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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174976
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】電解水生成装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20231201BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181702
(22)【出願日】2023-10-23
(62)【分割の表示】P 2021184626の分割
【原出願日】2018-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】山口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 賢一郎
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA02
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB13
4D061EB16
4D061EB19
4D061EB28
4D061EB29
4D061EB30
4D061EB31
4D061EB33
(57)【要約】
【課題】陽極、陰極、および陽イオン交換膜が位置ズレする可能性を低減することができる電解水生成装置を提供する。
【解決手段】電解水生成装置100は、陽極Aと、陰極Cと、陽極Aと陰極Cとの間に設けられたイオン交換膜Iと、水が流入する流入口Finと、水が流出する流出口Foutとを有し、陽極A、陰極C、およびイオン交換膜Iを収容するハウジング5と、陽極Aおよび陰極Cにそれぞれ電気的に接続され、所定の方向に延びる2つの給電シャフトAS,CSと、陽極Aおよび陰極Cそれぞれと給電シャフトAS,CSとを接続する2つのバネ部Bと、を備える。バネ部Bの一方は、前記陽極Aを含む面と同一面上に設けられ、前記バネ部Bの他方は、前記陰極Cを含む面と同一面上に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられたイオン交換膜と、
水が流入する流入口と、前記水が流出する流出口とを有し、前記陽極、前記陰極、および前記イオン交換膜を収容するハウジングと、
前記陽極および前記陰極にそれぞれ電気的に接続され、所定の方向に延びる2つの給電シャフトと、
前記陽極および前記陰極それぞれと前記給電シャフトとを接続する2つのバネ部と、を備え、
前記バネ部の一方は、前記陽極を含む面と同一面上に設けられ、前記バネ部の他方は、前記陰極を含む面と同一面上に設けられる、電解水生成装置。
【請求項2】
前記バネ部は、前記所定の方向を回転中心軸として旋回するように渦巻き状をなしている、請求項1に記載の電解水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原水を受け入れ、オゾン水等の電解水を生成する電解水生成装置の開発が行われている。従来の電解水生成装置は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられた陽イオン交換膜と、を備えている。また、従来の電解水生成装置は、水が流入する流入口と、水が流出する流出口とを有し、陽極、陰極、および陽イオン交換膜を内包するハウジングを備えている。さらに、従来の電解水生成装置は、陽極および陰極にそれぞれ電気的に接続され、ハウジングの2つの貫通孔をそれぞれ突き抜けるように所定の方向に延びる2つの給電シャフトと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-176993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の電解水生成装置においては、陽極、陰極、および陽イオン交換膜を適切な位置関係に配置することにより、電解水を良好に生成することができる。しかしながら、陽極、陰極、および陽イオン交換膜の位置関係にズレが生じた場合、電解水の生成性能に劣化するおそれがある。したがって、陽極、陰極、および陽イオン交換膜を適切な位置関係を維持することが求められる。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、陽極、陰極、および陽イオン交換膜が位置ズレする可能性を低減することができる電解水生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様に係る電解水生成装置は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられたイオン交換膜と、水が流入する流入口と、前記水が流出する流出口とを有し、前記陽極、前記陰極、および前記イオン交換膜を収容するハウジングと、前記陽極および前記陰極にそれぞれ電気的に接続され、所定の方向に延びる2つの給電シャフトと、前記陽極および前記陰極それぞれと前記給電シャフトとを接続するバネ部と、を備え、前記バネ部の一方は、前記陽極を含む面と同一面上に設けられ、前記バネ部の他方は、前記陰極を含む面と同一面上に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の態様に係る電解水生成装置によれば、給電シャフトに負荷が生じても、バネ部がその負荷に基づく給電シャフトの位置ズレを吸収する。そのため、その位置ズレが陽極および陰極の少なくともいずれか一方へ悪影響を与えることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態の電解水生成装置の分解斜視図である。
図2】実施の形態の電解水生成装置の幅方向に沿って切った縦断面図である。
図3】実施の形態の電解水生成装置の陰極、バネ部、および給電シャフトの位置関係を示す部分平面図である。
図4】実施の形態の電解水生成装置の給電シャフトの第1の斜視断面の拡大図である。
図5】実施の形態の電解水生成装置の給電シャフトの第2の斜視断面の拡大図である。
図6】実施の形態の電解水生成装置の他の例の陽極、バネ部、および給電シャフトの位置関係を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、各実施の形態の電解水生成システムおよびそれに用いられている電解水生成装置を説明する。以下の複数の実施の形態においては、同一の参照符号が付された部分同士は、図面上における形状に多少の相違があっても、特段の記載がない限り、互いに同一の機能を有するものとする。
【0010】
本実施の形態においては、電解水生成装置100は、電解水としてオゾン水を生成するオゾン水生成装置である。なお、オゾン水は、殺菌または有機物分解に有効であるため、水処理分野、食品、または医学分野において利用されており、残留性が低いこと、および、副生成物が生成されないという利点を有している。
【0011】
本明細書においては、図1のX方向は、水の流路に沿った方向であり、通水方向と呼ばれる。図1に示されるように、電解水生成装置100は、X方向が長手方向となる直方体形状を有している。図1のY方向は、水の流路を横切る方向であり、幅方向と呼ばれる。Y方向は、水平面に沿った方向であるものとする。図1のZ方向は、電極および導電性膜が積層される方向であり、積層方向と呼ばれる。図1では、電解水生成装置100の蓋部2が上側に位置付けられる状態で、上下方向がZ方向として示されている。X方向、Y方向、Z方向は、図1に示される方向の組合せに限定されず、電解水生成装置100は、どのような姿勢で設けられていてもよい。
【0012】
ただし、実施の形態の電解水生成装置100は、その流路が鉛直方向に沿って延びるような姿勢で他の装置に組み込まれることが望ましい。より具体的には、電解水生成装置100は、その流入口Finが下を向き、かつ、その流出口Foutが上を向くような姿勢で他の装置へ組み込むことが好ましい。言い換えると、電解水生成装置100の姿勢は、水が下方から上方へ流れるように設定されていることが好ましい。その理由は、陽極Aの表面で発生したオゾンが気泡成長する前に速やかに陽極Aの表面からオゾンを引き離すことが好ましいためである。つまり、流入口Finが下を向き、かつ、流出口が上を向いていると、浮力によって、オゾンが速やかに陽極Aの表面から離れるためである。これによれば、オゾンが、気泡の状態で残存することを抑制され、水に溶け込み易くなることにより、オゾン水の生成効率が向上する。ただし、電解水生成装置100は、その流路が鉛直方向に沿って延びるような姿勢以外のいかなる姿勢で他の装置に組み込まれてもよい。
【0013】
図1に示されるように、電解水生成装置100は、給電体Fおよび陽極本体AMからなる陽極Aと、陰極Cと、陽極Aと陰極Cとの間に設けられた陽イオン交換膜Iと、を備えている。本実施の形態においては、陽極Aが陽極本体AMと給電体Fとからなる例が示されているが、陽極Aが1つの材料によって構成されていてもよいとともに、3以上の材料によって構成されていてもよい。
【0014】
給電体F、陽極本体AM、陽イオン交換膜I、および陰極Cは、積層構造4を構成している。給電体F、陽極本体AM、イオン交換膜、および陰極Cは、いずれも、平板形状を有している。平板形状は、X方向、すなわち通水方向を長手方向とし、Y方向、すなわち幅方向を短手方向とする長方形の平面形状を有しており、Z方向、すなわち積層方向に厚さを有している。給電体F、陽極本体AM、陽イオン交換膜I、および陰極Cは、この順番で下から上へ向かって、Z方向に積層されている。
【0015】
陰極Cは、平面視においてV字状の貫通孔を有している。陽イオン交換膜Iは、通水方向を横切る方向に複数の貫通孔が設けられている。陰極Cの貫通孔および陽イオン交換膜Iの貫通孔の中でオゾンが発生し、容器部1内の水に溶解する。これにより、オゾン水が生成される。
【0016】
図1に示されるように、本実施の形態の電解水生成装置100は、ハウジング5を備えている。ハウジング5は、水が流入する流入口Finと、水が流出する流出口Foutとを有し、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを内包している。ハウジング5は、給電体F、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを受け入れる容器部1と、容器部1の開口を閉塞する蓋部2と、を含んでいる。
【0017】
図1および図2に示されるように、容器部1の底には、弾性体3が置かれている。弾性体3の上には、積層構造4が置かれている。蓋部2は、積層構造4を押さえ付けるように、容器部1の上面に固定されている。
【0018】
図1および図2に示されるように、ハウジング5は、外部装置200の凸部Pと嵌合する位置決め用凹部Tを含んでいる。そのため、電解水生成装置100を外部装置200に対して容易に位置決めすることができる。本実施の形態においては、位置決め用凹部Tは、蓋部2に設けられている。そのため、位置決め用凹部Tに起因した強度の低下を抑制しながら、位置決め用凹部Tを有する容器部1を形成することができる。ただし、位置決め用凹部Tは、容器部1に設けられていてもよい。また、電解水生成装置100が、位置決め用凹部Tの代わりに、位置決め用凸部を有し、外部装置200の凸部Pの代わりに凹部を有していてもよい。つまり、位置決め用凹部Tおよび凸Pは、互いに嵌合する形状であれば、互いにいかなる形状で置き換えられてもよい。
【0019】
外部装置200は、その外縁から垂れ下がる爪部201を有している。外部装置200の爪部201が容器部1の上端から外方へ延びる鍔部12の下側に引っ掛けられるように、電解水生成装置100が外部装置200の爪部201同士の間に挿入される。それにより、電解水生成装置100が外部装置200に固定される。なお、外部装置200は、電解水生成装置100で生成された電解水、たとえば、オゾン水を利用する装置である。
【0020】
蓋部2は、相対的に肉厚が小さい薄肉部21と、相対的に肉厚が大きい厚肉部22とを含んでいる。位置決め用凹部Tは、厚肉部22に設けられている。そのため、蓋部2の強度が低下することを抑制することができる。位置決め用凹部Tは、蓋部2の長手方向に沿って延びる溝部である。そのため、電解水生成装置100を外部装置200の凸部Pに対して安定的に位置決めすることができる。
【0021】
蓋部2は、相対的にレーザ光を透過し易い色を有するレーザ透過性樹脂を含んでいる。容器部1は、相対的にレーザ光を吸収し易い色のレーザ吸収性樹脂を含んでいる。蓋部2のZ方向の上側からレーザ光が薄肉部21に照射される。それにより、薄肉部21を透過したレーザ光が、蓋部2の薄肉部21の下面と容器部1の上面とを加熱する。その結果、本実施の形態においては、蓋部2の薄肉部21と容器部1とがレーザ樹脂溶着によって互いに固定される。これによれば、蓋部2と容器部1とを容易に固定することができる。なお、容器部1は、黒色またはそれに近い色を有し、蓋部2は、透明や白色またはそれに近い色を有している。
【0022】
また、蓋部2の薄肉部21は、蓋部2に形成された溝に容器凸部11が挿入されている。そのため、蓋部2と容器部1とを強固に固定することができる。
【0023】
図1に示されるように、陽極Aには、陽極A用の給電シャフトASが電気的に接続されている。陽極Aと陽極A用の給電シャフトASとは陽極A用のバネ部Bを介して接続されている。陽極A用の給電シャフトASは、容器部1の底面に設けられた貫通孔1Aに挿入される。陽極A用の給電シャフトASの容器部1の外部に突出する部分が電力供給部の正極に電気的に接続される。
【0024】
図1に示されるように、陰極Cには、陰極C用の給電シャフトCSが電気的に接続されている。陰極Cと陰極C用の給電シャフトCSとは陰極C用のバネ部Bを介して接続されている。陰極C用の給電シャフトCSは、容器部1の底面に設けられた貫通孔1Cに挿入される。陰極C用の給電シャフトCSの容器部1の外部に突出する部分が電力供給部の負極に電気的に接続される。
【0025】
陽極A用の給電シャフトASの容器部1の外部に突出する部分および陰極C用の給電シャフトCSの容器部1の外部に突出する部分が、それぞれ、オーリングO、ワッシャW、座金S、および六角ナットNに挿入される。その結果、積層構造4を構成する給電体F、陽極A、陽イオン交換膜I、および陰極Cを六角ナットNの締め付けにより固定することができる。
【0026】
図3図5に示されるように、電解水生成装置100は、陽極Aおよび陰極Cにそれぞれ電気的に接続され、ハウジング5の2つの貫通孔1A,1Cをそれぞれ突き抜けるように所定の方向に延びる2つの給電シャフトAS,CSを備えている。給電シャフトAS,CSおよび貫通孔1A,1Cは、それぞれ、所定の方向における給電シャフトAS,CSの貫通孔1A,1Cに対する位置ズレを抑制するように互いに係合する係合部SEおよび被係合部1Eを含んでいる。これによれば、給電シャフトAS,CS延びる所定の方向、すなわち軸方向におけるズレを抑制することができる。
【0027】
図3図5に示されるように、係合部SEは、ハウジング5の外側のほうがハウジング5の内側よりも給電シャフトAS,CSの径が小さい段差凸部である。具体的には、給電シャフトASおよび給電シャフトCSのそれぞれは、相対的に大きな径を有し、所定の方向に沿って延びる第1のシャフト部分と第1のシャフト部分より相対的に小さな径を有し、所定の方向に沿って延びる第2のシャフト部分とを有している。第1のシャフト部分は、ハウジング5の底面部から内側に延び、第2のシャフト部分は、ハウジング5の底面部から外側に延びている。係合部SEは、第1のシャフト部分と第2のシャフト部分との間の段差凸部によって構成されている。
【0028】
被係合部1Eは、ハウジング5の外側のほうがハウジング5の内側よりも貫通孔1A,1Cの径が小さい段差貫通孔である。具体的には、貫通孔1Aおよび貫通孔1Cのそれぞれは、相対的に大きな径を有し、所定の方向に沿って延びる第1の貫通孔部分と第1の貫通孔部分より相対的に小さな径を有し、所定の方向に沿って延びる第2の貫通孔部分とを有している。第1の貫通孔部分は、ハウジング5の底面部において内側に設けられ、第2の貫通孔部分は、ハウジング5の底面部において外側に設けられている。被係合部1Eは、第1の貫通孔部分と第2の貫通孔部分との間の段差貫通孔によって構成されている。
【0029】
図3図5に示されるように、電解水生成装置100は、給電シャフトAS,CSおよび貫通孔1A,1Cは、それぞれ、互いに嵌り合う嵌合部SFおよび被嵌合部1Fを含んでいる。それにより、所定の方向を回転軸とする給電シャフトASの貫通孔1Aに対する回転および所定の方向を回転軸とする給電シャフトCSの貫通孔1Cに対する回転を抑制することができる。つまり、給電シャフトAS,CSのそれぞれの所定の方向の回りの回転を抑制することができる。
【0030】
本実施の形態においては、嵌合部SFは、所定の方向に沿って延びる給電シャフトAS,CSのそれぞれの外側平面部であり、被嵌合部1Fは、所定の方向に沿って延びる貫通孔1A,1Cのそれぞれの内側平面部である。そのため、嵌合部SFおよび被嵌合部1Fのそれぞれを容易に形成することができる。ただし、嵌合部SFおよび被嵌合部1Fは、互いに嵌り合うことによって、給電シャフトASおよび給電シャフトCSのそれぞれが所定の方向のまわりに回転することを抑制するものであれば、いかなる形状を有していてもよい。
【0031】
電解水生成装置100は、陽極Aおよび陰極Cそれぞれと給電シャフトAS,CSとを接続する2つのバネ部Bを備えている。バネ部Bが陽極Aと陽極A用の給電シャフトASとの間の位置ズレ、および、陰極Cと陰極C用の給電シャフトCSとの間の位置ズレを吸収する。そのため、給電シャフトAS,CSに負荷が生じても、バネ部Bがその負荷に基づく給電シャフトAS,CSの位置ズレを吸収するため、その位置ズレが陽極本体AMおよび陰極Cの少なくともいずれか一方へ悪影響が生じることを抑制することができる。
【0032】
図3図5に示されるように、バネ部Bは、所定の方向を回転中心軸として旋回するように渦巻き状をなしている。そのため、バネ部Bが陽極Aと陽極A用の給電シャフトASとの間の位置ズレ、および、陰極Cと陰極C用の給電シャフトCSとの間の位置ズレをより効果的に吸収する。その結果、その位置ズレが陽極Aおよび陰極Cの少なくともいずれか一方へ悪影響を及ぼすことをより効果的に抑制することができる。
【0033】
バネ部Bは、いかなる形状を有していてもよく、たとえば、図6に示されるような形状であってもよい。また、本実施の形態においては、2つのバネ部Bは、それぞれ、陰極Cおよび陽極Aと一体的に形成されているが、別個独立して形成されたバネ部品が陰極Cおよび陽極Aのそれぞれに固定されたものであってもよい。
【0034】
実施の形態の電解水生成装置100は、オゾン水を生成するオゾン水生成装置であるが、生成させる物質はオゾンに限定されない。たとえば、電解水生成装置は、次亜塩素酸を生成することにより、殺菌作用を発揮するものであってもよい。また、電解水生成装置は、酸素水、水素水、塩素含有水、または過酸化水素水等を生成するものであってもよい。
【0035】
本実施の形態の電解水生成装置100の陽極Aは、導電性シリコン、導電性ダイヤモンド、チタン、白金、酸化鉛、または酸化タンタル等の電解水を生成することができ、導電性および耐久性を有するのであれば、いかなる物質により構成されていてもよい。たとえば、陽極本体AMが導電性ダイヤモンドで構成されており、給電体Fがチタンで構成されている。また、陽極Aがダイヤモンド電極である場合、陽極Aの製造方法は、成膜による製造方法に限定されず、また、金属以外の材料を用いるものであってもよい。
【0036】
陰極Cは、導電性と耐久性を備えた電極であればよく、例えば白金やチタン、ステンレス、導電性シリコンなどで構成することも可能である。
【0037】
本実施の形態の電解水生成装置100は、電解処理した液中の電解水生成濃度を高めることを可能にするための装置に取り付けることによって使用することができる。その装置は、たとえば、浄水装置等の水処理機器、洗濯機、食洗機、温水洗浄便座、冷蔵庫、給湯給水装置、殺菌装置、医療用機器、空調機器、または厨房機器等である。
【0038】
以下、実施の形態の電解水生成装置100の特徴的構成およびそれにより得られる効果が述べられる。
【0039】
(1)電解水生成装置100は、陽極Aと、陰極Cと、陽極Aと陰極Cとの間に設けられた陽イオン交換膜Iと、を備えている。電解水生成装置100は、水が流入する流入口Finと、水が流出する流出口Foutとを有し、陽極A、陰極C、およびイオン交換膜Iを内包するハウジング5を備えている。電解水生成装置100は、陽極Aおよび陰極Cにそれぞれ電気的に接続され、ハウジング5の2つの貫通孔1A,1Cをそれぞれ突き抜けるように所定の方向に延びる2つの給電シャフトAS,CSを備えている。給電シャフトAS,CSおよび貫通孔1A,1Cは、それぞれ、所定の方向における給電シャフトAS,CSの貫通孔1A,1Cに対する位置ズレを抑制するように互いに係合する係合部SEおよび被係合部1Eを含んでいる。これによれば、給電シャフトAS,CSが延びる所定の方向における位置ズレを抑制することができる。
【0040】
(2)給電シャフトAS,CSは、相対的に大きな径を有し、所定の方向に沿って延びる第1のシャフト部分と、第1のシャフト部分より相対的に小さな径を有し、所定の方向に沿って延びる第2のシャフト部分と、を有している。第1のシャフト部分と第2のシャフト部分との間の段差凸部によって係合部が構成されている。貫通孔1A,1Cは、相対的に大きな径を有し、所定の方向に沿って延びる第1の貫通孔部分と、第1の貫通孔部分より相対的に小さな径を有し、所定の方向に沿って延びる第2の貫通孔部分と、を有している。第1の貫通孔部分と第2の貫通孔部分との間の段差貫通孔によって被係合部が構成されている。これによれば、給電シャフトAS,CSおよび貫通孔1A,1Cを容易に形成することができる。
【0041】
(3)電解水生成装置100は、陽極Aと、陰極Cと、陽極Aと陰極Cとの間に設けられた陽イオン交換膜Iと、を備えている。電解水生成装置100は、水が流入する流入口Finと、水が流出する流出口Foutとを有し、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを内包するハウジング5を備えている。電解水生成装置100は、陽極Aおよび陰極Cにそれぞれ電気的に接続され、ハウジング5の2つの貫通孔1A,1Cをそれぞれ突き抜けるように所定の方向に延びる2つの給電シャフトAS,CSを備えている。電解水生成装置100は、給電シャフトAS,CSおよび貫通孔1A,1Cは、それぞれ、所定の方向を回転軸とする給電シャフトAS,CSの貫通孔1A,1Cに対する回転を抑制するように互いに嵌り合う嵌合部SFおよび被嵌合部1Fを含んでいる。これによれば、給電シャフトAS,CSが延びる所定の方向の回りの回転を抑制することができる。
【0042】
(4)嵌合部SFは、所定の方向に沿って延びる給電シャフトAS,CSの外側平面部であり、被嵌合部1Fは、所定の方向に沿って延びる貫通孔1A,1Cの内側平面部であってもよい。これによれば、嵌合部SFおよび被嵌合部1Fを容易に形成することができる。
【0043】
(5)電解水生成装置100は、陽極Aと、陰極Cと、陽極Aと陰極Cとの間に設けられた陽イオン交換膜Iと、を備えている。電解水生成装置100は、水が流入する流入口Finと、水が流出する流出口Foutとを有し、陽極A、陰極C、および陽イオン交換膜Iを内包するハウジング5を備えている。電解水生成装置100は、陽極Aおよび陰極Cにそれぞれ電気的に接続され、ハウジング5の2つの貫通孔1A,1Cをそれぞれ突き抜けるように所定の方向に延びる2つの給電シャフトAS,CSを備えている。電解水生成装置100は、陽極Aおよび陰極Cそれぞれと給電シャフトAS,CSとを接続する2つのバネ部Bを備えている。これによれば、給電シャフトAS,CSに負荷が生じても、バネ部Bがその負荷に基づく給電シャフトAS,CSの位置ズレを吸収する。そのため、その位置ズレが陽極Aおよび陰極Cの少なくともいずれか一方へ悪影響を与えることを抑制することができる。
【0044】
(6)バネ部Bは、所定の方向を回転中心軸として旋回するように渦巻き状をなしていてもよい。これによれば、その位置ズレが陽極Aおよび陰極Cの少なくともいずれか一方へ悪影響を及ぼすことをより効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0045】
1A,1C 貫通孔
1E 被係合部
1F 被嵌合部
5 ハウジング
100 電解水生成装置
A陽極
AS 給電シャフト(陽極用の給電シャフト)
B バネ部
C 陰極
CS 給電シャフト(陰極用の給電シャフト)
I 陽イオン交換膜
Fin 流入口
Fout 流出口
SE 係合部
SF 嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6