(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175190
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】除毛装置
(51)【国際特許分類】
B26B 19/38 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B26B19/38 A
B26B19/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087515
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】永島 唯哉
(72)【発明者】
【氏名】村木 健一
(72)【発明者】
【氏名】曽根 大助
(72)【発明者】
【氏名】楊 康太郎
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056JA07
3C056JA08
3C056JA18
(57)【要約】
【課題】ヘッド部を本体部に対して相対移動させつつ、蓋部の開閉操作性をより向上させることが可能な除毛装置を得る。
【解決手段】除毛装置1は、本体部10と、毛を切断することが可能な刃部331を有し、本体部10に対して第1方向に沿って相対的に往復動することが可能な状態で本体部10に支持されるヘッド部30と、を備えている。また、ヘッド部30は、空間部S1が内部に形成されたヘッドハウジング300を備えており、ヘッドハウジング300には、空間部S1に連通する開口窓S1aが形成されている。さらに、開口窓S1aを開閉可能に覆う蓋部40がヘッドハウジング300に取り付けられている。そして、蓋部40の開閉方向が、ヘッド部30を本体部10に対して第1方向に沿って相対的に往復動させた際に蓋部40が描く軌跡B1と交差している。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
毛を切断することが可能な刃部を有し、前記本体部に対して第1方向に沿って相対的に往復動することが可能な状態で前記本体部に支持されるヘッド部と、
を備え、
前記ヘッド部は、空間部が内部に形成されたヘッドハウジングを備えており、
前記ヘッドハウジングには、前記空間部に連通する開口窓が形成されており、
前記開口窓を開閉可能に覆う蓋部が前記ヘッドハウジングに取り付けられており、
前記蓋部の開閉方向が、前記ヘッド部を前記本体部に対して前記第1方向に沿って相対的に往復動させた際に前記蓋部が描く軌跡と交差している、
除毛装置。
【請求項2】
前記第1方向が前記ヘッド部の前後方向である、
請求項1に記載の除毛装置。
【請求項3】
前記ヘッド部は、前記本体部に対して前記第1方向と交差する方向に沿って相対移動することが可能な状態で前記本体部に支持されている、
請求項1または請求項2に記載の除毛装置。
【請求項4】
前記ヘッド部は、前記第1方向に沿って揺動できるように前記本体部に支持されており、
前記ヘッド部の回転中心から前記蓋部までの距離が、前記ヘッド部における前記回転中心からの最長距離よりも短くなっている、
請求項1または請求項2に記載の除毛装置。
【請求項5】
前記ヘッド部は、連結機構を介して前記本体部に支持されており、
前記連結機構は、前記ヘッド部を前記本体部に対して前記第1方向と交差する第2方向に延在する仮想の軸線を中心として前記第1方向に沿って揺動させるリンク機構を備えており、
前記リンク機構は、前記ヘッド部に接続される接続端部を有しており、
前記第2方向に沿って前記ヘッド部を見た状態で、前記仮想の軸線を中心とし、前記接続端部を通る仮想円の内側に前記蓋部が存在している、
請求項1または請求項2に記載の除毛装置。
【請求項6】
前記第2方向に沿って前記ヘッド部を見た状態で、前記仮想の軸線が前記ヘッド部よりも外方に位置している、
請求項5に記載の除毛装置。
【請求項7】
前記ヘッドハウジングには、前記開口窓が前記第1方向に開口するように形成されている、
請求項6に記載の除毛装置。
【請求項8】
前記蓋部の開方向への操作荷重と閉方向への操作荷重とが異なっている、
請求項1または請求項2に記載の除毛装置。
【請求項9】
前記蓋部の開方向への操作荷重の方が前記蓋部の閉方向への操作荷重よりも大きくなっている、
請求項8に記載の除毛装置。
【請求項10】
前記ヘッドハウジングおよび前記蓋部のうち少なくともいずれか一方の部材には、突曲面を有し、前記蓋部を閉状態で係止することが可能な係止部が形成されており、
前記ヘッドハウジングおよび前記蓋部のうち少なくともいずれか他方の部材には、前記蓋部を開閉操作する際に前記突曲面を乗り越えることが可能なフック部が形成されており、
前記フック部は、前記蓋部を閉状態から開状態へと移動させるときに、前記突曲面を乗り越える前に前記突曲面に接触する第1傾斜面と、前記蓋部を開状態から閉状態へと移動させるときに、前記突曲面を乗り越える前に前記突曲面に接触する第2傾斜面と、を備えており、
前記第1傾斜面の前記蓋部の開閉方向に対する傾斜角度の方が、前記第2傾斜面の前記蓋部の開閉方向に対する傾斜角度よりも大きくなっている、
請求項9に記載の除毛装置。
【請求項11】
前記ヘッドハウジングおよび前記蓋部のうち少なくともいずれか一方の部材には、突曲面を有し、前記蓋部を閉状態で係止することが可能な係止部が形成されており、
前記ヘッドハウジングおよび前記蓋部のうち少なくともいずれか他方の部材には、前記蓋部を開閉操作する際に前記突曲面を乗り越えることが可能なフック部が形成されており、
前記フック部は、前記蓋部を閉状態から開状態へと移動させるときに、前記突曲面を乗り越える前に前記突曲面の一方側の面に接触する第1傾斜面と、前記蓋部を開状態から閉状態へと移動させるときに、前記突曲面を乗り越える前に前記突曲面の他方側の面に接触する第2傾斜面と、を備えており、
前記突曲面は、前記一方側の面の曲率半径が、前記他方側の面の曲率半径よりも小さくなっている、
請求項9に記載の除毛装置。
【請求項12】
前記蓋部は、前記開口窓を開閉可能に覆う蓋本体と、前記蓋本体の開閉方向への移動をガイドするガイド部と、を備えている、
請求項1または請求項2に記載の除毛装置。
【請求項13】
前記蓋本体は、前記蓋部の開閉方向と交差する交差方向に細長い形状をしており、
前記蓋本体における前記交差方向の両側に、前記蓋部を開閉操作する操作部が形成されており、
前記操作部の近傍に前記ガイド部がそれぞれ形成されている、
請求項12に記載の除毛装置。
【請求項14】
前記蓋部は、前記蓋本体の少なくとも一部を前記ヘッドハウジングの外方に突出させた状態で前記ヘッドハウジングに取り付けられており、
前記蓋本体における前記交差方向の両側の前記ヘッドハウジングよりも外方に突出させた部分が、指を引っ掛けて前記蓋部を開閉操作する前記操作部となっており、
前記蓋部を開方向に操作する際に指が引っ掛けられる部分の前記ヘッドハウジングからの突出量の方が、前記蓋部を閉方向に操作する際に指が引っ掛けられる部分の前記ヘッドハウジングからの突出量よりも小さくなっている、
請求項13に記載の除毛装置。
【請求項15】
前記ヘッド部は、前記本体部に支持されるヘッド基部と、前記ヘッド基部に着脱可能に装着されて、前記刃部を一部が露出した状態で覆うヘッドカバー部と、を備えており、
前記蓋部が前記ヘッドカバー部に取り付けられている、
請求項1または請求項2に記載の除毛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、以下の特許文献1に示すように、本体部と、本体部に支持されるヘッド部と、を備える電気かみそり(除毛装置)が知られている。
【0003】
この特許文献1では、ヘッド部が刃部を有しており、このヘッド部の内部には、毛を溜めることが可能な空間部が形成されている。そして、刃部を有するヘッド部が、本体部に対して幅方向に揺動できるようにした状態で当該本体部に支持されている。こうすることで、電気かみそり(除毛装置)の使用時に、刃部の肌への密着性をより高められるようにしている。
【0004】
さらに、特許文献1に記載の電気かみそり(除毛装置)では、ヘッド部に、空間部に連通する開口窓が形成されており、この開口窓を開閉可能に覆う蓋部がヘッド部に取り付けられている。こうすることで、開口窓から水などの液体を空間部に導入させたり、空間部内に溜められた毛や液体を開口窓から排出させたりすることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、ヘッド部を本体部に対して相対移動させることで刃部の肌への密着性を高められるようにした除毛装置においては、蓋部の開閉操作性をより向上させることができるようにするのが好ましい。
【0007】
そこで、本開示は、ヘッド部を本体部に対して相対移動させつつ、蓋部の開閉操作性をより向上させることが可能な除毛装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様にかかる除毛装置は、本体部と、毛を切断することが可能な刃部を有し、前記本体部に対して第1方向に沿って相対的に往復動することが可能な状態で前記本体部に支持されるヘッド部と、を備え、前記ヘッド部は、空間部が内部に形成されたヘッドハウジングを備えており、前記ヘッドハウジングには、前記空間部に連通する開口窓が形成されており、前記開口窓を開閉可能に覆う蓋部が前記ヘッドハウジングに取り付けられており、前記蓋部の開閉方向が、前記ヘッド部を前記本体部に対して前記第1方向に沿って相対的に往復動させた際に前記蓋部が描く軌跡と交差している。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ヘッド部を本体部に対して相対移動させつつ、蓋部の開閉操作性をより向上させることが可能な除毛装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】除毛装置の一例としての電気かみそりを示す斜視図である。
【
図5】電気かみそりの連結機構を一方向から見た状態を示す斜視図である。
【
図6】電気かみそりの連結機構を一方向から見た状態を分解して示す斜視図である。
【
図7】電気かみそりの連結機構を他方向から見た状態を示す斜視図である。
【
図8】電気かみそりの連結機構を他方向から見た状態を分解して示す斜視図である。
【
図9】電気かみそりのヘッド部を一部分解して示す斜視図である。
【
図10】ヘッド部のヘッドカバー部を分解して示す斜視図である。
【
図11】ヘッド部のヘッド基部を分解して示す斜視図である。
【
図14】電気かみそりを一部破断して示す斜視図である。
【
図15】ヘッド部をリンク機構に連結する方法を説明するための斜視図である。
【
図16】ヘッド部をリンク機構に連結する方法を説明するための側面図である。
【
図17】ヘッド部とリンク機構との連結状態を示す断面図である。
【
図18】ヘッド部の前後方向への揺動を説明する図であって、ヘッド部が最も前側に位置する状態を示す断面図である。
【
図19】ヘッド部の前後方向への揺動を説明する図であって、ヘッド部が中央部に位置する状態を示す断面図である。
【
図20】ヘッド部の前後方向への揺動を説明する図であって、ヘッド部が最も後側に位置する状態を示す断面図である。
【
図21】ヘッド部を揺動可能に支持する方法の変形例を示す断面図である。
【
図22】ヘッドハウジングに開口窓を形成する方法の一例を説明する図であって、外側ハウジングとカバーハウジングとに分解した状態を示す正面図である。
【
図23】ヘッドハウジングに開口窓を形成する方法の一例を説明する図であって、外側ハウジングとカバーハウジングとで開口窓を画成した状態を示す正面図である。
【
図24】蓋部を閉状態としたときのヘッド部を示す斜視図である。
【
図25】蓋部を開状態としたときのヘッド部を示す斜視図である。
【
図26】ヘッド部の左右方向への揺動と蓋部の開閉操作との関係を説明する図であって、比較例にかかるヘッド部を示す正面図である。
【
図27】ヘッド部の左右方向への揺動と蓋部の開閉操作との関係を説明する図であって、実施の形態にかかるヘッド部を示す正面図である。
【
図32】蓋部を閉状態としたときのヘッド部を示す断面図である。
【
図33】蓋部を開状態としたときのヘッド部を示す断面図である。
【
図34】蓋部を閉状態としたときのフック部と係止部との位置関係を示す図である。
【
図35】蓋部を開状態としたときのフック部と係止部との位置関係を示す図である。
【
図36】蓋部を閉状態としたときにフック部の係合爪が係止部に係止されている状態を示す図である。
【
図37】変形例にかかるフック部と係止部を用いて蓋部を開状態としたときに、フック部の係合爪が係止部に係止されている状態を示す図である。
【
図38】変形例にかかる蓋部を閉状態としたときのヘッド部を示す斜視図である。
【
図39】変形例にかかる蓋部を開状態としたときのヘッド部を示す斜視図である。
【
図40】変形例にかかる蓋部を閉状態としたときのフック部と係止部との位置関係を示す図である。
【
図41】変形例にかかる蓋部を開状態としたときのフック部と係止部との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
また、以下の実施の形態およびその変形例では、除毛装置として、使用者等のヒゲ(体毛)を切断する電気かみそりを例示する。
【0014】
また、以下の実施の形態およびその変形例では、複数の刃ブロックが並設される方向をX方向(第1方向:前後方向:剃り方向)、各刃ブロックが延在する方向をY方向(第2方向:左右方向:幅方向)として説明する。
【0015】
そして、肌接触面が上方を向くようにヘッド部(電気かみそり)を配置した状態における上下方向をZ方向(ヘッド部30の上下方向)として説明する。なお、本実施の形態では、刃ユニットの肌接触面は、複数個の刃ブロックの外刃の表面(外表面)で構成されており、全体としては、外方に凸となる湾曲面で近似することができる面となっている。そのため、以下の実施の形態およびその変形例では、刃ユニットの肌接触面を近似する湾曲面の最も外方に突出する点が最上部に位置し、刃ユニットの肌接触面を近似する湾曲面の最も外方に突出する点における接平面が水平面となるようにした状態のことを、肌接触面が上方を向くようにヘッド部(電気かみそり)を配置した状態としている。
【0016】
また、以下の実施の形態およびその変形例では、通常の使用時に、使用者が電気かみそり1のグリップ部111を把持した状態で、使用者と対向する側を、電気かみそり1の前側(X方向の前方)と定義して説明する。
【0017】
(実施の形態)
まず、
図1~
図4を参照して、電気かみそり1の構成の概略について説明する。
【0018】
本実施の形態にかかる電気かみそり(除毛装置)1は、
図1~
図4に示すように、かみそり本体(本体部)10と、ヒゲ(毛)を切断することが可能な刃部331を有し、かみそり本体10に支持されるヘッド部30と、ヘッド部30をかみそり本体10に連結させる連結機構20と、を備えている。
【0019】
かみそり本体10は、本体ハウジング11を備えており、この本体ハウジング11の下部は、上下に細長い略同径の筒状をしている。また、本体ハウジング11の上部は、上方に向かうにつれて拡径された筒状をしている。そして、本体ハウジング11の略同径の筒状部分が、電気かみそり1の使用時に使用者等が手で把持することが可能なグリップ部111となっている。一方、本体ハウジング11の上方に向かうにつれて拡径された筒状部分は、連結機構20を、少なくとも下部が収容された状態で固定することが可能な連結機構固定部112となっている。
【0020】
本体ハウジング11は、複数の分割体を、ねじ等を用いて継ぎ合わせることで形成することができ、この本体ハウジング11の内部には空洞が形成されている。そして、本体ハウジング11の内部に形成された空洞内には、充電池等の各種電気部品が収容されている。複数の分割体は、例えば、合成樹脂や金属等の材料を用いて形成することができる。
【0021】
また、本体ハウジング11のグリップ部111には、電気かみそり1を動作させる(電源をオン・オフさせる)押圧式の電源スイッチ1111が形成されている。なお、本実施の形態では、電源スイッチ1111として押圧式のスイッチを例示しているが、電源をオン・オフできるスイッチであればスライド式やその他のスイッチであってもよい。
【0022】
また、本実施の形態では、電源スイッチ1111は、本体ハウジング11(グリップ部111)の前面、すなわち、電気かみそり1の前面(正面)に形成されている。こうすることで、使用者等が電気かみそり1のグリップ部111を把持した状態で、使用者等の親指で電源スイッチ1111を操作することができるようにしている。
【0023】
そして、本体ハウジング11の連結機構固定部112に連結機構20を固定した状態で、ヘッド部30を連結機構20に支持させることで、かみそり本体10にヘッド部30が支持されるようにしている。本実施の形態では、ヘッド部30は、かみそり本体10の延在方向を上下方向に略一致させた状態で、上方かつ前方に傾斜するようにかみそり本体10に支持されている。こうすることで、かみそり本体10の延在方向を上下方向に一致させた際に、刃部331の肌に接触する部分(後述する肌接触面33a)が水平面に対して前方かつ下方に傾斜するようにし、グリップ部111を把持して電気かみそり1を使用する際に、肌接触面33aを使用者の肌に当てやすくしている。なお、ヘッド部30を、かみそり本体10に対して傾斜させない構成とすることも可能である。
【0024】
ここで、ヘッド部30は、かみそり本体10に対して少なくとも一方向に相対移動(往復直線運動や揺動など)することが可能な状態で、かみそり本体10(連結機構20)に支持されている。
【0025】
本実施の形態では、ヘッド部30が、かみそり本体10に対してY方向に揺動できるようにしている。さらに、ヘッド部30が、かみそり本体10に対してX方向に揺動できるようにもしている。そして、ヘッド部30が、かみそり本体10に対してZ方向にフロートできるようにもしている。こうすることで、電気かみそり1の使用時に、刃部331の肌への密着性をより高めることができるようにし、より効率的にヒゲ(毛)を剃る(除毛する)ことができるようにしている。
【0026】
なお、ヘッド部30を、かみそり本体10に対して1つの方向または2つの方向に相対移動させるようにした構成とすることも可能である。例えば、ヘッド部30を、かみそり本体10に対してX方向、Y方向およびZ方向のうちのいずれか1つの方向のみに相対移動させるようにした構成とすることが可能である。また、ヘッド部30を、かみそり本体10に対してX方向、Y方向およびZ方向のうちの任意の2つの方向に相対移動させるようにした構成とすることも可能である。
【0027】
そして、本実施の形態では、連結機構20が、ヘッド部30をX方向に揺動させる揺動機構、ヘッド部30をY方向に揺動させる揺動機構、および、ヘッド部30をZ方向にフロートさせるフロート機構を備えるようにしている。
【0028】
次に、
図5~
図8を参照して、連結機構20の具体的な構成について説明する。
【0029】
連結機構20は、
図5~
図8に示すように、複数の分割体を組み付けることで形成されており、かみそり本体10の連結機構固定部112に固定される第1連結体21と、第1連結体21に取り付けられる第2連結体22と、第2連結体22に取り付けられる第3連結体23と、を備えている。
【0030】
第1連結体21は、上方に開口する略矩形の箱状をしており、略矩形板状の底壁211と、底壁211の周端に連設されて上方に延在する周壁212と、を備えている。そして、底壁211の中央部には、
図8に示すように、Z方向(上下方向)に貫通する貫通孔2111が形成されており、ヘッド部30に内蔵された後述する駆動機構315に電力を供給するためのリード線等を挿入させることができるようになっている。
【0031】
一方、周壁212の外周部には、外方に突出する係合リブ2121が形成されており、この係合リブ2121を、連結機構固定部112に係合させたり、ねじ等を用いて連結機構固定部112に固定させたりすることで、第1連結体21がかみそり本体10の連結機構固定部112に固定されるようにしている。このとき、第1連結体21は、かみそり本体10に対して相対移動することができない状態で連結機構固定部112に固定されている。
【0032】
第2連結体22も、上方に開口する略矩形の箱状をしており、略矩形板状の底壁221と、底壁221の周端に連設されて上方に延在する周壁222と、を備えている。また、底壁221の中央部には、
図8に示すように、Z方向(上下方向)に貫通する貫通孔2211が形成されており、リード線等を挿入させることができるようになっている。
【0033】
そして、この第2連結体22を上方から第1連結体21の内部に挿入することで、第2連結体22が第1連結体21に取り付けられている。このとき、第2連結体22は、第2連結体22と第1連結体21との間にコイルスプリング24を介在させた状態で第1連結体21に取り付けられている。こうすることで、第2連結体22を第1連結体21に対してZ方向にフロートさせることができるようにしている。
【0034】
本実施の形態では、第1連結体21の底壁211の上面におけるY方向の両側には、
図6に示すように、上方に突出するばね受け突起2112がそれぞれ設けられており、第2連結体22の底壁221の下面におけるY方向の両側には、
図8に示すように、下方に突出するばね受け突起2212がそれぞれ設けられている。そして、一対のコイルスプリング24の上下端を対応するばね受け突起2112およびばね受け突起2212に挿入させるようにしている。こうすることで、第2連結体22が、第1連結体21に対してZ方向にフロートできるようにした状態で第1連結体21に取り付けられるようにしている。
【0035】
また、第2連結体22には、第2連結体22を第1連結体21に係止させるための係止部223が形成されており、第1連結体21には、第2連結体22の係止部223が係止される被係止部213が形成されている。そして、係止部223を被係止部213に係止させることで、第2連結体22が第1連結体21から抜けてしまうことが抑制されるようにしている。
【0036】
本実施の形態では、第2連結体22のY方向の両側に一対の係止部223が形成されており、各係止部223は、底壁221のY方向の端部から下方に向けて延設されたアーム部2231と、アーム部2231の下端にY方向の外側に突出するように連設された係止爪2232と、をそれぞれ備えている。一方、第1連結体21のY方向の両側には、係止部223がそれぞれ係止される一対の被係止部213が形成されており、各被係止部213は、Z方向に貫通する貫通孔2132が形成された枠状の係止壁2131をそれぞれ備えている。
【0037】
そして、アーム部2231の先端(下端)を貫通孔2132に挿入させて、係止爪2232を枠状の係止壁2131の下面に係止させることで、第2連結体22が、第1連結体21に対してZ方向の上側へそれ以上移動してしまわないようにしている。このように、本実施の形態では、係止爪2232を枠状の係止壁2131の下面に係止させることで、第2連結体22の第1連結体21に対する上方への相対移動(フロート)が規制されるようにしている。なお、本実施の形態では、係止壁2131の下面よりも下側への係止爪2232の移動は規制されていない。そのため、第2連結体22は、係止爪2232を係止壁2131の下面に係止させた位置を上限(上死点)として、第1連結体21に対してフロートすることになる。なお、本実施の形態では、第2連結体22が第1連結体21に対して下方に相対的に移動して、第2連結体22が第1連結体21に突き当てられた状態が、ヘッド部30の下死点となっている。
【0038】
また、第2連結体22の周壁222の上部には、第3連結体23を左右方向(Y方向)に揺動させるための軸25を保持する軸保持部2221が形成されている。
【0039】
本実施の形態では、周壁222のX方向の両側の上部(前壁および後壁の上部)に、略円板状をした一対の軸保持部2221が設けられており、各軸保持部2221の中心部に、軸25を挿入して保持するための挿通孔2221aがX方向に貫通するように形成されている。
【0040】
そして、軸保持部2221によって保持される軸25で第2連結体22と第3連結体23とを連結することで、第3連結体23が、軸25を中心として第2連結体22に対して左右方向(Y方向)に揺動するようにしている。
【0041】
したがって、第3連結体23は、第1連結体21(かみそり本体10)に対して、Z方向にフロートさせることもできる上、左右方向(Y方向)に揺動させることもできる状態で、第1連結体21(かみそり本体10)に取り付けられることになる。
【0042】
この第3連結体23は、本実施の形態では、複数の分割体を組み付けることで形成されており、第2連結体22に左右方向(Y方向)に揺動可能に取り付けられる下側分割体231と、下側分割体231の上部に取り付けられる上側分割体232と、を備えている。また、第3連結体23は、下側分割体231と上側分割体232との間に挟み込まれる中間分割体233を備えている。
【0043】
下側分割体231は、基部2311を備えている。そして、この基部2311の中央部には、Z方向(上下方向)に貫通する貫通孔23111が形成されており、リード線等を挿入させることができるようになっている。
【0044】
また、基部2311のX方向の両側の端部には、一対の軸保持部2312が設けられており、各軸保持部2312は、X方向に離間した状態で配置される2つの壁部で構成されている。そして、2つの壁部のそれぞれに、軸25が挿入される孔2312aが形成されている。本実施の形態では、X方向の外側に形成される壁部には、X方向に貫通するように孔2312aが形成されており、X方向の内側に形成される壁部には、X方向の外側には開口しているがX方向に貫通はしない孔2312aが形成されている。こうすることで、軸25のX方向の内側への移動が、X方向の内側に形成される壁部によって規制されるようにしている。
【0045】
そして、X方向に離間した状態で配置される2つの壁部の間に第2連結体22の軸保持部2221を挿入した状態で、それぞれの孔2221a,2312aに軸25を挿入することで、下側分割体231が第2連結体22に、軸25を中心として左右方向(Y方向)に揺動できるようにした状態で取り付けられることになる。
【0046】
このとき、第2連結体22と下側分割体231との間にコイルスプリング26を介在させた状態で、下側分割体231が第2連結体22に取り付けられるようにしている。そのため、下側分割体231の基部2311の下面におけるY方向の両側には、
図8に示すように、下方に突出するばね受け突起23112がそれぞれ設けられており、第2連結体22には、
図6に示すように、ばね受け突起2213が上方に突出するように設けられている。そして、一対のコイルスプリング26の上下端を対応するばね受け突起2213およびばね受け突起23112に挿入させるようにしている。
【0047】
このように、コイルスプリング26を介在させた状態で下側分割体231を揺動させるようにすれば、下側分割体231に力が加えられていない自由状態のときに、下側分割体231の基部2311を水平状態で維持することが可能になる。
【0048】
一方、上側分割体232は、下側分割体231との間に中間分割体233を挟んだ状態で、ねじ27によって下側分割体231に固定される部材であり、基部2321を備えている。そして、この基部2321の中央部には、Z方向(上下方向)に貫通する貫通孔23211が形成されており、リード線等を挿入させることができるようになっている。
【0049】
また、基部2321のX方向の両端からは、一対の垂下壁2322が下方に向けて連設されており、この垂下壁2322には、
図8に示すように、下方およびX方向の内側に開口するスリット23221がZ方向に延在するように形成されている。そして、上側分割体232を下側分割体231に取り付ける際に、軸25のX方向の外側の端部がこのスリット23221内に挿入されるようにしている。こうすることで、軸25のX方向の外側への移動が、垂下壁2322によって規制されるようにしている。
【0050】
なお、中間分割体233は上下方向への移動が許容された状態で上側分割体232と下側分割体231との間に挟まれている。そして、
図3に示す操作子113を操作して、中間分割体233を上方へ移動させることで、ヘッド部30が中間分割体233によって固定されるようにしている。こうすることで、ヘッド部30のかみそり本体10に対する相対移動を規制することができるようにしている。
【0051】
また、連結機構20は、ヘッド部30をX方向に揺動させるためのリンク機構28を備えており、このリンク機構28が第3連結体23に取り付けられている。
【0052】
このように、第1連結体21(かみそり本体10)に対して上下フロートおよび左右揺動が可能な第3連結体23に、ヘッド部30をX方向に揺動させるリンク機構28を設けることで、ヘッド部30を、第1連結体21(かみそり本体10)に対して、3つの方向(X方向、Y方向およびZ方向)に、別個独立して相対移動させることができるようにしている。
【0053】
本実施の形態では、第3連結体23のY方向の両側に一対のリンク機構28が設けられており、一対のリンク機構28をヘッド部30のY方向の両側にそれぞれ接続することで、ヘッド部30が、第3連結体23に対してX方向に揺動するようにしている。
【0054】
各リンク機構28は、第3連結体23に固定される1個の固定リンク281と、1個の固定リンク281に、X方向への回動が可能な状態で装着される一対の可動リンク282と、をそれぞれ備えている。
【0055】
本実施の形態では、固定リンク281は、第3連結体23に固定される固定部2811と、固定部2811に連設される支持アーム2812と、支持アーム2812の上端に形成されて可動リンク282をX方向への回動が可能な状態で装着させる枢支部2813と、を備えている。
【0056】
一方、可動リンク282は、リンク本体2821と、リンク本体2821の一端に設けられ、固定リンク281の枢支部2813に回動可能に装着される連結軸部2822と、リンク本体2821の他端に設けられ、ヘッド部30に接続される接続端部2823と、を備えている。
【0057】
固定リンク281の固定部2811には、Z方向に貫通する貫通孔2811aが形成されている。そして、下側分割体231と上側分割体232との間に固定部2811を挟んだ状態で、ねじ27を貫通孔2811aに挿入させながら下側分割体231と上側分割体232とを連結させることで、固定リンク281が第3連結体23に固定されるようにしている。
【0058】
また、支持アーム2812は、Y方向の外側に延在する横壁と、横壁に連設されて上方(Z方向の上側)に延在する縦壁と、を備えており、支持アーム2812の縦壁の上端に枢支部2813が形成されている。この枢支部2813は、支持アーム2812の縦壁の上端からX方向の両側に延びるように形成されており、Y方向に貫通する2個の貫通孔2813aがX方向に並ぶように枢支部2813に設けられている。そして、2個の貫通孔2813aに、一対の可動リンク282の連結軸部2822をそれぞれ挿入することで、一対の可動リンク282がX方向への回動が可能な状態で1個の固定リンク281に装着されるようにしている。
【0059】
なお、本実施の形態では、上側分割体232は、Y方向の外側に延設された延設壁2323を備えており、支持アーム2812の横壁が、この延設壁2323に保持されるようにしている。こうすることで、固定リンク281の第3連結体23に対する位置ずれが抑制されるようにしている。
【0060】
さらに、第3連結体23は、延設壁2323に取り付けられるカバー234を備えており、このカバー234と延設壁2323によって、支持アーム2812の横壁が覆われるようにしている。こうすることで、支持アーム2812の横壁の外部への露出を抑制し、電気かみそり1の意匠性が高められるようにしている。なお、本実施の形態では、ヘッド部30の内部で、リンク機構28をヘッド部30に接続させるようにしており、リンク機構28が外部に露出してしまうことを極力抑制できるようにしている。こうすることで、電気かみそり1の意匠性をより高めることができるようにしている。
【0061】
【0062】
本実施の形態では、ヘッド部30は、ヘッドハウジング300と、刃部331を有し、ヘッドハウジング300に着脱可能に装着される刃ユニット33と、を備えており、刃ユニット33は、刃部331の一部を外部に露出させた状態でヘッドハウジング300に保持されている。こうすることで、刃部331におけるヘッドハウジング300の外部に露出する部位を、電気かみそり1の使用時に、使用者等の肌に接触する肌接触面33aとして機能させている。
【0063】
そして、ヘッドハウジング300にリンク機構28の可動リンク282を接続し、可動リンク282を固定リンク281に対して相対的に回動させることで、ヘッド部30がかみそり本体10に対してX方向に揺動するようにしている。
【0064】
また、本実施の形態では、ヘッド部30は、
図9に示すように、複数の部材に分割することができるように構成されており、連結機構20に取り付けられるヘッド基部31と、ヘッド基部31に着脱可能に装着されるヘッドカバー部32と、を備えている。本実施の形態では、ヘッド基部31の左右両端には、解除ボタン314が突没自在に設けられており、この解除ボタン314を内側に没入させることで、ヘッドカバー部32とヘッド基部31との装着が解除されるようになっている。
【0065】
ヘッド基部31は、基部ハウジング310を備えており、本実施の形態では、この基部ハウジング310が、ヘッドハウジング300の下側のハウジングとなっている。
【0066】
基部ハウジング310は、
図11に示すように、上方に開口して内側に収容空間が形成された外側ハウジング311と、外側ハウジング311の収容空間内に収容される内側ハウジング312と、を備えている。この内側ハウジング312も上方に開口しており、内側ハウジング312の内側にも収容空間が形成されている。
【0067】
また、本実施の形態では、基部ハウジング310が天壁313を備えており、この天壁313によって内側ハウジング312の上部開口が覆われるようにしている。天壁313は、内側ハウジング312の上側開口を塞ぐ天壁本体3131と、天壁本体3131を上側から押さえる押さえ板3132と、を備えており、この天壁本体3131および押さえ板3132がねじ3133で内側ハウジング312に取り付けられている。
【0068】
そして、
図32および
図33に示すように、内側ハウジング312および天壁313で画成される空間内に駆動機構315が収容されるようにしている。この駆動機構315は、複数個の駆動稈316を備えており、この駆動稈316がヘッド基部31から上方に突出するようにした状態でヘッド基部31内に収容されている。このような駆動機構315としては、例えば、振動型リニアアクチュエータや、回転モータと回転運動を往復直線運動に変換する変換機構とで構成される駆動機構等、従来公知のものを用いることができる。
【0069】
そして、内側ハウジング312を外側ハウジング311の空間内に収容しつつ、内側ハウジング312の内部に駆動機構315を収容した状態で、天壁313を内側ハウジング312に取り付けつつ、内側ハウジング312を外側ハウジング311に取り付けることで、ヘッド基部31が形成されるようにしている。本実施の形態では、内側ハウジング312の外側ハウジング311への取り付けは、
図11に示すように、天壁本体3131および押さえ板3132を内側ハウジング312に取り付ける際に用いられるねじ3133によって行われるようにしている。すなわち、天壁本体3131、押さえ板3132、内側ハウジング312および外側ハウジング311がねじ3133によって固定されるようにしている。なお、ヘッド基部31の組み付け手順は、上述の手順に限られるものではなく、ヘッド基部31は、様々な手順で組み付けることが可能である。
【0070】
ここで、本実施の形態では、ヘッド基部31にリンク機構28を接続することで、ヘッド部30をかみそり本体10に対してX方向に揺動させることができるようにしている。このとき、ヘッド基部31の内部でリンク機構28をヘッド基部31に接続させるようにしている。
【0071】
具体的には、
図14~
図17に示すように、外側ハウジング311のY方向の両側には、X方向に延在するスリット311aがそれぞれ設けられている。このようなスリット311aを形成することで、固定リンク281の支持アーム2812(支持アーム2812の縦壁)を、下側からこのスリット311aに挿入させることができるようにしている。そして、支持アーム2812を挿入させる孔をスリット状とすることで、支持アーム2812に干渉することなくヘッド部30をX方向に揺動させることができるようにしている。
【0072】
また、
図15に示すように、内側ハウジング312のY方向の両側には、Z方向に貫通するスリット312aがそれぞれ設けられている。このようなスリット312aを形成することで、可動リンク282のリンク本体2821の連結軸部2822側を、下側からこのスリット312aに挿入させることができるようにしている。
【0073】
さらに、
図16に示すように、内側ハウジング312のY方向の両側におけるX方向の両側の下部には、接続凹部312bがそれぞれ形成されている。そして、リンク本体2821の連結軸部2822側をスリット312aに挿入させた状態で、接続端部2823をこの接続凹部312bに導入させることで、可動リンク282上に内側ハウジング312が載置されるようにしている。こうすることで、可動リンク282が内側ハウジング312に接続されるようにしている。
【0074】
ここで、本実施の形態では、上述の状態で可動リンク282を固定リンク281に連結させるようにしている。すなわち、固定リンク281の支持アーム2812をスリット311aに挿入させた外側ハウジング311に、リンク本体2821の連結軸部2822側をスリット312aに挿入させつつ接続端部2823を接続凹部312bに接続させた内側ハウジング312を収容した状態で、連結軸部2822を枢支部2813の貫通孔2813aに挿入することで、可動リンク282を固定リンク281に連結させるようにしている。
【0075】
こうすることで、ヘッド部30の内部でリンク機構28をヘッド部30に接続させるようにしている。そして、リンク機構28を介してヘッド部30をかみそり本体10に支持させることで、
図17に示すように、ヘッド部30が、Y方向に延在する仮想の軸線A1を回転中心C1としてX方向に沿って揺動するようにしている。本実施の形態では、
図17に示すように、Y方向に沿ってヘッド部30を見た状態で、回転中心C1となる仮想の軸線A1が、ヘッド部30の上方(外方)に位置するようにしている。こうすることで、
図18~
図20に示すように、ヘッド部30をX方向に沿って揺動させる際に、ヘッド部30の全体が、X方向の同じ側(前側または後側)に移動するようにしている。
【0076】
なお、本実施の形態では、側面視(Y方向に沿って見た状態)で、ヘッド部30が2点で支持されるようにしたものを例示したが、
図21に示すように、ヘッド部30が一点で支持されるようにすることも可能である。具体的には、上下方向に延在する支持部材29の上端に形成された軸部291にヘッド部30が連結されるようにしている。このように、側面視(Y方向に沿って見た状態)でヘッド部30が1点で支持されるようにすると、軸部291がヘッド部30の回転中心C1と一致することになる。
【0077】
また、ヘッドカバー部32は、
図10に示すように、カバーハウジング321を備えており、本実施の形態では、このカバーハウジング321が、ヘッドハウジング300の上側のハウジングとなっている。そして、カバーハウジング321に刃ユニット33を取り付けることでヘッドカバー部32が形成されるようにしている。
【0078】
【0079】
刃ユニット33は、3個の刃ブロックと、外刃ケース334と、を備えており、3個の刃ブロックが長手方向をY方向に一致させた状態でX方向に並ぶように配置されている。
【0080】
このように、本実施の形態では、各刃ブロックが所定の長さと幅を有しており、これらの刃ブロックは、長さ方向を電気かみそり1のY方向(第2方向:左右方向)と略一致させつつ、幅方向を電気かみそり1のX方向(第1方向:前後方向:剃り方向)と略一致させた状態で配置されている。
【0081】
本実施の形態では、3個の刃ブロックは、2個のネット刃ブロック332と1個のスリット刃ブロック333とで構成されている。
【0082】
なお、ネット刃ブロック332は、主に倒れた状態のヒゲ(体毛)や短く立った状態のヒゲ(体毛)を切除する機能を有するものである。そして、スリット刃ブロック333は、主に細い長ヒゲ(体毛)を切除する機能を有するものである。したがって、本実施の形態にかかる電気かみそり1は、スリット刃ブロック333で細い長ヒゲ(体毛)を切除してからネット刃ブロック332で仕上げることが可能な除毛装置となっている。
【0083】
本実施の形態では、1個のスリット刃ブロック333がX方向の中央に配置されており、2個のネット刃ブロック332が、スリット刃ブロック333の両隣にそれぞれ配置されている。
【0084】
ネット刃ブロック332は、
図9に示すように、ネット刃3321とネット内刃3322とを備えている。本実施の形態では、ネット刃3321は、側面視(Y方向に沿って見た状態)で上方が凸となるように逆U字状に湾曲して形成されている。
【0085】
さらに、ネット刃3321は、正面視(X方向に沿って見た状態)で上方が凸となるようにY方向(外刃長さ方向)に沿って若干湾曲して形成されている。そして、このネット刃3321には、例えば、円形の刃穴(図示せず)が多数形成されている。なお、ネット刃3321を、正面視で上方が凸となるように湾曲させない構成とすることも可能である。例えば、ネット刃3321を正面から見た状態(X方向に沿って見た状態)で、ネット刃3321の頂部がY方向(外刃長さ方向)に延在する直線となるようにすることが可能である。
【0086】
ネット内刃3322は、ネット刃3321の湾曲形状に沿う逆U字状をしており、ネット刃3321の内方(ネット刃3321の下側:ネット刃3321の肌に接する側とは反対側)に配置されている。このネット内刃3322は、複数個の駆動稈316のうちの1個の駆動稈316に着脱可能に装着されている。そして、ネット内刃3322を駆動稈316に装着させつつネット刃3321の内方に配置させた状態で電気かみそり1の電源をオンにして駆動稈316を駆動させた際に、ネット内刃3322が、ネット刃3321の内面に摺接しながらネット刃3321に対して相対的に変位(相対移動:Y方向へ往復動)するようにしている。
【0087】
スリット刃ブロック333は、
図32および
図33に示すように、スリット外刃3331とスリット内刃3332とを備えている。本実施の形態では、スリット外刃3331は、側面視(Y方向に沿って見た状態)で上方が凸となるように逆U字状に屈曲して形成されている。そして、このスリット外刃3331は、側面視(Y方向に沿って見た状態)で、頂面が略平坦な面となるように形成されている。
【0088】
さらに、スリット外刃3331は、正面視(X方向に沿って見た状態)で上方が凸となるようにY方向(外刃長さ方向)に沿って若干湾曲して形成されている。そして、このスリット外刃3331には、X方向に延在するスリット状の刃穴が、Y方向に離間した状態で並ぶように複数形成されている。なお、スリット外刃3331を、正面視で上方が凸となるように湾曲させない構成とすることも可能である。例えば、スリット外刃3331を正面から見た状態(X方向に沿って見た状態)で、スリット外刃3331の頂部がY方向(外刃長さ方向)に延在する直線となるようにすることが可能である。すなわち、スリット外刃3331の頂面が平坦面(フラットな面)となるようにスリット外刃3331を形成することが可能である。
【0089】
スリット内刃3332は、スリット外刃3331の屈曲形状に沿う逆U字状をしており、スリット外刃3331の内方(スリット外刃3331の下側:スリット外刃3331の肌に接する側とは反対側)に配置されている。このスリット内刃3332は、複数個の駆動稈316のうちの1個の駆動稈316(ネット内刃3322が装着される駆動稈とは別の駆動稈316)に着脱可能に装着されている。そして、スリット内刃3332を駆動稈316に装着させつつスリット外刃3331の内方に配置させた状態で電気かみそり1の電源をオンにして駆動稈316を駆動させた際に、スリット内刃3332が、スリット外刃3331の内面に摺接しながらスリット外刃3331に対して相対的に変位(相対移動:Y方向へ往復動)するようにしている。
【0090】
このように、本実施の形態にかかる電気かみそり1は、ネット内刃3322、スリット内刃3332をネット刃3321、スリット外刃3331に対して往復運動させる往復動式電気かみそりの形態を有するものである。したがって、本実施の形態では、刃部331が、3個の外刃(2個のネット刃3321および1個のスリット外刃3331)と、3個の内刃(2個のネット内刃3322および1個のスリット内刃3332)と、を備えることになる。
【0091】
そして、本実施の形態では、3個の刃ブロックのうち2個のネット内刃3322を除く部材が、略枠状の外刃ケース334に装着されている。このとき、各部材は、外刃ケース334に着脱可能に装着されていてもよいし、着脱させることができない状態で外刃ケース334に装着されていてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、2個のネット刃ブロック332および1個のスリット刃ブロック333を、Z方向(上下方向)にフロートできるようにした状態で外刃ケース334に装着させている。こうすることで、外刃カセット330が装着されたカバーハウジング321(ヘッドカバー部32)をヘッド基部31に装着した際に、各刃ブロックがヘッド部30に対して別個独立してフロートするようにしている。なお、2個のネット刃ブロック332および1個のスリット刃ブロック333のうちの1個以上の刃ブロックを、Z方向(上下方向)にフロートさせない構成とすることも可能である。
【0093】
さらに、本実施の形態では、
図9に示すように、2個のネット刃3321は、内方にネット内刃3322を配置させない状態で外刃ケース334に装着させることができるようになっている。一方、1個のスリット外刃3331は、内方にスリット内刃3332を配置させた状態で外刃ケース334に装着されるようになっている。このように、本実施の形態では、2個のネット刃3321および1個のスリット刃ブロック333を外刃ケース334に装着させることで、外刃カセット330が形成されるようにしている。そして、この外刃カセット330がカバーハウジング321に着脱可能に装着されるようにしている。
【0094】
具体的には、カバーハウジング321が、上側開口3211および下側開口3212が形成される略筒状の周壁部3213を備えており、各外刃が上方を向くようにした外刃カセット330を、カバーハウジング321の下側開口3212側から挿入することで、外刃カセット330がカバーハウジング321に装着されるようにしている。このとき、外刃カセット330は、各外刃の表面をカバーハウジング321の上側開口3211から露出させた状態でカバーハウジング321に装着されることになる。そのため、本実施の形態では、各外刃の表面のうちカバーハウジング321の上側開口3211から露出した部位が、刃部331におけるヘッドハウジング300の外部に露出する部位となっている。すなわち、各外刃の表面のうちカバーハウジング321の上側開口3211から露出した部位が、使用者の肌(肌表面)に接触する肌接触面33aとなっている。
【0095】
そして、外刃ケース334の左右両端には解除ボタン3341が形成されており、この解除ボタン3341を操作することで、カバーハウジング321と外刃カセット330との装着が解除されるようになっている。
【0096】
なお、ヘッド基部31(ヘッド部30)の後部には、トリマーユニット317が設けられている。このトリマーユニット317は、ヘッド部30ではなく、かみそり本体10に設けることも可能であるし、ヘッド部30にもかみそり本体10にもトリマーユニットを設けない構成とすることも可能である。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態では、2個のネット内刃3322をヘッド基部31から上方に突出する駆動稈316にそれぞれ装着した状態で、外刃カセット330が装着されたカバーハウジング321をヘッド基部31に装着するようになっている。そして、2個のネット内刃3322を駆動稈316にそれぞれ装着した状態で、外刃カセット330が装着されたカバーハウジング321をヘッド基部31に装着した際に、2個のネット内刃3322が対応するネット刃3321の内方に配置されるようになっている。
【0098】
こうすることで、電気かみそり1の電源をオンにした際に、各内刃を対応する外刃に対して相対的に変位(相対移動:Y方向へ往復動)させるようにしている。
【0099】
そして、電気かみそり1の電源をオンにし、各内刃を対応する外刃に対して相対的に変位させた状態で、刃ユニット33の肌接触面33aを使用者の肌(肌表面)に当て、X方向に滑らせながら移動させることで、各外刃の刃穴内に挿入されたヒゲ(毛)を、外刃と内刃とで切断するようにしている。
【0100】
なお、ヘッド基部31にヘッドカバー部32を装着してヘッド部30を組み付けた際には、ヘッド部30の内部に空間部S1が形成されるようになっており、外刃と内刃とで切断されたヒゲ(毛)を、この空間部S1内に溜めることができるようになっている。
【0101】
本実施の形態では、ヘッド部30の内部に形成される空間部S1は、外側ハウジング311、内側ハウジング312、天壁313、カバーハウジング321および肌接触面33aによって画成されており、ヘッドカバー部32をヘッド基部31から取り外すことで、この空間部S1の清掃を行うことができるようになっている。
【0102】
さらに、本実施の形態では、ヘッドカバー部32をヘッド基部31から取り外すことなく、空間部S1の清掃を行えるようにしている。
【0103】
具体的には、切断されたヒゲを溜めることが可能な空間部S1に連通する開口窓S1aをヘッドハウジング300に形成している。そして、この開口窓S1aを、空間部S1に溜まったヒゲ(毛)を洗浄する際に空間部S1内に水や洗浄液などの液体を導入する導入口や、空間部S1内のヒゲ(毛)や液体を排出する排出口として機能させることができるようにしている。
【0104】
本実施の形態では、
図32および
図33に示すように、空間部S1が、天壁313の上面よりも上方に位置する上側空間S2と、上側空間S2よりも下方に位置し、上側空間S2に連通する溝状空間S3を有するようにしている。そして、ヘッドハウジング300に、この溝状空間S3に連通するように開口窓S1aを形成している。
【0105】
具体的には、天壁313の前側におけるY方向(左右方向)の両側に、前方かつ下方に傾斜するスリットを設けることで、天壁313とカバーハウジング321との間に一対の傾斜溝部S32が形成されるようにしている。また、内側ハウジング312の前側における傾斜溝部S32に対応する位置に、前方に開口して上下方向に延在するスリットを設けることで、内側ハウジング312と外側ハウジング311との間に、傾斜溝部S32にそれぞれ連通する鉛直溝部S31が一対形成されるようにしている。このように、本実施の形態では、ヘッドハウジング300の内部の前側におけるY方向(左右方向)の両側に、一対の溝状空間S3が、上部を上側空間S2に連通させた状態で形成されるようにしている。
【0106】
そして、
図22および
図23に示すように、外側ハウジング311の前部上端に下方に凹むように切り欠き3111を設け、ヘッド基部31にヘッドカバー部32を装着した際に、この切り欠き3111とカバーハウジング321の下端3213aとによって開口窓S1aが画成されるようにしている。なお、本実施の形態では、天壁313は外側ハウジング311よりも上方に突出するように形成されており、一対の傾斜溝部S32は、外側ハウジング311の上端よりも上部に形成されている。したがって、外側ハウジング311の前部上端に下方に凹むように設けた切り欠き3111とカバーハウジング321の下端3213aとによって画成される開口窓S1aは、一対の傾斜溝部S32よりも下方に形成されることになる。
【0107】
そして、本実施の形態では、Y方向(左右方向)に細長くなるように切り欠き3111を設けており、開口窓S1aがY方向(左右方向)の両側で一対の溝状空間S3にそれぞれ連通するようになっている。したがって、本実施の形態では、開口窓S1aは、傾斜溝部S32よりも下方の鉛直溝部S31と対向した状態で前後方向(X方向:第1方向)の前方に開口することになる。
【0108】
また、ヘッドハウジング300には、開口窓S1aを覆うことが可能な蓋部40が取り付けられており、
図24および
図25に示すように、この蓋部40を操作することで、開口窓S1aを開閉させることができるようにしている。そして、蓋部40を操作するだけで、開口窓S1aから水などの液体を空間部S1に導入させたり、空間部S1内に溜められた毛や液体を開口窓S1aから排出させたりすることができるようにし、ヘッドカバー部32をヘッド基部31から取り外すことなく、空間部S1の清掃を行えるようにしている。こうすれば、より容易に空間部S1内の洗浄を行ったり、より容易に空間部S1内に液体を導入させたりすることが可能になる。なお、本実施の形態では、蓋部40のY方向(左右方向)の両端部に後述する操作部416がそれぞれ形成されており、少なくとも一方の操作部416に指を引っ掛けることで蓋部40を操作することができるようになっている。
【0109】
また、本実施の形態では、蓋部40をヘッドハウジング300の表面(開口窓S1aの開口面)に沿ってスライドさせることで、開口窓S1aの開閉が行われるようにしている。具体的には、蓋部40を略上下方向(Z方向)にスライドさせることで、開口窓S1aの開閉が行われるようにしており、蓋部40を上方にスライドさせることで開口窓S1aが蓋部40によって閉じられるようにしている。
【0110】
すなわち、蓋部40を上方にスライドさせて、開口窓S1aが蓋部40によって覆われる(閉じられる)ようにすることで、空間部S1が開口窓S1aを介して外部に連通されることがないようにしている。こうすることで、電気かみそり1の使用時や、電気かみそり1を洗浄装置上に載置した時に、空間部S1内に溜まったヒゲ(毛)が開口窓S1aから外部にこぼれてしまわないようにしている。
【0111】
一方、蓋部40を下方にスライドさせて、開口窓S1aが蓋部40によって覆われない(開けられる)ようにすることで、空間部S1が開口窓S1aを介して外部に連通されるようにしている。こうすることで、空間部S1に溜まったヒゲ(毛)を洗浄する際に開口窓S1aから空間部S1内に水や洗浄液などの液体を導入したり、空間部S1内のヒゲ(毛)や液体を開口窓S1aから排出させたりすることができるようにしている。
【0112】
ここで、本実施の形態では、ヘッド部30は、かみそり本体10に対してX方向(第1方向)に沿って相対的に往復動(揺動)することが可能な状態でかみそり本体10に支持されている。
【0113】
そのため、蓋部40の開閉操作を行う際に、ヘッド部30の揺動時に蓋部40が描く軌跡B1に沿うように蓋部40を移動させると、蓋部40に加えられる力がそのままヘッド部30を動かす力となるため、蓋部40を開閉方向に操作しにくくなってしまう。
【0114】
そこで、本実施の形態では、ヘッド部30をかみそり本体10に対して相対移動させることが可能な電気かみそり1であっても、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようにしている。
【0115】
具体的には、
図17に示すように、ヘッド部30をかみそり本体10に対して第1方向(X方向)に沿って相対的に往復動させた際に蓋部40が描く軌跡B1と交差する方向に蓋部40を移動させることで、蓋部40による開口窓S1aの開け閉めが行われるようにしている。
【0116】
こうすることで、軌跡B1と交差する方向の力を蓋部40に加えることで、蓋部40を開閉操作させることができるようにしている。そして、蓋部40を開閉操作するために蓋部40に力を加えた際に、軌跡B1に沿う方向の分力が極力小さくなるようにしている。こうすれば、蓋部40を開閉操作する際に、ヘッド部30がかみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)に沿って相対的に移動してしまうことを、より抑制することが可能になって、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。
【0117】
ここで、本実施の形態では、上述したように、ヘッド部30は、全体がX方向の同じ側に移動するようにした状態で、X方向に沿って揺動するようにしている。そのため、ヘッド部30をX方向に沿って揺動させると、蓋部40は、回転中心C1となる仮想の軸線A1を中心とした円弧を描くようにX方向に沿って揺動することになる。したがって、本実施の形態では、仮想の軸線A1を中心として蓋部40を通る円の一部が、ヘッド部30をかみそり本体10に対してX方向に沿って相対的に往復動させた際に蓋部40が描く軌跡B1となっている。この軌跡B1は、
図17に示すように、X方向に沿うように延在する円弧となっている。
【0118】
なお、本実施の形態では、上述したように、Y方向に沿ってヘッド部30を見た状態で、回転中心C1となる仮想の軸線A1が、ヘッド部30の上方(外方)に位置するようにしている。そのため、例えば、ヘッド部30を前後方向の前方に回動させた場合、ヘッド部30の全体が前後方向の前方に移動することになる。したがって、ヘッドハウジング300の任意の位置に蓋部40を取り付けたとしても、蓋部40が描く軌跡B1は、X方向に沿うように延在する円弧となる。このように、仮想の軸線A1をヘッド部30の外方に位置させるようにすれば、仮想の軸線A1がヘッド部30の内側に存在する場合のように、取り付ける場所によって蓋部40の軌跡B1の方向が変化してしまうことがなくなる。
【0119】
そのため、蓋部40を上下にスライドさせる(カバーハウジング321の上端に向けてスライドさせたり、外側ハウジング311の下端に向けてスライドさせたりする)ことで、開口窓S1aの開け閉め(蓋部40の開閉操作)が行われるようにすれば、ヘッドハウジング300の側部のいずれの位置に蓋部40を取り付けたとしても、蓋部40の開閉方向を軌跡B1に対して交差させることができる。
【0120】
そこで、本実施の形態では、蓋部40を上下にスライドさせることで、開口窓S1aの開け閉め(蓋部40の開閉操作)が行われるようにしている。なお、本実施の形態では、開口窓S1aが前後方向(X方向)に開口するようにしており、前後方向(X方向)に揺動するヘッドハウジング300の前後の面に開口窓S1aおよび蓋部40が形成されるようにしている。すなわち、ヘッドハウジング300が移動する方向(揺動方向)で対向する面に開口窓S1aおよび蓋部40が形成されるようにしている。そのため、面に沿ってスライドさせるようにすれば、上下だけでなく任意の方向に蓋部40をスライドさせたとしても、蓋部40の開閉方向を軌跡B1に対して交差させることができるようになっている。このように、本実施の形態では、より容易かつ確実に蓋部40の開閉方向を軌跡B1に対して交差させることができるようになっている。
【0121】
さらに、本実施の形態では、上述したように、蓋部40の上下スライドの方向を、X方向に沿うように延在する軌跡B1に略直交する方向であるZ方向に近くなるようにしている。すなわち、ヘッドハウジング300の表面に沿う上下の動きによって描かれる軌跡が、Z方向に略沿う方向となる部位に、開口窓S1aおよび蓋部40が形成されるようにしている。
【0122】
本実施の形態では、ヘッドハウジング300は、Y方向(第2方向)に沿ってヘッド部30を見た状態で、輪郭形状が略円形になっている。そのため、ヘッドハウジング300の上下方向の中央部に開口窓S1aおよび蓋部40を形成することで、蓋部40の上下スライドの方向をZ方向に近くなるようにしている。このとき、軌跡B1と蓋部40の開閉方向とがなす角θ1が80度~100度の範囲となるようにするのが好ましい。このように、角θ1をより直角に近づけるようにすれば、蓋部40の開閉操作時に発生する軌跡B1に沿う方向の分力をより小さくすることができるようになる。
【0123】
なお、本実施の形態のように、軌跡B1が湾曲している場合、蓋部40が位置している場所における軌跡B1の接線と、その位置において開閉操作を行った際に蓋部40が移動する方向との間の角度が角θ1となる。
【0124】
また、軌跡B1と蓋部40の開閉方向とがなす角θ1は、10度~170度の範囲で設定することが可能であるが、30度~150度の範囲で設定するのが好ましく、80度~100度の範囲で設定するのがより好ましい。
【0125】
なお、本実施の形態では、ヘッドハウジング300の表面が外方に凸となるように湾曲しているため、開口窓S1aおよび蓋部40を形成する位置を上下にずらすことで、角θ1の大きさを変えることができるようになっている。
【0126】
さらに、本実施の形態では、
図17に示すように、ヘッド部30の回転中心C1から蓋部40までの距離L1が、ヘッド部30における回転中心C1からの最長距離(回転中心C1からヘッド部30の下端までの距離)L2よりも短くなるようにしている。
【0127】
こうすることで、蓋部40の位置を、ヘッド部30の回転中心C1に、より近づけることができるようにしている。さらに、本実施の形態では、Y方向(第2方向)に沿ってヘッド部30を見た状態で、仮想の軸線A1を中心とし、接続端部2823を通る仮想円C2の内側に蓋部40が存在するようにしている。
【0128】
こうすることで、蓋部40の位置を、ヘッド部30の回転中心C1となる仮想の軸線A1に近づけることが可能になるため、蓋部40を開閉操作するために蓋部40に力を加えた際には、軌跡B1に沿う方向の分力がヘッド部30の回転中心C1に近い位置で生じることになる。そのため、蓋部40を開閉操作する際に蓋部40に加えられる力によってヘッド部30を揺動させるためには、蓋部40の位置を仮想円C2の外側にした場合よりも大きな力を蓋部40に加えるようにしなければならないようにすることが可能になる。その結果、蓋部40を開閉操作する際のヘッド部30の揺動をさらに小さくすることができ、蓋部40の開閉操作性をより向上させることが可能になる。
【0129】
なお、
図21に示す構成とした場合であっても、ヘッド部30の回転中心C1から蓋部40までの距離L1が、ヘッド部30における回転中心C1からの最長距離(回転中心C1からヘッド部30の下端までの距離)L2よりも短くなるようにするのが好ましい。こうすれば、ヘッド部30を一点で支持する構成とした場合であっても、蓋部40の開閉操作性をより向上させることが可能になる。
【0130】
また、本実施の形態では、ヘッド部30は、かみそり本体10に対してY方向(第2方向)に沿って相対的に揺動することが可能な状態でかみそり本体10に支持されている。
【0131】
そのため、本実施の形態では、蓋部40の開閉操作を行う際に、ヘッド部30が、かみそり本体10に対してY方向(第2方向)に沿って相対的に揺動してしまうことを、より抑制することができるようにしている。
【0132】
具体的には、ヘッド部30をかみそり本体10に対してY方向(第2方向)に沿って相対的に揺動させるために必要な力が従来よりも大きくなるようにしている。ヘッド部30のY方向(第2方向)へのスイングに必要な力の調整は、例えば、コイルスプリング26の強度を調整することで行うことができる。
【0133】
さらに、本実施の形態では、ヘッド部30をY方向(第2方向)へスイングさせる際の回転中心C3の位置が、従来よりも下方に位置するようにしている。
【0134】
このように、回転中心C3の位置を従来よりも下方に位置するようにすれば、
図26および
図27に示すように、回転中心C3と蓋部40の端部とを結ぶ直線と鉛直線とがなす角θ2を従来よりも小さくすることが可能になる。その結果、蓋部40を開閉操作するために蓋部40に力F1を加えた際に生じる、ヘッド部30をY方向(第2方向)へスイングさせる際に加えられる力の方向への分力(F1×sinθ2)が小さくなる。ここで、ヘッド部30をY方向(第2方向)へスイングさせる方向とは、回転中心C3と蓋部40の端部とを結ぶ直線と直交する方向のことである。
【0135】
このように、ヘッド部30をY方向(第2方向)へスイングさせる際に加えられる力の方向への分力が小さくなるようにすれば、蓋部40の開閉操作時におけるヘッド部30のかみそり本体(本体部)10に対する第2方向(Y方向)に沿う揺動を、さらに小さくすることが可能になる。すなわち、蓋部40を開閉操作する際に、ヘッド部30が第2方向(Y方向)に沿ってさらに揺動しにくくなるようにすることが可能になる。その結果、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して第2方向(Y方向)に沿って揺動させるようにした場合であっても、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。
【0136】
さらに、本実施の形態では、ヘッド部30は、かみそり本体10に対してZ方向にフロートすることが可能な状態でかみそり本体10に支持されている。
【0137】
そのため、本実施の形態では、ヘッド部30をかみそり本体10に対してZ方向にフロートさせるようにした場合であっても、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようにしている。
【0138】
具体的には、蓋部40を下方へスライド(開操作)させる際には、ヘッド部30が下死点に到達する前に蓋部40が下方にスライドするように、ヘッド部30のZ方向のフロート荷重と蓋部40の開操作時の操作荷重とを調整している。
【0139】
このように、ヘッド部30が下死点に到達する前に蓋部40を下方にスライドさせることができるようにすることで、開操作時における蓋部40の移動量が少なくなるようにしている。こうすることで、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようにしている。
【0140】
なお、本実施の形態では、電気かみそり1を使用していない状態(ヘッド部30に力が加えられていない状態)ではヘッド部30が上死点に位置するようにしているため、ヘッド部30のZ方向のフロートの影響を受けずに蓋部40を上方へスライド(閉操作)させることができるようになっている。
【0141】
次に、
図28~
図33を参照して、蓋部40の具体的な構成について説明する。
【0142】
本実施の形態では、蓋部40は、
図30および
図31に示すように、開口窓S1aを開閉可能に覆う蓋本体41を備えており、この蓋本体41は、略矩形板状の前壁411と、略矩形板状の後壁413と、前壁411と後壁413とを上部で連結する連結壁412と、を備えている。
【0143】
また、前壁411と後壁413との間には、下方に開口する溝部414が形成されており、蓋部40を操作して開口窓S1aを開けた際に、この溝部414が外側ハウジング311の上端に挿入されるようにしている。こうすることで、蓋部40の開状態が維持されるようにしている。
【0144】
さらに、蓋部40には、鉛直溝部S31に挿入され、溝状空間S3を上下に分断するように閉塞する閉塞部415が形成されている。この閉塞部415は、
図32に示すように、蓋部40の上部に形成されており、蓋部40を上方にスライドさせて開口窓S1aを閉じた際には、傾斜溝部S32の下端が閉塞部415の上面によって閉塞されるようにしている。すなわち、開口窓S1aを閉じた状態では、空間部S1が開口窓S1aよりも上方のみに形成されるようにしている。こうすることで、開口窓S1aを閉じた状態では、切断されたヒゲ(毛)が開口窓S1a側まで落ちてこないようにし、切断されたヒゲ(毛)による開口窓S1aの目詰まりや、切断されたヒゲ(毛)による蓋部40の下方へのスライド(開操作)の阻害などが起きてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。
【0145】
また、蓋本体41は、蓋部40の開閉方向(Z方向)と交差する交差方向(Y方向)に細長い形状をしている。こうすることで、開口窓S1aの開口面積を大きくし、より効率的に開口窓S1aから水などの液体を空間部S1に導入させたり、空間部S1内に溜められた毛や液体を開口窓S1aから排出させたりすることができるようにしている。
【0146】
そして、本実施の形態では、
図29に示すように、Y方向に細長い形状をした蓋本体41のY方向の両端を、蓋部40を開閉方向(Z方向:上下方向)に操作する操作部416としている。すなわち、蓋本体41におけるY方向(交差方向)の両側に、蓋部40を開閉操作する操作部416が形成されている。
【0147】
ここで、本実施の形態では、
図32および
図33に示すように、蓋部40が、蓋本体41の少なくとも一部をヘッドハウジング300の外方に突出させた状態でヘッドハウジング300に取り付けられている。そして、蓋本体41におけるY方向(交差方向)の両側のヘッドハウジング300よりも外方に突出させた部分に、爪(指)を引っ掛けて蓋部40をスライドさせることで、蓋部40の開閉操作が行われるようにしている。
【0148】
具体的には、蓋本体41におけるY方向(交差方向)の両側の下端でヘッドハウジング300よりも外方に突出している部分に爪(指)を引っ掛けて蓋部40を上方にスライドさせることで、蓋部40の閉操作が行われるようにしている。
【0149】
一方、蓋本体41におけるY方向(交差方向)の両側の上端でヘッドハウジング300よりも外方に突出している部分に爪(指)を引っ掛けて蓋部40を下方にスライドさせることで、蓋部40の開操作が行われるようにしている。
【0150】
このように、本実施の形態では、蓋本体41における交差方向(Y方向)の両側のヘッドハウジング300よりも外方に突出させた部分が、指を引っ掛けて蓋部40を開閉操作する操作部416となっている。
【0151】
さらに、蓋部40を開方向(Z方向の下方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分のヘッドハウジング300からの突出量の方が、蓋部40を閉方向(Z方向の上方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分のヘッドハウジング300からの突出量よりも小さくなるようにしている。
【0152】
具体的には、蓋部40を開方向(Z方向の下方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分(操作部16の上端)の厚さD1の方が、蓋部40を閉方向(Z方向の上方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分(操作部16の下端)の厚さD2よりも薄くなるように、蓋本体41を形成している。
【0153】
本実施の形態では、厚さD1が1.0mm、厚さD2が1.5mmとなるように、蓋本体41を形成している。
【0154】
このように、本実施の形態では、蓋本体41の上下の厚さを変えるようにすることで、蓋部40をヘッドハウジング300に取り付けるだけで、上下の突出量を異ならせることができるようにしている。こうすることで、より容易かつ確実に、蓋部40を開方向(Z方向の下方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分のヘッドハウジング300からの突出量を、蓋部40を閉方向(Z方向の上方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分のヘッドハウジング300からの突出量よりも小さくできるようにしている。
【0155】
そして、蓋部40を開方向に操作する際の爪(指)のかかり代を小さくすることで、意図せずに蓋部40が開状態となってしまうことを、より確実に抑制できるようにしている。こうすれば、空間部S1に溜まった毛や液体が開口窓S1aから外にこぼれてしまうことをより確実に抑制できるようになる。
【0156】
ところで、ヘッド部30をX方向(ヘッド部30の前後方向)に揺動させつつ、蓋部40の開閉方向をZ方向(ヘッド部30の上下方向)となるようにした場合において、蓋部40を上方に移動させることで開口窓S1aを閉じるようにすると、蓋部40を上方に移動させる際に、ヘッド部30がX方向に揺動しやすくなってしまう場合がある。
【0157】
しかしながら、このような場合であっても、本実施の形態のように、蓋部40を閉方向(Z方向の上方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分のヘッドハウジング300からの突出量を大きくすれば、蓋部40を閉方向(Z方向の上方)に操作させやすくなる。そのため、ヘッド部30のX方向への揺動を抑制することが可能になって、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。
【0158】
なお、操作部416には、凹部4161が設けられており、この凹部4161を目印にして蓋部40の開閉操作を行うことができるようになっている。
【0159】
また、本実施の形態では、Y方向に細長い形状をした蓋部40をZ方向にスライドさせることで、開口窓S1aの開閉操作が行われるようにしているため、蓋部40が、蓋本体41の開閉方向への移動をガイドするガイド部42を備えるようにし、より容易かつ確実に蓋部40を開閉方向に移動させることができるようにしている。
【0160】
具体的には、
図34および
図35に示すように、蓋本体41におけるY方向(交差方向)の両側に一対のガイド部42を形成している。この一対のガイド部42は、Z方向に細長くなるように形成されており、蓋部40をヘッドハウジング300に取り付けた際に、内側ハウジング312に形成されたガイド溝部3121内に収容されるようにしている。そして、蓋部40を開閉方向に操作する際に、内側ハウジング312に摺接しながら上下(Z方向)に移動するようにしている。
【0161】
本実施の形態では、一対のガイド部42を、蓋本体41におけるY方向(交差方向)の両側に形成された操作部416のそれぞれの近傍に形成している。
【0162】
具体的には、X方向に沿って蓋部40を見た状態で、ガイド部42の少なくとも一部が、操作部416にZ方向で重なるようにしている。すなわち、
図34および
図35に示すように、X方向に沿って蓋部40を見た状態で、ガイド部42のY方向の両端のうち少なくともいずれか一方の端が、操作部416のY方向の一端と他端との間に存在するように、ガイド部42を形成している。
【0163】
なお、Y方向に沿って蓋部40を見た状態で、ガイド部42の少なくとも一部が、操作部416にZ方向で重なるようにするのが好ましく、Z方向に沿って蓋部40を見た状態で、ガイド部42の少なくとも一部が操作部416と重なるようにするのがより好ましい。
【0164】
このように、本実施の形態では、蓋本体41におけるY方向(交差方向)の両側に形成された操作部416のそれぞれの近傍にガイド部42を設けるようにしている。そして、このようなガイド部42を設けることで、操作部416を操作して蓋部40を開閉方向に移動させる際に蓋部40が回転してしまうことが、このガイド部42によって抑制されるようにし、蓋部40の開閉操作をよりスムーズに行うことができるようにしている。
【0165】
すなわち、蓋本体41における交差方向(Y方向)の両側に形成される2個の操作部416の近傍にガイド部42がそれぞれ形成されるようにすることで、蓋部40の開閉操作性が損なわれてしまうことを抑制しつつ、開口窓S1aの開口面積を大きくできるようにしている。
【0166】
また、本実施の形態では、蓋部40にフック部43が設けられており、開口窓S1aを蓋部40で閉じた際に、このフック部43が、ヘッドハウジング300に形成された係止突起(係止部)3122に解除可能に係止されるようにしている。
【0167】
このように、本実施の形態では、フック部43を係止突起(係止部)3122に解除可能に係止させることで、蓋部40の閉状態が維持されるようにしている。
【0168】
具体的には、
図34および
図35に示すように、蓋部40におけるY方向の中央を挟んだ両側に、一対のフック部43が形成されており、各フック部43は、下方に向けて延設されたアーム部431と、アーム部431の下端にY方向の外側に突出するように連設された係止爪432と、をそれぞれ備えている。
【0169】
一方、内側ハウジング312の係止爪432に対応する部位には、フック部43がそれぞれ係止される一対の係止突起(係止部)3122が形成されており、各係止突起(係止部)3122が、Y方向の内側に凸となる半円弧状の突曲面3123をそれぞれ備えている。
【0170】
そして、
図36に示すように、蓋部40を閉状態とした際には、係止爪432の下側傾斜面(第1傾斜面)4321が突曲面3123の上側の面(一方側の面)3124に接触するようにしている。こうすることで、蓋部40が、内側ハウジング312に対してZ方向の下側へそれ以上移動してしまわないようにしている。このように、本実施の形態では、係止爪432の下側傾斜面(第1傾斜面)4321を、突曲面3123の上側の面(一方側の面)3124に係止させることで、蓋部40を閉状態で維持することができるようにしている。
【0171】
さらに、蓋部40を開閉操作する際には、フック部43が突曲面3123を乗り越えるようにしている。
【0172】
具体的には、蓋部40を閉状態から開状態とするために下方に移動させると、フック部43は、係止爪432の下側傾斜面(第1傾斜面)4321を、突曲面3123の上側の面(一方側の面)3124に摺接させながら下方に移動することになる。このとき、フック部43は、アーム部431をY方向の内側に撓ませながら、下側傾斜面(第1傾斜面)4321を上側の面(一方側の面)3124に摺接させることになる。そして、下側傾斜面(第1傾斜面)4321が突曲面3123の頂部(最もY方向の内側に位置する点)を通過して突曲面3123を乗り越えると、フック部43は、アーム部431を弾性復元力によってY方向の外側に移動させながら、下方に移動することになる。
【0173】
同様に、蓋部40を開状態から閉状態とするために上方に移動させると、フック部43は、係止爪432の上側傾斜面(第2傾斜面)4322を、突曲面3123の下側の面(他方側の面)3125に摺接させながら上方に移動することになる。このとき、フック部43は、アーム部431をY方向の内側に撓ませながら、上側傾斜面(第2傾斜面)4322を下側の面(他方側の面)3125に摺接させることになる。そして、上側傾斜面(第2傾斜面)4322が突曲面3123の頂部(最もY方向の内側に位置する点)を通過して突曲面3123を乗り越えると、フック部43は、アーム部431を弾性復元力によってY方向の外側に移動させながら、上方に移動することになる。そして、フック部43が係止突起(係止部)3122に解除可能に係止されて、蓋部40の閉状態が維持されることになる。
【0174】
このように、本実施の形態では、ヘッドハウジング300に、突曲面3123を有し、蓋部40を閉状態で係止することが可能な係止突起(係止部)3122が形成されており、蓋部40に、蓋部40を開閉操作する際に突曲面3123を乗り越えることが可能なフック部43が形成されている。
【0175】
また、フック部43が、蓋部40を閉状態から開状態へと移動させるときに、突曲面3123を乗り越える前に突曲面3123の一方側の面3124に接触する下側傾斜面(第1傾斜面)4321と、蓋部40を開状態から閉状態へと移動させるときに、突曲面3123を乗り越える前に突曲面3123の他方側の面3125に接触する上側傾斜面(第2傾斜面)4322と、を備えている。
【0176】
そして、このようなフック部43および係止突起(係止部)3122を設けることで、クリック感を持って蓋部40の開閉操作を行うことができるようにしている。
【0177】
ここで、本実施の形態では、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の蓋部40の開閉方向(Z方向)に対する傾斜角度θ3と、上側傾斜面(第2傾斜面)4322の蓋部40の開閉方向(Z方向)に対する傾斜角度θ4とが異なるようにしている。こうすることで、蓋部40の開方向への操作荷重と閉方向への操作荷重とが異なるようにしている。
【0178】
具体的には、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の傾斜角度θ3の方が、上側傾斜面(第2傾斜面)4322の傾斜角度θ4よりも大きくなるようにしている。
【0179】
このように、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の傾斜角度θ3を、上側傾斜面(第2傾斜面)4322の傾斜角度θ4よりも大きくなるようにすれば、蓋部40を開方向へ移動させにくく、閉方向へ移動させやすくすることができる。
【0180】
本実施の形態では、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の傾斜角度θ3が75度となるようにし、上側傾斜面(第2傾斜面)4322の傾斜角度θ4が20度~45度の範囲となるようにしている。
【0181】
そして、蓋部40の開操作時に必要な押下力が400gf~600gf、蓋部40の閉操作時に必要な押上力が200gf~400gf、開操作時と閉操作時の操作力差が200gfとなるようにしている。
【0182】
こうすることで、蓋部40の開操作時に必要な押下力が、転倒などで意図せず蓋部40が開かない保持力を持ちつつ開操作しやすい操作力となるようにしている。また、蓋部40の閉操作時に必要な押上力が、クリック感を保持しつつ、できるだけ軽い操作力となるようにしている。
【0183】
そして、蓋部40を開方向へ移動させにくくすれば、電気かみそり(除毛装置)1の使用時や洗浄装置による洗浄時に、手や他の物体(床面等)に蓋部40が接触してしまうことによって、蓋部40が意図せずに開状態となってしまうことを、より確実に抑制することが可能になる。また、落下時にかかる衝撃等によって、意図せずに蓋部40が開状態となってしまうことを、より確実に抑制することも可能になる。そして、意図せずに蓋部40が開状態となってしまうことをより確実に抑制できるようにすれば、空間部S1に溜まった毛や液体が開口窓S1aから外にこぼれてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0184】
一方、蓋部40を閉方向へ移動させやすくして、閉操作時の操作性がよくなるようにすれば、蓋部40を閉方向へ移動させる際にヘッド部30が揺動してしまうことを抑制することができるようになって、蓋部40を閉方向へ移動させる際の操作性をより向上させることができるようになる。
【0185】
また、本実施の形態のように、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の傾斜角度θ3と、上側傾斜面(第2傾斜面)4322の傾斜角度θ4とを異ならせるようにすれば、より簡素な構成で、蓋部40の開方向への操作荷重の方が蓋部40の閉方向への操作荷重よりも大きくなるようにすることができるようになる。
【0186】
なお、
図37に示すように、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の傾斜角度θ3と上側傾斜面(第2傾斜面)4322の傾斜角度θ4とを同じ角度とし、突曲面3123を、一方側の面3124の曲率半径が、他方側の面3125の曲率半径よりも小さくなる形状とすることで、蓋部40を開方向へ移動させにくく、閉方向へ移動させやすくすることも可能である。
【0187】
なお、
図37には、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の傾斜角度θ3と上側傾斜面(第2傾斜面)4322の傾斜角度θ4とを同じ角度としたものを例示しているが、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の傾斜角度θ3と上側傾斜面(第2傾斜面)4322の傾斜角度θ4とが異なるようにすることも可能である。すなわち、傾斜角度と曲率半径の両方が異なるようにすることも可能である。
【0188】
こうすることでも、より簡素な構成で、蓋部40の開方向への操作荷重の方が蓋部40の閉方向への操作荷重よりも大きくなるようにすることができるようになる。
【0189】
なお、蓋部40の取付位置は、上記実施の形態で示した位置とする必要はなく、様々な位置に取り付けることが可能である。
【0190】
【0191】
図38~
図41に示す構成においても、ヘッド部30が、かみそり本体(本体部)10に支持されるヘッド基部31と、ヘッド基部31に着脱可能に装着されて、刃部331を一部(肌接触面33a)が露出した状態で覆うヘッドカバー部32と、を備えている。
【0192】
ここで、
図38~
図41に示す構成では、開口窓S1aを開閉可能に閉塞する蓋部40が、ヘッドカバー部32のカバーハウジング321に取り付けられるようにしている。
【0193】
具体的には、ヘッドハウジング300の後面におけるトリマーユニット317の上部に開口窓S1aを形成し、この開口窓S1aを開閉可能に塞ぐことができるように、蓋部40がカバーハウジング321に取り付けられている。なお、蓋部40は、カバーハウジング321に取り付けられていればよく、周壁部3213の任意の場所に蓋部40を取り付けることができる。
【0194】
また、
図38~
図41に示す構成においても、ヘッドハウジング300の表面(開口窓S1aの開口面)に沿って蓋部40をスライドさせることで、開口窓S1aの開閉が行われるようにしている。なお、
図38~
図41に示す構成では、蓋部40を上下方向にスライドさせることで、開口窓S1aの開閉が行われるようにしており、蓋部40を下方にスライドさせることで開口窓S1aが蓋部40によって閉じられるようにしている。
【0195】
そして、
図38~
図41に示す構成においても、蓋部40の開閉方向(Z方向)が、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)に沿って相対的に往復動させた際に蓋部40が描く軌跡B1と交差するようにしている。
【0196】
また、蓋部40にフック部43が設けられており、開口窓S1aを蓋部40で閉じた際に、このフック部43が、ヘッドハウジング300に形成された係止突起(係止部)3214に解除可能に係止されるようにしている。
【0197】
このように、蓋部40をヘッドカバー部32に取り付けるようにすれば、ヘッド部30の上側に回転中心C1が存在する場合には、蓋部40を回転中心C1に近づけることが可能になるため、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。また、ヘッド部30のコンパクト化を図りつつ、ヘッド部30の意匠性をより向上させることが可能になる。さらに、刃部331の近傍に開口窓S1aが設けられることになるため、より効率よく刃部331の洗浄を行うことができるようになる。
【0198】
また、刃部331の近傍に蓋部40が設けられるため、刃部331をより確実に洗浄することができるようになる。
【0199】
[作用・効果]
以下では、上記実施の形態およびその変形例で示した電気かみそり(除毛装置)の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
【0200】
上記実施の形態およびその変形例で示した電気かみそり(除毛装置)1は、かみそり本体(本体部)10と、毛を切断することが可能な刃部331を有し、かみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)に沿って相対的に往復動することが可能な状態でかみそり本体(本体部)10に支持されるヘッド部30と、を備えている。また、ヘッド部30は、空間部S1が内部に形成されたヘッドハウジング300を備えており、ヘッドハウジング300には、空間部S1に連通する開口窓S1aが形成されている。さらに、開口窓S1aを開閉可能に覆う蓋部40がヘッドハウジング300に取り付けられている。そして、蓋部40の開閉方向(Z方向)が、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)に沿って相対的に往復動させた際に蓋部40が描く軌跡B1と交差している。
【0201】
このように、ヘッド部30を、かみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)に沿って相対移動することが可能な状態でかみそり本体(本体部)10に支持されるようにすれば、電気かみそり(除毛装置)1の使用時に、刃部331を肌により密着させることが可能になる。その結果、より効率的にヒゲ(毛)を剃る(除毛する)ことが可能になる。
【0202】
また、空間部S1に連通する開口窓S1aをヘッドハウジング300に設け、この開口窓S1aをヘッドハウジング300に取り付けられた蓋部40によって開閉可能に覆うようにすれば、蓋部40を操作するだけで、開口窓S1aから水などの液体を空間部S1に導入させたり、空間部S1内に溜められた毛や液体を開口窓S1aから排出させたりすることができるようになる。その結果、より容易に空間部S1内の洗浄を行ったり、より容易に空間部S1内に液体を導入させたりすることが可能になる。
【0203】
また、蓋部40の開閉方向(Z方向)を、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)に沿って相対的に往復動させた際に蓋部40が描く軌跡B1と交差する方向となるようにすれば、軌跡B1と交差する方向の力を蓋部40に加えることで、蓋部40を開閉操作することができるようになる。このように、蓋部40を開閉操作する際に、軌跡B1と交差する方向の力を蓋部40に加えるようにすれば、軌跡B1に沿う方向の分力を極力小さくすることが可能になるため、蓋部40を開閉操作する際に、ヘッド部30がかみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)に沿って相対的に移動してしまうことを、より抑制することが可能になる。その結果、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。
【0204】
このように、上記実施の形態およびその変形例で示した電気かみそり(除毛装置)1を用いるようにすれば、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して相対移動させることで、刃部331の肌への密着性をより高められるようにしつつ、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。
【0205】
また、第1方向(X方向)がヘッド部30の前後方向であってもよい。
【0206】
こうすれば、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して前後方向に相対移動させることができる電気かみそり(除毛装置)1であっても、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。
【0207】
また、ヘッド部30が、かみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)と交差する方向(Y方向、Z方向)に沿って相対移動することが可能な状態でかみそり本体(本体部)10に支持されていてもよい。
【0208】
こうすれば、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して複数方向に相対移動させることができる電気かみそり(除毛装置)1であっても、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。そのため、刃部331の肌への密着性をより一層向上させつつ、蓋部40の開閉操作性をより向上させることが可能な電気かみそり(除毛装置)1を得ることが可能になる。
【0209】
また、ヘッド部30が、第1方向(X方向)に沿って揺動できるようにかみそり本体(本体部)10に支持されていてもよい。そして、ヘッド部30の回転中心C1から蓋部40までの距離L1が、ヘッド部30における回転中心C1からの最長距離L2よりも短くなっていてもよい。
【0210】
こうすれば、蓋部40をヘッド部30の回転中心C1により近づけることが可能になるため、蓋部40を開閉操作するために蓋部40に力を加えた際には、軌跡B1に沿う方向の分力がヘッド部30の回転中心C1に近い位置で生じることになる。そのため、蓋部40を開閉操作する際に比較的大きな力を蓋部40に加えるようにしなければ、ヘッド部30を揺動させることができないようにすることが可能になる。すなわち、蓋部40を開閉操作する際に蓋部40に加えられる力によってヘッド部30を揺動させるためには、比較的大きな力を蓋部40に加えるようにしなければならないようにすることが可能になる。その結果、蓋部40を開閉操作する際にヘッド部30が揺動してしまうことが抑制されて、蓋部40の開閉操作性をより向上させることが可能になる。
【0211】
また、ヘッド部30が、連結機構20を介してかみそり本体(本体部)10に支持されていてもよい。また、連結機構20が、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に延在する仮想の軸線A1を中心として第1方向(X方向)に沿って揺動させるリンク機構28を備えていてもよい。さらに、リンク機構28が、ヘッド部30に接続される接続端部2823を有していてもよい。そして、第2方向(Y方向)に沿ってヘッド部30を見た状態で、仮想の軸線A1を中心とし、接続端部2823を通る仮想円C2の内側に蓋部40が存在するようにしてもよい。
【0212】
こうすれば、蓋部40の位置を、ヘッド部30の回転中心C1となる仮想の軸線A1に近づけることが可能になるため、蓋部40を開閉操作するために蓋部40に力を加えた際には、軌跡B1に沿う方向の分力がヘッド部30の回転中心C1に近い位置で生じることになる。そのため、蓋部40を開閉操作する際に比較的大きな力を蓋部40に加えるようにしなければ、ヘッド部30を揺動させることができないようにすることが可能になる。すなわち、蓋部40を開閉操作する際に蓋部40に加えられる力によってヘッド部30を揺動させるためには、比較的大きな力を蓋部40に加えるようにしなければならないようにすることが可能になる。その結果、蓋部40を開閉操作する際にヘッド部30が揺動してしまうことが抑制されて、蓋部40の開閉操作性をより向上させることが可能になる。
【0213】
また、第2方向(Y方向)に沿ってヘッド部30を見た状態で、仮想の軸線A1がヘッド部30よりも外方に位置していてもよい。
【0214】
こうすれば、ヘッド部30を第1方向(X方向)に沿って揺動させる際に、ヘッド部30の全体を、第1方向(X方向)の同じ側(前側または後側)に移動させることができるようになる。すなわち、仮想の軸線A1がヘッド部30の内側に存在する場合のように、蓋部40をヘッド部30に取り付ける場所によって軌跡B1の方向が変化してしまうことがなくなる。
【0215】
そのため、蓋部40のヘッド部30への取付位置の自由度や蓋部40の開閉方向の自由度をより向上させることが可能になる。例えば、蓋部40をヘッド部30の表面に沿って移動させることで蓋部40の開閉操作が行われるようにした場合に、様々な方向に沿わせるようにしても、蓋部40の開閉方向が軌跡B1に対して交差する状態となるようにすることが可能になる。そして、蓋部40をヘッド部30の表面に沿って移動させることで蓋部40の開閉操作が行われるようにすれば、構成の簡素化を図りつつ、電気かみそり(除毛装置)1のコンパクト化を図ることが可能になる。
【0216】
また、ヘッドハウジング300に、開口窓S1aが第1方向(X方向)に開口するように形成されていてもよい。
【0217】
こうすれば、蓋部40をヘッド部30の表面に沿って移動させることで蓋部40の開閉操作が行われるようにした場合に、任意の方向に沿わせるようにしても、蓋部40の開閉方向を軌跡B1に対して交差させることができるようになる。そのため、より容易かつ確実に蓋部40の開閉方向を軌跡B1に対して交差させることができるようになる。
【0218】
また、蓋部40の開方向への操作荷重と閉方向への操作荷重とが異なるようにしてもよい。
【0219】
こうすれば、蓋部40を開方向へ移動させにくくしたり、閉方向へ移動させにくくしたりすることが可能になる。このとき、蓋部40を開方向へ移動させにくくすれば、電気かみそり(除毛装置)1の使用時や洗浄装置による洗浄時に、手や他の物体(床面等)に蓋部40が接触してしまうことによって、蓋部40が意図せずに開状態となってしまうことを、より確実に抑制することが可能になる。また、落下時にかかる衝撃等によって、意図せずに蓋部40が開状態となってしまうことを、より確実に抑制することも可能になる。このように、意図せずに蓋部40が開状態となってしまうことをより確実に抑制できるようにすれば、空間部S1に溜まった毛や液体が開口窓S1aから外にこぼれてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。さらに、蓋部40を閉方向へ移動させる際の操作性がよくなる(蓋部40を閉方向へ移動させやすくなる)ため、蓋部40を閉方向へ移動させる際にヘッド部30が揺動してしまうことを抑制することができるようになる。
【0220】
一方、蓋部40を閉方向へ移動させにくくすれば、例えば、蓋部40を開状態として空間部S1内を水洗いしている際に、意図せずに蓋部40が閉状態となってしまうことをより確実に抑制できるようになる。
【0221】
また、蓋部40の開方向への操作荷重の方が蓋部40の閉方向への操作荷重よりも大きくなるようにしてもよい。
【0222】
こうすれば、蓋部40を開方向へ移動させにくくすることが可能になって、意図せずに蓋部40が開状態となってしまうことを、より確実に抑制することが可能になる上、蓋部40を閉方向へ移動させる際の操作性をより向上させることができるようになる。
【0223】
また、ヘッドハウジング300および蓋部40のうち少なくともいずれか一方の部材に、突曲面3123を有し、蓋部40を閉状態で係止することが可能な係止突起(係止部)3122が形成されており、ヘッドハウジング300および蓋部40のうち少なくともいずれか他方の部材に、蓋部40を開閉操作する際に突曲面3123を乗り越えることが可能なフック部43が形成されていてもよい。さらに、フック部43が、蓋部40を閉状態から開状態へと移動させるときに、突曲面3123を乗り越える前に突曲面3123に接触する下側傾斜面(第1傾斜面)4321と、蓋部40を開状態から閉状態へと移動させるときに、突曲面3123を乗り越える前に突曲面3123に接触する上側傾斜面(第2傾斜面)4322と、を備えていてもよい。そして、下側傾斜面(第1傾斜面)4321の蓋部40の開閉方向(Z方向)に対する傾斜角度θ3の方が、上側傾斜面(第2傾斜面)4322の蓋部40の開閉方向(Z方向)に対する傾斜角度θ4よりも大きくなっていてもよい。
【0224】
こうすれば、より簡素な構成としつつ、蓋部40の開方向への操作荷重の方が蓋部40の閉方向への操作荷重よりも大きくなるようにすることが可能になる。その結果、蓋部40を開方向へ移動させにくくすることが可能になる。
【0225】
また、ヘッドハウジング300および蓋部40のうち少なくともいずれか一方の部材に、突曲面3123を有し、蓋部40を閉状態で係止することが可能な係止突起(係止部)3122が形成されており、ヘッドハウジング300および蓋部40のうち少なくともいずれか他方の部材に、蓋部40を開閉操作する際に突曲面3123を乗り越えることが可能なフック部43が形成されていてもよい。さらに、フック部43が、蓋部40を閉状態から開状態へと移動させるときに、突曲面3123を乗り越える前に突曲面3123の一方側の面3124に接触する下側傾斜面(第1傾斜面)4321と、蓋部40を開状態から閉状態へと移動させるときに、突曲面3123を乗り越える前に突曲面3123の他方側の面3125に接触する上側傾斜面(第2傾斜面)4322と、を備えていてもよい。そして、突曲面3123は、一方側の面3124の曲率半径が、他方側の面3125の曲率半径よりも小さくなっていてもよい。
【0226】
こうすることでも、より簡素な構成としつつ、蓋部40の開方向への操作荷重の方が蓋部40の閉方向への操作荷重よりも大きくなるようにすることが可能になる。その結果、蓋部40を開方向へ移動させにくくすることが可能になる。
【0227】
また、蓋部40が、開口窓S1aを開閉可能に覆う蓋本体41と、蓋本体41の開閉方向への移動をガイドするガイド部42と、を備えていてもよい。
【0228】
こうすれば、より容易かつ確実に蓋部40を開閉方向に移動させることができるようになる。
【0229】
また、蓋本体41が、蓋部40の開閉方向(Z方向)と交差する交差方向(Y方向)に細長い形状をしており、蓋本体41における交差方向(Y方向)の両側に、蓋部40を開閉操作する操作部416が形成されていてもよい。そして、操作部416の近傍にガイド部42がそれぞれ形成されていてもよい。
【0230】
こうすれば、開口窓S1aの開口面積を大きくすることが可能になって、より効率的に開口窓S1aから水などの液体を空間部S1に導入させたり、空間部S1内に溜められた毛や液体を開口窓S1aから排出させたりすることができるようになる。さらに、操作部416を操作して蓋部40を開閉方向に移動させる際に、蓋部40が回転してしまうことが抑制されるため、蓋部40の開閉操作をよりスムーズに行うことができるようになる。このように、蓋本体41における交差方向(Y方向)の両側に形成される2個の操作部416の近傍にガイド部42がそれぞれ形成されるようにすれば、蓋部40の開閉操作性が損なわれてしまうことを抑制しつつ、開口窓S1aの開口面積を大きくすることが可能になる。
【0231】
また、蓋部40が、蓋本体41の少なくとも一部をヘッドハウジング300の外方に突出させた状態でヘッドハウジング300に取り付けられていてもよい。そして、蓋本体41における交差方向(Y方向)の両側のヘッドハウジング300よりも外方に突出させた部分が、指を引っ掛けて蓋部40を開閉操作する操作部416となっていてもよい。さらに、蓋部40を開方向(Z方向の下方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分のヘッドハウジング300からの突出量の方が、蓋部40を閉方向(Z方向の上方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分のヘッドハウジング300からの突出量よりも小さくなっていてもよい。
【0232】
こうすれば、意図せずに蓋部40が開状態となってしまうことを、より確実に抑制することができるようになって、空間部S1に溜まった毛や液体が開口窓S1aから外にこぼれてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0233】
また、外部に露出する蓋本体41の形状を簡素化させることができるようになるため、ヘッド部30の意匠性をより向上させることもできるようになる。
【0234】
なお、ヘッド部30をX方向(ヘッド部30の前後方向)に揺動させつつ、蓋部40の開閉方向をZ方向(ヘッド部30の上下方向)となるようにした場合において、蓋部40を上方に移動させることで開口窓S1aを閉じるようにすると、蓋部40を上方に移動させる際に、ヘッド部30がX方向に揺動しやすくなってしまう場合がある。
【0235】
しかしながら、このような場合であっても、蓋部40を閉方向(Z方向の上方)に操作する際に指が引っ掛けられる部分のヘッドハウジング300からの突出量を大きくすれば、蓋部40を閉方向(Z方向の上方)に操作させやすくなる。そのため、ヘッド部30のX方向への揺動を抑制することが可能になって、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。
【0236】
また、ヘッド部30が、かみそり本体(本体部)10に支持されるヘッド基部31と、ヘッド基部31に着脱可能に装着されて、刃部331を一部(肌接触面33a)が露出した状態で覆うヘッドカバー部32と、を備えていてもよい。そして、蓋部40がヘッドカバー部32に取り付けられていてもよい。
【0237】
こうすれば、ヘッド部30の上側に回転中心C1が存在する場合には、蓋部40を回転中心C1に近づけることが可能になるため、蓋部40の開閉操作性をより向上させることができるようになる。また、ヘッド部30のコンパクト化を図りつつ、ヘッド部30の意匠性をより向上させることが可能になる。さらに、刃部331の近傍に開口窓S1aが設けられることになるため、より効率よく刃部331の洗浄を行うことができるようになる。
【0238】
[その他]
以上、本開示にかかる除毛装置の内容を説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変形および改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0239】
例えば、上記実施の形態およびその変形例で示した構成の変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態に本開示を適用することができる。また、上記実施の形態およびその変形例で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0240】
また、上記実施の形態およびその変形例では、3個の刃ブロックを備える刃ユニット33を例示したが、2個の刃ブロックを備える刃ユニット33とすることも可能であるし、4個以上の刃ブロックを備える刃ユニット33とすることも可能である。
【0241】
また、上記実施の形態およびその変形例では、1個の蓋部40をヘッドハウジング300に取り付けたものを例示したが、複数個の蓋部40をヘッドハウジング300に取り付けようにすることも可能である。この場合、開閉操作時に2個以上の蓋部40が連動して移動する構成とすることも可能であるし、それぞれの蓋部40が別個独立して移動する構成とすることも可能である。
【0242】
また、上記実施の形態およびその変形例では、第2方向(Y方向)に沿ってヘッド部30を見た状態で仮想円C2の内側に蓋部40を存在させるようにしたものを例示したが、仮想円C2の外側に蓋部40を存在させるようにすることも可能である。
【0243】
また、上記実施の形態およびその変形例では、第2方向(Y方向)に沿ってヘッド部30を見た状態で、仮想の軸線A1がヘッド部30よりも外方に位置しているものを例示したが、ヘッド部30に内側に存在する仮想の軸線A1を中心としてヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して揺動させるようにすることも可能である。
【0244】
また、上記実施の形態およびその変形例では、開口窓S1aを第1方向(X方向)に開口させたものを例示したが、開口窓S1aを第1方向(X方向)と交差する方向に開口させるようにすることも可能である。例えば、ヘッド部30をかみそり本体(本体部)10に対して第1方向(X方向)に揺動させつつ、ヘッドハウジング300の幅方向(Y方向)の端部(ヘッドハウジング300の側壁)に開口窓S1aを形成することも可能である。
【0245】
また、上記実施の形態およびその変形例では、蓋部40をヘッド部30の表面に沿って移動させるようにしたものを例示したが、蓋部40をヘッド部30の表面と交差する方向に移動させるようにすることも可能である。例えば、上述した特許文献1に記載の電気かみそり(除毛装置)のように、ヘッド部が、ヘッド部の中央部を軸に本体部に対して幅方向に揺動できるようにした状態で、ヘッド部の正面に蓋部を設けた場合に、蓋部の開閉方向を前後方向となるようにすることが可能である。
【0246】
また、上記実施の形態およびその変形例では、蓋部40を開方向に操作する際に指が引っ掛けられる部分の厚さD1を、蓋部40を閉方向に操作する際に指が引っ掛けられる部分の厚さD2よりも薄くすることで、蓋部40を開方向に操作する際に指が引っ掛けられる部分の突出量を、蓋部40を閉方向に操作する際に指が引っ掛けられる部分の突出量よりも小さくなるようにしたものを例示している。しかしながら、厚さD1と厚さD2を同じ厚さとしつつ、蓋部40を開方向に操作する際に指が引っ掛けられる部分の突出量を、蓋部40を閉方向に操作する際に指が引っ掛けられる部分の突出量よりも小さくなるようにすることも可能である。
【0247】
また、上記実施の形態およびその変形例では、蓋部40にフック部43が設けられており、ヘッドハウジング300に係止突起(係止部)3122が形成されたものを例示したが、蓋部40に係止部を形成し、ヘッドハウジング300にフック部を形成することも可能である。また、蓋部40にフック部および係止部を形成し、ヘッドハウジング300に係止部およびフック部を形成し、蓋部40のフック部とヘッドハウジング300の係止部とを係止させ、蓋部40の係止部とヘッドハウジング300のフック部とを係止させるようにすることも可能である。
【0248】
また、上記実施の形態およびその変形例では、X方向(ヘッド部30の前後方向)を第1方向としたものを例示したが、Y方向(ヘッド部30の幅方向)を第1方向とすることも可能であるし、Z方向(ヘッド部30の上下方向)を第1方向とすることも可能である。
【0249】
また、上記実施の形態およびその変形例では、内刃を外刃に対して往復直線運動させる電気かみそり1を例示したが、内刃を外刃に対して回転させる回転刃タイプの電気かみそりに本開示を適用することも可能である。
【0250】
また、上記実施の形態およびその変形例では、切断したヒゲを溜めることができる空間部S1に連通する開口窓S1aに蓋部40を設け、蓋部40を開状態とすることで、開口窓S1aへの水や洗浄液の導入、開口窓S1aからの水や洗浄液の排出を行えるようにしたものを例示したが、肌のケアを行うための化粧水やクリームなどを溜めるための空間部を有する除毛装置に本開示を適用することも可能である。
【0251】
また、上記実施の形態およびその変形例では、除毛装置として、ヒゲを切断する電気かみそり1を例示したが、電気かみそり1に限らず様々なタイプの除毛装置に本開示を適用することが可能である。例えば、人または動物の体毛、毛髪を切断するトリマー(電気式毛切断装置)に本開示を適用することも可能である。
【0252】
また、ヘッド部や蓋部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0253】
以上のように、本開示にかかる除毛装置は、ヘッド部を本体部に対して相対移動させつつ、蓋部の開閉操作性をより向上させることが可能であるので、ヒゲに限らず、様々な体毛の処理等の用途にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0254】
1 電気かみそり(除毛装置)
10 かみそり本体(本体部)
20 連結機構
28 リンク機構
2823 接続端部
30 ヘッド部
300 ヘッドハウジング
31 ヘッド基部
3122 係止突起(係止部)
3123 突曲面
3124 一方側の面
3125 他方側の面
32 ヘッドカバー部
33a 肌接触面
331 刃部
40 蓋部
41 蓋本体
416 操作部
42 ガイド部
43 フック部
4321 下側傾斜面(第1傾斜面)
4322 上側傾斜面(第2傾斜面)
θ3 下側傾斜面の傾斜角度
θ4 上側傾斜面の傾斜角度
A1 仮想の軸線
B1 軌跡
C1 回転中心
C2 仮想円
D1 厚さ
D2 厚さ
S1 空間部
S1a 開口窓
X 第1方向
Y 第2方向、交差方向
Z 開閉方向