(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174952
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ヒートシール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20231201BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B65B51/10 Z
B65B51/10 210
B65B51/14
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181259
(22)【出願日】2023-10-20
(62)【分割の表示】P 2020207739の分割
【原出願日】2020-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 徹
(72)【発明者】
【氏名】福永 一生
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094CA03
3E094CA06
3E094CA15
3E094DA01
3E094EA01
3E094GA01
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】所望の温度条件下で袋のヒートシール処理を行うのに有利なヒートシール装置を
提供する。
【解決手段】袋シール装置10は、開閉可能に設けられる第1シール部21及び第2シー
ル部22であって、相互間に袋が配置されている状態で閉位置に配置されることで袋を挟
みつつヒートシール処理を行う第1シール部21及び第2シール部22と、閉位置に配置
されている状態の第1シール部21及び第2シール部22の少なくとも一部を、第1シー
ル部21及び第2シール部22から離れた位置で覆うように設けられる熱反射体16を含
む遮熱体15と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能に設けられる第1シール部及び第2シール部であって、相互間に袋が配置され
ている状態で閉位置に配置されることで前記袋を挟みつつヒートシール処理を行う第1シ
ール部及び第2シール部と、
前記閉位置に配置されている状態の前記第1シール部及び前記第2シール部の少なくと
も一部を、前記第1シール部及び前記第2シール部から離れた位置で覆うように設けられ
る熱反射体を含む遮熱体と、を備えるヒートシール装置。
【請求項2】
前記遮熱体は、断熱層を含む請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
開閉可能に設けられる第1シール部及び第2シール部であって、相互間に袋が配置され
ている状態で閉位置に配置されることで前記袋を挟みつつヒートシール処理を行う第1シ
ール部及び第2シール部を備え、
前記第1シール部及び前記第2シール部のうちの少なくともいずれか一方は、
発熱体と、
断熱層と、を有するヒートシール装置。
【請求項4】
前記第1シール部及び前記第2シール部は、各々シール接触面部を有し、相互間に前記
袋が配置されている状態で前記閉位置に配置されることで前記シール接触面部を前記袋に
接触させつつ前記袋を挟み、
前記断熱層は、前記発熱体と前記シール接触面部との間には位置しない請求項3に記載
のヒートシール装置。
【請求項5】
前記断熱層は、前記発熱体から離れて位置する請求項3又は4に記載のヒートシール装
置。
【請求項6】
前記断熱層は、前記発熱体に隣り合って位置する請求項3又は4に記載のヒートシール
装置。
【請求項7】
前記第1シール部及び前記第2シール部のうちの少なくともいずれか一方は、第1の孔
と、前記第1の孔とつながっている第2の孔と、を持つシール本体部を有し、
前記発熱体は、前記第1の孔に配置され、且つ、前記第1の孔を区画する前記シール本
体部の孔区画面のうち前記発熱体を介して相互に対向する部分によって支持され、
前記第2の孔は、前記発熱体と前記シール接触面部との間には位置せず、且つ、前記断
熱層を構成する請求項4に記載のヒートシール装置。
【請求項8】
開閉可能に設けられ且つシール接触面部を有する第1シール部及び第2シール部であっ
て、相互間に袋が配置されている状態で閉位置に配置されることで前記シール接触面部を
前記袋に接触させつつ前記袋を挟んでヒートシール処理を行う第1シール部及び第2シー
ル部を備え、
前記第1シール部及び前記第2シール部のうちの少なくともいずれか一方は、
前記シール接触面部の温度を取得する温度取得部と、
第1発熱体と、
前記温度取得部により取得された前記シール接触面部の温度に応じて発熱する第2発熱
体と、を有するヒートシール装置。
【請求項9】
前記第2発熱体は、前記第1発熱体よりも前記シール接触面部の近くに配置される請求
項8に記載のヒートシール装置。
【請求項10】
前記第1シール部及び前記第2シール部の各々の前記シール接触面部は、シール面延在
方向に延び、
前記第2発熱体は、複数設けられ、
前記複数の第2発熱体は、前記シール面延在方向に沿って離散的に設けられる請求項8
又は9に記載のヒートシール装置。
【請求項11】
前記第1シール部及び前記第2シール部は、前記ヒートシール処理によって、前記袋が
有する複数のフィルム部材をお互いに接合する請求項1~10のいずれか一項に記載のヒ
ートシール装置。
【請求項12】
前記第1シール部及び前記第2シール部は、前記ヒートシール処理によって、前記袋が
有するフィルム部材を取付具に接合する請求項1~10のいずれか一項に記載のヒートシ
ール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
袋を一対の熱板により挟むことで当該袋をシールするヒートシール装置が広く用いられ
ている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
袋のヒートシール処理では、袋を所望の温度条件で加熱することが求められる。袋の加
熱が不十分な場合には袋が適切にシールされず、袋が必要以上に加熱される場合には袋が
過度に溶融してしまう。また1つの袋のシール範囲内において大きな加熱ムラがある場合
には、袋が適切にシールされなかったり、所望のシール強度を確保できなかったり、外観
が損なわれたりする。
【0005】
また最近では様々な材料が袋に使われるようになってきており、材料によってはヒート
シール処理の温度条件が厳しい場合がある。そのような場合、加熱温度をより厳しく管理
することが求められる。
【0006】
例えば、環境保全に関する意識の高まりを背景に、容易にリサイクル可能なモノマテリ
アルの袋の需要が高まっている。モノマテリアルの袋は、単一材料により作られるが、様
々な加工が加えられて相互に異なる特性(例えば酸素透過率や遮光性)を持つ複数の構成
体(フィルム部材など)が組み合わされて作られることがある。
【0007】
ヒートシール処理を受けるモノマテリアルの袋では、ヒートシール処理によって溶融す
る構成体と、ヒートシール処理によって溶融しない構成体とが組み合わされて使用される
。しかしながら、材料が相互に異なる複数の構成体から成る袋に比べると、モノマテリア
ルの構成体間での溶融温度差は小さい傾向がある。そのため、モノマテリアルの袋に対す
るヒートシール処理は、より厳しい温度条件下で行われることが求められる傾向がある。
【0008】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、所望の温度条件下で袋のヒートシー
ル処理を行うのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、開閉可能に設けられる第1シール部及び第2シール部であって、相
互間に袋が配置されている状態で閉位置に配置されることで袋を挟みつつヒートシール処
理を行う第1シール部及び第2シール部と、閉位置に配置されている状態の第1シール部
及び第2シール部の少なくとも一部を、第1シール部及び第2シール部から離れた位置で
覆うように設けられる熱反射体を含む遮熱体と、を備えるヒートシール装置に関する。
【0010】
遮熱体は、断熱層を含んでもよい。
【0011】
本開示の他の態様は、開閉可能に設けられる第1シール部及び第2シール部であって、
相互間に袋が配置されている状態で閉位置に配置されることで袋を挟みつつヒートシール
処理を行う第1シール部及び第2シール部を備え、第1シール部及び第2シール部のうち
の少なくともいずれか一方は、発熱体と、断熱層と、を有するヒートシール装置に関する
。
【0012】
第1シール部及び第2シール部は、各々シール接触面部を有し、相互間に袋が配置され
ている状態で閉位置に配置されることでシール接触面部を袋に接触させつつ袋を挟み、断
熱層は、発熱体とシール接触面部との間には位置しなくてもよい。
【0013】
断熱層は、発熱体から離れて位置してもよい。
【0014】
断熱層は、発熱体に隣り合って位置してもよい。
【0015】
第1シール部及び第2シール部のうちの少なくともいずれか一方は、第1の孔と、第1
の孔とつながっている第2の孔と、を持つシール本体部を有し、発熱体は、第1の孔に配
置され、且つ、第1の孔を区画するシール本体部の孔区画面のうち発熱体を介して相互に
対向する部分によって支持され、第2の孔は、発熱体とシール接触面部との間には位置せ
ず、且つ、断熱層を構成してもよい。
【0016】
本開示の他の態様は、開閉可能に設けられ且つシール接触面部を有する第1シール部及
び第2シール部であって、相互間に袋が配置されている状態で閉位置に配置されることで
シール接触面部を袋に接触させつつ袋を挟んでヒートシール処理を行う第1シール部及び
第2シール部を備え、第1シール部及び第2シール部のうちの少なくともいずれか一方は
、シール接触面部の温度を取得する温度取得部と、第1発熱体と、温度取得部により取得
されたシール接触面部の温度に応じて発熱する第2発熱体と、を有するヒートシール装置
に関する。
【0017】
第2発熱体は、第1発熱体よりもシール接触面部の近くに配置されてもよい。
【0018】
第1シール部及び第2シール部の各々のシール接触面部は、シール面延在方向に延び、
第2発熱体は、複数設けられ、複数の第2発熱体は、シール面延在方向に沿って離散的に
設けられてもよい。
【0019】
第1シール部及び第2シール部は、ヒートシール処理によって、袋が有する複数のフィ
ルム部材をお互いに接合してもよい。
【0020】
第1シール部及び第2シール部は、ヒートシール処理によって、袋が有するフィルム部
材を取付具に接合してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、所望の温度条件下で袋のヒートシール処理を行うのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、袋シール装置(ヒートシール装置)の一例の側方図であり、開位置に配置されている第1シール部及び第2シール部が示されている。
【
図2】
図2は、第1シール部及び第2シール部を拡大して示す上面図であり、袋が第1シール部と第2シール部との間に配置されている状態が示されている。
【
図3】
図3は、第1シール部及び袋を側方から見た図であり、シール処理位置に配置されている袋に対する第1シール部(特にシール面)の位置関係例を示す。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る袋シール装置の一例を示す拡大側方図である。
【
図5】
図5は、
図4の符号「V」で示されている箇所の拡大図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る袋シール装置の一例を示す拡大側方図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る袋シール装置の一例を示す拡大側方図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係る袋シール装置の一例を示す拡大側方図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態に係る第1シール部及び袋を側方から見た図であり、シール処理位置に配置されている袋に対する第1シール部(特に第1発熱体及び第2発熱体)の位置関係例を示す。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係る袋シール装置の制御構成例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、包装処理装置の一例の概略を示す上面図である。
【
図12】
図12は、スパウト取付装置の一例の概略を示す上面図である。
【
図13】
図13は、スパウトが取り付けられた袋の一例を示す側方図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、袋シール装置(ヒートシール装置)10の一例の側方図であり、開位置に配置
されている第1シール部21及び第2シール部22が示されている。
図1では、理解を容
易にするため、第2架台72、スタンド73、第1スライド支持ブロック74、第2スラ
イド支持ブロック75は断面が示されており、スタンド73、第1スライド支持ブロック
74及び第2スライド支持ブロック75の内側の状態が図示されている。
【0024】
図2は、第1シール部21及び第2シール部22を拡大して示す上面図であり、袋Bが
第1シール部21と第2シール部22との間に配置されている状態が示されている。
図3
は、第1シール部21及び袋Bを側方から見た図であり、シール処理位置Psに配置され
ている袋Bに対する第1シール部21(特にシール面)の位置関係例を示す。
図3におい
て、手前側に位置する第2シール部22の図示は省略されている。
【0025】
図1~
図3に示す袋シール装置10は、第1シール部21及び第2シール部22を開閉
させるシール駆動装置23と、袋Bを支持する袋支持部11を移動させる支持駆動装置(
図示省略)と、を備える。袋支持部11は、袋Bの両側方部を把持するグリッパー等の形
態を有する。
【0026】
支持駆動装置は、第1駆動源(図示省略)を具備し、袋支持部11を間欠的に移動させ
て袋Bをシール処理位置Psに位置付ける。支持駆動装置の具体的な構成は限定されない
。例えば、図示しないモーターにより第1駆動源を構成し、支持駆動装置は、当該モータ
ーと、当該モーターの回転軸に取り付けられた回転テーブルとを有してもよい。この場合
、回転軸の回転に応じて、回転テーブルを回転させて、回転テーブルの外周部に取り付け
られた1又は複数の袋支持部11を円周方向に移動させることができる。
【0027】
シール駆動装置23は、第1駆動源とは別個に設けられたサーボモーター等の第2駆動
源24を具備する。本例では、
図1に示すように、第2駆動源24が第1架台70上の土
台71に固定されている。第2駆動源24の回転軸24aには、第1揺動レバー25の一
端部が固定的に取り付けられている。第1揺動レバー25は、回転軸24aの回転に応じ
て、回転軸24aを中心に揺動する。第1揺動レバー25の他端部には、連結軸26の一
端部が回転自在に取り付けられている。連結軸26の他端部には、第2揺動レバー27が
回転自在に取り付けられている。連結軸26は、第2架台72上に固定されたスタンド7
3の内側を通って高さ方向(重力が作用する鉛直方向に沿う方向)に延在する。
【0028】
第2揺動レバー27には、支持軸36が回転自在に取り付けられるとともに、第1進退
軸28の一端部及び第2進退軸32の一端部が回転自在に取り付けられている。第2揺動
レバー27は、支持軸36を中心に回転自在に設けられている。支持軸36は、スタンド
73に取り付けられた支持体(図示省略)に両端が固定されており、当該支持体を介して
スタンド73により固定的に支持されている。
【0029】
第1進退軸28の他端部には第1移動ブロック29が回転自在に取り付けられ、第1移
動ブロック29は第1駆動軸30に固定されている。第2進退軸32の他端部には第2移
動ブロック33が回転自在に取り付けられ、第2移動ブロック33は第2駆動軸34に固
定されている。
【0030】
中空のスタンド73には、第1スライド支持ブロック74及び第2スライド支持ブロッ
ク75が固定的に取り付けられている。第1スライド支持ブロック74及び第2スライド
支持ブロック75は、水平方向にお互いから離れた位置に設けられており、第1駆動軸3
0及び第2駆動軸34をスライド自在に支持しつつ水平方向に案内する。
【0031】
第1駆動軸30の一方の端部には、第1中継ブロック31を介して第1シール部21が
取り付けられている。第2駆動軸34の一方の端部には、第2中継ブロック35を介して
第2シール部22が取り付けられている。第1シール部21及び第2シール部22は、お
互いに水平方向に対向しており、上述のシール駆動装置23により駆動されて開閉動作(
本実施形態では水平移動動作)を行い、お互いに近づいたり、お互いから遠ざかったりす
る。
【0032】
例えば、第1シール部21及び第2シール部22が開位置に配置されている状態で、図
1において反時計回り方向へ回転軸24aが回転させられることにより、第1揺動レバー
25が上向きに揺動させられる。これにより、連結軸26が上方に移動し、第2揺動レバ
ー27が支持軸36を中心に時計回り方向に回転し、第1進退軸28及び第2進退軸32
が、水平方向のうちお互いに逆向きの方向(対向方向)に移動する。具体的には、第1進
退軸28が
図1の右方向に移動しつつ、第2進退軸32が
図1の左方向に移動する。
【0033】
その結果、第1移動ブロック29、第1駆動軸30及び第1中継ブロック31を介して
第1進退軸28に取り付けられる第1シール部21は、第1進退軸28と同じ方向(すな
わち
図1の右方向)に移動する。第2移動ブロック33、第2駆動軸34及び第2中継ブ
ロック35を介して第2進退軸32に取り付けられる第2シール部22は、第2進退軸3
2と同じ方向(すなわち
図1の左方向)に移動する。
【0034】
これにより、第1シール部21及び第2シール部22は閉位置に配置される。
【0035】
第1シール部21及び第2シール部22が開位置に配置されている状態でシール処理位
置Psに袋Bが配置されることで、当該袋Bは、第1シール部21(特にシール面21b
)と、第2シール部22(特にシール面22b)との間に配置される。シール処理位置P
sに袋Bが配置されている状態で、第1シール部21及び第2シール部22が開位置から
移動して閉位置に配置される場合、第1シール部21のシール面21b及び第2シール部
22のシール面22bが当該袋Bに接触しつつ、当該袋Bを挟んで両側から加圧する。第
1シール部21及び第2シール部22は、このようにしてシール処理位置Psに位置付け
られた袋Bを挟みつつ加熱することで、ヒートシール処理を行う。
【0036】
第1シール部21及び第2シール部22の各々は、
図2に示すように、ヒーター装置4
0を具備する。ヒーター装置40は限定されないが、典型的には、通電により発熱するヒ
ーター(例えばカートリッジヒーター)によって構成される。本例では、第1シール部2
1のシール本体部21a及び第2シール部22のシール本体部22aの各々において、対
応のヒーター装置40の発熱体41が貫通するように設けられている。
【0037】
それぞれの発熱体41から発せられた熱は、第1シール部21及び第2シール部22の
シール本体部21a、22aに伝えられ、第1シール部21及び第2シール部22のシー
ル面21b、22bが加熱される。
【0038】
このようにして加熱された第1シール部21及び第2シール部22のシール面21b、
22bにより袋Bが圧迫されることで、袋Bは加熱圧着されてシールされる。
【0039】
袋Bのうちヒートシールされる具体的な箇所は、限定されない。本例では、
図3に示す
ように、袋Bの上端部(すなわち口部)がシール部位Bsとなる。
【0040】
このようにして行われるヒートシール処理において、第1シール部21及び第2シール
部22のシール面21b、22bの一部又は全部が、シール接触面部21cとして袋Bに
接触する。シール接触面部21cの範囲は、袋Bの種類やサイズに応じて変動しうる。一
般に、シール接触面部21cの幅方向(
図3の左右方向)の範囲は袋Bの種類によって変
動しやすいが、シール接触面部21cの高さ方向(
図3の上下方向)の範囲は、袋Bの種
類やサイズによらず、一定であることが多い。
【0041】
第1シール部21及び第2シール部22の各々のシール接触面部は、袋Bに接触して熱
を直接的に伝えるため、ヒートシール処理の間に温度が低下しやすい。ヒートシール処理
の間に、シール接触面部の温度が、ヒートシール処理に適さない温度まで低下してしまう
と、シール不良等の不具合が袋Bにもたらされる。
【0042】
そのような不具合が袋Bにもたらされることを防ぐ観点からは、ヒートシール処理が行
われている間、シール接触面部の温度の低下を抑えること、及び、ヒーター装置40によ
ってシール接触面部の効率的な加熱を行うことが望ましい。
【0043】
以下、袋Bにもたらされうるシール不良等の不具合を防ぐのに有効な袋シール装置(ヒ
ートシール装置)10及びヒートシール方法の典型的な実施形態を、例示的に説明する。
【0044】
[第1実施形態]
図4は、第1実施形態に係る袋シール装置10の一例を示す拡大側方図である。
図5は
、
図4の符号「V」で示されている箇所の拡大図である。
図4及び
図5では、袋Bの図示
が省略されている。
【0045】
上述のように相対的に開閉可能に設けられる第1シール部21及び第2シール部22は
、相互間に袋Bが配置されている状態で閉位置に配置されることで、袋Bを挟みつつヒー
トシール処理を行う。
【0046】
本実施形態では、遮熱体15によって、第1シール部21及び第2シール部22から放
射される熱が外部に逃げるのを防ぐことで、第1シール部21及び第2シール部22(特
にシール接触面部)の温度低下の抑制及び効率的な加熱が行われる。
【0047】
遮熱体15は熱反射体16を含む。
【0048】
熱反射体16は、例えば赤外線(例えば遠赤外線)を含む熱線Hを効率良く反射するこ
とが可能な部材であり、単一の組成物により構成されていてもよいし、複数の組成物を含
んでもよい。熱反射体16は、例えば、遠赤外線に対して30%以上の反射率を示すこと
が好ましく、50%以上の反射率を示すことがより好ましく、90%以上の反射率を示す
ことがより好ましく、95%以上の反射率を示すことがより好ましい。ここで言う反射率
は、熱反射体16に到達した熱放射エネルギーに対する反射エネルギーの割合である。熱
反射体16は、典型的には、アルミニウム、金及び銀により構成可能であるが、熱反射体
16の具体的な組成は限定されない。
【0049】
熱反射体16は、閉位置に配置されている状態の第1シール部21及び第2シール部2
2の少なくとも一部(例えば第1シール部21及び第2シール部22のシール面21b、
シール面22b)を、第1シール部21及び第2シール部22から離れた位置で覆うよう
に設けられる。
【0050】
第1シール部21及び第2シール部22に対する遮熱体15の位置は限定されない。図
4及び
図5に示す遮熱体15は、第1シール部21及び第2シール部22よりも上方に設
けられている。暖められた空気は上方に移動しやすい。遮熱体15を、第1シール部21
及び第2シール部22の上方において第1シール部21及び第2シール部22を覆うよう
に設けることで、第1シール部21及び第2シール部22から放射された熱(例えば遠赤
外線)を、第1シール部21及び第2シール部22に向けて効率良く反射することができ
る。
【0051】
このようにして第1シール部21及び第2シール部22に戻された熱が利用されて、第
1シール部21及び第2シール部22のシール面21b、22b(特にシール接触面部)
の加熱を補助したり、当該シール面21b、22b(特にシール接触面部)の温度低下を
抑えたりすることができる。
【0052】
本例の遮熱体15は、更に断熱層17を含む。
図5に示す断熱層17は、熱反射体16
により囲まれるように設けられている。外部に露出される断熱層17の表面は熱反射体1
6により構成され、断熱層17は、熱反射体16の内側において外部に露出することなく
、第1シール部21及び第2シール部22の少なくとも一部(例えば閉位置に配置されて
いる第1シール部21及び第2シール部22のシール面21b、シール面22b)を覆う
ように設けられている。
【0053】
断熱層17は、遮熱体15における熱移動及び熱伝達を低減させる。本例の断熱層17
は、熱反射体16よりも小さい熱伝導率を有する。断熱層17は、例えば、0.1W/(
m・k)よりも小さい熱伝導率を示すことが好ましく、0.06W/(m・k)よりも小
さい熱伝導率を示すことが好ましく、0.05W/(m・k)よりも小さい熱伝導率を示
すことがより好ましく、0.04W/(m・k)よりも小さい熱伝導率を示すことがより
好ましく、0.03W/(m・k)よりも小さい熱伝導率を示すことがより好ましい。断
熱層17は、典型的には、繊維系断熱材、発泡系断熱材、気体層及び真空層により構成可
能であるが、断熱層17の具体的な組成は限定されない。
【0054】
遮熱体15が断熱層17を含むことで、遮熱体15は例えば外部環境からの温度の影響
を受けにくくなり、第1シール部21及び第2シール部22から放出された熱の遮熱体1
5における消失を低減することができる。その結果、第1シール部21及び第2シール部
22のシール面21b、22b(特にシール接触面部)の加熱を促したり、当該シール面
21b、22b(特にシール接触面部)の温度低下を抑えたりしうる。
【0055】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る袋シール装置10の一例を示す拡大側方図である。
【0056】
本実施形態の袋シール装置10において、上述の第1実施形態と同一又は対応の要素に
は同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0057】
以下では、主として第1シール部21について説明する。第2シール部22は、第1シ
ール部21と同様の構成を有していてもよいし、第1シール部21とは異なる構成を有し
ていてもよい。
【0058】
本実施形態の第1シール部21は、発熱体41と、断熱層45a、45b、45cとを
有し、断熱層45a、45b、45cは発熱体41から離れて位置する。
図6に示す例で
は、発熱体41よりも上方に第1断熱層45aが設けられ、発熱体41よりも下方に第2
断熱層45bが設けられ、第1中継ブロック31とシール本体部21aとの間(すなわち
発熱体41を介してシール面21bとは反対側)に第3断熱層45cが設けられる。
【0059】
これらの断熱層45a、45b、45cは、発熱体41とシール面21b(特にシール
接触面部21c)との間には位置しないように設けられる。
【0060】
断熱層45a、45b、45cは、上述の第1実施形態の第1シール部21が有する断
熱層17(
図5参照)と同様の構成を有しうる。シール本体部21aの内側に設けられる
第1断熱層45a及び第2断熱層45bは、有体層(例えば繊維系断熱材や発泡系断熱材
)及び/又は無体層(例えば気体層及び真空層)として構成可能である。
【0061】
一方、第1中継ブロック31に対してシール本体部21aを固定するように働く第3断
熱層45cは、無体層として構成されることは難しく、有体層として構成される。なお第
3断熱層45cは、部分的に無体層を含んでいてもよく、第3断熱層45cを構成する有
体物の内側に無体層が設けられてもよい。
【0062】
本実施形態の袋シール装置10によれば、断熱層45a、45b、45cによって、第
1シール部21のうちシール面21b以外の表面からの熱の放出が抑えられ、発熱体41
からの熱を効果的にシール面21b(特にシール接触面部21c)に伝えることができる
。特に、発熱体41とシール面21b(特にシール接触面部21c)との間に断熱層が設
けられないため、発熱体41からシール面21b(特にシール接触面部21c)への熱の
伝導が断熱層によって阻害されない。
【0063】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係る袋シール装置10の一例を示す拡大側方図である。
【0064】
本実施形態の袋シール装置10において、上述の第2実施形態と同一又は対応の要素に
は同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
以下では、主として第1シール部21について説明する。第2シール部22は、第1シ
ール部21と同様の構成を有していてもよいし、第1シール部21とは異なる構成を有し
ていてもよい。
【0066】
本実施形態の第1シール部21は、第1中継ブロック31とシール本体部21aとの間
に設けられる第3断熱層45cと、発熱体41に隣り合って位置する2つの第4断熱層4
5dと、を有する。
【0067】
図7に示す第1シール部21のシール本体部21aは、第1の孔47と、第1の孔47
とつながっている2つの第2の孔48とを有する。
【0068】
発熱体41は、第1の孔47に配置される。第1の孔47を区画するシール本体部21
aの孔区画面Sdのうち発熱体41を介して相互に対向する部分が、発熱体41に接触し
て、発熱体41を挟むように支持する。発熱体41の円形断面の径は第1の孔47の円形
断面の径とほぼ同じ大きさを有し、発熱体41は、孔区画面Sdと隙間無く密着する。
【0069】
各第2の孔48は、発熱体41と隣り合っているが、発熱体41とシール接触面部21
cとの間には位置しない。シール本体部21aの内部に空間として形成される各第2の孔
48は、断熱層(第4断熱層45d)を構成する。なお各第2の孔48には、有体の断熱
材が配置されてもよい。
【0070】
本実施形態の袋シール装置10によれば、断熱層45c、45dによって、第1シール
部21のうちシール面21b(特にシール接触面部21c)以外の表面からの熱の放出が
抑えられ、発熱体41からの熱を効果的にシール接触面部21cに伝えることができる。
特に、発熱体41とシール接触面部21cとの間に断熱層が設けられないため、発熱体4
1からシール接触面部21cへの熱の伝導が断熱層によって阻害されない。
【0071】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態に係る袋シール装置10の一例を示す拡大側方図である。
図9は
、第4実施形態に係る第1シール部21及び袋Bを側方から見た図であり、シール処理位
置Psに配置されている袋Bに対する第1シール部21(特に第1発熱体41a及び第2
発熱体41b)の位置関係例を示す。
図9において、手前側に位置する第2シール部22
の図示は省略されている。
図10は、第4実施形態に係る袋シール装置10の制御構成例
を示すブロック図である。
【0072】
本実施形態の袋シール装置10において、上述の第1~第3実施形態と同一又は対応の
要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0073】
以下では、主として第1シール部21について説明する。第2シール部22は、第1シ
ール部21と同様の構成を有していてもよいし、第1シール部21とは異なる構成を有し
ていてもよい。
【0074】
本実施形態の第1シール部21は、シール接触面部21cの温度を取得する複数の温度
取得部61と、第1発熱体41a(主ヒーター)と、温度取得部61により取得されたシ
ール接触面部21cの温度に応じて発熱する複数の第2発熱体41b(副ヒーター)と、
を有する。
【0075】
第1発熱体41aは、シール面延在方向Ds(幅方向)に延びる一体構造を有し、第1
シール部21のシール本体部21aを貫通する。シール面延在方向Dsは、シール面21
b(シール接触面部21cを含む)が延在する方向であり、シール処理位置Psに位置付
けられた袋Bの幅方向と通常は一致する。第1発熱体41aは、シール面延在方向Dsに
関し、袋Bのシール部位Bsのサイズ(本例では袋Bの最大幅)以上の長さを有する。
【0076】
複数の第2発熱体41bは、シール面延在方向Dsに離散的に設けられ、各第2発熱体
41bは、第1発熱体41aよりもシール接触面部21cの近くに配置される。したがっ
て第1発熱体41aとシール接触面部21cとの間の距離よりも、各第2発熱体41bと
シール接触面部21cとの間の距離の方が短い。
【0077】
図8及び
図9に示す各第2発熱体41bの高さ方向範囲は、シール接触面部21cの高
さ方向範囲に含まれ、各第2発熱体41bは、シール接触面部21cから水平方向(本例
ではシール面21bと垂直を成す方向)へ離れた位置に設けられている。
【0078】
各温度取得部61は、シール接触面部21cの温度を直接的又は間接的に取得する装置
である。本例の各温度取得部61の測定部位は、シール本体部21aに埋め込まれ、シー
ル本体部21aに接触してシール本体部21aの温度を直接的に取得し、例えば熱電対に
より構成可能である。なお各温度取得部61の測定方式及び配置は限定されず、例えばシ
ール本体部21aから離れた位置に設けられる非接触式の温度測定装置によって、各温度
取得部61が構成されてもよい。
【0079】
各温度取得部61によるシール接触面部21cの温度の取得結果は、制御盤51(例え
ば加熱制御部53)に送信される。
【0080】
本例では、複数の第2発熱体41bに対応するように複数の温度取得部61が設けられ
ている。第2発熱体41bと温度取得部61とはお互いに1対1で対応しており、各温度
取得部61は、対応の第2発熱体41bによって加熱可能なシール接触面部21cの部分
の温度を測定する。具体的には、各温度取得部61は、対応の第2発熱体41bの近傍(
図8及び
図9に示す例では対応の第2発熱体41bとシール面21bとの間)におけるシ
ール本体部21aの部分の温度を測定する。
【0081】
このように本例では、第2発熱体41bの数と温度取得部61の数とは同じである。た
だし、第2発熱体41bの数と温度取得部61の数とは異なっていてもよく、第2発熱体
41bと温度取得部61とが「複数対1」又は「1対複数」で対応していてもよい。
【0082】
図8及び
図9に示す各温度取得部61は、対応の第2発熱体41bとシール接触面部2
1cとの間のシール本体部21aの部分の温度を直接の測定対象としている。各温度取得
部61による直接的な測定部位とシール接触面部21cの測定対象部位とがお互いに近接
してほぼ同じ温度を有する場合には、各温度取得部61により測定される温度を、シール
接触面部21cの測定対象部位の温度とみなしてもよい。
【0083】
一方、各温度取得部61による直接的な測定部位とシール接触面部21cの測定対象部
位との間に無視できない温度差が生じる場合には、推定される温度差を、各温度取得部6
1により測定される温度に対して反映することで導出される温度を、シール接触面部21
cの測定対象部位の温度とみなしてもよい。そのような温度差の反映は、各温度取得部6
1で行われてもよいし、制御盤51(例えば加熱制御部53)で行われてもよい。
【0084】
図10に示す例において、制御盤51は、駆動制御部52及び加熱制御部53を備える
。
【0085】
駆動制御部52は、袋シール装置10の構成要素の駆動を制御する。例えば駆動制御部
52の制御下で第1駆動源13が駆動することで、袋支持部11及び袋Bの移動速度や移
動位置を調整することができる。また駆動制御部52の制御下で第2駆動源24が駆動す
ることで、第1シール部21及び第2シール部22の相対的な開閉速度や開閉位置を調整
することができる。
【0086】
駆動制御部52は、袋支持部11を駆動する支持駆動装置12が具備する第1駆動源1
3以外の要素(例えば動力伝達調整デバイス(図示省略))を制御することで、袋支持部
11の移動速度や移動位置を調整してもよい。同様に、駆動制御部52は、第1シール部
21及び第2シール部22を駆動するシール駆動装置23が具備する第2駆動源24以外
の要素(例えば動力伝達調整デバイス(図示省略))を制御することで、第1シール部2
1及び第2シール部22の相対的な開閉速度や開閉位置を調整してもよい。
【0087】
駆動制御部52による袋シール装置10の構成要素の具体的な制御方式は限定されない
が、袋支持部11、第1シール部21及び第2シール部22が互いに連関して動作するよ
うに、駆動制御部52は制御を行う。例えば、駆動制御部52は、規則的な同期信号を支
持駆動装置12(本実施形態では第1駆動源13)及びシール駆動装置23(本実施形態
では第2駆動源24)に送信し、支持駆動装置12及びシール駆動装置23は受信した同
期信号に基づくタイミングで、各種動作を自律的に実行してもよい。或いは、駆動制御部
52は、様々な動作信号を所望タイミングで支持駆動装置12及びシール駆動装置23の
各々に向けて発し、支持駆動装置12及びシール駆動装置23は、受信した動作信号に応
じた動作を実行してもよい。
【0088】
加熱制御部53は、第1加熱駆動装置43aを制御して第1発熱体41aの発熱状態を
調整し、第2加熱駆動装置43bを制御して第2発熱体41bの発熱状態を調整する。
【0089】
例えば、第1加熱駆動装置43a及び第2加熱駆動装置43bは、各々、供給電力調整
部を有してもよい。特に、複数の第2発熱体41bの各々の発熱状態を個別的に調整する
場合には、第2加熱駆動装置43bは、それぞれの第2発熱体41b(ヒーター装置40
)に割り当てられる複数の供給電力調整部を有してもよい。一方、複数の第2発熱体41
bの発熱状態を全体的に一律に調整する場合には、第2加熱駆動装置43bは、複数の第
2発熱体41bに共通して割り当てられる単一の供給電力調整部を有してもよい。
【0090】
例えば、供給電力調整部は、加熱電源(図示省略)及びヒーター装置40に接続される
。加熱制御部53が供給電力調整部を制御して、ヒーター装置40に供給する加熱電源か
らの電流量/電圧を調整することで、第1発熱体41aの発熱及び第2発熱体41bの発
熱を調整することができる。そのような供給電力調整部は、ヒーター装置40に対する電
流の供給のオン及びオフを切り換えることができる装置(例えばソリッドステートリレー
などのリレー装置)であってもよいし、ヒーター装置40に供給する電流量/電圧を細か
く段階的又は連続的に調整することができる装置であってもよい。
【0091】
加熱制御部53は、各温度取得部61により取得されるシール接触面部21cの温度に
基づいて第1加熱駆動装置43a及び第2加熱駆動装置43bを制御し、第1発熱体41
aの発熱及び第2発熱体41bの発熱を調整する。
【0092】
例えば、加熱制御部53は、2以上の温度取得部61(例えば全ての温度取得部61)
の取得結果に基づいて第1加熱駆動装置43aを制御し、第1発熱体41aの発熱を調整
してもよい。
【0093】
第2加熱駆動装置43bが個別的に各第2発熱体41bの発熱を調整することができ、
各第2発熱体41bが他の第2発熱体41bの発熱と無関係に発熱可能な場合、加熱制御
部53は、各第2発熱体41bの発熱が対応の温度取得部61の取得結果に基づいて調整
されるように、第2加熱駆動装置43bを制御してもよい。
【0094】
なお加熱制御部53は、各温度取得部61の取得結果に基づかずに、第1加熱駆動装置
43aを制御して第1発熱体41aの発熱を調整してもよい。加熱制御部53は、各温度
取得部61の取得結果を、各第2発熱体41bの発熱の調整のためだけに使ってもよい。
【0095】
加熱制御部53は、更に、例えば表示部54、警報部55及び記憶部56を具備しても
よい。表示部54は、例えば、駆動制御部52及び加熱制御部53による制御の状況を表
示して操作者に報知してもよい。警報部55は、異常発生時に警報を発して、操作者に異
常の発生を報知してもよい。記憶部56は、任意のデータ及びプログラムを記憶してもよ
い。例えば、駆動制御部52及び/又は加熱制御部53は、記憶部56に記憶されている
データ及びプログラムに基づいて制御を行ってもよい。
【0096】
上述の本実施形態の袋シール装置10によれば、第1発熱体41aの発熱及び第2発熱
体41bの発熱の組み合わせに基づいてシール接触面部21cが加熱されるため、シール
接触面部21cの加熱状態をより厳密にコントロールすることができる。
【0097】
特に、シール面延在方向Dsに離散的に配置された複数の第2発熱体41bからの発熱
を個別的に調整することができる場合には、シール接触面部21cの全体的な温度調整だ
けではなく、局所的な温度調整も行うことが可能である。これにより、シール接触面部2
1cに局所的な温度低下が生じた場合であっても、対応の第2発熱体41bの発熱を調整
することでそのようなシール接触面部21cの局所的な温度低下を解消して、シール接触
面部21cの全体を所望温度に精度良く加熱することが可能である。
【0098】
例えば、シール接触面部21cの端部の温度が中央部の温度よりも低下しやすいことが
ある。この場合、シール接触面部21cの端部に対応する第2発熱体41bは、シール接
触面部21cの中央部に対応する第2発熱体41bよりも、発熱量を大きくしたり、発熱
頻度を多くしたりして、シール接触面部21cの端部における局所的な温度低下を抑える
ことが可能である。
【0099】
[応用例]
上述の袋シール装置10は、袋Bのヒートシール処理を単独で行う装置として設けられ
てもよいし、1つの袋Bに対して複数の処理を連続的に行う袋処理装置(例えば包装処理
装置やスパウト取付装置)の一部として設けられていてもよい。
【0100】
図11は、包装処理装置80の一例の概略を示す上面図である。
図11に示す包装処理
装置80は、袋供給装置81、袋引渡装置82(第1ステーションS1)、袋印字装置8
3(第2ステーションS2)、印字検査装置84(第3ステーションS3)、袋開口装置
85(第4ステーションS4)、袋内容物投入装置86(第5ステーションS5)、袋シ
ール装置10(第6ステーションS6及び第7ステーションS7)、シール部冷却装置8
7(第8ステーションS8)、袋放出装置88(第8ステーションS8)、及び袋排出装
置89を備える。
【0101】
袋供給装置81は、新たな袋Bを包装処理装置80に順次供給する。袋引渡装置82は
、袋供給装置81から支持駆動装置12への袋Bの引き渡しを行う。支持駆動装置12は
、例えば回転テーブルを具備し、ステーション数と同じ数の袋支持部11(例えばグリッ
パー)を搬送方向(円周方向)Drへ間欠的に移動させる。袋引渡装置82を介して引き
渡され且つ支持駆動装置12(各袋支持部11)により支持されている袋Bは、第1ステ
ーションS1~第8ステーションS8を順次巡る。
【0102】
袋印字装置83は袋Bに印字を行い、印字検査装置84は袋Bの印字状態を検査する。
袋開口装置85は袋Bの口部を開き、袋内容物投入装置86は開かれた口部を介して袋B
の内側に内容物を投入する。袋シール装置10は袋Bの口部をシール(特に加熱シール)
し、シール部冷却装置87は袋Bのシール箇所を冷却する。袋放出装置88は、冷却後の
袋Bを袋排出装置89に放出し、袋排出装置89は受け取った袋Bを後段に搬送する。図
11に示すシール部冷却装置87及び袋放出装置88は、同一装置によって実現されてい
る。例えば、シール部冷却装置87及び袋放出装置88として機能する冷却放出装置の冷
却板によって袋Bのシール箇所が把持されることで当該シール箇所が冷却され、当該冷却
板が袋Bの把持を解放して袋Bを落下させることで袋Bが袋排出装置89に放出されても
よい。
【0103】
支持駆動装置12(各袋支持部11)により支持されている各袋Bは、各ステーション
で間欠的に停止している間に対応の装置によって処理を受ける。その結果、包装処理装置
80は、情報が印字され、内容物を収容し、口部がシールされた袋B(すなわち製品袋)
を、連続的に、後段に向けて送り出すことができる。
【0104】
上述の
図11に示す袋シール装置10において、第1シール部21及び第2シール部2
2は、ヒートシール処理によって、袋Bが有する複数のフィルム部材(袋Bの表側側壁部
の口部及び裏側側壁部の口部)をお互いに接合する。
【0105】
図12は、スパウト取付装置90の一例の概略を示す上面図である。
図13は、スパウ
トSpが取り付けられた袋Bの一例を示す側方図である。
【0106】
図12に示すスパウト取付装置90は、スパウト供給装置91、スパウト引渡装置92
(第1ステーションS1)、袋供給装置93、袋引渡装置94(第2ステーションS2)
、仮シール装置95(第3ステーションS3)、第1本シール装置96(第4ステーショ
ンS4)、第2本シール装置97(第5ステーションS5)、シール冷却装置98(第6
ステーションS6)、印字装置99(第7ステーションS7)、検査装置100(第8ス
テーションS8)、製品放出装置101(第9ステーションS9)、製品排出装置102
、不良袋放出装置103(第10ステーションS10)、及び不良袋排出装置104を備
える。
【0107】
スパウト供給装置91は、新たなスパウトSp(取付具)をスパウト取付装置90に順
次供給する。スパウト引渡装置92は、スパウト供給装置91から支持駆動装置12への
スパウトSpの引渡を行う。支持駆動装置12は例えば回転テーブルを具備し、ステーシ
ョン数と同じ数の袋支持部(例えばグリッパー(図示省略))及びステーション数と同じ
数のスパウト保持部110を搬送方向(円周方向)Drへ間欠的に移動させる。スパウト
引渡装置92を介して引き渡され且つスパウト保持部110により支持されているスパウ
トSpは、第1ステーションS1~第9ステーションS9又は第1ステーションS1~第
10ステーションS10を順次巡る。
【0108】
袋供給装置93は、新たな袋Bをスパウト取付装置90に順次供給する。袋引渡装置9
4は、袋供給装置93から支持駆動装置12への袋Bの引き渡しを行う。袋引渡装置94
を介して引き渡され且つ支持駆動装置12(各袋支持部)により支持されている袋Bは、
第2ステーションS2~第9ステーションS9又は第2ステーションS2~第10ステー
ションS10を順次巡る。
【0109】
仮シール装置95は、スパウトSpに対して袋Bを仮固定する仮シール処理を行う。第
1本シール装置96及び第2本シール装置97は、スパウトSpに対して袋Bを本固定す
る本シール処理を行う。シール冷却装置98は、袋Bのシール箇所を冷却する。印字装置
99は、袋Bに印字を行う。
【0110】
検査装置100は、袋B及びスパウトSpの状態を検査する。例えば、検査装置100
は、検査のための袋B及びスパウトSpの画像を取得し、検査装置100及び/又は制御
盤51(例えば図示しない画像解析部)は、当該画像を解析してスパウトSpに対する袋
Bの取付状態や印字状態の適否を判定する。
【0111】
製品放出装置101は、良好な検査結果を示すスパウトSp付きの袋B(製品袋)を支
持駆動装置12から受け取って製品排出装置102に放出し、製品排出装置102は製品
袋を後段に搬送する。不良袋放出装置103は、良好ではない検査結果を示すスパウトS
p付きの袋B(不良袋)を支持駆動装置12から受け取って不良袋排出装置104に放出
し、不良袋排出装置104は不良袋を後段に搬送する。
【0112】
支持駆動装置12により支持されている各袋Bは、各ステーションで間欠的に停止して
いる間に対応の装置によって処理を受ける。その結果、スパウト取付装置90は、スパウ
トSpが取り付けられて情報が印字された袋(すなわち製品袋)を、連続的に、後段に向
けて送り出すことができる。
【0113】
上述の袋シール装置10は、
図12に示す仮シール装置95、第1本シール装置96及
び/又は第2本シール装置97に対して適用可能である。この場合、第1シール部21及
び第2シール部22は、ヒートシール処理によって、袋Bが有するフィルム部材(袋Bの
表側側壁部の口部及び裏側側壁部の口部)をスパウトSp(取付具)に接合する。
【0114】
上述の袋シール装置10は、
図11に示す包装処理装置80及び
図12に示すスパウト
取付装置90に対してだけではなく、他の装置に対しても適用可能である。例えば、袋シ
ール装置10は、ヒートシール処理により、スパウトSp以外の取付具に対して袋Bを取
り付けてもよい。
【0115】
以上説明したように、袋シール装置10は、開閉可能に設けられる第1シール部21及
び第2シール部22であって、相互間に袋Bが配置されている状態で閉位置に配置される
ことで袋Bを挟みつつヒートシール処理を行う第1シール部21及び第2シール部22と
、閉位置に配置されている状態の第1シール部21及び第2シール部22の少なくとも一
部を、第1シール部21及び第2シール部22から離れた位置で覆うように設けられる熱
反射体16を含む遮熱体15と、を備えてもよい。
【0116】
この場合、熱反射体16によって、第1シール部21及び/又は第2シール部22から
放出された熱を第1シール部21及び/又は第2シール部22に戻すことができる。その
ため第1シール部21及び/又は第2シール部22を効率良く加熱して、第1シール部2
1及び/又は第2シール部22の温度低下を防ぐことができ、所望の温度条件下で袋のヒ
ートシール処理を行うのに有利である。
【0117】
遮熱体15は、断熱層17を含んでもよい。
【0118】
この場合、第1シール部21及び/又は第2シール部22を効率良く加熱して、第1シ
ール部21及び/又は第2シール部22の温度低下を防ぐことができる。
【0119】
また袋シール装置10は、開閉可能に設けられる第1シール部21及び第2シール部2
2であって、相互間に袋Bが配置されている状態で閉位置に配置されることで袋Bを挟み
つつヒートシール処理を行う第1シール部21及び第2シール部22を備え、第1シール
部21及び第2シール部22のうちの少なくともいずれか一方は、発熱体41と、断熱層
45a、45b、45cと、を有してもよい。
【0120】
この場合、発熱体41によって発せられた熱の第1シール部21及び/又は第2シール
部22における伝導を、断熱層45a、45b、45cによってコントロールすることが
できる。そのため第1シール部21及び第2シール部22によって袋Bを効率良く加熱す
ることが可能であり、所望の温度条件下で袋のヒートシール処理を行うのに有利である。
【0121】
第1シール部21及び第2シール部22は、各々シール接触面部を有し、相互間に袋B
が配置されている状態で閉位置に配置されることでシール接触面部を袋Bに接触させつつ
袋Bを挟み、断熱層45a、45b、45cは、発熱体41とシール接触面部との間には
位置しなくてもよい。
【0122】
この場合、発熱体41からシール接触面部に向けて熱を効果的に伝えることができる。
【0123】
断熱層45a、45b、45cは、発熱体41から離れて位置してもよい。
【0124】
断熱層45dは、発熱体41に隣り合って位置してもよい。
【0125】
第1シール部21及び第2シール部22のうちの少なくともいずれか一方は、第1の孔
47と、第1の孔47とつながっている第2の孔48と、を持つシール本体部を有し、発
熱体41は、第1の孔47に配置され、且つ、第1の孔47を区画するシール本体部の孔
区画面Sdのうち発熱体41を介して相互に対向する部分によって支持され、第2の孔4
8は、発熱体41とシール接触面部との間には位置せず、且つ、断熱層45dを構成して
もよい。
【0126】
この場合、発熱体41及び断熱層を具備する第1シール部21及び/又は第2シール部
22を簡素に構成することが可能である。
【0127】
また袋シール装置10は、開閉可能に設けられ且つシール接触面部を有する第1シール
部21及び第2シール部22であって、相互間に袋Bが配置されている状態で閉位置に配
置されることでシール接触面部を袋Bに接触させつつ袋Bを挟んでヒートシール処理を行
う第1シール部21及び第2シール部22を備え、第1シール部21及び第2シール部2
2のうちの少なくともいずれか一方は、シール接触面部の温度を取得する温度取得部と、
第1発熱体41aと、温度取得部により取得されたシール接触面部の温度に応じて発熱す
る第2発熱体41bと、を有してもよい。
【0128】
この場合、シール接触面部の温度を適応的に調整することができる。そのため、第1シ
ール部21及び/又は第2シール部22を効率良く加熱して、第1シール部21及び/又
は第2シール部22の温度低下を防ぐことができ、所望の温度条件下で袋のヒートシール
処理を行うのに有利である。
【0129】
第2発熱体41bは、第1発熱体41aよりもシール接触面部の近くに配置されてもよ
い。
【0130】
この場合、第2発熱体41bによってシール接触面部の温度を効果的に調整することが
できる。
【0131】
第1シール部21及び第2シール部22の各々のシール接触面部は、シール面延在方向
Dsに延び、第2発熱体41bは、複数設けられ、複数の第2発熱体41bは、シール面
延在方向Dsに沿って離散的に設けられてもよい。
【0132】
この場合、シール接触面部の広範囲の温度を、複数の第2発熱体41bによって調整す
ることができる。
【0133】
第1シール部21及び第2シール部22は、ヒートシール処理によって、袋Bが有する
複数のフィルム部材をお互いに接合してもよい。
【0134】
第1シール部21及び第2シール部22は、ヒートシール処理によって、袋Bが有する
フィルム部材を取付具に接合してもよい。
【0135】
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び
変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよいし、上述の実施形態及び変形例間におい
て部分的に又は全体的に構成が組み合わせられてもよい。また、本開示によって奏される
効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮さ
れうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲
、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除
が可能である。
【符号の説明】
【0136】
10 袋シール装置、11 袋支持部、12 支持駆動装置、13 第1駆動源、15
遮熱体、16 熱反射体、17 断熱層、21 第1シール部、21a シール本体部、
21b シール面、21c シール接触面部、22 第2シール部、22a シール本体
部、22b シール面、23 シール駆動装置、24 第2駆動源、24a 回転軸、2
5 第1揺動レバー、26 連結軸、27 第2揺動レバー、28 第1進退軸、29
第1移動ブロック、30 第1駆動軸、31 第1中継ブロック、32 第2進退軸、3
3 第2移動ブロック、34 第2駆動軸、35 第2中継ブロック、36 支持軸、4
0 ヒーター装置、41 発熱体、41a 第1発熱体、41b 第2発熱体、43a
第1加熱駆動装置、43b 第2加熱駆動装置、45a 第1断熱層、45b 第2断熱
層、45c 第3断熱層、45d 第4断熱層、47 第1の孔、48 第2の孔、51
制御盤、52 駆動制御部、53 加熱制御部、54 表示部、55 警報部、56
記憶部、61 温度取得部、70 第1架台、71 土台、72 第2架台、73 スタ
ンド、74 第1スライド支持ブロック、75 第2スライド支持ブロック、80 包装
処理装置、81 袋供給装置、82 袋引渡装置、83 袋印字装置、84 印字検査装
置、85 袋開口装置、86 袋内容物投入装置、87 シール部冷却装置、88 袋放
出装置、89 袋排出装置、90 スパウト取付装置、91 スパウト供給装置、92
スパウト引渡装置、93 袋供給装置、94 袋引渡装置、95 仮シール装置、96
第1本シール装置、97 第2本シール装置、98 シール冷却装置、99 印字装置、
100 検査装置、101 製品放出装置、102 製品排出装置、103 不良袋放出
装置、104 不良袋排出装置、110 スパウト保持部、B 袋、Bs シール部位、
Dr 搬送方向、Ds シール面延在方向、H 熱線、Ps シール処理位置、S1 第
1ステーション、S2 第2ステーション、S3 第3ステーション、S4 第4ステー
ション、S5 第5ステーション、S6 第6ステーション、S7 第7ステーション、
S8 第8ステーション、S9 第9ステーション、S10 第10ステーション、Sd
孔区画面、Sp スパウト
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能に設けられ且つシール接触面部を有する第1シール部及び第2シール部であって、相互間に袋が配置されている状態で閉位置に配置されることで前記シール接触面部を前記袋に接触させつつ前記袋を挟んでヒートシール処理を行う第1シール部及び第2シール部を備え、
前記第1シール部及び前記第2シール部のうちの少なくともいずれか一方は、
前記シール接触面部の温度を取得する温度取得部と、
第1発熱体と、
前記温度取得部により取得された前記シール接触面部の温度に応じて発熱する第2発熱体と、を有するヒートシール装置。
【請求項2】
前記第2発熱体は、前記第1発熱体よりも前記シール接触面部の近くに配置される請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記第1シール部及び前記第2シール部の各々の前記シール接触面部は、シール面延在方向に延び、
前記第2発熱体は、複数設けられ、
前記複数の第2発熱体は、前記シール面延在方向に沿って離散的に設けられる請求項1又は2に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記第1シール部及び前記第2シール部は、前記ヒートシール処理によって、前記袋が有する複数のフィルム部材をお互いに接合する請求項1~3のいずれか一項に記載のヒートシール装置。
【請求項5】
前記第1シール部及び前記第2シール部は、前記ヒートシール処理によって、前記袋が有するフィルム部材を取付具に接合する請求項1~3のいずれか一項に記載のヒートシール装置。