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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175118
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ステントデリバリーシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/958 20130101AFI20231205BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20231205BHJP
   A61F 2/86 20130101ALI20231205BHJP
【FI】
A61F2/958
A61M25/10 512
A61F2/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087404
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中山 萌絵香
(72)【発明者】
【氏名】角田 公平
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA44
4C267AA55
4C267AA56
4C267BB06
4C267BB12
4C267BB26
4C267BB28
4C267BB40
4C267BB62
4C267CC09
4C267CC20
4C267CC21
4C267CC22
4C267CC26
(57)【要約】
【課題】バルーンの羽根部の折り畳み形状の崩れを抑制し、ステントをクリンプした際のピンホールの発生を防止しつつステントの細径化を達成すること。
【解決手段】内腔を有する外管130および内管120と、収縮状態の軸方向直交断面視において、内管120の径方向外側に凸となる外側折り返し部142と、径方向内側に凹となる内側折り返し部143と、が接続部144を介して交互に連続して形成されて内管120の周方向に沿って折り畳まれる複数の羽根部141を有し、径方向に拡縮可能に内管120の先端側と外管130の先端側に固定されるバルーン140と、バルーン140の外周面上に配置されるステント200と、内管120上で、軸方向の位置がバルーン140の先端と基端の間に位置する造影マーカー150と、造影マーカー150の外表面から径方向外向きに突出して設けられる第1突起部160と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントデリバリーシステムであって、
内腔を有する外管と、
内腔を有し、前記外管の内腔に配置された内管と、
収縮状態の軸方向直交断面視において、前記内管の径方向外側に凸となる外側折り返し部と、径方向内側に凹となる内側折り返し部と、が接続部を介して交互に連続して形成されて前記内管の周方向に沿って折り畳まれる複数の羽根部を有し、径方向に拡縮可能に前記内管の先端側と前記外管の先端側に固定されるバルーンと、
前記バルーンの外周面上に配置されるステントと、
前記内管上で、軸方向の位置が前記バルーンの先端と基端の間に位置する造影マーカーと、
前記造影マーカーの外表面から径方向外向きに突出して設けられる第1突起部と、
を備える、ステントデリバリーシステム。
【請求項2】
前記第1突起部と、前記外側折り返し部と、前記内側折り返し部は、同数である、請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項3】
前記第1突起部は、前記バルーンの周方向で隣り合う前記内側折り返し部の間に配置される、請求項1または2に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項4】
前記第1突起部の頂点が円弧状である、請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項5】
前記第1突起部の表面は、滑り止め用の凹凸形状を有する、請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項6】
前記第1突起部は、前記造影マーカーの軸方向全長に亘って設けられている、請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項7】
前記内管は、前記バルーンの配置領域と重なる軸方向の領域の少なくとも一部に径方向外向きに突出する第2突起部を有する、請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項8】
前記第1突起部および前記第2突起部は、軸方向直交断面視において外形は同形状であり、形成数は周方向で等しく、周方向の位置が同一となるように配置される、請求項7に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項9】
前記内管の中心軸から前記第1突起部の頂点までの高さと、前記内管の中心軸から前記第2突起部の頂点までの高さは揃っている、請求項7または8に記載のステントデリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステントデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体管腔(例えば、血管)に生じた病変部(狭窄部)の治療方法として、ステントを管腔内に留置して管腔を確保するステント留置術が行われている。ステント留置術は、狭窄部を拡張させた状態を維持するステント(バルーン拡張型ステント)をバルーンに設置(マウント)して病変部まで送達するステントデリバリーシステムを用いて処置が行われる。
【0003】
血管内にステントを送達する際、ステントがバルーン上で移動してバルーンカテーテルから脱落或いは所望の狭窄部からずれた位置に配置される可能性がある。そのため、特許文献1に記載のステントデリバリーシステムでは、バルーンに対するステントの保持力(リテンション)を高めるために、ステントの隙間部内にバルーンの一部を挟み込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-200367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ステントデリバリーシステムにおいて、バルーンの一部をクリンプした状態でステントを配置する場合、以下の作業手順が行われる。作業者は、ステントの隙間部にバルーンを挟み込み易くするため、所定径の筒体内に複数の羽根部が周方向に折り畳まれ巻き付けられたバルーンを配置する「ラッピング工程」と、加圧・加温して筒体の内径まで拡張させる「バルーン形状付け工程」と、バルーン形状付け工程で拡張されたバルーン上にステントを配置し、バルーンを加圧しつつステントを縮径させてクリンプする「加圧クリンプ工程」を行う。これにより、ステントは、加圧クリンプ工程後においてもバルーンの一部を隙間部内に挟み込んだ状態を維持する。
【0006】
しかし、バルーン形状付け工程や加圧クリンプ工程において、バルーンは、加圧により羽根部の折り畳み形状が崩れてしまうことがある。バルーンの折り畳み形状が崩れた状態で加圧クリンプ工程を行うと、ステントの隙間部に挟み込まれたバルーンの一部にステント縮径により発生する応力が集中してバルーンにピンホール(孔)が発生し得る。
【0007】
また、加圧により羽根部の折り畳み形状が崩れて偏りが生じると、クリンプ後のステントの外径(プロファイル)が大きくなってステントデリバリーシステムの通過性が低下し得る。
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、具体的には、バルーンの羽根部の折り畳み形状の崩れを抑制し、ステントをクリンプした際のピンホールの発生を防止しつつステントの細径化を達成できるステントデリバリーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係るステントデリバリーシステムは、内腔を有する外管と、内腔を有し、前記外管の内腔に配置された内管と、収縮状態の軸方向直交断面視において、前記内管の径方向外側に凸となる外側折り返し部と、径方向内側に凹となる内側折り返し部と、が接続部を介して交互に連続して形成されて前記内管の周方向に沿って折り畳まれる複数の羽根部を有し、径方向に拡縮可能に前記内管の先端側と前記外管の先端側に固定されるバルーンと、前記バルーンの外周面上に配置されるステントと、前記内管上で、軸方向の位置が前記バルーンの先端と基端の間に位置する造影マーカーと、前記造影マーカーの外表面から径方向外向きに突出して設けられる第1突起部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、バルーン形状付け工程や加圧クリンプ工程に起こり得るバルーンの羽根部の折り畳み形状の崩れを抑制することができる。そのため、ステントをクリンプした際、ピンホールの発生が防止されるとともに、クリンプ時のステント外径を細径化することができる。したがって、ステント留置術において、ステントデリバリーシステムの通過性が向上し、目的の病変部までステントデリバリーシステムを送達後にステントが未拡張となるリスクが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るステントデリバリーシステムの概略構成図である。
図2】本実施形態に係るステントデリバリーシステムのシャフト先端側の概略断面図である。
図3図2に示すA-A線で切断したシャフト先端周辺の概略端面図である。
図4】バルーン収縮状態を示す概念図である。
図5A】本実施形態に係るステントデリバリーシステム(第1突起部有り)のバルーン形状付け工程時における内側折り返し部の状態を示す部分端面図である。
図5B】従来のステントデリバリーシステム(第1突起部無し)のバルーン形状付け工程時における内側折り返し部の状態を示す部分端面図である。
図6A】本実施形態に係るステントデリバリーシステム(第1突起部有り)のバルーン形状付け工程時における外側折り返し部の状態を示す部分端面図である。
図6B】従来のステントデリバリーシステム(第1突起部無し)のバルーン形状付け工程時における外側折り返し部の状態を示す部分端面図である。
図7A】本実施形態に係るステントデリバリーシステムの第1突起部の形態例を示す図である。
図7B】本実施形態に係るステントデリバリーシステムの第1突起部の他の形態例を示す図である。
図7C】本実施形態に係るステントデリバリーシステムの第1突起部の他の形態例を示す図である。
図8】本実施形態に係るステントデリバリーシステムの第1突起部の外表面の部分拡大断面図である。
図9】本実施形態に係るステントデリバリーシステムの変形例を示すシャフト先端側の概略断面図である。
図10図9に示すB-B線で切断したシャフト先端周辺の概略端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0013】
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0014】
また、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明する場合は、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
【0015】
なお、ステントデリバリーシステム1において、バルーン140を配置した側をバルーンカテーテル100の「先端側」とし、ハブ170を配置した側をバルーンカテーテル100の「基端側」とし、シャフト110が延伸する方向を「軸方向」とする。また、「先端部」とは、特に言及しない限り、先端(最先端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味し、「基端部」とは、基端(最基端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味する。
【0016】
[構成]
まず、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1の構成について説明する。
【0017】
ステントデリバリーシステム1は、図1に示すように、概説するとバルーン140を有するバルーンカテーテル100と、バルーンカテーテル100のバルーン140に配置されたステント200と、を備える。
【0018】
ステントデリバリーシステム1は、血管などの生体管腔内に形成された病変部(狭窄部)を押し広げる手技(例えば、PCI)に使用される医療デバイスである。術者は、ステントデリバリーシステム1を使用した手技において、シャフト110の先端部に配置されたバルーン140にクリンプされたステント200を生体管腔内に挿入する。術者は、生体管腔内に形成された狭窄部の内周側でバルーン140を拡張させ、バルーン140とともにステント200を拡張させる。術者は、拡張させたステント200を狭窄部の内周側に留置することにより、狭窄部を押し広げたまま維持できる。
【0019】
なお、バルーンカテーテル100は、ステント200を狭窄部まで送達するために使用されるが、例えば、血管、胆管、気管、食道、その他消化管、尿道、耳鼻内腔、その他の臓器などの生体器官内に形成された狭窄部の治療および改善を目的として使用されるものとして構成することも可能である。
【0020】
〈バルーンカテーテル〉
図1図3に示すように、バルーンカテーテル100は、可撓性を備える長尺状のシャフト110と、シャフト110の先端部に配置されたバルーン140と、ステント200の位置確認用の造影マーカー150と、拡張時のバルーン140の折り畳み形状を保持するための第1突起部160と、シャフト110の基端部に配置されたハブ170と、を有している。
【0021】
バルーンカテーテル100は、シャフト110の先端部側寄りにガイドワイヤGが導出されるガイドワイヤポート111が設けられた、所謂「ラピッドエクスチェンジ型のカテーテルデバイス」として構成している。
【0022】
なお、バルーンカテーテル100は、ガイドワイヤGがシャフト110の先端から基端に亘って通過するように形成された、所謂「オーバーザワイヤ型のカテーテルデバイス」として構成することもできる。
【0023】
シャフト110は、図3に示すように、ガイドワイヤGが挿通される内腔(ガイドワイヤルーメン)121が形成された内管120と、内管120との間に加圧媒体(例えば、生理食塩水、造影剤などの流体)が流通可能な内腔(加圧媒体ルーメン)131を形成する外管130と、を有する。シャフト110は、内管120が外管130に内挿されることにより、内管120および外管130が同心状に配置された二重管構造を有する。
【0024】
内管120の先端部には溶着などの公知の方法によりバルーン140を液密・気密に接合している。バルーン140は、先端部が内管120に接合されており、基端部が外管130に接合されている。
【0025】
内管120の先端には、例えば、バルーンカテーテル100の先端が生体器官(血管の内壁など)に接触した際に生体器官に損傷が生じるのを防止する先端チップ122を取り付けることができる。先端チップ122は、例えば、内管120よりも柔軟な樹脂材料で構成することができる。
【0026】
内管120および外管130を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴムなどの各種ゴム類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレンなどの結晶性プラスチックを用いることができる。また、これらの材料中に、例えば、ヘパリン、プロスタグランジン、ウロキナーゼ、アルギニン誘導体などの抗血栓性物質を配合し、抗血栓性を有する材料とすることも可能である。
【0027】
バルーン140は、内方に内管120との間に加圧媒体が流入可能な空間部を有する。バルーン140は、空間部内に加圧媒体が流入されると拡張する。バルーンカテーテル100は、バルーン140が拡張した際、一部を生体管腔に形成された狭窄部に対してステント200を押し付けるように拡径させる。ステント200は、バルーン140により拡径した状態で狭窄部を押し広げたまま留置される。
【0028】
バルーン140は、図2に示すように、再収縮操作(デフレーション)時の時間短縮や血管内の通過性向上を目的とする複数の羽根部141を有する。羽根部141は、収縮した状態で内管120の周方向(軸方向直交断面視において時計回りまたは反時計回り)に沿って規則的に折り畳まれる。
【0029】
図4には、収縮状態のバルーン140の羽根部141の周方向に沿った折り畳みを部分的に解いた状態の軸方向断面が示されている。羽根部141は、図4に示すように、収縮状態の軸方向断面視において、内管120の径方向外側に凸となる外側折り返し部142と、径方向内側に凹となる内側折り返し部143と、が接続部144を介して交互に連続して形成される。図4に示すように、外側折り返し部142は、羽根部141の先端部に位置し、内側折り返し部143は、羽根部141の先端部と反対側となる基端部に位置する。羽根部141は、外側折り返し部142とこれに隣接する2つの接続部144を有する領域において、外側折り返し部142に向かう一方の接続部144の延在方向の周方向成分と、外側折り返し部142から離れる他方の接続部の延在方向の周方向成分は反転している。
【0030】
本実施形態に係るバルーン140は、羽根部141を3つ備えた構成とするが、形成数はバルーン140の拡張時の外径、生体管腔の内部空間のサイズ、ステント200の縮径時の外径などに応じて適宜決定することができる(例えば5つ)。また、羽根部141の形成位置は、バルーン140を均等に拡張可能なように周方向で等間隔に配置するのが好ましい。本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において羽根部141は、図2図4に示すように約120°間隔で配置している。
【0031】
バルーン140を構成する材料としては、例えば、有機高分子材料を用いることができる。具体的には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、或いはこれら二種以上の混合物など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂などの高分子材料、或いはこれらの混合物、或いは上記2種以上の高分子材料などの弾性樹脂材料を用いることができ、中でもポリアミド系樹脂を主材料として好適に用いることができる。
【0032】
バルーン140は、その外表面を被覆するコーティングを形成することができる。コーティングは、例えば、バルーン140の摺動性を向上させる親水性コート層や、所定の薬剤を含有した薬剤コート層で構成することができる。親水性コート層や薬剤コート層を形成する具体的な材料は特に限定されない。
【0033】
バルーン140は、上述の弾性樹脂材料で構成されるパリソン(管体)を公知の延伸ブロー成形(例えば、2軸延伸ブロー成形)により予備成形し、金型を用いて羽根部141の形状付け処理および折り畳み装置による折り畳み処理を行うラッピング工程を施せば、形成された羽根部141が折り畳まれた状態となる。
【0034】
造影マーカー150は、ステント200の軸方向の両端の位置を示すために内管120に設けられる。造影マーカー150は、例えば、軸方向上で内管120におけるバルーン140の先端側との境界を示す位置と、内管120においてバルーン140の基端側との境界を示す位置との間において、ステント200を装着する範囲内、または、ステント200の装着位置より先端側または基端側に配置することができる。
【0035】
造影マーカー150は、少なくともバルーン140にクリンプされたステント200の配置位置が確認可能に配置されれば、配置位置や配置数は特に限定されない。図3において、造影マーカー150は、ステント200の先端側および基端側と軸方向で重ならない位置に2つ設けられている。
【0036】
造影マーカー150の構成材料としては、例えば、金、白金、タングステン、タンタル、イリジウム、パラジウムなどの公知の金属材料を用いることができる。造影マーカー150は、上記金属材料で構成された金属パイプを細断して内管120に装着することができる。なお、造影マーカー150の構成材料は、上記金属材料の他、被写体の医用画像が撮像可能な医用画像診断装置(モダリティ)で用いられる医用画像撮像用の造影剤として機能し得る、例えば電磁波造影性(電磁波遮蔽性)、放射線造影性(放射線不透過性)、超音波造影性(超音波反射性)などの特性を有する材料であってもよい。
【0037】
第1突起部160は、造影マーカー150の外表面から径方向外向きに突出して設けられる。第1突起部160は、バルーン形状付け工程や加圧クリンプ工程などのバルーン140を拡張する際に起こり得る羽根部141の折り畳み形状の崩れを抑制して折り畳み形状を保持するための形状保持部(或いは折り畳み形状の崩れを抑制する崩れ抑制部)として機能する。
【0038】
第1突起部160は、羽根部141を構成する外側折り返し部142および内側折り返し部143と同数(換言すると、第1突起部160は、羽根部141と同数)である。これにより、第1突起部160は、羽根部141(羽根部141を構成する外側折り返し部142および内側折り返し部143)と一対一の関係となるため、羽根部141を構成する外側折り返し部142や内側折り返し部143の意図しない移動を抑制効果が高まるので、バルーン140を拡張した際の折り畳み形状の崩れを効果的に防止することができる。
【0039】
第1突起部160は、造影マーカー150の周方向に隣り合う内側折り返し部143の間に形成される空間部145(詳細には、2つの内側折り返し部143と造影マーカー150との隙間)に配置される。第1突起部160は、このような配置により第1突起部160と内側折り返し部143とが周方向に交互に配置される。そのため、第1突起部160は、バルーン140を拡張させた際に、羽根部141を構成する内側折り返し部143の周方向への移動を抑制することができる。
【0040】
第1突起部160は、軸方向に沿ってバルーン形成領域内に複数設ける場合、軸方向に沿って頂点位置(造影マーカー150の外表面から第1突起部160の頂点までの高さ)を揃えて形成することが好ましい。これにより、それぞれの第1突起部160による内側折り返し部143の移動抑制効果を均一化できるため、内側折り返し部143の移動の偏りを防ぐ効果をもたらす。
【0041】
第1突起部160は、造影マーカー150の外表面の一部でもよいし、軸方向全長に亘って設けてもよい。第1突起部160は、造影マーカー150の軸方向全長に亘って設けた構成とすれば、造影マーカー150の一部にのみ配置するよりもバルーン140の全長に対する第1突起部160の配置範囲が広がるため、折り畳み形状の崩れをより効果的に抑制することができる。
【0042】
図5Aは、第1突起部160を備えたバルーンカテーテル100であり、図5Bは、第1突起部160を備えていない従来のバルーンカテーテル100Xであり、共にバルーン140の拡張途中の状態を示している。図5Aに示すように、本実施形態のバルーンカテーテル100は、第1突起部160を備えているため、内側折り返し部143の周方向への移動が抑制できる。一方、図5Bに示すように、従来のバルーンカテーテル100Xでは、第1突起部160を備えていないため、内側折り返し部143Xが周方向に移動し易く、羽根部141の折り畳み形状が崩れ易い傾向にある。
【0043】
図6Aは、第1突起部160を備えたバルーンカテーテル100であり、図6Bは、第1突起部160を備えていない従来のバルーンカテーテル100Xであり、共にバルーン140の拡張途中の状態を示している。図6Aに示すように、本実施形態のバルーンカテーテル100は、第1突起部160を備えているため、管状部材300と第1突起部160の頂点との間の距離が短くなり、外側折り返し部142の移動が抑制できる。一方、図6Bに示すように、従来のバルーンカテーテル100Xでは、第1突起部160を備えていないため、管状部材300と外側折り返し部142Xと間の距離が短くならず、外側折り返し部142Xが自由に動き易い。そのため、羽根部141Xは、折り畳み形状が崩れ易い傾向にある。
【0044】
また、バルーンカテーテル100は、第1突起部160を造影マーカー150に設けているため、第1突起部160を内管120に直接設けた構成と比べて、頂点位置が造影マーカー150の厚み分だけバルーン140に近付き、より外側折り返し部142の移動抑制効果を高めることができる。
【0045】
第1突起部160は、軸方向直交断面視の断面形状として、図7Aに示すような頂点がR加工された円弧状をなす略三角形状、図7Bに示すような頂点をなす辺が鋭角に交差する略三角形状、図7Cに示すようなバルーン140との対向面全体が円弧状となる略半円形状とすることができる。第1突起部160は、図7A図7Cに示すように、バルーン140の内面との接触箇所となる頂点形状を円弧状とすれば、バルーン140への突き刺さりが防止できる。特に、バルーン140に羽根形状を形状付けしつつ内管120の周方向に折り畳むラッピング工程において、第1突起部160の頂点とバルーン140の内面との接触によるピンホールの発生リスクを低減させることができる。また、第1突起部160は、製造上の観点や羽根部141の折り畳み形状の崩れ防止の観点から、形成したそれぞれの頂点形状を同形状とするのが好ましい。
【0046】
第1突起部160は、図8に示すように、外表面に凹凸形状を有して構成することができる。第1突起部160は、外表面を凹凸形状とすることで、バルーン140の内面と接触した際に、摩擦抵抗が高まって羽根部141が動き難くなる。このように、第1突起部160の凹凸形状は、バルーン140の内面と接触した際の滑り止め部として機能するため、羽根部141の折り畳み形状の崩れがより抑制される。バルーン140は、ステント200に挟まれ易くするために外層を柔軟材料で構成し、耐圧性を保持するために内層を硬質材料で構成した二層構造や、内層の外表面に更に柔軟材料からなる最内層を設けた三層構造が採用されることがある。そのため、凹凸形状の高さ(凹部底面から凸部の頂点までの高さ)は、少なくとも内層が損傷しない程度の高さ(数μm程度)とするのが好ましい。また、凹凸形状は、バルーン140の内面と接触する箇所(凸部分)については、バルーン140の損傷が防止されるように滑らかなR加工を施し円弧形状とするのが好ましい。
【0047】
なお、凹凸形状は、第1突起部160の外表面全体に設けてもよいし、一部に設けてもよいが、内側折り返し部143の移動を抑制する観点においては、少なくともバルーン140の内面と接触し得る領域に設けるのが好ましい。
【0048】
第1突起部160の構成材料は、造影マーカー150と同種の材料を用いることができる。また、第1突起部160は、シャフト110で使用されるような医療分野で使用可能な公知の樹脂材料を用いることもできる。
【0049】
第1突起部160の形成方法としては、造影マーカー150に事前に設けた後に造影マーカー150を内管120に装着させてもよいし、内管120に装着した造影マーカー150に対して設けてもよい。すなわち、第1突起部160は、造影マーカー150の一構成要素としてもよいし、別体の構成要素としてもよい。
【0050】
第1突起部160の形成方法として前者の方法を用いる場合、以下の方法を用いることができる。第1突起部160は、金型を使用して造影マーカー150となる金属パイプを圧縮成形して造影マーカー150の外表面に形成する、若しくは金属パイプの外表面を切削加工して形成することができる。第1突起部160が形成された造影マーカー150は、内管120に対して金属パイプを挿入し、スエージ加工または接着剤により固定することができる。また、細断した金属パイプを内管120に挿入し、造影マーカー150の外表面に第1突起部160が形成されるようにスエージ加工して内管120に固定することもできる。
【0051】
第1突起部160の形成方法として後者の方法を用いる場合、以下の方法を用いることができる。第1突起部160は、内管120に固定した造影マーカー150の外表面に対し、別体の構成要素を接着や融着により固定することができる。
【0052】
ここで、第1突起部160の寸法例を示す。図7A図7Bに示すように、「寸法α」は、軸方向直交断面視の断面形状において造影マーカー150と第1突起部160が接続する範囲の両端を結ぶ距離であり、「寸法β」は、造影マーカー150の外表面から最も離れた頂点位置までの距離である。寸法αと寸法βの比率は好ましくは1:1~2:1である。例えば、内管120は、内径0.42mm、外径0.58mmとし、造影マーカー150は、内径0.60mm、外径0.61mm~0.64mm、軸方向長さを1mmとし、管状部材300は、内径1.3mm~1.5mm、外径2.0mm~2.3mmとした場合、図7A図7Bに示す第1突起部160の形状において、寸法αを0.2mm、寸法βを0.1mm、軸方向長さを造影マーカー150と同じ1mmとすることができる。また、図7Cに示す第1突起部160の形状では、R0.1mm、軸方向長さを造影マーカー150と同じ1mmとすることができる。
【0053】
また、上記寸法例において、第1突起部160の寸法βは0.1mmとなるため、第1突起部160を有さない従来品と比べて、ステント200と造影マーカー150との間の距離は、0.1mm小さくなる。したがって、第1突起部160を有さない従来のステントデリバリーシステムと比べ、外側折り返し部142の自由に動ける径方向の空隙を小さくできる。
【0054】
このように、第1突起部160は、羽根部141を折り畳んだ状態でバルーン140を加圧して拡張させた際、意図しない形状変化(内側折り返し部143の周方向への移動や外側折り返し部142の移動など)が抑制され、羽根部141の折り畳み形状の崩れを防止できる。したがって、バルーン140の羽根部141は、バルーン形状付け工程や加圧クリンプ工程においても折り畳み形状が維持されるため、ステントをクリンプした際のピンホールの発生を防ぎつつクリンプ時のステント外径の細径化を図ることができる。
【0055】
図1に示すように、シャフト110の基端部にはハブ170を設けることができる。ハブ170は、加圧媒体を供給するためのインデフレーターなどの供給装置(図示省略)と液密・気密に接続可能である。
【0056】
バルーン140の拡張に使用される加圧媒体は、ハブ170の内部空間(内腔)を介してシャフト110の内腔131内へ流入させることができる。加圧媒体は、内腔131を経由してバルーン140の空間部へ供給される。
【0057】
〈ステント〉
ステント200は、バルーン140の拡張力により拡張(塑性変形)するバルーン拡張型ステントである。
【0058】
ステント200は、折り畳まれて収縮したバルーン140の外周面に配置される。ステント200は、バルーン140の軸方向に沿ってジグザグに折り返しつつ環状に形成される複数の線状要素で構成されるストラット210を複数備える。複数のストラット210は、バルーン140の軸方向に沿って並び、図示しないリンク部を介して軸方向に連結されている。ステント200は、バルーン140が拡張することで、拡径するように塑性変形する円筒形状を呈するように構成される。
【0059】
ステント200は、ストラット210の各線状要素の間に隙間部220を有する。ステント200は、加圧クリンプ工程時に縮径しながら隙間部220でバルーン140の一部を挟み込むことで、バルーン140にクリンプされる。
【0060】
なお、ステント200は、バルーン140によって拡径可能であって、マウント時にバルーン140の一部をクリンプ可能な複数のストラット210により構成されていれば、ストラット210の形状や隙間部220の大きさなどの形態は特に限定されない。
【0061】
ステント200の構成材料は、ステント200の構成材料としては、例えば、生体適合性を有する金属や樹脂材料、生体吸収性を有する生分解性ポリマーなどを好適に用いることができる。
【0062】
生体適合性を有する金属としては、例えば、金、プラチナ、タンタル、ステンレス鋼などの鉄ベース合金、チタン合金、ニオブ合金、コバルト-クロム合金、プラチナ-クロム合金、ニッケル-チタン合金などが挙げられる。
【0063】
生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸との共重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブチレイト吉草酸、ポリリンゴ酸、ポリ-α-アミノ酸、ポリオルソエステル、セルロース、コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、柱皮酸、および柱皮酸誘導体からなる群れから選択される少なくとも一つの重合体、重合体を構成する単量体が任意に共重合されてなる共重合体、並びに重合体と共重合体の混合物であることが好ましい。
【0064】
なお、ステント200において、生体適合性を有する金属で形成された部分と生体吸収性を有する生分解性ポリマーで形成された部分が設けられていてもよい。
【0065】
ステント200の外表面には薬剤を含む薬剤コート層を設けることができる。薬剤コート層は、ステント200の外表面の全体に形成してもよいし、ステント200の外表面の一部のみに形成してもよい。薬剤コート層に含まれる薬剤としては、特に限定されないが、例えば、抗がん剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、抗高脂血症薬、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症剤、生体由来材料、インターフェロン、NO産生促進物質などを用いることができる。
【0066】
[変形例]
次に、上述した実施形態の変形例を説明する。変形例の説明では、上述した実施形態で既に説明した内容と重複する内容の説明は省略する。また、変形例の説明において特に説明の無い内容は前述した実施形態と同一のものとすることができる。
【0067】
変形例のステントデリバリーシステム1は、図9または図10に示すように、バルーン140の配置領域と重なる内管120の軸方向の領域の少なくとも一部に径方向外向きに突出して設けられる第2突起部180を有する。
【0068】
第2突起部180は、第1突起部160と同様、バルーン140を加圧した際の羽根部141の外側折り返し部142および内側折り返し部143の移動を抑制する。第2突起部180は内管120に直接設けられるため、内管120の中心軸から第1突起部160および第2突起部180の頂点までの高さを揃える場合、第2突起部180は第1突起部160よりも造影マーカー150の厚み分だけ高く形成される。
【0069】
第2突起部180は、軸方向直交断面視の外形が第1突起部160と略同形状である。また、第2突起部180は、周方向において第1突起部160と同数である。さらに、第2突起部180の周方向の位置は、第1突起部160の周方向の位置と同一となるように配置される。
【0070】
変形例のステントデリバリーシステム1において、内管120の中心軸から第1突起部160の頂点までの高さと、内管120の中心軸から第2突起部180の頂点までの高さは揃っている。また、第2突起部180の周方向の位置は、第1突起部160の周方向の位置と同一である。これにより、バルーン140の内面に対する第1突起部160の頂点からの距離と、第2突起部180の頂点からの距離が軸方向で揃うため、バルーン140の折り畳み形状の崩れ抑制効果を高めることができる。
【0071】
第2突起部180は、図10に示すように、第1突起部160と連続して延在してもよいし、所定の間隔を空けて設けてもよい。また、第2突起部180は、バルーン140の配置領域であれば、先端側の造影マーカー150よりも先端側に設けてもよいし、基端側の造影マーカー150よりも基端側に設けてもよい。
【0072】
第1突起部160と第2突起部180を設ける場合、造影マーカー150に対する第1突起部160の固定と、内管120に対する第2突起部180の固定は、個別に行ってもよい。或いは、第1突起部160および第2突起部180の機能を満たす1本の突起部材を造影マーカー150および内管120に固定してもよい。この際、第2突起部180の形成領域は、第1突起部160の形成領域よりも造影マーカー150の厚み分だけ低くなる。そのため、第1突起部160の形成領域と第2突起部180の形成領域の軸方向に沿う高さ(頂点位置)が揃うように、第1突起部160の形成領域に位置する突起部材に対して軸方向に沿って凹加工を施したり、第2突起部180の形成領域位置する突起部材の内管120との接着領域において接着剤の塗布量を調整したりして、高さ調整すればよい。
【0073】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1は、内腔(加圧媒体ルーメン)131を有する外管130と、内腔(ガイドワイヤルーメン)121を有し、外管130の内腔131に配置された内管120と、収縮状態の軸方向直交断面視において、内管120の径方向外側に凸となる外側折り返し部142と、径方向内側に凹となる内側折り返し部143と、が接続部144を介して交互に連続して形成されて内管120の周方向に沿って折り畳まれる複数の羽根部141を有し、径方向に拡縮可能に内管120の先端側と外管130の先端側に固定されるバルーン140と、バルーン140の外周面上に配置されるステント200と、内管120上で、軸方向の位置がバルーン140の先端と基端の間に位置する造影マーカー150と、造影マーカー150の外表面から径方向外向きに突出して設けられる第1突起部160と、を備える。
【0074】
ステントデリバリーシステム1のバルーンカテーテル100は、第1突起部160を備えることにより、バルーン形状付け工程や加圧クリンプ工程において拡張されたバルーン140の羽根部141の意図しない形状変化が抑制され、羽根部141の折り畳み形状の崩れを防止することができる。そのため、ステントデリバリーシステム1は、例えば加圧クリンプ工程にてバルーン140にステント200をクリンプしてもピンホールが発生せず、クリンプ時のステント200の外径を細径化することができる。したがって、ステント留置術において、ステントデリバリーシステム1の通過性が向上し、目的の病変部までステントデリバリーシステム1を送達後にステント200が未拡張となるリスクが抑制される。
【0075】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において、第1突起部160と、外側折り返し部142と、内側折り返し部143は、同数とした構成であってもよい。
【0076】
これにより、第1突起部160は、羽根部141(羽根部141を構成する外側折り返し部142および内側折り返し部143)と一対一の関係となるため、羽根部141を構成する外側折り返し部142や内側折り返し部143の意図しない移動を抑制効果が高まる。
【0077】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において、第1突起部160は、バルーン140の周方向で隣り合う内側折り返し部143の間に配置される構成としてもよい。
【0078】
これにより、第1突起部160と内側折り返し部143とが周方向に交互に配置されるため、バルーン140を拡張させた際に、羽根部141を構成する内側折り返し部143の周方向への移動を効果的に抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において、第1突起部160の頂点が円弧状とした構成としてもよい。
【0080】
これにより、バルーン140に羽根形状を形状付けしつつ内管120の周方向に折り畳むラッピング工程などにおいて、第1突起部160の頂点とバルーン140の内面との接触によるピンホールの発生リスクが低減する。
【0081】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において、第1突起部160の表面は、滑り止め用の凹凸形状を有する構成としてもよい。
【0082】
これにより、第1突起部160とバルーン140の内面とが接触した際、バルーン140の内面との摩擦抵抗が高まるため、加圧の際に羽根部141がより動き難くなって折り畳み形状の崩れ抑制効果がより高まる。
【0083】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において、第1突起部160は、造影マーカー150の軸方向全長に亘って設けた構成としてもよい。
【0084】
これにより、造影マーカー150の一部のみに配置するよりも、バルーン140の全長に対する第1突起部160の配置範囲が広がるため、バルーン140の折り畳み形状の崩れ抑制効果を高めることができる。
【0085】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において、内管120は、バルーン140の配置領域と重なる軸方向の領域の少なくとも一部に径方向外向きに突出する第2突起部180を有する構成としてもよい。
【0086】
造影マーカー150に設けられた第1突起部160に加え、バルーン140の配置領域と重なる内管120の軸方向の領域の少なくとも一部に第2突起部180を設けることで、羽根部141に対する移動抑制効果がより高まるため、バルーン140の折り畳み形状の崩れがより抑制される。
【0087】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において、第1突起部160および第2突起部180は、軸方向直交断面視において外形は同形状であり、形成数は周方向で等しく、周方向の位置が同一となるように配置された構成としてもよい。
【0088】
第1突起部160と第2突起部180の外形を同等とし、形成数を周方向で等しくしつつ周方向の位置が同一となるように配置することで、バルーン140の内面(特に、羽根部141の内側折り返し部143)の第1突起部160との周方向の接触位置と、第2突起部180の周方向の接触位置が同一となるため、バルーン140の折り畳み形状の崩れ抑制効果を高めることができる。
【0089】
また、本実施形態に係るステントデリバリーシステム1において、内管120の中心軸から第1突起部160の頂点までの高さと、内管120の中心軸から第2突起部180の頂点までの高さは揃っている構成としてもよい。
【0090】
これにより、バルーン140の内面に対する第1突起部160の頂点からの距離と、第2突起部180の頂点からの距離が軸方向で揃うため、バルーン140の折り畳み形状の崩れ抑制効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 ステントデリバリーシステム、
100 バルーンカテーテル、
110 シャフト、
120 内管、
121 内腔(ガイドワイヤルーメン)、
130 外管、
131 内腔(加圧媒体ルーメン)、
140 バルーン、
141 羽根部、
142 外側折り返し部、
143 内側折り返し部、
144 接続部、
150 造影マーカー、
160 第1突起部、
170 ハブ、
180 第2突起部、
200 ステント、
210 ストラット、
220 隙間部、
300 管状部材、
G ガイドワイヤ。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10