(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175103
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231205BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20231205BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/175 115
B41J2/01 401
B41J2/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087381
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】荒金 覚
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA08
2C056EB08
2C056EB40
2C056EB59
2C056EC11
2C056EC26
2C056EC34
2C056EC72
2C056EC78
2C056EC80
2C056EE02
2C056FA10
2C056HA05
2C056HA07
2C056KC04
(57)【要約】
【課題】所定数以上の異常ノズルがある場合に、簡単な制御で、画質が低下していることを目立ちにくくする。
【解決手段】インクジェットヘッド4の複数のノズル10が間隔Laで搬送方向に並んでいる。これら複数のノズル10における異常ノズルの数N1が所定数Na未満の場合、搬送方向の解像度が間隔Laに対応する解像度となるように記録を行う。異常ノズルの数N1が所定数Na以上で、かつ、複数のノズル10のうち、ノズル10同士の間隔が間隔Laよりも長くなる一部のノズル10のみからインクを吐出させるようにして、搬送方向の解像度が予め設定された低解像度となるように記録することによって、上記一部のノズル10における異常ノズルの数N2を所定数Na未満にできる場合には、搬送方向の解像度が上記低解像度となるように記録を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において所定間隔で並び液体を吐出する複数のノズル、を有するヘッドと、
前記ヘッドを記録媒体に対して前記第1方向と交差する第2方向に相対移動させる相対移動手段と、
前記複数のノズルにおける液体の吐出に異常のある異常ノズルの数が所定数以上であるか否かに関連する異常ノズル情報を記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
記録媒体へ記録を行うことを指示する記録指示信号を受信したときに、
前記異常ノズル情報が、前記複数のノズルにおける前記異常ノズルの数が前記所定数未満であることを示す場合には、
前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ前記ヘッドを前記複数のノズルから液体を吐出させるよう動作させることによって、前記第1方向の解像度が前記所定間隔に対応する解像度で記録媒体に画像を記録させる第1記録処理を実行し、
前記異常ノズル情報が、前記複数のノズルにおける前記異常ノズルの数が所定数以上であることを示し、かつ、前記複数のノズルのうち前記第1方向における間隔が前記所定間隔よりも長い予め設定された間隔である一部のノズルにおける記前記異常ノズルの数が前記所定数未満であることを示す場合には、
前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ前記ヘッドを前記一部のノズルから液体を吐出させるよう動作させることによって、前記第1方向の解像度が前記所定間隔に対応する解像度よりも低い解像度で記録媒体に画像を記録させる第2記録処理を実行することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
第1方向に並び液体を貯留する液体貯留部に繋がる第1流路から供給される液体を吐出する複数の第1ノズルと、前記第1方向に並び前記液体貯留部に繋がる第1流路とは別の第2流路から供給される液体を吐出する複数の第2ノズル、を有するヘッドと、
前記ヘッドを記録媒体に対して前記第1方向と交差する第2方向に相対移動させる相対移動手段と、
前記複数の第1ノズルにおける、液体の吐出に異常のある異常ノズルの数が第1所定数以上であるか否かと、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が第2所定数以上であるか否かとに関連する異常ノズル情報を記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
記録媒体に記録を行うことを指示する記録指示信号を受信したときに、
前記異常ノズル情報が、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数未満であり、かつ、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満であることを示す場合には、
前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ、前記ヘッドを、前記複数の第1ノズルから液体を吐出させるとともに前記複数の第2ノズルから液体を吐出させるよう動作させて、記録媒体への記録を行わせる第1記録処理を実行し、
前記異常ノズル情報が、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数以上であり、かつ、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満であることを示す場合には、
前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ、前記ヘッドを、前記複数の第1ノズルから液体を吐出させずに前記複数の第2ノズルから液体を吐出させるよう動作させて、記録媒体への記録を行わせる第2記録処理を実行することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
前記液体貯留部は、
前記第1流路に繋がる第1液体貯留部と、
前記第2流路に繋がる、第1液体貯留部とは別の第2液体貯留部と、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記ヘッドは、前記複数の第1ノズルに対して個別に設けられ前記第1ノズル内の液体に吐出エネルギーを付与する複数の第1素子、を有し、
前記第2ヘッドが、前記複数の第2ノズルに対して個別に設けられ前記第2ノズル内の液体に吐出エネルギーを付与する複数の第2素子、を有し、
前記複数の第1素子と接続され、前記複数の第1素子に駆動信号を出力する第1駆動信号出力部と、
前記複数の第2素子と接続され、前記複数の第2素子に駆動信号を出力する第2駆動信号出力部と、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記異常ノズル情報が、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズル数が前記第1所定数以上で、かつ、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数以上であることを示す場合、
前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ、前記ヘッドを、前記複数の第1ノズルおよび前記複数の第2ノズルのうち、前記異常ノズルの数が多いほうのノズルからは液体を吐出させずに前記異常ノズルの数が少ないほうのノズルから液体を吐出させるよう動作させて記録媒体への記録を行わせる第3記録処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記記録指示信号を受信したときに、画像を記録するための記録データを取得し、
前記異常ノズル情報が、前記記録データに基づいて前記複数の第1ノズルから液体を吐出させるとした場合に使用される前記第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数未満であり、かつ、前記記録データに基づいて前記複数の第2ノズルから液体を吐出させるとした場合に使用される前記第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満であることを示す場合には、前記第1記録処理を実行し、
前記異常ノズル情報が、前記記録データに基づいて前記複数の第1ノズルから液体を吐出させるとした場合に使用される前記第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数以上であり、かつ、前記記録データに基づいて前記複数の第2ノズルから液体を吐出させるとした場合に使用される前記第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満であることを示す場合には、前記第2記録処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項7】
前記複数の第1ノズルの各々は前記第1方向に所定間隔で並び、
前記複数の第2ノズルの各々は前記第1方向に所定間隔で並び、
前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとが、前記第1方向に前記所定間隔よりも短い長さずれて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項8】
前記複数の第1ノズルと前記複数の第2ノズルとが、前記第1方向に前記所定間隔の半分の長さずれて配置されていることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記複数の第1ノズルと、前記複数の第2ノズルとは、前記第1方向の位置が同じであることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項10】
前記ヘッドは、第1方向に並び液体を貯留する前記液体貯留部に繋がる第3流路から供給される液体を吐出する複数の第3ノズルと、第1方向に並び液体を貯留する前記液体貯留部に繋がる第4流路から供給される液体を吐出する複数の第4ノズルと、を更に備え、
前記液体貯留部は、前記第1流路に繋がる第1液体貯留部と、前記第2流路に繋がる第2液体貯留部と、前記第3流路に繋がる第3液体貯留部と、前記第4流路に繋がる第4液体貯留部と、を備え、
前記第1~第4液体貯留部から前記第1~第4ノズルにブラックインクが供給され、複数の第1~第4ノズルからブラックインクを吐出して記録を行うモノクロモード、および、第1液体貯留部から前記第1ヘッドにブラックインクが供給され、第2~第4液体貯留部から第2~第4ヘッドに、それぞれ、異なる色のカラーインクが供給され、複数の第1ノズルからブラックインクを吐出し、複数の第2~第4ノズルからカラーインクを吐出させて記録を行うカラーモードのいずれかのモードで記録を行うことが可能であり、
前記制御部は、
前記モノクロモードで記録を行うときには、
前記異常ノズル情報が、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数未満で、かつ、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満であることを示す場合に、前記第1記録処理を実行し、
前記異常ノズル情報が、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数以上で、かつ、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満であることを示す場合に、前記第2記録処理を実行し、
前記カラーモードで記録を行うときには、
前記異常ノズル情報が示す、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズルの数、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数によらず、前記第1記録処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第2記録処理において、
前記第1方向または第2方向の解像度が前記第1記録処理で記録される画像よりも低い画像を記録させ、
前記ヘッドに、1つのドットを形成するために前記ノズルから吐出させる液体の量を、前記第1記録処理よりも多くさせることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項12】
表示部、を備え、
前記制御部は、
前記異常ノズル情報が、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数以上であり、かつ、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満である場合に、前記第2記録処理を行うことを示す第1オブジェクトを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記第1オブジェクトともに、ユーザに前記第2記録処理を実行するか否かを選択させるための第2オブジェクトを前記表示部に表示させ、
ユーザによる前記第2オブジェクトに基づく前記第2記録処理を実行することを選択する選択信号を受信した場合に、前記第2記録処理を実行することを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
【請求項14】
前記制御部は、
ユーザによる前記第2オブジェクトに基づく前記第2記録処理を実行しないことを選択する前記選択信号を受信した場合に、前記第1記録処理を実行することを特徴とする請求項13に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出して記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出して記録を行う記録装置として、特許文献1には、ノズルからインクを吐出して記録を行うプリンタが記載されている。特許文献1のプリンタは、用紙搬送方向と直交する方向に並んだ複数のノズルをそれぞれ有する2つのヘッドを有する。また、2つのヘッド間で、用紙搬送方向におけるノズルの位置が、各ヘッドにおけるノズル同士の間隔の半分の長さずれている。これにより、特許文献1のプリンタでは、用紙搬送方向と直交する方向の解像度が、各ヘッドにおけるノズル同士の間隔の半分の長さに対応する解像度の画像を記録することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1のプリンタでは、2つのヘッドの複数のノズルのうちいずれかのノズルが、異物の混入、インクの増粘などによって詰まるなどして、インクを吐出できない異常ノズルとなることがある。この状態で画像を記録すると、異常ノズルに対応するドットが形成されず、記録される画像に白スジ(記録用紙の異常ノズルに対応するドットが形成されないことによって露出した部分)が生じ、画質の低下につながる。
【0005】
また、このような場合に、異常ノズルに隣接するドットに対応するノズルからのインクの吐出量を多くしてドットのサイズを大きくすることによって、記録用紙の白スジとなる部分を大きくしたドットで埋めて、画質の低下を抑えられることが考えられる。しかしながら、この場合には、上記のような異常ノズルに隣接するノズルからのインクの吐出量だけを多くするため、制御が複雑になる。また、このようにして記録された画像では、ドットのサイズを大きくした部分の画質が部分的に悪くなり、画質が悪くなっていることが目立ちやすい。
【0006】
本発明の目的は、所定数以上の異常ノズルがある場合に、簡単な制御で、画質が低下していることを目立ちにくくすることが可能な記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録装置は、第1方向において所定間隔で並び液体を吐出する複数のノズル、を有するヘッドと、前記ヘッドを記録媒体に対して前記第1方向と交差する第2方向に相対移動させる相対移動手段と、前記複数のノズルにおける液体の吐出に異常のある異常ノズルの数が所定数以上であるか否かに関連する異常ノズル情報を記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、記録媒体へ記録を行うことを指示する記録指示信号を受信したときに、前記異常ノズル情報が、前記複数のノズルにおける前記異常ノズルの数が前記所定数未満であることを示す場合には、前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ前記ヘッドを前記複数のノズルから液体を吐出させるよう動作させることによって、前記第1方向の解像度が前記所定間隔に対応する解像度で記録媒体に画像を記録させる第1記録処理を実行し、前記異常ノズル情報が、前記複数のノズルにおける前記異常ノズルの数が所定数以上であることを示し、かつ、前記複数のノズルのうち前記第1方向における間隔が前記所定間隔よりも長い予め設定された間隔である一部のノズルにおける記前記異常ノズルの数が前記所定数未満であることを示す場合には、前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ前記ヘッドを前記一部のノズルから液体を吐出させるよう動作させることによって、前記第1方向の解像度が前記所定間隔に対応する解像度よりも低い解像度で記録媒体に画像を記録させる第2記録処理を実行する。
【0008】
また、本発明の記録装置は、第1方向に並び液体を貯留する液体貯留部に繋がる第1流路から供給される液体を吐出する複数の第1ノズルと、前記第1方向に並び前記液体貯留部に繋がる第1流路とは別の第2流路から供給される液体を吐出する複数の第2ノズル、を有するヘッドと、前記ヘッドを記録媒体に対して前記第1方向と交差する第2方向に相対移動させる相対移動手段と、前記複数の第1ノズルにおける、液体の吐出に異常のある異常ノズルの数が第1所定数以上であるか否かと、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が第2所定数以上であるか否かとに関連する異常ノズル情報を記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、記録媒体に記録を行うことを指示する記録指示信号を受信したときに、前記異常ノズル情報が、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数未満であり、かつ、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満であることを示す場合には、前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ、前記ヘッドを、前記複数の第1ノズルから液体を吐出させるとともに前記複数の第2ノズルから液体を吐出させるよう動作させて、記録媒体への記録を行わせる第1記録処理を実行し、前記異常ノズル情報が、前記複数の第1ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第1所定数以上であり、かつ、前記複数の第2ノズルにおける前記異常ノズルの数が前記第2所定数未満であることを示す場合には、前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ、前記ヘッドを、前記複数の第1ノズルから液体を吐出させずに前記複数の第2ノズルから液体を吐出させるよう動作させて、記録媒体への記録を行わせる第2記録処理を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、所定数以上の異常ノズルがある場合に、記録に使用されるノズルにおける異常ノズルの数が少なくなるように一部のノズルのみから液体を吐出させて記録を行うことによって、異常ノズルからインクが吐出されないことによる画質の低下を目立ちにくくすることができる。また、このとき、第1記録処理から第2記録処理に変更するためには一部のノズルのみから液体を吐出させるように制御を変更すればよく、制御を簡単なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態のプリンタの概略構成図である。
【
図2】キャップ内に配置された電極、および、電極と高電圧電源回路および信号処理回路との接続関係を説明するための図である。
【
図3】(a)は検査用駆動でノズルからインクが吐出されたときに信号処理回路から出力される信号を示す図であり、(b)は検査用駆動でノズルからインクが吐出されなかったときに信号処理回路から出力される信号を示す図である。
【
図4】第1実施形態のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態のプリンタにおいて記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】(a)がノズル間隔に対応する解像度で記録を行う場合を説明するための図であり、(b)は(a)の半分の解像度で記録を行う場合を説明するための図であり、(c)は(a)の4分の1の解像度で記録を行う場合を説明するための図である。
【
図7】第2実施形態のプリンタの概略構成図である。
【
図8】第2実施形態のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図9】第2実施形態のプリンタにおいて記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】(a)が第2実施形態において2列のノズル列を形成するノズルからインクを吐出して記録を行う場合を説明するための図であり、(b)は第2実施形態において左側のノズル列を形成するノズルのみからインクを吐出して記録を行う場合を説明するための図であり(c)は第2実施形態において右側のノズル列を形成するノズルのみからインクを吐出して記録を行う場合を説明するための図である。
【
図11】第3実施形態のプリンタの概略構成図である。
【
図12】(a)が第3実施形態において2列のノズル列を形成するノズルからインクを吐出して記録を行う場合を説明するための図であり、(b)は第3実施形態において左側のノズル列を形成するノズルのみからインクを吐出して記録を行う場合を説明するための図であり(c)は第3実施形態において右側のノズル列を形成するノズルのみからインクを吐出して記録を行う場合を説明するための図である。
【
図13】第4実施形態のプリンタにおいて記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】第5実施形態のプリンタにおいて記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】第6実施形態のプリンタにおいて記録を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第6実施形態において表示させる表示画面を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の好適な第1実施形態について説明する。
【0012】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、第1実施形態に係るプリンタ1(本発明の「記録装置」)は、キャリッジ2(本発明の「相対移動手段」)、サブタンク3、インクジェットヘッド4(本発明の「ヘッド」)、プラテン5、搬送ローラ6,7、メンテナンスユニット8などを備えている。
【0013】
キャリッジ2は、走査方向(本発明の「第2方向」)に延びた2本のガイドレール11,12に支持されている。なお、以下では、
図1に示すように、走査方向の右側および左側を定義して説明を行う。キャリッジ2は、図示しないベルトなどを介して、キャリッジモータ86(
図4参照)に接続されている。キャリッジモータ86を駆動させると、キャリッジ2がガイドレール11,12に沿って走査方向に移動する。
【0014】
サブタンク3は、キャリッジ2に搭載されている。ここで、プリンタ1は、カートリッジホルダ13を備えている。カートリッジホルダ13には、4つのインクカートリッジ14が取り外し可能に装着される。カートリッジホルダ13に装着された4つのインクカートリッジ14は、走査方向に並んでおり、走査方向の右側に位置するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインク(本発明の「液体」)を貯留している。
【0015】
インクジェットヘッド4は、キャリッジ2に搭載され、サブタンク3の下端部に接続されている。また、インクジェットヘッド4は、その下面であるノズル面4aに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、走査方向と直交する搬送方向(本発明の「第1方向」)に間隔La(本発明の「所定間隔」)で配列されることによってノズル列9を形成しており、ノズル面4aにおいて、4列のノズル列9が走査方向に並んでいる。4列のノズル列9間で、搬送方向のノズル10の位置は同じである。複数のノズル10には、右側のノズル列9を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクがサブタンク3から供給される。これにより、複数のノズル10からは、走査方向の右側のノズル列9を構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0016】
また、インクジェットヘッド4は、複数のノズル10に個別の複数の駆動素子20(
図4参照)を有する。駆動素子20は、対応するノズル10内のインクに吐出エネルギーを付与する。駆動素子20は、例えば、ノズル10に連通する図示しない圧力室内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータである。複数の駆動素子20は、ドライバIC89(
図4参照)に接続されている。ドライバIC89は、複数の駆動素子20に駆動信号を送信することによって、複数の駆動素子20を駆動させる。
【0017】
プラテン5は、インクジェットヘッド4の下方に配置され、複数のノズル10と対向している。プラテン5は、走査方向に記録用紙Pの全長にわたって延び、記録用紙Pを下方から支持する。搬送ローラ6は、インクジェットヘッド4およびプラテン5よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ7は、インクジェットヘッド4およびプラテン5よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ6,7は、図示しないギヤなどを介して搬送モータ87(
図4参照)に接続されている。搬送モータ87を駆動させると、搬送ローラ6,7が回転し、記録用紙Pが搬送方向に搬送される。
【0018】
メンテナンスユニット8は、キャップ71と、吸引ポンプ72と、廃液タンク73とを備えている。キャップ71は、プラテン5よりも走査方向の右側に配置されている。キャリッジ2を、プラテン5よりも走査方向の右側のメンテナンス位置に位置させると、複数のノズル10がキャップ71と対向する。
【0019】
また、キャップ71は、キャップ昇降機構88(
図4参照)に接続されている。キャップ昇降機構88を駆動させると、キャップ71が昇降する。キャリッジ2を上記メンテナンス位置に位置させることによって複数のノズル10とキャップ71とを対向させた状態で、キャップ昇降機構88によりキャップ71を上昇させると、キャップ71の上端部がノズル面4aに密着する。これにより、インクジェットヘッド4の複数のノズル10がキャップ71で覆われるキャップ状態となる。キャップ71を降下させた状態では、複数のノズル10がキャップ71に覆われない。なお、キャップ71はノズル面4aに密着することで複数のノズル10を覆うものであることには限られない。キャップ71は、例えば、インクジェットヘッド4のノズル面4aの周囲に配置される図示しないフレーム等に密着することで、複数のノズル10を覆うものであってもよい。
【0020】
吸引ポンプ72はチューブポンプなどであり、キャップ71および廃液タンク73と接続されている。そして、メンテナンスユニット8では、上記キャップ状態としたうえで吸引ポンプ72を駆動させると、複数のノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させる吸引パージを行うことができる。吸引パージによって排出されたインクは廃液タンク73に貯留される。
【0021】
なお、ここでは、便宜上、キャップ71が全てのノズル10をまとめて覆い、吸引パージにおいて、全てのノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させるものとして説明を行ったが、これには限られない。例えば、キャップ71が、ブラックインクを吐出する最も右側のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分と、カラーインクを吐出する左側3列のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分とを別々に備えており、吸引パージにおいて、インクジェットヘッド4内のブラックインクおよびカラーインクのいずれかを選択的に排出させることができるようになっていてもよい。あるいは、例えば、キャップ71が、ノズル列9毎に個別に設けられ、吸引パージにおいて、ノズル列9毎に個別に、ノズル10からインクを排出させることができるようになっていてもよい。
【0022】
また、
図2に示すように、キャップ71内には、それぞれ、矩形の平面形状を有する電極76が配置されている。電極76は、抵抗79を介して高電圧電源回路77に接続されている。そして、高電圧電源回路77は、後述する検査用駆動を行うときに、電極76に所定の電圧(例えば600V程度)を印加する。一方で、インクジェットヘッド4は、グランド電位に保持されている。これにより、インクジェットヘッド4と電極76との間に所定の電位差が生じる。電極76には、信号処理回路78が接続されている。信号処理回路78は、微分回路などを含み、電極76の電圧に応じた信号を出力する。ただし、信号処理回路78から出力される信号は、電流の信号であってもよい。
【0023】
上記キャップ状態としたうえで、高電圧電源回路77により電極76に電圧を印加させ、かつ、後述する検査用駆動を行わせていない状態では、信号処理回路78から出力される信号の電圧は、
図3(a)、(b)に示す電圧V0となる。
【0024】
また、本実施形態では、上記キャップ状態としたうえで、高電圧電源回路77により電極76に電圧を印加させた状態で、インクジェットヘッド4に、複数のノズル10の各々から電極76に向けてインクを吐出させるための検査用駆動を行わせることができる。
【0025】
検査用駆動によってノズル10からインクが吐出された場合、ノズル10から吐出されたインクは帯電している。これにより、帯電したインクが電極76に近づき、電極76にインクが着弾するまで、電極76の電位が変化する。そして、帯電したインクが電極76に着弾した後、電極76の電位が減衰しながらインクの吐出前の電位に戻る。
【0026】
このとき、信号処理回路78から出力される信号は、
図3(a)に示すように、電圧V0から、電圧V0よりも大きい電圧V1まで上昇し、その後、電圧V0よりも小さい電圧V2まで低下し、その後、減衰しながら上昇と低下とを繰り返して電圧V0に戻る。これにより、信号処理回路78から出力される信号は、最大値が電圧V1、最小値が電圧V2の信号となる。
【0027】
一方、検査用駆動によってノズル10からインクが吐出されなかった場合には、信号処理回路78から出力される信号は、
図3(b)に示すように、電圧V0からほとんど変化しない。
【0028】
このように、本実施形態では、検査用駆動によってノズル10からインクが吐出されたか否かによって、信号処理回路78から出力される信号が異なる。そして、プリンタ1では、このことを利用して、後述するように、ノズル10がインクの吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを判定することができる。
【0029】
ここで、本実施形態では、電極76に所定電圧を印加し、インクジェットヘッド4をグランド電位に保持し、信号処理回路78が電極76の電圧に応じた信号を出力するように構成したが、これには限られない。電極76をグランド電位に保持し、インクジェットヘッド4に所定電圧を印加することによって、電極76とインクジェットヘッド4との間に電位差を生じさせ、信号処理回路78が、インクジェットヘッド4に接続され、インクジェットヘッド4の電圧に応じた信号を出力するように構成してもよい。
【0030】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。
図4に示すように、プリンタ1は、制御部80を備えている。制御部80は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、フラッシュメモリ84(本発明の「記憶部」)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)85などからなる。制御部80は、キャリッジモータ86、ドライバIC89、搬送モータ87、キャップ昇降機構88、吸引ポンプ72、高電圧電源回路77等の動作を制御する。なお、第1実施形態では、制御部80は、ドライバIC89を制御することによってインクジェットヘッド4を制御している。また、制御部80は、信号処理回路78等から信号を受信する。また、上記のようにインクジェットヘッド4は複数の駆動素子20を有するが、
図4では便宜上、駆動素子20を1つだけ図示している。
【0031】
また、プリンタ1は、以上に説明した構成以外に、表示部69と操作部68とを備えている。表示部69は、例えば、プリンタ1の筐体に設けられた液晶ディスプレイなどである。制御部80は、表示部69を制御して、プリンタ1の動作などに必要な情報を表示部69に表示させる。操作部68は、プリンタ1の筐体に設けられたボタン、表示部69に設けられたタッチパネルなどである。操作部68は、ユーザの操作に基づいた信号を受信し、受信した信号を制御部80に送信する。
【0032】
なお、制御部80は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC85のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC85とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのASIC85が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC85が処理を分担して行うものであってもよい。
【0033】
<異常ノズルであるか否かの判定>
次に、プリンタ1において、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の各々が異常ノズルであるか否かを判定するための処理について説明する。プリンタ1では、制御部80により、キャリッジモータ86、キャップ昇降機構88などを制御してキャップ状態としたうえで、高電圧電源回路77に電極76に電圧を印加させた状態で、インクジェットヘッド4に、複数のノズル10の各々について検査用駆動を行わせる。そして、このときに信号処理回路78から出力される信号に基づいて、ノズル10が異常ノズルであるか否かを判定する。そして、各ノズル10についての異常ノズルであるか否かの情報を、異常ノズル情報としてフラッシュメモリ84に記憶させる。
【0034】
上記の、各ノズル10について異常ノズルであるか否かを判定し、その結果をフラッシュメモリ84に記憶させる処理は、適宜のタイミングで行われる。例えば、所定時刻となったときに上記処理を行ってもよい。あるいは、記録用紙Pへの記録を指示する記録指示信号を受信した後、後述する
図6(a)のフロー開始する直前に上記処理を行ってもよい。あるいは、前回上記処理を行ってから所定枚数の記録用紙Pに記録が行われたときに上記処理を行ってもよい。あるいは、プリンタ1において所定のエラーが発生した後そのエラーが解消したときに上記処理を行ってもよい。
【0035】
<記録時の処理>
次に、プリンタ1において記録用紙Pへの記録を行うときの制御部80による処理について説明する。
【0036】
プリンタ1では、制御部80が、キャリッジモータ86を制御してキャリッジ2を走査方向に移動(インクジェットヘッド4を記録用紙Pに対して走査方向に相対移動)させつつ、各ノズル10からのインクの吐出を指示する記録データに基づいて、インクジェットヘッド4に複数のノズル10からインクを吐出させる記録パスと、搬送モータ87を制御して搬送ローラ6,7に記録用紙Pを搬送方向にノズル列9の長さ搬送させる搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Pへの記録を行うことができる。ここで、プリンタ1では、制御部80が、記録用紙Pへの記録を指示する記録指示信号を受信したときに、記録用紙Pへの記録を行う。また、制御部80は、記録用紙Pへの記録を指示する記録指示信号を受信するときに、記録データを受信することによって記録データを取得する。あるいは、制御部80が、記録指示信号を受信するときに、記録する画像の画像データを受信し、画像データから記録データを生成することによって記録データを生成してもよい。
【0037】
また、プリンタ1では、制御部80が記録指示信号を受信したときに、
図5のフローに沿って処理を行うことによって記録用紙Pへの記録を行う。
図5のフローについてより詳細に説明すると、制御部80は、まず、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報に基づいて、インクジェットヘッド4の複数のノズル10における異常ノズルの数N1が所定数Na以上であるか否かを判定する(S101)。ここで、所定数Naは、1であってもよいし、2以上であってもよい。なお、所定数Naが1の場合、S101では、インクジェットヘッド4の複数のノズル10の中に異常ノズルがあるか否かが判定されることになる。
【0038】
異常ノズルの数N1が所定数N1a未満である場合には(S101:NO)、制御部80は、第1記録処理を実行する(S102)。第1記録処理において、制御部80は、上記のように記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせて記録用紙Pへの記録を行わせる。また、制御部80は、第1記録処理において記録パスを行わせるときに、インクジェットヘッド4の複数のノズル10すべてを使用可能なノズル10に設定し、これら複数のノズル10からインクを吐出させるようにインクジェットヘッド4を駆動させる。これにより、第1記録処理では、
図6(a)に示すように、1回の記録パスで形成されるドットDの搬送方向における間隔がノズル列9におけるノズル10の間隔Laと同じになる。すなわち、第1記録処理では、各記録パスにおいて、搬送方向の解像度が間隔Laに対応する解像度(例えば1200dpi)で記録用紙Pへの画像の記録が行われる。また、第1実施形態では、搬送動作により記録用紙Pが搬送方向にノズル列9の長さ搬送される。これにより、第1実施形態では、第1記録処理で記録される画像の搬送方向の解像度も、間隔Laに対応する解像度(例えば1200dpi)となる。
【0039】
異常ノズルの数N1が所定数Na以上である場合には(S101:YES)、制御部80は、予め設定された低解像度での記録とすることによって、使用可能に設定されるノズル10における異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできるか否かを判断する(S103)。
【0040】
より詳細に説明すると、第1実施形態では、搬送方向の解像度が間隔Laに対応する解像度よりも低い低解像度が予め設定され、その情報が低解像度記録の情報としてフラッシュメモリ84に記憶されている。
【0041】
第1実施形態では、低解像度記録の情報として、例えば、
図6(b)に示すような、ノズル列9を形成する複数のノズル10のうち1つおきのノズル10のみを使用可能に設定して記録を行うことを示す情報がフラッシュメモリ84に記憶されている。この場合、第1記録処理で記録を行う場合に形成される複数のドットDのうち、搬送方向における1つおきのドットD以外のドットDが間引かれる。その結果、1回の記録パスで形成されるドットDの搬送方向における間隔が間隔Laの2倍の間隔(2×La)となる。すなわち、
図6(b)に示すように記録を行う場合、各記録パスにおいて、搬送方向の解像度が第1記録処理で記録する場合の半分の解像度(例えば600dpi)で記録用紙Pに画像が記録される。
【0042】
また、第1実施形態では、低解像度記録の情報として、例えば、
図6(c)に示すようにノズル列9を形成する複数のノズル10のうち3つおきのノズル10のみを使用可能に設定して記録を行うことを示す情報がフラッシュメモリ84に記憶されている。この場合、第1記録処理で記録を行う場合に形成される複数のドットDのうち、搬送方向における3つおきのドットD以外のドットDが間引かれる。その結果、1回路の記録パスで形成されるドットDの搬送方向における間隔が間隔Laの4倍の間隔(4×La)となる。すなわち、
図6(c)に示すように記録を行う場合、各記録パスにおいて、搬送方向の解像度が第1記録処理で記録する場合の4分の1の解像度(例えば300dpi)で、記録用紙Pに画像が記録される。
【0043】
なお、低解像度記録の情報は、
図6(b)、(c)に示す解像度での記録を示す情報には限られず、これらとは別の解像度での記録を示す情報であってもよい。また、記憶されている低解像度記録の情報は、2種類であることには限られず、1種類または3種類以上であってもよい。
【0044】
そして、S103では、低解像度記録の情報が示す低解像度での記録とすることで、異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできるか否かを判断する。ここで、
図6(b)に示す解像度での記録とすることで異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできるか否かを判断するときは、
図6(b)に示す1つおきのノズル10を使用可能に設定することによって、異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできるか否かだけではなく、それ以外の任意の1つおきのノズル10を使用可能に設定することによって、異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできるか否かを判断する。また、
図6(c)に示す解像度での記録とすることで異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできるか否かを判断するときは、
図6(c)に示す3つおきのノズル10を使用可能に設定することによって、異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできるか否かだけではなく、それ以外の任意の3つおきのノズル10を使用可能に設定することによって、異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできるか否かを判断する。
【0045】
上記低解像度での記録としても異常ノズルの数N2が所定数Na未満とできない場合(S103:NO)、制御部80は、パージ処理を実行してから(S104)、第1記録処理を実行する(S102)。S104のパージ処理では、制御部80は、吸引ポンプ72などを制御して、上述の吸引パージを行わせる。
【0046】
上記低解像度の記録とすることによって異常ノズルの数N2が所定数Na未満とできる場合(S103:YES)、制御部80は、第2記録処理を実行する(S105)。第2記録処理において、制御部80は、上記のように記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせて記録用紙Pへの記録を行わせる。また、制御部80は、第2記録処理において記録パスを行わせるときに、インクジェットヘッド4の複数のノズル10のうち一部のノズル10のみを使用可能なノズル10に設定し、インクジェットヘッド4をこれら一部のノズル10からインクから吐出させるように駆動させることによって、搬送方向の解像度が上記低解像度となるように記録を行わせる。ここで、使用可能に設定される一部のノズル10とは、例えば、
図6(b)の解像度で記録する場合のノズル列9における1つおきのノズル10、
図6(c)の解像度で記録する場合のノズル列9における3つおきのノズル10のことである。また、このとき、複数種類の低解像度が予め設定されており、2種類以上の低解像度のいずれで記録した場合にも、異常ノズルの数N2を所定数Na未満とできる場合には、これら2種類以上の低解像度のうち最も高い解像度で記録を行わせる。また、同じ低解像度で異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるような、使用可能に設定される上記一部のノズル10の選択の仕方が複数ある場合には、異常ノズルの数N2が最も少なくなるように、使用可能に設定する上記一部のノズル10を選択する。
【0047】
また、第1実施形態では、第2記録処理においても、搬送動作により記録用紙Pが搬送方向にノズル列9の長さ搬送される。これにより、各記録パスにおいて
図6(b)の解像度で記録用紙Pに画像を記録する場合には、記録される画像の搬送方向の解像度が、第1記録処理で記録される場合の半分の解像度となる。また、各記録パスにおいて
図6(c)の解像度で記録用紙Pに画像を記録する場合には、記録される画像の搬送方向の解像度が、第1記録処理で記録される場合の4分の1の解像度となる。
【0048】
また、
図6(a)~(c)に示すように、制御部80は、第2記録処理において、第1記録処理よりも、記録パスでのノズル10からのインクの吐出量を多くして、ドットDのサイズを大きくする。また、複数種類の低解像度が予め設定されている場合、より低い解像度で記録するときほど、記録パスでのノズル10からのインクの吐出量を多くして、ドットDのサイズを大きくする。
【0049】
<効果>
第1実施形態では、インクジェットヘッド4の複数のノズル10における異常ノズルの数N1が所定数N1a未満である場合に、搬送方向の解像度がノズル列9におけるノズル10の間隔Laに対応する解像度の高画質の画像を記録することができる。
【0050】
一方、インクジェットヘッド4の複数のノズル10における異常ノズルの数N1が所定数Na以上であり、かつ、予め設定された低解像度で記録を行うことにより、異常ノズルの数N2が所定数Na未満となるようにできる場合に、搬送方向の解像度がノズル10の間隔Laに対応する解像度よりも低い画像を記録することができる。また、この場合、ノズル10の間隔Laに対応する解像度での記録から、低解像度での記録に切り換える場合に、インクジェットヘッド4の複数のノズル10のうち一部のノズル10のみからインクを吐出するように制御を変更するだけでよいため、制御部80による制御を簡単なものとすることができる。また、この場合、搬送方向の解像度が低くなることにより記録される画像の画質が均等に低下する。そのため、搬送方向の解像度を低くせずに記録し、異常ノズルからインクが吐出されないことによって、記録される画像の画質が部分的に低下する場合と比較して、画質が低下していることを目立ちにくくすることができる。
【0051】
また、第1実施形態では、解像度を低くして記録を行わせる場合に、ノズル10からのインクの吐出量を大きくしてドットのサイズを大きくすることにより、記録される画像におけるドットが形成されない領域の面積を小さくすることができる。
【0052】
なお、本発明において、「前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ前記ヘッドを前記複数のノズルから液体を吐出させるよう動作させることによって、前記第1方向の解像度が前記所定間隔に対応する解像度で記録媒体に画像を記録させる」というのは、例えば、1回の記録パスにおける第1方向の解像度が、ヘッドにおける複数のノズルの第1方向の間隔(所定間隔)に対応する解像度であることを指している。言い換えれば、第1記録パスで形成される複数のドットの第1方向の間隔が、ヘッドにおける複数のノズルの第1方向の間隔(所定間隔)であることを指している。そして、この場合に最終的に記録される画像の第1方向の解像度は、所定間隔に対応する解像度であってもよいし、別の解像度であってもよい。
【0053】
また、本発明において、「前記相対移動手段に前記ヘッドを記録媒体に対して前記第2方向に相対移動させつつ前記ヘッドを前記一部のノズルから液体を吐出させるよう動作させることによって、前記第1方向の解像度が前記所定間隔に対応する解像度よりも低い解像度で記録媒体に画像を記録させる」というのは、例えば、1回の記録パスにおける第1方向の解像度が、ヘッドの複数のノズルのうち記録に使用可能な一部のノズルの第1方向の間隔(所定間隔よりも長い間隔)に対応する解像度であることを指している。言い換えれば、1回の記録パスで形成される複数のドットの第1方向の間隔が、上記一部のノズルの第1方向の間隔である(所定間隔よりも長い)ことを指している。そして、この場合に最終的に記録される画像の第1方向の解像度は、所定間隔に対応する解像度より低い解像度であってもよいし、所定間隔に対応する解像度等、別の解像度であってもよい。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明の好適な第2実施形態について説明する。
図7、
図8に示すように、第2実施形態のプリンタ100は、第1実施形態のプリンタ1の構成を一部変更したものである。なお、プリンタ100の構成のうち、
図7、
図8において、プリンタ1と同じ符号を付しているものは、プリンタ1と同様のものである。プリンタ100は、サブタンク103と、インクジェットヘッド104と、カートリッジホルダ113とを備えている。
【0055】
サブタンク103は、キャリッジ2に搭載されている。カートリッジホルダ113には、走査方向に並ぶ2つのインクカートリッジ114(本発明の「液体貯留部」)が取り外し可能に装着されている。これら2つのインクカートリッジ114には同じ色のインク(例えばブラックインク)が貯留されている。サブタンク103は、2本のチューブ115を介して2つのインクカートリッジ114と接続されており、2つのインクカートリッジ114からインクが供給される。
【0056】
インクジェットヘッド104は、複数のノズル10が搬送方向に間隔Lb(本発明の「所定間隔」)で配列されることによってそれぞれ形成され、走査方向に並んだ2つのノズル列109を有する。また、右側のノズル列109と左側のノズル列109とで、ノズル10の搬送方向の位置が、各ノズル列109におけるノズル10の間隔Lbの半分の長さ(Lb/2)ずれている。
【0057】
また、第2実施形態では、右側のインクカートリッジ114からサブタンク103に供給されたインクが、サブタンク103から右側のノズル列109を形成する複数のノズル10に供給される。また、第2実施形態では、左側のインクカートリッジ114からサブタンク103に供給されたインクが、サブタンク103から左側のノズル列109を形成する複数のノズル10に供給される。
【0058】
なお、第2実施形態では、2つのインクカートリッジ114のうち、一方のインクカートリッジ114が本発明の「第1液体貯留部」に相当し、他方のインクカートリッジ114が「第2液体貯留部」に相当する。また、2つのノズル列109のうち一方のノズル列109を形成し、第1液体貯留部となるインクカートリッジ114からインクが供給される複数のノズル10が本発明の「第1ノズル」に相当する。また、2つのノズル列109のうち他方のノズル列109を形成し、第2液体貯留部となるインクカートリッジ114からインクが供給される複数のノズル10が本発明の「第2ノズル」に相当する。
【0059】
また、第2実施形態では、第1ノズルと、第1液体貯留部となるインクカートリッジ114とを接続する、インクジェットヘッド104およびサブタンク103内の流路とチューブ115とが、本発明の「第1流路」に相当する。また、第2ノズルと第2液体貯留部となるインクカートリッジ114とを接続する、インクジェットヘッド104およびサブタンク103内の流路とチューブ115とが、本発明の「第2流路」に相当する。
【0060】
また、
図8に示すように、インクジェットヘッド104は、複数の第1駆動素子120a(本発明の「第1素子」)と複数の第2駆動素子120b(本発明の「第2素子」)とを有する。複数の第1駆動素子120aは、上記複数の第1ノズルに個別に設けられている。複数の第2駆動素子120bは、上記複数の第2ノズルに個別に設けられている。各駆動素子120a,120bは、第1実施形態の駆動素子20と同様のものである。なお、上記の通り、インクジェットヘッド104は、第1駆動素子120aおよび第2駆動素子120bをそれぞれ複数備えるが、
図8では、便宜上、第1駆動素子120aおよび第2駆動素子120bをそれぞれ1つだけ図示している。
【0061】
また、プリンタ100は、第1ドライバIC130a(本発明の「第1駆動信号出力部」)と第2ドライバIC130b(本発明の「第2駆動信号出力部」)とを備えている。第1ドライバIC130aは、複数の第1駆動素子120aと接続され、複数の第1駆動素子120aに駆動信号を出力して複数の第1駆動素子120aを個別に駆動させる。第2ドライバIC130bは、複数の第2駆動素子120bと接続され、複数の第2駆動素子120bに駆動信号を出力して、複数の第2駆動素子120bを個別に駆動させる。
【0062】
<記録時の処理>
次に、第2実施形態のプリンタ100において記録用紙Pへの記録を行うときの制御部80による処理について説明する。
【0063】
プリンタ100では、制御部80が記録指示信号を受信したときに、
図9のフローに沿って処理を行う。
図9のフローについてより詳細に説明すると、制御部80は、まず、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報に基づいて、右側のノズル列109における異常ノズルの数N3が所定数N3a以上であるか否かを判定する(S201)。ここで、所定数N3aは、1であってもよいし、2以上であってもよい。なお、所定数N3aが1の場合、S201では、右側のノズル列109を形成する複数のノズル10の中に異常ノズルがあるか否かが判定されることになる。
【0064】
異常ノズルの数N3が所定数N3a未満である場合には(S201:NO)、そのままS203に進む。異常ノズルの数N3が所定数N3a以上である場合(S201:YES)、制御部80は、右側のノズル列9を不使用に設定し(S202)、S203に進む。
【0065】
S203において、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報に基づいて、左側のノズル列109における異常ノズルの数N4が所定数N4a以上であるか否かを判定する。ここで、所定数N4aは、1であってもよいし、2以上であってもよい。なお、所定数N4aが1の場合、S203では、左側のノズル列109を形成する複数のノズル10の中に異常ノズルがあるか否かが判定されることになる。また、所定数N4aは、所定数N3aと同じであってもよいし、所定数N3aと異なっていてもよい。
【0066】
異常ノズルの数N4が所定数N4a未満である場合には(S203:NO)、そのままS205に進む。異常ノズルの数N4が所定数N4a以上である場合(S203:YES)、制御部80は、左側のノズル列9を不使用に設定し(S204)、S205に進む。
【0067】
なお、右側のノズル列109を形成するノズル10を第1ノズルとし、左側のノズル列109を形成するノズル10を第2ノズルとした場合、所定数N3aが本発明の「第1所定数」に相当し、所定数N4aが本発明の「第2所定数」に相当する。左側のノズル列109を形成するノズル10を第1ノズルとし、右側のノズル列109を形成するノズル10を第2ノズルとした場合、所定数N4aが本発明の「第1所定数」に相当し、所定数N3aが本明の「第2所定数」に相当する。
【0068】
S205において、制御部80は、両方のノズル列109が不使用に設定されているか否かを判断する。いずれのノズル列109も不使用に設定されていない、あるいは、片方のノズル列109のみが不使用に設定されている場合には(S205:NO)、そのままS207に進む。両方のノズル列109が不使用に設定されている場合には(S205:YES)、制御部80は、2つのノズル列109のうち、異常ノズルの数が少ないほうのノズル列109の不使用の設定を解除し(S206)、S207に進む。
【0069】
S207において、制御部80は記録処理を実行する。記録処理において、制御部80は、上記のように記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせて記録用紙Pへの記録を行わせる。ただし、第2実施形態では、搬送動作において、記録用紙Pを、右側のノズル列109の最上流のノズル10と、左側のノズル列109の最下流のノズル10との搬送方向の間隔と同じ長さ搬送方向に搬送させる。また、制御部80は、記録処理において記録パスを行わせるときに、インクジェットヘッド4を、不使用に設定されていないノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させるように駆動させる。また、このとき、左側のノズル列109と右側のノズル列109とで、ノズル10から吐出されたインクの記録用紙Pにおける走査方向の着弾位置が同じとなるように、ノズル10からインクを吐出させる。
【0070】
これにより、異常ノズルの数N3が所定数N3a未満で異常ノズルの数N4が所定数N4a未満である場合には、いずれのノズル列9も不使用に設定されず、
図10(a)に示すように、記録される画像において、左側のノズル列109を形成するノズル10から吐出されたインクによって形成されるドットDaと、右側のノズル列109を形成するノズル10から吐出されたインクによって形成されるドットDbとが搬送方向に交互に並ぶ。そして、この場合には、各記録パスにおいて、搬送方向の解像度が、搬送方向に隣接するドットDaとドットDbとの間隔が(Lb/2)となる解像度で、記録用紙Pに画像が記録される。また、搬送動作により記録用紙Pが右側のノズル列109の最上流のノズル10と、左側のノズル列109の最下流のノズル10との搬送方向の間隔と同じ長さ搬送方向に搬送されるため、記録される画像の搬送方向の解像度も、隣接するドットDaとドットDbとの間隔が(Lb/2)となる解像度である。なお、この場合に実行される記録処理が、本発明の「第1記録処理」に相当する。
【0071】
また、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で異常ノズルの数N4が所定数N4a未満である場合には、右側のノズル列109のみが不使用に設定され、
図10(b)に示すように、記録される画像は、
図10(a)に示す画像からドットDbが間引かれた、ドットDaによって形成されたものである。そして、この場合には、各記録パスにおいて、搬送方向の解像度が、搬送方向に隣接するドットDaの間隔がLbとなる解像度(
図10(a)の場合の半分の解像度)で、記録用紙Pに画像が記録される。また、搬送動作により記録用紙Pが右側のノズル列109の最上流のノズル10と、左側のノズル列109の最下流のノズル10との搬送方向の間隔と同じ長さ搬送方向に搬送されるため、この場合に記録される画像の搬送方向の解像度も、搬送方向におけるドットDaの間隔がLbとなる解像度(
図10(a)の場合の半分の解像度)である。
【0072】
また、異常ノズルの数N3が所定数N3a未満で異常ノズルの数N4が所定数N4a以上であり場合には、左側のノズル列109のみが不使用に設定され、
図10(c)に示すように、記録される画像は、
図10(a)に示す画像ドットDaが間引かれた、ドットDbによって形成されたものである。そして、この場合には、各記録パスにおいて、搬送方向の解像度が、搬送方向に隣接するドットDbの間隔がLbとなる解像度(
図10(a)の場合の半分の解像度)で、記録用紙Pに画像が記録される。また、搬送方向により記録用紙Pが右側のノズル列109の最上流のノズル10と、左側のノズル列109の最下流のノズル10との搬送方向の間隔と同じ長さ搬送方向に搬送されるため、この場合に記録される画像の搬送方向の解像度も、搬送方向におけるドットDの間隔がLbとなる解像度(
図10(a)の場合の半分の解像度)である。
【0073】
なお、右側のノズル列109を形成するノズル10が本発明の第1ノズルであり、左側のノズル列109を形成するノズル10が本発明の第2ノズルであるとした場合、
図10(b)に示すように記録を行うときのS207の記録処理が、本発明の「第2記録処理」に相当する。一方、左側のノズル列109を形成するノズル10が本発明の第1ノズルであり、右側のノズル列109を形成するノズル10が本発明の第2ノズルであるとした場合、
図10(c)に示すように記録を行うときのS207の記録処理が、本発明の「第2記録処理」に相当する。
【0074】
また、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で異常ノズルの数N4が所定数N4a以上であり、異常ノズルの数N4が異常ノズルの数N3よりも少ない場合には、
図10(b)に示すように、左側のノズル列109を形成する複数のノズル10からインクが吐出されることにより記録が行われる。一方、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で異常ノズルの数N4が所定数N4a以上であり、異常ノズルの数N3が異常ノズルの数N4よりも少ない場合には、
図10(c)に示すように、右側のノズル列109を形成する複数のノズル10からインクが吐出されることにより記録が行われる。すなわち、2つのノズル列109のうち、異常ノズルの数が少ないほうのノズル列109を形成する複数のノズル10からインクが吐出されることによって記録が行われる。なお、第2実施形態では、これらの場合に実行される記録処理が、本発明の「第3記録処理」に相当する。
【0075】
また、
図10(a)~(c)に示すように、2つのノズル列109のうち片方のノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行う場合には、両方のノズル列109を形成するノズル10からインクを吐出させて記録を行う場合よりも、ノズル10からのインクの吐出量を多くすることによって、ドットDa、Dbのサイズを大きくする。
【0076】
また、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で異常ノズルの数N4が所定数N4a以上であり、かつ、異常ノズルの数N3と異常ノズルの数N4とが同じ場合には、
図10(b)に示すように右側ノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行ってもよいし、
図10(c)に示すように左側ノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行ってもよい。
【0077】
<効果>
第2実施形態では、右側のノズル列109と左側のノズル列109との間で、搬送方向におけるノズル10の位置が、各ノズル列109におけるノズル10の間隔Lbの半分の長さ(Lb/2)ずれている。そして、おける異常ノズルの数N3が所定数N3a未満で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a未満の場合には、両方のノズル列109を形成する複数のノズル10からインクを吐出させるようにインクジェットヘッド104を駆動させて記録を行うことにより、記録される画像の搬送方向の解像度を高くすることができる。
【0078】
また、第2実施形態では、異常ノズルの数N3が所定数N3a未満で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a以上の場合には、左側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させず、右側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させるようにインクジェットヘッド4を駆動させて記録を行う。また、右側のノズル列109における異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で、かつ、左側のノズル列109における異常ノズルの数N4が所定数N4a未満の場合には、右側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させず、左側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させるようにインクジェットヘッド4を駆動させて記録を行う。これにより、いずれかのノズル列109における異常ノズルの数が所定数以上の場合に、簡単な処理で、搬送方向の解像度を低くして記録を行うことができる。また、この場合、搬送方向の解像度が低くなることにより記録される画像の画質が均等に低下するため、搬送方向の解像度を低くせずに記録し、異常ノズルからインクが吐出されないことによって記録される画像の画質が部分的に低下する場合よりも画質が低下していることが目立ちにくい。
【0079】
また、第2実施形態では、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a以上の場合、2つのノズル列109のうち、異常ノズルの数が少ないほうのノズル列109を形成する複数のノズル10のみからインクを吐出させるようにインクジェットヘッド204を駆動させて記録を行う。これにより、簡単な処理で、搬送方向の解像度を低くして記録を行うことができる。また、搬送方向の解像度を低くして記録を行うときに、異常ノズルからインクが吐出されないことによる画質の低下を極力抑えることができる。
【0080】
また、第2実施形態では、右側のノズル列109を形成する複数のノズル10と、左側のノズル列109を形成する複数のノズル10とに、別々のインクカートリッジ114からインクが供給される。また、第2実施形態では、一方のノズル列109を形成する複数のノズル10に対応する複数の第1駆動素子120aが第1ドライバIC130aによって駆動され、他方のノズル列109を形成する複数のノズル10に対応する複数の第2駆動素子120bが第2ドライバIC130bによって駆動される。第2実施形態では、このような構成のプリンタ100において、上述したように、各ノズル列109における異常ノズル10の数に応じて、上述したような記録を行うことができる。
【0081】
また、第2実施形態でも、搬送方向の解像度を低くして記録を行わせる際に、ノズル10からのインクの吐出量を大きくしてドットのサイズを大きくすることにより、記録される画像におけるドットが形成されない領域の面積を小さくすることができる。
【0082】
[第3実施形態]
次に、本発明の好適な第3実施形態について説明する。
図11に示すように、第3実施形態のプリンタ200は、第2実施形態のプリンタ100において、インクジェットヘッド104をインクジェットヘッド204に置き換えたものである。インクジェットヘッド204は、インクジェットヘッド104と同様、2つのノズル列109を形成する複数のノズル10を有するが、インクジェットヘッド104とは異なり、2つのノズル列109の、搬送方向におけるノズル10の位置が同じである。
【0083】
第3実施形態のプリンタ200において記録を行う際にも、第2実施形態で説明したのと同様、制御部80が
図9のフローに沿って処理を行う。ただし、第3実施形態では、例えば、S207の記録処理において、記録パスでの2つのノズル列109におけるノズル10からのインクの吐出タイミングを同じとすることによって、左側のノズル列109を形成するノズル10から吐出されたインクの記録用紙Pにおける着弾位置と、右側のノズル列109を形成するノズル10から吐出されたインクの記録用紙Pにおける着弾位置とが走査方向に隣接するようにする。そして、第3実施形態のプリンタ200では、記録処理での記録結果が、第2実施形態と異なる。
【0084】
より詳細に説明すると、異常ノズルの数N3が所定数N3a未満で異常ノズルの数N4が所定数N4a未満である場合、いずれのノズル列9も不使用に設定されず、
図12(a)に示すように、左側のノズル列109を形成するノズル10から吐出されたインクによって形成されるドットDcと、右側のノズル列109を形成するノズル10から吐出されたインクによって形成されるドットDdとが、走査方向に交互に並ぶ。そして、この場合に記録される画像の走査方向の解像度は、走査方向における隣接するドットDcとドットDdとの間隔がWとなる解像度である。なお、この場合に実行される記録処理が、本発明の「第1記録処理」に相当する。
【0085】
また、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で異常ノズルの数N4が所定数N4a未満である場合には、右側のノズル列9のみが不使用に設定され、
図12(b)に示すように、記録される画像は、
図12(a)の画像からドットDdが間引かれた、ドットDcによって形成されたものである。そして、この場合に記録される画像の走査方向の解像度は、走査方向における隣接するドットDcの間隔が(2×W)となる解像度(
図10(a)の場合の半分の解像度)である。
【0086】
また、異常ノズルの数N3が所定数N3a未満で異常ノズルの数N4が所定数N4a以上である場合には、左側のノズル列9のみが不使用に設定され、
図12(c)に示すように、記録される画像は、
図12(a)に示す画像からドットDcが間引かれた、ドットDdによって形成されたものである。そして、この場合に記録される画像の走査方向の解像度は、走査方向における隣接するドットDdの間隔が(2×W)となる解像度(
図10(a)の場合の半分の解像度)である。
【0087】
なお、右側のノズル列109を形成するノズル10を本発明の第1ノズルとし、左側のノズル列109を形成するノズル10を本発明の第2ノズルとした場合、
図12(b)に示すように記録を行うときのS207の記録処理が、本発明の「第2記録処理」に相当する。一方、左側のノズル列109を形成するノズル10を本発明の第1ノズルとし、右側のノズル列109を形成するノズル10を本発明の第2ノズルとした場合、
図12(c)に示すように記録を行うときのS207の記録処理が、本発明の「第2記録処理」に相当する。
【0088】
また、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で異常ノズルの数N4が所定数N4a以上であり、異常ノズルの数N4が異常ノズルの数N3よりも少ない場合には、
図12(b)に示すように、左側のノズル列109を形成する複数のノズル10からインクが吐出されることにより記録が行われる。一方、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で異常ノズルの数N4が所定数N4a以上であり、異常ノズルの数N3が異常ノズルの数N4よりも少ない場合には、
図12(c)に示すように、右側のノズル列109を形成する複数のノズル10からインクが吐出されることにより記録が行われる。すなわち、2つのノズル列109のうち、異常ノズルの数が少ないほうのノズル列109を形成する複数のノズル10からインクが吐出されることによって記録が行われる。なお、第3実施形態では、これらの場合に実行される記録処理が、本発明の「第3記録処理」に相当する。
【0089】
また、
図12(a)~(c)に示すように、2つのノズル列109のうち片方のノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行う場合には、両方のノズル列109を形成するノズル10からインクを吐出させて記録を行う場合よりも、ノズル10からのインクの吐出量を多くすることによって、ドットDc,Ddのサイズを大きくする。
【0090】
また、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で異常ノズルの数N4が所定数N4a以上であり、かつ、異常ノズルの数N3と異常ノズルの数N4とが同じ場合には、
図12(b)に示すように右側ノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行ってもよいし、
図12(c)に示すように左側ノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行ってもよい。
【0091】
<効果>
第3実施形態では、右側のノズル列109と左側のノズル列109とで、搬送方向におけるノズル10の位置が同じである。そして、異常ノズルの数N3が所定数N3a未満で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a未満の場合には、両方のノズル列109を形成する複数のノズル10からインクを吐出させるようにインクジェットヘッド204を駆動させて記録を行うことにより、記録される画像の走査方向の解像度を高くすることができる。
【0092】
また、第2実施形態では、異常ノズルの数N3が所定数N3a未満で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a以上の場合には、左側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させず、右側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させるようにインクジェットヘッド204を駆動させて記録を行う。また、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a未満の場合には、右側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させず、左側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させるようにインクジェットヘッド204を駆動させて記録を行う。これにより、いずれかのノズル列109における異常ノズルの数が所定数以上の場合に、簡単な処理で、走査方向の解像度を低くして記録を行うことができる。また、この場合、走査方向の解像度が低くなることにより記録される画像の画質が均等に低下するため、走査方向の解像度を低くせずに記録し、異常ノズルからインクが吐出されないことによって記録される画像の画質が部分的に低下する場合よりも画質が低下していることが目立ちにくい。
【0093】
また、第3実施形態では、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a以上の場合、2つのノズル列109のうち、異常ノズルの数が少ないほうのノズル列109を形成する複数のノズル10のみからインクを吐出させるようにインクジェットヘッド204を駆動させて記録を行う。これにより、簡単な処理で、走査方向の解像度を低くして記録を行うことができる。また、走査方向の解像度を低くして記録を行うときに、異常ノズルからインクが吐出されないことによる画質の低下を極力抑えることができる。
【0094】
[第4実施形態]
次に、本発明の好適な第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第2実施形態と同様のプリンタ100、あるいは、第3実施形態と同様のプリンタ200に係るものである。第4実施形態では、プリンタにおいて記録を行う際に、制御部80が
図13のフローに沿って処理を行う。
図13のフローは、
図9のフローにおいてS201をS301に置き換え、S203をS302に置き換えたものである。
【0095】
S301では、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報と、記録データとに基づいて、右側のノズル列109を形成する複数のノズル10のうち記録データに基づいてインクを吐出させて記録を行うとした場合に使用されるノズル10における異常ノズルの数N5が所定数N5a以上であるか否かを判定する。ここで、所定数N5aは、1であってもよいし、2以上であってもよい。そして、異常ノズルの数N5が所定数N5a未満の場合には(S301:NO)、S203に進む。異常ノズルの数N5が所定数N5a以上の場合には(S301:YES)、S203に進む。
【0096】
S302では、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報と、記録データとに基づいて、左側のノズル列109のうち記録データに基づいてインクを吐出させて記録を行うとした場合に使用されるノズル10における異常ノズルの数N6が所定数N6a以上であるか否かを判定する。ここで、所定数N6aは、1であってもよいし、2以上であってもよい。そして、異常ノズルの数N6が所定数N6a未満の場合には(S302:NO)、S205に進む。異常ノズルの数N6が所定数N3a以上の場合には(S302:YES)、S204に進む。
【0097】
なお、第4実施形態では、右側のノズル列109を形成するノズル10を第1ノズルとし、左側のノズル列109を形成するノズル10を第2ノズルとした場合、所定数N5aが本発明の「第1所定数」に相当し、所定数N6aが本発明の「第2所定数」に相当する。左側のノズル列109を形成するノズル10を第1ノズルとし、右側のノズル列109を形成するノズル10を第2ノズルとした場合、所定数N6aが本発明の「第1所定数」に相当し、所定数N5aが本明の「第2所定数」に相当する。
【0098】
<効果>
第4実施形態では、異常ノズルの数N5が所定数N5a未満で、かつ、常ノズルの数N6が所定数N6a未満である場合に、両方のノズル列109を形成するノズル10からインクを吐出させて記録を行わせる。これにより、搬送方向あるいは走査方向に高解像度での記録が可能となる。
【0099】
一方、異常ノズルの数N5が所定数N5a以上で、かつ、異常ノズルの数N6が所定数N6a未満である場合に、右側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させず、左側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させて記録を行わせる。異常ノズルの数N5が所定数N5a未満で、かつ、異常ノズルの数N6が所定数N6a以上である場合に、左側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させず、右側のノズル列109を形成するノズル10からはインクを吐出させて記録を行わせる。これにより、記録データに基づいてインクを吐出させるとした場合に使用されるノズル10における異常ノズルの数が、一方のノズル列109において所定数以上であり、他方のノズルにおいて所定数未満の場合に、簡単な処理で、搬送方向あるいは走査方向の解像度を低くして記録を行うことができる。また、この場合、記録される画像の画質が均等に低下するため、解像度を低くせずに記録を行い、異常ノズルからインクが吐出されないことによって、記録される画像の画質が部分的に低下する場合よりも画質が低下していることが目立ちにくい。
【0100】
[第5実施形態]
次に、本発明の好適な第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態と同様のプリンタ1に係るものである。ただし、第5実施形態では、プリンタ1において、モノクロモードおよびカラーモードのいずれかのモードで選択的に記録を行うことができる。モノクロモードは、カートリッジホルダ13に装着される4つのインクカートリッジ14をすべてブラックインクが貯留されたものとし、インクジェットヘッド4の複数のすべてのノズル10からブラックインクを吐出してモノクロ記録を行うモードである。カラーモードは、第1実施形態で説明したのと同様、カートリッジホルダ13に装着される4つのインクカートリッジ14をブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されたものとし、インクジェットヘッド4の複数のノズル10から上記4色のインクを吐出してカラー記録を行うモードである。
【0101】
第5実施形態では、カラーモードからモノクロモードに切り換えるために、例えば、カートリッジホルダ13に装着されている4つのインクカートリッジ14のうち左側3つのカラーインクが貯留されたインクカートリッジ14を取り外し、代わりにブラックインクが貯留されたインクカートリッジ14を装着する。そして、吸引パージを行って、インクジェットヘッド4、サブタンク3およびチューブ15内のカラーインクをブラックインクに置き換える。
【0102】
また、モノクロモードからカラーモードに切り換えるために、例えば、カートリッジホルダ13に装着されている4つのインクカートリッジ14のうち左側3つのブラックインクが貯留されたインクカートリッジ14を取り外し、代わりにカラーインクが貯留されたインクカートリッジ14を装着する。そして、吸引パージを行って、インクジェットヘッド4、サブタンク3およびチューブ15内のブラックインクをカラーインクに置き換える。ただし、ブラックインクはカラーインクよりも色が濃いため、このようにしても、ノズル10から適切な色のカラーインクが吐出できないことがある。そのため、第5実施形態のプリンタは、モノクロモードカラーモードへの切り換えが可能で、かつ、カラーモードからモノクロへの切り換えができないものであってもよい。
【0103】
なお、第5実施形態では、4つのノズル列9のうち任意の1つのノズル列9を構成する複数のノズル10が、本発明の「第1ノズル」に相当する。また、上記第1ノズル10によって構成されるノズル列9を除いた3つのノズル列9のうち任意の1つのノズル列9を構成する複数のノズル10が、本発明の「第2ノズル」に相当する。また、上記第1ノズルによって構成されるノズル列9および上記第2ノズルによって構成されるノズル列9を除いた2つのノズル列9のうちの一方のノズル列9を構成する複数のノズル10が、本発明の「第3ノズル」に相当し、他方のノズル列9を構成する複数のノズル10が本発明の「第4ノズル」に相当する。
【0104】
また、第5実施形態では、4つのインクカートリッジ14が本発明の「液体貯留部」に相当する。また、第1~第4ノズルに対応するインクカートリッジ14が、それぞれ、本発明の「第1液体貯留部」、「第2液体貯留部」、「第3液体貯留部」および「第4液体貯留部」に相当する。
【0105】
また、第1ノズルと第1液体貯留部となるインクカートリッジ14とを接続する、インクジェットヘッド4およびサブタンク3内の流路とチューブ15とが、本発明の「第1流路」に相当する。また、第2ノズルと第2液体貯留部となるインクカートリッジ14とを接続する、インクジェットヘッド4およびサブタンク3内の流路とチューブ115とが、本発明の「第2流路」に相当する。また、第3ノズルと第3液体貯留部となるインクカートリッジ14とを接続する、インクジェットヘッド4およびサブタンク3内の流路とチューブ15とが、本発明の「第3流路」に相当する。また、第4ノズルと第4液体貯留部となるインクカートリッジ14とを接続する、インクジェットヘッド4およびサブタンク3内の流路とチューブ15とが、本発明の「第4流路」に相当する。
【0106】
そして、第5実施形態では、プリンタ1において記録用紙Pへの記録を行うときに、制御部80が
図14のフローに沿って処理を行う。
図14のフローについてより詳細に説明すると、制御部80は、まず、モノクロモードであるか否かを判断する(S401)。第5実施形態では、例えば、予め、ユーザによる操作部68の操作に基づいて、モノクロモードであるかカラーモードであるかを示す情報をフラッシュメモリ84に記憶させる。そして、制御部80は、S401においてフラッシュメモリ84に記憶された上記情報に基づいてモノクロモードであるか否かを判断する。あるいは、例えば、インクカートリッジ14が、貯留されているインクの色の情報などが記憶されたICチップを有し、カートリッジホルダ13が、ICチップから情報を読み取るための読取部を有していてもよい。そして、制御部80が、S401において、読取部を介してICチップから読み取った、各インクカートリッジ14に貯留されたインクの色の情報に基づいて、モノクロモードであるか否かを判断してもよい。
【0107】
モノクロモードでない場合、つまり、カラーモードである(S401:NO)、S412に進む。モノクロモードである場合(S401:YES)、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報に基づいて、最も右側のノズル列9における異常ノズルの数N7が所定数N7a以上であるか否かを判定する(S402)。ここで、所定数N7aは、1であってもよいし、2以上であってもよい。
【0108】
異常ノズルの数N7が所定数N7a未満である場合には(S402:NO)、そのままS404に進む。異常ノズルの数N7が所定数N7a以上である場合(S402:YES)、制御部80は、最も右側のノズル列9を不使用に設定し(S403)、S404に進む。
【0109】
S404において、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報に基づいて、右から2番目のノズル列9における異常ノズルの数N8が所定数N8a以上であるか否かを判定する。ここで、所定数N8aは、1であってもよいし、2以上であってもよい。また、所定数N8aは、所定数N7aと同じであってもよいし、所定数N7aと異なっていてもよい。
【0110】
異常ノズルの数N8が所定数N8a未満である場合には(S404:NO)、そのままS406に進む。異常ノズルの数N8が所定数N8a以上である場合(S404:YES)、制御部80は、右から2番目のノズル列9を不使用に設定し(S405)、S406に進む。
【0111】
S406において、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報に基づいて、左から2番目のノズル列9における異常ノズルの数N9が所定数N9a以上であるか否かを判定する。ここで、所定数N9aは、1であってもよいし、2以上であってもよい。また、所定数N9aは、所定数N7a,N8aのいずれかと同じであってもよいし、所定数N7a,N8aのいずれとも異なっていてもよい。
【0112】
異常ノズルの数N9が所定数N9a未満である場合には(S406:NO)、そのままS408に進む。異常ノズルの数N9が所定数N9a以上である場合(S406:YES)、制御部80は、左から2番目のノズル列9を不使用に設定し(S407)、S408に進む。
【0113】
S408において、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている異常ノズル情報に基づいて、最も左側のノズル列9における異常ノズルの数N10が所定数N10a以上であるか否かを判定する。ここで、所定数N10aは、1であってもよいし、2以上であってもよい。また、所定数N10aは、所定数N7a,N8a,N9aのいずれかと同じであってもよいし、所定数N7a,N8a,N9aのいずれとも異なっていてもよい。
【0114】
異常ノズルの数N10が所定数N10a未満である場合には(S408:NO)、そのままS410に進む。異常ノズルの数N10が所定数N10a以上である場合(S408:YES)、制御部80は、最も左側のノズル列9を不使用に設定し(S409)、S410に進む。
【0115】
なお、第5実施形態では、所定数N7a,N8a,N9a,N10aのうち、第1ノズルに対応するものが本発明の「第1所定数」に相当し、第2ノズルに対応するものが本発明の「第2所定数」に相当する。
【0116】
S410において、制御部80は、すべてのノズル列9が不使用に設定されているか否かを判断する。いずれのノズル列9も不使用に設定されていない、あるいは、一部のノズル列9のみが不使用に設定されている場合には(S410:NO)、そのままS412に進む。すべてのノズル列9が不使用に設定されている場合には(S410:YES)、制御部80は、4つのノズル列9のうち、異常ノズルの数が最も少ない1つのノズル列9の不使用の設定を解除し(S411)、S412に進む。
【0117】
S412において、制御部80は記録処理を実行する。記録処理において、制御部80は、上記のように記録パスと搬送動作とを繰り返し行わせて記録用紙Pへの記録を行わせる。また、制御部80は、記録処理において記録パスを行わせるときに、不使用に設定されていないノズル列9を形成するノズル10のみからインクを吐出させる。
【0118】
そして、第5実施形態では、
図14のフローに沿って処理を行うことにより、モノクロモードでは、すべてのノズル列9における異常ノズルの数が所定数未満の場合に、4列のノズル列9を形成するノズル10からインクが吐出されて記録が行われる。また、モノクロモードでは、異常ノズルの数が所定数以上のノズル列9がある場合に、4列のノズル列9のうち一部のノズル列9を形成するノズル10のみからインクが吐出されて記録が行われる。一方、カラーモードでは、各ノズル列9における異常ノズルの数によらず、4列のノズル列9を形成するノズル10からインクが吐出されて記録が行われる。
【0119】
<効果>
第5実施形態では、4つのノズル列9を形成するすべてのノズルからブラックインクを吐出させて記録を行うモノクロモード、および、4つのノズル列9を形成するノズルから異なる色のインクを吐出させて記録を行うカラーモードのいずれかで選択的に記録を行うことが可能なプリンタにおいて、モノクロモードで記録する場合に、第1ノズルにおける異常ノズルの数が第1所定数未満で、且つ、第2ノズルにおける異常ノズルの数が第2所定数未満である場合には、第1ノズルおよび第2ノズルの両方からインクを吐出させるようにインクジェットヘッド4を駆動させて記録を行うことにより、走査方向に高解像度で記録を行うことができる。
【0120】
また、第1ノズルにおける異常ノズルの数が第1所定数以上で、かつ、第2ノズルにおける異常ノズルの数が第2所定数未満の場合には、第1ノズルからはインクを吐出させず、第2ノズルからインクを吐出させるようにインクジェットヘッド4を駆動させて記録を行う。これにより、走査方向の解像度を低くして記録を行うことができる。
【0121】
そして、この場合には、第1ノズルにおける異常ノズルの数が第1所定数以上の場合に、簡単な処理で、走査方向の解像度を低くして記録を行うことができる。また、この場合、記録される画像の画質が均等に低下するため、走査方向の解像度を低くせずに記録し、異常ノズルからインクが吐出されないことによって記録される画像の画質が部分的に低下する場合よりも画質が低下していることが目立ちにくい。
【0122】
また、カラーモードで記録する場合には、各ノズル列9における異常ノズルの数に関わらず、すべてのノズル列9を形成するノズル10からインクを吐出させて記録を行う。カラーモードでは4つのノズル列9を形成するノズル10から異なる色のインクが吐出されるため、特定の色を吐出するノズル10のみインク吐出しないようにすると、モノクロモードにおいて一部のノズル列9を形成するノズル10からインクを吐出しないようにする場合に比べて画質が大きく劣化してしまう虞がある。そのため、カラーモードの場合には、ノズル列9における異常ノズルの数が多くても、そのノズル列9を形成するノズル10からインクを吐出して記録を行うことが望ましい。
【0123】
[第6実施形態]
次に、本発明の好適な第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第2実施形態と同様のプリンタ200あるいは第3実施形態と同様のプリンタ300に係るものである。そして、第6実施形態では、プリンタ1において記録を行う際に、制御部80が、
図15のフローに沿って処理を行う。
【0124】
より詳細に説明すると、制御部80は、第2実施形態で説明したのと同様、S201~S204の処理を行う。そして、S204の処理の後、制御部80は、不使用に設定されたノズル列109があるか否かを判断する(S501)。
【0125】
不使用に設定されたノズル列109がない場合(S501:NO)、制御部80は、第2実施形態と同様に、S207の記録処理を実行し、処理を終了する。不使用に設定されたノズル列109がある場合(S501:YES)、制御部80は、画面表示処理を実行する(S502)。画面表示処理では、制御部80は、表示部69に
図16に示すような選択画面250を表示させる。選択画面250は、メッセージ部251(本発明の「第1オブジェクト」)と、選択部252a,252b(本発明の「第2オブジェクト」)とを有する。
【0126】
メッセージ部251は、吐出異常による画質の低下を抑えるために低解像度で記録を行うことをユーザに知らせるとともに、ユーザに低解像度で記録するか否かの選択を促すためのメッセージが表示される部分である。選択部92a,92bは、低解像度で記録するか否かをユーザに選択させるための部分である。ユーザが、選択部92aに基づいて操作部68を操作した場合、低解像度で記録することを示す選択信号が入力される。ユーザが、選択部92bに基づいて操作部68を操作した場合、低解像度で記録しないことを示す選択信号が入力される。ここで、選択部92a,92bに基づいて操作部68を操作するとは、例えば、操作部68がボタンである場合に選択部92a,92bに対応するボタンを操作すること、操作部68が表示部69に設けられたタッチパネルである場合にタッチパネルの選択部92a,92bが表示されている部分をタッチすること等である。
【0127】
図15に戻って、制御部80は、S502の選択画面表示処理の後、選択信号を受信するまで待機する(S503:NO)。そして、制御部80は、選択信号を受信したときに(S503:YES)、受信した選択信号に基づいて、低解像度で記録を行うことが選択されたか否かを判断する(S504)。
【0128】
低解像度で記録を行うことが選択された場合(S504:YES)、制御部80は、第2実施形態で説明したのと同様、S205~S207の処理を行う。低解像度で記録を行わないことが選択された場合(S504:NO)、制御部80は、S202およびS204の少なくとも一方で設定された、ノズル列9の不使用の設定を解除し(S505)、S207の記録処理に進む。この場合、S207の記録処理では、2つのノズル列109の両方を形成するノズル10からインクが吐出される。
【0129】
<効果>
第6実施形態では、いずれかのノズル列109において異常ノズルの数が多く、そのノズル列109が不使用に設定されることよって低解像で記録が行われる場合に、表示部69にメッセージ部251を含む選択画面250を表示させる。これにより、ユーザは、解像度を低くして記録が行われることを把握することができる。
【0130】
また、第6実施形態では、このとき、表示部69に、メッセージ部251と選択部252a,252bとを有する選択画面250を表示をさせる。これにより、いずれかのノズル列109において異常ノズルの数が所定数以上の場合に、ユーザに解像度を低くして記録を行うか否かを選択させ、ユーザが解像度を低くして記憶を行うことを選択した場合にのみ、解像度を低くして記録を行うことができる。
【0131】
一方で、ユーザが解像度を低くして記憶を行わないことを選択した場合には、ユーザの希望に応じて、両方のノズル列109を形成するノズル10からインクを吐出させて、高解像度で記録を行わせることができる。
【0132】
なお、第6実施形態では、第2、第3実施形態において、表示部69に選択画面250を表示させて、ユーザに解像度を低くして記録を行うか否かを選択させる例について説明したが、第1、第4実施形態において、表示部69に選択画面250を表示させて、ユーザに解像度を低くして記録を行うか否かを選択させてもよい。
【0133】
[変形例]
以上、本発明の好適な第1~第6実施形態について説明したが、本発明は第1~第6実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0134】
第1~第6実施形態では、解像度を低くして記録を行う場合に、解像度を低くしない場合よりも、ノズル10からのインクの吐出量を多くすることによってドットのサイズを大きくしたが、これには限られない。解像度を低くして記録を行う場合に、解像度を低くしない場合とノズル10からのインクの吐出量を同じとしてもよい。
【0135】
第1実施形態では、予め設定されている低解像度が、記録される画像の部分によらず、元の解像度に対して一律に低いものであったが、これには限られない。予め設定されている低解像度は、記録される画像の搬送方向の位置によって異なっていてもよい。例えば、搬送方向において、第1記録処理で記録を行う場合に形成される複数のドットDのうち、1つおきのドットDが形成される代わりに、連続した2つのドットが形成され、次の連続した2つのドットが間引かれるよう制御されてもよく、また、例えば連続した3つのドットが形成され、次の連続した3つのドットが間引かれるよう制御されてもよい。
【0136】
第1実施形態では、予め設定された低解像で記録を行っても、異常ノズルの数N2を所定数Na未満にできない場合に、吸引パージを行わせてから、第1記録処理を実行したが、これには限られない。例えば、このような場合に、記録を行わせずに、表示部69に吸引パージを促すメッセージを表示させるなどしてもよい。
【0137】
また、第2、第3実施形態では、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a以上である場合に、2つのノズル列109のうち異常ノズルの数が少ないほうのノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行ったが、これには限られない。
【0138】
第2、第3実施形態において、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a以上である場合に、異常ノズルの数N3とN4との大小関係に関係なく、右側のノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行ってもよい。あるいは、異常ノズルの数N3とN4との大小関係に関係なく、左側のノズル列109を形成するノズル10のみからインクを吐出させて記録を行ってもよい。
【0139】
あるいは、第2、第3実施形態において、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上で、かつ、異常ノズルの数N4が所定数N4a以上である場合に、吸引パージを行わせ、両方のノズル列109における不使用の設定を解除したうえで、S207の記録処理に進むようにしてもよい。
【0140】
また、第2、第3実施形態では、右側のノズル列109を構成する複数のノズル10と、左側のノズル列109を構成する複数のノズル10とに、別々のインクカートリッジ114からインクが供給される。しかしながら、これには限られない。例えば、2つのノズル列109を形成する複数のノズル10に、共通のインクカートリッジ114からインクが供給されてもよい。
【0141】
また、以上の例では、取り外し可能に装着されたインクカートリッジからノズル10にインクが供給されていたが、これには限られない。例えば、プリンタが取り外しできないように設けられているとともに、インクの補充口を有するインクタンクを有し、インクタンクに貯留されたインクが各ノズル10に供給されるようになっていてもよい。
【0142】
また、第2、第3実施形態では、複数の第1駆動素子120aが第1ドライバIC130aによって駆動され、複数の第2駆動素子120bが、第1ドライバIC130aとは別の第2ドライバIC130bによって駆動されていたが、これには限られない。例えば、複数の第1駆動素子120aと複数の第2駆動素子120bとが共通のドライバICによって駆動されてもよい。
【0143】
また、第2実施形態では、インクジェットヘッド4が2つのノズル列109を有し、2つのノズル列109間で、搬送方向におけるノズル10の位置が、各ノズル列109におけるノズル10の間隔Lbの半分の長さずれていたが、これには限られない。例えば、Mを3以上の整数として、インクジェットヘッドがM個のノズル列109を有し、ノズル列109間で、搬送方向におけるノズル10の位置が、各ノズル列109におけるノズル10の間隔LbのM分の1の長さ(Lb/M)ずれていてもよい。
【0144】
第5実施形態では、4つのノズル列9の、搬送方向におけるノズル10の位置が同じであったが、これには限られない。第5実施形態において、4つのノズル列9の少なくとも一部の間で搬送方向におけるノズル10の位置がずれていてもよい。
【0145】
また、第5実施形態では、4つのノズル列9すべてが不使用に設定された場合、異常ノズルの数が最も少ない1つのノズル列9における不使用の設定を解除して記録を行わせたが、これには限られない。例えば、4つのノズル列9すべてが不使用に設定された場合、異常ノズルの数が最も少ないノズル列9と、異常ノズルの数が2番目に少ないノズル列9の2つのノズル列9における不使用の設定を解除して記録を行わせてもよい。あるいは、例えば、4つのノズル列9すべてが不使用に設定された場合、異常ノズルの数が最も多いノズル列9以外の3つのノズル列9における不使用の設定を解除して記録を行わせてもよい。
【0146】
第6実施形態では、いずれかのノズル列9が不使用に設定された場合において、解像度を低くする記録を行わないことがユーザにより選択された場合には、ノズル列9についての不使用の設定を解除して、異常ノズルの数N3が所定数N3a以上、および、異常ノズルの数N4が所定数N4a以上の少なくとも一方の状態のまま、両方のノズル列9を形成する複数のノズル10からインクを吐出させて記録を行ったが、これには限られない。
【0147】
例えば、いずれかのノズル列9が不使用に設定された場合において、解像度を低くする記録を行わないことがユーザにより選択された場合に、吸引パージを行わせてから、両方のノズル列9を形成する複数のノズル10からインクを吐出させて記録を行ってもよい。あるいは、このような場合に、記録を停止して、吸引パージを促すメッセージを表示部69に表示させてもよい。
【0148】
また、第6実施形態では、メッセージ部251と選択部252a,252bとを有する選択画面250を表示部69に表示させたが、これには限られない。例えば、選択画面250の代わりに、解像度を低くして記録を行うことをユーザに知らせるためのメッセージのみを有する画面を表示部69に表示させてもよい。この場合でも、ユーザはこの画面に基づいて、解像度を低くして記録が行われることを把握することができる。
【0149】
また、以上に説明したような画面は、プリンタの表示部に表示させることにも限られない。例えば、プリンタが、PC、スマートフォンなどの外部装置と接続されている場合に、外部装置の表示部にこれらの画面を表示させてもよい。なお、この場合には、例えば、制御部80において、表示部69に画面を表示させるための処理を行う代わりに、外部装置に画面を表示させるための信号を送信すればよい。
【0150】
また、表示部に、以上に説明したような画面を表示させることなく、解像度を低くして記録を行ってもよい。
【0151】
また、以上の例では、第2記録処理において、第1記録処理よりも、記録される画像の、搬送方向あるいは走査方向の解像度を低くしたが、これには限られない。
【0152】
例えば、第1、第2実施形態の第2記録処理において、搬送動作における記録用紙Pの搬送量を第1記録処理よりも小さくするとともに、記録データのうち、第1記録処理における1回の記録パスに対応するインクの吐出を、複数回の記録パスに分けて行うことにより、記録される画像の搬送方向の解像度を、第1記録処理で記録する場合と同じとしてもよい。この場合、第2記録処理において、記録データのうち、第1記録処理における1回の記録パスに対応するインクの吐出を、複数回の記録パスに分けて行うだけであるため、第1記録処理で使用される記録データをそのまま使用して記録を行うことができる。したがって、第1記録処理から第2記録処理に変更するための処理が複雑になることがない。つまり、制御を簡単にすることができる。第4、第6実施形態で2つのノズル列109間でノズル10の搬送方向の位置がずれている場合の第2記録処理においても、第2記録上述したのと同様にして記録を行ってもよい。
【0153】
また、例えば、第3実施形態の第2記録処理において、記録パスにおいて、キャリッジ2の移動速度を、第1記録処理のときの半分の速度とし、一方のノズル列109を形成するノズル10から、記録データのうち、一方のノズル列109に対応するデータ部分に基づくインクの吐出と、他方のノズル列109に対応するデータ部分に基づくインクの吐出とを交互に行ってもよい。この場合には、第2記録処理で記録される画像の走査方向の解像度が、第1記録処理で記録を行う場合と同じとなる。また、この場合、第2記録処理において、第1記録処理で使用される記録データをそのまま使用して記録を行うことができるため、第1記録処理から第2記録処理に変更するための処理が複雑になることがない。つまり、制御を簡単にすることができる。第4、第6実施形態で2つのノズル列109間でノズル10の搬送方向の位置が同じ場合の第2記録処理、および、第5実施形態の第2記録処理においても、上述したのと同様にして記録を行ってもよい。
【0154】
また、以上の例では、インクジェットヘッド4に検査用駆動を行わせたときの、ノズル10からキャップ71内に配置された電極76における電圧の変化に応じて信号処理回路78から出力される信号に基づいて、ノズル10が異常ノズルであるか否かを判断したが、これには限られない。
【0155】
例えば、電極76の代わりに、鉛直方向に延びており、キャリッジ2がメンテナンス位置に位置している状態でノズル10の下方の空間と対向する電極を設けてもよい。そして、信号処理回路78から、キャリッジ2をメンテナンス位置に位置させた状態で検査用駆動を行ったときの上記電極の電圧の変化に応じた信号を出力するようにしてもよい。
【0156】
あるいは、例えば、キャリッジ2がメンテナンス位置等の所定位置に位置している状態で、ノズル10から吐出されたインクを直接検出し、検出結果に応じた信号を出力する光センサを設けてもよい。そして、この光センサから出力される信号に基づいて、ノズル10が異常ノズルであるか否かを判断してもよい。
【0157】
あるいは、例えば、特許第4929699号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドのノズルが形成されたプレートに、ノズルからインクが吐出されたときの電圧の変化を検出する電圧検出回路を接続し、キャリッジを検査位置に移動させた状態でノズルからインクを吐出させるための動作を行わせたときに電圧検出回路から出力された信号に基づいて、ノズルが異常ノズルであるか否かを判断してもよい。
【0158】
あるいは、例えば、特許第6231759号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドの基板を、温度検知素子を備えたものとしてもよい。そして、インクの吐出のために第1印加電圧を印加してヒータを駆動した後に、インクが吐出されないように第2印加電圧を印加してヒータを駆動し、第2印加電圧を印加してから、その後、所定時間が経過するまでの間の、温度検知素子で検知された温度の変化に基づいて、ノズル10が異常ノズルであるか否かに応じた信号を出力するようにしてもよい。
【0159】
あるいは、プリンタに所定のテストパターンを記録させ、テストパターンの記録結果に基づいて、各ノズル10が異常ノズルであるか否かを判断してもよい。このとき、プリンタがスキャナを有する複合機である場合に、スキャナにテストパターンを読み取らせることによってテストパターンの記録結果を入力してもよい。あるいは、ユーザに、テストパターンの記録結果に基づいて操作部68やプリンタに接続された外部装置を操作させることによって、テストパターンの記録結果を入力してもよい。
【0160】
また、以上の例では、インクジェットヘッド4の全てのノズル10について、検査用駆動を行わせて、ノズル10が異常ノズルであるか否かを判断したが、これには限られない。例えば、各ノズル列9における1つおきのノズル10等、インクジェットヘッド4の一部のノズル10についてのみ、検査用駆動を行わせてノズル10が異常ノズルであるか否かを判断してもよい。そして、それ以外のノズル10については、上記一部のノズル10についての判断結果に基づいてノズル10が異常ノズルであるか否かを推定してもよい。
【0161】
また、以上の例では、ノズル10からインクが吐出されたか否かに基づいてノズル10が異常ノズルであるか否かを判断したが、これには限られない。例えばインクの吐出方向や吐出速度等に基づいてノズル10が異常ノズルであるか否かを判断してもよい。
【0162】
また、以上の例では、異常ノズル情報として、複数のノズル10の各々について、異常ノズルであるか否かの情報をフラッシュメモリ84に記憶させたが、異常ノズル情報として、異常ノズルの数が所定数以上の異常ノズルがあるか否かに関連する別の情報がフラッシュメモリ84に記憶されていてもよい。例えば、異常ノズル情報として、異常ノズルの数の情報をフラッシュメモリ84に記憶させてもよい。また、例えば、各実施形態において、すべての所定数が1である場合には、異常ノズル情報として、少なくとも1つのノズル10が異常ノズルであるか否かの情報をフラッシュメモリ84に記憶させてもよい。
【0163】
また、上述の実施形態では、キャリッジとともに走査方向に移動しつつ複数のノズルからインクを吐出する、いわゆるシリアルヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、走査方向(本発明の「第1方向」)に記録用紙の全長にわたって延び、走査方向に配列された複数のノズルを有する、いわゆるラインヘッドを備えたプリンタに本発明を適用することも可能である。ラインヘッドを備えたプリンタでは、搬送ローラなどの用紙搬送機構により記録用紙を搬送方向(本発明の「第2方向」)に搬送させることによってラインヘッドを記録用紙に対して搬送方向に相対移動させつつ、ラインヘッドの複数のノズルからインクを吐出させて記録を行う。すなわち、ラインヘッドを備えたプリンタに本発明を適用する場合には、用紙搬送機構が、本発明の「相対移動手段」に相当する。
【0164】
また、以上では、ノズルからインクを吐出して記録用紙Pに記録を行うプリンタと通信可能な外部装置に本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。Tシャツ、屋外広告用のシート、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂部材など、記録用紙以外の被記録媒体に画像を記録するプリンタにも適用され得る。
【符号の説明】
【0165】
1:プリンタ
2:キャリッジ
6,7:搬送ローラ
10:ノズル
69:表示部
80:制御部
84:フラッシュメモリ
114:インクカートリッジ
120a:第1駆動素子
120b:第2駆動素子
130a:第1ドライバIC
130b:第2ドライバIC
251:メッセージ部
252a,252b:選択部