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特開2023-174868エアロゾル生成装置の電源ユニット、制御方法、プログラム、および、吸引器の電源ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174868
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置の電源ユニット、制御方法、プログラム、および、吸引器の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20231201BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20231201BHJP
   A24F 40/90 20200101ALI20231201BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/50
A24F40/90
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179368
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2023079066の分割
【原出願日】2018-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 剛志
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】手塚 寛
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB22
4B162AB23
4B162AC32
4B162AC34
4B162AC37
4B162AC50
4B162AD02
4B162AD03
4B162AD06
4B162AD12
4B162AD15
4B162AD16
4B162AD18
4B162AD22
4B162AD23
4B162AD32
(57)【要約】
【課題】エアロゾル生成装置の電源ユニットの不具合を検知し、不具合状態の種類に応じたエラー信号を生成する。
【解決手段】エアロゾル生成装置の電源ユニットは、電源と制御部とを備える。電源は、エアロゾル源を霧化する負荷に電力を供給する。制御部は、電源の動作に関する動作値を取得し、動作値に基づき電源が通常状態かまたは不具合状態かを判定する。不具合状態は複数の状態を含む。制御部は、複数の状態に含まれる状態を検知した場合に、検知した状態に応じた種類のエラー信号を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を加熱するヒータに電力を供給する電池と、
通知部と、
前記電池に生じた不具合の内容を特定し、当該内容に応じた通知動作を前記通知部に実行させる制御部と、を備え、
前記通知部が、発光装置および振動発生装置を備え、
前記通知部が、前記制御部によって特定された前記電池の不具合の内容に応じて、前記発光装置による発光動作および前記振動発生装置による振動動作を組み合わせて、前記通知動作を所定のタイミングで実行する、
ことを特徴とした、エアロゾル生成装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記電池の不具合の内容に応じた前記通知動作を、前記エアロゾル生成装置を活動状態に遷移させずに、前記通知部に実行させる、
ことを特徴とした、請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記電池の温度を示す情報を取得し、
複数の前記電池の不具合の内容のうちの第1の内容は、前記電池の温度を示す情報に基づいて、前記制御部によって特定される前記電池の温度異常である、
ことを特徴とした、請求項1または2に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項4】
温度センサを更に備え、
前記制御部が、前記電池の温度異常の発生を前記温度センサからの出力に基づいて特定する、
ことを特徴とした、請求項3に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記電池の不具合の内容に応じて、消費電力が異なる態様で前記通知部に前記通知動作を実行させる、
ことを特徴とした、請求項1~4の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項6】
前記電池の不具合の内容に応じて特定される重要度に応じて、前記消費電力が異なる前記態様で前記通知部に前記通知動作を実行させる、
ことを特徴とした、請求項5に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項7】
前記所定のタイミングが、前記エアロゾル生成装置の状態を異なる状態に遷移させるためにボタンが押下されたときを含む、
ことを特徴とした、請求項1~6の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項8】
前記所定のタイミングが、前記前記ヒータに対し前記電池から電力が給電されているときを含む、
ことを特徴とした、請求項1~7の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項9】
前記所定のタイミングが、前記電池が充電されているときを含む、
ことを特徴とした、請求項1~8の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項10】
前記電池の不具合の内容のうちの第2の内容は、前記電池の充電に関わる不具合であることを特徴とした、請求項1~9の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の電源ユニット、制御方法、プログラム、および、吸引器の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル源をヒータのような電気的負荷で霧化させて生じさせたエアロゾルをユーザが味わうことができるエアロゾル生成装置が知られている。このようなエアロゾル生成装置には、動力源として電池などの電源が内蔵されている場合が多い。
【0003】
そして、当該エアロゾル生成装置に関連した技術として、電源の残量が減ったとき等に、その旨を発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を用いて通知する技術が知られている。
【0004】
特許文献1には、電源電圧が閾値電圧未満になった場合に、電源の交換を要する旨を通知するインジケータを起動させる技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、電力源レベルに応じて、照明の光度等を調整する技術が開示されている。
【0006】
特許文献3には、電子シガレットを用いて喫煙行為が行われる場合に、発光素子を発光させる技術が開示されている。
【0007】
特許文献4には、電源の残量に応じて、LEDを異なる色で発光させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2017-514463号公報
【特許文献2】特表2017-511690号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0019887号明細書
【特許文献4】中国実用新案登録第204682523号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
エアロゾル生成装置を継続して使用すると、経年劣化等を原因とする不具合が電源に生じる場合がある。当該不具合を解消するために修理を行う場合に、当該不具合の内容または原因を把握する必要がある。そして、当該不具合の内容または原因を把握するために、種々の検査を行う等といった大きな手間を要する場合がある。したがって、電源に生じた不具合の内容または原因を容易に把握できる技術が望まれる。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電源に生じた不具合の内容または原因を容易に把握可能なエアロゾル生成装置の電源ユニット、制御方法、プログラム、および、吸引器の電源ユニットに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一例に係るエアロゾル生成装置の電源ユニットは、電源と制御部とを備える。
電源は、エアロゾル源を霧化する負荷に電力を供給する。制御部は、電源の動作に関する動作値を取得し、動作値に基づき電源が通常状態かまたは不具合状態かを判定する。不具合状態は複数の状態を含む。制御部は、複数の状態に含まれる状態を検知した場合に、検知した状態に応じた種類のエラー信号を生成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源に生じた不具合の内容または原因を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るエアロゾル生成装置の構成の一例を示すブロック図。
図2】同実施形態に係る制御部による不具合検知処理の第1の例を説明するためのグラフ。
図3】同実施形態に係る制御部による不具合検知処理の第2の例を説明するためのグラフ。
図4】同実施形態に係る制御部による不具合検知処理の第3の例を説明するためのグラフ。
図5】同実施形態に係る制御部による不具合検知処理の第4の例を説明するためのグラフ。
図6】同実施形態に係る制御部による不具合検知処理の第5の例を説明するためのグラフ。
図7】不具合状態の検知処理の第1の例と、当該処理に関わる不具合通知処理との例を示すフローチャート。
図8】不具合状態の検知処理の第2の例と、当該処理に関わる不具合通知処理との例を示すフローチャート。
図9】不具合状態の検知処理の第3の例と、当該処理に関わる不具合通知処理との例を示すフローチャート。
図10】不具合状態の検知処理の第4の例と、当該処理に関わる不具合通知処理との例を示すフローチャート。
図11】不具合状態の検知処理の第5の例と、当該処理に関わる不具合通知処理との例を示すフローチャート。
図12】ユーザによる吸引時における第1乃至第5の不具合状態の通知処理の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。図面において、同一の機能および構成要素については、同一符号を付して説明を省略するか、または、簡単に説明を行う。
【0015】
本実施形態では、エアロゾル生成装置に関して説明を行う。本実施形態に係るエアロゾル生成装置は、例えば、生成されたエアロゾルをユーザが吸引する吸引器である。吸引器は、加熱式たばこまたは電子たばこでもよいが、これに限定されるものではなく、例えば薬剤吸引用の装置などでもよい。なお、吸引器は、エアロゾルの生成に代えて不可視の蒸気を生成してもよい。
【0016】
図1は、本実施形態に係るエアロゾル生成装置1の構成の一例を示すブロック図である。エアロゾル生成装置1は、図1に示されるように、カートリッジユニット100と、カプセルユニット200と、電源ユニット300とを含む。エアロゾル生成装置1は、例えば、略円筒形状としてもよく、ユーザがエアロゾル生成装置1を保持しやすい形状となっている。なお、カートリッジユニット100と、カプセルユニット200と、電源ユニッ
ト300とは、それぞれ着脱不可に構成されていてもよいし、それぞれ着脱可能に構成されていてもよい。
【0017】
カートリッジユニット100は、図1に示されるように、貯留部110と、供給部120と、負荷130を備える霧化部140とを含む。
【0018】
貯留部110は、加熱により霧化される液体状のエアロゾル源を貯留する容器である。エアロゾル源は、例えば、グリセリンまたはプロピレングリコールのようなポリオール系の材料である。また、エアロゾル源は、ニコチン液、水、香料等を含む混合液でもよい。そして、エアロゾル源は、貯留部110を必要としない固体でもよい。
【0019】
供給部120は、例えば、ガラス繊維のような繊維材料を撚って形成されるウィックである。供給部120の一端は、貯留部110に接続される。また、供給部120の他端は、負荷130に接続されるか、または負荷130の近傍に配置される。そのような構成により、供給部120は、負荷130またはその近傍に、貯留部110から吸い上げたエアロゾル源を導くことができる。なお、供給部120には、多孔質状のセラミックで形成されたウィックが用いられてもよい。
【0020】
霧化部140に備えられる負荷130は、例えばコイル状のヒータであり、電力が供給されると発熱する。負荷130は、供給部120の周囲に巻かれていてもよいし、供給部120に覆われていてもよい。負荷130には、電源ユニット300に含まれる後述する制御部360による制御に基づき、後述する電源部320から電力が供給される。負荷130に電力が供給されると、供給部120によって導かれたエアロゾル源が負荷130によって加熱され、エアロゾルが生成される。
【0021】
カプセルユニット200は、図1に示されるように、香味源210を含む。
【0022】
香味源210は、エアロゾルに香味成分を付与する植物材料の原料片によって構成される。香味源を構成する原料片には、例えば、刻みたばこまたはたばこ原料のような材料を、粒状またはシート状に成形した成形体が用いられる。また、香味源210を構成する原料片には、たばこではない植物(例えば、ミント、ハーブ等)が用いられてもよい。そして、香味源210には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0023】
図1には、カートリッジユニット100およびカプセルユニット200における空気の流れが点線の矢印で示されている。空気取込口(図示省略)を介して外部から取り込まれた空気は、エアロゾル生成装置1(カートリッジユニット100、およびカプセルユニット200)内を通過する過程で、エアロゾルと混合され香味成分を付加され、ユーザに吸引される。具体的には、外部から取り込まれた空気は、カートリッジユニット100内の霧化部140を通過する。当該空気は、霧化部140を通過するときに、霧化部140に備えられる負荷130によって生成されたエアロゾルと混合される。そして、エアロゾルと混合された空気がカプセルユニット200を通過するときに、エアロゾルと混合された空気に、カプセルユニット200に含まれる香味源210由来の香味成分が付加される。そして、エアロゾルと混合され香味成分が付加された空気が、カプセルユニット200の端部からユーザによって吸引される。すなわち、香味成分が付加されたエアロゾルが、ユーザによって吸引される。
【0024】
電源ユニット300は、図1に示されるように、電源ボタン310と、電源部320と、センサ部330と、記憶部340と、通知部350と、制御部360と、時刻計測部370とを含む。
【0025】
電源ユニット300では、電源部320に生じた不具合の種類ごとに異なるエラー信号が生成される。電源部320の不具合は、例えば、電源部320の劣化および/または電源の故障などを含む。
【0026】
電源ボタン310は、エアロゾル生成装置1の動作状態を遷移させるためのボタンである。電源ボタン310が押下され電源ONされると、エアロゾル生成装置1の状態は、後述する活動状態になる。また、エアロゾル生成装置1の状態が活動状態のときに、電源ボタン310が押下され電源OFFされると、エアロゾル生成装置1の状態は、活動状態から後述する休止状態に遷移する。
【0027】
電源部320は、例えば、リチウムイオン二次電池のような再充電可能な電池であり、その種類は限定されない。電源部320は、制御部360の制御に基づき、エアロゾル生成装置1の各部に、電力を供給する。また、電源部320は、例えば、サーミスタなどのような温度センサ321を備える。温度センサ321は、例えば、電源部320のバッテリパック内に備えられる。温度センサ321によって測定された電源部320の温度を示す情報は、制御部360によって記憶部340に記憶される。なお、電源部320は、不具合のない通常状態、または、不具合が生じた不具合状態となり得る。
【0028】
センサ部330は、例えば、センサ部330の設置位置を通過する気体の流量および/または流速に応じて、制御部360に、所定の出力値(例えば電圧値または電流値)を出力するセンサである。このようなセンサ部330は、ユーザによる吸引動作(エアロゾル生成装置1に、エアロゾルの生成を要求する動作)を検知するために利用される。センサ部330としては、種々のものを利用可能であるが、例えば、マイクロフォンコンデンサ、圧力センサ、流体センサが用いられる。
【0029】
記憶部340は、例えば不揮発性メモリである。記憶部340には、制御部360によって取得された各種の情報を含むデータD1が記憶されている。また、記憶部340には、制御部360の制御に用いられる各種の情報を含むデータD2が記憶されている。さらに、記憶部340には、制御部360によって生成された各種の情報を含むデータD3が記憶される。
【0030】
ここで、データD1には、例えば、電源部320の動作に関する動作値を含む情報が記憶される。具体的には、例えば、データD1には、電源部320の電圧値、電源部320の通算充電時間、電源部320の温度示す情報が含まれる。また、データD2には、例えば、各種の所定の閾値、各種の所定の電圧範囲、および、電源部320に生じた不具合の内容と当該内容に応じたエラー信号との関係を示す情報などが含まれる。さらに、データD3には、例えば、電源部320に生じた不具合の内容または原因を示す不具合情報などが含まれる。
【0031】
通知部350は、電源部320に生じた不具合に応じてデータD2に基づき制御部360によって生成されたエラー信号を受けた場合に、当該エラー信号にしたがって例えば光および/または音を出力する。なお、通知部350は、制御部360から受けたエラー信号にしたがって例えば振動してもよい。具体的には、通知部350は、例えば、LEDなどの発光装置でもよく、スピーカなどの音出力装置でもよく、振動発生装置でもよい。
【0032】
このように、通知部350は、制御部360から受けたエラー信号の種類ごとに異なる態様の通知を行う。そのような構成により、エアロゾル生成装置1のユーザ等に、電源部320で生じた不具合の内容または原因を通知することができる。以下で説明する通知部350による電源部320に生じた不具合に応じた通知の態様は例であり、例えば、光、音、振動などを自由に組み合わせて、不具合の内容に応じた通知をしてもよい。
【0033】
制御部360は、電源ボタン310が押下された通知を電源ボタン310から受けた場合に、エアロゾル生成装置1を2つの動作状態のいずれかに遷移させる。2つの動作状態とは、電源部320からエアロゾル生成装置1の各部に電力が供給される得る活動状態(電源オン状態に相当)と、電源部320からエアロゾル生成装置1の各部に電力が供給されないまたは極小の電力しか供給され得ない休止状態(電源オフ状態に相当)とである。エアロゾル生成装置1の状態が活動状態の場合には、センサ部330がユーザによる吸引動作を検知したときに、制御部360は、電源部320に負荷130へ電力を供給させ、エアロゾル源を霧化させる。また、電源ユニット300の状態が休止状態の場合には、ユーザが吸引動作をしても、制御部360は、電源部320に負荷130へ電力を供給させない。したがって、エアロゾル源は霧化されない。
【0034】
また、制御部360は、電源部320の動作に関する動作値を取得すると、当該動作値を含むデータD1を記憶部340に記憶させる。ここで、動作値には、例えば、電源部320の電圧値、電源部320の通算充電時間、電源部320の温度示す情報が含まれる。
【0035】
そして、制御部360は、例えば、電源部320が充放電しているときなどに、記憶部340からデータD1およびD2を読み出し、データD1に含まれている動作値、およびD2含まれている各種の所定の閾値および/または各種の所定の電圧範囲に基づき、電源部320の状態が通常状態または不具合状態のいずれの状態であるかを判定する。なお、制御部360は、電源部320の状態が不具合状態であると判定した場合には、電源部320に生じた不具合の内容または原因を特定し、当該不具合の内容または原因を示す不具合情報を含むデータD3を記憶部340に記憶させる。
【0036】
本実施形態においては、電源部320の不具合状態が、電源部320に生じた不具合の内容または原因毎に細分化される。そして、制御部360は、不具合状態に含まれる複数の状態のうちのいずれかの状態を検知した場合に、検知した状態に応じた種類のエラー信号を生成する。そして、制御部360は、通知部350に生成したエラー信号を送信し、通知部350に当該エラー信号に基づく態様の通知をさせる。言い換えれば、制御部360は、通知部350に、エラー信号の種類毎に異なる態様の通知をさせる。
【0037】
本実施形態において、制御部360は、例えば、不具合を検知したとき(例えば、エラー信号を生成したとき)、エアロゾル生成装置1を活動状態に移行させるとき(例えば、電源ボタン310が押下され電源ONを指示する信号を受けたとき)、エアロゾルの吸引開始を検知したとき(例えば、センサ部330から生成要求信号を受けたとき)、エアロゾルの吸引がなされているとき(例えば、センサ部330の出力に基づき吸引動作が継続されていると判断しうるとき)、電源部320の充電開始時(例えば、電源ユニット300に充電コネクタが接続されたことを検知したとき)、または、電源部320を充電しているとき(例えば、電源部320の電源電圧が増加しているとき)に、通知部350に、生成した信号に基づく通知を実行させてもよい。
【0038】
制御部360は、第1の通知態様として、例えば、通知部350に、エラー信号の種類毎に異なる態様の光を発生させる。通知部350は、例えば、エラー信号を受けた場合に、寒色系の光と暖色系の光とを交互に発光させてもよい。
【0039】
制御部360は、第2の通知態様として、例えば、通知部350に、エラー信号の種類毎に異なる態様の振動を発生させる。
【0040】
制御部360は、第3の通知態様として、例えば、通知部350に、エラー信号の種類毎に異なる態様の音を発生させる。
【0041】
制御部360は、電源部320が不具合状態であると判定した場合に、電源部320の充電および放電を禁止してもよい。また、制御部360は、電源部320が不具合状態であると判定した場合に、負荷130の加熱を停止してもよい。そのような構成により、電源部320に生じた不具合の進行を防ぐことができる。
【0042】
以下で、制御部360による電源部320の状態が不具合状態であるか否かを判定する処理(以下、「不具合検知処理」という)の具体例を説明する。なお、本実施形態では、電源部320の不具合状態に、第1~第5の不具合状態が含まれるとして説明される。
【0043】
(不具合検知処理の第1の例)
図2は、制御部360による不具合検知処理の第1の例を説明するためのグラフである。図2に示されるグラフの横軸は時間を表し、縦軸は電源部320の電圧を表す。図2に示す例では、制御部360は、電源部320における不具合の一つである内部短絡を検出する。
【0044】
図2に示されるように、電源部320の電圧域は、電源部320の電圧値に基づき、常用域、過放電域、深放電域の3つに区分けされる。ここで、常用域とは、放電終止電圧(例えば、3.0V)から満充電電圧(例えば、4.0V)までの間の電圧範囲である。また、過放電域とは、放電終止電圧からMCU(Micro Controller Unit:制御部360に
相当)動作保障電圧までの電圧範囲である。そして、深放電域とは、MCU動作保証電圧からゼロ電圧(電源部320の電圧値が0Vの状態)までの電圧範囲である。ここで、図2に示されるSOC(State Of Charge)とは、電源部320の充電率を表し、放電終止
電圧で0%、満充電電圧で100%となる。
【0045】
図2に示されるように、制御部360は、電源部320の電圧値などに基づいて、電源部320の充電を予備充電、定電流充電、定電圧充電のいずれかで行う。ここで、予備充電とは、例えば、電源部320の電圧域が過放電域または深放電域のときに行われる充電のことをいう。また、定電流充電とは、例えば、放電終了電圧から満充電電圧の間の区間(常用域)で一定の電流値で行われる充電のことをいう。そして、定電圧充電とは、電源部320の電圧値を所定の電圧値に維持させるために行われる充電であり、例えば、電源部320の電圧値を満充電電圧で維持させるために行われる。
【0046】
ここで、電源部320に不具合が生じていない場合に常用域において定電流充電を行うと、電源部320の電圧値は、充電時間の経過にともなって上昇する。
【0047】
不具合検知処理の第1の例では、そのような特性を利用して、電源部320の不具合を検知する。具体的には、制御部360は、電源部320の充電中の電圧値の変化に基づき、電源部の不具合を検知する。より具体的には、制御部360は、電源部320の電圧値の所定時間T1あたりの減少量ΔVが第1の閾値TH1以上であることを検知した場合に、すなわち、充電中にも関わらず電圧降下が生じた場合に、電源部320が第1の不具合状態であると判定する。そして、制御部360は、電源部320の状態が第1の不具合状態であると判定した場合に、記憶部340に、データD3として第1の不具合状態を示す第1の不具合情報を記憶させる。
【0048】
なお、制御部360は、記憶部340に記憶されているデータD1とデータD2と時刻計測部370からの出力とに基づき、前述した所定時間T1あたりの減少量ΔVおよび閾値TH1を算出したり確認したりする。なお、時刻計測部370は、例えば、ストップウォッチまたは時計等の時刻を計測できる部材である。時刻計測部370は、例えば、制御部360に組み込まれていてもよい。
【0049】
(不具合検知処理の第2の例)
図3は、制御部360による不具合検知処理の第2の例を説明するためのグラフである。図3に示すグラフについて、図2に示すグラフと共通する部分については、説明を省略する。図3に示す例では、制御部360は、電源部320の不具合の一つである容量の劣化を検出する。
【0050】
図3に示される例では、常用域に含まれる第1の電圧範囲VR1が定義される。すなわち、第1の電圧範囲VR1は、常用域の下限(放電終了電圧)から上限(満充電電圧)までの間の電圧値で、その範囲が設定される。
【0051】
不具合検知処理の第2の例では、制御部360は、電源部320の電圧値が第1の電圧範囲VR1の下限から上限に至るまでの時間に基づき、電源部320の不具合を検知する。具体的には、制御部360は、電源部320を充電する場合に、電源部320の電圧値が第1の電圧範囲VR1の下限から上限に至るまでに要する時間T2が第2の閾値TH2以下であることを検知したときに、電源部320が第2の不具合状態であると判定する。そして、制御部360は、電源部320の状態が第2の不具合状態であると判定した場合に、記憶部340に、データD3として第2の不具合状態を示す第2の不具合情報を記憶させる。
【0052】
なお、制御部360は、記憶部340に記憶されているデータD1とデータD2と時刻計測部370からの出力とに基づき、前述した電源部320の電圧値、第1の電圧範囲VR1、時間T2、閾値TH2を算出したり確認したりする。
【0053】
(不具合検知処理の第3の例)
図4は、制御部360による不具合検知処理の第3の例を説明するためのグラフである。図4に示すグラフについて、図2に示すグラフと共通する部分については、説明を省略する。図3に示す例では、制御部360は、電源部320の不具合の一つである過放電に基づく劣化を検出する。
【0054】
図4に示される例では、深放電域および/または過放電域に含まれる第2の電圧範囲VR2が定義される。
【0055】
不具合検知処理の第3の例では、制御部360は、電源部320の電圧値が第2の電圧範囲VR2の下限から上限に至るまでの時間に基づき、電源部320の不具合を検知する。具体的には、制御部360は、電源部320を予備充電で充電する場合に、電源部320の電圧値が第2の電圧範囲VR2の下限から上限に至るまでに要する時間T3が第3の閾値TH3以上であることを検知したときに、電源部320が第3の不具合状態であると判定する。そして、制御部360は、電源部320の状態が第3の不具合状態であると判定した場合に、記憶部340に、データD3として第3の不具合状態を示す第3の不具合情報を記憶させる。
【0056】
なお、制御部360は、記憶部340に記憶されているデータD1とデータD2と時刻計測部370からの出力とに基づき、前述した電源部320の電圧値、第2の電圧範囲VR2、時間T3、閾値TH3を算出したり確認したりする
【0057】
(不具合検知処理の第4の例)
図5は、制御部360による不具合検知処理の第4の例を説明するためのグラフである。図5に示されるグラフの縦軸は電源部320の通算充電時間T4を表す。図5に示す例では、制御部360は、電源部320における不具合の一つである電源部320の寿命を
検出する。
【0058】
制御部360は、電源部320の動作値として電源部320の通算充電時間T4を計時し、記憶部340に、計時した通算充電時間T4をデータD1として記憶させる。制御部360は、データD1に示されている電源部320の通算充電時間T4が、データD2に示されている第4の閾値TH4以上であることを検知した場合に、電源部320が第4の不具合状態であると判定する。そして、制御部360は、電源部320の状態が第4の不具合状態であると判定した場合に、記憶部340に、第4の不具合状態を示す第4の不具合情報を記憶させる。
【0059】
(不具合検知処理の第5の例)
図6は、制御部360による不具合検知処理の第5の例を説明するためのグラフである。図6に示されるグラフの縦軸は電源部320の温度を表す。図6に示す例では、制御部360は、電源部320における不具合の一つである電源部320における温度異常を検出する。
【0060】
制御部360は、電源部320の動作値として温度センサ321によって測定された電源部320の温度T5を示す情報を、温度センサ321または記憶部340に記憶されているデータD1から取得する。そして、制御部360は、電源部320の温度T5が、データD2に示されている第5の閾値TH5以上の場合に、電源部320が第5の不具合状態であると判定する。そして、制御部360は、電源部320の状態が第5の不具合状態であると判定した場合に、記憶部340に、第5の不具合状態を示す第5の不具合情報を記憶させる。
【0061】
なお、制御部360は、例えば、エアロゾル生成装置1が休止状態から活動状態に遷移するときに電源部320の温度T5を取得してもよく、ユーザによる吸引動作が行われているときに電源部320の温度T5を取得してもよく、電源部320の充電を開始するときに電源部320の温度T5を取得してもよく、電源部320を充電しているときに電源部320の温度T5を取得してもよく、そのタイミングは特に限定されない。
【0062】
以下で、制御部360が通知部350に電源部320に生じた不具合の内容または原因を通知させる不具合通知処理の具体例を説明する。
【0063】
図7は、前述した不具合検知処理の第1の例と、当該処理に関わる不具合通知処理とを示すフローチャートの例である。
【0064】
ステップS701において、制御部360は、電源部320が常用域で充電されている場合に、記憶部320に記憶されているデータD1を読み込み、電源部320の電圧値を取得する。
【0065】
ステップS702において、制御部360は、電源部320が常用域で充電されている場合に、電源部320の電圧値の所定時間T1あたりの減少量ΔVが第1の閾値TH1以上であるか否か判定する。
【0066】
減少量ΔVが第1の閾値TH1未満の場合(ステップS702:No)、処理はステップS701へ戻る。
【0067】
減少量ΔVが第1の閾値TH1以上の場合(ステップS702:Yes)、ステップS703において、制御部360は、記憶部340に、電源部320において内部短絡が生じたことを示す第1の不具合情報をデータD3として記憶させる。
【0068】
そして、ステップS704において、制御部360は、第1の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350を青色と赤色とに交互に6回点滅させる。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320において内部短絡が生じたこと通知させる。そして、処理は終了する。なお、当該処理の終了時点で、エアロゾル生成装置1の状態は、休止状態に遷移している。
【0069】
図8は、前述した不具合検知処理の第2の例と、当該処理に関わる不具合通知処理とを示すフローチャートの例である。
【0070】
ステップS801において、制御部360は、電源部320が常用域で充電されている場合に、電源部320の電圧値を取得する。
【0071】
ステップS802において、制御部360は、電源部320が常用域で充電されている場合に、電源部320の電圧値が第1の電圧範囲VR1の下限から上限に至るまでに要する時間T2が、第2の閾値TH2以下であるか否か判定する。
【0072】
時間T2が第2の閾値TH2を超える場合(ステップS802:No)、処理はステップS801へ戻る。
【0073】
時間T2が第2の閾値TH2以下の場合(ステップS802:Yes)、ステップS803において、制御部360は、記憶部340に、電源部320の容量が劣化したことを示す第2の不具合情報をデータD3として記憶させる。
【0074】
ステップS804において、制御部360は、第2の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350を青色と赤色とに交互に8回点滅させる制御を行う。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320の容量が劣化したことを通知させる。そして、処理は終了する。なお、当該処理の終了時点で、エアロゾル生成装置1の状態は、休止状態に遷移している。
【0075】
図9は、前述した不具合検知処理の第3の例と、当該処理に関わる不具合通知処理とを示すフローチャートの例である。
【0076】
ステップS901において、制御部360は、電源部320が深放電域および/または過放電域で予備充電されている場合に、電源部320の電圧値を取得する。
【0077】
ステップS902において、制御部360は、電源部320が深放電域および/または過放電域で予備充電されている場合に、電源部320の電圧値が第2の電圧範囲VR2の下限から上限に至るまでに要する時間T3が、第3の閾値TH3以上であるか否か判定する。
【0078】
時間T3が第3の閾値TH3未満の場合(ステップS902:No)、処理はステップS901へ戻る。
【0079】
時間T3が第3の閾値TH3以上の場合(ステップS902:Yes)、ステップS903において、制御部360は、記憶部340に、電源部320に過放電に基づく劣化が生じたことを示す第3の不具合情報をデータD3として記憶させる。
【0080】
ステップS904において、制御部360は、第3の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350を青色と赤色とに交互に10回点滅させる制御を行う。
すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320に過放電に基づく劣化が生じたことを通知させる。そして、処理は終了する。なお、当該処理の終了時点で、エアロゾル生成装置1の状態は、休止状態に遷移している。
【0081】
図10は、前述した不具合検知処理の第4の例と、当該処理に関わる不具合通知処理とを示すフローチャートの例である。
【0082】
ステップS1001において、制御部360は、電源部320の通算充電時間T4を取得する。例えば、制御部360は、記憶部340に記憶されているデータD1を読み込み、通算充電時間T4を取得する。
【0083】
ステップS1002において、制御部360は、電源部320の通算充電時間T4が第4の閾値TH4以上であるか否か判定する。
【0084】
通算充電時間T4が第4の閾値TH4未満の場合(ステップS1002:No)、処理はステップS1001へ戻る。
【0085】
通算充電時間T4が第4の閾値TH4以上の場合(ステップS1002:Yes)、ステップS1003において、制御部360は、記憶部340に、電源部320が寿命に達したことを示す第4の不具合情報をデータD3として記憶させる。
【0086】
ステップS1004において、制御部360は、第4の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350を青色と赤色とに交互に12回点滅させる制御を行う。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320が寿命に達したことを通知させる。そして、処理は終了する。なお、当該処理の終了時点で、エアロゾル生成装置1の状態は、休止状態に遷移している。
【0087】
図11は、前述した不具合検知処理の第5の例と、当該処理に関わる不具合通知処理とを示すフローチャートの例である。
【0088】
ステップS1101において、制御部360は、温度センサ321または記憶部340に記憶されているデータD1から電源部320の温度T5を取得する。
【0089】
ステップS1102において、制御部360は、温度T5が第5の閾値TH5以上であるか否か判定する。
【0090】
温度T5が第5の閾値TH5未満の場合(ステップS1102:No)、処理はステップS1101へ戻る。
【0091】
温度T5が第5の閾値TH5以上の場合(ステップS1102:Yes)、ステップS1103において、制御部360は、記憶部340に、電源部320に温度異常が生じたことを示す第5の不具合情報をデータD3として記憶させる。
【0092】
ステップS1104において、制御部360は、第5の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350の青色と赤色とに14回点滅させる制御を行う。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320に温度異常が生じたことを通知させる。そして、処理は終了する。なお、当該処理の終了時点で、エアロゾル生成装置1の状態は、休止状態に遷移している。
【0093】
図12は、ユーザによる吸引動作が行われた場合の第1乃至第5の不具合状態の通知処
理の例を示すフローチャートである。なお、図12に示される処理は、図7乃至図11の処理が行われた後に行われることを想定して説明されるが、それに限定されない。
【0094】
ステップS1201において、制御部360は、電源ボタン310が押下され、エアロゾル生成装置1が休止状態から活動状態に遷移したか否かを判定する。
【0095】
電源ボタン310が押下されていない場合に(ステップS1201:No)、すなわち、エアロゾル生成装置1が休止状態から活動状態に遷移していない場合に、処理はステップS1201に戻り、通知処理は進行しない。
【0096】
電源ボタン310が押下された場合に(ステップS1201:Yes)、すなわち、エアロゾル生成装置1が休止状態から活動状態に遷移した場合に、ステップS1202において、制御部360は、記憶部340に、データD3として不具合情報(具体的には、第1乃至第5の不具合情報のうちの少なくとも1つ)が記憶されているか否か判定する。
【0097】
不具合情報が記憶部340に記憶されていない場合に(ステップS1202:No)、通知処理は終了し、制御部360は通常のエアロゾル生成のための制御を行う。
【0098】
不具合情報が記憶部340に記憶されている場合に(ステップS1202:Yes)、ステップS1203において、制御部360は、センサ部330によって吸引動作が検知(例えば開始)されたか否か判定する。
【0099】
吸引が検知されていない場合に(ステップS1203:No)、処理は、ステップS1203に戻る。
【0100】
吸引が検知された場合に(ステップS1203:Yes)、ステップS1204において、制御部360は、記憶部340に、データD3として第1の不具合情報が記憶されているか否か判定する。
【0101】
第1の不具合情報が記憶部340に記憶されていた場合に(ステップS1204:Yes)、ステップS1205において、制御部360は、第1の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350を青色と赤色とに交互に6回点滅させる。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320に内部短絡の不具合が生じたことを通知させる。そして、処理は終了する。
【0102】
第1の不具合情報が記憶部340に記憶されていなかった場合に(ステップS1204:No)、ステップS1206において、制御部360は、記憶部340に、データD3として第2の不具合情報が記憶されているか否か判定する。
【0103】
第2の不具合情報が記憶部340に記憶されていた場合に(ステップS1206:Yes)、ステップS1207において、制御部360は、第2の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350を青色と赤色とに交互に8回点滅させる。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320に容量劣化の不具合が生じたことを通知させる。そして、処理は終了する。
【0104】
第2の不具合情報が記憶部340に記憶されていなかった場合に(ステップS1206:No)、ステップS1208において、制御部360は、記憶部340に、データD3として第3の不具合情報が記憶されているか否か判定する。
【0105】
第3の不具合情報が記憶部340に記憶されていた場合に(ステップS1208:Ye
s)、ステップS1209において、制御部360は、第3の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350を青色と赤色とに交互に10回点滅させる。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320に過放電に基づく劣化の不具合が生じたことを通知させる。そして、処理は終了する。
【0106】
第3の不具合情報が記憶部340に記憶されていなかった場合に(ステップS1208:No)、ステップS1210において、制御部360は、記憶部340に、データD3として第4の不具合情報が記憶されているか否か判定する。
【0107】
第4の不具合情報が記憶部340に記憶されていた場合に(ステップS1210:Yes)、ステップS1211において、制御部360は、第4の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350を青色と赤色とに交互に12回点滅させる。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320に寿命到達という不具合が生じたことを通知させる。そして、通知処理は終了する。
【0108】
第4の不具合情報が記憶部340に記憶されていなかった場合に(ステップS1210:No)、ステップS1212において、制御部360は、第5の不具合状態が記憶部340に記憶されていると判断して、第5の不具合状態を示すエラー信号を通知部350に送り、通知部350の赤色と青色とに交互に14回点滅させる。すなわち、制御部360は、通知部350に、電源部320に温度異常の不具合が生じたことを通知させる。そして、処理は終了する。
【0109】
以上説明したように、本実施形態に関わる制御部360は、例えば、充電中の電圧降下に基づく電源部320の不具合判定、充電速度に基づく電源部320の不具合判定、通算充電時間に基づく電源部320の不具合判定、電源部320の温度に基づく不具合判定を行う。そして、制御部360は、そのような判定に基づき、電源部320に不具合が生じたことを検知した場合に、不具合の内容または原因毎に異なるエラー信号を生成する。そして、制御部360は、通知部350に、当該エラー信号に基づく態様の通知をさせる。これにより、ユーザおよび/または修理者等は、通知部350に通知の態様に基づき電源部320で生じた不具合の内容または原因を容易に理解することができ、電源部320に生じた不具合の原因を理解した上で適切に対処することができる。
【0110】
また、本実施形態においては、エアロゾル生成装置1のユーザおよび/または修理者等は、電源部320に関する不具合の内容または原因を容易に把握することができる。したがって、本実施形態に関わるエアロゾル生成装置1に対して、どの様な不具合が生じたのか特定するための電気的な検査を別途行う必要はない。したがって、本実施形態においては、電力の浪費を防ぎ、省エネルギー効果を得ることができる。
【0111】
本実施形態において、制御部360は、電源部320の不具合状態を検知した場合に、複数のタイミングで、通知部350に不具合状態を通知させる。複数のタイミングのうち、第1のタイミングは、不具合状態の検知時とし、第2のタイミングは、不具合状態の検知後としてもよい。ここで、第1のタイミングにおいて電源部320から電力が供給される電源ユニット300における要素数は、第2のタイミングにおいて電源部320から電力が供給される電源ユニット300における要素数よりも多いとしてもよい。また、第2のタイミングは、エアロゾル生成装置1を電源オンの状態に遷移させる指示を検知したタイミングでもよく、第2のタイミングは、エアロゾル生成要求が検知されたタイミングでもよい。
【0112】
不具合状態を通知するタイミングについてより具体的に説明する。本実施形態に関する制御部360は、電源部320に不具合が生じた場合に、不具合の発生を検知したタイミ
ングと、当該不具合の発生を検知した後にセンサ部330がユーザによる吸引動作を検知したタイミングとに、通知部350に不具合の種類に応じた通知をさせている。しかしながら、不具合を通知するタイミングは、これらに限定されない。例えば、制御部360は、不具合の発生を検知したタイミングと、当該検知後に電源ボタン310が押下されたことを検知したタイミングとに、通知部350に不具合の種類に応じた通知をさせてもよい。また、制御部360は、センサ部330等のエアロゾル生成装置1の各部に給電することなく(エアロゾル生成装置1を休止状態から活動状態に遷移させず)、不具合の種類に応じた通知を行うとしてもよい。この場合、例えば、生じた不具合により電源部320がセンサ330等に十分な電力を供給できない場合であっても、すなわち、電源部320が各部に電力を供給しながら制御部360が通知部350に不具合の種類に応じた2回目(第2のタイミングに相当)の通知をさせることが難しい場合であっても、ユーザ等に、不具合の種類に応じた2回目の通知を行うことができる。言い換えれば、制御部360は、不具合の種類に応じた二回目の通知に要する消費電力の方が、一回目(第1のタイミングに相当)の通知に要する消費電力よりも小さくする(電源ユニット300における給電する要素数を減らす)ことができる。これにより、ユーザ等に、電源部320に不具合が生じたこと、および当該不具合の内容または種類を知らせる機会を増やすことができる。さらに、不具合が生じた電源部320に加わる負荷を軽減することができる。なお、前述した不具合の発生を検知したタイミングにおける給電を受けているエアロゾル生成装置1の要素数は、当該検知後に電源ボタン310が押下されたことを検知したタイミングにおける給電を受けているエアロゾル生成装置1の要素数よりも多いので、このような不具合を通知するタイミングを採用した場合にも、同様の効果を奏することができる。
【0113】
また、本実施形態において、不具合の通知は、例えば、不具合が検知されたタイミング、ユーザによる吸引動作が検知されたタイミング、または、エアロゾル生成装置1が活動状態に遷移したタイミングなど、様々なタイミングで行われてもよい。ユーザによる吸引動作が検知されたタイミング、または、エアロゾル生成装置1が活動状態に遷移したタイミングで不具合が通知されることにより、ユーザはエアロゾル生成装置1の使用時または使用開始時に電源部320に不具合が生じていることを容易に認識することができる。
【0114】
また、本実施形態において、図7のステップS704、図8のステップS804、図9のステップS904、図10のステップS1004、図11のステップS1104、図12のステップS1205,S1207,S1209,S1211、S1212に例示する不具合状態の種類に応じた通知態様は、自由に変更可能である。
【0115】
本実施形態において、不具合状態に含まれる複数の状態のそれぞれに、重要度が設定されてもよい。この場合、制御部360は、重要度が所定のレベルより低い状態に関して、第1のタイミングでのみ通知部350に不具合状態を通知させ、第2のタイミングでは通知部350に不具合状態を通知させなくてもよい。また、制御部360は、重要度が高く設定された状態に関する不具合状態の通知ほど、消費電力が大きくなるように通知部350に対する制御を実行してよい。
【0116】
重要度についてより具体的に説明する。制御部360は、例えば、電源部320に生じた不具合の重要度に応じて、通知態様を変更可能である。具体的には、制御部360は、例えば、重要度が所定のレベルより高い不具合が電源部320に生じた場合、当該不具合を光、振動、および音などを複合させて通知し、重要度が所定のレベル以下の不具合が生じた場合には、光のみ、振動のみ、音のみで通知を行うとしてもよい。制御部360は、重要度の高い不具合については、重要度の低い不具合よりも、消費電力の大きい方法で不具合を通知してもよい。これにより、ユーザ等に、電源部320で不具合が生じたこと、生じた不具合の内容または原因をより容易に認識させることができる。さらに、ユーザに、電源部320に生じた不具合の重要度を容易に認識させることができる。また、ユーザ
が、重要度の高い不具合が電源部320に生じたことを見落とすことを防ぐことができる。なお、不具合の重要度に関する情報は、記憶部340に記憶されていてもよい。
【0117】
また、本実施形態において、不具合の内容または原因に応じた2回目の通知の有無を、当該不具合の重要度に基づいて制御してもよい。例えば、第4の不具合情報に対応する不具合が高い重要度に設定され、第5の不具合情報に対応する不具合が低い重要度に設定されている場合に、制御部360は、第4の不具合情報に対応する不具合に関わる2回目の通知を行い、第5の不具合情報に対応する不具合に関わる2回目の通知を行わないとしてもよい。これにより、進行させないことが強く望まれる不具合に配慮した通知を、実現することができる。また、重要度の低い不具合の通知を省略することにより、電源部320に蓄えられている電力の消費を抑制することができる。
【0118】
なお、本願発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削減してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…エアロゾル生成装置、100…カートリッジユニット、110…貯留部、120…供給部、130…負荷、140…霧化部、200…カプセルユニット、210…香味源、300…電源ユニット、310…電源ボタン、320…電源部、321…温度センサ、330…センサ部、340…記憶部、D1~D3…データ、350…通知部、360…制御部、370…時刻計測部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を加熱するヒータに電力を供給する電池と、
通知部と、
前記電池に生じた不具合の内容を特定し、当該内容に応じた通知動作を前記通知部に実行させる制御部と、を備え、
前記通知部が、発光部および振動発生部を備え、
前記通知部が、前記制御部によって特定された前記電池の不具合の内容に応じて、前記発光部による発光動作および前記振動発生部による振動動作を組み合わせて、前記通知動作を所定のタイミングで実行し、
前記所定のタイミングが、前記電池から前記ヒータへ電力を供給させ、前記ヒータにエアロゾル源を加熱させるための要求の信号をユーザから受けたときを含むことを特徴とした、エアロゾル生成装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記電池の不具合の内容に応じた前記通知動作を、前記エアロゾル生成装置を活動状態に遷移させずに、前記通知部に実行させる、
ことを特徴とした、請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記電池の電圧値を取得し、
前記電池の電圧値が所定の電圧範囲であるかに基づいて、前記電池の不具合の内容を判定する
ことを特徴とした、請求項1または2に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項4】
前記電池の不具合の内容が、前記電池の充電に関わる不具合を含む、
ことを特徴とした、請求項3に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項5】
前記電池の不具合の内容が、前記電池の電圧値に基づいて前記制御部によって特定される前記電池の内部短絡であることを含む、
ことを特徴とした、請求項3または4に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項6】
前記電池の不具合の内容が、前記電池の電圧値に基づいて前記制御部によって特定される前記電池の容量の劣化であることを含む、
ことを特徴とした、請求項3~5の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項7】
前記電池の不具合の内容が、前記電池の電圧値に基づいて前記制御部によって特定される前記電池の過放電に基づく劣化であることを含む、
ことを特徴とした、請求項3~6の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項8】
前記電池の不具合の内容が、前記電池の通算充電時間に基づいて前記制御部によって特定される前記電池の寿命であることを含む、
ことを特徴とした、請求項3~7の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項9】
前記制御部が、前記電池の温度を示す情報を取得し、
前記電池の不具合の内容が、前記電池の温度を示す情報に基づいて前記制御部によって特定される前記電池の温度異常であることを含む、
ことを特徴とした、請求項1~8の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項10】
温度センサを更に備え、
前記制御部が、前記電池の温度異常の発生を前記温度センサからの出力に基づいて特定する、
ことを特徴とした、請求項9に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項11】
前記制御部が、前記電池の不具合の内容に応じて、消費電力が異なる態様で前記通知部に前記通知動作を実行させる、
ことを特徴とした、請求項1~10の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項12】
前記電池の不具合の内容に応じて特定される重要度に応じて、前記消費電力が異なる前記態様で前記通知部に前記通知動作を実行させる、
ことを特徴とした、請求項11に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項13】
前記所定のタイミングが、前記エアロゾル生成装置の状態を異なる状態に遷移させるためにボタンが押下されたときを含む、
ことを特徴とした、請求項1~12の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項14】
前記所定のタイミングが、前記前記ヒータに対し前記電池から電力が給電されているときを含む、
ことを特徴とした、請求項1~13の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。
【請求項15】
前記所定のタイミングが、前記電池が充電されているときを含む、
ことを特徴とした、請求項1~14の何れか一項に記載されたエアロゾル生成装置。