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特開2023-175061液分流量測定方法および固液分離装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175061
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】液分流量測定方法および固液分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/00 20060101AFI20231205BHJP
   B01D 33/04 20060101ALI20231205BHJP
   C02F 11/123 20190101ALI20231205BHJP
   G01F 7/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B01D35/00 ZAB
B01D33/04 A
C02F11/123
G01F7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087298
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 正明
(72)【発明者】
【氏名】田村 崇
【テーマコード(参考)】
2F030
4D059
4D116
【Fターム(参考)】
2F030CA04
2F030CC08
2F030CE04
4D059AA03
4D059BE02
4D059BE09
4D059BE13
4D059BE15
4D059BE54
4D059CB17
4D059EA20
4D116AA02
4D116AA12
4D116BB11
4D116BC62
4D116BC66
4D116BC67
4D116DD01
4D116FF12B
4D116FF13B
4D116GG02
4D116KK01
4D116QA02C
4D116QA02D
4D116QA02F
4D116QA05C
4D116QA05D
4D116QA05F
4D116QA18C
4D116QA18F
4D116QA24C
4D116QA24D
4D116QA24G
4D116QA31C
4D116QA31D
4D116QA31G
4D116QA46C
4D116QA46E
4D116QA46F
4D116QA55C
4D116QA55D
4D116QA55E
4D116QA55F
4D116QA57C
4D116QA57D
4D116QA57F
4D116QC04B
4D116RR01
4D116RR05
4D116RR16
4D116RR21
4D116RR26
4D116UU20
4D116VV11
4D116VV12
(57)【要約】
【課題】電磁流量計を用いることなく、流動体から分離された液分の流量を求めることができる液分流量測定方法を提供する。
【解決手段】固液分離装置を用いてスラリー状の流動体を固形分と液分3とに分離した際に得られる液分3の流量を測定する液分流量測定方法であって、流動体から分離された液分3の流路44に設定され且つ液分3の流量の増減に応じて液位Lが変動する検出箇所52に、液分3の圧力を計測する圧力センサ53を設け、予め求めておいた圧力センサ53の出力値と液分3の流量との相関関係に基づいて、実測された圧力センサ53の出力値に対応する液分3の流量を求める。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固液分離装置を用いてスラリー状の流動体を固形分と液分とに分離した際に得られる液分の流量を測定する液分流量測定方法であって、
流動体から分離された液分の流路に設定され且つ液分の流量の増減に応じて液位が変動する検出箇所に、液分の圧力を計測する圧力センサを設け、
予め求めておいた圧力センサの出力値と液分の流量との相関関係に基づいて、実測された圧力センサの出力値に対応する液分の流量を求めることを特徴とする液分流量測定方法。
【請求項2】
検出箇所に、上方が開放された凹部が形成され、
圧力センサが凹部の内側に設けられ、
凹部に溜まった液分の圧力を圧力センサで計測することを特徴とする請求項1に記載の液分流量測定方法。
【請求項3】
液分の流路は、流動体から分離された液分が集液部に集められ集液部から流出部を通って流出する流路であり、
検出箇所は流出部に臨み且つ集液部の液位を反映する箇所に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液分流量測定方法。
【請求項4】
複数の流出部を集液部に設け、
各流出部ごとに検出箇所と圧力センサとを設け、
各流出部から流出する液分の流量を求めることを特徴とする請求項3に記載の液分流量測定方法。
【請求項5】
固液分離装置は流動体を搬送しながら固形分と液分とに分離し、
流出部は流動体の搬送方向において複数箇所に配設され、
各流出部から流出する液分の流量に基づいて流動体のろ過性の良否を判定することを特徴とする請求項4に記載の液分流量測定方法。
【請求項6】
上記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液分流量測定方法に用いられる固液分離装置であって、
流動体から分離された液分の流路と、検出箇所に設けられた圧力センサとを有することを特徴とする固液分離装置。
【請求項7】
透水性を有する無端ベルトと、無端ベルトを透過した液分を受ける集液部と、センサケースに収容された圧力センサとを有し、
無端ベルトで流動体を搬送しながらろ過することを特徴とする請求項6に記載の固液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液分離装置を用いてスラリー状の流動体を固形分と液分とに分離した際に得られる液分の流量を測定する液分流量測定方法、及び、液分流量測定方法に用いられる固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の固液分離装置としては、例えば、図10に示すようなベルト型濃縮装置201がある。ベルト型濃縮装置201は、一対のローラ202,203と、両ローラ202,203間に巻回された透水性を有する無端ベルト204と、無端ベルト204を洗浄する洗浄装置205等とを有しており、汚泥206を無端ベルト204で搬送しながら重力ろ過するものである。
【0003】
無端ベルト204の往経路部207の下方には、無端ベルト204を透過したろ液208を受ける第1受け皿209が設けられている。第1受け皿209には第1ろ液排出管路210が接続されている。また、無端ベルト204の復経路部211の下方には、第1受け皿209から第1ろ液排出管路210を通って排出されたろ液208を受ける第2受け皿212が設けられている。
【0004】
第2受け皿212はタンク213を有している。また、洗浄装置205はタンク213に回収されたろ液208を無端ベルト204の復経路部211に噴射する噴射ノズル214等を有している。
【0005】
第2受け皿212には、ろ液208をベルト型濃縮装置201の外部に排出する第2ろ液排出管路215が接続されている。第2ろ液排出管路215には、第2ろ液排出管路215を流下するろ液208の流量を測定する電磁流量計216が設けられている。
【0006】
尚、上記のようなベルト型濃縮装置201は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-176108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記の従来形式では、電磁流量計216は第2ろ液排出管路215に設けられているため、第1受け皿209から第1ろ液排出管路210を通って第2受け皿212へ流出するろ液208の流量を測定することは困難である。
【0009】
第1受け皿209から第1ろ液排出管路210を通って第2受け皿212へ流出するろ液208の流量を測定するためには、第1ろ液排出管路210に電磁流量計216を設ける必要があるが、第1ろ液排出管路210の径が大きい場合、電磁流量計216も大型になり、電磁流量計216を取り付ける取付スペースを確保するのが困難であるといった問題や、第1ろ液排出管路210内が満水状態とならず、特殊な電磁流量計216が必要になるといった問題がある。
【0010】
本発明は、電磁流量計を用いることなく、流動体から分離された液分の流量を求めることができる液分流量測定方法および固液分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、固液分離装置を用いてスラリー状の流動体を固形分と液分とに分離した際に得られる液分の流量を測定する液分流量測定方法であって、
流動体から分離された液分の流路に設定され且つ液分の流量の増減に応じて液位が変動する検出箇所に、液分の圧力を計測する圧力センサを設け、
予め求めておいた圧力センサの出力値と液分の流量との相関関係に基づいて、実測された圧力センサの出力値に対応する液分の流量を求めるものである。
【0012】
これによると、電磁流量計を用いるのではなく、圧力センサを用いて、スラリー状の流動体から分離された液分の流量を求めることができるため、狭い取付スペースであっても圧力センサを取り付けることができる。これにより、電磁流量計を取り付けた固液分離装置と比べて、圧力センサを取り付けた固液分離装置を小型化することが可能である。
【0013】
本第2発明における液分流量測定方法は、検出箇所に、上方が開放された凹部が形成され、
圧力センサが凹部の内側に設けられ、
凹部に溜まった液分の圧力を圧力センサで計測するものである。
【0014】
これによると、圧力センサには主に液分の静水圧が作用し、動水圧は圧力センサにほとんど作用しない。このため、液分の流れによる圧力(動水圧)の影響を大幅に排除することができ、液分の流量を精度良く求めることができる。
【0015】
本第3発明における液分流量測定方法は、液分の流路は、流動体から分離された液分が集液部に集められ集液部から流出部を通って流出する流路であり、
検出箇所は流出部に臨み且つ集液部の液位を反映する箇所に設定されているものである。
【0016】
これによると、集液部に集められて流出部から流出する液分の流量を求めることができる。
【0017】
本第4発明における液分流量測定方法は、複数の流出部を集液部に設け、
各流出部ごとに検出箇所と圧力センサとを設け、
各流出部から流出する液分の流量を求めるものである。
【0018】
本第5発明における液分流量測定方法は、固液分離装置は流動体を搬送しながら固形分と液分とに分離し、
流出部は流動体の搬送方向において複数箇所に配設され、
各流出部から流出する液分の流量に基づいて流動体のろ過性の良否を判定するものである。
【0019】
本第6発明は、上記第1発明から第5発明のいずれか1項に記載の液分流量測定方法に用いられる固液分離装置であって、
流動体から分離された液分の流路と、検出箇所に設けられた圧力センサとを有するものである。
【0020】
これによると、電磁流量計を取り付けた固液分離装置と比べて、圧力センサを取り付けた固液分離装置を小型化することが可能である。
【0021】
本第7発明における固液分離装置は、透水性を有する無端ベルトと、無端ベルトを透過した液分を受ける集液部と、センサケースに収容された圧力センサとを有し、
無端ベルトで流動体を搬送しながらろ過するものである。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によると、電磁流量計を用いるのではなく、圧力センサを用いて、スラリー状の流動体から分離された液分の流量を求めることができるため、狭い取付スペースであっても圧力センサを取り付けることができる。これにより、電磁流量計を取り付けた固液分離装置と比べて、圧力センサを取り付けた固液分離装置を小型化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるベルト型濃縮装置を側方から見たときの一部切欠き概略図である。
図2】同、ベルト型濃縮装置を上方から見たときの概略断面図である。
図3】同、ベルト型濃縮装置に取り付けられたセンサケースとセンサケースに収容された圧力センサとの拡大断面図である。
図4図3におけるX-X矢視図である。
図5】同、センサケースの斜視図である。
図6】同、センサケースの斜視図であって、センサケースを取り付けた様子を示す。
図7】圧力センサの出力電圧と流出口から流出するろ液の流量との相関関係を示すグラフである。
図8】本発明の第2の実施の形態におけるベルト型濃縮装置を側方から見たときの一部切欠き概略図である。
図9】第1流出口~第4流出口から流出するろ液の流量を測定したグラフである。
図10】従来のベルト型濃縮装置を側方から見たときの一部切欠き概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1図2に示すように、1は、下水処理場等で処理される汚泥2(スラリー状の流動体の一例)を固形分とろ液3(液分の一例)とに分離して濃縮するベルト型濃縮装置(固液分離装置の一例)である。
【0026】
ベルト型濃縮装置1は、前後一対の回転自在なローラ6,7と、両ローラ6,7間に巻回された無端ベルト8と、無端ベルト8を透過したろ液3を受ける集液皿9(集液部の一例)と、集液皿9で受けられたろ液3を貯留するタンク10と、無端ベルト8を洗浄する洗浄装置11と、左右一対の外側壁12,13とを有している。
【0027】
両ローラ6,7は両外側壁12,13間に軸受等を介して支持されており、いずれか片方のローラ7は電動機(図示省略)等で強制的に回転駆動され、もう片方のローラ6は従動的に回転する。
【0028】
無端ベルト8は、金網や樹脂製ろ布等からなるメッシュ状の透水性を有するベルトであり、一方のローラ6から他方のローラ7に向かって汚泥2を搬送する搬送経路17と、他方のローラ7から一方のローラ6に向かって戻る戻り経路18とに沿って回動する。
【0029】
搬送経路17の一端部には、汚泥2を無端ベルト8上に供給する供給シュート14が設けられ、搬送経路17の他端部には、ろ過濃縮された汚泥2を無端ベルト8上から排出する排出部15が設けられている。
【0030】
集液皿9は、無端ベルト8の搬送経路17と戻り経路18との上下間に設けられており、平面視において長方形状の底板21と、底板21の前後両端部から立ち上がる一対の前板22および後板23と、底板21の左右両側端から立ち上がる一対の側板24,25とを有し、上面が開放されている。
【0031】
また、底板21は、平坦部21aと、前板22から平坦部21aに向かって下方へ傾斜する傾斜部21bと、後板23から平坦部21aに向かって下方へ傾斜する傾斜部21cとを有している。
【0032】
両側板24,25には、汚泥2から分離されて集液皿9に集められたろ液3が流出する流出口28,29(流出部の一例)がそれぞれ形成されている。両方の流出口28,29はそれぞれ、同じ大きさを有する長方形の開口部であり、底板21の平坦部21aに面している。
【0033】
タンク10は、集液皿9の下方に設置されており、上部に流入口30が形成されている。集液皿9の底板21の左右両側端とタンク10との間には、内側壁32,33が左右一対設けられている。図3に示すように、一方の外側壁12と一方の内側壁32とが左右方向において対向して配置され、他方の外側壁13と他方の内側壁33とが左右方向において対向して配置されている。
【0034】
図1図2図4に示すように、一方の外側壁12と一方の内側壁32との間には、前後一対の一方の仕切壁35,36が設けられ、他方の外側壁13と他方の内側壁33との間には、前後一対の他方の仕切壁37,38が設けられている。
【0035】
図1図4に示すように、一方の外側壁12と一方の内側壁32と前後一対の一方の仕切壁35,36とで囲まれた一方の流出通路41が形成され、一方の流出通路41は集液皿9の左右一方の流出口28とタンク10の流入口30とに連通する。
【0036】
同様に、他方の外側壁13と他方の内側壁33と前後一対の他方の仕切壁37,38とで囲まれた他方の流出通路42が形成され、他方の流出通路42は集液皿9の左右他方の流出口29とタンク10の流入口30とに連通する。
【0037】
これにより、汚泥2から分離されて無端ベルト8を透過したろ液3が集液皿9に集められ集液皿9から両流出口28,29を通って両流出通路41,42を流れ落ちる流路44がベルト型濃縮装置1に形成される。
【0038】
尚、一方の流出通路41の上方および他方の流出通路42の上方はベルト型濃縮装置1の外部に開放されている。
【0039】
洗浄装置11は、タンク10内のろ液3を戻り経路18に沿って回動している無端ベルト8に噴射する噴射ノズル47を有している。洗浄装置11とタンク10との間には洗浄配管48が接続されており、洗浄配管48にはポンプ49やバルブ(図示省略)が設けられている。
【0040】
供給シュート14から無端ベルト8上に供給された汚泥2は搬送経路17に沿って搬送されながらろ過され、この際、汚泥2から分離されたろ液3は、無端ベルト8を透過して集液皿9で受けられ、集液皿9から両流出口28,29を通って両流出通路41,42を流れ落ち、流入口30からタンク10内に流れ込む。
【0041】
図3図4に示すように、ろ液3の流路44に設定され且つろ液3の流量の増減に応じて液位Lが変動する検出箇所52には、ろ液3の圧力を検出する圧力センサ53がセンサケース54に収容された状態で設けられている。
【0042】
検出箇所52は外側から流出口28,29に臨み且つ集液皿9内の液位Lを反映する箇所にそれぞれ設定されており、各流出口28,29ごとに、検出箇所52とセンサケース54に収容された圧力センサ53とが設けられている。
【0043】
各検出箇所52において、上方が開放された凹部55がセンサケース54に形成されている。圧力センサ53は凹部55の底に設けられている。
【0044】
図3図6に示すように、センサケース54は、内部に密閉された収容空間57を有するケース本体58と、ケース本体58の上部に設けられた囲い部材59とを有している。
【0045】
ケース本体58は、四角筒状の胴体61と、胴体61内の下部を閉じる底板62と、胴体61内の上部に設けられた上蓋63とを有している。
【0046】
上蓋63には、上下に貫通する貫通孔73が形成されており、貫通孔73の内周には雌ねじが形成されている。
【0047】
圧力センサ53は、受圧部に設けられたダイヤフラムが圧力を受けて変形することにより生じる抵抗の変化を電気信号に変換する電圧出力タイプのものであって、先端部に、雄ねじを形成した継手部76を有している。継手部76の雄ねじを上蓋63の貫通孔73の雌ねじに螺合することにより、圧力センサ53がケース本体58内の収容空間57に収容されて上蓋63に連結固定される。尚、凹部55は上蓋63の上方に形成されており、凹部55の底が上蓋63によって構成されており、凹部55の周壁面が囲い部材59によって構成されている。
【0048】
圧力センサ53の配線(図示省略)はケース本体58内の収容空間57から底板62を貫通して外部へ引き出されている。尚、配線と底板62との間はパッキン等のシール材(図示省略)でシールされている。
【0049】
囲い部材59は、無端ベルト8の長手方向(前後方向)において相対向する一対の第1および第2囲い板80,81と、第1および第2囲い板80,81間に設けられた第3囲い板82とを有している。第3囲い板82は、無端ベルト8の幅方向(左右方向)における第1および第2囲い板80,81の外側端間に設けられている。
【0050】
図3図6に示すように、圧力センサ53を収容したセンサケース54は、複数組(図3図6では2組)の連結部材84によって着脱自在に、仕切壁35,37に取り付けられている。連結部材84は、ボルト85と、ボルト85に螺合するナット86と、円筒状のスペーサ87とを有している。
【0051】
スペーサ87は、左右一方のセンサケース54の第1囲い板80と一方の仕切壁35との間に挟まれるとともに、左右他方のセンサケース54の第1囲い板80と他方の仕切壁37との間に挟まれる。ボルト85は、第1囲い板80に形成された貫通孔89と、仕切壁35,37に形成されたボルト孔90と、スペーサ87とに挿通されている。
【0052】
このように、連結部材84を用いてセンサケース54を仕切壁35,37に取り付けることにより、ケース本体58が内側壁32,33に当接した状態で流出通路41,42内の上端部に固定される。
【0053】
また、センサケース54のケース本体58には、点検口(図示省略)と、点検口を開閉する点検扉(図示省略)とが備えられている。点検扉を開くことにより、外部から点検口を通じてセンサケース54内の圧力センサ53を点検することができる。
【0054】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0055】
図1に示すように、汚泥2は、供給シュート14から一方向へ回動している無端ベルト8上に供給され、搬送経路17に沿って搬送されながらろ過濃縮される。この際、汚泥2から分離したろ液3は、無端ベルト8を透過して集液皿9に受けられ、集液皿9から両流出口28,29を通って両流出通路41,42を流れ落ち、タンク10内に流入する。
【0056】
この際、図3図4に示すように、集液皿9の両流出口28,29から流出するろ液3の一部がセンサケース54の凹部55に流れ込んで溜まる。
【0057】
図1に示すように、ろ過濃縮された汚泥2は無端ベルト8上から排出部15へ排出される。また、ポンプ49を作動することにより、タンク10内のろ液3が洗浄配管48を通って噴射ノズル47から戻り経路18の無端ベルト8に向かって噴射される。これにより、無端ベルト8が洗浄される。
【0058】
上記のように汚泥2をろ過濃縮している際、汚泥2から分離したろ液3の量が増えると、集液皿9内のろ液3の液位Lが上昇するとともに、凹部55(図3参照)におけるろ液3の液位Lも上昇し、両流出口28,29から流出するろ液3の流量が増加する。
また、汚泥2から分離したろ液3の量が減ると、集液皿9内のろ液3の液位Lが低下するとともに、凹部55におけるろ液3の液位Lも低下し、両流出口28,29から流出するろ液3の流量が減少する。
【0059】
上記のように両流出口28,29から流出するろ液3の流量(単位時間当りの流量:m/時)を測定する流量測定方法を以下に説明する。
【0060】
発明者は、圧力センサ53の出力電圧(出力値の一例)と流出口28,29から流出するろ液3の流量との間に相関関係があるのを見出した。
【0061】
そこで、先ず、図7に示すように、予め圧力センサ53の出力電圧[V]といずれか一箇所の流出口28(又は流出口29)から流出するろ液3の流量[m/時]との相関関係を示すグラフを作成しておく。
【0062】
そして、実際に汚泥2をろ過濃縮している際、図3に示すように凹部55に溜まったろ液3の圧力を圧力センサ53で計測し、図7のグラフに基づいて、実測された圧力センサ53の出力電圧Aの値に対応する流量Bを求める。これにより、一方の流出口28から流出するろ液3の流量と他方の流出口29から流出するろ液3の流量とを個別に測定することができる。
【0063】
このような流量測定方法によると、電磁流量計を用いるのではなく、圧力センサ53を用いて、汚泥2から分離されたろ液3の流量を求めることができるため、狭い取付スペースであっても、圧力センサ53をセンサケース54に収容した状態で取り付けることができる。これにより、電磁流量計を取り付けたベルト型濃縮装置と比べて、圧力センサ53をセンサケース54に収容した状態で取り付けたベルト型濃縮装置1を小型化することが可能である。
【0064】
また、図3に示すように、凹部55に溜まったろ液3の圧力を圧力センサ53で計測するため、圧力センサ53には主にろ液3の静水圧が作用し、動水圧は圧力センサ53にほとんど作用しない。このため、ろ液3の流れによる圧力(動水圧)の影響を大幅に排除することができ、ろ液3の流量を精度良く求めることができる。
【0065】
また、連結部材84(ボルト85、ナット86、スペーサ87)を取り外すことにより、センサケース54を仕切壁35,37から取り外して流出通路41,42の上方へ取り出すことができる。これにより、センサケース54内に収容された圧力センサ53の保守点検を容易に行うことができる。
【0066】
また、上記のようにして測定された一方の流出口28から流出するろ液3の流量と他方の流出口29から流出するろ液3の流量とを足し合わせることにより、ろ液3の総流量(単位時間当りの総流量:m/時)を求めることができる。
【0067】
また、一方の流出口28から流出するろ液3の流量と他方の流出口29から流出するろ液3の流量とを比較し、一方の流出口28から流出するろ液3の流量が他方の流出口29から流出するろ液3の流量よりも大幅に少ない場合、無端ベルト8の左右一側方寄りの領域が他側方寄りの領域に比べて広範囲で目詰まりを起こしている虞がある。
【0068】
反対に、他方の流出口29から流出するろ液3の流量が一方の流出口28から流出するろ液3の流量よりも大幅に少ない場合、無端ベルト8の左右他側方寄りの領域が一側方寄りの領域に比べて広範囲で目詰まりを起こしている虞がある。このように、無端ベルト8の偏った目詰まりの有無を察知することができる。
【0069】
上記第1の実施の形態では、図2に示すように、集液皿9に左右一対の流出口28,29を形成しているが、左右いずれか片方の流出口のみを形成してもよい。
【0070】
(第2の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、図1図2に示すように、左右一対の流出口28,29が汚泥2の搬送方向において1箇所のみに配設されているが、第2の実施の形態では、図8に示すように、左右一対の流出口28a~28d,29a~29d(流出部の一例)が汚泥2の搬送方向において4箇所(複数箇所の一例)に配設されている。
【0071】
また、集液皿9の内側は、各流出口28a~28d,29a~29dに対応するように、汚泥2の搬送方向において4つの部屋(空間)95a~95dに仕切られている。
【0072】
各流出口28a~28d,29a~29dに対応して、複数の圧力センサ53がセンサケース54に収容されて設けられている。
【0073】
尚、第2の実施の形態では、各流出口28a~28d,29a~29dを、汚泥2の供給側から排出側へ向かって順次、第1流出口28a,29a、第2流出口28b,29b、第3流出口28c,29c、第4流出口28d,29dと称する。
【0074】
また、供給シュート14の上流側において、凝集剤を汚泥2に注入して撹拌し、凝集フロックを生成しており、凝集フロックを含有する汚泥2が供給シュート14から無端ベルト8上に供給されてろ過濃縮される。
【0075】
図9は、第1流出口28a,29a~第4流出口28d,29dから流出するろ液3の流量を測定したグラフであり、このうち、グラフG1はベルト型濃縮装置1の排出部15から排出される汚泥2のろ過性が良好である場合を示し、グラフG2は排出部15から排出される汚泥2のろ過性が普通である場合を示し、グラフG3は排出部15から排出される汚泥2のろ過性が不良である場合を示している。
【0076】
尚、ろ過性が良好であるとは、排出部15から排出される汚泥2の濃度が目標値よりも高く保たれている状態である。また、ろ過性が普通であるとは、排出部15から排出される汚泥2の濃度が目標値に保たれている状態である。さらに、ろ過性が不良であるとは、排出部15から排出される汚泥2の濃度が目標値よりも低く保たれている状態である。
【0077】
汚泥2をベルト型濃縮装置1でろ過濃縮している際、第1流出口28a,29a~第4流出口28d,29dから流出するろ液3の流量を測定し、これらの測定された流量がグラフG3のような傾向にある場合、汚泥2のろ過性が不良であると判定し、凝集剤の注入量を増やして薬注率を上げる。これにより、凝集フロックの生成が促進され、ろ過効率が向上するため、排出部15から排出される汚泥2の濃度が上昇して目標値に近付き、汚泥2のろ過性を向上させることができる。
【0078】
また、第1流出口28a,29a~第4流出口28d,29dから流出するろ液3の流量がグラフG1のような傾向にある場合、汚泥2のろ過性が良好であると判定し、凝集剤の注入量を減らして薬注率を下げる。これにより、凝集フロックの生成が抑制され、ろ過効率が低下するため、排出部15から排出される汚泥2の濃度が低下して目標値に近付き、凝集剤の使用量を削減することができ、凝集剤のコストが低減される。
【0079】
上記第2の実施の形態では、左右一対の流出口28a~28d,29a~29dを、汚泥2の搬送方向における4箇所に配設しているが、4箇所以外の複数箇所に配設してもよい。また、左右いずれか片方の流出口のみを形成してもよい。
【0080】
上記各実施の形態では、固液分離装置の一例として図1図8に示すようにベルト型濃縮装置1を挙げたが、ベルト型濃縮装置1に限定されるものではなく、例えばスクリュープレス型脱水機等であってもよい。
【0081】
上記各実施の形態では、図3に示すように、圧力センサ53を凹部55の底部に設けているが、圧力センサ53の設置位置は凹部55の内側であればよく、底部のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 ベルト型濃縮装置
2 汚泥(流動体)
3 ろ液(液分)
8 無端ベルト
9 集液皿(集液部)
28,29 流出口(流出部)
28a~28d 流出口(流出部)
29a~29d 流出口(流出部)
44 ろ液の流路
52 検出箇所
53 圧力センサ
54 センサケース
55 凹部
L ろ液の液位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10