(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175236
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ロープ係止具
(51)【国際特許分類】
F16G 11/14 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
F16G11/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087579
(22)【出願日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】522214037
【氏名又は名称】本田 平治
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】本田 平治
(57)【要約】
【課題】簡素な形状であって、ロープの係止・離脱作業が容易であり、汎用性に優れたロープ係止具を提供する。
【解決手段】ロープ係止具100は、ロープを巻き付け可能な強度を有し、平面視形状が角丸四角形状を成す平板状の基体10と、基体10の外周に基体10を一周するように形成された周回溝11と、基体10の露出面において周回溝11で包囲された領域Z1内に、両端部12a,12a,13a,13aをそれぞれ周回溝11に連通させた状態で、且つ、領域Z1内で互いに直交するように形成された複数の連通溝12,13と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープを巻き付け可能な強度を有する基体と、
前記基体の外周に前記基体を一周するように形成された周回溝と、
前記基体の露出面において前記周回溝で包囲された領域内に、両端部を前記周回溝に連通させた状態で、且つ、前記領域内で互いに交差するように形成された複数の連通溝と、を備えたロープ係止具。
【請求項2】
前記基体の形状が、平面視形状が多角形状若しくは閉曲線状を成す平板形状である請求項1記載のロープ係止具。
【請求項3】
互いに直交する二本の前記連通溝を備えた請求項1または2記載のロープ係止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープの端部付近あるいはロープの長さ方向の途中部分を他の物体に係止したり、ロープの長さ方向の途中部分を巻き付けてロープの長さを調整したりする際に使用するロープ係止具に関する。ここで、前記ロープは、一般的なロープのみに限定するものではなく、紐、縄、ワイヤ、チェーン、鎖、ホース、チューブ、針金、糸など、可撓性を有する線状の部材を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
ロープ係止具については、従来、様々な形状、機能を有するものが開発されているが、本発明に関連するものとして、特許文献1,2に記載された「ロープ係止具」あるいは特許文献3に記載された「ロープ用係止具」などがある。
【0003】
特許文献1に記載された「ロープ係止具」は、支柱などへの配置手段を有する支体に、ロープのガイドと、これより先のロープ部分を所要回数巻回するシーブと、シーブから先のロープ部分を導通係止する留め具を設けたことを特徴とするものである。
【0004】
特許文献2に記載された「ロープ係止具」は、方形板体の辺方向中心線上の両端に開口部によるロープ挿通溝を形成し、該ロープ挿通溝よりそれぞれ左右に90度~150度の開き角を有する軸線位置に開口部によるロープ挿通溝を形成し、かつ方形板体の中央部に筒状のキャップを垂設したことを特徴とするものである。
【0005】
特許文献3に記載された「ロープ用係止具」は、ロープの先端に取付けてペグや立木、岩などにロープを固定するときに用いるロープ用係止具において、係止具本体は金属または硬質合成樹脂材によって板状に製せられ、幢が係止具本体の一端部近くにロープの先端を取付けるための通孔を穿設すると共に、係止具本体の他端部に少なくともロープを挿着し得る幅をもった横向きの切り込みを形成したフック部を設けてなることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61-56453号公報
【特許文献2】特開昭58-111623号公報
【特許文献3】実開平4-132163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された「ロープ係止具」は、支体のほかに、ガイド、軸、シーブ、留め具及び当て片などの複数の部材で構成されているので、構造が複雑であり、ロープの係止・離脱作業に手間を要する。
【0008】
特許文献2に記載された「ロープ係止具」は、ロープの途中部分に何らかの部材を係止する用途には好適であるが、ロープの端部付近を他の物体に係止する用途には不向きであるため、汎用性に欠ける。
【0009】
特許文献3に記載された「ロープ用係止具」は、ロープの端部付近を他の物体に係止する用途には好適であるが、ロープの途中部分に何らかの部材を係止したり、ロープの長さ方向の途中部分を巻き付けてロープの長さを調整したりする用途には不向きであるため、汎用性に欠ける。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、簡素な形状であって、ロープの係止・離脱作業が容易であり、汎用性に優れたロープ係止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るロープ係止具は、
ロープを巻き付け可能な強度を有する基体と、
前記基体の外周に前記基体を一周するように形成された周回溝と、
前記基体の露出面において前記周回溝で包囲された領域内に、両端部を前記周回溝に連通させた状態で、且つ、前記領域内で互いに交差するように形成された複数の連通溝と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、前記ロープ係止具においては、前記基体の形状を、平面視形状が多角形状若しくは閉曲線状を成す平板形状とすることができる。
【0013】
さらに、前記ロープ係止具は、互いに直交する二本の前記連通溝を備えたものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、簡素な形状であって、ロープの係止・離脱作業が容易であり、汎用性に優れたロープ係止具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態であるロープ係止具を示す一部省略平面図である。
【
図2】
図1中の矢線A方向から見たロープ係止具の一部省略正面図である。
【
図3】
図1中の矢線B方向から見たロープ係止具の一部省略右側面図である。
【
図4】
図2中の矢線C方向から見たロープ係止具の一部省略底面図である。
【
図5】
図2中のD-D線における一部省略断面図である。
【
図6】
図1に示すロープ係止具の使い方を模式的に示す一部省略断面図である。
【
図7】
図1に示すロープ係止具の使い方を示す一部省略平面図である。
【
図8】本発明のその他の実施形態であるロープ係止具を示す一部省略平面図である。
【
図9】
図8中の矢線E方向から見たロープ係止具の一部省略正面図である。
【
図10】
図9中の矢線F方向から見たロープ係止具の一部省略底面図である。
【
図11】
図9中のG-G線における一部省略断面図である。
【
図12】
図8に示すロープ係止具の使い方を示す一部省略平面図である。
【
図13】本発明のその他の実施形態であるロープ係止具を示す一部省略平面図である。
【
図14】
図13中の矢線H方向から見たロープ係止具の一部省略正面図である。
【
図15】
図13に示すロープ係止具の使い方を示す一部省略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図15に基づいて、本発明の実施形態であるロープ係止具100,200,300について説明する。
【0017】
初めに、
図1~
図7に基づいてロープ係止具100について説明する。
図1~
図5に示すようにロープ係止具100は、ロープを巻き付け可能な強度を有し、平面視形状が角丸四角形状を成す平板状の基体10と、基体10の外周に基体10を一周するように形成された周回溝11と、基体10の露出面において周回溝11で包囲された領域Z1内に、両端部12a,12a,13a,13aをそれぞれ周回溝11に連通させた状態であって、且つ、領域Z1内で互いに直交するように形成された複数の連通溝12,13と、を備えている。
【0018】
図1に示すように、ロープ係止具100の基体10の平面部分には互いに直交する二本の連通溝12,13が露出し、
図2,
図3に示すように、ロープ係止具100の基体10の外周面部分には周回溝11が露出しているが、
図4に示すように、ロープ係止具100の基体10の底面部分は連続した平面形状をなしている。
【0019】
図5に示すように、ロープ係止具100の基体10に、周回溝11及び連通溝12,13を設けたことにより、基体10の内部には、平面視形状が四角形状を成す複数のセグメント10a,10b,10c,10dが形成されている。
【0020】
ここで、
図6,
図7に基づいて、ロープ係止具100の使い方について説明する。
図6,
図7はロープRの長さ方向の途中部分を支柱Pに係止する場合の使い方を示している。
図6に示すように、ロープRの一方部分R1を連通溝12の端部12a側からセグメント10c,10bの間の連通溝12に挿通させ、連通溝12,13の交差部分でセグメント10c側へ折り曲げてセグメント10d,10cの間の連通溝13に挿通させ、セグメント10cの周りを反時計方向に一周するように巻き付けた後、連通溝12,13の交差部分からセグメント10d,10aの間の挿通溝12に挿通させ、連通溝12の端部12bから周回溝11を経由して基体10の外側へ延出させ、支柱Pの外周をUターンするように巻き付ける。
【0021】
支柱Pの外周でUターンさせたロープRの他方部分R2を連通溝12の端部12bからセグメント10d,10aの間の連通溝12に挿通し、連通溝12,13の交差部分にてセグメント10a側へ折り曲げ、セグメント10a及びセグメント10dの周りを反時計方向に一周するように巻き付けた後、連通溝13の端部13aにてセグメント10b側へ折り曲げ、周回溝11を経由して基体10の外側へ延出させる。そして、
図6に示すように、基体10の外側に延出したロープRの他方部分R2にU字状の折り曲げ部R3を形成し、基体10の外側に延出したロープRの一方部分R1の周りに結び付ける。
【0022】
この後、ロープRの一方部分R1、他方部分R2並びにロープ係止具100全体を支柱Pから遠ざかる方向へ引っ張ると、張力の加わったロープRによってロープ係止具100が締め付けられるので、
図7に示すように、ロープRはロープ係止具100によって強固に係止される。また、前述と逆の手順をとれば、ロープ係止具100からロープRを離脱させることができる。なお、
図6,
図7に示すロープ係止具100の使い方(ロープRの係止の仕方)は一例を示すものであり、ロープ係止具100の使い方(ロープRの係止の仕方)は
図6,
図7に示す形態に限定されない。
【0023】
図1~
図4に示すように、ロープ係止具100は、基体10に周回溝11及び連通溝12,13を設けたものであるため、簡素な形状であり、ロープの係止・離脱作業が容易である。また、ロープR以外の線状の部材(例えば、紐、縄、ワイヤ、チェーン、鎖、ホース、チューブ、針金、糸など、可撓性を有する線状の部材)を係止することができ、ロープ係止具100の使い方(ロープRの係止の仕方)なども、
図6,
図7に示す形態に限定されないので、汎用性に優れている。
【0024】
ロープ係止具100の基体10の平面視形状は角丸四角形状をなしているが、これに限定しないので、例えば、小判形状、多角形状若しくは閉曲線状を成すようにすることもできる。また、基体10のサイズも限定しないので、ロープRの外径、用途などに応じて任意に設定することができる。さらに、基体10の材質も限定しないので、用途、必要とされる強度などに応じて、木材、金属、合成樹脂、陶磁器、天然石材、セラミックスあるいはセメント系固化物などで形成することができる。
【0025】
次に、
図8~
図12に基づいてロープ係止具200について説明する。
図8~
図11に示すようにロープ係止具200は、ロープを巻き付け可能な強度を有し、平面視形状が円形状を成す平板状の基体20と、基体20の外周に基体20を一周するように形成された周回溝21と、基体20の露出面において周回溝21で包囲された領域Z2内に、両端部22a,22a,23a,23aをそれぞれ周回溝21に連通させた状態で、且つ、領域Z2内で互いに直交するように形成された複数の連通溝22,23と、を備えている。
【0026】
図8に示すように、ロープ係止具200の基体20の平面部分には互いに直交する二本の連通溝22,23が露出し、
図9に示すように、ロープ係止具200の基体20の外周面部分には周回溝21が露出しているが、
図10に示すように、ロープ係止具200の基体20の底面部分は連続した平面形状をなしている。
【0027】
図11に示すように、ロープ係止具200の基体20に、周回溝21及び連通溝22,23を設けたことにより、基体20の内部には、平面視形状が扇形状を成す複数のセグメント20a,20b,20c,20dが形成されている。
【0028】
図8~
図11に示すロープ係止具200の使い方は限定しないが、例えば、
図12に示すような使い方をすることができる。
図7に示す形態と同様、
図11はロープRの長さ方向の途中部分を支柱Pに係止する場合のロープ係止具200の使い方(ロープ係止具200に対するロープRの係止の仕方)を示しているが、これに限定されるものではない。
【0029】
図8~
図11に示すように、ロープ係止具200は基体20に周回溝21及び連通溝22,23を設けたものであるため、簡素な形状であり、ロープRの係止・離脱作業が容易である。また、ロープR以外の線状の部材を係止することができ、ロープ係止具200の使い方(ロープRの係止の仕方)も
図12に示す形態に限定されないので、汎用性に優れている。
【0030】
次に、
図13~
図15に基づいて、ロープ係止具300について説明する。本実施形態においては、ロープ係止具300をマスクMの耳掛け紐Sの長さ調整具として使用した場合について説明する。
図13~
図14に示すようにロープ係止具300は、マスクMの耳掛け紐Sを巻き付け可能な強度を有し、平面視形状が円形状を成す平板状の基体30と、基体30の外周に基体30を一周するように形成された周回溝31と、基体30の露出面において周回溝31で包囲された領域Z3内に、両端部32a,32a,33a,33aをそれぞれ周回溝31に連通させた状態で、且つ、領域Z3内で互いに直交するように形成された複数の連通溝32,33と、を備えている。
【0031】
図13に示すように、ロープ係止具300の基体30の平面部分には互いに直交する二本の連通溝32,33が露出し、
図14に示すように、ロープ係止具300の基体30の外周面部分には周回溝31が露出している。図示していないが、ロープ係止具300の基体30の底面部分は連続した平面形状をなしている。
【0032】
図13,
図15に示すように、ロープ係止具300の基体30に、周回溝31及び連通溝32,33を設けたことにより、基体30の内部には、平面視形状が扇形状を成す複数のセグメント30a,30b,30c,30dが形成されている。
【0033】
図13~
図14に示すロープ係止具300の使い方は限定しないが、例えば、
図15に示すような使い方をすることができる。
図15に示すように、マスクMの耳掛け紐Sの途中部分を連通溝32,33に挿通して、セグメント30dの周りを一周させれば、ロープ係止具300は耳掛け紐Sに係止されるが、マスクMの耳掛け紐Sの途中部分がセグメント30dの周りを一周していることにより、耳掛け紐Sの全長を短く調整することができる。なお、
図15に示すような使い方は一例であり、ロープ係止具300の使い方はこれに限定されるものではない。
【0034】
なお、
図1~
図15に基づいて説明したロープ係止具100,200,300は、本発明に係るロープ係止具を例示するものであり、本発明に係るロープ係止具は、前述したロープ係止具100,200,300に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るロープ係止具は、ロープの端部付近あるいはロープの長さ方向の途中部分を他の物体に係止したり、ロープの長さ方向の途中部分を巻き付けてロープの長さを調整したりすることを必要とする様々な産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10,20,30 基体
11,21,31 周回溝
12,13,22,23,32,33 連通溝
12a,12b,13a,22a,23a,32a,33a 端部
10a,10b,10c,10d,20a,20b,20c,20d,30a,30b,30c,30d セグメント
100,200,300 ロープ係止具
M マスク
P 支柱
R ロープ
R1 一方部分
R2 他方部分
Z1,Z2,Z3 領域