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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175183
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】金型ユニット及び射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/44 20060101AFI20231205BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B29C45/44
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087504
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】509210106
【氏名又は名称】株式会社クリモト
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】田原 直樹
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM04
4F202AP02
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK81
4F202CS07
4F206AM04
4F206AP024
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM02
4F206JN32
4F206JP05
4F206JP15
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、置き中子を確実に金型に戻したうえで、成形作業を行い、金型を破損させることがない、金型ユニット及び射出成形機を提供する。
【解決手段】射出成形機10の動作を制御するとともに検出手段と負圧手段と接続される制御手段80を有し、制御手段80は、成形品Fの成形が完了し、固定側金型51に対して可動側金型52が離間した状態において、置き中子60が凹部内に位置して第一空気通路52a及び第二空気通路53fを閉鎖するとともに、検出手段が所定の空気圧であることを検出すると、可動側金型52を動作可能とさせる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側金型と、前記固定側金型に対して接近・離間する可動側金型と、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型に配される置き中子と、で形成される製品成形部内に、溶融樹脂を注入して成形品を成形する、射出成形機に用いられる金型ユニットであって、
前記金型ユニットは、前記固定側金型と、前記可動側金型と、前記置き中子と、を備え、
前記置き中子が配される、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型には、
前記製品成形部に臨むように開口する凹部が配設され、前記凹部と連通するように、空気が流通可能な第一空気通路と、前記第一空気通路とは異なる位置に空気が流通可能な第二空気通路と、が配設され、
前記置き中子は、前記凹部内を移動可能に形成され、前記第一空気通路と前記第二空気通路とを同時に閉鎖可能とされ、
前記第二空気通路は、前記第二空気通路内の空気圧を検出する検出手段、前記第二空気通路を負圧状態とする負圧手段、の順に接続され、
組み付けられた状態において、前記検出手段は、前記射出成形機の動作を制御する制御手段と接続され、
前記成形品の成形が完了し、前記固定側金型に対して前記可動側金型が離間した状態において、前記置き中子が前記凹部内に位置して前記第一空気通路及び前記第二空気通路を閉鎖するとともに、前記検出手段が所定の空気圧であることを検出すると、前記可動側金型を動作可能とさせる信号を前記制御手段に出力することを特徴とする金型ユニット。
【請求項2】
前記第一空気通路には、前記置き中子を前記製品成形部側に送り出し可能なエジェクターが配置可能とされていることを特徴とする請求項1記載の金型ユニット。
【請求項3】
固定側金型と、前記固定側金型に対して接近・離間する可動側金型と、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型に配される置き中子と、で形成される製品成形部内に、溶融樹脂を注入して成形品を成形する、射出成形機であって、
前記置き中子が配される、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型には、前記製品成形部に臨むように開口する凹部が配設され、前記凹部と連通するように、空気が流通可能な第一空気通路と、前記第一空気通路とは異なる位置に空気が流通可能な第二空気通路と、が配設され、
前記置き中子は、前記凹部内を移動可能に形成され、前記第一空気通路と前記第二空気通路とを同時に閉鎖可能とされ、
前記第二空気通路は、前記第二空気通路内の空気圧を検出する検出手段、前記第二空気通路を負圧状態とする負圧手段、の順に接続され、
前記射出成形機の動作を制御するとともに前記検出手段と接続される制御手段を有し、
前記制御手段は、前記成形品の成形が完了し、前記固定側金型に対して前記可動側金型が離間した状態において、前記置き中子が前記凹部内に位置して前記第一空気通路及び前記第二空気通路を閉鎖するとともに、前記検出手段が所定の空気圧であることを検出すると、前記可動側金型を動作可能とさせる、ことを特徴とする射出成形機。
【請求項4】
前記第一空気通路には、前記置き中子を前記製品成形部側に送り出し可能なエジェクターが配されていることを特徴とする請求項3記載の射出成形機。
【請求項5】
前記置き中子が配される、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型の外側に、前記負圧手段と前記検出手段が配設されていることを特徴とする請求項3又は4記載の射出成形機。
【請求項6】
前記第二空気通路と前記検出手段との間に、フィルターが配設されていることを特徴とする請求項3又は4記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーカットを置き中子を用いて成形する、金型ユニット及びそれを用いた射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、簡易成形金型が記載されており、これによれば、簡易射出成形金型は、固定側金型、可動側金型及び置き中子によって構成され、固定側金型と可動側金型及び置き中子により形成された、閉じられた型空間内に溶融樹脂を充填し、冷却、固化することにより、成形品を成形する構成とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-205679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記簡易成形金型では、成形品の突き出し時に、置き中子は、エジェクターピンにより、成形品と一緒に金型の外に取り出され、手作業で金型に戻される。
【0005】
確実に置き中子が戻されたか確認するために、基準画像とリアルタイムの画像を照らし合わせることが考えられるが、基準画像とリアルタイムの画像の時間差による、光の当たり具合の違いにより、判定精度が低くなるおそれがあった。
【0006】
また、タッチセンサを用いることも考えられるが、金型、置き中子の熱膨張により、判定制度が低くなるうえ、配線を設けなければならないので構成が複雑になるおそれがあった。
【0007】
以上のことより、置き中子が金型に戻りきらない状態で、成形作業を行うと、型締めの際、干渉して、金型を破損させるおそれがあった。
【0008】
本発明は、簡易な構成で、置き中子を確実に金型に戻したうえで、成形作業を行い、金型を破損させることがない、金型ユニット及び射出成形機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明では、固定側金型と、前記固定側金型に対して接近・離間する可動側金型と、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型に配される置き中子と、で形成される製品成形部内に、溶融樹脂を注入して成形品を成形する、射出成形機に用いられる金型ユニットであって、
前記金型ユニットは、前記固定側金型と、前記可動側金型と、前記置き中子と、を備え、
前記置き中子が配される、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型には、
前記製品成形部に臨むように開口する凹部が配設され、前記凹部と連通するように、空気が流通可能な第一空気通路と、前記第一空気通路とは異なる位置に空気が流通可能な第二空気通路と、が配設され、
前記置き中子は、前記凹部内を移動可能に形成され、前記第一空気通路と前記第二空気通路とを同時に閉鎖可能とされ、
前記第二空気通路は、前記第二空気通路内の空気圧を検出する検出手段、前記第二空気通路を負圧状態とする負圧手段、の順に接続され、
組み付けられた状態において、前記検出手段は、前記射出成形機の動作を制御する制御手段と接続され、
前記成形品の成形が完了し、前記固定側金型に対して前記可動側金型が離間した状態において、前記置き中子が前記凹部内に位置して前記第一空気通路及び前記第二空気通路を閉鎖するとともに、前記検出手段が所定の空気圧であることを検出すると、前記可動側金型を動作可能とさせる信号を前記制御手段に出力する。
【0010】
これによれば、置き中子により、第一空気通路及び第二空気通路を閉鎖するとともに、検出手段により、所定の空気圧であることを検出することで、簡易な構成で、置き中子を確実に金型に戻したうえで、成形作業を行い、金型を破損させることがない金型ユニットとすることができる。
【0011】
また、前記第一空気通路には、前記置き中子を前記製品成形部側に送り出し可能なエジェクターが配置可能とされている。
【0012】
これによれば、第一空気通路を、エジェクターを配置する通路としても機能させることで、簡易な構成とすることにつながる。
【0013】
また、請求項3記載の発明では、固定側金型と、前記固定側金型に対して接近・離間する可動側金型と、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型に配される置き中子と、で形成される製品成形部内に、溶融樹脂を注入して成形品を成形する、射出成形機であって、
前記置き中子が配される、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型には、前記製品成形部に臨むように開口する凹部が配設され、前記凹部と連通するように、空気が流通可能な第一空気通路と、前記第一空気通路とは異なる位置に空気が流通可能な第二空気通路と、が配設され、
前記置き中子は、前記凹部内を移動可能に形成され、前記第一空気通路と前記第二空気通路とを同時に閉鎖可能とされ、
前記第二空気通路は、前記第二空気通路内の空気圧を検出する検出手段、前記第二空気通路を負圧状態とする負圧手段、の順に接続され、
前記射出成形機の動作を制御するとともに前記検出手段と接続される制御手段を有し、
前記制御手段は、前記成形品の成形が完了し、前記固定側金型に対して前記可動側金型が離間した状態において、前記置き中子が前記凹部内に位置して前記第一空気通路及び前記第二空気通路を閉鎖するとともに、前記検出手段が所定の空気圧であることを検出すると、前記可動側金型を動作可能とさせる。
【0014】
これによれば、請求項1記載の金型ユニットの効果を奏する射出成形機とすることができる。
【0015】
また、前記第一空気通路には、前記置き中子を前記製品成形部側に送り出し可能なエジェクターが配されている。
【0016】
これによれば、請求項2記載の金型ユニットの効果を奏する射出成形機とすることができる。
【0017】
また、前記置き中子が配される、前記固定側金型、又は/及び、前記可動側金型の外側に、前記負圧手段と前記検出手段が配設されている。
【0018】
これによれば、固定側金型、又は/及び、可動側金型から、負圧手段と検出手段を取り外して、メンテナンスできるので、保全管理を容易にすることができる。
【0019】
また、前記第二空気通路と前記検出手段との間に、フィルターが配設されている。
【0020】
これによれば、フィルターにより、負圧手段、検出手段の、汚れによる不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明における一実施形態の射出成形機の概略側面図である。
図2】同実施形態の要部のブロック説明図である。
図3】同実施形態の射出成形機の要部の動作状態を示す説明図である。
図4図3の続きの動作状態を示す説明図である。
図5図4の続きの動作状態を示す説明図である。
図6図5の続きの動作状態を示す説明図である。
図7図6の続きの動作状態を示す説明図である。
図8図7の続きの動作状態を示す説明図である。
図9】固定側金型に置き中子を配する場合の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明における射出成形機の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、各図面の矢印の、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。
【0023】
射出成形機10は、図1に示すように、射出装置20と、型締め装置30と、金型50と、を有している。
【0024】
射出装置20は、筒状の加熱筒21内にスクリュー22が配設され、スクリュー22は、油圧モータ23により回転する。加熱筒21の外周面には、合成樹脂Wを溶融させるヒータ24が配設されている。加熱筒21の前側の端部には、合成樹脂Wを貯留して加熱筒21内に供給するホッパ25が配設されている。
【0025】
射出装置20は、ヒータ24によって加熱され合成樹脂Wから溶融状態となった溶融樹脂W1が、スクリュー22により搬送され、加熱筒21の後側の端部に配設されたノズル26から押し出し可能とされている。
【0026】
型締め装置30は、ベッド11上に固定されている固定盤31と、固定盤31の後側に配置されるエンドハウジング32と、固定盤31とエンドハウジング32との間に複数配設されるダイバー33と、固定盤31とエンドハウジング32との間に配設され、ダイバー33を挿通可能に形成された可動盤34と、エンドハウジング32と可動盤34との間に配設されクロスヘッド35を有するトグル機構36と、トグル機構36を駆動させる駆動装置としてのサーボモータ37と、プーリ38を介してサーボモータ37とトグル機構36とを連結するベルト39と、を有している。
【0027】
可動盤34には、エジェクター40が配設され、エジェクターロッド40aが、可動盤34に前後方向に沿って貫通して形成された挿通孔34aを挿通可能とされている。エジェクターロッド40aの前端部には、板状のプレート41を介してエジェクターピン42が取り付けられ、完成した成形品Fを前側に押し出し可能としている。
【0028】
型締め装置30は、サーボモータ37の駆動により、可動盤34が、前後方向に沿って移動可能とされている。
【0029】
金型50は、図3~8に示すように、固定側金型51と、可動側金型52と、置き中子60と、を有している。
【0030】
固定側金型51は、直方体状に形成され、固定盤31に取り付けられている。固定盤31のノズル26に対向する位置には、ノズル26に対応した形状に形成された受入口31aが配設されている。固定側金型51には、前端面51aから後端面51bに向かい、受入口31aと連通するスプル流路51cが形成されている。
【0031】
可動側金型52は、直方体状に形成され、可動盤34に取り付けられている。
【0032】
可動側金型52は、前ブロック53と、後ブロック54と、で構成されている。
【0033】
前ブロック53には、前ブロック53の前端面53aから後端面53bに向かう有底孔として形成された有底孔部53cと、有底孔部53cより幅が小さく、前ブロック53の後端面53bから前端面53aに向かう有底孔として形成された形成されたエジェクター通路形成孔部53dと、有底孔部53cより幅が小さくエジェクター通路形成孔部53dより幅が大きく形成され、有底孔部53cとエジェクター通路形成孔部53dとを連通させる連通孔部53eと、が配設されている。
【0034】
前ブロック53には、有底孔部53cからエジェクター通路形成孔部53dと平行に後方に延びた後、下方に延びるように形成された第二空気通路53fが配設されている。第二空気通路53fには、後述する負圧計測ユニット70が接続されている。
【0035】
後ブロック54には、後ブロック54の前端面54aから後端面54bに向かう貫通孔として形成されたプレート配置部54cが配設されている。
【0036】
置き中子60は、連通孔部53e内を前後方向に沿って移動可能に形成されている。置き中子60には、外周面から軸線に向かう凹部として形成された成形凹部60cが配設されている。
【0037】
本実施形態では、固定側金型51の後端面51bと、有底孔部53cと、置き中子60の前端面60aと成形凹部60cと、連通孔部53eの成形凹部60cと対向する部分と、で囲まれた空間部分が製品成形部55とされている。換言すれば、連通孔部53eは、製品成形部55の一部を形成するとともに、製品成形部55を形成しない部分は、特許請求の範囲における凹部として機能することになる。
【0038】
また、エジェクター通路形成孔部53dと、プレート配置部54cと、で特許請求の範囲における第一空気通路52aが構成され、第一空気通路52a内に、エジェクター40を構成する、プレート41、エジェクターピン42が配される。エジェクターロッド40aと挿通孔34aの間、エジェクターピン42とエジェクター通路形成孔部53dとの間、には隙間があり、空気が流通可能とされている。
【0039】
本実施形態では、固定側金型51と、可動側金型52と、置き中子60と、負圧計測ユニット70と、で金型ユニットが構成される。
【0040】
負圧計測ユニット70は、図2に示すように、第二空気通路53fを負圧状態とする負圧手段としての真空発生器71と、第二空気通路53f内の空気圧を検出する検出手段としての圧力スイッチ72と、フィルター73と、を備え、第二空気通路53fと接続されている。
【0041】
第二空気通路53fは、フィルター73を介して、第二空気通路53f内の空気圧を検出する検出手段、第二空気通路53fを負圧状態とする負圧手段、の順に接続されていることになる。また、真空発生器71は、エアコンプレッサー75と接続され、エアコンプレッサー75から供給されるエアの勢いにより負圧を発生させる。なお、図2における矢印は、空気の流れを示している。
【0042】
本実施形態では、固定側金型51と、可動側金型52と、置き中子60と、負圧計測ユニット70と、で金型ユニットが構成される。
【0043】
射出成形機10は、射出装置20と、型締め装置30と、負圧計測ユニット70等が、通信用インターフェイス、制御用回路及び演算処理回路を備えた制御手段80に接続されている。
【0044】
本発明の要部について説明すると、図2に示すように、負圧計測ユニット70の圧力スイッチ72、金型50(可動側金型52)が、制御手段80に接続されている。真空発生器71、エアコンプレッサー75は、制御手段80の制御とは、独立して動作する。
【0045】
真空発生器71、圧力スイッチ72及びエアコンプレッサー75は、成形作業中に、常時作動するように設定されている。
【0046】
圧力スイッチ72は、真空に近い所定の範囲内の空気圧を検出した場合に、制御手段80に可動側金型52を動作可能とさせる信号を出力する。
【0047】
上記射出成形機10の使用態様について説明する。
【0048】
射出成形機10の射出装置20が、型締め装置30に向かって移動し、ノズル26の後側の端部を受入口31aに押し付ける。
【0049】
このとき、型締め装置30は、図3に示すように、固定側金型51と、可動側金型52とが接近した状態にある。また、置き中子60が、第一空気通路52aと第二空気通路53fを塞いた状態で、圧力スイッチ72は、真空に近い所定の範囲にあることを検出しているので、可動側金型52が動作可能な状態にある。
【0050】
ノズル26から、所定の射出容量の溶融樹脂W1を射出すると、図3に示すように、溶融樹脂W1は、スプル流路51cを通り、製品成形部55内に注入される。
【0051】
所定の射出容量の溶融樹脂W1を注入すると、射出装置20は、前側に移動して次の注入作業の準備をする。
【0052】
成形品Fの成形が終了すると、図4に示すように、可動側金型52をサーボモータ37の駆動により固定側金型51から離間させた後、図5に示すように、エジェクター40を駆動させエジェクターピン42を前側に移動させることにより、置き中子60の後端面60bが押され、置き中子60と一体化した成形品Fが排出される。
【0053】
作業者が、図6に示すように、置き中子60と成形品Fを分離した後、図7に示すように、置き中子60を凹部としての連通孔部53e内に戻す。
【0054】
図5~7の状態のとき、真空発生器71及び圧力スイッチ72は、作動した状態にあるが、エジェクターピン42とエジェクター通路形成孔部53dとの間には隙間があるとともに、置き中子60が第一空気通路52aと第二空気通路53fを塞いておらず、空気が流れ込む状態にある。よって、圧力スイッチ72は、真空に近い所定の範囲にあることを検出しないため、可動側金型52は、動作しない。
【0055】
図8に示すように、置き中子60が、第一空気通路52aと第二空気通路53fを塞いた状態になると、圧力スイッチ72は、真空発生器71による気圧変化、換言すれば、真空に近い所定の範囲にあることを検出し、制御手段80に可動側金型52を動作可能とさせる信号を制御手段80に出力する。これにより、可動側金型52が動作可能となる。
【0056】
上記発明を、金型ユニットとしてみれば、固定側金型51と、固定側金型51に対して接近・離間する可動側金型52と、可動側金型52に配される置き中子60と、で形成される製品成形部55内に、溶融樹脂W1を注入して成形品Fを成形する、射出成形機に用いられる金型ユニットであって、
金型ユニットは、固定側金型51と、可動側金型52と、置き中子60と、を備え、
置き中子60が配される、可動側金型52には、
製品成形部55に臨むように開口する凹部(連通孔部53e)が配設され、凹部と連通するように、空気が流通可能な第一空気通路52a(エジェクター通路形成孔部53dと、プレート配置部54c)と、第一空気通路52aとは異なる位置に空気が流通可能な第二空気通路53fと、が配設され、
置き中子60は、凹部(連通孔部53e)内を移動可能に形成され、第一空気通路52aと第二空気通路53fとを同時に閉鎖可能とされ、
第二空気通路53fは、第二空気通路53f内の空気圧を検出する検出手段(圧力スイッチ72)、第二空気通路53fを負圧状態とする負圧手段(真空発生器71)、の順に接続され、
組み付けられた状態において、検出手段は、射出成形機10の動作を制御する制御手段80と接続され、
成形品Fの成形が完了し、固定側金型51に対して可動側金型52が離間した状態において、置き中子60が凹部内に位置して第一空気通路52a及び第二空気通路53fを閉鎖するとともに、検出手段が所定の空気圧であることを検出すると、可動側金型52を動作可能とさせる信号を制御手段80に出力する。
【0057】
これによれば、置き中子60により、第一空気通路52a及び第二空気通路53fを閉鎖するとともに、検出手段により、所定の空気圧であることを検出することで、簡易な構成で、置き中子60を確実に可動側金型52に戻したうえで、成形作業を行い、金型50を破損させることがない金型ユニットとすることができる。
【0058】
また、第一空気通路52aには、置き中子60を製品成形部55側に送り出し可能なエジェクター40が配置可能とされている。
【0059】
これによれば、第一空気通路52aを、エジェクター40を配置する通路としても機能させることで、簡易な構成とすることにつながる。
【0060】
また、本発明を射出成形機としてみれば、固定側金型51と、固定側金型51に対して接近・離間する可動側金型52と、可動側金型52に配される置き中子60と、で形成される製品成形部55内に、溶融樹脂W1を注入して成形品Fを成形する、射出成形機であって、
置き中子60が配される、可動側金型52には、製品成形部55に臨むように開口する凹部(連通孔部53e)が配設され、凹部と連通するように、空気が流通可能な第一空気通路52aと、第一空気通路52aとは異なる位置に空気が流通可能な第二空気通路53fと、が配設され、
置き中子60は、凹部(連通孔部53e)内を移動可能に形成され、第一空気通路52aと第二空気通路53fとを同時に閉鎖可能とされ、
第二空気通路53fは、第二空気通路53f内の空気圧を検出する検出手段(圧力スイッチ72)、第二空気通路53fを負圧状態とする負圧手段(真空発生器71)、の順に接続され、
射出成形機10の動作を制御するとともに検出手段と接続される制御手段80を有し、
制御手段80は、成形品Fの成形が完了し、固定側金型51に対して可動側金型52が離間した状態において、置き中子60が凹部内に位置して第一空気通路52a及び第二空気通路53fを閉鎖するとともに、検出手段が所定の空気圧であることを検出すると、可動側金型52を動作可能とさせる。
【0061】
これによれば、上記金型ユニットの効果を奏する射出成形機とすることができる。
【0062】
また、第一空気通路52aには、置き中子60を製品成形部55側に送り出し可能なエジェクター40が配されている。
【0063】
これによれば、上記金型ユニットの効果を奏する射出成形機とすることができる。
【0064】
また、置き中子60が配される、可動側金型52の外側に、負圧手段(真空発生器71)と検出手段(圧力スイッチ72)が配設されている。
【0065】
これによれば、可動側金型52から、負圧手段と検出手段を取り外して、メンテナンスできるので、保全管理を容易にすることができる。
【0066】
また、第二空気通路53fと検出手段(圧力スイッチ72)との間に、フィルター73が配設されている。
【0067】
これによれば、フィルター73により、負圧手段、検出手段の、汚れによる不具合を防止することができる。
【0068】
本発明は上記構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。第一実施形態と同様の構成については、同じ番号を付し、全部又は一部の説明を省略する。
【0069】
例えば、固定側金型に置き中子を配する変形例について、図9に基づいて説明する。
【0070】
固定側金型151には、固定側金型151の後端面151bから前端面151aに向かう有底孔として形成された有底孔部151cと、有底孔部151cより幅が小さく、有底孔部151cの底面から固定側金型151の前端面151aに向かう有底孔として形成された形成された連通孔部151eと、が配設されている。
【0071】
固定側金型151には、有底孔部151cから前方に延びた後、下方に延びるように形成された第一空気通路151dが配設されている。
【0072】
また、固定側金型151には、有底孔部151cから前方に延びた後、上方に延びるように形成された第二空気通路151fが配設されている。第二空気通路151fには、負圧計測ユニット70が接続されている。
【0073】
このような構成とすれば、簡易な構成で、置き中子60を確実に固定側金型151に戻したうえで、成形作業を行い、金型50を破損させることがない金型ユニット、射出成形機とすることができる。
【0074】
なお、型締め装置30は、トグル式を用いているが、直圧式の型締め装置を用いることができる。
【0075】
また、射出装置20は、溶融樹脂W1を製品成形部55に注入出来るのであれば、上記構成の射出装置20には、限定されず既存の射出装置を用いることができる。
【0076】
また、製品成形部55の形状は、適宜変更することができる。
【0077】
また、固定側金型51と、可動側金型52の凹凸を逆にすることも可能である。
【0078】
また、置き中子60は、固定側金型51及び可動側金型52に、配すことも可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 射出成形機
40 エジェクター
51 固定側金型
52 可動側金型
52a 第一空気通路
53d エジェクター通路形成孔部
53e 連通孔部
53f 第二空気通路
54c プレート配置部
55 製品成形部
60 置き中子
71 真空発生器
72 圧力スイッチ
80 制御手段
151 固定側金型
151d 第一空気通路
151e 連通孔部
151f 第二空気通路
F 成形品
W1 溶融樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9