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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175111
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】通信システムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/112 20130101AFI20231205BHJP
   H04B 10/40 20130101ALI20231205BHJP
【FI】
H04B10/112
H04B10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087394
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 崇
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AH01
5K102AH26
5K102AL11
5K102AL23
5K102AL28
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH25
5K102PB11
5K102PH31
5K102RB02
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】周囲で複数の近赤外線の光信号が飛び交っている状況であっても、所望の相手との近赤外線通信を好適に行う。
【解決手段】通信システム10は、送信側装置として、受信側装置が位置する領域に向けて中赤外線の点滅信号を送信する中赤外線送信部15と、中赤外線の点滅信号と略同じ周期の近赤外線の点滅信号を送信する近赤外線送信部13とを備える。通信システム10は、受信側装置として、送信側装置が含まれる範囲の動画像を撮像する撮像部12と、送信側装置から送信された中赤外線の点滅信号を検出する中赤外線受信部16と、動画像における、中赤外線の点滅信号と略同じ周期の近赤外線の点滅信号を発出している領域から送信される近赤外線を選択的に受信可能な近赤外線受信部14とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側装置と受信側装置との間で通信を行う通信システムであって、
前記送信側装置は、
前記受信側装置が位置する領域に向けて中赤外線の点滅信号を送信する中赤外線送信部と、
前記中赤外線の点滅信号と略同じ周期の近赤外線の点滅信号を送信する近赤外線送信部と、を備え、
前記受信側装置は、
前記送信側装置が含まれる範囲の動画像を撮像する撮像部と、
前記送信側装置から送信された前記中赤外線の点滅信号を検出する中赤外線受信部と、
前記動画像における、前記中赤外線の点滅信号と略同じ周期の前記近赤外線の点滅信号を発出している領域から送信される近赤外線の光信号を選択的に受信可能な近赤外線受信部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記近赤外線送信部は、前記中赤外線の点滅信号と略同期した前記近赤外線の点滅信号を送信し、
前記近赤外線受信部は、前記動画像における、前記中赤外線の点滅信号と略同期した前記近赤外線の点滅信号を発出している領域から送信される近赤外線の光信号を選択的に受信可能であることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記中赤外線送信部は、
中赤外線レーザ光を発出する中赤外線レーザと、
オン/オフの切替が可能な複数のマイクロミラーをアレイ状に配置したデジタルミラーデバイスであって、前記中赤外線レーザからの中赤外線レーザ光を回折するデジタルミラーデバイスと、
前記デジタルミラーデバイスによって回折された中赤外線レーザ光を前記受信側装置が含まれる範囲に向ける導光光学系と、を備え、
前記デジタルミラーデバイスは、前記受信側装置が位置する領域に対応するマイクロミラーをオン/オフを交互に切り替えることにより、前記受信側装置が位置する領域に向けて中赤外レーザ光の点滅信号を選択的に送信可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記近赤外線送信部は、近赤外線レーザ光を発出する近赤外線レーザを備え、
前記デジタルミラーデバイスは、前記受信側装置が位置する領域に対応するマイクロミラーのオン/オフを交互に切り替えることにより、前記受信側装置が位置する領域に向けて近赤外線レーザ光の点滅信号を選択的に送信可能であることを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記近赤外線送信部は、近赤外線を放出する近赤外線光源を備え、前記受信側装置が位置する領域を含む領域に近赤外線の点滅信号を送信可能であることを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
送信側装置と受信側装置との間で通信を行う通信方法であって、
前記送信側装置において、前記受信側装置が位置する領域に向けて中赤外線の点滅信号を送信するステップと、
前記送信側装置において、前記中赤外線の点滅信号と略同じ周期の近赤外線の点滅信号を送信するステップと、
前記受信側装置において、前記送信側装置が含まれる範囲の動画像を撮像するステップと、
前記受信側装置において、前記送信側装置から送信された前記中赤外線の点滅信号を検出するステップと、
前記受信側装置における、前記中赤外線の点滅信号と略同じ周期の前記近赤外線の点滅信号を発出している領域から送信される近赤外線の光信号を選択的に受信可能とするステップと、
を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項7】
前記近赤外線の点滅信号を送信するステップは、前記中赤外線の点滅信号と略同期した前記近赤外線の点滅信号を送信することを含み、
前記近赤外線の光信号を選択的に受信可能とするステップは、前記中赤外線の点滅信号と略同期した前記近赤外線の点滅信号を発出している領域から送信される近赤外線の光信号を選択的に受信可能とすることを含むことを特徴とする請求項6に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムおよび通信方法に関し、特に車車間通信に用いられる通信システムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光信号を用いて車車間で双方向の通信を行う通信システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/145311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車車間通信においては、近赤外線の光信号を用いた通信方法が提案されている。例えば、ある車両が後方を走行する車両と近赤外線で通信する場合、後方を走行する車両が1台のみであれば、問題なく該車両と双方向の近赤外線通信を行うことができる。
【0005】
しかしながら、例えば後方を走行する車両が複数存在しており、各車両が近赤外線を発している場合、通信を行いたい車両からの近赤外線を特定できない可能性がある。通信を行いたい車両からの近赤外線を特定できないと、車車間通信を好適に行うことが難しくなる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、周囲で複数の近赤外線の光信号が飛び交っている状況であっても、所望の相手との近赤外線通信を好適に行うことのできる通信システムおよび通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通信システムは、送信側装置と受信側装置との間で通信を行う通信システムである。送信側装置は、受信側装置が位置する領域に向けて中赤外線の点滅信号を送信する中赤外線送信部と、中赤外線の点滅信号と略同じ周期の近赤外線の点滅信号を送信する近赤外線送信部とを備える。受信側装置は、送信側装置が含まれる範囲の動画像を撮像する撮像部と、送信側装置から送信された中赤外線の点滅信号を検出する中赤外線受信部と、動画像における、中赤外線の点滅信号と略同じ周期の近赤外線の点滅信号を発出している領域から送信される近赤外線の光信号を選択的に受信可能な近赤外線受信部とを備える。
【0008】
本発明の別の態様は、通信方法である。この方法は、送信側装置と受信側装置との間で通信を行う通信方法であって、送信側装置において、受信側装置が位置する領域に向けて中赤外線の点滅信号を送信するステップと、送信側装置において、中赤外線の点滅信号と略同じ周期の近赤外線の点滅信号を送信するステップと、受信側装置において、送信側装置が含まれる範囲の動画像を撮像するステップと、受信側装置において、送信側装置から送信された中赤外線の点滅信号を検出するステップと、受信側装置における、中赤外線の点滅信号と略同じ周期の近赤外線の点滅信号を発出している領域から送信される近赤外線の光信号を選択的に受信可能とするステップとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、周囲で複数の近赤外線の光信号が飛び交っている状況であっても、所望の相手との近赤外線通信を好適に行うことのできる通信システムおよび通信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る通信システムを示す図である。
図2】本実施形態に係る通信システムが適用された車車間通信を説明するための図である。
図3】本実施形態に係る通信システムにおいて、通信を開始する際の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】赤外線送受信装置の第1実施例を示す図である。
図5】近赤外線送信部の動作を説明するための図である。
図6】近赤外線受信部の動作を説明するための図である。
図7】中赤外線送信部の構成を説明するための図である。
図8】入射角度に対する回折角度および回折効率の変化を示す図である。
図9】中赤外線送信部の動作を説明するための図である。
図10図10(a)~図10(f)は、第1実施例に係る赤外線送受信装置を送信側装置および受信側装置として用いた通信システムにおいて、通信を開始する際の動作を説明するためのタイムチャートを示す図である。
図11】赤外線送受信装置の第2実施例を示す図である。
図12図12(a)~図12(f)は、第2実施例に係る赤外線送受信装置40を送信側装置および受信側装置として用いた通信システムにおいて、通信を開始する際の動作を説明するためのタイムチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。以下の構成は本開示を理解するための例示を目的とするものであり、本開示の範囲は、添付の請求の範囲によってのみ定まる。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る通信システム10を示す。図1に示すように、通信システム10は、赤外線送受信装置11Aと、赤外線送受信装置11Bとを備える。
【0013】
赤外線送受信装置11A、11Bは、それぞれ、撮像部12と、近赤外線送信部13と、近赤外線受信部14と、中赤外線送信部15と、中赤外線受信部16と、制御部17と、を備える。図1に示す通信システム10は、近赤外線を用いて双方向通信可能な通信システムである。すなわち、通信システム10は、赤外線送受信装置11Aの近赤外線送信部13から赤外線送受信装置11Bの近赤外線受信部14への近赤外線の光信号伝送と、赤外線送受信装置11Bの近赤外線送信部13から赤外線送受信装置11Aの近赤外線受信部14への近赤外線の光信号伝送とが可能である。制御部17は、CPU、ROM、RAM、通信インタフェース等から構成され、装置内の監視・制御および各装置との通信を行う。
【0014】
撮像部12は、通信相手の装置が含まれる範囲の動画像を撮像するように構成および配置される。撮像部12は、撮像素子と、撮像素子に光を取り込むためのレンズとを含む。撮像素子は、可視光域(波長約380nm~780nm)と近赤外線域(波長約780nm~2500nm)を同時に撮像可能なものが用いられる。このような撮像素子としては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどを例示できる。
【0015】
近赤外線送信部13は、近赤外線(波長約780nm~2500nm)の光信号を送信可能に構成される。近赤外線送信部13は、通信相手の装置を含む広い範囲(たとえば撮像部12が撮像可能な範囲)に近赤外線の光信号を発出可能に構成されてもよい。あるいは、近赤外線送信部13は、撮像部12が撮像可能な広い範囲のうち、通信相手の装置が位置する特定の狭い範囲に選択的に近赤外線の光信号を発出可能に構成されてもよい。
【0016】
近赤外線受信部14は、近赤外線(波長約780nm~2500nm)の光信号を受信可能に構成される。近赤外線送信部13は、撮像部12が撮像可能な広い範囲のうち、特定の狭い範囲から送信される近赤外線の光信号を選択的に受信可能に構成される。
【0017】
中赤外線送信部15は、中赤外線(波長約2500nm~8000nm)の光信号を送信可能に構成される。中赤外線送信部15は、撮像部12が撮像可能な広い範囲のうち、通信相手の装置が位置する特定の狭い範囲に中赤外線の光信号を選択的に送信可能に構成される。
【0018】
中赤外線受信部16は、中赤外線(波長約2500nm~8000nm)の光信号を受信可能に構成される。中赤外線受信部16は、通信相手の装置を含む広い範囲(たとえば撮像部12が撮像可能な範囲)から発出される中赤外線の光信号を受信可能に構成される。
【0019】
以下、通信システム10が車車間通信に適用された場合を例として、通信システム10における通信を開始する際の動作を説明する。ここでは、図2に示すような状況を考える。図2は、車両Aの後方を車両B、車両Cの2台の車両が走行しており、車両Aの側方を車両Dが走行している様子を示す。図2において、車両Cと車両Dは近赤外線による双方向通信を実行中とする。車両Aと車両Bはまだ近赤外線による双方向通信を行っておらず、車両Bが車両Aとの通信を望んでいるとする。車両Aには赤外線送受信装置11Bが搭載されており、車両Bには赤外線送受信装置11Aが搭載されているとする。この場合、赤外線送受信装置11Bが送信側装置となり、赤外線送受信装置11Aが受信側装置となる。
【0020】
図3は、本実施形態に係る通信システム10において、通信を開始する際の動作を説明するためのフローチャートである。
【0021】
まず、赤外線送受信装置11Aの中赤外線送信部15は、赤外線送受信装置11Bが位置する領域に向けて、所定の期間、中赤外線の点滅信号を送信する(S10)。図2の例では、車両Bから車両Aに向けて中赤外線の点滅信号が送信される。点滅信号とは、光信号の強度が高いハイ状態と光信号の強度が低いロー状態を所定の周期で交互に繰り返す信号である。点滅信号の周波数は、点滅を動画像から正確に検出できるように、撮像部12が撮像する動画のフレームレート(例えば30fps)よりも十分に遅いことが望ましく、例えば15Hzであってよい。
【0022】
また、S10と同時に、赤外線送受信装置11Aの近赤外線送信部13は、中赤外線の点滅信号と同期した近赤外線の点滅信号を送信する(S12)。図2の例では、車両Bから車両Aに向けて、中赤外線の点滅信号と略同期した近赤外線の点滅信号が送信される。ここで、2つの信号が略同期しているとは、2つの信号の周期が略同じであり、立ち上がり又は立ち下がりのタイミングが略等しい状態を意味する。
【0023】
車両Aに搭載された赤外線送受信装置11Bは、通信開始前の段階では、どの装置(どの車両)から光信号を受信するのか特定できていない。赤外線送受信装置11Bの撮像部12は、送信側装置が含まれる広い範囲の動画像を撮像している(S14)。送信側装置からの光信号を確実に検出するために、撮像部12は、常時撮像していることが望ましい。取得した動画像には、可視光の像および近赤外線の像が記録されている。図2には、車両Aの撮像部12により取得された画像の一例が示されている。この取得画像には、車両Aの後方に位置する車両Bおよび車両Cが映っており(可視光の像)、さらに、車両Bおよび車両Cから発出された近赤外線が映っている(近赤外線の像)。
【0024】
撮像部12が取得した動画像から、車両Aの赤外線送受信装置11Bは、近赤外線を発出している2台の車両(車両Bと車両C)は特定できるが、この動画像だけからは、車両Bと車両Cのどちらの車両が通信相手なのか識別することができない。そこで、本実施形態に係る通信システム10では、中赤外線を用いて通信相手の装置の特定を行う。
【0025】
車両Aに搭載された赤外線送受信装置11Bの中赤外線受信部16は、赤外線送受信装置11Aの中赤外線送信部15から送信された中赤外線の点滅信号を検出する(S16)。車両Aの中赤外線受信部16の検出信号の周期は、車両Bからの中赤外線の点滅信号の周期と同じである。
【0026】
次に、赤外線送受信装置11Bの制御部17は、撮像部12により撮像された動画像を解析し、その動画像中において中赤外線の点滅信号と略同期した近赤外線の点滅信号を発出している領域を特定する(S18)。この領域に位置する装置が通信相手となる。上述したように、送信側である車両Bから送信される中赤外線と近赤外線の点滅信号は略同期している。したがって、受信側である車両Aにおいても、中赤外線と近赤外線の検出信号は略同期していることになる。動画像中において中赤外線の点滅信号と略同期して発光している領域を特定することで、通信相手の特定が可能となる。
【0027】
図2の例では、車両Bの領域で発出している近赤外線の点滅信号は中赤外線の点滅信号と略同期しているが、車両Cの領域で発出している近赤外線の点滅信号は中赤外線の点滅信号と同期していない。したがって、車両Aの赤外線送受信装置11Bは、車両Bの赤外線送受信装置11Aを通信相手として特定できる。通信相手が特定された後は、送信側装置(車両Bの赤外線送受信装置11A)の中赤外線送信部15は中赤外線の送信を停止してよい。
【0028】
S18の後、赤外線送受信装置11Bの近赤外線受信部14は、S18で特定した領域から送信される近赤外線の光信号を選択的に受信できるように設定される(S20)。図2の例では、車両Aの近赤外線受信部14は、車両Bからの近赤外線を選択的に受信可能となるように設定される。後述の実施例では、この設定はデジタルミラーデバイス(DMD)に対してなされる。
【0029】
S20の後、赤外線送受信装置11Aの近赤外線送信部13から赤外線送受信装置11Bの近赤外線受信部14に、所望の近赤外線の光信号が送信される(S22)。図2の例では、車両Bから車両Aに対して所望の近赤外線の光信号が送信される。
【0030】
上記では、赤外線送受信装置11Aから赤外線送受信装置11Bへの近赤外線の光信号の送信を説明したが、互いに通信相手が特定された後は、互いの近赤外線送信部13および近赤外線受信部14により、双方向の近赤外線通信を行うことができる。
【0031】
このように、本実施形態に係る通信システム10によれば、周囲で複数の近赤外線の光信号が飛び交っている状況であっても、中赤外線を用いることにより通信相手の正確な特定が可能となり、近赤外線通信を好適に行うことができる。
【0032】
上述の実施形態においては、送信側装置は略同期した中赤外線の点滅信号と近赤外線の点滅信号を送信し、受信側装置は中赤外線の点滅信号と近赤外線の点滅信号とが略同期している場合に、その近赤外線の点滅信号を発出している領域に位置する装置を通信相手として特定した。別の実施形態では、送信側装置は周期が略同じ中赤外線の点滅信号と近赤外線の点滅信号を送信し、受信側装置は受信した中赤外線の点滅信号と近赤外線の点滅信号の周期が略同じである場合に、その近赤外線の点滅信号を発出している領域に位置する装置を通信相手として特定してもよい。周囲に略同じ周期で近赤外線の点滅信号を発出している装置が存在しない場合には、この別の実施形態でも通信相手の正確な特定が可能である。「中赤外線と近赤外線の点滅信号が略同期している」という事象は、「中赤外線と近赤外線の点滅信号の周期が略同じである」という事象に含まれる。
【0033】
[第1実施例]
図4は、赤外線送受信装置の第1実施例を示す。図4に示す赤外線送受信装置40は、図1に示す通信システム10における赤外線送受信装置11A、11Bとして利用できる。
【0034】
図4に示すように、赤外線送受信装置40は、近赤外線レーザ20と、中赤外線レーザ21と、デジタルミラーデバイス(DMD)22と、近赤外検出器23と、近赤外用レンズ24と、中赤外用レンズ25と、反射板26と、遮光板27と、撮像部12と、中赤外線受信部16と、制御部17と、を備える。
【0035】
近赤外線レーザ20、DMD22、近赤外用レンズ24および遮光板27は、近赤外線送信部13を構成している。図5は、近赤外線送信部13の動作を説明するための図である。
【0036】
近赤外線レーザ20は、DMD22に向けて近赤外線のレーザ光を発出する。DMD22は、基板28上に可動式のマイクロミラーを多数(数十万から数百万個)、格子状に配列したものである。各マイクロミラーのサイズは約数μmから約10数μmである。図5には、3個のマイクロミラー29a、29b、29cが概略的に図示されている。各マイクロミラーは、所定の軸周りに+12°又は-12°傾斜させることができ、「オン」(+12°)と「オフ」(-12°)の2つの状態を持たせることができる。図5では、右側の2つのマイクロミラー29aおよび29bがオン状態であり、左側の1つのマイクロミラー29cがオフ状態である。マイクロミラーのオン/オフは、制御部17により制御される。
【0037】
近赤外線レーザ20からの近赤外線レーザ光は、DMD22に対して24°の入射角で入射させる。マイクロミラーがオン状態のとき(マイクロミラー29a、29b)、近赤外線レーザ20からのレーザ光はDMD22の法線方向に反射され、近赤外用レンズ24を介して外部に出射される。一方、マイクロミラーがオフ状態のとき(マイクロミラー29c)、近赤外線レーザ20からのレーザ光はDMD22の法線方向に対して48°で反射される。この光は遮光板27により吸収され、外部には出射されない。通信相手が位置する領域に対応するマイクロミラーのみをオン状態(+12°)とすることにより、通信相手のみに選択的に近赤外線レーザ光を送信できる。また、マイクロミラーのオン/オフを高速で切り替えることにより、近赤外線レーザ20からの近赤外線レーザ光を変調して、近赤外線の点滅信号や、任意のデジタル信号を送信できる。
【0038】
DMD22、近赤外用レンズ24および近赤外検出器23は、近赤外線受信部14を構成している。図6は、近赤外線受信部14の動作を説明するための図である。通信相手からの近赤外線は、近赤外用レンズ24を介して、DMD22に対してその法線方向から入射させる。マイクロミラーがオフ状態のとき(マイクロミラー29a、29b)、DMD22の法線方向から入射した近赤外線は、法線方向に対して24°で反射され、近赤外検出器23により検出される。一方、マイクロミラーがオン状態のとき(マイクロミラー29c)、法線方向から入射した近赤外線は、近赤外検出器23とは反対方向に24°で反射され、近赤外検出器23には検出されない。通信相手が位置する領域に対応するマイクロミラーのみをオフ状態(-12°)とすることにより、通信相手からの近赤外光のみを選択的に受信できる。近赤外検出器23により検出された信号は、制御部17に送られる。
【0039】
中赤外線レーザ21、DMD22、反射板26および中赤外用レンズ25は、中赤外線送信部15を構成している。図7は、中赤外線送信部15の構成を説明するための図である。DMD22は、近赤外線に対しては反射デバイスとして機能するが、波長がマイクロミラーのピッチに近い中赤外線に対しては回折デバイスとして機能する。
【0040】
中赤外線レーザ21は中赤外線レーザ光(波長約2500nm~8000nm)を発出する。中赤外線レーザ21は、DMD22に入射角θiで中赤外線レーザ光が入射するように配置される。DMD22は、入射した中赤外線レーザ光を回折し、回折角度θrの方向に高い回折効率で出射する。DMD22から出射された中赤外線レーザ光は、反射板26によって反射した後、中赤外用レンズ25から外部に出射される。反射板26および中赤外用レンズ25は、DMD22によって回折された中赤外線レーザ光を受信側装置に向ける導光光学系を構成している。
【0041】
DMD22におけるマイクロミラーの対角方向のピッチを10.8μmとしたとき、回折角度θr[μm]は以下の式(1)で表すことができる。
【数1】
また、回折効率ηは以下の式(2)で表すことができる。
【数2】
式(2)において、ξは以下の式(3)である。
【数3】
ここで、λは中赤外線レーザ光の波長であり、ωはマイクロミラーの傾斜角度である。上述したように、ωは+12°又は-12°の二値である。
【0042】
図8は、入射角度に対する回折角度および回折効率の変化を示す。ここでは、中赤外線レーザ光の波長λを5μmとし、上記の式(1)~(3)に基づいて、入射角度θiに対する回折角度θr[°]、回折効率η(ω=12°)、回折効率η(ω=-12°)の変化を示した。図8から、中赤外線レーザ光の入射角度θiを15°としたとき、回折角度θr=66°、マイクロミラーの傾斜角度ω=+12°のときの回折効率η=0.83、マイクロミラーの傾斜角度ω=-12°のときの回折効率η=0.52となることが分かる。
【0043】
図9は、中赤外線送信部15の動作を説明するための図である。ここでは、中赤外線レーザ21のDMD22への入射角度θiを15°とした。この場合、図8から、回折角度θr=66°、マイクロミラーの傾斜角度ω=+12°のときの回折効率η=0.83、マイクロミラーの傾斜角度ω=-12°のときの回折効率η=0.52となることが分かる。図9では、通信相手が位置する領域に対応するマイクロミラー29a、29bがオン状態(+12°)となっており、それ以外のマイクロミラー29cがオフ状態(-12°)となっている。オン状態のマイクロミラー29a、29bからは、回折角度θr=66°の方向に、回折効率η=0.83で回折光が放射されている。一方、オフ状体のマイクロミラー29cからは、回折角度θr=66°の方向に、回折効率η=0.52で回折光が放射されている。このように、通信相手が位置する領域に対応するマイクロミラーのみをオン状態とすることにより、所望の通信相手のみに選択的に強度の高い中赤外線レーザ光を送信できる。マイクロミラーのオン/オフを高速で切り替えることにより、中赤外線レーザ光を変調して、中赤外線の点滅信号を送信できる。
【0044】
図4から分かるように、第1実施例に係る赤外線送受信装置40では、近赤外線送信部と中赤外線送信部とで共通のDMD22を使用している。従って、中赤外線レーザ光と近赤外線レーザ光を同時にDMD22に照射した状態で、通信相手に対応するマイクロミラーのオン/オフを高速で切り替えることにより、所望の通信相手に対して、略同期した中赤外線と近赤外線の点滅信号を送信できる。共通のDMD22を用いることにより、コストが低減されるとともに、極めて容易に正確に同期した点滅信号を生成することができる。
【0045】
中赤外線受信部16は、受光素子およびレンズを備え、中赤外線(波長約2500nm~8000nm)の光信号を受信可能に構成される。図4から分かるように、中赤外線受信部16は、DMD22とは関与しておらず、通信相手の装置を含む広い範囲(たとえば撮像部12が撮像可能な範囲)から発出される中赤外線の光信号を受信可能に配置されている。中赤外線受信部16により検出された信号は、制御部17に送られる。
【0046】
図10(a)~図10(f)は、第1実施例に係る赤外線送受信装置40を送信側装置および受信側装置として用いた通信システムにおいて、通信を開始する際の動作を説明するためのタイムチャートである。ここでも、図2に示す車両A,B,CおよびDの四台の車両が走行している状況を想定する。車両Cと車両Dは近赤外線による双方向通信を実行中であり、車両Cは自車前方の広い範囲に向かって近赤外線の光信号を発出しているとする。車両Aおよび車両Bに図4に示す赤外線送受信装置40が搭載されており、車両Bから車両Aに対して通信の開始を呼びかけている場合について説明する。
【0047】
図10(a)は、車両Bから車両Aに向けて送信された中赤外線の点滅信号を示す。図10(b)は、車両Bから車両Aに向けて送信された近赤外線の点滅信号を示す。車両Bに搭載された赤外線送受信装置40において、中赤外線レーザ光と近赤外線レーザ光を同時にDMD22に照射した状態で、所定の期間、車両Aの位置する領域に対応するマイクロミラーのオン/オフを高速で切り替える。これにより、図10(a)および図10(b)に示すように、略同期した中赤外線と近赤外線の点滅信号を送信できる。
【0048】
図10(c)は、車両Aの中赤外線受信部16で検出された信号を示す。図10(c)に示すように、車両Aの中赤外線受信部16で検出される信号は、強度が高いハイ状態と強度が低いロー状態を所定の周期で交互に繰り返す矩形波信号である。車両Aの中赤外線受信部16で検出される信号の周期は、車両Bからの中赤外線の点滅信号の周期と同じである。
【0049】
図10(d)は、車両Aの撮像部12で取得された動画像における2つの領域の信号を示す。図10(d)において、実線は、動画像中における車両Bの領域で発出している近赤外線の点滅信号を示し、破線は、動画像中における車両Cで発出している近赤外線の光信号を示す。車両Cは車両Bよりも車両Aに近いため、図10(d)において車両Cの近赤外線の強度は車両Bよりも高くなっている。
【0050】
上述したように、送信側である車両Bから送信される中赤外線と近赤外線の点滅信号は略同期している。したがって、受信側である車両Aにおいても、中赤外線と近赤外線の検出信号は略同期している筈である。図10(d)に示すように、動画像中の車両Bの領域における近赤外線の点滅信号(実線)は、図10(c)に示す中赤外線の検出信号と略同期している。一方、動画像中の車両Cの領域における近赤外線の光信号(破線)は、図10(c)に示す中赤外線の検出信号と同期していない。この同期検出に基づいて、車両Aの制御部17は、車両Bを通信相手として特定する。その後、制御部17は、車両Bから送信される近赤外線の光信号を選択的に受信できるように、DMD22のマイクロミラーを制御する。これにより、車両Bからの近赤外線の光信号を近赤外検出器23で受信できる。
【0051】
ここで、車両Dにおいてはどのような信号が検出されるかについて説明する。図10(e)は、車両Dで検出される中赤外線の信号を示す。車両BのDMD22において、車両Dの位置する領域に対応するマイクロミラーはオフ状態である。したがって、車両Bから車両Dに向かっては、回折効率η=0.52で強度一定の回折光が放射されている。よって車両Dで検出される中赤外線の信号は、図10(e)に示すように直流成分のみの信号となる。
【0052】
図10(f)は、車両Dで取得された取得された動画像における2つの領域の信号を示す。図10(f)において、実線は、動画像中における車両Bの領域で発出している近赤外線の点滅信号を示し、破線は、動画像中における車両Cで発出している近赤外線の光信号を示す。車両Bは、車両Aのみに向かって近赤外線を送信しているので、車両Dでは車両Bの領域で発出している近赤外線は検出されない(信号強度ゼロ)。一方、車両Dは車両Cと近赤外線通信を行っているので、車両Dは車両Cの領域で発出している近赤外線の光信号を検出している。
【0053】
図10(e)および図10(f)から分かるように、車両Dは車両Bから同期した中赤外線と近赤外線の点滅信号を受信していない。よって、車両Dが誤って車両Bを通信相手として特定することはない。
【0054】
[第2実施例]
図11は、赤外線送受信装置の第2実施例を示す。図11に示す赤外線送受信装置50も、図1に示す通信システム10における赤外線送受信装置11A、11Bとして利用できる。
【0055】
図11に示す赤外線送受信装置50は、近赤外線送信部13の構成が、図4に示す赤外線送受信装置40と異なっている。他の構成については赤外線送受信装置40と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
第2実施例に係る赤外線送受信装置50において、近赤外線送信部13は、DMD22に関与しておらず、通信相手の装置を含む広い範囲(たとえば撮像部12が撮像可能な範囲)に近赤外線の光信号を発出可能に構成されている。近赤外線送信部13は、近赤外線を発出する近赤外線光源と、該光源からの光を拡げるレンズとを備える。この近赤外光源はレーザ光源である必要はなく、インコヒーレント光源であってよい。制御部17から近赤外線送信部13の光源に変調信号を与えることにより、近赤外線の点滅信号や所望の近赤外線の光信号を発出することができる。
【0057】
図12(a)~図12(f)は、第2実施例に係る赤外線送受信装置50を送信側装置および受信側装置として用いた通信システムにおいて、通信を開始する際の動作を説明するためのタイムチャートである。ここでも、図2に示す車両A,B,CおよびDの四台の車両が走行している状況を想定する。車両Cと車両Dは近赤外線による双方向通信を実行中であり、車両Cは自車前方の広い範囲に向かって近赤外線の光信号を発出しているとする。車両Aおよび車両Bに図11に示す赤外線送受信装置50が搭載されており、車両Bから車両Aに対して通信の開始を呼びかけている場合について説明する。
【0058】
図12(a)は、車両Bから車両Aに向けて送信された中赤外線の点滅信号を示す。図12(b)は、車両Bから車両Aに向けて送信された近赤外線の点滅信号を示す。車両Bに搭載された赤外線送受信装置50において、中赤外線レーザ光をDMD22に照射した状態で、制御部17は、所定の期間、車両Aの位置する領域に対応するマイクロミラーのオン/オフを高速で切り替える。これにより、中赤外線の点滅信号が送信される(図12(a))。またこれと同時に、制御部17は、近赤外線送信部13にマイクロミラーのオンオフ切替と略同期した変調信号を送る。これにより、中赤外線との点滅信号と略同期した近赤外線の点滅信号が送信される(図12(b))。
【0059】
図12(c)は、車両Aの中赤外線受信部16で検出された信号を示す。図12(c)に示すように、車両Aの中赤外線受信部16で検出される信号は、強度が高いハイ状態と強度が低いロー状態を所定の周期で交互に繰り返す矩形波信号である。車両Aの中赤外線受信部16で検出される信号の周期は、車両Bからの中赤外線の点滅信号の周期と同じである。
【0060】
図12(d)は、車両Aの撮像部12で取得された動画像における2つの領域の信号を示す。図12(d)において、実線は、動画像中における車両Bの領域で発出している近赤外線の点滅信号を示し、破線は、動画像中における車両Cで発出している近赤外線の光信号を示す。車両Cは車両Bよりも車両Aに近いため、図12(d)において車両Cの近赤外線の強度は車両Bよりも高くなっている。
【0061】
上述したように、送信側である車両Bから送信される中赤外線と近赤外線の点滅信号は略同期している。したがって、受信側である車両Aにおいても、中赤外線と近赤外線の検出信号は略同期している筈である。図12(d)に示すように、動画像中の車両Bの領域における近赤外線の点滅信号(実線)は、図12(c)に示す中赤外線の検出信号と略同期している。一方、動画像中の車両Cの領域における近赤外線の光信号(破線)は、図12(c)に示す中赤外線の検出信号と同期していない。この同期検出に基づいて、車両Aの制御部17は、車両Bを通信相手として特定する。その後、制御部17は、車両Bから送信される近赤外線の光信号を選択的に受信できるように、DMD22のマイクロミラーを制御する。これにより、車両Bからの近赤外線の光信号を近赤外検出器23で受信できる。
【0062】
ここで、車両Dにおいてはどのような信号が検出されるかについて説明する。図12(e)は、車両Dで検出される中赤外線の信号を示す。車両BのDMD22において、車両Dの位置する領域に対応するマイクロミラーはオフ状態である。したがって、車両Bから車両Dに向かっては、回折効率η=0.52で強度一定の回折光が放射されている。よって車両Dで検出される中赤外線の信号は、図12(e)に示すように直流成分のみの信号となる。
【0063】
図12(f)は、車両Dで取得された取得された動画像における2つの領域の信号を示す。図12(f)において、実線は、動画像中における車両Bの領域で発出している近赤外線の点滅信号を示し、破線は、動画像中における車両Cで発出している近赤外線の光信号を示す。本第2実施例において、車両Bは自車前方の広い範囲に向かって近赤外線の光信号を発出しているので、車両Dにおいても車両Bの領域で発出している近赤外線の点滅信号が検出される。また、車両Dは車両Cと近赤外線通信を行っているので、車両Dは車両Cの領域で発出している近赤外線の光信号を検出している。
【0064】
図12(e)および図12(f)から分かるように、車両Dは、車両Bから近赤外線の点滅信号を受信しているものの、この近赤外線の点滅信号と同期した中赤外線の点滅信号は受信していない。よって、車両Dが誤って車両Bを通信相手として特定することはない。
【0065】
図11に示す赤外線送受信装置50は、追加の構成を必要とせずに、測距を容易に行うことができるという利点を有する。測距を行う際には、まず、測距対象領域からの近赤外線のみを近赤外検出器23で検出するように、DMD22のマイクロミラーを制御する。次に、近赤外線送信部13を瞬間的に発光させる。この光は、測距対象からで反射し、近赤外検出器23で検出される。近赤外線送信部13の発光タイミングと、近赤外検出器23の受光タイミングとの差から、測距対象までの距離を測定することができる。
【0066】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0067】
10 通信システム、 11A,11B,40,50 赤外線送受信装置、 12 撮像部、 13 近赤外線送信部、 14 近赤外線受信部、 15 中赤外線送信部、 16 中赤外線受信部、 17 制御部、 20 近赤外線レーザ、 21 中赤外線レーザ、 22 DMD、 23 近赤外検出器、 24 近赤外用レンズ、 25 中赤外用レンズ、 26 反射板、 27 遮光板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12