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  • 特開-車両用照明装置、および車両用灯具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175148
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/19 20180101AFI20231205BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20231205BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20231205BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20231205BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20231205BHJP
   F21K 9/20 20160101ALI20231205BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20231205BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20231205BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20231205BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20231205BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231205BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20231205BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20231205BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20231205BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231205BHJP
【FI】
F21S43/19
F21S43/14
F21S41/143
F21S41/19
F21V19/00 530
F21K9/20
F21S45/47
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:40
F21W102:30
F21W103:55
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087453
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】石山 政之
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013AA03
3K013AA07
3K013BA01
3K013EA05
(57)【要約】
【課題】車両用照明装置の中心軸に直交する方向におけるソケットの寸法を小さくしても、発光素子において発生した熱がソケットに伝わり易くなる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、高熱伝導性樹脂を含むソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基部と、前記基部の、前記ソケット側とは反対側の端部に設けられた凸部と、を有し、金属を含む伝熱部と;前記凸部の、前記基部側とは反対側の端部に接着された基板と;前記基板の、前記凸部側とは反対側の面に設けられた発光素子と;を具備している。前記基部は、前記ソケットの内部に設けられている。車両用照明装置の中心軸に直交する方向における前記基部の寸法は、前記基板の寸法よりも大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高熱伝導性樹脂を含むソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基部と、前記基部の、前記ソケット側とは反対側の端部に設けられた凸部と、を有し、金属を含む伝熱部と;
前記凸部の、前記基部側とは反対側の端部に接着された基板と;
前記基板の、前記凸部側とは反対側の面に設けられた発光素子と;
を具備し、
前記基部は、前記ソケットの内部に設けられ、
車両用照明装置の中心軸に直交する方向における前記基部の寸法は、前記基板の寸法よりも大きい車両用照明装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記ソケットから露出し、
前記車両用照明装置の中心軸に直交する方向における前記凸部の寸法は、前記基板の寸法よりも小さい請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記ソケットは、
板状を呈するフランジと;
前記フランジの一方の側に設けられた装着部と;
前記フランジの他方の側に設けられた放熱フィンと;
を有し、
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向において、前記基部の、前記凸部側とは反対側の端部は、前記フランジの装着部側の面と、前記フランジの放熱フィン側の面との間に設けられている請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記凸部の側面には、前記基板を接着する接着剤が付着している請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
発光素子を備えた車両用照明装置を点灯させると、発光素子から光が照射されるとともに、発光素子において熱が発生する。また、車両用照明装置の場合には、車両用照明装置が85℃程度の高温環境に置かれる場合もある。
【0003】
発光素子において発生した熱や、環境温度などによって、点灯させた発光素子の温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子が故障したり、寿命が短くなったりするおそれがある。
そのため、発光素子などが実装された基板と、高熱伝導性樹脂から形成されたソケットと、の間に、金属を含む伝熱部を設ける技術が提案されている。一般的には、車両用照明装置の中心軸に直交する方向における伝熱部の寸法は、基板の寸法と同じとなっている。
【0004】
ここで、近年においては、車両用照明装置の小型化が望まれている。この場合、車両用照明装置の中心軸に直交する方向におけるソケットの寸法を小さくすれば、車両用照明装置の小型化を図ることができる。ところが、この様にすると、車両用照明装置の中心軸に直交する方向における伝熱部の寸法が小さくなる。
そのため、車両用照明装置の小型化を図ると、発光素子において発生した熱が、ソケットに伝わり難くなる。
そこで、車両用照明装置の中心軸に直交する方向におけるソケットの寸法を小さくしても、発光素子において発生した熱がソケットに伝わり易くなる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-171277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、車両用照明装置の中心軸に直交する方向におけるソケットの寸法を小さくしても、発光素子において発生した熱がソケットに伝わり易くなる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、高熱伝導性樹脂を含むソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基部と、前記基部の、前記ソケット側とは反対側の端部に設けられた凸部と、を有し、金属を含む伝熱部と;前記凸部の、前記基部側とは反対側の端部に接着された基板と;前記基板の、前記凸部側とは反対側の面に設けられた発光素子と;を具備している。前記基部は、前記ソケットの内部に設けられている。車両用照明装置の中心軸に直交する方向における前記基部の寸法は、前記基板の寸法よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、車両用照明装置の中心軸に直交する方向におけるソケットの寸法を小さくしても、発光素子において発生した熱がソケットに伝わり易くなる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式分解図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】伝熱部を例示するための模式斜視図である。
図4】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式分解図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1、および図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0013】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の一方の側に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0014】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0015】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外側に位置している。
【0016】
放熱フィン14は、例えば、フランジ13の他方の側(装着部11の側とは反対側)に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図2に示すように、ソケット10には複数の放熱フィン14を設けることができる。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0017】
コネクタホルダ15は、例えば、フランジ13の他方の側に設けられる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0018】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。
【0019】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することができる。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン(Nylon)等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。高熱伝導性樹脂の熱伝導率は、例えば、8W/(m・K)以上、30W/(m・K)以下とすることができる。
【0020】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法を用いて、ソケット10、給電部30、および伝熱部40を一体成形することもできる。
【0021】
発光モジュール20(基板21)は、例えば、ソケット10の一方の端部側に設けられている。発光モジュール20(基板21)は、伝熱部40の上(凸部40aの、基部40b側とは反対側の端部)に接着される。発光モジュール20(基板21)を接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。無機材料は、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)とすることが好ましい。
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、および素子25を有する。
【0022】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。また、基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0023】
また、基板21は、配線パターン21aを有する。配線パターン21aは、基板21の面に設けられている。配線パターン21aは、導電率の高い材料から形成される。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料を含んでいる。
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含んでいる。
【0024】
発光素子22は、基板21の上(基板21の、凸部40a側とは反対側の面)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。図1、および図2に例示をした発光モジュール20には、複数の発光素子22が設けられている。複数の発光素子22は、直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0025】
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることもできるし、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることもできるし、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。図1、および図2に例示をした発光素子22は、チップ状の発光素子である。
【0026】
この場合、発光素子22を、表面実装型の発光素子、または砲弾型などのリード線を有する発光素子とすれば、枠部23、および封止部24を省くことができる。ただし、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、発光素子22は、チップ状の発光素子とすることが好ましい。
以下においては、一例として、発光素子22がチップ状の発光素子である場合を説明する。
【0027】
チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、およびフリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0028】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、基板21の上に接着されている。枠部23に囲まれた領域には、発光素子22が設けられている。枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0029】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0030】
また、枠部23は、省くこともできる。ただし、枠部23が設けられていれば、発光素子22から照射された光の利用効率を向上させることができる。また、封止部24が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0031】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
なお、枠部23が省かれる場合には、例えば、ドーム状の封止部24が基板21の上に設けられる。
【0032】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などである。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
また、必要に応じて、封止部24の上に光学要素を設けることもできる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などである。
【0033】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0034】
素子25は、例えば、抵抗25a、および制御素子25bとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0035】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21aと電気的に接続される。抵抗25aは、発光素子22に直列接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗25aは、膜状の抵抗器である。
【0036】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0037】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0038】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、配置、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0039】
制御素子25bは、基板21の上に設けられている。制御素子25bは、配線パターン21aと電気的に接続される。制御素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。制御素子25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。図1に例示をした制御素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0040】
その他、必要に応じて光学要素を設けることもできる。光学要素は、例えば、封止部24の上に設けることができる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などとすることができる。
【0041】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31は、例えば、所定の方向に並べて設けられる。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0042】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂は、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0043】
ここで、発光素子22に電流を流すと、発光素子22から光が照射されるとともに、発光素子22において熱が発生する。また、発光素子22に電気的に接続された抵抗25aなどにおいても熱が発生する。またさらに、車両用照明装置1の場合には、車両用照明装置1が85℃程度の高温環境に置かれる場合もある。発光素子22や抵抗25aなどにおいて発生した熱や、環境温度などによって、点灯させた発光素子22の温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子22が故障したり、寿命が短くなったりするおそれがある。
【0044】
また、近年においては、車両用照明装置1の高光束化が求められており、発光素子22に流す電流を増加させる場合がある。発光素子22に流す電流を増加させれば、発光素子22や抵抗25aなどにおいて発生する熱が増加する。
【0045】
そこで、発光モジュール20において発生した熱をソケット10に伝えやすくするために、車両用照明装置1には、伝熱部40が設けられている。
伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成される。例えば、伝熱部40は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属を含んでいる。
【0046】
図3は、伝熱部40を例示するための模式斜視図である。
図3に示すように、伝熱部40は、凸部40a、および基部40bを有する。凸部40a、および基部40bは、一体に形成することができる。
凸部40aは、基部40bの一方の端部に設けられている。例えば、凸部40aは、基部40bの、ソケット10側とは反対側の端部に設けられる。凸部40aは、基部40bから突出している。凸部40aは、ソケット10(凹部11aの底面11a1)から露出している。凸部40aの形状は、例えば、直方体、または立方体とすることができる。車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向における凸部40aの寸法W1(mm)、および寸法W2(mm)は、基板21の寸法よりも小さい。この場合、寸法W1は、寸法W2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向における凸部40aの寸法L1は、凹部11aの深さに応じて適宜変更することができる。例えば、寸法L1は、凸部40aが凹部11aの底面11a1から突出し、発光モジュール20が凹部11aの外部に突出しない寸法であればよい。
【0047】
基部40bの形状は、例えば、直方体、または立方体とすることができる。車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向における基部40bの寸法W3(mm)、および寸法W4(mm)の少なくともいずれかは、基板21の寸法よりも大きい。この場合、寸法W3は、寸法W4と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
また、凸部40aの、基部40b側とは反対側の面には、発光モジュール20(基板21)が接着される。そのため、凸部40aの、基部40b側とは反対側の面は、車両用照明装置1の中心軸1aに略直交することが好ましい。この様にすれば、車両用照明装置1の正面側に光が出射し易くなるので、所望の配光特性を得るのが容易となる。
【0049】
また、伝熱部40は、アルミニウムなどの金属を含んでいるため、伝熱部40と複数の給電端子31とが接触しないようになっている。例えば、伝熱部40の、複数の給電端子31側の端部に、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向に延びる凹部を設け、凹部の内壁と、複数の給電端子31との間に隙間が設けられるようにすることができる。
【0050】
また、例えば、図1、および図3に示すように、凸部40aの複数の給電端子31側の面は、基部40bの複数の給電端子31側の面と面一にすることができる。そして、これらの面と、複数の給電端子31との間に隙間が設けられるようにすることもできる。この様にすれば、伝熱部40の形状が簡易なものとなるので、伝熱部40の製造コストの低減を図ることができる。
【0051】
図1、および図2に示すように、凸部40aは凹部11aの底面11a1から突出している。基部40bは、ソケット10(装着部11)の内部に設けられている。基部40bは、凹部11aの底面11a1に開口する凹部11a2の内部に設けられている。基部40bは、例えば、凹部11a2の内部に接着することができる。基部40bを接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、前述した基板21と伝熱部40とを接着する接着剤と同じとすることができる。また、基部40bは、例えば、凹部11a2の内部に熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して取り付けることもできる。熱伝導グリスは、例えば、変性シリコーンに、無機材料を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。無機材料は、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)とすることが好ましい。また、伝熱部40(基部40b)は、例えば、インサート成形法を用いて凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。
【0052】
ここで、近年においては、車両用照明装置1の小型化が求められており、車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向における装着部11の断面積が小さくなる場合がある。装着部11の断面積が小さくなると、発光モジュール20と放熱フィン14との間の、熱が伝わる部分の断面積が小さくなるので、発光素子22などにおいて発生した熱が放熱フィン14に伝わり難くなる。例えば、図2に示すように、装着部11の直径寸法D(mm)が、15mm以上、30mm以下となると、発光素子22などにおいて発生した熱が放熱フィン14に伝わり難くなる。
【0053】
前述した様に、基部40bの寸法W3、および寸法W4の少なくともいずれかは、基板21の寸法よりも大きい。また、基部40bは、高熱伝導性樹脂よりも熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属を含んでいる。そのため、基部40bがソケット10(装着部11)の内部に設けられていれば、装着部11の断面積が小さくなったとしても、発光素子22などにおいて発生した熱が放熱フィン14に伝わり易くなる。なお、基部40bの寸法W3、および寸法W4は、装着部11の直径寸法D、および基板21の寸法に応じて適宜設定することができる。
【0054】
また、図2に示すように、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、基部40bの、凸部40a側とは反対側の端部40b1と、放熱フィン14との間の距離L2(mm)は、短い方が好ましい。距離L2が短ければ、伝熱部40から放熱フィン14に熱が伝わり易くなる。ただし、基部40bの端部40b1が放熱フィン14に接触すると、ソケット10の剛性が低下して、ソケット10の破損が生じ易くなる。そのため、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、基部40bの端部40b1は、フランジ13の内部に設けることが好ましい。例えば、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、基部40bの端部40b1は、フランジ13の装着部11側の面13aと、フランジ13の放熱フィン14側の面13bとの間に設けることが好ましい。この様にすれば、伝熱部40から放熱フィン14に熱を伝えやすくすることができ、且つ、ソケット10の剛性が低下するのを抑制することができる。
【0055】
また、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、基部40bの、凸部40a側の端部40b2は、凹部11aの底面11a1よりも基板21側に設けられていてもよいし、凹部11aの底面11a1と面一であってもよいし、凹部11aの底面11a1よりもフランジ13側に設けられていてもよい。
【0056】
ここで、前述した様に、基板21は、凸部40aの上に接着される。基板21を凸部40aの上に接着した際に、余剰の接着剤が基板21の周縁に這い上がると、例えば、複数の給電端子31と、基板21に設けられた配線パターン21aとの半田付けが困難となる場合がある。また、基板21の周縁に接着剤が付着すると、見栄えが悪くなり、商品価値が低下する場合がある。
【0057】
前述した様に、車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向における凸部40aの寸法W1、および寸法W2は、基板21の寸法よりも小さい。そのため、図2に示すように、基板21の辺が、凸部40aの周縁よりも外側に位置している。また、基部40bの寸法W3、および寸法W4は、基板21の寸法よりも大きい。そのため、図2に示すように、基部40bと基板21との間に空間が設けられる。
【0058】
そのため、余剰の接着剤が凸部40aの外側に排出された際に、排出された接着剤が、基板21の凸部40a側の面に当たり、基部40bと基板21との間の空間に導かれる。そのため、排出された接着剤が、基板21の周縁に這い上がるのを抑制することができる。
なお、排出された接着剤の一部は、凸部40aの側面に付着させることができる。
【0059】
(車両用灯具)
本発明の1つの実施形態において、車両用照明装置1を具備した車両用灯具100を提供することができる。前述した車両用照明装置1に関する説明、および車両用照明装置1の変形例(例えば、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもので、本発明の特徴を備えているもの)は、いずれも車両用灯具100に適用することができる。
【0060】
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0061】
図4は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0062】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0063】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0064】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0065】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図4に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0066】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0067】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0068】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、点灯回路や電源などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、点灯回路や電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0069】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0071】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0072】
(付記1)
高熱伝導性樹脂を含むソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基部と、前記基部の、前記ソケット側とは反対側の端部に設けられた凸部と、を有し、金属を含む伝熱部と;
前記凸部の、前記基部側とは反対側の端部に接着された基板と;
前記基板の、前記凸部側とは反対側の面に設けられた発光素子と;
を具備し、
前記基部は、前記ソケットの内部に設けられ、
車両用照明装置の中心軸に直交する方向における前記基部の寸法は、前記基板の寸法よりも大きい車両用照明装置。
【0073】
(付記2)
前記凸部は、前記ソケットから露出し、
前記車両用照明装置の中心軸に直交する方向における前記凸部の寸法は、前記基板の寸法よりも小さい付記1記載の車両用照明装置。
【0074】
(付記3)
前記ソケットは、
板状を呈するフランジと;
前記フランジの一方の側に設けられた装着部と;
前記フランジの他方の側に設けられた放熱フィンと;
を有し、
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向において、前記基部の、前記凸部側とは反対側の端部は、前記フランジの装着部側の面と、前記フランジの放熱フィン側の面との間に設けられている付記1または2に記載の車両用照明装置。
【0075】
(付記4)
前記凸部の側面には、前記基板を接着する接着剤が付着している付記1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【0076】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【符号の説明】
【0077】
1 車両用照明装置、1a 中心軸、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、11a1 底面、11a2 凹部、13 フランジ、13a 面、13b 面、14 放熱フィン、20 発光モジュール、21 基板、22 発光素子、31 給電端子、40 伝熱部、40a 凸部、40b 基部、40b1 端部、40b2 端部、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4