(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174977
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】合鍵製作システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20231201BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023181719
(22)【出願日】2023-10-23
(62)【分割の表示】P 2020090744の分割
【原出願日】2020-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】三橋 隆史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】合鍵の納期を短縮できる合鍵製作システムを提供すること。
【解決手段】合鍵を製作するための依頼に関する入力を受け付けて該入力による合鍵発注情報を外部に送信する発注端末装置2,3,4と、発注端末装置2,3,4から合鍵発注情報を受信する受注端末装置6と、受注端末装置6が受信した合鍵発注情報に基づいて、工作機械8の運転態様を設定する運転態様設定情報を生成して工作機械8に供給する運転態様設定装置7と、を含む、合鍵製作システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合鍵の発注により、発注端末装置から外部に送信される合鍵発注情報をネットワークを通じて受信する受注端末装置であって、
合鍵を製作するための依頼に関する入力を受け付けて該入力による、製作の対象である鍵を特定する鍵特定情報が含まれた、前記合鍵発注情報を鍵発注用のアプリケーションを利用して外部に送信する前記発注端末装置から前記合鍵発注情報を受信して合鍵の注文を受け付ける、受注端末装置。
前記工作機械に供給する運転態様設定装置と、を含む、合鍵製作システム。
【請求項2】
前記鍵特定情報は、鍵番号である、請求項1に記載の受注端末装置。
【請求項3】
請求項1また2に記載の受注端末装置が受信した前記合鍵発注情報に含まれた前記鍵特定情報に基づいて、工作機械の運転態様を設定する運転態様設定情報を生成して前記工作機械に供給する運転態様設定装置。
【請求項4】
前記運転態様設定情報は、前記合鍵を製作するための特定工程を既に進行中の生産工程または進行予定の生産工程中に割り込ませる割り込み設定情報を含む、請求項3に記載の運転態様設定装置。
【請求項5】
前記運転態様設定情報は、棒状材料を切削して前記合鍵を製作するように前記工作機械を制御するための工作機械制御情報を含む、請求項3に記載の運転態様設定装置。
【請求項6】
合鍵を製作するための依頼に関する入力を受け付けて該入力による、製作の対象である鍵を特定する鍵特定情報が含まれた、前記合鍵発注情報を鍵発注用のアプリケーションを利用して外部に送信する前記発注端末装置から前記合鍵発注情報を受信して合鍵の注文を受け付ける受注工程と、
前記受注端末装置が受信した前記合鍵発注情報に含まれた前記鍵特定情報に基づいて、運転態様設定装置により前記合鍵を製作するための運転態様設定情報を生成する特定工程と、
前記運転態様設定情報を工作機械に供給して前記合鍵を製作する生産工程と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、合鍵製作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複雑なキーコードを有する防犯性の高い高級鍵は一般的な鍵店が保有する鍵複製機で合鍵を製作することができない。このような合鍵は鍵店やメーカーの代理店経由で発注者の注文を受け付けるメーカーでのみ製作できる。この種の合鍵では一般的な納期が最短でも2週間程である。受注から納品まで、受注業務、製造業務、検品業務、出荷業務等の各部門を経て発注者に届くが、各部門で相応の日数を要するからである。一方、外科手術用キットのような特殊な物品について納期を短縮するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のシステムでは、手術室の予約が確定した時点で医療機関のクライアントコンピュータ端末から所要の発注情報を送信し、受注した納品業者のサーバーコンピュータで手術用キットの受注情報を管理するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の手術用キット受注オンラインシステムは、特殊な物品について納期を短縮しなくてはならないという要請に応える点では合鍵製作システムにも通じる点はある。しかしながら、取り扱う物品の特殊性を全く異にしていることもさることながら、受注した納品業者側の生産設備についてはブラックボックスとして扱うことを前提にした技術思想である。このため、特許文献1のシステムを踏襲して短納期の合鍵製作システムを構築できるというものではない。
【0005】
本開示は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、合鍵の納期を短縮できる合鍵製作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
合鍵を製作するための依頼に関する入力を受け付けて該入力による合鍵発注情報および製作の対象である鍵を特定する鍵特定情報を外部に送信する発注端末装置と、前記発注端末装置から前記合鍵発注情報および前記鍵特定情報を受信する受注端末装置と、前記受注端末装置が受信した前記合鍵発注情報および前記鍵特定情報に基づいて工作機械の運転態様を設定する運転態様設定情報を生成して前記工作機械に供給する運転態様設定装置と、を含む合鍵製作システムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一つの形態における合鍵製作システムを示す概念図である。
【
図2】本開示の合鍵製作システムによる業務フローを説明する図である。
【
図3】一般的な合鍵製作の業務フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本開示の一つの形態における合鍵製作システムを示す概念図である。
図1において、合鍵製作システム1には発注端末装置2,3,4が含まれる。発注端末装置2,3,4は、何れも合鍵を製作するための依頼に関する入力を受け付け可能である。発注端末装置2は、例えば、鍵店に設置されたコンピューターである。また、発注端末装置3は、例えば、鍵メーカーの代理店に設置されたコンピューターであり、発注端末装置4は、例えば、合鍵発注者の自宅に設置されたコンピューターである。
図1では、説明の便宜上、発注端末装置を3基のみ描いているが、発注端末装置2,3,4はそれぞれ多数の発注端末装置を代表的に表している。
【0009】
発注端末装置2,3,4それぞれは、ネットワーク5を通して受注端末装置6と結ばれる。発注端末装置2,3,4は、何れも、合鍵を製作するための依頼に関する入力を受け付けて該入力による合鍵発注情報を外部の受注端末装置6に送信する。合鍵発注情報には発注の意思表示を表す情報と製作の対象である鍵を特定する鍵特定情報とが含まれる。即ち、受注端末装置6は、発注端末装置2,3,4から合鍵発注情報をネットワーク5を通して受信する。
【0010】
受注端末装置6は運転態様設定装置7と結ばれる。運転態様設定装置7は、合鍵を含む鍵の製作に用いる工作機械8に対しその運転態様を設定する。即ち、運転態様設定装置7は、受注端末装置6が受信した合鍵発注情報に基づいて工作機械8の運転態様を設定する運転態様設定情報を生成して工作機械8に供給する。
【0011】
受注端末装置6と運転態様設定装置7とは個々にコンピューターで構成され得るが、本例では同じコンピューター9における機能部として実現される。コンピューター9は、工作機械8が設置された工場10内に設置される。
【0012】
次に、
図2の業務フローを
図3の業務フローと対照しながら説明する。
図2は、
図1の合鍵製作システム1による業務フローを説明する図である。
図3は、
図1の合鍵製作システム1によらない一般的な合鍵製作の業務フローを説明する図である。
【0013】
まず、
図3を参照して、
図1の合鍵製作システム1によらない一般的な合鍵製作の業務フローを説明する。合鍵の発注者であるオリジナル鍵のユーザーは、合鍵を鍵店で発注する(31)、或いは、代理店で発注する(32)。
【0014】
鍵店或いは代理店でのユーザーの注文内容に応じて店舗側の担当者が情報端末から入力した合鍵発注情報および製作の対象である鍵を特定する鍵特定情報は、鍵メーカー工場の端末で受信され、ここで工場側での合鍵の受注業務(33)が発生する。工場での受注業務(33)には、「合鍵専門の受注部門」における鍵登録の有無や注文の数量や種類の確認業務が含まれる。受注業務(33)には、さらに、「顧客サービス部門」における注文された合鍵の価格の確認、納期調整、伝票発行等の業務が行われる。
【0015】
工場での受注業務(33)を経て、製造業務・検品業務(34)が行われる。製造業務では、「パーミュ部門」において、受注した合鍵の鍵番号と具体的なキーコードのデータを出力する。また、「生産部門」において、受注した合鍵製作のための段取り替えと鍵加工を行う。「生産部門」で加工された合鍵は、検品業務に回される。検品業務では、「検査部門」において、鍵加工のポジションと深さが両面検査される。
【0016】
製造業務・検品業務(34)を経て、合鍵は出荷業務(35)に回される。出荷業務(35)では、「出荷梱包部門」において梱包と出荷が行われる。出荷された合鍵は、鍵店経由での発注であった場合には、鍵店に納品され(36)さらに鍵店でユーザーへの受渡が行われる(37)。代理店経由での発注であった場合には、代理店に納品され(38)ここから指定の場所に納品される(39)。
【0017】
図3におけるような業務フローである場合には、ユーザーが合鍵の注文に関するアクションを起こしてから合鍵が工場から出荷されるまでの期間(T3)は通常2週間程度を要する。その理由は、工場における合鍵の受注から出荷まで一般的には上述した、「合鍵専門の受注部門」、「顧客サービス部門」、「パーミュ部門」、「生産部門」、「検査部門」、「出荷梱包部門」の6部門を通る。1部門あたり1営業日を要すると見て、合計6日を要することになる。しかしながら、何れの工場でも、合鍵よりも通常の鍵の生産計画を優先している。その一方で、生産、検品、出荷梱包の業務は専任者で業務を行っていることが多い。このため、各々の業務の都合により、合鍵の製作は後回しにされる。段取り替えのタイミングで合鍵製作が工程に割り込ませられるが一旦設定された段取りによる作業の終了時期は不確定な要素が多い。合鍵製作の予定は見通せず納期に余裕を持たせた生産体制をとっている。即ち、合鍵については約束できる納期を延ばしており、通常2週間程度を要することになっている。
【0018】
ここで、生産工程の段取り替えとは、鍵の種類に合わせてブランク鍵を選択し、選択したブランク鍵を治具にセットする作業である。特に、鍵番号の刻印は、鍵の種類ごとに治具が異なり、治具にセットしてから刻印位置の微調整も行う必要がありこの作業には時間がかかる。従って、他の注文との調整をはかりながら、合鍵製作作業のタイミングを見計らって生産している。治具は数十種類用意される場合がある。
【0019】
図3を参照して説明した本開示の合鍵製作システム1によらない一般的な合鍵製作の業務フローに比し、
図2における合鍵製作システム1による業務フローでは、合鍵の納期が劇的に短縮される。
図2の業務フローでは、ユーザーが鍵店に合鍵を発注し(21)、または代理店に合鍵を発注する(22)他に、自宅のコンピューターやスマートフォンで合鍵発注用のアプリケーションを利用して発注を行う(23)という選択肢がある。鍵店から発注する場合、
図1の発注端末装置2が用いられ、代理店から発注する場合、
図1の発注端末装置3が用いられ、ユーザーが自らアプリケーションを利用して発注を行う場合、
図1の発注端末装置4が用いられる。
【0020】
ユーザーのアクションを契機とする合鍵の発注により、発注端末装置2,3,4から送信される合鍵発注情報がネットワーク5を通して工場の受注端末装置6で受信される。受注端末装置6としての機能部と、運転態様設定装置7としての機能部とを有する工場側のコンピューター9により、工場側での多くの業務が賄われる。
【0021】
工場側では、受注業務、生産管理業務、加工業務、出荷業務が行われる。受注業務は「受注部門」における注文の確認および伝票発行作業であるが、これはコンピューター9による自動処理として実行される。生産管理業務は「生産管理部門」における納期確認および生産指示であるが、これについては適宜状況に応じた生産調整をはかってもよい。加工業務は「鍵加工部門」におけるスペアキーの加工および検査であるが、コンピューター9による自動処理として実行される。即ち、発注内容の加工データがCNCの工作機械に供給されて、この工作機械が加工データのとおりに作動して合鍵を製作する。
【0022】
本開示のコンピューター9および工作機械は、全てのタイプの合鍵を未加工の母材である丸棒から切削加工で作り上げる。このため、生産プログラムの管理下で種々のオリジナル鍵も製作しつつ、合鍵も自動生産される。種々のオリジナル鍵も合鍵も、段取り替えは発生しないまま製品出荷に至る。出荷された合鍵は、鍵店経由での発注であった場合には、鍵店に納品され(25)さらに鍵店でユーザーへの受渡が行われる(26)。代理店経由での発注であった場合にも同様であるが、アプリケーションを利用した発注であった場合には、指定の場所に納品される(27)。
【0023】
上述のように、受注業務、生産管理業務、加工業務が自動化されるため、ユーザーが合鍵の注文に関するアクションを起こしてから合鍵が工場から出荷されるまでの期間(T2)は3日程度に短縮される。これは
図3を参照して説明した一般的な合鍵の同期間(T3)が通常2週間程度であったことからすると劇的な短縮であると言える。
【0024】
以上に説明した本開示の一実施形態について、その作用効果を次の通り要約する。
(1)本開示の一実施形態は、合鍵を製作するための依頼に関する入力を受け付けて該入力による合鍵発注情報を外部に送信する発注端末装置2,3,4と、発注端末装置2,3,4から合鍵発注情報を受信する受注端末装置6と、受注端末装置6が受信した合鍵発注情報に基づいて、工作機械8の運転態様を設定する運転態様設定情報を生成して工作機械8に供給する運転態様設定装置7と、を含む、合鍵製作システム1である。
【0025】
上記(1)の実施形態では、合鍵の受注から製作までの業務を自動化することができる。このため、合鍵の納期を大幅に短縮することができる。
【0026】
(2)上記(1)の合鍵製作システム1において、運転態様設定情報は合鍵を製作するための特定工程を既に進行中の生産行程または進行予定の生産行程中に割り込ませる割り込み設定情報を含むことは好ましい。
【0027】
上記(2)の実施形態では、オリジナル鍵も合鍵をも段取り替えをすることなく効率的に製造することができる。
【0028】
(3)上記(1)または(2)の合鍵製作システム1において、運転態様設定情報は、未加工の母材を切削して鍵を製作するように工作機械8を制御するための工作機械制御情報を含むことは好ましい。
【0029】
上記(3)の実施形態では、棒状材料から種々のオリジナル鍵も合鍵も製作することができ、加工前に多種のブランク鍵から1つのものを選択して加工用にセットすることを要さず、フレキシブルな生産計画を組むことが可能である。
【0030】
尚、合鍵製作システム1における発注端末装置2,3,4については、種々の形態を採ることができる。例えば、デスクトップコンピューターやパーソナルコンピューター、或いは、スマートフォンやその他の形態の携帯情報端末を適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1…合鍵製作システム 2,3,4…発注端末装置 5…ネットワーク 6…受注端末装置 7…運転態様設定装置 8…工作機械 9…コンピューター 10…工場