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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174902
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】遠赤染料プローブ製剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20231201BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20231201BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20231201BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12Q1/6876 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023180161
(22)【出願日】2023-10-19
(62)【分割の表示】P 2023145919の分割
【原出願日】2019-02-06
(31)【優先権主張番号】62/627,040
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】シェイラ オービン-ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】マーダド アール. マジレッシ
(72)【発明者】
【氏名】ジミーキム ファム
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ブスケ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR66
4B063QS24
4B063QS32
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】遠赤染料プローブ製剤の提供。
【解決手段】遠赤染料プローブおよび非線形界面活性剤またはフォームバンを含む、液体および凍結乾燥された製剤の両方を含む製剤が開示されている。また、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を調製するための関連方法、ならびに関連キットおよび診断製品も開示されている。本発明は、例えば、安定化された遠赤染料プローブ製剤であって、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、約0.05%(v/v)を超える濃度の非線形界面活性剤と、少なくとも1つの緩衝剤と、を含み、前記製剤が、水溶液である、製剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化された水性遠赤染料プローブ製剤を調製する方法であって、
核酸担体分子に結合した遠赤シアニン染料を希釈剤に溶解して、
前記遠赤染料プローブと、
約1%(v/v)~約20%(v/v)の濃度の非線形界面活性剤であって、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびジギトニンからなる群から選択される、前記非線形界面活性剤と、
トリス、PIPES、HEPES、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、およびヒスチジンからなる群から選択される少なくとも1つの緩衝剤と
を含む安定化された水性遠赤染料プローブ製剤を提供する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記希釈剤が前記非線形界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非線形界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート60からなる群から選択されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記遠赤シアニン染料が、シアニン5およびシアニン5.5からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記製剤中の前記遠赤染料プローブが、相対蛍光単位(RFU)での相対蛍光を有し、前記遠赤染料プローブの相対蛍光が、2~8℃での30日間の保存後に20%未満の低下を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記遠赤染料プローブが、前記希釈剤に溶解される前に凍結乾燥組成物中に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
キットであって、
(a)凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を含む第1の密封容器であって、前記凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤が、
(i)
核酸担体分子に結合した遠赤シアニン染料を含む遠赤染料プローブと、
約1%(v/v)~約20%(v/v)の濃度の非線形界面活性剤であって、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびジギトニンからなる群から選択される、前記非線形界面活性剤と、
トリス、PIPES、HEPES、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、およびヒスチジンからなる群から選択される少なくとも1つの緩衝剤と
を含む、安定化された水性遠赤染料プローブ溶液を提供する工程と、
(ii)前記水性遠赤染料プローブ溶液を凍結乾燥して、前記凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を形成する工程と
を含む方法によって調製される、前記第1の密封容器と、
(b)希釈剤を含む第2の密封容器と
を含む、キット。
【請求項8】
前記希釈剤が前記非線形界面活性剤を含む、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記非線形界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート60からなる群から選択されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである、請求項7に記載のキット。
【請求項10】
前記遠赤シアニン染料が、シアニン5およびシアニン5.5からなる群から選択される、請求項7に記載のキット。
【請求項11】
前記少なくとも1つの緩衝剤がトリスである、請求項7に記載のキット。
【請求項12】
前記トリス緩衝剤が、前記水性遠赤染料プローブ溶液中に約5mM~約50mMの濃度で存在する、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記核酸担体分子が、RNAである、請求項7~12のいずれか一項に記載のキット。
【請求項14】
前記遠赤染料プローブが、消光剤をさらに含む、請求項7~12のいずれか一項に記載のキット。
【請求項15】
前記遠赤染料プローブが、分子トーチ、分子ビーコン、およびTaqManプローブからなる群から選択される、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
安定化された遠赤染料プローブ製剤を含む密封容器を含む診断製品であって、
核酸担体分子に結合した遠赤シアニン染料を含む遠赤染料プローブと、
約1%(v/v)~約20%(v/v)の濃度の非線形界面活性剤であって、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびジギトニンからなる群から選択される、前記非線形界面活性剤と、
トリス、PIPES、HEPES、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、およびヒスチジンからなる群から選択される少なくとも1つの緩衝剤と
を含み、前記製剤は水溶液である、診断製品。
【請求項17】
前記遠赤シアニン染料が、シアニン5およびシアニン5.5からなる群から選択される、請求項16に記載の診断製品。
【請求項18】
前記安定化された遠赤染料プローブ製剤が、安定化された再構成された遠赤染料プローブ製剤である、請求項16に記載の診断製品。
【請求項19】
前記製剤中の前記遠赤染料プローブが、相対蛍光単位(RFU)での相対蛍光を有し、前記遠赤染料プローブの相対蛍光が、2~8℃での30日間の保存後に20%未満の低下を示す、請求項16~18のいずれか一項に記載の診断製品。
【請求項20】
標的核酸を検出する方法であって、
標的核酸を、(i)前記標的核酸の標的領域内に含有される第1の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含む第1の増幅オリゴマー、および(ii)前記標的核酸の前記標的領域内に含有される第2の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含む第2の増幅オリゴマーと接触させる工程と、
前記標的領域を含有する増幅産物を産出するために、前記第1および第2の増幅オリゴマーを使用して、インビトロ増幅反応を行う工程と、
前記増幅産物を、
核酸担体分子に結合した遠赤シアニン染料を含む遠赤染料プローブであって、前記核酸担体分子が、前記増幅産物内に含まれる標的配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含む、前記遠赤染料プローブと、
約1%(v/v)~約20%(v/v)の濃度の非線形界面活性剤であって、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびジギトニンからなる群から選択される、前記非線形界面活性剤と、
トリス、PIPES、HEPES、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、およびヒスチジンからなる群から選択される少なくとも1つの緩衝剤と
を含む安定化された水性遠赤染料プローブ製剤と接触させる工程と、
前記増幅産物に結合した遠赤染色プローブを検出する工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年2月6日に出願された仮出願番号62/627,040号に対する米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、配列表を含有する。2019年2月5日に作成された該ASCIIコピーは、「DIA.0041-03-PCT__ST25.txt」と名付けられ、サイズは、5KBである。
【背景技術】
【0003】
遠赤色蛍光染料を含むプローブは、例えば、インビトロ検出アッセイ、従来のおよび超解像局在性の顕微鏡法、および生細胞イメージングを含む、多くのバイオサイエンスの用途で広く使用されている。遠赤色蛍光染料はまた、他の一般的に使用されているフルオロフォアおよび蛍光タンパク質とのスペクトルの重なりが限られているため、多重化に特に便利である。しかしながら、遠赤染料プローブの製剤は、再構成および/または水性形態での保存後の蛍光信号の有意な損失のために、重大な課題を提示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明は、安定化された遠赤染料プローブ製剤を提供する。いくつかの実施形態では、製剤は、一般に、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、約0.05%(v/v)を超える濃度の非線形界面活性剤と、少なくとも1つの緩衝剤とを含み、製剤は、水溶液である。他の実施形態では、製剤は、一般に、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、約0.05%(v/v)を超える濃度のフォームバンと、少なくとも1つの緩衝剤とを含み、製剤は、水溶液である。好適な緩衝剤は、トリスであり、いくつかのそのような変形例では、トリス緩衝剤は、約5mM~約50mMの濃度で存在する。特に好適な遠赤染料には、例えば、シアニン5またはシアニン5.5などの遠赤シアニン染料が含まれる。
【0005】
上記のような非線形界面活性剤を含む安定化された遠赤染料プローブ製剤の特定の実施形態では、非線形界面活性剤は、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、またはポリソルベート60などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。他の変形例では、非線形界面活性剤は、ジギトニンである。好適な非線形界面活性剤濃度には、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、または約0.1%(v/v)~約10%(v/v)の濃度が含まれる。いくつかの実施形態では、非線形界面活性剤濃度は、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、または約1%(v/v)~約10%(v/v)、または約1%(v/v)~約2%(v/v)である。
【0006】
上記のような安定化された遠赤染料プローブ製剤のいくつかの実施形態では、担体分子は、例えば、RNAなどの核酸である。他の非相互排他的な実施形態では、遠赤染料プローブは、消光剤をさらに含み、いくつかのそのような変形例では、遠赤染料プローブは、分子トーチ、分子ビーコン、またはTaqManプローブである。いくつかの核酸プローブの実施形態では、製剤は、第1の増幅オリゴマーをさらに含み、(i)遠赤染料プローブは、標的核酸の標的領域内に含有される第1の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含み、(ii)第1の増幅オリゴマーは、標的領域内に含有される第2の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含み、(iii)第1の増幅オリゴマーは、鋳型として標的核酸を含む増幅アッセイにおいて、標的領域を含有する増幅産物を産出するように構成される。上記のような第1の増幅オリゴマーをさらに含有するいくつかの実施形態では、製剤は、標的領域内に含有される第3の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含む第2の増幅オリゴマーをさらに含み、第1および第2の増幅オリゴマーは、増幅アッセイの複数のサイクルで標的領域を増幅するように構成される。第1の増幅オリゴマーをさらに含有する製剤のいくつかの変形例では、第1の増幅オリゴマーは、第1の標的ハイブリダイズ配列の5’に位置するプロモーター配列をさらに含むプロモーターベースの増幅オリゴマーである。核酸遠赤染料プローブを含み、上記のような第1の増幅オリゴマーをさらに含有する製剤は、例えば、1つ以上のヌクレオチド三リン酸および/または1つ以上の塩もしくは補因子などの増幅アッセイを行うのに好適な1つ以上の追加の成分をさらに含み得る。
【0007】
別の態様では、本発明は、安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を調製する方法を提供する。この方法は、一般に、(a)上記のような安定化された遠赤染料プローブ製剤を提供することと、(b)水溶液を凍結乾燥して、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を形成することと、を含む。別の態様では、本発明は、前述の方法によって調製された、安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、上述のような水性製剤への再構成を可能にする、安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、(i)上記のような凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を含有する第1の密封容器と、(ii)希釈剤を含有する第2の密封容器と、を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、希釈剤は、非線形界面活性剤またはフォームバンを含み、いくつかのそのような実施形態では、非線形界面活性剤またはフォームバンは、希釈剤中に約0.05%(v/v)を超える(例えば、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、または約0.5%(v/v)~約0.5%(v/v)~約5%(v/v))濃度で存在する。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、安定化された水性遠赤染料プローブ製剤を調製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、一般に、(a)上記のような凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を提供することと、(b)凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を希釈剤に溶解して、再構成された製剤を提供することと、を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤は、非線形界面活性剤またはフォームバンを含み、いくつかのそのような実施形態では、非線形界面活性剤またはフォームバンは、希釈剤中に約0.05%(v/v)を超える(例えば、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、または約0.5%(v/v)~約0.5%(v/v)~約5%(v/v))濃度で存在する。
【0011】
他の実施形態では、安定化された水性遠赤染料プローブ製剤を調製する方法は、一般に、(a)少なくとも1つの緩衝剤と、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、を含む水溶液への再構成を可能にする凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を提供することと、(b)凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を希釈剤に溶解して、再構成された製剤を提供することと、を含み、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤のうちの少なくとも1つが、非線形界面活性剤またはフォームバンを含み、再構成された製剤が、約0.05%(v/v)を超える濃度の非線形界面活性剤またはフォームバンを含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤の両方とも、非線形界面活性剤またはフォームバンを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、遠赤染料プローブおよび少なくとも1つの緩衝剤を含む水溶液を凍結乾燥することによって、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を調製することをさらに含む。
【0012】
別の態様では、本発明は、(i)少なくとも1つの緩衝剤と、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、を含む水溶液への再構成を可能にする凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を含有する第1の密封容器と、(ii)希釈剤を含有する第2の密封容器と、を含むキットを提供し、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤のうちの少なくとも1つが、非線形界面活性剤またはフォームバンを含み、希釈剤中での凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤の再構成が、約0.05%(v/v)を超える最終的な非線形界面活性剤またはフォームバン濃度を提供する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤の両方とも、非線形界面活性剤またはフォームバンを含む。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、上述のような安定化された遠赤染料プローブ製剤を含有する密封容器を含む診断製品を提供する。
これらの態様および本発明の他の態様は、本発明の以下の詳細な説明を参照すると明らかになるであろう。
【0014】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、記載される方法および組成物に関連する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語および語句は、特に明記しない限り、それらに帰する意味を有する。
【0015】
「a」、「an」、および「the」という用語は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「遠赤染料」という用語は、約630nm~約800nmの最大発光を有する蛍光分子を指す。いくつかの実施形態では、遠赤染料は、約630nm~約750nm、約640nm~約750nm、約630nm~約700nm、約640nm~約700nm、約630nm~約680nm、または約640nm~約680nmの最大発光を有する。典型的には、遠赤染料は、長波長の励起源(例えば、約625nm~約655nmの波長を提供するレーザー源)によって励起される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「担体分子」という用語は、遠赤染料に共有結合することができる生物学的または非生物学的成分を指す。標識担体分子は、1つ以上のインビトロ、原位置、またはインビボの生物学的または生化学的標的、プロセス、または反応を監視または検出するためのプローブとして有用である。そのような成分には、例えば、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、多糖、薬物、ホルモン、脂質、リポタンパク質、脂質集合体、合成ポリマー、高分子微粒子、およびそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの変形例では、担体分子は、別の分子との特異的結合相互作用が可能な部分または領域(例えば、核酸担体分子の標的ハイブリダイズ配列、または例えば抗体の抗原結合部位などのタンパク質の結合部位)を含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、「共有結合」は、直接共有結合、またはリンカー部分に対応するいくつかの原子を介する共有結合を示す。
【0019】
本明細書に記載されるような界面活性剤を含有する凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤に関して「安定化された」という用語は、遠赤染料プローブ製剤が、検出アッセイで使用されるとき、凍結乾燥形態から水性形態への再構成時(0日目)、ならびに再構成後30日目かつ再構成された製剤を2~8℃で30日間保存した後(30日目)に、0日目に対する30日目の相対蛍光単位(RFU)の約20%未満の低下を示すことを意味する。本明細書に記載されるような界面活性剤を含有する水性遠赤染料プローブ製剤を指すために使用される場合、「安定化された」という用語は、水性遠赤染料プローブ製剤が、(a)上記で定義されたような安定化された凍結乾燥製剤から再構成されるか、または(b)上記で定義されたような安定化された凍結乾燥製剤を得るために凍結乾燥することができるかのいずれかを意味する。いくつかの変形例では、安定化された遠赤染料プローブ製剤は、約15%未満のRFU低下、約12%未満の低下、または約10%未満のRFU低下を示す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「非線形界面活性剤」という用語は、分岐鎖構造を有する界面活性剤を意味する。非線形界面活性剤は、例えば、主鎖および/または1つ以上の分岐鎖にあり得る1つ以上の環構造を含み得る。例示的な非線形界面活性剤には、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびジギトニンが含まれる。ある変形例では、非線形界面活性剤は、非イオン性である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「安定化界面活性剤」という用語は、非線形界面活性剤またはフォームバンを意味する。
【0022】
「核酸」は、窒素ヘテロ環塩基または塩基類似体を有する2つ以上の共有結合したヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を含む多量体化合物を指し、ヌクレオシドは、ホスホジエステル結合または他の結合によって互いに結合されて、ポリヌクレオチドを形成する。核酸には、RNA、DNA、またはキメラDNA-RNAポリマーもしくはオリゴヌクレオチド、およびそれらの類似体が含まれる。核酸「骨格」は、糖-ホスホジエステル結合、ペプチド-核酸結合(「ペプチド核酸」またはPNA中の、PCT第WO95/32305号を参照されたい)、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む様々な結合から構成され得る。核酸の糖部分は、リボースもしくはデオキシリボースのいずれか、または既知の置換、例えば、2’メトキシ置換および2’ハライド置換(例えば2’-F)を有する同様の化合物であり得る。窒素塩基は、従来の塩基(A、G、C、T、U)、その類似体(例えば、イノシン、5-メチルイソシトシン,イソグアニン;The Biochemistry of the Nucleic Acids 5-36,Adams et al.,ed.,11th ed.,1992、Abraham et al.,2007,BioTechniques 43:617-24)であってもよく、これは、プリンまたはピリミジン塩基の誘導体(例えば、N-メチルデオキシグアノシン、デアザ-またはアザ-プリン、デアザ-またはアザ-ピリミジン、5または6位に置換基を有するピリミジン塩基、2、6、および/または8位に改変または置き換え置換基を有するプリン塩基、例えば、2-アミノ-6-メチルアミノプリン、O-メチルグアニン、4-チオ-ピリミジン、4-アミノ-ピリミジン、4-ジメチルヒドラジン-ピリミジン、およびO-アルキル-ピリミジン、ならびにピラゾロ-化合物、例えば、非置換または3-置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン;米国特許第5,378,825号、同第6,949,367号、およびPCT第WO93/13121号)を含む。核酸は、骨格が1つ以上の残基に対して窒素塩基を含まない「脱塩基」残基を含み得る(米国特許第5,585,481号)。核酸は、RNAおよびDNAに見られるような従来の糖、塩基、および結合のみを含んでもよく、または従来の成分および置換(例えば、2’メトキシ骨格によって結合される従来の塩基、または従来の塩基および1つ以上の塩基類似体の混合物を含む核酸)を含んでもよい。核酸は、「ロックド核酸」(LNA)を含んでもよく、ここで、1つ以上のヌクレオチドモノマーは、RNA模倣糖立体構造にロックされた二環式フラノース単位を有し、これは、一本鎖RNA(ssRNA)、一本鎖DNA(ssDNA)、または二本鎖DNA(dsDNA)中の相補的配列に対するハイブリダイゼーション親和性を増強する(Vester et al.,Biochemistry 43:13233-41,2004)。核酸は、核酸の機能または挙動を変化させるための修飾塩基、例えば、さらなるヌクレオチドが核酸に付加されるのを阻止するための3’-末端ジデオキシヌクレオチドの付加を含み得る。インビトロで核酸を作製するための合成方法は、当該技術分野において周知であるが、核酸は、日常的な技術を使用して天然源から精製されてもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」は、リン酸基、5炭素糖、および窒素塩基からなる核酸のサブユニットである。RNAに見られる5炭素糖は、リボースである。DNAでは、5炭素糖は、2’-デオキシリボースである。この用語はまた、リボースの2’位にあるメトキシ基(2’-O-Me)などのそのようなサブユニットの類似体も含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「標的核酸」は、検出されるべき標的配列を含む核酸である。標的核酸は、本明細書に記載されるようなDNAまたはRNAであってもよく、一本鎖または二本鎖のいずれかであってもよい。標的核酸は、標的配列以外の他の配列を含んでもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、「標的配列」という用語は、検出されるべき標的核酸の特定のヌクレオチド配列を指す。「標的配列」には、検出プロセス(例えば、TMAまたはPCRなどの増幅ベースの検出アッセイ)中にオリゴヌクレオチド(例えば、プローブオリゴヌクレオチド、プライミングオリゴヌクレオチドおよび/またはプロモーターオリゴヌクレオチド)が複合する複合配列が含まれる。標的核酸がもともと一本鎖である場合、「標的配列」という用語はまた、標的核酸中に存在するような「標的配列」に相補的な配列を指すであろう。標的核酸がもともと二本鎖である場合、「標的配列」という用語は、センス(+)鎖およびアンチセンス(-)鎖の両方を指す。標的配列を選択する際、当業者は、無関係な標的核酸と密接に関連する標的核酸とを区別するために「特有な」配列が選択されるべきであることを理解するであろう。
【0026】
「標的ハイブリダイズ配列」は、標的核酸配列とハイブリダイズするように構成されたオリゴマーの部分を指すために本明細書において使用される。好ましくは、標的ハイブリダイズ配列は、標的核酸配列と特異的にハイブリダイズするように構成される。標的ハイブリダイズ配列は、それらがハイブリダイズするように構成された標的配列の部分に100%相補的であってもよいが、必ずしもそうでなくてよい。標的ハイブリダイズ配列はまた、標的配列に対して挿入、欠失、および/または置換されたヌクレオチド残基を含んでもよい。例えば、標的核酸が種(例えば、細菌またはウイルス種の様々な株)内の複数の株である場合、標的ハイブリダイゼーション配列の標的配列に対する100%未満の相補性が生じ得る。標的核酸に対して100%未満の相補性を有するように標的ハイブリダイズ配列を構成する他の理由が存在することが理解される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「領域」という用語は、核酸の一部分を指し、該一部分は、全核酸よりも小さい。例えば、参照される核酸がプロモーターベースの増幅オリゴマーである場合、「領域」という用語は、全オリゴヌクレオチドのより小さいプロモーター部分を指すために使用され得る。同様に、かつまた単なる例として、核酸が標的核酸である場合、「領域」という用語は、核酸のより小さい領域を指すために使用され得、より小さい領域は、1つ以上のオリゴヌクレオチドによって標的化される。
【0028】
「オリゴマー」、「オリゴ」、および「オリゴヌクレオチド」という互換性のある用語は、一般に1,000未満のヌクレオチド(nt)残基を有する核酸を指し、約5ntの残基の下限および約500~900ntの残基の上限を有する範囲内のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約12~15ntの下限および約50~600ntの上限を有するサイズ範囲にあり、他の実施形態は、約15~20ntの下限および約22~100ntの上限を有する範囲にある。オリゴヌクレオチドは、自然発生源から精製されてもよく、または様々な周知の酵素的または化学的方法のいずれかを使用して合成されてもよい。オリゴヌクレオチドという用語は、試薬に対するいかなる特定の機能も示さず、むしろ、本明細書に記載される全てのそのような試薬を網羅するために一般的に使用される。オリゴヌクレオチドは、様々な異なる機能を果たし得る。例えば、オリゴヌクレオチドが相補鎖に対して特異的、それにハイブリダイズすることが可能であり、核酸ポリメラーゼの存在下でさらに伸長することができる場合、それは、プライマーとして機能し得、オリゴヌクレオチドがRNAポリメラーゼによって認識される配列を含有し、転写を可能にする場合、それは、プライマーとして機能し、プロモーターを提供し得(例えば、T7プライマー)、オリゴヌクレオチドが標的核酸またはそのアンプリコンにハイブリダイズすることが可能であり、検出可能な部分(例えば、遠赤染料)をさらに提供する場合、それは、標的核酸を検出するように機能し得る。
【0029】
「増幅オリゴマー」は、少なくともその3’末端が標的核酸に相補的であり、標的核酸またはその相補体にハイブリダイズし、核酸増幅反応に関与するオリゴマーである。増幅オリゴマーの例は、標的核酸にハイブリダイズし、増幅プロセスにおいてポリメラーゼによって伸長される3’OH末端を含有する「プライマー」である。増幅オリゴマーの別の例は、ポリメラーゼによって伸長されない(例えば、それが3’ブロック化末端を有するため)が、増幅に関与するかまたは増幅を促進するオリゴマーである。例えば、増幅オリゴヌクレオチドの5’領域は、標的核酸に非相補的であるプロモーター配列(これは、「プロモータープライマー」または「プロモータープロバイダー」と称され得る)を含み得る。当業者は、プライマーとして機能する増幅オリゴマーが5’プロモーター配列を含むように修飾され得、したがってプロモータープライマーとして機能することを理解するであろう。3’ブロック化末端を組み込むことは、今や標的核酸にハイブリダイズし、転写を開始するのに役立つ上流プロモーター配列を提供することが可能であるが、オリゴ伸長のためのプライマーを提供しないプロモータープライマーをさらに修飾する。そのような修飾オリゴは、本明細書において「プロモータープロバイダー」オリゴマーと称される。増幅オリゴヌクレオチドのサイズ範囲は、約10~約70ntの長さであり(いかなるプロモーター配列またはポリAテールも含まない)、標的核酸配列(またはその相補鎖)の領域に相補的である少なくとも約10個の連続した塩基、さらには少なくとも12個の連続した塩基を含有するものを含む。連続した塩基は、増幅オリゴマーが結合する標的配列に少なくとも80%、または少なくとも90%、または完全に相補的である。増幅オリゴマーは、修飾されたヌクレオチドもしくは類似体、または増幅反応に関与するが、標的核酸もしくは鋳型配列に相補的でも含有されてもいない、さらなるヌクレオチドを任意に含んでもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「プロモーターベースの増幅オリゴマー」は、プロモータープライマーまたはプロモータープロバイダーのいずれかを意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、核酸に結合し、特異的部位でRNAの転写を開始する信号として、DNA依存性RNAポリメラーゼ(「転写酵素」)によって認識される特異的核酸配列である。
【0032】
「増幅」とは、標的核酸配列、またはその相補体もしくはそのフラグメントの複数のコピーを得るための任意の既知の手順を指す。複数のコピーは、アンプリコンまたは増幅産物と称され得る。既知の増幅方法としては、熱サイクル増幅法および等温増幅法の両方が挙げられる。いくつかの実施形態では、等温増幅法が好ましい。レプリカーゼ媒介増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および転写媒介または転写関連増幅が、核酸増幅法の非限定的な例である。レプリカーゼ媒介増幅は、自己複製RNA分子、およびQBレプリカーゼなどのレプリカーゼを使用する(例えば、米国特許第4,786,600号)。PCR増幅は、DNAポリメラーゼ、プライマー対、および熱サイクルを使用して、dsDNAの2つの相補鎖の複数のコピーを合成するか、またはcDNAから合成する(例えば、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号)。LCR増幅は、4つ以上の異なるオリゴヌクレオチドを使用して、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、および変性の複数サイクルを使用することによって標的およびその相補鎖を増幅する(例えば、米国特許第5,427,930号および米国特許第5,516,663号)。SDAは、制限エンドヌクレアーゼ、および標的配列を含む半修飾DNA二本鎖の一方の鎖にニックを入れるエンドヌクレアーゼの認識部位を含有するプライマー使用し、それにより、一連のプライマー伸長および鎖置換ステップで増幅が生じる(例えば、米国特許第5,422,252号、米国特許第5,547,861号、および米国特許第5,648,211号)。増幅方法には、転写媒介増幅(TMA)またはNASBAなどのRNA標的核酸の増幅に好適な実施形態が含まれる
【0033】
「転写関連増幅」はまた、本明細書では「転写媒介増幅」(TMA)と称され、RNAポリメラーゼを使用して、核酸鋳型から複数のRNA転写物を産生する核酸増幅を指す。これらの方法は、一般に、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸、およびプロモーター配列を含む鋳型相補オリゴヌクレオチドを用い、任意に1つ以上の他のオリゴヌクレオチドを含んでもよい。転写関連増幅の変形は、以前に詳細に開示されているように(例えば、米国特許第4,868,105号、同第5,124,246号、同第5,130,238号、同第5,399,491号、同第5,437,990号、同第5,554,516号、および同第7,374,885、ならびにPCT公開第WO88/01302号、同第WO88/10315号、および同第WO95/03430号)、当該技術分野において周知である。
【0034】
「増幅産物」と互換的に使用される「アンプリコン」という用語は、標的配列内に含有される配列に相補的または相同である、増幅手順の間に産生される核酸分子を指す。これらの用語は、一本鎖増幅産物、二本鎖増幅産物、または二本鎖増幅産物の鎖のうちの一方を指すために使用することができる。
【0035】
「検出オリゴヌクレオチド」および「検出プローブオリゴマー」は、標的配列または増幅された核酸の検出を可能にするために、ハイブリダイゼーションを促進する条件下で、核酸中または増幅された核酸中の標的配列に特異的にハイブリダイズする核酸オリゴマーを指すために本明細書において互換的に使用される。検出は、直接的(例えば、その標的配列に直接ハイブリダイズされたプローブ)または間接的(例えば、中間分子構造を介してその標的に結合されたプローブ)のいずれかであってもよい。検出プローブオリゴマーは、DNA、RNA、それらの類似体、またはそれらの組み合わせであり得る。検出プローブオリゴマーの「標的配列」は、一般に、標準的な塩基対合によってプローブオリゴマーの少なくとも一部に特異的にハイブリダイズする、より大きい核酸配列内のより小さい核酸配列を指す。検出プローブオリゴマーは、標的特異的配列、およびプローブの三次元立体構造に寄与する他の配列を含み得る(例えば、米国特許第5,118,801号、同第5,312,728号、同第6,849,412号、同第6,835,542号、同第6,534,274号、および同第6,361,945号、ならびに米国特許出願公開第2006/0068417号)。
【0036】
「TaqMan(登録商標)プローブ」という用語は、典型的には5’塩基に蛍光染料、典型的には3’塩基に非蛍光消光染料(消光剤)を含有する検出オリゴヌクレオチドを指す。照射されると、励起された蛍光染料は、蛍光ではなく近くの消光染料分子にエネルギーを移動し、非蛍光基質をもたらす。増幅中、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によりTaqManプローブが切断されて、フルオロフォアが消光剤から分離され、それにより、増幅の指標としてフルオロフォアから非消光信号が放出される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「分子トーチ」と称される構造は、結合領域(「標的結合ドメイン」)によって接続され、かつ所定のハイブリダイゼーションアッセイ条件下で互いにハイブリダイズする、自己相補性の異なる領域(「閉鎖ドメイン」)を含むように設計されている。標的閉鎖ドメインを含むヌクレオチド配列の全部または一部はまた、標的結合ドメインとして機能し得る。したがって、標的閉鎖配列は、標的結合配列、非標的結合配列、およびこれらの組み合わせを含むことができる。
【0038】
「ポリペプチド」または「ポリペプチド鎖」は、自然に生成されたもの、または合成によって生成されたものにかかわらず、ペプチド結合によって結合されたアミノ酸残基のポリマーである。約25個以下のアミノ酸残基のポリペプチドは、一般に「ペプチド」と称される。
【0039】
「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質はまた、炭水化物基などの非ペプチド成分を含み得る。炭水化物および他の非ペプチド置換基は、タンパク質が産生される細胞によってタンパク質に付加されてもよく、細胞の種類によって異なる。
【0040】
「ペプチドアプタマー」は、標的タンパク質に特異的に結合し、タンパク質足場内にループとして埋め込まれているペプチドである。一般的に、例えば、Li et al.,Curr.Med.Chem.18:4215-4222、2011を参照されたい。
【0041】
本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、抗原に特異的に結合する任意の免疫グロブリンタンパク質、ならびにその抗原結合断片およびその組み換え変異体を指す。したがって、「抗体」という用語には、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ならびにFab、Fab’、F(ab’)、およびF(v)断片などの無傷の抗体のパラトープを含有する抗原結合抗体断片が含まれる。キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖Fvフラグメント、一本鎖抗体、ダイアボディ、ミニボディ、線状抗体、多価または多特異的ハイブリッド抗体などの遺伝子組み換えされた無傷抗体および断片も含まれる。したがって、「抗体」という用語は、抗体の抗原結合部位を含み、その抗原に結合することができる任意のタンパク質を含むように広範に使用される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」という用語は、本明細書で説明される例示的または適切な濃度を変更または達成するのに好適な溶液を指す。
【0043】
「容器」という用語は、例えば保存のために、物体または液体をその中に配置または収容することができるもの(例えば、ホルダー、容器、器など)を指す。
【0044】
本明細書における数値範囲(例えば、「X~Y」または「X~Y」)への言及は、範囲を定義する端点および範囲内に入る全ての値を含む。
【0045】
文脈からそうでないことが明らかでない限り、値が「約」Xまたは「およそ」Xとして表現される場合、Xの記載値は、±10%まで正確であると理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、非線形界面活性剤およびフォームバンから選択される界面活性剤を含む遠赤染料プローブの安定化された製剤を提供する。製剤は、部分的には、界面活性剤含有製剤が、安定化界面活性剤を含有していない製剤と比較して、水性形態で長期にわたって保存された場合に、遠赤染料プローブの蛍光信号強度(RFU)の損失の減少を示すという驚くべき観察に基づいている。理論に拘束されるつもりはないが、本発明者らは、安定化界面活性剤の非存在下での緩衝剤中の遠赤染料プローブは、時間の経過とともに凝集して、組織化された構造(例えば、ミセル)を形成し、そこで、より多くの非極性フルオロフォア分子が非常に密接に接触し、自己消光する傾向があり、安定化界面活性剤(例えば、非極性の非線形界面活性剤)の存在下では、フルオロフォア分子がもう近接せず、そのため自己消光できないように、遠赤染料プローブの凝集が破壊されると考える。特に好適な非線形界面活性剤には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート60)およびジギトニンが含まれる。
【0047】
特定の実施形態では、安定化された遠赤染料プローブ製剤は、水性製剤である。そのような製剤は、例えば、事前に凍結乾燥された製剤、または凍結乾燥された形態から再構成されたものであってもよい。いくつかの変形例では、製剤は、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、非線形界面活性剤およびフォームバンから選択される、約0.05%(v/v)を超える濃度の界面活性剤と、少なくとも1つの緩衝剤とを含有する水溶液として提供される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.06%(v/v)~約3%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約3%(v/v)、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約0.5%(v/v)~約3%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、約1%(v/v)~約10%(v/v)、または約1%(v/v)~約3%(v/v)の濃度で存在する。より具体的な変形例では、界面活性剤は、約0.41%(v/v)、約0.62%(v/v)、約1%(v/v)、約1.24%(v/v)、約1.5%(v/v)、約1.6%(v/v)、または約3%(v/v)の濃度で存在する。
【0048】
緩衝剤は、典型的には、例えばインビトロまたは原位置アッセイなどの生物系における遠赤染料プローブの使用に好適なpHを維持するのに十分な濃度で存在する。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、約5.5~約8.5、約6.0~約8.0、約6.5~約8.0、または約6.5~約7.5の範囲のpHを維持するのに十分な濃度で存在する。好適な緩衝剤には、トリス(2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)、PIPES(ピペラジン-N、N’-ビス(2-エタンスルホン酸))、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、およびヒスチジンが含まれる。特定の実施形態では、Tris緩衝剤は、約5mM~約50mMまたは約10mM~約50mMの濃度で存在する。本発明による製剤のための緩衝剤の他の好適な濃度は、当業者によって容易に決定され得る。
【0049】
特定の変形例では、製剤、例えば凍結乾燥に好適なもの、凍結乾燥形態から再構成されたもの、または本明細書に記載されるような水性製剤に再構成するための凍結乾燥された製剤は、凍結保護剤を含有し得る。例示的な凍結保護剤には、グリセロール、非還元糖、例えば、スクロース、ラフィノース、またはトレハロース、およびアミノ酸、例えば、グリシン、アルギニン、またはメチオニンが含まれる。凍結乾燥時の担体分子の許容できない量の分解および/または凝集を防止するための好適な濃度の選択を含む、凍結保護剤の使用は、当技術分野において一般に周知である。凍結保護剤がグリセロールであるいくつかの変形例では、水性製剤中の凍結保護剤濃度は、約1%(v/v)~約10%(v/v)、約2%(v/v)~約8%(v/v)、または約2%(v/v)~約5%(v/v)の範囲にある。
【0050】
本明細書に記載される安定化された製剤中の遠赤染料プローブの濃度は、特定のプローブ担体分子および所望の用途に応じて異なり、好適なプローブ濃度は、特定の用途に関連して当業者によって容易に決定され得る。特定の変形例では、遠赤染料プローブ(例えば、核酸担体分子を含む遠赤染料プローブ)は、約0.01μM~約50mM、約0.01μM~約5mM、約0.05μM~約500μM、約0.05μM~約100μM、約0.1μM~約100μM、または約0.1μM~約50μMの濃度で安定化された製剤中に存在する。他の変形例では、遠赤染料プローブ(例えば、核酸担体分子を含む遠赤染料プローブ)は、約0.001mg/mL~約100mg/mL、約0.001mg/mL~約50mg/mL、約0.01mg/mL~約25mg/mL、または約0.01mg/mL~約10mg/mLの濃度で安定化された製剤中に存在する。
【0051】
本発明に従って使用するのに好適な遠赤染料には、Cyanine5(Cy5)、Cyanine5.5(Cy5.5)、ALEXA FLUOR(登録商標)633、ALEXA FLUOR(登録商標)635、ALEXA FLUOR(登録商標)647、QUASAR(登録商標)705、QUASAR(登録商標)650、DYLIGHT(登録商標)649、DYLIGHT(登録商標)650、HILYTE(商標)647、ATTO(商標)647、およびAllophycocyanin(APC)が含まれる。CyLyte Fluor染料およびHILYTE Fluor染料は、カリフォルニア州フリーモントのAnaSpec、Inc.から入手可能である。ALEXA FLUOR染料は、マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientificから入手可能である。ATTO(商標)647、およびAllophycocyanin(APC)は、ミズーリ州セントルイスのMillipore-Sigmaから入手可能である。Cyanine5とCyanine5.5は、バージニア州スターリングのGlen Researchから入手可能である。QUASAR650およびQUASAR705は、カリフォルニア州ペタルマのLGC Biosearch Technologiesから入手可能である。その他の供給会社には、Dyomics(イエナ、ドイツ)およびAtto-Tec GmbH(ジーゲン-ワイデナウ、ドイツ)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、遠赤染料は、例えば、Cy5、Cy5.5、ALEXA FLUOR647、またはATTO647などの遠赤シアニン染料である。
【0052】
本発明に従って、様々な担体分子を使用することができる。好適な担体分子には、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)、アミノ酸、タンパク質(例えば、ペプチド、抗体)、多糖類、ホルモン、薬物、脂質、リポタンパク質、脂質集合体、合成ポリマー、高分子微粒子、およびそれらの組み合わせが含まれ得る。別の分子との特異的結合相互作用が可能な部分または領域を含む担体分子が特に好適である。
【0053】
特定の変形例では、プローブ担体分子は、例えば標的核酸などの標的分子に特異的に結合する核酸である。特に好適な核酸担体分子には、標的核酸の標的領域に含有される標的配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。オリゴヌクレオチド担体は、例えば、DNAもしくはRNAオリゴマー、またはDNAとRNAヌクレオチドとの組み合わせを含有するオリゴマー、または修飾骨格で合成されたオリゴマー、例えば、1つ以上の2’-メトキシ置換リボヌクレオチドを含むオリゴマーであり得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド担体分子を含むプローブは、遠赤染料に加えて消光剤を含み、この組み合わせは、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイにおいて特に有用であり、そのようなプローブの具体的な変形例には、例えば、TaqMan検出プローブ(Roche Molecular Diagnostics)および「分子ビーコン」(例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、Tyagi et al.,Nature Biotechnol.16:49-53,1998、米国特許第5,118,801号および同第5,312,728号を参照されたい)が含まれる。
【0054】
標的ハイブリダイズ配列を含むオリゴヌクレオチド担体分子は、非標的ハイブリダイズ配列をさらに含み得る。非標的ハイブリダイズ配列を含むオリゴヌクレオチドプローブの具体的な実施形態は、例えば、一般にヘアピンと称される立体構造などの、分子内ハイブリダイゼーションによって保持される立体構造を形成するプローブを含む。特に好適なヘアピンプローブには、「分子トーチ」(例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,849,412号、同第6,835,542号、同第6,534,274号、および第6,361,945号を参照されたい)、および「分子ビーコン」(例えば、Tyagi et al.、上記、US5,118,801およびUS5,312,728、上記を参照されたい)が含まれる。そのようなヘアピンプローブを使用するための方法は、当技術分野で周知である。他の実施形態では、オリゴヌクレオチド担体分子は、分子内結合によって保持される立体構造を実質的に形成しない線状オリゴマーである。
【0055】
他の実施形態では、プローブ担体分子は、タンパク質である。特に好適なタンパク質担体分子には、抗体、ならびに例えばペプチド(例えば、神経ペプチド、ペプチドホルモン)、ペプチドアプタマー、抗体結合タンパク質、毒素、レクチン、成長因子、サイトカイン、酵素、および酵素基質などの別の分子に対して結合特異性を有する他のタンパク質が含まれる。抗体結合タンパク質は、例えば、プロテインA、プロテインG、可溶性Fc受容体、プロテインL、抗IgG、抗IgA、抗IgM、抗IgD、抗IgE、およびそれらの断片を含み得る。いくつかの変形例では、ペプチド担体分子は、細胞輸送メカニズムによる特定の細胞下部構造内の局在化のために結合した遠赤染料を標的化することにより、オルガネラ局在化ペプチドとして機能することができる。いくつかの変形例では、タンパク質担体分子(例えば、抗体、ペプチド、ペプチドアプタマー、レクチン)は、細胞表面分子に特異的に結合し、抗体などの細胞表面結合タンパク質が、例えば、顕微鏡法、細胞計数、細胞選別、およびバイオマーカー検出を含む、例えば、様々な細胞画像化およびフローサイトメトリー用途で使用され得る。
【0056】
さらに他の実施形態では、担体分子は、糖脂質、リン脂質、およびスフィンゴ脂質を含む脂質(例えば、6~25個の炭素を有する脂質)を含む。いくつかの変形例では、担体分子は、脂質集合体(例えば、リポソーム)であるか、またはリポタンパク質である。いくつかの親油性置換基は、結合された遠赤染料の細胞または細胞小器官への輸送を促進するのに有用である。
【0057】
核酸およびタンパク質などの生体分子を含む担体分子に蛍光標識を結合させて、標識プローブを生成するための方法は、一般に当技術分野で周知であり、本発明に従って遠赤染料プローブを調製する際に当業者によって容易に利用される。
【0058】
本明細書に記載されるような遠赤染料プローブを含む安定化された製剤は、プローブを利用するアッセイを行うための1つ以上の追加の成分をさらに含み得る。例えば、オリゴヌクレオチド担体分子を含む安定化された遠赤染料プローブ製剤のいくつかの実施形態では、製剤は、増幅および検出アッセイにおいてオリゴヌクレオチドによって特異的にハイブリダイズ可能な増幅産物を産生するための1つ以上の増幅オリゴマーをさらに含む。したがって、いくつかの変形例では、遠赤染料プローブに結合したオリゴヌクレオチドを含む遠赤染料プローブ製剤は、第1の増幅オリゴマーをさらに含み、(i)オリゴヌクレオチドは、標的核酸の標的領域内に含有される第1の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含み、(ii)第1の増幅オリゴマーは、標的領域内に含有される第2の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含み、(iii)第1の増幅オリゴマーは、鋳型として標的核酸を含む増幅アッセイにおいて、標的領域を含有する増幅産物を産出するように構成される。いくつかのそのような実施形態では、製剤は、標的領域内に含有される第3の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含む第2の増幅オリゴマーをさらに含み、第1および第2の増幅オリゴマーは、増幅アッセイの複数のサイクルで標的領域を増幅するように構成される。1つ以上の増幅オリゴマーをさらに含有する製剤のいくつかの変形例では、増幅オリゴマー(複数可)は、標的領域の転写関連増幅を行うように構成され、例えば、上記のような第1の増幅オリゴマーをさらに含むいくつかの態様では、第1の増幅オリゴマーは、第1の標的ハイブリダイズ配列の5’に位置するプロモーター配列(例えば、T7プロモーター配列)をさらに含むプロモーターベースの増幅オリゴマーである。1つ以上の増幅オリゴマーをさらに含有する製剤のさらに他の非相互排他的な実施形態では、増幅オリゴマー(複数可)は、2つ以上の別個の相(本明細書では、「多相性」核酸増幅)とも称される)を含む増幅手順の別個の相を行うように構成され、そのような増幅システムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Nelsonらの米国特許第9,139,870号に記載されている。上記のような1つ以上の増幅オリゴマーをさらに含有する製剤は、例えば、塩、補因子、ヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、ATP、CTP、GTP、UTP)、および/または酵素(例えば、逆転写酵素および/またはRNAポリメラーゼ)などの、増幅アッセイを行うのに好適な1つ以上の追加の成分をさらに含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような安定化された遠赤染料プローブ製剤は、遠赤染料プローブの濃縮調製物であり(例えば、任意に、増幅および検出アッセイを行うための1つ以上の追加の成分を有する含むオリゴヌクレオチド遠赤染料プローブ)、しばしばアッセイで使用するためのバルク生成物として有用である。
【0060】
典型的な変形例では、製剤は、長期間にわたって安定している。例えば、製剤は、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、または少なくとも約6ヶ月間安定であり得る。いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約24ヶ月、または少なくとも約30ヶ月安定している。
【0061】
本明細書に記載されるような安定化された遠赤染料プローブ製剤は、約-80℃~約40℃、約-20℃~約25℃、約0℃~約25℃、約0℃~約15℃、約0℃~約10℃、または約2℃~約8℃の温度で保存され得る。様々な実施形態では、製剤は、約0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃で保存され得る。一般に、製剤は、安定しており、これらの範囲で活性を保持する。いくつかの変形例では、製剤は、約-80℃~約25℃または約4℃~約25℃で安定している。より具体的な変形例では、液体製剤は、約-80℃~約-20℃、約-80℃~約4℃、または約-80℃~約25℃の温度で安定している。他の特定の変形例では、凍結乾燥された製剤は、約4℃~約25℃または約4℃~約40℃の温度で安定している。上記の温度の中間の範囲、例えば、約2℃~約18℃もまた、本発明の一部であることが意図される。例えば、上記の値のいずれかの組み合わせを上限および/または下限として使用する値の範囲が含まれることが意図される。
【0062】
具体的な実施形態では、長期保存のために、本明細書に記載されるような水性製剤を、例えば、バイアル、アンプル、または他の容器に等分し、当技術分野で既知の手順に従って凍結乾燥し得る。凍結乾燥された生成物は、典型的には、粉末またはケーキのような見た目である。次に、容器を密封し、いくつかのそのような変形例では、シールは、シールを通って容器に希釈剤を後で注入することを可能にする。水性製剤からそのような安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を調製する方法、ならびにそのような方法によって調製された、凍結乾燥された製剤は、本発明の追加の態様である。さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載されるような水性遠赤染料プローブ製剤への再構成を可能にする、安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を提供する。
【0063】
本明細書に記載されるような凍結乾燥された製剤から安定化された水性遠赤染料プローブ製剤を調製する方法もまた、本発明に網羅され、そのような方法は、一般に、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を好適な希釈剤に溶解して、再構成された製剤を提供することを含む。好適な希釈剤は、例えば、遠赤染料プローブの意図される使用に応じて、当業者により容易に選択され得、例えば、水または緩衝剤(例えば、トリス)を含有する水溶液を含み得る。いくつかの実施形態では、希釈剤は、安定化された凍結乾燥製剤に含有されるものなどの安定化界面活性剤を含有する。したがって、いくつかの変形例では、希釈剤は、非線形界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはジギトニン)またはフォームバンを含有し、いくつかのそのような実施形態では、安定化界面活性剤は、希釈剤中に約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.06%(v/v)~約5%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約5%(v/v)、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、または約0.5%(v/v)~約5%(v/v)の濃度で存在する。
【0064】
関連する態様では、本明細書に記載されるような水性の安定化された遠赤染料プローブ製剤は、一般に、(a)少なくとも1つの緩衝剤と、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブとを含む水溶液への再構成を可能にする凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を提供するステップと、(b)(a)の凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を希釈剤に溶解して、再構成された製剤を提供するステップと、を含む方法によって調製され、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤のうちの少なくとも1つが、非線形界面活性剤またはフォームバンを含有し、再構成された製剤が、非線形界面活性剤またはフォームバンを約0.05%(v/v)を超える濃度で含有する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された製剤のみが安定化界面活性剤を含み、いくつかのそのような変形例では、安定化界面活性剤は、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、または約1%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で、凍結乾燥された製剤が由来する水溶液中に存在する。他の実施形態では、希釈剤のみが安定化界面活性剤を含み、いくつかのそのような変形例では、安定化界面活性剤は、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、または約1%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で希釈剤中に存在する。さらに他の実施形態では、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤の両方が、非線形界面活性剤またはフォームバンを含有し、いくつかのそのような変形例では、安定化界面活性剤は、希釈剤中での凍結乾燥された製剤の再構成時に、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、または約1%(v/v)~約10%(v/v)の最終界面活性剤濃度を生成するように構成された濃度で凍結乾燥された製剤および希釈剤中に存在する。上記の方法は、遠赤染料プローブおよび少なくとも1つの緩衝剤を含む水溶液を凍結乾燥することにより、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を調製することをさらに含み得る。
【0065】
本発明の特定の態様では、本明細書に記載されるような安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を含有する容器が、希釈剤を含有する第2の容器を有するキットで提供される。希釈剤は、凍結乾燥された製剤からの再構成された製剤の調製に関して上記で論じたような非線形界面活性剤またはフォームバンを含有し得る。遠赤染料プローブ製剤および希釈剤は、様々な異なる実施形態でパッケージされてもよく、当業者は、本発明が多くの異なるキット構成を包含することを理解するであろう。例えば、遠赤染料プローブが、核酸標的領域に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含有するオリゴヌクレオチド担体分子を含む実施形態の場合、キットは、標的領域を増幅するための1つ以上の増幅オリゴマーを含有する第3の容器をさらに含み得る。遠赤染料プローブ製剤が、標的領域に特異的に結合する増幅オリゴマーを含むいくつかのそのような変形例では、第3の容器は、標的領域に特異的に結合し、増幅アッセイにおいて、標的領域を含有する増幅産物を産出するように構成される、第2の増幅オリゴマーを含み得、そのようなキットの実施形態は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、例えばNelsonらに対する米国特許第9,139,870号に記載されるような多相増幅システムに使用され得る。増幅および検出アッセイで使用するためのオリゴヌクレオチド遠赤得染料プローブを含むキットは、例えば、緩衝剤、塩溶液、適切な三リン酸ヌクレオチド(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、ATP、CTP、GTP、UTP)、および/または酵素(例えば、逆転写酵素および/またはRNAポリメラーゼ)などのインビトロ増幅を行うのに好適な他の試薬を含有し得る。特定の実施形態では、キットは、本発明に従って方法を実践するための指示書一式をさらに含み、指示書は、パッケージ挿入物および/またはキットもしくはその構成要素のパッケージングと関連し得る。
【0066】
関連する態様では、本発明は、(i)少なくとも1つの緩衝剤と、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブとを含む水溶液への再構成を可能にする凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を含有する第1の密封容器と、(ii)希釈剤を含有する第2の密封容器と、を含むキットを提供し、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤のうちの少なくとも1つが、非線形界面活性剤またはフォームバンを含み、希釈剤中での凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤の再構成が、約0.05%(v/v)を超える非線形界面活性剤またはフォームバンの最終濃度を提供する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された製剤のみが安定化界面活性剤を含み、いくつかのそのような変形例では、安定化界面活性剤は、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、または約1%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で、凍結乾燥された製剤が由来する水溶液に存在する。他の実施形態では、希釈剤のみが安定化界面活性剤を含み、いくつかのそのような変形例では、安定化界面活性剤は、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、または約1%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で希釈剤中に存在する。さらに他の実施形態では、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤の両方が、非線形界面活性剤またはフォームバンを含有し、いくつかのそのような変形例では、安定化界面活性剤は、希釈剤中での凍結乾燥された製剤の再構成時に、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、または約1%(v/v)~約10%(v/v)の最終界面活性剤濃度を生成するように構成された濃度で凍結乾燥された製剤および希釈剤中に存在する。既に述べたように、遠赤染料プローブ製剤および希釈剤は、様々な異なる実施形態でパッケージされてもよく、当業者は、本発明が多くの異なるキット構成を包含することを理解するであろう。
【0067】
さらに別の態様では、本発明は、上記の安定化された遠赤染料プローブ製剤を含有する密封容器を含む診断製品を提供する。いくつかの変形例では、安定化された遠赤染料製剤は、本明細書に記載されるような凍結乾燥された製剤である。
【0068】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例0069】
特に明記しない限り、本明細書に記載されるRT-TMAベースのアッセイで一般的に使用される試薬には、以下が含まれる。標的捕獲試薬(TCR)製剤:250mMのHEPES、1.88MのLiCl、310mMのLiOH、100mMのEDTA、pH6.4、および250μg/mLの共有結合した(dT)14オリゴマー(配列番号20)を有する常磁性粒子(0.7~1.05ミクロン粒子、Sera-Mag(商標)MG-CM)。洗浄液製剤:10mMのHEPES、150mMのNaCl、6.5mMのNaOH、1mMのEDTA、0.3%(v/v)のエタノール、0.02%(w/v)のメチルパラベン、0.01%(w/v)のプロピルパラベン、および0.1%(w/v)のラウリル硫酸ナトリウム、pH7.5。増幅試薬およびプロモーター試薬製剤:11.61mMのトリス塩基、14.94mMのトリス-HCl、28.5mMのMgCl2、23.30mMのKCl、3.3%グリセロール、0.02%PRO CLIN300、0.05mMの酢酸亜鉛二水和物、各々0.76mMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP、各々6.50mMのATP、CTP、およびGTP、7.50mMのUTP、これらにプライマーが添加される。酵素試薬製剤:57.46mMのHEPES、49.58mMのN-アセチル-L-システイン、0.98mMのEDTA遊離酸、0.039mMのEDTA二ナトリウム二水和物、0.10v/vのTRITON(登録商標)X-100、49.61mMのKCl、0.20v/vのグリセロール、0.03w/vのトレハロース二水和物、MMLV逆転写酵素(RT)、およびT7RNAポリメラーゼ。
【0070】
二相性リアルタイムTMAフォーマットのStratagene Mx3000を使用して、増幅および検出反応を行った。簡単に言えば、試料を、標的捕獲オリゴマー(配列番号:1、7、11、および16、各々15pmol/rxn)およびT7プライマー(配列番号:3、4、9、13、および18、各々5pmol/rxn)を含有する100μlのTCRで、30分間62℃でインキュベートし、次に室温まで20分間降下させて、ハイブリダイゼーション複合体(磁気ビーズ-dT14:標的捕獲オリゴマー:標的核酸:T7プライマー)を形成した。ハイブリダイゼーション複合体を洗浄し、非T7プライマー(配列番号2、8、12、および17、各々15pmol/rxn)を含有する増幅試薬に溶出した。酵素試薬(25μl)の添加、および続くプロモーター試薬(25μl)の添加中、試料を43℃でインキュベートした。プロモーター試薬は、T7プライマー(配列番号3、4、9、13、および18、各々15pmol/rxn)およびトーチオリゴ(配列番号5、6、10、14、15、および19、各々15pmol/rxn)を含有した。標的アンプリコンへのトーチの結合を反映し、消光剤からの染料分離をもたらす蛍光発光を、Stratagene機器で、リアルタイムで30秒ごとに1時間測定した。標的の増幅について蛍光曲線プロファイルを分析した。例えば、米国特許第9,139,870号B2を参照されたい。各条件の標的核酸は、Lactobacillus
crispatus、Gardnerella vaginalis、Eggerthella lentaからの溶解物、または捕獲、増幅、および検出反応を行うための標的のための標的捕獲オリゴマー、T7プライマー、非T7プライマー、およびトーチとのハイブリダイゼーション用の配列を少なくとも含むインビトロ転写物のいずれかであった。(溶解物を調製するための細菌株は、バージニア州マナサスのATCCから購入した。カタログ番号ATCC33820、ATCC14018、およびATCC25559)。
【0071】
実施例1
いくつかの実験を行い、Cy5.5染料含有溶液の30日間のインキュベーション後に見られたCy5.5RFU信号の25~70%の低下が示された。インキュベートされたCy5.5染料含有溶液を、概して上述されたように、リアルタイム(RT)TMAアッセイで使用した。この実施例のCy5.5染料は、内在性コントロール標的核酸を検出するためにトーチオリゴヌクレオチドに取り付けた。FAM、HEX、およびROXトーチは、30日間のインキュベーション後に約10%のみ低下したが、内在性コントロールCy5.5トーチでの35%の低下を示す、いくつかの代表的なデータを以下の表1に示す。様々な遠赤染料ならびに代替の緩衝製剤で追加の研究が試され、時間の経過とともに同様の信号の低下が見られた。信頼性の低い信号が無効なアッセイ結果を提供するため、RFU信号の大幅な減少を示す保存された遠赤染料含有試薬は、使用できなくなる。そのため、これらの染料からのRFU信号を利用するアッセイにおいて後で使用するために、遠赤染料含有溶液を保存することは推奨されず、代わりに、未使用部分を破棄することが推奨される。
【表1】
【0072】
上記のように、Cy5.5染料含有溶液を30日間インキュベートした。リアルタイム増幅および検出反応で保存された溶液を使用する前に、Cy5.5染料含有溶液の一部を、10分間、80℃に加熱し、別の部分はしなかった。次に、各Cy5.5染料含有条件を増幅および検出反応に使用し、結果を表2に示す。これらの結果は、非加熱対照と比較して、80℃/10分の加熱ステップにより、Cy5.5RFU信号の損失が完全に回復したことを示す。これは、インキュベートしされた溶液中の遠赤染料信号の損失が、染料の分解によるものではないことを示すが、Cy5.5フルオロフォアが互いに接近して互いに消光するミセル形成を指し示す。
【表2】
【0073】
時間の経過とともに発生するミセル形成を分解するために、非イオン性界面活性剤をさらに含有する遠赤染料含有溶液について、30日間の保存測定を繰り返した。この実験では、TRITON(登録商標)X-100またはTWEEN(登録商標)20(ミズーリ州セントルイスのMillipore Sigma、カタログ番号93443およびP1379)を非イオン性界面活性剤として使用した。遠赤の染料を含む溶液は、上記のように、Cy5.5標識分子トーチおよび様々な濃度のTRITON(登録商標)X-100またはTWEEN(登録商標)20のいずれかを含有するプロモーター試薬であった。溶液を38日間または40日間保存し、その後、リアルタイム等温増幅および検出反応で使用した。結果を表3および表4に示す。
【0074】
23%低下した、TRITON(登録商標)X-100を使用しない対照条件と比較して、プロモーター試薬へのTRITON(登録商標)X-100の添加により、0日間~40日間の保存でCy5.5RFU信号が70%以上低下した(表3を参照されたい)。
【表3】
【0075】
29%低下した、TWEEN(登録商標)20を使用しない対照条件と比較して、プロモーター試薬へのTWEEN(登録商標)20の添加により、0日~38日間の保存でCy5.5RFU信号の最小限の低下が生じた。表4に示されるように、0日目~38日目で29%低下した、対照条件(つまり、TWEEN(登録商標)20が添加されていない)と比較して、1%~20%のTWEEN(登録商標)20では、0日目~38日目でCy5.5RFU信号の4.6%~10.4%の低下のみが見られた。
【表4】
【0076】
1%またはそれ以下のTWEEN(登録商標)20の濃度をいくつかのプロモーター試薬に添加し、上記のような増幅および検出反応で試験した。標的核酸の増幅と検出に使用するためのプロモーター試薬を、Cy5.5標識トーチオリゴヌクレオチドを含み、1%のTWEEN(登録商標)20、0.03%のTWEEN(登録商標)20、または0.001%のTWEEN(登録商標)20も含むように調製した。次に、0日目と42日間の保存後(42日目)に、様々なプロモーター試薬条件をリアルタイム等温増幅および検出反応に使用した。結果を表5に示す。0日目~42日目までのCy5.5RFU信号の低下は、プロモーター試薬がより低い濃度のTWEEN(登録商標)20を含有した条件でより顕著であった。
【表5】
【0077】
さらなる実験では、他の界面活性剤を遠赤染料含有溶液に添加した。プロモーター試薬を増幅および検出反応で使用するために調製した。Cy5.5トーチを含有するプロモーター試薬をバルク溶液で調製した。次に、バルク溶液をいくつかの条件に分離し、条件の各々は、TWEEN(登録商標)40(Millipore Sigma、カタログ番号P1504)、TWEEN(登録商標)60(Millipore Sigma、カタログ番号P1629)、シンペロニック(Millipore Sigma、カタログ番号7579)、フォームバン(Munzing、カタログ番号MS-575)、およびジギトニン(Millipore Sigma、カタログ番号D141)の界面活性剤(1%v/v)のうちの1つを含有した。次に、各条件を、0日目、保存17日後(17日目)、および保存38日後(38日目)にリアルタイム等温増幅および検出反応に使用した。表6に示されるように、TWEEN(登録商標)40、TWEEN(登録商標)60、フォームバン、およびジギトニンは、0日間~38日間の保存で、Cy5.5RFU信号の最小源の低下をもたらした。シンペロニックは、Cy5.5RFU信号の低下を減少させなかった。TRITON(登録商標)X-100のように、Synperonicは、線形構造を有し、これは、遠赤染料分子のミセル形成を妨害する際にこれらの界面活性剤の効率を低下させる可能性がある。TWEEN(登録商標)ならびにジギトニンは、分岐構造を有し、これは、より乱雑にするため、ミセル形成をあまり助長しないはずである。
【表6】
【0078】
追加のジギトニンおよびシンペロニック界面活性剤の構造を以下に示す。
ジギトニン:
【化1】
シンペロニックF108:
【化2】
【0079】
遠赤染料および界面活性剤を含有するいくつかの溶液を調製し、凍結乾燥した。次に、凍結乾燥した組成物を、やはり界面活性剤を含有する希釈剤で再構成した。次に、再構成した溶液をリアルタイム増幅および検出アッセイで使用した。1つの構成では、表7に示されるように、上記のプロモーター試薬を、Cy5.5標識トーチおよびTWEEN(登録商標)-20を含有するように調製した。凍結乾燥したペレットの物理的特性を評価し、次に、許容可能な特性を有するペレットを1%のTWEEN(登録商標)-20を含有する希釈剤で再構成して、再構成したプロモーター試薬中に1.41%のTWEEN(登録商標)-20~2.24%のTWEEN(登録商標)-20を含有する溶液を調製した。次に、再構成したプロモーター試薬を、0日目および30日目にリアルタイム増幅および検出アッセイで使用し、0日目~30日目の間に大幅な低下を伴わずに堅牢なCy5.5RFU信号を得た。凍結乾燥サイクル後に観察された、劣った物理的特性には、過剰な界面活性剤を含有する凍結乾燥前の溶液は、完全に凍結乾燥しなかった(部分的に液体形態のままであった)、そして界面活性剤をほとんど含有しない凍結乾燥前の溶液は、青い点を示した(遠赤染料成分のミセル形成を示す)、ということが含まれた。したがって、遠赤染料含有溶液の製剤によって、凍結乾燥前の溶液中の界面活性剤濃度は、凍結乾燥前の短いインキュベーション期間中のミセル形成を防ぐために、最小量であることだけが必要とされる。次に、遠赤染料成分のより長期のインキュベーション保護を提供するために必要な残りの界面活性剤は、界面活性剤含有再構成溶液(希釈剤)を使用して提供される。
【表7】
【表8-1】
【表8-2】
【0080】
例示的な実施形態
実施形態1
安定化された遠赤染料プローブ製剤であって、
担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、
約0.05%(v/v)を超える濃度の非線形界面活性剤と、
少なくとも1つの緩衝剤と、を含み、
製剤が、水溶液である、製剤。
【0081】
実施形態2
遠赤染料が、遠赤シアニン染料である、実施形態1に記載の製剤。
【0082】
実施形態3
遠赤シアニン染料が、シアニン5およびシアニン5.5からなる群から選択される、実施形態2に記載の製剤。
【0083】
実施形態4
非線形界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびジギトニンからなる群から選択される、実施形態1~3のいずれかに記載の製剤。
【0084】
実施形態5
非線形界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである、実施形態4に記載の製剤。
【0085】
実施形態6
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、ポリソルベート20、ポリソルベート40、およびポリソルベート60からなる群から選択される、実施形態5に記載の製剤。
【0086】
実施形態7
非線形界面活性剤濃度が、約0.06%(v/v)~約20%(v/v)、約0.06%(v/v)~約10%(v/v)、約0.1%(v/v)~約20%(v/v)、約0.1%(v/v)~約10%(v/v)、または約0.1%(v/v)~3%(v/v)である、実施形態1~6のいずれかに記載の製剤。
【0087】
実施形態8
非線形界面活性剤濃度が、約0.5%(v/v)~約20%(v/v)、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、約1%(v/v)~約10%(v/v)、または約1%(v/v)~約3%(v/v)である、実施形態1~6のいずれかに記載の製剤。
【0088】
実施形態9
少なくとも1つの緩衝剤が、トリスである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の製剤。
【0089】
実施形態10
トリス緩衝剤が、約5mM~約50mMの濃度で存在する、実施形態9に記載の製剤。
【0090】
実施形態11
担体分子が、核酸である、実施形態1~10のいずれかに記載の製剤。
【0091】
実施形態12
核酸担体分子が、RNAである、実施形態11に記載の製剤。
【0092】
実施形態13
遠赤染料プローブが、消光剤をさらに含む、実施形態1~10のいずれかに記載の製剤。
【0093】
実施形態14
遠赤染料プローブが、分子トーチ、分子ビーコン、およびTaqManプローブからなる群から選択される、実施形態13に記載の製剤。
【0094】
実施形態15
第1の増幅オリゴマーをさらに含み、遠赤染料プローブが、標的核酸の標的領域内に含有される第1の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含み、第1の増幅オリゴマーが、該標的領域内に含有される第2の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含み、第1の増幅オリゴマーが、鋳型として標的核酸を含む増幅アッセイにおいて、該標的領域を含有する増幅産物を産生するように構成される、実施形態10~14のいずれかに記載の製剤。
【0095】
実施形態16
第2の増幅オリゴマーをさらに含み、第2の増幅オリゴマーが、該標的領域内に含有される第3の配列に特異的に結合する標的ハイブリダイズ配列を含み、第1および第2の増幅オリゴマーが、増幅アッセイの複数のサイクルで該標的領域を増幅するように構成される、実施形態15に記載の製剤。
【0096】
実施形態17
第1の増幅オリゴマーが、第1の標的ハイブリダイズ配列の5’に位置するプロモーター配列をさらに含むプロモーターベースの増幅オリゴマーである、実施形態15または16に記載の製剤。
【0097】
実施形態18
該増幅アッセイを行うのに好適な1つ以上のヌクレオチド三リン酸をさらに含む、実施形態15~17のいずれかに記載の製剤。
【0098】
実施形態19
該増幅アッセイを行うのに好適な1つ以上の塩または補因子をさらに含む、実施形態15~18のいずれかに記載の製剤。
【0099】
実施形態20
安定化された遠赤染料プローブ製剤であって、
担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、
約0.05%(v/v)を超える濃度のフォームバンと、
少なくとも1つの緩衝剤と、を含み、
製剤が、水溶液である、製剤。
【0100】
実施形態21
安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤を調製する方法であって、
実施形態1~20のいずれかに記載の製剤を提供することと、
水溶液を凍結乾燥して、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を形成することと、を含む、方法。
【0101】
実施形態22
実施形態21の方法によって調製された、安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤。
【0102】
実施形態23
実施形態1~20のいずれかに記載の水溶液への再構成を可能にする、安定化された凍結乾燥遠赤染料プローブ製剤。
【0103】
実施形態24
安定化された水性遠赤染料プローブ製剤を調製する方法であって、
(a)実施形態22または23に記載の凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を提供することと、
(b)凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を希釈剤に溶解して、再構成された製剤を提供することと、を含む、方法。
【0104】
実施形態25
実施形態22または23に記載の凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を含有する第1の密封容器と、
希釈剤を含有する第2の密封容器と、を含む、キット。
【0105】
実施形態26
希釈剤が、非線形界面活性剤を含む、実施形態25に記載のキット。
【0106】
実施形態27
安定化された水性遠赤染料プローブ製剤を調製する方法であって、
(a)少なくとも1つの緩衝剤と、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、を含む水溶液への再構成を可能にする凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を提供することと、
(b)凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を希釈剤に溶解して、再構成された製剤を提供することと、を含み、
凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤のうちの少なくとも1つが、非線形界面活性剤を含み、再構成された製剤が、約0.05%(v/v)を超える濃度の非線形界面活性剤を含む、方法。
【0107】
実施形態28
凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤の両方が、非線形界面活性剤を含む、実施形態27に記載の方法。
【0108】
実施形態29
遠赤染料プローブおよび少なくとも1つの緩衝剤を含む水溶液を凍結乾燥することにより、凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を調製することをさらに含む、実施形態27または28に記載の方法。
【0109】
実施形態30
少なくとも1つの緩衝剤と、担体分子に結合した遠赤染料を含む遠赤染料プローブと、を含む水溶液への再構成を可能にする凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤を含有する第1の密封容器と、
希釈剤を含有する第2の密封容器と、を含む、キットであって、
凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤および希釈剤のうちの少なくとも1つが、非線形界面活性剤を含み、希釈剤中での凍結乾燥された遠赤染料プローブ製剤の再構成が、約0.05%(v/v)を超える最終的な非線形界面活性剤濃度を提供する、キット。
【0110】
実施形態31
凍結乾燥された遠赤染料製剤および希釈剤の両方が、非線形界面活性剤を含む、実施形態30に記載のキット。
【0111】
実施形態32
実施形態1~20、22、および23のいずれかに記載の安定化された遠赤染料プローブ製剤を含有する密封容器を含む診断製品。
【0112】
上記から、本発明の具体的な実施形態が例示目的で本明細書に記載されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いて限定されない。本明細書で引用された全ての出版物、特許、および特許出願は、あらゆる目的で参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【配列表】
2023174902000001.app
【外国語明細書】