(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175023
(43)【公開日】2023-12-08
(54)【発明の名称】エアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20231201BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20231201BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231201BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20231201BHJP
A24F 40/465 20200101ALN20231201BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D3/17
A24F40/20
A24F40/42
A24F40/465
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183101
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2023078000の分割
【原出願日】2017-03-08
(31)【優先権主張番号】16159479.1
(32)【優先日】2016-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マルガ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ミンツォーニ ミルコ
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AB16
4B045BC24
4B045BC26
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC04
4B162AC06
4B162AC08
4B162AC14
4B162AC22
(57)【要約】
【課題】細長いサセプタを備えたエアロゾル形成基体を提供する。
【解決手段】エアロゾル発生物品(10)は、口側の端(70)および口側の端から上流にある遠位端(80)を有するロッドの形態に組み立てられた複数の要素を備える。複数の要素は、エアロゾル形成基体内に長軸方向に配置された細長いサセプタ(25)を備えたエアロゾル形成基体(20)を備える。プラグ要素(90)は、ロッド内のエアロゾル形成基体の上流に位置し、それに隣接している。プラグ要素(90)はそれによって、エアロゾル形成基体(20)内に長軸方向に配置された細長いサセプタ(25)の遠位端との直接的な物理的接触を防ぐ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口側の端および口側の端から上流にある遠位端を有するロッドの形態に組み立てられた複数の要素を備えるエアロゾル発生物品であって、前記複数の要素が、エアロゾル形成基体内に長軸方向に配置された細長いサセプタを備えたエアロゾル形成基体を備え、プラグ要素が、前記ロッド内で前記エアロゾル形成基体の上流に位置しかつそれに隣接し、前記プラグ要素が、前記エアロゾル形成基体内に長軸方向に配置された前記細長いサセプタの遠位端との直接的な物理的接触を防ぐ、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記プラグ要素が20mmWG~40mmWGの引き出し抵抗(RTD)を有する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記プラグ要素が複数の開口部を備える、請求項1~2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記プラグ要素がセラミック、高分子材料、酢酸セルロース、厚紙、非誘導加熱可能な金属、沸石、またはエアロゾル形成基体でできている、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記プラグ要素が気密性である、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記プラグ要素の少なくとも前記遠位端が均質な構造を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記プラグ要素が、くぼみを画定する内表面を備え、前記くぼみは、前記プラグ要素の近位端がエアロゾル形成基体内に配置された前記細長いサセプタと接触しないように、前記プラグ要素内に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記くぼみの前記内表面が、陥凹した形状を有する、請求項7に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記プラグ要素が耐熱材料でできている、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記プラグ要素が別個の要素である、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記プラグ要素が、1ミリメートル~10ミリメートルの長さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記プラグ要素が前記エアロゾル発生基体の遠位端に適用された被覆である、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記エアロゾル形成基体が均質化したたばこ材料のシートの集合体を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記複数の要素が、支持要素と、エアロゾル冷却要素と、フィルターセグメントおよび中空管を備えるマウスピース要素とをさらに備え、前記たばこ要素の前記エアロゾル冷却要素が、最大で15ミリメートルの長さを有し、また前記エアロゾル発生物品の全長が所定の全長に保たれるように、前記マウスピース要素の長さが前記エアロゾル冷却要素の長さに従い適合される、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記マウスピース要素に備わっている前記中空管が、前記ロッドの前記遠位端に配置され、また前記エアロゾル発生物品の全長が所定の全長に保たれるように、前記中空管の前記長さが前記エアロゾル冷却要素の長さに従い適合される、請求項14に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体およびエアロゾル形成基体内に配置された細長いサセプタを備えるエアロゾル発生物品に関連する。特に本発明は、誘導加熱可能なエアロゾル発生物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、エアロゾル形成基体およびエアロゾル形成基体内に配置された細長いサセプタを備える誘導加熱可能なエアロゾル発生物品は周知である。例えば、国際特許公報WO 2015/176898号は、エアロゾル形成基体プラグ内に配置された細長いサセプタを有するエアロゾル発生物品を開示している。エアロゾル発生物品は、ロッドの形態の複数の要素を備え、細長いサセプタ内で熱を発生するためのインダクタを備える電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用されるように適合される。細長いサセプタの位置は、サセプタを備えるエアロゾル形成基体の製造方法に依存しうる。ところが、細長いサセプタは典型的に、少なくともエアロゾル形成基体プラグの遠位端まで延びる。少なくともサセプタの端部のこの露出した位置は、物品の取り扱い中または搬送中にサセプタの位置が変わりうるため、物品の一貫性を変化させることがある。
【0003】
従って、物品の一貫性を向上させる、エアロゾル形成基体およびエアロゾル形成基体内に配置された細長いサセプタを備えるエアロゾル発生物品があれば望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明によれば、口側の端および口側の端から上流にある遠位端を有するロッドの形態に組み立てられた複数の要素を備えるエアロゾル発生物品が提供されている。複数の要素は、エアロゾル形成基体内に長軸方向に配置された細長いサセプタを備えたエアロゾル形成基体を備える。プラグ要素は、ロッド内のエアロゾル形成基体の上流に位置し、それに隣接している。プラグ要素は、エアロゾル形成基体内に長軸方向に配置された細長いサセプタの遠位端との直接的な物理的接触を防ぐ。
【0005】
プラグ要素はサセプタの遠位端との直接的な接触を防ぎ、従って物品の取り扱い中または搬送中のサセプタの位置ずれまたは変形を防ぎうる。典型的に金属構成要素でありかつ比較的重いサセプタは、物品の搬送に伴いエアロゾル形成基体から外れ落ちる傾向にある。従って、プラグ要素はまた、例えば物品の搬送中にサセプタが外れた場合に、エアロゾル発生物品からサセプタが落ちるのを防ぐ。エアロゾル形成基体の遠位端を保護するプラグ要素のさらなる利点は、審美的な理由またはブランディングの理由に関するものでありうる。プラグ要素は、物品の遠位端を覆うために使用されうる。これは物品の遠位端に見栄えの良さをもたらしうる。また、例えばブランド、内容物、風味、または物品とともに使用される電子的に作動する装置などに関する情報を物品上に提供しうる。
【0006】
プラグ要素は、エアロゾル形成基体内のサセプタの形態および位置を固定することができ、従って物品ごとの一貫性を改善または保証しうる。加えて、プラグ要素はまた、物品の審美的外観を改善することが好ましく、物品に関するさらなる情報をユーザーに提供する簡単な方法を提供しうる。
【0007】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、ユーザーがその使用中にエアロゾル発生物品を吸う方向に関連して、エアロゾル発生物品の要素、または要素の部分の相対的位置を説明するために使用される。エアロゾル発生物品は、口側の端(つまり近位端であり、それを通してエアロゾルがエアロゾル発生物品を出て、ユーザーに送達される)と、遠位端との二つの端部を含むロッドの形態である。使用時に、ユーザーは口側の端で吸うことができる。また、遠位端は上流端と呼ばれてもよく、口側の端の上流にある。
【0008】
エアロゾル発生物品は、エアロゾルを発生する喫煙物品であることが好ましい。さらに、エアロゾル発生物品は、ニコチン含有エアロゾルを発生する喫煙物品であることが好ましい。
【0009】
プラグ要素は多孔性要素でもよい。多孔性のプラグ要素は、エアロゾル発生物品の引き出し抵抗を変化させないことが好ましい。プラグ要素は、ロッドの長軸方向に少なくとも50パーセントの空隙率を有することが好ましい。プラグ要素は、50パーセント~90パーセントの空隙率を有することが好ましい。プラグ要素の長軸方向の空隙率は、プラグ要素の位置での、プラグ要素を形成する材料の断面積と、エアロゾル発生物品の内部断面積との比によって定義される。この空隙率の定義はまた、エアロゾル発生物品のその他任意の要素にも適切に適用される。
【0010】
プラグ要素は、多孔性材料でできていてもよく、または複数の開口部を備えうる。これは、例えばレーザー穿孔により達成されうる。
【0011】
プラグ要素の浸透性によって、ユーザーが、プラグ要素を経由してロッドを通して空気を引き出せることを可能にしうる。
【0012】
複数の開口部は、プラグ要素の断面全体にわたり均質に分布することが好ましい。
【0013】
複数の開口部の開口部サイズは、エアロゾル形成基体の遠位端が上から見えないサイズであることが好ましい。
【0014】
プラグ要素の空隙率または浸透性は、エアロゾル発生物品を通した引き出し抵抗の制御に対応するように変化させうる。
【0015】
プラグ要素の引き出し抵抗(RTD)は、20mmWG~40mmWGでよく、25mmWG~35mmWG(ミリメートル水位計)が好ましい。プラグ要素のRTDは、30mmWGを超えないことが好ましい。プラグ要素の引き出し抵抗(RTD)は、プラグ要素の長さ1ミリメートル当たり1~5mmWG、例えばプラグ要素の長さ1ミリメートル当たり2.5mmWGであることが好ましい。プラグ要素は、細長いサセプタを備えるエアロゾル形成基体でできた要素と同じRTDを有しうる。
【0016】
別の方法として、プラグ要素は気密性でもよく、空気に対して非透過性の材料で形成されてもよい。こうした実施形態において、空気が側壁を通して、例えば紙巻たばこ用紙、またはラッパー材料内に画定された孔を通してロッドに流れ込むように、物品は構成されうる。
【0017】
プラグ要素は、誘導加熱可能なエアロゾル発生装置用のエアロゾル発生物品での使用に適した任意の材料で作製されうる。プラグ要素は、例えば物品に使用されたものと同じ材料、例えば従来的なマウスピースフィルターに使用されたもの、エアロゾル冷却要素に使用されたもの、または支持要素に使用されたものと同じ材料で作製されうる。模範的な材料は、フィルター材料、セラミック、高分子材料、酢酸セルロース、厚紙、非誘導加熱可能な金属、沸石、またはエアロゾル形成基体である。
【0018】
プラグ要素は、耐熱材料でできていることが好ましい。プラグ要素用の耐熱材料は本明細書において、プラグ要素が最高約350℃の温度に耐えうることを意味する。これによって、プラグ要素は、加熱されたサセプタまたは加熱されたエアロゾル形成基体による影響を受けないことが好ましい。
【0019】
プラグ要素は、物品の使用に当たり、その一貫性、幾何学形状または光学的性質が変化しないことが好ましい。
【0020】
物品の使用中にプラグ要素は、発生したエアロゾルに対して追加的な物質を発生しないことが好ましい。
【0021】
プラグ要素はエアロゾル発生物品の直径とほぼ等しい直径を有する。プラグ要素は、5ミリメートル~10ミリメートルの直径を有することが好ましい。プラグの直径は、5mmよりも大きい、例えば6mm~8mmであることが好ましい。プラグ要素は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿った寸法として定義されうる長さを有する。プラグ要素の長さは、1ミリメートル~10ミリメートル、例えば4mm~8mmまたは5mm~7mmとしうる。プラグ要素は実質的に円筒形であることが好ましい。プラグ要素は、8mmよりも小さいことが好ましい。プラグ要素は、エアロゾル発生物品の組立を促進するために、少なくとも2ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも3ミリメートル、または少なくとも5ミリメートルであることが好ましい。
【0022】
原則として、本明細書を通して値が述べられる時はいつでも、その値が明示的に開示されることが理解される。しかし、値は技術的考慮のために厳密に特定の値ではなくてもよいことも理解される。
【0023】
プラグ要素は別個の要素でもよい。プラグ要素の長さの上述の最小サイズは、複数の要素をロッド形状に組み立てるための、従来的なコンバイナーの使用を促進する、または可能にする。
【0024】
プラグ要素は均質な構造を有しうる。プラグ要素は、例えば質感および外観が均質でありうる。プラグ要素は、例えばその断面全体にわたり連続的な規則正しい表面を有しうるか、または例えば認識可能な対称性を有しない。プラグ要素の少なくとも遠位端は均質な構造を有することが好ましい。プラグ要素の均質な遠位端は、物品の断面全体にわたるプラグ要素の一貫性に有利に働く。
【0025】
プラグ要素は、くぼみを画定する内表面を備えてもよく、くぼみは、プラグ要素の少なくとも近位端に位置することが好ましい。くぼみはエアロゾル形成基体に対して指向する。くぼみは、プラグ要素がエアロゾル形成基体内に配置された細長いサセプタと接触しないか、または限定的な領域上でのみ接触するように、プラグ要素内に配置される。くぼみは、プラグ要素の近位端の中央部分が細長いサセプタと接触しないように、プラグ要素内の中央に配置されうる。くぼみの内表面は、例えば凹面の形状、例えばドーム型の形状を有しうる。ロッドの半径方向でのくぼみの直径は、細長いサセプタの半径方向延長部よりも大きいことが好ましい。
【0026】
プラグ要素がサセプタと物理的に接触しないようにプラグ要素内にくぼみを提供すること、およびプラグ要素とエアロゾル形成基体の間の接触領域を一般的に制限することは、プラグ要素(特にサセプタと接触するプラグ要素のそれらの部分)の過度の加熱を防ぎうる。これによって、プラグ要素の過熱または炭化のリスクが低減され、またプラグ要素の製造に適した材料の選択肢が広がりうる。
【0027】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体であってもよい。エアロゾル形成基体は加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0028】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこおよび膨化たばこのうち一つ以上を含む、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状より糸、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にしてもよく、または適切な容器またはカートリッジを提供してもよい。例えば、固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料は、紙またはその他のラッパー内に含まれ、かつプラグの形態を有しうる。エアロゾル形成基体が包まれたプラグの形態である場合、任意のラッパーを含めてプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0029】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、その固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルを含むことができ、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けうる。
【0030】
エアロゾル形成基体は、ロッド状に集められ、ラッパーによって囲まれ、エアロゾル形成基体の個別のプラグを提供するために切断された、一つ以上の均質化したたばこ材料シートを備えうる。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含むことが好ましい。
【0031】
エアロゾル形成たばこ基体は、たばこ材料、繊維、結合剤、およびエアロゾル形成体を含む、好ましくは捲縮したたばこシートであることが好ましい。そのたばこシートはキャストリーフであることが好ましい。キャストリーフは、たばこ粒子、繊維粒子、エアロゾル形成体、結合剤、および例えば風味も含むスラリーから形成される、再構成たばこの一形態である。
【0032】
ラッパーは、ロッドの形態のエアロゾル発生物品の要素を包むために適切な任意の非たばこ材料としうる。ラッパーは、物品がロッドへと組み立てられる時、エアロゾル発生物品内に複数の要素を保持する。
【0033】
エアロゾル形成基体は実質的に円筒形の形状としうる。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、この長さと実質的に直交する円周とを有しうる。
【0034】
さらに、エアロゾル形成基体の長さは10ミリメートルとしうる。別の方法として、エアロゾル形成基体の長さは12ミリメートルとしうる。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、5ミリメートル~12ミリメートルとしうる。
【0035】
本明細書で使用される「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換できる材料を意味する。変動電磁場内に位置する時、サセプタ内で誘起される渦電流がサセプタの加熱の原因となる。細長いサセプタはエアロゾル形成基体と熱的に接する位置にあるため、エアロゾル形成基体はサセプタによって加熱される。サセプタは、その幅寸法またはその厚さ寸法よりも大きい長さ寸法、例えばその幅寸法またはその厚さ寸法の2倍の長さ寸法を有する。こうして、サセプタは細長いサセプタとして描写されうる。サセプタはロッド内に実質的に長軸方向に配列される。これは、細長いサセプタの長さ寸法が、ロッドの長軸方向とほぼ平行に、例えばロッドの長軸方向に平行から±10度以内に並ぶことを意味する。望ましい実施形態において、細長いサセプタはロッド内の半径方向に中心の位置に位置付けられてもよく、ロッドの長軸方向軸に沿って延びる。
【0036】
サセプタは、ピン、ロッド、細片またはブレードの形態であることが好ましい。サセプタは長さ5ミリメートル~15ミリメートル、例えば6mm~12mm、または8mm~10mmであることが好ましい。サセプタは幅1mm~5mmであることが好ましく、また厚さ0.01mm~2mm、例えば厚さ0.5mm~2mmでありうる。好ましい実施形態において、サセプタは10マイクロメートル~500マイクロメートルの厚さを有しうるが、10~100マイクロメートルであることがなおより好ましい。サセプタ外形が一定の断面、例えば円形断面を有する場合、それは1ミリメートル~5ミリメートルの好ましい幅または直径を有する。サセプタが細片またはブレードの形態を有する場合、その細片またはブレードの幅は、好ましくは2ミリメートル~8ミリメートル、より好ましくは3ミリメートル~5ミリメートル、例えば4ミリメートルであり、また厚さは、好ましくは0.03ミリメートル~0.15ミリメートル、より好ましくは0.05ミリメートル~0.09ミリメートル、例えば0.07ミリメートルである長方形の形状を有することが好ましい。
【0037】
細長いサセプタは、エアロゾル形成基体の長さと同じであるかまたはそれより短い長さを有することが好ましい。細長いサセプタは、エアロゾル形成基体と同じ長さを有することが好ましい。
【0038】
サセプタは、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度に誘導加熱されることができるあらゆる材料から形成されうる。好ましいサセプタは金属または炭素を含む。好ましいサセプタは強磁性材料、例えば強磁性合金、フェライト鉄、または強磁性鋼、またはステンレス鋼を含んでよく、またはその強磁性材料から成ってよい。適切なサセプタはアルミニウムであってよく、またはアルミニウムを含んでよい。好ましいサセプタは、400シリーズのステンレス鋼、例えばグレード410、またはグレード420、またはグレード430のステンレス鋼から形成されうる。異なる材料は、類似した値の周波数および磁界強度を有する電磁場内に位置付けられた時に、異なる量のエネルギーを分散させる。こうして、材料のタイプ、長さ、幅、および厚さなどのサセプタのパラメータはどれも、周知の電磁場内で望ましい電力分散を提供するように変化させうる。
【0039】
好ましいサセプタは250℃を超える温度まで加熱されてもよい。適切なサセプタは、金属層、例えばセラミックコアの表面に形成される金属帯が配置された非金属コアを備えうる。サセプタは、サセプタを封入する保護用外部層、例えば保護用セラミック層または保護用ガラス層を有しうる。サセプタは、サセプタ材料のコアの上に形成される、ガラス、セラミック、または不活性金属によって形成される保護被覆を備えうる。
【0040】
サセプタはエアロゾル形成基体と熱的に接触して配列される。こうして、サセプタの温度が高くなると、エアロゾル形成基体は加熱され、エアロゾルが形成される。サセプタは、例えばエアロゾル形成基体内で、エアロゾル形成基体と物理的に直接接触して配列されることが好ましい。
【0041】
サセプタは多材料サセプタであってよく、第1サセプタ材料と第2サセプタ材料を含んでよい。その第1サセプタ材料はその第2サセプタ材料と物理的に密着した状態で積層される。その第2サセプタ材料は500℃より低いキュリー温度を有することが好ましい。その第1サセプタ材料は、サセプタが揺動電磁場に配置される時に、そのサセプタを加熱するために主に使用されることが好ましい。あらゆる適切な材料を使用してよい。例えば、第1サセプタ材料はアルミニウムであってよく、またはステンレス鋼などの鉄材料であってよい。第2サセプタ材料は、サセプタが特定の温度(第2サセプタ材料のキュリー温度であるその温度)に達した時を示すために主に使用されることが好ましい。その第2サセプタ材料のキュリー温度を使用して、操作中にサセプタ全体の温度を調節することができる。従って、第2サセプタ材料のキュリー温度はエアロゾル形成基体の発火点未満である必要がある。第2サセプタ材料の適切な材料には、ニッケルおよびある特定のニッケル合金が含まれうる。
【0042】
少なくとも第1および第2のサセプタ材料を有するサセプタに、キュリー温度を有する第2サセプタ材料とキュリー温度を有しない第1サセプタ材料を提供するか、または互いに異なる第1キュリー温度と第2キュリー温度を有する第1および第2のサセプタ材料を提供することによって、エアロゾル形成基体の加熱とその加熱の温度制御が分離されうる。第1サセプタ材料は500℃を超えるキュリー温度を有する磁性材料であることが好ましい。加熱効率の観点から、第1サセプタ材料のキュリー温度は、サセプタが加熱されることができる任意の最大温度を超えることが望ましい。第2キュリー温度は、400℃より低く、好ましくは380℃よりも低く、または360℃より低くなるように選択されうることが好ましい。第2サセプタ材料は所望の最大加熱温度と実質的に同じである第2キュリー温度を有するように選択された磁性材料であることが好ましい。すなわち、その第2キュリー温度は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるためにサセプタが加熱されるべき温度とほぼ同じであることが好ましい。その第2キュリー温度は、例えば200℃~400℃の範囲内、または250℃~360℃でありうる。第2サセプタ材料の第2キュリー温度は、例えばその第2キュリー温度と等しい温度であるサセプタによって加熱される時に、エアロゾル形成基体の全体的な平均温度が240℃を超えないように選択されうる。
【0043】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒形の形状としうる。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品はまた、長さと実質的に直交する長さと円周を有しうる。
【0044】
エアロゾル発生物品の全長は30ミリメートル~100ミリメートルとしうる。好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品の全長は40mm~55mm、例えば47~53ミリメートルである。
【0045】
エアロゾル発生物品の外径は5ミリメートル~12ミリメートル、例えば6mm~8mmでありうる。好ましい一つの実施形態において、エアロゾル発生物品は7.2mm±10パーセントの外径を有する。
【0046】
エアロゾル発生物品はマウスピース要素を備えうる。マウスピース要素は、エアロゾル発生物品の口側の端または下流端に位置しうる。
【0047】
マウスピース要素は少なくとも一つのフィルターセグメントを備えうる。フィルターセグメントは、酢酸セルローストウでできている酢酸セルロースフィルタープラグであってもよい。フィルターセグメントは、低い粒子濾過効率または非常に低い粒子濾過効率を有しうる。フィルターセグメントは、エアロゾル形成基体から長軸方向に間隔を置いてもよい。フィルターセグメントは、一つの実施形態において7ミリメートルの長さであるが、5ミリメートル~14ミリメートルの長さを有しうる。
【0048】
マウスピース要素は、エアロゾル発生物品の下流方向にある最後の部分である。ユーザーは、エアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルをマウスピース要素を通過させてユーザーに送るために、マウスピース要素に接触する。こうして、マウスピース要素はエアロゾル形成基体の下流に配置される。
【0049】
マウスピース要素はエアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。マウスピース要素は、5ミリメートル~10ミリメートルの外径、例えば6ミリメートル~8ミリメートルの外径を有しうる。好ましい実施形態において、マウスピース要素は7.2mm±10パーセントの外径を有する。マウスピース要素は、5ミリメートル~25ミリメートルの長さを有してよく、10ミリメートル~17ミリメートルの長さを有することが好ましい。好ましい実施形態において、マウスピース要素は12mm~14mmの長さを有する。好ましい実施形態において、マウスピース要素は7mmの長さを有する。
【0050】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体のすぐ下流に位置することができ、またエアロゾル形成基体に隣接することができる支持要素を備えうる。
【0051】
支持要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。例えば、支持要素は、酢酸セルロース、ボール紙、捲縮した紙(捲縮した耐熱紙または捲縮した硫酸紙など)、および高分子材料(低密度ポリエチレン(LDPE)など)から成る群から選択される一つ以上の材料から形成されてもよい。好ましい実施形態において、支持要素は酢酸セルロースから形成される。
【0052】
支持要素は中空の管状要素を含んでもよい。好ましい実施形態において、支持要素は中空のセルロースアセテートチューブを備える。
【0053】
支持要素はエアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0054】
支持要素は、5ミリメートル~12ミリメートルの外径、例えば5mm~10mmまたは6mm~8mmの外径を有しうる。好ましい実施形態において、支持要素は7.2mm±10パーセントの外径を有する。支持要素は、5ミリメートル~15ミリメートルの長さを有しうる。好ましい実施形態において、支持要素は8mmの長さを有する。
【0055】
エアロゾル発生物品はエアロゾル冷却要素を備えうる。エアロゾル冷却要素はエアロゾル形成基体の下流に位置することができ、例えばエアロゾル冷却要素は支持要素のすぐ下流に位置すること、および支持要素と隣接することができる。
【0056】
エアロゾル冷却要素は、支持要素と、エアロゾル発生物品の最端の下流端に位置するマウスピース要素との間に位置してもよい。
【0057】
本明細書で使用される「エアロゾル冷却要素」という用語は、大きい表面積および低い引き出し抵抗を有する要素を説明するために使用される。使用時に、エアロゾル形成基体から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生物品の口側の端へと運ばれる前にエアロゾル冷却要素を通して引き出される。引き出し抵抗の高いフィルター(例えば、繊維の束から形成されたフィルター)とは対照的に、エアロゾル冷却要素は低い引き出し抵抗を有する。膨張室や支持要素などのエアロゾル発生物品内のチャンバーおよびくぼみはまた、エアロゾル冷却要素であるとは見なされない。
【0058】
エアロゾル冷却要素は、50パーセントを超える長軸方向の空隙率を有することが好ましい。エアロゾル冷却要素を通過する気流経路は、比較的に抑制されないことが好ましい。エアロゾル冷却要素は、シートの集合体または捲縮したシートの集合体であってもよい。エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)、およびアルミ箔、またはこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるシート材料を含んでもよい。
【0059】
好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素は、生物分解性の材料シートの集合体を含む。例えば、非多孔性の紙のシートの集合体、またはポリ乳酸またはMater-Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体。
【0060】
エアロゾル冷却要素はPLAのシートの集合体を含むことが好ましく、PLAの捲縮したシートの集合体であることがより好ましい。エアロゾル冷却要素は、10マイクロメートル~250マイクロメートル(例えば、50マイクロメートル)の厚さを有するシートから形成されてもよい。エアロゾル冷却要素は、150ミリメートル~250ミリメートルの幅を有するシートの集合体から形成されてもよい。エアロゾル冷却要素は、長さ1ミリメートル当たり300平方ミリメートル~1000平方ミリメートル、重量1mg当たり10平方ミリメートル~100平方ミリメートルの比表面積を有しうる。一部の実施形態において、エアロゾル冷却要素は、重量1mg当たり約35平方ミリメートルの比表面積を有する材料シートの集合体から形成されてもよい。エアロゾル冷却要素は、5ミリメートル~10ミリメートル、例えば7ミリメートルの外径を有しうる。
【0061】
一部の好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素の長さは、10ミリメートル~15ミリメートルである。エアロゾル冷却要素の長さは10ミリメートル~14ミリメートル、例えば13ミリメートルであることが好ましい。
【0062】
代替的な実施形態において、エアロゾル冷却要素の長さは、15ミリメートル~25ミリメートルである。エアロゾル冷却要素の長さは16ミリメートル~20ミリメートル、例えば18ミリメートルであることが好ましい。
【0063】
エアロゾルがエアロゾル冷却要素を通過するにつれ、エアロゾルの温度は、エアロゾル冷却要素への熱エネルギーの伝達に起因して低下する。その上、エアロゾルから液化した水滴が、エアロゾル冷却要素の材料に吸着する場合がある。エアロゾル冷却要素を形成する材料のタイプに応じて、エアロゾルの含水量は0~90パーセント低減する場合がある。例えば、エアロゾル冷却要素がポリ乳酸を含む時、含水量はそれほど低減されない。例えば、エアロゾル冷却要素を形成するためにデンプン系の材料(例えば、Mater-Biなど)が使用される時、水の低減は約40パーセントでありうる。従って、エアロゾル冷却要素を成す材料の選択によって、エアロゾル内の含水量を決めることができる。
【0064】
例えば、たばこ由来のエアロゾル形成基体を加熱することによって形成されるエアロゾルは典型的にフェノール化合物を含む。エアロゾル冷却要素は、フェノールおよびクレゾールのレベルを90パーセント~95パーセント低減できる。
【0065】
一般に入手可能な電子加熱装置は、所定の寸法の、特に所定の標準的な長さのエアロゾル発生物品を使用するように設計されている。エアロゾル発生物品をこれらの標準的な加熱装置で使用可能にするためには、エアロゾル発生物品の全長は標準的な長さであるべきである。典型的には、こうした標準的な長さは45ミリメートルである。さらに、エアロゾル発生物品内に備えられ、加熱装置の発熱体によって加熱されるエアロゾル形成基体の寸法および配置は、変わらないままであることが好ましい。
【0066】
従って、プラグ要素がエアロゾル発生装置に追加された場合、物品の長さはプラグ要素の長さだけ長くなる。従って、プラグ要素の長さは、エアロゾル発生物品の全体的な長さが過度に延長されないように、8mmの長さを超えるべきではない。45mmの標準的長さを有するエアロゾル発生物品は、プラグ要素が提供された時に47mm~53mmの長さを有する物品になることが好ましい。
【0067】
ただし、物品(好ましくはエアロゾル冷却要素)の別の要素またはセグメントの短縮化を通じて、プラグ要素の追加された長さを補うことによって、物品の長さが一定に保たれてもよい。ただし、そうすることで、物品の特質が変更されないことが好ましい。
【0068】
複数の実験では、標準的な長さのエアロゾル発生物品において、標準的な18ミリメートルのエアロゾル冷却要素より短い長さを有するエアロゾル冷却要素でも所望のエアロゾル冷却またはフェノール化合物の低減が達成されうることが示されている。特に、ポリ乳酸でできているより短いエアロゾル冷却要素において、劣らない冷却または異なる煙の化学的性質が見いだされている。
【0069】
従って、プラグ要素の追加的な長さは、エアロゾル冷却要素の短縮化によって補われる。エアロゾル冷却要素の短縮化、またはエアロゾル冷却要素のさらなる短縮化は、中空管を提供することによってもなされうる。
【0070】
エアロゾル発生物品で使用される一部の材料はまた、他の材料よりもコストの影響を受ける。例えば、エアロゾル冷却要素に使用される材料、特に捲縮したポリ乳酸シートは高価である。こうして、エアロゾル発生物品において、エアロゾル冷却要素の長さは、電子装置のための標準的なエアロゾル発生物品内のこうした要素と比較して減少されうる。典型的には、エアロゾル冷却要素の標準的な長さは18ミリメートルである。エアロゾル発生物品の全長を所定の長さ(例えば、45ミリメートル)に維持するために、マウスピース要素の長さを延ばして、エアロゾル冷却要素のより短い長さを埋め合わせうる。
【0071】
驚くべきことに、煙の化学的性質に悪影響を及ぼすことなくエアロゾル冷却要素をある程度短くできることが見いだされた。これはまた、驚くべきことに、マウスピース内で長さの差異が補われる場合、マウスピースを通した煙成分の移動を変えることなく実施できることも見いだされた。特に、全長の補いのために中空管が使用される場合、マウスピースによる煙成分の変化がないことが検出された。エアロゾル冷却要素のわずか数ミリメートルの短縮化が、著しいコスト削減につながることが分かっている。マウスピースの延長部は中空管の提供によって実現されることが好ましい。中空管(例えば、ボール紙の管)は非常に低コストで製造できる場合があり、その結果、エアロゾル発生物品のマウスピース部分内の中空管によって、エアロゾル発生物品のたばこ部分内のエアロゾル冷却要素を部分的に「置換」することでコスト節約を達成できる。
【0072】
従って、マウスピース要素は中空管を備えていてもよい。
【0073】
中空管は、存在する場合、マウスピース要素の下流端、ひいてはエアロゾル発生物品の下流端に配置されることが好ましい。これによって、陥凹したフィルターの効果がエアロゾル発生物品に与えられる。こうして、電子喫煙システムを使用する時に、陥凹したフィルターで提供される従来の紙巻たばこの喫煙で得ることができていた触覚的な感覚と同等の触覚的な感覚を顧客に提供できる。
【0074】
マウスピース要素の中空管はボール紙でできていてもよい。中空管はまた、異なる材料(例えば、紙または薄いプラスチックシート材料)でできていてもよい。中空管はエアロゾル発生物品の取り扱いを可能にする安定性を有することが好ましい。
【0075】
中空管の長さは3ミリメートル~8ミリメートルであってもよい。中空管の長さは5ミリメートルであることが好ましい。
【0076】
上述の中空管の長さ、特にボール紙の管の長さは、管の良好な製造を可能にすること、およびマウスピース要素とエアロゾル発生物品の組み立ての際の管の良好な取り扱いを可能にすることが分かっている。
【0077】
中空管の壁の厚さは100マイクロメートル~300マイクロメートル、例えば200マイクロメートルであることが好ましい。エアロゾル発生物品を電子加熱装置の中へと挿入する時、消費者は典型的に、エアロゾル発生物品をその近位端において保持する、またはエアロゾル発生物品をその近位端において押す。中空管はエアロゾル発生物品の最も近位のセグメントであることが好ましいので、こうして、エアロゾル発生物品は典型的に、中空管で押される。上述の壁の厚さは、エアロゾル発生物品が電子加熱装置の中へと挿入される時、中空管、特にボール紙の管に対する安定性の要件を満たすことが分かっている。
【0078】
本発明によるエアロゾル発生物品は、プラグ要素、サセプタを含むエアロゾル形成基体、支持要素、エアロゾル冷却要素およびマウスピース要素を備えることが好ましい。マウスピース要素は、少なくとも一つのフィルター要素を備え、随意的に中空管を備えうる。こうしたエアロゾル発生物品において、支持要素はエアロゾル形成基体の下流に配置され、またエアロゾル冷却要素は支持要素の下流に配置される。
【0079】
フィルターセグメントおよび中空管を備えるマウスピース要素を備える、本発明によるエアロゾル発生物品において、中空管はロッドの遠位端に配置されることが好ましい。マウスピース要素は、エアロゾル発生物品の全長が所定の全長に保たれるように、エアロゾル冷却要素の短縮された長さを補うために、特に中空管の追加または延長によって、長さが延長されうる。物品の全長は45ミリメートルであり、たばこ要素のエアロゾル冷却要素の長さは最大で15ミリメートルであることが好ましい。エアロゾル発生物品の全長が所定の全長に保持されるように、マウスピース要素の長さ、好ましくは中空管の長さは、エアロゾル冷却要素の長さに従って適合される。
【0080】
短縮されたエアロゾル冷却要素を有する可能性、マウスピース要素内への追加的な中空管の提供によるこうした短縮されたエアロゾル冷却要素の補い、その利点および具体的な特徴については、欧州特許出願第15173224.5号に詳しい記載がある。同出願、および上述の長さの補いに関するその内容は、ここに参照によって組み込まれる。
【0081】
エアロゾル発生物品は、五つ~六つの要素またはセグメントを備えることが好ましい。
【0082】
エアロゾル形成物品の要素、例えばエアロゾル形成基体、プラグ要素およびエアロゾル発生物品のその他の任意の要素(支持要素、エアロゾル冷却要素、およびマウスピース要素など)は、外側ラッパーによって取り囲まれる。外側ラッパーは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。外側ラッパーは紙巻たばこ用紙であることが好ましい。
【0083】
本発明を実施形態に関してさらに説明し、それらの実施形態を下記の図面によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】
図1は、プラグ要素を備えたエアロゾル発生物品の実施形態の断面の概略図である。
【
図2】
図2は、陥凹したフィルターを備えたエアロゾル発生物品の別の実施形態の断面の概略図である。
【
図3】
図3は、くぼみのあるプラグ要素の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1は、エアロゾル発生物品10を図示する。エアロゾル発生物品10は、プラグ要素90、エアロゾル形成基体20、支持要素30、エアロゾル冷却要素40およびマウスピース50という、同軸に整列して配置される五つの要素を含む。これら五つの要素のそれぞれは実質的に円筒形の要素であり、それぞれが実質的に同じ直径を有する。これらの五つの要素は連続して配列され、外側ラッパー60によって取り囲まれ、円柱状のロッドを形成する。ブレード型のサセプタ25はエアロゾル形成基体内に位置し、エアロゾル形成基体と接触している。サセプタ25はエアロゾル形成基体の長さとほぼ同じ長さを有し、エアロゾル形成基体の半径方向の中心軸に沿って位置する。
【0086】
サセプタ25は、長さ10mm、幅3mm、厚さ1mmを有するフェライト鉄材料である。サセプタの一端または両端はエアロゾル形成基体への挿入を容易にするように鋭くするかまたは尖らせてもよい。
【0087】
エアロゾル発生物品10は近位または口側の端70を有し、使用者は使用中にこの近位または口側の端を自分の口の中に挿入し、遠位端80は口側の端70に対してエアロゾル発生物品10の反対側の端に位置する。組み立てられたエアロゾル発生物品10の全長は約47mm~53mmであり、直径は約7.2mmである。
【0088】
使用時に空気は、使用者によってエアロゾル発生物品を介して遠位端80から口側の端70に引き出される。また、エアロゾル発生物品の遠位端80は、エアロゾル発生物品10の上流端として記述してもよく、エアロゾル発生物品10の口側の端70はまた、エアロゾル発生物品10の下流端として記述してもよい。口側の端70と遠位端80の間に位置するエアロゾル発生物品10の要素は、口側の端70の上流にあると記述、または別の方法として、遠位端80の下流にあると記述することができる。
【0089】
プラグ要素90は、エアロゾル発生物品10の最遠位端または上流端80に位置する。
図1において、プラグ要素は、中空管として、例えば中空のセルロースアセテートチューブとして示される。中空管の内径は、サセプタがエアロゾル形成基体20の遠位端から外れるのを防ぐために、サセプタ25の幅と同じであるか、またはそれよりもわずかに小さい。
【0090】
エアロゾル形成基体基体20は、エアロゾル発生物品10内のプラグ要素90のすぐ下流に位置する。
図1において、エアロゾル形成基体20は、ラッパーによって取り囲まれた、捲縮され均質化したたばこ材料シートの集合体を含む。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。
【0091】
支持要素30はエアロゾル形成基体20のすぐ下流に位置し、エアロゾル形成基体20に隣接する。
図1において、支持要素30は中空のセルロースアセテートチューブである。支持要素30は、エアロゾル形成基体20をエアロゾル発生物品10内に位置させる。こうして、支持要素30は、例えば物品を装置に挿入する際に、エアロゾル形成基体20がエアロゾル発生物品10内でエアロゾル冷却要素40に向かって下流へと押し込まれるのを防ぐのに役立つ。支持要素30はまた、エアロゾル発生物品10のエアロゾル冷却要素40をエアロゾル形成基体20から間隔を置くためのスペーサーとして働く。
【0092】
エアロゾル冷却要素40は支持要素30のすぐ下流に位置し、支持要素30に隣接する。使用時、エアロゾル形成基体20から放出される揮発性物質は、エアロゾル発生物品10の口側の端70に向かって、エアロゾル冷却要素40に沿って通過する。揮発性物質は、エアロゾル冷却要素40内で冷めて、ユーザーが吸入するエアロゾルを形成してもよい。
図1において、エアロゾル冷却要素は、ラッパー90によって取り囲まれたポリ乳酸の捲縮したシートの集合体を含む。ポリ乳酸の捲縮したシートの集合体は、エアロゾル冷却要素40の長さに沿って延びる複数の長軸方向経路を画定する。
【0093】
マウスピース50はエアロゾル冷却要素40のすぐ下流に位置し、エアロゾル冷却要素40に隣接する。
図1において、マウスピース50は、低濾過効率の従来の酢酸セルローストウフィルターを含む。
【0094】
エアロゾル発生物品10を組み立てるために、上述の五つの円柱状要素は外側ラッパー60内で整列させられ、密接に包まれる。
図1において、外側ラッパーは、従来の紙巻たばこ用紙である。
【0095】
物品が製造されると、プラグ要素90を除く四つの要素が組み立てられうる。次にサセプタ25が、エアロゾル形成基体20を貫通するように、組立品の遠位端80に挿入される。次にプラグ要素80が組立品と整列されて、その後五つの要素がラッパー60で包まれて、完全なエアロゾル発生物品10を形成する。組立の別の方法として、複数の要素を組み立ててロッドを形成する前に、サセプタ25がエアロゾル形成基体20に挿入される。
【0096】
図1のエアロゾル発生物品10は、使用者によって喫煙または消費されるための誘導コイル(または、インダクタ)を含む、電気的に作動するエアロゾル発生装置と係合するように設計される。
【0097】
図2は、六つの要素を備えるエアロゾル発生物品1を図示し、ここで同じまたは類似の要素について同じの参照番号が使用されている。プラグ要素91、エアロゾル形成基体20、中空のセルロースアセテートチューブ30の形態の支持要素、エアロゾル冷却要素40、マウスピースフィルター50および厚紙チューブ56は、連続的にかつ同軸上に並べて配置され、また紙巻たばこ用紙によって、およびチッピングペーパー(表示せず)によって組み立てられロッドを形成する。ボール紙の管56はエアロゾル発生物品1の口側の端70に位置し、またプラグ要素91はエアロゾル発生物品1の遠位端80に位置する。
【0098】
ロッドは組み立てられた時、例えば45ミリメートルの長さ15を有し、約7.2ミリメートルの外径を有する。
【0099】
プラグ要素91は、多孔性のプラグ、例えば開放気孔のある耐熱材料のプラグである。プラグ要素は3~5mmの長さ95を有する。
【0100】
エアロゾル形成基体20は、プラグを形成するために、フィルター紙(図示せず)で包まれた捲縮したキャストリーフたばこの束を含みうる。キャストリーフたばこは、エアロゾル形成添加物としてのグリセリンを含む添加物を含む。エアロゾル形成基体の長さ25は12ミリメートルである。サセプタ25の長さは約10mmであり、その近位端で尖っている。
【0101】
中空アセテート管30はエアロゾル形成基体20のすぐ下流に位置し、かつエアロゾル形成基体20に隣接する。アセテートチューブ30の長さ35は8mmである。
【0102】
エアロゾル冷却要素40は、10mm~13mmの長さ45と約7.12mmの外径を有する。エアロゾル冷却要素40は、50mm±2mmの厚さを有するポリ乳酸のシートから形成されることが好ましい。ポリ乳酸のシートは、捲縮されかつ集合されて、エアロゾル冷却要素40の長さに沿って延びる複数のチャネルを画定する。エアロゾル冷却要素の総表面積は、エアロゾル冷却要素40の長さ1mm当たり300平方ミリメートル~1000平方ミリメートル、またはエアロゾル冷却要素40の重量1mg当たり約10平方ミリメートル~100平方ミリメートルであってもよい。
【0103】
エアロゾル冷却要素40の長さ45は、45mmの標準的な長さを有するエアロゾル発生物品の従来のエアロゾル冷却要素より5mm~8mm短い。こうした標準的な長さのエアロゾル発生物品の従来のエアロゾル冷却要素の長さ、特にポリ乳酸シートでできているエアロゾル冷却要素の長さは、18mmである。
【0104】
エアロゾル冷却要素40の下流に配置されるマウスピースフィルター50は、酢酸セルロースから形成される従来のマウスピースフィルターであってもよく、かつ7ミリメートルの長さ55を有する。
【0105】
ボール紙の管56はエアロゾル発生物品1の最も下流の要素であり、また3~5ミリメートルの長さ57を有する。ボール紙の管はプラグ要素80とともに、エアロゾル発生物品の全長が45mmになるように、より短いエアロゾル冷却要素50に対する埋め合わせをする。ボール紙の管56はまた、陥凹した口側の端を有する従来の紙巻たばこの使用をまねた、エアロゾル発生物品の陥凹した口側の端70も提供する。
【0106】
エアロゾル冷却要素40の短縮された長さは、プラグ要素91単体の追加的な長さ95を補いうる。ボール紙の管56が随意に提供されうる。
【0107】
図3において、プラグ要素92は、エアロゾル形成基体20に指向する開放端のあるくぼみ920を備える。くぼみ920はドーム型であり、プラグ要素の長さ95の25パーセント~50パーセントにあたる最大深さ921を有する。プラグ要素が5mmの長さ95を有する場合、くぼみ920の深さ921は約1mm~2.5mmである。プラグ要素92の材料は、約350℃の温度に耐える耐熱材料である。プラグ要素は、空気がプラグ要素92を通過することを可能にする多孔性であることが好ましい。
【0108】
図4は、空気がプラグ要素を通過するためにプラグ要素内に長軸方向に配置された開口部930を有するプラグ要素93の実施形態を図示する。プラグ要素の材料は、別の方法では気密性でもよい。開口部930は不規則な星型の断面を有し、これはマーキングの目的を果たすことができ、エアロゾル発生物品の見栄えの良さを助長しうる。