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特開2023-174744口側端くぼみおよび換気を備えた喫煙物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174744
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】口側端くぼみおよび換気を備えた喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
A24D3/04
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172719
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2021167951の分割
【原出願日】2016-03-24
(31)【優先権主張番号】15161533.3
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】カディリク アレン
(72)【発明者】
【氏名】リンドホルム ドゥラロイ セシリア
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BC16
4B045BC26
4B045BD12
4B045BD24
(57)【要約】
【課題】変形を受けにくい、長さの増大した口側端くぼみを持つフィルター付きの喫煙物品を提供する。
【解決手段】喫煙物品は、たばこロッドとたばこロッドに接続されたフィルターとを備えている。フィルターは、第一のフィルターセグメントと、第一のフィルターセグメントの下流にある中空管セグメントとを備える。中空管セグメントは、フィルターの口側の端でくぼみを確定し、第一のフィルターセグメントの下流端からフィルターの口側の端に延びる非制限的な流路を提供する。中空管セグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約25パーセントである。さらに、喫煙物品は、第一のフィルターセグメントの周りの位置に提供された少なくとも一つの周辺の穿孔の列を含む換気帯域を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品であって、
たばこロッドと、
前記たばこロッドにチッピングラッパーで接続されたフィルターであって、前記フィルターが、
前記フィルターの口側の端に配置されている中空管セグメントによって形成される中空の口側の端部分と、
前記中空の口側の端部分の上流の濾過部分とを含み、前記濾過部分が1つ以上のフィルターセグメントを含み、
前記中空の口側の端部分が、前記フィルターの前記口側の端のくぼみを画定し、前記濾過部分の下流端から前記フィルターの口側の端に延びる非制限的な流路を提供し、
前記中空の口側の端部分の長さが、フィルター全長の少なくとも約25パーセントであり、かつ前記喫煙物品が前記濾過部分の周りの位置に提供された少なくとも一つの周辺の穿孔の列を含む換気帯域を含み、
前記中空管セグメントの長さが、少なくとも約10mmであり、
前記中空管セグメントが複数の重なり合った紙層から形成される、喫煙物品。
【請求項2】
前記中空管セグメントの長さが前記フィルター全長の約50パーセント未満である、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記中空管セグメントの長さが約30mm未満である請求項1または2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記中空管セグメントの長さが少なくとも約8mmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記少なくとも一つの周辺の穿孔の列が前記濾過部分の下流端の少なくとも約2mm上流に位置する、請求項1~4のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記換気帯域が、前記濾過部分の上流端から少なくとも約1mm下流に位置する、請求項1~5のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記中空管セグメントおよび前記濾過部分の1つ以上のフィルターセグメントが、約70グラム/平方メートル~約120グラム/平方メートルの坪量を持つ結合用プラグラップの帯によって囲まれる、請求項1~6のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記中空管セグメントの厚さが、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記中空管セグメントの壁厚が、約200マイクロメートル~約270マイクロメートルである、請求項8に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記中空管セグメントが複数のらせん状に巻かれた紙層から形成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記中空管セグメントの隣接した紙層が、接着剤の中間層によって一つに接着されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記中空管セグメントが濾過材料の円形状のセグメントから形成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項13】
濾過材料の前記円形状のセグメントがフィラメント当たり約1.5デニール(dpf)~約8 dpfの繊維を含む、請求項12に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記フィルターの50パーセント変形後の前記中空管セグメントの楕円率と、前記フィルターの変形前の前記中空管セグメントの楕円率との間の差が25パーセント未満である、請求項1~13のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項15】
前記フィルターの50パーセント変形後の前記中空管セグメントの楕円率が25パーセント未満である、請求項1~14のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項16】
前記濾過部分の前記1つ以上のフィルターセグメントが第一のフィルターセグメントを備え、また前記第一のフィルターセグメントの長さが少なくとも10mmである、請求項1~15のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項17】
前記中空管セグメントの長さが前記第一のフィルターセグメントの長さの2mm以内である、請求項16に記載の喫煙物品。
【請求項18】
前記中空管セグメントの長さが前記第一のフィルターセグメントの長さよりも短い、請求項16または17に記載の喫煙物品。
【請求項19】
前記第一のフィルターセグメントの長さが前記フィルター全長の少なくとも30パーセントである、請求項16~18のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項20】
前記中空管セグメントと前記第一のフィルターセグメントを組み合わせた長さが、前記フィルター全長の少なくとも約50パーセントである、請求項16~19のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項21】
前記少なくとも一つの周辺の穿孔の列が、前記フィルターの前記口側の端から少なくとも18mmの場所に提供されている、請求項16~20のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項22】
前記少なくとも一つの周辺の穿孔の列が前記口側の端から、前記フィルター全長の少なくとも50パーセントの距離に配置されている、請求項16~21のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項23】
前記濾過部分の前記1つ以上のフィルターセグメントが濾過材料のロッド端セグメントを備える、請求項16~22のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項24】
濾過材料の前記ロッド端セグメントの長さが前記第一のフィルターセグメントの前記長さの1mm以内である、請求項23に記載の喫煙物品。
【請求項25】
濾過材料の前記ロッド端セグメントの長さが前記フィルター全長の少なくとも約30パーセントである、請求項23または24に記載の喫煙物品。
【請求項26】
濾過材料の前記ロッド端セグメントが活性炭を含む、請求項23~25のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項27】
濾過材料の前記ロッド端セグメントの上流端が前記たばこロッドに隣接する、請求項23~26のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項28】
前記第一のフィルターセグメントの上流端が濾過材料の前記ロッド端セグメントに隣接する、請求項23~27のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項29】
前記第一のフィルターセグメントが酢酸セルローストウを含む、請求項16~28のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項30】
前記酢酸セルローストウが少なくとも1.5~8 dpfのデニールを持つ、請求項29に記載の喫煙物品。
【請求項31】
前記穿孔が、前記1つ以上のフィルターセグメントの第一のフィルターセグメントを貫いて延びる、請求項1~30のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空管セグメントにより画定された口側端くぼみを有する喫煙物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
フィルター紙巻たばこは通常、紙ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーの円筒形のロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して軸方向に整列された円筒形のフィルターとを備える。円筒形のフィルターは通常、紙プラグラップによって囲まれている濾過材料を含む。従来的には、包まれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの全長および包まれたたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は、不透明の紙材料によって形成されるチッピングラッパーの帯により結合される。そのフィルターセクションの口側端にくぼみを有する喫煙物品も提案されてきた。
【0003】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当業界において提唱されてきた。加熱式喫煙物品では、エアロゾルはエアロゾル発生基体(たばこなど)を加熱することにより生成される。周知の加熱式喫煙物品には、例えば、エアロゾルが電気的加熱によるか、または可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によって生成される喫煙物品が含まれる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き込まれた空気中に混入される。放出された化合物が冷めるにつれて凝結してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。また、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン源から、燃焼することなく、また一部の場合には加熱することなく、例えば化学反応によって生成される、喫煙物品も周知である。
【0004】
上述の通り、一部の場合には、喫煙物品はフィルターの口側の端にくぼみを持ちうる。こうした口側端くぼみは一般に、フィルターのプラグラップ、チッピングペーパー、またはプラグラップおよびチッピングペーパーの両方を濾過材料の最も下流のセグメントを越えて延長させることによって形成される。ところが、一般的なプラグラップは、口側端くぼみの長さが増大した時に、十分な強度を提供しないことがある。したがって、くぼみの長さが増大するにつれて、こうした口側端くぼみの変形のリスクがある。
【0005】
したがって、変形を受けにくい、長さの増大した口側端くぼみを持つフィルター付きの喫煙物品を提供することが望ましい。同時に、既存の機械および方法を著しく変化する必要なく、標準的な器具および技法を使用して製造しうるフィルター付きの喫煙物品を提供することが望ましい。その上、消費者にとって全般的な喫煙の体験を不快に変化させることなく、こうしたフィルター付きの喫煙物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、たばこロッドとたばこロッドに接続されたフィルターとを備えた喫煙物品が提供されている。フィルターは、中空の口側の端部分と、中空の口側の端部分の上流の濾過部分とを備え、濾過部分は1つ以上のフィルターセグメントを含む。中空の口側端部分は、フィルターの口側の端でくぼみを確定し、濾過部分の下流端からフィルターの口側の端に延びる非制限的な流路を提供する。中空の口側の端部分の長さは、フィルター全長の少なくとも約25パーセントである。さらに、喫煙物品は、濾過部分の周りの位置に提供された少なくとも一つの周辺の穿孔の列を含む換気帯域を含む。
【0007】
本明細書に使用される時、「上流」および「下流」という用語は、消費者がその使用の間に喫煙物品を吸う方向に関連して、喫煙物品の要素または要素の部分の相対位置を記述するために使用される。本明細書で記述される喫煙物品は、下流端と反対側の上流端とを備える。使用時には、消費者は喫煙物品の下流端で吸引する。口側の端としても記述される下流端は、遠位端としても記述される場合がある上流端の下流である。
【0008】
「非制限的な流れ」という表現は、本明細書全体を通して、中空管セグメントが、煙および空気が貫流するように実質的に一定の断面積を有するチャネルを内部的に画定することを示すために使用される。さらに、「非制限的な流路」という表現は、本明細書全体を通して、中空管セグメントが、煙および空気の流れの局所的な制限の原因となりうる物体を何も含まないことを示すために使用される。言い換えれば、中空管セグメントは空である。従って、煙および空気が貫流するために利用可能な断面積は、中空管セグメントの全長に沿って実質的に一定であり、中空管セグメントを通した煙および空気の流れは実質的に遮られない。
【0009】
「フィルター全長」という表現は、本明細書全体において、フィルターを形成する様々な構成要素の長さの和を意味するため使用される。従って、「フィルター全長」という表現は、少なくとも中空管セグメントの長さと第一のフィルターセグメントの長さとの和を意味するものと解釈されるべきである。同様に、喫煙物品が複数の中空管セグメントの上流にあるフィルターセグメントを含む場合には、「フィルター全長」という表現は、中空管セグメントの長さと喫煙物品内にあるその他の各フィルターセグメントの長さとの和を意味するものとして解釈されるべきである。
【0010】
中空の口側の端部分は、濾過部分の1つ以上のセグメントを囲み、濾過部分の下流に延びて口側の端でくぼみを画定するプラグラップによって形成されうる。こうした実施形態では、プラグラップは、少なくとも約70グラム/平方メートルの坪量を持つことが好ましく、少なくとも約80グラム/平方メートルが好ましい。プラグラップは約120グラム/平方メートルと約70グラム/平方メートルとの間の坪量を持ちうるが、約80グラム/平方メートルと約100グラム/平方メートルとの間であることが好ましい。プラグラップは、約80グラム/平方メートルの坪量を持つことが最も好ましい。これは、フィルターの中空の口側の端部分の構造剛性の強化に役立ちうる。
【0011】
別の方法として、一部の好ましい実施形態では、中空の口側の端部分は、フィルターの口側の端に配置されている中空管セグメントによって形成される。
【0012】
したがって、本発明の一部の実施形態では、たばこロッドとたばこロッドに接続されたフィルターとを備えた喫煙物品が提供されている。フィルターは、1つ以上のフィルターセグメントを含む濾過部分と、濾過部分の下流に配置された中空管セグメントとを含む。中空管セグメントは、フィルターの口側の端でくぼみを確定し、濾過部分の下流端からフィルターの口側の端に延びる非制限的な流路を提供する。中空管セグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約25パーセントである。さらに、喫煙物品は、濾過部分の周りの位置に提供された少なくとも一つの周辺の穿孔の列を含む換気帯域を含む。
【0013】
フィルター内に中空管セグメントを提供して口側の端でのくぼみを画定し、また中空管セグメントの長さについてフィルター全長の少なくとも約25パーセントになるように配置することで、口側端くぼみが変形を受けやすくなるリスクを大幅に高めることなく、フィルター内に比較的長い口側端くぼみが形成されうる。これは、中空管セグメントが、フィルターの口側の端での強度または剛性を増大させうるためである。
【0014】
その上、濾過部分の周りの位置に提供される少なくとも一つの周辺の穿孔の列を提供することで、フィルターへの換気された空気の導入が口側端くぼみの構造に影響を及ぼさない。主流煙は、口側端くぼみの上流で希釈されることができ、比較的長い口側端くぼみを通過する際にさらに空気と混合できる。
【0015】
本発明によれば、上記に特定した特徴を持つ非制限的な中空管セグメントを備えたフィルターを含めることで、有利にも長さを増大した口側端くぼみを持つフィルター付きの喫煙物品が許容されるが、これは変形を受ける可能性が低い。
【0016】
中空管セグメントの長さは、フィルター全長の約50パーセント未満であることが好ましい。従って、中空管セグメントの上流にある濾過部分の長さは、フィルター全長の少なくとも約50パーセントを占める。非制限的な中空管セグメントは、喫煙物品の引き出し抵抗(RTD)の増大には実質的には寄与しない。多くても、非制限的な中空管セグメントは、喫煙物品のRTDをわずかに増大させるだけである。実際には、非制限的な中空管セグメントは、およそ1mm H2O(約10 Pa)~およそ20mm H2O(約200 Pa)の範囲のRTDを発生させるように適合されうる。非制限的な中空管セグメントは、およそ2mm H2O(約20 Pa)~およそ10mm H2O(約100 Pa)のRTDを発生させるように適合されることが好ましい。フィルターセグメントまたは非制限的な中空管セグメントの上流にあるセグメントがフィルター全長の少なくとも約50パーセントを占める場合、適切な密度および特性の材料濾過材料を選択することにより、喫煙物品の全体的なRTDを満足できるレベルに調節することが有利にも可能である。一部の好ましい実施形態では、フィルターセグメントまたは非制限的な中空管セグメントの上流にあるセグメントは、フィルター全長の少なくとも約60パーセントを占める。
【0017】
中空管セグメントの長さは、約30mm未満であることが好ましい。中空管セグメントの長さは、約20mm未満であることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、約15mm未満であることがなおさらに好ましい。さらに、または別の方法として、中空管セグメントの長さは少なくとも約8mmである。中空管セグメントの長さは、少なくとも約10mmであることが好ましい。一部の好ましい実施形態では、中空管セグメントの長さは、約8mm~約30mm、より好ましくは約10mm~約20mm、さらに好ましくは約10mm~約15mm、最も好ましくは約10mmである。これにより、口側端くぼみと適切なサイズの非制限的な流路が提供されるだけでなく、中空管セグメントと中空管セグメントを囲みうる任意のラッパーとの十分な重なりが確保され、フィルターセグメントまたはたばこロッドとの、または両方との軸方向の整列が維持される。こうしたラッパーは、プラグラップおよびチッピングペーパー帯を含む。
【0018】
好ましい実施形態では、濾過部分は第一のフィルターセグメントを備える。第一のフィルターセグメントの長さは、少なくとも約8mmであることが好ましい。ある一定の好ましい実施形態では、第一のフィルターセグメントの長さは、少なくとも約10mmである。別の方法として、または加えて、第一のフィルターセグメントの長さは、約14mm未満である。好ましい実施形態では、第一のフィルターセグメントの長さは約8mm~約14mmであり、約10mm~約14mmであることがより好ましい。ある一定の好ましい実施形態では、第一のフィルターセグメントの長さは約12mmである。
【0019】
本発明によるある一定の実施形態では、中空管セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さの5mm以内である。より好ましい実施形態では、中空管セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さの2mm以内である。別の方法として、または加えて、本発明によるある一定の実施形態では、中空管セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さよりも短い。
【0020】
本発明によるある一定の実施形態では、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約10パーセントである。第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約20パーセントであることが好ましい。第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約30パーセントであることがより好ましい。別の方法として、または加えて、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約80パーセント未満に短くしうる。第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約60パーセント未満であることが好ましい。第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約40パーセント未満であることがより好ましい。
【0021】
ある一定の好ましい実施形態では、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約10パーセント~約80パーセントである。より好ましい実施形態では、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約20パーセント~約60パーセントである。なおさらに好ましい実施形態では、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約30パーセント~約40パーセントである。
【0022】
本発明のある一定の好ましい実施形態では、中空管セグメントと第一のフィルターセグメントを組み合わせた長さは、フィルター全長の少なくとも約35パーセントである。中空管セグメントと第一のフィルターセグメントを組み合わせた長さは、フィルター全長の少なくとも約50パーセントであることが好ましい。中空管セグメントと第一のフィルターセグメントを組み合わせた長さは、フィルター全長の少なくとも約70パーセントであることがより好ましい。
【0023】
少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端から少なくとも約5mm上流に位置することが好ましい。少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端から少なくとも約5mm上流に位置することがより好ましい。より好ましい実施形態では、少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端から少なくとも約8mm上流に位置することがより好ましい。これにより、消費者が喫煙物品を口にくわえたり指で持ったりした時に換気帯域を塞ぐ可能性が有利なことに低くなる。
【0024】
加えて、または別の方法として、少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端から上流に約12mm未満の場所に位置することが好ましい。少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端から上流に約10mm未満の場所に位置することがより好ましい。これにより、少なくとも一つの周辺の穿孔の列が、たばこロッドに近すぎる場所に位置しないように確保しうる。
【0025】
一部の好ましい実施形態では、少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端から約1mm~約12mm上流に位置することが好ましい。一部のより好ましい実施形態では、少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端から約3mm~約10mm上流に位置することが好ましい。さらに好ましい実施形態では、少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端から約8mm~約10mm上流に位置することが好ましい。別の方法として、または追加的に、本発明によれば、少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、フィルターの口側の端からフィルター全長の少なくとも約50パーセントの距離に配置される。少なくとも一つの周辺の穿孔の列は、フィルターの口側の端からフィルター全長の少なくとも約70パーセントの距離に配置されることが好ましい。
【0026】
一部の好ましい実施形態では、換気帯域は、第一のフィルターセグメントの周りの位置に提供された2つの周辺の穿孔の列を含む。例えば、穿孔は喫煙物品の製造中にオンラインで形成されうる。周辺の穿孔の各列は、8~30個の穿孔を含むことが好ましい。
【0027】
たばこロッドは一般に、紙ラッパーによって囲まれた一回分のたばこカットフィラーを含む。
【0028】
中空管セグメントおよび濾過部分の1つ以上のフィルターセグメントは、プラグラップの帯で囲まれることが好ましく、これ以降、結合用プラグラップと呼ぶ。結合用プラグラップは不浸透性であることが好ましい。
【0029】
結合用プラグラップは、約120グラム/平方メートル未満の坪量を持つことが好ましく、約100グラム/平方メートル未満であることが好ましく、約90グラム/平方メートルであることがより好ましい。加えて、または別の方法として、結合用プラグラップは、少なくとも約70グラム/平方メートルの坪量を持つことが好ましく、少なくとも約80グラム/平方メートルが好ましい。結合用プラグラップは約120グラム/平方メートルと約70グラム/平方メートルとの間の坪量を持ちうるが、約80グラム/平方メートルと約100グラム/平方メートルとの間であることが好ましい。プラグラップは、約80グラム/平方メートルの坪量を持つことが最も好ましい。結合用プラグラップがこうした比較的大きな坪量を持つように配置することで、中空管セグメントの上流にあるフィルターのセグメントは、中空管セグメントでフィルターの硬度に匹敵する硬度を示しうる。これは有利なことに、消費者にフィルターがその長さに沿って全般的に均一な硬度を持つという認識を与えることができ、またしたがって中空管セグメントの存在をあまり目立たなくすることができる。
【0030】
結合用プラグラップは、少なくとも約80マイクロメートル、より好ましくは少なくとも約100マイクロメートルの厚さを持つことが好ましい。結合用プラグラップは、約180マイクロメートル未満、より好ましくは約140マイクロメートル未満の厚さを持つことが好ましい。結合用プラグラップがこうした比較的大きな厚さを持つように配置することで、中空管セグメントの上流にあるフィルターのセグメントは、中空管セグメントでフィルターの硬度に匹敵する硬度を示しうる。これは有利なことに、消費者にフィルターがその長さに沿って全般的に均一な硬度を持つという認識を与えることができ、またしたがって中空管セグメントの存在をあまり目立たなくすることができる。
【0031】
結合用プラグラップは、中空管セグメントおよび濾過部分の1つ以上のフィルターセグメントに、例えば接着剤を使用して貼り付けられうる。フィルターが実質的に不通気性の結合用プラグラップを含む場合、換気帯域は、結合用プラグラップの一部分を貫いて提供された少なくとも1列の周辺の穿孔を含むことが好ましい。一例として、プラグラップを貫く穿孔は、喫煙物品の製造時にオンラインで形成されうる。プラグラップの一部分を貫いて提供された周辺の列または複数の列の穿孔は、第一のフィルターセグメントの一部分と実質的に整列された状態にあることが好ましい。
【0032】
結合用プラグラップを含むフィルターは、実質的に不通気性のチッピングペーパー紙の帯によりたばこロッドに取り付けられることが好ましい。チッピングラッパーは、約70グラム/立方メートル未満の坪量を持つ紙を含みうるが、約50グラム/立方メートル未満であることが好ましい。チッピングラッパーは、約20グラム/立方メートルを超える坪量を持つことが好ましい。
【0033】
チッピングペーパーの帯は、フィルター全長の上およびたばこロッドの一部分の上に延びうる。従って、チッピングペーパーの帯は、第一のフィルターセグメントの周りの位置に提供された換気穿孔と重なりうる。こうした実施形態では、換気穿孔はチッピングペーパーの帯を貫いて延びることが好ましい。
【0034】
上述した通り、濾過部分の1つ以上のフィルターセグメントは、追加的フィルターセグメントを第一のフィルターセグメントと共に備えうる。例えば、一つの実施形態で、喫煙物品は、第一のフィルターセグメントとたばこロッドの間に濾過材料のロッド端セグメントをさらに含む。フィルターは、第一の端セグメントおよびロッド端セグメントの間に1つ以上の追加的フィルターセグメントを含みうる。ところが、好ましい実施形態では、濾過材料のロッド端セグメントは第一のフィルターセクションに隣接する。より好ましい実施形態では、濾過材料のロッド端セグメントは第一のフィルターセグメントおよびたばこロッドの両方に隣接する。
【0035】
濾過材料のロッド端セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さの約5mm以内であることが好ましい。濾過材料のロッド端セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さの約1mm以内であることがより好ましい。一部の特定の好ましい実施形態では、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さと実質的に同一である。
【0036】
ある一定の好ましい実施形態では、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約20パーセントである。濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約30パーセントであることがより好ましい。
【0037】
別の方法として、または追加的に、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の約80パーセント未満である。濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の約50パーセント未満であることが好ましい。
【0038】
ある一定の好ましい実施形態では、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の約20パーセント~約80パーセントである。より好ましい実施形態では、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の約30パーセント~約50パーセントである。
【0039】
喫煙物品のそれぞれのフィルターセグメント内の濾過材料は、酢酸セルローストウまたは紙など、繊維質濾過材料のプラグであることが好ましい。フィルター可塑剤を分離したファイバー上に吹き付けることによって従来的な方法で繊維質の濾過材料に塗布しうるが、何らかの追加的材料を濾過材料に塗布する前に行うことが好ましい。別の方法として、または追加的に、本発明による喫煙物品は、1つ以上の添加剤を含む一つ以上のセグメントを含みうる。これらの添加剤は、風味剤および炭素粒子を含みうるが、これに限定されない。
【0040】
ロッド端セグメントは炭素粒子を含むことが好ましい。炭素は活性炭であることが好ましい。好ましい実施形態では、ロッド端セグメント内の炭素粒子の密度は、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が少なくとも約1ミリグラムである。ロッド端セグメント内の炭素粒子の密度は、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が少なくとも約5ミリグラムであることがより好ましい。ロッド端セグメント内の炭素粒子の密度は、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が約15ミリグラムの炭素を超えてはならず、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が10ミリグラムを超えないことが好ましい。
【0041】
ロッド端セグメント内の炭素粒子の密度は、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が約1ミリグラムと、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が約15ミリグラムとの間としうるが、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が約5ミリグラムと、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が約10ミリグラムとの間であることが好ましい。
【0042】
中空管セグメントは、適切な任意の材料から形成されうる。例えば、中空管セグメントは、円形状のセグメントの上流端から円形状のセグメントの下流端に延びる中空のコアを持つ、濾過材料(酢酸セルロースなど)の円形状のセグメントから形成されうる。こうしたセグメントは、中空アセテート管と呼ばれることもある。円形状のセグメントの濾過材料は、高い粒子効率であることが好ましい。円形状のセグメントの濾過材料は、フィラメント当たり約1.5デニール(dpf)~約5 dpf、より好ましくはフィラメント当たり約1.5 デニール(dpf)~約3 dpfの繊維を含むことが好ましい。好ましい一つの実施形態で、円形状のセグメントの濾過材料は約3.3 dpfの繊維を含む。円形状のセグメントの濾過材料は、約30000総デニール(td)~約50000 td、より好ましくは35000総デニール(td)~約50000 tdの繊維を含むことが好ましい。好ましい一つの実施形態で、円形状のセグメントの濾過材料は約44000 tdの繊維を含む。中空管セグメントは、1つ以上の可塑剤であることが好ましい。適切な可塑剤には、トリアセチン、およびトリエチレングリコールジアセテートが含まれる。可塑剤は、約5~約15重量パーセントの量で、より好ましくは約8~約12重量パーセントの量で円形状のセグメント内に存在することが好ましい。これは、中空管セグメントがフィルター内でその構造剛性を維持するのに役立ちうるが、これは、中空管セグメントの長さはフィルター全長の少なくとも約25パーセントであるため、特に重要である。
【0043】
その他一部の好ましい実施形態では、中空管セグメントは、紙材料から形成されることが好ましい。中空管セグメントは、複数の平行に巻かれた紙層または複数のらせん状に巻かれた紙層など、複数の重なり合った紙層から形成されることがより好ましい。複数の重なり合った紙層から中空管セグメントを形成することは、崩壊または変形に対する抵抗力を向上させるのに役立ちうる。
【0044】
各中空管セグメントは少なくとも2つの紙層を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、中空管セグメントは11未満の紙層を含むことが好ましい。
【0045】
少なくとも一つの紙の層は、少なくとも約100グラム/平方メートルの坪量を持つ紙製であることが好ましい。
【0046】
中空管セグメントの壁厚は、少なくとも約100マイクロメートルであることが好ましい。中空管セグメントの壁厚は、少なくとも約200マイクロメートルであることがより好ましい。別の方法として、または追加的に、中空管セグメントの壁厚は、約300マイクロメートル未満である。中空管セグメントの壁厚は、約270マイクロメートル未満であることが好ましい。一部の好ましい実施形態では、中空管セグメントの壁厚は、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルであり、200マイクロメートル~270マイクロメートルであることが好ましい。
【0047】
複数の巻かれた紙層から管セグメントを形成するための模範的方法には、複数の実質的に連続的な紙の細片を円筒形のマンドレルの周りに重ね合わせて巻くことが含まれる。細片は、マンドレル上に実質的に連続的な管を形成するように、平行にまたはらせん状に巻かれる。形成された管は、紙層が連続的に引かれてマンドレルの周りに巻かれるように、例えばゴムベルトを使用して、マンドレルを中心に回転されてもよい。その後、形成された管は、マンドレルの下流で要求される長さに切断される。
【0048】
喫煙物品の喫煙中にその楕円率を保持する中空管セグメントの能力を制限しうる一つの要因は、喫煙中の管セグメントへの水分の吸収である。したがって、喫煙物品の喫煙時の一つの紙層から次の紙層への水分の移動を抑制するために、各管状部材の隣接した紙層は接着剤の中間層によってまとめて接着されることが好ましく、これにより層間の水分移動に対するバリアが提供される。
【0049】
上述の任意の実施形態において、崩壊または変形に対する中空管セグメントの抵抗力は、フィルターの50パーセント変形後の管セグメントの楕円率と、変形前の管セグメントの楕円率との差が約25パーセント未満、好ましくは約20パーセント未満であるようにしうる。例えば、変形前の管セグメントの楕円率が5パーセントである場合、フィルターの50パーセント変形後の管セグメントの楕円率は30パーセント未満であることが好ましく、25パーセント未満であることがより好ましい。本発明に基づくフィルターの変形を実施するための特定の試験手順は、下記に詳細に説明している。
【0050】
本明細書で使用される場合、「楕円率」という用語は完全な円からの偏位の度合いを意味する。楕円率は百分率表現され、数学的定義は下記の通りである。
【数1】
【数2】
【0051】
本発明に従った喫煙物品のセグメント(中空管セグメントなど)の楕円率を決定するために、口側の端は喫煙物品の長軸方向に沿って見られる。例えば、喫煙物品は透明な台上に口側の端において配置されてもよく、その結果、物品の口側の端のイメージは台の下に位置する適切な撮像装置によって記録される。寸法「b」は、その下流端でのセグメントの最小外径となるようにとられ、また寸法「a」は、その下流端でのセグメントの最大外径となるようにとられる。プロセスは同じデザインを有する合計10本の喫煙物品について繰り返され、10回の楕円率測定の数平均は喫煙物品のそのデザインについての楕円率として記録される。
【0052】
喫煙物品フィルターは、一般的に円形の断面であるため、50パーセント変形後の中空管セグメントの楕円率は約25パーセント未満であることが好ましく、約20パーセント未満であることがより好ましい。この場合には、本発明による喫煙物品の口側端くぼみは、フィルターの50パーセント変形後でさえも一般的に円形の断面を保持または回復する。別の方法として、またはさらに、フィルターの67パーセント変形後の管セグメントの楕円率は、約35パーセント未満であることが好ましく、約30パーセント未満であることがより好ましい。
【0053】
一部の実施形態で、喫煙物品が喫煙試験を受けた後に測定されるフィルターの50パーセント変形後の中空管セグメントの楕円率は、約35パーセント未満であることが好ましく、約30パーセント未満であることがより好ましい。別の方法として、または追加的に、喫煙物品が喫煙試験を受けた後に測定されるフィルターの67パーセント変形後の中空管セグメントの楕円率は、約45パーセント未満であることが好ましく、約40パーセント未満であることがより好ましい。これは有利なことに、喫煙物品の喫煙時に、口側端くぼみの楕円率の一貫性を提供する。
【0054】
本発明による喫煙物品の試験をするために使用された喫煙試験については、下記に詳しく説明する。喫煙前および後の両方に行われた変形試験後に楕円率を測定することが必要な場合、同じデザインを有する喫煙物品の2つの試料が、使用されるべきである。すなわち、歪みのない未喫煙の喫煙物品は、喫煙前の変形試験に使用されるはずであり、同じデザインを有する歪みのない物品は喫煙試験に供され、喫煙後の変形試験に使用される。
【0055】
上述した通り、喫煙物品の喫煙中にその楕円率を保持する中空管セグメントの能力を制限しうる一つの要因は、管セグメントへの水分の吸収である。したがって、中空管セグメントはその内部表面上に被覆層を備えてもよく、それが中空管セグメントへの水分の吸収を抑制しうる。中空管セグメントが複数の紙層から形成される実施形態では、被覆層は追加的にまたは別の方法として、隣接した紙層の一部または全部の間に提供される。適切な被覆材料には、ろう、ポリマー系材料およびその組み合わせが含まれるが限定されない。特に適切なろうとしては植物ろうがあり、またその他の特に適切な材料はエチルセルロースおよびニトロセルロースである。
【0056】
粉砕に対する中空管セグメントの抵抗力を増大させるには、フィルターは、50パーセント圧縮時に少なくとも約20ニュートンの未喫煙時の圧縮強度を有することが好ましい。別の方法として、または追加的に、50パーセント圧縮時のフィルターの未喫煙時の圧縮強度は約50ニュートン未満であることが好ましい。「圧縮強度」という用語は、喫煙物品のフィルターセクションの特定の圧縮を提供するために要する力の測定値である。圧縮強度は、下記に詳しく説明する圧縮強度試験を使用して測定されるが、ここで所定の喫煙物品デザインの圧縮強度は、同一デザインを持つ10個の喫煙物品サンプルについての圧縮強度測定値の数平均である。
【0057】
一部の実施形態で、風味剤またはその他の添加物を、通常は物品を喫煙する直前の消費者による手動での放出により、要求に応じて放出するための手段を伴うフィルターを提供することが望ましい場合がある。したがって、フィルターは、例えば、外側シェルおよび添加物を含む内部コアが含まれる一つ以上の壊れやすいカプセルなど、風味剤を含む材料を含む、少なくとも一つのフィルターセグメントを備えうる。少なくとも一つのフィルターセグメントは、繊維質の濾過材料内に散在する一つ以上の壊れやすいカプセルを含むことが好ましい。少なくとも一つのフィルターセグメントは、第一のフィルターセグメント、またはフィルター内に組み込まれうる追加的なフィルターセグメント、またはその組み合わせとしうる。
【0058】
風味剤を含有する材料を含む実施形態において、少なくとも一つの風味を含むフィルターセグメントは、風味添加物に対して実質的に不通気性であるプラグラップによって囲まれることが好ましい。これにより、望ましくない消費者の指との接触が起こったり喫煙物品の外観を変色させたりしうる喫煙物品の外側へのプラグラップを通した添加物の移動が有利なことに抑制される。
【0059】
[試験の手順]
変形および圧縮強度試験
試験の対象となる喫煙物品が、平坦な面と平坦な面に向かい合った円形プレートの間に配置され、円形プレートの直径は10mmである。喫煙物品の口側の端に最も近くにある円形プレートが口側の端から8mmの場所に配置される。次に、毎秒100mmの定速で円形プレートを平坦な面に向けて移動させることにより、フィルターが圧縮される。円形プレートによってかけられる力は、円形プレートと平坦な面の間で喫煙物品の一部分に望まれる変形が得られるまで増大する。例えば、50パーセント変形を得るには、喫煙物品の圧縮部分が、圧縮前のその部分の直径の50パーセントの直径になるまで圧縮される。同様に、67パーセント変形を得るには、喫煙物品は、圧縮部分が圧縮前のその部分の直径の33パーセントの直径に減少するまで圧縮される。直径は圧縮方向に測定されるが、これは平坦な面と円形プレートの間に延びる方向である。要求される圧縮が達成されたら、その圧縮を提供するために要求される力がフィルターの圧縮強度として記録される。次に、圧縮力が除去されるように円形プレートが外される。何らかのさらなる試験または測定が実施される前に、喫煙物品を30秒間放置して膨張させる。
【0060】
喫煙試験
喫煙物品の喫煙をシミュレートするために、喫煙物品は、ISO条件下で(35mlの喫煙が60秒毎にそれぞれ2秒持続)、標準喫煙試験に供される。ISO試験方法では、喫煙物品の喫煙は換気帯域を完全に開放した状態で行われる。
【0061】
本発明の好ましい特徴は、中空の口側の端部分がフィルターの口側の端に配置される中空管セグメントによって形成される実施形態を参照しながら上記で主に説明してきたが、当業者であれば、適用される場合、こうした好ましい特徴は、中空の口側の端部分がプラグラップによって形成される実施形態で使用されうることを理解するであろう。例えば、中空管セグメントの好ましい寸法が上記で説明されたところで、当業者であれば、これらの寸法は、中空の口側の端部分がプラグラップによって形成される実施形態用にとって好ましいものでありうることを理解するであろう。
【0062】
ここで、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、これは例証としてのみである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、本発明による喫煙物品を示す。
図2図2は、フィルターが包装されていない状態の図1の喫煙物品の口側の端を示す。
図3図3は、本発明による中空管セグメントを形成するための管状部材を形成するための模範的方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1および2は、本発明による喫煙物品10を図示する。喫煙物品10は、一方の端で軸方向に整列させたフィルター14に取り付けられたたばこカットフィラーの包まれたロッド12を含む。チッピングペーパー16の帯は、フィルター14とたばこの包まれたロッド12の一部分を囲んで、喫煙物品10の2つの部分をひとまとめにする。
【0065】
図2に示す通り、フィルター14は、中空管セグメント24と、風味を含んでも含まなくてもよい第一のフィルターセグメント20と、ロッド端フィルターセグメント18とを備える。中空管セグメント22の上流端は、第一のフィルターセグメントの下流端20に隣接する。第一のフィルターセグメント20の上流端は、ロッド端フィルターセグメント18の下流端に隣接する。ロッド端フィルターセグメント18の上流端はたばこロッド12に隣接する。中空管セグメントは10mm長である。第一のフィルターセグメントは12mm長である。ロッド端フィルターセグメントは12mm長である。フィルター全長は34mmである。
【0066】
中空管セグメント24およびフィルターセグメント20および18は、3つのセグメントを結合してフィルター14を形成する結合用プラグラップ23の帯によって囲まれる。一つ以上のセグメント18、20、22は、追加的に個別のプラグラップで包まれてもよい。
【0067】
第一のフィルターセグメント20およびロッド端フィルターセグメント22は、酢酸セルローストウなど、適切な濾過材料で形成される。その上、第一のフィルターセグメント20は適切な風味剤を備えうるが、これは、第一のフィルターセグメント20内に含まれた一つ以上の壊れやすいカプセルの形態で提供されうる。この場合には、一つ以上の壊れやすいカプセルは、消費者によって望ましい時に、第一のフィルターセグメント20を消費者の指の間で圧迫することにより破裂させられる。ロッド端フィルターセグメント18は、炭素含有の吸着材料などの吸着材料を含む。
【0068】
中空管セグメント22は、フィルター14内の口側端くぼみ24を画定し、また第一のフィルターセグメントの下流端20とフィルターの口側の端14の間に延びる非制限的な流路を提供する。より詳細には、中空管セグメント22は、煙および空気が貫流するための実質的に一定の断面積を持つチャネルを内部的に画定する。さらに、中空管セグメント22は、煙および空気の流れを局所的に制限する原因となるように適合された物体は何も含まない。従って、煙および空気が貫流するために利用可能な断面積は、中空管セグメント22の全長に沿って実質的に一定であり、中空管セグメント22を通した煙および空気の流れは遮られない。
【0069】
図1および2の実施形態において、中空管セグメント22の長さは、フィルター全長の約30パーセントである。さらに、中空管セグメント22は、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルの壁厚を持ちうる。
【0070】
中空管セグメント22は、複数のらせん状に巻かれた紙層で形成されうるが、これは例えば、喫煙中または第一のフィルターセグメント20内に存在する時に一つ以上の壊れやすいカプセルの破裂中の口側端くぼみ24の変形に対する抵抗力をさらに向上できる。フィルター14の50パーセント変形後の中空管セグメントの楕円率は、25パーセント未満としうる。
【0071】
喫煙物品10は、中空管セグメント20に沿った位置に換気帯域26をさらに含む。より詳細には、換気帯域26は、第一のフィルターセグメント20を貫いて延びる1列の穿孔を含む。穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端の上流10mmに位置する。穿孔の列はまた、結合用プラグラップ23の帯を貫き、またチッピングペーパー16の帯を貫いて延びる。結合用プラグラップ23の帯を貫き、またチッピングペーパー16の帯を貫いて延びる穿孔の列は、第一のフィルターセグメント20の壁を貫いて延びるものと実質的に整列する。
【0072】
図3は、本発明による喫煙物品の形成に使用するために、切断されて複数の中空管セグメントを形成できる中空管部材30を形成する模範的方法を示す。複数の連続的な紙層32は、円筒形のマンドレル34の周りに、ジグザグ状に重なり合った配置でらせん状に巻かれる。各プライをマンドレル34の周りに巻く前に、接着剤槽36を使用して、適切な接着剤を一つ以上のプライ32に塗布しうる。形成された管状部材30がさらに下流で希望の長さに切断されるまでマンドレル34の周りで回転するように、プライ32はゴムベルト38によって駆動される。
【0073】
1. 喫煙物品であって、
たばこロッドと、
前記たばこロッドに接続されたフィルターであって、前記フィルターが、
中空の口側の端部分と、
前記中空の口側の端部分の上流の濾過部分とを含み、前記濾過部分が1つ以上のフィルターセグメントを含み、
前記中空の口側の端部分が、前記フィルターの前記口側の端のくぼみを画定し、前記濾過部分の下流端から前記フィルターの口側の端に延びる非制限的な流路を提供し、
前記中空の口側の端部分の前記長さが、フィルター全長の少なくとも約25パーセントであり、かつ前記喫煙物品が前記濾過部分の周りの位置に提供された少なくとも一つの周辺の穿孔の列を含む換気帯域を含む、喫煙物品。
2. 前記中空の口側の端部分が前記フィルターの前記口側の端に配置されている中空管セグメントによって形成される、1に記載の喫煙物品。
3. 前記中空管セグメントの長さが前記フィルター全長の約50パーセント未満である、2に記載の喫煙物品。
4. 前記中空管セグメントの長さが約30mm未満である2または3に記載の喫煙物品。
5. 前記中空管セグメントの長さが少なくとも約8mmである、1~4のいずれかに記載の喫煙物品。
6. 前記少なくとも一つの周辺の穿孔の列が前記濾過部分の下流端の少なくとも約2mm上流に位置する、2~5のいずれかに記載の喫煙物品。
7. 前記換気帯域が、前記濾過部分の上流端から少なくとも約1mm下流に位置する、1~6のいずれかに記載の喫煙物品。
8. 前記中空管セグメントおよび前記濾過部分の1つ以上のフィルターセグメントが、約70グラム/平方メートル~約120グラム/平方メートルの坪量を持つ結合用プラグラップの帯によって囲まれる、2~7のいずれかに記載の喫煙物品。
9. 前記中空管セグメントの壁厚が、約100マイクロメートル~約300マイクロメートルである、2~8のいずれかに記載の喫煙物品。
10. 前記中空管セグメントの壁厚が、約200マイクロメートル~約270マイクロメートルである、8に記載の喫煙物品。
11. 前記中空管セグメントが複数の重なり合った紙層から形成される、2~10のいずれかに記載の喫煙物品。
12. 前記中空管セグメントが複数のらせん状に巻かれた紙層から形成される、11に記載の喫煙物品。
13. 前記中空管セグメントの隣接した紙層が、接着剤の中間層によって一つに接着されている、11または12に記載の喫煙物品。
14. 前記中空管セグメントが濾過材料の円形状のセグメントから形成される、2~13のいずれかに記載の喫煙物品。
15. 濾過材料の前記円形状のセグメントがフィラメント当たり約1.5デニール(dpf)~約8 dpfの繊維を含む、14に記載の喫煙物品。
16. 前記フィルターの50パーセント変形後の前記中空管セグメントの楕円率と、前記フィルターの変形前の前記中空管セグメントの楕円率との間の差が25パーセント未満である、2~15のいずれかに記載の喫煙物品。
17. 前記フィルターの50パーセント変形後の前記中空管セグメントの前記楕円率が25パーセント未満である、1~16のいずれかに記載の喫煙物品。
18. 前記濾過部分の前記1つ以上のフィルターセグメントが第一のフィルターセグメントを備え、また前記第一のフィルターセグメントの長さが少なくとも10mmである、1~17のいずれかに記載の喫煙物品。
19. 前記中空管セグメントの長さが前記第一のフィルターセグメントの長さの2mm以内である、17に記載の喫煙物品。
20. 前記中空管セグメントの長さが前記第一のフィルターセグメントの長さよりも短い、17または18に記載の喫煙物品。
21. 前記第一のフィルターセグメントの長さが前記フィルター全長の少なくとも30パーセントである、17~19のいずれかに記載の喫煙物品。
22. 前記中空管セグメントと前記第一のフィルターセグメントを組み合わせた長さが、前記フィルター全長の少なくとも約50パーセントである、17~20のいずれかに記載の喫煙物品。
23. 前記少なくとも一つの周辺の穿孔の列が、前記フィルターの前記口側の端から少なくとも18mmの場所に提供されている、1~22のいずれかに記載の喫煙物品。
24. 前記少なくとも一つの周辺の穿孔の列が前記口側の端から、前記フィルター全長の少なくとも50パーセントの距離に配置されている、1~23のいずれかに記載の喫煙物品。
25. 前記濾過部分の前記1つ以上のフィルターセグメントが濾過材料のロッド端セグメントを備える、1~24のいずれかに記載の喫煙物品。
26. 濾過材料の前記ロッド端セグメントの長さが前記第一のフィルターセグメントの前記長さの1mm以内である、25に記載の喫煙物品。
27. 濾過材料の前記ロッド端セグメントの長さが前記フィルター全長の少なくとも約30パーセントである、25または26に記載の喫煙物品。
28. 濾過材料の前記ロッド端セグメントが活性炭を含む、25~27のいずれかに記載の喫煙物品。
29. 濾過材料の前記ロッド端セグメントの上流端が前記たばこロッドに隣接する、25~28のいずれかに記載の喫煙物品。
30. 前記第一のフィルターセグメントの上流端が濾過材料の前記ロッド端セグメントに隣接する、25~29のいずれかに記載の喫煙物品。
31. 前記第一のフィルターセグメントが酢酸セルローストウを含む、1~30のいずれかに記載の喫煙物品。
32. 前記酢酸セルローストウが少なくとも1.5~8 dpfのデニールを持つ、31に記載の喫煙物品。
図1
図2
図3