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特開2023-174804分枝アルカンと、特定のシリコーンの組み合わせとを含む化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174804
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】分枝アルカンと、特定のシリコーンの組み合わせとを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/892 20060101AFI20231201BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20231201BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61K8/892
A61K8/31
A61K8/891
A61Q5/00
A61Q5/12
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023176719
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2021558933の分割
【原出願日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】1903489
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー・フランジ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・ヴァランタン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC31
4C083CC33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE21
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】欠点を有さず、且つ特に良好な美容的特性をケラチン繊維に付与することにより、長期的にケラチン繊維をコンディショニングすることができる組成物を提供する。
【解決手段】本発明の主題は、好ましくは、無水である化粧用組成物であって、a)8~16個の炭素原子を有する1種又は複数の分枝アルカンと、b)1種又は複数のジメチコノールと、c)25℃で200×10-6/s未満の粘度を有する、ジメチコノール以外の1種又は複数のシリコーンと、d)25℃で0.01m/s~1m/sにわたる範囲内の粘度を有する、ジメチコノール以外の1種又は複数のシリコーンとを含み、好ましくは、シリコーンd)の総量に対するシリコーンc)の総量の質量比は、0.5~5の範囲である、化粧用組成物である。本発明の主題は、この組成物を使用する美容的処置方法及びまたケラチン繊維をコンディショニングするための前記組成物の使用でもある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)8~16個の炭素原子を有する1種又は複数の分枝アルカンと、
b)1種又は複数のジメチコノールと、
c)25℃で200×10-6/s未満の粘度を有する、ジメチコノール以外の1種又は複数のシリコーンと、
d)25℃で0.01m/s~1m/sにわたる範囲内の粘度を有する、ジメチコノール以外の1種又は複数のシリコーンと
を含む化粧用組成物。
【請求項2】
前記分枝アルカンは、10~16個の炭素原子、好ましくは10~14個の炭素原子、より優先的には12個の炭素原子を有する分枝アルカンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記分枝アルカンは、前記組成物の総質量に対して20質量%以上、好ましくは30~95質量%、より優先的には35~90質量%、さらにより良好には40~85質量%の範囲の総含有量で存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ジメチコノールは、前記組成物の総質量に対して0.5~15質量%、より良好には1~10質量%、さらにより良好には1.5~8質量%の範囲の総含有量で存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリコーンc)の前記粘度は、180×10-6/s以下、より優先的には150×10-6/s以下、さらにより優先的には120×10-6/s以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリコーンc)は、
c1)2~9個のケイ素原子を有する直鎖シリコーン、及び
c2)9個超のケイ素原子を有する直鎖ポリジメチルシロキサン
から、好ましくは9個超のケイ素原子を有する直鎖ポリジメチルシロキサンから選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーンc)は、前記組成物の総質量に対して1~50質量%、好ましくは2~45質量%、より優先的には5~40質量%の範囲の総含有量で存在することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
デカメチルシクロペンタシロキサンを含まず、好ましくはシクロペンタシロキサンを含まず、さらにより好ましくはシクロメチコンを含まないことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記シリコーンd)の前記粘度は、0.01m/s~0.8m/s、好ましくは0.01m/s~0.7m/s、さらにより良好には0.2m/s~0.6m/sにわたる範囲内であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記シリコーンd)は、ポリジアルキルシロキサンから、好ましくはトリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサンから選択されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記シリコーンd)は、前記組成物の総質量に対して1~30質量%、より良好には2~25質量%、さらにより良好には3~20質量%の範囲の総含有量で存在することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記シリコーンd)の総量に対する前記シリコーンc)の総量の質量比は、0.5~5、より優先的には0.6~4、より良好には0.7~3又はさらに0.8~2.5、さらにより良好には1~2の範囲であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
無水であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
毛髪等のヒトケラチン繊維の美容的処置の方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物の、前記ケラチン線維への塗布を含む方法。
【請求項15】
ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトケラチン繊維をコンディショニングするための、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトケラチン繊維の美容的処置を意図された組成物であって、1種又は複数の分枝アルカンと、1種又は複数のジメチコノールと、また低粘度及び高粘度シリコーンの組み合わせとを含む組成物に関する。
【0002】
本発明は、ケラチン繊維の美容的処置の方法であって、そのような組成物が前記繊維に塗布される、及びまたケラチン繊維をケアするためのこの組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
毛髪は、一般的に、光及び悪天候等の外的環境因子の作用並びにまたブラッシング、コーミング、染色、ブリーチング、パーマネントウェーブ及び/若しくは縮毛矯正等の機械的若しくは化学的処理又はさらに洗浄の繰り返しによって損傷及び脆化する。
【0004】
そのため、毛髪は、これらの様々な要因により損傷し、時間が経つにつれて、特に脆弱な領域において、より特定的には端部において乾燥するか、粗くなるか、脆くなるか又は艶がなくなることがある。
【0005】
そのため、これらの欠点を克服するために、常法として、特に滑らかさ、光沢、柔軟性、しなやかさ、明るさ、自然な感触及び良好な解きほぐし特性に関して十分な美容的特性を付与する、毛髪をコンディショニングすることを意図された組成物を使用するヘアケア製品が用いられる。
【0006】
毛髪に定期的に塗布されることを意図されたこれらのヘアケア組成物は、例えば、ヘアコンディショナー、マスク又はセラであり得、且つ幾分粘稠なゲル、ヘアローション又はケアクリームの形態であり得る。
【0007】
シリコーンオイル又は非シリコーンオイルの組み合わせを含有する油性セラの形態の組成物を使用することが特に既知の慣行である。
【0008】
しかしながら、そのような組成物は、ケラチン繊維に過剰な油分を与えることが依然としてあまりにも多く、その結果、前記繊維は、脂っこくなるか又はさらに粘着性のある感触になり、且つ痩せ細って詰まった外観となる。
【0009】
さらに、シリコーンオイルを含有する組成物を毛髪に塗布すると、手触りがあまりよくないという効果が生じることが多く、特に根元から端部に毛髪に沿って指を滑らせつつ、毛髪の房を互いに擦り合わせた場合、毛髪がザラザラし且つ/又はきしむ(即ち不快な音を立てる)傾向がある。
【0010】
最後に、これらの組成物の粘度は、常に最適であるわけではなく、それらをポンプ式ディスペンサーボトルに入れることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した欠点を有さず、且つ特に良好な美容的特性をケラチン繊維に付与することにより、長期的にケラチン繊維をコンディショニングすることができる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、本発明により達成され、本発明の主題は、特に、好ましくは無水である化粧用組成物であって、
a)8~16個の炭素原子を有する1種又は複数の分枝アルカンと、
b)1種又は複数のジメチコノールと、
c)25℃で200×10-6/s(200cSt)未満の粘度を有する、ジメチコノール以外の1種又は複数のシリコーンと、
d)25℃で0.01m/s~1m/sにわたる範囲内の粘度を有する、ジメチコノール以外の1種又は複数のシリコーンと
を含み、好ましくは、シリコーンd)の総量に対するシリコーンc)の総量の質量比は、0.5~5の範囲である、化粧用組成物である。
【0013】
本発明に係る組成物は、非常に満足のいくようにケラチン繊維をコンディショニングすることを可能にする。特に、この組成物は、毛髪を痩せ細らせるか又は脂っこくさせることなく、毛髪の光沢、柔軟性、解きほぐし易さを著しく改善することを可能にする。ケラチン繊維は、軽くてしなやかなままであり、且つスタイリング及び形を整えることが容易である。ケラチン繊維は、見た目でも手触りでも脂っこくなく、且つ触った場合にきしまない。
【0014】
この組成物は、特に端部において、損傷した毛髪に栄養を与えて修復し、且つ巻き毛又はくせ毛のスタイリング及び矯正を容易にすることも可能にする。
【0015】
最後に、本発明に係る組成物は、この組成物をポンプ式ディスペンサーボトルに入れることを可能にするのに適した粘度を有する。この組成物は、過度に流動性でもなければ過度に粘性でもなく、ポンプシステムにより分注され得る。
【0016】
本発明の主題は、ケラチン繊維の美容的処置の方法であって、本発明に係る組成物がケラチン繊維に塗布される、方法でもある。
【0017】
本発明の別の主題は、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトケラチン繊維をコンディショニングするための、上記で定義された組成物の使用に関する。
【0018】
本発明の他の主題、特徴、態様及び利点は、下記の説明及び実施例を読むことにより、さらにより明確に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本説明では、別途指定されない限り、
- 「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と均等であり、それに置き換えられ得;
- 「~」という表現は、「~の範囲」という表現と均等であり、それに置き換えられ得、且つ限界が含まれることを示唆する。
- 本出願によれば、「ケラチン繊維」という用語は、ヒトケラチン繊維、より特定的には毛髪を示す。
【0020】
下記の本文中において、「シリコーン」という語は、一般に受け容れられているものに従い、適切に官能化されたシランの重合及び/又は重縮合により得られ、且つケイ素原子が酸素原子を介して互いに連結されている主要単位(シロキサン結合-Si-O-Si-)の繰り返しから本質的に形成され、任意選択的に、置換されている炭化水素系基が炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接連結されている、様々な分子量の直鎖又は環状の分枝又は架橋した構造のあらゆる有機ケイ素ポリマー又は有機ケイ素オリゴマーを指す。最も一般的な炭化水素系基は、アルキル基(特にC~C10アルキル基、特にメチル)、フルオロアルキル基(そのアルキル部分は、C~C10である)及びアリール基(特にフェニル基等)である。
【0021】
それ自体既知の方法で、動粘度であるシリコーンの粘度を標準ASTM 445 Appendix Cに従って25℃及び大気圧(1atm、1.013×10Pa)で測定する。
【0022】
シリコーンの質量平均分子量を、ポリスチレン当量として、周囲温度(25℃)でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し得る。使用するカラムは、μ styragelカラムである。溶出液は、THFであり、流速は、1ml/分である。THF中のシリコーンの0.5質量%溶液200μlを注入する。検出を屈折率測定及びUV測定により実施する。
【0023】
分枝アルカンa):
本発明に係る組成物は、8~16個の炭素原子、好ましくは10~16個の炭素原子、より優先的には10~14個の炭素原子を含む1種又は複数の分枝アルカンを含有する。
【0024】
本発明の目的のために、「アルカン」という用語は、炭素原子及び水素原子のみから形成された飽和直鎖化合物を意味することが意図されている。
【0025】
本発明に係る分枝アルカンは、式C2n+2に対応し、ここで、nは、8~16、好ましくは10~16、より優先的には10~14の範囲の整数である。
【0026】
これらの化合物は、有利には、イソヘキサデカン、イソドデカン、イソデカン及びイソオクタンから選択され得る。
【0027】
特に好ましくは、本発明に係る分枝アルカンは、12個の炭素原子を含む。特に好ましい化合物は、イソドデカンである。
【0028】
分枝アルカンa)は、有利には、本組成物の総質量に対して20質量%以上の総含有量で存在する。
【0029】
好ましい一実施形態によれば、分枝アルカンa)は、本組成物の総質量に対して30~95質量%、より良好には35~90質量%、さらにより良好には40~85質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0030】
特に好ましい一実施形態によれば、本発明に係る組成物は、組成物の総質量に対して30~95質量%、より良好には35~90質量%、さらにより良好には40~85質量%の範囲の含有量でイソドデカンを含有する。
【0031】
ジメチコノールb):
名称ジメチコノールは、それ自体既知の方法で、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサンを示す。
【0032】
好ましくは、本発明に係るジメチコノールは、1000ダルトン超、好ましくは10000ダルトン超、より優先的には50000ダルトン超、さらにより良好には100000ダルトン超の質量平均分子量(Mw)を有する。
【0033】
既知の化合物として、特に商品名Dow Corning 1515 Gum及びDowsil 1515 GumでDow Corning社により提案されている、INCI名称がジメチコノールである化合物が挙げられる。
【0034】
ジメチコノールは、有利には、本組成物の総質量に対して0.5~15質量%、より良好には1~10質量%、さらにより良好には1.5~8質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0035】
シリコーンc):
本発明に係る組成物は、25℃で200×10-6/s(200cSt)未満の粘度を有する1種又は複数のシリコーンを含有する。
【0036】
好ましくは、シリコーンc)の粘度は、180×10-6/s以下、より優先的には150×10-6/s以下、さらにより優先的には120×10-6/s以下である。
【0037】
シリコーンc)は、ジメチコノール以外であり、即ちジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサンではない。
【0038】
シリコーンc)は、より特定的には揮発性シリコーンから選択される。
【0039】
本発明の目的のために、「揮発性シリコーン」という用語は、周囲温度及び大気圧において、皮膚又は毛髪に触れると1時間未満で蒸発し得るシリコーンを意味することが意図されている。そのようなシリコーンは、特に、0.13~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特に1.3~13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、より特定的には1.3~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の飽和蒸気圧を有する。
【0040】
シリコーンc)は、より優先的には、60℃~260℃の範囲の沸点を有するものから、さらにより特定的には、
c1)2~9個のケイ素原子を有する直鎖シリコーン
から選択される。
【0041】
前記シリコーンは、好ましくは、25℃で6×10-6/s(6cSt)以下、より優先的には25℃で5×10-6/s(5cSt)以下の粘度を有する。
【0042】
例えば、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンが挙げられ得る。
【0043】
c2)特に9個超のケイ素原子を有する直鎖ポリジメチルシロキサン。
【0044】
そのようなポリジメチルシロキサンは、好ましくは、下記の式:(CHSiO[Si(CHO]Si(CHの化合物から選択され、ここで、nは、8~100、好ましくは8~20の範囲である。
【0045】
好ましい一実施形態によれば、シリコーンc)は、9個超のケイ素原子を有する直鎖ポリジメチルシロキサンc2)から選択される。
【0046】
好ましくは、シリコーンc)は、2000ダルトン未満、好ましくは1000ダルトン未満の質量平均分子量(Mw)を有する。
【0047】
シリコーンc)は、有利には、本組成物の総質量に対して1~50質量%、より良好には2~45質量%、さらにより良好には5~40質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0048】
好ましくは、本発明に係る組成物は、シクロメチコンを含まず、即ち環状ポリジメチルシロキサンを含まず、特に4~6個のケイ素原子を含むシクロメチコンを含まない。
【0049】
「シクロメチコンを含まない」という表現は、本発明に係る組成物がシクロメチコンを含まないことを意味するか、又は本発明に係る組成物が1種若しくは複数のシクロメチコンを含有する場合、後者が、組成物の総質量に対して0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%未満の総含有量で存在し、さらにより良好には、組成物がシクロメチコンを完全に含まない(0質量%)ことを意味することが意図されている。
【0050】
好ましくは、本発明に係る組成物は、シクロペンタシロキサンを含まない。
【0051】
「シクロペンタシロキサンを含まない」という表現は、本発明に係る組成物がシクロペンタシロキサンを含まないことを意味するか、又は本発明に係る組成物が1種若しくは複数のシクロペンタシロキサンを含有する場合、後者が、組成物の総質量に対して0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%未満の総含有量で存在し、さらにより良好には、組成物がシクロペンタシロキサンを完全に含まない(0質量%)ことを意味することが意図されている。
【0052】
特に好ましい一実施形態によれば、本発明に係る組成物は、デカメチルシクロペンタシロキサンを含まない。
【0053】
「デカメチルシクロペンタシロキサンを含まない」という表現は、本発明に係る組成物がデカメチルシクロペンタシロキサンを含まないことを意味するか、又は本発明に係る組成物がデカメチルシクロペンタシロキサンを含有する場合、化合物が、この組成物の総質量に対して0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%未満の総含有量で存在し、さらにより良好には、組成物がデカメチルシクロペンタシロキサンを完全に含まない(0質量%)ことを意味することが意図されている。
【0054】
シリコーンd):
本発明に係る組成物は、25℃で0.01m/s~1m/sにわたる範囲内の粘度を有する1種又は複数のシリコーンを含有する。
【0055】
好ましくは、シリコーンd)の粘度は、0.01m/s(10000cSt)~0.8m/s(800000cSt)、より良好には0.01m/s(10000cSt)~0.7m/s(700000cSt)、さらにより良好には0.2m/s(200000cSt)~0.6m/s(600000cSt)にわたる範囲内である。
【0056】
好ましくは、シリコーンd)は、25℃及び大気圧(1.013×10Pa)で液体である。
【0057】
シリコーンd)は、ジメチコノール以外であり、即ちジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサンではない。
【0058】
シリコーンd)は、より特定的には非揮発性シリコーンから選択される。本発明の目的のために、「非揮発性シリコーン」という用語は、0.13Pa(0.01mmHg)未満の飽和蒸気圧を有するシリコーンを意味することが意図されている。
【0059】
好ましくは、シリコーンd)は、50000ダルトン超、より優先的には100000~500000ダルトンの範囲、より良好には200000~400000ダルトンの範囲の質量平均分子量(Mw)を有する。
【0060】
シリコーンd)は、より優先的には、ポリジアルキルシロキサンから、特に名称ジメチコン及びPDMSでも既知である、トリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサンから選択される。
【0061】
これらのポリジアルキルシロキサンの中でも、下記の市販品が非限定的に挙げられ得る:
- Rhodiaから販売されている47及び70 047シリーズのSilbione(登録商標)油又はMirasil(登録商標)油、例えば油70 047 V 500 000;
- Rhodia社から販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社の200シリーズの油、例えば60000mm/sの粘度を有するDC200 Fluid及びXiameter PMX 200シリコーン液500000cSt又は300000cSt;
- General ElectricのViscasil(登録商標)油及びGeneral ElectricのSFシリーズ(SF 96、SF 18)の特定の油。
【0062】
特に好ましい一実施形態によれば、シリコーンd)は、トリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサン(PDMS)から選択される。
【0063】
シリコーンd)は、有利には、本組成物の総質量に対して1~30質量%、より良好には2~25質量%、さらにより良好には3~20質量%の範囲の総含有量で存在する。
【0064】
好ましい一実施形態によれば、本発明に係る組成物は、シリコーンd)の総量に対するシリコーンc)の総量の質量比が0.5~5の範囲であるような量において、上記で説明したシリコーンc)及びd)を含有する。好ましくは、この質量比は、0.5~5、より優先的には0.6~4、より良好には0.7~3又はさらに0.8~2.5、さらにより良好には1~2の範囲である。
【0065】
組成物:
好ましい一実施形態によれば、本発明に係る組成物は、無水であり、即ち含水量が組成物の総質量に対して4質量%以下、好ましくは2質量%以下、より優先的には1質量%以下、さらにより優先的には0.5質量%以下である。好ましくは、本発明に係る組成物は、水を全く含まない(0%)。
【0066】
本発明に係る組成物は、有利には、透明であり、これにより、使用者に非常に人気がある特に魅力的な審美的外観が得られる。
【0067】
本発明に係る組成物は、有利には、透明~半透明、より優先的には透明な液体の形態である。
【0068】
本発明に係る組成物の透明度は、比濁法(NTU単位)による組成物の濁度の測定によってキャラクタライズされ得る。本発明に関連して、濁度測定は、Hanna Instruments社の濁度計モデルHI 88713-ISOにより実行した。
【0069】
好ましくは、周囲温度(25℃)及び大気圧(1atm)で測定した、本発明に係る組成物の濁度は、400NTU単位未満、より良好には300NTU単位未満、特に0~250NTU単位又はさらに0~200NTU単位、より良好には0~100NTU単位、さらにより良好には1~80NTU単位である。
【0070】
好ましくは、本発明に係る組成物は、大気圧及び周囲温度(25℃;1atm)で1000mPa/s未満、特に80~500mPa/s又はさらに90~400mPa/s、より良好には100~300mPa/sの範囲の動的粘度を有する。
【0071】
動的粘度は、Anton PaarのMCR 502回転式レオメータ(コーン/プレート直径50mm/1°(5μmでの紙やすりで磨かれたスチール)形状;回転スピード200回転/分;測定を25℃、1atmで実行)を使用して測定され得る。
【0072】
本発明に係る組成物は、添加剤(例えば、香料並びに上記で説明した化合物a)、b)、c)及びd)以外の脂肪物質)も含有し得る。
【0073】
これらの添加剤は、本発明に係る組成物の総質量に対して0質量%~5質量%の範囲の量で組成物中に存在し得る。
【0074】
当業者は、本発明の組成物の特性を損なわないように、任意選択的な添加剤及びその量を慎重に選択するであろう。
【0075】
本発明に係る組成物は、有利には、非エアロゾル装置(例えば、特にポンプ式ディスペンサーボトル)に入れられている。
【0076】
美容的処置方法:
本発明の主題は、毛髪等のヒトケラチン繊維の美容的処置の方法であって、上記で説明した組成物の、前記繊維への塗布を含む方法でもある。
【0077】
組成物は、任意選択的にシャンプーで洗浄されている、乾燥した又は濡れているケラチン繊維に塗布され得る。好ましくは、本発明に係る組成物は、濡れたケラチン繊維に塗布される。
【0078】
一実施形態によれば、次いでケラチン繊維を水ですすぎ、任意選択的にシャンプーで洗浄した後に水ですすぎ、その後、乾燥させるか又は乾燥するまで放置する。
【0079】
この実施形態では、本発明に係る組成物は、1~15分、好ましくは2~10分の範囲であり得るリーブオン時間にわたり塗布され得る。
【0080】
好ましい一実施形態によれば、ケラチン繊維は、本組成物の塗布後にすすがれない。次いで、ケラチン繊維は、乾燥させ且つ/又は形を整えるために(例えば、加熱したアイロンによる矯正のために)、加熱及び/又は機械的処置を受け得る。
【0081】
使用:
本発明は、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトケラチン繊維をコンディショニングするための、上記で説明した組成物の使用にも関する。
【0082】
本組成物は、リンスオフ又はリーブオンモード、好ましくはリーブオンモードにおいて(即ちケラチン繊維を組成物の塗布後にすすがない)、濡れているか又は乾燥した毛髪に使用され得る。
【0083】
下記の実施例は、本発明を例示するのに役立つが、決して限定するものではない。
【実施例0084】
下記の実施例において、全ての量は、別途示さない限り、組成物の総質量に対する活性物質の質量パーセントとして示される。
【0085】
組成物の粘度を、Anton PaarのMCR 502回転式レオメータ(コーン/プレート直径50mm/1°(5μmでの紙やすりで磨かれたスチール)形状;回転スピード200回転/分;測定を25℃、1atmで実行)を使用して測定した。
【0086】
実施例1:
下記の組成物を、含有量が下記の表に示されている成分から調製した。
【0087】
【表1】
【0088】
(1)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 500000cStで販売
(2)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 5cStで販売
(3)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 2cStで販売
(4)Dow Corningにより名称Dow Corning 1515 Gumで販売。
【0089】
組成物A~Dは、全て完全に透明である(濁度=0又は1)。これらの組成物は、毛髪への塗布後、清潔で粘着性のない感触及びしなやかな毛髪をもたらす。
【0090】
実施例2:
下記の組成物を、含有量が下記の表に示されている成分から調製した。
【0091】
【表2】
【0092】
(1)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 300000cStで販売
(2)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 100cStで販売
(3)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 5cStで販売
(4)Dow Corningにより名称Dow Corning 1515 Gumで販売。
【0093】
組成物Eは、完全に透明である(濁度=0又は1)。この組成物は、毛髪への塗布後、清潔で粘着性のない感触及びしなやかな毛髪をもたらす。
【0094】
比較例3
下記の比較組成物Kを、含有量が下記の表に示されている成分から調製した。
【0095】
【表3】
【0096】
(1)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 500000cStで販売
(2)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 5cStで販売
(3)Dow Corningにより名称Xiameter PMX-200 Silicone fluid 100cStで販売
(4)Dow Corningにより名称Dow Corning 1515 Gumで販売。
【0097】
この組成物は、完全に透明である(濁度=0又は1)。しかしながら、毛髪への塗布後、この組成物は、不潔な外観をもたらし、頭髪が手にべとつき且つゴワゴワである。
【外国語明細書】