(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175155
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20231205BHJP
H01R 4/2455 20180101ALI20231205BHJP
【FI】
H01R13/52 301Z
H01R4/2455
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087462
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】辻本 将輝
【テーマコード(参考)】
5E012
5E087
【Fターム(参考)】
5E012AA12
5E087EE06
5E087FF14
5E087LL02
5E087LL13
5E087LL17
5E087MM05
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分での電解腐食を防止でき、電解腐食の防止のためにコンタクトとマグネットワイヤとの圧接部分を樹脂に埋没させる2次処理も不要にすることができる、コネクタを提供する。
【解決手段】ハウジング11に、マグネットワイヤ100の挿通溝22とマグネットワイヤ100への当接部23とが設けられる。コンタクト12は、スリット刃28を有し、マグネットワイヤ100に圧接される。コンタクト12に装着されるゴム部材13は、スリット刃28を両側でカバーするとともにスリット溝33を含むスリット刃カバー部32を有する。ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入され、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された状態で、圧接領域が、スリット刃カバー部32のスリット溝33の縁部とハウジング11の当接部23とで覆われる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心線とその周囲のエナメル製の被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して接続されるコネクタであって、
前記マグネットワイヤが挿通されるスリット状の挿通溝と前記挿通溝に挿通された前記マグネットワイヤに対して当接する当接部とが設けられたハウジングと、
前記被覆を切り破って前記マグネットワイヤに食い込むスリット刃を有し、前記ハウジングに挿入されるとともに前記マグネットワイヤに圧接されて接続されるコンタクトと、
前記コンタクトに装着されるゴム部材と、を備え、
前記ゴム部材は、前記スリット刃を前記マグネットワイヤの長手方向の両側で覆うようにカバーするとともに、前記挿通溝に対応する位置でスリット状に開口して前記マグネットワイヤが挿通されるスリット溝が設けられたスリット刃カバー部を有し、
前記ゴム部材が装着された前記コンタクトが前記ハウジングに挿入されているとともに前記コンタクトと前記マグネットワイヤとが圧接されている状態で、前記コンタクトと前記マグネットワイヤとが圧接された領域が、前記スリット刃カバー部の前記スリット溝の縁部と前記ハウジングの前記当接部とで覆われることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記当接部は、前記挿通溝に挿通された前記マグネットワイヤが載置されて当接する台座状に設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記スリット刃カバー部は、前記スリット刃を前記マグネットワイヤの長手方向の両側でそれぞれ覆うカバー壁部を有し、
前記スリット刃を前記マグネットワイヤの長手方向の両側でそれぞれ覆う前記カバー壁部のそれぞれに、前記スリット溝が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記スリット刃カバー部には、前記スリット刃を前記マグネットワイヤの長手方向の両側でそれぞれ覆う前記カバー壁部を架橋する架橋部が設けられ、
前記架橋部は、前記スリット刃の間を貫通して延びるように設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記ゴム部材には、前記コンタクトの外周に対して当該コンタクトの周方向に亘って帯状に延びた状態で取り付けられる取付け部が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項6】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、
前記挿通溝が設けられているとともに、前記ゴム部材が装着された前記コンタクトが挿入される第1ハウジングと、
前記当接部が設けられているとともに、前記第1ハウジングとは別体に設けられ、前記第1ハウジングに挿入された状態の前記コンタクトの前記スリット刃に挿入されて嵌め込まれる第2ハウジングと、
を有し、
前記第2ハウジングは、前記スリット刃に嵌め込まれた状態で、前記第1ハウジングの前記挿通溝と前記ゴム部材の前記スリット溝とに挿通された前記マグネットワイヤに対して前記当接部が当接するように構成されていることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心線とその周囲のエナメル製の被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動モータ等の電気機器の巻線として、心線とその周囲のエナメル製の被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤが用いられている。電動モータ等の電気機器が他の機器に接続される際には、マグネットワイヤに対してコネクタが接続される。このようなマグネットワイヤに接続されるコネクタとして、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたコネクタは、ハウジング(ハウジング184)と、ハウジングに挿入されるコンタクト(コンタクト102)とを備えて構成されている。ハウジングには、マグネットワイヤ(マグネット電線103)が挿通される挿通溝と、挿通溝に挿通されたマグネットワイヤに対して当接する当接部(棚部185)とが設けられている。コンタクトは、ハウジングに挿入されるとともにマグネットワイヤに圧接されて接続されるように構成されている。このコンタクトは、マグネットワイヤの被覆を切り破ってマグネットワイヤに食い込むスリット刃を有していることで、マグネットワイヤに圧接されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたコネクタにおいては、コンタクトをマグネットワイヤに対して圧接して接続した状態では、コンタクトとマグネットワイヤとにおける互いに圧接している領域が、外部に露出した状態となる。即ち、コンタクトのスリット刃とスリット刃に圧接したマグネットワイヤとにおける互いに圧接された領域が、マグネットワイヤが挿通されたハウジングの挿通溝を通じて外部に露出した状態となる。このため、コネクタが高湿度環境下で用いられる場合、或いは、塩水が噴霧される虞がある環境下で用いられる場合には、コンタクトのスリット刃とマグネットワイヤとにおける圧接された部分において、電解腐食が生じることになる。また、コンタクトとマグネットワイヤの心線とが異種の金属である場合は、電解腐食が更に生じ易くなることになる。コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分において電解腐食が生じると、コンタクトとマグネットワイヤとの接触不良を招くことになる。
【0006】
よって、高湿度環境下或いは塩水が噴霧される虞がある環境下のような厳しい環境下でコネクタが用いられる場合は、電解腐食を防止するため、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理が必要となる。即ち、コンタクトとマグネットワイヤとを圧接した後、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる樹脂ポッティングのような2次処理が必要となる。このような2次処理が必要となることは、コネクタの設置作業の手間を増大させるとともにコネクタの設置費用も増大させてしまうことになる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分において電解腐食が生じることを防止でき、電解腐食の防止のためにコンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理も不要にすることができる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係るコネクタは、心線とその周囲のエナメル製の被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して接続されるコネクタに関する。そして、本発明のある局面に係るコネクタは、前記マグネットワイヤが挿通されるスリット状の挿通溝と前記挿通溝に挿通された前記マグネットワイヤに対して当接する当接部とが設けられたハウジングと、前記被覆を切り破って前記マグネットワイヤに食い込むスリット刃を有し、前記ハウジングに挿入されるとともに前記マグネットワイヤに圧接されて接続されるコンタクトと、前記コンタクトに装着されるゴム部材と、を備え、前記ゴム部材は、前記スリット刃を前記マグネットワイヤの長手方向の両側で覆うようにカバーするとともに、前記挿通溝に対応する位置でスリット状に開口して前記マグネットワイヤが挿通されるスリット溝が設けられたスリット刃カバー部を有し、前記ゴム部材が装着された前記コンタクトが前記ハウジングに挿入されているとともに前記コンタクトと前記マグネットワイヤとが圧接されている状態で、前記コンタクトと前記マグネットワイヤとが圧接された領域が、前記スリット刃カバー部の前記スリット溝の縁部と前記ハウジングの前記当接部とで覆われることを特徴とする。
【0009】
この構成によると、ゴム部材が装着されたコンタクトがハウジングに挿入されるとともに、ハウジングの挿通溝に挿通されたマグネットワイヤがコンタクトのスリット刃にも挿入された状態となることで、スリット刃がマグネットワイヤの被覆を切り破って食い込んでマグネットワイヤに圧接される。コンタクトとマグネットワイヤとが圧接されることで、コネクタがマグネットワイヤに接続される。
【0010】
また、上記の構成によると、コンタクトに装着されてコンタクトとともにハウジングに挿入されるゴム部材には、スリット刃カバー部が設けられている。そして、ハウジングの挿通溝に対応して開口するスリット刃カバー部のスリット溝にマグネットワイヤが挿通された状態で、スリット刃カバー部によりスリット刃の両側が覆われてカバーされる。更に、ゴム部材が装着されたコンタクトがハウジングに挿入されてコンタクトとマグネットワイヤとが圧接された状態では、コンタクトとマグネットワイヤとが圧接された領域が、スリット刃カバー部のスリット溝の縁部とハウジングの当接部とで覆われる。
【0011】
よって、上記の構成によると、コンタクトのスリット刃とスリット刃に圧接したマグネットワイヤとにおける互いに圧接された領域が、ゴム部材とハウジングとによって覆われ、外部に対して遮蔽されて露出しない状態となる。即ち、コンタクトとマグネットワイヤとにおける互いに圧接された領域が、ゴム部材とハウジングとで遮蔽されてハウジングの挿通溝から外部に露出することが防止される。このため、コネクタが高湿度環境下で用いられる場合、或いは、塩水が噴霧される虞がある環境下で用いられる場合であっても、コンタクトのスリット刃とマグネットワイヤとにおける圧接された部分が、ゴム部材とハウジングとで覆われて外部に対して遮蔽される。これにより、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分において、電解腐食が生じることが防止される。
【0012】
また、上述のように、上記の構成によると、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分が、ゴム部材とハウジングとで覆われて外部に対して遮蔽され、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分において、電解腐食が生じることが防止される。このため、電解腐食のためにコンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理をする必要はなくなることになる。このような2次処理が不要になることで、コネクタの設置作業の手間の増大を抑制でき、コネクタの設置費用の増大も抑制することができる。
【0013】
したがって、上記の構成によると、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分において電解腐食が生じることを防止でき、電解腐食の防止のためにコンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理も不要にすることができる、コネクタを提供することができる。
【0014】
(2)前記当接部は、前記挿通溝に挿通された前記マグネットワイヤが載置されて当接する台座状に設けられていてもよい。
【0015】
この構成によると、マグネットワイヤをハウジングの挿通溝に挿通させた際に、そのままハウジングの当接部にマグネットワイヤを当接させることができる。そして、その状態で、ゴム部材が装着されたコンタクトをハウジングに挿入してコンタクトとマグネットワイヤとを圧接し、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分をゴム部材のスリット刃カバー部とハウジングの当接部とで覆うことができる。このため、ゴム部材が装着されたコンタクトが挿入されるハウジングを、挿通溝と当接部とが設けられた一体のハウジングとして構成することができる。よって、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分をゴム部材とハウジングとで覆って外部に対して遮蔽できるコネクタにおけるハウジングを1つの部品で構成することができる。
【0016】
(3)前記スリット刃カバー部は、前記スリット刃を前記マグネットワイヤの長手方向の両側でそれぞれ覆うカバー壁部を有し、前記スリット刃を前記マグネットワイヤの長手方向の両側でそれぞれ覆う前記カバー壁部のそれぞれに、前記スリット溝が設けられていてもよい。
【0017】
この構成によると、スリット刃の両側をそれぞれ覆うカバー壁部のそれぞれにスリット溝が設けられた簡素な構造で、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分をハウジングとともに覆って外部に対して遮蔽するスリット刃カバー部を構成することができる。
【0018】
(4)前記スリット刃カバー部には、前記スリット刃を前記マグネットワイヤの長手方向の両側でそれぞれ覆う前記カバー壁部を架橋する架橋部が設けられ、前記架橋部は、前記スリット刃の間を貫通して延びるように設けられていてもよい。
【0019】
この構成によると、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分をスリット刃の両側で外部に対して遮蔽するカバー壁部を、架橋部を設けただけの簡素な構造によって一体化することができる。更に、スリット刃の両側のカバー壁部を一体化する架橋部は、スリット刃の間を貫通するように設けられるため、小さなスペースに設けられたコンパクトな構造でスリット刃の両側のカバー壁部を一体化することができる。
【0020】
(5)前記ゴム部材には、前記コンタクトの外周に対して当該コンタクトの周方向に亘って帯状に延びた状態で取り付けられる取付け部が設けられていてもよい。
【0021】
この構成によると、ゴム部材をコンタクトに装着する際には、周方向に亘って帯状に延びるゴム部材の取付け部を一旦拡径するように伸ばした状態でコンタクトの外周に沿って配置し、その後に取付け部を弾性回復させることで、コンタクトの外周に対してゴム部材を容易に装着することができる。また、ゴム部材は、取付け部がコンタクトの外周に対して周方向に亘って延びた状態で、コンタクトに装着されるため、コンタクトに装着されたゴム部材がコンタクトから外れにくくなる。このため、ゴム部材をコンタクトに対して外れにくく安定した状態で装着することができる。
【0022】
(6)前記ハウジングは、前記挿通溝が設けられているとともに、前記ゴム部材が装着された前記コンタクトが挿入される第1ハウジングと、前記当接部が設けられているとともに、前記第1ハウジングとは別体に設けられ、前記第1ハウジングに挿入された状態の前記コンタクトの前記スリット刃に挿入されて嵌め込まれる第2ハウジングと、を有し、前記第2ハウジングは、前記スリット刃に嵌め込まれた状態で、前記第1ハウジングの前記挿通溝と前記ゴム部材の前記スリット溝とに挿通された前記マグネットワイヤに対して前記当接部が当接するように構成されていてもよい。
【0023】
この構成によると、ゴム部材が装着されたコンタクトを第1ハウジングに挿入し、マグネットワイヤを第1ハウジングの挿通溝とゴム部材のスリット溝とに挿通した状態で、マグネットワイヤがコンタクトのスリット刃に圧接される。そして、第1ハウジングとは別体で当接部が設けられた第2ハウジングがスリット刃に挿入されて嵌め込まれることで、第1ハウジングの挿通溝とゴム部材のスリット溝とに挿通されたマグネットワイヤに対して当接部が当接する。これにより、コンタクトとマグネットワイヤとが圧接された領域が、スリット刃カバー部のスリット溝の縁部と第2ハウジングの当接部とで覆われる。これによって、コンタクトのスリット刃とマグネットワイヤとにおける圧接された部分が、ゴム部材と第2ハウジングとで覆われて外部に対して遮蔽されて露出しない状態となる。したがって、上記の構成によると、コンタクトを第1ハウジングに挿入してマグネットワイヤをコンタクトに圧接した後に、第2ハウジングをコンタクトのスリット刃に挿入して嵌め込む操作が要請される形態のコネクタの場合であっても、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分をゴム部材とハウジングとで覆って外部に対して遮蔽することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、コンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分において電解腐食が生じることを防止でき、電解腐食の防止のためにコンタクトとマグネットワイヤとにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理も不要にすることができる、コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタの斜視図であって、マグネットワイヤに接続された状態を示す図である。
【
図2】マグネットワイヤに接続された状態のコネクタの平面図である。
【
図3】マグネットワイヤに接続されたコネクタを断面を含む状態で示す斜視図であって、
図2のA-A線矢視位置での断面を含む図である。
【
図4】マグネットワイヤに接続されたコネクタを断面を含む状態で示す斜視図であって、
図2のB-B線矢視位置での断面を含む図である。
【
図5】マグネットワイヤに接続されたコネクタを断面を含む状態で示す斜視図であって、
図2のC-C線矢視位置での断面を含む図である。
【
図6】マグネットワイヤに接続されたコネクタを断面を含む状態で示す斜視図であって、
図2のD-D線矢視位置での断面を含む図である。
【
図7】コネクタのハウジングを示す図であって、
図7(A)は斜視図であり、
図7(B)は平面図である。
【
図8】ハウジングを断面を含む状態で示す斜視図であって、
図8(A)は、
図7(B)のE-E線矢視位置での断面を含む図であり、
図8(B)は、
図7(B)のF-F線矢視位置での断面を含む図である。
【
図9】コンタクトを示す図であって、
図9(A)は斜視図であり、
図9(B)は正面図であり、
図9(C)は側面図である。
【
図11】ゴム部材を断面を含む状態で示す斜視図であって、
図11(A)は、
図10(B)のG-G線矢視位置での断面を含む図であり、
図11(B)は、
図10(B)のH-H線矢視位置での断面を含む図である。
【
図12】コネクタのコンタクト及びゴム部材を示す図であって、
図12(A)は、ゴム部材がコンタクトに装着された状態での斜視図であり、
図12(B)は、ゴム部材がコンタクトに装着された状態での平面図である。
【
図13】コンタクト及びゴム部材を示す図であって、
図13(A)は、ゴム部材がコンタクトに装着された状態での正面図であり、
図13(B)は、ゴム部材がコンタクトに装着された状態での側面図である。
【
図14】ゴム部材がコンタクトに装着された状態のコンタクト及びゴム部材を断面を含む状態で示すであって、
図14(A)は、
図12(B)のI-I線矢視位置での断面を含む図であり、
図14(B)は、
図12(B)のJ-J線矢視位置での断面を含む図である。
【
図15】マグネットワイヤとコネクタとを接続する際の動作を説明するための図であって、
図15(A)は、マグネットワイヤがハウジングの挿通溝に挿通される前の状態を示す図であり、
図15(B)は、ゴム部材が装着されたコンタクトがハウジングに対して挿入される前の状態を示す図であり、
図15(C)は、ゴム部材が装着されたコンタクトがハウジングに挿入された状態を示す図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係るコネクタの平面図であって、マグネットワイヤに接続された状態を示す図である。
【
図17】
図16に示すコネクタを分解した状態で示す図である。
【
図19】
図16に示すコネクタがマグネットワイヤに接続された状態を示す断面図であって、
図16のK-K線矢視位置での断面図である。
【
図20】
図16に示すコネクタがマグネットワイヤに接続された状態を示す断面図であって、
図16のL-L線矢視位置での断面図である。
【
図21】
図16に示すコネクタがマグネットワイヤに接続された状態を示す断面図であって、
図16のM-M線矢視位置での断面図である。
【
図22】
図16に示すコネクタとマグネットワイヤとを接続する際の動作を説明するためのコネクタの断面図であって、
図22(A)は、ゴム部材が装着されたコンタクトが第1ハウジングに対して挿入された状態を示す図であり、
図22(B)は、マグネットワイヤが第1ハウジングの挿通溝に挿通されるとともにコンタクトのスリット刃に挿入された状態を示す図であり、
図22(C)は、第2ハウジングがコンタクトのスリット刃に挿入された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、心線とその周囲のエナメル製の被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して接続されるコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0027】
[第1実施形態]
(コネクタの概略構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ1の斜視図であって、マグネットワイヤ100に接続された状態を示す図である。
図2は、マグネットワイヤ100に接続された状態のコネクタ1の平面図である。
図3乃至
図6は、マグネットワイヤ100に接続されたコネクタ1を断面を含む状態で示す斜視図である。
図3は、
図2のA-A線矢視位置での断面を含む状態で示すコネクタ1の斜視図である。
図4は、
図2のB-B線矢視位置での断面を含む状態で示すコネクタ1の斜視図である。
図5は、
図2のC-C線矢視位置での断面を含む状態で示すコネクタ1の斜視図である。
図6は、
図2のD-D線矢視位置での断面を含む状態で示すコネクタ1の斜視図である。
【0028】
図1乃至
図6を参照して、コネクタ1は、マグネットワイヤ100に接続されるコネクタとして構成されている。尚、本実施形態では、コネクタ1は、1本のマグネットワイヤ100に接続されるように構成されている。マグネットワイヤ100は、電動モータ等の電気機器の巻線として設けられ、導体としての心線100aとその周囲の絶縁体としてのエナメル製の被覆100bとを含む電線として構成される。心線100aは、例えば、銅或いはアルミニウムで構成されている。コネクタ1は、電気機器の巻線として設けられて電気機器から延びるマグネットワイヤ100の端部側でマグネットワイヤ100に対して接続される。マグネットワイヤ100に接続されたコネクタ1は、図示が省略された相手側コネクタに対して接続される。コネクタ1が接続される相手側コネクタは、マグネットワイヤ100が巻線として用いられている電動モータ等の電気機器が電気的に接続される他の機器に接続されている。コネクタ1と相手側コネクタとが接続されることで、電動モータ等の電気機器が他の機器と接続される。
【0029】
コネクタ1は、ハウジング11と、コンタクト12と、ゴム部材13と、を備えて構成されている。ハウジング11は、絶縁性を有する合成樹脂材料で形成され、マグネットワイヤ100が挿通されるとともに、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が挿入されるように構成されている。コンタクト12は、導電性を有する金属材料で形成されており、例えば、銅で構成されている。コンタクト12は、ゴム部材13が装着された状態でハウジング11に挿入され、ハウジング11内で保持される。ゴム部材13は、ゴム材料で形成されており、コンタクト12に装着されるように構成されている。ゴム部材13は、コンタクト12に装着された状態で、コンタクト12とともにハウジング11に挿入され、ハウジング11の内側に配置される。コネクタ1は、まず、ハウジング11にマグネットワイヤ100が挿通され、次いで、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11内に挿入されることで、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接により接続されるように、構成されている。
【0030】
以下、コネクタ1のさらに詳細な構成について説明する。尚、以下の説明では、
図1乃至6及び後述の図面において両端矢印X1、両端矢印X2、両端矢印X3で示すように、コネクタ1における前後方向X1、高さ方向X2、及び幅方向X3を定義する。コネクタ1は、互いに直交する方向である前後方向X1、高さ方向X2、及び幅方向X3を有する略直方体状の基本外形を有している。尚、コネクタ1においては、コンタクト12及びゴム部材13は、ハウジング11の内側に配置されており、略直方体状のハウジング11の基本外形がコネクタ1の基本外形を構成している。
【0031】
前後方向X1は、コネクタ1のハウジング11に挿通されたマグネットワイヤ100がハウジング11内で延びる方向と平行な方向として構成される。即ち、前後方向X1は、コネクタ1におけるマグネットワイヤ100の挿通方向と平行な方向として構成される。また、前後方向X1は、ハウジング11に挿通されたマグネットワイヤ100が延びる方向であるマグネットワイヤ100の長手方向と平行な方向となる。高さ方向X2は、前後方向X1に垂直な方向であって、ハウジング11に対してコンタクト12が挿入される方向と平行な方向として構成される。また、高さ方向X2は、マグネットワイヤ100に接続されたコネクタ1に相手側コネクタ(図示省略)が嵌合して接続する方向と平行な方向として構成される。幅方向X3は、前後方向X1及び高さ方向X2の両方に垂直な方向として構成される。
【0032】
(ハウジング)
図7は、コネクタ1のハウジング11を示す図であって、
図7(A)は斜視図であり、
図7(B)は平面図である。
図8は、ハウジング11を断面を含む状態で示す斜視図であって、
図8(A)は、
図7(B)のE-E線矢視位置での断面を含む図であり、
図8(B)は、
図7(B)のF-F線矢視位置での断面を含む図である。
図1乃至
図8を参照して、ハウジング11は、マグネットワイヤ100が前後方向X1に沿って挿通されるとともに、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が内側に挿入されるように、構成されている。ハウジング11にマグネットワイヤ100が挿通された状態でコンタクト12がハウジング11に挿入されることで、マグネットワイヤ100がハウジング11に保持される。また、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入されることで、ゴム部材13及びコンタクト12がハウジング11に保持される。尚、
図7及び
図8は、マグネットワイヤ100が挿通されておらず、コンタクト12及びゴム部材13も内側に挿入されていない状態のハウジング11を示している。
【0033】
ハウジング11は、略直方体状の基本外形を有する角筒状に設けられており、高さ方向X2における一方の端部側において開口する開口21が設けられている。ゴム部材13が装着されたコンタクト12は、ハウジング11の開口21からハウジング11の内部へ挿入されてハウジング11の内側に配置される。また、ゴム部材13及びコンタクト12がハウジング11の内側に配置されてマグネットワイヤ100が接続された状態のコネクタ1が相手側コネクタ(図示省略)と接続する際には、相手側コネクタは、ハウジング11の開口21において嵌合してコネクタ1と接続する。
【0034】
また、
図1乃至
図8を参照して、ハウジング11には、挿通溝22、当接部23、等が設けられている。
【0035】
挿通溝22は、マグネットワイヤ100が挿通されるスリット状の溝として設けられており、ハウジング11における前後方向X1の両側に設けられている。より具体的には、角筒状のハウジング11の外壁のうちの前後方向X1の一方側の壁部24aと他方側の壁部24bとにそれぞれに挿通溝22が設けられている。壁部24a及び壁部24bのそれぞれに設けられた挿通溝22は、高さ方向X2に沿ってスリット状に延びるとともに、高さ方向X2における一方側である開口21側で外部に対して開放されるように設けられている。
【0036】
マグネットワイヤ100は、挿通溝22に対して、外部に開放された開口21側から高さ方向X2に沿って挿入され、高さ方向X2における開口21側と反対側である奥側の端部まで挿入される。マグネットワイヤ100は、壁部24aに設けられた挿通溝22に挿通されるとともに、壁部24bに設けられた挿通溝22にも挿通される。マグネットワイヤ100は、壁部24aの挿通溝22と壁部24bの挿通溝22とに挿通された状態では、ハウジング11を前後方向X1に沿って挿通した状態でハウジング11に配置される。
【0037】
また、
図1乃至
図3、
図7、
図8を参照して、挿通溝22が設けられた壁部24aには、壁部24aの挿通溝22に挿通されて壁部24aから外側に引き出されるマグネットワイヤ100を支持するワイヤ支持部25が設けられている。ワイヤ支持部25は、挿通溝22における開口21側と反対側である奥側の端部に対応する位置から壁部24aの外側に向かって前後方向X1に沿って突出するように設けられている。ワイヤ支持部25には、挿通溝22の端部から壁部24aの外側に引き出されるマグネットワイヤ100の一部の外周が配置される支持溝25aが設けられている。マグネットワイヤ100における壁部24aの挿通溝22から壁部24aの外側に引き出される部分は、ワイヤ支持部25の支持溝25aに嵌め込まれた状態で支持される。マグネットワイヤ100における壁部24aから引き出されている側は、電動モータ等の電気機器(図示省略)へと繋がっており、電気機器の巻線を構成している。尚、壁部24bには、ワイヤ支持部25は設けられておらず、壁部24aの挿通溝22には、マグネットワイヤ100の端部側の部分が挿通されて配置される。
【0038】
図3乃至
図8を参照して、当接部23は、ハウジング11の内側に設けられており、挿通溝22に挿通されたマグネットワイヤ100に対して当接する部分として設けられている。当接部23は、挿通溝22に挿通されたマグネットワイヤ100が載置されて当接する台座状に設けられている。また、本実施形態では、当接部23として、ハウジング11の内側において前後方向X1に沿って並ぶ第1当接部23aと第2当接部23bと第3当接部23cとが設けられている。第1当接部23a、第2当接部23b、及び第3当接部23cは、いずれも、ハウジング11の内側において、高さ方向X2における開口21側と反対側に設けられ、挿通溝22に挿通されたマグネットワイヤ100の外周が載置されて当接する台座状に設けられている。
【0039】
第1当接部23aは、ハウジング11の内側において壁部24aに隣接するとともに壁部24aと一体に設けられている。更に、第1当接部23aは、壁部24aの挿通溝22における開口21側と反対側である奥側の端部に対して、前後方向X1において隣接して設けられている。第2当接部23bは、ハウジング11の内側において壁部24aと壁部24bとの間で前後方向X1に沿って延びるように設けられている。そして、第2当接部23bは、壁部24aの挿通溝22と壁部24bの挿通溝22とに挿通されたマグネットワイヤ100におけるハウジング11内で前後方向X1に沿って延びる部分が載置されて当接するように設けられている。第3当接部23cは、ハウジング11の内側において壁部24bに隣接するとともに壁部24bに一体に設けられている。更に、第3当接部23cは、壁部24bの挿通溝22における開口21側と反対側である奥側の端部に対して、前後方向X1において隣接して設けられている。
【0040】
(コンタクト)
図9は、コンタクト12を示す図であって、
図9(A)は斜視図であり、
図9(B)は正面図であり、
図9(C)は側面図である。
図1乃至
図6、
図9を参照して、コンタクト12は、マグネットワイヤ100の被覆100bを切り破ってマグネットワイヤ100に食い込むスリット刃28を有し、ハウジング11に挿入されるとともにマグネットワイヤ100に圧接されて接続される端子部材として設けられている。コンタクト12は、互いに平行に配置されるとともに一体に連結された第1本体壁26a及び第2本体壁26bを有して構成される本体部26と、相手側接続部27とを備えて構成されている。
【0041】
相手側接続部27は、コネクタ1が相手側コネクタ(図示省略)に接続される際に相手側コネクタにおける相手側コンタクト(図示省略)に対して接続されるバネ接点部として設けられている。相手側接続部27は、本体部26に一体に設けられており、本体部26の第2本体壁26bに一体に連結された板バネ状の部分として設けられている。相手側接続部27は、第2本体壁26bから屈曲して延びるとともに、本体部26の内側の領域である第1本体壁26aと第2本体壁26bとの間の領域において第2本体壁26bから片持ち状に延びるように設けられている。尚、相手側コネクタの相手側コンタクトは、例えば、板状の接点部を有している。そして、コネクタ1と相手側コネクタとが接続される際には、相手側接続部27と相手側コンタクトにおける板状の接点部とが接触することで、コンタクト12と相手側コンタクトとが電気的に接続される。
【0042】
本体部26は、コンタクト12においてハウジング11の開口21からハウジング11の内側に挿入されて保持される部分として設けられている。本体部26は、互いに平行に配置されるとともに一体に連結された第1本体壁26aと第2本体壁26bとを有している。第1本体壁26a及び第2本体壁26bは、いずれも、ハウジング11内にコンタクト12が配置された状態において、高さ方向X2及び幅方向X3に沿って広がる板状に形成されており、幅方向X3よりも高さ方向X2に沿って長く延びるように形成されている。第1本体壁26a及び第2本体壁26bは、互いに平行に配置されており、ハウジング11内において、第1本体壁26aが前後方向X1における一方側に配置され、第2本体壁26bが前後方向X1における他方側に配置される。そして、ハウジング11内においては、第1本体壁26aは、壁部24aに近接して配置され、第2本体壁26bは、壁部24bに近接して配置される。
【0043】
また、第1本体壁26aと第2本体壁26bとは、高さ方向X2における一端側において、前後方向X1に沿ってそれぞれ延びる一対の連結部26cによって一体に連結されている。一対の連結部26cは、幅方向X3の両側に設けられている。一対の連結部26cの一方は、第1本体壁26a及び第2本体壁26bの高さ方向X2における一端側を、幅方向X3における一端側において連結している。そして、一対の連結部26cの他方は、第1本体壁26a及び第2本体壁26bの高さ方向X2における一端側を、幅方向X3における他端側において連結している。
【0044】
また、本体部26には、スリット刃28が設けられている。スリット刃28は、本体部26において一対で設けられており、第1本体壁26aと第2本体壁26bとにそれぞれ設けられている。スリット刃28は、第1本体壁26a及び第2本体壁26bにそれぞれ設けられているため、コンタクト12がハウジング11内に配置された状態で、ハウジング11内で前後方向X1に並んで配置される。第1本体壁26a及び第2本体壁26bのそれぞれに設けられた各スリット刃28は、高さ方向X2に沿って延びるスリット状の隙間を介して対向して略平行に延びる一対の刃部28aを有している。尚、各スリット刃28における一対の刃部28aの間のスリット状の隙間は、高さ方向X2における一方側でスリット刃28の外部に対して開放されている。コンタクト12がハウジング11の内側に配置された状態では、各スリット刃28における一対の刃部28aの間のスリット状の隙間は、開口21側と反対側でスリット刃28の外部に対して開放されている。
【0045】
本体部26の第1本体壁26a及び第2本体壁26bにそれぞれ設けられた各スリット刃28は、その一対の刃部28aによって、マグネットワイヤ100の被覆100bを切り破り、マグネットワイヤ100の心線100aの部分まで食い込むように構成されている。コンタクト12は、各スリット刃28が一対の刃部28aによって被覆100bを切り破って心線100aに食い込むことで、マグネットワイヤ100に圧接されて、マグネットワイヤ100に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。
【0046】
尚、コンタクト12は、ハウジング11に挿入されて取り付けられる際に、各スリット刃28がマグネットワイヤ100に食い込むように構成されている。より具体的には、まず、ハウジング11の挿通溝22にマグネットワイヤ100が挿通された状態で、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入される。コンタクト12がハウジング11の開口21の奥側まで挿入されると、本体部26の各スリット刃28が、一対の刃部28aの間にマグネットワイヤ100を挟んだ状態で、その挟んだ部分の被覆100bを心線100aを挟む両側で切り破る。そして、コンタクト12がハウジング11の開口21の奥側まで挿入されるに伴って、スリット刃28は、マグネットワイヤ100に対して被覆100bを切り破りながら変位し、更に、マグネットワイヤ100の心線100aの部分まで食い込む。スリット刃28がマグネットワイヤ100に食い込んで心線100aにまで圧接された状態となることで、コンタクト12は、マグネットワイヤ100に対して電気的及び機械的に接続された状態となる。
【0047】
また、本体部26に設けられた一対のスリット刃28は、コンタクト12がハウジング11に挿入された状態で、ハウジング11の壁部24a及び壁部24bに設けられた挿通溝22に対してそれぞれ近接して配置されるように、本体部26において設けられている。即ち、本体部26は、第1本体壁26aに設けられたスリット刃28が、壁部24aに設けられた挿通溝22に近接して配置され、第2本体壁26bに設けられたスリット刃28が、壁部24bに設けられた挿通溝22に近接して配置されるように、構成されている。このため、第1本体壁26aに設けられたスリット刃28は、マグネットワイヤ100に対して、ハウジング11の内側の領域であって壁部24aの挿通溝22の近傍の領域に配置されている部分において食い込むように構成される。そして、第2本体壁26bに設けられたスリット刃28は、マグネットワイヤ100に対して、ハウジング11の内側の領域であって壁部24bの挿通溝22の近傍の領域に配置されている部分において食い込むように構成されている。
【0048】
また、
図4、
図5、及び
図9を参照して、本体部26には、ゴム取付け溝29が設けられている。ゴム取付け溝29は、コンタクト12にゴム部材13が装着される際に、ゴム部材13における後述の取付け部31が嵌め込まれて取り付けられる溝として設けられている。ゴム取付け溝29は、第1本体壁26a及び第2本体壁26bのそれぞれにおいて複数個所に設けられている。第1本体壁26aでは、ゴム取付け溝29は、幅方向X3の両側に設けられるとともに、高さ方向X2にも並んで設けられており、合計で4つ設けられている。第2本体壁26bにおいても、ゴム取付け溝29は、幅方向X3の両側に設けられるとともに、高さ方向X2にも並んで設けられており、合計で4つ設けられている。また、第1本体壁26aの4つのゴム取付け溝29と第2本体壁26bの4つのゴム取付け溝29とは、高さ方向X2及び幅方向X3においてそれぞれ対応する位置に設けられている。即ち、第1本体壁26aの4つのゴム取付け溝29と第2本体壁26bの4つのゴム取付け溝29とは、前後方向X1においてそれぞれ対向する位置に設けられている。
【0049】
また、
図4、
図5、及び
図9を参照して、本体部26には、圧入突起30が設けられている。圧入突起30は、コンタクト12がハウジング11の開口21の奥側まで挿入される際にコンタクト12がハウジング11の内側に圧入されるための突起状の部分として設けられている。圧入突起30は、本体部26において、複数設けられている。本実施形態では、圧入突起30は、第1本体壁26aにおいて一対で設けられ、第1本体壁26aにおける幅方向X3の両側に設けられている。また、圧入突起30は、第2本体壁26bにおいても一対で設けられ、第2本体壁26bにおける幅方向X3の両側に設けられている。このため、本体部26では、圧入突起30は、4つ設けられている。コンタクト12がハウジング11に挿入されてハウジング11の内側に配置されると、コンタクト12は、ハウジング11の内壁に対して圧入突起30で係止し、圧入された状態となる。ハウジング11に挿入されたコンタクト12は、ハウジング11の内側に圧入されることで、ハウジング11に保持される。
【0050】
(ゴム部材)
図10は、ゴム部材13を示す図であって、
図10(A)は斜視図であり、
図10(B)は平面図であり、
図10(C)は正面図であり、
図10(D)は、底面図であり、
図10(E)は側面図である。
図11は、ゴム部材13を断面を含む状態で示す斜視図であって、
図11(A)は、
図10(B)のG-G線矢視位置での断面を含む図であり、
図11(B)は、
図10(B)のH-H線矢視位置での断面を含む図である。
図12及び
図13は、コンタクト12及びゴム部材13を示す図であって、ゴム部材13がコンタクト12に装着された状態を示す図である。尚、
図12(A)は斜視図であり、
図12(B)は平面図である。
図13(A)は正面図であり、
図13(B)は側面図である。
図14は、ゴム部材13がコンタクト12に装着された状態のコンタクト12及びゴム部材13を断面を含む状態で示すであって、
図14(A)は、
図12(B)のI-I線矢視位置での断面を含む図であり、
図14(B)は、
図12(B)のJ-J線矢視位置での断面を含む図である。
【0051】
図1乃至
図6、
図10乃至
図14を参照して、ゴム部材13は、ゴム材料で形成されており、コンタクト12に対して装着される。ゴム部材13は、コンタクト12に装着された状態で、コンタクト12とともにハウジング11に対して挿入される。そして、ゴム部材13は、コンタクト12とともにハウジング11に挿入されてコンタクト12のスリット刃28がマグネットワイヤ100に圧接されている状態で、ハウジング11の当接部23とともに、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている領域を覆うように構成されている。具体的には、ゴム部材13は、一体に設けられた取付け部31とスリット刃カバー部32とを有して構成されている。
【0052】
図2、
図4乃至
図6、
図10乃至
図14を参照して、取付け部31は、ゴム部材13において、コンタクト12にゴム部材13が装着される際にコンタクト12に対して取り付けられる部分として設けられている。取付け部31は、帯状の部分が矩形の外形を形成するように延びた枠体状の部分として設けられている。そして、取付け部31は、ゴム部材13において、コンタクト12の外周に対してコンタクト12の周方向に亘って帯状に延びた状態で取り付けられる部分として設けられている。より詳細には、取付け部31は、コンタクト12の本体部26の外周に対して本体部26の周方向に亘って帯状に延びた状態で取り付けられるように構成されている。更に、取付け部31は、本体部26の周方向であって本体部26における高さ方向X2に対して垂直な面に沿った周方向に亘って帯状に延びた状態で本体部26の外周に対して取り付けられるように構成されている。
【0053】
ゴム部材13がコンタクト12に装着される際には、周方向に亘って帯状に延びる取付け部31が一旦拡径するように伸ばされた状態でコンタクト12の本体部26の外周に沿って配置される。そして、その後に、拡径した取付け部31を弾性回復させて縮径させることで、周方向に亘って帯状に延びる取付け部31が本体部26の外周に嵌め込まれるようにして取り付けられる。より詳細には、周方向に亘って帯状に延びる取付け部31は、本体部26のゴム取付け溝29に嵌め込まれるようにして本体部26の外周に取り付けられる。取付け部31が本体部26に取り付けられることで、ゴム部材13がコンタクト12の外周に対して装着される。
【0054】
また、本実施形態では、取付け部31として、第1取付け部31aと第2取付け部31bとが設けられている。第1取付け部31a及び第2取付け部31bともに、コンタクト12の本体部26の外周に対して本体部26の周方向に亘って帯状に延びた状態で取り付けられるように設けられている。そして、第1取付け部31aと第2取付け部31bとは、ゴム部材13がコンタクト12に装着されてハウジング11内に配置された状態で、高さ方向X2に沿って並んで設けられている。また、第1取付け部31aと第2取付け部31bとは、後述のスリット刃カバー部32を介して一体に設けられている。
【0055】
ゴム部材13がコンタクト12に装着される際には、第1取付け部31aは、コンタクト12の本体部26に対して、高さ方向X2における一方側に配置された4つのゴム取付け溝29において嵌め込まれ、本体部26の外周に取り付けられる。より詳細には、第1取付け部31aは、本体部26の第1本体壁26aにおいて高さ方向X2における連結部26c側と反対側に設けられた2つのゴム取付け溝29と本体部26の第2本体壁26bにおいて高さ方向X2における連結部26c側と反対側に設けられた2つのゴム取付け溝29とに対して嵌め込まれ状態で、本体部26の外周に取り付けられる。また、ゴム部材13がコンタクト12に装着される際には、第2取付け部31bは、コンタクト12の本体部26に対して、高さ方向X2における他方側に配置された4つのゴム取付け溝29において嵌め込まれ、本体部26の外周に取り付けられる。より詳細には、第2取付け部31bは、本体部26の第1本体壁26aにおいて高さ方向X2における連結部26c側に設けられた2つのゴム取付け溝29と本体部26の第2本体壁26bにおいて高さ方向X2における連結部26c側に設けられた2つのゴム取付け溝29とに対して嵌め込まれ状態で、本体部26の外周に取り付けられる。
【0056】
図3乃至
図6、
図10乃至
図14を参照して、スリット刃カバー部32は、ゴム部材13において、コンタクト12のスリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側で覆うようにカバーする部分として設けられている。即ち、スリット刃カバー部32は、ゴム部材13がコンタクト12に装着されているとともにコンタクト12がマグネットワイヤ100に圧接された状態で、コンタクト12のスリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側で覆うようにカバーするよう構成されている。スリット刃カバー部32は、コンタクト12に装着されたゴム部材13がハウジング11内に配置された状態で前後方向X1に亘って配置されるように設けられており、ハウジング11内で前後方向X1に沿って延びるマグネットワイヤ100の長手方向に亘って配置されるように設けられている。また、スリット刃カバー部32には、コンタクト12に装着されたゴム部材13がハウジング11内に配置された状態で、高さ方向X2及び幅方向X3の両方においてハウジング11の挿通溝22に対応する位置でスリット状に開口してマグネットワイヤ100が挿通されるスリット溝33が設けられている。
【0057】
また、スリット刃カバー部32は、スリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側でそれぞれ覆うカバー壁部34を有している。即ち、スリット刃カバー部32のカバー壁部34は、ゴム部材13がコンタクト12に装着されているとともにコンタクト12がマグネットワイヤ100に圧接された状態で、スリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側でそれぞれ覆うように構成されている。また、本実施形態では、カバー壁部34として、前後方向X1に沿って並ぶ第1カバー壁部34aと第2カバー壁部34bと第3カバー壁部34cとが設けられている。即ち、カバー壁部34として、コンタクト12に装着されたゴム部材13がハウジング11内に配置された状態で前後方向X1に沿って並ぶ第1カバー壁部34aと第2カバー壁部34bと第3カバー壁部34cとが設けられている。第1カバー壁部34aと第2カバー壁部34bと第3カバー壁部34cとは、後述の架橋部35で架橋されて一体に連結されていることで、前後方向X1に沿って並んで設けられている。また、第1カバー壁部34a、第2カバー壁部34b、及び第3カバー壁部34cのそれぞれには、マグネットワイヤ100が挿通されるスリット溝33が設けられている。
【0058】
第1カバー壁部34aは、ゴム部材13がコンタクト12に装着された状態で、コンタクト12の本体部26の第1本体壁26aに対して、前後方向X1における一方側であって本体部26の外側で、密着した状態で隣接して配置される。そして、第1カバー壁部34aのスリット溝33は、第1本体壁26aのスリット刃28に対して、本体部26の外側で前後方向X1に重なる位置に配置される。更に、第1カバー壁部34aのスリット溝33は、その縁部が、第1本体壁26aのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域を、前後方向X1における一方側であって本体部26の外側から覆うように、第1本体壁26aに対して隣接して配置される。
【0059】
また、第1カバー壁部34aは、ゴム部材13がコンタクト12に装着されてハウジング11内に配置された状態で、ハウジング11の内側でハウジング11の壁部24aに隣接して配置される。そして、第1カバー壁部34aのスリット溝33は、ハウジング11の壁部24aの挿通溝22に対して、ハウジング11の内側で前後方向X1に重なる位置に配置される。更に、第1カバー壁部34aのスリット溝33が壁部24aの挿通溝22と前後方向X1に重なって配置された状態では、ハウジング11の内側で壁部24aに一体に設けられた第1当接部23aが、第1カバー壁部34aのスリット溝33の内側に嵌り込むようにして配置される。このため、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている状態では、第1本体壁26aのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、本体部26の外側から、第1カバー壁部34aのスリット溝33の縁部とハウジング11の第1当接部23aとで覆われる。
【0060】
第2カバー壁部34bは、ゴム部材13がコンタクト12に装着された状態で、本体部26の内側に配置され、第1本体壁26aと第2本体壁26bとの間に配置される。そして、第2カバー壁部34bは、第1本体壁26aに対して、前後方向X1における他方側であって本体部26の内側で、密着した状態で隣接して配置される。更に、第2カバー壁部34bは、第2本体壁26bに対して、前後方向X1における一方側であって本体部26の内側で、密着した状態で隣接して配置される。
【0061】
第2カバー壁部34bは、ゴム部材13がコンタクト12に装着されてハウジング11内に配置された状態で、本体部26の内側で第1本体壁26aに隣接して配置される。そして、第2カバー壁部34bのスリット溝33は、第1本体壁26aのスリット刃28に対して、本体部26の内側で前後方向X1に重なる位置に配置される。更に、第2カバー壁部34bのスリット溝33は、その縁部が、第1本体壁26aのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域を、前後方向X1における他方側であって本体部26の内側から覆うように、第1本体壁26aに対して隣接して配置される。また、第2カバー壁部34bのスリット溝33が第1本体壁26aのスリット刃28と前後方向X1に重なって配置された状態では、ハウジング11の内側に設けられた第2当接部23bが、第2カバー壁部34bのスリット溝33の内側に嵌り込むようにして配置される。このため、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている状態では、第1本体壁26aのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、本体部26の内側から、第2カバー壁部34bのスリット溝33の縁部とハウジング11の第2当接部23bとで覆われる。
【0062】
また、第2カバー壁部34bは、ゴム部材13がコンタクト12に装着されてハウジング11内に配置された状態で、本体部26の内側で第2本体壁26bに隣接して配置される。そして、第2カバー壁部34bのスリット溝33は、第2本体壁26bのスリット刃28に対して、本体部26の内側で前後方向X1に重なる位置に配置される。更に、第2カバー壁部34bのスリット溝33は、その縁部が、第2本体壁26bのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域を、前後方向X1における一方側であって本体部26の内側から覆うように、第2本体壁26bに対して隣接して配置される。また、第2カバー壁部34bのスリット溝33が第2本体壁26bのスリット刃28と前後方向X1に重なって配置された状態では、ハウジング11の内側に設けられた第2当接部23bが、第2カバー壁部34bのスリット溝33の内側に嵌り込むようにして配置される。このため、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている状態では、第2本体壁26bのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、本体部26の内側から、第2カバー壁部34bのスリット溝33の縁部とハウジング11の第2当接部23bとで覆われる。
【0063】
第3カバー壁部34cは、ゴム部材13がコンタクト12に装着された状態で、コンタクト12の本体部26の第2本体壁26bに対して、前後方向X1における他方側であって本体部26の外側で、密着した状態で隣接して配置される。そして、第3カバー壁部34cのスリット溝33は、第2本体壁26bのスリット刃28に対して、本体部26の外側で前後方向X1に重なる位置に配置される。更に、第3カバー壁部34cのスリット溝33は、その縁部が、第2本体壁26bのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域を、前後方向X1における他方側であって本体部26の外側から覆うように、第2本体壁26bに対して隣接して配置される。
【0064】
また、第3カバー壁部34cは、ゴム部材13がコンタクト12に装着されてハウジング11内に配置された状態で、ハウジング11の内側でハウジング11の壁部24bに隣接して配置される。そして、第3カバー壁部34cのスリット溝33は、ハウジング11の壁部24bの挿通溝22に対して、ハウジング11の内側で前後方向X1に重なる位置に配置される。更に、第3カバー壁部34cのスリット溝33が壁部24bの挿通溝22と前後方向X1に重なって配置された状態では、ハウジング11の内側で壁部24bに一体に設けられた第3当接部23cが、第3カバー壁部34cのスリット溝33の内側に嵌り込むようにして配置される。このため、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている状態では、第2本体壁26bのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、本体部26の外側から、第3カバー壁部34cのスリット溝33の縁部とハウジング11の第3当接部23cとで覆われる。
【0065】
上述のように、ゴム部材13には、スリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側でそれぞれ覆うカバー壁部34としての第1カバー壁部34aと第2カバー壁部34bと第3カバー壁部34cとが設けられている。更に、第1カバー壁部34a、第2カバー壁部34b、及び第3カバー壁部34cのそれぞれに、コンタクト12のスリット刃28に前後方向X1に重なる位置で設けられてマグネットワイヤ100が挿通されるスリット溝33が設けられている。そして、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11内に配置されてコンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された状態では、第1本体壁26aのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域は、本体部26の外側から、第1カバー壁部34aのスリット溝33の縁部とハウジング11の第1当接部23aとで覆われる。更に、第1本体壁26aのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域は、本体部26の内側からも、第2カバー壁部34bのスリット溝33の縁部とハウジング11の第2当接部23bとで覆われる。また、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている状態では、第2本体壁26bのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域は、本体部26の内側から、第2カバー壁部34bのスリット溝33の縁部とハウジング11の第2当接部23bとで覆われる。更に、第2本体壁26bのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域は、本体部26の外側からも、第3カバー壁部34cのスリット溝33の縁部とハウジング11の第3当接部23cとで覆われる。このように、コネクタ1は、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入されているとともにコンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている状態で、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、ゴム部材13のスリット刃カバー部32のカバー壁部34のスリット溝33の縁部とハウジング11の当接部23とで覆われるように構成されている。
【0066】
また、
図3、
図5、
図6、
図10、
図11、及び
図14を参照して、スリット刃カバー部32には、スリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側でそれぞれ覆うカバー壁部34を架橋する架橋部35が設けられている。架橋部35は、ゴム部材13がコンタクト12に装着された状態で、スリット刃28の一対の刃部28aの間を貫通して延びるように設けられている。また、本実施形態では、カバー壁部34を架橋する架橋部35として、第1架橋部35aと第2架橋部35bとが設けられている。
【0067】
第1架橋部35aは、第1カバー壁部34aと第2カバー壁部34bとの間で前後方向X1に沿って延びるとともに、一端側で第1カバー壁部34aに一体に設けられ、他端側で第2カバー壁部34bに一体に設けられている。これにより、第1架橋部35aは、第1カバー壁部34aと第2カバー壁部34bとを一体に連結し、第1カバー壁部34aと第2カバー壁部34bとを架橋するように設けられている。また、第1架橋部35aは、コンタクト12の第1本体壁26aのスリット刃28の一対の刃部28aの間を前後方向X1に貫通して延び、第1カバー壁部34aと第2カバー壁部34bとを一体に架橋するように設けられている。このため、第1架橋部35aは、コンタクト12の第1本体壁26aのスリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側でそれぞれ覆う第1カバー壁部34a及び第2カバー壁部34bを架橋するように構成されている。
【0068】
第2架橋部35bは、第2カバー壁部34bと第3カバー壁部34cとの間で前後方向X1に沿って延びるとともに、一端側で第2カバー壁部34bに一体に設けられ、他端側で第3カバー壁部34cに一体に設けられている。これにより、第2架橋部35bは、第2カバー壁部34bと第3カバー壁部34cとを一体に連結し、第2カバー壁部34bと第3カバー壁部34cとを架橋するように設けられている。また、第2架橋部35bは、コンタクト12の第2本体壁26bのスリット刃28の一対の刃部28aの間を前後方向X1に貫通して延び、第2カバー壁部34bと第3カバー壁部34cとを一体に架橋するように設けられている。このため、第2架橋部35bは、コンタクト12の第2本体壁26bのスリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側でそれぞれ覆う第2カバー壁部34b及び第3カバー壁部34cを架橋するように構成されている。
【0069】
(コネクタとマグネットワイヤとの接続動作)
次に、上述したコネクタ1とマグネットワイヤ100とが接続される際における接続動作について説明する。
図15は、マグネットワイヤ100とコネクタ1とを接続する際の動作を説明するための図である。
図15(A)は、マグネットワイヤ100がハウジング11の挿通溝22に挿通される前の状態を示す図である。
図15(B)は、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に対して挿入される前の状態を示す図である。
図15(C)は、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入された状態を示す図である。以下、コネクタ1とマグネットワイヤ100との接続動作について、前述した
図1乃至
図14とともに、
図15を参照しつつ説明する。
【0070】
コネクタ1とマグネットワイヤ100とが接続される際には、まず、ハウジング11に対してマグネットワイヤ100が挿通された状態で配置される。このとき、
図15(A)に示すように、マグネットワイヤ100が、ハウジング11における挿通溝22の上方に配置される。そして、マグネットワイヤ100が、
図15(A)の矢印Y1で示す方向に沿って移動され、挿通溝22に対して挿入される。マグネットワイヤ100が挿通溝22に挿入されることで、
図15(B)に示すように、マグネットワイヤ100が挿通溝22に挿通された状態となる。挿通溝22に挿通されたマグネットワイヤ100は、ハウジング11の内側において、第1当接部23a第2当接部23bと第3当接部23cとによって支持された状態となる。
【0071】
ハウジング11に挿入される前のコンタクト12に対しては、ゴム部材13が装着される。ゴム部材13がコンタクト12に装着される際には、周方向に亘って帯状に延びる第1取付け部31a及び第2取付け部31bのそれぞれが一旦拡径するように伸ばされた状態でコンタクト12の本体部26の外周に沿って配置される。そして、その後に、拡径した第1取付け部31a及び第2取付け部31bを弾性回復させて縮径させることで、第1取付け部31a及び第2取付け部31bが、本体部26のゴム取付け溝29に嵌め込まれるようにして、本体部26の外周に取り付けられる。第1取付け部31a及び第2取付け部31bが本体部26に取り付けられることで、
図12乃至
図14、
図15(B)に示すように、ゴム部材13がコンタクト12の外周に対して装着される。また、ゴム部材13がコンタクト12に装着された状態では、スリット溝33が設けられた第1カバー壁部34a及び第2カバー壁部34bが、第1本体壁26aのスリット刃28に対して前後方向X1における両側で隣接して配置される。そして、スリット溝33が設けられた第2カバー壁部34b及び第3カバー壁部34cが、第2本体壁26bのスリット刃28に対して前後方向X1における両側で隣接して配置される。
【0072】
コンタクト12にゴム部材13が装着され、ハウジング11の挿通溝22にマグネットワイヤ100が挿通されると、次いで、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入される。このとき、
図15(B)に示すように、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が、ハウジング11の上方に配置される。そして、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が、
図15(B)の矢印Y2で示す方向に沿って移動され、ハウジング11の開口21に挿入される。そして、
図15(C)に示すように、ゴム部材13が装着されたコンタクト12は、ハウジング11の開口21からハウジング11の内部へ挿入されてハウジング11の内側に配置される。
【0073】
コンタクト12がハウジング11の開口21からハウジング11の内部へ挿入されると、
図5を参照して、本体部26の各スリット刃28が、当接部23に支持されたマグネットワイヤ100を一対の刃部28aの間に挟んだ状態で、その挟んだ部分の被覆100bを心線100aを挟む両側で切り破る。そして、コンタクト12がハウジング11の開口21の奥側まで挿入されるに伴って、スリット刃28は、マグネットワイヤ100に対して被覆100bを切り破りながら変位し、更に、マグネットワイヤ100の心線100aの部分まで食い込む。スリット刃28がマグネットワイヤ100に食い込んで心線100aにまで圧接された状態となることで、コンタクト12は、マグネットワイヤ100に対して電気的及び機械的に接続された状態となる。また、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11内に挿入され、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された状態では、
図3乃至
図6を参照して、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、ゴム部材13のスリット刃カバー部32のカバー壁部34のスリット溝33の縁部とハウジング11の当接部23とで覆われる。尚、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11内に挿入され、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されることで、コネクタ1とマグネットワイヤ100との接続動作が完了する。
【0074】
(本実施形態の作用及び効果)
本実施形態のコネクタ1によると、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入されるとともに、ハウジング11の挿通溝22に挿通されたマグネットワイヤ100がコンタクト12のスリット刃28にも挿入された状態となることで、スリット刃28がマグネットワイヤ100の被覆100bを切り破って食い込んでマグネットワイヤ100に圧接される。コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されることで、コネクタ1がマグネットワイヤ100に接続される。
【0075】
また、コネクタ1によると、コンタクト12に装着されてコンタクト12とともにハウジング11に挿入されるゴム部材13には、スリット刃カバー部32が設けられている。そして、ハウジング11の挿通溝22に対応して開口するスリット刃カバー部32のスリット溝33にマグネットワイヤ100が挿通された状態で、スリット刃カバー部32によりスリット刃28の両側が覆われてカバーされる。更に、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入されてコンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された状態では、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、スリット刃カバー部32のスリット溝33の縁部とハウジング11の当接部23とで覆われる。
【0076】
また、コネクタ1によると、コンタクト12のスリット刃28とスリット刃28に圧接したマグネットワイヤ100とにおける互いに圧接された領域が、ゴム部材13とハウジング11とによって覆われ、外部に対して遮蔽されて露出しない状態となる。即ち、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける互いに圧接された領域が、ゴム部材13とハウジング11とで遮蔽されてハウジング11の挿通溝22から外部に露出することが防止される。このため、コネクタ1が高湿度環境下で用いられる場合、或いは、塩水が噴霧される虞がある環境下で用いられる場合であっても、コンタクト12のスリット刃28とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分が、ゴム部材13とハウジング11とで覆われて外部に対して遮蔽される。これにより、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分において、電解腐食が生じることが防止される。
【0077】
また、上述のように、コネクタ1によると、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分が、ゴム部材13とハウジング11とで覆われて外部に対して遮蔽され、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分において、電解腐食が生じることが防止される。このため、電解腐食のためにコンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理をする必要はなくなることになる。このような2次処理が不要になることで、コネクタ1の設置作業の手間の増大を抑制でき、コネクタ1の設置費用の増大も抑制することができる。
【0078】
したがって、本実施形態によると、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分において電解腐食が生じることを防止でき、電解腐食の防止のためにコンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理も不要にすることができる、コネクタ1を提供することができる。
【0079】
また、コネクタ1によると、マグネットワイヤ100をハウジング11の挿通溝22に挿通させた際に、そのままハウジング11の当接部23にマグネットワイヤ100を当接させることができる。そして、その状態で、ゴム部材13が装着されたコンタクト12をハウジング11に挿入してコンタクト12とマグネットワイヤ100とを圧接し、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分をゴム部材13のスリット刃カバー部32とハウジング11の当接部23とで覆うことができる。このため、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が挿入されるハウジング11を、挿通溝22と当接部23とが設けられた一体のハウジング11として構成することができる。よって、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分をゴム部材13とハウジング11とで覆って外部に対して遮蔽できるコネクタ1におけるハウジング11を1つの部品で構成することができる。
【0080】
また、コネクタ1によると、スリット刃28の両側をそれぞれ覆うカバー壁部34のそれぞれにスリット溝33が設けられた簡素な構造で、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分をハウジング11とともに覆って外部に対して遮蔽するスリット刃カバー部32を構成することができる。
【0081】
また、コネクタ1によると、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分をスリット刃28の両側で外部に対して遮蔽するカバー壁部34(第1カバー壁部34a、第2カバー壁部34b、第3カバー壁部34c)を、架橋部35(第1架橋部35a、第2架橋部35b)を設けただけの簡素な構造によって一体化することができる。更に、スリット刃28の両側のカバー壁部34を一体化する架橋部35は、スリット刃28の間を貫通するように設けられるため、小さなスペースに設けられたコンパクトな構造でスリット刃28の両側のカバー壁部34を一体化することができる。
【0082】
また、コネクタ1によると、ゴム部材13をコンタクト12に装着する際には、周方向に亘って帯状に延びるゴム部材13の取付け部31(第1取付け部31a、第2取付け部31b)を一旦拡径するように伸ばした状態でコンタクト12の外周に沿って配置し、その後に取付け部31を弾性回復させることで、コンタクト12の外周に対してゴム部材13を容易に装着することができる。また、ゴム部材13は、取付け部31がコンタクト12の外周に対して周方向に亘って延びた状態で、コンタクト12に装着されるため、コンタクト12に装着されたゴム部材13がコンタクト12から外れにくくなる。このため、ゴム部材13をコンタクト12に対して外れにくく安定した状態で装着することができる。
【0083】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図16は、本発明の第2実施形態に係るコネクタ2の平面図であって、マグネットワイヤ100に接続された状態を示す図である。
図17は、コネクタ2を分解した状態で示す図である。
図18(A)は、コネクタ2におけるコンタクト12の正面図であり、
図18(B)は、コネクタ2におけるゴム部材13の正面図である。
図19乃至
図21は、コネクタ2がマグネットワイヤ100に接続された状態を示す断面図である。
図19は、
図16のK-K線矢視位置でのコネクタ2の断面図である。
図20は、
図16のL-L線矢視位置でのコネクタ2の断面図である。
図21は、
図16のM-M線矢視位置でのコネクタ2の断面図である。第2実施形態のコネクタ2は、一部の構成を除いて、第1実施形態のコネクタ1と同様に構成されている。尚、以下の第2実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0084】
図16乃至
図21を参照して、第2実施形態のコネクタ2は、第1実施形態のコネクタ1と同様に、ハウジング11と、コンタクト12と、ゴム部材13とを備えて構成されている。ハウジング11は、マグネットワイヤ100が挿通されるスリット状の挿通溝22と、挿通溝22に挿通されたマグネットワイヤ100に対して当接する当接部23とが設けられている。コンタクト12は、マグネットワイヤ100の被覆100bを切り破ってマグネットワイヤ100に食い込むスリット刃28を有し、ハウジング11に挿入されるとともにマグネットワイヤ100に圧接されて接続される。ゴム部材13は、コンタクト12に装着されるように設けられている。そして、ゴム部材13は、コンタクト12のスリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側で覆うようにカバーするとともに、挿通溝22に対応する位置でスリット状に開口してマグネットワイヤ100が挿通されるスリット溝33が設けられたスリット刃カバー部32を有している。更に、スリット刃カバー部32は、スリット刃28をマグネットワイヤ100の長手方向の両側でそれぞれ覆うカバー壁部34を有し、カバー壁部34のそれぞれに、スリット溝33が設けられている。そして、コネクタ2は、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入されているとともにコンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている状態で、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、スリット刃カバー部32のスリット溝33の縁部とハウジング11の当接部23とで覆われるように構成されている。ただし、コネクタ2は、ハウジング11の構成において、第1実施形態のコネクタ1と異なっている。また、コネクタ2は、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が、第1実施形態のコネクタ1の場合とは逆向きの姿勢で、ハウジング11に対して挿入される点においても、第1実施形態とは異なっている。
【0085】
図16乃至
図21を参照して、ハウジング11は、第1ハウジング41と、第1ハウジング41とは別体に設けられた第2ハウジング42とを備えて構成されている。第1ハウジング41は、マグネットワイヤ100が挿通される挿通溝22が設けられているとともに、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が挿入されるように構成されている。
【0086】
ゴム部材13が装着されたコンタクト12は、第1ハウジング41の開口21から第1ハウジング41に対して高さ方向X1に沿って挿入される。しかし、コネクタ2においては、ゴム部材13が装着されたコンタクト12は、高さ方向X2における姿勢が第1実施形態の場合とは逆向きの姿勢で、第1ハウジング41に対して挿入される。具体的には、ゴム部材13が装着されたコンタクト12は、高さ方向X2におけるスリット刃28が外部に対して開放されている側と反対側の端部から、第1ハウジング41の開口21に挿入される。即ち、ゴム部材13が装着されたコンタクト12は、各スリット刃28における一対の刃部28aの間のスリット状の隙間が第1ハウジング41の開口21に臨んで開放された状態となる姿勢で、第1ハウジング41に対して挿入される。このため、コンタクト12が第1ハウジング41に挿入されて第1ハウジング41の内側に配置された状態では、各スリット刃28における一対の刃部28aの間のスリット状の隙間は、開口21側で外部に対して開放されている。
【0087】
尚、第1ハウジング41は、高さ方向X2における開口21が開口する側の端部と反対側の端部において、相手側コネクタ(図示省略)に対して接続するように構成されている。第1ハウジング41には、高さ方向X2における開口21側と反対側の端部において、相手側コネクタにおける相手側コンタクト(図示省略)が挿入される接続用開口(図示省略)が設けられている。コネクタ2と相手側コネクタとの接続の際には、相手側コネクタの相手側コンタクトが、第1ハウジング41の接続用開口に挿入されて、第1ハウジング41の内側でコンタクト12の相手側接続部27に接触して接続される。コネクタ2の相手側接続部27と相手側コネクタの相手側コンタクトとが接触して接続されることで、コネクタ2と相手側コネクタとが電気的に接続される。
【0088】
第2ハウジング42は、第1ハウジング41とは別体のハウジング要素として設けられている。そして、第2ハウジング42は、第1ハウジング41に挿入された状態のコンタクト12のスリット刃28に対して挿入されて嵌め込まれるように構成されている。即ち、第2ハウジング42は、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41に挿入されて第1ハウジング41の内側に配置された状態で、第1ハウジング41の開口21内に挿入され、更に、第1ハウジング41内のコンタクト12のスリット刃28に対して挿入されて嵌め込まれる。第2ハウジング42は、コンタクト12の一対のスリット刃28の両方に対して、挿入されて嵌め込まれる。
【0089】
また、第2ハウジング42には、第1ハウジング41の挿通溝22に挿通されたマグネットワイヤ100に対して当接する当接部23が設けられている。第2ハウジング42において、当接部23は、高さ方向X2における一方の端部の部分として設けられている。そして、第2ハウジング42は、スリット刃28に嵌め込まれた状態で、第1ハウジング41の挿通溝22とゴム部材13のスリット溝33とに挿通されたマグネットワイヤ100に対して当接部23が当接するように構成されている。
【0090】
第2ハウジング42がコンタクト12のスリット刃28に挿入されて嵌め込まれる際には、まず、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41内に挿入されて配置される。そして、マグネットワイヤ100が、第1ハウジング41の挿通溝22とコンタクト12のスリット刃28とゴム部材13のスリット溝33とに対して挿通される。この状態で、第2ハウジング42が、当接部23が設けられた端部から、コンタクト12のスリット刃28に対して挿入されて嵌め込まれる。第2ハウジング42がスリット刃28に挿入されて嵌め込まれることで、第1ハウジング41の挿通溝22とゴム部材13のスリット溝33とに挿通されたマグネットワイヤ100に当接部23が当接した状態となる。
【0091】
第2ハウジング42がコンタクト12のスリット刃28に嵌め込まれて当接部23でマグネットワイヤ100に当接した状態では、コンタクト12のスリット刃28とマグネットワイヤ100とは圧接されている。そして、この状態では、コンタクト12の第1本体壁26aのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域は、本体部26の外側から、第1カバー壁部34aのスリット溝33の縁部と第2ハウジング42の当接部23とで覆われる。更に、第1本体壁26aのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域は、本体部26の内側からも、第2カバー壁部34bのスリット溝33の縁部と第2ハウジング42の当接部23とで覆われる。また、コンタクト12の第2本体壁26bのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域は、本体部26の内側から、第2カバー壁部34bのスリット溝33の縁部と第2ハウジング42の当接部23とで覆われる。更に、第2本体壁26bのスリット刃28とマグネットワイヤ100とが圧接された領域は、本体部26の外側からも、第3カバー壁部34cのスリット溝33の縁部と第2ハウジング42の当接部23とで覆われる。これにより、コネクタ2は、ゴム部材13が装着されたコンタクト12がハウジング11に挿入されているとともにコンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されている状態で、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、ゴム部材13のスリット刃カバー部32のカバー壁部34のスリット溝33の縁部と第2ハウジング42の当接部23とで覆われるように構成されている。
【0092】
尚、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41に挿入される前にマグネットワイヤ100がコンタクト12のスリット刃28に挿通されて圧接されてもよい。この場合、ゴム部材13が装着されているとともにマグネットワイヤ100が圧接されたコンタクト12が第1ハウジング41に挿入される。そして、ゴム部材13が装着されているとともにマグネットワイヤ100が圧接されたコンタクト12が第1ハウジング41内に配置された状態で、第2ハウジング42がコンタクト12のスリット刃28に対して挿入されて嵌め込まれる。
【0093】
次に、上述したコネクタ2とマグネットワイヤ100とが接続される際における接続動作について説明する。
図22は、コネクタ2とマグネットワイヤ100とを接続する際の動作を説明するためのコネクタ2の断面図である。
図22(A)は、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41に対して挿入された状態を示す図である。
図22(B)は、マグネットワイヤ100が第1ハウジング41の挿通溝22に挿通されるとともにコンタクト12のスリット刃28に挿入された状態を示す図である。
図22(C)は、第2ハウジング42がコンタクト12のスリット刃28に挿入された状態を示す図である。尚、
図22は、
図16のK-K線矢視位置での断面に対応する断面図を示している。以下、コネクタ2とマグネットワイヤ100との接続動作について、前述した
図16乃至
図21とともに、
図22を参照しつつ説明する。
【0094】
コネクタ2とマグネットワイヤ100とが接続される際には、まず、ゴム部材13がコンタクト12に対して装着される。ゴム部材13がコンタクト12に装着される際には、ゴム部材13の第1取付け部31a及び第2取付け部31bが、本体部26のゴム取付け溝29に嵌め込まれるようにして、本体部26の外周に取り付けられる。第1取付け部31a及び第2取付け部31bが本体部26に取り付けられることで、
図17に示すように、ゴム部材13がコンタクト12の外周に対して装着される。また、ゴム部材13がコンタクト12に装着された状態では、スリット溝33が設けられた第1カバー壁部34a及び第2カバー壁部34bが、第1本体壁26aのスリット刃28に対して前後方向X1における両側で隣接して配置される。そして、スリット溝33が設けられた第2カバー壁部34b及び第3カバー壁部34cが、第2本体壁26bのスリット刃28に対して前後方向X1における両側で隣接して配置される。
【0095】
コンタクト12にゴム部材13が装着されると、次いで、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41に挿入される。ゴム部材13が装着されたコンタクト12は、第1ハウジング41に対して開口21から挿入される。このとき、ゴム部材13が装着されたコンタクト12は、高さ方向X2におけるスリット刃28が外部に対して開放されている側と反対側の端部から、第1ハウジング41の開口21に挿入される。ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41に挿入されて第1ハウジング41の内側に配置されると、
図22(A)に示すように、コンタクト12の各スリット刃28における一対の刃部28aの間のスリット状の隙間は、開口21側で外部に対して開放された状態となる。
【0096】
ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41内に挿入されて配置されると、次いで、
図22(B)に示すように、マグネットワイヤ100が、第1ハウジング41の挿通溝22とコンタクト12のスリット刃28とゴム部材13のスリット溝33とに対して挿入されて押し込まれる。これにより、マグネットワイヤ100が、第1ハウジング41の挿通溝22とコンタクト12のスリット刃28とゴム部材13のスリット溝33とに対して挿通された状態となる。また、マグネットワイヤ100がコンタクト12のスリット刃28に対して押し込まれて挿入されると、スリット刃28の一対の刃部28aの間に挟まれたマグネットワイヤ100の被覆100bが心線100aを挟む両側で切り破られる。そして、マグネットワイヤ100がスリット刃28の奥側まで挿入されるに伴って、マグネットワイヤ100の被覆100bを切り破ったスリット刃28が、マグネットワイヤ100の心線100aまで食い込む。スリット刃28がマグネットワイヤ100に食い込んで心線100aにまで圧接された状態となることで、コンタクト12は、マグネットワイヤ100に対して電気的及び機械的に接続された状態となる。
【0097】
マグネットワイヤ100が、第1ハウジング41の挿通溝22とコンタクト12のスリット刃28とゴム部材13のスリット溝33とに対して挿通され、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された状態となると、次いで、
図22(C)に示すように、第2ハウジング42が、スリット刃28に対して挿入されて嵌め込まれる。第2ハウジング42がスリット刃28に挿入されて嵌め込まれることで、第1ハウジング41の挿通溝22とゴム部材13のスリット溝33とに挿通されたマグネットワイヤ100に当接部23が当接する。そして、マグネットワイヤ100に圧接されたスリット刃28に第2ハウジング42が嵌め込まれた状態では、
図19乃至
図21、
図22(C)を参照して、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、ゴム部材13のスリット刃カバー部32のカバー壁部34のスリット溝33の縁部と第2ハウジング42の当接部23とで覆われる。尚、マグネットワイヤ100に圧接されたスリット刃28に第2ハウジング42が嵌め込まれることで、コネクタ2とマグネットワイヤ100との接続動作が完了する。
【0098】
上述した第2実施形態のコネクタ2によると、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41に挿入されるとともに、第1ハウジング41の挿通溝22に挿通されたマグネットワイヤ100がコンタクト12のスリット刃28にも挿入された状態となることで、スリット刃28がマグネットワイヤ100の被覆100bを切り破って食い込んでマグネットワイヤ100に圧接される。コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接されることで、コネクタ2がマグネットワイヤ100に接続される。
【0099】
また、コネクタ2によると、コンタクト12に装着されてコンタクト12とともに第1ハウジング41に挿入されるゴム部材13には、スリット刃カバー部32が設けられている。そして、第1ハウジング41の挿通溝22に対応して開口するスリット刃カバー部32のスリット溝33にマグネットワイヤ100が挿通された状態で、スリット刃カバー部32によりスリット刃28の両側が覆われてカバーされる。更に、ゴム部材13が装着されたコンタクト12が第1ハウジング41に挿入されてコンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された状態では、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、スリット刃カバー部32のスリット溝33の縁部と第2ハウジング42の当接部23とで覆われる。
【0100】
また、コネクタ2によると、コンタクト12のスリット刃28とスリット刃28に圧接したマグネットワイヤ100とにおける互いに圧接された領域が、ゴム部材13とハウジング11の第2ハウジング42とによって覆われ、外部に対して遮蔽されて露出しない状態となる。即ち、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける互いに圧接された領域が、ゴム部材13と第2ハウジング42とで遮蔽されて第1ハウジング41の挿通溝22から外部に露出することが防止される。このため、コネクタ2が高湿度環境下で用いられる場合、或いは、塩水が噴霧される虞がある環境下で用いられる場合であっても、コンタクト12のスリット刃28とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分が、ゴム部材13と第2ハウジング42とで覆われて外部に対して遮蔽される。これにより、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分において、電解腐食が生じることが防止される。
【0101】
また、上述のように、コネクタ2によると、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分が、ゴム部材13とハウジング11の第2ハウジング42とで覆われて外部に対して遮蔽され、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分において、電解腐食が生じることが防止される。このため、電解腐食のためにコンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理をする必要はなくなることになる。このような2次処理が不要になることで、コネクタ2の設置作業の手間の増大を抑制でき、コネクタ2の設置費用の増大も抑制することができる。
【0102】
したがって、第2実施形態によると、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分において電解腐食が生じることを防止でき、電解腐食の防止のためにコンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分を樹脂に埋没させる2次処理も不要にすることができる、コネクタ2を提供することができる。
【0103】
また、第2実施形態のコネクタ2によると、ゴム部材13が装着されたコンタクト12を第1ハウジング41に挿入し、マグネットワイヤ100を第1ハウジング41の挿通溝22とゴム部材13のスリット溝33とに挿通した状態で、マグネットワイヤ100がコンタクト12のスリット刃28に圧接される。そして、第1ハウジング41とは別体で当接部23が設けられた第2ハウジング42がスリット刃28に挿入されて嵌め込まれることで、第1ハウジング41の挿通溝22とゴム部材13のスリット溝33とに挿通されたマグネットワイヤ100に対して当接部23が当接する。これにより、コンタクト12とマグネットワイヤ100とが圧接された領域が、スリット刃カバー部32のスリット溝33の縁部と第2ハウジング42の当接部23とで覆われる。これによって、コンタクト12のスリット刃28とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分が、ゴム部材13と第2ハウジング42とで覆われて外部に対して遮蔽されて露出しない状態となる。したがって、第2実施形態によると、コンタクト12を第1ハウジング41に挿入してマグネットワイヤ100をコンタクト12に圧接した後に、第2ハウジング42をコンタクト12のスリット刃28に挿入して嵌め込む操作が要請される形態のコネクタ2の場合であっても、コンタクト12とマグネットワイヤ100とにおける圧接された部分をゴム部材13とハウジング11とで覆って外部に対して遮蔽することができる。
【0104】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0105】
(1)前述の第1及び第2実施形態では、コネクタが1本のマグネットワイヤ100に接続される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。コネクタに対して複数本のマグネットワイヤ100が接続される形態が実施されてもよい。この場合、コネクタは、ハウジング11と、複数のコンタクト12と、複数のゴム部材13とを備えて構成される。各コンタクト12に各ゴム部材13が装着され、ゴム部材13がそれぞれ装着された複数のコンタクト12が、ハウジング11に挿入される。そして、各コンタクト12と各マグネットワイヤ100とが圧接により接続される。
【0106】
(2)前述の第1及び第2実施形態では、コンタクト12においてスリット刃28が一対で設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。スリット刃28が1つ又は3つ以上設けられたコンタクト12を備えたコネクタの形態が実施されてもよい。
【0107】
(3)前述の第1及び第2実施形態では、ゴム部材13において、コンタクト12の外周に対してコンタクト12の周方向に亘って帯状に延びた状態で取り付けられる取付け部31が2つ設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。取付け部31が1つ又は3つ以上設けられたゴム部材13を備えたコネクタの形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、心線とその周囲のエナメル製の被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して接続されるコネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0109】
1、2 コネクタ
11 ハウジング
12 コンタクト
13 ゴム部材
22 挿通溝
23 当接部
28 スリット刃
32 スリット刃カバー部
33 スリット溝
100 マグネットワイヤ
100a 心線
100b 被覆