(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174929
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】手首構造
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20231201BHJP
A61B 17/072 20060101ALI20231201BHJP
A61B 34/35 20160101ALI20231201BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B17/072
A61B34/35
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023180840
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2021196029の分割
【原出願日】2017-09-08
(31)【優先権主張番号】62/385,621
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラゴスタ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ウィクシー,マシュー エー.
【テーマコード(参考)】
4C130
4C160
【Fターム(参考)】
4C130AA02
4C160CC09
4C160CC23
4C160NN02
4C160NN03
(57)【要約】
【課題】比較的大きな角度でヨー回転およびピッチ回転することができる手首を有する手術装置を提供する。
【解決手段】手術装置は、細長いシャフト、エンドエフェクタ、および手首アセンブリを含む。手首アセンブリは、第1の外側リンク、第1の内側リンク、および第2の外側リンクを含む。第1の外側リンクは、シャフトに接続されるとともに第1のギア歯を含む。第1の内側リンクは、第1の外側リンクと枢動可能に結合されている。第2の外側リンクは、第1の内側リンクと枢動可能に結合されている。第2の外側リンクは、第1のギア歯と噛み合い、手首アセンブリの配向の範囲全体にわたって第1の外側リンクおよび第1の外側リンクに対する第1の内側リンクの配向を制御する第2のギア歯を含む。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト軸に沿って延びるシャフトと;
エンドエフェクタと;
前記エンドエフェクタを前記シャフトに移動可能に結合する手首アセンブリであって:
前記シャフトに結合される第1の外側リンクと;
前記エンドエフェクタに結合される第2の外側リンクと;
前記第1の外側リンク及び前記第2の外側リンクを移動可能に結合するとともに前記第1の外側リンク及び前記第2の外側リンクの半径方向内側に配置された内側リンクであって、前記内側リンクは、第1のジャーナルを有する第1の端部及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記第2の端部は第2のジャーナルを有する、内側リンクと;を有する、手首アセンブリと;を有し、
前記第1の外側リンクは、前記内側リンクの前記第1のジャーナルと回転可能に係合する第1のジャーナルベアリングを有し、
前記第2の外側リンクは、前記内側リンクの前記第2のジャーナルと回転可能に係合する第2のジャーナルベアリングを有し、
前記第1の外側リンクは、前記第1のジャーナルベアリング及び前記第1のジャーナルによって定められる第1の軸周りに前記内側リンクに対して回転するように構成され、
前記第2の外側リンクは、前記第2のジャーナルベアリング及び前記第2のジャーナルによって定められる第2の軸周りに前記内側リンクに対して回転するように構成され、
前記第2の軸は、前記第1の軸と平行且つ前記第1の軸に対してオフセットされる、
器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願データの相互参照)
本出願は、2016年9月9日に出願された米国仮出願第62/385,621号の利益を主張し、その全開示はその全体が全ての目的に対して参照により本出願に援用される、
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術技術は、診断または手術処置中に損傷を受ける無関係の組織の量を減らし、それによって患者の回復時間、不快感、および有害な副作用を減らすことを目的としている。結果として、標準的な手術のための入院期間の平均長は、低侵襲手術技術を使用して著しく短縮され得る。また、患者の回復時間、患者の不快感、手術副作用、および仕事からの離脱時間もまた、低侵襲手術で短縮され得る。
【0003】
低侵襲手術の一般的な形態は内視鏡法であり、内視鏡法の一般的な形態は腹腔鏡検査であり、これは腹腔内低侵襲検査および/または手術である。再装填可能なステープリング装置は、これらの手術と併せて使用することができる。遠隔手術制御式ステープリング装置(Telesurgically controlled stapling devices)は、比較的極端な角度(例えば、90度までおよび90超)でヨー回転(yaw)およびピッチ回転する(pitch)サーボ制御式手首ジョイントを含むことができる。そのようなジョイントは、そのような角度で手首を通って並進しなければならない作動構成要素に大きな歪みを加える可能性がある。したがって、現在の作動装置は、作動構成要素が極端な角度で機能する能力によってしばしば制限される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される実施形態は、比較的大きな角度でヨー回転およびピッチ回転することができる手首を有する手術装置に関する。そのような手首は、ピッチ軸から空間的に離間されたヨー軸を有することができ、そのような軸の両方は、互いに並びに遠隔手術制御式装置のアームまたはシャフトの延長部を画定する長手方向軸に対して垂直である。場合によっては、ヨー角およびピッチ角は最大45、60、または90度であることができる。
【0005】
このようなピッチ角およびヨー角は、手術装置のジョー部を開閉し、オプションで切断および/またはステープリング装置のような他の器具を作動させるための極めて柔軟な作動機構を必要とする。いくつかの実施形態では、作動機構は押圧(pushing)構成要素を含み得る。押圧構成要素は、極めて柔軟でありながら、極端な角度下で高圧縮性であるように適合させることができる。しかし、押圧構成要素は引張力には良く適していない可能性がある。したがって、別個の引張構成要素が、手術装置の近位移動および作動のための引張力を加えるために使用されることができる。同様に、引張構成要素は圧縮力には良く適していない可能性がある。しかし、1つの一体型装置への押圧および引張構成要素の組み合わせは、手術装置のエンドエフェクタの構成要素を作動させるために、圧縮および引張力印加(すなわち、押圧および引張り)の両方のために効果的に使用され得る。
【0006】
押圧構成要素および引張構成要素は、押圧構成要素が引張構成要素の周りに同心円状に配置された状態で、共有軸に沿って一体化されることができる。いくつかの実施形態では、押圧構成要素はコイルばねを含み、引張構成要素は編組ケーブルを含む。代替的には、引張構成要素は、押圧構成要素の周りに同心円状に配置されることができる。
【0007】
高度な手首の柔軟性を可能にするために、手首アセンブリは、手首アセンブリのためのヨーおよびピッチジオメトリ(geometry)を画定する外側リンクから構成されることができる。外側リンクは、作動機構の可撓性部分を収容することができる。しかし、手首内の作動機構の圧縮は座屈を引き起こし、力伝達の効率を低下させる可能性がある。そのような問題を軽減するのを助けるために、外側リンクを互いに接続する内側リンクが設けられることができる。内側リンクは、作動機構の横方向の動きを拘束および制限し、それによって座屈を軽減する通路を画定することができる。
【0008】
したがって、一態様では、装置は、細長いシャフト、エンドエフェクタ、および手首アセンブリを含む。細長いシャフトは第1の軸に沿って延びる。エンドエフェクタは、上側ジョー部および下側ジョー部を含む。手首アセンブリは、エンドエフェクタを細長いシャフトに移動可能に接続する。手首アセンブリは、第1の外側リンク、第1の内側リンク、および第2の外側リンクを含む。第1の外側リンクは、細長いシャフトに接続されるとともに、第1の内側リンクによって第2の外側リンクに移動可能に結合される。第1の外側リンク、第1の内側リンク、および第2の外側リンクは、近位ジョイントを画定する。第1の外側リンクの内側面および第2の外側リンクの内表面は、第1の内側リンクが配置される管腔を画定する。第1の外側リンクの内側面は少なくとも第1の凹部を画定し、第2の外側リンクの内側面は少なくとも第2の凹部を画定する。第1の内側リンクの半径方向表面は、少なくとも第1の突出部と第2の突出部とを含む。第1の内側リンクの第1の突出部は第1の凹部と係合する。内側リンクの第2の突出部は第2の凹部と係合する。
【0009】
装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、第1の軸に対して垂直である2つの軸のそれぞれの周りで細長いシャフトに対してエンドエフェクタを再配向させる(reorient)ように動作可能である。例えば、装置のいくつかの実施形態では、近位ジョイントは、第1の軸に対して垂直である第2の軸に沿って延びる。
【0010】
装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、第1の軸に対して垂直である2つの軸のそれぞれの周りで細長いシャフトに対してエンドエフェクタを再配向させるように動作可能である。例えば、手首アセンブリは、第2の内側リンクと第3の外側リンクとをさらに含むことができる。第3の外側リンクは、エンドエフェクタに接続されるとともに第2の内側リンクによって第2の外側リンクに移動可能に結合される。第3の外側リンク、第2の内側リンク、および第2の外側リンクは遠位ジョイントを画定する。手首アセンブリは、近位ジョイントおよび遠位ジョイントでそれぞれヨー回転およびピッチ回転するように構成されることができる。装置のいくつかの実施形態では、第1の内側リンクおよび第2の内側リンクのそれぞれは、第1および第2のクレビス突出ジャーナルを含む。
【0011】
装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、それを通って作動構成要素が延びる内部通路を有する。例えば、装置のいくつかの実施形態は、エンドエフェクタと駆動可能に結合されるとともに第1の内側リンクによって画定された内部通路を通って延びる細長い駆動部材を含む。装置のいくつかの実施形態では、細長い駆動部材は、遠位方向に向けられた力をエンドエフェクタに加えるように動作可能である。いくつかの実施形態では、内部通路は、遠位方向に向けられた力をエンドエフェクタに加えている間に細長い駆動部材が座屈するのを防ぐために細長い駆動部材の周りに密接に形成されている。いくつかの実施形態では、手首アセンブリは、細長い駆動部材がそれを通って延びる内部通路内に内側シースを含む。
【0012】
装置のいくつかの実施形態では、第1の外側リンクおよび第2の外側リンクは、手首アセンブリの関節運動中に第1の外側リンク、第1の内側リンク、および第2の外側リンクの間の相対配向(relative orientation)を制御するように接する(interface)。例えば、いくつかの実施形態では、第1の外側リンクおよび第2の外側リンクは、第1の外側リンクと第1の内側リンクと第2の外側リンクとの間の相対配向を第2の外側リンクと第1の外側リンクとの間の配向範囲を通じて制御する噛み合いギア歯を含む。いくつかの実施形態では、第1の内側リンクは、第1の外側リンクおよび第2の外側リンクによって受動的に拘束される。
【0013】
別の態様では、装置は、細長いアーム、エンドエフェクタ、細長い駆動部材、および手首アセンブリを含む。細長いアームは第1の軸に沿って延びる。エンドエフェクタは、上側ジョー部および下側ジョー部を含む。細長い駆動部材は、細長いアームから延び、エンドエフェクタの作動のためにエンドエフェクタと駆動可能に結合される。手首アセンブリは、細長いアームをエンドエフェクタに移動可能に接続する。手首アセンブリは、複数の外側リンクおよび複数の内側リンクを含む。手首アセンブリは、細長いアームに対してエンドエフェクタをヨー回転およびピッチ回転させるように動作可能である。内側リンクは、細長いアームとエンドエフェクタとの間に、そこを通って細長い駆動部材が延びる内側通路を画定する。
【0014】
装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、第1の軸に対して垂直である軸の周りで細長いシャフトに対してエンドエフェクタを再配向させるように動作可能である。例えば、装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、第1の軸に垂直な第2の軸に沿って延びる近位ジョイントを含む。
【0015】
装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、第1の軸に対して垂直である2つの軸のそれぞれの周りで細長いシャフトに対してエンドエフェクタを再配向させるように動作可能である。例えば、手首アセンブリは、第1の軸および第2の軸に垂直な第3の軸に沿って延びる遠位ジョイントをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、手首アセンブリは、近位ジョイントでヨー回転し、遠位ジョイントでピッチ回転するように構成される。いくつかの実施形態では、内側リンクのそれぞれは、第1および第2の突出ジャーナルを含む。
【0016】
装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、それを通って作動構成要素が延びる内部通路を有する。例えば、装置のいくつかの実施形態では、内部通路は、細長い駆動部材が圧縮下で座屈するのを防ぐために細長い駆動部材の周りに密接に形成されている。いくつかの実施形態では、手首アセンブリは、内部通路内にあり、それを通って細長い駆動部材が延びる内側シースを含む。
【0017】
装置のいくつかの実施形態では、外側リンクは、外側リンクと内側リンクとの間の相対配向を制御するように接する。例えば、いくつかの実施形態では、外側リンクは、外側リンク間の配向の範囲を通じて外側リンクと内側リンクとの間の相対配向を制御する噛み合いギア歯を含む。いくつかの実施形態では、内側リンクは外側リンクによって受動的に拘束される。
【0018】
いくつかの実施形態では、手首アセンブリは引張部材を介して作動される。例えば、いくつかの実施形態では、装置は、外側リンクの部分を通って延び、手首アセンブリを関節運動させる(articulate)ように連結された(articulated)ケーブル部分を含む。
【0019】
別の態様では、手術装置は、細長いシャフト、エンドエフェクタ、および手首アセンブリを含む。細長いシャフトは第1の軸に沿って延びる。エンドエフェクタは、上側ジョー部および下側ジョー部を含む。手首アセンブリは、エンドエフェクタを細長いシャフトに移動可能に接続する。手首アセンブリは、第1の外側リンク、第1の内側リンク、および第2の外側リンクを含む。第1の外側リンクは、細長いシャフトに接続されるとともに第1のギア歯を含む。第1の内側リンクは、第1の軸に対して垂直に配向された第2の軸の周りで第1の外側リンクに対して回転するように第1の外側リンクと枢動可能に(pivotally)結合されている。第2の外側リンクは、第2の軸と平行且つ第2の軸からオフセットされた第3の軸の周りで第1の内側リンクに対して回転するように第1の内側リンクと枢動可能に結合されている。第2の外側リンクは、第1のギア歯と噛み合い、第1の外側リンクに対する第2の外側リンクの配向の範囲全体にわたる第1の外側リンクと第1の外側リンクに対する第1の内側リンクの配向とを制御する第2のギア歯を含む。
【0020】
第1の内側リンクは、任意の適切なピボット接続部を使用して第1の外側リンクおよび第2の外側リンクと枢動可能に結合することができる。例えば、手術装置のいくつかの実施形態では、第1の内側リンクは、第2の軸と整列する第1の突出ジャーナルのペアおよび第3の軸と整列する第2の突出ジャーナルのペアを含み、第1の外側リンクは、第1の突出ジャーナルのペアと接する第1の外側リンクジャーナルベアリングのペアを有し、第2の外側リンクは、第2の突出ジャーナルのペアと接する第2の外側リンクジャーナルベアリングのペアを有する。
【0021】
第1の内側リンク、第1の外側リンク、または第2の外側リンクは、手首アセンブリの組み立てを容易にするために複数部品構造を有することができる。例えば、手術装置のいくつかの実施形態では、第1の内側リンクは、第1の内側リンク第1部分と第1の内側リンク第2部分とを含む複数部品構造を有する。手術装置のいくつかの実施形態では、第1の内側リンク第1部分および第1の内側リンク第2部分は、第1の外側リンクおよび第2の外側リンクの一方に対する第1の内側リンク第1部分および第1の内側リンク第2部分のそれぞれの回転を介して第1の外側リンクおよび第2の外側リンクの一方と接するように構成される。手術装置のいくつかの実施形態では、第1の外側リンクおよび第2の外側リンクの一方の他方は、第1の内側リンクが第1の外側リンクおよび第2の外側リンクの一方と組み立てられた後に第1の内側リンクへの組み立てに適応する(accommodate)ように構成された複数部品構造を有する。
【0022】
手術装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、それを通って作動アセンブリが延びる開口部を形成する。例えば、いくつかの実施形態では、第1の内側リンクは開口部を形成し、手術装置は、開口部を通って延び、エンドエフェクタの機構を作動させるためにエンドエフェクタと駆動可能に結合される細長い駆動部材を含む。
【0023】
手術装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、ケーブル駆動され、手首アセンブリ構成要素が分離するのを避けるために遠位方向の負荷に対抗する(react)ようにケーブル張力に頼ることなくエンドエフェクタに加えられる近位方向の負荷と遠位方向の負荷の両方に対抗するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、手術装置は、手首アセンブリと駆動可能に結合され、手首アセンブリを関節運動させるように連結されたケーブル部分を含み、第1の内側リンクは、ケーブル部分のいずれにも張力がかかっていない場合でも、第2の外側リンクを第1の外側リンクと接した状態に保つように、駆動部材によってエンドエフェクタに加えられて第1の外側リンクに戻る引張荷重および圧縮荷重の両方に対抗するように構成される。
【0024】
手術装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、第1の軸に対して垂直である2つの軸のそれぞれの周りで細長いシャフトに対してエンドエフェクタを再配向させるように動作可能である。例えば、手首アセンブリは、第2の内側リンクと第3の外側リンクとをさらに含むことができる。第2の内側リンクは、第1の軸および第3の軸に対して垂直に配向された第4の軸の周りで第2の外側リンクに対して回転するように第2の外側リンクと枢動可能に結合されることができる。第3の外側リンクは、第4の軸と平行且つ第4の軸からオフセットされた第5の軸の周りで第2の内側リンクに対して回転するように第2の内側リンクと枢動可能に結合されることができる。第3の外側リンクは、第2の外側リンクのギア歯と接し、第2の外側リンクに対する第3の外側リンクの配向の範囲全体にわたって第3の外側リンクおよび第2の外側リンクに対する第2の内側リンクの配向を制御するギア歯を含むことができる。
【0025】
第2の内側リンクは、任意の適切なピボット接続部を使用して第2の外側リンクおよび第3の外側リンクと枢動可能に結合されることができる。例えば、手術装置のいくつかの実施形態では、第2の内側リンクは、第4の軸と整列する第1の突出ジャーナルのペアおよび第5の軸と整列する第2の突出ジャーナルのペアを含み、第2の外側リンクは、第2の内側リンクの第1の突出ジャーナルのペアと接する第2の外側リンクジャーナルベアリングのペアを含み、第3の外側リンクは、第2の内側リンクの第2の突出ジャーナルのペアと接する第3の外側リンクジャーナルベアリングのペアを含む。
【0026】
第2の内側リンク、第2の外側リンク、または第3の外側リンクは、手首アセンブリの組み立てを容易にするために複数部品構造を有することができる。例えば、手術装置のいくつかの実施形態では、第2の内側リンクは、第2の内側リンク第1部分と第2の内側リンク第2部分とを有する複数部品構造を有する。いくつかの実施形態では、第2の内側リンク第1部分および第2の内側リンク第2部分は、第2の外側リンクおよび第3の外側リンクの一方に対する第2の内側リンク第1部分および第2の内側リンク第2部分のそれぞれの回転を介して第2の外側リンクおよび第3の外側リンクの一方と接するように構成される。いくつかの実施形態では、第2の外側リンクおよび第3の外側リンクの一方の他方は、第2の内側リンクが第2の外側リンクおよび第3の外側リンクの一方と組み立てられ後に第2の内側リンクへの組み立てに適応するように構成された複数部品構造を有する。
【0027】
手術装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、それを通って作動アセンブリが延びる開口部を形成する。例えば、いくつかの実施形態では、第2の内側リンクは第2の内側リンク開口部を形成する。手術装置は、第2の内側リンク開口部を通って延び、エンドエフェクタの機構を作動させるためにエンドエフェクタと駆動可能に結合された細長い駆動部材を含むことができる。
【0028】
手術装置のいくつかの実施形態では、手首アセンブリは、ケーブル駆動され、手首アセンブリ構成要素が分離するのを避けるために遠位方向の負荷に対抗するようにケーブル張力に頼ることなくエンドエフェクタに加えられる近位方向の負荷と遠位方向の負荷の両方に対抗するように構成される。例えば、手術装置は、手首アセンブリと駆動可能に結合され、手首アセンブリを関節運動させるように連結されたケーブル部分を含み得る。第1の内側リンクおよび第2の内側リンクは、ケーブル部分のいずれにも張力がかかっていない場合でも、第3の外側リンクを第2の外側リンクと接し且つ第2の外側リンクを第1の外側リンクと接した状態に保つように、駆動部材によってエンドエフェクタに加えられて第1の外側リンクに戻る引張荷重および圧縮荷重の両方に対抗するように構成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】多くの実施形態による手術ツールの図を示す。
【
図1B】多くの実施形態による手術ツールの図を示す。
【
図1C】多くの実施形態による手術ツールの図を示す。
【
図2A】多くの実施形態による手術ツールの斜視図を示す。
【
図2B】多くの実施形態による手術ツールの側面図を示す。
【
図2C】多くの実施形態による手術ツールの底面図を示す。
【
図3A】多くの実施形態による手術ツールの断面図を示す。
【
図3B】多くの実施形態による手術ツールの断面図を示す。
【
図4A】多くの実施形態による作動機構の斜視図を示す。
【
図4B】多くの実施形態による作動機構の断面図を示す。
【
図4C】多くの実施形態による押圧部材の斜視図を示す。
【
図4D】多くの実施形態による押圧部材の斜視図を示す。
【
図4E】多くの実施形態による作動機構の断面図を示す。
【
図5A】多くの実施形態による手首アセンブリの斜視図を示す。
【
図5B】多くの実施形態による手首アセンブリの断面図を示す。
【
図5C】多くの実施形態による外側リンクアセンブリの斜視図を示す。
【
図6A】多くの実施形態による手首アセンブリの組み立ての方法を示す。
【
図6B】多くの実施形態による手首アセンブリの組み立ての方法を示す。
【
図6C】多くの実施形態による手首アセンブリの組み立ての方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1A-1Cは、近位シャシー12、器具シャフト14、および患者の組織を把持するように関節運動されることができる上側ジョー部18を有する遠位エンドエフェクタ16を含む手術ツール10を示す。近位シャシー12は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0183244号明細書に開示されているシステムのような、遠隔手術システムの対応する出力カプラとインタフェース接続し且つそれによって駆動され得る入力カプラ22を含む。入力カプラ22は、器具シャフト14内に配置されている1つまたは複数の入力部材と駆動的に結合されている。入力部材は、エンドエフェクタ16と駆動的に結合されている。
図1Bおよび1Cに示すように、近位シャシー12の入力カプラ22は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,912,746号に開示されているステープラ専用のモータパック、または米国特許第8,529,582号に開示されている汎用モータパックのような、様々な種類のモータパック13と接続する(mate with)ように構成されることができる。
【0031】
図2A-2Cは、エンドエフェクタ16を含む手術ツール10の遠位端部の斜視図、側面図、および上面図を示す。エンドエフェクタ16は、手首アセンブリ24によって器具シャフト14に移動可能に接続されている。手首アセンブリ24は、少なくとも2自由度を有し、器具シャフト14に対して直交する2つの軸回りのエンドエフェクタ16の関節運動のために、細長い器具シャフト14へのエンドエフェクタ16の取り付けを提供する。手首アセンブリ24は、器具シャフト14が沿って延びる軸1に対して垂直である軸2-2の周りでヨー回転するように構成されている。手首アセンブリ24はまた、軸1および軸2に垂直である軸3の周りでピッチ回転するように構成されている。図示のように、ヨー軸2はピッチ軸3に対して近位(エンドエフェクタ16からより遠い)であるが、これは必要条件ではなく、いくつかの実施形態では、ヨー軸2はピッチ軸3の遠位にある。
【0032】
図3Aおよび3Bは、上側ジョー部18および下側ジョー部26を含むエンドエフェクタ16の詳細を示す断面図である。下側ジョー部26は、取り外し可能または非取り外し可能ステープルカートリッジを収容および支持するように構成されることができる。上側ジョー部18は、組織をクランプするために下側ジョー部26に対して関節運動するように下側ジョー部26と枢動可能に結合されている。ビーム部材28が、上側ジョー部を関節運動させるために
図3Aに示す近位状態から
図3Bに示す遠位状態に駆動される。ビーム部材28の移動は、下側ジョー部26に対して組織上に上側ジョー部18を強制的に固定するように働くことができる。オプションで、ビーム部材28はまた、組織を切断し、カートリッジから切断された組織にステープルを展開することを可能にし得る。
【0033】
ビーム部材28は、上側ジョー部18のレール機構32内でスライドするように構成された上側ビーム部分30を含む。レール機構32は、上側ビーム部分30が最近位ガレージ領域36から係合するための傾斜路34を含む。
図3Aに示す開位置は、ばねのような弾性装置によって維持されることができる、または二次機構(図示せず)によって開閉されることができる。上側ジョー部18の部分的な閉鎖は、傾斜路34上への上側ビーム部分30の遠位移動に影響され得る。上側ジョー部18の完全な閉鎖は、上側ビーム部分30が傾斜路34を越えてレール機構32上を遠位に動かされるときに達成される。傾斜路34から離れる上側ビーム部分30の近位移動は、ビーム部材によって加えられた閉鎖力を取り除く。次いで、弾性装置または二次機構が、閉じたまたは部分的に閉じた上側ジョー部18を開かせることができる。したがって、傾斜路34に沿った上側ビーム部分30の前後移動は、エンドエフェクタ16の開閉を切り替えることができる。
【0034】
ビーム部材28はまた、下側ジョー部18のレール機構32内でスライドするように構成された下側ビーム部分38を含む。下側ビーム部分38は、ビーム部材28の遠位移動中に下側ジョー部26からステープルを排出するように構成された(米国特許出願公開第2014/0183244号に開示されているような)スレッド(sled)を作動させることができる。代替的には、下側ビーム部分30はそのようなスレッドと一体化されることができる。
【0035】
図4Aは、ビーム部材28の斜視図を示す。ここで、上側ビーム部分30は、組織を切断するように構成された一体型切断部材40を含む。しかし、他の実施形態では、組織切断装置は、ビーム部材28から分離されることができ、または異なる方法でビーム部材28内に実装されることができる。上側ビーム部分30は、一体型切断部材40から横方向に延びる上側フランジ42を含む。滑走部分42は、レール機構32および傾斜路34と直接連結するように構成されている。同様の方法で、下側フランジ44が、下側ジョー部26のレール機構でスライドするように設けられる。細長い駆動部材46が、駆動部材46に遠位方向および近位方向への移動を提供するために、ビーム部材28に取り付けられている。
【0036】
図4Bは、ビーム部材28および駆動部材46の断面図を示す。駆動部材46は、押圧部材48および引張部材50を含む。押圧部材48は、密巻ばね(close-coiled spring)として構成され、駆動ロッド52によって加えられる軸力を伝えるように適合されている。押圧部材48は、PTFEのような潤滑性ポリマー材料から構成することができるシース54によって外側から拘束されることができる。押圧部材48のコイル状設計は、ビーム部材28を遠位方向に押すために圧縮力がビーム部材28に効率的に伝えられることを可能にする。押圧部材48は、従来の方法でコイル状ワイヤから構成されることができ、あるいはチューブから螺旋状に切断されることができる。場合によっては、押圧部材の圧縮要素(例えば、コイル)は、張力下で分離するため、そのような場合、押圧部材は圧縮力の伝達にのみ有効であり得る。
【0037】
引張部材50は、編組ケーブルまたは他の可撓性ロッドから構成され、圧着部分(crimp portion)56によってビーム部材28内に保持され得る。場合によっては、引張部材は、それ自体がつぶれたり座屈したりする傾向がある可能性があるので、引張部材は押圧力の伝達に比較的効果がない可能性があり、したがって、そのような場合、引張部材は引張力の伝達にのみ有効であり得る。引張部材50はまた、駆動ロッド52によって加えられた軸力を伝える(translating)ように適合されている。駆動ロッド52は器具シャフト14内に配置され、
図1に示される入力カプラ22の1つまたは複数に駆動可能に結合される。引張部材50は、引張力が駆動ロッド52からビーム部材28に効果的に伝達されるとともに、ビーム部材28を近位方向に引っ張ることを可能にする。押圧部材48および引張部材50は、引張部材50への引張力および押圧部材48への圧縮力を分離することによって、ビーム部材28に遠位および近位の運動を提供するように相補的な方法で動作する。これは、駆動部材46の非常に柔軟かつコンパクトな設計を可能にし、動作中にひどいヨー角度およびピッチ角度で配置されることができる手首24内で駆動部材46が並進運動することを可能にする特性を可能にする。
【0038】
押圧部材は、
図4Bに示されるような密巻ばね設計に限定されない。例えば、
図4Cに示すような可撓性の押圧部材58が、実質的に圧縮剛性を低下させることなく、手首での曲げ柔軟性を増加させるために、パターンを中実チューブに切り込むことによって中実チューブから形成されることができる。ここでは、押圧部材58は、金属製のチューブにパターンをレーザーカットすることにより形成されている。ここでのパターンは、ギャップがチューブに形成されるところでの可撓性および材料が適所に残されるところでの軸方向の剛性を可能にする。可撓性の押圧部材の他の例が
図4Dに示され、
図4Dは、らせん状パターンに配置された複数の円周方向スリットを有する押圧部材60を示す。
【0039】
図4Eは、駆動部材60の代替構成を示す。ここでの構成は、押圧部材48が引張部材50を同心状に囲む
図4Bに描かれているものと反対である。ここで、駆動部材60は、押圧部材64を封入する編組シースとして構成された引張部材62を含む。押圧部材64は、可撓性ロッド66によって接合された複数の球状部材(例えば、ボールベアリング)として構成されている。押圧部材64および引張部材62の両方は、
図1に示す入力カプラ22の1つまたは複数に駆動可能に結合されている駆動ロッド52によって作動させられる。
【0040】
図5Aおよび5Bは、手首アセンブリ24の斜視図および断面図を示す。手首アセンブリ24は、近位外側リンク100、中間外側リンク102、および遠位外側リンク104を含む。これら3つのリンクは、手首アセンブリ24の運動学的ピッチおよびヨー運動を決定する。図示のように、近位外側リンク100と中間外側リンク102との間の接点部(interface)は、手首アセンブリ24のヨー運動を決定する。外側遠位リンク104と中間外側リンク102との間の接点部は、手首アセンブリ24のピッチ運動を決定する。しかし、代替の手首構成では、この関係は、(例えば、手首アセンブリ24に対してエンドエフェクタ16を90度回転させることによって)手首アセンブリ24が近位外側リンク100と中間外側リンク102との間でピッチ回転し、遠位外側リンク100と中間外側リンク102との間でヨー回転するように逆にされることができる。
【0041】
ケーブル部分106は、手首アセンブリ24と駆動可能に結合され、手首アセンブリ24に動きを与えるように作動される。いくつかの実施形態では、ケーブル部分106は、遠位外側リンク104の一部分に個々に固定されることができる。機能的に均等な代替実施形態では、
図5Aに示されるように、ケーブル部分106は、示されるように遠位外側リンク104の一部分の周りにループにされる。ケーブル部分106を遠位外側リンク104にループさせることは、ケーブル部分106を遠位外側リンク104に固定するために使用されることができる。ケーブル部分106は、手首アセンブリ24を関節運動させるように連結されることができる。ケーブル部分106の差動運動(Differential movement)は、様々な角度でピッチ回転およびヨー回転させるように手首アセンブリ24を作動させるために使用されることができる。ケーブル部分106は、
図1に示される入力カプラ22のうちの1つまたは複数に駆動可能に結合されることができる。手首アセンブリはまた、近位内側リンク108および遠位内側リンク110を含み、これらは以下で詳細に論議される。
【0042】
図5Cに注目すると、
図5Aおよび5Bに示す外側リンク間の接点部を表すジョイント112の例示的実施形態が示されている。ジョイント112は、第1リンク114および第2リンク116を含む。第1リンク114は、ギア歯118、120およびベアリング(支持)突出部(bearing projection)122を含み得る。第2リンク116は、ギア歯124、126、128およびベアリング突出部130を含む。例示的な実施形態によれば、第1および第2のリンク114、116の突出部122、130は、ケーブル部分106が通過することを可能にする通路を含み得る。ベアリング突出部122、130は中央開口部134、136に対して外側位置に配置されているので、ベアリング突出部122、130に隣接する通路を通って延びるケーブル部分106もまた外側位置に配置されている。これは、中央開口部134、136を通る他の機構の経路設定(routing)を可能にする。リンク114、116間の作動運動学は、運動中に係合および係合解除するギア歯118、120、124、126、128の形状によって決定される。ベアリング突出部122、130は、ギアの歯118、120、124、126、128への圧縮歪みを減少させるのを助けるために全ての角運動を通して適切な点で係合することができる曲面を含んでいた。
【0043】
ジョイント112によって提供される運動範囲の拡大により、ジョイント112を含む手首は、より少ない部品によるより効率的な方法で、ピッチまたはヨー方向に±90度のような所望の量の運動を提供し得る。各ジョイントが約45度の最大ロール角に制限される従来の手首構造では、直列のいくつかのそのようなジョイントが、手首機構全体のための比較的大きなロール角を達成するために、必要とされる。図示の実施形態では、単一のジョイント112が最大90度の角度偏向を提供することができる。その結果、1つまたは複数のジョイント112を含む手首の製造コストおよび複雑さが低減される一方依然として所望の角度偏向を達成することができる。加えて、ジョイント112のリンク114、116に含まれるギア歯118、120、124、126、128は、例えば、リンク114、116を中立位置(例えば、ゼロ角度ロールアラインメント)に戻すことを含む、リンク114、116を正確に位置決めするのを助けるために、および、リンク114、116が互いに対して再配向されるときのように、リンク114、116間の動きの滑らかさを高めるために、向上されたタイミングを提供することができる。例示的な実施形態によれば、手首は、例えば、ピッチまたはヨー方向の最大±180度の運動範囲を有する手首のような、より高い運動範囲(ロール限界角度まで)を達成するために複数のジョイント112を含み得る。ジョイント112、および本明細書に開示された実施形態と共に使用可能な他のジョイントのさらなる詳細は、国際公開第2015/127250号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
図5Bに示すように、近位内側リンク108および遠位内側リンク110は、軸1に沿って空間的に分離され、互いに90度オフセットされている(ずれている)。したがって、近位内側リンク108は部分的にしか示されていない。近位および遠位内側リンク108、110の半径方向表面は、突出部を含む(例えば、突出ジャーナル140として構成されている)。突出部は、外部リンクの内側表面で(例えばジャーナルベアリング142として構成された)凹部と接する。いくつかの実施形態では、突出ジャーナル140およびジャーナルベアリング142は、外側リンク間の距離を設定するが、そうでなければ受動的であり、ギア歯118、120、124の幾何学的形状によって決定される外側リンクのジョイント運動学を変えない。近位および遠位内側リンク108、110の各側部は、内側リンク108、110あたり合計4つの突出ジャーナル140に対してジャーナルベアリング142と接する共通に整列した(commonly aligned)突出ジャーナル120のペアを含む。突出したジャーナル140の各ペアは、駆動部材46のための内部通路144を提供するために分離される。
【0045】
追加の内部シース146が、駆動部材46をさらに支持するために使用されることができる。駆動部材46は、内部シース146内で軸方向にスライドする。内部シース146は、手首アセンブリ24の遠位端部分に固定され、手首アセンブリ24の動きとともに曲がるように可撓性であるが、軸方向には動かない。内側リンク108、110によって提供される内部シース146および内部通路144は、軸方向移動中に駆動部材46を案内し且つ拘束するように働く。内部シース146および内部通路144は、圧縮荷重(すなわち、切断およびステープル留め中の遠位運動)下で駆動部材が座屈するのを防止する。前述の国際公開第2015/127250号に開示されているような従来の手首のデザインは、外側リンクを定位置に維持するために張力をかけたケーブルに頼っている。ここでは、駆動部材46が遠位方向に移動するとき、結果として生じる圧縮力は内側リンク108、110を介することによって対抗されることができ、それによってケーブル106内の潜在的な伸張および結果としての張力の損失を防ぐことができる。駆動部材46が遠位方向に移動するとき、内側リンク108、110の突出ジャーナル140は有利に外側リンクを所定の位置に維持し、そのため、手首アセンブリ24の構造を維持する。
【0046】
各内側リンク108、110は、
図6A乃至6Cに示すようにツーピース構造を有することができ、これらの図は、内側リンクを外側リンクに組み立てるための技法も示している。
図6Aにおいて、近位内側リンク108の第1のリンク部分108aおよび第2のリンク部分108bは、突出ジャーナル140を中間外側リンク102のジャーナルベアリング142内に配置するように位置決めされる。第1のリンク部分108aおよび第2のリンク部分108bは、各部分のギア歯148が互いに噛み合って、その部分を
図6Bに示す構造に整列させるように、斜めに挿入される。ギア歯148は、ピンまたは他の留め具の必要性を排除する組み立て補助具であり、組み立てを越えて運動のためには使用されない。しかし、いくつかの実施形態では、留め具がギア歯の代わりに使用されることができる。リンク部分108a、108bが完全な内側近位リンク108に組み立てられた後、近位外側リンク100が残りの露出した突出ジャーナル140の上に組み立てられて
図6Cに示す構造になる。一実施形態では、
図6Cに示されるように、近位外側リンク100もまたツーピース構造である。
【0047】
他の変形は本発明の精神の範囲内である。説明した実施形態の様々な態様、実施形態、実装形態または特徴は、別々にまたは任意の組み合わせで使用することができる。遠隔手術ツールの動作に関連する記載された実施形態の様々な態様は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実施することができる。したがって、本発明は様々な修正形態および代替構成を受け入れる余地があるが、その特定の例示の実施形態は図面に示されており、上で詳細に説明されてきた。しかし、開示された特定の形態に本発明を限定する意図はないが、それどころか、その意図は、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の精神および範囲内にあるすべての修正形態、代替構造、および均等物を包含することであることが理解されるべきである。
【0048】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語“a”および“an”および“the”および類似の指示対象の使用は、そうでないことが本明細書に示されるか、または文脈により明らかに否定される場合を除き、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」、および「含有する」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。「接続された」という用語は、たとえ介在するものがあったとしても、部分的にまたは全体的にその中に含まれる、それに取り付けられる、または一緒に接合されると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指定がない限り、単にその範囲内に含まれる各個別の値を個々に指す簡潔な方法として役立つことを意図しており、各個別の値は、あたかも本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明の実施形態をよりよく明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載されない限り本発明の範囲の限定をもたらさない。本明細書中のいかなる言語も、請求項に記載されていない要素を本発明の実施に必須であると示すと解釈されるべきではない。
【0049】
本発明を実施するために本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、そして本発明者らは本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙されている主題のすべての修正形態および均等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形形態における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書中に別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【外国語明細書】