(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175097
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電鋳部材の製造方法、電鋳管の製造方法及び電鋳装置
(51)【国際特許分類】
C25D 1/02 20060101AFI20231205BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
C25D1/02
C25D1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087372
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 新悟
(72)【発明者】
【氏名】福本 晃平
(57)【要約】
【課題】電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制する。
【解決手段】線材の周囲に電鋳層を形成する工程と、前記線材及び前記電鋳層の少なくとも一方の異常部を検出する工程と、前記異常部に所定の処理を施す工程と、を備える、電鋳部材の製造方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材の周囲に電鋳層を形成する工程と、
前記線材及び前記電鋳層の少なくとも一方の異常部を検出する工程と、
前記異常部に所定の処理を施す工程と、
を備える、電鋳部材の製造方法。
【請求項2】
前記異常部を検出する工程は、非破壊検査によって前記異常部を検出する、請求項1に記載の電鋳部材の製造方法。
【請求項3】
前記異常部に前記所定の処理を施す工程は、前記異常部への識別子の付与と、前記異常部の除去と、の少なくとも一方を含む処理を行う、請求項1に記載の電鋳部材の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに一項に記載の電鋳部材の製造方法と、
前記電鋳層から前記線材を除去する工程と、
を備える、電鋳管の製造方法。
【請求項5】
線材の周囲に電鋳層が形成される電鋳槽と、
前記線材及び前記電鋳層の少なくとも一方の異常部を検出する検出部と、
前記異常部に所定の処理を施す処理部と、
を備える電鋳装置。
【請求項6】
前記検出部が非破壊検査によって前記異常部を検出する、請求項5に記載の電鋳装置。
【請求項7】
前記所定の処理が、前記異常部への識別子の付与と、前記異常部の除去と、の少なくとも一方を含む、請求項5又は6に記載の電鋳装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電鋳部材の製造方法、電鋳管の製造方法及び電鋳装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電鋳部材及び電鋳管を製造するための様々な方法が開発されている。線材の周囲に電鋳層を形成することで、線材及び電鋳層を備える電鋳部材が製造される。電鋳部材から線材を除去することで電鋳管が製造される。電鋳管は、例えば、集積回路(IC)等の検査対象物を検査するためのプローブに用いられている。例えば、特許文献1に記載の方法では、金めっきによって被膜されたステンレス製の線材の周囲に電鋳によってニッケル層を形成する。次いで、線材の少なくとも一端を引っ張ることで、線材の断面積を低減させる。これによって、線材の外周面とニッケル層の内周面との間に隙間が形成される。次いで、当該隙間が形成された状態で線材を引っ張ることで線材を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電鋳部材及び電鋳管の製造では、傷等の異常部が線材に存在する状態で、線材の周囲に電鋳層が形成されることがある。しかしながら、この場合、線材の異常部が電鋳層に転写されることがある。線材の異常部が電鋳層に転写されている場合、電鋳層の当該異常部が転写されている部分には、凹凸が形成されることがある。さらに、当該凹凸が形成された状態の電鋳部材から線材を除去すると、電鋳層の内周面に傷がつくおそれがある。このような電鋳層を有する電鋳管を部品としてプローブを製造すると、プローブの内周面とプローブの内部部品との摺動性が悪くなったり、プローブ又はプローブの内部部品の耐久性が劣ったりする可能性がある。したがって、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することが求められている。
【0005】
本発明の目的の一例は、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
線材の周囲に電鋳層を形成する工程と、
前記線材及び前記電鋳層の少なくとも一方の異常部を検出する工程と、
前記異常部に所定の処理を施す工程と、
を備える、電鋳部材の製造方法である。
【0007】
本発明の一態様は、
上述の電鋳部材の製造方法と、
前記電鋳層から前記線材を除去する工程と、
を備える、電鋳管の製造方法である。
【0008】
本発明の一態様は、
線材の周囲に電鋳層が形成される電鋳槽と、
前記線材及び前記電鋳層の少なくとも一方の異常部を検出する検出部と、
前記異常部に所定の処理を施す処理部と、
を備える電鋳装置である。
【0009】
本発明の上記態様によれば、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る電鋳管の製造方法を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態1に係る電鋳管の製造方法を説明するための図である。
【
図4】実施形態1に係る電鋳管の製造方法を説明するための図である。
【
図5】実施形態1に係る電鋳管の製造方法を説明するための図である。
【
図6】実施形態1に係る線材に存在する異常部の一例を示す上面図である。
【
図7】
図6のA-A´断面に形成される電鋳層を示す図である。
【
図8】
図6のB-B´断面に形成される電鋳層を示す図である。
【
図11】変形例2に係る複数のセンサの配置を説明するための図である。
【
図12】変形例2に係る複数のセンサの配置を説明するための図である。
【
図13】変形例3に係る線材への識別子の付与方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態1に係る電鋳管の製造方法を示すフローチャートである。
図2は、実施形態1に係る電鋳装置1Aの前面図である。
図3~
図5は、実施形態1に係る電鋳管の製造方法を説明するための図である。
図6は、実施形態1に係る線材100Aに存在する異常部の一例を示す上面図である。
図7は、
図6のA-A´断面に形成される電鋳層200Aを示す図である。
図8は、
図6のB-B´断面に形成される電鋳層200Aを示す図である。
【0013】
実施形態に係る電鋳管は、例えば、IC等の検査対象物を検査するためのプローブに利用可能である。以下、実施形態1に係る電鋳管の製造方法を、単に、実施形態1に係る方法という。
【0014】
方向を説明するために、X方向、Y方向及びZ方向を定義する。Z方向は、鉛直方向に平行な方向である。X方向は、Z方向に垂直な水平方向の一つである。Y方向は、Z方向及びX方向に垂直な水平方向の一つである。X方向の矢印が示す方向を電鋳装置1Aの右方向と定義する。Y方向の矢印が示す方向を電鋳装置1Aの後方向と定義する。Z方向の矢印が示す方向を電鋳装置1Aの上方向と定義する。X方向、Y方向又はZ方向を示すX付き白丸は、当該白丸によって示される方向の矢印が示す方向が紙面の手前から奥に向かう方向であることを示している。X方向、Y方向又はZ方向を示す黒点付き白丸は、当該白丸によって示される方向の矢印が示す方向が紙面の奥から手前に向かう方向であることを示している。
【0015】
図1及び
図2を参照し、必要に応じて
図3~
図8を参照して、実施形態1に係る方法について説明する。実施形態1に係る方法では、まず、異常部検出工程S1A~異常部除去工程S8Aを経て、電鋳装置1Aにおいて、電鋳部材300Aが製造されている。次いで、線材除去工程S9A及び電鋳層切断工程S10Aを経て電鋳部材300Aから電鋳管が製造されている。
【0016】
実施形態1に係る電鋳装置1Aは、送出しリール12A、引張治具14A、搬送ローラ16A、検査槽20A、探触子22A、制御部24A、脱脂槽31A、第1洗浄槽32A、電鋳槽33A、第2洗浄槽34A、乾燥槽35A、マーカ40A及び4つのマーカ補助ローラ42Aを備えている。実施形態に係る電鋳装置1Aは、線材100Aが搬送される経路2Aを備えている。経路2Aは、送出しリール12A及び引張治具14Aの間に位置している。搬送ローラ16A、検査槽20A、探触子22A、脱脂槽31A、第1洗浄槽32A、電鋳槽33A、第2洗浄槽34A、乾燥槽35A、マーカ40A及び4つのマーカ補助ローラ42Aは、経路2Aに配置されている。
【0017】
実施形態1に係る方法において、線材100Aは、送出しリール12Aから引張治具14Aに向けて送られている。線材100Aの左端部は、送出しリール12Aに巻回されている。線材100Aの右端部は、引張治具14Aによって引っ張られている。線材100Aは、導電性を有している。線材100Aは、例えば、ステンレス製である。ただし、線材100Aは、ステンレスと異なる材料からなっていてもよい。例えば、線材100Aは、鉄、銅、金、銀、真鍮、ニッケル、アルミニウム、カーボン、プラスチック、樹脂等からなっていてもよい。線材100AのX方向に垂直な断面は、略円形状となっている。線材100AのX方向に垂直な直径は、例えば、10μm以上500μm以下である。X方向から見て、線材100Aの外周面は、金属によって覆われていてもよい。
【0018】
実施形態1に係る方法において、まず、異常部検出工程S1Aが実施される。異常部検出工程S1Aにおいて、線材100Aは、送出しリール12Aから送り出された後、検査槽20Aに送られている。
図6に示すように、線材100Aには、傷102A等の異常部が存在していることがある。
図6に示す例では、線材100Aの上面に2つの傷102Aが異常部として存在している。
図6の左側の傷102Aは、X方向に略平行に延在している。
図6の右側の傷102Aは、Y方向に略平行に延在している。実施形態1に係る方法では、検査槽20A、探触子22A及び制御部24Aを用いた超音波探傷試験によって線材100Aの異常部が検出されている。実施形態1における超音波探傷試験は以下のとおりである。
【0019】
検査槽20Aには水20A1が貯められている。線材100Aは、水20A1に含浸された状態で検査槽20Aの内部を左方から右方に向けて移動している。探触子22Aは、水20A1に含浸されている。
図2に示す例において、探触子22Aは、線材100Aの上方に線材100Aから離間して配置されている。ただし、探触子22Aが配置される位置はこの例に限定されない。探触子22Aは、線材100Aに向けて超音波を送信し、線材100Aによって反射された超音波を受信している。実施形態1に係る方法では、線材100A及び探触子22Aが水20A1に含浸されている。したがって、探触子22Aを線材100Aに接触させなくてもよい。ただし、探触子22Aは線材100Aに接触させてもよい。線材100A及び探触子22Aは水20A1に含浸されていなくてもよい。例えば、線材100A及び探触子22Aは空気中に配置されていてもよい。この場合、探触子22Aを線材100Aに接触させてもよい。
【0020】
制御部24Aは、探触子22Aの動作を制御している。制御部24Aは、例えば、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ等のコンピュータである。線材100Aに傷102A等の異常部が存在する場合、探触子22Aから送信された超音波によって、線材100Aの異常部に起因した反射波が発生する。探触子22Aは、線材100Aの異常部に起因した当該反射波を受信する。制御部24Aは、探触子22Aによって受信された当該反射波に基づいて、線材100Aの異常部の有無や、線材100Aの異常部の位置、大きさ、範囲等の特性を検出することができる。
【0021】
実施形態1では、探触子22Aが検査槽20Aの内部において固定されている。これに対して、線材100Aは、検査槽20Aの内部において左方から右方に向けて移動している。線材100Aが検査槽20Aの内部において左方から右方に向けて移動している間、制御部24Aは、探触子22Aを動作させることができる。これによって、探触子22Aを線材100Aに対してX方向に走査することができる。
【0022】
実施形態1における超音波探傷試験においては、線材100Aの傷102A等の異常部を非破壊検査によって検出することができる。したがって、線材100Aの超音波探傷試験が行われた箇所であっても、後述するように電鋳層200Aを形成することができる。このため、実施形態1における超音波探傷試験においては、電鋳部材300A及び電鋳管の生産性を向上させることができる。
【0023】
線材100Aの異常部の超音波探傷試験は、上述した例に限定されない。また、制御部24Aは、探触子22Aの動作の制御だけでなく、電鋳装置1Aの
図1に示したフローチャートの少なくとも1つの工程の動作を制御してもよい。例えば、
図1に示したフローチャートの少なくとも1つの工程の動作を実行するプログラムが不図示の記憶部に記憶されている。制御部24Aがコンピュータとして当該プログラムを実行することで、電鋳装置1Aの動作が制御される。
【0024】
次いで、脱脂工程S2Aが実施される。脱脂工程S2Aにおいて、線材100Aは、検査槽20Aを通過した後、脱脂槽31Aに送られている。脱脂槽31Aには脱脂液31A1が貯められている。線材100Aは、脱脂液31A1に含浸された状態で脱脂槽31Aの内部を通過している。これによって、線材100Aの外周面に存在する油分や汚れ等の付着物を除去することができる。線材100Aの外周面に付着物が存在する状態においては、電鋳槽33Aにおいて、線材100Aの外周面に、
図3、
図7又は
図8に示す電鋳層200Aが形成されにくいことがある。このため、当該付着物を線材100Aの外周面から除去することで、線材100Aの外周面に均質な電鋳層200Aを形成することができる。
【0025】
次いで、第1洗浄工程S3Aが実施される。第1洗浄工程S3Aにおいて、線材100Aは、脱脂槽31Aを通過した後、第1洗浄槽32Aに送られている。第1洗浄槽32Aには第1洗浄液32A1が貯められている。線材100Aは、第1洗浄液32A1に含浸された状態で第1洗浄槽32Aの内部を通過している。これによって、線材100Aの外周面が第1洗浄液32A1によって洗浄されている。
【0026】
次いで、電鋳工程S4Aが実施される。電鋳工程S4Aにおいて、線材100Aは、第1洗浄槽32Aを通過した後、電鋳槽33Aに送られている。電鋳槽33Aには電鋳液33A1が貯められている。線材100Aは、電鋳液33A1に含浸された状態で電鋳槽33Aの内部を通過している。電鋳液33A1には、不図示の陽極が含浸されている。線材100A及び電鋳液33A1は、不図示の電源に電気的に接続されている。これによって、線材100Aは陰極として動作可能になっている。線材100Aが陰極として動作することで、
図3に示すように、線材100Aの周囲に電鋳層200Aが形成される。電鋳層200Aは、例えば、ニッケル、金、銅、パラジウム、ロジウム、白金、銀等の金属やこれらの合金からなっている。電鋳層200AのX方向に垂直な厚さは、例えば、5μm以上100μm以下である。電鋳液33A1の種類は、電鋳層200Aの材料等の所定の条件によって決定されている。電鋳液33A1は、例えば、硫酸ニッケル液又はスルファミン酸ニッケル液を含み、光沢剤及びビット防止剤を必要に応じて含んでいる。
【0027】
図7及び
図8に示すように、線材100Aに
図6に示した傷102Aが存在する場合、線材100Aの傷102Aが電鋳層200Aに転写されることがある。このため、電鋳層200Aの内周面の傷102Aが転写された部分に凹凸が形成されることがある。
図7及び
図8に示す例では、電鋳層200Aの上部の内周面に2つの凸部202Aが異常部として形成されている。
図7の左側の凸部202Aは、
図6の左側の傷102Aと同様にしてX方向に略平行に延在している。
図7の右側の凸部202Aは、
図6の右側の傷102Aと同様にしてY方向に略平行に延在している。
図7及び
図8に示す例では、電鋳層200Aの上部の外周面に2つの凹部204Aが異常部として形成されている。
図7の左側の凹部204Aは、
図6の左側の傷102Aと同様にして、X方向に略平行に延在している。
図7の右側の凹部204Aは、
図6の右側の傷102Aと同様にして、Y方向に略平行に延在している。
【0028】
次いで、第2洗浄工程S5Aが実施される。第2洗浄工程S5Aにおいて、線材100Aは、電鋳槽33Aを通過した後、第2洗浄槽34Aに送られている。第2洗浄槽34Aには第2洗浄液34A1が貯められている。線材100Aは、第2洗浄液34A1に含浸された状態で第2洗浄槽34Aの内部を通過している。これによって、線材100Aの外周面に形成された電鋳層200Aが洗浄される。
【0029】
実施形態1では、1つの電鋳槽33A及び1つの第2洗浄槽34Aが設けられている。これによって、単一層の電鋳層200Aが形成されている。しかしながら、電鋳層200Aは複数層であってもよい。また、電鋳層200Aに含まれる層数に応じて、電鋳槽33A及び第2洗浄槽34Aの数は変動してもよい。例えば、電鋳層200Aが異なる材料の2層を含む場合、2つの電鋳槽33A及び2つの第2洗浄槽34AがX方向に交互に並んでいてもよい。
【0030】
線材100Aの外周面と電鋳層200Aの内周面との間には、所定の犠牲層が設けられていてもよい。犠牲層は、電鋳層200Aから線材100Aを除去する前に、例えば、エッチングによって除去される。これによって、線材100Aの外周面と電鋳層200Aの内周面との間に隙間を形成することができる。このため、当該隙間が存在しない場合と比較して、電鋳層200Aから線材100Aを除去しやすくすることができる。
【0031】
次いで、乾燥工程S6Aが実施される。乾燥工程S6Aにおいて、線材100A及び電鋳層200Aは、第2洗浄槽34Aを通過した後、乾燥槽35Aに送られている。線材100A及び電鋳層200Aは、乾燥槽35A内において乾燥される。これによって、線材100A及び電鋳層200Aが第2洗浄槽34Aを通過した際に電鋳層200Aの外周面に付着した第2洗浄液34A1を除去することができる。
【0032】
次いで、識別子付与工程S7Aが実施される。識別子付与工程S7Aにおいて、線材100A及び電鋳層200Aは、乾燥槽35Aを通過した後、搬送ローラ16Aを経由して、マーカ40Aの下方に送られる。マーカ40Aは、制御部24Aによる線材100Aの傷102A等の異常部の検出結果を参照して、線材100A及び電鋳層200Aの少なくとも一方の異常部に識別子を付与している。したがって、電鋳装置1Aの使用者は、線材100A及び電鋳層200Aの少なくとも一方に付与された識別子から、線材100A及び電鋳層200Aの少なくとも一方の異常部の有無、位置、大きさ、範囲等の、線材100A及び電鋳層200Aの少なくとも一方の異常部に関する情報を得ることができる。識別子の付与方法としては、例えば、レーザ照射や塗料塗布等が例示される。この例において、識別子は、例えば、線材100A及び電鋳層200Aの少なくとも一方のレーザが照射された部分又は塗料が塗布された部分である。
【0033】
マーカ40Aの左方には、一対のマーカ補助ローラ42Aが配置されている。マーカ40Aの左方の一対のマーカ補助ローラ42Aは、線材100Aの上方及び下方に配置されている。マーカ40Aの右方には、他の一対のマーカ補助ローラ42Aが配置されている。マーカ40Aの右方の他の一対のマーカ補助ローラ42Aは、線材100Aの上方及び下方に配置されている。マーカ補助ローラ42Aによって、線材100AのY方向の中心をマーカ40AのY方向の中心に合わせることができる。したがって、マーカ40Aによって、線材100A及び電鋳層200Aの少なくとも一方に識別子を付与することができる。ただし、これらのマーカ補助ローラ42Aは設けられていなくてもよい。
【0034】
次いで、異常部除去工程S8Aが実施される。異常部除去工程S8Aにおいて、線材100A及び電鋳層200Aを備える電鋳部材300Aの識別子が付与された部分が除去されている。具体的には、電鋳部材300Aのマーカ40Aの下方を通過した部分が引張治具14Aによって引っ張られた状態で電鋳部材300Aの当該部分が除去されている。これによって、線材100Aの
図6に示した傷102A等の異常部と、電鋳層200Aの
図7及び
図8に示した凸部202A、凹部204A等の異常部と、が除去される。電鋳部材300Aの異常部の除去方法は、特に限定されない。例えば、電鋳部材300Aの異常部が電鋳部材300Aの当該異常部の周辺から分離されるように、電鋳部材300Aを切断してもよい。
【0035】
なお、異常部除去工程S8Aは、電鋳装置1Aと異なる場所において行われてもよい。この場合、例えば、電鋳装置1Aでは、電鋳部材300Aの右端部が引張治具14Aによって引っ張られた状態で電鋳部材300Aの右端部の所定の長さが切り出される。次いで、電鋳装置1Aと異なる場所において、電鋳部材300Aの切り出された部分の識別子が付与された部分が除去される。
【0036】
次いで、線材除去工程S9Aが実施される。線材除去工程S9Aにおいて、
図4に示すように、電鋳部材300Aから線材100Aを除去する。例えば、線材100Aの両端の少なくとも一方を引っ張ることで、電鋳層200Aから線材100Aを引き抜いてもよい。ただし、線材100Aの除去方法は、この例に限定されない。実施形態1に係る方法では、線材100Aの
図6に示した傷102A等の異常部や、電鋳層200Aの
図7及び
図8に示した凸部202A、凹部204A等の異常部が、電鋳層200Aからの線材100Aの除去前に除去されている。これらの異常部が残った状態の電鋳層200Aから線材100Aを除去すると、電鋳層200Aから製造される電鋳管の内周面に傷がつくおそれがある。このような電鋳管を部品としてプローブを製造すると、プローブの内周面とプローブの内部部品との摺動性が悪くなったり、プローブ又はプローブの内部部品の耐久性が劣ったりする可能性がある。これに対して、実施形態1に係る方法では、電鋳層200Aから線材100Aを除去する際に、上述した異常部が残らないようにすることができる。このため、実施形態1に係る方法では、電鋳部材300A及び電鋳管における電鋳層200Aの内周面の凹凸を抑制することができる。
【0037】
次いで、電鋳層切断工程S10Aが実施される。電鋳層切断工程S10Aにおいて、
図5に示すように、電鋳層200Aを複数の片Pに切断する。切り出された各P片は電鋳管となる。これによって、実施形態に係る電鋳管が製造される。
【0038】
電鋳管の製造方法は、実施形態1に係る方法に限定されない。
【0039】
例えば、実施形態1に係る方法では、電鋳槽33Aにおいて線材100Aの外周面に電鋳層200Aが形成される前に、検査槽20Aにおいて線材100Aの傷102A等の異常部が検出されている。しかしながら、線材100Aの異常部は、線材100Aの外周面に電鋳層200Aが形成された後に検出されてもよい。例えば、線材100Aの外周面に
図6に示す傷102Aが存在する場合、
図7及び
図8に示すように、電鋳層200Aの外周面には凹部204Aが形成されることがある。したがって、線材100Aの外周面に電鋳層200Aが形成された後であっても、電鋳層200Aの外周面の凹部204Aを検出することで、線材100Aの異常部を検出することができる。
【0040】
実施形態1に係る方法では、線材100Aの異常部への識別子の付与と、線材100Aの異常部の除去と、が線材100Aの異常部への処理として行われている。しかしながら、線材100Aの異常部に施される処理は、これらに限定されない。また、線材100Aの異常部に施される処理は、線材100Aの異常部への識別子の付与と、線材100Aの異常部の除去と、の一方のみであってもよい。
【0041】
図9は、実施形態2に係る電鋳装置1Bの前面図である。実施形態2に係る電鋳装置1Bは、以下の点を除いて、実施形態1に係る電鋳装置1Aと同様である。以下、実施形態2に係る電鋳管の製造方法を、単に、実施形態2に係る方法という。
【0042】
実施形態2に係る電鋳装置1Bは、送出しリール12B、引張治具14B、搬送ローラ16B、センサ22B、制御部24B、4つのセンサ補助ローラ26B、脱脂槽31B、第1洗浄槽32B、電鋳槽33B、第2洗浄槽34B、乾燥槽35B、マーカ40B及び4つのマーカ補助ローラ42Bを備えている。脱脂槽31Bには脱脂液31B1が貯められている。第1洗浄槽32Bには第1洗浄液32B1が貯められている。電鋳槽33Bには電鋳液33B1が貯められている。第2洗浄槽34Bには第2洗浄液34B1が貯められている。実施形態2に係る電鋳装置1Bは、線材100Bが搬送される経路2Bを備えている。経路2Bは、送出しリール12B及び引張治具14Bの間に位置している。搬送ローラ16B、センサ22B、4つのセンサ補助ローラ26B、脱脂槽31B、第1洗浄槽32B、電鋳槽33B、第2洗浄槽34B、乾燥槽35B、マーカ40B及び4つのマーカ補助ローラ42Bは、経路2Bに配置されている。
【0043】
実施形態2に係る方法において、まず、線材100Bは、送出しリール12Bから送り出された後、センサ22Bの下方に送られている。センサ22Bは、非破壊検査によって、線材100Bの外周面の傷等の、線材100Bの異常部を検出している。したがって、実施形態1に係る方法と同様にして、線材100Bの非破壊検査が行われた箇所であっても、電鋳層200Bを形成することができる。このため、実施形態2に係る方法では、電鋳部材300B及び電鋳管の生産性を向上させることができる。なお、センサ22Bが配置される位置は、
図9に示す例に限定されない。例えば、センサ22Bは、線材100Bの下方に配置されてもよい。
【0044】
センサ22Bの左方には、一対のセンサ補助ローラ26Bが配置されている。センサ22Bの左方の一対のセンサ補助ローラ26Bは、線材100Bの上方及び下方に配置されている。センサ22Bの右方には、他の一対のセンサ補助ローラ26Bが配置されている。センサ22Bの右方の他の一対のセンサ補助ローラ26Bは、線材100Bの上方及び下方に配置されている。センサ補助ローラ26Bによって、線材100BのY方向の中心をセンサ22BのY方向の中心に合わせることができる。例えば、制御部24Bは、線材100Bが撮像された画像から物体認識によって線材100Bの位置を認識してもよい。この例において、制御部24Bは、線材100Bの位置の認識結果に基づいて、線材100BのY方向の中心をセンサ補助ローラ26Bによってセンサ22BのY方向の中心に合わせることができる。ただし、センサ補助ローラ26Bは設けられていてなくてもよい。
【0045】
センサ22Bを用いた非破壊検査としては、例えば、レーザ探傷試験、目視検査、渦電流探傷試験等が例示される。実施形態2に係る方法のこれらの非破壊検査においては、実施形態1に係る方法の超音波探傷試験と比較して、線材100Bの表面の傷等の、線材100Bの表面の異常部を検出しやすくすることができる。また、実施形態2に係る方法のこれらの非破壊検査においては、実施形態1に係る方法の超音波探傷試験と比較して、線材100Bを水に含浸させる必要がなくなる。このため、実施形態2に係る方法では、実施形態1に係る方法と比較して、線材100Bを含浸させる検査槽の分、コストを低減することができる。
【0046】
実施形態2に係る方法のレーザ探傷試験においては、不図示の光源から線材100Bにレーザが照射されている。この例において、センサ22Bは、線材100Bのレーザの照射されている部分の表面の形状を測定する形状測定素子である。制御部24Bは、センサ22Bによって測定された線材100Bの表面の形状データから、線材100Bの異常部の有無や、線材100Bの位置、大きさ、範囲等の特性を検出している。
【0047】
実施形態2に係る方法の目視検査においては、センサ22Bは、例えば、CCD(電荷結合素子)、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)等の撮像素子である。制御部24Bは、センサ22Bによって撮像された画像から、線材100Bの異常部の有無や、線材100Bの位置、大きさ、範囲等の特性を検出している。
【0048】
実施形態2に係る方法の渦電流探傷試験においては、センサ22Bは、検出コイルとなっている。制御部24Bは、センサ22Bに流れる電流から、線材100Bの異常部の有無や、線材100Bの位置、大きさ、範囲等の特性を検出している。
【0049】
実施形態2では、センサ22Bが固定されている。これに対して、線材100Bが左方から右方に向けて移動している。線材100Bが左方から右方に向けて移動している間、制御部24Bは、センサ22Bを動作させることができる。これによって、センサ22Bを線材100Bに対してX方向に走査することができる。
【0050】
線材100Bの異常部を検出するための非破壊検査は、上述した例に限定されない。また、線材100Bの異常部を検出するための非破壊検査は、上述した例の組み合わせであってもよい。この場合、線材100Bの異常部を検出するための非破壊検査は、実施形態1に係る方法における超音波探傷試験を含んでいてもよい。例えば、線材100Bの異常部を検出するための非破壊検査は、超音波探傷試験、レーザ探傷試験、目視検査及び渦電流探傷試験の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0051】
次いで、実施形態2に係る方法では、実施形態1に係る方法と同様にして、線材100Bは、脱脂槽31Bの内部、第1洗浄槽32Bの内部、電鋳槽33Bの内部、第2洗浄槽34Bの内部、乾燥槽35Bの内部及びマーカ40Bの下方を順に通過して、引張治具14Bに送られている。実施形態2に係る電鋳槽33Bにおいては、実施形態1に係る電鋳槽33Aと同様にして、線材100Bの周囲に電鋳層200Bが形成されている。これによって、実施形態2に係る電鋳装置1Bでは、実施形態1に係る電鋳装置1Aと同様にして、電鋳部材300Bが製造されている。実施形態2に係る方法の以降の工程は、実施形態1に係る方法と同様である。
【0052】
実施形態2に係る方法においても、実施形態1に係る方法と同様にして、電鋳層200Bから線材100Bを除去する際に、上述した異常部が残らないようにすることができる。このため、実施形態2に係る方法では、実施形態1に係る方法と同様にして、電鋳部材300B及び電鋳管における電鋳層200Bの内周面の凹凸を抑制することができる。
【0053】
図10は、変形例1に係る検査槽20Cの前面図である。以下、変形例1に係る電鋳管の製造方法を、単に、変形例1に係る方法という。変形例1に係る方法は、以下の点を除いて、実施形態1に係る方法と同様である。
【0054】
変形例1に係る方法では、検査槽20Cにおける線材100Cの異常部の検出と、電鋳槽における電鋳層の形成と、が連続して行われていない。言い換えると、変形例1に係る方法では、線材100Cの異常部の検出が実施される装置と、電鋳層の形成が実施される装置と、が互いに独立している。
【0055】
変形例1に係る方法において、検査槽20Cには水20C1が貯められている。水20C1には、線材100C及び探触子22Cが含浸されている。探触子22Cは、線材100Cに向けて超音波を送信し、線材100Cによって反射された超音波を受信している。実施形態1に係る方法と同様にして、変形例1に係る制御部24Cは、超音波探傷試験によって、線材100Cの異常部の有無や、線材100Cの位置、大きさ、範囲等の特性を検出することができる。
【0056】
変形例1に係る方法では、線材100Cの位置は、水20C1内において固定されている。これに対して、探触子22Cは、水20C1内においてX方向に移動可能になっている。したがって、制御部24Cが探触子22CをX方向に移動させることで、探触子22Cを線材100Cに対してX方向に走査することができる。
【0057】
変形例1に係る方法においても、実施形態1に係る方法と同様にして、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【0058】
図11及び
図12は、変形例2に係る複数のセンサ22Dの配置を説明するための図である。以下、変形例2に係る電鋳管の製造方法を、単に、変形例2に係る方法という。変形例2に係る方法は、以下の点を除いて、実施形態2に係る方法と同様である。
【0059】
変形例2に係る方法では、変形例1に係る方法と同様にして、線材100Dの異常部の検出が実施される装置と、電鋳層の形成が実施される装置と、が互いに独立している。
【0060】
変形例2に係る方法では、X方向から見て、線材100Dの周囲に複数のセンサ22Dが配置されている。
図12に示す例では、X方向から見て、線材100Dの上方、下方、前方及び後方の4箇所に4つのセンサ22Dが配置されている。ただし、センサ22Dの配置はこの例に限定されない。これらのセンサ22Dを用いたレーザ探傷試験、目視検査、渦電流探傷試験等の非破壊検査によって線材100Dの異常部を検出することができる。
【0061】
変形例2に係る方法では、線材100Dの位置が固定されている。これに対して、複数のセンサ22Dは、X方向に移動可能になっている。したがって、複数のセンサ22DをX方向に移動させることで、複数のセンサ22Dを線材100Dに対してX方向に走査することができる。
【0062】
変形例2に係る方法においても、実施形態2に係る方法と同様にして、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【0063】
図13は、変形例3に係る線材100Eへの識別子110Eの付与方法を説明するための図である。
【0064】
変形例3では、線材100Eの右端の基準位置X0から左側へ距離X1だけ離れた位置と、線材100Eの右端の基準位置X0から左側へ距離X2だけ離れた位置と、の間において、線材100Eの異常部が検出されている。線材100Eの異常部は、例えば、変形例1又は変形例2において説明した方法によって検出されている。線材100Eの基準位置X0から左側へ距離X1だけ離れた位置と、線材100Eの基準位置X0から左側へ距離X2だけ離れた位置と、の間には識別子110Eが付与されている。線材100Eの識別子110Eが付与された部分は、電鋳層から線材100Eが除去される前に、除去することができる。したがって、各実施形態と同様にして、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【0065】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0066】
例えば、線材及び電鋳層の少なくとも一方の異常部に施される処理は、上述した例に限定されない。例えば、線材の外周面の異常部を表面処理して、線材の外周面の異常部を滑らかにしてもよい。当該表面処理をした後、線材の周囲に電鋳層を形成する場合、線材の外周面の異常部が電鋳層に転写されなくすることができる。
【0067】
本明細書によれば、以下の態様の電鋳部材の製造方法、電鋳管の製造方法及び電鋳装置が提供される。
(態様1)
態様1では、電鋳部材の製造方法が、線材の周囲に電鋳層を形成する工程と、前記線材及び前記電鋳層の少なくとも一方の異常部を検出する工程と、前記異常部に所定の処理を施す工程と、を備えている。
【0068】
上述の態様によれば、異常部への識別子の付与、異常部の除去等の適切な処理を異常部に施すことで、電鋳層から線材を除去する際に、異常部が残らないようにすることができる。このため、上述の態様では、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【0069】
(態様2)
態様2では、前記異常部を検出する工程は、非破壊検査によって前記異常部を検出している。
【0070】
上述の態様によれば、線材及び電鋳層の少なくとも一方の非破壊検査が行われた箇所であっても、電鋳部材を製造することができる。このため、上述の態様では、電鋳部材及び電鋳管の生産性を向上させることができる。
【0071】
(態様3)
態様3では、前記異常部に前記所定の処理を施す工程は、前記異常部への識別子の付与と、前記異常部の除去と、の少なくとも一方を含む処理を行っている。
【0072】
上述の態様によれば、異常部への識別子が付与される場合、識別子から、異常部の有無、位置、大きさ、範囲等の、異常部に関する情報を得ることができる。また、上述の態様によれば、異常部が除去される場合、異常部を、電鋳層からの線材の除去前に除去することができる。このため、上述の態様では、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【0073】
(態様4)
態様4では、電鋳管の製造方法が、上述の電鋳部材の製造方法と、前記電鋳層から前記線材を除去する工程と、を備えている。
【0074】
上述の態様によれば、態様1と同様にして、電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【0075】
(態様5)
態様5では、電鋳装置が、線材の周囲に電鋳層が形成される電鋳槽と、前記線材及び前記電鋳層の少なくとも一方の異常部を検出する検出部と、前記異常部に所定の処理を施す処理部と、を備えている。
【0076】
「検出部」は、上述の実施形態及び変形例の「探触子」、「センサ」に相当する。「処理部」は、上述の実施形態及び変形例の「マーカ」に相当する。
【0077】
上述の態様によれば、態様1と同様にして、電鋳部材及び電鋳層における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【0078】
(態様6)
態様6では、前記検出部が非破壊検査によって前記異常部を検出している。
【0079】
上述の態様によれば、態様2と同様にして、線材及び電鋳層の少なくとも一方の非破壊検査が行われた箇所であっても、電鋳部材を製造することができる。
【0080】
(態様7)
態様7では、前記所定の処理が、前記異常部への識別子の付与と、前記異常部の除去と、の少なくとも一方を含んでいる。
【0081】
上述の態様によれば、態様3と同様にして、電鋳部材及び電鋳管における電鋳層の内周面の凹凸を抑制することができる。
【符号の説明】
【0082】
1A,1B 電鋳装置
2A,2B 経路
12A,12B 送出しリール
14A,14B 引張治具
16A,16B 搬送ローラ
20A,20C 検査槽
20A1,20C1 水
22A,22C 探触子
22B,22D センサ
24A,24B,24C 制御部
26B センサ補助ローラ
31A,31B 脱脂槽
31A1,31B1 脱脂液
32A,32B 第1洗浄槽
32A1,32B1 第1洗浄液
33A,33B 電鋳槽
33A1,33B1 電鋳液
34A,34B 第2洗浄槽
34A1,34B1 第2洗浄液
35A,35B 乾燥槽
40A,40B マーカ
42A,42B マーカ補助ローラ
100A,100B,100C,100D,100E 線材
102A 傷
110E 識別子
200A,200B 電鋳層
202A 凸部
204A 凹部
300A,300B 電鋳部材
S1A 異常部検出工程
S2A 脱脂工程
S3A 第1洗浄工程
S4A 電鋳工程
S5A 第2洗浄工程
S6A 乾燥工程
S7A 識別子付与工程
S8A 異常部除去工程
S9A 線材除去工程
S10A 電鋳層切断工程
P 片