(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175096
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/217 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H03F3/217
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087371
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】西島 克俊
(72)【発明者】
【氏名】飯島 淳司
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA24
5J500AA66
5J500AC04
5J500AC57
5J500AC86
5J500AC87
5J500AF11
5J500AF16
5J500AH09
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH39
5J500AK42
5J500AK65
5J500AK66
5J500AM09
5J500AQ04
5J500AT01
5J500PF03
5J500PF06
5J500PG07
5J500WU05
(57)【要約】
【課題】パンピング発生時の高電位ラインおよび低電位ラインにおける電圧変動を軽減しつつ製造コストを低減する。
【解決手段】D級増幅回路10と、正電位ラインLPとグランドラインLGとの間に配置されたコンデンサC1と、グランドラインLGと負電位ラインLMとの間に配置されたコンデンサC2と、ラインLP,LMにおける電圧変動を軽減する電圧変動軽減回路20とを備え、電圧変動軽減回路20は、ラインLP,LMの電圧を監視して過電圧を検出する過電圧検出回路22と、ラインLPにおける過電圧が検出されたときに作動してコンデンサC1の電荷を放電する半導体スイッチS3と、ラインLMにおける過電圧が検出されたときに作動してコンデンサC2の電荷を放電する半導体スイッチS4と、半導体スイッチS3,S4の作動時に双方を流れる電流I2,I4で駆動されるファンF1,F2とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位に接続される高電位ラインおよび低電位に接続される低電位ラインの間に配置され、かつ交互にオン/オフ駆動される高電位側半導体スイッチおよび低電位側半導体スイッチを備えてハーフブリッジ型に構成されると共にD級で動作するD級増幅回路と、
前記高電位ラインと前記高電位および前記低電位の間の中間電位に接続される中間電位ラインとの間に配置された高電位側コンデンサと、
前記中間電位ラインと前記低電位ラインとの間に配置された低電位側コンデンサと、
前記高電位ラインおよび前記低電位ラインにおける電圧変動を軽減する電圧変動軽減回路とを備え、
前記電圧変動軽減回路は、前記高電位ラインおよび前記低電位ラインの電圧を監視して過電圧を検出する過電圧検出回路と、前記過電圧検出回路によって前記高電位ラインにおける過電圧が検出されたときに作動して前記高電位側コンデンサの電荷を放電する高電位側放電用半導体スイッチ回路と、前記過電圧検出回路によって前記低電位ラインにおける過電圧が検出されたときに作動して前記低電位側コンデンサの電荷を放電する低電位側放電用半導体スイッチ回路とを備えている増幅装置であって、
前記電圧変動軽減回路は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路および前記低電位側放電用半導体スイッチ回路のうちの少なくとも一方の作動時に当該少なくとも一方を流れる電流で駆動されるファン装置を備えている増幅装置。
【請求項2】
前記ファン装置は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路の作動時に当該高電位側放電用半導体スイッチ回路を流れる電流で駆動される第1ファン、および前記低電位側放電用半導体スイッチ回路の作動時に当該低電位側放電用半導体スイッチ回路を流れる電流で駆動される第2ファンを備えて構成されている請求項1記載の増幅装置。
【請求項3】
前記高電位側放電用半導体スイッチ回路および前記低電位側放電用半導体スイッチ回路は、フルブリッジ型に構成され、
前記ファン装置は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路の作動時に当該高電位側放電用半導体スイッチ回路を流れる電流、および前記低電位側放電用半導体スイッチ回路の作動時に当該低電位側放電用半導体スイッチ回路を流れる電流の双方で駆動される請求項1記載の増幅装置。
【請求項4】
前記ファン装置は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路および低電位側放電用半導体スイッチ回路の少なくとも一方に向けて送風可能な位置に配設されている請求項1から3のいずれかに記載の増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D級増幅回路と電圧変動軽減回路とを備えた増幅装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の増幅装置として下記の非特許文献に開示されている増幅装置が知られている。
図5に示すように、増幅装置1Xは、コンデンサC1,C2、D級増幅回路10および電圧変動軽減回路20Xを備えて構成されている。
【0003】
この場合、コンデンサC1は、正電位VDDに接続される正電位ラインLPとグランドに接続されるグランドラインLGとの間に配置され、コンデンサC2は、グランドラインLGと負電位VSSに接続される負電位ラインLMとの間に配置されている。
【0004】
D級増幅回路10は、正弦波信号Ssを生成する信号生成回路11と、信号生成回路11から出力された正弦波信号Ssに基づいて後述する半導体スイッチS1,S2を駆動するためのパルス状の駆動信号VH,VLを生成する駆動回路12と、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの間に配置され、かつ交互にオン/オフ駆動される正電位側の半導体スイッチS1および負電位側の半導体スイッチS2を備えてハーフブリッジ型に構成されると共にD級で動作するスイッチ回路13と、インダクターLfおよびコンデンサCfで構成されるローパスフィルター回路14とを備えて構成されている。
【0005】
電圧変動軽減回路20Xは、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの間に直列に配置された半導体スイッチS3,S4からなるスイッチ回路21と、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの間に直列に配置された抵抗R1,R2からなり、両抵抗R1,R2の接続点が各半導体スイッチS3,S4のゲートに接続された過電圧検出回路22とを備えて構成されている。
【0006】
この増幅装置1Xでは、D級増幅回路10が駆動回路12から出力された駆動信号VH,VLに従い、交互にオン/オフ制御されてD級増幅して矩形波信号をローパスフィルター回路14に出力する。この際に、ローパスフィルター回路14は、低域周波数だけを通過させて正弦波の出力信号Soを負荷(同図では、抵抗Ro)に出力する。
【0007】
この場合、D級増幅回路10がD級増幅を行うときに、パンピングが発生する。このパンピングとは、スイッチ回路13の正負の電位(VDD,VSS)が一定電圧でなくなることをいい、スイッチ回路13がハーフブリッジ構成であって、駆動信号VH,VL(つまり出力信号So)の周波数が低いときほど起こり易い。具体的には、半導体スイッチS1がオン制御された際に、負電位ラインLMに接続されているコンデンサC2に電流が流入して充電されることにより、コンデンサC2のマイナス端子の電位が負電位VSSの電圧よりもさらに負側に低下する。つまり、この際には、負電位ラインLMにマイナス電位の過電圧が発生する。一方、半導体スイッチS2がオン制御された際には、正電位ラインLPに接続されているコンデンサC1に電流が流入して充電されることにより、コンデンサC1のプラス端子の電位が正電位VDDの電圧よりもさらに正側に上昇する。つまり、この際には、正電位ラインLPにプラス電位の過電圧が発生する。
【0008】
したがって、パンピングが発生したときには、出力信号Soの信号レベルが本来出力すべき信号レベルから変動するだけでなく、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMに接続されている電源回路や、半導体スイッチS1,S2が破損するという事態を招くことがある。このため、この増幅装置1Xでは、過電圧検出回路22が、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMに生じる過電圧を検出して半導体スイッチS3,S4のオン/オフを制御する。具体的には、正電位ラインLPに過電圧が生じたときには、過電圧検出回路22によって検出される電圧が上昇して半導体スイッチS3のゲート電圧が上昇する。この結果、半導体スイッチS3が作動してコンデンサC1に蓄積されている電荷を放電させることにより、コンデンサC1のプラス端子の電位、つまり正電位ラインLPの電圧を正電位VDD近傍まで低下させる。一方、負電位ラインに過電圧が生じたときには、過電圧検出回路22によって検出される電圧が低下して半導体スイッチS4のゲート電圧が低下する。この結果、半導体スイッチS4が作動してコンデンサC2に蓄積されている電荷を放電させることにより、コンデンサC2のマイナス端子の電位、つまり負電位ラインLMの電圧を負電位VSS近傍まで上昇させる。この結果、この増幅装置1Xでは、パンピング発生時の正電位ラインLPおよび負電位ラインLMにおける電圧変動を軽減することが可能となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】本田潤著 D級/ディジタルアンプの設計と製作 CQ出版社 2004年11月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、従来の増幅装置1Xでは、半導体スイッチS3,S4が飽和領域で動作しているため、半導体スイッチS3,S4が発熱する。特に、正電位VDDや負電位VSSが高電圧のときや、大きな電流を半導体スイッチS3,S4に流すときには、発熱量が膨大となり、さらに低周波数の出力信号Soを生成するときには、発熱量が一層膨大となる。したがって、半導体スイッチS3,S4として耐電力の大きなものを用いたり、放熱用のヒートシンクを大きなものとする必要があるため、電圧変動軽減回路20Xの製造コスト、ひいては増幅装置1Xの製造コストが大幅に上昇しているという問題点がある。
【0011】
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、パンピング発生時の高電位ラインおよび低電位ラインにおける電圧変動を軽減しつつ、高電位側放電用半導体スイッチ回路や低電位側放電用半導体スイッチ回路の発熱を抑制することにより、製造コストを低減し得る増幅装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る増幅装置は、高電位に接続される高電位ラインおよび低電位に接続される低電位ラインの間に配置され、かつ交互にオン/オフ駆動される高電位側半導体スイッチおよび低電位側半導体スイッチを備えてハーフブリッジ型に構成されると共にD級で動作するD級増幅回路と、前記高電位ラインと前記高電位および前記低電位の間の中間電位に接続される中間電位ラインとの間に配置された高電位側コンデンサと、前記中間電位ラインと前記低電位ラインとの間に配置された低電位側コンデンサと、前記高電位ラインおよび前記低電位ラインにおける電圧変動を軽減する電圧変動軽減回路とを備え、前記電圧変動軽減回路は、前記高電位ラインおよび前記低電位ラインの電圧を監視して過電圧を検出する過電圧検出回路と、前記過電圧検出回路によって前記高電位ラインにおける過電圧が検出されたときに作動して前記高電位側コンデンサの電荷を放電する高電位側放電用半導体スイッチ回路と、前記過電圧検出回路によって前記低電位ラインにおける過電圧が検出されたときに作動して前記低電位側コンデンサの電荷を放電する低電位側放電用半導体スイッチ回路とを備えている増幅装置であって、前記電圧変動軽減回路は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路および前記低電位側放電用半導体スイッチ回路のうちの少なくとも一方の作動時に当該少なくとも一方を流れる電流で駆動されるファン装置を備えている。
【0013】
この増幅装置によれば、高電位側放電用半導体スイッチ回路や低電位側放電用半導体スイッチ回路の発熱を抑制することができるため、パンピング発生時の高電位ラインおよび低電位ラインにおける電圧変動を軽減しつつ、低耐電力タイプの半導体スイッチを高電位側放電用半導体スイッチ回路や低電位側放電用半導体スイッチ回路に使用したり、高電位側放電用半導体スイッチ回路や低電位側放電用半導体スイッチ回路用のヒートシンクを小型化することができる結果、電圧変動軽減回路の製造コスト、ひいては、増幅装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0014】
また、本発明に係る増幅装置は、前記ファン装置は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路の作動時に当該高電位側放電用半導体スイッチ回路を流れる電流で駆動される第1ファン、および前記低電位側放電用半導体スイッチ回路の作動時に当該低電位側放電用半導体スイッチ回路を流れる電流で駆動される第2ファンを備えて構成されている。この増幅装置によれば、高電位側放電用半導体スイッチ回路および低電位側放電用半導体スイッチ回路の双方の発熱を分散することができる結果、高電位側放電用半導体スイッチ回路および低電位側放電用半導体スイッチ回路の発熱を確実に抑制することができる。
【0015】
また、本発明に係る増幅装置は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路および前記低電位側放電用半導体スイッチ回路は、フルブリッジ型に構成され、前記ファン装置は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路の作動時に当該高電位側放電用半導体スイッチ回路を流れる電流、および前記低電位側放電用半導体スイッチ回路の作動時に当該低電位側放電用半導体スイッチ回路を流れる電流の双方で駆動される。この増幅装置によれば、ファン装置を1つのファンで構成できるため、電圧変動軽減回路の製造コスト、ひいては、増幅装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0016】
また、本発明に係る増幅装置は、前記ファン装置は、前記高電位側放電用半導体スイッチ回路および低電位側放電用半導体スイッチ回路の少なくとも一方に向けて送風可能な位置に配設されている。この増幅装置によれば、ファン装置が高電位側放電用半導体スイッチ回路および低電位側放電用半導体スイッチ回路の少なくとも一方に向けて送風可能な位置に配設されているため、半導体スイッチを十分に冷却することができる結果、発熱による半導体スイッチの故障を有効に回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
本願発明に係る増幅装置によれば、パンピング発生時の高電位ラインおよび低電位ラインにおける電圧変動を軽減しつつ、高電位側放電用半導体スイッチ回路や低電位側放電用半導体スイッチ回路の発熱を抑制することができるため、電圧変動軽減回路の製造コストを低減することができる結果、増幅装置の製造コストを十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】増幅装置1の動作を説明するための波形図であって、(a)は駆動信号VH,VLの波形図であり、(b)は出力信号Soの波形図であり、(c)は正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの電圧波形図である。
【
図3】増幅装置1における半導体スイッチS3,S4およびファンF1,F2などの配置状態を示す構成図である。
【
図5】従来の増幅装置1Xの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る増幅装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来の増幅装置1Xにおける構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
【0020】
最初に第1の実施例について説明する。
【0021】
図1に示す増幅装置1は、D級増幅回路10、コンデンサC1,C2および電圧変動軽減回路20を備えて構成されている。
【0022】
コンデンサC1は、高電位側コンデンサの一例であって、例えば、電解コンデンサで構成されて、正電位VDD(高電位の一例)に接続される高電位ラインとしての正電位ラインLPと、グランド(中間電位の一例)に接続される中間電位ラインとしてのグランドラインLGとの間に配置されている。また、コンデンサC1のプラス端子が正電位ラインLPに接続されると共にマイナス端子がグランドラインLGに接続されている。コンデンサC2は、低電位側コンデンサの一例であって、例えば、電解コンデンサで構成されて、グランドラインLGと負電位VSS(低電位の一例)に接続される低電位ラインとしての負電位ラインLMとの間に配置されている。また、コンデンサC2のプラス端子がグランドラインLGに接続されると共にマイナス端子が負電位ラインLMに接続されている。
【0023】
D級増幅回路10は、信号生成回路11、駆動回路12、スイッチ回路13およびローパスフィルター回路14を備えて構成されている。
【0024】
信号生成回路11は、発振回路で構成されて、例えば、正弦波信号Ssを生成して駆動回路12に出力する。駆動回路12は、内部で発生させた三角波信号(のこぎり波信号)と入力した正弦波信号Ssとに基づいて、スイッチ回路13を駆動するPWM変調信号であるパルス状の駆動信号VH,VLを生成する。
【0025】
スイッチ回路13は、PチャネルFETである高電位側半導体スイッチ(ハイサイドスイッチ)としての半導体スイッチS1と、NチャネルFETである低電位側半導体スイッチ(ローサイドスイッチ)としての半導体スイッチS2とで構成されている。この場合、半導体スイッチS1のソースが正電位ラインLPに接続され、半導体スイッチS1,S2の各ドレインが互いに接続され、かつ半導体スイッチS2のソースが負電位ラインLMに接続されることにより、両半導体スイッチS1,S2が正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの間に配置されてハーフブリッジ型に構成されている。また、各半導体スイッチS1,S2の各ゲートが駆動回路12に接続されることにより、各半導体スイッチS1,S2は、駆動回路12から出力される駆動信号VH,VLに従って交互にオン/オフ駆動されることでD級で動作する。なお、NチャネルFETを半導体スイッチS1に用いる構成を採用することもできる。
【0026】
ローパスフィルター回路14は、インダクターLfおよびコンデンサCfを備えて構成されている。このローパスフィルター回路14は、スイッチ回路13から出力される矩形波信号である出力信号を入力すると共に高域周波数の通過を遮断すると共に低域周波数を通過させることにより、正弦波の出力信号Soを負荷(抵抗Ro)に出力する。
【0027】
電圧変動軽減回路20は、スイッチ回路21、過電圧検出回路22、抵抗器23,24およびファンF1,F2を備えて構成されている。
【0028】
スイッチ回路21は、高電位側放電用半導体スイッチ回路を構成するNチャネルFETである半導体スイッチS3と、低電位側放電用半導体スイッチ回路を構成するPチャネルFETである半導体スイッチS4とで構成されている。この場合、半導体スイッチS3のドレインが正電位ラインLP側に配置されたファンF1の電流出力側端子に接続され、ソースがグランドラインLGに接続され、かつゲートが後述する抵抗R1,R2の接続点に接続されている。また、半導体スイッチS4のドレインが負電位ラインLM側に配置されたファンF2の電流入力側端子に接続され、ソースがグランドラインLGに接続され、かつゲートが抵抗R1,R2の接続点に接続されている。この場合、半導体スイッチS3が、過電圧検出回路22によって正電位ラインLPにおける過電圧が検出されたときに作動してコンデンサC1の電荷を放電する。また、半導体スイッチS4が、過電圧検出回路22によって負電位ラインLMにおける過電圧が検出されたときに作動してコンデンサC2の電荷を放電する。
【0029】
過電圧検出回路22は、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの間に直列接続された抵抗R1,R2で構成されて、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの電圧を監視して過電圧を検出する。この場合、抵抗R1の一端が正電位ラインLPに接続され、抵抗R1の他端と抵抗R2の一端が接続され、かつ抵抗R2の他端が負電位ラインLMに接続されている。また、抵抗R1の他端と抵抗R2の一端との接続点は、半導体スイッチS3,S4のゲートに接続されている。
【0030】
ファンF1,F2は、ファン装置を構成する。この場合、ファンF1は、抵抗器23と半導体スイッチS3のドレインとの間に接続されて、半導体スイッチS3の作動時に半導体スイッチS3を流れる電流で駆動される。また、その際に、ファンF1は、半導体スイッチS3で消費される電力の一部を消費することにより、半導体スイッチS3での発熱を軽減(分散)する。一方、ファンF2は、半導体スイッチS4のドレインと抵抗器24との間に接続されて、半導体スイッチS4の作動時に半導体スイッチS4を流れる電流で駆動される。また、その際に、ファンF2は、半導体スイッチS4で消費される電力の一部を消費することにより、半導体スイッチS4での発熱を軽減(分散)する。
【0031】
また、
図3に示すように、ファンF1は、増幅装置1のシャーシ2に取り付けられおり、シャーシ2内に設けられたプリント配線板3上に配置されてヒートシンク4に取り付けられた半導体スイッチS3とプリント配線板3に配置された抵抗器23とに向けて送風可能な位置に配設されている。一方、ファンF2は、シャーシ2に取り付けられおり、同じくプリント配線板3上に配置されてヒートシンク4に取り付けられた半導体スイッチS4とプリント配線板3に配置された抵抗器24とに向けて送風可能な位置に配設されている。この場合、本例では、ファン装置は、半導体スイッチS3(高電位側放電用半導体スイッチ回路の一例)および半導体スイッチS4(低電位側放電用半導体スイッチ回路の一例)の少なくとも一方の例としての双方に向けて送風可能な位置に配設されている。なお、同図は、シャーシ2を透視した状態で各構成要素を図示している。
【0032】
抵抗器23は、正電位ラインLPとファンF1の電流入力端子との間に接続されて、半導体スイッチS3を電流が流れる際に、その電流を通過させて半導体スイッチS3で消費される電力の一部を消費することにより、半導体スイッチS3での発熱を軽減(分散)する。一方、抵抗器24は、ファンF2の電流出力端子と負電位ラインLMとの間に接続されて、半導体スイッチS4を電流が流れる際に、その電流を通過させて半導体スイッチS4で消費される電力の一部を消費することにより、半導体スイッチS4での発熱を軽減(分散)する。
【0033】
次に、
図1,2を参照して、増幅装置1の動作について説明する。
【0034】
最初に、
図1に示す駆動回路12が、信号生成回路11から出力された正弦波信号Ssを入力すると共に、
図2(a)に示す負電圧の矩形波状の駆動信号VLを半導体スイッチS1に出力する。この際に、半導体スイッチS2がオフ状態を維持しつつ、半導体スイッチS1は、オン状態となってD級動作を開始する。この場合、
図1に実線で示すように、正電位ラインLPから、半導体スイッチS1のソースおよびドレイン、ローパスフィルター回路14、抵抗Ro、グランド並びにコンデンサC2を介して負電位ラインLMに至る経路で電流I1が流れる。この結果、
図2(b)に示すように、正電圧で正弦波の出力信号Soが抵抗Roに出力される。同時に、電流I1が流入してコンデンサC2が充電されるため、負電位ラインLMの電位が負電位VSSの電位よりも徐々に低下する。したがって、同図(c)に破線で示すように、電圧変動軽減回路20による電圧変動軽減が行われないときには、負電位ラインLMの電位が負電位VSSの電位よりも大きく低下してパンピングが発生する。
【0035】
一方、
図1に示す増幅装置1では、過電圧検出回路22が、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの間の電圧を抵抗R1および抵抗R2によって分圧して負電位ラインLMの過電圧を検出する。この際に、抵抗R1および抵抗R2によって分圧された電圧が半導体スイッチS4の作動時のしきい値電圧よりも低下したときに、半導体スイッチS4が作動することにより、
図1に破線で示すように、コンデンサC2のプラス端子、半導体スイッチS4のソースおよびドレイン、ファンF2並びに抵抗器24を介してコンデンサC2のマイナス端子に至る経路で電流I2が流れて、コンデンサC2に蓄積されていた電荷が放電される。このため、
図2(c)に実線で示すように、負電位ラインLMの電位は、負電位VSSよりも若干低下した程度の電位となり、この結果、負電位ラインLMの電位に対する電圧変動が軽減される。つまり、電圧変動軽減回路20による電圧変動軽減処理が実行される。
【0036】
この際に、電流I2が流れてファンF2が作動することにより、ファンF2において、電流I2によるエネルギーがファンF2の回転エネルギーに変換されてエネルギーが消費される。また、抵抗器24に電流I2が流れることにより、抵抗器24において、電流I2によるエネルギーが消費される。このため、ファンF2や抵抗器24が設けられていない構成では、半導体スイッチS4を電流I2が流れる際に、電流I2によるエネルギーが半導体スイッチS4内部で全て消費されていたのに対して、この増幅装置1では、電流I2によるエネルギーがファンF2、抵抗器24および半導体スイッチS4の3つで分散消費される。この結果、半導体スイッチS4の発熱が抑制されるため、半導体スイッチS4として、耐電力の小さなタイプを使用することができる。さらに、
図3に示すように、ファンF2による送風で半導体スイッチS4および抵抗器24が冷却されるため、半導体スイッチS4および抵抗器24として、耐電力のより小さなタイプを使用することができる。したがって、従来の増幅装置1Xでは、電流I2によるエネルギーが半導体スイッチS4において無駄に消費されていたのに対して、この増幅装置1では、電流I2によるエネルギーが半導体スイッチS4の冷却用エネルギーとして有効に利用される。
【0037】
一方、
図2(a)に示す正電圧の矩形波状の駆動信号VHが半導体スイッチS2に出力された際には、
図1に示す半導体スイッチS1がオフ状態を維持しつつ、半導体スイッチS2は、オン状態となってD級動作を開始する。この場合、
図1に一点鎖線で示すように、正電位ラインLPから、コンデンサC1、グランド、ローパスフィルター回路14、半導体スイッチS2のドレインおよびソースを介して負電位ラインLMに至る経路で電流I3が流れる。この結果、
図2(b)に示すように、負電圧で正弦波の出力信号Soが抵抗Roに出力される。同時に、電流I3が流入してコンデンサC1が充電されるため、正電位ラインLPの電位が正電位VDDの電位よりも徐々に上昇する。したがって、同図(c)に破線で示すように、電圧変動軽減回路20による電圧変動軽減が行われないときには、正電位ラインLPの電位が正電位VDDの電位よりも大きく上昇してパンピングが発生する。
【0038】
一方、この増幅装置1では、過電圧検出回路22が、正電位ラインLPおよび負電位ラインLMの間の電圧を抵抗R1および抵抗R2によって分圧して正電位ラインLPの過電圧を検出する。この際に、抵抗R1および抵抗R2によって分圧された電圧が半導体スイッチS3の作動時のしきい値電圧よりも上昇したときに、半導体スイッチS3が作動することにより、
図1に二点鎖線で示すように、コンデンサC1のプラス端子、抵抗器23、ファンF1並びに半導体スイッチS3のドレインおよびソースを介してコンデンサC1のマイナス端子に至る経路で電流I4が流れて、コンデンサC1に蓄積されていた電荷が放電される。このため、
図2(c)に実線で示すように、正電位ラインLPの電位は、正電位VDDよりも若干上昇した程度の電位となり、この結果、正電位ラインLPの電位に対する電圧変動が軽減される。つまり、電圧変動軽減回路20による電圧変動軽減処理が実行される。
【0039】
この際に、電流I4が流れてファンF1が作動することにより、ファンF1において、電流I4によるエネルギーがファンF1の回転エネルギーに変換されてエネルギーが消費される。また、抵抗器23に電流I4が流れることにより、抵抗器23において、電流I4によるエネルギーが消費される。このため、ファンF1や抵抗器23が設けられていない構成では、半導体スイッチS3を電流I4が流れる際に、電流I4によるエネルギーが半導体スイッチS3内部で全て消費されていたのに対して、この増幅装置1では、電流I4によるエネルギーがファンF1、抵抗器23および半導体スイッチS3の3つで分散消費される。この結果、半導体スイッチS3の発熱が抑制されるため、半導体スイッチS3として、耐電力の小さなタイプを使用することができる。さらに、
図3に示すように、ファンF1による送風で半導体スイッチS2および抵抗器23が冷却されるため、半導体スイッチS3および抵抗器23として、耐電力のより小さなタイプを使用することができる。したがって、従来の増幅装置1Xでは、電流I4によるエネルギーが半導体スイッチS3において無駄に消費されていたのに対して、この増幅装置1では、電流I4によるエネルギーが半導体スイッチS3の冷却用エネルギーとして有効に利用される。
【0040】
このように、この増幅装置1によれば、高電位側放電用半導体スイッチ回路としての半導体スイッチS3および低電位側放電用半導体スイッチ回路としての半導体スイッチS4を流れる電流で駆動されるファンF1,F2の双方の作動時に、半導体スイッチS3を流れる電流I4で駆動されるファンF1および半導体スイッチS4を流れる電流I2で駆動されるファンF2を備えて電圧変動軽減回路20を構成したことにより、半導体スイッチS3,S4の発熱を抑制することができるため、パンピング発生時の正電位ラインLPおよび負電位ラインLMにおける電圧変動を軽減しつつ、低耐電力タイプのFETを半導体スイッチS3,S4に使用したり、半導体スイッチS3,S4用のヒートシンク4を小型化することができる結果、電圧変動軽減回路20の製造コスト、ひいては、増幅装置1の製造コストを十分に低減することができる。
【0041】
また、ファン装置は、半導体スイッチS3の作動時に半導体スイッチS3を流れる電流I4で駆動されるファンF1、および半導体スイッチS4の作動時に半導体スイッチS4を流れる電流I2で駆動される第2ファンを備えてファン装置を構成したことにより、ファンF1,F2のいずれか一方で構成したファン装置と比較して、半導体スイッチS3,S4の双方の発熱を分散することができる結果、半導体スイッチS3,S4の発熱を確実に抑制することができる。
【0042】
また、ファンF1,F2が半導体スイッチS3,S4の双方に向けて送風可能な位置に配設されているため、半導体スイッチS3,S4を十分に冷却することができる結果、発熱による半導体スイッチS3,S4の故障を有効に回避することができる。
【0043】
次に、
図4を参照して、第2の実施例について説明する。
【0044】
図4に示す増幅装置1Aは、D級増幅回路10、コンデンサC1,C2および電圧変動軽減回路20Aを備えて構成されている。なお、以下の説明において、増幅装置1の構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0045】
電圧変動軽減回路20Aは、スイッチ回路25、過電圧検出回路26,27およびファンF3を備えて構成されている。
【0046】
スイッチ回路21は、4つのFETS5~S8によりフルブリッジ型に構成されている。具体的には、正電位ラインLPとグランドラインLGとの間にNチャネルFETである半導体スイッチS5とPチャネルFETである半導体スイッチS6とが直列に接続されると共に、グランドラインLGと負電位ラインLMとの間にNチャネルFETである半導体スイッチS7とPチャネルFETである半導体スイッチS8とが直列に接続されている。より具体的には、半導体スイッチS5のドレインが正電位ラインLPに接続され、半導体スイッチS5のソースと半導体スイッチS6のドレインが互いに接続され、かつ半導体スイッチS6のソースがグランドラインLGに接続されている。また、半導体スイッチS7のソースがグランドラインLGに接続され、半導体スイッチS7のドレインと半導体スイッチS8のソースが互いに接続され、かつ半導体スイッチS8のドレインが負電位ラインLMに接続されている。また、半導体スイッチS5,S7のゲートが、過電圧検出回路26に接続されると共に、半導体スイッチS6,S8のゲートが、過電圧検出回路27に接続されている。なお、半導体スイッチS5,S7が高電位側放電用半導体スイッチ回路を構成し、半導体スイッチS6,S8が低電位側放電用半導体スイッチ回路を構成する。
【0047】
過電圧検出回路26は、正電位ラインLPおよびグランドラインLGの間に接続されており、グランドラインLGの電位に対する正電位ラインLPの電位と予め規定されたしきい値電圧とを比較することにより、正電位ラインLPにおける過電圧の発生を検出すると共に検出時に半導体スイッチS5,S7のゲートに駆動信号を出力して半導体スイッチS5,S7を駆動する。過電圧検出回路27は、グランドラインLGおよび負電位ラインLMの間に接続されており、グランドラインLGの電位に対する負電位ラインLMの電位と予め規定されたしきい値電圧とを比較することにより、負電位ラインLMにおける過電圧の発生を検出すると共に検出時に半導体スイッチS6,S8のゲートに駆動信号を出力して半導体スイッチS6,S8を駆動する。
【0048】
ファンF3は、DCブラシレスモータで構成されてファン装置を構成する。また、ファンF3は、半導体スイッチS5のソースと半導体スイッチS7のドレインとの間(半導体スイッチS6のドレインと半導体スイッチS8のソースとの間)に接続されている。また、ファンF3は、図示はしないが、増幅装置1におけるファンF1,F2と同様にして、電圧変動軽減回路20Aにおけるスイッチ回路25(半導体スイッチS5~S8)に向けて送風可能な位置に配設されている。また、ファンF3は、半導体スイッチS5,S7の作動時に半導体スイッチS5,S7を流れる後述する電流I6、および半導体スイッチS6,S8の作動時に半導体スイッチS6,S8を流れる後述する電流I5の双方で駆動される。
【0049】
次に、
図4を参照して、増幅装置1Aの動作について説明する。なお、D級増幅回路10の動作については、増幅装置1におけるD級増幅回路10の動作と同様のため、説明を省略する。また、コンデンサC1のプラス端子およびコンデンサC2のマイナス端子にパンピングが発生する事象についても、増幅装置1におけるパンピングが発生する事象と同じため、その説明を省略する。
【0050】
コンデンサC2のマイナス端子にパンピングが発生した際には、過電圧検出回路27が、負電位ラインLMにおける過電圧を検出して駆動信号を出力する。次いで、半導体スイッチS6,S8は、駆動信号を入力してオン動作を開始する。この際に、
図4に実線で示すように、コンデンサC2のプラス端子、半導体スイッチS6のソースおよびドレイン、ファンF3並びに半導体スイッチS8のソースおよびドレインを介してコンデンサC2のマイナス端子に至る経路で電流I5が流れる。このため、負電位ラインLMの電位は、負電位VSSよりも若干低下した程度の電位となり、この結果、負電位ラインLMの電位に対する電圧変動が軽減される。つまり、電圧変動軽減回路20Aによる電圧変動軽減処理が実行される。
【0051】
この際に、電流I5が流れてファンF3が作動することにより、ファンF3において、電流I5によるエネルギーがファンF3の回転エネルギーに変換されてエネルギーが消費される。このため、ファンF3が設けられていない構成では、半導体スイッチS6,S8を電流I5が流れる際に、電流I5によるエネルギーが半導体スイッチS6,S8内部で全て消費されていたのに対して、この増幅装置1Aでは、電流I5によるエネルギーがファンF3および半導体スイッチS6,S8の3つで分散消費される。この結果、半導体スイッチS6,S8の発熱が抑制されるため、半導体スイッチS6,S8として、耐電力の小さなタイプを使用することができる。さらに、ファンF3による送風で半導体スイッチS6,S8が冷却されるため、半導体スイッチS6,S8として、耐電力のより小さなタイプを使用することができる。また、この増幅装置1Aでは、電流I5によるエネルギーが半導体スイッチS6,S8の冷却用エネルギーとして有効に利用される。
【0052】
一方、コンデンサC1のプラス端子にパンピングが発生した際には、過電圧検出回路26が、正電位ラインLPにおける過電圧を検出して駆動信号を出力する。次いで、半導体スイッチS5,S7は、駆動信号を入力してオン動作を開始する。この際に、
図4に破線で示すように、コンデンサC1のプラス端子、半導体スイッチS5のドレインおよびソース、ファンF3並びに半導体スイッチS7のドレインおよびソースを介してコンデンサC1のマイナス端子に至る経路で電流I6が流れる。このため、正電位ラインLPの電位は、正電位VDDよりも若干上昇した程度の電位となり、この結果、正電位ラインLPの電位に対する電圧変動が軽減される。つまり、電圧変動軽減回路20Aによる電圧変動軽減処理が実行される。
【0053】
この際に、電流I6が流れてファンF3が作動することにより、ファンF3において、電流I6によるエネルギーがファンF3の回転エネルギーに変換されてエネルギーが消費される。このため、ファンF3が設けられていない構成では、半導体スイッチS5,S7を電流I6が流れる際に、電流I6によるエネルギーが半導体スイッチS5,S7内部で全て消費されていたのに対して、この増幅装置1Aでは、電流I6によるエネルギーがファンF3および半導体スイッチS5,S7の3つで分散消費される。この結果、半導体スイッチS5,S7の発熱が抑制されるため、半導体スイッチS5,S7として、耐電力の小さなタイプを使用することができる。さらに、ファンF3による送風で半導体スイッチS5,S7が冷却されるため、半導体スイッチS5,S7として、耐電力のより小さなタイプを使用することができる。また、この増幅装置1Aでは、電流I6によるエネルギーが半導体スイッチS5,S7の冷却用エネルギーとして有効に利用される。
【0054】
このように、この増幅装置1Aによれば、半導体スイッチS5,S7の作動時に半導体スイッチS5,S7を流れる電流I6、および半導体スイッチS6,S8の作動時に半導体スイッチS6,S8を流れる電流I5の双方で駆動される1つのファンF3を用いてファン装置を構成したことにより、電圧変動軽減回路20Aの製造コスト、ひいては、増幅装置1の製造コストを十分に低減することができる。
【0055】
また、ファンF3が半導体スイッチS5~S8に向けて送風可能な位置に配設されているため、半導体スイッチS5~S8を十分に冷却することができる結果、発熱による半導体スイッチS5~S8の故障を有効に回避することができる。
【0056】
なお、「増幅装置」の構成は、上記の例に限定されない。例えば、ファンF1,F2で構成されるファン装置は、半導体スイッチS3(高電位側放電用半導体スイッチ回路の一例)および半導体スイッチS4(低電位側放電用半導体スイッチ回路の一例)の双方の作動時に半導体スイッチS3,S4の双方をそれぞれ流れる電流I3,I4で駆動される構成のため、「高電位側放電用半導体スイッチ回路および低電位側放電用半導体スイッチ回路のうちの少なくとも一方の作動時」が高電位側放電用半導体スイッチ回路および低電位側放電用半導体スイッチ回路の双方の作動時に駆動される構成となる。したがって、本発明におけるファン装置としては、ファンF1,F2のいずれか一方のみを配置して、半導体スイッチS3および半導体スイッチS4のいずれか一方の作動時にその一方(半導体スイッチS3または半導体スイッチS4)を流れる電流(電流I2または電流I4)で駆動される構成を採用することもできる。また、ファン装置は、高電位側放電用半導体スイッチ回路や低電位側放電用半導体スイッチ回路以外の方向に送風可能に配設しても良い。この構成であっても、増幅装置1,1Aの内部において空気が対流するため、高電位側放電用半導体スイッチ回路や低電位側放電用半導体スイッチ回路を間接的に冷却することができる。
【0057】
また、増幅装置1において抵抗器23,24を用いた電圧変動軽減回路20の構成について説明したが、抵抗器23,24を用いずに、ファンF1およびファンF2の少なくとも一方だけを用いて電圧変動軽減回路を構成することもできる。また、ファンF1,F2や抵抗器23,24の接続位置は、増幅装置1の構成に限定されない。電流I2,I4が流れる経路における任意の箇所に接続することができる。また、増幅装置1Aにおいて、電流I5が流れる経路や電流I6が流れる経路における任意の箇所に抵抗器を設けることができる。この構成によれば、電流I5,I6によるエネルギーを、ファンF3、抵抗器および半導体スイッチS5~8で分散消費させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明によれば、パンピング発生時の高電位ラインおよび低電位ラインにおける電圧変動を軽減しつつ、低耐電力タイプの半導体スイッチを使用することができる結果、電圧変動軽減回路の製造コスト、ひいては、増幅装置の製造コストを十分に低減することができる。これにより、本願発明は、このような増幅装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A 増幅装置
10 D級増幅回路
13,21,25 スイッチ回路
20,20A 電圧変動軽減回路
22~,26,27 過電圧検出回路
C1,C2 コンデンサ
LG グランドライン
LM 負電位ライン
LP 正電位ライン
R1,R2 抵抗
S1~S8 半導体スイッチ
VDD 正電位
VSS 負電位