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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174915
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231201BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20231201BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231201BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20231201BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21Y103:10
F21Y115:10
F21Y113:13
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180677
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2022148687の分割
【原出願日】2020-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】原田 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】北井 悠一
(72)【発明者】
【氏名】上野 眞人
(57)【要約】
【課題】赤色を含む複数の色の光源を列状に配置した照明装置において、端部に赤色が目立つことを防ぐこと。
【解決手段】一方の端部と他方の端部の間に、複数の色のLEDパッケージが第1の列及び第2の列を含む複数の列状に配置され、前記複数の色のLEDパッケージの前面に拡散カバーが設けられた照明装置であって、前記複数の色のLEDパッケージは、赤色のLEDパッケージと、赤色とは異なる第1の色のLEDパッケージと、赤色及び前記第1の色とは異なる第2の色のLEDパッケージを含み、前記第1の列において、前記一方の端部に最も近い位置に配置されているLEDパッケージが、前記第1の色のLEDパッケージであり、前記第2の列において、前記一方の端部に最も近い位置に配置されているLEDパッケージが、前記第2の色のLEDパッケージである。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部と他方の端部の間に、複数の色のLEDパッケージが第1の列及び第2の列を含む複数の列状に配置され、前記複数の色のLEDパッケージの前面に拡散カバーが設けられた照明装置であって、
前記複数の色のLEDパッケージは、赤色のLEDパッケージと、赤色とは異なる第1の色のLEDパッケージと、赤色及び前記第1の色とは異なる第2の色のLEDパッケージを含み、
前記第1の列において、前記一方の端部に最も近い位置に配置されているLEDパッケージが、前記第1の色のLEDパッケージであり、
前記第2の列において、前記一方の端部に最も近い位置に配置されているLEDパッケージが、前記第2の色のLEDパッケージである、照明装置。
【請求項2】
前記拡散カバーの端部から前記複数のLEDパッケージの設置面側に延びる拡散カバー端面が設けられた、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1の色のLEDパッケージは、CIE1931色度座標系において、(0.5,0.5)、(0.423,0.355)、(0.342,0.312)、(0.352,0.44)、(0.37,0.63)及び色度境界線で囲まれる範囲の色度である黄白色LEDパッケージである、
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の色のLEDパッケージは、CIE1931色度座標において、(0.336、0.24)、(0.352、0.44)、(0.15、0.2)、(0.2、0.1)で囲まれる範囲の色度の範囲内である青白色LEDパッケージである、
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の色のLEDパッケージは、緑色LEDパッケージ又は青色LEDパッケージである、
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1の色のLEDパッケージは、昼白色LEDパッケージである、
請求項1又は2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてLED照明の色を可変にする線状光源に関し、特に色の異なる3光源を用いた線状光源に関する。
【背景技術】
【0002】
小型のLEDを用いたLED照明の普及に伴い、2色あるいは3色のLEDを混色して自由に色を変化させる調色可能な照明装置が容易に実現できるようになった。調色可能な照明装置は、昼間は青空の青白い光、夕方は夕日の赤い光といった自然界の色の変化を模倣して、人間が本来有する生体リズムに合った光を作り出すことができるため、仕事の効率を向上させたり、リラックスさせたり、睡眠の質を向上させることに寄与し、ひいては人間の健康を向上させることに寄与しうると考えられている。
【0003】
調色の方法として、高色温度と低色温度の2つの白色系光源を用い、その明るさの比率を変化させることが一般的であるが、以下のように3つの光源を用いる例もある。
【0004】
特許文献1の図2には、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ発するRGBのLED素子を配列した蛍光ランプ代替LED照明装置(以下、直管形LEDという)が記載されている。透光ケース内に拡散剤を含む封止材を備えることにより、赤色・緑色・青色を混色させて、例えば全体として白色光を発することができるとされている。
【0005】
特許文献2には、LEDとして、蛍光体を用いた第1の群と、固体発光体の第2の群(青色)と、固体発光体の第3の群(赤色)を備え、3つの群のLEDの明るさを変えることにより3つの群のLEDによって囲まれた色度座標内を調光できる照明装置が開示されている。
【0006】
特許文献3のFIG.7には、3色のLED(BSY1,BSY2,R、ただしBSYはブルー・シフテッド・イエローの意味)によって囲まれた色度座標内を調色する照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-97763号公報
【特許文献2】特表2013-535084号公報
【特許文献3】米国特許8598809号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
LEDの3つの色として赤(R)、青に近い白色、黄色に近い白色の3つの色を用い、特許文献1に記載されたRから始まる配列で、LEDが1列に繰り返し配置される線状光源を試作したところ、LED配列がRで始まる一方の端部で赤色が目立つことがわかった。
【0009】
本発明は、3つの色の光源を用いた線状光源において、端部に色が目立つことを防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一方の端部と他方の端部の間に、複数の色のLEDパッケージが第1の列及び第2の列を含む複数の列状に配置され、前記複数の色のLEDパッケージの前面に拡散カバーが設けられた照明装置であって、
前記複数の色のLEDパッケージは、赤色のLEDパッケージと、赤色とは異なる第1の色のLEDパッケージと、赤色及び前記第1の色とは異なる第2の色のLEDパッケージを含み、
前記第1の列において、前記一方の端部に最も近い位置に配置されているLEDパッケージが、前記第1の色のLEDパッケージであり、
前記第2の列において、前記一方の端部に最も近い位置に配置されているLEDパッケージが、前記第2の色のLEDパッケージである。
【0011】
本発明において、前記拡散カバーの端部から前記複数のLEDパッケージの設置面側に延びる拡散カバー端面が設けられていてもよい。
【0012】
本発明において、前記第1の色のLEDパッケージは、CIE1931色度座標系において、(0.5,0.5)、(0.423,0.355)、(0.342,0.312)、(0.352,0.44)、(0.37,0.63)及び色度境界線で囲まれる範囲の色度である黄白色LEDパッケージであってもよい。
【0013】
本発明において、前記第1の色のLEDパッケージは、CIE1931色度座標において、(0.336、0.24)、(0.352、0.44)、(0.15、0.2)、(0.2、0.1)で囲まれる範囲の色度の範囲内である青白色LEDパッケージであってもよい。
【0014】
本発明において、前記第1の色のLEDパッケージは、緑色LEDパッケージ又は青色LEDパッケージであってもよい。
【0015】
本発明において、前記第1の色のLEDパッケージは、昼白色LEDパッケージであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、端部において全体の発光色と異なる色、特に赤色が目立つことのないLED線状光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1の線状光源の外観斜視図。
図2】実施形態1の線状光源の断面図。
図3】実施形態1の線状光源における調色範囲を示す色度図。
図4】LEDの配置と色ムラの関係を説明するための線状光源の断面図。
図5】LEDの配置と色ムラの関係を説明するための線状光源の断面図。
図6】実施形態1の線状光源におけるLEDパッケージの配置図。
図7】実施形態2の線状光源の外観斜視図及び断面図。
図8】実施形態3の線状光源の外観斜視図。
図9】実施形態3の線状光源の断面図。
図10】実施形態3の線状光源におけるLEDパッケージの配置図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
<基本構成>
本実施形態に係る照明装置300は、器具本体・線状光源分離型照明装置である。これは、外観斜視図である図1に示すように、器具本体310が天井に直付けされ、線状光源320が器具本体310に取付されたものである。器具本体310と線状光源320が分離可能であるため、器具本体310を天井に取り付けるためのネジまたは吊ボルトを線状光源320によって隠すことができる。照明装置の幅は一例として2cm、長さは一例として120cmである。
【0019】
器具本体310と線状光源320の断面図を図2に示す。器具本体310は下面が開口した箱状であり、バネ受け311及びコネクタ312を備える。
【0020】
線状光源320は、取付部321、基板322、LEDパッケージ323、拡散カバー324、電源325、制御部326、取付バネ327、コネクタ328を備え、拡散カバー324は、拡散カバー端面(拡散カバー左端面324L及び拡散カバー右端面324r)を備える。拡散カバー端面が光るため、複数の線状光源320を拡散カバー端面同士が向き合うように並べて、複数の線状光源320全体を、連続した長い光源とすることができる。
【0021】
取付バネ327は器具本体310のバネ受け311に取り付けられ、コネクタ328は器具本体310のコネクタ312に接続され、商用電力が電源325に供給される。なお、後述するLEDチップと区別する場合、「LED」を「LEDパッケージ」と呼ぶこともある。
【0022】
電源325は、商用交流電力を直流に変換し、3種類のLEDパッケージを動作させるよう、3チャンネルの駆動出力を有しており、各駆動出力は、外部からの制御信号で制御できる。本実施例においては、制御信号は無線で伝送されて制御部326に受信され、制御部326が制御信号を電源325に送り、電源325が制御される。制御信号によって3チャンネルの駆動出力が独立に制御されることにより、線状光源320は3つのLEDの色度で囲まれた任意の色度で発光することができる。
【0023】
<LEDの色度>
本実施形態に用いるLEDパッケージ323としては、青白色LED「Bw」、赤色LED「R」、黄白色LED「Yw」の3つを用いる。なお、Ywは色度図上では黄色に近い色だが、他のBw・Rを同時に点灯させると緑色に近い色にも見える。図3は、これらのLEDの色度を説明するための色度座標であり、参考のために各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線を点線で示している。
【0024】
青白色LEDであるBwは、図3のCIE1931色度座標において、(0.336,0.24)、(0.352,0.44)、(0.15,0.2)、(0.2,0.1)で囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.23,0.26)である。
【0025】
赤色LEDであるRは、図3の色度座標において、(0.66,0.23)、(0.423,0.355)、(0.5,0.5)と色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.60.0.38)である。一般的な赤色の定義とは同じでないので注意されたい。
【0026】
黄白色LEDであるYwは、図3の色度座標において、(0.5,0.5)、(0.423,0.355)、(0.342,0.312)、(0.352,0.44)、(0.37,0.63)及び色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.44,0.47)である。
【0027】
Ywの色度範囲内のうち、各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線からduvがプラスの範囲内が好適であり、duvがプラス0.03から0が特に好適である。
【0028】
Bw、Rの色度範囲内のうち、各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線からduvがプラス0.03からマイナス0.03の範囲内が特に好適である。
【0029】
なお、CIE1931における色度座標(x,y)でなくCIE1976における色度座標(u‘,v’)で表示することもでき、両者はu’=4x/(-2x+12y+3),v’=9y/(-2x+12y+3)という変換式で相互に変換可能である。その他の色度座標系で表示してもよい。
【0030】
<LED配列の端部で色が目立つ理由>
本発明の課題である、LED配列の端部で色が目立つ理由について、以下の考察を行った。
【0031】
図2に示した線状光源320における左側部分を拡大した列方向断面模式図を図4に示す。3色のLEDであるA、B,C(この時点ではA,B、Cのそれぞれにどの色を当てはめるのか未定)を考える。左側端部Lから「A1・B1・C1・空き・A2・B2・C2・・・・」と配列する。組となるA1・B1・C1などにおけるLED間の距離をW1,空きを挟んだC2・A3間のLED間の距離をW2とする。LED(LEDパッケージ323)から拡散カバー324の内面までの距離をdとする。
【0032】
図4(a)の拡散カバー324の点P1(拡散カバー中央部の点)を考える。拡散カバー324は、LEDパッケージB3の前面(θ≒0)に、LEDパッケージB3から距離dだけ離れた位置に設けられている。この点P1において、A3、B3,C3が混色するようにW1に対するdの比率を設定する。3つのLEDを近接して配置する(W1を小さくする)ことにより、dを比較的小さくしても点P1で良好な混色を得ることができる。なお、それぞれのLEDの影響は、LEDの法線とLEDと点P1までの線のなす角度をθとして「cosθの4乗則」で表せる。これは、距離rがd/cosθであり照度が距離の2乗であること、光の被照射面が斜めであることによる影響がcosθであること、表面実装型と呼ばれる一般的なLEDの配光特性がcosθで表されるランバーシアンと呼ばれる配光であることによる。これらを勘案すると、P1から遠方にあるLEDによる点P1での色むらに与える影響はほぼ無視できる。
【0033】
なお、以上の議論は拡散カバー324の「内面照度」に関するものであり、実際には拡散カバー324の「外面輝度」を考慮する必要がある。拡散カバーが完全拡散性でなく直進性の成分がある場合は、拡散カバーの外面輝度においては斜めからの光の影響がより少なくなる場合が多い。
【0034】
図4(b)の「空き」の間である点P2(拡散カバー中央部の点)においても、良好な混色が得られるようにdを設定する。点P2の内面照度においては、C2とA3の影響が大きく、B2とB3の影響も受け、A2とC3の影響は少ない。
【0035】
図4(c)の拡散カバー左端面324Lに近い拡散カバー324端部の点Qにおいては、右側のA1,B1,C1以外の光の影響は無視でき、A1が一番点Qに近いため、A1の色が目立つという現象が生じる。なお、拡散カバー中央部と拡散カバー端部の境界は明確ではないが、一応の目安として図4(c)における一番左側のLEDであるA1の真上より左側の拡散カバーの領域を「拡散カバー端部」と呼ぶこととする。
【0036】
図4(d)の拡散カバー左端面324Lにおける点Rにおいては、右側のA1,B1,C1以外の光の影響は無視でき、A1が一番点Rに近いため、A1の色が目立つという現象が生じる。拡散カバー端面とは、拡散カバーの端部からLEDパッケージの設置面側に延びる部分であり、実施形態において拡散カバーに垂直な方向に延びる部分324L・324rはその一例にすぎない。
【0037】
以上のように、線状光源における端部色ムラ発生の理屈自体は簡単だが、長い線状光源におけるごく一部の領域での色ムラであること、端部においてA、B、Cのどれかの色が目立つことは、距離dを端部以外の混色に必要な大きさより大きくしないかぎり避けられないこと、さらに拡散カバー端面を備える線状光源はあまりなかったことより、端部の色を目立たなくすることを課題と捉えることは今までなかったのではないかと思われる。
【0038】
<拡散カバー端部・端面において目立つ色>
本発明では、使用するLEDにおいても目立つ色と比較的目立たない色がある点にも着目して、本実施形態に用いた線状光源320において端部にどの色のLEDを配置するのが適しているかという検討も行っている。
【0039】
青白色LED(Bw)、黄白色LED(Yw)、赤色LED(R)を端部において目視比較実験を行った。条件としては、合成色度として、1800K、2800K、5000K、6500Kの場合とした(いずれも黒体輻射上の色度点)。その結果、1800K以外の場合において、赤色LED(R)を端部においた場合、最も色が目立つことがわかった。黄白色LED(Yw)が全範囲において最も目立たなかった。青白色LED(Bw)は6500K及び1800Kでは目立たなかった(ただし1800KではBwの輝度はほとんどない)。
【0040】
照明によく使われる色度が2800Kから5000Kの範囲であるという点も考慮すると、端部に配置するLEDとして適しているのはYw、やや適しているのはBw、あまり適していないのはRという結果となった。
【0041】
<LED配列>
図5に示すように、基板322上に1列に3種類のLEDパッケージ323が繰り返し配置されている。
【0042】
LEDパッケージの配列は、図5(a)に示すように、LEDの組における3つのLEDが同じ順序「Yw・R・Bw」で繰り返し配置されたもの、つまり左側端部Lより「Yw・R・Bw・空き・Yw・R・Bw・(途中省略)・空き・Yw・R・Bw」右側端部rとした。この配列では、左側端部Lに最も近いLEDはYw、右側端部rに最も近いLEDはBwであって、いずれもRではない。そのため、拡散カバー端部・端面に赤色が目立つことがない。
【0043】
空きの幅としては、パッケージ幅1個から5個程度が好ましく、1.5個から3個がさらに好ましい。このように3つのLEDを近接して配置すると、先に図4(a)を用いて説明したように、dを比較的小さくしても点P1で良好な混色を得ることができる。
【0044】
LEDパッケージの配列は、図5(b)に示すように、「空き」を省略した「Yw・R・Bw」の繰り返し配置、つまり左側端部Lより「Yw・R・Bw・Yw・R・Bw・(途中省略)・Yw・R・Bw」右側端部rとしてもよい。3つのLEDはそれぞれ発熱するため、均等に配置した方が放熱上有利である。
【0045】
この配列でも、左側端部Lに最も近いLEDは黄白色LED(Yw)、右側端部rに最も近いLEDは青白色LED(Bw)であって、いずれも赤色LED(R)ではない。そのため、拡散カバー端部・端面に赤色が目立つことがない。
【0046】
LEDパッケージの配列は、図6(a)に示すように、3つのLED「Yw・R・Bw」の組LCが繰り返し配置され、例えば中央の折り返し線Fで折り返されて、逆の順序のLED「Bw・R・Yw」の組rCで繰り返し配置された配列、すなわち左側端部Lより「Yw・R・Bw・空き・Yw・R・Bw・(途中省略)・Bw・R・Yw・空き・Bw・R・Yw」右側端部rとしてもよい。この配列では、左側端部Lと右側端部rには共にYwが配置されるようにした。これは、Ywは通常もっともよく使う電球色(2800K)から昼白色(5000K)の範囲の黒体輻射の色度を含む色であり、色として白色に近い色なので、拡散カバー中央部と端部・端面の色の違いが目立ちにくいからである。なお、折り返し線Fの位置は中央近傍でなくてもよい。
【0047】
ここで、組LCと組rCを折り返し線Fで折り返すと、折り返し線Fの左側及び右側は、それぞれBwとBwが配置され、その前面の拡散カバー表面の色がBwに近くなる。この現象を防ぐために、例えば折り返し線Fの右側の3個のLEDパッケージを2個「R・Yw」の組FCにしてもよい。その場合、折り返し線F近傍のLEDパッケージ配置は「Yw・R・Bw/R・Yw」となる。
【0048】
LEDパッケージの配列は、図6(b)のように、組LC間及び組rC間の「空き」をなくしてLEDパッケージを均等配置にし、例えば中央近傍の折り返し線Fで折り返した配列としてもよい。
【0049】
LEDパッケージの配列は、図6(c)のように、左側のLEDの組LCを「Yw・Bw・R」、右側のLEDの組rCを「R・Bw・Yw」とし、線Fで折り返した配置としてもよい。この配置では、BwとRが隣接しているので、両方が点灯した場合どちらの色も目立たないという利点があるとともに、線FでLEDの組内部の配置を折り返しているので両側の端部に配置されるLEDをYwとすることができ、拡散カバー端部・端面の色を目立たなくすることができる(折り返しがなければ右端部のLEDがRになる)。なお折り返し線Fの両側で同じLEDパッケージの色が重複することを防ぐために、線F近傍のLEDの組FCを2個のLED「Bw・Yw」で構成している。
【0050】
LEDパッケージの配列は、図6(d)に示すように、3つのLEDの組の繰り返しにせずに、4個のLED「Yw・R・Bw・R」の組LCの配置とし、左側端部Lより「Yw・R・Bw・R・Yw・R・Bw・(途中省略)・Bw・R・Yw・R・Bw・R・Yw」右側端部rとしてもよい。つまり、Yw及びBwが交互に配置され、その間にRが配置されたこの配列では、左側端部Lと右側端部rには共にYwが配置されるようにした。そのため、拡散カバー端部・端面における色の違いが目立ちにくい。この配列ではRの個数が多くなるので、例えば図6(a)の配列に比べて各Rの輝度が1/2になるように調整している。なお、この配置は、右から4個のLED「R・Bw・R・Yw」の組rCの配置であると捉えることもできる。
【0051】
<LEDパッケージの構造>
実施形態に用いるLEDパッケージは、表面実装型と呼ばれるタイプであり、ほぼ直方体型のものである。底面に少なくともLEDチップに接続されるアノード電極とカソード電極を備え、これらの電極をプリント基板に接続することができる。LEDパッケージの幅としては、3mm、5mm、7mmのものが市販されており、幅1mm程度のCSP(Chip Scale Package)と呼ばれるものも入手可能である。なお、本発明におけるLEDは表面実装型LEDパッケージに限られるものではなく、砲弾型、COB(Chip On Board)型などであってもよい。
【0052】
Bwは、パッケージ底部にInGaN系青色LEDチップを配置し、パッケージ内に緑色系蛍光体粒子又は黄色系蛍光体を含む封止材を封入したものである。また、さらに赤色系蛍光体粒子を含んでいてもよい。
【0053】
Ywは、Bwと同様に、パッケージ底部にInGaN系青色LEDチップを配置し、パッケージ内に緑色系蛍光体粒子又は黄色系蛍光体を含む封止材を封入したものであるが、蛍光体の濃度がBwよりも濃い。また、さらに赤色系蛍光体粒子を含んでいてもよい。
【0054】
Rとしては、AlGaInP系LEDチップをパッケージ底部に配置し、透明封止材で封止したものが好適である。
【0055】
また、Rとしては、YwやBwと同様に、パッケージ底部にInGaN系青色LEDチップを配置し、パッケージ内に赤色系蛍光体粒子を含む封止材を封入したものであってもよい。
【0056】
RとしてAlGaInP系LEDチップを用いたLEDパッケージとすると、発光スペクトルに青色を含まないという点で好ましいが、BwやYwとは駆動電圧が異なるため駆動回路が複雑になる。Rとして青色LEDチップと赤色蛍光体を組み合わせたLEDパッケージの場合は、発光スペクトルに含まれる青色を減らす処理が必要になる。例えば赤色蛍光体の濃度を高くして青色LEDチップからの光が外部に放射される割合を小さくすることが好ましいが、青色を吸収するフィルタを用いてもよい。
【0057】
以上の各LEDパッケージにおいて、黄色系蛍光体粒子としては、例えば(Y1-xGdAl12:Ce2+(0≦x≦1)を、緑色系蛍光体粒子としては、例えばLuAl12:Ce2+を、赤色系蛍光体としては例えばSrCa1-xAlSiN:Eu3+(0≦x≦1)蛍光体、Sr[LiAl]:Eu2+やKSiF:Mn4+蛍光体を好適に用いることができる。量子ドットも好適に用いることができる。
【0058】
<拡散カバー>
拡散カバーは光の拡散性を有する半透明材料からなり、材料としては例えばポリカーボネートが好適であるが、アクリル樹脂を用いてもよい。拡散カバーの断面形状は、本実施形態においては基板側が欠けた矩形である。
【0059】
<実施形態2>
<基本構成>
本実施形態に係る線状光源420は、直管形LEDである。これは、斜視図である図7(a)及び断面図である図7(b)に示すように、端子429、取付部421、基板422、LEDパッケージ423、拡散カバー424、電源425、制御部426を備え、基板422上に1列に3つのLEDパッケージ423が繰り返し配置されている。天井に設置された器具本体のソケット(図示せず)に端子429が接続され、端子より商用交流電力を受けることができる。
【0060】
電源425は、商用交流電力を直流に変換し、3種類のLEDパッケージを動作させるよう、3チャンネルの駆動出力を有している。各駆動出力は、外部からの制御信号で制御できる。本実施例においては、制御信号は無線で伝送されて制御部426に受信され、制御部426が制御信号を電源425に送り、電源425が制御される。
【0061】
<LED配列>
本実施例においては、基板422上に1列にLEDパッケージ423が実装されており、配列形態は実施形態1の図6で説明したものと同じである。
【0062】
<実施形態3>
<基本構成>
本実施形態に係る照明装置500も、器具本体・線状光源分離型照明装置であるが、実施形態1に比べ、線状光源の幅が広くなっている。そのため、線状光源内に2列のLEDが配置されている。
【0063】
図8は、天井直付け型の逆富士形と呼ばれる反射板付の器具本体510と組み合わせた線状光源520を示す。器具本体510と線状光源520が分離可能であるため、器具本体510を天井に取り付けるためのネジまたは吊ボルトが線状光源520によって隠されている。
【0064】
器具本体510と線状光源520を図8の左側から見た断面模式図を図9に示す。器具本体510は下面が開口した箱状であり、バネ受け(図示せず)及びコネクタ(図示せず)を備える。
【0065】
線状光源520は、取付部521、基板522、LEDパッケージ523、拡散カバー524、拡散カバー左端面524Lと拡散カバー右端面524r(図8)、電源525、制御部(図示せず)、取付バネ(図示せず)、コネクタ(図示せず)を備える。取付バネは器具本体510のバネ受けに取り付けられ、線状光源側のコネクタは器具本体側のコネクタに接続され、商用電力が電源525に供給される。
【0066】
電源525は、商用交流電力を直流に変換し、3種類のLEDパッケージを動作させるよう、3チャンネルの駆動出力を有しており、各駆動出力は、外部からの制御信号で制御できる。本実施例においては、制御信号は無線で伝送されて制御部に受信され、制御部が制御信号を電源525に送り、電源525が制御される。
【0067】
<LED配列>
図10に示すように、基板522上に3種類のLEDパッケージ523が2列に繰り返し配置されている。
【0068】
LEDパッケージの配列は、図10(a)に示すように、図の上側の列(第1の列とする)は左側端部Lより「Yw・R・Bw・空き・Yw・R・Bw・(途中省略)・空き・Yw・R・Bw」右側端部rとし、図の下側の列(第2の列とする)は左側端部Lより「Rw・R・Bw・空き・Rw・R・Bw・(途中省略)・空き・Rw・R・Bw」右側端部rとした。この配列では、左側端部L上側はYw、左側端部L下側はBwであって、いずれもRではない。このように一方の端部に配置されるLEDとしてYwとBwを両方用いることにより、Rの色が目立たないだけでなく、一方の拡散カバー端部・端面にYwの色やBwの色が目立つことが更に抑制できる。
【0069】
LEDパッケージの配列は、図10(b)に示すように、空きのない配列としてもよい。
【0070】
<バリエーション>
【0071】
(1)LEDの列として、1列または2列の実施形態を説明したが、3列以上であってもよい。
【0072】
(2)LEDは、3色のLEDパッケージが間隔W1で同じ順序で繰り返し列状に配置されている例を説明したが、例えば基板のねじ止めの都合などで間隔W1や間隔W2が変わってもよい。また折り返し線Fの近傍において3色すべてのLEDパッケージを備えなくてもよいことは既に説明している。つまり、3色のLEDパッケージが同じ順序で繰り返し列状に配置されている部分が少なくとも一部あればよい。
【0073】
(3)3色のLEDとしては、R,Yw,Bwの例で説明したが、その他の3色のLEDであってもよい。例えば、R,Yw,B(色度座標がx≦0.2、y≦0.2のLED)を用いてもよく、その場合端部のLEDとしてはYwが最も好ましく、Rは避けるべきである。R,G(色度座標がx≦0.35、y≧0.4にあるLED)、Bの3色のLEDを用いてもよく、その場合、端部のLEDとしてはGが最も好ましく、Rは避けるべきである。R,G,Bwを用いてもよい。
【0074】
(4)調色光源としては、3つのLEDの輝度を任意に設定して3つのLEDの色度で囲まれた範囲の色が得られるものとして説明したが、色選択の自由度が多いと、使用者がどの色にしたらいいか迷い、使いにくいという問題がある。そこで、例えば「昼光色」「昼白色」「電球色」「ろうそくの色」といった特定の発光色が得られるようなLEDの強度比を定めておき、使用者がその色を選ぶだけでその色が表示できるようにしてもよい。
【0075】
(5)器具本体としては、天井埋め込み型及び天井直付け型があり、線状光源としては幅狭型及び幅広型があり、これらは相互に組み合わせ可能である。器具本体の形状として、逆富士形、反射笠付形、トラフ形、ウォールウォッシャー形(トラフ形の片側を短くして斜め上から壁を照明するタイプ))などのバリエーションを用いてもよい。
【0076】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0077】
310、410、510 器具本体
311 バネ受け
312 コネクタ
413 ソケット
320、420、520 線状光源
321、421、521 取付部
322、422、522 基板
323、423、523 LED
Bw 青白色LED
Yw 黄白色LED
R 赤色LED
324、424、524 拡散カバー
324L 拡散カバー左端面
324r 拡散カバー右端面
325、425、525 電源
326、426 制御部
327 取付バネ
328 コネクタ
429 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10