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特開2023-175054アタッチメントセットおよび骨切削システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175054
(43)【公開日】2023-12-11
(54)【発明の名称】アタッチメントセットおよび骨切削システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20231204BHJP
【FI】
A61B17/56
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183013
(22)【出願日】2022-11-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2022080659
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】304050912
【氏名又は名称】オリンパステルモバイオマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】黒田 宏一
(72)【発明者】
【氏名】高見 公彰
(72)【発明者】
【氏名】岩永 宗久
(72)【発明者】
【氏名】横田 友花里
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL04
4C160LL12
4C160LL28
4C160LL29
(57)【要約】
【課題】骨移植材のブロックを所望の楔形の断片に正確に切断する。
【解決手段】アタッチメントセットは、骨移植材のブロックBを保持する骨保持具に取り付けられ、ブロックBを楔形の断片Cに切断するために使用される。アタッチメントセットは、骨保持具の載置面4aに取り外し可能に設置され、載置面4aに定義された切断線Aに対してブロックBを位置決めする1種類以上のアタッチメントを備える。1種類以上のアタッチメントは、楔形の断片Cの高さを決定する高さアタッチメント21を含む。1種類以上のアタッチメントは、楔形の断片の楔角度を決定する角度アタッチメントと、楔形の断片の底辺長さを決定する長さアタッチメントとを含んでもよい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨移植材のブロックを保持する骨保持具に取り付けられ、前記ブロックを楔形の断片に切断するために使用されるアタッチメントセットであって、前記骨保持具は、前記ブロックが載置される載置面を有し、刃物が移動する切断線が前記載置面に定義され、
前記載置面に取り外し可能に設置され、前記切断線に対して前記ブロックを位置決めする1種類以上のアタッチメントを備え、
該1種類以上のアタッチメントが、前記楔形の断片の高さを決定する高さアタッチメントを含む、アタッチメントセット。
【請求項2】
前記高さアタッチメントが、前記切断線から離れる方向に向かって前記骨移植材のブロックの側面または角部に突き当たるようにして前記高さを決定する、請求項1に記載のアタッチメントセット。
【請求項3】
前記1種類以上のアタッチメントが、前記楔形の断片の楔角度を決定する角度アタッチメントおよび前記楔形の断片の底辺長さを決定する長さアタッチメントの内の少なくとも1つをさらに含み、
前記角度アタッチメントおよび前記長さアタッチメントは、前記高さアタッチメントと組み合わせて使用される、請求項1に記載のアタッチメントセット。
【請求項4】
前記高さアタッチメントは、前記ブロックの一の角部が突き当てられ、前記載置面に沿い前記切断線に直交する直交方向における前記一の角部の位置を決定する高さ決定部を有し、
該高さ決定部が、前記切断線から前記直交方向に所定のオフセット距離だけオフセットした位置に配置される、請求項3に記載のアタッチメントセット。
【請求項5】
前記角度アタッチメントは、前記ブロックの一の側面が突き当てられ、前記切断線に対する前記一の側面の傾斜角度を決定する角度決定部を有し、
該角度決定部が、前記切断線に対して所定の傾斜角度だけ傾斜する、請求項4に記載のアタッチメントセット。
【請求項6】
前記角度アタッチメントが、前記高さアタッチメントの上に配置して使用されるものであり、
前記角度アタッチメントが、前記角度決定部に前記一の側面が突き当てられた前記ブロックの前記一の角部が突き当てられる凹角部を有し、該凹角部が、前記高さ決定部と前記載置面に直交する方向に重なる位置に配置される、請求項5に記載のアタッチメントセット。
【請求項7】
前記角度アタッチメントが、前記載置面に設けられた凹凸構造と前記切断線に沿う方向に係合する位置決め部を有し、該位置決め部が前記凹凸構造と係合することによって前記載置面に対して前記切断線に沿う方向に位置決めされ、
好ましくは、前記位置決め部は、前記角度決定部に対して垂直な方向に移動可能に前記凹凸構造と係合する、請求項6に記載のアタッチメントセット。
【請求項8】
前記角度アタッチメントが、相互に異なる前記傾斜角度を有する複数の前記角度決定部を有する、請求項5または請求項6に記載のアタッチメントセット。
【請求項9】
前記角度アタッチメントは、前記ブロックの他の角部が突き当てられ、前記直交方向における前記他の角部の位置を決定する高さ決定部を有し、
前記角度アタッチメントの高さ決定部は、前記切断線から前記直交方向に所定のオフセット距離だけオフセットした位置に配置され、
前記角度アタッチメントの前記オフセット距離は、前記高さアタッチメントの前記オフセット距離よりも短い、請求項4に記載のアタッチメントセット。
【請求項10】
前記長さアタッチメントが、
前記切断線に対して傾斜して配置され、前記ブロックの一の側面が突き当てられる突き当て面と、
該突き当て面と平行に延び、所定の長さを有する長さ決定部と、を備え、
前記長さアタッチメントおよび前記高さアタッチメントの一方が、前記長さ決定部の両端を前記直交方向に前記オフセット距離と等しい距離だけ離れた位置に配置する距離決め機構を備える、請求項4に記載のアタッチメントセット。
【請求項11】
前記長さアタッチメントが、
前記長さ決定部を有する長尺部材と、
前記載置面に垂直な揺動軸回りに揺動可能に前記載置面に取り付けられる接続部材と、を備え、
該接続部材が、前記突き当て面と、前記骨保持具の前記切断線と平行な側面の外側において前記長尺部材を前記突き当て面と平行に保持する保持部と、を有し、
前記距離決め機構としての前記保持部は、前記側面から前記オフセット距離と等しい距離だけ前記直交方向に離れた位置において前記長尺部材の長手方向の途中位置を保持し、
前記長さ決定部は、前記長尺部材の前記保持部から突出する部分であり、前記長さ決定部の長さが変更可能であり、
前記揺動軸回りの前記接続部材の揺動によって前記長さ決定部の先端が前記側面に突き当てられる、請求項10に記載のアタッチメントセット。
【請求項12】
前記長さアタッチメントが、前記長さ決定部を構成する前記所定の長さの長尺部材であり、該長尺部材の側面の少なくとも一部が前記突き当て面を構成し、
前記高さアタッチメントが、前記距離決め機構として、前記直交方向において前記高さ決定部の両側に配置され前記長尺部材の両端が前記直交方向にそれぞれ突き当てられる2つの位置決め部を有する、請求項10に記載のアタッチメントセット。
【請求項13】
骨移植材のブロックを保持する骨保持具に取り付けられ、前記ブロックを楔形の断片に切断するために使用されるアタッチメントセットであって、前記骨保持具は、前記ブロックが載置される載置面を有し、刃物が移動する切断線が前記載置面に定義され、
前記載置面に取り外し可能に設置され、前記切断線に対して前記ブロックを位置決めする複数種類のアタッチメントを備え、
該複数種類のアタッチメントが、前記楔形の断片の楔角度を決定する角度アタッチメントおよび前記楔形の断片の底辺長さを決定する長さアタッチメントを含み、
前記角度アタッチメントが、
前記切断線に傾斜して配置される長尺部材と、前記切断線に対する前記長尺部材の傾斜角度を示す分度器と、を備え、前記長尺部材は、前記ブロックの一の側面が突き当てられる角度決定部を有し、前記長尺部材の前記傾斜角度が変更可能であり、
前記長さアタッチメントが、前記長尺部材に該長尺部材の長手方向に移動可能に取り付けられ、前記ブロックの他の側面が突き当てられるスライド部材を備える、アタッチメントセット。
【請求項14】
骨移植材のブロックを保持する骨保持具を有する骨切削用器具と、
請求項1または請求項13に記載のアタッチメントセットと、を備える骨切削システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメントセットおよび骨切削システムに関し、特に、骨移植材のブロックを楔形に切削するために使用されるアタッチメントセットおよび骨切削システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内反変形(O脚)の変形性膝関節症の治療法として、高位脛骨骨切り術(HTO)が用いられている。図19に示されるように、内側楔状型(open-wedge)HTOは、脛骨Dの近位部を内側から骨切りし骨切り部Eを楔状に開大することによって、O脚を矯正する方法である。開大された骨切り部Eには、楔形の骨移植材Cが補填される。
【0003】
患者の体格および脛骨Dの矯正角度に応じて、骨切り部Eの開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θは異なる。骨切り部Eに適した寸法および形状の骨移植材Cを得るために、手術の現場において、人工骨のブロックが手作業で切削加工される。例えば、罫書き器を使用してブロックに線が手描きされ、ブロックが線に沿って刃物で楔形の断片に切断される(例えば、特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6940354号公報
【特許文献2】特開2016-200573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
描かれた線に沿ってブロックを切断する方法は、高い加工精度を確保することが難しい。例えば、ブロックを切断する前に、線を描く工程および線が描かれたブロックを刃物に対して位置決めする工程が行われる。これらの工程の精度は、作業者の技量に影響されやすい。また、皮膚ペンで描かれる線は刃物の厚みよりも太いため、刃物による切断線の位置に誤差が生じやすい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、骨移植材のブロックを所望の楔形の断片に正確に切断することができるアタッチメントセットおよび骨切削用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、骨移植材のブロックを保持する骨保持具に取り付けられ、前記ブロックを楔形の断片に切断するために使用されるアタッチメントセットであって、前記骨保持具は、前記ブロックが載置される載置面を有し、刃物が移動する切断線が前記載置面に定義され、前記載置面に取り外し可能に設置され、前記切断線に対して前記ブロックを位置決めする1種類以上のアタッチメントを備え、該1種類以上のアタッチメントが、前記楔形の断片の高さを決定する高さアタッチメントを含む、アタッチメントセットである。
【0008】
本発明の他の態様は、骨移植材のブロックを保持する骨保持具に取り付けられ、前記ブロックを楔形の断片に切断するために使用されるアタッチメントセットであって、前記骨保持具は、前記ブロックが載置される載置面を有し、刃物が移動する切断線が前記載置面に定義され、前記載置面に取り外し可能に設置され、前記切断線に対して前記ブロックを位置決めする複数種類のアタッチメントを備え、該複数種類のアタッチメントが、前記楔形の断片の楔角度を決定する角度アタッチメントおよび前記楔形の断片の底辺長さを決定する長さアタッチメントを含み、前記角度アタッチメントが、前記切断線に傾斜して配置される長尺部材と、前記切断線に対する前記長尺部材の傾斜角度を示す分度器と、を備え、前記長尺部材は、前記ブロックの一の側面が突き当てられる角度決定部を有し、前記長尺部材の前記傾斜角度が変更可能であり、前記長さアタッチメントが、前記長尺部材に該長尺部材の長手方向に移動可能に取り付けられ、前記ブロックの他の側面が突き当てられるスライド部材を備える、アタッチメントセットである。
【0009】
本発明の他の態様は、骨移植材のブロックを保持する骨保持具を有する骨切削用器具と、上記のアタッチメントセットと、を備える骨切削システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、骨移植材のブロックを所望の楔形の断片に正確に切断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る骨切削システムの全体構成を示す上面図である。
図2図1の骨切削システムを組み立てた状態を示す上面図である。
図3図2の骨切削システムの断面図である。
図4】蓋を開いた状態の骨切削用器具の上面図である。
図5】(a)三角形状の楔形および(b)台形状の部分楔形の高さ、底辺長さおよび楔角度を説明する図である。
図6】載置面上に設置された高さアタッチメントおよび第1角度アタッチメントを示す上面図である。
図7】(a),(b),(c)高さアタッチメントの他の例の上面図である。
図8】(a)載置面上に設置された高さアタッチメントおよび第2角度アタッチメントを示す上面図、(b)第2角度アタッチメントを下側から見た底面図および(c)第2角度アタッチメントを角度決定部とは反対側から見た側面図である。
図9】載置面上に設置された高さアタッチメントおよび第3角度アタッチメントを示す上面図である。
図10】載置面上に設置された高さアタッチメントおよび第4角度アタッチメントを示す上面図である。
図11】載置面上に設置された高さアタッチメントおよび他の第4角度アタッチメントを示す上面図である。
図12】載置面上に設置された高さアタッチメントおよび第2高さアタッチメントを示す上面図である。
図13】(a)載置面上に設置された高さアタッチメントおよび第1長さアタッチメントを示す上面図、(b)第1長さアタッチメントを手前側から長さ方向に見た側面図である。
図14】(a)載置面上に設置された高さアタッチメントおよび第2長さアタッチメントを示す上面図、および、(b)高さアタッチメントを手前側から長さ方向に見た側面図である。
図15】載置面上に設置された第5角度アタッチメントおよび第3長さアタッチメントを示す上面図である。
図16】載置面上に設置された他の第5角度アタッチメントを示す上面図である。
図17】ディスクの位置を校正するための校正部材を示す図である。
図18】クランプの変形例の上面図である。
図19】HTOを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係るアタッチメントセット、骨切削用器具および骨切削システムについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係るアタッチメントセット、骨切削用器具1および骨切削システム100は、骨移植材のブロックBを切削し楔形の断片Cを作製するために使用される。骨移植材は、人工骨、または、患者から採取した自家骨である。本実施形態において、人工骨の直方体のブロックBを切断する場合について説明するが、アタッチメントセット、骨切削用器具1および骨切削システム100は、他の形状のブロックおよび自家骨のブロックの切断にも使用することができる。
【0013】
図19は、アタッチメントセット、骨切削用器具1および骨切削システム100の適用例である内側楔状型開大式高位脛骨骨切り術(open-wedge HTO)を説明している。Open-wedge HTOにおいて、脛骨Dの近位部が内側から骨切りされ、楔形に開大された骨切り部Eに断片Cが補填され、脛骨Dの内側面に骨プレートFが固定される。
【0014】
骨切り部Eの開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θは、患者の体格および脛骨Dの矯正角度に応じて異なる。開大幅Wは、脛骨Dの外側面における骨切り部Eの幅であり、底辺長さLは、低位側の骨切り面の長さである。開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θの内、少なくとも2つに基づいて、骨切り部Eに適合する形状および寸法の断片Cが作製される。開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θは、手術中に計測されるか、または、術前計画によって得られる。
なお、本明細書において、「楔形」は、三角形の側面を有する楔形(例えば、図5(a)の断片C参照。)と、尖端部を欠いた台形または略台形の側面を有する部分楔形(例えば、図5(b)の断片C参照。)と、の両方を含む。
【0015】
図1図3に示されるように、骨切削システム100は、人工骨のブロックBを切削する切削器具30と、切削器具30およびブロックBを相互に位置決めする骨切削用器具1とを備える。
切削器具30は、ハンドピース31と、ハンドピース31の先端に取り付けられたディスク(刃物)32と、ハンドピース31の基端に接続されディスク32を高速回転させるマイクロモータ33とを備える。
【0016】
骨切削用器具1は、ブロックBを保持するクランプ(骨保持具)2と、切削器具30およびクランプ2を支持するベース3と、を備える。
骨切削用器具1は、相互に直交する幅方向(直交方向)X、長さ方向Yおよび高さ方向Zを有する。幅方向Xおよび長さ方向Yは、クランプ2の載置面4a(後述)に平行な方向であり、特に、長さ方向Yは、切断線A(後述)に平行な方向、幅方向Xは、切断線Aに直交する方向である。高さ方向Zは、載置面4aに直交する方向である。骨切削用器具1は、載置面4aが上側を向き水平または略水平になるように、配置される。
【0017】
図1および図2は、上側から高さ方向Zに見た骨切削システム100の上面図であり、図3は、切削器具30とは反対側から幅方向Xに見た骨切削システム100の断面図である。図1は、クランプ2およびベース3が分解された状態を示し、図2および図3は、クランプ2およびベース3が組み立てられた状態を示す。
【0018】
クランプ2は、矩形の板状またはブロック状のクランプ本体4と、クランプ本体4に対して開閉可能である薄い板状の蓋5と、を備える。クランプ本体4の外面に、作業者が手でつかむためのハンドル6が固定されていてもよい。図1図3には、蓋5が閉じた状態のクランプ2が示され、図4には、蓋5が開いた状態のクランプ2が示されている。
【0019】
クランプ本体4の上面は、ブロックBが載置される平坦な載置面4aを有する。蓋5は、ヒンジ7によって開閉可能にクランプ本体4と連結される。図3に示されるように、載置面4aは、クランプ本体4の長さ方向Yの両端部の上面よりも下側にオフセットした位置に配置され、閉じた蓋5の内面と載置面4aとの間にブロックBが配置される空間が形成される。ブロックBは、蓋5の内面と載置面4aとによって高さ方向Zに把持される。蓋5の内面に、蓋5に対するブロックBの滑りを防止するための滑り止め部材5a、例えばシリコーン等のゴム製のパッドが設けられていてもよい。蓋5およびクランプ本体4には、閉じた蓋5をクランプ本体4に固定するためのねじ5bおよびねじ穴4bがそれぞれ設けられている。
【0020】
クランプ2は、蓋5が閉じた状態においてクランプ2を高さ方向Zに貫通し、長さ方向Yに延びるスロット8を有する。すなわち、スロット8は、クランプ本体4に形成されたスロット8aと、蓋5に形成されたスロット8bとからなる。スロット8(8a,8b)の中心線はディスク32が移動する切断線Aであり、スロット8aによって切断線Aが載置面4aに対して定義されている。図2および図3に示されるように、スロット8は、後述するカバー11の上面から突出するディスク32の上部を受け入れ、高速回転するディスク32がスロット8内を長さ方向Yに移動することによって、ブロックBが切断線Aに沿って切断される。
【0021】
図4に示されるように、載置面4aには、高さ方向Zに突出する2対のピン9a,9b;9c,9dが設けられている。長さ方向Yの一側(手前側)の一対のピン9a,9bは、スロット8aの両側に配置され、幅方向Xに配列している。長さ方向Yの他側(奥側)の他の一対のピン9c,9dは、スロット8aの両側に配置され、幅方向Xに配列している。手前側のピン9a,9bおよび奥側の9c,9dは、ディスク32による切断が可能な範囲の限界をそれぞれ示す目印であり、ブロックBは、ピン9a,9bとピン9c,9dとの間に配置される。後述するように、ピン9a,9b,9c,9dは、載置面4aに対するアタッチメント20~29の位置決めにも使用されてもよい。
【0022】
ベース3は、切削器具30を保持するベース本体10と、ベース本体10に着脱可能であるカバー11とを有する。
ベース本体10は、切削器具30を保持するホルダ12と、ホルダ12に保持された切削器具30のディスク32を収容する箱13とを有する。ホルダ12および箱13は、幅方向Xに配列している。
【0023】
ホルダ12は、幅方向Xに貫通する穴12aを有し、穴12aを貫通する切削器具30を保持する。
箱13は、上側が開放された矩形の箱であり、ディスク32は箱13内に長さ方向Yに沿って配置される。
カバー11は、薄い板状の部材であり、箱13の上側に取り付けられ箱13の開口部を塞ぐ。カバー11は、カバー11を厚さ方向に貫通し長さ方向Yに延びるスロット14を有する。カバー11が箱13に取り付けられた状態において、ディスク32の上部がスロット14を通過してカバー11の上面から突出する。
【0024】
クランプ2は、上側から見たときにスロット8およびスロット14が同一直線状に配置されるようにカバー11上に載置され、ディスク32の上部がスロット8内に配置される。箱13の幅方向Xの両側の側壁13a,13bは、カバー11の上面から突出している。クランプ2は、側壁13a,13bによってカバー11に対して幅方向Xに位置決めされ、かつ、側壁13a,13bに沿って長さ方向Yに案内される。
【0025】
ブロックBを所望の寸法および所望の形状の楔形の断片Cに正確に切断するためには、切断線Aに対してブロックBを正確に位置決めする必要がある。図6図16に示されるように、骨切削システム100は、切断線Aに対するブロックBの位置決めを補助するアタッチメントセットをさらに備える。
【0026】
アタッチメントセットは、載置面4aに取り外し可能に設置され、切断線Aに対してブロックBを位置決めする1種類以上のアタッチメントを含む。アタッチメントには、高さアタッチメント、角度アタッチメントおよび長さアタッチメントの3種類がある。
アタッチメントセットは、少なくとも高さアタッチメントを含み、好ましくは、角度アタッチメントおよび長さアタッチメントの少なくとも一方をさらに含む。具体的には、アタッチメントセットは、図6および図8図14に示されるアタッチメントの組み合わせの内、少なくとも1つを含む。
アタッチメントセットは、図15に示されるように、角度アタッチメントおよび長さアタッチメントを備えていてもよい。
高さアタッチメントのみを備えるアタッチメントセット、角度アタッチメントのみを備えるアタッチメントセット、および、長さアタッチメントのみを備えるアタッチメントセットが提供されてもよい。この場合、2種類以上のアタッチメントセットが組み合わせて使用される。
【0027】
図5に示されるように、高さアタッチメント、角度アタッチメントおよび長さアタッチメントは、楔形の断片Cの高さh、楔角度φおよび底辺長さSをそれぞれ決定するものである。高さh、楔角度φおよび底辺長さSは、骨切り部Eの開大幅W、開大角度θおよび底辺長さLにそれぞれ対応する。高さh、楔角度φおよび底辺長さSの内、2つが決定されることによって、断片Cの形状および寸法が一意に決定される。
【0028】
各アタッチメント20~29は、各アタッチメント20~29を載置面4aの所定の位置に所定の姿勢で位置決めするための位置決め部を有する。後述する位置決め部は一例であり、クランプ本体4の具体的な設計に応じて適宜変更可能である。
各アタッチメント20~29は、切断線Aと干渉しないように幅方向Xにおいて切断線Aの一側に配置されることが好ましい。
【0029】
図6は、高さアタッチメント21と第1角度アタッチメント22との組み合わせを示している。
図6に示されるように、高さアタッチメント21は、帯状のプレートであり、載置面4a上に長さ方向Yに配置される。高さアタッチメント21は、位置決め部として、ピン9a,9cがそれぞれ挿入される2つの穴21a,21bを有する。
高さアタッチメント21は、ブロックBの一の角部が幅方向Xに突き当てられ、幅方向Xにおける一の角部の位置を決定する高さ決定部21cを有する。高さ決定部21cは、高さアタッチメント21の切断線A側の側面である。高さ決定部21cは、載置面4aに垂直または略垂直な平坦面であり、切断線Aと平行または略平行に延びる。
【0030】
高さ決定部21cは、切断線Aから幅方向Xに所定のオフセット距離dだけオフセットした位置に配置される。ブロックBの一の角部を高さ決定部21cに突き当てることによって、断片Cの高さhがオフセット距離dと等しくなる位置にブロックBが位置決めされる。したがって、骨切り部Eの開大幅Wに応じたオフセット距離dの高さアタッチメント21を使用することによって、高さhを開大幅Wに応じた寸法に決定することができる。具体的には、図5に示されるように、高さhおよび開大幅Wは、W=h/cosφの関係にある。この関係から決定された高さhと等しいオフセット距離dのアタッチメント21が選択される。
【0031】
図7(a)~(c)は、オフセット距離dが異なるアタッチメント21の例を示している。様々な開大幅Wに対応するために、オフセット距離dが異なる複数の高さアタッチメント21が用意される。
高さ決定部21cは、平坦面ではなく、曲面、例えばコサイン曲線状の曲面であってもよい。
【0032】
図6図8図9図10図11図12図13および図14は、高さアタッチメント21と組み合わせて使用される角度アタッチメント22,23,24,20、第2高さアタッチメント25および長さアタッチメント26,27をそれぞれ示している。
図6の第1角度アタッチメント22は、矩形のプレートであり、切断線Aに対して高さアタッチメント21とは反対側において載置面4a上に載置される。第1角度アタッチメント22は、位置決め部として、ピン9bが挿入される穴22aと、クランプ本体4の端部の内面4cに突き当てられる平坦な側面22bとを有する。
【0033】
第1角度アタッチメント22は、ブロックBの一の側面が突き当てられ、切断線Aに対する前記一の側面の傾斜角度を決定する角度決定部22cを有する。角度決定部22cは、側面22bと対向する他の側面である。角度決定部22cは、載置面4aに垂直または略垂直な平坦面であり、切断線Aに直交する平面に対して所定の傾斜角度だけ傾斜する。ブロックBの一の側面を角度決定部22cに突き当てることによって、断片Cの楔角度φが、角度決定部22cの傾斜角度と等しい角度に決定される。したがって、骨切り部Eの開大角度θと等しい傾斜角度の第1角度アタッチメント22を使用することによって、楔角度φを開大角度θと等しい角度に決定することができる。様々な開大角度θに対応するために、角度決定部22cの傾斜角度が異なる複数の第1角度アタッチメント22が用意される。
【0034】
図8の第2角度アタッチメント23は、略L字型のプレートであり、高さアタッチメント21上に長さ方向Yに載置される長尺の第1部分231と、第1部分231の一端部から切断線A側に向かって突出する短尺の第2部分232とを有する。図8(b),(c)に示されるように、角度アタッチメント23の下面には、位置決め部として、高さ決定部21cと突き当たる凸部23aが設けられている。角度アタッチメント23は、高さアタッチメント21を介して載置面4aに対して幅方向Xに位置決めされる。
【0035】
角度アタッチメント23は、ブロックBの一の側面が突き当てられ、切断線Aに対する前記一の側面の傾斜角度を決定する角度決定部23bを有する。角度決定部23bは、第1部分231の切断線A側の側面である。角度決定部23bは、載置面4aに垂直または略垂直な平坦面であり、切断線Aに対して所定の傾斜角度だけ傾斜する。ブロックBの一の側面を角度決定部23bに突き当てることによって、断片Cの楔角度φが、角度決定部23bの傾斜角度と等しい角度に決定される。したがって、骨切り部Eの開大角度θと等しい傾斜角度の角度アタッチメント23を使用することによって、楔角度φを開大角度θと等しい角度に決定することができる。様々な開大角度θに対応するために、角度決定部23bの傾斜角度が異なる複数の角度アタッチメント23が用意される。
【0036】
1つのブロックBを複数回切断し複数の断片Cを作製することがある。第1角度アタッチメント22は、小さくなったブロックBまたは直方体以外の形状のブロックBの位置決めには不向きである。第2角度アタッチメント23は、小さいブロックBおよび直方体以外の形状のブロックBの位置決めにも好適に使用することができる。
【0037】
第2角度アタッチメント23は、第1部分231と第2部分232との間の凹角部23cを有し、ブロックBの一の角部が凹角部23cに突き当てられる。凹角部23cの角度は、例えば90°である。凹角部23cは、高さ決定部21cと高さ方向Zに重なる位置に配置される。したがって、角度決定部23bに一の側面が突き当てられたブロックBの一の角部を凹角部23cに突き当てることによって、高さhおよび楔角度φを同時に決定することができる。
【0038】
図9の第3角度アタッチメント24は、高さアタッチメント21上に載置される略六角形のプレートであり、角度決定部23bと同様の角度決定部24a,24b,24cを有する。角度決定部24a,24b,24cは、周方向に相互に略均等に配列する3つの側面からなる。したがって、角度アタッチメント24は、120°の略回転対称性を有し、角度決定部24a,24b,24cがそれぞれ切断線A側に位置する3通りの姿勢で高さアタッチメント21上に載置される。3つの角度決定部24a,24b,24cの切断線Aに対する傾斜角度は、相互に異なる。したがって、角度アタッチメント24を使用することによって、楔角度φを3つの角度に決定することができる。様々な開大角度θに対応するために、角度決定部24a,24b,24cの傾斜角度が異なる複数の角度アタッチメント24が用意される。
【0039】
角度アタッチメント24の下面には、位置決め部として、凸部23aと同様の凸部24dが設けられている。また、角度アタッチメント24は、凹角部23cと同様の凹角部24eを有する。
角度アタッチメント24は、略四角形または略八角形等の他の多角形状のプレートあり、周方向に配列する2つまたは4つ以上の角度決定部を有していてもよい。
【0040】
図9の高さアタッチメント21は、裏返しに配置された図7(b)の高さアタッチメント21である。すなわち、図9の使用方法において、図7(b)では切断線Aとは反対側に配置されていた側面が、高さ決定部21cとして使用される。このように、高さアタッチメント21は、相互に平行な2つの側面からなる2つの高さ決定部21cを有し、2つの高さ決定部21cのオフセット距離dは相互に異なっていてもよい。
【0041】
図10の第4角度アタッチメント20は、第2角度アタッチメント23と類似しているが、載置面4aに対して長さ方向Yにも位置決めされ長さ方向Yにスライド不可である点において、第2角度アタッチメント23と相違する。
角度アタッチメント20は、略L字型のプレートであり、長尺の第1部分201と、第1部分201の一端部から切断線A側に向かって突出する短尺の第2部分202とを有する。角度アタッチメント20の下面には、位置決め部として、凸部23aと同様の凸部(図示略)が設けられている。
さらに、角度アタッチメント20は、長さ方向Yの位置決め用の位置決め部として、ピン9cが挿入されピン9c(凹凸構造)と長さ方向Yに係合する穴20dを有する。
【0042】
角度アタッチメント20は、角度決定部23bと同様の角度決定部20bを有する。ブロックBの一の側面を角度決定部20bに突き当てることによって、断片Cの楔角度φが、角度決定部20bの傾斜角度と等しい角度に決定される。したがって、角度決定部20bの傾斜角度が異なる複数の角度アタッチメント20が用意される。
また、角度アタッチメント20は、凹角部23cと同様、高さ決定部21cと高さ方向Zに重なる位置に配置される凹角部20cを有する。したがって、角度決定部20bに一の側面が突き当てられたブロックBの一の角部を凹角部20cに突き当てることによって、高さhおよび楔角度φを同時に決定することができる。
【0043】
角度決定部20b、凹角部20cおよびピン9dに同時にブロックBが突き当たるように、凹角部20cの位置が設計されていることが好ましい。具体的には、凹角部20cが90°であり、凹角部20cを形成する第2部分202の側面202aの延長線上に、ピン9dとブロックBとの接点が位置する。これにより、ブロックBを2つの面と1つの点とで安定的に位置決めすることができる。
【0044】
穴20dは、角度決定部20bと直交する方向に延びる長穴であり、角度決定部20bに対して垂直な方向に移動可能にピン9cと係合することが好ましい。長穴20d内でのピン9cの移動によって、角度アタッチメント20は、高さアタッチメント21に対して角度決定部20bと直交する方向(図10において一点鎖線に沿う方向)に平行移動可能である。したがって、1つの角度アタッチメント20を、オフセット距離dが異なる複数の高さアタッチメント21と組み合わせて使用することができる。すなわち、高さアタッチメント21のオフセット距離dに応じて、凹角部20cが高さ決定部21cと一致する位置へ角度アタッチメント20の位置を調整することができる。
【0045】
図11は、第4角度アタッチメント20の他の例を示している。この第4角度アタッチメント20は、長さ方向Y用の位置決め部として、穴20dに代えて、長さ方向Yの両側の端面20e,20fを有する。端面20e,20fは、相互に平行であり、端面20e,20f間の距離は、ピン9a,9c間の間隔と等しい。したがって、手前側の端面20eをピン9a(凹凸構造)に、奥側の端面20fをピン9c(凹凸構造)にそれぞれ同時に係合させることができる。
端面20e,20fは、角度決定部20bに垂直な方向に延びることが好ましい。これにより、長穴20dと同様に、端面20e,20fは、角度決定部20bに対して垂直な方向に移動可能にピン9a,9cと係合することができ、1つの角度アタッチメント20を、オフセット距離dが異なる複数の高さアタッチメント21と組み合わせて使用することができる。
図10および図11のアタッチメント20において、長さ方向Y用の位置決め部の構造は、載置面4aに設けられた凹凸構造に応じて適宜変更であり、ピン9a,9c以外の凹凸構造、例えば突起部、段差または凹部と長さ方向Yに突き当たるように構成されていてもよい。
【0046】
図12の第2高さアタッチメント(角度アタッチメント)25は、凹角部25aを有する多角形のプレートであり、高さアタッチメント21の端部上に載置される。高さアタッチメント25は、位置決め部として、ピン9aが挿入される穴25cと、クランプ本体4の端部の内面4cに突き当てられる平坦な側面25dとを有する。
【0047】
高さアタッチメント25は、ブロックBの他の角部が突き当てられ、幅方向Xにおける他の角部の位置を決定する高さ決定部を有する。高さ決定部は、凹角部25aであり、切断線A側に配置される。高さ決定部25aは、切断線Aから高さ決定部21cと同一側へ幅方向Xに所定のオフセット距離d’だけオフセットした位置に配置される。高さ決定部25aのオフセット距離d’は、高さ決定部21cのオフセット距離dよりも短い。
図5(b)に示されるように、楔角度φは、所定の距離だけ離れた2つの位置での高さh,h’によって一意に決定される。高さアタッチメント25は、高さh’を決定することによって楔角度φを決定するものであり、角度アタッチメントの1つでもある。
【0048】
一の角部が高さ決定部21cに突き当てられたブロックBの他の角部を高さ決定部25aに突き当てることによって、断片Cの楔角度φは、開大幅W=d/cosθおよび開大幅W’=d’/cosθを有する骨切り部Eの開大角度θと等しい角度に決定される。開大幅W’は、脛骨Dの外側面からブロックBの辺の長さだけ離れた位置における骨切り部Eの幅である。したがって、開大幅W’に応じたオフセット距離d’の高さアタッチメント25を使用することによって、楔角度φを開大角度θと等しい角度に決定することができる。骨切り部Eの様々な開大角度θに対応するために、オフセット距離d’が異なる複数の高さアタッチメント25が用意される。
【0049】
図12の第2高さアタッチメント25は、凹角部からなるもう1つの高さ決定部25bを有する。高さアタッチメント25を裏返しに配置することによって、もう1つの高さ決定部25bが、切断線A側に配置される。2つの高さ決定部25a,25bのオフセット距離は相互に異なる。したがって、高さアタッチメント25を使用することによって、楔角度φを2つの角度に決定することができる。
【0050】
図13の第1長さアタッチメント26は、長尺部材261と、長尺部材261を保持し載置面4aに接続される接続部材262とを備える。
長尺部材261は、真っすぐな部材であり、例えば、薄い平板または細い棒である。
接続部材262は、高さアタッチメント21上に載置される略T字状のプレートであり、クランプ本体4の切断線Aに平行な側面4eを跨いで配置される。接続部材262の下面には、高さアタッチメント21の凹部21d内に挿入される凸部262aが設けられている。凹部21d内に凸部262aを配置することによって、接続部材262は、Z方向の揺動軸回りに揺動可能に載置面4aに取り付けられる。
【0051】
接続部材262は、ブロックB一の側面が突き当てられる突き当て面262bと、突き当て面262bと平行に長尺部材261を保持する保持部262cと、を有する。
突き当て面262bは、接続部材262の切断線A側の側面からなる。
保持部262cは、側面4eの外側に配置され突き当て面262bと平行な方向に貫通する穴262dを有する。保持部262cは、側面4eの外側において、穴262dを貫通する長尺部材261の長手方向の途中位置を保持する。
【0052】
長尺部材261の保持部262cから突出部する部分は、長さL’を有する長さ決定部261aである。長尺部材261は、保持部262cに対して長手方向に移動可能であり、それにより、長さ決定部261aの長さL’が変更可能である。ここで、保持部(距離決め機構)262cは、側面4eからオフセット距離dと等しい距離だけ幅方向Xに離れた位置において、長尺部材261の途中位置を保持する。
【0053】
したがって、揺動軸回りの接続部材262の揺動によって長さ決定部261aの先端を側面4eに突き当てた状態において、長さ決定部261aの両端は、幅方向Xにオフセット距離dと等しい距離だけ離れた位置に配置される。この状態において、長尺部材261、クランプ本体4および接続部材262の3つの側面は、断片Cの三角形と合同の三角形C’を形成する。したがって、長さ決定部261aの長さL’を骨切り部Eの底辺長さLと等しくすることによって、底辺長さSを底辺長さLと等しい寸法に決定することができる。長さ決定部261aを骨切り部E内に挿入することによって、長さL’を底辺長さLに調整してもよい。
骨切り部Eの底辺長さLの範囲は、開大幅Wおよび開大角度θの範囲と比較して広く、例えば、45mm~80mmである。長さ決定部261aの長さL’を可変にすることによって、単一の長さアタッチメント26を使用して、様々な底辺長さLに対応することができる。
【0054】
図14の第2長さアタッチメント(長さ決定部)27は、所定の長さL’を有する真っ直ぐな長尺部材であり、例えば、薄い平板または細い棒である。長さアタッチメント27は、高さアタッチメント21上に切断線Aに対して傾斜して配置される。長さアタッチメント27の切断線A側の側面27aは、長さアタッチメント27の長手軸に平行であり、ブロックBの一の側面が突き当てられる突き当て面である。
【0055】
長さアタッチメント27と組み合わされる高さアタッチメント21は、幅方向Xにおいて高さ決定部21cの両側に配置され、長さアタッチメント27の両端が幅方向Xにそれぞれ突き当てられる2つの位置決め部(距離決め機構)21e,21fを有する。2つの位置決め部21e,21fは、載置面4aに垂直または略垂直な平坦面であり、切断線Aに平行である。
【0056】
長さアタッチメント27の両端を位置決め部21e,21fに突き当てることによって、長さアタッチメント27の両端(より具体的には、長さアタッチメント27の中心軸の両端)は、幅方向Xにオフセット距離dと等しい距離だけ離れた位置に配置される。このとき、長さアタッチメント27の切断線Aに対する傾斜角度は、高さがオフセット距離dであり、底辺長さが長さアタッチメント27の長さL’である楔形の楔角度と等しくなる。したがって、骨切り部Eの底辺長さLと等しい長さL’の長さアタッチメント27を使用することによって、底辺長さSを底辺長さLと等しい寸法に決定することができる。骨切り部Eの様々な底辺長さLに対応するために、長さL’が異なる複数の長さアタッチメント27が用意される。
【0057】
ブロックBを長さアタッチメント27に突き当てたときに長さアタッチメント27の位置がずれることを防止するために、長さアタッチメント27の他端部に設けられた凸部27bを受け入れる凹部21gが高さアタッチメント21に設けられていてもよい。
【0058】
図15は、一体化された第5角度アタッチメント28および第3長さアタッチメント29を示している。
角度アタッチメント28は、載置面4a上に切断線Aに対して傾斜して載置される長尺部材281と、切断線Aに対する長尺部材281の傾斜角度を示す分度器282とを有する。
分度器282は、載置面4aの角部上に載置される。分度器282は、位置決め部として、例えば、ピン9cが挿入される穴282aと、クランプ本体4の端部の内面4dに突き当てられる平坦な側面282bとを有する。
【0059】
長尺部材281は、真っ直ぐな部材であり、例えば、薄い平板または細い棒からなる。長尺部材281の一端は、載置面4aに直交する軸回りに揺動可能に分度器282と連結され、切断線Aに対する長尺部材281の傾斜角度が変更可能である。長尺部材281の切断線A側の側面281aは、長尺部材281の長手軸と平行であり、ブロックBの一の側面が突き当てられる角度決定部である。
分度器282に基づいて長尺部材281を骨切り部Eの開大角度θと等しい傾斜角度に配置し、ブロックBの一の側面を角度決定部281aに突き当てることによって、断片Cの楔角度φが、開大角度θと等しい角度に決定される。
【0060】
長さアタッチメント29は、長尺部材281に取り付けられたスライド部材29aを備える。スライド部材29aは、角度決定部281aから切断線A側に突出し、ブロックBの他の側面が突き当てられる。スライド部材29aは、長尺部材281の長手方向に移動可能であり、任意の位置において長尺部材281に対して固定可能である。長尺部材281には、底辺長さを示す目盛りが付いている。スライド部材29aを、骨切り部Eの底辺長さLに対応する位置において長尺部材281に固定し、スライド部材29aにブロックBを突き当てることによって、断片Cの底辺長さSが底辺長さLと等しい長さに決定される。
【0061】
図16は、第5角度アタッチメント28の他の例を示している。この角度アタッチメント28は、載置面4a上に取り付けられる支持プレート283を備え、長尺部材281の一端は支持プレート283に揺動可能に連結される。支持プレート283は、位置決め部として、例えば、載置面4aの手前側および奥側の端部に設けられた穴に挿入される突起283aを有する。分度器282は、支持プレート283と接続され、載置面4aの外側に配置される。
この角度アタッチメント28は、高さ決定部である目盛り21hと組み合わせて使用される。目盛り21hは、載置面4aに直接設けられていてもよく、または、角度アタッチメント28と一体であり角度アタッチメント28と一緒に載置面4a上に設置されてもよい。目盛り21hは、切断線Aからの幅方向Xの距離、すなわち高さhを示す。高さhおよび開大幅Wは、W=h/cosφの関係にある。この関係から決定された高さhと等しい高さhの位置にブロックBの角を位置決めすることによって、高さhが開大幅Wに応じた寸法に決定される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の骨切削用器具1は、楔形の断片Cの高さh、楔角度φおよび底辺長さSの内、2つを決定するアタッチメント20~29を備える。このようなアタッチメント20~29を使用することによって、断片Cの高さh、楔角度φおよび底辺長さSが骨切り部Eの開大幅W、開大角度θおよび底辺長さLとそれぞれ対応するまたは等しくなるように、切断線Aに対してブロックBを位置決めすることができる。これにより、加工精度の低下の要因となっていたブロックBの線を描く作業を不要とし、ブロックBを所望の形状および所望の寸法の断片Cに正確に切断することができる。
【0063】
スロット8,14の幅はディスク32の幅よりも大きいので、ディスク32が、切断線Aであるスロット8,14の中心線から幅方向Xにずれた位置に配置され得る。
図17に示されるように、骨切削システム100は、ディスク32を切断線Aと正確に一致させるための校正部材40をさらに備えていてもよい。校正部材40は、相互に平行な2つの平面40a,40bを有するブロックである。2つの平面40a,40b間の距離は、α-β/2である。αは、箱13の側壁13bの内面から切断線Aまでの幅方向Xの距離であり、βは、ディスク32の厚さである。一方の平面40bを側壁13bの内面に接触させ、ディスク32を他方の平面40aに接触させることによって、ディスク32を切断線Aと正確に一致させることができる。
【0064】
上記実施形態において、図18に示されるように、クランプ2の蓋5が、ブロックBの一部を外側に露出させる窓5cを有していてもよい。
蓋5を閉じる過程において、アタッチメント20~29によって位置決めされたブロックBの位置がずれる可能性がある。窓5cが設けられていることによって、蓋5を閉じた後、ブロックBが適切に位置決めされているか否かを、閉じた蓋5の外側から目視で確認することができる。また、ブロックBの位置がずれている場合には、窓5cを経由してブロックBの位置を微調整することができる。
【0065】
上記実施形態において、切削器具30に対してクランプ2を移動させることによってブロックBを切断することとしたが、これに代えて、骨切削用器具1は、クランプ2に対して切削器具30を長さ方向Yに移動させるように構成されていてもよい。
上記実施形態において、骨切削用器具1が、切削器具30を保持するためのホルダ12を備え、切削器具30と組み立てられることとしたが、これに代えて、任意の切削器具を使用してブロックBを切断するように構成されていてもよい。例えば、骨切削用器具1は、ベース3を備えず、作業者が手に把持したカッタ等の任意の刃物をクランプ2のスロット8に沿って移動させることによってブロックBを切断線Aに沿って切断してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 骨切削用器具
2 クランプ(骨保持具)
4a 載置面
21 高さアタッチメント
21e,21f 位置決め部(距離決め機構)
21c,25a 高さ決定部
20,22,23,24,25,28 角度アタッチメント
20b,22c,23b,24a,24b,24c,281a 角度決定部
20c,23c,24e 凹角部
20d 穴(位置決め部)
20e,20f 端面(位置決め部)
25 第2高さアタッチメント(角度アタッチメント)
26,29 長さアタッチメント
261a 長さ決定部
262b,27a 突き当て面
262 接続部材
262c 保持部(距離決め機構)
27 長さアタッチメント(長尺部材、長さ決定部)
281 長尺部材
282 分度器
29a スライド部材
32 ディスク(刃物)
9a,9c ピン(凹凸構造)
A 切断線
B ブロック
C 断片
d,d’ オフセット距離
φ 楔角度
h 高さ
S 底辺長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨移植材のブロックを保持する骨保持具に取り付けられ、前記ブロックを楔形の断片に切断するために使用されるアタッチメントセットであって、前記骨保持具は、前記ブロックが載置される載置面を有し、刃物が移動する切断線が前記載置面に定義され、
前記載置面に取り外し可能に設置され、前記切断線に対して前記ブロックを位置決めする1種類以上のアタッチメントを備え、
該1種類以上のアタッチメントが、前記楔形の断片の高さをそれぞれ決定する複数の高さアタッチメントと、前記楔形の断片の楔角度をそれぞれ決定する複数の角度アタッチメントと、を含み
前記複数の高さアタッチメントが、前記楔形の断片の高さを相互に異なる高さに決定するものであり、
前記複数の角度アタッチメントが、前記楔形の断片の楔角度を相互に異なる角度に決定するものであり、
前記複数の高さアタッチメントの内の1つと前記複数の角度アタッチメントの内の1つとを組み合わせて使用することによって、前記高さと前記楔角度との組み合わせが決定される、アタッチメントセット。
【請求項2】
骨移植材のブロックを保持する骨保持具に取り付けられ、前記ブロックを楔形の断片に切断するために使用されるアタッチメントセットであって、前記骨保持具は、前記ブロックが載置される載置面を有し、刃物が移動する切断線が前記載置面に定義され、
前記載置面に取り外し可能に設置され、前記切断線に対して前記ブロックを位置決めする1種類以上のアタッチメントを備え、
該1種類以上のアタッチメントが、前記楔形の断片の高さをそれぞれ決定する複数の高さアタッチメントと、前記楔形の断片の底辺長さをそれぞれ決定する複数の長さアタッチメントと、を含み、
前記複数の高さアタッチメントが、前記楔形の断片の高さを相互に異なる高さに決定するものであり、
前記複数の長さアタッチメントが、前記楔形の断片の底辺長さを相互に異なる長さに決定するものであり、
前記複数の高さアタッチメントの内の1つと前記複数の長さアタッチメントの内の1つとを組み合わせて使用することによって、前記高さと前記底辺長さとの組み合わせが決定される、アタッチメントセット。
【請求項3】
前記高さアタッチメントが、前記切断線から離れる方向に向かって前記骨移植材のブロックの側面または角部に突き当たるようにして前記高さを決定する、請求項1または請求項2に記載のアタッチメントセット。
【請求項4】
前記高さアタッチメントは、前記ブロックの一の角部が突き当てられ、前記載置面に沿い前記切断線に直交する直交方向における前記一の角部の位置を決定する高さ決定部を有し、
該高さ決定部が、前記切断線から前記直交方向に所定のオフセット距離だけオフセットした位置に配置される、請求項3に記載のアタッチメントセット。
【請求項5】
前記角度アタッチメントは、前記ブロックの一の側面が突き当てられ、前記切断線に対する前記一の側面の傾斜角度を決定する角度決定部を有し、
該角度決定部が、前記切断線に対して所定の傾斜角度だけ傾斜する、請求項に記載のアタッチメントセット。
【請求項6】
前記角度アタッチメントが、前記高さアタッチメントの上に配置して使用されるものであり、
前記角度アタッチメントが、前記角度決定部に前記一の側面が突き当てられた前記ブロックの前記一の角部が突き当てられる凹角部を有し、該凹角部が、前記高さ決定部と前記載置面に直交する方向に重なる位置に配置される、請求項5に記載のアタッチメントセット。
【請求項7】
前記角度アタッチメントが、前記載置面に設けられた凹凸構造と前記切断線に沿う方向に係合する位置決め部を有し、該位置決め部が前記凹凸構造と係合することによって前記載置面に対して前記切断線に沿う方向に位置決めさる、請求項6に記載のアタッチメントセット。
【請求項8】
前記角度アタッチメントが、相互に異なる前記傾斜角度を有する複数の前記角度決定部を有する、請求項5または請求項6に記載のアタッチメントセット。
【請求項9】
前記高さアタッチメントは、前記ブロックの一の角部が突き当てられ、前記載置面に沿い前記切断線に直交する直交方向における前記一の角部の位置を決定する高さ決定部を有し、
前記角度アタッチメントは、前記ブロックの他の角部が突き当てられ、前記直交方向における前記他の角部の位置を決定する高さ決定部を有し、
前記高さ決定部の高さ決定部および前記角度アタッチメントの高さ決定部の各々は、前記切断線から前記直交方向に所定のオフセット距離だけオフセットした位置に配置され、
前記角度アタッチメントの前記オフセット距離は、前記高さアタッチメントの前記オフセット距離よりも短い、請求項に記載のアタッチメントセット。
【請求項10】
前記高さアタッチメントは、前記ブロックの一の角部が突き当てられ、前記載置面に沿い前記切断線に直交する直交方向における前記一の角部の位置を決定する高さ決定部を有し、該高さ決定部が、前記切断線から前記直交方向に所定のオフセット距離だけオフセットした位置に配置され、
前記長さアタッチメントが、
前記切断線に対して傾斜して配置され、前記ブロックの一の側面が突き当てられる突き当て面と、
該突き当て面と平行に延び、所定の長さを有する長さ決定部と、を備え、
前記長さアタッチメントおよび前記高さアタッチメントの一方が、前記長さ決定部の両端を前記直交方向に前記オフセット距離と等しい距離だけ離れた位置に配置する距離決め機構を備える、請求項に記載のアタッチメントセット。
【請求項11】
前記長さアタッチメントが、前記長さ決定部を構成する前記所定の長さの長尺部材であり、該長尺部材の側面の少なくとも一部が前記突き当て面を構成し、
前記高さアタッチメントが、前記距離決め機構として、前記直交方向において前記高さ決定部の両側に配置され前記長尺部材の両端が前記直交方向にそれぞれ突き当てられる2つの位置決め部を有する、請求項10に記載のアタッチメントセット。
【請求項12】
骨移植材のブロックを保持する骨保持具に取り付けられ、前記ブロックを楔形の断片に切断するために使用されるアタッチメントセットであって、前記骨保持具は、前記ブロックが載置される載置面を有し、刃物が移動する切断線が前記載置面に定義され、
前記載置面に取り外し可能に設置され、前記切断線に対して前記ブロックを位置決めする1種類以上のアタッチメントを備え、
該1種類以上のアタッチメントが、前記楔形の断片の高さを決定する高さアタッチメントと、前記楔形の断片の底辺長さを決定する長さアタッチメントと、を含み、
前記高さアタッチメントは、前記ブロックの一の角部が突き当てられ、前記載置面に沿い前記切断線に直交する直交方向における前記一の角部の位置を決定する高さ決定部を有し、該高さ決定部が、前記切断線から前記直交方向に所定のオフセット距離だけオフセットした位置に配置され、
前記長さアタッチメントが、
所定の長さの長さ決定部を有する長尺部材と、
前記載置面に垂直な揺動軸回りに揺動可能に前記載置面に取り付けられる接続部材と、
前記長さ決定部の両端を前記直交方向に前記オフセット距離と等しい距離だけ離れた位置に配置する距離決め機構と、を備え、
該接続部材が、前記切断線に対して傾斜して配置され前記ブロックの一の側面が突き当てられる突き当て面と、前記骨保持具の前記切断線と平行な側面の外側において前記長尺部材を前記突き当て面と平行に保持する保持部と、を有し、
前記距離決め機構としての前記保持部は、前記側面から前記オフセット距離と等しい距離だけ前記直交方向に離れた位置において前記長尺部材の長手方向の途中位置を保持し、
前記長さ決定部は、前記長尺部材の前記保持部から突出する部分であり、前記突き当て面と平行に延び、前記長さ決定部の長さが変更可能であり、
前記揺動軸回りの前記接続部材の揺動によって前記長さ決定部の先端が前記側面に突き当てられる、アタッチメントセット。
【請求項13】
骨移植材のブロックを保持する骨保持具を有する骨切削用器具と、
請求項1、請求項2または請求項12に記載のアタッチメントセットと、を備える骨切削システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、骨移植材のブロックを所望の楔形の断片に正確に切断することができるアタッチメントセットおよび骨切削システムを提供することを目的とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の参考態様は、骨移植材のブロックを保持する骨保持具に取り付けられ、前記ブロックを楔形の断片に切断するために使用されるアタッチメントセットであって、前記骨保持具は、前記ブロックが載置される載置面を有し、刃物が移動する切断線が前記載置面に定義され、前記載置面に取り外し可能に設置され、前記切断線に対して前記ブロックを位置決めする複数種類のアタッチメントを備え、該複数種類のアタッチメントが、前記楔形の断片の楔角度を決定する角度アタッチメントおよび前記楔形の断片の底辺長さを決定する長さアタッチメントを含み、前記角度アタッチメントが、前記切断線に傾斜して配置される長尺部材と、前記切断線に対する前記長尺部材の傾斜角度を示す分度器と、を備え、前記長尺部材は、前記ブロックの一の側面が突き当てられる角度決定部を有し、前記長尺部材の前記傾斜角度が変更可能であり、前記長さアタッチメントが、前記長尺部材に該長尺部材の長手方向に移動可能に取り付けられ、前記ブロックの他の側面が突き当てられるスライド部材を備える、アタッチメントセットである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
骨切り部Eの開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θは、患者の体格および脛骨Dの矯正角度に応じて異なる。開大幅Wは、脛骨Dの側面における骨切り部Eの幅であり、底辺長さLは、低位側の骨切り面の長さである。開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θの内、少なくとも2つに基づいて、骨切り部Eに適合する形状および寸法の断片Cが作製される。開大幅W、底辺長さLおよび開大角度θは、手術中に計測されるか、または、術前計画によって得られる。
なお、本明細書において、「楔形」は、三角形の側面を有する楔形(例えば、図5(a)の断片C参照。)と、尖端部を欠いた台形または略台形の側面を有する部分楔形(例えば、図5(b)の断片C参照。)と、の両方を含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
一の角部が高さ決定部21cに突き当てられたブロックBの他の角部を高さ決定部25aに突き当てることによって、断片Cの楔角度φは、開大幅W=d/cosθおよび開大幅W’=d’/cosθを有する骨切り部Eの開大角度θと等しい角度に決定される。開大幅W’は、脛骨Dの側面からブロックBの辺の長さだけ離れた位置における骨切り部Eの幅である。したがって、開大幅W’に応じたオフセット距離d’の高さアタッチメント25を使用することによって、楔角度φを開大角度θと等しい角度に決定することができる。骨切り部Eの様々な開大角度θに対応するために、オフセット距離d’が異なる複数の高さアタッチメント25が用意される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
長尺部材261の保持部262cから突出する部分は、長さL’を有する長さ決定部261aである。長尺部材261は、保持部262cに対して長手方向に移動可能であり、それにより、長さ決定部261aの長さL’が変更可能である。ここで、保持部(距離決め機構)262cは、側面4eからオフセット距離dと等しい距離だけ幅方向Xに離れた位置において、長尺部材261の途中位置を保持する。