(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175227
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】梯子固定装置
(51)【国際特許分類】
E06C 7/48 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
E06C7/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087568
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】522166378
【氏名又は名称】株式会社上村建設
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】上村 篤嗣
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA01
2E044BA01
2E044BB03
2E044BC03
2E044BC14
2E044CB03
2E044EE11
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来にない非常に実用的な梯子固定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】左右の縦材50aとこの縦材50aの間に架設される踏み部材50bとから成る梯子50を屋根60の軒先部60aに固定するための梯子固定装置であって、前記梯子50に連結する梯子連結部1と、この梯子連結部1と連設され前記軒先部60aに挟持連結する挟持連結部2とで構成され、前記挟持連結部2は、前記軒先部60aに対する挟持連結及び該挟持連結を解除する操作部3を有し、前記挟持連結部2の解除は、引動することで前記挟持連結が解除される引動線材4で行われるように構成されたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦材とこの縦材の間に架設される踏み部材とから成る梯子を屋根の軒先部に固定するための梯子固定装置であって、前記梯子に連結する梯子連結部と、この梯子連結部と連設され前記軒先部に挟持連結する挟持連結部とで構成され、前記挟持連結部は、前記軒先部に対する挟持連結及び該挟持連結を解除する操作部を有し、前記挟持連結部の解除は、引動することで前記挟持連結が解除される引動線材で行われるように構成されていることを特徴とする梯子固定装置。
【請求項2】
請求項1記載の梯子固定装置において、前記梯子連結部は、前記左右の縦材夫々と連結する一対の梯子連結部で構成されていることを特徴とする梯子固定装置。
【請求項3】
請求項1記載の梯子固定装置において、前記挟持連結部は、前記屋根の軒先部に前記梯子を間にして所定間隔で挟持連結する一対の挟持連結部で構成されていることを特徴とする梯子固定装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の梯子固定装置において、前記操作部は起伏回動することで前記軒先部に前記挟持連結部を挟持連結及び該挟持連結を解除する回動レバーであり、この回動レバーの対向位置には前記引動線材を垂れ下がり支持する滑車部が設けられていることを特徴とする梯子固定装置。
【請求項5】
請求項4記載の梯子固定装置において、前記滑車部は前記屋根の屋根面に対して任意の距離に調整できるように設けられていることを特徴とする梯子固定装置。
【請求項6】
請求項4記載の梯子固定装置において、前記滑車部で支持されて垂れ下がる前記引動線材の垂れ下がり部位を通過させて該引動線材の引動をガイドするガイド部を有することを特徴とする梯子固定装置。
【請求項7】
請求項5記載の梯子固定装置において、前記滑車部で支持されて垂れ下がる前記引動線材の垂れ下がり部位を通過させて該引動線材の引動をガイドするガイド部を有することを特徴とする梯子固定装置。
【請求項8】
請求項1~3いずれか1項に記載の梯子連結装置において、前記梯子連結部は、前記縦材に着脱自在に被嵌連結する構造であり、前記梯子連結部と前記挟持連結部とは紐状部材を介して連設されていることを特徴とする梯子固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梯子固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば建物の屋根に立て掛けた梯子を固定するものとして特許文献1に開示される梯子固定装置(以下、従来例)が提案されている。
【0003】
この従来例は、梯子に連結される一対の紐状体と、この各紐状体の先端部に設けられ屋根に固定する固定治具とで構成されており、屋根に立て掛けた梯子に連結した各紐状体の先端部の固定治具を屋根の任意の左右位置に固定することで、この立て掛けた梯子は前後左右に揺動することが防止され、よって、梯子の上り下りや、梯子上での作業が安全に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例は、屋根への取り付け作業及び取り外し作業は、いずれも立て掛けた梯子の上で行うことになるが、取り外し作業は、例えば屋根に固定されている固定治具を取り外した際の勢いでバランスを崩し易く危険である。
【0006】
本発明は、前述した問題点を解消する、従来にない非常に実用的な梯子固定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
左右の縦材50aとこの縦材50aの間に架設される踏み部材50bとから成る梯子50を屋根60の軒先部60aに固定するための梯子固定装置であって、前記梯子50に連結する梯子連結部1と、この梯子連結部1と連設され前記軒先部60aに挟持連結する挟持連結部2とで構成され、前記挟持連結部2は、前記軒先部60aに対する挟持連結及び該挟持連結を解除する操作部3を有し、前記挟持連結部2の解除は、引動することで前記挟持連結が解除される引動線材4で行われるように構成されていることを特徴とする梯子固定装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の梯子固定装置において、前記梯子連結部1は、前記左右の縦材50a夫々と連結する一対の梯子連結部1で構成されていることを特徴とする梯子固定装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の梯子固定装置において、前記挟持連結部2は、前記屋根60の軒先部60aに前記梯子50を間にして所定間隔で挟持連結する一対の挟持連結部2で構成されていることを特徴とする梯子固定装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の梯子固定装置において、前記操作部3は起伏回動することで前記軒先部60aに前記挟持連結部2を挟持連結及び該挟持連結を解除する回動レバー3’であり、この回動レバー3’の対向位置には前記引動線材4を垂れ下がり支持する滑車部5が設けられていることを特徴とする梯子固定装置に係るものである。
【0012】
また、請求項4記載の梯子固定装置において、前記滑車部5は前記屋根60の屋根面に対して任意の距離に調整できるように設けられていることを特徴とする梯子固定装置に係るものである。
【0013】
また、請求項4記載の梯子固定装置において、前記滑車部5で支持されて垂れ下がる前記引動線材4の垂れ下がり部位を通過させて該引動線材4の引動をガイドするガイド部6を有することを特徴とする梯子固定装置に係るものである。
【0014】
また、請求項5記載の梯子固定装置において、前記滑車部5で支持されて垂れ下がる前記引動線材4の垂れ下がり部位を通過させて該引動線材4の引動をガイドするガイド部6を有することを特徴とする梯子固定装置に係るものである。
【0015】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の梯子連結装置において、前記梯子連結部1は、前記縦材50aに着脱自在に被嵌連結する構造であり、前記梯子連結部1と前記挟持連結部2とは紐状部材7を介して連設されていることを特徴とする梯子固定装置に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、屋根からの取り外し作業を安全に行うことができるなど、従来にない非常に実用的な梯子固定装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
本発明は、梯子50に梯子連結部1を連結すると共に、屋根60の軒先部60aに挟持連結部2を挟持連結することで、梯子50を屋根60に固定することができる。
【0020】
この屋根60への固定(挟持連結部2の挟持連結)を解除する場合には、操作部3の引動線材4を引動すると、屋根60の軒先部60aに対する挟持連結部2の挟持連結が解除される。つまり、梯子50から降りた地上において屋根60の軒先部60aに対する挟持連結部2の挟持連結を解除することができ、よって、屋根60からの挟持連結部2の取り外し作業を安全に行うことができる。
【実施例0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、左右の縦材50aとこの縦材50aの間に架設される踏み部材50bとから成る梯子50を屋根60の軒先部60aに固定するための梯子固定装置であって、梯子50に連結する梯子連結部1と、この梯子連結部1と連設され軒先部60aに挟持連結する挟持連結部2とで構成され、挟持連結部2は、軒先部60aに対する挟持連結及び該挟持連結を解除する操作部3を有し、挟持連結部2の解除は、引動することで挟持連結が解除される引動線材4で行われるように構成されているものである。
【0023】
尚、本実施例に係る梯子固定装置は、梯子50の左右の縦材50a夫々と連結する一対(二つ)の梯子連結部1と、屋根60の軒先部60aに梯子50を間にして所定間隔で挟持連結する一対(二つ)の挟持連結部2とで構成されているが、その他の構成、例えば一対の梯子連結部1と一つの挟持連結部2とから成る構成や、一つの梯子連結部1と一対の挟持連結部2とから成る構成や、一対の梯子連結部1と一つの挟持連結部2とから成る構成や、梯子連結部1及び挟持連結部2いずれも一つから成る構成でも良い。
【0024】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0025】
梯子連結部1は、
図1に図示したように適宜な金属製の部材から成る一対のコ字状半体1’,1”同士を連結して成る角筒状体であり、一方のコ字状半体1’に設けた止着部材1aを他方のコ字状半体1”に設けた長孔1bにスライド自在に止着連結しており、周面の一部にはスライドにより開口度合いが可変する開口部1cを有し、この開口部1cを通過させて梯子50の縦材50aに着脱自在に被嵌連結するように構成されている。
【0026】
従って、梯子連結部1は種々のサイズ(径)の縦材50aに被嵌連結することができる。
【0027】
また、梯子連結部1は、後述する挟持連結部2と所定長さの紐状部材7(ワイヤー)を介して連設されている。尚、この紐状部材7の長さは、梯子50に載った作業者が軒先部60aに挟持連結部2を挟持連結できる手が届く範囲の長さに設けられている。
【0028】
挟持連結部2は、
図1~3に図示したように適宜な金属製の部材で形成したものであり、板状の第一挟持部2aを有する本体部2’と、この第一挟持部2aの下方対向位置に設けられる板状の第二挟持部2bを有し、本体部2’に対して昇降機構8を介して昇降自在に設けられる可動部2”と、この第一挟持部2a及び第二挟持部2bのクランプ状態とアンクランプ状態を操作する操作部3とで構成されており、第一挟持部2aと第二挟持部2bの間隔は軒先部60aよりも広い間隔に設定されている。
【0029】
具体的には、昇降機構8は、可動部2”の上部に設けられ本体部2’の上部を貫通する可動軸8aに枢着される偏心カム部8bを有する操作部3(回動レバー3’)と、本体部2’の上部に設けられ操作部3の偏心カム部8bを受けるカム受け部8cとで構成されており、操作部3の起伏回動に伴い可動部2”が昇降することで、第一挟持部2aに対して第二挟持部2bが接離移動するように設けられている(
図2,3参照)。符号8dは第二挟持部2bを常時開放方向へ付勢する付勢部材(コイルばね)である。
【0030】
従って、操作部3を起伏回動させることでクランプ状態とアンクランプ状態との切り替え操作(挟持操作及び解除操作)が行える。
【0031】
また、この操作部3の先端部(レバー先端部)には引動することで解除操作を可能にする引動線材4が延設されている。
【0032】
この引動線材4は、
図1~3に図示したように適宜な合成樹脂製の紐部材であり、その長さは、梯子50を設置した箇所(例えば地上)において作業者が手にすることができる長さに設定されている。
【0033】
従って、梯子50から降りた箇所(例えば地上)で引動線材4を引動して操作部3を解除操作することができる。
【0034】
また、本体部2’の後方部位にして引動線材4の引動方向における操作部3の対向位置には該引動線材4を垂れ下がり支持する滑車部5が設けられている。
【0035】
具体的には、滑車部5は、
図1~3に図示したように本体部2’の後方部位に突設される筒状部2cにスライド体5bを上下方向にスライド自在に設け、このスライド体5bの上端部に滑車5aを設けて構成されており、滑車部5は、挟持連結部2に対して接離自在、即ち、屋根60の軒先部60aに挟持連結部2を挟持連結した状態において、屋根60の屋根面に対して任意の距離に調整できるように設けられている。
【0036】
これは、屋根60の軒先部60aの破損を防止するための構成である。
【0037】
具体的には、本来、操作部3を小さな力で操作するためには滑車部5(滑車a)を挟持連結部2から離れた位置(高い位置)にするのが良いが、屋根勾配が急な場合には、挟持する部位と滑車部5(滑車a)の距離が離れていると、挟持する部位(軒先部60a)に強い負荷が掛かって破損する恐れがあるため、操作部3の解除操作の支障とならない程度に滑車部5(滑車a)を低い位置に調整することで、挟持する部位(軒先部60a)の破損を防止することができる。
【0038】
従って、屋根勾配に応じて滑車部5(滑車a)の高さ位置を、挟持する部位(軒先部60a)の破損を防止しつつ、使い勝手の良い位置に調整することができる。
【0039】
また、本体部2’には、滑車部5で支持されて垂れ下がる引動線材4の垂れ下がり部位を通過させて該引動線材4の引動方向をガイドするガイド部6が設けられている。
【0040】
このガイド部6は、本体部2’の背面側下方位置に断面円形の環状部材を設けて構成されており、引動線材4を常に引動し易い状態が得られることになり、しかも、引動線材4が滑車部5から外れるなどの不具合の発生を防止することもできる。
【0041】
本実施例は上述のように構成されているから、梯子50に梯子連結部1を連結すると共に、屋根60の軒先部60aに挟持連結部2を挟持連結することで、梯子50を屋根60に固定することができる。必要に応じて滑車部5の位置を調整する。尚、本実施例では軒先部60aとして唐草を対象としているが、本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものである。
【0042】
この屋根60への固定(挟持連結部2の挟持連結)を解除する場合には、操作部3の引動線材4を引動すると、屋根60の軒先部60aに対する挟持連結部2の挟持連結が解除される。つまり、梯子50から降りた地上において屋根60の軒先部60aに対する挟持連結部2の挟持連結を解除することができる。
【0043】
よって、本実施例によれば、屋根60からの挟持連結部2の取り外し作業を安全に行うことができる。
【0044】
また、本実施例は、梯子連結部1は、左右の縦材50a夫々と連結する一対の梯子連結部1で構成されているから、屋根60の軒先部60aに対する良好な固定状態が得られる。
【0045】
また、本実施例は、挟持連結部2は、屋根60の軒先部60aに梯子50を間にして所定間隔で挟持連結する一対の挟持連結部2で構成されているから、この点においても屋根60の軒先部60aに対する良好な固定状態が得られる。
【0046】
また、本実施例は、操作部3は起伏回動することで軒先部60aに挟持連結部2を挟持連結及び該挟持連結を解除する回動レバー3’であり、この回動レバー3’の対向位置には引動線材4を垂れ下がり支持する滑車部5が設けられているから、良好な解除操作が行えることになる。
【0047】
また、本実施例は、滑車部5は屋根60の屋根面に対して任意の距離に調整できるように設けられているから、屋根60の勾配に応じて良好な取付状態が得られる。
【0048】
また、本実施例は、滑車部5で支持されて垂れ下がる引動線材4の垂れ下がり部位を通過させて該引動線材4の引動方向をガイドするガイド部6を有するから、常に引動線材4を操作し易い状態が得られる。
【0049】
また、本実施例は、梯子連結部1は、柱材50aに着脱自在に被嵌連結する構造であり、梯子連結部1と挟持連結部2とは紐状部材7を介して連設されているから、種々のタイプの梯子50を固定することができ、しかも、挟持連結部2をその場の条件に応じて確実に挟持連結することができる。
【0050】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。