる他の操作スイッチ35が設けられている。
【0185】
この構成によれば、操作スイッチを操作しながら操作レバーを揺動操作する際の操作性に優れている。詳しくは、グリップ23の周囲であって且つ握り部24の周囲を構成する面に、操作部25に設けられた操作スイッチ30,31,32とは異なる他の操作スイッチ35が設けられているため、グリップ23の握り部24を握った状態において他の操作スイッチ35を押しながら操作レバー21を操作することが容易であり、操作性に優れている。
【0186】
また、握り部24の上面24cに、操作スイッチ30,31,32とは異なる他の操作スイッチ35が設けられている。 この構成によれば、握り部24の上面24cに操作部25に設けられた操作スイッチ3
0,31,32とは異なる他の操作スイッチ35が設けられているため、握り部24を握った状態において他の操作スイッチ35を押しながら操作レバー21を操作することが容易であり、操作性に優れている。
【0187】
また、他の操作スイッチ35は、揺動体22の揺動の許否を切り換えるスイッチである。
この構成によれば、操作スイッチ35を押して揺動体22の揺動を許可しつつ揺動体22を揺動させて操作レバー21を操作するという一連の操作を円滑に行うことができ、操作性に優れている。
また、他の操作スイッチ35は、握り部24の一側方側の側縁(第1側縁部24h1)と他側方側の側縁(第2側縁部24h2)との中間位置24Mよりも操作部25寄りの位置に設けられている。
【0188】
この構成によれば、握り部24を握ったときの指(人差し指)の位置から操作スイッチ35が操作部25寄りにずれる位置に配置される。そのため、握り部24を握ったときに操作スイッチ35が意図せずに押されてしまうことを防止できる。また、操作スイッチ35は、握り部24を握ったときの指(人差し指)の位置の近くに配置されるため、操作スイッチ35を容易に操作することができ、操作性に優れている。
【0189】
また、握り部24は、前記他側方側から前記一側方側に向けて湾曲して延びる湾曲面24aと、操作部25から湾曲面24aに向けて立ち上がる起立面24eと、を有し、他の操作スイッチ35は、湾曲面24aの上方に設けられている。
この構成によれば、握り部24を握って掌を湾曲面24aに沿わせたときに、自然と指(人差し指)が操作スイッチ35の近くに位置するようになるため、操作スイッチ35を容易に操作することができ、操作性に優れている。
【0190】
また、握り部24の上面24cと操作部25の上面25cとは、握り部24と操作部25との境界付近を頂点29として山形状に連なっており、他の操作スイッチ35は、握り部24の一側方側の側縁(第1側縁部24h1)と他側方側の側縁(第2側縁部24h2)との中間位置24Mよりも頂点29に近い位置に設けられている。
この構成によれば、操作スイッチ35の位置が、握り部24を握ったときの指(人差し指)の位置から操作部25寄りにずれる。そのため、握り部24を握ったときに操作スイッチ35が意図せずに押されてしまうことを防止できる。また、握り部24を握って頂点29に向けて指を滑らせることで操作スイッチ35に容易にアクセスすることができる。
【0191】
また、他の操作スイッチ35は、握り部24の上面から突出して設けられた押しボタンスイッチである。
この構成によれば、握り部24を握ったときに指(人差し指)が操作スイッチ35に当たり易いため、操作スイッチ35の存在を容易に且つ確実に認識することができる。
また、揺動体22は、揺動によって変速操作が可能であり、他の操作スイッチ35は、揺動体22の揺動による変速操作の許否を切り換えるスイッチである。
【0192】
この構成によれば、操作スイッチ35を押して揺動体22の揺動を許可しつつ揺動体22を揺動させて変速操作を行うという一連の操作を円滑に行うことができ、操作性に優れている。
また、作業車両1は、運転席10と、運転席10の側方に設けられたアームレスト15と、アームレスト15に設けられた操作レバー21と、を備え、操作レバー21は、上記したグリップ23の周囲であって且つ握り部24の周囲を構成する面に、操作スイッチ30,31,32とは異なる他の操作スイッチ35が設けられた操作レバー21である。
【0193】
この構成によれば、握り部24を握った状態において他の操作スイッチ35を押しながら操作レバー21を操作することが容易であり、操作レバー21に関する操作性に優れている作業車両1となる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0194】
1 作業車両
4 昇降装置
10 運転席
15 アームレスト
15A 第1領域
15B 第2領域
15C 第3領域
61~69 走行系押圧操作具
70,71 作業系押圧操作具
71 小型操作具
71a,71b 押圧操作部
72 回転操作具
80 押圧操作部
81 表示部
82 突起
141~144,147 一の操作具
161~166 一の操作具
145,146,167,168 他の操作具
M シンボルマーク
図1
図2
図3
図4
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