(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175063
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】結束機及び結束装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20231205BHJP
B65B 13/18 20060101ALI20231205BHJP
B21F 15/06 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B65B13/18 F
B65B13/18 Z
B21F15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087302
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健一
【テーマコード(参考)】
3E052
4E070
【Fターム(参考)】
3E052AA08
3E052BA18
3E052CA18
3E052CB04
3E052CB05
3E052CB07
3E052FA09
3E052GA13
3E052GA15
3E052HA09
3E052JA02
3E052JA12
3E052KA15
3E052LA05
4E070AA01
4E070AB07
4E070AC04
4E070BA02
4E070BA17
(57)【要約】
【課題】ワイヤをガイドするガイド部の移動を妨げる要因となる異物に対応できるようにした鉄筋結束機を提供する。
【解決手段】鉄筋結束機1Aは、
ワイヤWを送るワイヤ送り部3と、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWが通る経路の一部を構成するガイド部材53aと、ガイド部材53aを、ワイヤWが通る経路を構成する閉位置とワイヤWが通る経路から退避する開位置との間で移動させる可動部材56を有したガイド部材移動機構54と、閉位置と開位置との間を移動する可動部材56の移動方向に沿って形成される領域に異物が堆積することを抑制する堆積抑制部58を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを送るワイヤ送り部と、
前記ワイヤ送り部で送られるワイヤが通る経路の一部を構成するガイド部と、
前記ガイド部を、前記経路を構成する第1の位置と前記経路から退避する第2の位置との間で移動させる変位部と、
前記変位部を駆動する駆動部と、
前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する前記変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が堆積することを抑制する堆積抑制部を備えた
結束機。
【請求項2】
前記堆積抑制部は、前記領域とつながる開口を備えた
請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記変位部を移動可能に支持する支持部を備え、
前記堆積抑制部は、前記変位部と対向して前記支持部に開口を備えた
請求項1に記載の結束機。
【請求項4】
所定の形状を有する外装で覆われ、前記変位部を内部に有する本体部を備え、
前記本体部の前記外装に前記開口とつながる排出部を備えた
請求項2に記載の結束機。
【請求項5】
前記堆積抑制部は、前記変位部が設けられている部位に気体を吹き出す気体吹き出し部を備えた
請求項1に記載の結束機。
【請求項6】
前記堆積抑制部は、前記変位部が設けられている部位の気体を吸い込む気体吸い込み部を備えた
請求項1に記載の結束機。
【請求項7】
前記領域に異物が侵入することを抑制する侵入抑制部を備えた
請求項1に記載の結束機。
【請求項8】
前記ガイド部は、前記変位部が前記第1の位置に移動すると、前記ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す経路を構成する
請求項1に記載の結束機。
【請求項9】
ワイヤを送るワイヤ送り部と、
前記ワイヤ送り部で送られるワイヤが通る経路の一部を構成するガイド部と、
前記ガイド部を、前記経路を構成する第1の位置と前記経路から退避する第2の位置との間で移動させる変位部と、
前記変位部を駆動する駆動部と、
前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する前記変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が侵入することを抑制する侵入抑制部を備えた
結束機。
【請求項10】
前記侵入抑制部は、前記変位部が前記第1の位置に移動すると、前記領域を塞ぐ
請求項9に記載の結束機。
【請求項11】
結束対象物をワイヤで結束する結束機を備え、
前記結束機は、
ワイヤを送るワイヤ送り部と、
前記ワイヤ送り部で送られるワイヤが通る経路の一部を構成するガイド部と、
前記ガイド部を、前記経路を構成する第1の位置と前記経路から退避する第2の位置との間で移動させる変位部と、
前記変位部を駆動する駆動部と、
前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する前記変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が堆積することを抑制する堆積抑制部を備えた
結束装置。
【請求項12】
結束対象物をワイヤで結束する結束機を備え、
前記結束機は、
ワイヤを送るワイヤ送り部と、
前記ワイヤ送り部で送られるワイヤが通る経路の一部を構成するガイド部と、
前記ガイド部を、前記経路を構成する第1の位置と前記経路から退避する第2の位置との間で移動させる変位部と、
前記変位部を駆動する駆動部と、
前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動する前記変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が侵入することを抑制する侵入抑制部を備えた
結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄筋などの結束対象物をワイヤで結束する結束機及び結束機を備えた結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物には強度を向上させるために鉄筋が使用されており、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように、ワイヤで結束している。
【0003】
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている。このような鉄筋結束機において、送りギアとワイヤ送り用モータとの間に仕切り板を配設し、その上面外周部にワイヤゴミを排出する排出部を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、下部カールガイド基部の隙間を塞ぐカバー部を形成した技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5045547号公報
【特許文献2】特許第5182212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の鉄筋結束機では、ガイド部でガイドされるワイヤが通る経路から入り込む異物、ガイド部でガイドされるワイヤが通る経路で発生する異物に対応することができない。また、特許文献2に記載の鉄筋結束機では、下部カールガイドが移動する領域に入り込む異物、下部カールガイドが移動する領域で発生する異物に対応することができない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、ワイヤをガイドするガイド部の移動を妨げる要因となる異物に対応できるようにした結束機及び結束機を備えた結束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、ワイヤを送るワイヤ送り部と、ワイヤ送り部で送られるワイヤが通る経路の一部を構成するガイド部と、ガイド部を、ワイヤが通る経路を構成する第1の位置とワイヤが通る経路から退避する第2の位置との間で移動させる変位部と、変位部を駆動する駆動部と、第1の位置と第2の位置との間を移動する変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が堆積することを抑制する堆積抑制部を備えた結束機である。
【0008】
本発明では、ガイド部を移動させる変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が堆積することが抑制され、変位部の移動を阻害する要因が排除される。
【0009】
また、本発明は、ワイヤを送るワイヤ送り部と、ワイヤ送り部で送られるワイヤが通る経路の一部を構成するガイド部と、ガイド部を、ワイヤが通る経路を構成する第1の位置とワイヤが通る経路から退避する第2の位置との間で移動させる変位部と、変位部を駆動する駆動部と、第1の位置と第2の位置との間を移動する変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が侵入することを抑制する侵入抑制部を備えた結束機である。
【0010】
本発明では、ガイド部を移動させる変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が侵入することが抑制され、変位部の移動を阻害する要因が排除される。
【0011】
更に、本発明は、結束対象物をワイヤで結束する結束機を備え、結束機は、ワイヤを送るワイヤ送り部と、ワイヤ送り部で送られるワイヤが通る経路の一部を構成するガイド部と、ガイド部を、ワイヤが通る経路を構成する第1の位置とワイヤが通る経路から退避する第2の位置との間で移動させる変位部と、変位部を駆動する駆動部と、第1の位置と第2の位置との間を移動する変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が堆積することを抑制する堆積抑制部を備えた結束装置である。
【0012】
本発明では、結束装置で使用される結束機において、ガイド部を移動させる変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が堆積することが抑制され、変位部の移動を阻害する要因が排除される。
【0013】
また、本発明は、結束対象物をワイヤで結束する結束機を備え、結束機は、ワイヤを送るワイヤ送り部と、ワイヤ送り部で送られるワイヤが通る経路の一部を構成するガイド部と、ガイド部を、ワイヤが通る経路を構成する第1の位置とワイヤが通る経路から退避する第2の位置との間で移動させる変位部と、変位部を駆動する駆動部と、第1の位置と第2の位置との間を移動する変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が侵入することを抑制する侵入抑制部を備えた結束装置である。
【0014】
本発明では、結束装置で使用される結束機において、ガイド部を移動させる変位部の移動方向に沿って形成される領域に異物が侵入することが抑制され、変位部の移動を阻害する要因が排除される。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、変位部の移動を阻害する異物が堆積することを抑制できるので、ガイド部を正常な位置に移動させることができる。また、本発明では、変位部の移動を阻害する異物が侵入することを抑制できるので、ガイド部を正常な位置に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す斜視図である。
【
図1B】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す斜視図である。
【
図2】本実施の形態の鉄筋結束機の内部構成の一例を示す要部側面図である。
【
図3A】ガイド部材移動機構の一例を示す一の方向から見た側面図である。
【
図3B】ガイド部材移動機構の一例を示す他の方向から見た側面図である。
【
図3C】ガイド部材移動機構の一例を示す一部の部品を取り外して他の方向から見た側面図である。
【
図4A】ガイド部材移動機構の一例を示す一の方向から見た斜視図である。
【
図4B】ガイド部材移動機構の一例を示す他の方向から見た斜視図である。
【
図4C】ガイド部材移動機構の一例を示す一部の部品を取り外して他の方向から見た斜視図である。
【
図5】ガイド部材移動機構の一例を示す正面断面図である。
【
図7A】鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。
【
図7B】鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図である。
【
図8A】本実施の形態の結束装置の一例を示す側面図である。
【
図8B】本実施の形態の結束装置の一例を示す斜視図である。
【
図9A】本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す斜視図である。
【
図9B】本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す要部斜視図である。
【
図10A】本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す斜視図である。
【
図10B】本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す斜視図である。
【
図11A】ガイド部材移動機構の他の例を示す側面図である。
【
図11B】ガイド部材移動機構の他の例を示す一部の部品を取り外した側面図である。
【
図11C】ガイド部材移動機構の他の例を示す一部の部品を取り外した斜視図である。
【
図11D】ガイド部材移動機構の一例を示す正面断面図である。
【
図12A】ガイド部材移動機構の他の例を示す側面図である。
【
図12B】ガイド部材移動機構の他の例を示す一部の部品を取り外した側面図である。
【
図12C】ガイド部材移動機構の他の例を示す斜視図である。
【
図12D】ガイド部材移動機構の他の例を示す一部の部品を取り外した斜視図である。
【
図12E】ガイド部材移動機構の一例を示す正面断面図である。
【
図12F】ガイド部材移動機構の一例を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の一例である鉄筋結束機の実施の形態、結束機が使用される結束装置の実施の形態について説明する。
【0018】
<鉄筋結束機の構成例>
図1A及び
図1Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す斜視図、
図2は、本実施の形態の鉄筋結束機の内部構成の一例を示す要部側面図である。
【0019】
鉄筋結束機1Aは結束機の一例で、
図2に示すように、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送り、結束対象物である交差した2本の鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じり、鉄筋SをワイヤWで結束する。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤなどが使用される。
【0020】
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWを正方向及び逆方向に送るワイヤ送り部3と、ワイヤ送り部3に送られるワイヤWをガイドするワイヤガイド4を備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5と、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6を備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7と、結束部7を駆動する駆動部8を備える。
【0021】
鉄筋結束機1Aは、所定の形状の外装で覆われた本体部10の内部にワイヤ送り部3、ワイヤガイド4、切断部6、結束部7及び駆動部8が設けられる。また、本体部10から突出してカール形成部5が設けられる。鉄筋結束機1Aが後述する結束装置に使用される場合、カール形成部5が上を向く形態で使用される。以下、結束装置に使用される鉄筋結束機1Aにおいて、カール形成部5が設けられる側を上側とする。
【0022】
ワイヤ送り部3は、1本または並列された複数本のワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30を備える。ワイヤ送り部3は、一対の送りギア30が、互いが近づく方向に付勢され、図示しない送りモータの回転動作が伝達されて送りギア30が回転する。これにより、ワイヤ送り部3は、一対の送りギア30の間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成では、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0023】
ワイヤガイド4は、矢印Fで示すワイヤWの正方向の送り方向に対して、ワイヤ送り部3の上流側と下流側の所定の位置に設けられる。なお、
図2では、ワイヤ送り部3の上流側に設けたワイヤガイド4は図示していない。
【0024】
ワイヤガイド4は、ワイヤWの送り方向に沿って延伸する開口が設けられ、ワイヤWの正方向の送り方向に沿った上流側の開口に対し、下流側の開口の開口面積が小さく構成される。例えば、ワイヤガイド4は、正方向に送られるワイヤWの導入側の開口面積を最も大きくし、そこから徐々に開口面積が小さくなるようなテーパ状の開口で構成される。これにより、ワイヤガイド4は、正方向に送られてワイヤガイド4を通過するワイヤWを、一対の送りギア30の間及び切断部6にガイドする。
【0025】
鉄筋結束機1Aが2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、ワイヤガイド4は、ワイヤWの正方向の送り方向に沿った下流側の開口が、2本のワイヤWの径方向の向きを規制する形状である。これにより、ワイヤガイド4は、正方向に送られてワイヤガイド4を通過する2本のワイヤWを、一対の送りギア30が並ぶ方向に沿って並列させ、一対の送りギア30の間及び切断部6にガイドする。
【0026】
カール形成部5は、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを結束部7に誘導する誘導ガイド51を備える。カール形成部5は、カールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10から露出して設けられる。
【0027】
鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWの送り経路がカール形成部5で規制されることで、ワイヤWの軌跡が
図2に破線で示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。
【0028】
カール形成部5は、正方向に送られるワイヤWをガイドし、ワイヤWに巻き癖をつけるガイド部材53aとガイド部材53bを備える。ガイド部材53aはガイド部の一例で、カールガイド50においてワイヤ送り部3で送られるワイヤWの導入部側に設けられる。ガイド部材53aは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWにより形成されるループRuの径方向の内側に配置され、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWが通る経路の一部を構成する。ガイド部材53bは、カールガイド50においてワイヤ送り部3で送られるワイヤWの排出部側に設けられ、ワイヤWにより形成されるループRuの径方向の外側に配置される。
【0029】
カール形成部5は、ガイド部材53aを退避させるガイド部材移動機構54を備える。ガイド部材移動機構54は、ワイヤWが鉄筋Sに巻き回された後、結束部7の動作と連動して、ガイド部材53aを退避させる。ガイド部材移動機構54の詳細は後述する。
【0030】
切断部6は、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7の動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。切断部6は、固定刃部60を支点軸とした可動刃部61の回転動作でワイヤWを切断する。伝達機構62は、結束部7の動作を後述する伝達部材75を介して可動刃部61に伝達し、結束部7の動作と連動して可動刃部61を回転させ、ワイヤWを切断する。
【0031】
結束部7は、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70と、ワイヤ係止体70を作動させるスリーブ71を備える。結束部7の詳細な構成は後述する。駆動部8は、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
【0032】
鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態のものを適用する場合、本体部10にハンドル部11を備え、ハンドル部11にバッテリが着脱可能に取り付けられるバッテリ取付部15を備える。
【0033】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3で正方向に送られ、カール形成部5を通り鉄筋Sの周囲に巻き回されるワイヤWの送り経路に、ワイヤWの先端が突き当てられる送り規制部90を備える。
【0034】
また、鉄筋結束機1Aは、カールガイド50と誘導ガイド51との間の本体部10の端部に、カールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられた鉄筋Sが突き当てられる突き当て部91を備える。突き当て部91は、カールガイド50と誘導ガイド51が並ぶ方向と略直交した左右に一対で設けられる
【0035】
更に、鉄筋結束機1Aは、カールガイド50と誘導ガイド51との間の本体部10の端部に開口部92を備える。開口部92は、カールガイド50と誘導ガイド51との間で左右一対の突き当て部91の間の本体部10の端部に、結束後のワイヤWが通過可能な開口を設けて構成される。
【0036】
鉄筋結束機1Aは、開口部92の内側で本体部10Aの内部にワイヤ係止体露出部93を備える。ワイヤ係止体露出部93は、壁部93aで仕切られた本体部10の内側の空間で構成され、開口部92と連通する。
【0037】
ワイヤ係止体露出部93は、壁部93aの一の面に設けた孔部93bから、ワイヤ係止体70の一部が露出する。ワイヤ係止体露出部93は、ワイヤ係止体70で係止されるワイヤWが送られる経路を構成する。
【0038】
<ガイド部材移動機構の構成例>
図3Aは、ガイド部材移動機構の一例を示す一の方向から見た側面図、
図3Bは、ガイド部材移動機構の一例を示す他の方向から見た側面図、
図3Cは、ガイド部材移動機構の一例を示す一部の部品を取り外して他の方向から見た側面図である。また、
図4Aは、ガイド部材移動機構の一例を示す一の方向から見た斜視図、
図4Bは、ガイド部材移動機構の一例を示す他の方向から見た斜視図、
図4Cは、ガイド部材移動機構の一例を示す一部の部品を取り外して他の方向から見た斜視図である。更に、
図5は、ガイド部材移動機構の一例を示す正面断面図である。なお、
図5は、
図3BのA-A線断面を簡略化して図示したものである。
【0039】
以下に、各図を参照して、ガイド部材移動機構54の構成、及び、ガイド部材移動機構54に侵入した異物の堆積を抑制する構成について説明する。
【0040】
ガイド部材移動機構54は、本体部10に固定される支持部材55と、支持部材55に例えば回転動作により移動可能に支持され、ガイド部材53aを移動させる可動部材56を備える。
【0041】
支持部材55は支持部の一例で、矢印A1、A2で示すスリーブ71の移動方向に沿って延伸する形状で、スリーブ71の移動方向に沿った向きで本体部10の内部に固定される。支持部材55は、一方の端部にカールガイド50が固定される。
【0042】
可動部材56は変位部の一例で、支持部材55に沿って延伸する形状で、一方の端部側にガイド部材53aが固定される。ガイド部材53aは、円柱状や円筒状の部材が、可動部材56から支持部材55方向に突出する。
【0043】
可動部材56は、他方の端部側が軸56aを介して支持部材55に支持される。軸56aの軸方向は、可動部材56が延伸する方向及びガイド部材53aが突出する方向と直交する。これにより、可動部材56が支持部材55に対して軸56aを支点に回転する動作で、ガイド部材53aが支持部材55に近づく方向及び離れる方向に移動する。
【0044】
ガイド部材移動機構54は、支持部材55と可動部材56との間に、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWが通る経路55aが形成される。また、ガイド部材移動機構54は、軸56aを支点とした回転動作で移動する可動部材56の移動方向に沿った可動部材移動領域55bが形成される。
【0045】
可動部材56は、ガイド部材53aが経路55aに突出して経路55aの一部を構成する閉位置と、ガイド部材53aが経路55aから退避した開位置との間を、軸56aを支点とした回転動作で移動する。ガイド部材53aは、可動部材56が閉位置に移動して、経路55aに突出すると、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWに巻き癖をつけて、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路の一部を構成する。
【0046】
可動部材56が第1の位置である閉位置に移動すると、ガイド部材53aの軸方向の端部が支持部材55に接する位置、あるいは、ガイド部材53aの軸方向の端部と支持部材55との間隔が、ワイヤWが通過できないようワイヤWの直径未満の間隔となる位置まで移動して、支持部材55と可動部材56との間に経路55aが形成される。
【0047】
鉄筋結束機1Aが2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、可動部材56が閉位置に移動した状態で、経路55aが形成される部位での支持部材55と可動部材56との間隔は、ワイヤWの直径の2倍より若干長い長さで構成される。
【0048】
また、可動部材56が閉位置から第2の位置である開位置に移動すると、可動部材56と支持部材55との間隔が広がる。可動部材移動領域55bは、閉位置と開位置との間を移動する可動部材56の移動方向に沿って形成される領域であり、支持部材55と可動部材56との間に形成される。また、可動部材移動領域55bは、支持部材55と反対側の可動部材56の外側に形成される。
【0049】
可動部材56は、支持部材55から離れる方向に付勢される付勢部材56bを備える。付勢部材56bは、本例ではコイルバネで構成され、コイルバネの伸縮する方向を、可動部材56が支持部材55に対して近づく方向及び離れる方向に沿った向きとして、ガイド部材53aと軸56aの間で、可動部材56と支持部材55の間に設けられる。
【0050】
ガイド部材移動機構54は、可動部材56を作動させる作動部材57を備える。作動部材57は、スリーブ71の移動方向に沿って延伸する形状で、スリーブ71の移動方向に沿って矢印A1及び反対向きの矢印A2方向に移動可能に支持部材55に支持される。
【0051】
作動部材57は、矢印A1、A2方向に移動することで、軸56aを支点に可動部材56を回転させる。作動部材57は、矢印A1方向に移動すると、可動部材56が開方向に回転することを抑制する位置から退避する。これにより、可動部材56は、付勢部材56bが復元する力で、ガイド部材53aが支持部材55から離れる方向に軸56aを支点に回転して、開位置に移動する。
【0052】
これに対し、作動部材57は、矢印A2方向に移動すると、ガイド部材53aが支持部材55から離れる開方向に可動部材56が回転することを抑制する位置に突出し、可動部材56を閉位置で保持する。
【0053】
作動部材57は、スリーブ71に設けた伝達部材75と連結部57aで連結され、スリーブ71の移動と連動して矢印A1方向及び逆向きの矢印A2方向に移動する。伝達部材75は、スリーブ71に取り付けられ、矢印A1、矢印A2方向に移動するスリーブ71に連動して矢印A1、A2方向に移動する。また、伝達部材75は、スリーブ71に対して回転可能であり、スリーブ71が回転しても伝達部材75は非回転に構成される。
【0054】
これにより、スリーブ71が矢印A1方向に移動することで、作動部材57が矢印A1方向に移動する。作動部材57が矢印A1方向に移動すると、ガイド部材53aが支持部材55から離れる方向に可動部材56が回転する。
【0055】
また、スリーブ71が矢印A2方向に移動することで、作動部材57が矢印A2方向に移動する。作動部材57が矢印A2方向に移動すると、ガイド部材53aが支持部材55に近づく方向に可動部材56が回転する。
【0056】
ガイド部材移動機構54は、支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに侵入した異物の堆積を抑制する堆積抑制部58を備える。堆積抑制部58は、支持部材55において可動部材56と対向する部位の一部に、可動部材移動領域55bと連通し、支持部材55の表裏を貫通する開口を設けて構成される。
【0057】
これにより、支持部材55と可動部材56が面同士で対向する部位の面積が減少し、支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに侵入した異物が、可動部材56が支持部材55に近づく方向に移動する動作で、可動部材56と支持部材55との間で挟まれることが抑制される。また、支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに侵入した異物が、支持部材55と可動部材56との間から堆積抑制部58を通して排出される。なお、堆積抑制部58は、可動部材56おいて支持部材55と対向する部位の一部に、可動部材移動領域55bと連通し、可動部材56の表裏を貫通する開口を設けて構成されてもよい。
【0058】
<結束部の構成例>
図6A及び
図6Bは、結束部の一例を示す断面平面図であり、次に、各図を参照して、結束部の構成について説明する。
【0059】
結束部7は、ワイヤ係止体70とスリーブ71を作動させる回転軸72を備える。結束部7と駆動部8は、回転軸72とモータ80が減速機81を介して連結され、回転軸72が、減速機81を介してモータ80に駆動される。
【0060】
ワイヤ係止体70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを備える。
【0061】
センターフック70Cは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である回転軸72の先端に、回転軸72に対して回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
【0062】
ワイヤ係止体70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0063】
スリーブ71は、回転軸72が挿入される空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。スリーブ71は、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向である上下方向へ、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72と一体的に回転する。
【0064】
スリーブ71は、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを開閉する開閉ピン71aを備える。
【0065】
開閉ピン71aは、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lに設けられた開閉ガイド孔73に挿入される。開閉ガイド孔73は、スリーブ71の移動方向に沿って延在し、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
【0066】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A2で示す下方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
【0067】
これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0068】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開いた状態では、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間を通るワイヤWは、カール形成部5に誘導される。そして、カール形成部5で巻き癖が付けられ、結束部7に誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間を通る。
【0069】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A1で示す上方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0070】
第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0071】
スリーブ71は、ワイヤWの一方の端部である先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1と、切断部6で切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。
【0072】
スリーブ71は、矢印A1で示す上方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、矢印A1で示す上方向に移動することで、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6で切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0073】
結束部7は、回転軸72の回転動作と連動したワイヤ係止体70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。結束部7は、回転軸72の軸方向に位置に沿ったスリーブ71の位置に応じて、回転規制部74が、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転を規制し、回転軸72の回転動作でスリーブ71が矢印A1方向及び矢印A2方向に移動する。
【0074】
これにより、スリーブ71が回転せずに矢印A1方向に移動することで、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じ、ワイヤWが係止される。また、スリーブ71が回転せずに矢印A2方向に移動することで、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開き、ワイヤWの係止が解除される。
【0075】
結束部7は、回転規制部74によるスリーブ71の回転の規制が解除されると、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。
【0076】
これにより、ワイヤWを係止した第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cが回転し、係止されたワイヤWが捩じられる。
【0077】
<異物を排出する構成例>
図7A及び
図7Bは、鉄筋結束機の一例を示す要部斜視図であり、次に、各図を参照して、本体部10内から異物を排出する構成について説明する。
【0078】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWが擦れることなどにより、主にワイヤ送り部3とワイヤガイド4で発生した異物などを、本体部10の外部に排出する排出部31を備える。排出部31は、本体部10の少なくとも一方の側部、本例では両側部に、一対の送りギア30などが入る空間と連通する開口を設けて構成される。
【0079】
鉄筋結束機1Aは,ワイヤ係止体露出部93内の異物を、本体部10の外部に排出する排出部94を備える。排出部94は、本体部10の少なくとも一方の側部、本例では両側部に、ワイヤ係止体露出部93と連通する開口を設けて構成される。
【0080】
ワイヤ係止体70は、ワイヤ係止体露出部93の壁部93aに設けた孔部93bから、センターフック70C、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lと、スリーブ71の先端側が、ワイヤ係止体露出部93に露出する。
【0081】
これにより、ワイヤ係止体露出部93は、切断部6を通り、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間に送られるワイヤWが通る経路、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間を通り、カール形成部5に送られるワイヤWが通る経路を構成する。また、ワイヤ係止体露出部93は、カール形成部5で巻き癖が付けられ、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間に送られるワイヤWが通る経路、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lとの間を通り、送り規制部90に突き当てられるワイヤWが通る経路を構成する。
【0082】
鉄筋結束機1Aは、ガイド部材移動機構54が設けられている部位内の異物を、本体部10の外部に排出する排出部95を備える。排出部95は、所定の形状を有する外装で覆われた本体部10の少なくとも一方の側部、本例では両側部に、ガイド部材移動機構54が設けられている部位と連通する開口を設けて構成される。本体部10において支持部材55が設けられている側の側部に設けた排出部95は、堆積抑制部58を構成する支持部材55の開口と連通する。
【0083】
本体部10の一方の側部に設けた排出部95は、ガイド部材移動機構54の支持部材55に設けた堆積抑制部58とつながる。これにより、支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに侵入した異物が、支持部材55と可動部材56との間から堆積抑制部58、そして排出部95を通して本体部10の外部へ排出される。
【0084】
<結束装置の構成例>
図8Aは、本実施の形態の結束装置の一例を示す側面図、
図8Bは、本実施の形態の結束装置の一例を示す斜視図である。
【0085】
結束装置100Aは、鉄筋SをワイヤWで結束する鉄筋結束機1Aと、ワイヤWが引き出し可能に収容されるリール収容部21と、リール収容部21に収容されたワイヤWを引き出すワイヤ送り機構2を備える。鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sの配設面に対して交差する方向である上下方向に移動(昇降)可能とするため、昇降機構111に取り付けられてベース部112に支持される。
【0086】
結束装置100Aに適用される鉄筋結束機1Aは,鉄筋Sの配設面に対して交差する方向である上下方向に移動して、カール形成部5に対して鉄筋Sが出し入れされる。このため、鉄筋結束機1Aは、カール形成部5が本体部10の上側の端部に位置する上向きで昇降機構111に取り付けられる。
【0087】
リール収容部21は収容部の一例で、ワイヤWが引き出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収容される。リール20は、1本のワイヤWが図示しないハブ部に巻かれ、リール20からワイヤWを引き出せるようになっている。
【0088】
リール収容部21は、鉄筋結束機1Aにおいて2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する場合、本例では、2個のリール20が、回転の軸を鉛直方向に対して横向きとして、軸方向に沿って並べて収容される。
【0089】
ワイヤ送り機構2は、鉄筋結束機1Aとリール20との間でワイヤWを送るワイヤ引き出し機構22と、リール20とワイヤ引き出し機構22との間でワイヤWを誘導する第1のワイヤ誘導部23と、鉄筋結束機1Aとワイヤ引き出し機構22との間でワイヤWを誘導する第2のワイヤ誘導部24とを備える。
【0090】
ワイヤ引き出し機構22は、第1のワイヤ誘導部23と第2のワイヤ誘導部24との間においてワイヤWを引っ張る引き出しローラ22aと、引き出しローラ22aの位置を、第1のワイヤ誘導部23と第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWに対して交差する方向に移動させる駆動部22bを備える。引き出しローラ22aは、駆動部22bがモータ22cに駆動されることで、待機位置である第1の位置としての上限位置P1と、ワイヤWを引っ張る第2の位置としての下限位置P2との間を移動する。
【0091】
第1のワイヤ誘導部23は、リール収容部21に収容されたリール20から鉄筋結束機1Aへ送られるワイヤWの送り方向に対して、ワイヤ引き出し機構22の上流側にローラ23a、23b、23cを備える。第1のワイヤ誘導部23は、リール収容部21に収容されたリール20から引き出されたワイヤWが送られる経路をローラ23bでローラ23a方向に誘導し、ローラ23aで第2のワイヤ誘導部24方向に誘導する。また、ローラ23cは、ワイヤWの送り経路を屈曲させ、第1のワイヤ誘導部23で誘導されるワイヤWに掛かる負荷を増加させている。
【0092】
第2のワイヤ誘導部24は、ワイヤ引き出し機構22の下流側にローラ24aを備える。第2のワイヤ誘導部24は、ワイヤWが送られる経路をローラ24aで鉄筋結束機1A方向に誘導する
【0093】
ワイヤ引き出し機構22は、引き出しローラ22aが上限位置P1から下限位置P2に移動することで、リール20と第1のワイヤ誘導部23との間のワイヤWと、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間のワイヤWを、第1のワイヤ誘導部23と第2のワイヤ誘導部24との間に引っ張る力を加える。
【0094】
そして、第1のワイヤ誘導部23で誘導されるワイヤWに掛かる負荷と、第2のワイヤ誘導部24で誘導されるワイヤWに掛かる負荷の大小の変化で、第1のワイヤ誘導部23側のワイヤWが送られるか、第2のワイヤ誘導部24側のワイヤWが送られるかが切り替えられる。これにより、鉄筋結束機1Aで後述するようにワイヤWを逆方向に送り鉄筋Sに巻き付ける動作で発生するワイヤWの余剰分が吸収され、かつ、リール収容部21に収容されたリール20からワイヤWが引き出される。なお、結束装置100Aは、車輪、無限軌道などと、車輪、無限軌道などを駆動するモータなどの駆動部を備えて、自走する構成としてもよい。
【0095】
<鉄筋結束機及び結束装置の動作例>
次に、各図を参照して、結束装置100Aで鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
【0096】
結束装置100Aは、鉄筋Sの交差した結束対象箇所が、鉄筋結束機1Aのカール形成部5と対向する位置となるように鉄筋Sを移動させ、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51との間に鉄筋Sの結束対象箇所が入るように、鉄筋結束機1Aを移動させる。
【0097】
鉄筋結束機1Aは、図示しない送りモータを正回転方向に駆動し、ワイヤ送り部3でワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る。ワイヤ送り部3では、2本のワイヤWが当該ワイヤWにより形成されるループRuの軸方向に沿って並列された状態で送られる。
【0098】
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通り、カール形成部5のカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、ガイド部材53a、53bで鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0099】
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3で正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間に誘導される。そして、ワイヤWは、先端が送り規制部90に突き当てられるまで送られる。ワイヤ送り部3で送られるワイヤWの送り経路がカール形成部5で規制されることで、ワイヤWの軌跡が
図2に示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。ワイヤWの先端が送り規制部90に突き当てられる位置まで送られると、図示しない送りモータの駆動を停止する。
【0100】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80を正回転方向に駆動する。回転規制部74が、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転を規制する動作域では、スリーブ71は、回転軸72の回転動作が直線移動に変換され、上方向である矢印A1方向に移動する。
【0101】
スリーブ71が矢印A1方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、
図6Bに示すように、第1のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
【0102】
また、第2のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0103】
更に、スリーブ71が矢印A1方向に移動すると、スリーブ71に設けた伝達部材75と連結部57aで連結されたガイド部材移動機構54の作動部材57が、スリーブ71の移動と連動して矢印A1方向に移動する。作動部材57が矢印A1方向に移動すると、軸56aを支点とした回転動作で可動部材56が開位置に移動し、ガイド部材53aが経路55aから退避する。スリーブ71を移動させるモータ80は、変位部である可動部材56を駆動する駆動部として機能する。
【0104】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが閉じる動作でワイヤWを係止し、かつ、ガイド部材53aが経路55aから退避する動作域の終点位置までスリーブ71を移動させた後、モータ80の回転を一時停止し、図示しない送りモータを逆回転方向に駆動する。これにより、一対の送りギア30が逆転する。よって、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。
【0105】
鉄筋Sの周囲に巻き回され、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWは、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cの間に挟まれた先端側の部位が、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。また、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWは、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cの間に挟まれた部位が、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間をワイヤWの送り経路に沿ったループRuの周方向に移動することが可能な形態で係止される。更に、ガイド部材53aが経路55aから退避する。
【0106】
これにより、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWは、ワイヤWを矢印Rで示す逆方向に送る動作で、鉄筋Sに巻き付けられる。この鉄筋結束機1AでワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤ送り機構2では、ワイヤWは逆方向に送られない。このため、鉄筋結束機1AでワイヤWを逆方向に送る動作で、鉄筋結束機1Aと第2のワイヤ誘導部24との間でワイヤWが弛む。
【0107】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける位置までワイヤWを引き戻すと、図示しない送りモータの逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す上方向に移動させる。スリーブ71が矢印A1に移動する動作が切断部6に伝達されることで、可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0108】
ワイヤWが切断されると、曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接する方向へ移動する。これにより、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に上方向に移動することで、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c1で挟まれた状態で保持される。
【0109】
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6で切断されたワイヤWの終端側を、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に矢印A1方向に移動することで、第1のサイドフック70Rとセンターフックとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c2で挟まれた状態で保持される。
【0110】
ワイヤWの先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更矢印A1方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる動作域に到達すると、回転規制部74によるスリーブ71の回転の規制が解除され、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。
【0111】
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してワイヤ係止体70が回転することでワイヤWを捩じり、ワイヤWで鉄筋Sを結束する。モータ80に掛かる負荷が所定値、例えば負荷が最大となったことを検知すると、所定のタイミングでモータ80の正方向の回転を停止させる。
【0112】
モータ80の正方向の回転を停止させた後、モータ80を逆回転させることで、第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して開き、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して開いた状態となる位置までスリーブ71を矢印A2方向に移動させ、ワイヤ係止体70を待機位置に戻す。
【0113】
また、スリーブ71が矢印A2方向に移動すると、ガイド部材移動機構54の作動部材57が、スリーブ71の移動と連動して矢印A2方向に移動する。作動部材57が矢印A2方向に移動すると、軸56aを支点とした回転動作で可動部材56が閉位置に移動し、ガイド部材53aが経路55aに突出する。
【0114】
鉄筋Sを結束したワイヤWがワイヤ係止体70から外れると、鉄筋結束機1Aを待機位置へ移動させる。
【0115】
ワイヤ送り機構2は、上述した鉄筋結束機1Aでの結束動作において、ワイヤWを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、次の結束動作においてワイヤWを正方向に送るまでの間に、リール20から所定量のワイヤWを引き出す動作を行う。
【0116】
ワイヤ送り機構2は、モータ22cを正転させ、引き出しローラ22aを上限位置P1から下降させる。ワイヤ引き出し機構22は、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間のワイヤWに対して交差する方向に沿って、引き出しローラ22aが上限位置P1から下限位置P2へ下降する。
【0117】
ワイヤ送り機構2は、引き出しローラ22aが下限位置P2まで下降すると、モータ22cの回転方向を正転から逆転に切り替え、引き出しローラ22aを上昇させる。引き出しローラ22aが上限位置P1まで移動すると、モータ22cの回転方向を停止させる。これにより、第1のワイヤ誘導部23のローラ23aと第2のワイヤ誘導部24のローラ24aとの間に、鉄筋結束機1Aで鉄筋Sを結束するために必要な量のワイヤWが、弛んだ状態となる。
【0118】
上述したように、結束装置100Aでは、鉄筋結束機1Aは、カール形成部5が上向きとなる形態であり、ワイヤ係止体露出部93の開口部92が上を向いている。このため、結束装置100Aにおいて、鉄筋結束機1Aのカール形成部5に鉄筋Sを入れる動作で、鉄筋Sが突き当て部91に突き当てられると、鉄筋Sと突き当て部91が擦れることで、鉄筋Sに付着していた異物が落下し、開口部92からワイヤ係止体露出部93に入る可能性がある。
【0119】
また、ワイヤ係止体70を構成するセンターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間をワイヤWが通る際に、ワイヤWがワイヤ係止体70と擦れることで、ワイヤ係止体露出部93の内部で削りかすなどの異物が発生する可能性がある。更に、切断部6でワイヤWを切断する動作で、ワイヤWの切れ端がワイヤ係止体露出部93の内部に残る可能性がある。
【0120】
そこで、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ係止体露出部93内の異物を、本体部10Aの外部に排出する排出部94を備えている。排出部94は、本体部10の両側部に、ワイヤ係止体露出部93と連通する開口を設けて構成される。これにより、ワイヤ係止体露出部93内の異物を、排出部94から本体部10の外部へ排出することができる。
【0121】
また、鉄筋結束機1Aは、正方向に送られるワイヤWがガイド部材53aに擦れることで、ワイヤWの削りかすなどの異物が発生する可能性がある。上述したように、結束装置100Aでは、鉄筋結束機1Aは、カール形成部5が上向きとなる形態であるため、ワイヤWがガイド部材53aに擦れることで発生した削りかすなどの異物が、ガイド部材移動機構54の支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに入り込む可能性がある。
【0122】
ガイド部材移動機構54の支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに入り込んだ異物が堆積すると、開位置に移動した可動部材56が閉位置に移動できなくなり、ガイド部材53aを経路55aに突出させることができなくなる可能性がある。ガイド部材53aが経路55aに突出していない状態では、ワイヤWに巻き癖をつけることが十分にできず、ワイヤWの送り不良が発生する可能性がある。
【0123】
そこで、鉄筋結束機1Aは、ガイド部材移動機構54の支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに侵入した異物の堆積を抑制する堆積抑制部58を備えている。堆積抑制部58は、支持部材55において可動部材56と対向する部位の一部に、支持部材55の表裏を貫通する開口を設けて構成される。また、鉄筋結束機1Aは、ガイド部材移動機構54が設けられている部位内の異物を、本体部10の外部に排出する排出部95を備えている。
【0124】
これにより、支持部材55と可動部材56が面同士で対向する部位の面積が減少し、支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに侵入した異物が、可動部材56が閉位置に移動する動作で、可動部材56と支持部材55との間で挟まれることを抑制することができる。また、支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに侵入した異物を、支持部材55と可動部材56との間から堆積抑制部58、そして排出部95を通して本体部10の外部へ排出することができる。
【0125】
したがって、ガイド部材移動機構54の支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに異物が入り込んだとしても、この異物の堆積が抑制され、開位置に移動した可動部材56が閉位置に移動できなくなる阻害容易が排除される。よって、ガイド部材53aを経路55aに突出させた正常な位置まで移動させることができ、ガイド部材53aがワイヤWに巻き癖をつける機能を発揮することができる。
【0126】
更に、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWが擦れることなどにより、主にワイヤ送り部3とワイヤガイド4で発生した異物などを、本体部10の外部に排出する排出部31を備えている。これにより、ワイヤWと送りギア30、ワイヤWとワイヤガイド4が擦れることで発生した削りかすなどの異物を、排出部31から本体部10の外部へ排出することが出来る。
【0127】
<鉄筋結束機の変形例>
図9Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す斜視図、
図9Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す要部斜視図である。
【0128】
鉄筋結束機1Bは、本体部10内においてガイド部材移動機構54が設けられている部位に気体を吹き出す気体吹き出し部96を備える。気体吹き出し部96は堆積抑制部の一例で、図示しない気体の吹出口が、ガイド部材移動機構54が設けられる部位に設けられる。また、気体吹き出し部96は、気体としての圧縮空気を生成するエアコンプレッサと接続される。
【0129】
鉄筋結束機1Bは、気体吹き出し部96に圧縮空気が供給されることで、本体部10内においてガイド部材移動機構54が設けられる部位に圧縮空気が吹き出される。これにより、ガイド部材移動機構54が設けられる部位に入る異物を空気の圧力で吹き飛ばし、異物が堆積することが抑制される。したがって、ガイド部材移動機構54の支持部材55と可動部材56との間の経路55a及び可動部材移動領域55bに異物が入り込んだとしても、この異物の堆積が抑制され、開位置に移動した可動部材56が閉位置に移動できなくなる阻害要因が排除される。
【0130】
なお、鉄筋結束機1Bは、モータ80に駆動されるファン、あるいは、独立したモータで駆動されるファンを備え、ファンで生成した空気の流れを気体吹き出し部96から吹き出す構成としてもよい。また、可動部材56を開位置から閉位置に移動させる前のタイミングで、可動部材56が開位置に移動している間に、気体吹き出し部96から空気(圧縮空気)を吹き出してもよい。
【0131】
また、鉄筋結束機1Bにおいて、気体吹き出し部を、本体部10内においてガイド部材移動機構54が設けられている部位の気体を吸い込む気体吸い込み部として機能させてもよい。鉄筋結束機1Bは、本体部10内においてガイド部材移動機構54が設けられる部位の空気を気体吸い込み部から吸い込むことで、ガイド部材移動機構54が設けられる部位に入る異物を吸い込み、異物が堆積することが抑制される。更に、鉄筋結束機1Bを結束装置100Aに適用してもよい。
【0132】
図10A及び
図10Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の他の例を示す斜視図である。鉄筋結束機1Cは、作業者が手に持って使用する形態のものを適用する場合、ワイヤWが引き出し可能に巻かれた図示しないリールが収容されるリール収容部25を備える。リール収容部25は、ワイヤWが引き出し可能に巻かれたリールが回転、着脱可能に収容される。
【0133】
鉄筋結束機1Cが2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、2本のワイヤWがリールのハブ部に巻かれ、2本のワイヤWを同時に引き出せるようになっている。
【0134】
<ガイド部材移動機構の変形例>
図11Aは、ガイド部材移動機構の他の例を示す側面図、
図11Bは、ガイド部材移動機構の他の例を示す一部の部品を取り外した側面図、
図11Cは、ガイド部材移動機構の他の例を示す一部の部品を取り外した斜視図、
図11Dは、ガイド部材移動機構の一例を示す正面断面図である。なお、
図11Dは、
図11AのB-B線断面を簡略化して図示したものである。
【0135】
以下に、各図を参照して、ガイド部材移動機構54Bの構成、及び、ガイド部材移動機構54Bへの異物の侵入を抑制する構成について説明する。
【0136】
ガイド部材移動機構54Bは、本体部10に固定される支持部材55と、支持部材55に例えば回転動作により移動可能に支持され、ガイド部材53aを移動させる可動部材56を備える。可動部材56が支持部材55に対して軸56aを支点とした回転動作で閉位置と開位置との間で移動する構成、可動部材56を作動部材57で作動させる構成は、
図3A、
図3B、
図3C、
図4A、
図4B及び
図4Cで説明した構成と同様である。
【0137】
ガイド部材移動機構54Bは、支持部材55と可動部材56との間の可動部材移動領域55bに異物が侵入することを抑制する侵入抑制部58Bを備える。侵入抑制部58Bは、支持部材55においてカールガイド50が固定される側の端部で可動部材56と対向する部位に、可動部材移動領域55bのカールガイド50が設けられた側の開口を塞ぐ形状の弾性体を設けて構成される。
【0138】
上述したように、結束装置100Aでは、鉄筋結束機1Aはカール形成部5が上を向く形態で使用される。このため、可動部材移動領域55bのカールガイド50が設けられた側の開口が上を向くため、重力で落下する異物が侵入しやすい。
【0139】
そこで、ガイド部材移動機構54Bは、可動部材56が閉位置に移動すると、侵入抑制部58Bが支持部材55と可動部材56との間で押しつぶされて弾性変形することで、可動部材移動領域55bのカールガイド50が設けられた側の開口を塞ぐ。これにより、支持部材55と可動部材56との間の可動部材移動領域55bに異物が侵入することが抑制される。
【0140】
図12Aは、ガイド部材移動機構の他の例を示す側面図、
図12Bは、ガイド部材移動機構の他の例を示す一部の部品を取り外した側面図である。また、
図12Cは、ガイド部材移動機構の他の例を示す斜視図、
図12Dは、ガイド部材移動機構の他の例を示す一部の部品を取り外した斜視図である。更に、
図12E、
図12Fは、ガイド部材移動機構の一例を示す正面断面図である。なお、
図12E、
図12Fは、
図12AのC-C線断面を簡略化して図示したものである。
【0141】
以下に、各図を参照して、ガイド部材移動機構54Cの構成、及び、ガイド部材移動機構54Cへの異物の侵入を抑制する構成について説明する。
【0142】
ガイド部材移動機構54Cは、本体部10に固定される支持部材55と、支持部材55に例えば回転動作により移動可能に支持され、ガイド部材53aを移動させる可動部材56を備える。可動部材56が支持部材55に対して軸56aを支点とした回転動作で閉位置と開位置との間で移動する構成、可動部材56を作動部材57で作動させる構成は、
図3A、
図3B、
図3C、
図4A、
図4B及び
図4Cで説明した構成と同様である。
【0143】
ガイド部材移動機構54Cは、支持部材55と可動部材56との間の可動部材移動領域55bに異物が侵入することを抑制する侵入抑制部58Cを備える。侵入抑制部58Cは、支持部材55においてカールガイド50が固定される側の端部で可動部材56と対向する部位に、可動部材移動領域55bのカールガイド50が設けられた側の開口を塞ぐ形状の凸部を設けて構成される。
【0144】
また、ガイド部材移動機構54Cは、侵入抑制部58Cが入る溝部59を備える。溝部59は、可動部材56において侵入抑制部58Cと対向する部位に、可動部材56が閉位置に移動すると、侵入抑制部58Cが入る形状の凹部を設けて構成される。
【0145】
ガイド部材移動機構54Cは、可動部材56が閉位置に移動すると、侵入抑制部58Cが溝部59に入ることで、可動部材移動領域55bのカールガイド50が設けられた側の開口を塞ぐ。これにより、支持部材55と可動部材56との間の可動部材移動領域55bに異物が侵入することが抑制される。
【0146】
なお、侵入抑制部58Bまたは侵入抑制部58Cを、
図3A、
図3B、
図3C、
図4A、
図4B及び
図4C、
図5で説明したガイド部材移動機構54に備えてもよい。また、侵入抑制部58Bが設けられたガイド部材移動機構54Bを備えた鉄筋結束機、侵入抑制部58Cが設けられたガイド部材移動機構54Cを備えた鉄筋結束機を、結束装置100Aに適用してもよい。
【符号の説明】
【0147】
1A、1B、1C・・・鉄筋結束機、2・・・ワイヤ送り機構、20・・・リール、21・・・リール収容部、3・・・ワイヤ送り部、30・・・送りギア、31・・・排出部、5・・・カール形成部、50・・・カールガイド、51・・・誘導ガイド、53a・・・ガイド部材(ガイド部)、53b・・・ガイド部材、54、54B、54C・・・ガイド部材移動機構、55・・・支持部材(支持部)、55a・・・経路、55b・・・可動部材移動領域(領域)、56・・・可動部材(変位部)、56a・・・軸、56b・・・付勢部材、57・・・作動部材、57a・・・連結部、58・・・堆積抑制部(開口)、58B、58C・・・侵入抑制部、59・・・溝部、6・・・切断部、7・・・結束部、70・・・ワイヤ係止体、71・・・スリーブ、8・・・駆動部、80・・・モータ、90・・・送り規制部、91・・・突き当て部、92・・・開口部、93・・・ワイヤ係止体露出部、94、95・・・排出部、96・・・気体吹き出し部(気体吸い込み部)、100A・・・結束装置、W・・・ワイヤ