(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175181
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】検査システム、検査ユニット及びサーバ
(51)【国際特許分類】
G01D 21/00 20060101AFI20231205BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20231205BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20231205BHJP
G05B 23/02 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
G01D21/00 K
G08B25/10 A
G05D1/02 P
G05B23/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087501
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188949
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 成典
(74)【代理人】
【識別番号】100214215
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼梨 航
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正天
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】中塚 康夫
【テーマコード(参考)】
2F076
3C223
5C087
5H301
【Fターム(参考)】
2F076BA11
2F076BA14
2F076BA16
2F076BC01
2F076BD07
2F076BD12
2F076BD17
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2F076BE17
2F076BE18
2F076BE19
3C223AA01
3C223BA04
3C223BB05
3C223EA04
3C223EB07
5C087AA05
5C087AA19
5C087BB20
5C087DD13
5C087DD21
5C087EE09
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5C087FF04
5C087GG70
5C087GG83
5H301BB10
5H301CC09
5H301DD07
5H301GG05
5H301MM01
5H301QQ00
(57)【要約】
【課題】デバイスのバッテリー消耗を抑制しつつ、広範囲を対象とした状況検知を可能とする検査システムを提供する。
【解決手段】検査システムは、検査システムは、検査ユニットと、サーバとを有し、前記検査ユニットは、自動巡回を行う車両と、自律移動可能なデバイスと、前記デバイスを搭載して前記車両に牽引される架台と、周囲の状況を検知する検知部と、前記サーバと通信を行う通信部と、前記デバイスを発着させる発着部と、を有し、前記サーバは、前記検知部が検知した情報に基づいて、前記検査ユニットへ前記デバイスの発進を命令する命令部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査ユニットと、サーバとを有し、
前記検査ユニットは、
自動巡回を行う車両と、
自律移動可能なデバイスと、
前記デバイスを搭載して前記車両に牽引される架台と、
周囲の状況を検知する検知部と、
前記サーバと通信を行う通信部と、
前記デバイスを発着させる発着部と、を有し、
前記サーバは、前記検知部が検知した情報に基づいて、前記検査ユニットへ前記デバイスの発進を命令する命令部を有する、
検査システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記検査ユニットから受信した情報に基づいて異常を判定する判定部を有し、
前記命令部は、前記判定部の判定結果に応じて前記デバイスの発進を命令する、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記検知部は、位置情報、温度情報、音響情報、3次元情報のうち、少なくとも1つを検知する機能を有する、
請求項1又は請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記車両と前記架台は連結器によって物理的に連結されるとともに電気的に接続され、
前記架台は、前記デバイスと接続して前記デバイスを保持する接続部と、前記接続部と対向する位置に設けられた昇降口と、を有し、前記昇降口には、前記デバイスを前記架台の高さと地面との間で昇降させる昇降部が設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の検査システム。
【請求項5】
前記接続部は、給電機能とデータ転送機能を有し、
前記車両が電源と接続することによって前記接続部を介して前記デバイスへ給電され、前記デバイスから前記車両へデータ転送される、
請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記異常と判定した場合に他装置へ異常の発生を通知する通知部、
を更に有する請求項2に記載の検査システム。
【請求項7】
前記検知部が、前記車両又は前記架台に設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の検査システム。
【請求項8】
前記検知部が、前記デバイスに設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の検査システム。
【請求項9】
自動巡回を行う車両と、
自律移動可能なデバイスと、
前記デバイスを搭載し前記車両に牽引される架台と、
周囲の状況を検知する検知部と、
前記検知部が検知した情報に基づいて、前記デバイスの発進を命令する命令部と、
前記デバイスを発着させる発着部と、
を有する検査ユニット。
【請求項10】
自律移動可能なデバイスを搭載して自動巡回を行う車両から、前記車両の周囲の状況を示す検知情報を取得する取得部と、
前記検知情報に基づいて、前記車両へ前記デバイスの発進を命令する命令部と、
を有するサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システム、検査ユニット及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れ、高温等の異常状況を検出する検査機能及び当該異常に対する対処機能を有するロボット等のデバイスは様々な分野において提案されている(例えば、特許文献1)。デバイスは、特定の用途に応じて開発されたものであることが多く、移動手段を備えたものが存在する。移動手段は、近距離に存在する対象物へ接近することを目的として設けられていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製油所などのプラントで自律移動可能なデバイスによって、プラント状況の検知を行う場合、デバイスに広大な敷地を巡回させる必要がある。例えば、デバイスの移動距離が格納場所から数百メートル~数キロメートルに達する可能性がある。デバイスの巡回をそれぞれのデバイスの移動手段を用いて行うとバッテリーを消耗し、状況検知の機能や、検知後の動作に支障をきたす可能性がある。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる検査システム、検査ユニット及びサーバを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、検査システムは、検査ユニットと、サーバとを有し、前記検査ユニットは、自動巡回を行う車両と、自律移動可能なデバイスと、前記デバイスを搭載して前記車両に牽引される架台と、周囲の状況を検知する検知部と、前記サーバと通信を行う通信部と、前記デバイスを発着させる発着部と、を有し、前記サーバは、前記検知部が検知した情報に基づいて、前記検査ユニットへ前記デバイスの発進を命令する命令部を有する。
【0007】
本開示の一態様によれば、検査ユニットは、自動巡回を行う車両と、自律移動可能なデバイスと、前記デバイスを搭載し前記車両に牽引される架台と、周囲の状況を検知する検知部と、前記検知部が検知した情報に基づいて、前記デバイスの発進を命令する命令部と、前記デバイスを発着させる発着部と、を有する。
【0008】
本開示の一態様によれば、サーバは、自律移動可能なデバイスを搭載して自動巡回を行う車両から、前記車両の周囲の状況を示す検知情報を取得する取得部と、前記検知情報に基づいて、前記車両へ前記デバイスの発進を命令する命令部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、デバイスのバッテリー消耗を抑制しつつ、広範囲を対象とした状況検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る検査システムの一例を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る検査ユニットの概略を示す側面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る検査ユニットの概略を示す平面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る検査システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】第1の実施形態に係る検査ユニットの一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】第1の実施形態に係る検査システムの動作の一例を示す第1のフロー図である。
【
図7】第1の実施形態に係る検査システムの動作の一例を示す第2のフロー図である。
【
図8】第1の実施形態に係る検査システムの動作の一例を示す第3のフロー図である。
【
図9】第1の実施形態に係る検査システムの動作の一例を示す第4のフロー図である。
【
図10】第2の実施形態に係る検査システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図11】第2の実施形態に係る検査ユニットの一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
(システム構成)
以下、本開示の第1の実施形態による検査システムについて
図1~
図9を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る検査システムの一例を示す概略図である。検査システム1は、検査ユニット10と、無線通信装置5a~5cと、ネットワーク(NW)と、サーバ20と、端末装置30と、を有している。検査システム1は、さらに、外部記憶装置40を有していてもよい。検査ユニット10は、無線通信装置5aを介してネットワーク(NW)と接続される。サーバ20、外部記憶装置40は、無線通信装置5bを介してネットワーク(NW)と接続される。端末装置30は、無線通信装置5cを介してネットワーク(NW)と接続される。これにより、検査ユニット10と、サーバ20と、端末装置30と、外部記憶装置40は、ネットワーク(NW)を介して通信可能に接続される。無線通信装置5a~5cは、例えば、アクセスポイント(AP)やルータを含み、図示する以外にも施設G内の各所に設置されていてもよい。検査システム1では、検査ユニット10がプラントや工場などの施設Gの巡回ルートRを自動巡回等することによって、施設Gの各所で周囲の状況を検知する。検査ユニット10は、巡回ルートRを巡回することに代えて/加えて、施設G内の所定の2点間の往復や複数の検査対象箇所を往来したりすることによって、周囲の状況を検知してもよい。また、検査ユニット10は、運転員の遠隔操作により運行されてもよい。サーバ20は、検査ユニット10によって検知された情報(検知情報と称する。)を収集し、異常の発生を監視する。サーバ20は、異常が発生すると端末装置30等にアラートを通知する。外部記憶装置40は、検査ユニット10が検知した検知情報を蓄積するために用いることができる。
【0012】
図2に示すように、検査ユニット10は、車両11と、架台12a~12cを有する。車両11と架台12aは連結器14aで連結され、架台12aと架台12bは連結器14bで連結され、架台12bと架台12cは連結器14cで連結され、架台12a~12cは、前方の車両11又は架台12a~12bに追随して走行する。連結器14a~14cには、電力線と通信線(又は電力線搬送通信線)が敷設され、車両11と、架台12a~12cは物理的に連結されているだけでなく、電気的にも接続されている。車両11は、施設G内の予め定められた巡回ルートRを自動巡回する機能と、架台12a~12cを牽引する機能を有する。車両11は、格納庫60または巡回ルートR沿いに配置されたステーション50にて充電を行いつつ、巡回ルートを自動的に巡回する。車両11には、例えば、AGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)などの無人搬送車を用いることができる。
【0013】
車両11によって牽引される架台12a~12cには、物流分野で活用されている一般的な架台を用いることができる。架台12a~12cには、検査デバイス13を搭載する。検査デバイス13は、センサ、マニピュレータ、移動手段、バッテリー等を備えたロボットである。検査デバイス13は、
図1の格納庫60で保管され、検査ユニット10が巡回する際に、架台12a~12cに搭載される。検査デバイス13の移動手段には、キャタピラ方式、タイヤ方式(多少の段差を乗り越え可能な大径タイヤを備えたものや細かな移動が可能な小型タイヤを備えたもの等)、2足又は4足歩行方式、飛行方式などがある。
図2の例では、架台12aに作業用のアームとタイヤ方式の移動手段を有する検査デバイス13aが搭載され、架台12bに4足歩行方式の移動手段を有する検査デバイス13bが搭載され、架台12cは空となっている。架台12cを参照すると、架台12cは、ポート121cと、ポート121c用のレール122cと、昇降台123cとを有する。架台12aもポート121aと、レール122aと、昇降台123aを有している。架台12bについても同様である。以下、架台12a~12cの区別の必要が無い場合には、単に架台12と記載する場合がある。ポート121c、レール122c、昇降台123cについても、単にポート121、レール122、昇降台123と記載する場合がある。検査デバイス13a~13bについても検査デバイス13と記載する場合がある。架台12および検査デバイス13が有する機能部(後述するデバイス接続部120a、昇降部124a、検知部131a、記憶部132a、通信部133a、発着部134a、電源部135a)についても同様である。なお、
図2には、架台12が3台連結されている構成を例示しているが、架台12の数や検査デバイス13の数は任意であってよい。以下、空状態の架台12cを例に架台12の機能・構成について説明する。
【0014】
ポート121cは、架台12cに搭載される検査デバイス13と架台12cとを物理的および電気的に接続する。例えば、ポート121cには、充電用の接続口とデータ転送用の接続口が設けられている。あるいは、PLC(Power Line Communications)のように充電とデータ転送の両方が可能な電力線搬送通信の接続口が設けられていてもよい。これらの接続口は、それぞれ連結器14b等に敷設された電力線および通信線と接続しており、検査デバイス13をポート121cに接続することで、検査デバイス13と車両11の間でデータ転送が可能になる。また、電力については、検査デバイス13がポート121cに接続された状態で車両11をステーション50に接続することで、ステーション50から供給される電力を、検査デバイス13へ供給することが可能になる。充電用の接続口は、例えば、2極又は3極接点方式(望ましくは3極接点方式)である。充電用の接続口は、無接点方式であってもよい。ポート121cには磁石が設けられていて、接点の位置決めおよび固定のために磁力を活用しオス・メスの接点が正しく接続されるように、不図示の検査デバイス13側の接続口(接続口には、充電用とデータ転送用の接続口が設けられている。)を誘導し、ポート121cと検査デバイス13の接続口とを接続する。ポート121cに設けられた磁石は、ネオジウム磁石でもよいし、必要な場合のみに磁力が発生する電磁石方式であってもよい(望ましくは、電磁石方式)。ポート121cは、レール122cによって
図2の矢印2Yが示す紙面左右方向に移動可能に支持されている。これにより、検査デバイス13の積載位置や検査デバイス13側の接続口の位置に応じて、ポート121cの位置を柔軟に調整することができる。また、車両11の巡回中に揺れなどの衝撃によって、検査デバイス13の位置がずれたときにも対応することができる。ポート121cおよびレール122cは、検査デバイス13の接続口の高さに合わせて設けられるが、ポート121cおよびレール122cの高さ方向の位置は調整可能であってもよい。
【0015】
地上を移動する検査デバイス13は、昇降台123cを利用して、
図2における紙面の手前側から奥行き側へ移動することにより、架台12cへ進入し、ポート121cと接続することによって架台12cに保持される。検査デバイス13は、ポート121cを検知して、ポート121cへ向けて自装置の接続口を接近するようにプログラムされており、このプログラムに従って自律的に移動することにより、ポート121cと接続する。この状態から検査デバイス13が発進する場合、検査デバイス13は、
図2の紙面手前方向に進行して、昇降台123cを利用して地面に降り、目的地まで移動する。次に
図3を参照する。
図3の矢印3Yによって、検査デバイス13の発着時の移動方向を示す。矢印3Yが示す方向の移動だけで、検査デバイス13の発着が可能なように、ポート121cは、架台12cの昇降口124cの反対側の壁面125cに設けられていることが望ましい。所謂ドローン等の飛行型の検査デバイス13の発着(離着陸)に対応するために、ポート121cやレール122cと同様の構成が、架台12cの床面に設けられていてもよい(図示せず)。
【0016】
昇降台123cは、検査デバイス13の荷台への積み下ろしを補助する。例えば、昇降台123cは、検査デバイス13の発着以外の場面では、架台12cの床下に収納されるか、又は、昇降口124c側の壁を成し、昇降時には、床下から架台12cの外側へスライドするか(床下収納の場合)又は、壁の内側を形成した面が地面と水平になるまで壁の底辺を支点として架台12c外側に回転して(壁を成す場合)、検査デバイス13を載せる台座を提供し、検査デバイス13を載せた台座を架台12cの床面高さから地面高さまで昇降する昇降装置であってもよい。あるいは、昇降台123cは、検査デバイス13の発着以外の場面では、架台12cの床下に収納されるか又は昇降口124c側の壁を成し、昇降時には、床下から架台12cの側面の外側へスライドさせてその先端を地面に設置するか(床下収納の場合)又は、壁の底辺を支点として架台12c外側に回転させて、壁の上辺を地面に設置することにより、架台12cの床面と地面を橋渡しするスロープであってもよい。検査デバイス13は、昇降台123cを使って昇降することにより、架台12cに出入りする。
【0017】
図3は、検査ユニット10が、ステーション50に到着し、ステーション50の接続部51と接続した状態を示している。車両11は、自動制御により、自身の接続ポート(図示せず)を接続部51と接続して停車するようにプログラムされており、このプログラムに従って、自律的に位置決めしてステーション50に停車する。車両11の接続ポートは、車両側面に配置され、ステーション50の接続部51と接続される。ステーション50は、電源部52と通信部53(
図4)を有しており、電源部52から車両11へ給電される。この給電により車両11のバッテリーが充電される。また、ポート121a~121cは車両11と電力線および通信線(又は電力線搬送通信線)で接続されており、ステーション50から供給された電力は、車両11とポート121を接続する電力線を通じて、検査デバイス13へ供給される。これにより、検査デバイス13が備えるバッテリーが充電される。また、ステーション50に検査デバイス13用の充電ポートを設けておき、検査デバイス13をこの充電ポートに接続して電源部52から検査デバイス13へ給電することによって、検査デバイス13が備えるバッテリーを充電することができるように構成されていてもよい。
【0018】
次に
図4、
図5を参照して、検査システム1の機能について、さらに詳しく説明する。
図4は、第1の実施形態に係る検査システムの一例を示す機能ブロック図である。
図4では、無線通信装置5a~5cの記載を省略している。検査ユニット10は、車両11と、架台12と、検査デバイス13とを有する。ここで、
図5を参照して、車両11、架台12、検査デバイス13の機能・構成の一例について説明する。
【0019】
図5は、第1の実施形態に係る検査ユニットの一例を示すブロック図である。車両11は、検知部111と、記憶部112と、
通信部113と、ステーション接続部114と、を有している。
【0020】
検知部111は、位置情報取得部1111と、温度情報取得部1112と、音響情報取得部1113と、3次元情報取得部1114と、を有している。検知部111は、位置情報取得部1111、温度情報取得部1112、音響情報取得部1113、3次元情報取得部1114によって検査ユニット10の周囲の状況を検知する。
【0021】
位置情報取得部1111は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機などを含み、車両11の位置情報を取得する。位置情報取得部1111は、施設Gの各所に設けられたRFID(Radio Frequency Identifier)タグから情報を受信することによって、車両11の位置情報を取得してもよい。また、車両11が、巡回ルートRに沿って敷設されたラインをトレースすることによって移動する場合、ラインに場所固有のマークを付しておき、位置情報取得部1111が、そのマークを読み取ることにより、車両11の位置情報を取得してもよい。車両11が、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)機能を利用して、自律走行する場合、SLAMによって作成した地図情報にトリガーポイントを設定し、トリガーポイントに到達したときに、位置情報取得部1111が、トリガーポイントの位置情報を取得してもよい。位置情報取得部1111は、取得した位置情報を記憶部112に記録するとともに、通信部113へ出力する。
【0022】
温度情報取得部1112は、例えば、温度センサ、赤外線カメラなどを含み、これらのセンサが計測した温度を取得する。温度情報取得部1112は、時々刻々の周囲温度を取得してもよいし、位置情報取得部1111によって所定の位置、例えば、RFIDが設けられた位置やライントレース用のラインにマークが付された位置などのトリガーポイントに到達したことを契機として、所定の位置の周囲温度を取得してもよい。温度情報取得部1112は、取得した温度情報を記憶部112に記録するとともに、通信部113へ出力する。
【0023】
音響情報取得部1113は、例えば、マイクロフォンを含む。音響情報取得部1113は、時々刻々の周囲の音を集音してもよいし、位置情報取得部1111によって所定の位置に到達したことが検出されたことを契機として、周囲の音を集音してもよい。音響情報取得部1113は、取得した音響情報を記憶部112に記録するとともに、通信部113へ出力する。
【0024】
3次元情報取得部1114は、レーザ計測器やカメラを含み、LiDAR(Light Detection and Ranging)やフォトグラメトリ法により周囲の3次元情報を取得してもよい。3次元情報取得部1114は、位置情報取得部1111によって所定の位置に到達したことが検出されたことを契機として、周囲の3次元情報を取得する。3次元情報取得部1114は、計測した3次元情報を記憶部112に記録するとともに、通信部113へ出力する。3次元情報の取得には、計算負荷が生じるが、3次元情報の取得位置を定めることによって、現実的な計算負荷の範囲で処理を実施することができる。
【0025】
記憶部112は、不揮発性メモリにより構成され、検知部111が検知した検知情報を記憶する。
通信部113は、Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)の通信モジュールを含み、検知部111による検知情報をサーバ20へ送信する。また、通信部113は、サーバ20からどの検査デバイス13を発進させるかを指示する命令情報を受信する。通信部113は、PLCや通信線を通じて、架台12に接続された検査デバイス13との間でデータ転送を行う。例えば、通信部113は、検査デバイス13が架台12に接続されている場合、検査デバイス13によって検知された検知情報を受信することができる。通信部113は、検査デバイス13から受信した情報を記憶部112へ記録したり、サーバ20へ送信したりしてもよい。通信部113は、車両11がステーション50に停車したときに、PLCや通信線を通じて、ステーション50との間でデータ転送を行う。例えば、通信部113は、記憶部112に記録された情報をステーション50へ送信する。
【0026】
ステーション接続部114は、ステーション50の接続部51と接続する接続ポート(図示せず)を含む。接続ポートには、車両11のバッテリーやデバイス13へ給電するための電力線の接続口、車両11や検査デバイス13とデータ転送を行う為の通信線の接続口が設けられている。電力線は、接続ポートと車両11のバッテリーとを接続し、接続ポートと架台12のポート121と接続している。ステーション接続部114は、電力線を通じてステーション50から受電し、ポート121を通じて検査デバイス13へ電力を供給する。通信線は、接続ポートと車両11の通信部113とを接続し、接続ポートと架台12のポート121とを接続している。ステーション接続部114は、通信線を通じて、通信部113が送信した検知情報などをステーション50へ転送する。また、ステーション接続部114は、通信線を通じて、検査デバイス13の通信部133が送信した検知情報などをステーション50へ転送する。
【0027】
架台12aは、デバイス接続部120aと、昇降部124aと、を有している。
デバイス接続部120aは、ポート121aとレール122aを含み、検査デバイス13aと架台12aを接続する。また、デバイス接続部120aは、検査デバイス13をポート121aに接続する際、検査デバイス13の位置に応じて、レール122aにおけるポート121aの水平方向の位置を調整する。
昇降部124aは、昇降台123aを含み、検査デバイス13aの発着に応じて、昇降台123aの昇降を制御する。例えば、昇降部124aは、車両11の通信部113と接続されていて、通信部113は、サーバ20から検査デバイス13aを発進させることを指示する命令情報を受信すると、その命令情報を昇降部124aへ出力する。昇降部124aは、通信部113からの命令情報に基づいて、検査デバイス13aが発進できるように、昇降台123aを制御する。
【0028】
架台12b、12cの機能・構成についても架台12aと同様である。また、図示は省略するが、車両11の検知部111の機能を架台12a~12cの何れかに設けてもよい。
【0029】
検査デバイス13aは、検知部131aと、記憶部132aと、通信部133aと、発着部134aと、電源部135aと、を有する。
検知部131aは、検査デバイス13aの目的に応じて搭載された各種センサを含み、検査デバイス13aの周囲の状況を検知する。検知部131aは、車両11の検知部111の位置情報取得部1111、温度情報取得部1112、音響情報取得部1113、3次元情報取得部1114と同様の機能を有していてもよいし、そのほかの圧力、流量、振動、火災や煙の有無などを検知する機能を有していてもよい。検知部131aは、検知した情報を記憶部132aに記録するとともに通信部133aへ出力する。
記憶部132aは、不揮発性メモリにより構成され、検知部131aが検知した検知情報を記憶する。
通信部133aは、Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)の通信モジュールを含み、検知部131aが検知した検知情報をサーバ20へ送信する。通信部133aは、PLCや通信線を通じて、車両11の通信部113との間でデータ転送を行う。例えば、通信部133aは、検知部131aによって検知された情報を車両11の通信部113へ転送する。検査デバイス13が架台12と接続されている場合、検知部131aによって検知された検知情報は、通信部133a、通信部113を経由して、車両11からサーバ20へ送信することができる。また、検査デバイス13が架台12と接続されている場合であっても、通信部133aが、検知部131aによって検知された検知情報をサーバ20へ送信してもよい。例えば、通信部113とサーバ20との通信状況が不安定な場合には、通信部133aが検知情報をサーバ20へ送信し、通信部113とサーバ20との通信に問題が無い場合には、検査デバイス13のバッテリーの消耗を抑えるため、通信部113からサーバ20へ検知情報を送信する等、通信電波の状況等に応じて、適宜、通信手段を選択できるように構成されていてもよい。
発着部134aは、検査デバイス13aの移動手段を含み、移動手段を制御することにより、検査デバイス13aを架台12aから発進させたり、架台12aへ戻して、検査デバイス13の接続口をポート121aと接続したりする。
電源部135aは、バッテリーや充電装置を含み、検査デバイス13aの動力源となる。車両11がステーション50で接続部51と接続された場合には、充電装置がバッテリーを充電する。また、電源部135aは、バッテリーの充電状況を、通信部133aを通じて、サーバ20へ送信する。
検査デバイス13b、13cの機能・構成についても検査デバイス13aと同様である。
【0030】
図4に例示する構成は一例である。例えば、検査ユニット10は、位置情報、温度情報、音響情報、3次元情報などの検知情報をサーバ20へ送信するが、これらの検知情報は、車両11の検知部111によって検知されてもよいし、検査デバイス13の検知部131によって検知されてもよい。検知部131によって検知される場合、車両11は検知部111を有しない構成とすることができる。この構成の場合、車両11の製造コストを低減し、簡易な構成とすることができる。車両11が検知部111によって検知情報を取得し、検査デバイス13の検知部131を使用しない構成の場合、検査デバイス13のバッテリーの消耗を抑制することができる。また、検知部111と同様の機能を架台12に設けることもできる。この場合にも、車両11は検知部111を有しない構成とすることができる。また、位置情報と温度情報を車両11は検知部111の検知部111にて取得し、他の検知情報を検査デバイス13や架台12に設ける検知部によって取得するように構成することができる。また、検知情報として、位置情報、温度情報、音響情報、3次元情報の全てが必須では無く、例えば、位置情報、温度情報だけの実施形態や位置情報、温度情報、音響情報だけの実施形態であってもよい。
【0031】
検査ユニット10が取得した検知情報のサーバ20への送信についても多様な構成とすることができる。例えば、車両11の検知部111が検知情報を取得して通信部113が送信してもよいし、検査デバイス13の検知部131が検知情報を取得して通信部133が送信してもよい。前者の場合、検査デバイス13のバッテリー消耗を抑制することができる。後者の場合、車両11をステーション接続部114だけを備える構成とすることができ、構成を簡易なものとすることができる。また、検知部131が検知情報を取得して、車両11の通信部113が送信してもよいし、検知部111および通信部113を架台12に設け、検知情報を架台12から送信する構成とすることができる。これらの構成の場合にも、検査デバイス13のバッテリー消耗を抑制することができる。同様に検査デバイス13のバッテリーの充電状況についても、ポート121を通じて車両11へデータ転送し、車両11の通信部113から送信するようにしてもよい。
【0032】
検査ユニット10からサーバ20への検知情報の送信は、巡回中に実行される他、ステーション50に停車している間にも行われる。検査ユニット10は、検知情報を記憶部112又は記憶部132に記録しておき、ステーション50に到着して接続ポートを接続部51に接続すると、記憶部112又は記憶部132に記録しておいた検知情報をステーション50経由でサーバ20へ送信する。これにより、例えば巡回中に通信状況の低下等により送信できなかった検知情報を漏れなく送信することができる。また、巡回中に送信する検知情報は最低限の情報(例えば、位置情報、温度情報、音響情報、3次元情報)だけにして、ステーション50経由で送信する場合には、他のセンサによって検知された情報やより詳細な情報を送信するようにしてもよい。
【0033】
サーバ20は、受信部21と、解析・判定部22と、命令部23と、通知部24と、出力部25と、記憶部26と、通信部27と、を備える。なお、
図4では、1台のサーバ20が、これらの機能部を備えることとしているが、各機能部の一部又は全部を複数のサーバに分散して実装してもよい。例えば、解析・判定部22を別のサーバ20´(図示せず)に実装するようにしてもよい。
受信部21は、通信部27を介して、検査ユニット10が送信した検知情報を受信し、これらと、受信時刻とを対応付けて記憶部26に記録する。検知情報には、位置情報、温度情報、音響情報、3次元情報と、検知手段の識別情報(例えば、車両11の検知部111が取得した検知情検査報か検査デバイス13の検知部131が取得した検知情報かを区別するための識別情報)が含まれる。
【0034】
解析・判定部22は、受信部21が受信した検知情報に基づいて検査ユニット10の周囲に異常が発生しているかどうかを判定する。例えば、受信部21が温度情報を受信した場合、解析・判定部22は、過去に同じ位置で取得された温度情報と比較して、両者に所定の閾値以上の差があれば温度に異常が発生していると判定する。例えば、受信部21が音響情報を受信した場合、解析・判定部22は、過去に同じ位置で取得された音響情報と比較して、両者に所定の閾値以上の差があれば異常音が発生していると判定する。例えば、解析・判定部22は、音響情報のうちの特定の周波数の強度が閾値以上強くなっている場合、異常音が発生したと判定する。また、解析・判定部22は、音響情報に基づいて異常音が発生したと判定した場合、異常音の発生位置を推定してもよい。例えば、過去の音響情報の周波数波形をもとに特定の周波数の音圧が大きくなっている場合、特定した周波数に基づいて異常と判定できる音響情報が取得できる位置を3点取得し、3点測位法を用いて異常音の発生位置を推定する。ここで、3点測位法とは、3か所の無線LANのアクセスポイントが測定する電波強度により、電波を発信する端末等の位置を推定する公知のアルゴリズムである。このアルゴリズムにおける電波強度を音圧に置き換えることで異常音の発生位置を推定することができる。また、例えば、受信部21が3元情報取を受信した場合、解析・判定部22は、過去に同じ位置で取得された3次元情報と比較して異物等を検出し、異物などが検出された場合には異常が発生したと判定する。解析・判定部22は、過去の正常時における検知情報を学習して構築された判定モデルによって異常の発生を判定してもよい。また、解析・判定部22は、検査デバイス13の検知部131が検知する温度情報、音響情報、3次元情報以外の検知情報に基づいて異常判定を行ってもよい。解析・判定部22は、異常を判定すると、例えば、異常の種類(例えば、異常と判定した検知情報の種類(温度情報等))や異常が検出された位置情報を命令部23、通知部24、出力部25へ出力する。また、解析・判定部22は、受信部21が受信した位置情報に基づいて検査ユニット10が検査デバイス13を用いて検査等を行うべき位置に到達したかどうかを判定する。
【0035】
命令部23は、解析・判定部22によって異常が判定されると、異常の種類や異常が検出された位置情報に基づいて、架台12に搭載された検査デバイス13の中から適切な検査デバイス13を選択する。命令部23は、通信部27を介して、選択した検査デバイス13を発進させることを指示する命令情報を検査ユニット10へ送信する。例えば、温度情報に基づいて異常と判定された場合、検知された温度によって発生している異常の種類が異なり、各異常に対処するための検査デバイス13が異なる可能性がある。また、異常が検出された位置情報が異なれば、発生している異常の種類が異なったり、同様の異常でも対処が異なったりする可能性がある。命令部23は、温度情報や位置情報に基づいて、その温度情報や位置情報から想定される異常に対処する作業を行う機能や、その異常に関する詳細な調査を行う機能を有する検査デバイス13を選択する。命令部23は、選択した検査デバイス13の識別情報と発進指示を含む命令情報を車両11へ送信する。命令部23によって選択される検査デバイス13は複数であってもよい。
【0036】
通知部24は、解析・判定部22によって異常が判定されると、通信部27を介して、異常の発生を端末装置30へ通知する。通知部24は、解析・判定部22によって判定された異常の種類や位置情報から過去の事例を検索し、過去事例における異常の詳細、対処方法などを端末装置30へ通知してもよい。作業員は、端末装置30に通知された情報を参照して異常に対処することができる。
【0037】
出力部25は、受信部21が受信した位置情報に基づいて、時々刻々の検査ユニット10の位置情報を表示装置へ出力する。出力部25は、検査ユニット10に搭載された検査デバイス13の種類、バッテリーの充電状況などを表示装置へ出力する。また、出力部25は、解析・判定部22によって異常が判定されると、異常の発生や異常発生位置を
図1に例示する施設Gの地図情報とともに表示装置へ出力してもよい。
【0038】
記憶部26は、受信部21が受信した検知情報、過去に発生した異常の事例情報(例えば、異常の内容や対処)、過去の正常時における検知情報(位置ごとの温度情報、音響情報、3次元情報)などを記憶する。
通信部27は、通信モジュールを含み、他装置と通信を行う。
【0039】
端末装置30は、スマートフォンやタブレット端末などの作業員が携帯する携帯端末である。端末装置30は、作業員が使用するPC(Personal Computer)であってもよい。
【0040】
外部記憶装置40は、サーバ20の外部に設けられた記憶装置である。外部記憶装置40は、所謂クラウドコンピューティングシステムに設けられていてもよい。サーバ20と外部記憶装置40とは、ネットワーク(NW)を介して通信が可能であり、サーバ20は、外部記憶装置40にデータを記録し、外部記憶装置40からデータを読み出すことができる。検査システム1において、外部記憶装置40は、記憶部26の代わりに使用することができる。例えば、サーバ20の受信部21は、受信した各種データを外部記憶装置40に記録してもよい。以下の説明では、一例として、各種データの記録先として記憶部26を用いることとしているが、記憶部26の代わりに外部記憶装置40を使用することができる。
【0041】
ステーション50は、接続部51と、電源部52と、通信部53とを有している。
接続部51は、車両11と接続し、電源部52が供給する電力を車両11へ供給する。接続部51は、車両11や検査デバイス13から転送される検知情報や充電状況などを受信し、通信部133を介してサーバ20へ検知情報等を送信する。
電源部52は、例えば、商用の交流電源と接続され、交流電力を直流電力に変換して車両11へ供給する。
通信部53は、有線又は無線LANなどの通信モジュールを含み、検査ユニット10から転送されたデータをサーバ20へ送信する。また、通信部53は、サーバ20からデータを受信し、受信したデータを検査ユニット10へ転送してもよい。
【0042】
(動作)
次に
図6~
図10を参照して、検査システム1の動作について説明する。
図6に巡回中の検査ユニット10による処理の流れを示す。
検査ユニット10は、検知情報を取得する(ステップS1)。検知情報とは、例えば、位置情報、温度情報、音響情報、3次元情報である。検知情報の取得は、検知部111が行ってもよいし、検知部131が行ってもよい。あるいは、架台12に検知部を設けて、架台12の検知部によって検知情報を取得してもよい。次に検査ユニット10が検知情報をサーバ20へ送信する(ステップS2)。検知情報の送信は、通信部113が行ってもよいし、通信部133が行ってもよい。あるいは、架台12に通信部を設けて、架台12の通信部によって検知情報を送信してもよい。次に検査ユニット10が検知情報を記憶する(ステップS3)。検査ユニット10は、ステーション50に停車した際に検知情報をステーション50へ転送できるように検知情報を記憶する。例えば、検知部111は、温度情報と音響情報と3次元情報を、それらの検知情報が取得された位置の位置情報および時刻情報と対応付けて記憶部112に記録する。検知情報は、記憶部112によって記憶されてもよいし、記憶部132によって記憶されてもよい。あるいは、架台12に記憶部を設けて、架台12の記憶部によって検知情報を記憶するようにしてもよい。
【0043】
図7に検査ユニット10がステーション50に停車しているときの処理の流れを示す。
車両11のステーション接続部114がステーション50の接続部51と接続された状態であるとする。検査ユニット10は、ステーション50から電力の供給を受け、車両11のバッテリーと検査デバイス13のバッテリーを充電する(ステップS11)。検査ユニット10は、巡回中に取得された検知情報などをステーション50へデータ転送する(ステップS12)。例えば、車両11の通信部113は、時系列の検知情報を記憶部112から読み出して、ステーション接続部114を通じてステーション50へ送信する。ステーション50では通信部53が接続部51を通じて、転送された検知情報等を受信する。次にステーション50が、検査ユニット10からデータ転送された検知情報などをサーバ20へ送信する(ステップS13)。通信部53は、検査ユニット10から受信した検知情報などをサーバ20へ送信する。
【0044】
次に
図8、
図9を参照して、サーバ20の動作について説明する。
図8に、検査ユニット10の位置情報に基づいて、検査デバイス13を発進させる場合の処理の流れを示す。
受信部21は、通信部27を介して、巡回中の検査ユニット10から送信された位置情報を受信する(ステップS21)。受信部21は、位置情報を記憶部26又は外部記憶装置40に記録するとともに解析・判定部22へ出力する。解析・判定部22は、ステップS21で受信された位置情報によって示される位置が、所定の位置かどうかを判定する(ステップS22)。所定の位置とは、例えば、定期的に検査デバイス13を用いた検査などが必要となる位置である。所定の位置ではない場合(ステップS22;No)、
図8の処理を終了する。所定の位置の場合(ステップS22;Yes)、解析・判定部22は、命令部23へ検査デバイスの発進を指示する。命令部23は、位置に応じた検査デバイスを特定する(ステップS23)。例えば、記憶部26には、位置と検査デバイス13を対応付けた設定情報が記録されていて、命令部23は、この設定情報に基づいて、検査デバイス13を特定する。次に命令部23は、特定した検査デバイス13の発進を指示する命令情報を、通信部27を介して検査ユニット10へ送信する(ステップS24)。検査ユニット10では、例えば、通信部113が命令情報を受信する。命令情報を受信すると車両11は、検査デバイス13が架台12から発進するまでの間、停車する。また、通信部113は、ポート121cを通じて、特定された検査デバイス13へ命令情報を通知する。検査デバイス13では、発着部134が検査デバイス13の移動手段を駆動して、検査デバイス13を発進させる。また、通信部113は、特定された検査デバイス13を搭載する架台12の昇降部124へ命令情報を通知する。昇降部124は、昇降台123を制御して、検査デバイス13を地面に降ろす。検査デバイス13は、必要な検査などを行って架台12に戻る。検査デバイス13がポート121と接続されると車両11は巡回を再開する。
【0045】
ステップS22の判定では、位置情報に加えて、前回検査デバイス13が検査してから所定時間以上の経過していることを条件に検査デバイスを発進すると判定してもよい。あるいは、検査ユニット10が所定の位置に到達する度にカウントし、例えば、3回に1回の頻度で、検査デバイスを発進すると判定してもよい。また、検査ユニット10が所定の位置に到達する度に検査デバイス13を発進させる場合でも、例えば、3種類の検査デバイス13を3回に1回ずつの頻度で、交代で発進させるようにしてもよい。
【0046】
図9に、検知情報の異常判定結果に基づいて、検査デバイス13を発進させる場合の処理の流れを示す。
受信部21は、通信部27を介して、巡回中の検査ユニット10又は検査ユニット10が停車中のステーション50から送信された検知情報を受信する(ステップS31)。受信部21は、検知情報を記憶部26又は外部記憶装置40に記録するとともに解析・判定部22へ出力する。解析・判定部22は、ステップS31で受信された検知情報に基づいて、異常が発生しているかどうかを判定する(ステップS32)。例えば、検知情報が温度情報の場合、ステップS31で受信した温度情報と過去に取得された正常時の温度と比較して、両者の差が閾値以上であれば、解析・判定部22は、温度情報が取得された位置の周辺で異常が発生していると判定し、両者の差が閾値未満であれば、当該位置で異常は発生していないと判定する。異常は発生していないと判定した場合(ステップS32;No)、
図9の処理を終了する。異常が発生したと判定した場合(ステップS32;Yes)、解析・判定部22は、命令部23へ検査デバイスの発進を指示する。命令部23は、位置に応じた検査デバイス13を特定する(ステップS33)。例えば、記憶部26には、異常の種類(この例の場合は温度)と検査デバイス13を対応付けた設定情報が記録されていて、命令部23は、この設定情報に基づいて、検査デバイス13を特定する。次に命令部23は、特定した検査デバイス13の発進を指示する命令情報を、通信部27を介して検査ユニット10へ送信する(ステップS34)。検査ユニット10では、例えば、通信部113が命令情報を受信し、
図8で説明したものと同様の処理によって検査デバイス13が発進する。次に通知部24は、異常の発生や対処方法などを、通信部27を介して端末装置30へ通知する(ステップS35)。
【0047】
ステップS33の処理では、検知情報に加えて、位置情報を考慮して、検査デバイス13を特定してもよい。例えば、記憶部26には、異常の種類と位置と検査デバイス13を対応付けた設定情報が記録されていて、命令部23は、この設定情報に基づいて、検査デバイス13を特定してもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の検査システム1によれば、検査デバイス13を搭載した架台を牽引する車両11に施設G内を自動巡回させることにより、デバイスのバッテリー消耗を抑制しつつ、広範囲を対象とした異常検知を行うことができる。また、必要に応じて検査デバイス13を用いた詳細な検査や異常への対処を行うことができる。
【0049】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態による検査システム1Aについて
図10~
図11を参照して説明する。第2の実施形態に係る構成のうち、第1の実施形態に係る検査システム1を構成する機能部と同様の機能を有するものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
図10は、第2の実施形態に係る検査システムの一例を示す機能ブロック図である。
図10に示すように、検査システム1Aにおいては、検査ユニット10Aが、第1の実施形態においてサーバ20が有している解析・判定部22、命令部23、通知部24に相当する機能である、解析・判定部22A、命令部23A、通知部24Aを有している。
図11に、第2の実施形態による検査ユニット10Aの構成例を示す。
図11に示すように、車両11Aは、検知部111と、記憶部112と、通信部113と、解析・判定部22Aと、命令部23Aと、通知部24Aと、を有している。解析・判定部22Aは、検知部111や検知部131が取得した検知情報に基づいて異常の発生を判定する。あるいは、解析・判定部22Aは、検知部111や検知部131が取得した位置情報に基づいて、検査ユニット10が所定の位置に到達したかどうかを判定する。命令部23Aは、解析・判定部22Aによって異常が発生したと判定されるか、又は、所定の位置に到達したと判定されると、状況に応じた検査デバイス13を特定し、ポート121を通じて、特定した検査デバイス13へ発進を指示する命令情報を送出する。また、命令部23Aは、特定された検査デバイス13を搭載する架台12の昇降部124へ命令情報を送出する。通知部24Aは、解析・判定部22Aによって異常が判定されると、異常の発生や対処方法などを、通信部113を介して端末装置30へ通知する。
【0051】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに第2の実施形態によれば、検知情報をサーバ20へ送信することなく、検査ユニット10Aの周囲の異常を検出したり、検査デバイス13を発進させたりすることができる。巡回中に取得された検知情報は貴重なデータであるから、第2の実施形態においても、検査ユニット10Aがステーション50に停車した際には、巡回中に記録した検知データをステーション50経由で、サーバ20や外部記憶装置40へ送信し、検知情報を蓄積しておくことができる。蓄積した検知情報は、解析・判定部22Aが異常判定に用いる判定モデルの学習データに使用することができる。
【0052】
車両11,11A、架台12、検査デバイス13,13A、サーバ20における各処理の過程は、各装置が有するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することによって実現できる。車両11,11A、架台12、検査デバイス13,13A、サーバ20によって実行されるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録され、この記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することによって実現してもよい。車両11,11A、架台12、検査デバイス13,13A、サーバ20は、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の可搬媒体、車両11,11A、架台12、検査デバイス13,13A、サーバ20に内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体には、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0053】
<付記>
各実施形態に記載の検査システム、検査ユニット及びサーバは、例えば以下のように把握される。
【0054】
(付記1)
検査システム(1)は、検査ユニット(10)と、サーバ(20)とを有し、前記検査ユニット(10)は、車両(11)と、自律移動可能なデバイス(検査デバイス13)と、前記デバイスを搭載して前記車両(11)に牽引される架台(12)と、周囲の状況を検知する検知部(111、131)と、前記サーバ(20)と通信を行う通信部(113,133)と、前記デバイス(13)を発着させる発着部(134)と、を有し、前記サーバ(20)は、前記検知部(111、131)が検知した情報に基づいて、前記検査ユニット(10)へ前記デバイス(13)の発進を命令する命令部(23)を有する。
これにより、デバイスのバッテリー消耗を抑制しつつ、広範囲を巡回して異常検知・検査を行うことができる。
【0055】
(付記2)
検査システム(1)は、付記1に記載の検査システム(1)であって、前記サーバ(20)は、前記検査ユニット(10)から受信した情報に基づいて異常を判定する判定部(解析・判定部22)を有し、前記命令部(23)は、前記判定部(22)の判定結果に応じて前記デバイス(13)の発進を命令する。
これにより、周囲の状況に応じてデバイスを発進させることができる。
【0056】
(付記3)
検査システム(1)は、付記1~2に記載の検査システム(1)であって、前記検知部(111、131)は、位置情報、温度情報、音響情報、3次元情報のうち、少なくとも1つを検知する機能を有する。
これにより、位置、温度、音響、3次元情報から周囲の異常を検知することができる。
【0057】
(付記4)
検査システム(1)は、付記1~3に記載の検査システム(1)であって、前記車両(11)と前記架台(12)は連結器(14)によって物理的に連結されるとともに電気的に接続され、前記架台(12)は、前記デバイス(13)と接続して前記デバイス(13)を保持する接続部(デバイス接続部120)と、前記接続部(120)に対向する位置に設けられた昇降口と、を有し、
前記昇降口には、前記デバイス(13)を前記架台の高さと地面との間で昇降させる昇降部(124)が設けられる、
これにより、検査デバイス13を架台12に格納したまま、検査デバイス13と電気的に接続すること(電力の供給が可能で、データ転送が可能なこと)ができる。また、接続部120に対向する位置に昇降部124を有することにより、スムーズに検査デバイス13を発進させたり、架台12に収納したりすることができる。
【0058】
(付記5)
検査システム(1)は、付記4に記載の検査システム(1)であって、前記接続部(120)は、給電機能とデータ転送機能を有し、前記車両(11)が電源(52)と接続することによって前記接続部(120)を介して前記デバイス(13)へ給電され、前記デバイスから前記車両へデータ転送される。
これにより、デバイスを格納したまま充電とデータ転送を行うことができる。
【0059】
(付記6)
検査システム(1)は、付記2~5に記載の検査システム(1)であって、前記サーバ(20)は、前記異常状況であると判定した場合に他装置(30)へ異常の発生を通知する通知部(24)、をさらに有する。
これにより、異常が検出されると他装置へ通知することができる。
【0060】
(付記7)
検査システム(1)は、付記1~6に記載の検査システム(1)であって、前記検知部が、前記車両(11)又は前記架台(12)に設けられる。
これにより、デバイスのバッテリーを消耗することなく、検査ユニット10の周囲の状況を検知することができる。
【0061】
(付記8)
検査システム(1)は、付記1~7に記載の検査システム(1)であって、前記検知部が、前記デバイス(13)に設けられる。
これにより、車両にセンサ等を設けることなく、検査ユニット10の周囲の状況を検知することができる。
【0062】
(付記9)
検査システム(1)は、付記1~8に記載の検査システム(1)であって、前記サーバ(20)は、前記検知部によって検知された位置情報が所定の位置を示すと、前記デバイスの発進を命令する。
これにより、所定の位置(トリガーポイント)に至ると、デバイスを発進させて詳細な検査等を行うことができる。
【0063】
(付記10)
検査ユニット(10A)は、自動巡回を行う車両(11A)と、自律移動可能なデバイス(13)と、前記デバイスを搭載して前記車両に牽引される架台(12)と、周囲の状況を検知する検知部(111、131)と、前記検知部が検知した情報に基づいて、前記デバイス(13)の発進を命令する命令部23Aと、前記デバイスを発着させる発着部134と、を有する。
これにより、検査デバイス13のバッテリー消耗を抑制しつつ、広範囲を巡回して異常検知・検査を行うことができる。また、サーバへの検知情報の送信を行わなくてよいので、通信に要する車両11または検査デバイス13のバッテリーの消耗を抑制することができる。
【0064】
(付記11)
サーバは、自律移動可能なデバイスを搭載して自動巡回を行う車両から、前記車両の周囲の状況を示す検知情報を取得する取得部と、前記検知情報に基づいて、前記車両へ前記デバイスの発進を命令する命令部と、を有する。
これにより、自動巡回する車両の周囲の状況を判断し、その判断に基づいて、車両が搭載するデバイスの発進を制御することができる。
【0065】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・検査システム
10・・・検査ユニット
5a~5c・・・無線通信装置
11・・・車両
111・・・検知部
1111・・・位置情報取得部
1112・・・温度情報取得部
1113・・・音響情報取得部
1114・・・3次元情報取得部
112・・・記憶部
113・・・通信部
114・・・ステーション接続部
12a~12c・・・架台
120・・・デバイス接続部
121・・・ポート
122・・・レール
123・・・昇降台
124・・・昇降部
13a~13b・・・検査デバイス
131・・・検知部
132・・・記憶部
133・・・通信部
134・・・発着部
135・・・電源部
14a~14c・・・連結器
20・・・サーバ
21・・・受信部
22・・・解析・判定部
23・・・命令部
24・・・通知部
25・・・出力部
26・・・記憶部
27・・・通信部
30・・・端末装置
40・・・外部記憶装置
50・・・ステーション
51・・・接続部
52・・・電源部
53・・・通信部
NW・・・ネットワーク