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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175077
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/08 20060101AFI20231205BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20231205BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20231205BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231205BHJP
   F25B 5/04 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F25D21/08 H
F25D17/08 311
F25B47/02 E
F25B47/02 A
F25B1/00 383
F25B5/04 B
F25B47/02 570M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087327
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田口 翔一
(72)【発明者】
【氏名】河井 良二
(72)【発明者】
【氏名】岡留 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 真也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遵自
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 祐理
(72)【発明者】
【氏名】野井 親良
【テーマコード(参考)】
3L046
3L345
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046CA06
3L046CA12
3L046GA03
3L046HA03
3L046LA08
3L046MA01
3L046MA02
3L046MA03
3L046MA04
3L046MA05
3L345AA02
3L345AA18
3L345AA20
3L345DD06
3L345DD62
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】第1冷却部と第2冷却部を用いて冷凍室、及び冷蔵室を冷却する冷蔵庫において、除霜ヒータを用いずに第2冷却部の確実な除霜を可能とする冷蔵庫を提供する。
【解決手段】第1冷却器14と、少なくとも第1冷却器14を加熱する除霜ヒータ21と、第1冷却器14で冷却された空気を昇圧する冷凍室ファン9aと、冷凍室ファンで昇圧された空気が流れるダクトと、ダクト又はダクトを通過した空気が流れる領域に配された伝熱板(第2冷却器)200と、伝熱板200が冷却する空気を収容する冷蔵室2と、を備え、伝熱板200は、冷蔵室2の空気を、露点以下又は霜点以下の温度にまで冷却し、伝熱板200に着霜又は結露している状態で、除霜ヒータ21を発熱させ、且つ冷凍室ファン9aを駆動して、除霜ヒータ21により加温された空気を伝熱板200に向かって送風する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷却部と、
少なくとも前記第1冷却部を加熱する発熱部と、
前記第1冷却部で冷却された空気を昇圧するファンと、
前記ファンで昇圧された空気が流れる風路と、
前記風路、又は前記風路を通過した空気が流れる領域に配された第2冷却部と、
前記第2冷却部が冷却する空気を収容する第1貯蔵室と、を備え、
前記第2冷却部は、前記第1貯蔵室の空気を、前記空気の露点以下、又は霜点以下の温度にまで冷却し、
前記第2冷却部に着霜、又は結露している状態で、前記発熱部を発熱させ、且つ前記ファンを駆動して、前記発熱部により加温された空気を前記第2冷却部に向かって送風する制御手段を備える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記第1冷却部が冷却する空気を収容する冷凍温度帯である第2貯蔵室と、
前記ファンから前記第2貯蔵室に向かう風量を減少させ、かつ、前記ファンから前記風路に流れる風量を増加させる手段として前記冷凍温度帯の風路抵抗調整手段を備える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の冷蔵庫において、
前記第1貯蔵室は冷蔵室であり、前記第2貯蔵室は冷凍室である
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記第2冷却部に配置された第2冷却部温度センサを備え、
前記制御手段は、前記第2冷却部温度センサが検知した温度が所定の温度を上回った場合、前記ファンを停止し、前記発熱部により加温された空気の前記第2冷却部への送風を停止する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記風路は前記冷蔵室に連通する連通風路であり、
前記発熱部により加温された空気は、前記連通風路を介して前記第2冷却部に向かって送風される
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記風路は前記冷蔵室に連通しない非連通風路であり、
前記発熱部により加温された空気は、前記非連通風路を介して前記第2冷却部に向かって送風される
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】
請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記風路は、前記冷蔵室に連通する連通風路と、前記冷蔵室に連通しない非連通風路を含む複数の風路から構成され、
前記連通風路への空気の流通を制御する第1ダンパと、前記非連通風路への空気の流通を制御する第2ダンパとを備える
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項8】
請求項7に記載の冷蔵庫において、
前記連通風路と前記非連通風路とは隣接して設けられ、前記連通風路と前記非連通風路の間には、前記第2冷却部を形成する熱伝達性の良い伝熱板が配置され、前記非連通風路を流れる空気から前記連通風路を流れる空気へ冷熱が伝達される
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
請求項8に記載の冷蔵庫において、
前記第1冷却部に配置された第1冷却部温度センサを備え、
前記制御手段は、
前記発熱部を発熱させ、且つ前記ファンを駆動して、前記第1冷却部温度センサが検知した温度が所定の温度を下回った場合、前記第1ダンパを開放状態にし、前記連通風路を介して前記発熱部により加温された空気を前記伝熱板に送風し、
前記第1冷却部温度センサが検知した温度が所定の温度を上回った場合、前記第2ダンパを開放状態にし、前記非連通風路を介して前記発熱部により加温された空気を前記伝熱板に送風する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を冷蔵、冷凍する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの蒸発器を持つ冷蔵庫の除霜運転を実現する技術として、例えば、特開2000-146400号公報(特許文献1)に記載された冷蔵庫が知られている。
【0003】
特許文献1に示された冷蔵庫は、圧縮機と、凝縮器と、冷蔵用絞り機構と、冷蔵室に対応した冷蔵用蒸発器と、冷凍用絞り機構と、冷凍室に対応した冷凍用蒸発器と、これらを接続する冷媒流路を備えている。
【0004】
そして、切替弁により冷媒流路を切替えて、冷媒用絞り機構を介して冷蔵用蒸発器、及び冷凍用蒸発器へ冷媒を流す冷蔵モードと、冷凍用絞り機構を介して冷凍用蒸発器のみに冷媒を流す冷凍モードとを交互に実現できる交互冷却運転を行うことができる。
【0005】
また、冷蔵用蒸発器で冷却された空気を冷蔵室に送風する冷蔵ファンと、冷凍用蒸発器で冷却された空気を冷凍室に送風する冷凍ファンと、冷凍用蒸発器の除霜ヒータと、冷蔵用蒸発器の除霜ヒータと、を備え、プリクール運転終了後、冷凍モードを行い、その後に除霜運転を行う制御手段を有している。
【0006】
制御手段においては、プリクール運転終了後に冷凍モードを実行することにより、冷蔵用蒸発器内部の冷媒が空になって冷蔵用蒸発器の温度が上昇しやすくなり、除霜運転の時間を短縮することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-146400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の構成では、冷凍用蒸発器(第1冷却部)と冷蔵用蒸発器(第2冷却部)を用いて冷凍室、及び冷蔵室を冷却している。そして、除霜運転時には、プリクール運転を行った後、冷凍用蒸発器の除霜ヒータと、冷蔵用蒸発器の除霜ヒータを作動させて冷凍用蒸発器と冷蔵用蒸発器を除霜する。これにより、冷凍用蒸発器と冷蔵用蒸発器の確実な除霜が可能になる。
【0009】
しかしながら、冷凍用蒸発器と冷蔵用蒸発器に夫々の除霜ヒータを備える構成とすると、製品コストが増大するという課題を生じる。
【0010】
本発明の目的は、第2冷却部用の除霜ヒータを用いずに第2冷却部の確実な除霜を可能とする冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、第1冷却部と、少なくともこの第1冷却部を加熱する発熱部と、第1冷却部で冷却された空気を昇圧するファンと、このファンで昇圧された空気が流れるダクトと、このダクト又はこのダクトを通過した空気が流れる領域に配置された第2冷却部と、第2冷却部が冷却した空気を収容する貯蔵室と、を備え、第2冷却部は、貯蔵室の空気を、空気の露点以下又は霜点以下の温度にまで冷却し、第2冷却部に着霜又は結露している状態で、発熱部を発熱させ、且つファンを駆動して、発熱部により加温された空気を第2冷却部に向かって送風する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第2冷却部を専用の発熱部を用いずに確実に除霜することができる冷蔵庫を提供することができる。尚、上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
図2図1の冷蔵庫の縦断面図である。
図3図1の冷蔵庫の庫内の構成を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室ダンパを表す図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室風路を表す分解斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を表す模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成図である。
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷却運転の基本制御を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷却運転中の温度変化の一例を示すグラフである。
図10】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の除霜運転の基本制御を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の除霜運転中の温度変化の一例を示すグラフである。
図12図2に示す制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図12を用いて説明する。尚、以下の説明では、冷蔵庫を正面から見た場合に、右側に見える方を右側、左側に見える方を左側として説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係る冷蔵庫1について、図1を用いて説明する。図1は本発明の実施形態に係る冷蔵庫1の正面図である。
【0017】
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から、冷蔵室2、左右に併設された製氷室3、及び上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順に貯蔵室を有している。
【0018】
冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉する扉を備えている。これらの扉は、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室扉2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び野菜室6の各開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、及び野菜室扉6aである。これら複数の扉の内部材料は主に発泡ウレタンで構成されている。また、各扉は図示しないシール部材を内面外周部に備えている。
【0019】
冷蔵室2と製氷室3、及び上段冷凍室4との間は断熱仕切壁27によって隔てられ、下段冷凍室5と野菜室6との間は断熱仕切壁28によって隔てられている。また、製氷室3と、上段冷凍室4との間の前縁部には、製氷室扉3a、及び上段冷凍室扉4aを閉じた状態において、製氷室扉3aの右端内面のシール部材と、上段冷凍室扉4aの左端内面のシール部材と当接する位置に仕切部29を備えている。
【0020】
製氷室3、及び上段冷凍室4と、下段冷凍室5との間の前縁部には、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、及び下段冷凍室扉5aを閉じた状態において、製氷室扉3a、及び上段冷凍室扉4aの下端内面の各シール部材と、下段冷凍室扉5aの上端内面のシール部材と当接する位置に、仕切部30を備えている。
【0021】
断熱箱体10の天面庫外側の前方と、断熱仕切壁27の前縁とには、冷蔵庫1と扉2a、2bとを固定するための扉ヒンジ(図示せず)が配設されており、天面庫外側に設けられた上部の扉ヒンジは扉ヒンジカバー16で覆われている。
【0022】
製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5は、基本的に庫内を冷凍温度(0℃未満)の例えば平均的に-18℃程度にした貯蔵室であり、冷蔵室2は庫内を冷蔵温度(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした貯蔵室、野菜室6は庫内を冷蔵温度(0℃以上)の例えば平均的に7℃程度にした貯蔵室である。以下、本明細書中では、冷凍温度の貯蔵室である製氷室3と上段冷凍室4と下段冷凍室5の総称として冷凍室60と呼ぶことがある。
【0023】
図2図1の冷蔵庫1の縦断面図であり、図1のA-A断面図である。図3図1の冷蔵庫1の庫内の構成を示す正面図であり、図1の冷蔵庫1から扉、及び容器を外した状態の正面図である。図2、及び図3を参照しながら、冷蔵庫1の構成を説明する。
【0024】
図2に示すように、冷蔵庫1は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製(例えばABS樹脂)の内箱10bとの間に発泡断熱材(本実施形態の冷蔵庫では発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内とが隔てられている。断熱箱体10には発泡断熱材に加えて、発泡断熱材より熱伝導率が低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、内容積の低下を抑えて断熱性能を高めている。本実施形態では、断熱箱体10の背面、下面、及び両側面に真空断熱材25を実装している。
【0025】
また、断熱仕切壁27の内部の断熱材は発泡ポリスチレンであり、断熱仕切壁28の内部には断熱材として発泡ウレタンが充填されている。なお、断熱仕切壁28の内部の発泡ウレタンは、断熱箱体10の外箱10aと内箱10bとの間にウレタンを発泡充填する工程において、断熱箱体10の発泡ウレタンとともに充填される。
【0026】
冷蔵室扉2a、2bは、庫内側に複数の扉ポケット33a、33b、33cを備えている。また、冷蔵室2内は、棚34a、34b、34c、34dによって複数の貯蔵スペースに区画されている。製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、及び野菜室扉6aは、それぞれ一体に引き出される製氷室容器3b、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b、及び野菜室容器6bを備えている。
【0027】
図2、及び図3に示すように、冷蔵庫1は、下段冷凍室5の背部に、第1冷却器14が収納された冷却器室8を備え、冷却器室8の上部には、冷凍室ファン9aを備えている。
【0028】
冷凍室ファン9a下流の冷凍室ファン吐出風路195と、冷凍室60に吹き出す冷気が流れる冷凍室風路100との間には、隔壁180を備えており、隔壁180は第1開口部180aを有している。第1開口部180aには風量を調整する手段(風量調整手段)として、冷凍室ダンパ170を備える。
【0029】
また、隔壁180は、左側面に第1開口部180aより開口面積が小さい第2開口部180bを有している。第2開口部180bには、冷凍室60の左端に上下に延在する野菜室風路132が接続され、野菜室風路132の下部には、風量を調整する手段(風量調整手段)として、野菜室ダンパ160を備える。
【0030】
冷凍室風路100には、前方の製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5に冷気を吹き出す製氷室吹き出し口(製氷室吐き出し口)101、上段冷凍室吹き出し口(上段冷凍室吐き出し口)102、及び下段冷凍室吹き出し口(下段冷凍室吐き出し口)103をそれぞれ備えている。
【0031】
冷却器室8の下部前方には、製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5からの戻り冷気が流れる冷凍室戻り風路104が形成されている。冷凍室戻り風路104は、第1冷却器14の幅と略等しい幅に形成されており、冷凍室60からの戻り冷気が第1冷却器14に効率よく流入するようにしている。
【0032】
また、野菜室風路132の出口には野菜室吹き出し口133を備えている。下段冷凍室5と野菜室6の間の断熱仕切壁28の下面には野菜室戻り口136が開口しており、野菜室戻り口136から冷却器室8の下部前方に至る野菜室戻り風路135を、断熱仕切壁28内に備えている。
【0033】
冷蔵室2の背面には、冷蔵室循環風路(以下、冷蔵室第1風路という)110を備えている。冷蔵室第1風路110には、最上段の棚34aの上方の空間に空気を吹き出す冷蔵室吹き出し口(冷蔵室吐き出し口)111aと、最上段の棚34aと上から2段目の棚34bとの間の空間に空気を吹き出す冷蔵室吹き出し口(冷蔵室吐き出し口)111bと、を備えている。
【0034】
冷蔵庫1は、冷蔵室第1風路110の後方に、隔壁を隔てて冷蔵室第1風路(以下、冷蔵室第1風路という)110と隣接する冷蔵室第2風路120を備えている。冷蔵室第1風路110と、冷蔵室第2風路120との間の隔壁には、伝熱板(第2冷却器)200が形成されており、冷蔵室第1風路110、及び冷蔵室第2風路120は、冷蔵室第1風路110内の空気と、冷蔵室第2風路120内の空気との間で熱交換が行われるように構成されている。
【0035】
冷蔵室第1風路110、及び冷蔵室第2風路120の詳細は後で詳細に説明する。尚、冷蔵室吹き出し口111aの開口面積は約1000mm、冷蔵室吹き出し口111bの開口面積は約500mmであり、最上段の吹き出し口111aの開口面積を下段の吹き出し口111bの開口面積よりも大きくしている。
【0036】
冷蔵室第1風路110の下部中央には、冷蔵室2の内部の空気(冷気)を取り込む冷蔵室第1戻り口115が形成される。また、冷蔵室2の背面下部右側には冷蔵室第2戻り口131が形成される。上段冷凍室4と下段冷凍室5の後方右端には、一端部が冷蔵室第2戻り口131に連通する冷蔵室戻り風路130が形成される。冷蔵室戻り風路130の他端部は冷却器室8の右下部に接続される。
【0037】
製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5の背部の冷凍室風路100の左下部から下方に向けて野菜室風路132が形成され、野菜室風路132の出口には野菜室吹き出し口(野菜室吐き出し口)102aが形成される。下段冷凍室5と野菜室6との間の断熱仕切壁28の下面には野菜室戻り口136が開口しており、冷却器室8の下部前方に接続される野菜室戻り風路135が断熱仕切壁28内に形成される。
【0038】
冷却器室8の下部前方には、製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5からの戻り冷気が流れる冷凍室戻り口105が形成されている。冷凍室戻り口105は、第1冷却器14の幅と略等しい幅に形成されており、製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5からの戻り冷気が第1冷却器14に効率よく流入するようにしている。
【0039】
冷蔵室2、上段冷凍室4、及び野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43、及び野菜室温度センサ44が設けられ、第1冷却器14の上部には冷却器温度センサ40が設けられている。本実施形態では冷凍室温度センサ43は上段冷凍室4に設けられているが、下段冷凍室5に設けられてもよい。
【0040】
これらの温度センサにより、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6、冷却器室8、及び第1冷却器14の温度が検知される。また、冷蔵庫1の天井部の扉ヒンジカバー16の内部には、外気温度センサ37と外気湿度センサ38とが設けられ、外気(庫外空気)の温度と湿度とが検知される。その他にも、扉センサ(図示せず)が設けられることで、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態がそれぞれ検知される。
【0041】
冷蔵室第1風路110の下部には、冷蔵室ファン9aが設置されている。また、冷蔵室第1風路110の入口部には冷気遮断手段として冷蔵室第1ダンパ151が設けられる。冷蔵室第2風路120の入口部には冷気遮断手段として冷蔵室第2ダンパ152が設けられている。
【0042】
尚、冷蔵室第2風路120は、冷蔵室第1風路110とは独立した風路として設けられる。すなわち、本実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵室第1風路110とは独立した風路として設けられ、冷却器室8で第1冷却器14と熱交換した冷気を流通させる冷蔵室第2風路120と、冷蔵室第2風路120へ流入する冷気の風量を調整する冷蔵室第2ダンパ152と、を備える。
【0043】
冷蔵室第1ダンパ151、及び冷蔵室第2ダンパ152は単一のモータで駆動され一体に形成されており、以下では、冷蔵室第1ダンパ151、及び冷蔵室第2ダンパ152の機能を合わせた部品を冷蔵室ダンパ150と呼ぶ。また、野菜室風路132には冷気遮断手段として野菜室ダンパ160が設けられる。
【0044】
図4は、冷凍室ダンパ170の構成を表す図である。冷凍室ダンパ170は、モータ収納部170aと開口170bを備えている。開口170bは、開閉板170cによって開閉される。具体的には、モータ収納部170a内に設置されたステッピングモータ(図示せず)によって開閉板170cが開角度0度の閉鎖状態から開角度90度の全開放状態の範囲で制御可能となっており、開閉板170cを開確度45度の半開放状態とすることも可能である。
【0045】
開閉板170cの開口170bと対向する側の面には、図示しないシール部材が配設されており、閉鎖状態において開口170bと開閉板の間に隙間が形成されることを抑制している。
【0046】
冷却器室8内の第1冷却器14の下方には、第1冷却器14を加熱する除霜ヒータ21が備えられている。冷却器室8の下面には樋23が形成されている。樋23の下端部からは、機械室39と連通する排水管22が下方に向けて設けられている。また、機械室39には、圧縮機24と、圧縮機24の上部に配置された蒸発皿32とが設置されている。
【0047】
除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータを採用すれば良く、本実施形態では120Wのラジアントヒータとしている。第11冷却器14の除霜時に発生した除霜水は、樋23から排水管22を介して圧縮機24の上部の蒸発皿32に排出され、圧縮機24からの放熱や、図示しない機械室ファンによる通風等の作用により蒸発する。
【0048】
冷蔵室2内の、断熱仕切壁27の上部には、内部が-1℃程度に維持される容器36が備えられており、容器36の前方は蓋体36aにより開閉可能となっている。蓋体36aの外周にはパッキン(図示せず)が備えられており、蓋体36aを閉鎖状態とした場合、パッキンにより蓋体36aと容器36とが隙間なく接触し、容器36はその内部空間が密閉される構造となっている。
【0049】
また、容器36の背部には、容器36内の空気を吸引するポンプ(図示せず)が備えられており、蓋体36aが閉鎖された状態でポンプを駆動することで、容器36内の気圧が約0.8気圧に減圧されるようになっている。これにより容器36内は、蓋体36aにより冷気が直接送風されなくなるとともに、減圧環境となるので、食品の乾燥と酸化を抑制する収納スペースとなる。
【0050】
図5は第1の実施形態に係る第2冷却器の付近を示すものであり、冷蔵庫1の冷蔵室風路を示す分解斜視図である。第2冷却器を構成する伝熱板200は、冷蔵室第1風路110と冷蔵室第2風路120とを分離して、冷蔵室第2風路120を流れる空気から、冷蔵室第1風路110を流れる空気に冷熱を伝える機能を備えている。
【0051】
図5に示すように、冷蔵室2の背部に設置される冷蔵室第1風路110の前面には冷蔵室吹き出し口111a、111bが備えられ、冷蔵室第1風路110の背面には冷蔵室第2風路120との間に伝熱板(第2冷却器)200が設置される。
【0052】
冷蔵室第2風路120の内部には、仕切部材121が配置されており、冷蔵室第2ダンパ152が開放状態の場合には、図中に矢印で示すように、冷蔵室第2風路120の左側120aを上方に向けて流れた流れが、冷蔵室第2風路120上部において反転し、冷蔵室第2風路120の右側120bを下方に流れるようにしている。
【0053】
本実施形態の冷蔵庫においては、伝熱板(第2冷却器)200の材質をアルミニウムとしている。熱伝導率が高いアルミニウムを採用することで、冷蔵室第2風路120側の冷熱を冷蔵室第1風路110の空気に伝え易くしている。伝熱板(第2冷却器)200としては、樹脂(一例としてポリプロピレン)を採用して、更にコストを抑える構成とするといった実施形態も考えられる。
【0054】
すなわち、伝熱板(第2冷却器)200は、冷蔵室第2風路120側の冷熱を冷蔵室第1風路110の空気に伝える機能を果たすものであればよく、材質や形状は限定されない。また、伝熱板(第2冷却器)200には伝熱板温度センサ201が備えられている。
【0055】
図6は、第1の実施形態に係る冷蔵庫1の送風経路(風路構成)を示す概略図である。図6図2、及び図3を用いて、庫内の空気の流れを説明する。
【0056】
図6に示すように冷蔵庫1においては、冷凍室ダンパ170が開放状態の場合は、冷却器室8の空気は、冷凍室ファン9aによって昇圧され、冷凍室ファン吐出風路195から冷凍室風路100に送られる。冷凍室風路100に送られた空気は、冷蔵室第1ダンパ151、冷蔵室第2ダンパ152、及び野菜室ダンパ160の開閉状態によらず、製氷室吹き出し口101、上段冷凍室吹き出し口102、及び下段冷凍室吹き出し口103から、それぞれ製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5に吹き出す。
【0057】
製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5の空気は、それぞれの貯蔵室を通過して、下段冷凍室5から冷凍室戻り風路104を介して冷却器室8に戻る。この冷却器室8から製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5を介して冷却器室8に戻る送風経路を冷凍室送風経路と呼ぶ。
【0058】
冷蔵室第1ダンパ151が開放状態で、冷凍室ファン9a、及び冷蔵室ファン9bをそれぞれ駆動した場合、冷凍室ファン9aによって昇圧された冷却器室8内の空気は、製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷蔵室第1ダンパ151を通過し、冷蔵室ファン9bにより再度昇圧されて冷蔵室第1風路110に流れ、冷蔵室吹き出し口111から冷蔵室2に送られる。この冷却器室8から冷蔵室第1風路110を介して冷却器室8に戻る送風経路を冷蔵室第1送風経路と呼ぶ。
【0059】
冷蔵室第2ダンパ152が開放状態で、冷凍室ファン9aを駆動した場合、冷凍室ファン9aによって昇圧された空気は、製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5に送られるとともに、冷蔵室第2風路120を流れ、伝熱板(第2冷却器)200において冷蔵室第1風路110内の空気と熱交換して、冷蔵室戻り風路130を流れ、冷却器室8に戻る。この冷却器室8から冷蔵室第2風路120を介して冷却器室8に戻る送風経路を冷蔵室第2送風経路と呼ぶ。
【0060】
冷蔵室第1ダンパ151、及び冷蔵室第2ダンパ152が閉鎖状態で、冷蔵室ファン9bを駆動することで、冷蔵室2内の空気が、冷蔵室第1戻り口115から、冷蔵室第1風路110に入り、冷蔵室第1風路110を流れて冷蔵室吹き出し口111から再び冷蔵室2に入り冷蔵室2内を循環する空気流が形成される。この冷蔵室2から冷蔵室第1風路100を介して冷蔵室2に戻る送風経路を冷蔵室第三送風経路と呼ぶ。
【0061】
野菜室ダンパ160が開放状態で、冷凍室ファン9aを駆動した場合、冷凍室ファン9aによって昇圧された冷却器室8内の空気は、製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5に送られると共に、冷凍室風路100の下流部において冷凍室風路100から分岐した野菜室風路132を流れ、野菜室吹き出し口131から野菜室6に吹き出す。
【0062】
野菜室6においては、野菜室容器6bの外側を指向して空気が吹き出すようにしてあり、野菜室容器6bに収納される野菜等の食品が乾燥することが抑制される。野菜室6を通過した空気は、断熱仕切壁28の下面に備えられた野菜室戻り口136(図2参照)を介して、断熱仕切壁28内に設けられた野菜室戻り風路135(図2参照)を流れ、冷却器室8に戻る。この冷却器室8から野菜室6を介して冷却器室8に戻る送風経路を野菜室送風経路と呼ぶ。
【0063】
図7は、第1の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成の概略を示す構成概略図である。
【0064】
本実施形態の冷蔵庫1は、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段としての庫外放熱器50a、断熱箱体10の両側面に配置された壁面放熱配管50b、断熱仕切壁27、28と仕切部29、30の前面部とに配置されて結露を抑制する結露防止配管50c、冷媒を減圧する減圧手段であるキャピラリチューブ53、及び冷媒と庫内の空気を熱交換することで庫内の熱を吸熱する第1冷却器14を備えている。
【0065】
尚、壁面放熱配管50bは外箱10aと内箱10bとの間の領域の外箱10aの内面に配置される。また、結露防止配管50cは断熱仕切壁27、28、及び仕切部29、30の内面に配置される。
【0066】
また冷蔵庫1は、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51と、液冷媒の圧縮機24への流入を抑制する気液分離器54とを備えており、これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。キャピラリチューブ53と第1冷却器14と圧縮機24とを接続する冷媒配管は、冷媒の熱交換を行う熱交換部57を備えている。
【0067】
本実施形態の冷蔵庫1において、圧縮機24が駆動すると冷媒が圧縮されて、高温高圧のガス冷媒となって、庫外放熱器50aに入る。庫外放熱器50aにおいては、図示しない庫外ファンによる通風によって冷媒から熱が奪われてエンタルピが減少し、二相状態となって壁面放熱配管50bに流入する。断熱箱体10の両側面に配置された壁面放熱配管50bでは、断熱箱体10の外壁を介して主に庫外の空気に冷媒から放熱が行われる。
【0068】
続いて、断熱仕切壁27、28、仕切部29、30の前面部に配置された、結露防止配管50cに冷媒が入る。断熱仕切壁27、28、及び仕切部29、30の前方には断熱性を有する扉が備えられているために、結露防止配管50cにおいては、主に庫内の空気に冷媒から放熱されて、液冷媒となり、ドライヤ51を流れて水分が除去された後に、キャピラリチューブ53に至る。冷媒はキャピラリチューブ53を流れることで減圧されて、低温低圧の二相冷媒になって第1冷却器14の入口に至る。
【0069】
庫内の各貯蔵室から戻った空気は、冷凍室ファン9aの駆動によって第1冷却器14を通過することで、冷却されて低温になり、再び庫内の各貯蔵室の冷却を行う。このとき冷媒は庫内の空気から吸熱してエンタルピが上昇し、渇き度が上がり、略飽和ガス冷媒となって第1冷却器14の出口に至る。
【0070】
第1冷却器14の出口から圧縮機24に戻る配管の一部は、キャピラリチューブ53と熱交換するように近接して設けられており、キャピラリチューブ53内の冷媒によって加熱されてエンタルピが上昇して(温度が上がって)、再び圧縮機24に吸い込まれる。
【0071】
このように熱交換部57を備えることで、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度が上昇して、冷媒配管への結露や着霜が防止できるとともに、熱交換によって第1冷却器14に流入する冷媒のエンタルピが低下して、第1冷却器14における冷却能力が向上するようになる。なお、冷凍サイクルに用いる冷媒は可燃性冷媒のイソブタンである。
【0072】
次に、本実施形態の冷蔵庫1の冷却運転、及び除霜運転についてについて説明する。これらの運転は、図1に示す制御装置CNTによって実行されることは良く知られている通りである。図12は、制御装置CNTを構成する主な構成要素を示している。図12において、制御装置CNTはマイクロコンピュータを主たる構成要素として備えている。
【0073】
マイクロコンピュータは、演算機能を備える中央演算ユニット(Pr)と、中央演算ユニット(Pr)を動作させるプログラム、演算に必要な定数等が記憶された不揮発性メモリ(Mc)と、演算処理の演算結果や、演算処理で必要な情報を一時的に記憶する揮発性メモリ(Md)と、少なくとも、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ43、野菜室温度センサ44、冷凍室戻り口温度センサ45、冷蔵室第1戻り口温度センサ47、冷蔵室下部温度センサ49、伝熱板温度センサ201からの検出信号を入力するための入力回路(Ic)と、中央演算ユニット(Pr)で演算された制御信号を電気信号に変換して出力するための出力回路(Oc)とを備えている。
【0074】
出力回路(Oc)には、少なくとも、冷蔵室第1ダンパ151、冷蔵室第2ダンパ152、野菜室ダンパ160、冷凍室ダンパ170が接続され、冷却運転や除霜運転を実行する。中央演算ユニット(Pr)と入力回路(Ic)、及び出力回路(Oc)とは、バスライン(Bs)によって接続されており、中央演算ユニット(Pr)に対して入力信号を与え、また、中央演算ユニット(Pr)から制御信号を出力する。
【0075】
中央演算ユニット(Pr)は、不揮発性メモリ(Mc)に記憶されたプログラムを実行して、例えば、図8に示す冷却運転の制御動作を実行し、また図10に示す除霜運転の制御動作を実行する。次に、各運転に関する制御フローを説明する。
【0076】
まず、冷蔵庫1の冷却運転時には、第1冷却器14と熱交換した冷気は各送風経路を通り、各貯蔵室の冷却を行う。
【0077】
図8は、本実施形態の冷蔵庫1の冷却運転の基本制御を示すフローチャートである。尚、夫々の制御ブロックに付した参照符号は、処理工程を示すものであり、以下では「工程S-○○」として記載する。尚、以下に説明するフローチャートでは、図6を共に参照すると理解の助けになる。
【0078】
本図に示すように、冷凍室温度センサ43により検知する冷凍室温度Tが基準上限温度TF_start以上(例えば-18℃以上)であるかを判定し、また、冷蔵室温度センサにより検知する冷蔵室温度Tが基準上限温度TR_start以上(例えば4℃以上)であるかを判定する(工程S-1)。
【0079】
「T≧TF_start」、又は「T≧TR_start」である場合は、圧縮機24、及び冷凍室ファン9aを駆動させ基本冷却運転を開始する(工程S-2)。圧縮機24が駆動している間、第1冷却器14は低温、例えば-25℃以下になる。このため、第1冷却器14には着霜が生じる。基本冷却運転では、ダンパの開閉を「工程S-3」から「工程S-19」までを繰り返すことで制御する。
【0080】
基本冷却運転開始後、TがTF_start以上であるかを判定し(工程S-3)、「T≧TF_start」である場合は、冷凍室ダンパ170を開放する(工程S-4)。
【0081】
次に、TがTR_start以上であるかを判定し(工程S-5)、「T≧TR_start」である場合は、冷蔵室温度Tが所定の温度TR_high以上(例えば5℃以上)かどうかを判定する(工程S-R1)。「T≧TR_high」の場合は、冷蔵室第1ダンパ151を開放し、冷蔵室ファン9bを駆動する(工程S-R2)。また、「T≦TR_high」の場合は、冷蔵室第2ダンパ152を開放し、冷蔵室ファン9bを駆動する(工程S-R3)。
【0082】
野菜室の温度TがTV_off以上であるかを判定し(工程S-6)、「T≧TV_off」である場合は、野菜室ダンパ160を開放する(工程S-7)。
【0083】
これら「工程S-3」から「工程S-7」、及び、「工程S-R1」から「工程S-R3」を行うことにより、冷却が必要な貯蔵室に対応する夫々のダンパを開放することができる。
【0084】
冷凍室ダンパ170が開放状態である場合、第1冷却器14と熱交換された冷気は冷凍室送風経路を介して冷凍室60に送風され冷凍室60を冷却する。また、冷蔵室第1ダンパ151が開放状態である場合、第1冷却器14と熱交換された冷気は冷蔵室第1送風経路を介して冷蔵室2に直接送風し冷蔵室2を冷却する。このように、第1冷却器14と熱交換された冷気を直接冷蔵室2に送風して冷却する運転を「直接冷却運転」と呼ぶ。
【0085】
冷蔵室第2ダンパ152が開放状態である場合、第1冷却器14と熱交換された冷気は冷蔵室第2送風経路を介して伝熱板(第2冷却器)200を冷却する。冷蔵室2内の空気は冷蔵室第三送風経路で冷蔵室内を循環する。低温の伝熱板(第2冷却器)200と比較的高温の冷蔵室2内の空気が熱交換されることで冷蔵室2内の空気が冷却される。以下では、このような伝熱板(第2冷却器)200を介した冷蔵室2の冷却運転を「間接冷却運転」と呼ぶ。
【0086】
野菜室ダンパ160が開放状態である場合、第1冷却器14と熱交換された冷気は野菜室送風経路を介して野菜室6に送風され野菜室6を冷却する。
【0087】
以上の冷却は、「工程S-8」から「工程S-18」で各ダンパが閉鎖されることで終了する。
【0088】
冷凍室温度Tが基準下限温度TF_off以下(例えば-22℃以下)であるか判定し(工程S-8)、「T≦TF_off」である場合は、冷凍室ダンパ170を閉鎖する(工程S-9)。
【0089】
冷蔵室温度Tが基準下限温度TR_off以下(例えば1℃以下)であるか判定し(工程S-10)、「T≦TR_off」である場合は、冷蔵室第1ダンパ151と冷蔵室第2ダンパ152を閉鎖し、冷蔵室ファン9bを停止する(工程S-11)。
【0090】
「工程S-11」の後は、オフサイクル運転に係る「工程S-12」に進む。オフサイクル運転は、N回に1回行うようにしているため、「工程S-12」で実施するかを判断している。本実施形態の冷蔵庫1では、N=2としている。
【0091】
オフサイクル運転は、冷蔵室第1ダンパ151、及び冷蔵室第2ダンパ152の両方が閉鎖状態で、冷蔵室ファン9bを駆動させる(工程S-13)。
【0092】
伝熱板温度センサ201により検知する伝熱板温度TDRが所定温度TDR_off以上(例えば2℃以上)になった後、又はオフサイクル運転開始からの経過時間Δtが所定時間ΔtDR_off以上(例えば10分以上)になった後(工程S-14)、冷蔵室ファン9bを停止し、オフサイクル運転を終了する(工程S-15)。また、オフサイクル運転が終了した後にカウンタをリセットする(工程S-16)。
【0093】
野菜室温度Tが基準下限温度TV_off以下(例えば12℃以下)であるか判定し(工程S-17)、「T≦TV_off」である場合は、野菜室ダンパ160を閉鎖する(工程S-18)。
【0094】
全てのダンパが閉鎖するまで「工程S-3」から「工程S-19」までを繰り返し、全ダンパの閉鎖を判定した後(工程S-19)、圧縮機24と冷凍室ファン9aを停止し(工程S-20)、カウンタを1追加した後に(工程S-21)、基本冷却運転が終了する。
【0095】
基本冷却運転の終了後は、除霜運転の開始条件、例えば圧縮機24の運転開始からの積算時間が所定時間に達する等を満たしているか判定し(工程S-22)、除霜運転開始条件を満たしている場合、後述する除霜運転を開始する(工程S-23)。
【0096】
図9は、本実施形態の冷蔵庫1の冷却運転中の温度変化の一例を示すグラフである。横軸は時間を示し、縦軸は各部の温度、及び各部品の操作の状態を示している。図9の横軸において、
(1)tは冷却運転の開始時刻、
(2)tは野菜室ダンパ160を閉とする時刻、
(3)tは冷蔵室ファン9bを停止し、冷凍室ダンパ170を開とし冷蔵室第2ダンパ152を閉とする時刻、
(4)tは冷凍室ダンパ170を閉とし、圧縮機24、及び冷凍室ファン9aを停止する時刻、
(5)tは圧縮機24、冷凍室ファン9a、及び冷蔵室ファン9bを駆動し冷蔵室第2ダンパ152、及び野菜室ダンパ160を開とする時刻、
(6)tは野菜室ダンパ160を閉とする時刻、
(7)tは冷凍室ダンパ170を開とする時刻、
(8)tは冷蔵室第2ダンパ152を閉とし、オフサイクル運転を開始する時刻、
(9)tは冷凍室ダンパ170を閉とし、圧縮機24、及び冷凍室ファン9aを停止する時刻、
(10)tは冷蔵室ファン9bを停止し、オフサイクル運転を終了する時刻、
(11)t10は圧縮機24、冷凍室ファン9a、及び冷蔵室ファン9bを駆動し冷蔵室第2ダンパ152、及び野菜室ダンパ160を開とする時刻
を示している。
【0097】
時刻tでは「T≧TR_start」となり、圧縮機24と冷凍室ファン9aが駆動し(工程S-2)、基本冷却運転が開始する。「T≧TR_start」且つ「T≦TR_high」のため、冷蔵室第2ダンパ152が開とし、冷蔵室ファン9bが駆動する(工程S-R3)、さらに、「T≧TV_off」のため、野菜室ダンパ160が開(工程S-7)となる。これらにより、冷蔵室2は間接冷却運転により、野菜室6は野菜室送風経路に冷気が送風されることにより、それぞれ冷却される。
【0098】
時刻tではT≦TV_offとなることで野菜室ダンパ160が閉となり(工程S-18)、野菜室6の冷却が停止される。
【0099】
時刻tでは「T≦TR_off」となることで冷蔵室第2ダンパ152が閉となり、冷蔵室ファン9bが停止し(工程S-11)、冷蔵室2の間接冷却運転が終了する。尚、オフサイクル運転はカウンタ=1であり、N≧2を満たしていないため実施されない。また、「T≧TF_start」となることで冷凍室ダンパ170が開となり(工程S-4)、冷凍室送風経路に冷気が送風されることにより、冷凍室60が冷却される。
【0100】
時刻tでは「T≦TF_off」となることで冷凍室ダンパ170が閉となり(工程S-9)、冷凍室60の冷却が終了する。これにより、すべてのダンパが閉鎖するため、圧縮機24、及び冷凍室ファン9aが停止し(工程S-20)、基本冷却運転が終了する。
【0101】
時刻tではtと同様に「T≧TR_start」となり、圧縮機24と冷凍室ファン9aが駆動し(工程S-2)、再び基本冷却運転が開始する。「T≧TR_start」且つ「T≦TR_high」のため、冷蔵室第2ダンパ152が開とし、冷蔵室ファン9bが駆動する(工程S-R3)ことで間接冷却運転を行う。更に、「T≧TV_off」のため、野菜室ダンパ160が開(工程S-7)となり、野菜室6の冷却が開始される。
【0102】
間接冷却運転では、冷蔵室2が高湿(絶対湿度が高い。)となっており、伝熱板(第2冷却器)200は冷蔵室2を冷却するために低温(壁面の飽和絶対湿度が低い。)になるため、冷蔵室2の空気から伝熱板(第2冷却器)200に水分の付着が発生し、着霜する。しかし、伝熱板(第2冷却器)200は第1冷却器14と比較して、高温(例えば、-5℃)であるため、第1冷却器14で冷却する場合に比べて着霜を抑えることができ高湿な状態(絶対湿度が高い)を保つことが可能となる。
【0103】
時刻tでは「T≦TV_off」となることで、野菜室ダンパ160が閉となり(工程S-18)、野菜室の冷却が終了する。
【0104】
時刻tでは「T≧TF_start」となることで冷凍室ダンパ170が開となり(工程S-4)、冷凍室60の冷却が開始する。
【0105】
時刻tでは「T≦TR_off」となることで冷蔵室第2ダンパ152が閉となり、冷蔵室ファン9bが停止する(工程S-11)が、カウンタ=2となり、N≧2を満たしているため、冷蔵室ファン9bが再度駆動する(工程S-13)。
【0106】
オフサイクル運転では、冷蔵室2の冷却中に低温となった伝熱板(第2冷却器)200と冷蔵室第三送風経路を流れる冷蔵室2内の空気を熱交換させることで、冷蔵室2の温度上昇を抑える効果がある。
【0107】
また、伝熱板(第2冷却器)200の冷却中に発生した結露又は着霜した水分を冷蔵室2内の空気中に蒸発させることで冷蔵室2の水分を多くすることができる。この運転により、冷蔵室の急激な温度上昇を防ぎ、さらに、高い湿度の冷蔵室2を実現することができるため、食品劣化を抑制することができる。
【0108】
オフサイクル運転は、冷蔵室2の比較的高温な空気と伝熱板(第2冷却器)200を熱交換させるため、除霜としても一定の効果がある。しかし、冷蔵室2の温度上昇防止と高湿化を主目的とする場合は、伝熱板(第2冷却器)200についた霜を必ずしも全て融解させなくてもよい。ただし、この場合、伝熱板(第2冷却器)200のより確実な除霜手段を備える必要がある。
【0109】
時刻tでは「T≦TF_off」となることで冷凍室ダンパ170が閉となり(工程S-9)、冷凍室60の冷却が終了する。
【0110】
時刻tでは「TDR≧TDR_off」となることでオフサイクル運転が終了し、冷蔵室ファン9bが停止する(工程S-15)。
【0111】
時刻t10ではtと同様に「T≧TR_start」となり、圧縮機24と冷凍室ファン9aが駆動し(工程S-2)、再び基本冷却運転が開始する。
【0112】
以上は、本実施形態の冷蔵庫1の冷却運転の一例の説明であり、必ずしも以上の運転に限定されるものではない。
【0113】
次に、本実施形態の冷蔵庫1の除霜運転について説明する。図10は、本実施形態の冷蔵庫1の除霜運転の基本制御を示すフローチャートである。
【0114】
本実施形態の冷蔵庫1の除霜運転の開始条件は複数あるが、図8の冷却運転中に、例えば圧縮機24の運転開始からの積算時間が所定値になり、除霜運転の開始と判定されると(工程S-22でYes判断)、図10に示される除霜運転を開始する。
【0115】
除霜運転を開始後、冷凍室60を通常よりも低温まで冷却するプリクール運転を開始する(工程S2-1)。プリクール運転は、所定時間Δtd1(例えば30分)が経過、或いは冷凍室温度Tが通常の所定温度TF_offよりも低温のプリクール運転終了温度TF_off2以下(例えば-24℃以下)になると終了し(工程S2-2)、圧縮機24を停止し、冷凍室ファン9aと除霜ヒータ21に通電する(工程S2-3)。
【0116】
除霜ヒータ21に通電を開始した後、「工程S2-4」から「工程S2-9」を繰り返すことでダンパとファンを制御する。
【0117】
除霜ヒータ21に通電を開始した後、冷却器温度TDFが融解温度である0度より十分高い所定の温度である伝熱板除霜終了温度TDR2_off以下(例えば5℃以下)か否かを判定する(工程S2-4)。「TDF≦TDR2_off」である場合は、冷蔵室第1ダンパ151を閉じ、冷蔵室第2ダンパ152を開いて、冷蔵室ファン9bを駆動する(工程S2-5)。
【0118】
次に、冷却器温度TDFがTDR1_offより低い所定の温度である第1送風経路を用いた除霜温度TDF_off以下(例えば1℃以下)か否かを判定する(工程S2-6)。「TDF≦TDR1_off」である場合は、冷蔵室第1ダンパ151を開、冷蔵室第2ダンパ152を閉とし、冷蔵室ファン9bを駆動する(工程S2-7)。
【0119】
伝熱板温度TDRがTDR2_off以上か否かを判定し(工程S2-8)、「TDR≧TDR2_off」である場合は、冷蔵室第1ダンパ151、及び冷蔵室第2ダンパ152を閉じ、冷凍室ファン9a、及び冷蔵室ファン9bを停止する(工程S2-9)。
【0120】
以上の操作を冷却器温度TDFが冷却器除霜終了温度TDF_off以上、且つ、伝熱板温度TDRが伝熱板除霜終了温度TDR2_off以上となるまで繰り返す(工程S2-10)。
【0121】
これら「工程S2-4」から「工程S2-10」を繰り返すことにより、除霜ヒータ21により加温された空気を、空気温度に応じて適切な送風経路110、120に送風することができ、伝熱板(第2冷却器)200の除霜を行うことができる。
【0122】
「工程S2-10」でYes判断となった後、除霜ヒータ21を停止し(工程S2-11)、続けて除霜ヒータ21の停止後は、排水時間Δtd2(例えば3分)が経過した後(工程S2-12)に除霜運転を終了する。
【0123】
図11は、本実施形態の冷蔵庫1の除霜運転中の温度変化の一例を示すグラフである。本図の横軸において、
(1)td0はプリクール運転の開始時刻、
(2)td1は冷凍室温度Tが下限温度のTF_offに達する時刻、
(3)td2は冷却器温度TDFが冷蔵室第1送風経路による伝熱板除霜終了温度のTDR1_offに達する時刻、
(4)td3は伝熱板温度TDRが伝熱板除霜終了温度TDR2_offになる時刻、
(5)td4は冷却器温度TDFが冷却器除霜終了温度TDF_offになる時刻、
(6)td5は除霜運転が終了した後、排水時間Δtd2経過した時刻
を示している。
【0124】
時刻td0では、除霜運転の開始が判定され、プリクール運転が開始する(工程S2-1)。プリクール運転では、圧縮機24と冷凍室ファン9aが駆動し、冷凍室60が冷却されるため、冷凍室60の温度は低下する。
【0125】
時刻td1では、T≦TF_off2が判定され(工程S2-2)、プリクール運転が終了し、圧縮機24が停止し、冷凍室ダンパ170が閉鎖状態となり、除霜ヒータ21が駆動する(工程S2-3)。また、同時にTDF≦TDR1_offであるため、冷蔵室第1ダンパ151が開放状態となり、冷蔵室ファン9bが駆動する(工程S2-7)。
【0126】
これにより、除霜ヒータ21により加温された空気は冷蔵室第1送風経路を介し伝熱板(第2冷却器)200に送風される。第1冷却器14は除霜ヒータ21により加温され、温度が徐々に上昇し、融解温度(0℃)になると、第1冷却器14に付着した霜が融解する。
【0127】
伝熱板(第2冷却器)200の温度に比べ第1冷却器14の温度が低い場合は、伝熱板(第2冷却器)200の温度が低下し、伝熱板(第2冷却器)200の温度に比べ第1冷却器14の温度が高い場合は、伝熱板(第2冷却器)200の温度が上昇し、融解温度(0℃)になると、伝熱板(第2冷却器)200に付着した霜が融解する。第1冷却器14と伝熱板(第2冷却器)200に加えられた熱は、霜の融解に使用されるため霜が完全に融解するまでは、第1冷却器14と伝熱板(第2冷却器)200は0℃で一定となる。
【0128】
また、除霜開始時点では、第1冷却器14冷蔵室2内の空気温度に比べ十分に低温である。このため、除霜ヒータ21により加温された空気は第1冷却器14により再度冷却され、冷蔵室2に送風されるため、冷蔵室2の空気温度を維持もしくは低下させる。
【0129】
時刻td2では、「TDF≧TDR1_off」且つ「TDF≦TDR2_off」となるため、冷蔵室第1ダンパ151が閉鎖状態となる(工程S2-5)。
【0130】
これにより、除霜ヒータ21により加温された空気は冷蔵室第2送風経路を介し、伝熱板(第2冷却器)200に送風される。このとき、第1冷却器14の温度は十分上昇しており、除霜ヒータ21により加温された空気は第1冷却器14を通過した後も高温となる。この高温空気を、冷蔵室第2送風経路を介して伝熱板(第2冷却器)200に送風することで伝熱板(第2冷却器)200の温度が上昇する。
【0131】
また、このとき高温空気を冷蔵室2に送風することなく伝熱板(第2冷却器)200の温度を上昇させることができ、冷蔵室2温度の過度な上昇を抑えることができる。
【0132】
時刻td3では、「TDR≧TDR2_off」となるため、伝熱板(第2冷却器)200の除霜が終了したと判定し、冷蔵室第2ダンパ152を閉鎖状態にし、冷凍室ファン9a、及び冷蔵室ファン9bを停止する(工程S2-9)。これにより、除霜ヒータ21は第1冷却器14のみを加温する。
【0133】
時刻td4では、「TDR≧TDR2_off」且つ「TDF≧TDF_off」となるため、除霜ヒータ21を停止する(工程S2-11)。
【0134】
時刻td5では、除霜ヒータ21が終了後、排水時間Δtd2が経過した後、除霜運転を終了する。
【0135】
以上で、本実施形態の冷蔵庫1の構成を説明したが、次に、本実施形態の冷蔵庫1の奏する効果について説明する。
【0136】
本実施形態の冷蔵庫1では、第1冷却部である第1冷却器14と、少なくとも第1冷却部を加熱する発熱部である除霜ヒータ21と、第1冷却器14を収容する冷却器室8からの空気が流れる冷蔵室第1風路110、又は冷蔵室第2風路120と、冷蔵室第1風路110、又は冷蔵室第2風路120を通過した空気が流れる領域に配された第2冷却部である伝熱板200が備えられている。
【0137】
伝熱板(第2冷却器)200は冷却運転中に、冷蔵室2内の空気の露点以下又は霜点以下に冷却されるため伝熱板(第2冷却器)200には結露又は着霜が生じる。伝熱板(第2冷却器)200の結露又は着霜状態の解消のため、除霜ヒータ21に通電しているときに、冷却器室8内で加温された空気を風路(本実施形態では、冷蔵室第1風路110、又は冷蔵室第2風路120)を介して伝熱板(第2冷却器)200に送風する。
【0138】
これにより、第2冷却部である伝熱板(第2冷却器)200に専用のヒータを備えることなく、伝熱板(第2冷却器)200の確実な除霜を達成し、本実施形態の冷蔵庫1は、より信頼性の高い冷蔵庫となる。
【0139】
本実施形態の冷蔵庫1では、冷凍室ファン9a下流に配される冷凍室ファン吐出風路195と、冷凍室60に吹き出す冷気が流れる冷凍室風路100との間に、風路抵抗調整手段である冷凍室ダンパ170を備えている。
【0140】
冷凍室ダンパ170を閉とすることで、除霜ヒータ21の通電時に除霜ヒータ21により加温された空気が冷凍室60内に流入することを防ぐことができる。これにより、除霜運転中における冷凍室60の温度上昇を抑えることができ、本実施形態の冷蔵庫1は、冷凍室60内の食品劣化を抑制できる冷蔵庫となる。
【0141】
また、本実施形態の冷蔵庫1では、伝熱板(第2冷却器)200に伝熱板温度センサ201が備えられており、伝熱板温度センサ201の検出する温度が霜の融解温度である「0度」以上である所定温度以上になった場合、冷凍室ファン9aを停止する。
【0142】
これにより、霜の確実な除霜を検出することができ、より信頼性の高い冷蔵庫を提供することができる。また、伝熱板(第2冷却器)200の不必要な昇温を抑制することができ、本実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵室内の温度上昇に伴う食品劣化を抑制できる冷蔵庫となる。
【0143】
本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵室第1風路110は伝熱板(第2冷却器)200を風路の一面に備え、冷却器室8と冷蔵室2に連通する風路であり、除霜運転中に第1冷却器14の霜や融解水の水分により加湿され高湿(絶対湿度が高い)となった空気を冷蔵室2内に送出することができる。これにより、伝熱板(第2冷却器)200を除霜するとともに冷蔵室2内の湿度を高めることができ、本実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵室2内の食品劣化を抑制できる冷蔵庫となる。
【0144】
本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵室第2風路120は伝熱板(第2冷却器)200を風路上に備え、冷却器室8と連通し、冷蔵室2と連通しない風路であり、除霜運転中に除霜ヒータ21の加熱により高温になった空気を冷蔵室2内に送出することなく伝熱板(第2冷却器)200に送風することができる。
【0145】
これにより、冷蔵室2内の温度を不必要に高めることなく伝熱板(第2冷却器)200を除霜することができ、本実施形態の冷蔵庫1は、伝熱板(第2冷却器)200のより確実な除霜ができる冷蔵庫となるとともに、冷蔵室2内の食品劣化を抑制できる冷蔵庫となる。
【0146】
また、本実施形態の冷蔵庫1では、伝熱板(第2冷却器)200を風路の一面に備えた冷却器室8と冷蔵室2に連通する風路である冷蔵室第1風路110と伝熱板(第2冷却器)200を風路の一面に備えた冷却器室8と連通し、冷蔵室2と連通しない風路である冷蔵室第2風路120を備え、それぞれの風路に冷蔵室第1ダンパ151と冷蔵室第2ダンパ152を備える。更に、除霜運転中にこれら2つのダンパの開閉状態を切り替えることで冷蔵室2内の湿度を高める効果と冷蔵室2内の不必要な温度上昇を抑える効果を両方得ることができる。
【0147】
具体的には、第1冷却器14の温度が冷蔵室内の温度より十分低い温度であるTDR1_offより低い場合には、冷蔵室第1ダンパ151を開いて、冷蔵室第2ダンパ152を閉じることで、冷却器室8内の空気が高湿で冷蔵室2の温度より低い空気を冷蔵室第1風路110より冷蔵室に送風することができ、冷蔵室2を高湿にすることができる。
【0148】
更に、第1冷却器14の温度が上昇し、第1冷却器14の温度がTDR1_offより高い場合には、冷蔵室第1ダンパ151を閉、冷蔵室第2ダンパ152を開とすることで、比較的高温な空気を冷蔵室2に送風することなく、伝熱板(第2冷却器)200に送風することができ、冷蔵室2の温度を不必要に上昇させることなく伝熱板(第2冷却器)200のより確実な除霜ができる。
【0149】
これにより、本実施形態の冷蔵庫1は冷蔵室2の湿度を高めて食品劣化を抑制することができ、また、冷蔵室2の温度を不必要に上昇させることなく伝熱板(第2冷却器)200の確実な除霜を達成できる冷蔵庫となる。
【0150】
尚、上述した実施形態では、冷蔵室第1風路110、冷蔵室第2風路120、及び伝熱板(第2冷却器)200は、冷蔵室2の背面に設けられているが、野菜室6の背面に、同様の構成の野菜室第1風路、野菜室第2風路、及び伝熱板(第2冷却器)を設けることも可能である。
【0151】
以上の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることも可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を適宜に加えることも可能である。本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。また、説明した機構や構成は必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0152】
1…冷蔵庫、2…冷蔵室、3…製氷室、4…上段冷凍室、5…下段冷凍室、6…野菜室、8…冷却器室、9a…冷凍室ファン、9b…冷蔵室ファン、10…断熱箱体、10a…外箱、10b…内箱、14…冷却器、24…圧縮機、25…真空断熱材、27、28…断熱仕切壁、29、30…仕切部、39…機械室、41…冷蔵室温度センサ、43…冷凍室温度センサ、44…野菜室温度センサ、45…冷凍室戻り口温度センサ、47…冷蔵室第1戻り口温度センサ、49…冷蔵室下部温度センサ形態では、60…冷凍室、100…冷凍室風路、104…冷凍室戻り風路、105…冷凍室戻り口、110…冷蔵室第1風路、111…冷蔵室吐出し口、115…冷蔵室第1戻り口、120…冷蔵室第2風路、130…冷蔵室戻り風路、131…冷蔵室第2戻り口、151…冷蔵室第1ダンパ、152…冷蔵室第2ダンパ、160…野菜室ダンパ、170…冷凍室ダンパ、195…冷凍室ファン吐出風路、200…伝熱板、201…伝熱板温度センサ。
図1
図2
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図12