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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174960
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】火災監視装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
G08B17/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181627
(22)【出願日】2023-10-23
(62)【分割の表示】P 2019092561の分割
【原出願日】2019-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山川 一平
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA08
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB05
5G405AD05
5G405AD08
5G405BA08
5G405CA60
(57)【要約】
【課題】監視領域を自由に変更できる可搬型の火災監視装置を提供する。
【解決手段】火災監視装置1は、当該装置を監視位置まで運搬するための運搬手段である支持棒3と、火災の発生を感知する火災感知器5を備え、火災感知器5が火災の発生を感知すると、火災の発生を通知する火災発生情報を所定の通信装置に対して無線通信で送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災の発生を感知する火災感知器と、
前記火災感知器が火災の発生を感知すると、火災の発生を通知する火災発生情報を所定の通信装置に対して無線通信で送信する送信手段と、
他の火災監視装置と通信を行う通信部とを備え、
前記通信部は、前記火災感知器が火災の発生を感知すると、前記他の火災監視装置に自装置の監視領域の撮影指示を送信し、前記撮影指示に応じて前記他の火災監視装置により撮影された前記自装置の監視領域の画像を前記他の火災監視装置から受信し、
前記送信手段はさらに、前記通信部により受信された前記画像を前記通信装置に対して無線通信で送信する
ことを特徴とする、火災監視装置。
【請求項2】
可搬型の火災監視装置であって、
前記火災監視装置を監視位置まで運搬するための運搬手段をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の火災監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災の発生を監視するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災の発生を監視するためのシステムが知られている。例えば、特許文献1には、消火対象領域の動画を撮影し、画像認識の結果、火災の発生を検出すると、利用者の携帯端末に火災の発生を通知し、携帯端末から消火指令信号が送信されると、消火装置を作動させる消火システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-112036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の消火システムは、特定の家屋内に固定的に設置されて利用されるため、消火対象領域を自由に変更することができなかった。そのため、イベントごとに監視対象領域が変わってしまう多目的のイベント会場での使用には不向きであった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、監視領域を自由に変更できる可搬型の火災監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る火災監視装置は、可搬型の火災監視装置であって、前記火災監視装置を監視位置まで運搬するための運搬手段と、火災の発生を感知する火災感知器と、前記火災感知器が火災の発生を感知すると、火災の発生を通知する火災発生情報を所定の通信装置に対して無線通信で送信する送信手段とを備える。
【0007】
好ましい態様において、前記火災監視装置は、前記火災監視装置の変位量、傾き又は回転角を検出する検出手段をさらに備え、前記送信手段はさらに、前記検出手段により検出された変位量、傾き又は回転角が閾値を超えると、前記火災監視装置の状態が変化したことを通知する状態変化情報を前記通信装置に対して無線通信で送信する。
【0008】
さらに好ましい態様において、前記火災監視装置は、前記火災監視装置の周囲を撮影する撮影手段をさらに備え、前記送信手段はさらに、前記撮影手段により撮影された画像を前記通信装置に対して無線通信で送信する。
【0009】
さらに好ましい態様において、前記火災監視装置は、前記通信装置から無線通信で送信される撮影指示を受信する受信手段をさらに備え、前記撮影手段は、前記受信手段により前記撮影指示が受信されると、前記火災監視装置の周囲を撮影する。
【0010】
さらに好ましい態様において、前記火災監視装置は測位手段をさらに備え、前記送信手段はさらに、前記測位手段により測定された位置情報を前記通信装置に対して無線通信で送信し、前記通信装置において前記火災監視装置の位置を地図表示させる。
【0011】
さらに好ましい態様において、前記火災監視装置は、人の所在を感知する人感センサをさらに備え、前記撮影手段は、前記人感センサにより人の所在が感知されると、前記火災監視装置の周囲を撮影し、前記撮影された画像を記録部に保存し、前記火災感知器により所定時間内に火災の発生が感知されなかったときに、前記保存した画像を削除する記録制御手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る火災監視装置によれば、利用者は監視領域を自由に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】火災監視装置1の外観の一例を示す正面図
図2】火災監視装置1の電気的構成の一例を示すブロック図
図3】監視領域Rの一例を示す平面図
図4】監視領域Rの一例を示す側面図
図5】通信装置15の電気的構成の一例を示すブロック図
図6】火災発生通知画面の一例を示す図
図7】転倒発生通知画面の一例を示す図
図8】火災監視装置1の動作の一例を示すシーケンス図
図9】火災発生情報の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.実施形態
1-1.構成
本発明の一実施形態に係る火災監視装置1について図面を参照して説明する。図1は、火災監視装置1の外観の一例を示す正面図である。図2は、火災監視装置1の電気的構成の一例を示すブロック図である。これらの図に示す火災監視装置1は、イベント会場等の防火対象物において監視対象領域ごとに設置されて利用される可搬型の火災監視装置である。この火災監視装置は、監視位置に設置後、火災の発生を検出すると、防火対象物内を巡回する警備員に対して火災の発生を通知する。
【0015】
火災監視装置1は、図1に示すように、平面視十字状の脚部2と、脚部2の平面視中央部から垂直に延びる支持棒3と、支持棒3の先端に固定される感知器取付台4と、感知器取付台4に固定される2つの火災感知器5と、支持棒3の上部に固定される第1収納容器6と、支持棒の下部に固定される第2収納容器7とを備える。
【0016】
この火災監視装置1が備える支持棒3は、例えば突っ張り棒のように、伸縮自在に構成されており、例えば1.3mから2mの範囲で長さを変更することができる。この支持棒3の長さを変更することで、火災感知器5と第1収納容器の高さ(換言すると、監視範囲)を変更することができる。また、この支持棒3は、火災監視装置1を監視位置まで運搬するための運搬手段であり、利用者はこの支持棒3を把持することで火災監視装置1を運搬することができる。
【0017】
火災感知器5は、赤外線式の炎感知器である。火災感知器5は、火災監視装置1の電源投入後、炎から照射される赤外線を受光し、その受光量の変化が一定の値以上になると、火災信号を制御部10に対して出力する。2つの火災感知器5は、火災監視装置1の前方に扇形の監視領域を形成するように感知器取付台4に固定される。図3及び図4は、監視領域Rの一例を示す平面図と側面図である。
【0018】
第1収納容器6は、可視光カメラ8と赤外線カメラ9を収容する。これらのカメラは、火災監視装置1の周囲を撮影するための撮影手段である。具体的には、火災感知器5の監視領域を含む周囲の風景を撮影可能なように、第1収納容器6に収容される。これらのカメラは、制御部10の撮影指示信号を受けて監視領域を撮影し、撮影した画像データを制御部10に出力する。この際、撮影される画像は、静止画でも動画でもよい。
【0019】
第2収納容器7は、制御部10と、加速度センサ11と、測位部12と、通信部13と、バッテリ14を収容する。制御部10は、マイクロプロセッサとメモリを備える。この制御部10が提供する機能については後述する。加速度センサ11は、火災監視装置1の電源投入後、火災監視装置1の加速度を周期的に検出して制御部10に出力する。測位部12は、制御部10の測位指示信号を受けて、周知の屋内測位技術を用いて火災監視装置1の位置を測定し、測定した位置情報を制御部10に出力する。この測位部12は、本発明に係る測位手段の一例である。通信部13は、移動通信システムを利用して、警備員が携帯する通信装置15に対して各種通知を無線通信にて送信する。警備員が携帯する通信装置15については後述する。バッテリ14は、火災監視装置1の電源投入後、火災監視装置1を構成する各電子機器に対して電力を供給する。
【0020】
上記の制御部10が備えるマイクロプロセッサは、メモリに記憶される制御プログラムを実行することにより、火災発生通知部16と、転倒判定部17と、転倒発生通知部18という機能を提供する。
【0021】
火災発生通知部16は、火災感知器5から出力される火災信号を受け付けると、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に対して撮影指示信号を出力する。この撮影指示信号を受けて可視光カメラ8と赤外線カメラ9は、監視領域を撮影し、撮影した画像データを制御部10に出力する。火災発生通知部16は、出力された画像データを受け付けると、次に、測位部12に対して測位指示信号を出力する。この測位指示信号を受けて測位部12は、火災監視装置1の位置を測定し、測定した位置情報を制御部10に出力する。火災発生通知部16は、出力された位置情報を受け付けると、受け付けた画像データ及び位置情報と、火災の発生を通知するメッセージを含む火災発生情報を、警備員が携帯する通信装置15に対してプッシュ通知として送信する。この火災発生通知部16は、本発明に係る送信手段の一例である。
【0022】
転倒判定部17は、加速度センサ11から周期的に出力される加速度に基づいて火災監視装置1の傾きを検出し、検出した傾きが所定の閾値を超えたか否かを判定する。ここで所定の閾値は、火災監視装置1の転倒を検出する上で適切な値(例えば、プラスマイナス45度)に設定される。転倒判定部17は、火災監視装置1の傾きが所定の閾値を超えると、転倒信号を転倒発生通知部18に出力する。この転倒判定部17は、本発明に係る検出手段の一例である。
【0023】
転倒発生通知部18は、転倒判定部17から出力される転倒信号を受け付けると、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に対して撮影指示信号を出力する。この撮影指示信号を受けて可視光カメラ8と赤外線カメラ9は、監視領域を撮影し、撮影した画像データを制御部10に出力する。転倒発生通知部18は、出力された画像データを受け付けると、次に、測位部12に対して測位指示信号を出力する。この測位指示信号を受けて測位部12は、火災監視装置1の位置を測定し、測定した位置情報を制御部10に出力する。転倒発生通知部18は、出力された位置情報を受け付けると、受け付けた画像データ及び位置情報と、火災監視装置1の転倒を通知するメッセージを含む転倒発生情報を、警備員が携帯する通信装置15に対してプッシュ通知として送信する。この転倒発生情報は、本発明に係る状態変化情報の一例である。
以上が、制御部10が提供する機能についての説明である。
【0024】
次に、警備員が携帯する通信装置15について説明する。図5は、通信装置15の電気的構成の一例を示すブロック図である。同図に示す通信装置15は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型の通信装置である。
【0025】
通信装置15は、同図に示すように、CPU等のプロセッサ19と、DRAM等の揮発性メモリ20と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ21と、ネットワークカード22と、液晶ディスプレイ等のディスプレイ23と、タッチパネル24を備える。これらの構成要素のうち、不揮発性メモリ21は、防火対象物のフロアマップ情報と、プロセッサ19により実行されるイベント通知プログラムを記憶する。イベント通知プログラムは、プロセッサ19により実行されると、イベント通知部25という機能を提供する。
【0026】
イベント通知部25は、火災監視装置1から送信される火災発生情報を受け付けると、火災発生通知画面を生成して、アラーム音とともにディスプレイ23に表示させる。図6は、この火災発生通知画面の一例を示す図である。同図に示す火災発生通知画面は、火災発生を通知するメッセージM1と、可視光カメラ8により撮影された可視光画像P1と、赤外線カメラ9により撮影された赤外線画像P2と、火災監視装置1の位置(換言すると、火点)を地図表示するフロアマップ画像P3とを有する。これらの表示情報のうち、可視光画像P1と赤外線画像P2を参照することで、警備員は火点の実際の状況を視覚的に確認することができる。特に赤外線画像P2を参照することで、夜間でも出火の有無とその程度を明瞭に確認することができる。また、フロアマップ画像P3を参照することで、警備員は火点の位置を容易に理解することができ、火点に迅速に駆けつけて消火活動を行うことができる。
【0027】
また、イベント通知部25は、火災監視装置1から送信される転倒発生情報を受け付けると、転倒発生通知画面を生成して、アラーム音とともにディスプレイ23に表示させる。図7は、この転倒発生通知画面の一例を示す図である。同図に示す転倒発生通知画面は、転倒を通知するメッセージM2と、可視光カメラ8により撮影された可視光画像P4と、赤外線カメラ9により撮影された赤外線画像P5と、火災監視装置1の位置(換言すると、転倒位置)を地図表示するフロアマップ画像P6とを有する。これらの表示情報のうち、可視光画像P4と赤外線画像P5に示される周囲の風景を参照することで、警備員は火災監視装置1が実際に転倒しているか否かを確認することができる。特に赤外線画像P5を参照することで、夜間でも転倒発生の有無を確認することができる。また、フロアマップ画像P6を参照することで、警備員は、転倒した火災監視装置1の位置を容易に理解することができ、転倒位置に迅速に駆けつけて、転倒した火災監視装置1を元の姿勢に戻すことができる。
【0028】
1-2.動作
次に、火災監視装置1の動作について、図8に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0029】
火災監視装置1は、利用者によりイベント会場内の監視対象領域まで運搬され、その正面が監視対象領域に向くように設置される。設置後、電源が投入されると、バッテリ14から火災監視装置1の各電子機器に対して電力が供給される。その結果、火災感知器5による火災判定と加速度センサ11による加速度の出力が開始される。
【0030】
火災感知器5による火災判定の結果、火災感知器5から制御部10に対して火災信号が出力されると(ステップS1)、火災発生通知部16は、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に対して撮影指示信号を出力する。この撮影指示信号を受けて可視光カメラ8と赤外線カメラ9は、監視領域を撮影し、撮影した画像データを制御部10に出力する(ステップS2)。火災発生通知部16は、出力された画像データを受け付けると、次に、測位部12に対して測位指示信号を出力する。この測位指示信号を受けて測位部12は、火災監視装置1の位置を測定し、測定した位置情報を制御部10に出力する(ステップS3)。火災発生通知部16は、出力された位置情報を受け付けると、受け付けた画像データ及び位置情報と、火災の発生を通知するメッセージを含む火災発生情報を、警備員が携帯する通信装置15に対してプッシュ通知として送信する(ステップS4)。
【0031】
この火災発生情報が受信された通信装置15において、イベント通知プログラムが起動していない場合には、同プログラムが起動される(ステップS5)。そして、同プログラムの起動後、通信装置15のイベント通知部25は、受信された火災発生情報に基づいて火災発生通知画面を生成して、アラーム音とともにディスプレイ23に表示させる(ステップS6)。火災発生通知画面の表示例は、図6に示す通りである。この火災発生通知画面を参照した警備員は、フロアマップ画像P3をたよりに火点に迅速に駆けつけて消火活動を行う。
【0032】
一方、加速度センサ11による加速度の出力の開始後、転倒判定部17が火災監視装置1の転倒の発生を検出すると、転倒信号を転倒発生通知部18に出力する(ステップS7)。転倒発生通知部18は、転倒判定部17から出力される転倒信号を受け付けると、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に対して撮影指示信号を出力する。この撮影指示信号を受けて可視光カメラ8と赤外線カメラ9は、監視領域を撮影し、撮影した画像データを制御部10に出力する(ステップS8)。転倒発生通知部18は、出力された画像データを受け付けると、次に、測位部12に対して測位指示信号を出力する。この測位指示信号を受けて測位部12は、火災監視装置1の位置を測定し、測定した位置情報を制御部10に出力する(ステップS9)。転倒発生通知部18は、出力された位置情報を受け付けると、受け付けた画像データ及び位置情報と、火災監視装置1の転倒を通知するメッセージを含む転倒発生情報を、警備員が携帯する通信装置15に対してプッシュ通知として送信する(ステップS10)。
【0033】
この転倒発生情報が受信された通信装置15において、イベント通知プログラムが起動していない場合には、同プログラムが起動される(ステップS11)。そして、同プログラムの起動後、通信装置15のイベント通知部25は、受信された転倒発生情報に基づいて転倒発生通知画面を生成して、アラーム音とともにディスプレイ23に表示させる(ステップS12)。転倒発生通知画面の表示例は、図7に示す通りである。この転倒発生通知画面を参照した警備員は、フロアマップ画像P6をたよりに転倒位置に迅速に駆けつけて、転倒した火災監視装置1を元の姿勢に戻す。
以上が、火災監視装置1の動作についての説明である。
【0034】
以上説明した火災監視装置1によれば、監視対象領域に警備員を常駐させておかなくても、出火時に迅速に消火活動を行うことができる。また、火災監視装置1は可搬型であるため、利用者は監視領域を自由に変更することができる。また、火災監視装置1は転倒時に転倒発生を警備員に通知するようになっているため、警備員は火災監視装置1が転倒していることに気付き、元の姿勢に戻すことができる。また、火災監視装置1は、火災又は転倒発生時に、現場の撮影画像と位置情報を警備員に送信するようになっているため、警備員は現場の状況を視覚的に確認し、現場に迅速に駆けつけることができる。
【0035】
2.変形例
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。なお、下記の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0036】
2-1.変形例1
火災監視装置1の外観は、図1に示す例に限られない。火災監視装置1の各構成要素の形状及び配置は、当該装置が実際に使用される環境に応じて、任意に変更されてよい。また、火災監視装置1を運搬するための運搬手段として、支持棒3に取っ手を取り付け、脚部2の底面にキャスタを取り付けてもよい。
【0037】
2-2.変形例2
火災監視装置1に照度センサを備えさせ、昼と夜とで火災感知器5の閾値を変えるようにしてもよい。具体的には、昼の閾値を夜よりも高くすることで、火災の検出精度を向上させてもよい。
【0038】
2-3.変形例3
火災感知器5として、紫外線式の炎感知器を用いてもよい。または、炎感知器に代えて、熱感知器や煙感知器を用いてもよい。熱感知器や煙感知器を用いる場合、火災監視装置1の制御部10は、感知器から出力されるアナログ値を閾値と比較することで火災の発生を判定する機能を提供するようにしてもよい。
【0039】
2-4.変形例4
火災監視装置1が屋外施設での利用を目的として製造される場合には、測位部12に代えて、周知の屋外測位技術を用いて測位を行う測位部を採用してもよい。
【0040】
2-5.変形例5
火災監視装置1は、警備員からの指示を受けて監視領域を撮影するようにしてもよい。その場合、警備員からの撮影指示を受け付けるために、通信装置15に表示される火災発生通知画面には、撮影画像の更新を指示するためのボタンが設けられる。このボタンが警備員により選択されると、通信装置15は、火災監視装置1に対して撮影指示を送信する。この撮影指示が火災監視装置1の受信手段により受信されると、火災発生通知部16は、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に対して撮影指示信号を出力する。この撮影指示信号を受けて可視光カメラ8と赤外線カメラ9は、監視領域を撮影し、撮影した画像データを制御部10に出力する。火災発生通知部16は、出力された画像データを受け付けると、受け付けた画像データを通信装置15に送信する。この画像データが通信装置15により受信されると、イベント通知部25は、火災発生通知画面において撮影画像を更新する。この変形例によれば、警備員は任意のタイミングで火点の状況を視覚的に確認することができる。
【0041】
なお、上記の説明は、火災発生時に警備員が撮影指示を行う場合の説明であるが、転倒発生時にも警備員が撮影指示を行えるようにしてもよい。
【0042】
2-6.変形例6
火災監視装置1は、火災発生情報の送信後、周期的に撮影画像を更新するようにしてもよい。その場合、火災発生通知部16は、火災発生情報の送信後、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に対して周期的に撮影指示信号を出力する。そして、これらのカメラから撮影データを受け付けると、受け付けた画像データを通信装置15に送信する。この画像データが通信装置15により受信されると、イベント通知部25は、火災発生通知画面において撮影画像を更新する。この変形例によれば、警備員は、火災発生の一報を受信後も、継続的に火点の状況を視覚的に確認することができる。
【0043】
なお、この変形例が採用される場合、警備員による撮影停止指示を受け付けるために、通信装置15に表示される火災発生通知画面に、撮影画像の更新の停止を指示するためのボタンが設けられてもよい。このボタンが警備員により選択されると、通信装置15は、火災監視装置1に対して撮影停止指示を送信する。この撮影停止指示が火災監視装置1により受信されると、火災発生通知部16は、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に対する撮影指示信号の出力を停止する。
【0044】
なお、上記の説明は、火災発生時に周期的に撮影画像を更新する場合の説明であるが、転倒発生時にも周期的に撮影画像を更新するようにしてもよい。
【0045】
2-7.変形例7
火災監視装置1の位置を通信装置15の側で特定するようにしてもよい。その場合、火災監視装置1は、位置情報に代えて自装置の装置IDを通信装置15に対して送信する。通信装置15は、火災監視装置1の装置IDと設置場所を対応付けて予め記憶しておき、火災監視装置1から受信した装置IDに対応する設置場所を地図表示するフロアマップ画像P3又はP6を生成する。この変形例によれば、火災監視装置1において測位部12を省略できる。
【0046】
2-8.変形例8
火災監視装置1を既存のコミュニケーションサービス(例えば、LINE(登録商標))と連携させて、既存のコミュニケーションアプリを用いて各種通知を受信可能なようにしてもよい。その場合、火災監視装置1の火災発生通知部16は、通信装置15に代えて、コミュニケーションサービスを提供するサーバに対して火災発生情報を送信し、当該サーバが通信装置15に対して火災発生情報を送信する。図9は、通信装置15においてコミュニケーションアプリを用いて表示される火災発生情報の一例を示す図である。同図に示す火災発生情報は、火災発生を通知するメッセージM3と、可視光カメラ8により撮影された可視光画像P7と、赤外線カメラ9により撮影された赤外線画像P8と、火災監視装置1の位置を地図表示するフロアマップ画像P9とを有する。この変形例によれば、警備員は、火災監視装置1からの各種通知を受信するために、イベント通知プログラムをインストールする必要がない。
【0047】
なお、上記の説明は、火災発生情報を送信する場合の説明であるが、転倒発生情報の送信時にも既存のコミュニケーションサービスを利用してもよい。
【0048】
2-9.変形例9
火災監視装置1に角速度センサを備えさせ、当該装置の向きが変わってしまった場合に、その旨を警備員に通知するようにしてもよい。その場合、火災監視装置1の制御部10は、向きの変更を警備員に通知するために、回転判定部と回転発生通知部を提供する。回転判定部は、角速度センサから周期的に出力される角速度に基づいて火災監視装置1の支持棒3周りの回転角を検出し、検出した回転角が所定の閾値を超えたか否かを判定する。ここで所定の閾値は、火災監視装置1の許容可能なずれ角に設定される。この回転判定部は、本発明に係る検出手段の一例である。回転発生通知部は、回転判定部による判定の結果、検出した回転角が所定の閾値を超えると、回転発生情報を通信装置15に対してプッシュ通知として送信する。この回転発生情報は、火災監視装置1の向きが変更されたことを通知するメッセージと、可視光カメラ8と赤外線カメラ9により撮影された画像データと、測位部12により測位された位置情報を含む。この回転発生情報は、本発明に係る状態変化情報の一例である。この回転発生情報を受信した通信装置15のイベント通知部25は、回転発生通知画面を生成して、アラーム音とともにディスプレイ23に表示させる。この回転発生通知画面は、回転発生を通知するメッセージと、撮影画像と、火災監視装置1の位置を地図表示するフロアマップ画像とを有する。この画面を参照した警備員は、火災監視装置1の向きが変わってしまったことに気付き、当該装置の元に駆けつけて、向きを元に戻すことができる。
【0049】
2-10.変形例10
火災監視装置1の変位量を監視し、当該装置が持ち去られてしまったときに、その旨を警備員に通知するようにしてもよい。その場合、火災監視装置1の制御部10は、持ち去りを警備員に通知するために、持ち去り判定部と持ち去り通知部を提供する。持ち去り判定部は、測位部12から周期的に出力される位置情報に基づいて火災監視装置1の変位量を検出し、検出した変位量が所定の閾値を超えたか否かを判定する。ここで所定の閾値は、火災監視装置1の許容可能な変位量に設定される。この持ち去り判定部は、本発明に係る検出手段の一例である。持ち去り通知部は、持ち去り判定部による判定の結果、検出した変位量が所定の閾値を超えると、持ち去り発生情報を通信装置15に対してプッシュ通知として送信する。この持ち去り発生情報は、火災監視装置1が持ち去られたことを通知するメッセージと、可視光カメラ8と赤外線カメラ9により撮影された画像データと、測位部12により測位された位置情報を含む。この持ち去り発生情報は、本発明に係る状態変化情報の一例である。この持ち去り発生情報を受信した通信装置15のイベント通知部25は、持ち去り発生通知画面を生成して、アラーム音とともにディスプレイ23に表示させる。この持ち去り発生通知画面は、持ち去り発生を通知するメッセージと、撮影画像と、火災監視装置1の位置を地図表示するフロアマップ画像とを有する。この画面を参照した警備員は、火災監視装置1が持ち去れたことに気付き、当該装置の行方を追うことができる。
【0050】
2-11.変形例11
火災監視装置1に人感センサを備えさせ、人の侵入を警備員に通知するようにしてもよい。その場合、火災監視装置1の制御部10は、人の侵入を警備員に通知するために、侵入通知部を提供する。侵入通知部は、人感センサにより人の所在が感知されると、侵入発生情報を通信装置15に対してプッシュ通知として送信する。この侵入発生情報は、人の侵入を通知するメッセージと、可視光カメラ8と赤外線カメラ9により撮影された画像データと、測位部12により測位された位置情報を含む。この侵入発生情報を受信した通信装置15のイベント通知部25は、侵入発生通知画面を生成して、アラーム音とともにディスプレイ23に表示させる。この侵入発生通知画面は、人の侵入を通知するメッセージと、撮影画像と、火災監視装置1の位置を地図表示するフロアマップ画像とを有する。この画面を参照した警備員は、人の侵入に気付き、現場に急行して侵入者を取り押さえることができる。
【0051】
なお、この変形例が採用される場合、侵入者の挙動を記録しておくために、制御部10は記録制御部を提供してもよい。この記録制御部は、本発明に係る記録制御手段の一例である。この記録制御部は、人感センサにより人の所在が感知されると、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に対して撮影指示信号を出力する。この撮影指示信号を受けて可視光カメラ8と赤外線カメラ9は、監視領域を周期的に撮影し、撮影した画像データを制御部10に出力する。記録制御部は、出力された画像データを時系列でメモリに保存する。このメモリは、本発明に係る記録部の一例である。このように侵入者の挙動を画像として記録しておくことで、侵入者が放火等の犯罪行為を行った場合に、その立証が容易になる。なお、保存した画像データは、記録後、所定時間内に火災感知器5により火災の発生が感知されなかった場合に、記録制御部によりメモリから削除されてもよい。ここで「削除」とは、画像データの完全消去だけでなく、画像データを上書き可能な状態にすることも含む。
【0052】
2-12.変形例12
警備員によって利用される通信装置15は、警備員の詰所に設置される据え置き型の通信装置であってもよい。
【0053】
2-13.変形例13
防火対象物内で火災監視装置1を複数使用する場合、それらの装置を連携させて使用してもよい。具体的には、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を用いて複数の火災監視装置1をペアリングさせ、一方の装置で火災の発生を感知した場合に、他方の装置でも監視領域を撮影させるようにしてもよい。その場合、火災監視装置1に近距離無線通信部を備えさせ、電源投入後に、周囲の他の火災監視装置1とペアリングを行わせる。その後、一方の火災監視装置1(以下、「火災監視装置1A」)で火災発生が検出されると、当該装置の火災発生通知部16は、他方の火災監視装置1(以下、「火災監視装置1B」)に対して撮影指示を送信する。この撮影指示を受信した火災監視装置1Bは、可視光カメラ8と赤外線カメラ9に当該装置の監視領域を撮影させ、撮影された画像データを火災監視装置1Aに送信する。この画像データを受信した火災監視装置1Aの火災発生通知部16は、受信された画像データをさらに含む火災発生情報を通信装置15に対して送信する。この画像データを参照することで、警備員は火点の周囲の様子も確認することができる。
【0054】
なお、上記の説明は、火災発生を感知した場合の説明であるが、人感センサにより人の所在を感知した場合にも、他の火災監視装置1に監視領域を撮影させるようにしてもよい。
【0055】
また、上記のように火災監視装置1を連携させる場合に、火災の発生又は人の所在を感知した火災監視装置1が撮影した画像データを、あえて通信装置15に送信しないようにしてもよい。すなわち、他方の火災監視装置1が撮影した画像データのみを通信装置15に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…火災監視装置、2…脚部、3…支持棒、4…感知器取付台、5…火災感知器、6…第1収納容器、7…第2収納容器、8…可視光カメラ、9…赤外線カメラ、10…制御部、11…加速度センサ、12…測位部、13…通信部、14…バッテリ、15…通信装置、16…火災発生通知部、17…転倒判定部、18…転倒発生通知部、19…プロセッサ、20…揮発性メモリ、21…不揮発性メモリ、22…ネットワークカード、23…ディスプレイ、24…タッチパネル、25…イベント通知部、M1、M2、M3…メッセージ、P1、P4、P7…可視光画像、P2、P5、P8…赤外線画像、P3、P6、P9…フロアマップ画像
図1
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図9