(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175131
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】収穫機械
(51)【国際特許分類】
A01D 41/127 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A01D41/127 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087430
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】國松 翔太
【テーマコード(参考)】
2B396
【Fターム(参考)】
2B396JA04
2B396JC08
2B396LC09
2B396LC15
2B396LN02
2B396LN08
2B396LN13
2B396ME04
2B396ME26
2B396QA29
2B396QE24
(57)【要約】
【課題】品質測定器の信頼性が低下しにくい収穫機械を提供する。
【解決手段】収穫機械4は、脱穀部43と、グレンタンク2と、搬送装置45と、品質測定器1と、を備える。グレンタンク2は、穀粒を貯留する。搬送装置45は、脱穀部43からグレンタンク2に穀粒を搬送し、グレンタンク2の内側面に開口する投入口21からグレンタンク2内に穀粒を投入する。品質測定器1は、グレンタンク2の内部空間に臨む位置に配置され、穀粒の品質を測定する。品質測定器1は、搬送装置45に支持されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部と、
穀粒を貯留するグレンタンクと、
前記脱穀部から前記グレンタンクに前記穀粒を搬送し、前記グレンタンクの内側面に開口する投入口から前記グレンタンク内に前記穀粒を投入する搬送装置と、
前記グレンタンクの内部空間に臨む位置に配置され、前記穀粒の品質を測定する品質測定器と、を備え、
前記品質測定器は、前記搬送装置に支持されている、
収穫機械。
【請求項2】
前記品質測定器は、上下方向に直交する第1方向において、前記グレンタンクの中心から見て前記投入口と同じ側に配置されている、
請求項1に記載の収穫機械。
【請求項3】
前記搬送装置に支持されており、前記穀粒の収穫量を検知する収穫量センサを更に備える、
請求項1又は2に記載の収穫機械。
【請求項4】
前記搬送装置は、前記穀粒を上下方向に沿って搬送する縦搬送部を有し、
前記品質測定器は、前記縦搬送部に支持されている、
請求項1又は2に記載の収穫機械。
【請求項5】
前記縦搬送部は、上下方向に沿って移動する複数のバケットを含み、前記穀粒を前記複数のバケットの各々ですくって上方へ搬送する、
請求項4に記載の収穫機械。
【請求項6】
前記グレンタンクは、前記搬送装置に接触する閉位置と、前記搬送装置から離れる開位置との間で移動可能であって、
前記品質測定器は、前記グレンタンクが前記閉位置にある状態で、前記グレンタンクの前記品質測定器と対向する位置に配置されている開口孔を通して前記グレンタンク内に露出する、
請求項1又は2に記載の収穫機械。
【請求項7】
前記開口孔内には、前記開口孔の対向する周縁間に架け渡される補強フレームが設けられている、
請求項6に記載の収穫機械。
【請求項8】
前記補強フレームは、前記グレンタンクが前記閉位置にある状態で、前記品質測定器における前記開口孔に対向する側面の一部を覆う、
請求項7に記載の収穫機械。
【請求項9】
前記品質測定器における前記穀粒を取り込むための取込口は、上下方向において前記投入口の下端と同じ位置、又は前記投入口の下端よりも上方に配置される、
請求項1又は2に記載の収穫機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒を貯留するグレンタンクを備える収穫機械に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、刈取部、脱穀部及びグレンタンク等を備える収穫機械(コンバイン)が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る収穫機械は、収穫した穀粒の水分率を測定する品質測定器(水分センサユニット)と、電装ユニットと、を備える。電装ユニットは、品質測定器から得られた水分率を操縦部のモニタに表示する際に、品質測定器を制御しながら得られた測定値から水分率を演算してモニタに表示させる電子制御ユニットを含む電装品である。
【0003】
上記関連技術に係る収穫機械では、電装ユニットは、排出オーガの縦螺旋筒を中心に回動させるグレンタンクの平面視略矩形状に形成する壁の内、縦螺旋筒側に臨む後壁の外面に取り付けられている。さらに、穀粒の水分率を測定する品質測定器がグレンタンクの天井壁に取り付けられ、品質測定器の電源線及び信号線は、グレンタンクの後壁の外面に固定具を用いて固定されて電装ユニットに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記関連技術の構成では、品質測定器がグレンタンクに取り付けられているので、例えば、グレンタンクの回転(開閉)に対応するように、品質測定器につながるケーブル(ハーネス)を必要以上に長めに設定し、かつケーブルの取り回しが複雑になるといった問題がある。ケーブルが長くなり、かつその取り回しが複雑になると、品質測定器の信頼性の低下にもつながる。
【0006】
本発明の目的は、品質測定器の信頼性が低下しにくい収穫機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る収穫機械は、脱穀部と、グレンタンクと、搬送装置と、品質測定器と、を備える。前記グレンタンクは、穀粒を貯留する。前記搬送装置は、前記脱穀部から前記グレンタンクに前記穀粒を搬送し、前記グレンタンクの内側面に開口する投入口から前記グレンタンク内に前記穀粒を投入する。前記品質測定器は、前記グレンタンクの内部空間に臨む位置に配置され、前記穀粒の品質を測定する。前記品質測定器は、前記搬送装置に支持されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、品質測定器の信頼性が低下しにくい収穫機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る収穫機械の概略左側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る収穫機械の概略平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る収穫機械の概略ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る収穫機械のグレンタンク及び搬送装置周辺の概略斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る収穫機械のグレンタンクが閉位置にあるときのグレンタンク周辺の概略斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る収穫機械のグレンタンクが開位置にあるときのグレンタンク周辺の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る収穫機械を示し、グレンタンクの天井パネルのハッチを取り外した状態で、グレンタンク、搬送装置及び動力部を上方から見た概略平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る収穫機械を示し、
図7のA1-A1線断面に相当するグレンタンク及び搬送装置の概略左側面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係る収穫機械を示し、
図8のA1-A1線断面に相当する搬送装置周辺の概略平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る収穫機械を示し、グレンタンクの天井パネルを取り外した状態で、グレンタンクの内部から左側パネルを見た概略斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態1に係る収穫機械を示し、グレンタンクの天井パネルを取り外した状態で、グレンタンクの内部から左側パネルを見た概略斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態1に係る収穫機械を示し、グレンタンクの左側パネルをグレンタンクの内側から見た側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係る収穫機械を示し、搬送装置周辺の構造をグレンタンク側から見た側面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1に係る収穫機械を示し、搬送装置周辺の構造を脱穀部側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0011】
(実施形態1)
[1]全体構成
まず、本実施形態に係る収穫機械4の全体構成について、
図1~
図6を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係る収穫機械4は、走行装置41、刈取部42、脱穀部43、選別部44、搬送装置45、動力部46、運転部47、藁処理部48及び排出装置49等を、収穫機械4の本体である機体40に備えている。また、収穫機械4は、穀粒を貯留するグレンタンク2、穀粒の品質を測定する品質測定器1(
図4参照)、及び電装ユニット3(
図4参照)等を、機体40に更に備えている。搬送装置45は、脱穀部43からグレンタンク2に穀粒を搬送し、グレンタンク2の内側面20(
図10等参照)に開口する投入口21(
図6等参照)からグレンタンク2内に穀粒を投入する。本実施形態では、収穫機械4は、
図3に示すように、制御装置51、通信端末52、収穫量センサ53、穀粒センサ54、満量センサ55、燃料タンク及びバッテリ等を、機体40に更に備えている。電装ユニット3は、穀粒に関する情報を検知するセンサに電気的に接続される。電装ユニット3に接続されるセンサには、品質測定器1及び収穫量センサ53等が含まれる。つまり、少なくとも品質測定器1及び収穫量センサ53は、電装ユニット3と電気的に接続されている。
【0013】
このように、本実施形態に係る収穫機械4は、少なくとも脱穀部43、グレンタンク2及び搬送装置45を備えている。また、本実施形態に係る収穫機械4は、品質測定器1と電装ユニット3との少なくとも一方を更に備えている。
図4は、グレンタンク2、搬送装置45、品質測定器1及び電装ユニット3の外観を示す概略斜視図であって、グレンタンク2、搬送装置45、品質測定器1及び電装ユニット3以外の構成の図示を適宜省略している。
【0014】
本開示でいう「収穫機械」は、圃場にて作物の収穫作業を行う機械であって、一例として、収穫作業に加えて脱穀及び選別を行うコンバイン(コンバインハーベスタ)等を含む。収穫機械4としてのコンバインは、主として穀物の収穫作業に用いられ、圃場内を移動(走行)しながら、作物の刈り取りを行い、刈り取った作物を収穫する。特に、コンバインには、刈り取った作物全体を脱穀機(脱穀部43)に送り込む普通型(汎用)コンバインと、刈り取った作物の穂先のみを脱穀機に送り込む自脱型コンバインとがあるところ、本実施形態では、普通型コンバインを収穫機械4の例として説明する。また、本実施形態では一例として、収穫機械4は、人(オペレータ)の操作(遠隔操作を含む)により動作することとするが、これに限らず、収穫機械4は、自動運転により動作する無人機であってもよい。さらに、本実施形態では、収穫機械4は走行装置41により圃場を走行する「車両」であるが、収穫機械4は「車両」に限らない。
【0015】
本開示でいう「圃場」は、収穫機械4が収穫作業を行う領域であって、例えば、稲、麦、大豆又はそば等の収穫対象となる作物(農産物)を生育する田んぼ、畑、果樹園及び牧草地等を含む。本実施形態では一例として、収穫機械4による収穫対象が「稲」であって、圃場が稲を生育する屋外の田んぼである場合を例に挙げて説明する。
【0016】
また、本実施形態では、説明の便宜上、収穫機械4が使用可能な状態での鉛直方向を上下方向D3と定義する。さらに、
図2に示すように、収穫機械4(の運転部47)に乗っている人(オペレータ)から見た方向を基準として、左右方向D1及び前後方向D2を定義する。言い換えれば、本実施形態で用いられる各方向は、いずれも収穫機械4の機体40を基準として規定される方向であって、収穫機械4の前進時に機体40が移動する方向が「前方」、収穫機械4の後退時に機体40が移動する方向が「後方」となる。同様に、収穫機械4の右旋回時に機体40の前端部が移動する方向が「右方」、収穫機械4の左旋回時に機体40の前端部が移動する方向が「左方」となる。
【0017】
さらに、本実施形態では、上下方向D3に直交する左右方向D1を「第1方向」とし、上下方向D3及び左右方向D1(第1方向)の両方に直交する前後方向D2を「第2方向」とする。つまり、第1方向(左右方向D1)及び第2方向(前後方向D2)は、いずれも水平面に沿う方向であって、かつ互いに直交する方向である。ただし、これらの方向は、収穫機械4の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。例えば、上下方向D3に直交する前後方向D2を「第1方向」とし、上下方向D3及び前後方向D2(第1方向)の両方に直交する左右方向D1を「第1方向」としてもよい。
【0018】
走行装置41は、収穫機械4を前後方向D2及び左右方向D1に移動させることができる。例えば、収穫機械4は、田んぼ又は畑等の圃場内を蛇行しながら収穫作業を実施する。一例として、収穫機械4は、圃場内を外側から内側に向かって右(又は左)に旋回しながら移動してもよく、この場合、収穫機械4の移動軌跡は渦巻き状の経路となる。
【0019】
刈取部42は、圃場の作物(本実施形態では一例として稲)を刈り取る。刈取部42は、リール421、カッター422、掻込オーガ423、搬送コンベア424、ロータ425及びフィーダハウス426等を有する。リール421は、回転することによって作物の穀稈をカッター422へ案内する。カッター422は、リール421によって案内された穀稈を切断する。これにより、圃場に生育されている作物は穀稈の途中で切断されることになり、少なくとも穂先を含む穀稈が収穫機械4によって刈り取られることになる。
【0020】
掻込オーガ423は、このようにして刈り取られた穀稈をフィーダハウス426に掻き込む。具体的には、掻込オーガ423は、刈り取られた穀稈を、左右方向D1に搬送し、フィーダハウス426の前方位置に集合させる横送りスクリューである。
【0021】
フィーダハウス426は、刈取部42(の掻込オーガ423)と脱穀部43との間に、刈り取られた作物(穀稈)を通すための経路の外郭を構成する。本実施形態では、脱穀部43は刈取部42の斜め上後方に位置する。フィーダハウス426は、一例として、断面矩形状である中空筒状(角筒状)であって、刈取部42から脱穀部43に向けて斜め上方に延びるように配置されている。刈取部42で刈り取られた穀稈は、フィーダハウス426の前方側に開口する取込口からフィーダハウス426へと掻き込まれ、フィーダハウス426の内部空間を通して脱穀部43へと送られる。
【0022】
搬送コンベア424は、フィーダハウス426内に配置されている。搬送コンベア424は、掻込オーガ423によってフィーダハウス426の取込口の前方位置に集められ、取込口からフィーダハウス426に掻き込まれた穀稈を、フィーダハウス426の内部を通してロータ425まで搬送する。ロータ425は、搬送コンベア424により搬送されてくる穀稈を脱穀部43へ送り込む。
【0023】
脱穀部43は、刈取部42により刈り取られた穀稈に対する脱穀処理を実行する。脱穀処理では、穀稈から穀粒を含む脱穀物を分離する。脱穀物は脱穀部43から下方の選別部44へ落下する。
【0024】
選別部44は、脱穀部43から落下する脱穀物から、穀粒を選別する選別処理を実行する。選別部44は、例えば、脱穀物に対して斜め下方から風を当てつつ脱穀物をふるいにかけることにより、脱穀物から穀粒を選別する。
【0025】
脱穀部43は、例えば、穀稈を脱穀部43の前部から後方へ搬送しつつ穀稈に対する脱穀処理を実行する。同様に、選別部44は、例えば、脱穀物を選別部44の前部から後方へ搬送しつつ脱穀物に対する選別処理を実行する。
【0026】
搬送装置45は、横搬送部451(
図4参照)、縦搬送部452及び投入部453等を有する。横搬送部451は、選別部44(及び脱穀部43)の下方に配置され、穀粒を左右方向D1に沿って搬送する横送りスクリューである。本実施形態では一例として、横搬送部451は、脱穀部43で脱穀された穀粒を、縦搬送部452の入口に搬送するスクリューコンベアである。縦搬送部452は、横搬送部451の出口と、グレンタンク2の上部に設けられた投入部453とをつないでおり、穀粒を上下方向D3に沿って搬送する。つまり、縦搬送部452は、横搬送部451の出口に接続された下端部から、投入部453に接続された上端部へと穀粒を搬送することで、横搬送部451で搬送された穀粒を、更に上下方向D3に沿って上方へと搬送する。
【0027】
投入部453は、縦搬送部452の出口(上端部)につながっており、縦搬送部452にて搬送された穀粒をグレンタンク2内に投入する。つまり、縦搬送部452の上端部まで搬送された穀粒は、投入部453にてグレンタンク2内へ投入される。その結果、穀粒は、横搬送部451及び縦搬送部452にて、脱穀部43から(選別部44を経て)投入部453まで搬送され、投入部453にてグレンタンク2内へ投入される。
【0028】
グレンタンク2は、脱穀部43での脱穀処理にて得られる脱穀物(穀粒等)を貯留するタンク(容器)である。グレンタンク2は、脱穀部43に対して、機体40の幅方向である左右方向D1に並べて配置されている。本実施形態では一例として、機体40を左右方向D1において略均等に二分したときに、その左側部分に脱穀部43(及び選別部44)が位置し、右側部分にグレンタンク2が位置する。
【0029】
また、グレンタンク2は、
図5及び
図6に示すように、開閉軸Ax1を中心として水平面内で回転することにより、閉位置と開位置との間で移動可能に構成されている。ここで、開閉軸Ax1は、ヒンジ部材210の中心を通り鉛直方向(上下方向D3)に延びる仮想軸である。
図5及び
図6では、脱穀部43等を含む機体40の左側部分の外形を想像線(二点鎖線)で示している。閉位置は、
図5に示すように、脱穀部43及び選別部44等を含む機体40の左側部分の右側面を、グレンタンク2にて覆う位置である。開位置は、
図6に示すように、脱穀部43及び選別部44等を含む機体40の左側部分の右側面を、開放する位置である。
【0030】
これにより、グレンタンク2は、閉位置と開位置との間で移動(回転)可能となり、例えば、選別部44の揺動軸受けのメンテナンス等に際して、
図6に示すように、グレンタンク2を開位置に移動させることでメンテナンス等の作業空間を確保しやすくなる。
図2等では、グレンタンク2が閉位置にある状態を示している。
【0031】
ここで、搬送装置45は、脱穀部43及び選別部44等を含む機体40の左側部分に固定されている。具体的には、搬送装置45は、
図6に示すように、連結部材454にて脱穀部43等を含む機体40の左側部分に連結されている。連結部材454は、搬送装置45のうちの縦搬送部452の上下方向D3の中央部に取り付けられており、ボルト等の締結具によって、脱穀部43等を含む機体40の左側部分に固定されている。つまり、連結部材454は、搬送装置45と脱穀部43とを連結する部材である。これにより、機体40は、上下方向D3に高さのある搬送装置45を、安定して支持することが可能である。
【0032】
このように、搬送装置45が、脱穀部43等を含む機体40の左側部分に固定されていることで、グレンタンク2が開閉することにより、搬送装置45とグレンタンク2との位置関係が変化する。すなわち、グレンタンク2が閉位置にあるときに、グレンタンク2の左側面に搬送装置45が接触するのに対し、グレンタンク2が開位置にあるときには、グレンタンク2の左側面から搬送装置45が離間する。言い換えれば、グレンタンク2は、搬送装置45に接触する閉位置(
図5に示す位置)と、搬送装置45から離れる開位置(
図6に示す位置)との間で移動可能である。
【0033】
排出装置49は、グレンタンク2内の穀粒を収穫機械4の周囲の任意の場所へ排出する。排出装置49は、排出搬送路490及び搬送機構493等を有する。排出搬送路490は、グレンタンク2内の貯留物(穀粒)を排出するための経路である。排出搬送路490は、上下方向D3に延びる縦搬送路491と、上下方向D3に直交する方向(水平方向)に延びる横搬送路492と、を含んでいる。縦搬送路491の下端部はグレンタンク2につながっており、縦搬送路491の上端部は横搬送路492につながっている。これにより、グレンタンク2内の貯留物は、縦搬送路491を通して上方に搬送され、更に横搬送路492を通して水平方向に搬送され、横搬送路492の先端部から排出される。
【0034】
搬送機構493は、例えば、排出搬送路490内で回転することにより、排出搬送路490を通して穀粒を搬送するスクリュー(オーガ)である。つまり、縦搬送路491内では、搬送機構493としての縦オーガが回転することで穀粒を搬送し、横搬送路492内では、搬送機構493としての横オーガが回転することで穀粒を搬送する。
【0035】
藁処理部48は、脱穀処理にて発生する排藁(ワラ)等の排出物を排出する。つまり、脱穀部43での脱穀処理にて脱穀物(穀粒を含む)と分離された藁等は、排出物として藁処理部48へと搬送される。藁処理部48は、排出物を機体40の外部に排出するための排出口481(
図1参照)を有する。藁処理部48は、例えば、脱穀部43の後方、つまり機体40の左後部に配置され、排出口481が後方に向けて開口する。藁処理部48は、排ワラカッター等を有し、排出物に対する裁断処理等を行った上で、排出口481から排出物を排出する。ただし、藁処理部48が裁断処理等を行うことは必須でない。
【0036】
動力部46は、走行装置41、刈取部42、脱穀部43、選別部44、搬送装置45、藁処理部48及び排出装置49等の駆動源である。動力部46は、動力源として、例えばディーゼルエンジン等のエンジン461(
図7参照)を有する。また、動力部46は、エンジンとモータ(電動機)とを含むハイブリッド式の動力源を有していてもよい。本実施形態では一例として、動力部46は、グレンタンク2の後方、つまり機体40の右後部に配置されている。動力部46は、ラジエータの目詰まりを防止してエンジン461の冷却性能を維持するためのロータリスクリーン462(
図5参照)を有する。ロータリスクリーン462は、動力部46の右側面に配置されている。
【0037】
運転部47には、操作者(オペレータ)が着席する運転座席、並びに、操作者により操作されるハンドル、各種の操作レバー及び各種の操作スイッチ等の操作装置が設けられている。本実施形態では、運転部47は、収穫機械4の機体40の右側部分におけるグレンタンク2の前方(
図2参照)に配置されている。さらに、運転部47は、刈取部42の後方に位置する。
【0038】
ここで、収穫機械4の運転部47の種類としては、キャビンタイプ、キャノピータイプ及びフロアタイプ等がある。キャビンタイプの運転部47は、キャビンを備え、キャビンの内部のキャビン空間に操作者(オペレータ)が搭乗する。キャノピータイプの運転部47は、キャノピー(屋根)を備え、キャノピーの下方の空間に操作者が搭乗する。フロアタイプの運転部47は、キャビン及びキャノピー等を備えておらず、上方に開放された空間に操作者が搭乗する。本実施形態では一例として、運転部47がキャビンタイプである場合を例として説明する。
【0039】
制御装置51は、操作装置が受け付ける操作に応じて、走行装置41、刈取部42、脱穀部43、選別部44、搬送装置45、動力部46、藁処理部48及び排出装置49等を制御する。制御装置51は、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムを主構成とし、種々の処理(情報処理)を実行する。本実施形態では、制御装置51は、収穫機械4全体の制御を行う統合コントローラであって、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)からなる。ただし、制御装置51は、統合コントローラと別に設けられていてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、制御装置51は、電装ユニット3を介して、品質測定器1、収穫量センサ53、穀粒センサ54及び満量センサ55に接続されている。すなわち、穀粒に関する情報を検知するセンサである品質測定器1及び収穫量センサ53等は、電装ユニット3に電気的に接続されている。電装ユニット3は、品質測定器1及び収穫量センサ53等の検知結果を取得し、検知結果に対して適宜の前置処理等を実行する。さらに、電装ユニット3は、制御装置51からの指示に従って品質測定器1及び収穫量センサ53等を制御する。
【0041】
そして、電装ユニット3が制御装置51に電気的に接続されることで、制御装置51は、品質測定器1の測定結果、並びに、収穫量センサ53、穀粒センサ54及び満量センサ55の各々の検知結果を取得可能である。本実施形態では、品質測定器1及び収穫量センサ53は搬送装置45に取り付けられており、穀粒センサ54及び満量センサ55はグレンタンク2に取り付けられている。品質測定器1、収穫量センサ53、穀粒センサ54及び満量センサ55の配置の詳細については、「[2]グレンタンク及び搬送装置周辺の構成」の欄で説明する。
【0042】
品質測定器1は、脱穀部43で脱穀された穀粒の品質を測定する装置である。本開示でいう「品質」は、穀粒の水分含有量、タンパク質含有量又はアミロース含有量等の内部品質を含む。品質測定器1は、穀粒の品質に応じた電気信号を、測定結果として制御装置51に出力する。本実施形態では一例として、品質測定器1は、穀粒の水分含有量(水分量)を測定する水分計を含む。具体的には、品質測定器1は、モータ動力等で駆動する一対の電極ローラを備え、一対の電極ローラ間で穀粒を粉砕(圧砕)しつつ、一対の電極ローラ間の電気抵抗値の変化に基づいて、穀粒の水分含有量を測定する。
【0043】
収穫量センサ53は、収穫機械4で収穫された穀粒量、つまり収穫量(収量)を検知するセンサである。この種のセンサは、一例として、歪みゲージ又は圧電素子等の衝撃検出部を含み、搬送装置45によってグレンタンク2へ向けて搬送された穀粒が、衝撃検出部に衝突した際の衝撃力を検出する。もちろん、収穫機械4の収穫量の取得手法は、これに限定されない。穀粒センサ54及び満量センサ55は、いずれもグレンタンク2に貯留されている穀粒の量を検知するためのセンサである。穀粒センサ54及び満量センサ55は、一例として、グレンタンク2の内側面に取り付けられ、グレンタンク2に貯留された穀粒を検知する。
【0044】
制御装置51は、取得した品質測定器1の測定結果、並びに、収穫量センサ53、穀粒センサ54及び満量センサ55の各々の検知結果の情報を、適宜の手段で出力可能である。例えば、制御装置51は、これらの情報を、運転部47に設置された表示装置に表示させたり、記録媒体に書き込んだり、通信端末52にて外部(サーバ等)に送信したり、印刷したりすることによって、出力する。さらに、制御装置51は、これらの情報を、例えば、搬送装置45及び品質測定器1等の制御に用いることも可能である。
【0045】
例えば、制御装置51は、基本的には品質測定器1を常時駆動し、穀粒の品質を随時測定している。つまり、品質測定器1は、穀粒を常時取り込む状態にあり、取り込んだ穀粒の品質を随時測定する。一方で、制御装置51は、グレンタンク2内の穀粒センサ54にて穀粒が検知されると、品質測定器1を停止させ、品質測定器1への穀粒の取り込みを停止させる。すなわち、品質測定器1は、グレンタンク2内に配置される穀粒センサ54にて穀粒が検知されると、品質の測定を停止する。これにより、グレンタンク2内に貯留されている穀粒の量に応じて、品質測定器1の動作を停止することが可能となる。
【0046】
また、満量センサ55は、グレンタンク2内の穀粒が満量に達したことを検知するセンサである。そのため、制御装置51は、グレンタンク2内の満量センサ55にて穀粒が検知されると、その旨(満量に達した旨)をオペレータに通知する。あるいは、制御装置51は、グレンタンク2内の満量センサ55にて穀粒が検知されると、搬送装置45を停止させ、グレンタンク2への穀粒の投入を強制的に停止してもよい。
【0047】
通信端末52は、収穫機械4の外部のサーバ等と通信を行う。ここでは、通信端末52は、収穫機械4の稼働状況、収穫機械4の現在位置、作物の収穫量(収量)、作物の食味(水分含有量又はタンパク質含有量等を含む)、作業時間又は作業効率等に関する情報を、サーバ等に適宜送信する。本実施形態では、通信端末52は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)等の衛星測位システムを用いて、収穫機械4の現在位置を検出可能に構成されている。また、通信端末52は、収穫機械4の運転支援又は自動運転等に係る制御情報をサーバ等から受信してもよい。
【0048】
[2]グレンタンク及び搬送装置周辺の構成
次に、本実施形態に係る収穫機械4におけるグレンタンク2及び搬送装置45周辺の構成について、
図4~
図14を参照して説明する。また、以下では、グレンタンク2が閉姿勢にある状態での方向を用いて説明することとする。
【0049】
図7は、グレンタンク2の天井パネル206のハッチを取り外した状態で、グレンタンク2、搬送装置45及び動力部46を上方から見た概略平面図である。
図8は、
図7のA1-A1線断面に相当するグレンタンク2及び搬送装置45の概略左側面図である。
図9は、
図8のA1-A1線断面に相当する搬送装置45周辺の概略平面図である。
図10及び
図11は、グレンタンク2の天井パネル206を取り外した状態で、グレンタンク2の内部から左側パネル204を見た概略斜視図である。
図12は、グレンタンク2の左側パネル204をグレンタンク2の内側(つまり右側)から見た側面図である。
図13は、搬送装置45周辺の構造をグレンタンク2側(つまり右側)から見た側面図である。
図14は、搬送装置45周辺の構造を脱穀部43側(つまり左側)から見た側面図である。
【0050】
本実施形態では、グレンタンク2は、
図4及び
図5に示すように、底パネル201、前側パネル202、後側パネル203、左側パネル204、右側パネル205及び天井パネル206を有し、大まかな形状として、左右方向D1に扁平な直方体状に形成されている。本実施形態では一例として、グレンタンク2の構成部材(底パネル201、前側パネル202、後側パネル203、左側パネル204、右側パネル205及び天井パネル206)は十分な剛性を有する金属製である。ただし、これに限らず、グレンタンク2の構成部材の少なくとも一部が、樹脂製等であってもよい。
【0051】
底パネル201は、平面視において、前後方向D2(第2方向)に長さを有する矩形状のパネルである。前側パネル202は、底パネル201の外周縁のうちの前側の辺から上方に立ち上がる矩形状に形成されたパネルである。後側パネル203は、底パネル201の外周縁のうちの後側の辺から上方に立ち上がる矩形状のパネルである。左側パネル204は、底パネル201の外周縁のうちの左側の辺から上方に立ち上がる矩形状のパネルである。右側パネル205は、底パネル201の外周縁のうちの右側の辺から上方に立ち上がる矩形状のパネルである。これにより、底パネル201の上方の空間においては、四方(前後左右)が、前側パネル202、後側パネル203、左側パネル204及び右側パネル205で囲まれることになる。さらに、天井パネル206は、前側パネル202、後側パネル203、左側パネル204及び右側パネル205で囲まれた空間の上面を塞ぐ、平面視において矩形状に形成されたパネルである。
【0052】
すなわち、グレンタンク2は、底パネル201、前側パネル202、後側パネル203、左側パネル204、右側パネル205及び天井パネル206で囲まれた内部空間Sp1(
図7参照)を有し、この内部空間Sp1に穀粒を貯留可能に構成されている。前側パネル202と後側パネル203とは前後方向D2(第2方向)において対向する。左側パネル204と右側パネル205とは左右方向D1(第1方向)において対向する。底パネル201と天井パネル206とは上下方向D3において対向する。このように構成されるグレンタンク2の中心C1は、
図7に示すように、内部空間Sp1内に位置することになる。
図7で示す中心C1は、実体を伴わない仮想点である。
【0053】
ここで、グレンタンク2の内部空間Sp1には、縦搬送部452の出口(上端部)の上部に設けられた投入部453から穀粒が投入される。本実施形態では一例として、
図6に示すように、グレンタンク2における左側パネル204の前方寄りの上端部には、投入口21が形成されており、投入部453は、グレンタンク2が閉位置にあるときに左側パネル204の投入口21に対応する位置に配置される。投入口21は、グレンタンク2の内側面20(
図10等参照)に開口しており、投入部453は、投入口21からグレンタンク2内に穀粒を投入する。つまり、グレンタンク2の内部空間Sp1に臨む左側パネル204の表面がグレンタンク2の内側面20(左内側面)を構成し、当該内側面20に開口する投入口21から、グレンタンク2の内部空間Sp1に穀粒が投入される。
【0054】
本実施形態では、投入口21は、前後方向に長さを有する長方形状に形成されており(
図6等参照)、グレンタンク2が閉位置にあるときには、投入部453は、投入口21の全体をグレンタンク2の外側(左側)から覆うようにグレンタンク2に接触する。つまり、投入部453を含む搬送装置45は、閉位置にあるグレンタンク2の左側に位置する。言い換えれば、搬送装置45は、平面視において、グレンタンク2の左側パネル204と脱穀部43等を含む機体40の左側部分との間に配置されている。そして、搬送装置45は、上述したように脱穀部43等を含む機体40の左側部分に対して、連結部材454にて固定(連結)されている。そのため、搬送装置45は、グレンタンク2の開閉によらずに、機体40の定位置に位置することになる。
【0055】
より詳細には、搬送装置45は、
図8に示すように、縦搬送部452及び投入部453を有しており、脱穀部43で脱穀された穀粒を、縦搬送部452にて上下方向D3に沿って上方へと搬送する。投入部453は、縦搬送部452の上端部につながっているので、脱穀部43で脱穀された穀粒は、(選別部44で選別されて)横搬送部451及び縦搬送部452を通して投入部453へと搬送(供給)される。そのため、投入部453は、脱穀部43で脱穀された穀粒を、グレンタンク2の内側面20に開口する投入口21からグレンタンク2内に投入することになる。
【0056】
本実施形態では、横搬送部451の出口から投入部453に穀粒を搬送する縦搬送部452は、
図8に示すように、複数のバケット71を含むバケット方式の揚穀コンベア(バケットコンベア)である。要するに、縦搬送部452は、上下方向D3に沿って移動する複数のバケット71を含み、穀粒を複数のバケット71の各々ですくって上方へ搬送する。これにより、縦搬送部452は、搬送時に穀粒を傷めにくい。
【0057】
具体的には、縦搬送部452は、複数のバケット71に加えて、上下方向D3に長い揚穀筒72と、揚穀筒72内の下端部及び上端部に配置されたスプロケット73,74と、一対のスプロケット73,74に掛け回された無端状のチェーン75と、を含んでいる。
【0058】
下側のスプロケット73の回転軸は、スクリュー方式の横搬送部451の回転軸に連結されている。そのため、下側のスプロケット73は横搬送部451の回転と同期して回転する。下側のスプロケット73の回転に伴い、上側のスプロケット74が従動し、かつチェーン75が一対のスプロケット73,74の回転に伴って回転(周回)する。下側のスプロケット73より下側には、横搬送部451により搬送された穀粒が到達する受け部76が設けられている。受け部76は、バケット71が穀粒をすくい取るための空間である。
【0059】
チェーン75には、複数のバケット71が等間隔でほぼ隙間なく取り付けられている。バケット71は、一面が開口した深型の容器であり、内側に穀粒を収容することができる。チェーン75が一方向(
図8の例では反時計回り方向)R1に回転(周回)することで、チェーン75に連結されているバケット71はチェーン75の回転に従って周回しつつ、穀粒を搬送する。バケット71の開口はチェーン75の周回方向(一方向R1)を向いている。
【0060】
このような構造の縦搬送部452では、バケット71が受け部76において穀粒をすくい取り、上昇しながら穀粒を上方へと搬送する。そして、バケット71は、上側のスプロケット74の上方において、上昇方向から下降方向へ折り返すときに、投入部453へ向けて穀粒を投げ出す。バケット71が穀粒を投げ出す位置を、投入動作位置P1とする。投入動作位置P1の範囲は、バケット71が穀粒を投げ始める位置(例えば、バケット71が可動範囲の最上部に到達したときの位置)から、バケット71が穀粒を投げ終わる位置までである。穀粒を投げ出して空になったバケット71は下降し、受け部76において再び穀粒をすくい取る。縦搬送部452は、上記動作を繰り返し行うことにより、穀粒を上方へと搬送する。
【0061】
ここで、グレンタンク2に形成されている投入口21は、バケット71の投入動作位置P1から見て斜め下方に位置する。投入部453は、グレンタンク2の投入口21に臨む位置に配置されている。投入部453は、縦搬送部452のバケット71から投げ出された穀粒を、投入口21からグレンタンク2内に投入する。
【0062】
投入部453は、レベリングディスク455と、駆動部456と、カバー457と、を有している。レベリングディスク455は、
図9に示すように、周方向に等間隔で配置された複数(ここでは4つ)の羽根458を含む。駆動部456は、上下方向D3に沿った回転軸Ax2を中心にレベリングディスク455を回転させる。カバー457は、投入部453の外郭を構成し、内部にレベリングディスク455の回転領域が収まる空間を形成する。カバー457は、少なくとも上面及びグレンタンク2の内部空間Sp1に臨む位置に開口を有している。そのため、縦搬送部452のバケット71から投げ出された穀粒は、カバー457の上面の開口を通してレベリングディスク455上へと落下する。
【0063】
本実施形態では、駆動部456は、プーリ及びベルト等により、上側のスプロケット74と連動するように構成されている。つまり、縦搬送部452のスプロケット74が回転すると、駆動部456がレベリングディスク455を回転させることになる。縦搬送部452からレベリングディスク455上に投げ出された穀粒は、このようにして回転しているレベリングディスク455の羽根458によって横方向(上下方向D3に直交する方向)に拡散され、グレンタンク2内に投入される。
【0064】
すなわち、投入部453は、
図9に示すように、レベリングディスク455が一方向(
図9の例では時計回り方向)R2に回転することで、レベリングディスク455にてグレンタンク2の内部空間Sp1へ穀粒を押し出すようにして穀粒を投てきする。レベリングディスク455の回転領域の周囲はカバー457で覆われているため、レベリングディスク455が投てきした穀粒が飛散する範囲は、カバー457によって投入口21側に絞られることになる。その結果、投入部453は、穀粒を投入口21からグレンタンク2内へ投入することが可能となる。
【0065】
特に、
図9に示すように、平面視において、グレンタンク2の内部空間Sp1に臨むカバー457の開口は、右斜め後方に向けて形成されている。そのため、本実施形態に係る投入部453では、投入口21からグレンタンク2内に投入される穀粒は、主として投入口21から右斜め後方に向けて飛ばされることになる。
【0066】
また、本実施形態では、投入部453の上方には、収穫量センサ53が配置されている。これにより、収穫量センサ53は、縦搬送部452から投入部453に投げ出される穀粒の量に基づいて、投入部453がグレンタンク2内に投入する穀粒の量を検知する。言い換えれば、収穫量センサ53は、収穫機械4で収穫された穀粒量、つまり収穫量(収量)を検知する。
【0067】
より詳細には、
図8に示すように、収穫量センサ53は、第1センサ531及び第2センサ532を含んでいる。第1センサ531及び第2センサ532は、いずれも板状のセンサであり、その片面に平面状の検出面を有している。第1センサ531及び第2センサ532は、各々の検出面に穀粒が衝突したときの衝撃の大きさを測定するセンサである。第2センサ532は、第1センサ531に比べて、投入動作位置P1に近い位置に配置されている。
【0068】
本実施形態では、縦搬送部452の上端部における投入動作位置P1の上方には、穀粒の投入経路をガイドするガイド板77が配置されている。ガイド板77は、上方に凸となる湾曲形状を有しており、投入動作位置P1にてバケット71から勢いよく投げ出される穀粒は、ガイド板77の下面に沿って前方へと投てきされる。第1センサ531は、ガイド板77の前端部(穀粒の投入方向の先端部)に配置されている。第2センサ532は、第1センサ531から見て後方であって、チェーン75の周回に伴って移動するバケット71の移動経路の近傍に配置されている。
【0069】
第1センサ531の検出面は投入動作位置P1の方(後方)を向いている。一方、第2センサ532の検出面は上方を向いている。これにより、チェーン75の周回に伴って、投入動作位置P1に到達したバケット71が水平方向へ穀粒を投げ出す。ここでいう「横方向」には、斜め上方及び斜め下方も含む。バケット71から投げ出された穀粒の多くは、遠心力に従って遠くへ飛ぼうとし、ガイド板77の下面に沿って第1センサ531に案内される(
図8の矢印Y1参照)。これにより、穀粒の一部は第1センサ531で検知され、第1センサ531に衝突した穀粒は投入部453のレベリングディスク455上に落下する。第1センサ531は、ガイド板77の延長上に配置されており、穀粒を投入部453に案内する役割を担っている。
【0070】
ただし、バケット71が投入動作を開始してもすぐにはバケット71内が空にならず、バケット71が投入動作位置P1においてスプロケット74の周りを周回する間、バケット71から穀粒が排出され続ける。最後までバケット71内に残っていた穀粒は、バケット71が投入動作位置P1の終端部近傍に到達し上下反転したような姿勢になったときに、下方の第2センサ532に向けて投げ出される(
図8の矢印Y2参照)。これにより、穀粒の一部は第2センサ532で検知され、第2センサ532に衝突した穀粒は第2センサ532上を移動する、又は第2センサ532上を跳ねるようにして、投入部453のレベリングディスク455上に落下する。
【0071】
品質測定器1は、
図9~
図13に示すように、ケース11を有しており、ケース11内に品質測定器1の本体(電極ローラ等)を有している。ケース11は、上下方向D3に長さを有する直方体状に形成されており、品質測定器1の外郭を構成する。ケース11のうち、グレンタンク2の内部空間Sp1に臨む側面(右側面)111には、取込口12及び排出口13が形成されている。取込口12は側面111の上部に配置され、排出口13は側面111の下部に配置されている。取込口12は、品質測定器1内に穀粒を取り込むための開口部である。排出口13は、品質を測定した穀粒をグレンタンク2内に排出するための開口部である。本実施形態では、品質測定器1は、その内部で穀粒を粉砕して穀粒の品質を測定するので、取込口12から取り込まれた穀粒は、品質測定器1内で粉砕され、粉砕後の穀粒が排出口13から排出されることになる。
【0072】
品質測定器1は、ケース11の側面(右側面)111からグレンタンク2の内部空間Sp1側(右方)に突出する一対の取込ローラ14を有している。一対の取込ローラ14は、取込口12の直下に位置しており、回転駆動されることにより、穀粒を取込口12に取り込むように動作する。つまり、品質測定器1は、一対の取込ローラ14を回転させることにより、穀粒の取り込み、及び品質の測定を行う。具体的に、各取込ローラ14の外周面には螺旋状のリブが形成されている。一対の取込ローラ14の上方に穀粒が載置された状態で、一対の取込ローラ14が回転すると、各取込ローラ14のリブによって穀粒は一対の取込ローラ14上を取込口12側(つまり左方)へと移動する。その結果、一対の取込ローラ14が回転すると取込口12から品質測定器1への穀粒の取り込みが行われ、一対の取込ローラ14が停止すると品質測定器1への穀粒の取り込みが停止する。
【0073】
ここで、品質測定器1は、グレンタンク2の内部空間Sp1に臨む位置に配置されている。ただし、品質測定器1は、グレンタンク2に支持されるのではなく、搬送装置45に支持されている。本開示でいう「支持」は、ボルト等の締結具による固定、溶接又は接着等の種々の方法により、一の部材が直接的又は(連結具等を用いて)間接的に他の部材に機械的に結合されていることを意味する。つまり、品質測定器1は、搬送装置45に対して適宜の方法によって取り付けられることにより、搬送装置45に固定(結合)され、搬送装置45にて支持されている。
【0074】
具体的に、グレンタンク2と脱穀部43との間に位置する搬送装置45に、品質測定器1が支持されている。品質測定器1は、搬送装置45に取り付けられた状態で、閉位置にあるグレンタンク2の投入口21を通してグレンタンク2の内部空間Sp1に露出する。品質測定器1は、搬送装置45の縦搬送部452の上端部に対して、ボルト等の締結具にて固定されることにより、搬送装置45に支持されている。本実施形態では、品質測定器1は、縦搬送部452の後方に配置されている。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る収穫機械4は、脱穀部43と、穀粒を貯留するグレンタンク2と、搬送装置45と、品質測定器1と、を備えている。搬送装置45は、脱穀部43からグレンタンク2に穀粒を搬送し、グレンタンク2の内側面20に開口する投入口21からグレンタンク2内に穀粒を投入する。品質測定器1は、グレンタンク2の内部空間Sp1に臨む位置に配置され、穀粒の品質を測定する。ここで、品質測定器1は、搬送装置45に支持されている。
【0076】
すなわち、本実施形態では、グレンタンク2の内部空間Sp1に臨む位置に配置される品質測定器1は、グレンタンク2に支持されるのではなく、グレンタンク2と脱穀部43との間に位置する搬送装置45に支持されている。この構成によれば、例えば、グレンタンク2の回転(開閉)に対応させつつも、品質測定器1につながるケーブル(ハーネス)を比較的短く設定することができ、かつケーブルの取り回しが比較的容易になる。つまり、品質測定器1がグレンタンク2に取り付けられる場合に比べて、ケーブルが短くなり、かつその取り回しが容易になることで、品質測定器1の信頼性が低下しにくい、という利点がある。結果的に、品質測定器1の信頼性が低下しにくい収穫機械4を提供することが可能となる。
【0077】
また、グレンタンク2の内部空間Sp1のうち、搬送装置45(投入部453)から離れた部位から穀粒で埋まっていくため、搬送装置45の近傍は穀粒で埋まりにくく、グレンタンク2が満量近く穀粒が貯留されるまでは、品質測定器1にて新鮮な穀粒の品質を測定することが可能である。しかも、品質測定器1が主流を取得することにより、低流量から高流量まで安定して測定が可能である。さらに、搬送装置45の近傍は、動力部46等から離れているため、品質測定器1(本実施形態では水分計)内の公正用温度計に対する影響が少ない。加えて、品質測定器1での測定対象外の作物の刈取時には、品質測定器1を搬送装置45から取り外して保管することにより、品質測定器1の故障等が生じにくくなる。
【0078】
より詳細には、本実施形態では、搬送装置45は、穀粒を上下方向D3に沿って搬送する縦搬送部452を有する。品質測定器1は、縦搬送部452に支持されている。このように、上下方向D3に延びる縦搬送部452にて品質測定器1が支持されることで、グレンタンク2の下端部ではなく、比較的高い位置に品質測定器1を配置することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態では上述したように、グレンタンク2は、搬送装置45に接触する閉位置と、搬送装置45から離れる開位置との間で移動可能(開閉可能)である。ここで、品質測定器1は、グレンタンク2が閉位置にある状態で、グレンタンク2の品質測定器1と対向する位置に配置されている開口孔22を通してグレンタンク2内に露出する。要するに、閉位置にあるグレンタンク2の左側パネル204のうちの、搬送装置45に支持されている品質測定器1と対向する位置には、左側パネル204を貫通する開口孔22が形成されている。グレンタンク2が搬送装置45に接触する閉位置にある状態では、搬送装置45に支持されている品質測定器1は、この開口孔22を通してグレンタンク2内に露出することになる。
【0080】
具体的に、
図13に示すように、品質測定器1は、前後方向D2において投入部453との間に縦搬送部452を挟む位置に配置されている。言い換えれば、縦搬送部452の上端部の前方には投入部453が位置し、縦搬送部452の上端部の後方には品質測定器1が位置する。つまり、投入部453と品質測定器1とは、上下方向D3における同じ位置(同一高さ)において、前後方向D2に並ぶように配置されている。グレンタンク2の左側パネル204には、
図10~
図12に示すように、上下方向D3における同じ位置(同一高さ)において、前後方向D2に並ぶように投入口21と開口孔22とが形成されている。投入口21は開口孔22の前方に位置する。
【0081】
そして、グレンタンク2が搬送装置45に接触する閉位置にある状態では、投入部453及び品質測定器1が、グレンタンク2の左側パネル204に右方から押し付けられることになる。このとき、左側パネル204の投入口21が投入部453で覆われ、投入口21を通して投入部453がグレンタンク2内に露出する。同様に、左側パネル204の開口孔22が品質測定器1で覆われ、開口孔22を通して品質測定器1がグレンタンク2内に露出する。一方、グレンタンク2が搬送装置45から離間する開位置にある状態では、投入部453及び品質測定器1が、グレンタンク2の左側パネル204から離間する(
図6参照)。このとき、投入部453及び品質測定器1のグレンタンク2側の側面(右側面)は外方に露出し、投入口21及び開口孔22が開放される。
【0082】
したがって、グレンタンク2を開位置に移動させることで、搬送装置45に支持されている品質測定器1をグレンタンク2から離間させることができ、例えば、品質測定器1のメンテナンス(清掃等を含む)が容易になる。そして、グレンタンク2を閉位置に移動させれば、品質測定器1をグレンタンク2の内部空間Sp1に臨ませることが可能である。
【0083】
ここで、投入部453及び品質測定器1のグレンタンク2側の側面(右側面)には、それぞれ外周に沿ってパッキン23(
図13参照)が取り付けられていることが好ましい。これにより、グレンタンク2が搬送装置45に接触する閉位置にある状態では、投入部453及び品質測定器1とグレンタンク2の左側パネル204との隙間がパッキン23にて埋まることになる。そのため、投入部453及び品質測定器1とグレンタンク2の左側パネル204との隙間から、穀粒が漏れることを防止できる。
【0084】
さらに、開口孔22内には、開口孔22の対向する周縁間に架け渡される補強フレーム24が設けられている。本実施形態では、
図10~
図12に示すように、補強フレーム24は、グレンタンク2の左側パネル204の内側面20に結合されており、左側パネル204を補強するフレーム部材である。補強フレーム24は、前後方向D2に長さを有し、投入口21の前方から開口孔22の後方にわたって延びるように配置されている。そして、補強フレーム24は、上下方向D3に長さを有する長方形状の開口孔22の上下方向D3の中央部を横断することで、開口孔22を上側孔221と下側孔222とに区分する。つまり、開口孔22のうち、補強フレーム24の上方に位置する部位を上側孔221とし、補強フレーム24の下方に位置する部位を下側孔222とする。これにより、比較的大きな開口孔22を設けながらも、グレンタンク2における開口孔22周囲の(左側パネル204の)強度を補強フレーム24にて維持することが可能である。
【0085】
ここで、上側孔221からは品質測定器1の取込口12がグレンタンク2内に露出し、下側孔222からは品質測定器1の排出口13がグレンタンク2内に露出する。つまり、補強フレーム24は、品質測定器1の側面111における取込口12と排出口13との間を横断する。このように、補強フレーム24は、グレンタンク2が閉位置にある状態で、品質測定器1における開口孔22に対向する側面111の一部を覆う。これにより、投入口21からグレンタンク2に投入される穀粒が直接的に品質測定器1に当たりにくくなる。そのため、定常的に品質測定器1に衝撃及び振動が加わりにくくなり、収穫機械4の使用期間が長期間になっても、品質測定器1の信頼性が低下しにくい、という利点がある。
【0086】
また、品質測定器1は、上下方向D3に直交する第1方向(左右方向D1)において、グレンタンク2の中心C1(
図7参照)から見て投入口21と同じ側に配置されている。すなわち、本実施形態では、グレンタンク2における投入口21と品質測定器1との位置関係として、第1方向において、グレンタンク2の中心C1から見て両者が同じ側となるような位置関係を採用している。本実施形態では、第1方向が左右方向D1であって、かつ投入口21は左側パネル204の内側面20(左内側面)に形成されている。そのため、品質測定器1(を露出させる開口孔22)についても、投入口21と同じく左側パネル204に配置される。言い換えれば、投入口21と品質測定器1とは、いずれもグレンタンク2の内部空間Sp1における左右方向D1(第1方向)の同一面(左側面)に配置されている。
【0087】
この構成によれば、投入口21からグレンタンク2に投入される穀粒が直接的に品質測定器1に当たりにくくなる。そのため、定常的に品質測定器1に衝撃及び振動が加わりにくくなり、収穫機械4の使用期間が長期間になっても、品質測定器1の信頼性が低下しにくい、という利点がある。特に本実施形態では、グレンタンク2の内部には、投入口21からグレンタンク2に投入される穀粒の主たる経路が存在するところ、品質測定器1は、当該主たる経路から外れた位置に配置されている。そのため、投入口21からグレンタンク2に投入される穀粒は、品質測定器1により当たりにくくなる。
【0088】
ところで、本実施形態に係る収穫機械4は、ガイド部材6を更に備えている。ガイド部材6は、投入口21からグレンタンク2内に投入された穀粒を、品質測定器1に案内する部材である。このようなガイド部材6を設けることで、投入口21から投入された穀粒が品質測定器1に直接的に当たることを回避しながらも、品質測定器1に穀粒を効率的に取り込むことが可能になる。
【0089】
本実施形態では一例として、ガイド部材6は、第1ガイド部61及び第2ガイド部62を有する。第1ガイド部61及び第2ガイド部62は、いずれも後方側ほど上方に位置するように傾斜した板材からなる。第1ガイド部61及び第2ガイド部62の間には、一対の取込ローラ14の上方空間となる位置に隙間が設けられている。ガイド部材6は、その一部が投入口21からグレンタンク2内に投入された穀粒の経路上に位置し、第1ガイド部61又は第2ガイド部62に衝突した穀粒を一対の取込ローラ14上に案内する。すなわち、投入部453によって投入口21から投入(投てき)された穀粒の一部が、ガイド部材6の一部に衝突し、勢いを失って一対の取込ローラ14上へと案内されることになる。
【0090】
ここで、品質測定器1(を露出させる開口孔22)と投入口21とは、上下方向D3及び第1方向(左右方向D1)の両方に直交する第2方向(前後方向D2)に並べて配置される。つまり、本実施形態では、品質測定器1は投入口21の後方に位置するため、投入部453にて投入口21から後方に投入された穀粒の一部が、品質測定器1に取り込まれることになる。そして、上述したようなガイド部材6が設けられていることで、投入口21からグレンタンク2内に投入される穀粒を、品質測定器1に取り込みやすくなる。
【0091】
また、品質測定器1における穀粒を取り込むための取込口12は、上下方向D3において投入口21の下端と同じ位置、又は投入口21の下端よりも上方に配置される。本実施形態では、
図12に示すように、取込口12は、上下方向D3において投入口21の下端よりも高さH1の分だけ上方に位置する。ここで、上下方向D3における取込口12の位置は、投入口21の下端よりも上方であって、投入口21の上端よりも下方である。つまり、取込口12は、少なくとも一部が上下方向D3において投入口21と同じ位置に配置されている。この構成ように、品質測定器1の取込口12が比較的上方に配置されることで、グレンタンク2内の穀粒が満量に近い状態でも品質測定器1にて穀粒の品質(ここでは水分量)を測定することができる。
【0092】
さらに、本実施形態では、投入部453におけるレベリングディスク455の複数の羽根458が、それぞれレベリングディスク455の回転方向R2(
図9参照)の先端側ほど低くなる傾斜角度を有している。これにより、投入部453にて投入口21から投入される穀粒は、レベリングディスク455の複数の羽根458にて上方へと投てきされ、上述したように取込口12は投入口21の下端よりも上方にあっても、取込口12にて穀粒を取り込むことが可能である。
【0093】
ところで、本実施形態に係る収穫機械4は、上述したように、穀粒に関する情報を検知するセンサに電気的に接続される電装ユニット3を備えている。電装ユニット3は、搬送装置45に支持されている。ここでいう「センサ」は、品質測定器1及び収穫量センサ53等を含む。
【0094】
すなわち、本実施形態では、品質測定器1及び収穫量センサ53等のセンサに電気的に接続される電装ユニット3は、グレンタンク2に支持されるのではなく、グレンタンク2と脱穀部43との間に位置する搬送装置45に支持されている。この構成によれば、例えば、グレンタンク2の回転(開閉)に対応させつつも、電装ユニット3につながるケーブル(ハーネス)を比較的短く設定することができ、かつケーブルの取り回しが比較的容易になる。つまり、電装ユニット3がグレンタンク2に取り付けられる場合に比べて、ケーブルが短くなり、かつその取り回しが容易になることで、品質測定器1の信頼性が低下しにくい、という利点がある。結果的に、電装ユニット3の信頼性が低下しにくい収穫機械4を提供することが可能となる。
【0095】
より詳細には、本実施形態では、搬送装置45は、穀粒を上下方向に沿って搬送する縦搬送部452を有する。電装ユニット3は、縦搬送部452に支持されている。このように、上下方向D3に延びる縦搬送部452にて電装ユニット3が支持されることで、グレンタンク2の下端部ではなく、比較的高い位置に電装ユニット3を配置することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態に係る収穫機械4は、上述したように、搬送装置45と脱穀部43(等を含む機体40の左側部分)とを連結する連結部材454を備えている。ここで、電装ユニット3は、
図13及び
図14に示すように、連結部材454に取り付けられている。つまり、電装ユニット3は、連結部材454に固定されることにより搬送装置45に支持されている。連結部材454は、搬送装置45と脱穀部43とを連結する堅牢な部材であるので、このような連結部材454に電装ユニット3が取り付けられることで、電装ユニット3を取り付けるための専用のブラケットを用いずとも、電装ユニット3を強固に固定することができる。
【0097】
しかも、連結部材454は、縦搬送部452の長手方向(上下方向D3)の中央部に取り付けられている。そのため、連結部材454に取り付けられる電装ユニット3は、搬送装置45の上下方向D3の中央部に配置されている。これにより、搬送装置45の上端部に配置される品質測定器1及び収穫量センサ53等のセンサと電装ユニット3とをつなぐケーブルの長さを比較的短く設定することができ、かつケーブルの取り回しが比較的容易になる。
【0098】
具体的に、電装ユニット3は、
図13及び
図14に示すように、縦搬送部452の上下方向D3の中央部に対して、連結部材454にて取り付けられている。連結部材454は、平面視において、グレンタンク2側(右側)が開放された矩形枠状に形成されており、縦搬送部452の前面、後面及び左側面に接するように縦搬送部452に固定される。電装ユニット3は、このような連結部材454にボルト等の締結具にて固定されることにより、縦搬送部452に支持されている。ここで、電装ユニット3は、縦搬送部452の上下方向D3の中央部の前方に位置する。つまり、電装ユニット3は、縦搬送部452の上端部の前方に配置されている投入部453の下方に位置する。
【0099】
ここにおいて、本実施形態に係る収穫機械4は、上述したように、少なくとも脱穀部43の駆動源となる動力部46を備えている。電装ユニット3は、平面視において搬送装置45に対して動力部46とは反対側に配置されている。すなわち、本実施形態では、動力部46は、搬送装置45(縦搬送部452)から見て後方側に位置するところ、電装ユニット3は、搬送装置45(縦搬送部452)から見て動力部46とは反対側である前方側に位置する。これにより、電装ユニット3は、エンジン461等の発熱源を含む動力部46から比較的離れた位置に配置することが可能である。つまり、電装ユニット3から見て、発熱源を含む動力部46との間には搬送装置45(縦搬送部452)が介在することになるので、動力部46で発生する熱が電装ユニット3に影響しにくくなる。したがって、熱の影響による電装ユニット3の誤動作又は劣化等が発生しにくい。
【0100】
また、本実施形態では上述したように、搬送装置45には品質測定器1及び電装ユニット3だけでなく収穫量センサ53も取り付けられている。収穫量センサ53は、投入部453の上方に配置されている。すなわち、収穫機械4は、搬送装置45に支持されており、穀粒の収穫量を検知する収穫量センサ53を更に備える。これにより、電装ユニット3に電気的に接続されるセンサ(品質測定器1及び収穫量センサ53を含む)についても、搬送装置45に支持されることになる。そのため、品質測定器1、収穫量センサ53及び電装ユニット3が、搬送装置45に集約されることになり、品質測定器1、収穫量センサ53及び電装ユニット3をつなぐケーブルの長さを比較的短く抑えることができる。さらに、品質測定器1及び収穫量センサ53等のメンテナンスの一括管理が可能となる。
【0101】
さらにまた、上述した通り、グレンタンク2内に穀粒センサ54及び満量センサ55が配置されている。本実施形態では一例として、穀粒センサ54及び満量センサ55は、いずれもグレンタンク2の内部空間Sp1に臨む表面が、穀粒からの圧力を受けて押し込まれることにより、穀粒を検知するセンサである。つまり、グレンタンク2の内部空間Sp1においては穀粒が徐々に堆積されるので、穀粒センサ54の位置まで穀粒が達すると穀粒センサ54が穀粒を検知する。同様に、満量センサ55の位置まで穀粒が達すると満量センサ55が満量を検知する。
【0102】
本実施形態では、穀粒センサ54は、
図12に示すように、品質測定器1における穀粒の排出口13よりも下方に配置される。ここでは、穀粒センサ54の検知部(実際に感度を持つ部位)が、穀粒センサ54の中心にあると仮定し、穀粒センサ54の中心と排出口13の中心との間で、上下方向D3の位置関係を規定する。本実施形態では、
図12に示すように、穀粒センサ54は、排出口13よりも高さH2の分だけ下方に位置する。
【0103】
また、グレンタンク2内には穀粒が満量に達したことを検知する満量センサ55が配置され、満量センサ55は、穀粒センサ54よりも上方に配置される。ここでは、満量センサ55の検知部(実際に感度を持つ部位)が、満量センサ55の中心にあると仮定し、満量センサ55の中心と穀粒センサ54の中心との間で、上下方向D3の位置関係を規定する。本実施形態では、
図12に示すように、満量センサ55は、排出口13よりも高さH3の分だけ上方に位置する。よって、満量センサ55は、穀粒センサ54に対しては高さH2と高さH3との合計(H2+H3)の分だけ上方に位置する。
【0104】
[3]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0105】
また、穀粒センサ54及び満量センサ55の構成についても、上記構成に限らず、例えば、光学式等、非接触で穀粒を検知する方式のセンサであってもよい。
【0106】
また、収穫機械4は、普通型コンバインに限らず、自脱型コンバインであってもよいし、コンバイン以外の収穫機械であってもよい。
【0107】
また、品質測定器1は、上下方向D3に直交する第1方向(左右方向D1)において、グレンタンク2の中心C1から見て投入口21と同じ側に配置されていればよく、グレンタンク2の内部空間Sp1における左側面に配置されることは必須ではない。例えば、品質測定器1を支持する搬送装置45がグレンタンク2の右側に位置する場合、投入口21と品質測定器1とは、いずれもグレンタンク2の内部空間Sp1における左右方向D1(第1方向)の同一面となる右側面に配置されていてもよい。
【0108】
また、第1方向が左右方向D1であることも必須ではなく、例えば、第1方向が前後方向D2であってもよい。この場合、品質測定器1は、前後方向D2において、グレンタンク2の中心C1から見て投入口21と同じ側に配置されることになる。つまり、品質測定器1を支持する搬送装置45がグレンタンク2の前側に位置する場合、投入口21と品質測定器1とは、いずれもグレンタンク2の内部空間Sp1における前後方向D2の同一面となる前面(又は後面)に配置されていてもよい。
【0109】
また、品質測定器1は、上下方向D3に直交する第1方向において、グレンタンク2の中心C1から見て投入口21と同じ側に配置されることは、そもそも必須ではない。また、収穫量センサ53が搬送装置45に支持されることも必須ではない。また、品質測定器1が、縦搬送部452に支持されていることも必須ではない。ここで、縦搬送部452が、上下方向D3に沿って移動する複数のバケット71を含むバケット方式であることは必須ではなく、例えば、縦搬送部452はスクリュー方式であってもよい。また、グレンタンク2が、搬送装置45に接触する閉位置と、搬送装置45から離れる開位置との間で移動可能であることも、必須の構成ではない。さらに、補強フレーム24が、品質測定器1における開口孔22に対向する側面111の一部を覆うことも必須ではない。そもそも、開口孔22内に補強フレーム24が設けられていることも必須ではない。また、品質測定器1の取込口12が、上下方向D3において投入口21の下端と同じ位置、又は投入口21の下端よりも上方に配置されることも必須ではなく、取込口12が投入口21の下端よりも下方に配置されてもよい。
【0110】
また、電装ユニット3に電気的に接続されるセンサ(収穫量センサ53等)が、搬送装置45に支持されていることは必須ではない。また、電装ユニット3は、搬送装置45と脱穀部43とを連結する連結部材454に固定されることは必須ではなく、例えば、縦搬送部452に直接的に固定されてもよい。また、電装ユニット3が搬送装置45の上下方向D3の中央部に配置されることも必須ではない。また、電装ユニット3が、平面視において搬送装置45に対して動力部46とは反対側に配置されていることも必須ではなく、電装ユニット3は、平面視において搬送装置45に対して動力部46と同じ側に配置されてもよい。さらに、電装ユニット3が、縦搬送部452に支持されていることも必須ではない。
【0111】
また、品質測定器1と電装ユニット3との少なくとも一方が、搬送装置45に支持されていればよく、品質測定器1と電装ユニット3との両方が、搬送装置45に支持されることは必須ではない。例えば、品質測定器1が搬送装置45に支持され、電装ユニット3はグレンタンク2に支持されていてもよい。反対に、電装ユニット3が搬送装置45に支持され、品質測定器1はグレンタンク2に支持されていてもよい。
【0112】
ガイド部材6等についての具体的形状及び寸法等は、実施形態1で示した例に限らない。さらに、収穫機械4がガイド部材6を備えることも必須ではない。
【0113】
また、運転部47は、キャビンタイプに限らず、例えば、キャノピータイプ又はフロアタイプ等であってもよい。
【0114】
(実施形態2)
本実施形態に係る収穫機械4は、品質測定器1が穀粒のタンパク質含有量を測定する点で、実施形態1に係る収穫機械4と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0115】
本実施形態に係る収穫機械4では、品質測定器1は、投入口21からグレンタンク2内に投入された穀粒を取り込んで、穀粒のタンパク質含有量を測定する。本実施形態においても、品質測定器1は搬送装置45(の縦搬送部452)に支持されている。
【0116】
品質測定器1は、穀粒の品質を測定する装置であればよく、測定対象である品質も、穀粒の水分含有量(実施形態1)、及びタンパク質含有量(実施形態2)に限らず、例えば、アミロース含有量、又はこれらの組み合わせ等であってもよい。
【0117】
実施形態2の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0118】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0119】
<付記1>
脱穀部と、
穀粒を貯留するグレンタンクと、
前記脱穀部から前記グレンタンクに前記穀粒を搬送し、前記グレンタンクの内側面に開口する投入口から前記グレンタンク内に前記穀粒を投入する搬送装置と、
前記グレンタンクの内部空間に臨む位置に配置され、前記穀粒の品質を測定する品質測定器と、を備え、
前記品質測定器は、前記搬送装置に支持されている、
収穫機械。
【0120】
<付記2>
前記品質測定器は、上下方向に直交する第1方向において、前記グレンタンクの中心から見て前記投入口と同じ側に配置されている、
付記1に記載の収穫機械。
【0121】
<付記3>
前記搬送装置に支持されており、前記穀粒の収穫量を検知する収穫量センサを更に備える、
付記1又は2に記載の収穫機械。
【0122】
<付記4>
前記搬送装置は、前記穀粒を上下方向に沿って搬送する縦搬送部を有し、
前記品質測定器は、前記縦搬送部に支持されている、
付記1~3のいずれかに記載の収穫機械。
【0123】
<付記5>
前記縦搬送部は、上下方向に沿って移動する複数のバケットを含み、前記穀粒を前記複数のバケットの各々ですくって上方へ搬送する、
付記4に記載の収穫機械。
【0124】
<付記6>
前記グレンタンクは、前記搬送装置に接触する閉位置と、前記搬送装置から離れる開位置との間で移動可能であって、
前記品質測定器は、前記グレンタンクが前記閉位置にある状態で、前記グレンタンクの前記品質測定器と対向する位置に配置されている開口孔を通して前記グレンタンク内に露出する、
付記1~5のいずれかに記載の収穫機械。
【0125】
<付記7>
前記開口孔内には、前記開口孔の対向する周縁間に架け渡される補強フレームが設けられている、
付記6に記載の収穫機械。
【0126】
<付記8>
前記補強フレームは、前記グレンタンクが前記閉位置にある状態で、前記品質測定器における前記開口孔に対向する側面の一部を覆う、
付記7に記載の収穫機械。
【0127】
<付記9>
前記品質測定器における前記穀粒を取り込むための取込口は、上下方向において前記投入口の下端と同じ位置、又は前記投入口の下端よりも上方に配置される、
付記1~8のいずれかに記載の収穫機械。
【符号の説明】
【0128】
1 品質測定器
2 グレンタンク
4 収穫機械
12 取込口
20 内側面
21 投入口
22 開口孔
24 補強フレーム
43 脱穀部
45 搬送装置
53 収穫量センサ
71 バケット
452 縦搬送部
C1 中心
D1 左右方向(第1方向)
D2 前後方向(第2方向)
D3 上下方向
Sp1 内部空間