(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174949
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】シールドされた先端を有する洗浄シリンジ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20231201BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61M5/31 530
A61J1/05 313Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181152
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2020539247の分割
【原出願日】2019-01-25
(31)【優先権主張番号】62/622,458
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/253,739
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロザ マホモーディアン
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047AA27
4C047DD22
4C047GG11
4C066BB01
4C066CC02
4C066DD07
4C066EE14
4C066NN01
(57)【要約】
【課題】本発明は、シリンジの先端の「接触」汚染を低減又は除去することにより無菌プラクティスを促進するシリンジ先端の周りの物理的バリアを提供する洗浄シリンジを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、洗浄シリンジアセンブリであって、
側壁(21)、開口近位端部(23)及び遠位端部(24)、並びに、遠位壁(25)及び細長い先端(26)を備えるバレル(20);
側壁(31)、カラーの開口遠位端部(34)の内側表面上に配置された複数の溝、開口遠位端部(34)、近位端部(35)、を備えるカラーであって、前記開口遠位端部の内径及び外径は、前記近位端部の内径及び外径よりもそれぞれ大きいカラー;並び、
ストッパーを備える、プランジャーロッド;
を備える洗浄シリンジアセンブリである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄シリンジアセンブリであって、
流体を保持するチャンバー(22)を規定する内側表面を備えた側壁(21)、開口近位端部(23)及び遠位端部(24)、並びに前記遠位端部(24)から遠位方向に延びる、遠位壁(25)及び細長い先端(26)であって、前記細長い先端(26)は、遠位端部及び、前記チャンバーと流体連通した通路を有する、遠位壁(25)及び細長い先端(26)を備えるバレル(20);
バレル(20)の遠位壁(25)上で、接触するように取付けられ、細長い先端(26)及び遠位壁(25)を囲む、カラー(30)であって、前記カラー(30)は、少なくとも一つの区画(33)を規定する内側表面(32)を有する連続した側壁(31)、カラーの開口遠位端部(34)の内側表面上に配置された複数の溝、細長い先端(26)の遠位端部を通り過ぎて、そして、完全に囲む開口遠位端部(34)、バレルの遠位壁(25)に隣接した近位端部(35)、を備えるカラーであって、カラーの開口遠位端部(34)は、内径及び外径を有し、そして、カラーの開口近位端部(35)は、内径及び外径を有し、前記開口遠位端部の内径及び外径は、前記近位端部の内径及び外径よりも、それぞれ、大きいカラー;並び、
バレル内に配置された細長いプランジャーロッドであって、プランジャーロッドは、遠位端部と近位端部を備え、遠位端部はバレルに対するストッパーの動きでチャンバーに流体を引き込み、そして、チャンバーから流体を放出するためのバレルの内側表面と流体タイト係合でスライド可能に配置されたストッパーを備え、細長いプランジャーロッドはバレルの開口近位端部から外側に延び、ストッパーは遠位端表面を有する、プランジャーロッド;
を備える洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項2】
バレルの遠位壁(25)は、バレル(20)をカラー(30)に接続させる係合部分を備える請求項1に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項3】
カラーの区画(33)は、細長い先端(26)及び遠位壁(25)を囲む請求項1に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項4】
カラーは、取り外し可能である請求項1に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項5】
カラーの遠位端部(34)は、凸面の内側表面を有する請求項1に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項6】
カラーは、凹面の内側表面を有する請求項1に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項7】
カラーは、台形プリズムの形状を有する請求項1に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項8】
流体は、洗浄流体である請求項1に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項9】
洗浄シリンジアセンブリであって、
流体を保持するチャンバー(22)を規定する内側表面を備えた側壁(21)、開口近位端部(23)及び遠位端部(24)、並びに前記遠位端部(24)から遠位方向に延びる、遠位壁(25)及び細長い先端(26)であって、前記細長い先端(26)は、遠位端部及び、前記チャンバーと流体連通した通路を有する、遠位壁(25)及び細長い先端(26)を備えるバレル(20);
バレル(20)の遠位壁(25)上で、接触するように取付けられ、細長い先端(26)及び遠位壁(25)を囲む、カラー(30)であって、前記カラー(30)は、少なくとも一つの区画(33)を規定する内側表面(32)を有する連続した側壁(31)、カラーの開口遠位端部(34)の内側表面上に配置された複数の溝、細長い先端(26)の遠位端部を通り過ぎて、そして、完全に囲む開口遠位端部(34)、バレルの遠位壁(25)に隣接した近位端部(35)、を備えるカラーであって、カラーの開口遠位端部(34)は、内径及び外径を有し、そして、カラーの開口近位端部(35)は、内径及び外径を有し、前記開口遠位端部の内径及び外径は、前記近位端部の内径及び外径よりも、それぞれ、大きいカラー;並び、
本体、近位端部、及び、取り外し可能なキャップの外側表面上に複数のスレッドを有する閉口遠位端部を有し、カラーの遠位端部上に取付けられている取り外し可能なキャップ;
バレル内に配置された細長いプランジャーロッドであって、遠位端部と近位端部を備えるプランジャーロッド;および、
プランジャーロッドの遠位端部にスライド可能に配置され、且つ、バレルに対するストッパーの動きで、チャンバーに流入する流体を引き込み、そして、チャンバーから流体を放出するためのバレルの内側表面と流体タイト係合して配置されたストッパー;
を備える洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項10】
カラーの区画(33)は、細長い先端(26)及び遠位壁(25)を囲む請求項9に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項11】
カラーの開口遠位端部(34)の内側表面上に配置された複数の溝は、取り外し可能なキャップの外側表面上に複数のスレッドに接続する請求項9に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項12】
カラーは、取り外し可能である、請求項9に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項13】
カラーの遠位端部(34)は、凸面の内側表面を有する請求項9に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項14】
カラーは、凹面の内側表面を有する請求項9に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項15】
カラーは、台形プリズムの形状を有する請求項9に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項16】
流体は、洗浄流体である請求項9に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項17】
取り外し可能なキャップは、取り外し可能なキャップの本体から延びて、且つ、細長い先端の遠位端部上の通路にフィットする外向きのはみ出し部を備える請求項9に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項18】
取り外し可能なキャップは、三角、四角、五角、六角、七角、八角、対称又は非対称の多角形の断面形状を有する請求項10に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項19】
洗浄シリンジアセンブリであって、
流体を保持するチャンバー(22)を規定する内側表面を備えた側壁(21)、開口近位端部(23)及び遠位端部(24)、並びに前記遠位端部(24)から遠位方向に延びる、遠位壁(25)及び細長い先端(26)であって、前記細長い先端(26)は、遠位端部及び、前記チャンバーと流体連通した通路を有する、遠位壁(25)及び細長い先端(26)を備えるバレル(20);
バレル(20)の遠位壁(25)上で、接触するように取付けられ、細長い先端(26)及び遠位壁(25)を囲む、カラー(30)であって、前記カラー(30)は、少なくとも一つの区画(33)を規定する内側表面(32)を有する連続した側壁(31)、カラーの開口遠位端部(34)の内側表面上に配置された複数の溝、細長い先端(26)の遠位端部を通り過ぎて、そして、完全に囲む開口遠位端部(34)、バレルの遠位壁(25)に隣接した近位端部(35)、を備えるカラーであって、カラーの開口遠位端部(34)は、内径及び外径を有し、そして、カラーの開口近位端部(35)は、内径及び外径を有し、前記開口遠位端部の内径及び外径は、前記近位端部の内径及び外径よりも、それぞれ、大きいカラー;並び、
本体、近位端部及び、取り外し可能なキャップの外側表面上に複数のスレッドを有する閉口遠位端部を有し、カラーの遠位端部上に取付けられている取り外し可能なキャップ;
バレル内に配置された細長いプランジャーロッドであって、遠位端部と近位端部を備えるプランジャーロッド;および、
プランジャーロッドの遠位端部にスライド可能に配置され、且つ、バレルに対するストッパーの動きで、チャンバーに流入する流体を引き込み、そして、チャンバーから流体を放出するためのバレルの内側表面と流体タイト係合して配置されたストッパー;
を備え、
カラーの開口遠位端部(34)の内側表面上に配置された複数の溝は、取り外し可能なキャップの外側表面上に複数のスレッドと接続する、洗浄シリンジアセンブリ。
【請求項20】
カラーは、凸面の内側表面を有する請求項19に記載の洗浄シリンジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、シリンジアセンブリ、及び特に、周辺の無菌でない環境とシリンジの先端の接触を防止する物理的バリアを備えたシリンジアセンブリに関する。本開示の実施形態は、血管アクセス装置(VAD)の洗浄手段における使用に対して無菌技術を保証するものである。本開示の実施形態は、血流感染(CRBSI)及び、キャッピング技術、特に洗浄手順に使用されるシリンジアセンブリ、を備えた静脈内(IV)管開通維持、に対する危険を低減させる技術にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
血管アクセス装置(VAD)は、ペリフェラルカテーテル及び中心静脈カテーテルを含む治療装置に一般的に使用されている。適切に維持されない、又は、非無菌環境に曝露される場合、VADは汚染され得、血の塊でシールされ、又は、感染を広げる。VADが適切に使用され、シールされたり、感染されたりしないように、無菌プラクティスを保証するプロトコルが開発された。これらのプロトコルはVADを滅菌する、洗浄液でカテーテルを洗浄することを含む。カテーテルは、多様な流体を充填したシリンジアセンブリを使用して洗浄される。いくつかの場合、異なる流体が、プロトコルに従って、順次注入される。例えば、生理食塩水の次に、ヘパリンのような抗凝固剤が続く。静脈内(IV)管を洗浄するために使用されるシリンジのサイズは、カテーテルのサイズ及び長さを含む多様なファクターにより変化する。典型的に、1ml、3ml、5ml及び、10ml容量のシリンジが使用される。VADプロトコルは、たいてい、洗浄手順を、カテーテル配置後、流体注入前、並びに、薬剤投与、血液のサンプリング、輸血及び非経口栄養の前と後、が奨励されている。これらの洗浄手順の目的は、カテーテルの開通を確認し、薬剤の配合禁忌を回避し、完全な薬剤投与を保証し、血栓の形成を防止し、血流感染の危険を最小化することである。
【0003】
従来からの洗浄シリンジは、シリンジ先端がパッケージングから除かれると、非無菌環境に曝露される一つの端にルアー先端を持つバレルを有しており、従って、望ましくない汚染の機会を提供する。結果として、シリンジ、特に、周りの非無菌環境で、シリンジの先端の「接触」汚染を低減又は除去することにより無菌プラクティスを促進するシリンジ先端の周りの物理的バリアを提供する洗浄シリンジ、に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一つの実施態様は、流体を保持するチャンバーを規定する内側表面を備えた側壁、開口近位端部、そこを介して前記チャンバーと流体連通した通路を有し、そこから遠位方向に延びる細長い先端を有する遠位壁を有する遠位端部、を備えるバレルを備える洗浄シリンジアセンブリに関連する。洗浄シリンジアセンブリは、バレルの遠位壁上に取付けられた、細長い先端を囲むカラーも備える。カラーは、区画を規定する内側表面を有する少なくとも一つの側壁、開口遠位端部、バレルの遠位壁に隣接した近位端部を備えることが出来る。洗浄シリンジアセンブリは、バレル内に配置された細長いプランジャーロッド(プランジャーロッドは、遠位部分と近位部分を備える)を備えることも出来る。プランジャーロッドは、バレルに対するストッパーの動きで、チャンバーに流体を引き込み、そして、チャンバーから流体を放出するためのバレルの内側表面と流体タイト係合でスライド可能に配置されたストッパーを備えた遠位端部を備えることも出来る。細長いプランジャーロッドは、バレルの開口近位端部から外側に延びても良い。
【0005】
一つ以上の実施形態で、バレルの遠位壁は、バレルをカラーに接続させる複数のスレッド(ねじ山)を備える。ある実施形態では、カラーの近位端は、バレルの遠位端上にスレッドで付けられても良い。
【0006】
一つ以上の実施形態で、カラーの区画は細長い先端を囲む。一つ以上の実施形態で、カラーは取り外し可能であっても良い。
【0007】
一つ以上の実施形態で、カラーは凸面の内側表面又は凹面の内側表面を有することが出来る。
【0008】
一つ以上の実施形態で、カラーは台形プリズムの形状を有している。
【0009】
一つ以上の実施形態で、流体は洗浄流体である。
【0010】
本開示の一つの実施形態は、流体を保持するチャンバーを規定する内側表面を備えた側壁、開口近位端部、そこを介して前記チャンバーと流体連通した通路を有し、そこから遠位方向に延びる細長い先端を有する遠位壁を有する遠位端部、を備えたバレルを備える洗浄シリンジアセンブリに関連する。カラーは、バレルの遠位壁に取付けられ、細長い先端を囲むことが出来る。カラーは、区画を規定する内側表面を有する少なくとも一つの側壁、開口遠位端部、バレルの遠位壁に隣接した近位端部を備えることが出来る。本体、近位端部、及び閉口遠位端部を有する取り外し可能なキャップは、カラーの遠位端部に取付けられても良い。細長いプランジャーロッド(プランジャーロッドは、遠位部分と近位部分を備える)はバレル内に配置されることが出来る。ストッパーを、プランジャーロッドの遠位端部にスライド可能に配置して、そして、バレルに対するストッパーの動きで、チャンバーに流体を引き込み、そして、チャンバーから流体を放出するためのバレルの内側表面と流体タイト係合して配置しても良い。
【0011】
一つ以上の実施形態で、カラーの区画は細長い先端を囲む。
【0012】
一つ以上の実施形態で、バレルの遠位壁はバレルをカラーに接続させる複数のスレッドを備えても良い。一つ以上の実施形態で、カラーの遠位端はカラーを取り外し可能なキャップに接続させるために複数のスレッドを備えても良い。
【0013】
一つ以上の実施形態で、カラーは取り外し可能であっても良い。
【0014】
一つ以上の実施形態で、カラーは凸面又は凹面の内側表面を有しても良い。特定の実施形態で、カラーは台形プリズムの形状を有している。
【0015】
一つ以上の実施形態で、流体は洗浄流体である。
【0016】
一つ以上の実施形態で、取り外し可能なキャップは、キャップの本体から延びて、且つ、細長い先端の遠位端の開口部と対応する、外側へはみ出しを備えても良い。
【0017】
一つ以上の実施形態で、取り外し可能なキャップは、三角、四角、五角、六角、七角、八角、対称又は非対称の多角形の断面形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラーを有する洗浄シリンジの部分的な斜視図を説明する。
【
図2】
図2は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラーを有する洗浄シリンジの上部斜視図を説明する。
【
図3】
図3は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラー及びキャップを有する洗浄シリンジの側面図を説明する。
【
図4】
図4は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラー及びキャップを有する洗浄シリンジの断面図を説明する。
【
図5】
図5は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラーを有する洗浄シリンジの上部斜視図を説明する。
【
図6】
図6は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラー及びキャップを有する洗浄シリンジの側面図を説明する。
【
図7】
図7は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラー及びキャップを有する洗浄シリンジの断面図を説明する。
【
図8】
図8は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラー及びキャップを有する組立てられた洗浄シリンジの斜視図を説明する。
【
図9】
図9は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、カラーを有し、キャップ除かれた洗浄シリンジの斜視図を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本開示の複数の具体的実施形態を記述する前に、この開示は、以下の記述中の構成又はプロセス工程などに限定されないと理解されるべきである。本開示は、他の実施形態及び、多様な方法で実現し又は実施できる。
【0020】
この開示で使用されている用語に関して、以下の定義が提供される。
【0021】
「洗浄シリンジアセンブリ」は、VADの洗浄において使用する示されたシリンジを含む。洗浄のプラクティスは、カテーテルの開通を保証し、且つ維持し、配合禁忌医薬の混合を防止することを助ける。
【0022】
「a」、「an」、「the」は、単数及び複数を含む。
【0023】
「カテーテル関連血流感染」又は、「CRBSI」は、カテーテル又はIVラインの存在から生じる感染を言う。
【0024】
本明細書において、「ルアーコネクタ」は、シリンジ、カテーテル、ハブ針、IVチューブ、などを相互に接続する標準的な方法である接続カラーを言う。ルアーコネクタは、プレッシャー/ツイストフィットだけの場合でも、一緒に保持されるように若干先細くした雄型及び雌型の連動式チューブから構成される。ルアーコネクタは、任意選択的により安全にするために追加でスレッディングの外側リムを備えることが出来る。ルアーコネクタ雄型端部は、一般的に洗浄シリンジと関係して、VAD上に位置している雌型端部と連動し、そして、接続することが出来る。ルアーコネクタは、遠位端部、近位端部、一体的な形状をした外側壁、シリンジのバレルのチャンバーからVADのハブへ流体連通する特徴付けられた中央通路を備える。ルアーコネクタは、ルアーコネクタをVADのハブに脱着可能に付ける遠位端チャネル、及び、ルアーコネクタをシリンジのバレルに脱着可能に付ける近位端チャネルも有する。
【0025】
臨床医は、静脈内(IV)カテーテルを洗浄している間、複数の事柄を処理する必要があるので、シリンジ先端が周囲の環境と接触することを防ぎつつ、手順を実行するために、ある水準の器用さが必要とされる。もし、シリンジ先端が非無菌表面に接触すると、IVライン中の微生物の成長を生じさせる「接触」汚染が起きて、カテーテル関連血流感染(「CRBSI」)及び、非常に高くなり且つ致死的である中央ライン関連血流感染(「CLABSI」)を、結果として生じさせる。本開示の実施形態は、シリンジの細長い先端を囲むカラーを有する洗浄シリンジに関連する。カラーは、シリンジ先端の周りに物理的バリアを提供する。その形状により、本開示のカラーは、カテーテルハブ及び/又は針のないコネクタを有する洗浄シリンジの配置を促進することを助け、そして、それにより「接触」汚染の機会を低減出来る。
【0026】
プランジャーロットと、開口近似端部及び遠位先端とを有するシリンジバレルとを備えたシリンジアセンブリが提供され、シリンジ先端が回りの非無菌環境と接触することを防止することによりシリンジの汚染を低減させると同時に、カテーテルハブ又は針なしコネクタとシリンジとの調整を促進させるために、遠位端シリンジ先端はカラーにより囲まれている。
図1-7を参照し、本開示に従ったシリンジアセンブリ10は、流体を保持するためのチャンバー22を規定する内側表面を有する側壁21を含む、バレル20、を一般的に備える。1つ以上の実施形態で、流体は洗浄流体である。バレル20は更に、開口近位端部(図示せず)、そこから遠位方向に延びる細長い先端26を有する(カラー30に接続するために適用される)遠位壁25を有し、且つ、そこを介してチャンバーと流体連通した通路27を有する遠位端部24を備える。バレルの開口近位端部は、遠位端部24の反対側の端部に配置される。遠位壁25はカラー30に付けるための複数のスレッド28を備えても良いが、しかし、カラー30は、プレスフィッティング、付着、引き止め、共射出成型、など、を含む多様な方法を介して、遠位壁上に関与しても良い。
【0027】
図2に示すように、カラー30は、バレルの遠位端部24に取付けられ、カラー30は、細長い先端26を囲む区画33を規定する内側表面32を有する少なくとも一つの側壁31、開口遠位端部34、及びバレルの遠位壁25に隣接した近位端部35を備える。細長い先端26は、血管アクセス装置のハブの接続に適用されている。カラー30は、血管アクセス装置に接続するための内側表面上に、複数のスレッド36を備えても良い。
図4、5、及び7に示すように、カラー30は、バレルの遠位壁25に付けるための近位端部35上に係合部分38を備えても良い。製造において、洗浄シリンジアセンブリ10は、バレルの遠位壁25上の近位端部35上に接続されたカラー30で提供することが出来る。係合は、プレスフィッティング、付着、引き止め、共射出成型、など、限定されるものではないが、多様な方法を介しても良い。カラー30の形状は多様であり得る。カラー30は、凸面の内側表面(例えば、放物面)、凹面の内側表面、直線的なプロファイルで(例えば、半円錐形状)、又は台形プリズムの形状を有していても良い。シリンジの本体からのこの拡張の長さ、及び、プロファイルの開放性/真直性の程度(シリンジのバレルから最も離れたところで、カラーはどれだけの幅であるか)は、多様であり得る。
【0028】
一つ以上の実施形態で、カラー30は、シリンジアセンブリ10からから取り外し可能であっても良い。
【0029】
一つの実施形態で、カラー30は、血管アクセス装置のハブに接続するために適用された複数のスレッド36を備えても良い。一つ以上の実施形態で、カラー30は、血管アクセス装置のハブに接続するために適用された細長い先端を囲む。一つ以上の実施形態で、細長い先端はルアー先端である。
【0030】
図3、4、及び6に示すように、カラー30の開口遠位端部34は、取り外し可能なキャップ40を備えていても良い。取り外し可能なキャップ40は、近位端部42、閉口遠位端部43を有する本体41を備える。遠位端部43及び近位端部42は、キャップ40の長さを規定する。
図3、4、6、及び7は、本開示の一つ以上の実施形態に従った、キャップ40の側面図、及び、断面図をそれぞれ示す。キャップ遠位端部43でキャップへこみ431が形成されるように、キャップ遠位端部430は遠位端部43内で、へこんでいても良い。組立において、キャップ40の近位端部42は、カラー30の遠位端部43に隣接している。
図4及び7に示すように、キャップ40は、キャップ40の本体から延びて、且つ、細長い先端26の遠位端の開口部と対応する外側に向くはみ出し44を備えていても良い。取り外し可能なキャップ40の近位端部42は、カラー30の遠位端部の内側表面上に配置された対応する溝に付けるための外側表面上に、複数のスレッドを備えても良い。一つ以上の実施形態で、カラー30上にキャップをねじ留めできるように、少なくとも一つのねじスレッドが適用される。
【0031】
キャップ40の断面形状は、これらに限定されるものではないが、三角、四角、五角、六角、七角、八角、対称又は非対称の多角形を含むいかなる好適な形状であっても良い。キャップ40の形状は、使用者に快適な感情を提供し、且つ、使用者がカラー30からキャップを容易に接続又は非接続させられるように、つかむ力を強化できる。いくつかの実施形態で、キャップ40は不規則な形状である。本明細書及び、特許請求の範囲において、用語「不規則な形状」は、断面図が、断面について自由な回転が有害である表面又は縁を提供することを意味する。例えば、六角形又は楕円形は、「不規則」と考えられる。
【0032】
シリンジアセンブリ10は、公知の方法を使用して洗浄液で満たしても良い。更に、シリンジアセンブリ10は、製造者又はサプライヤーから充填済で提供されても良い。洗浄液は、洗浄するため又はVADの性能を維持するため意図されたいかなる溶液であっても良い。洗浄液は、生理食塩水及び、ヘパリンロック洗浄液から成る群から選択されることが好ましい。これらの溶液は、当該分野では知られており、且つ、容易に入手出来る。生理食塩水洗浄液の具体例は、限定されるものではないが、注入用の0.9%塩化ナトリウムUSPを含む。ヘパリンロック洗浄液の具体例は、限定されるものではないが、mL当たり100USPユニット又は10USPユニットの塩化ヘパリンを有する0.9%塩化ナトリウムを含む。
【0033】
シリンジアセンブリ10のVADへの結合が完了すると、シリンジのバレル20から血管アクセス装置への流体連通が生じ得る。流体は、一体化通路27を介してバレル20から、IV又はカテーテル中に引き込まれる。カラー30の存在により、血管アクセス装置を介した患者中への流体連通は、追加の拭く工程及び臨床医による勤勉さなしに、無菌状態下で行われる。
【0034】
一つ以上の実施形態で、カラー30は、血管アクセス装置への流体連通のためのシリンジバレル20の遠位壁25上に一体化形成され得る。
【0035】
バレルは、バレルから遠位に延びる先端を備えても良い。先端は、バレルの残りの外径と異なるか又は同じ外径を有することが出来る。例えば、図に示されるように、先端の外径は、先端の近位端部であるバレル部分よりも小さい外径を有する。バレルの先端は、先端を同心円的に囲む又は先端内のルアースリップ結合又は、ロッキングルアー型カラーを備えても良い。
【0036】
図8は、本開示の一つ以上の実施形態に従ったカラー及びキャップを有する組立て洗浄シリンジの斜視図を説明する。
図9は、本開示の一つ以上の実施形態に従ったカラーを有し、キャップが除かれた組立て洗浄シリンジの斜視図を説明する。
【0037】
細長いプランジャーロッド50は、遠位部分及び近位部分52を備えることが出来、バレルに対するストッパーの移動により、チャンバー中へ流体を引き込み、また、チャンバーから流体を放出するためのバレルの内側表面で、流体タイト係合でスライド可能に配置されたストッパー54を備えた遠位端部51を備え、細長いプランジャーロッドはバレルの開口近位端部23から外側方向へ延び、ストッパーは、遠位表面を有する。
【0038】
細長いプランジャーロッドは、バレル20内に配置されても良い。プランジャーロッドは、近位端部及び遠位端部を有する細長い本体部分を備える。
【0039】
プランジャーロッドの細長い本体部分は、近位端部から遠位端部へ延びる軸長さを有する。本体部分は、シリンダー形状又は他の形状を有していても良い、一つのビーム又は特徴を備えていても良い。本体部分は、二つの垂直に交わるビームにより形成されることで出来る。
【0040】
プランジャーロッド50は、細長い本体部分の近位端52で、サムプレス55も備えても良い。サムプレスの形状は、洗浄シリンジアセンブリの所望する使用に依存して変化し得る。サムプレスの形状は、円形、四角形、正方形、長方形、三角形、楕円形、五角形、六角形、及び、十字形であり得る。
【0041】
ストッパー54は、プランジャーロッドの遠位端部に接続させることが出来る。ストッパーの形状及びサイズは、例えば、バレル及びプランジャーロッドの形状及びサイズに依存して、いかなる好適な形状又はサイズであり得る。プランジャーロッド50は、バレル20中にスライド可能に配置され、ストッパーはバレルの内側表面に流体タイト接触しており、且つ、バレル20に対するプランジャーロッド50の遠位端移動により、ストッパー54がバレルからの流体を押し出すようにする。いくつかの実施形態で、ストッパーは、バレルに対するストッパーの移動により、チャンバーからの流体を放出させるためバレルの内側表面と流体タイト接触してスライド可能に配置される。ストッパーは、いかなる好適な手段により、細長いプランジャーの遠位端部に接続させることが出来る。いくつかの実施形態で、相補的なスクリュースレッド及び、プレスフィット接続の相互作用のような機械的接続により接続される。ストッパーは、チャンバー中に流体を引き込み、そして、チャンバーから流体を放出するために、バレルの内側表面と流体タイト係合してスライド可能に配置されても良い。
【0042】
ストッパーは、バレルの内側表面をシールするように提供に適したいかなる材料で作成されても良い。例えば、ストッパーは、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴム、又は、熱可塑性材料、及び、これらの組合せから作成することが出来る。ストッパーは、同じ又は異なる材料を一緒にさせた別々の材料を一体化成形又は、構成されることが出来る。プランジャーロッドは、ポリプロピレン、ポリエチレン、などのようなストッパーよりもより強固な材料で作成されても良い。材料は、使用される手段との互換的であるように選択されるべきである。
【0043】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して述べたが、これらの実施形態は、本発明の原理及び適用の単に実例であると理解すべきである。従って、実例の実施形態に多数の修正を行うことが出来、そして、本明細書で開示の精神及び特許請求の範囲から逸脱することなく、他の配置を考案することが出来ると理解すべきである。