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  • 特開-二流体噴霧装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175228
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】二流体噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/06 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B05B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087569
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】503045038
【氏名又は名称】ノズルネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】麻川 博良
(72)【発明者】
【氏名】久下 良太
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033QA01
4F033QA05
4F033QA10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB13Y
4F033QB15X
4F033QB17
4F033QB18
4F033QD15
4F033QE14
4F033QK16X
4F033QK16Y
4F033QK18Y
4F033QK20Y
(57)【要約】
【解決課題】固体化し易い液体について長時間にわたり一定した噴霧量を維持できる、二流体噴霧装置を提供する。
【課題解決手段】二流体噴霧装置1は、少なくとも2つの気体を噴射するための第一気体噴射部101と第二気体噴射部102と、液体を噴射する液体噴射部103と、第一、第二気体噴射部101、102の単位面積当たりの開口サイズよりも小さい開口サイズである第一、第二補助噴射部106、107とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの気体を噴射するための第一気体噴射部と第二気体噴射部と、
液体を噴射する液体噴射部と、
前記第一、第二気体噴射部の単位面積当たりの開口サイズよりも小さい開口サイズである第一、第二補助噴射部と、を備える、二流体噴霧装置。
【請求項2】
前記第一、第二気体噴射部の噴射方向が平面視で対向し、前記対向する方向と直交する方向で前記第一、第二補助噴射部の噴射方向が平面視で対向するように設けられている、
請求項1に記載の二流体噴霧装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二流体噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等が創作した特許文献1の液体霧化装置は、それ以前の二流体ノズルの発想を変えた画期的な発明である。この液体霧化装置は、2、3または4つの気体を噴射する気体噴射部と、液体を噴射する液体噴射部とを備え、前記気体噴射部から、圧力0.2MPa以下で噴射した気体同士を前記液体噴射部の先端より前方で衝突させて形成した衝突部または当該衝突部を含む部分と、前記液体噴射部で噴射した液体とを衝突させて当該液体を霧化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5140712号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
噴霧する液体の中には固体化し易い液体もあり、長時間噴霧でノズル先端出口で固化し、噴霧量が低下することがある(いわゆる、目詰まり現象である)。このような場合、定期的にノズル先端を洗浄したり、その液体に替わり水を噴霧させて洗浄することが行われている。
【0005】
本発明の目的は、上記特許文献1の液体霧化装置の特徴を活かしつつ、固体化し易い液体について長時間にわたり一定した噴霧量を維持できる、二流体噴霧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
二流体噴霧装置(1)は、
少なくとも2つの気体を噴射するための第一気体噴射部(101)と第二気体噴射部(102)と、
液体を噴射する液体噴射部(103)と、
前記第一、第二気体噴射部(101、102)の単位面積当たりの開口サイズ(噴射出口101a、102a)よりも小さい開口サイズ(噴射出口106a、107a)である(あるいは前記第一、第二気体噴射部(101、102)から噴射する気体量よりも小さい気体量を噴射する)第一、第二補助噴射部(106、107)と、を備える。
前記第一、第二気体噴射部(101、102)から噴射した気体と、前記液体噴射部(103)から噴射した液体とを衝突させて当該液体を微粒子化する。
前記第一、第二気体噴射部(101、102)の噴射方向が、平面視で対向していてもよい。前記第一、第二補助噴射部(106、107)の噴射方向が、平面視で対向していてもよい。前記第一、第二気体噴射部(101、102)の噴射方向が平面視で対向し、前記第一、第二気体噴射部の噴射方向が平面視で対向し、前記対向する方向と直交する方向で前記第一、第二補助噴射部(106、107)の噴射方向が平面視で対向するように設けられていてもよい。それらが十字の位置に設けられていてもよい(図2C参照)。
前記第一、第二気体噴射部(101、102)から噴射される気体量は、同じあるいは実質的に同じになるように設定されていてもよい。
前記第一、第二気体噴射部(101、102)の噴射角度(α)が、前記第一、第二補助噴射部(106、107)の噴射角度(β)よりも小さくてもよい。キャップ部(20)の噴射内面(23)の角度(θ)は、角度αと角度βよりも大きくてもよい。角度(θ)は90°から160°、角度(α)は60°から150°、角度(β)は80°から150°であってもよい(図2C参照)。
前記第一、第二補助噴射部(106、107)の噴射出口(106a、107a)は、前記第一、第二気体噴射部(101、102)の噴射出口(101a、102a)の近傍にまで延設されていてもよい。
前記第一、第二補助噴射部(106、107)の他に、1以上の補助噴射部が設けられていてもよい。
【0007】
前記二流体噴霧装置(1)は、
前記液体噴射部(103)が形成されている本体(10)と、
前記本体(10)の先端に取り付けられて、前記第一、第二気体噴射部(101、102)と、前記第一、第二補助噴射部(106、107)を形成するための、キャップ部(20)と、を備えていてもよい。
前記第一、第二気体噴射部(101、102)は、前記本体(10)の側面に形成された凹溝(第一、第二側面スリット溝13a、13b)とキャップ部(20)の内面(25)によって形成され、前記液体噴射部(103)の噴射側天面(110)に形成された凹溝(第一、第二先端スリット溝131、132)と、キャップ部(20)の内面(23、24)によって形成されていてもよい。
本体(10)には外部配管などと接続する気体供給部(13)と、外部配管などと接続する液体供給部(12)とを有していてもよい。
前記第一、第二補助噴射部(106、107)は、本体(10)の噴射側天面(110)に形成された第一、第二スリット面(133、134)とキャップ部(20)の内面(23、24)によって形成されていてもよい。
前記内面(24)の空間によって、第一、第二側面スリット溝(13a、13b)からの気体が前記内面(24)の空間を介して前記第一、第二補助噴射部(106、107)へ送られてもよい。
【0008】
前記第一、第二気体噴射部(101、102)の他に、第三、第四気体噴射部が近傍に設けられていてもよい。
第一、第二補助噴射部(106、107)は、前記第一、第二気体噴射部(101、102)よりも少ない気体量の噴射を行い、液体を微粒化する噴射力としての作用は小さい(あるいは実質的にない)。一方で、前記第一、第二気体噴射部(101、102)の開口(例えば、噴射出口101a、102a)やキャップ部(20)の開口(22)の位置において固体化しやすい液体を外部へ排出する作用を発揮する。これにより、長時間噴霧において目詰まりすることを効果的に抑制できる。
【0009】
前記気体は、特に制限されないが、例えば、空気、清浄空気(クリーンエア)、窒素、不活性ガス、燃料混合エア、酸素等が挙げられ、使用目的に応じて適宜設定可能である。
【0010】
前記液体は、特に制限されないが、例えば、水、イオン化水、消臭液、保湿液、美容水、化粧水等の化粧薬液、医薬液、殺菌液、除菌液等の薬液、塗料、燃料油、コーティング剤、溶剤、樹脂等が挙げられる。
前記液体の種類において固体化し易い液体を用いても効果的であり、目詰まりを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1の二流体噴霧装置の構成図である。
図2A】第一側面の先端拡大の構成図である。
図2B】第二側面のキャップ先端拡大の構成図である。
図2C】第一、第二気体噴射部と補助噴射部の概略図と噴射角度である。
図2D】別実施形態のキャップの先端拡大の構成図である。
図3】本体の先端部の形状を説明するための図である。
図4】実施形態1における噴霧特性データの一例を示す図である。
図5】実施例と比較例の空気量と噴霧量データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
実施形態1の二流体噴霧装置1を図1から図3を用いて説明する。
二流体噴霧装置1は、液体噴射部103、第一気体噴射部101、第二気体噴射部102、第一補助噴射部106、第二補助噴射部107を備える。第一、第二気体噴射部101、102の噴射方向が平面視で対向し、かつ第一、第二補助噴射部106、107の噴射方向が平面視で対向し、それらがそれぞれ十字の位置に設けられている(図2C参照)。
第一、第二補助噴射部106、107は、第一、第二気体噴射部101、102の単位面積当たりの開口サイズ(噴射出口101a、102a)よりも小さい開口サイズ(噴射出口106a、107a)である(図2C参照)。また、第一、第二気体噴射部101、102から噴射する気体量よりも小さい気体量を噴射する。本実施形態では、第一、第二気体噴射部101、102の噴射角度αが、第一、第二補助噴射部106、107の噴射角度βよりも小さい。キャップ部20の噴射内面23の角度θは、角度αと角度βよりも大きい。本実施形態において、角度θは120°、角度αは80°、角度βは90°である(図1、2A、2B、2C参照)。
また、本実施形態では、第一、第二気体噴射部101、102の噴射出口101a、102aは、第一、第二補助噴射部106、107の噴射出口106a、107aよりも噴射方向で噴射側に配置されている。
第一、第二気体噴射部101、102から噴射した気体と、液体噴射部103から噴射した液体とを衝突させて当該液体を微粒子化する。
【0013】
二流体噴霧装置1は、本体10とキャップ部20を備える。キャップ部20は、本体10の先端に取り付けられて、第一、第二気体噴射部101、102と、第一、第二補助噴射部106、107を形成する。液体噴射部103は、本体10に設けられている。キャップ部20は、微粒子の噴霧出口となる開口22と先端面221を備える。
第一、第二気体噴射部101、102は、本体10の側面に形成された第一、第二側面スリット溝13a、13bとキャップ部20の内面25によって形成され、本体10の噴射側天面110に形成された第一、第二先端スリット溝131、132と、キャップ部20の内面23、24によって形成されている(図2A、2B、2C、3参照)。
本体10には外部配管などと接続する気体供給部13と、外部配管などと接続する液体供給部12が設けられている。気体供給部13は、第一、第二側面スリット溝13a、13bを介して、第一、第二先端スリット溝131、132へ通じており気体を送る。液体供給部12は、貫通孔11を介して液体噴射部103へ通じ、液体が送られる。本実施形態ではサイフォン効果で液体が送られる。
【0014】
第一、第二補助噴射部106、107は、本体10の噴射側天面110に形成された第一、第二スリット面133、134とキャップ部20の内面23、24によって形成されている。キャップ部20の内面24の空間によって、第一、第二側面スリット溝13a、13bからの気体が内面24の空間を介して第一、第二補助噴射部106、107へ送られてもよい。
【0015】
第一、第二補助噴射部106、107は、第一、第二気体噴射部101、102よりも小さい気体噴射を行い、液体を微粒化する噴射力としての作用は小さい(あるいは実質的にない)。一方で、第一、第二気体噴射部101、102の開口やキャップ部20の開口22の位置において固体化しやすい液体を外部へ排出する作用を発揮する。これにより、長時間噴霧において目詰まりすることを効果的に抑制できる。
【0016】
(噴霧出口の形状)
図2Dに示すキャップ部20の開口22は、噴射方向に沿って拡幅(台錐状)の噴射出口222を有する。
【0017】
実施形態1(図1)の構成の二流体噴霧装置1の噴霧特性を図4に示す。空気圧と空気量の関係、空気圧と噴霧量の関係、空気圧と平均粒子径の関係が示されている。液体に水道水、気体に空気を用いた。各関係では、略線形変化であり、製品化における品質の安定性を確認できた。
【0018】
<目詰まり実験>
実施例1として図1の二流体噴霧装置1、比較例として第一、第二補助噴射部を備えていない二流体噴霧装置(図3の比較例)で長時間の間欠噴霧を行った。
噴霧時間:9:00~17:00(8時間/日)内で間欠噴霧(1分噴霧、1分停止の繰り返し)
液体 :液体肥料の500倍希釈液(ハイポネックス(登録商標)、株式会社ハイポネックスジャパン)
図5において、空気量変化として50時間経過後に比較例では減少し、実施例では略一定していることが確認できた。噴霧量変化として、40時間経過後に比較例では減少し、実施例では略一定していることが確認できた。これは、比較例では40時間経過後に目詰まり現象が生じ始め、空気量および噴霧量が減少したと考えられる。
【符号の説明】
【0019】
1 二流体噴霧装置
10 本体
20 キャップ部
101 第一気体噴射部
102 第二気体噴射部
103 液体噴射部
106 第一補助噴射部
107 第二補助噴射部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5